JP2004266039A - 発光素子及び発光素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、金属層を介して発光層部と素子基板とを貼り合わせた構造を有する発光素子において、良好な導電性を有する発光素子と、その製造方法とを提供することにある。
【解決手段】本発明の発光素子100では、
発光層部24を有した化合物半導体層の第一主表面を光取出面とし、該化合物半導体層の第二主表面側に、前記発光層部24からの光を前記光取出面側に反射させる反射面を有した主金属層10を介して素子基板7が結合された発光素子であって、
前記素子基板7は、導電型がp型のSi基板にて構成されるとともに、
前記素子基板7の前記主金属層10側の主表面直上には、Alを主成分とするコンタクト層31が形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の発光素子100では、
発光層部24を有した化合物半導体層の第一主表面を光取出面とし、該化合物半導体層の第二主表面側に、前記発光層部24からの光を前記光取出面側に反射させる反射面を有した主金属層10を介して素子基板7が結合された発光素子であって、
前記素子基板7は、導電型がp型のSi基板にて構成されるとともに、
前記素子基板7の前記主金属層10側の主表面直上には、Alを主成分とするコンタクト層31が形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は発光素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平7−66455号公報
【特許文献2】
特開2001−339100号公報
【0003】
発光ダイオードや半導体レーザー等の発光素子に使用される材料及び素子構造は、長年にわたる進歩の結果、素子内部における光電変換効率が理論上の限界に次第に近づきつつある。従って、一層高輝度の素子を得ようとした場合、素子からの光取出し効率が極めて重要となる。例えば、AlGaInP混晶により発光層部が形成された発光素子は、薄いAlGaInP(あるいはGaInP)活性層を、それよりもバンドギャップの大きいn型AlGaInPクラッド層とp型AlGaInPクラッド層とによりサンドイッチ状に挟んだダブルへテロ構造を採用することにより、高輝度の素子を実現できる。このようなAlGaInPダブルへテロ構造は、AlGaInP混晶がGaAsと格子整合することを利用して、GaAs単結晶基板上にAlGaInP混晶からなる各層をエピタキシャル成長させることにより形成できる。そして、これを発光素子として利用する際には、通常、GaAs単結晶基板をそのまま素子基板として利用することも多い。しかしながら、発光層部を構成するAlGaInP混晶はGaAsよりもバンドギャップが大きいため、発光した光がGaAs基板に吸収されて十分な光取出し効率が得られにくい難点がある。この問題を解決するために、半導体多層膜からなる反射層を基板と発光層部との間に挿入する方法(例えば特許文献1)も提案されているが、積層された半導体層の屈折率の違いを利用するため、限られた角度で入射した光しか反射されず、光取出し効率の大幅な向上は原理的に期待できない。
【0004】
そこで、特許文献2をはじめとする種々の公報には、成長用のGaAs基板を剥離する一方、半導体にて構成される補強のための素子基板を、反射用のAu層を介して剥離面に貼り合わせる技術が開示されている。このAu層は反射率が高く、また、反射率の入射角依存性が小さい利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
発光素子では発光強度を得るため、発光層部にできるだけ大電流を流すことが望ましい。そのため、素子基板にはそれに耐え得る導電性が求められる。しかしながら、素子基板が半導体にて構成される場合、発光層部に大電流を流すのに十分な導電性を必ずしも有さない。
【0006】
本発明の課題は、金属層を介して発光層部と半導体の素子基板とを貼り合わせた構造を有する発光素子において、良好な導電性を有する発光素子と、その製造方法とを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・発明の効果】
上記課題を解決するため、本発明の発光素子では、
発光層部を有した化合物半導体層の第一主表面を光取出面とし、該化合物半導体層の第二主表面側に、前記発光層部からの光を前記光取出面側に反射させる反射面を有した主金属層を介して素子基板が結合された発光素子であって、
前記素子基板は、導電型がp型のSi基板にて構成されるとともに、
前記素子基板の前記主金属層側の主表面直上には、Alを主成分とするコンタクト層が形成されていることを特徴とする。
なお、本明細書において「主成分」及び「主体」とは、最も質量含有率の高い成分のことを意味する。また、本明細書において「主金属層」とは、化合物半導体層とコンタクト層との間に位置する金属層であって、反射面を形成するととともに、化合物半導体層とコンタクト層とを結合する役割を担う金属層のことをいう。従って、後述の拡散阻止層及び発光層部側接合金属層は主金属層には属さないものとする。
【0008】
上記本発明の発光素子の構成によると、素子基板は、導電型がp型のシリコン(以下、p型Si又はp−Siともいう)基板にて構成されており、その主金属層側の主表面直上にはAl(アルミニウム)を主成分とするコンタクト層が形成されている。Alとp型Siとは良好なオーミック接合をなすため、特にp型Siの抵抗率が1/1000Ω・cm以上10Ω・cm以下の範囲において、発光素子の直列抵抗ひいては順方向電圧の過度の上昇を効果的に抑制することができる。この場合、Alとp型Siとの合金化熱処理は、例えば300℃以上650℃以下にて行うことにより、接触抵抗の低減効果が高められる。
【0009】
また上記発光素子では、前記発光層部は、前記光取出面側にp型化合物半導体層、前記主金属層側にn型化合物半導体層が位置するとともに、前記n型化合物半導体層が前記主金属層を介して前記p型のSi基板に結合されるよう構成することができる。成長用基板に発光層を成長させたものを主体とする従来の発光素子では、発光層のうち、基板側に位置する層は基板が有する導電型と同一の導電型(例えば基板がp型であればp型)で、またそれとは反対側(光取出面側)に位置する層は基板が有する導電型とは異なる導電型(例えば基板がp型であればn型)で構成しなければならないといったように発光層の導電型の位置関係に制約があった。しかし、本発明の発光素子では化合物半導体層と素子基板とが主金属層を介して結合された構成であり、p型Si基板とn型化合物半導体層といった異なる導電型の組合せであっても、その間に主金属層を介すことにより通電を支障なく行うことが可能であるので、本発明の発光素子の構成にあっては上記のように発光層の導電型の位置関係が制約を受けることはない。したがって、素子基板がp型Si基板にて構成されていても、発光層部においてp型Si基板側(主金属層側)にn型化合物半導体層を、そして光取出面側にp型化合物半導体層を配することができる。
【0010】
また、上記発光層部は、p型化合物半導体層であるp型クラッド層と、n型化合物半導体層であるn型クラッド層と、p型クラッド層とn型クラッド層との間に形成される活性層と、からなるダブルへテロ構造にて構成することができる。このような構造を採用することにより、両クラッド層から注入されたホールと電子とが活性層の狭い空間内に閉じ込めらる形で効率よく再結合するので、高輝度の素子を実現できる。なお、反射による光取出し効率を高めるために、n型クラッド層と主金属層とは直接接して形成されているのがよい。ただし、動作電圧を下げるために、n型クラッド層と主金属層との間に高濃度ドープの薄膜を挿入することも可能である。
