JP2004188278A - 排気ガス浄化用ハニカムフィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された角柱形状の多孔質セラミック部材が接合層を介して複数個結束され、上記貫通孔を隔てる隔壁が粒子捕集用フィルタとして機能するように構成された排気ガス浄化用ハニカムフィルタであって、上記多孔質セラミック部材のヤング率に対する、上記接合層のヤング率の比率の百分率(接合層のヤング率/多孔質セラミック部材のヤング率)は20%を超え、かつ、上記多孔質セラミック部材の気孔率は20〜80%であることを特徴とする排気ガス浄化用ハニカムフィルタ。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排気ガス中のパティキュレート等を除去するフィルタとして用いられる排気ガス浄化用ハニカムフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排気ガス中に含有されるパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
この排気ガスを多孔質セラミックを通過させ、排気ガス中のパティキュレートを捕集して、排気ガスを浄化することができるセラミックフィルタが種々提案されている。
【0003】
このようなセラミックフィルタは、通常、図1に示したハニカムフィルタ10のように、炭化珪素等からなる多孔質セラミック部材20が接合層14を介して複数個結束されてセラミックブロック15を構成し、このセラミックブロック15の周囲にシール材層13が形成されている。また、この多孔質セラミック部材20は、図2に示したように、長手方向に多数の貫通孔21が並設され、貫通孔21同士を隔てる隔壁23がフィルタとして機能するようになっている。
【0004】
即ち、多孔質セラミック部材20に形成された貫通孔21は、図2(b)に示したように、排気ガスの入り口側又は出口側の端部のいずれかが充填材22により目封じされ、一の貫通孔21に流入した排気ガスは、必ず貫通孔21を隔てる隔壁23を通過した後、他の貫通孔21から流出されるようになっている。
また、シール材層13は、ハニカムフィルタ10を内燃機関の排気通路に設置した際、セラミックブロック15の外周部から排気ガスが漏れ出すことを防止する目的で設けられているものである。
【0005】
このような構成のハニカムフィルタ10が内燃機関の排気通路に設置され、内燃機関より排出された排気ガス中のパティキュレートは、このハニカムフィルタ10を通過する際に隔壁23により捕捉され、排気ガスが浄化される。
このようなハニカムフィルタ10は、極めて耐熱性に優れ、再生処理等も容易であるため、種々の大型車両やディーゼルエンジン搭載車両等に使用されている。
【0006】
このようなハニカムフィルタとして、例えば、特許文献1に、2個以上のハニカムセグメントと、該ハニカムセグメント間を接合する接合層とからなり、上記接合層材質のヤング率が上記ハニカムセグメント材質のヤング率の20%以下であるか、又は、上記接合層の材料強度が上記ハニカムセグメント材料強度よりも小さいハニカム構造体が開示されている。
【0007】
上記公報によれば、接合層の材料に、ハニカムセグメントの材料よりもヤング率の低い(又は、材料強度がハニカムセグメントの材料強度より小さい)接着剤を用いることによって、使用時における熱応力の発生が小さく、クラックが発生しないため、耐久性を有し、中央部と外周部との温度差が生じにくく、流体の圧力損失が小さく、再生処理時の昇温に必要な時間及びエネルギーの小さいハニカム構造体を提供することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−190916号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したようなハニカムフィルタを触媒担体として用いる場合、触媒を多量に担持するために多孔質セラミック部材の気孔率を高くする必要がある。しかし、本発明者らの研究によると、上記多孔質セラミック部材の気孔率を高くするとそのヤング率が低下してしまい、振動や曲げ(引張り)応力が多孔質セラミック部材に加わると容易に破壊されてしまうことが判明した。
【0010】
しかしながら、上記公報に記載のハニカム構造体は、ハニカムセグメント(多孔質セラミック部材)材質のヤング率よりも、これらを接合する接合層材質のヤング率の方が低いものであった。即ち、ハニカムセグメントのヤング率よりも、接合層のヤング率の方が低いものであった。
そのため、ハニカムセグメントの高気孔率化に伴って、そのヤング率が低下した場合、当該ハニカムセグメントを接合する接合層のヤング率は、上記高気孔率化したハニカムセグメントのヤング率よりもさらに低下したものとなる。接合層のヤング率を低下させるためには、接合層の高気孔率化が最も有効な手段である。しかし、接合層を高気孔率化させると、強度が低下し、接合層に生じる熱応力によって容易に破壊されてしまうため、強度及び耐久性に劣るものとなる。そのため、ハニカム構造体の気孔率を余り高くすることができなかった。
