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JP2004148163A - 鉄鋼材料の補修塗装方法 - Google Patents

鉄鋼材料の補修塗装方法 Download PDF

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JP2004148163A
JP2004148163A JP2002314259A JP2002314259A JP2004148163A JP 2004148163 A JP2004148163 A JP 2004148163A JP 2002314259 A JP2002314259 A JP 2002314259A JP 2002314259 A JP2002314259 A JP 2002314259A JP 2004148163 A JP2004148163 A JP 2004148163A
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rust
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repair
stabilizer
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JP2002314259A
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Yoshitaka Kamata
芳高 鎌田
Toshio Motoyoshi
敏夫 元吉
Shigemi Takaguchi
茂美 高口
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Mitsui Kinzoku Paints and Chemicals Co Ltd
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Mitsui Kinzoku Paints and Chemicals Co Ltd
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Abstract

【課題】送電用鉄塔等の構造用の鉄鋼材料に好適に用いることができ、作業の簡易化と時間の短縮が可能で、高い防食効果が得られる鉄鋼材料の補修塗装方法を提供する。
【解決手段】錆の出た鉄鋼材料を現場で補修塗装する方法であって、鉄鋼材料の表面の脆い錆を叩いて落とす表面処理工程と、前記表面処理工程後の前記鉄鋼材料表面に錆安定化剤を塗布する錆安定化剤塗布工程と、前記錆安定化剤塗布工程後の前記鉄鋼材料表面に防食用の塗料を塗装する塗装工程とを含み、前記錆安定化塗布工程で使用する錆安定化剤は、キレート形成能を有する化合物を含有する樹脂と水系溶剤とを含んでなる鉄鋼材料の補修塗装方法である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、送電用の鉄塔のように、風雨に曝され錆の発生した鉄鋼材料を、現場で補修塗装する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
送電用の鉄塔のように、風雨に曝され錆の発生しやすい環境にある鉄鋼材料は、亜鉛メッキ等の防食処理がなされている。しかしながら、相当の時間が経過するとメッキが消耗し、鉄部分に水分が浸透し徐々に赤錆が発生する。このような赤錆は、外観の悪さのみならず、鉄鋼材料の強度の低下を招く要因ともなるため、しかるべきタイミングで現場で補修塗装することが必要である。
送電用の鉄塔を例に挙げると、従来、このような補修塗装方法としては、先ず、鉄塔の錆面をケレン処理し、その後鉄塔の処理面に対し下塗り塗装、上塗り塗装を施していた。ケレン処理は、素地の状態に応じて処理が行われるものであるが、一般的に、ディスクサンダー等の動力工具とスクレーパ、ハンマー等の手工具とを併用して、劣化塗膜を除去し、錆部分は金属面まで研ぎ出す3種ケレン程度の処理がなされる。このような素地の調整を十分に行っておかないと、その後下塗り塗装、上塗り塗装を行って形成する防食塗膜の付着性や防食性能を低下させる要因となり、防食塗膜の寿命を縮めてしまう。
【0003】
上記の送電用鉄塔の補修塗装作業にあたって、以下のような問題点が挙げられる。送電用鉄塔の補修塗装作業は送電を停止して行わなくてはならないが、手作業で行うケレン処理の工程のためにかなりの時間を要し、送電停止時間を長引かせている。また、作業者にとっても身体的負担が大きい。更に、現場で行う作業ゆえ、均一な処理が難しく、仕上がりの不十分な箇所がある。
