[go: up one dir, main page]

JP2005035921A - 組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤 - Google Patents

組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2005035921A
JP2005035921A JP2003273944A JP2003273944A JP2005035921A JP 2005035921 A JP2005035921 A JP 2005035921A JP 2003273944 A JP2003273944 A JP 2003273944A JP 2003273944 A JP2003273944 A JP 2003273944A JP 2005035921 A JP2005035921 A JP 2005035921A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tissue plasminogen
plasminogen activator
acid
salt
lysine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003273944A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumihide Nishio
文秀 西尾
Fukue Suzuki
福江 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Pharma Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Pharma Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Pharma Corp filed Critical Asahi Kasei Pharma Corp
Priority to JP2003273944A priority Critical patent/JP2005035921A/ja
Publication of JP2005035921A publication Critical patent/JP2005035921A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

【課題】 より長い期間保存が可能な、さらに高品質の組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤を提供する。
【解決手段】 組織プラスミノ-ゲン活性化因子とともに、(1)リシンまたはその塩、および(2)酸性アミノ酸またはその塩における(1)(2)の両者を含有せしめるか、又は(3)リシングルタミン酸及び/又はリシンアスパラギン酸を含有せしめることを特徴とする組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤。
【選択図】 選択図なし

Description

本発明は、組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤に関する。
従来、血栓症の治療には尿または培養腎細胞から分離精製されたウロキナーゼ、β―溶血性連鎖球菌の培養液から単離されたストレプトキナーゼが血栓溶解剤として用いられている。しかし、これらはフィブリンに対する親和性の点で劣るので治療に際し必要な効果を得るには大量に投与する場合が多く、血流中に生じたプラスミンによる凝固因子の破壊による出血等の副作用が発現することが知られている。
近年、これに対しヒトまたは動物組織中、それらの組織由来の細胞培養液中に見出される組織プラスミノーゲン活性化因子(以下TPAと称する)は、フィブリンに親和性が高く、少量でかつ血栓溶解活性が高く、副作用の少ない血栓溶解剤として期待されている。また、最近では遺伝子工学的手段によってTPAが生産され、用いられている。これら組織プラスミノーゲン活性化因子を得る方法としては、天然型の場合特公平1-43549号、特公平3-57749号、特開平5-292963号、吉田、古本ら、「ヒト正常肺細胞の大量培養によるt-PAの生産」、BIO INDUSTRY、1999、Vol16 No.1、P.34-42、等が知られており、遺伝子組換え型の場合特開昭63-230083、特開昭63-230084、特開昭63-192320、特開平2-167076等が知られている。
また、組織プラスミノーゲン活性化因子は単独では高濃度の水溶液とすることが困難なタンパク質であり、溶解性を改善する方法としては、特公平5-69507号、特公平6-69960号、特公昭62-36332号等が知られている。
さらに、組織プラスミノーゲン活性化因子の安定性を改善する方法としては特公平4-82132号、特公平6-72105号、特開2001-81040号、特表平9-511495号等が知られている。
