JP2004137286A - 腸原生動物のワクチン類 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、動物における腸原生動物感染を予防もしくは治療するためのワクチンおよび方法を提供する。特に、ジアルジア鞭毛虫症を予防もしくは治療するためのワクチンおよび方法を提供する。
【解決手段】 胆汁入り増殖培地で腸原生動物を培養して得たワクチン株、ならびにそれらのサブユニット、トキシンおよび抗体、それらを含む組成物ならびにそれらの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 胆汁入り増殖培地で腸原生動物を培養して得たワクチン株、ならびにそれらのサブユニット、トキシンおよび抗体、それらを含む組成物ならびにそれらの製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、腸の原生動物(プロトゾア)に対するワクチンに関する。詳細には、ジアルジア属(Giardia)に対するワクチンを開示する。
<文献>
以下に示す文献を、本出願の関連した部分に肩文字として本出願の中で引用する。
以下に示す文献を、本出願の関連した部分に肩文字として本出願の中で引用する。
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29.Zaman著「電子顕微鏡走査するためのランブル鞭毛虫用担体としてのデキストラン粒子」、J. Electron. Microsc.、 41:179-180 (1992)。
30.Kirkpatrick他著「猫のジアルジア鞭毛虫症、自然および誘発された感染に関する観察」、Am. J. Vet. Res.、 45:2182-2188 (1984)。
上記出版物および特許明細書の開示内容は、個々の出版物または特許明細書各々の文脈が具体的かつ独立して本明細書に包含されている場合には、同じ内容でそれらの全体が引用することによって本明細書の内容となる。
腸の原生動物は、人および動物の数多くの病気の原因となるものである。これらが家畜動物に感染すると、重大な経済的な損失がもたらされ得る。重要な腸原生動物には、クリプトスポリジウム(cryptosporidium)、トリコモナズ(trichomonads)、ヒストモナス(histomonas)、スピロヌクレウス(spironucleus)、アメーバ属(entamoeba)、球虫類(coccidia)、トキソプラスマ(toxoplasma)および住肉胞子虫類(sarcocystis)が含まれる。最も問題となる腸原生動物門の1つはジアルジア属(Giardia)である。
ランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)は西洋諸国で最も通常に見いだされる病原性寄生性生物であり、北アメリカの多くで風土病である1。ジアルジア属は、便−経口ルートで伝染する鞭毛のある原生動物である2。ジアルジア属における病原メカニズムはほとんど理解されていないが、これは、他の数多くの胃腸管病に類似した症状をもたらす。最も通常の症状は下痢、食欲不振、倦怠感、腹拡張および胃腸内にガスが溜まることである。感染の急性段階は通常数日間継続するのみであるが、時として特に子供では、慢性段階が数カ月に渡って継続し得る3。
ジアルジア属の栄養型がそれの宿主の中に一度入ると、これらは、宿主の腸絨毛の上皮に取り付き、胞のうに包まれた後、宿主の便の中に排出される。感染した宿主の数人は、この感染の短い急性段階が過ぎた後、症状を示さないでシスト(cyst)を移す人になる4。
ジアルジア属感染の主要源は飲料水の中に混入している。このことから、「バックパッカー下痢(backpackers diarrhea)」の名前を得ている、と言うのは、キャンプをしている時の多くの人が汚染された水に暴露されたことが原因となって感染したからである4。ジアルジア鞭毛虫症の発生もまたデイケアセンター(day care center)でしばしば問題になっている。デイケアセンターで繰り返されるジアルジア属感染は通常のことであり、子供達の多くが全く症状を示さないにも拘らず、その感染のキャリアであることが見いだされている。このことによって、デイケアセンターにおけるジアルジア属の検出および有効な治療が困難になっている5。