【0011】
次に、本発明の発光素子では、コンタクト層と主金属層との間に、導電性材料にて構成され、且つ、コンタクト層のAl成分の主金属層への拡散を阻止する拡散阻止層が介挿された構成とすることができる。本発明の発光素子では、その製造工程において、主金属層を介して素子基板と化合物半導体層とを貼り合わせる際、又はコンタクト層上に主金属層もしくはその一部を形成する際などに、コンタクト層の主成分であるAl成分が主金属層へ拡散し、反応(例えば、共晶や金属間化合物の生成等の冶金的な反応)することで主金属層を変質させてしまう場合がある。そこで、上記の構成とすることで、コンタクト層から主金属層へ向かおうとするAl成分の拡散が拡散阻止層によりブロックされ、ひいてはAl成分との反応による主金属層の変質を効果的に抑制することができる。その結果、主金属層が形成する反射面の反射率低下や、主金属層と化合物半導体層との密着強度低下などといった不具合が効果的に抑制され、また、これら不具合による発光素子の製品歩留まりの低下も生じにくい。
【0012】
主金属層の少なくとも拡散阻止層との界面を含む部分がAuを主成分とするAu系層で構成されている場合、拡散阻止層は、具体的には、Ti及びNiのいずれかを主成分とする拡散阻止用金属層とすることができる。TiないしNiを主成分とする金属は、Au系層へのAl成分の拡散抑制効果に特に優れているので、本発明に好適に採用できる。また、該拡散阻止用金属層の厚さは、1nm以上10μm以下とすることが望ましい。厚さが1nm未満では拡散防止効果が十分でなく、10μmを超えると効果が飽和し、製造コストの無駄につながる。なお、拡散阻止用金属層は具体的には工業用の純Tiないし純Niを採用することもできるが、Au系層へのAl成分の拡散防止効果が損なわれない範囲にて、副成分を含有させることが可能である。例えば、適量のPd添加は、TiないしNiを主成分とする金属の耐食性を向上させる効果がある。また、TiとNiとの合金を用いることもできる。
【0013】
次に、本発明の発光素子においては、上記Au系層により反射面を形成することができる。Au系層は化学的に安定であり、酸化等による反射率劣化を生じにくいので、反射面の形成材質として好適である。また、上記のごとく、コンタクト層とAu系層との間の冶金的な反応が生じる惧れがある場合でも、コンタクト層とAu系層との間に拡散阻止層を介挿させることで、良好な反射率の反射面をAu系層により問題なく形成できる。
【0014】
また、Au系層により反射面を形成する場合、Au系層と化合物半導体層との間に、Auを主成分とする発光層部側接合金属層を、Au系層の主表面上に分散する形で配置することができる。Au系層は、発光層部への通電経路の一部をなす。しかし、Au系層を化合物半導体よりなる発光層部に直接接合すると、接触抵抗が高くなり、直列抵抗が増加して発光効率が低下する場合がある。Au系層を、Au系接合金属層を介して発光層部に接合することにより、接触抵抗の低減を図ることができる。ただし、Au系接合金属層は、コンタクト確保のために必要な合金成分を比較的多量に配合する必要があり、反射率が若干劣る。そこで、発光層部側接合金属層をAu系層の主表面上に分散形成しておけば、発光層部側接合金属層の非形成領域ではAu系層による高い反射率を確保できる。
【0015】
発光層部側接合金属層としては、これと接する化合物半導体層をn型のIII−V族化合物半導体(例えば、前述の(AlxGa1−x)yIn1−yP(ただし、0≦x≦1,0≦y≦1))にて構成する場合、AuGeNi接合金属層を採用することにより接触抵抗の低減効果が特に高くなる。この場合、該化合物半導体層の貼り合わせ側主表面にAuGeNi接合金属層を形成し、該AuGeNi接合金属層を覆うようにAu系層を形成することができる。この場合、AuGeNi接合金属層と化合物半導体層との合金化熱処理は、例えば350℃以上500℃以下にて行うことにより、接触抵抗の低減効果が高められる。
【0016】
なお、光取出効果を十分に高めるために、Au系層に対する発光層部側接合金属層の形成面積率(Au系層の全面積にて発光層部側接合金属層の形成面積を除した値である)は1%以上25%以下とすることが望ましい。発光層部側接合金属層の形成面積率が1%未満では接触抵抗の低減効果が十分でなくなり、25%を超えると反射強度が低下することにつながる。また、Au系層は、発光層部側接合金属層よりもAu含有率を高く設定しておくことで、発光層部側接合金属層の非形成領域において、Au系層の反射率を一層高めることができる。
【0017】
一方、上記Au系層を有する発光素子においては、Au系層と化合物半導体層との間に介挿されたAgを主成分とするAg系層により反射面を形成してもよい。Ag系層はAu系層と比べて、安価であり、しかも可視光の略全波長域(350nm以上700nm)に渡って良好な反射率を示すので、反射率の波長依存性が小さい。その結果、素子の発光波長によらず高い光取出効率を実現できる。またAlのような金属と比較すれば、酸化皮膜等の形成による反射率低下も生じにくい。
【0018】
図6は、鏡面研磨した種々の金属表面における反射率を示すものであり、プロット点「■」はAgの反射率、プロット点「△」はAuの反射率、プロット点「◆」はAlの反射率である。また、プロット点「×」はAgPdCu合金のものである。Agの反射率は、350nm以上700nm以下(また、それより長波長側の赤外域)、特に、380nm以上700nm以下にて、可視光の反射率が特に良好である。
【0019】
他方、Auは有色金属であり、図6に示す反射率からも明らかなように、波長670nm以下の可視光域に強い吸収があり(特に650nm以下:600nm以下ではさらに吸収が大きい)、発光層部のピーク発光波長が670nm以下に存在する場合に反射率低下が著しくなる。その結果、発光強度が低下しやすいほか、取出される光のスペクトルが、吸収により本来の発光スペクトルとは異なるものとなり、発光色調の変化も招きやすくなる。しかしながら、Agは、波長670nm以下の可視光域においても反射率は極めて良好である。すなわち、発光層部のピーク発光波長が670nm以下(特に650nm以下、さらには600nm以下)である場合、Ag系層の反射面はAu系金属よりもはるかに高い光取出し効率を実現できる。
【0020】
図6に示すように、Alの場合、大きな反射率の低下は生じないが、酸化皮膜形成による反射率低下があるため、可視光域での反射率は多少低い値(例えば85〜92%)に留まっている。しかし、Ag系金属は酸化皮膜が形成されにくいため、Alよりも高い反射率を可視光域に確保できる。具体的には、波長400nm以上(特に450nm以上)においてAlよりも良好な反射率を示していることがわかる。
【0021】
なお、図6のAlの反射率は、機械研磨と化学研磨とにより、表面酸化皮膜の形成を抑制した状態で鏡面化したAl表面について測定したものであり、実際には酸化皮膜が厚く形成されることにより、図6に示すデータよりもさらに反射率が低下する可能性がある。Agの場合、図6においては、350nm以上400nm以下の短波長域ではAlより反射率が劣っているが、酸化皮膜がAlよりはるかに形成されにくい。従って、実際に発光素子上に反射金属層として形成した場合は、Ag系層の採用により、この波長域においてもAlを上回る反射率を達成することが可能である。また、この波長域でも、Agの反射率はAuと比較すれば高い。
【0022】