特公平 1-43549号公報 特公平 3-57749号公報 特開平 5-292963号公報 特開昭 63-230083号公報 特開昭 63-230084号公報 特開昭 63-192320号公報 特開平 2-167076号公報 特公平 5-69507号公報 特公平 6-69960号公報 特開昭62-36332号公報 特公平 4-82132号公報 特公平 6-72105号公報 特開2001-81040号公報 特表平 9-511495号公報 吉田、古本ら、「ヒト正常肺細胞の大量培養によるt-PAの生産」、BIO INDUSTRY、1999、Vol16 No.1、P.34-42
リジンを添加してTPAの溶解性を高めることができるが、本発明者が鋭意研究した結果、意外にも、この溶液を凍結乾燥して製剤化を行った場合、より長期間の保存を行うと活性が低下することがわかった。本発明は、より長い期間保存が可能な、さらに高品質の組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、組織プラスミノ-ゲン活性化因子を含有し、リシンまたはその塩、さらに酸性アミノ酸またはその塩を含む製剤は、長期間保存において活性を保持することを見いだし、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、組織プラスミノ-ゲン活性化因子とともに、(1)リシンまたはその塩、および(2)酸性アミノ酸またはその塩における(1)(2)の両者を含有せしめるか、又は(3)リシングルタミン酸及び/又はリシンアスパラギン酸を含有せしめることを特徴とする組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤である。
また本発明は、組織プラスミノ-ゲン活性化因子が、人の正常肺細胞の組織培養液由来であることを特徴とする組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤である。
また本発明は、酸性アミノ酸またはその塩が、グルタミン酸またはその塩であることを特徴とする組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤である。
また本発明は、組織プラスミノ-ゲン活性化因子を含有し、(1)リシンまたはその塩、および(3)リシングルタミン酸を含むことを特徴とする組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤である。
また本発明は、凍結乾燥製剤であることを特徴とする組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤である。
さらに本発明は、糖類を含有することを特徴とする組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤である。
また本発明は、組織プラスミノ-ゲン活性化因子とともに、(1)リシンまたはその塩、および(2)酸性アミノ酸またはその塩における(1)(2)の両者を含有せしめるか、又は(3)リシングルタミン酸及び/又はリシンアスパラギン酸を含有せしめることを特徴とする組織プラスミノーゲン活性化因子を安定化させる方法である。
本発明の組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤は、長期間の保存においてもその活性を保持することができ、さらに品質の高い製剤を供給できるものである。
以下、本願発明について具体的に説明する。
本願発明で使用されるTPAとしては、人または動物組織由来の天然型だけでなく遺伝子工学的手法により得られたTPAであってもよい。すなわち、本発明においてTPAとは、プラスミノーゲンを活性化しプラスミンに変換させ、そのプラスミンが血栓の主要構成成分であるフィブリンの溶解を引き起こす薬理作用を有する物質と理解することが出来る。
具体的には、例えば、人または動物由来の組織、またはこれら組織由来の組織培養液から抽出したTPAを利用することができる。そのような例をあげれば組織プラスミノーゲン活性化因子産生能を有する細胞、例えば人胎児の腎、腸、肺、心臓、輸尿管、皮膚、包皮および全胎児由来の正常二倍体細胞、人の胎盤由来の細胞あるいは人の腎、腸、肺、甲状腺、心臓、輸尿管、皮膚由来の正常二倍体細胞、人黒色腫細胞または類似の性質を有する腫瘍細胞等を用いた組織培養液から抽出することができる。特に好ましくは、人胎児の腎、肺および包皮由来の正常二倍体細胞を用いた組織培養液から抽出することが挙げられる。
例えば、吉田、古本ら、「ヒト正常肺細胞の大量培養によるt-PAの生産」、BIO INDUSTRY、1999、Vol16 No.1、P.34-42によれば、分子のN末端からフィンガー構造、エピダーマルグロースファクター構造、2個の第1および第2クリングル構造、セリンプロテアーゼ構造をもった、527個のアミノ酸残基からなるヒト天然型t-PAの構造が示されている。
また、遺伝子工学的手法によるTPAを利用することも出来、その取得方法としては、DNA組換法を利用して天然型TPAの1または多数のアミノ酸の欠失または置換を行い、アミノ酸配列を変えて改良型TPAを得ることできる。例えば、特開昭63-230083には、天然型TPAのアミノ酸位置番号183番のGlyおよび186番のSerをそれぞれSerおよびThrに置換して変異TPAを得る方法が記載されており、この方法により得ることができる。他に、特開昭63-230084、特開昭63-192320、特開平2-167076、に記載されている方法を挙げることができる。