ジアルジア属感染で興味の持たれている主要な領域は、ジアルジア属の人感染株のための貯蔵者として動物宿主が作用し得ることである。ジアルジア属の種間伝染が生じる可能性もありそして生じていると言った証拠が存在している。人におけるジアルジア属の株は、アレチネズミ、マウス、モルモット、ラクーンおよびビーバー6−8に感染性を示すことが示されている。カナダでジアルジア属感染に与えられている一般名の「ビーバーフィーバー(beaver fever)」は、3匹のビーバーから成る集団による水源の汚染が原因となる感染が流行したことで生まれた9。ジアルジア属感染は犬および猫においては通常のことである。犬の10−68%および猫の25%がジアルジア属に感染していると見積もられている。家畜の反すう動物でジアルジア属感染が流行していることに関する研究により、羊の17.7%および牛の10.4%が感染していることが確認されており、子羊(35.6%)および子牛(27.7%)の罹病率の方が高い10。
前に示したように、臨床的ジアルジア鞭毛虫症は、無症状の寄生性生物キャリアから下痢、腹痙攣、頭痛、ガス、膨満および不快によって特徴づけられる病気の範囲であり得る1’11。体重減少および成長の遅れもまた、人および動物におけるジアルジア鞭毛虫症に関連した通常の問題である11。
人では、ジアルジア属に関係した組織学的変化には絨毛萎縮が含まれる2。動物モデルとしてモンゴルアレチネズミ(Mongolian gerbils)を用いた極最近の研究により、主に十二指腸内で微絨毛の拡散が低下すると共に刷子縁の酵素活性が低下することが示された。この酵素欠乏症は、上皮の微絨毛が短くなることによって引き起こされ得る12。他の研究は、体重増加の低下、食物吸収の低下、腸ジサッカリダーゼ活性の低下および絨毛萎縮と、ジアルジア属感染とを相互に関係付けている13。この微絨毛の拡散低下は、ジアルジア属が産生するトキシンの結果であり得る12。
ジアルジア鞭毛虫症が流行しそして無症状担体キャリアが原因となって感染した全ての人を治療することが困難であることから、ジアルジア属に対するワクチンを開発することが非常に望まれている。宿主はジアルジア属に対して免疫応答を上昇し、そしてこれらは、一次感染の後長く継続する免疫を維持し得ることが示された14'15。宿主を繰り返してジアルジア属に暴露すると、感染の危険性が低下する16。従って、宿主が免疫を取得する可能性がある。この宿主が示す免疫応答は、ジアルジア属に対して示す宿主応答の幅広い多様性を説明するものであり得る。この免疫システムがその原生動物に対して適当な防御を生じることができない場合、病気になる14。ジアルジア属の免疫分野における先の研究は、病原メカニズムに関する理解が不足していたことで妨げられていた。
自然的および実験的ランブル鞭毛虫およびジアルジア・ムリス感染で、その宿主は細胞および体液免疫を生じることが示された1’3’14’17’18。自然的および実験的感染における免疫の進展は、この寄生性生物がいなくなることに関連している16’18。しかしながら、ジアルジア属に対して上昇した免疫応答を示す人および動物でも、その宿主における不適当な免疫が原因となり得る臨床的または準臨床的ジアルジア鞭毛虫症を示し得る14’20’21。ジアルジア属寄生性生物に二次暴露された後、症状のひどさ、感染過程および感染率が低下することが、人および動物モデルで示された14’16’19。
ランブル鞭毛虫およびジアルジア・ムリス栄養型およびシストに対する数多くのモノクローナルおよびポリクローナル抗体が実験室動物の中で産生された。このような抗体を作り出す目的は、診断目的であるか或は実験室研究のための試薬を得るためである。これらの抗体は、標準的ハイブリドーマ技術およびBALB/cマウスを用いて作り出されている。抗原およびフロインドのアジュバンドで複数免疫化を行うことによって、ラビットおよび小型げっ歯類動物の中でポリクローナル抗体が作り出された。