以上を総合すれば、Ag系層は、350nm以上670nm以下(望ましくは400nm以上670nm以下、さらに望ましくは450nm以上600nm以下)の波長域にピーク発光波長を有する発光層部の場合、光取出効率の改善効果がAlやAuに勝って特に顕著になるといえる。上記のようなピーク発光波長を有する発光層部は、例えば(AlxGa1−x)yIn1−yP(ただし、0≦x≦1,0≦y≦1)又はInxGayAl1−x−yN(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)により、第一導電型クラッド層、活性層及び第二導電型クラッド層がこの順序にて積層されたダブルへテロ構造を有するものとして構成することができる。
【0023】
Ag系層を反射面形成に用いる場合は、Ag系層と化合物半導体層との間に、発光層部側接合金属層として、Agを主成分とするAg系接合金属層をAg系層の主表面上に分散する形で配置することができる。Ag系接合金属層は、これと接する化合物半導体層をn型のIII−V族化合物半導体(例えば、前述の(AlxGa1−x)yIn1−yP(ただし、0≦x≦1,0≦y≦1))にて構成する場合、AgGeNi接合金属層を採用することにより接触抵抗の低減効果が特に高くなる。Ag系層に対する発光層部側Ag系接合金属層の形成面積率は、前述のAu系接合金属層と同様、1%以上25%以下とすることが望ましい。
【0024】
次に、本発明の発光素子では、上記Au系層は、結合層を有するものとすることができる。このような発光素子は、
前記化合物半導体層の光取出面になるのと反対側の主表面を貼り合わせ側主表面として、該貼り合わせ側主表面上に、Auを主成分とした、前記Au系層となるべき第一Au系層を配置し、
前記素子基板の、前記発光層部側に位置することが予定された主表面を貼り合わせ側主表面として、該貼り合わせ側主表面上に、Auを主成分とした、前記Au系層となるべき第二Au系層を配置し、
それら第一Au系層と第二Au系層とを密着させて貼り合わせる方法で製造することができる。
【0025】
また、素子基板と化合物半導体層とを貼り合わせる際には、素子基板と化合物半導体層とを、Au系層を介して重ね合わせ、その状態で貼り合わせ熱処理することにより行うことができる。
【0026】
これら本発明の製造方法によると、化合物半導体層側と素子基板側に第一及び第二の各Au系層を振り分けて形成し、これらを相互に密着させて貼り合わせる。Au系層同士は比較的低温でも容易に一体化するので、貼り合わせの熱処理温度が低くとも十分な貼り合わせ強度が得られる。
【0027】
なお、本発明において金属層の具体的な形成方法としては、真空蒸着やスパッタリングなどの気相成膜法のほか、無電解メッキあるいは電解メッキなどの電気化学的な成膜法を採用することもできる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である発光素子100を示す概念図である。発光素子100は、素子基板をなす導電性基板であるp型Si(シリコン)単結晶よりなるp−Si基板7の第一主表面上に主金属層10を介して発光層部24が貼り合わされた構造を有してなる。
【0029】
発光層部24は、ノンドープ(AlxGa1−x)yIn1−yP(ただし、0≦x≦0.55,0.45≦y≦0.55)混晶からなる活性層5を、第一導電型クラッド層、本実施形態ではp型(AlzGa1−z)yIn1−yP(ただしx<z≦1)からなるp型クラッド層6と、前記第一導電型クラッド層とは異なる第二導電型クラッド層、本実施形態ではn型(AlzGa1−z)yIn1−yP(ただしx<z≦1)からなるn型クラッド層4とにより挟んだ構造を有し、活性層5の組成に応じて、発光波長を、緑色から赤色領域(発光波長(ピーク発光波長)が550nm以上670nm以下)にて調整できる。発光素子100においては、金属電極9側にp型AlGaInPクラッド層6が配置されており、主金属層10側にn型AlGaInPクラッド層4が配置されている。従って、通電極性は金属電極9側が正である。なお、ここでいう「ノンドープ」とは、「ドーパントの積極添加を行なわない」との意味であり、通常の製造工程上、不可避的に混入するドーパント成分の含有(例えば1013〜1016/cm3程度を上限とする)をも排除するものではない。
【0030】
また、発光層部24の基板7に面しているのと反対側の主表面上には、AlGaAsよりなる電流拡散層20が形成され、その主表面の略中央に、発光層部24に発光駆動電圧を印加するための金属電極(例えばAu電極)9が、該主表面の一部を覆うように形成されている。電流拡散層20の主表面における、金属電極9の周囲の領域は、発光層部24からの光取出領域をなす。
【0031】
p−Si基板7は、Si単結晶インゴットをスライス・研磨して製造されたものであり、その厚みは例えば100μm以上500μm以下である。そして、発光層部24に対し、主金属層10を挟んで貼り合わされている。主金属層10は全体がAu系層として構成されている。
【0032】
発光層部24と主金属層10との間には、発光層部側接合金属層としてAuGeNi接合金属層32(例えばGe:15質量%、Ni:10質量%)が形成されており、素子の直列抵抗低減に貢献している。AuGeNi接合金属層32は、主金属層10の主表面上に分散形成され、その形成面積率は1%以上25%以下である。
【0033】
p−Si基板7と主金属層10との間には、p−Si基板7の主表面と接する形で、基板側接合金属層としての第一Alコンタクト層31(例えばAl:99.9質量%)が形成されている。また、p−Si基板7の裏面にはその全体を覆うように金属電極(裏面電極:例えばAu電極である)15が形成されている。金属電極15とp−Si基板7との間には、第二Alコンタクト層16(例えばAl:99.9質量%)が介挿される。
【0034】
そして、前記第一Alコンタクト層31の全面が、拡散阻止層としてのチタン(Ti)層11により覆われている。該Ti層の厚さは1nm以上10μm以下(本実施形態では600nm)である。なお、拡散阻止層はTi層に代えてニッケル(Ni)層としてもよい。そして、該Ti層11の全面を覆う形で、これと接するように主金属層10(Au系層)が配置されている。なお、本実施形態においてAu系層は、純AuもしくはAu含有率が95質量%以上のAu合金よりなる。
【0035】
発光層部24からの光は、光取出面側に直接放射される光に、主金属層10による反射光が重畳される形で取出される。主金属層10の厚さは、反射効果を十分に確保するため、80nm以上とすることが望ましい。また、厚さの上限には制限は特にないが、反射効果が飽和するため、コストとの兼ね合いにより適当に定める(例えば1μm程度)。
【0036】
以下、図1の発光素子100の製造方法について説明する。
まず、図2の工程1に示すように、発光層成長用基板をなす半導体単結晶基板であるGaAs単結晶基板1の主表面に、p型GaAsバッファ層2を例えば0.5μm、AlAsからなる剥離層3を例えば0.5μm、さらにp型AlGaAsよりなる電流拡散層20を例えば5μm、この順序にてエピタキシャル成長させる。また、その後、発光層部24として、1μmのp型AlGaInPクラッド層6、0.6μmのAlGaInP活性層(ノンドープ)5、及び1μmのn型AlGaInPクラッド層4を、この順序にエピタキシャル成長させる。
【0037】
次に、工程2に示すように、発光層部24の主表面に、AuGeNi接合金属層32を分散形成する。AuGeNi接合金属層32を形成後、次に、350℃以上500℃以下の温度域で合金化熱処理を行なう。その後、AuGeNi接合金属層32を覆うように第一Au系層10aを形成する。発光層部24とAuGeNi接合金属層32との間には、上記合金化熱処理により合金化層が形成され、直列抵抗が大幅に低減される。他方、工程3に示すように、別途用意したp−Si基板7(ボロンドープ、抵抗率約8Ω・cm)の両方の主表面に基板側接合金属層となる第一、第二Alコンタクト層31,16を形成し、300℃以上650℃以下の温度域で合金化熱処理を行う。そして、第一Alコンタクト層31上には、Ti層11(厚さ:例えば600nm)及び第二Au系層10bをこの順序にて形成する。また、第二Alコンタクト層16上には裏面電極層15(例えばAu系金属よりなるもの)を形成する。以上の工程で各金属層は、スパッタリングあるいは真空蒸着等を用いて行なうことができる。