【0011】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、高い気孔率を有するとともに、接合層に熱応力、曲げ応力又は振動が加わっても破壊されることがなく、強度及び耐久性に優れる排気ガス浄化用ハニカムフィルタを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の排気ガス浄化用ハニカムフィルタは、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された角柱形状の多孔質セラミック部材が接合層を介して複数個結束され、上記貫通孔を隔てる隔壁が粒子捕集用フィルタとして機能するように構成された排気ガス浄化用ハニカムフィルタであって、
上記多孔質セラミック部材のヤング率に対する、上記接合層のヤング率の比率の百分率(接合層のヤング率/多孔質セラミック部材のヤング率)は20%を超え、かつ、
上記多孔質セラミック部材の気孔率は20〜80%であることを特徴とするものである。
以下、本発明の排気ガス浄化用ハニカムフィルタについて説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された角柱形状の多孔質セラミック部材が接合層を介して複数個結束され、上記貫通孔を隔てる隔壁が粒子捕集用フィルタとして機能するように構成された排気ガス浄化用ハニカムフィルタであって、
上記多孔質セラミック部材のヤング率に対する、上記接合層のヤング率の比率の百分率(接合層のヤング率/多孔質セラミック部材のヤング率)は20%を超え、かつ、
上記多孔質セラミック部材の気孔率は20〜80%であることを特徴とする排気ガス浄化用ハニカムフィルタである。
【0014】
本発明の排気ガス浄化用ハニカムフィルタ(以下、単に本発明のハニカムフィルタともいう)の形状としては、例えば、図1に示したハニカムフィルタ10と略同様のものを挙げることができ、多孔質セラミック部材が接合層を介して複数個結束されてセラミックブロックを構成し、このセラミックブロックの周囲にシール材層が形成されている。また、この多孔質セラミック部材は、長手方向に多数の貫通孔が並設され、貫通孔同士を隔てる隔壁がフィルタとして機能するようになっている。
【0015】
即ち、上記多孔質セラミック部材に形成された貫通孔は、排気ガスの入り口側又は出口側の端部のいずれかが充填材により目封じされ、一の貫通孔に流入した排気ガスは、必ず上記貫通孔を隔てる隔壁を通過した後、他の貫通孔から流出されるようになっている。
また、上記シール材層は、本発明のハニカムフィルタを内燃機関の排気通路に設置した際、上記セラミックブロックの外周部から排気ガスが漏れ出すことを防止する目的で設けられているものである。
ただし、本発明のハニカムフィルタの形状は、図1に示したような円柱状に限定されることはなく、例えば、楕円柱状や角柱状等任意の形状のものを挙げることができる。
【0016】
本発明のハニカムフィルタは、接合層を介して多孔質セラミック部材が複数個結束されて構成されており、上記多孔質セラミック部材のヤング率に対する、上記接合層のヤング率の比率の百分率(接合層のヤング率/多孔質セラミック部材のヤング率)の下限は20%を超えるものである。上記多孔質セラミック部材のヤング率に対する、上記接合層のヤング率の比率の百分率が20%以下であると、上記多孔質セラミック部材のヤング率に対する上記接合層のヤング率が小さいため、セラミック部材に充分な強度がない場合、ハニカムフィルタを強度及び耐久性に優れたものとすることができず、上記接合層に熱による曲げ(引張り)応力が加わると容易に破壊されてしまう。
【0017】
また、上記多孔質セラミック部材のヤング率に対する、上記接合層のヤング率の比率の百分率の上限は440%であることが望ましい。440%を超えると、多孔質セラミック部材のヤング率が低くなりすぎ、このような低ヤング率の多孔質セラミック部材とするためには、多孔質セラミック部材の気孔率を非常に高くする必要があるため、実用上の強度を確保することができなくなる。また、多孔質セラミック部材のヤング率を低くしないとすると、接合層のヤング率を非常に高くする必要があるが、接合層のヤング率を非常に高くすると、接合層としての機能が失われてしまう。
また、上記多孔質セラミック部材のヤング率に対する、上記接合層のヤング率の比率の百分率の下限が100%であり、上限が300%であることがより望ましい。
なお、上記多孔質セラミック部材及び接合層のヤング率は、三点曲げ試験(JIS R 0601)や超音波を用いた方法等、従来公知の方法により測定することができる。
【0018】
上記多孔質セラミック部材の材料としては特に限定されず、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージュライト、ムライト等の酸化物セラミック等を挙げることができる。
【0019】
また、上記多孔質セラミック部材の気孔率は20〜80%である。気孔率が20%未満であると、ハニカムフィルタがすぐに目詰まりを起こしてしまい、一方、気孔率が80%を超えると、パティキュレート等の捕集効率が低下してしまい、また、強度及び耐久性に劣るものとなる。
なお、上記気孔率は、例えば、水銀圧入法、アルキメデス法及び走査型電子顕微鏡(SEM)による測定等、従来公知の方法により測定することができる。
【0020】
このように、本発明のハニカムフィルタを構成する多孔質セラミック部材は、その気孔率の下限は20%、上限は80%であり、本発明のハニカムフィルタは高い気孔率を有するものである。