以上の問題点から、作業の簡易化と時間の短縮が可能で、仕上がりも均一な送電用鉄塔の補修塗装方法が望まれている。
【0004】
一方、鉄鋼材料、特に耐候性鋼材の不安定錆が形成された表面に対して塗布して安定錆を形成することのできる、キレート変性エポキシ樹脂を含有する耐候性鋼材用塗料組成物が提案されている(特許文献1参照。)
また、鉄鋼材料の補修塗装作業を短時間化し、素地と塗料との密着性を向上させることを目的としてなされた鉄鋼材料の補修塗装施工方法、すなわち、錆の出た鉄鋼材料の表面をケレン処理して清浄にした後、リン酸および/又はその化合物と、ケイ素化合物と、アルコール系溶剤とを含有してなるpH1〜5の下地被膜処理液を用いて下地用の防錆被膜を形成し、これを乾燥させ、次いで鉄鋼材料の表面に錆転換型の防錆塗料を用いて下塗り塗装を施して乾燥させ、最後にその上に上塗り塗装を施して乾燥させる工程からなる方法が提案されている(特許文献2参照。)
【0005】
【特許文献1】
特開2001−40280号公報
【特許文献2】
特開2000−140746号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、送電用鉄塔等の構造用の鉄鋼材料に好適に用いることができ、作業の簡易化と時間の短縮が可能で、高い防食効果が得られる鉄鋼材料の補修塗装方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、錆の出た鉄鋼材料を現場で補修塗装する方法であって、鉄鋼材料の表面の脆い錆を叩いて落とす表面処理工程と、前記表面処理工程後の前記鉄鋼材料表面に錆安定化剤を塗布する錆安定化剤塗布工程と、前記錆安定化剤塗布工程後の前記鉄鋼材料表面に防食用の塗料を塗装する塗装工程とを含み、前記錆安定化塗布工程で使用する錆安定化剤は、キレート形成能を有する化合物を含有する樹脂と水系溶剤とを含んでなる鉄鋼材料の補修塗装方法である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、前記錆安定化剤が、キレート形成能を有する化合物としてタンニン酸誘導体を含有する樹脂を含んでなる鉄鋼材料の補修塗装方法である。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、前記錆安定化剤におけるキレート形成能を有する化合物の含有量が、樹脂全体に対し1〜20重量%の鉄鋼材料の補修塗装方法である。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、前記錆安定化剤が、樹脂として塩化ビニリデン樹脂を含有する鉄鋼材料の補修塗装方法である。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、前記錆安定化剤中の前記キレート形成能を有する化合物を含有する樹脂の含有量が、5〜70重量%の鉄鋼材料の補修塗装方法である。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、前記錆安定化剤に含まれる前記水系溶剤が、炭素数2〜10のグリコールもしくはグリコールエーテルを含有する鉄鋼材料の補修塗装方法である。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、前記錆安定化剤中の前記水系溶剤に含有されるグリコールもしくはグリコールエーテルの含有量が、前記錆安定化剤に対して1〜50重量%の鉄鋼材料の補修塗装方法である。
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、前記錆安定化剤塗布工程で前記鉄鋼材料表面に形成される塗膜の膜厚が、1〜50μmの鉄鋼材料の補修塗装方法である。
【0010】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、前記鉄鋼材料が、送電用の鉄塔である鉄鋼材料の補修塗装方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の鉄鋼材料の補修塗装方法は、以下の工程を含んで鉄鋼材料に防食塗膜を形成する方法である。
1)鉄鋼材料の表面の脆い錆を叩いて落とす表面処理工程。
2)前記表面処理工程後の前記鉄鋼材料表面に錆安定化剤を塗布する錆安定化剤塗布工程。
3)前記錆安定化剤塗布工程後の前記鉄鋼材料表面に防食用の塗料を塗装する塗装工程。