【0038】
そして、工程4に示すように、p−Si基板7側の第二Au系層10bを、発光層部24上に形成された第一Au系層10aに重ね合わせて圧迫して、180℃よりも高温かつ360℃以下、例えば200℃にて貼り合わせ熱処理することにより、基板貼り合わせ体50を作る。p−Si基板7は、第一Au系層10a及び第二Au系層10bを介して発光層部24に貼り合わせられる。また、第一Au系層10aと第二Au系層10bとは上記貼り合わせ熱処理により一体化して主金属層10となる。第一Au系層10a及び第二Au系層10bが、いずれも酸化しにくいAuを主体に構成されているため、上記貼り合わせ熱処理は、例えば大気中でも問題なく行なうことができる。
【0039】
さらに、第二Au系層10bと第一Alコンタクト層31との間には、拡散阻止層として機能するTi層11が介挿されている。貼り合わせ熱処理時や、第二Au系層10bの形成時に、第一Alコンタクト層31から第二Au系層10bに向けたAl成分の拡散が上記Ti層11によりブロックされ、第二Au系層10bひいては貼り合わせにより一体化した第一Au系層10a側へのAl成分の染み出しが効果的に抑制される。その結果、最終的に得られる主金属層10の反射面が、Al成分により紫色に変色したりする不具合が防止され、良好な反射率を実現することができる。また、主金属層10によるp−Si基板7と発光層部(化合物半導体層)24との貼り合わせ強度も高く維持できる。
【0040】
次に、工程5に進み、上記基板貼り合わせ体50を、例えば10%フッ酸水溶液からなるエッチング液に浸漬し、バッファ層2と発光層部24との間に形成したAlAs剥離層3を選択エッチングすることにより、GaAs単結晶基板1(発光層部24からの光に対して不透明である)を、発光層部24とこれに接合されたp−Si基板7との積層体50aから除去する。なお、AlAs剥離層3に代えてAlInPよりなるエッチストップ層を形成しておき、GaAsに対して選択エッチング性を有する第一エッチング液(例えばアンモニア/過酸化水素混合液)を用いてGaAs単結晶基板1をGaAsバッファ層2とともにエッチング除去し、次いでAlInPに対して選択エッチング性を有する第二エッチング液(例えば塩酸:Al酸化層除去用にフッ酸を添加してもよい)を用いてエッチストップ層をエッチング除去する工程を採用することもできる。
【0041】
そして、工程6に示すように、GaAs単結晶基板1の除去により露出した電流拡散層20の主表面の一部を覆うように、ワイヤボンディング用の電極9(ボンディングパッド:図1)を形成する。以下、通常の方法によりダイシングして半導体チップとし、これを支持体に固着してリード線のワイヤボンディング等を行なった後、樹脂封止をすることにより最終的な発光素子が得られる。
【0042】
以上の実施形態では、第一Au系層10aが反射面を形成していたが、図3の発光素子200のごとく、第一Au系層10aと発光層部24との間にAg系層10cを介挿することもできる。この場合、発光層部側接合金属層は、Au系接合金属層に代えてAgGeNi(例えばGe:15質量%、Ni:10質量%)よりなるAg系接合金属層132を分散形成する。その他の部分については、図1の発光素子100と同一である。図4は、その製造工程の一例を示すものである。図2の製造工程との相違点は、工程2においてAu系接合金属層32に代えてAg系接合金属層132を分散形成し、350℃以上660℃以下の温度域で合金化熱処理を行ない、その後、Ag系層10c及び第一Au系層10aをこの順序で形成する点にある。これ以外は、基本的に図2と同じである。
【0043】
なお、発光層成長用基板をエッチングにより除去する際に、そのエッチング液によりAg系層10cが腐食を受ける可能性がある場合は、次のようにするとよい。すなわち、工程3に示すように、Ag系層10cと接する第一Au系層10aを、第一Au系層10aの外周縁よりもAg系層10cの外周縁が内側に位置するように、Ag系層10cよりも大面積にて形成する。これにより、Ag系層10cは第一Au系層10aに包まれる形となり、Ag系層10cの外周面が、耐食性の高い第一Au系層10aの外周縁部10eにより保護されるので、工程5において、発光層成長用基板(GaAs単結晶基板1)をエッチングしても、その影響がAg系層10cに及びにくくなる。GaAs単結晶基板1を発光層成長用基板として用い、これをアンモニア/過酸化水素混合液をエッチング液として用いて溶解・除去する場合、Agは該エッチング液に特に腐食されやすいが、上記の構造を採用すれば、問題なくGaAs単結晶基板1を溶解除去できる。
【0044】
また、発光層部24の各層は、AlGaInN混晶により形成することもできる。発光層部24を成長させるための発光層成長用基板は、GaAs単結晶基板に代えて、例えばサファイア基板(絶縁体)やSiC単結晶基板が使用される。また、発光層部24の各層は、上記実施形態では、基板側からn型クラッド層4、活性層5及びp型クラッド層6の順になっていたが、これを反転させ、基板側からp型クラッド、活性層及びn型クラッド層の順に形成してもよい。
【0045】
また、図5(工程3)に示すように、主金属層10をp−Si基板7(素子基板)と発光層部24(化合物半導体層)とのいずれか一方の側(図5では発光層部24側)にのみ形成して貼り合わせを行ってもよい。この場合、貼り合わせ熱処理温度(工程4)は、200℃以上700℃以下と、図2と比較して多少高く設定しなければならないが、拡散阻止層としてTi層(あるいはNi層)11を配置することにより、主金属層10へのAlの拡散は十分抑制できるので、問題なく貼り合わせを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用対象となる発光素子の第一実施形態を積層構造にて示す模式図。
【図2】図1の発光素子の、製造工程の一例を示す説明図。
【図3】本発明の適用対象となる発光素子の第二実施形態を積層構造にて示す模式図。
【図4】図3の発光素子の、製造工程の一例を示す説明図。
【図5】図1の発光素子の、製造工程の別例を示す説明図。
【図6】種々の金属における反射率を示す図。
【符号の説明】
1 GaAs単結晶基板(発光層成長用基板)
4 n型クラッド層(第二導電型クラッド層)
5 活性層
6 p型クラッド層(第一導電型クラッド層)
7 p−Si基板(素子基板)
9 金属電極
10 主金属層
10a 第一Au系層
10b 第二Au系層
10c Ag系層
11 Ti層(拡散阻止層)
24 発光層部
31 第一Alコンタクト層(基板側接合金属層)
32 AuGeNi接合金属層(発光層部側接合金属層)
132 AgGeNi接合金属層(発光層部側接合金属層)
100,200 発光素子
【発明が属する技術分野】
この発明は発光素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平7−66455号公報
【特許文献2】
特開2001−339100号公報
【0003】