上述した通り、多孔質セラミック部材の気孔率を高くすると、そのヤング率が低下してしまうため、振動や曲げ(引張り)応力が加わると容易に破壊されてしまう。しかしながら、本発明のハニカムフィルタでは、複数の多孔質セラミック部材を接合する接合層のヤング率と、多孔質セラミック部材のヤング率とが上述したような関係を有しており、上記接合層は大きなヤング率(即ち、大きな強度)を有している。従って、本発明のハニカムフィルタでは、上記接合層がハニカムフィルタの強度を確保することができ、多孔質セラミック部材の気孔率を高くして、ハニカムフィルタを高気孔率にすることができるのである。
上記多孔質セラミック部材の気孔率の下限は40%、上限は80%であることが望ましい。
【0021】
上記多孔質セラミック部材の平均気孔径は5〜100μmであることが望ましい。平均気孔径が5μm未満であると、パティキュレートが容易に目詰まりを起こすことがある。一方、平均気孔径が100μmを超えると、パティキュレートが気孔を通り抜けてしまい、該パティキュレートを捕集することができず、フィルタとして機能することができないことがある。
【0022】
このような多孔質セラミック部材を製造する際に使用するセラミックの粒径としては特に限定されないが、後の焼成工程で収縮が少ないものが望ましく、例えば、0.3〜50μm程度の平均粒径を有する粉末100重量部と、0.1〜1.0μm程度の平均粒径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたものが望ましい。上記粒径のセラミック粉末を上記配合で混合することで、多孔質セラミック部材を製造することができるからである。
【0023】
上記接合層を構成する材料としては特に限定されず、例えば、無機バインダー、有機バインダー、無機繊維及び無機粒子からなるもの等を挙げることができる。
【0024】
上記無機バインダーとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機バインダーのなかでは、シリカゾルが望ましい。
【0025】
上記有機バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機バインダーのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
【0026】
上記無機繊維としては、例えば、シリカーアルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバー等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機繊維のなかでは、シリカーアルミナファイバーが望ましい。
【0027】
上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を挙げることができ、具体的には、炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素等からなる無機粉末又はウィスカー等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化珪素が望ましい。
【0028】
また、上記接合層には、酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンが含有されていてもよい。このようなバルーンは、接合層のヤング率の向上を図ることができるとともに、接合層の熱容量を低下させることができる。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)及びムライトバルーン等を挙げることができる。これらのなかでは、フライアッシュバルーンが望ましい。
【0029】
また、本発明のハニカムフィルタの減音率は5%以上となる。
なお、本明細書において、上記減音率とは、例えば、ハニカムフィルタをエンジン等の内燃機関の排気通路に設置しない場合に放射される排気音の音圧レベルをL1(dB)とし、ハニカムフィルタをエンジン等の内燃機関の排気通路に設置した場合に放射される排気音の音圧レベルをL2(dB)とすれば、下記数式(1)で与えられるL(%)のことをいう。
【0030】
L(%)=(L1−L2)/L1×100・・・(1)
【0031】
このように定義される本発明のハニカムフィルタの減音率が5%以上となるのは、以下に挙げる理由によるものと考えられる。
上述した通り、多孔質セラミック部材の気孔率が高くなるにつれて、そのヤング率が低下し、破壊されやすくなるが、そのため、音(即ち、空気の振動)を余り反射せず、吸収しやすくなると考えられる。
図4は、本発明のハニカムフィルタにおけるヤング率比と減音率との関係を示すグラフであるが、図4に示したように、多孔質セラミック部材のヤング率に対する接合層のヤング率の比率の百分率(ヤング率比)が20%を超えると、減音率が5%以上となり、上記ヤング率比が大きくなるにつれて減音率が大きくなる。従って、本発明のハニカムフィルタは優れた消音効果を有するものであり、本発明のハニカムフィルタをエンジン等の内燃機関の排気通路に設置すると、排気音を好適に吸収させることができ、低騒音化を図ることができる。
【0032】