抗ジアルジア属抗体を用いた受動免疫化が行われた。Butscher他22は、G.ムリス栄養型の表面糖蛋白質に対するモノクローナル抗体を腹こう内投与することでマウスにおける寄生性生物数が減少することを示した。免疫の受動的転移が母乳で示された23。ジアルジア・ムリスに予め感染させた母マウスはそれらの乳飲み子に保護を与えるが、ナイーブな(naive)母親の母乳は保護を与えない。
ジアルジア属の栄養型またはサブユニットワクチンを用いた動物の実際的免疫化に関する研究は極めて限定されている。Roberts-Thomson他は、実験室マウスの2つの株に予防接種した後、対抗研究を行った24。損傷を受けていないジアルジア・ムリス栄養型(106)をフロインドのアジュバンドと一緒にした後(1:1の比率)、腹こう内注射および足裏内注射を行った。4週間後、アジュバントなしの同じ服用を動物の同じ場所に投与した。対照マウスにはアジュバントのみを与えるか或は処理を行わなかった。1週間後、マウスにジアルジア・ムリスのシストを投与した。予防接種したBALB/cマウスは、より短い期間の間にシストの排出を低くする一方、対照マウスと予防接種したC3H/Heマウスの間では、シスト排出に関する差は全くなかった。従って、この研究では、変動を示すと共に有効性を示さない結果が得られた。
Vinayak他11は、ランブル鞭毛虫から56kDaの蛋白質を単離した。マウスを皮下で免疫化し(0日)、そして多重ラメラホスファチジルコリンリポソーム(MPL)に捕捉されている56kDaの表面関連抗原を100μg用いて経口免疫化した(7日)。免疫化していない動物と、MPL−に捕捉されているPBS(燐酸塩緩衝食塩水)で同様に免疫化した動物を対照として用いた。最後の免疫化服用を行った後7日で、全ての動物へチャレンジを行った。MPL−に捕捉されている56kDaの表面関連抗原を用いた免疫化により、対照群と比較して、腸の栄養型コロニー形成および感染期間の低下がもたらされた。この56kDaの表面抗原はそのジアルジア属感染を免疫調節することが示された。
ジアルジア属は、小腸粘膜の機能または構造に影響を与える細胞毒を分泌すると考えられているが25’26、細胞毒を同定するための古典的方法を用いて同定される毒性原理はまだ1つ以上存在しているべきである25’26。ジアルジア属の培養物濾液を用いて排泄/分泌産物を処理することにより培養培地を生じさせることが示された25。培養物の濾液は、培養中の線維芽細胞に損傷を与えると共に、ラットの潅流ループ(perfused loops)からの塩および水吸収を低下させることが示されているが、ジアルジア鞭毛虫症の病原性でこれらの物質が果す役割は未知である27。
人を含む動物におけるジアルジア鞭毛虫症を含む原生動物感染を予防および治療する目的で用いられ得る有効なワクチンに対する必要性が存在している。
本発明は、動物における腸原生動物感染を予防または治療するためのワクチンおよび方法、並びに上記ワクチンで用いられ得る新規なトキシン類を提供するものである。特にジアルジア鞭毛虫症を予防または治療するためのワクチン類および方法も提供する。本発明はまた、これらの方法で得られるか或は用いられる新規なトキシン類、抗体、ワクチン株および組成物の製造および使用方法も包含している。
従って、1つの態様において、本発明は、腸原生動物のワクチン株を提供するものである。これらのワクチン株の製造方法も提供する。
本発明の別の態様は、腸原生動物のワクチン株を含んでいるワクチン組成物である。腸原生動物のサブユニットまたはトキシンを含んでいる、細胞が入っていないワクチン組成物もまた、これらのワクチン組成物を製造する方法と同様提供する。
本発明のさらなる別の態様は、腸原生動物門のワクチン株の有効量を動物に投与することを含む、動物における腸原生動物門による感染を予防または治療する方法である。腸原生動物のサブユニットまたはトキシンを含んでいる、細胞が入っていない組成物を投与することを含む、腸原生動物による感染を予防または治療する方法も提供する。
本発明のさらなる別の態様は腸原生動物のトキシンである。このトキシンの製造方法もまた、このトキシンに対する抗体およびこの抗体を用いた受動免疫化方法と同様提供する。
A. 定義
本明細書で用いる下記の言葉は以下の意味を有する。
A. 定義
本明細書で用いる下記の言葉は以下の意味を有する。