以下、それぞれの工程について説明する。
【0012】
1)表面処理工程
鉄鋼材料表面の浮き錆や層状の錆等、ハンマー等の手工具によって叩いて落ちる脆い錆を除去する。ケレン処理で使用するワイヤーブラシ、サンドペーパー等は特に必要としない。
【0013】
2)錆安定化剤塗布工程
従来、ケレン処理により除去していた赤錆(Fe)を、本発明の補修塗装方法では、錆安定化剤の塗布により、鉄原子を不動態化し、さらに塗膜を形成することで、その後その上に塗布される塗料との密着性をも得るものである。錆安定化剤の塗布は、刷毛塗り又はスプレー塗布でよく、短時間で効率的に行うことができる。
鉄原子を不動態化するのはキレート形成能を有する化合物であり、錆安定化剤は、これらの化合物を含有する樹脂と水系溶剤とを少なくとも含んでなる。キレート形成能を有する化合物としては、鉄原子とキレートを形成する化合物であればよく、多価フェノール類、フェノールカルボン酸類、クロム錯塩類、フタロシアニン類、ピリジン類等公知の化合物を用いることができる。この中でも、自然素材で環境にも優しい、五倍子タンニン、没食子タンニンを始めとするタンニン酸誘導体が好ましい。五倍子タンニン、没食子タンニン等のタンニン酸誘導体は、1分子中に多数の水酸基を有するため、1個の鉄原子を1分子でキレート化し、さらにネットワーク状の結合を形成することができる。このように、錆面のイオン化した鉄原子を介して互いに結合することで、極めて大きな分子量の有機金属分子となって、鉄鋼材料の表面を安定化させる効果が得られる。尚、タンニン酸誘導体中には、没食子酸、プロトカテキユ酸等の低分子の化合物が含まれていてもよい。
【0014】
図1は、錆安定化剤の塗布工程における鉄鋼材料の表面状態を模式的に示す図である。図1(a)は、塗布前の状態を示し、図1(b)は、塗布後の状態を示す。鉄鋼材料表面に錆安定化剤を塗布すると、図1(a)に示す錆面に錆安定化剤が浸透していき、鉄原子を取り込んでキレート化する。図1(b)の鉄鋼材料表面は黒変しており、赤錆の2価の鉄原子はキレート化反応によってイオン状態が変化したことが確認できる。また、錆安定化剤に含まれる水系溶剤が揮発することで、樹脂による塗膜が形成され、その後の塗装に好適な平滑な表面を得ることができる。
【0015】
上記のキレート形成能を有する化合物の含有量は、樹脂全体に対し、1〜20重量%であることが好ましい。含有量が1重量%未満では、キレート形成による鉄原子不動態化の効果を十分に得ることができない。また、20重量%を超えると、過剰となったキレート形成能を有する化合物が残留することになり、耐アルカリ性、耐水性等が低下し、塗膜の形成が不良となる。
【0016】
樹脂としては、錆安定化剤が水系溶剤を用いることから、水系溶剤に可溶、もしくはエマルジョン形成が容易な樹脂が好ましく、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、アクリル酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
この中でも、特に塩化ビニリデン樹脂が好ましい。塩化ビニリデン樹脂を用いた場合、他の樹脂に比べて、先に示したキレート形成能を有する化合物によるキレート化反応が最も進行しやすいpH2〜4に調整しやすく、好適だからである。加えて、塩化ビニリデン樹脂によって形成される塗膜は、耐水性に優れ、塗膜強度も高く、乾燥性、防食性にも優れている。
尚、必要に応じて、特に塩化ビニリデン樹脂以外の樹脂を用いる場合は、リン酸、リン酸塩、リン酸エステル等のpH調整剤を添加して、pHを調整することができる。pH調整剤の添加量は、樹脂に対して1〜30重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲である。
【0017】
錆安定化剤中に含有される、上記キレート形成能を有する化合物を含有する樹脂の量は、5〜70重量%であることが好ましい。5重量%未満では、形成される塗膜の膜厚が薄すぎ、塗膜強度を十分に得ることができない。また、防食性にも劣るものになる。70重量%を超えると、錆安定化剤の粘度が高くなるため、鉄鋼材料の錆面への浸透性が低下し、鉄原子のキレート化反応が良好に進行しなくなる。
【0018】
錆安定化剤に含まれる水系溶剤としては、水とアルコール系溶剤とを混合して用いることができる。アルコール系溶剤の中には、炭素数2〜10のグリコールもしくはグリコールエーテルを含有することが好ましい。具体的には、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。これらのグリコールもしくはグリコールエーテルは、揮発性が高くないことから、タンニン酸等のキレート形成能を有する化合物と錆との接触時間を増加させることができる。