上述のTPAにおいては、医薬として使用するに適する程度には精製されていることが好ましく、その精製方法としては、例えば蛋白質化学において通常使用される方法、例えば担体による吸着法、イオン交換法、分別沈殿法、ゲルろ過法、電気泳動法、各種アフィニティクロマトグラム、特に特異抗体を用いた方法等が好ましい例として例示され、これを単独または組み合わせて精製すればよい。
さらに具体的に例示すれば、フィブリンを結合させたセファロースを用いるフィブリンセファロースカラムクロマトグラフィー、カルボキシメチル基を結合させたセファロースを用いるCMセファロースカラムクロマトグラフィー、リジンを結合させたセファロースを用いるリジンセファロースカラムクロマトグラフィー、亜鉛キレートセファロースを用いる配位子交換クロマトグラフィー、コンカナバリンAを結合させたセファロースを用いるレクチンカラムクロマトグラフィー、本発明に用いるプラスミノーゲン活性化因子と特異的に結合する抗体と結合した抗体アフィニティクロマトグラフィー、DEAEセファロースカラムクロマトグラフィー、架橋したデキストラン粒子を用いるゲルろ過を挙げることができる。
本発明に用いるプラスミノーゲン活性化因子の具体的な分離精製方法の一例をあげれば、組織培養液あるいは組織からの抽出液、あるいは遺伝子組換え細胞培養液に、本願参考例1に代表される精製方法を行う例が挙げられ、場合によっては、さらにCMセファロースカラムや抗TPAモノクロナール抗体カラムを繰り返してもよく、またはDEAEセファロースカラムにて精製してもよい。
さらにセファクリルS−200を用いることも好ましい。また前記の原料に、硫酸アンモニウムを加えて生ずる沈殿を分取し、塩化ナトリウムを加えたロダンアンモニウム溶液に溶解させ、抗ウロキナーゼIg−Gセファロースカラムに通し、さらにリジンセファロースカラムに吸着させ、ε−アミノカプロン酸を溶出溶媒にて溶出後、さらに抗ウロキナーゼIg−Gセファロースカラムに通す方法も例示される。
本発明のリシン(リジンとも言う)は、L体またはD体のいずれか、またはそれらの混合物であるラセミ体のいずれであっても良いが、L体であることが好ましい。リシンの塩としては、水溶性の塩であることが好ましく、例えばその酸付加塩が好ましい例として挙げられる。酸付加塩の場合、付加しうる酸として通常、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、リン酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸などが例示されるが、好ましくは塩酸、酢酸、リン酸であり、さらに好ましくは塩酸が挙げられる。これらのリシンおよびその塩は、無水物の他、適宜の水和物が利用できる。具体的には、リシン水和物が好ましい例として挙げられる。
本発明の酸性アミノ酸としては、グルタミン酸、アスパラギン酸が挙げられ、これらはL体またはD体のいずれか、またはそれらの混合物であるラセミ体のいずれであっても良いが、L体であることが好ましい。グルタミン酸、アスパラギン酸の塩としては、水溶性の塩であることが好ましく、例えばその酸付加塩が好ましい例として挙げられる。酸付加塩の場合、付加しうる酸として通常、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、リン酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸などが例示されるが、好ましくは塩酸、酢酸、リン酸であり、さらに好ましくは塩酸が挙げられる。
また、他の塩としては、アンモニウム塩が好ましい例として挙げられる。また、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属との塩も好ましい例として挙げられる。アルカリ金属としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙げられ、好ましくはナトリウム、カリウムであり、さらに好ましくはナトリウムが挙げられる。また、アルカリ土類金属との塩も好ましい例として挙げられる。アルカリ土類金属としては例えばマグネシウム、カルシウム、ベリリウムなどが挙げられ、好ましくはマグネシウム、カルシウムであり、さらに好ましくはカルシウムである。これらの酸性アミノ酸およびその塩は、無水物の他、適宜の水和物が利用できる。具体的には、グルタミン酸ナトリウム一水和物、アスパラギン酸ナトリウム一水和物が好ましい例として挙げられる。
また、リシンまたはその塩、および、酸性アミノ酸またはその塩の組み合わせを実施する際においては、一括して、リシングルタミン酸塩無水物やリシングルタミン酸塩二水和物などを利用することも好ましい例として挙げられ、また、リシンアスパラギン酸やその水和物を利用することも好ましい例として挙げられる。