発光ダイオードや半導体レーザー等の発光素子に使用される材料及び素子構造は、長年にわたる進歩の結果、素子内部における光電変換効率が理論上の限界に次第に近づきつつある。従って、一層高輝度の素子を得ようとした場合、素子からの光取出し効率が極めて重要となる。例えば、AlGaInP混晶により発光層部が形成された発光素子は、薄いAlGaInP(あるいはGaInP)活性層を、それよりもバンドギャップの大きいn型AlGaInPクラッド層とp型AlGaInPクラッド層とによりサンドイッチ状に挟んだダブルへテロ構造を採用することにより、高輝度の素子を実現できる。このようなAlGaInPダブルへテロ構造は、AlGaInP混晶がGaAsと格子整合することを利用して、GaAs単結晶基板上にAlGaInP混晶からなる各層をエピタキシャル成長させることにより形成できる。そして、これを発光素子として利用する際には、通常、GaAs単結晶基板をそのまま素子基板として利用することも多い。しかしながら、発光層部を構成するAlGaInP混晶はGaAsよりもバンドギャップが大きいため、発光した光がGaAs基板に吸収されて十分な光取出し効率が得られにくい難点がある。この問題を解決するために、半導体多層膜からなる反射層を基板と発光層部との間に挿入する方法(例えば特許文献1)も提案されているが、積層された半導体層の屈折率の違いを利用するため、限られた角度で入射した光しか反射されず、光取出し効率の大幅な向上は原理的に期待できない。
【0004】
そこで、特許文献2をはじめとする種々の公報には、成長用のGaAs基板を剥離する一方、半導体にて構成される補強のための素子基板を、反射用のAu層を介して剥離面に貼り合わせる技術が開示されている。このAu層は反射率が高く、また、反射率の入射角依存性が小さい利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
発光素子では発光強度を得るため、発光層部にできるだけ大電流を流すことが望ましい。そのため、素子基板にはそれに耐え得る導電性が求められる。しかしながら、素子基板が半導体にて構成される場合、発光層部に大電流を流すのに十分な導電性を必ずしも有さない。
【0006】
本発明の課題は、金属層を介して発光層部と半導体の素子基板とを貼り合わせた構造を有する発光素子において、良好な導電性を有する発光素子と、その製造方法とを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・発明の効果】
上記課題を解決するため、本発明の発光素子では、
発光層部を有した化合物半導体層の第一主表面を光取出面とし、該化合物半導体層の第二主表面側に、前記発光層部からの光を前記光取出面側に反射させる反射面を有した主金属層を介して素子基板が結合された発光素子であって、
前記素子基板は、導電型がp型のSi基板にて構成されるとともに、
前記素子基板の前記主金属層側の主表面直上には、Alを主成分とするコンタクト層が形成されていることを特徴とする。
なお、本明細書において「主成分」及び「主体」とは、最も質量含有率の高い成分のことを意味する。また、本明細書において「主金属層」とは、化合物半導体層とコンタクト層との間に位置する金属層であって、反射面を形成するととともに、化合物半導体層とコンタクト層とを結合する役割を担う金属層のことをいう。従って、後述の拡散阻止層及び発光層部側接合金属層は主金属層には属さないものとする。
【0008】
上記本発明の発光素子の構成によると、素子基板は、導電型がp型のシリコン(以下、p型Si又はp−Siともいう)基板にて構成されており、その主金属層側の主表面直上にはAl(アルミニウム)を主成分とするコンタクト層が形成されている。Alとp型Siとは良好なオーミック接合をなすため、特にp型Siの抵抗率が1/1000Ω・cm以上10Ω・cm以下の範囲において、発光素子の直列抵抗ひいては順方向電圧の過度の上昇を効果的に抑制することができる。この場合、Alとp型Siとの合金化熱処理は、例えば300℃以上650℃以下にて行うことにより、接触抵抗の低減効果が高められる。
【0009】
また上記発光素子では、前記発光層部は、前記光取出面側にp型化合物半導体層、前記主金属層側にn型化合物半導体層が位置するとともに、前記n型化合物半導体層が前記主金属層を介して前記p型のSi基板に結合されるよう構成することができる。成長用基板に発光層を成長させたものを主体とする従来の発光素子では、発光層のうち、基板側に位置する層は基板が有する導電型と同一の導電型(例えば基板がp型であればp型)で、またそれとは反対側(光取出面側)に位置する層は基板が有する導電型とは異なる導電型(例えば基板がp型であればn型)で構成しなければならないといったように発光層の導電型の位置関係に制約があった。しかし、本発明の発光素子では化合物半導体層と素子基板とが主金属層を介して結合された構成であり、p型Si基板とn型化合物半導体層といった異なる導電型の組合せであっても、その間に主金属層を介すことにより通電を支障なく行うことが可能であるので、本発明の発光素子の構成にあっては上記のように発光層の導電型の位置関係が制約を受けることはない。したがって、素子基板がp型Si基板にて構成されていても、発光層部においてp型Si基板側(主金属層側)にn型化合物半導体層を、そして光取出面側にp型化合物半導体層を配することができる。
【0010】
また、上記発光層部は、p型化合物半導体層であるp型クラッド層と、n型化合物半導体層であるn型クラッド層と、p型クラッド層とn型クラッド層との間に形成される活性層と、からなるダブルへテロ構造にて構成することができる。このような構造を採用することにより、両クラッド層から注入されたホールと電子とが活性層の狭い空間内に閉じ込めらる形で効率よく再結合するので、高輝度の素子を実現できる。なお、反射による光取出し効率を高めるために、n型クラッド層と主金属層とは直接接して形成されているのがよい。ただし、動作電圧を下げるために、n型クラッド層と主金属層との間に高濃度ドープの薄膜を挿入することも可能である。
【0011】
次に、本発明の発光素子では、コンタクト層と主金属層との間に、導電性材料にて構成され、且つ、コンタクト層のAl成分の主金属層への拡散を阻止する拡散阻止層が介挿された構成とすることができる。本発明の発光素子では、その製造工程において、主金属層を介して素子基板と化合物半導体層とを貼り合わせる際、又はコンタクト層上に主金属層もしくはその一部を形成する際などに、コンタクト層の主成分であるAl成分が主金属層へ拡散し、反応(例えば、共晶や金属間化合物の生成等の冶金的な反応)することで主金属層を変質させてしまう場合がある。そこで、上記の構成とすることで、コンタクト層から主金属層へ向かおうとするAl成分の拡散が拡散阻止層によりブロックされ、ひいてはAl成分との反応による主金属層の変質を効果的に抑制することができる。その結果、主金属層が形成する反射面の反射率低下や、主金属層と化合物半導体層との密着強度低下などといった不具合が効果的に抑制され、また、これら不具合による発光素子の製品歩留まりの低下も生じにくい。
【0012】
主金属層の少なくとも拡散阻止層との界面を含む部分がAuを主成分とするAu系層で構成されている場合、拡散阻止層は、具体的には、Ti及びNiのいずれかを主成分とする拡散阻止用金属層とすることができる。TiないしNiを主成分とする金属は、Au系層へのAl成分の拡散抑制効果に特に優れているので、本発明に好適に採用できる。また、該拡散阻止用金属層の厚さは、1nm以上10μm以下とすることが望ましい。厚さが1nm未満では拡散防止効果が十分でなく、10μmを超えると効果が飽和し、製造コストの無駄につながる。なお、拡散阻止用金属層は具体的には工業用の純Tiないし純Niを採用することもできるが、Au系層へのAl成分の拡散防止効果が損なわれない範囲にて、副成分を含有させることが可能である。例えば、適量のPd添加は、TiないしNiを主成分とする金属の耐食性を向上させる効果がある。また、TiとNiとの合金を用いることもできる。
【0013】