アジュバント:抗原性を増強する目的で用いられる賦形剤。アジュバント類の使用は当該技術分野でよく知られている。アジュバント類には、抗原を吸着し得る鉱物、例えばみょうばん、水酸化または燐酸アルミニウムなどの懸濁液;鉱油の中に抗原溶液が乳化させてある油中水エマルジョン、例えばフロインドの不完全アジュバンドなどが含まれると共に、更に抗原性を増強するための追加的因子、例えばフロイントの完全アジュバント内の死滅ミコバクテリアなどが含まれ得る。
抗体:公知抗原または抗原決定基に免疫学的に結合する分子、特に蛋白質。
胆汁:肝臓によって分泌されたあと十二指腸に排泄される物質であり、ここでこれは脂肪の乳化を助け、ぜん動を上昇させ、そして腐敗作用を遅らせる助けをする。この言葉胆汁はまた、粉末にしたか或は乾燥した胆汁を表す目的でも用いる。胆汁はまた、胆汁の如何なる成分、例えば個々の胆汁塩も意味している。
コロニー形成:原生動物がその感染した動物の腸に付着すること。
シスト:数多くの原生動物の寄生性生物、例えばジアルジア属の感染性形態。シストには通常、非常に濃縮された細胞質と抵抗力を示す細胞壁が備わっている。これらはしばしば便の中に落とされ(shed)、そしてこれが、1つの動物から別の動物に病気が広がる経路である。シストは生存能力を示し得る、即ち新しい宿主の中で栄養型を生じ得るか、或は生存能力を示さない可能性がある。
有効量:感染または病気に対して動物を保護するに必要とされるか或は感染または病気の特別な症状を和らげるに必要とされる用量。
飼料変換率:単位量の体重を生じるに必要とされる飼料の重量として表す、動物が体重を増やす能力の尺度。原生動物門によって引き起こされる病気を含む腸の病気は、動物が飼料を体重に変換する効率が低いことによってこのパラメーターが低くする。
ジアルジア属:小腸に寄生する寄生性鞭毛虫の属である。この出願で用いるこの言葉は、この属の全ての種を含んでいる。ジアルジア属を表す目的で前に用いたランブル(Lamblia)属もまた本出願で用いるこの言葉の中に包含される。
ジアルジア鞭毛虫症:ジアルジア属による感染。この感染の症状、例えば下痢、腹痙攣、頭痛、ガス、膨満、体重損失、体重上昇の不足、脱水、不快、吸収不良、寄生性生物による腸のコロニー形成、のう子の排出などもまた、この言葉ジアルジア鞭毛虫症の中に含まれる。
免疫応答:宿主における興味の持たれている組成物またはワクチンに対する細胞および/または抗体仲介免疫応答の進展。上記応答は下記の1種以上を含んでいる可能性がある、即ち興味の持たれている組成物またはワクチンの中に含まれている抗原または抗原類に特異的に向かう抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞および/または細胞毒性T細胞の産生。
腸原生動物門:それが感染する動物の腸に棲息する原生動物門のいずれも。
腸原生動物感染:腸原生動物門による感染。この感染の症状、例えば下痢、腹痙攣、頭痛、ガス、膨満、体重損失、体重上昇の不足、脱水、不快、吸収不良、寄生性生物による腸のコロニー形成、シストの排出などもまた含まれる。
中和する:毒性効果を防止するか或は和らげることができる。
症状の予防(防止):トキシンによって引き起こされる影響いずれかの防止(予防)を含む。
インビトロ(in vitro)産生:感染した宿主動物の動物内ではなく培養物内で産生。インビトロ産生には組換え体産生が含まれる。
防御免疫性を示す:感染または病気に対して動物を保護するか、或は感染または病気の特別な症状を和らげることができる。
組換え的に作り出される:微生物、植物または動物を含む何らかの他のシステムにおける遺伝子発現を用いて作り出される、および/または配列が公知の場合本技術分野で知られている方法を用いて化学的に合成される。
音波処理:細胞の懸濁液を高周波数の音波に暴露することによって細胞を崩壊させること。
サブユニット:全有機体よりも小さい腸原生動物門の一部いずれか。抗原性を示すサブユニットをワクチン組成物の中で用いて免疫応答を生じさせることができる。サブユニットには、鞭毛、腹の粘着性を示す円板(ventral adhesive disk)、膜、細胞骨格膜蛋白質、シトゾル膜蛋白質、トキシン類、並びに抗原性を示し得るものであり免疫応答を誘発する有機体の他のいずれかの部分が含まれ得る。これには組換え的に作り出されたサブユニットが含まれる。