本発明のTPA含有製剤においては、上記添加剤の他に、糖類を添加することもできる。例えば、賦形剤または安定化剤、等張化剤などとして用いられるグルコース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、シュークロース、マルトース等が挙げられる。好ましくは、マンニトール、トレハロース、シュークロースが挙げられ、特に好ましくは、トレハロース、シュークロースが挙げられる。その他の成分として医薬品の添加剤として許容できる、賦形剤、界面活性剤、等張化剤、緩衝化剤、増粘剤、保存剤、防腐剤、無痛化剤、pH調整剤、吸着防止剤などを適宜添加しても良い。上記の添加剤の種別は必ずしも明確ではないが、界面活性剤としては、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロクサマーなどが好ましい例として挙げられる。また、吸着防止剤としてアルブミン、ゼラチンなどが好ましい。
本発明のTPA含有製剤の製造に際しては、適宜の方法が採用できるが、例えば、適当量のTPAと上述の添加物、またはその溶液を、同時または順次混合して全ての組成物の混合溶液を調製し、公知の方法により凍結乾燥することにより、調製することが可能である。
例えば、上記TPAおよび添加剤や、その他成分の添加剤の添加方法は、直接TPA含有溶液に添加する方法、または、あらかじめ添加剤や、その他成分の添加剤を、水、注射用水、あるいは適当な緩衝液に溶解後、TPA含有溶液に添加する方法などが挙げられる。添加時期はいつでも良いが、好ましくはTPAの精製過程が挙げられるし、または製剤化工程中が例示される。TPAの精製過程において、リシンを添加して精製し、精製の最後か製剤化工程において酸性アミノ酸を添加することも好ましいし、精製過程において、リシンと酸性アミノ酸を、場合によってはリシングルタミン酸、又はリシンアスパラギン酸として添加することも好ましい。
本発明のTPA含有製剤は、TPAの量として国際単位(今後IUとも記す)で表すと、製剤あたり、50万IU以上含むことが通常であり、100万IU以上含むことが好ましく、130万IU以上がさらに好ましく、160万IU以上が特に好ましく、200万IU以上、300万IU以上、360万IU以上も好ましい例として挙げられる。
TPA160万IUを含有する製剤を調製するに際して、この製剤中に存在するリシン又はその塩の添加量を、フリー体のリシンの量で表すと、その下限としては、例えば1mg以上が好ましく、より好ましくは5mg以上、さらに好ましくは10mg以上、場合によっては20mg以上、または30mg以上である例が挙げられる。上限としては通常1000mg以下であり、好ましくは500mg以下、さらに好ましくは100mg以下、場合によっては50mg以下が挙げられる。さらに、異なるTPA含有量の製剤を調製するに際しては、上記の添加量の例示を参考に、等比などの計算にて求めることも好ましい。
また、例えばTPA160万IUを含有する製剤を調製するに際して、この製剤中に存在する酸性アミノ酸またはその塩の添加量を、フリー体のアミノ酸の量で表すと、その下限としては、例えば1mg以上が好ましく、より好ましくは5mg以上、さらに好ましくは10mg以上、場合によっては20mg以上、または30mg以上である例が挙げられる。上限としては通常1000mg以下であり、好ましくは500mg以下、さらに好ましくは100mg以下、場合によっては50mg以下が挙げられる。さらに、異なるTPA含有量の製剤を調製するに際しては、上記の添加量の例示を参考に、等比などの計算にて求めることも好ましい。
さらに、リシンまたはその塩と酸性アミノ酸またはその塩の添加量比は、特に制限されるものではないが、フリー体のリシン1重量部に対してフリー体の酸性アミノ酸の下限は0.01重量部以上が挙げられ、好ましくは0.1重量部以上、さらに好ましくは1重量部以上又は2重量部以上、特に好ましくは5重量部以上が例示される。上限としては100重量部以下、好ましくは50重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下が例示される。
また、本発明のTPA含有製剤は、TPAと共にリシングルタミン酸を添加することも好ましい。その添加量は、例えばTPA160万IUを含有する製剤を調製するに際して下限としては、1mg以上が挙げられ、好ましくは5mg以上、さらに好ましくは10mg以上、特に好ましくは20mg以上または30mg以上が挙げられる。上限としては、1000mg以下が挙げられ、好ましくは500mg以下、さらに好ましくは100mg以下、特に好ましくは50mg以下が例示される。さらに、異なるTPA含有量の製剤を調製するに際しては、上記の添加量の例示を参考に、等比などの計算にて求めることも好ましい。
また、本発明のTPA含有製剤は、TPAと共に糖類を添加する場合、その添加量は例えばTPA160万IUを含有する製剤を調製するに際して下限としては、1mg以上が挙げられ、好ましくは5mg以上、さらに好ましくは10mg以上、特に好ましくは20mg以上または30mg以上が挙げられる。上限としては、1000mg以下が挙げられ、好ましくは500mg以下、さらに好ましくは100mg以下、特に好ましくは50mg以下が例示される。
本発明のTPA含有製剤を製剤化するに当たり、その工程中でTPA含有溶液のpHは、特に好ましくは中性付近が例示される。さらに、そのpHの下限としては、通常pH 4以上、好ましくはpH 5以上、より好ましくはpH 6以上が例示される。また、pHの上限としては通常pH 9以下が例示され、好ましくはpH 8以下、さらに好ましくはpH 7以下が例示される。前述のpHとなすためには、必要により、適宜のpH調整剤などを添加して調整すれば良い。pH調整剤としては、例えば塩酸、酢酸、クエン酸、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが例示され、好ましくは塩酸、水酸化ナトリウムなどである。調整時期は特に限定されないが、無菌ろ過工程の直前が好ましい。またTPAの精製過程でも良い。