次に、本発明の発光素子においては、上記Au系層により反射面を形成することができる。Au系層は化学的に安定であり、酸化等による反射率劣化を生じにくいので、反射面の形成材質として好適である。また、上記のごとく、コンタクト層とAu系層との間の冶金的な反応が生じる惧れがある場合でも、コンタクト層とAu系層との間に拡散阻止層を介挿させることで、良好な反射率の反射面をAu系層により問題なく形成できる。
【0014】
また、Au系層により反射面を形成する場合、Au系層と化合物半導体層との間に、Auを主成分とする発光層部側接合金属層を、Au系層の主表面上に分散する形で配置することができる。Au系層は、発光層部への通電経路の一部をなす。しかし、Au系層を化合物半導体よりなる発光層部に直接接合すると、接触抵抗が高くなり、直列抵抗が増加して発光効率が低下する場合がある。Au系層を、Au系接合金属層を介して発光層部に接合することにより、接触抵抗の低減を図ることができる。ただし、Au系接合金属層は、コンタクト確保のために必要な合金成分を比較的多量に配合する必要があり、反射率が若干劣る。そこで、発光層部側接合金属層をAu系層の主表面上に分散形成しておけば、発光層部側接合金属層の非形成領域ではAu系層による高い反射率を確保できる。
【0015】
発光層部側接合金属層としては、これと接する化合物半導体層をn型のIII−V族化合物半導体(例えば、前述の(AlxGa1−x)yIn1−yP(ただし、0≦x≦1,0≦y≦1))にて構成する場合、AuGeNi接合金属層を採用することにより接触抵抗の低減効果が特に高くなる。この場合、該化合物半導体層の貼り合わせ側主表面にAuGeNi接合金属層を形成し、該AuGeNi接合金属層を覆うようにAu系層を形成することができる。この場合、AuGeNi接合金属層と化合物半導体層との合金化熱処理は、例えば350℃以上500℃以下にて行うことにより、接触抵抗の低減効果が高められる。
【0016】
なお、光取出効果を十分に高めるために、Au系層に対する発光層部側接合金属層の形成面積率(Au系層の全面積にて発光層部側接合金属層の形成面積を除した値である)は1%以上25%以下とすることが望ましい。発光層部側接合金属層の形成面積率が1%未満では接触抵抗の低減効果が十分でなくなり、25%を超えると反射強度が低下することにつながる。また、Au系層は、発光層部側接合金属層よりもAu含有率を高く設定しておくことで、発光層部側接合金属層の非形成領域において、Au系層の反射率を一層高めることができる。
【0017】
一方、上記Au系層を有する発光素子においては、Au系層と化合物半導体層との間に介挿されたAgを主成分とするAg系層により反射面を形成してもよい。Ag系層はAu系層と比べて、安価であり、しかも可視光の略全波長域(350nm以上700nm)に渡って良好な反射率を示すので、反射率の波長依存性が小さい。その結果、素子の発光波長によらず高い光取出効率を実現できる。またAlのような金属と比較すれば、酸化皮膜等の形成による反射率低下も生じにくい。
【0018】
図6は、鏡面研磨した種々の金属表面における反射率を示すものであり、プロット点「■」はAgの反射率、プロット点「△」はAuの反射率、プロット点「◆」はAlの反射率である。また、プロット点「×」はAgPdCu合金のものである。Agの反射率は、350nm以上700nm以下(また、それより長波長側の赤外域)、特に、380nm以上700nm以下にて、可視光の反射率が特に良好である。
【0019】
他方、Auは有色金属であり、図6に示す反射率からも明らかなように、波長670nm以下の可視光域に強い吸収があり(特に650nm以下:600nm以下ではさらに吸収が大きい)、発光層部のピーク発光波長が670nm以下に存在する場合に反射率低下が著しくなる。その結果、発光強度が低下しやすいほか、取出される光のスペクトルが、吸収により本来の発光スペクトルとは異なるものとなり、発光色調の変化も招きやすくなる。しかしながら、Agは、波長670nm以下の可視光域においても反射率は極めて良好である。すなわち、発光層部のピーク発光波長が670nm以下(特に650nm以下、さらには600nm以下)である場合、Ag系層の反射面はAu系金属よりもはるかに高い光取出し効率を実現できる。
【0020】
図6に示すように、Alの場合、大きな反射率の低下は生じないが、酸化皮膜形成による反射率低下があるため、可視光域での反射率は多少低い値(例えば85〜92%)に留まっている。しかし、Ag系金属は酸化皮膜が形成されにくいため、Alよりも高い反射率を可視光域に確保できる。具体的には、波長400nm以上(特に450nm以上)においてAlよりも良好な反射率を示していることがわかる。
【0021】
なお、図6のAlの反射率は、機械研磨と化学研磨とにより、表面酸化皮膜の形成を抑制した状態で鏡面化したAl表面について測定したものであり、実際には酸化皮膜が厚く形成されることにより、図6に示すデータよりもさらに反射率が低下する可能性がある。Agの場合、図6においては、350nm以上400nm以下の短波長域ではAlより反射率が劣っているが、酸化皮膜がAlよりはるかに形成されにくい。従って、実際に発光素子上に反射金属層として形成した場合は、Ag系層の採用により、この波長域においてもAlを上回る反射率を達成することが可能である。また、この波長域でも、Agの反射率はAuと比較すれば高い。
【0022】
以上を総合すれば、Ag系層は、350nm以上670nm以下(望ましくは400nm以上670nm以下、さらに望ましくは450nm以上600nm以下)の波長域にピーク発光波長を有する発光層部の場合、光取出効率の改善効果がAlやAuに勝って特に顕著になるといえる。上記のようなピーク発光波長を有する発光層部は、例えば(AlxGa1−x)yIn1−yP(ただし、0≦x≦1,0≦y≦1)又はInxGayAl1−x−yN(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)により、第一導電型クラッド層、活性層及び第二導電型クラッド層がこの順序にて積層されたダブルへテロ構造を有するものとして構成することができる。
【0023】
Ag系層を反射面形成に用いる場合は、Ag系層と化合物半導体層との間に、発光層部側接合金属層として、Agを主成分とするAg系接合金属層をAg系層の主表面上に分散する形で配置することができる。Ag系接合金属層は、これと接する化合物半導体層をn型のIII−V族化合物半導体(例えば、前述の(AlxGa1−x)yIn1−yP(ただし、0≦x≦1,0≦y≦1))にて構成する場合、AgGeNi接合金属層を採用することにより接触抵抗の低減効果が特に高くなる。Ag系層に対する発光層部側Ag系接合金属層の形成面積率は、前述のAu系接合金属層と同様、1%以上25%以下とすることが望ましい。
【0024】
次に、本発明の発光素子では、上記Au系層は、結合層を有するものとすることができる。このような発光素子は、
前記化合物半導体層の光取出面になるのと反対側の主表面を貼り合わせ側主表面として、該貼り合わせ側主表面上に、Auを主成分とした、前記Au系層となるべき第一Au系層を配置し、
前記素子基板の、前記発光層部側に位置することが予定された主表面を貼り合わせ側主表面として、該貼り合わせ側主表面上に、Auを主成分とした、前記Au系層となるべき第二Au系層を配置し、
それら第一Au系層と第二Au系層とを密着させて貼り合わせる方法で製造することができる。
【0025】
また、素子基板と化合物半導体層とを貼り合わせる際には、素子基板と化合物半導体層とを、Au系層を介して重ね合わせ、その状態で貼り合わせ熱処理することにより行うことができる。
【0026】
これら本発明の製造方法によると、化合物半導体層側と素子基板側に第一及び第二の各Au系層を振り分けて形成し、これらを相互に密着させて貼り合わせる。Au系層同士は比較的低温でも容易に一体化するので、貼り合わせの熱処理温度が低くとも十分な貼り合わせ強度が得られる。