また、本発明のハニカムフィルタの気孔中には、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属からなる触媒が担持されていてもよい。このような触媒が担持されていることで、本発明のハニカムフィルタは、排気ガス中のパティキュレートを捕集し、触媒により再生処理を行うことができるフィルタとして機能するとともに、排気ガスに含有されるCO、HC及びNOx等を浄化するための触媒コンバータとして機能することができる。
【0033】
上記貴金属からなる触媒が担持された本発明のハニカムフィルタは、従来公知の触媒付DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)と同様のガス浄化装置として機能するものである。従って、ここでは、本発明のハニカムフィルタが触媒コンバータとしても機能する場合の詳しい説明を省略する。
なお、上述した通り、本発明のハニカムフィルタの気孔率は、従来のハニカムフィルタの気孔率に比べて高くすることができるため、フィルタとしての性能を低下させることなく、上記触媒を多量に担持することが可能である。
【0034】
上述した通り、本発明のハニカムフィルタを構成する多孔質セラミック部材のヤング率に対する、接合層のヤング率の比率の百分率(接合層のヤング率/多孔質セラミック部材のヤング率)は20%を超え、かつ、上記多孔質セラミック部材の気孔率は20〜80%である。即ち、多孔質セラミック部材の気孔率が高くそのヤング率が低くなっているが、これらを接合する接合層のヤング率が高く強度が優れたものとなっている。そのため、上記接合層が本発明のハニカムフィルタの強度を確保することができ、本発明のハニカムフィルタは、振動や曲げ(引張り)応力により容易に破壊されることがなく、強度及び耐久性に優れたものとなる。
【0035】
さらに、本発明のハニカムフィルタは、多孔質セラミック部材の気孔率が高くその弾性(ヤング率)が小さなものであるため、優れた消音効果(減音率が5%以上)を有するものとなる。従って、本発明のハニカムフィルタをエンジン等の内燃機関の排気通路に設置すると、内燃機関から生じる排気音を好適に吸収させることができ、低騒音化を図ることができる。
【0036】
次に、上述した本発明のハニカムフィルタの製造方法の一例について図1及び図2を参照しながら説明する。
【0037】
本発明のハニカムフィルタの製造方法では、まず、セラミックブロック15となるセラミック積層体を作製する。
セラミック積層体は、多数の貫通孔21が隔壁23を隔てて長手方向に並設された角柱形状の多孔質セラミック部材20が、接合層14を介して複数個結束された角柱構造である。
【0038】
多孔質セラミック部材20を製造するには、まず、上述したようなセラミック粉末にバインダー及び分散媒液を加えて混合組成物を調製する。
【0039】
上記バインダーとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
上記バインダーの配合量は、通常、セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部程度が望ましい。
【0040】
上記分散媒液としては特に限定されず、例えば、ベンゼン等の有機溶媒;メタノール等のアルコール、水等を挙げることができる。
上記分散媒液は、混合組成物の粘度が一定範囲内となるように、適量配合される。
【0041】
これらセラミック粉末、バインダー及び分散媒液は、アトライター等で混合された後、ニーダー等で充分に混練され、押し出し成形法等により、図2に示した多孔質セラミック部材と略同形状の柱状の生成形体を作製する。
【0042】
また、上記混合組成物には、必要に応じて造孔剤を添加してもよい。高気孔率の多孔質セラミック部材を得ることができるからである。
上記造孔剤としては特に限定されず、例えば、球状アクリル粒子や上述したバルーン等を挙げることができる。
【0043】
上記生成形体を、マイクロ波乾燥機等を用いて乾燥させた後、所定の貫通孔に封口材を充填する封口処理を施し、再度、マイクロ波乾燥機等で乾燥処理を施す。上記封口材としては特に限定されず、例えば、上記混合組成物と同様のものを挙げることができる。
【0044】
次に、上記封口処理を経た生成形体を、酸素含有雰囲気下、300〜650℃程度に加熱することで脱脂し、バインダー等を揮散させるとともに、分解、消失させ、略セラミック粉末のみを残留させる。
【0045】
そして、上記脱脂処理を施した後、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、1800〜2200℃程度に加熱することで焼成し、セラミック粉末を焼結させて多孔質セラミック部材20を製造する。
【0046】
次に、図3に示したように、このセラミック積層体を作製するには、まず、多孔質セラミック部材20が斜めに傾斜した状態で積み上げることができるように、断面V字形状に構成された台30の上に、多孔質セラミック部材20を傾斜した状態で載置した後、上側を向いた2つの側面20a、20bに、接合層14となる接着剤ペーストを均一な厚さで塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層の上に、順次他の多孔質セラミック部材20を積層する工程を繰り返し、所定の大きさの角柱状のセラミック積層体を作製する。
【0047】