水系溶剤中に含有される上記のグリコールもしくはグリコールエーテルの含有量は、錆安定化剤に対して1〜50重量%が好ましい。これらの範囲で錆安定化剤を調製することにより、冬場の低温環境から夏場の高温環境に至るあらゆる環境化において、キレート化反応の十分な進行と、良好な塗膜形成が可能となる。
【0019】
錆安定化剤には、この他に、適宜、消泡剤、レベリング剤を添加して調製する。消泡剤を加えることで、塗膜中の気泡の生成を抑え、レベリング剤によって塗膜の平滑性を向上させることができる。
【0020】
上記錆安定化剤を刷毛又はスプレーにより鉄鋼材料表面に塗布した後、30分〜2時間程度放置し、乾燥塗膜を得る。図1にも示したように、時間の経過と共に鉄鋼材料表面の赤錆が黒変するのが目視で確認できる。このようにして得られる乾燥塗膜の膜厚は、1〜50μmが好ましい。より好ましくは、1〜20μmである。膜厚が1μm未満では、薄すぎて十分な塗膜強度を得ることができない。また、防食性も低下する。膜厚が50μmを超えると、塗膜の乾燥性に悪影響を及ぼし、短期間の停電工事に対応できなくなる。
【0021】
3)塗装工程
錆安定化剤による塗膜が形成された鉄鋼材料表面に、防食用の塗料を塗装する。防食用の塗料としては、一般的に使用されているアクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、変性エポキシ樹脂等の塗料を用いることができる。また、例えば亜鉛成分を含有した錆止め塗料を下塗りし、乾燥した後、上記の塗料を上塗り塗料として重ね塗りしてもよい。塗装・乾燥の後、鉄鋼材料表面に形成される塗膜の総膜厚(錆安定化剤による塗膜も含む)は、20〜200μmとなるようにするのが好ましい。
【0022】
本発明の鉄鋼材料の補修塗装方法により、従来行っていたケレン処理を省くことができるため、作業時間の大幅な短縮を図ることができる。また、錆安定化剤塗布工程も、刷毛塗り、スプレー塗装等で行うことができる簡易な作業である。さらに、錆安定化剤の塗布により鉄原子を不動態化して、なおかつ形成される塗膜で水分、酸素等の侵入を防ぐため、高い防食効果を得ることができる。
本発明の鉄鋼材料の補修塗装方法は、特に、送電用の鉄塔の補修塗装作業に好適に用いることができる。送電用の鉄塔は、従来、送電を停止して補修塗装作業を行っていたが、この送電停止時間を大幅に短縮できると共に、作業の簡易化により、作業者への身体的負担も大幅に低減することができる。また、仕上がり状態も非常に良好で、高い防食効果を得ることができる。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
<錆安定化剤の調製>
五倍子タンニンを含有する塩化ビニリデン樹脂として、旭電化社製アデカレジンEP777(商品名)を用い、以下の配合で錆安定化剤を調製した。尚、アデカレジンEP777の配合量は、アデカレジンEP777中の塩化ビニリデン樹脂含有量が50重量%であることをもとに算出した。また、それぞれの単位は重量%を示す。
・アデカレジンEP777 75%
・3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 5%
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 2.49%
・プロピレングリコール 2%
・水 15%
・消泡剤 0.01%
・レベリング剤 0.50%
【0024】
試験片として、劣化した鉄塔撤去部材(溶融亜鉛メッキ鋼材)を使用した。試験片表面の浮き錆を軽く叩いて落とした後、上記の錆安定化剤を刷毛を用いて塗布した。2時間乾燥させた後、15μmの塗膜を得た。その後、試験片表面にアクリルシリコーン樹脂系塗料を塗布し、乾燥させて50μmの塗膜を得た。上記試験片について、塗膜の防食性能をJIS K 5400耐塩水噴霧試験に準じて評価した。
【0025】
(比較例1)
実施例1と同様の試験片を用い、試験片の表面を3種ケレン処理した後、アクリルシリコーン樹脂系塗料を塗布し、乾燥させて50μmの塗膜を得た。実施例1と同様に、塗膜の防食性能をJIS K 5400耐塩水噴霧試験に準じて評価した。
【0026】