上記のように製剤化工程で調製したTPAおよび添加剤を含み、さらに所望により適宜のその他の添加剤を含有してなる溶液を、例えば0.22μm のフィルターを通して無菌ろ過することが好ましい。かくして得られたTPA含有してなる溶液を容器に充填し、そのまま密封して製剤としてもよいが、凍結乾燥することがより好ましい。凍結乾燥方法は特に制限はなく、通常の方法で凍結乾燥することができる。
容器としては、医薬品の容器として使用可能なもので無菌充填することに適した材料、形状であれば特に限定されず、例えばガラス製バイアル(および栓)、ガラス製シリンジ(さらにゴム製キャップおよびストッパー)、ガラス製アンプルなどが挙げられ、その他にプラスチック製容器を用いることもできる。プラスチックの材質として、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンなどが挙げられ、好ましくは環状ポリオレフィンが挙げられる。本発明において、ガラス製バイアルに封入せしめた凍結乾燥製剤として提供することが好ましい。
また、例えば凍結乾燥製剤に、溶解用水溶液が組み合わされた、又は添付されているキット製剤が好ましく、凍結乾燥製剤や、溶解用水溶液は、それぞれ別の容器に充填されており、例えば、凍結乾燥製剤が無菌充填されたガラス製バイアル又はアンプルと、溶解用水溶液が無菌充填されたプレフィルドシリンジの組み合わせからなるキット製剤が好ましい例として挙げられる。また、ガラス製またはプラスチック製のダブルチャンバーあるいはデュアルチャンバーと言われる2室式シリンジ(1本のシリンジに2室があり、例えば1室に凍結乾燥物を、もう1室に溶解用水溶液が封入されている)もキット製剤として好ましい。また、2室式シリンジの異なるタイプとして、製造や流通時は2室が分離しており、使用時に2室を結合することにより1体となし溶解するタイプも好ましい。
使用に際して凍結乾燥製剤を溶解する場合には、注射用蒸留水、生理食塩液、5%ブドウ糖注射液、糖質輸液、電解質輸液、アミノ酸輸液などに溶解すればよい。特に生理食塩液、5%ブドウ糖注射液が好ましい例として挙げられる。溶解量としては特に限定されないが、TPA160万IUあたり通常、1mL 以上、好ましくは5mL 以上、さらに好ましくは10mL 以上、または20mL 以上が例示される。また上限としては、通常50mL 以下、好ましくは30mL 以下、さらに好ましくは20mL 以下、または15mL 以下が例示される。さらに、通常は約20mL であることが特に好ましい。また、TPA360万IUあたり通常は約25mL であることも特に好ましい例として挙げられる。
また、使用に際しては凍結乾燥製剤を溶解した後に輸液に希釈してもよいが、希釈をせずに使用することが好ましい。輸液としては生理食塩液、5%ブドウ糖注射液、糖質輸液、電解質輸液、アミノ酸輸液などが挙げられる。輸液量は特に限定されないが、TPA160万IUあたり10mLから500mLが挙げられる。
TPAの投与経路は、動脈注射、静脈注射、点滴注射などが挙げられる。急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解の場合は、カテーテル等を用いて冠動脈内に直接注入することが好ましく、この時の注入時間は、160万IUあたり20mLの生理食塩液または5%ブドウ糖注射液で溶解した場合希釈を行わずに、約10分間で注入することが好ましい。
次に、参考例および実施例、比較例、実験例によって本発明を説明する。
本発明を実施例に基づいて説明する。
[参考例1]
実施例1から8および比較例1から5に用いる組織プラスミノーゲン活性化因子は、以下の方法で取得した。ヒト胎児肺細胞を12L容スピナーフラスコに10cells/mLの密度で3mg/mL濃度のサイトデックスI(細胞培養用ビーズ担体、アマシャムバイオサイエンス社登録商標)と共に植え込み、37℃、5%炭酸ガスを含む空気中で、成育培地として10%仔ウシ血清を含むメジウムMEMを8L添加し、40rpmの回転数で撹拌しながら懸濁培養する。8日間培養し、細胞を充分増殖させた後、細胞が接着したビーズ担体を生理食塩水で洗浄し、血清を含まない0.75%動物ペプトンを含むメジウム199 8Lにおきかえ、培養する。3日目毎に、この培地を交換しながら本発明で用いるプラスミノーゲン活性化因子を含む培養液を回収する。
このようにして得られた培養液を0.2M NaClを含む20mMアセテート緩衝液(pH4.0)で平衡化したCMセファロースカラムに吸着させる。洗浄後、塩濃度を上げることで溶出し、本発明に用いるプラスミノーゲン活性化因子を含む溶液を集める。この溶液をpH調整し、0.5M NaClを含む20mMトリス塩酸塩緩衝液(pH7.4)で平衡化した、抗TPAモノクローナル抗体アフィニティーカラムに吸着させる。洗浄後、pHを低下させることにより、プラスミノーゲン活性化因子を溶出させる。そして、組織プラスミノーゲン活性化因子含有する溶液を得た。
[実施例1]