そして、このセラミック積層体を50〜100℃、1時間程度の条件で加熱して上記接着剤層を乾燥、固化させて接合層14とし、その後、例えば、ダイヤモンドカッター等を用いて、外周部が図1に示したような形状になるように切削することで、セラミックブロック15を作製する。
【0048】
なお、接合層14を構成する材料としては特に限定されず、例えば、上述したような無機バインダー、有機バインダー、無機繊維及び無機粒子を含む接着剤ペーストを使用することができる。
また、上記接着剤ペースト中には、少量の水分や溶剤等を含んでいてもよいが、このような水分や溶剤等は、通常、接着剤ペーストを塗布した後の加熱等により殆ど飛散する。
【0049】
また、上記無機バインダーの含有量の下限は、固形分で、1重量%が望ましく、5重量%がさらに望ましい。一方、上記無機バインダーの含有量の上限は、固形分で、80重量%が望ましく、70重量%がより望ましく、50重量%がさらに望ましい。上記無機バインダーの含有量が1重量%未満では、接着強度の低下を招くことがあり、一方、80重量%を超えると、熱伝導率の低下を招くことがある。
【0050】
上記有機バインダーの含有量の下限は、固形分で、0.1重量%が望ましい。一方、上記有機バインダーの含有量の上限は、固形分で、5.0重量%が望ましい。上記有機バインダーの含有量が0.1重量%未満では、接合層14のマイグレーションを抑制するのが難しくなることがあり、一方、5.0重量%を超えると、接合層14が高温にさらされた場合に、有機バインダーが焼失し、接着強度が低下することがある。
【0051】
上記無機繊維の含有量の下限は、固形分で、10重量%が望ましい。一方、上記無機繊維の含有量の上限は、固形分で、70重量%が望ましい。上記無機繊維の含有量が10重量%未満では、押し抜き荷重が低下し、一方、70重量%を超えると、熱伝導性の低下を招く。
【0052】
上記無機粒子の含有量の下限は、固形分で、3重量%が望ましい。一方、上記無機粒子の含有量の上限は、固形分で、80重量%が望ましい。上記無機粒子の含有量が3重量%未満では、熱伝導率の低下を招くことがあり、一方、80重量%を超えると、接合層14が高温にさらされた場合に、接着強度の低下を招くことがある。
【0053】
また、上記無機繊維のショット含有量の下限は、1重量%が望ましく、上限は、10重量%が望ましい。また、その繊維長の下限は、1μmが望ましく、上限は、100μmが望ましい。
【0054】
ショット含有量を1重量%未満とするのは製造上困難であり、ショット含有量が10重量%を超えると、多孔質セラミック部材20の壁面を傷つけてしまうことがある。また、繊維長が1μm未満では、弾性を有するハニカムフィルタ10を形成することが難しく、100μmを超えると、毛玉のような形態をとりやすくなるため、無機粒子の分散が悪くなるとともに、接合層14の厚みを薄くできない。
【0055】
上記無機粉末の粒径の下限は、0.01μmが望ましく、0.1μmがより望ましい。一方、上記無機粒子の粒径の上限は、100μmが望ましく、15μmがより望ましく、10μmがさらに望ましい。無機粒子の粒径が0.01μm未満では、コストが高くなることがあり、一方、無機粒子の粒径が100μmを超えると、接着力及び熱伝導性の低下を招くことがある。
【0056】
この接着剤ペースト中には、接着剤ペーストを柔軟にし、流動性を付与して塗布しやすくするため、上記した無機繊維、無機バインダー、有機バインダー及び無機粒子のほかに、およそ総重量の35〜65重量%程度の水分や他のアセトン、アルコール等の溶剤等が含まれていてもよく、この接着剤ペーストの粘度は、15〜25Pa・s(1万〜2万cps(cP))が望ましい。
【0057】
さらに、上記接着剤ペースト中には、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)及びムライトバルーン等のバルーン(微小中空球体)が含まれていてもよい。
接合層のヤング率の向上を図ることができるとともに、接合層の熱容量を低下させることができるからである。
【0058】
次に、このようにして作製したセラミックブロック15の周囲にシール材層13の層を形成するシール材形成工程を行う。
【0059】
このシール材形成工程においては、まず、セラミックブロック15をその長手方向で軸支して回転させる。
セラミックブロック15の回転速度は特に限定されないが、2〜10min−1であることが望ましい。
【0060】
続いて、回転しているセラミックブロック15の外周部にシール材ペーストを付着させる。上記シール材ペーストとしては特に限定されず、上述した接着剤ペーストと同様のものを挙げることができる。
【0061】
次に、このようにして形成したシール材ペースト層を120℃程度の温度で乾燥させることにより、水分を蒸発させてシール材層13とし、図1に示したように、セラミックブロック15の外周部にシール材層13が形成された本発明のハニカムフィルタ10の製造を完了する。
【0062】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0063】
実施例1
(1)平均粒径5μmのα型炭化珪素粉末60重量%と、平均粒径0.5μmのβ型炭化珪素粉末40重量%とを湿式混合し、得られた混合物100重量部に対して、有機バインダー(メチルセルロース)を5重量部、水を10重量部加えて混練して混練物を得た。次に、上記混練物に可塑剤と潤滑剤とを少量加えてさらに混練した後、押し出し成形を行い、生成形体を作製した。