図2は、塩水噴霧試験を行った試験片の写真である。試験片の中央を境に上半分が実施例1に相当する部分であり、下半分が比較例1に相当する部分である。左の写真は、実施例1が錆安定化剤を塗布した後の状態、比較例1が3種ケレン処理後の状態である。中央の写真は、試験片表面にアクリルシリコーン樹脂系塗料を塗布した状態であり、試験片に実施例1、比較例1の相違は見られず、一様に塗膜が形成されている。右の写真は、塩水噴霧試験720時間後の試験片の状態である。試験片には赤錆が発生しているが、比較例1に相当する下半分には表面の広範囲に渡って錆が発生しているのに対し、実施例1に相当する上半分の錆の発生は抑えられている。これは、錆安定化剤の塗布により、赤錆が安定化されて、その後の鉄鋼材料の腐食が抑制されているものであり、従来の3種ケレン処理よりも高い防食効果が得られることが分かる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明により、現場での鉄鋼材料の補修塗装作業を簡易化することができ、作業時間も短縮することができる。また、錆安定化剤の塗布により、錆を安定化することで、高い防食効果を得ることができる。特に、送電用鉄塔の補修塗装作業には好適であり、従来行っていたケレン処理を省くことができ、作業時間の大幅な短縮が図れると共に、ケレン処理を含んだ補修塗装方法よりも高い防食効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】錆安定化剤の塗布工程における鉄鋼材料の表面状態を模式的に示す図である。
【図2】塩水噴霧試験を行った試験片の写真である。

Claims (9)

  1. 錆の出た鉄鋼材料を現場で補修塗装する方法であって、
    鉄鋼材料の表面の脆い錆を叩いて落とす表面処理工程と、
    前記表面処理工程後の前記鉄鋼材料表面に錆安定化剤を塗布する錆安定化剤塗布工程と、
    前記錆安定化剤塗布工程後の前記鉄鋼材料表面に防食用の塗料を塗装する塗装工程とを含み、
    前記錆安定化塗布工程で使用する錆安定化剤は、キレート形成能を有する化合物を含有する樹脂と水系溶剤とを含んでなる
    ことを特徴とする鉄鋼材料の補修塗装方法。
  2. 請求項1に記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、
    前記錆安定化剤は、キレート形成能を有する化合物としてタンニン酸誘導体を含有する樹脂を含んでなる
    ことを特徴とする鉄鋼材料の補修塗装方法。
  3. 請求項1又は2に記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、前記錆安定化剤は、キレート形成能を有する化合物の含有量が、樹脂全体に対し1〜20重量%である
    ことを特徴とする鉄鋼材料の補修塗装方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、
    前記錆安定化剤は、樹脂として塩化ビニリデン樹脂を含有する
    ことを特徴とする鉄鋼材料の補修塗装方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、
    前記錆安定化剤中の前記キレート形成能を有する化合物を含有する樹脂の含有量は、5〜70重量%である
    ことを特徴とする鉄鋼材料の補修塗装方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、
    前記錆安定化剤に含まれる前記水系溶剤は、炭素数2〜10のグリコールもしくはグリコールエーテルを含有する
    ことを特徴とする鉄鋼材料の補修塗装方法。
  7. 請求項6に記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、
    前記錆安定化剤中の前記水系溶剤に含有されるグリコールもしくはグリコールエーテルの含有量は、前記錆安定化剤に対して1〜50重量%である
    ことを特徴とする鉄鋼材料の補修塗装方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、
    前記錆安定化剤塗布工程で前記鉄鋼材料表面に形成される塗膜の膜厚は、1〜50μmである
    ことを特徴とする鉄鋼材料の補修塗装方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の鉄鋼材料の補修塗装方法において、
    前記鉄鋼材料は、送電用の鉄塔である
    ことを特徴とする鉄鋼材料の補修塗装方法。
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