【0027】
なお、本発明において金属層の具体的な形成方法としては、真空蒸着やスパッタリングなどの気相成膜法のほか、無電解メッキあるいは電解メッキなどの電気化学的な成膜法を採用することもできる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である発光素子100を示す概念図である。発光素子100は、素子基板をなす導電性基板であるp型Si(シリコン)単結晶よりなるp−Si基板7の第一主表面上に主金属層10を介して発光層部24が貼り合わされた構造を有してなる。
【0029】
発光層部24は、ノンドープ(AlxGa1−x)yIn1−yP(ただし、0≦x≦0.55,0.45≦y≦0.55)混晶からなる活性層5を、第一導電型クラッド層、本実施形態ではp型(AlzGa1−z)yIn1−yP(ただしx<z≦1)からなるp型クラッド層6と、前記第一導電型クラッド層とは異なる第二導電型クラッド層、本実施形態ではn型(AlzGa1−z)yIn1−yP(ただしx<z≦1)からなるn型クラッド層4とにより挟んだ構造を有し、活性層5の組成に応じて、発光波長を、緑色から赤色領域(発光波長(ピーク発光波長)が550nm以上670nm以下)にて調整できる。発光素子100においては、金属電極9側にp型AlGaInPクラッド層6が配置されており、主金属層10側にn型AlGaInPクラッド層4が配置されている。従って、通電極性は金属電極9側が正である。なお、ここでいう「ノンドープ」とは、「ドーパントの積極添加を行なわない」との意味であり、通常の製造工程上、不可避的に混入するドーパント成分の含有(例えば1013〜1016/cm3程度を上限とする)をも排除するものではない。
【0030】
また、発光層部24の基板7に面しているのと反対側の主表面上には、AlGaAsよりなる電流拡散層20が形成され、その主表面の略中央に、発光層部24に発光駆動電圧を印加するための金属電極(例えばAu電極)9が、該主表面の一部を覆うように形成されている。電流拡散層20の主表面における、金属電極9の周囲の領域は、発光層部24からの光取出領域をなす。
【0031】
p−Si基板7は、Si単結晶インゴットをスライス・研磨して製造されたものであり、その厚みは例えば100μm以上500μm以下である。そして、発光層部24に対し、主金属層10を挟んで貼り合わされている。主金属層10は全体がAu系層として構成されている。
【0032】
発光層部24と主金属層10との間には、発光層部側接合金属層としてAuGeNi接合金属層32(例えばGe:15質量%、Ni:10質量%)が形成されており、素子の直列抵抗低減に貢献している。AuGeNi接合金属層32は、主金属層10の主表面上に分散形成され、その形成面積率は1%以上25%以下である。
【0033】
p−Si基板7と主金属層10との間には、p−Si基板7の主表面と接する形で、基板側接合金属層としての第一Alコンタクト層31(例えばAl:99.9質量%)が形成されている。また、p−Si基板7の裏面にはその全体を覆うように金属電極(裏面電極:例えばAu電極である)15が形成されている。金属電極15とp−Si基板7との間には、第二Alコンタクト層16(例えばAl:99.9質量%)が介挿される。
【0034】
そして、前記第一Alコンタクト層31の全面が、拡散阻止層としてのチタン(Ti)層11により覆われている。該Ti層の厚さは1nm以上10μm以下(本実施形態では600nm)である。なお、拡散阻止層はTi層に代えてニッケル(Ni)層としてもよい。そして、該Ti層11の全面を覆う形で、これと接するように主金属層10(Au系層)が配置されている。なお、本実施形態においてAu系層は、純AuもしくはAu含有率が95質量%以上のAu合金よりなる。
【0035】
発光層部24からの光は、光取出面側に直接放射される光に、主金属層10による反射光が重畳される形で取出される。主金属層10の厚さは、反射効果を十分に確保するため、80nm以上とすることが望ましい。また、厚さの上限には制限は特にないが、反射効果が飽和するため、コストとの兼ね合いにより適当に定める(例えば1μm程度)。
【0036】
以下、図1の発光素子100の製造方法について説明する。
まず、図2の工程1に示すように、発光層成長用基板をなす半導体単結晶基板であるGaAs単結晶基板1の主表面に、p型GaAsバッファ層2を例えば0.5μm、AlAsからなる剥離層3を例えば0.5μm、さらにp型AlGaAsよりなる電流拡散層20を例えば5μm、この順序にてエピタキシャル成長させる。また、その後、発光層部24として、1μmのp型AlGaInPクラッド層6、0.6μmのAlGaInP活性層(ノンドープ)5、及び1μmのn型AlGaInPクラッド層4を、この順序にエピタキシャル成長させる。
【0037】
次に、工程2に示すように、発光層部24の主表面に、AuGeNi接合金属層32を分散形成する。AuGeNi接合金属層32を形成後、次に、350℃以上500℃以下の温度域で合金化熱処理を行なう。その後、AuGeNi接合金属層32を覆うように第一Au系層10aを形成する。発光層部24とAuGeNi接合金属層32との間には、上記合金化熱処理により合金化層が形成され、直列抵抗が大幅に低減される。他方、工程3に示すように、別途用意したp−Si基板7(ボロンドープ、抵抗率約8Ω・cm)の両方の主表面に基板側接合金属層となる第一、第二Alコンタクト層31,16を形成し、300℃以上650℃以下の温度域で合金化熱処理を行う。そして、第一Alコンタクト層31上には、Ti層11(厚さ:例えば600nm)及び第二Au系層10bをこの順序にて形成する。また、第二Alコンタクト層16上には裏面電極層15(例えばAu系金属よりなるもの)を形成する。以上の工程で各金属層は、スパッタリングあるいは真空蒸着等を用いて行なうことができる。
【0038】
そして、工程4に示すように、p−Si基板7側の第二Au系層10bを、発光層部24上に形成された第一Au系層10aに重ね合わせて圧迫して、180℃よりも高温かつ360℃以下、例えば200℃にて貼り合わせ熱処理することにより、基板貼り合わせ体50を作る。p−Si基板7は、第一Au系層10a及び第二Au系層10bを介して発光層部24に貼り合わせられる。また、第一Au系層10aと第二Au系層10bとは上記貼り合わせ熱処理により一体化して主金属層10となる。第一Au系層10a及び第二Au系層10bが、いずれも酸化しにくいAuを主体に構成されているため、上記貼り合わせ熱処理は、例えば大気中でも問題なく行なうことができる。
【0039】
さらに、第二Au系層10bと第一Alコンタクト層31との間には、拡散阻止層として機能するTi層11が介挿されている。貼り合わせ熱処理時や、第二Au系層10bの形成時に、第一Alコンタクト層31から第二Au系層10bに向けたAl成分の拡散が上記Ti層11によりブロックされ、第二Au系層10bひいては貼り合わせにより一体化した第一Au系層10a側へのAl成分の染み出しが効果的に抑制される。その結果、最終的に得られる主金属層10の反射面が、Al成分により紫色に変色したりする不具合が防止され、良好な反射率を実現することができる。また、主金属層10によるp−Si基板7と発光層部(化合物半導体層)24との貼り合わせ強度も高く維持できる。
【0040】
次に、工程5に進み、上記基板貼り合わせ体50を、例えば10%フッ酸水溶液からなるエッチング液に浸漬し、バッファ層2と発光層部24との間に形成したAlAs剥離層3を選択エッチングすることにより、GaAs単結晶基板1(発光層部24からの光に対して不透明である)を、発光層部24とこれに接合されたp−Si基板7との積層体50aから除去する。なお、AlAs剥離層3に代えてAlInPよりなるエッチストップ層を形成しておき、GaAsに対して選択エッチング性を有する第一エッチング液(例えばアンモニア/過酸化水素混合液)を用いてGaAs単結晶基板1をGaAsバッファ層2とともにエッチング除去し、次いでAlInPに対して選択エッチング性を有する第二エッチング液(例えば塩酸:Al酸化層除去用にフッ酸を添加してもよい)を用いてエッチストップ層をエッチング除去する工程を採用することもできる。