次に、上記生成形体を、マイクロ波乾燥機を用いて乾燥させ、上記生成形体と同様の組成のペーストを所定の貫通孔に充填した後、再び乾燥機を用いて乾燥させた後、400℃で脱脂し、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間で焼成を行うことにより、図2に示したような、その大きさが33mm×33mm×300mmで、貫通孔の数が31個/cm2、隔壁の厚さが0.3mmの炭化珪素焼結体からなる多孔質セラミック部材を製造した。
【0064】
(2)繊維長0.2mmのアルミナファイバー19.6重量%、平均粒径0.6μmの炭化珪素粒子67.8重量%、シリカゾル10.1重量%及びカルボキシメチルセルロース2.5重量%を含む耐熱性の接着剤ペーストを用いて上記多孔質セラミック部材を、図3を用いて説明した方法により多数結束させ、続いて、ダイヤモンドカッターを用いて切断することにより、図1に示したような直径が165mmで円柱形状のセラミックブロックを作製した。
【0065】
次に、無機繊維としてアルミナシリケートからなるセラミックファイバー(ショット含有率:3%、繊維長:0.1〜100mm)23.3重量%、無機粒子として平均粒径0.3μmの炭化珪素粉末30.2重量%、無機バインダーとしてシリカゾル(ゾル中のSiO2の含有率:30重量%)7重量%、有機バインダーとしてカルボキシメチルセルロース0.5重量%及び水39重量%を混合、混練してシール材ペーストを調製した。
【0066】
次に、上記シール材ペーストを用いて、上記セラミックブロックの外周部に厚さ1.0mmのシール材ペースト層を形成した。そして、このシール材ペースト層を120℃で乾燥して、図1に示したような円柱形状のハニカムフィルタを製造した。
【0067】
実施例2
(1)実施例の(1)と同様にして多孔質セラミック部材を製造した。
(2)繊維長0.035mmのセラミックファイバー13.7重量%、平均粒径0.6μmの炭化珪素粒子30.9重量%、アルミナバルーン(平均粒径150μm)39.1重量%、シリカゾル14.8重量%及びカルボキシメチルセルロース1.5重量%を含む耐熱性の接着剤ペーストを用いて上記多孔質セラミック部材を、図3を用いて説明した方法により多数結束させ、続いて、ダイヤモンドカッターを用いて切断することにより、図1に示したような直径が165mmで円柱形状のセラミックブロックを作製した。
【0068】
実施例3
(1)平均粒径10μmのα型炭化珪素粉末70重量%と、平均粒径0.5μmのβ型炭化珪素粉末30重量%とを湿式混合し、得られた混合物100重量部に対して、有機バインダー(メチルセルロース)を13重量部、水を20重量部及び造孔剤としての球形アクリル粒子(平均粒径10μm)を5重量部加えて混練して混練物を得た。次に、上記混練物に可塑剤と潤滑剤とを少量加えてさらに混練した後、押し出し成形を行い、生成形体を作製した。
次に、上記生成形体を、マイクロ波乾燥機を用いて乾燥させ、上記生成形体と同様の組成のペーストを所定の貫通孔に充填した後、再び乾燥機を用いて乾燥させた後、400℃で脱脂し、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、6時間で焼成を行うことにより、図2に示したような、その大きさが33mm×33mm×300mmで、貫通孔の数が31個/cm2、隔壁の厚さが0.3mmの炭化珪素焼結体からなる多孔質セラミック部材を製造した。
【0069】
(2)繊維長0.035mmのセラミックファイバー54.2重量%、平均粒径0.6μmの炭化珪素粒子35.2重量%、シリカゾル8.1重量%及びカルボキシメチルセルロース2.5重量%を含む耐熱性の接着剤ペーストを用いて上記多孔質セラミック部材を、図3を用いて説明した方法により多数結束させ、続いて、ダイヤモンドカッターを用いて切断することにより、図1に示したような直径が165mmで円柱形状のセラミックブロックを作製した。
【0070】
その後、実施例1と同様にして、上記セラミックブロックの外周部に厚さ1.0mmのシール材ペースト層を形成した。そして、このシール材ペースト層を120℃で乾燥して、図1に示したような円柱形状のハニカムフィルタを製造した。
【0071】
実施例4
(1)実施例3の(1)と同様にして多孔質セラミック部材を製造した。
(2)実施例1の(2)と同様にして上記多孔質セラミック部材を接合してセラミックブロックを作製し、該セラミックブロックの外周部にシール材層を形成して円柱形状のハニカムフィルタを製造した。
【0072】
実施例5
(1)実施例3の(1)と同様にして多孔質セラミック部材を製造した。
(2)実施例2の(2)と同様にして上記多孔質セラミック部材を接合してセラミックブロックを作製し、該セラミックブロックの外周部にシール材層を形成して円柱形状のハニカムフィルタを製造した。
【0073】
実施例6
(1)平均粒径30μmのα型炭化珪素粉末80重量%と、平均粒径0.5μmのβ型炭化珪素粉末20重量%とを湿式混合し、得られた混合物100重量部に対して、有機バインダー(メチルセルロース)を30重量部、水を35重量部及び造孔剤としての球形アクリル粒子(平均粒径30μm)を30重量部加えて混練して混練物を得た。次に、上記混練物に可塑剤と潤滑剤とを少量加えてさらに混練した後、押し出し成形を行い、生成形体を作製した。