参考例1で得た溶液を、0.5M NaClおよび10mMリシン塩酸塩を含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で平衡化したセファクリルS−200のカラムにてゲルろ過をおこない、組織プラスミノーゲン活性化因子含有する溶液(約470000IU/mL)を得た。100mLメスシリンダーに、この溶液を35.7mL量りとり、グルタミン酸Na(味の素株式会社製)を315mg量りとり、注射用水20mLを加え溶解し、注射用水を加えて63mLとし、撹拌子を入れ、あわ立たないように撹拌した。この液をミリポア製Sterivex-GV(0.22μm)を用いて100mLビーカーにろ過した。バイアルビンに6mLずつ充填し、ゴム栓を半打栓した。凍結乾燥機トリオマスターA04を用いて凍結乾燥後、バイアル内を-50kPaまで窒素ガスを充填し、密栓し、約1600000IUの組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤を得た。
[実施例2]
実施例1のグルタミン酸Naの代わりにアスパラギン酸Na(味の素株式会社製)315mgを用いる以外は同様の方法で、組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤を得た。
[実施例3]
実施例1のグルタミン酸Naの代わりにリシングルタミン酸(味の素株式会社製)315mgを用いる以外は同様の方法で、組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤を得た。
[実施例4]
実施例1で、グルタミン酸Naの代わりにリシングルタミン酸315mgおよびD−マンニトール(東和化成工業株式会社製)315mg量りとる以外は同様の方法で、組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤を得た。
[実施例5]
実施例1で、グルタミン酸Naの代わりにリシングルタミン酸315mgおよびトレハロース(株式会社林原製)315mg量りとる以外は同様の方法で、組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤を得た。
[実施例6]
実施例1で、グルタミン酸Naの代わりにリシングルタミン酸を315mgおよびポリソルベート80(和光純薬株式会社製)を10.5mg量りとる以外は同様の方法で、組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤を得た。
[実施例7]
参考例1で得た溶液を、0.5M NaClおよび30mMリシングルタミン酸を含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で平衡化したセファクリルS−200のカラムにてゲルろ過をおこない、組織プラスミノーゲン活性化因子含有する溶液(約470000IU/mL)を得た。100mLメスシリンダーに、この溶液を35.7mL量りとり、注射用水を加えて63mLとし、撹拌子を入れ、あわ立たないように撹拌した。この液をミリポア製Sterivex-GV(0.22μm)を用いて100mLビーカーにろ過した。バイアルビンに6mLずつ充填し、ゴム栓を半打栓した。凍結乾燥機トリオマスターA04を用いて凍結乾燥後、バイアル内を-50kPaまで窒素ガスを充填し、密栓し、約1600000IUの組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤を得た。
[実施例8]
参考例1で得た溶液を、0.5M NaClおよび10mMリシン塩酸塩を含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で平衡化したセファクリルS−200のカラムにてゲルろ過をおこない、組織プラスミノーゲン活性化因子含有する溶液(約470000IU/mL)を得た。200mLメスシリンダーに、この溶液を76.6mL量りとり、リシングルタミン酸を225mg量りとり、注射用水30mLを加え溶解し、注射用水を加えて135mLとし、撹拌子を入れ、あわ立たないように撹拌した。この液をミリポア製Sterivex-GV(0.22μm)を用いて200mLビーカーにろ過した。バイアルビンに13.5mLずつ充填し、ゴム栓を半打栓した。凍結乾燥機トリオマスターA04を用いて凍結乾燥後、バイアル内を-50kPaまで窒素ガスを充填し、密栓し、約3600000IUの組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤を得た。
[実施例9]
遺伝子組換え型のTPAとして、三菱ウェルファーマ株式会社製「グルトパ注600万」を用いた。添付の注射用水で溶解し、この液を0.5M NaClおよび10mMリシン塩酸塩を含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で平衡化したセファクリルS−200のカラムにてゲルろ過をおこない、遺伝子組換え型組織プラスミノーゲン活性化因子含有する溶液を得た。100mLメスシリンダーに、この溶液を35.7mL量りとり、グルタミン酸Naを315mg量りとり、注射用水20mLを加え溶解し、注射用水を加えて63mLとし、撹拌子を入れ、あわ立たないように撹拌した。この液をミリポア製Sterivex-GV(0.22μm)を用いて100mLビーカーにろ過した。バイアルビンに6mLずつ充填し、ゴム栓を半打栓した。凍結乾燥機トリオマスターA04を用いて凍結乾燥後、バイアル内を-50kPaまで窒素ガスを充填し、密栓し、遺伝子組換え型組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤を得た。