【0041】
そして、工程6に示すように、GaAs単結晶基板1の除去により露出した電流拡散層20の主表面の一部を覆うように、ワイヤボンディング用の電極9(ボンディングパッド:図1)を形成する。以下、通常の方法によりダイシングして半導体チップとし、これを支持体に固着してリード線のワイヤボンディング等を行なった後、樹脂封止をすることにより最終的な発光素子が得られる。
【0042】
以上の実施形態では、第一Au系層10aが反射面を形成していたが、図3の発光素子200のごとく、第一Au系層10aと発光層部24との間にAg系層10cを介挿することもできる。この場合、発光層部側接合金属層は、Au系接合金属層に代えてAgGeNi(例えばGe:15質量%、Ni:10質量%)よりなるAg系接合金属層132を分散形成する。その他の部分については、図1の発光素子100と同一である。図4は、その製造工程の一例を示すものである。図2の製造工程との相違点は、工程2においてAu系接合金属層32に代えてAg系接合金属層132を分散形成し、350℃以上660℃以下の温度域で合金化熱処理を行ない、その後、Ag系層10c及び第一Au系層10aをこの順序で形成する点にある。これ以外は、基本的に図2と同じである。
【0043】
なお、発光層成長用基板をエッチングにより除去する際に、そのエッチング液によりAg系層10cが腐食を受ける可能性がある場合は、次のようにするとよい。すなわち、工程3に示すように、Ag系層10cと接する第一Au系層10aを、第一Au系層10aの外周縁よりもAg系層10cの外周縁が内側に位置するように、Ag系層10cよりも大面積にて形成する。これにより、Ag系層10cは第一Au系層10aに包まれる形となり、Ag系層10cの外周面が、耐食性の高い第一Au系層10aの外周縁部10eにより保護されるので、工程5において、発光層成長用基板(GaAs単結晶基板1)をエッチングしても、その影響がAg系層10cに及びにくくなる。GaAs単結晶基板1を発光層成長用基板として用い、これをアンモニア/過酸化水素混合液をエッチング液として用いて溶解・除去する場合、Agは該エッチング液に特に腐食されやすいが、上記の構造を採用すれば、問題なくGaAs単結晶基板1を溶解除去できる。
【0044】
また、発光層部24の各層は、AlGaInN混晶により形成することもできる。発光層部24を成長させるための発光層成長用基板は、GaAs単結晶基板に代えて、例えばサファイア基板(絶縁体)やSiC単結晶基板が使用される。また、発光層部24の各層は、上記実施形態では、基板側からn型クラッド層4、活性層5及びp型クラッド層6の順になっていたが、これを反転させ、基板側からp型クラッド、活性層及びn型クラッド層の順に形成してもよい。
【0045】
また、図5(工程3)に示すように、主金属層10をp−Si基板7(素子基板)と発光層部24(化合物半導体層)とのいずれか一方の側(図5では発光層部24側)にのみ形成して貼り合わせを行ってもよい。この場合、貼り合わせ熱処理温度(工程4)は、200℃以上700℃以下と、図2と比較して多少高く設定しなければならないが、拡散阻止層としてTi層(あるいはNi層)11を配置することにより、主金属層10へのAlの拡散は十分抑制できるので、問題なく貼り合わせを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用対象となる発光素子の第一実施形態を積層構造にて示す模式図。
【図2】図1の発光素子の、製造工程の一例を示す説明図。
【図3】本発明の適用対象となる発光素子の第二実施形態を積層構造にて示す模式図。
【図4】図3の発光素子の、製造工程の一例を示す説明図。
【図5】図1の発光素子の、製造工程の別例を示す説明図。
【図6】種々の金属における反射率を示す図。
【符号の説明】
1 GaAs単結晶基板(発光層成長用基板)
4 n型クラッド層(第二導電型クラッド層)
5 活性層
6 p型クラッド層(第一導電型クラッド層)
7 p−Si基板(素子基板)
9 金属電極
10 主金属層
10a 第一Au系層
10b 第二Au系層
10c Ag系層
11 Ti層(拡散阻止層)
24 発光層部
31 第一Alコンタクト層(基板側接合金属層)
32 AuGeNi接合金属層(発光層部側接合金属層)
132 AgGeNi接合金属層(発光層部側接合金属層)
100,200 発光素子
Claims (10)
- 発光層部を有した化合物半導体層の第一主表面を光取出面とし、該化合物半導体層の第二主表面側に、前記発光層部からの光を前記光取出面側に反射させる反射面を有した主金属層を介して素子基板が結合された発光素子であって、
前記素子基板は、導電型がp型のSi基板にて構成されるとともに、
前記素子基板の前記主金属層側の主表面直上には、Alを主成分とするコンタクト層が形成されていることを特徴とする発光素子。 - 前記発光層部は、前記光取出面側にp型化合物半導体層、前記主金属層側にn型化合物半導体層が位置するとともに、
前記n型化合物半導体層が前記主金属層を介して前記p型のSi基板に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。 - 前記発光層部は、前記p型化合物半導体層であるp型クラッド層と、前記n型化合物半導体層であるn型クラッド層と、前記p型クラッド層と前記n型クラッド層との間に形成される活性層と、からなるダブルへテロ構造にて構成されていることを特徴とする請求項2に記載の発光素子。
- 前記コンタクト層と前記主金属層との間に、導電性材料にて構成され、且つ、前記コンタクト層のAl成分の前記主金属層への拡散を阻止する拡散阻止層が介挿されてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光素子。
- 前記主金属層の少なくとも前記拡散阻止層との界面を含む部分がAuを主成分とするAu系層とされてなり、
前記拡散阻止層がTi及びNiのいずれかを主成分とする拡散阻止用金属層であることを特徴とする請求項4に記載の発光素子。 - 前記Au系層が前記反射面を形成してなることを特徴とする請求項5に記載の発光素子。
- 前記Au系層と前記化合物半導体層との間に介挿されたAgを主成分とするAg系層が前記反射面を形成してなることを特徴とする請求項5に記載の発光素子。
- 前記Au系層は、結合層を有することを特徴とする請求項5ないし8のいずれか1項に記載の半導体素子。
- 請求項8に記載の発光素子の製造方法であって、
前記化合物半導体層の光取出面になるのと反対側の主表面を貼り合わせ側主表面として、該貼り合わせ側主表面上に、Auを主成分とした、前記Au系層となるべき第一Au系層を配置し、
前記素子基板の、前記発光層部側に位置することが予定された主表面を貼り合わせ側主表面として、該貼り合わせ側主表面上に、Auを主成分とした、前記Au系層となるべき第二Au系層を配置し、
それら第一Au系層と第二Au系層とを密着させて貼り合わせることを特徴とする発光素子の製造方法。 - 前記素子基板と前記化合物半導体層とを、前記Au系層を介して重ね合わせ、その状態で貼り合わせ熱処理することにより、前記素子基板と前記化合物半導体層とを貼り合わせることを特徴とする請求項9に記載の発光素子の製造方法。
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