次に、上記生成形体を、マイクロ波乾燥機を用いて乾燥させ、上記生成形体と同様の組成のペーストを所定の貫通孔に充填した後、再び乾燥機を用いて乾燥させた後、400℃で脱脂し、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間で焼成を行うことにより、図2に示したような、その大きさが33mm×33mm×300mmで、貫通孔の数が31個/cm2、隔壁の厚さが0.3mmの炭化珪素焼結体からなる多孔質セラミック部材を製造した。
【0074】
(2)実施例3の(2)と同様にして上記多孔質セラミック部材を接合してセラミックブロックを作製し、該セラミックブロックの外周部にシール材層を形成して円柱形状のハニカムフィルタを製造した。
【0075】
実施例7
(1)実施例6の(1)と同様にして多孔質セラミック部材を製造した。
(2)実施例1の(2)と同様にして上記多孔質セラミック部材を接合してセラミックブロックを作製し、該セラミックブロックの外周部にシール材層を形成して円柱形状のハニカムフィルタを製造した。
【0076】
実施例8
(1)まず、実施例6の(1)と同様にして多孔質セラミック部材を製造した。
(2)次に、実施例2の(2)と同様にして上記多孔質セラミック部材を接合してセラミックブロックを作製し、該セラミックブロックの外周部にシール材層を形成して円柱形状のハニカムフィルタを製造した。
【0077】
比較例1
(1)実施例1の(1)と同様にして多孔質セラミック部材を製造した。
(2)実施例3の(2)と同様にして上記多孔質セラミック部材を接合してセラミックブロックを作製し、該セラミックブロックの外周部にシール材層を形成して円柱形状のハニカムフィルタを製造した。
【0078】
比較例2
平均粒径10μmのα型炭化珪素粉末70重量%と、平均粒径0.5μmのβ型炭化珪素粉末30重量%とを湿式混合し、得られた混合物100重量部に対して、有機バインダー(メチルセルロース)を40重量部、水を36重量部及び造孔剤としての球形アクリル粒子(平均粒径10μm)を50重量部加えて混練して混練物を得たほかは、実施例1と同様にしてハニカムフィルタを製造した。
【0079】
比較例3
平均粒径0.5μmのβ型炭化珪素粉末30重量%100重量部に対して、有機バインダー(メチルセルロース)を3.6重量部、水を18重量部加えて混練して混練物を得たほかは、実施例1と同様にしてハニカムフィルタを製造した。
【0080】
比較例4
(1)実施例6の(1)と同様にして多孔質セラミック部材を製造した。
(2)繊維長0.035mmのセラミックファイバー22.8重量%、平均粒径0.6μmの炭化珪素粒子14.7重量%、シリカゾル3.4重量%及びカルボキシメチルセルロース1.1重量%、造孔剤としての球状アクリル粒子(平均粒径30μm)を含む耐熱性の接着剤ペーストを用いて上記多孔質セラミック部材を、図3を用いて説明した方法により多数結束させ続いて、ダイヤモンドカッターを用いて切断することにより、図1に示したような直径が165mmで円柱形状にし、その後、700℃で接着層の脱脂を行い、セラミックブロックを作製した。
【0081】
次に、実施例1〜8及び比較例1〜4に係るハニカムフィルタについて、多孔質セラミック部材及び接合層のヤング率、多孔質セラミック部材の気孔率及び減音率を以下の方法で測定した。
それぞれの結果を下記表1に示す。
【0082】
(1)多孔質セラミック部材及び接合層のヤング率の測定
実施例1〜8及び比較例1〜4で製造したハニカムフィルタを構成する多孔質セラミック部材及び接合層のヤング率を、曲げ共振法ヤング率測定装置を使用して測定し、多孔質セラミック部材のヤング率に対する、接合層のヤング率の比率の百分率(接合層のヤング率/多孔質セラミック部材のヤング率)を計算した。
具体的なヤング率の測定方法は、以下の通りである。
即ち、各実施例及び比較例で製造したハニカムフィルタの多孔質セラミック部材から長さ100mm、幅20mm、厚さ2mmの試験片を切り出し、また、各実施例及び比較例で用いた接着剤ペーストを乾燥させ接着剤乾燥体とし、当該接着剤乾燥体から長さ100mm、幅20mm、厚さ2mmの試験片を切り出した。そして、これらの試験片の両端から0.244T近傍を支点とし、アルミナ繊維を用いて電気炉中に試験片を吊り下げ、共振点測定は、測定温度に達した時点より10分間温度を保持してから開始した。曲げの一次共振点の探索は、まず、簡易発振器の周波数を手動で走査し、オシロスコープ管面上のリサージュ図形の変化から周波数の一次測定を行い、次いで、ファンクションジェネレータの出力周波数を計算機により制御して二次測定を行って、共振周波数を求めた。以上により得た一次曲げモードの共振周波数から、以下の数式(2)を用いてヤング率を測定した。
【0083】
E=0.9465×{(m・f2)/w}×(T/t)3×{1+6.59×(t/T)2}・・・(2)
但し、E:ヤング率(Pa)、f:共振周波数(Hz)、T:試験片の長さ(m)、w:試験片の幅(m)、t:試験片の厚さ(m)、m:試験片の質量(kg)である。
【0084】
(2)多孔質セラミック部材の気孔率の測定
多孔質セラミック部材の気孔率を水銀圧入法により測定した。
【0085】
(3)ハニカムフィルタの減音率の測定