[比較例1]
実施例1でグルタミン酸Naを用いない以外は同様の方法で、組織プラスミノーゲン活性化因子含有組成物を得た。
[比較例2]
実施例1のグルタミン酸Naの代わりにグリシン(和光純薬株式会社製)315mgを用いる以外は同様の方法で、組織プラスミノーゲン活性化因子含有組成物を得た。
[比較例3]
実施例1のグルタミン酸Naの代わりにアラニン(和光純薬株式会社製)315mgを用いる以外は同様の方法で、組織プラスミノーゲン活性化因子含有組成物を得た。
[比較例4]
実施例1のグルタミン酸Naの代わりに塩酸リシン315mgを用いる以外は同様の方法で、組織プラスミノーゲン活性化因子含有組成物を得た。
[比較例5]
実施例1のグルタミン酸Naの代わりに塩酸アルギニン(和光純薬株式会社製)315mgを用いる以外は同様の方法で、組織プラスミノーゲン活性化因子含有組成物を得た。
[実験例1]
実施例1から7で得たTPA160万IUを含有する製剤および実施例8で得たTPA360万IUを含有する製剤および比較例1から5で得た組成物を、60℃で4週間保存した。開始時からの力価残存率(%)を求め、保存安定性を調べた。なお、力価測定はAlteplaseのAssay for biological potencyに記載の方法「USP26, P.71-72」に準じて行った。その結果を表1に示す。なお、実施例8の添加剤の量は、TPA160万IUに対する換算量として記載した。
Figure 2005035921
[実験例2]
実験例1と同様に、40℃で3ヶ月保存後の開始時からの力価残存率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 2005035921
実験例1,2の結果から、組織プラスミノ-ゲン活性化因子とともに、(1)リシンまたはその塩、および(2)酸性アミノ酸またはその塩における(1)(2)の両者を含有せしめるか、又は(3)リシングルタミン酸及び/又はリシンアスパラギン酸を含有せしめることを特徴とする組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤は、60℃や40℃の苛酷な保存下において活性を保持することがわかった。また、実施例9で得た製剤も実験例1,2に従い力価残存率を求め上記と同様の結果が得られた。したがって、本発明のプラスミノーゲン活性化因子含有製剤は、25℃付近の室温保存条件下では、2年〜3年以上の期間活性が保持されることが推定される。また、比較例で得たTPA組成物の結果から、中性アミノ酸や塩基性アミノ酸を添加しても保存安定化の効果は無いか、極めて少ないことが明らかである。
本発明の組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤は、血栓溶解剤として有用であり、
長期間保存可能な製剤を提供し得るものである。

Claims (7)

  1. 組織プラスミノ-ゲン活性化因子とともに、(1)リシンまたはその塩、および(2)酸性アミノ酸またはその塩における(1)(2)の両者を含有せしめるか、又は(3)リシングルタミン酸及び/又はリシンアスパラギン酸を含有せしめることを特徴とする組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤。
  2. 組織プラスミノ-ゲン活性化因子が、人の正常肺細胞の組織培養液由来であることを特徴とする請求項1記載の組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤。
  3. 酸性アミノ酸またはその塩が、グルタミン酸またはその塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載の組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤。
  4. 組織プラスミノ-ゲン活性化因子を含有し、(1)リシンまたはその塩、および(3)リシングルタミン酸を含むことを特徴とする組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤。
  5. 凍結乾燥製剤であることを特徴とする請求項1−4のいずれかに記載の組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤。
  6. さらに糖類を含有することを特徴とする請求項1−5のいずれかに記載の組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤。
  7. 組織プラスミノ-ゲン活性化因子とともに、(1)リシンまたはその塩、および(2)酸性アミノ酸またはその塩における(1)(2)の両者を含有せしめるか、又は(3)リシングルタミン酸及び/又はリシンアスパラギン酸を含有せしめることを特徴とする組織プラスミノーゲン活性化因子を安定化させる方法。