実施例1〜8及び比較例1〜4で製造したハニカムフィルタをエンジンの排気通路に設置しない場合の排気音の音圧レベルL1(dB)と、実施例1〜8及び比較例1〜3で製造したハニカムフィルタをエンジンの排気通路に設置した後の排気音の音圧レベルL2(dB)とを測定し、これらの音圧レベルL1及びL2を用いて下記数式(1)により減音率L(%)を測定した。
なお、上記ハニカムフィルタをエンジンの排気通路に設置する際には、上記ハニカムフィルタの外周に、アルミナ繊維からなり(アルミナ80wt%、シリカ20wt%)、嵩密度は0.35g/cm3、厚さは8.5mmの保持シール体を巻き付けた。
【0086】
L=(L1−L2)/L1×100・・・(1)
【0087】
【表1】
【0088】
表1に示した通り、実施例1〜8で製造したハニカムフィルタの多孔質セラミック部材のヤング率に対する、接合層のヤング率の比率の百分率はいずれも20%を超え、気孔率は20〜80%であり、減音率は5%以上であり、好適な消音効果が得られた。
【0089】
一方、比較例1で製造したハニカムフィルタは、その気孔率が20%であったが、多孔質セラミック部材のヤング率に対する、接合層のヤング率の比率の百分率が16.7%と低くかったため、減音率が2%と低く、殆ど消音効果が得られなかった。
また、比較例2で製造したハニカムフィルタは、その気孔率が85%と非常に高く、製造中に破壊されたものが多数あり、製造が困難であった。また、破壊されなかったものであっても、その強度が低すぎるため、エンジン等の内燃機関の排気通路に設置し、実際に排気ガスをその内部に流通させると破壊されてしまった。
また、比較例3で製造したハニカムフィルタは、その気孔率が15%と低く、多孔質セラミック部材のヤング率に対する、接合層のヤング率の比率の百分率も15%と低くかったため、減音率が1%と低く、殆ど消音効果が得られなかった。また、比較例4で製造したハニカムフィルタは、接着剤の強度が非常に低いため、製造中に破壊されたものが多数あり、製造が困難であった。また、破壊されなかったものであっても、その強度が低すぎるため、エンジン等の内燃機関の排気通路に設置し、実際に排気ガスをその内部に流通させると破壊されてしまった。
【0090】
また、実施例1〜8で製造したハニカムフィルタをエンジンの排気通路に設置し、エンジンを無負荷状態で、最高の回転数にして100時間運転した後、各ハニカムフィルタを取り出しその状態を観察したが、クラック等は観察されず、フィルタとして充分に機能するものであった。
一方、比較例1〜4で製造したハニカムフィルタを同様にエンジンの排気通路に設置し、エンジンを無負荷状態で、最高の回転数にして100時間運転した後、取り出しその状態を観察すると、比較例1で製造したハニカムフィルタでは、接合層にクラックが発生しており、この接合層のクラックに起因して多孔質セラミック部材にもクラックが発生しており、フィルタとして充分に機能することができないものであった。
また、比較例3で製造したハニカムフィルタでは、すぐに目詰まりを起こし、圧損が高くなり、頻繁に再生処理が必要であった。
なお、比較例2及び比較例4で製造したハニカムフィルタは、排気ガスの圧力によってすぐに破壊され、フィルタとして機能することができないものであった。
【0091】
また、実施例1〜8で製造したハニカムフィルタは、その内部に形成された気孔内に白金からなる触媒を多量に担持させることができ、触媒コンバータとしても充分機能させることができた。特に、実施例3〜8で製造したハニカムフィルタは、特に多量の触媒を担持させることができた。
【0092】
【発明の効果】
本発明の排気ガス浄化用ハニカムフィルタは、上述の通りであるので、高い気孔率を有するとともに、接合層に熱応力、曲げ応力又は振動が加わっても破壊されることなく、強度及び耐久性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の排気ガス浄化用ハニカムフィルタの一例を模式的に示した斜視図である。
【図2】(a)は、図1に示した本発明のハニカムフィルタに用いる多孔質セラミック部材を模式的に示した斜視図であり、(b)は、そのA−A線縦断面図である。
【図3】本発明のハニカムフィルタを製造する様子を模式的に示した側面図である。
【図4】多孔質セラミック部材のヤング率に対する接合層のヤング率の比率の百分率と、減音率との関係を示したグラフである。
【符号の説明】
10 排気ガス浄化用ハニカムフィルタ
13 シール材層
14 接合層
15 セラミックブロック
20 多孔質セラミック部材
21 貫通孔
22 充填材
23 隔壁
Claims (1)
- 多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された角柱形状の多孔質セラミック部材が接合層を介して複数個結束され、前記貫通孔を隔てる隔壁が粒子捕集用フィルタとして機能するように構成された排気ガス浄化用ハニカムフィルタであって、
前記多孔質セラミック部材のヤング率に対する、前記接合層のヤング率の比率の百分率(接合層のヤング率/多孔質セラミック部材のヤング率)は20%を超え、かつ、
前記多孔質セラミック部材の気孔率は20〜80%であることを特徴とする排気ガス浄化用ハニカムフィルタ。
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