JP2003273944A 2003-07-14 2003-07-14 組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤 Withdrawn JP2005035921A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003273944A JP2005035921A (ja) 2003-07-14 2003-07-14 組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003273944A JP2005035921A (ja) 2003-07-14 2003-07-14 組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005035921A true JP2005035921A (ja) 2005-02-10

Family

ID=34211036

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003273944A Withdrawn JP2005035921A (ja) 2003-07-14 2003-07-14 組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005035921A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0156169B1 (en) An aqueous solution of a tissue plasminogen activator dissolved therein at an increased concentration and a method
ES2313912T3 (es) Procedimiento para la produccion de una composicion de plasmina acidificada inactiva de manera reversible.
CA1340270C (en) Thrombolytic composition and a process for production thereof
KR100450856B1 (ko) 활성 단백질 c 제제
US5112609A (en) Acidic formulations of t-PA
US6204036B1 (en) Stable transglutaminase preparations and processes for their production
US4968617A (en) Solid hydrochloride salt of t-PA
JPS6236332A (ja) 医薬投与単位
US4980165A (en) Pharmaceutical formulations of plasminogen activator proteins
US4898826A (en) Method to solubilize tissue plasminogen activator
KR890000103A (ko) 조직 플라스미노겐 활성화제(t-PA) 활성을 갖는 단백질의 고농도 용액의 제조방법, t-PA 활성을 갖는 단백질을 함유하는 용액, 및 인체 및 수의약제에 있어서 용액의 용도
RU96119391A (ru) Фармацевтический препарат, содержащий плазминогенактиваторы
JPH06321805A (ja) トロンボモジュリン組成物およびその変性防止方法
HU216793B (hu) Eljárás nem glikozilezett K2P pro t-PA-származékot tartalmazó gyógyszerkészítmény előállítására
CN104717973A (zh) 因子vii多肽的液体药物组合物
JP2708749B2 (ja) 修飾型tPA含有注射用組成物
EA026017B1 (ru) Фармацевтические композиции тенектеплазы
JPH02268681A (ja) ウロキナーゼ前駆体の安定化方法及び乾燥製剤
JP2005035921A (ja) 組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤
JP2907447B2 (ja) 抗血栓剤
JPH0369332B2 (ja)
JPH0480010B2 (ja)
RU2257224C1 (ru) Способ получения концентрата плазмина человека и продукт для использования в медицине
JPH11171790A (ja) トロンボモジュリン用変性防止剤
AU738891B2 (en) Stable transglutaminase preparations and process for producing them

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20061003