トキシン:腸原生動物門が産生する有毒または毒性を示す物質。これは細胞外産物(エキソトキシン)であってもよい。腸の細胞が影響を受ける場合、トキシンをエンテロトキシンと分類する。これには組換え的に作り出されたトキシン類も含まれる。
栄養型:特定の腸寄生性生物、例えばジアルジア属の増殖型(begetative)形態。
ワクチン株:動物に投与されたとき保護免疫原性を示す腸原生動物門の株。これには遺伝的に弱毒化された株も含まれる。
B. 具体的な態様
本発明は、腸原生動物のワクチン株および上記原生動物からのトキシン類を提供するものである。予想外に、胆汁が入っている培地の中で腸原生動物を培養すると、それらを用いて動物に予防接種したとき防御免疫原性を示すようになることが見いだされた。更に、胆汁含有培地内の上記培養により、インビトロにおけるトキシンの産生がもたらされる。このトキシンは、腸原生動物による感染に対する免疫化を行うか或はトキシンを中和する抗体を上昇させる目的で用いられ得る。
B. 具体的な態様
本発明は、腸原生動物のワクチン株および上記原生動物からのトキシン類を提供するものである。予想外に、胆汁が入っている培地の中で腸原生動物を培養すると、それらを用いて動物に予防接種したとき防御免疫原性を示すようになることが見いだされた。更に、胆汁含有培地内の上記培養により、インビトロにおけるトキシンの産生がもたらされる。このトキシンは、腸原生動物による感染に対する免疫化を行うか或はトキシンを中和する抗体を上昇させる目的で用いられ得る。
特に、宿主動物の腸内で細胞外的に存在している腸原生動物が本発明で用いるに好適である。最も好適な具体例において、本発明は、ジアルジア属のワクチン株、トキシン類およびトキシン類に対する抗体を提供する。上記株、トキシン類および抗体は、ジアルジア鞭毛虫症およびそれの症状を防止および治療するに有効である。
本発明では種々のジアルジア属株が有効である。インビトロで充分に増殖し、標的動物種に感染し得るものであり、そしてインビトロで増殖させた時トキシンを産生する株が好適である。特に、ジアルジア属株WB(人からの単離物)、S2(我々が羊から単離した株)、D3(我々が犬から単離した株)、およびN(我々が飲料水から単離した株)が用いられ得る。株NおよびS2が最も好適である。
本発明のジアルジア属株を胆汁含有TYI−S−33培地の中で増殖させることによって培養した。脱水した牛の胆汁を一般に用いたが、しかしながら、個々の胆汁塩を含む胆汁の画分もまた本発明で有効であると予測される。ジアルジア属の栄養型は、細かく分割した固体状支持体も含んでいる容器の中で増殖し得る。これは、その栄養型が付着する表面積を上昇させる。デキストランビードが特に好適な固体状支持体である29。他の支持体系、例えばガラスビードまたは繊維もまた適切であり得る。培地製造、ジアルジア属栄養型の副次培養および収穫の詳細を以下の実施例の中に示す。
本発明はまた、ジアルジア属か或は有効に免疫原性を示す他の腸原生動物のワクチン株を含んでいるワクチン組成物も提供する。上記ワクチン組成物ではジアルジア属の種々の株が有効であり得る。特に、インビトロで培養したときトキシンを産生する株が好適である。最も好適な株の例はジアルジア属株S2およびNである。
これらのワクチン株を以下の実施例の中に示す如く培養した後、ワクチン組成物で用いる目的で収穫する。ワクチン組成物の中で用いるに先立って原生動物を崩壊させ得る。種々の崩壊方法を好適に用いることができ、これらには音波処理、浸透、圧力差の利用または凍結が含まれる。音波処理が最も好適である。
ワクチン組成物は、腸原生動物の1種以上のワクチン株および/またはジアルジア属または他の腸原生動物の1種以上のサブユニットおよび/またはトキシン類を含んでいてもよい。上記サブユニットおよび/またはトキシン類は、全原生動物門または音波処理した原生動物に追加して用いられ得るか、或は細胞が入っていないワクチン組成物の中で用いられ得る。
ワクチン組成物の中で用いるに先立ってその腸原生動物、トキシン類またはサブユニットを不活性化することが有効であり得る。穏やかな熱処理またはホルマリンによる不活性化などの通常の技術が用いられ得る。
上記ワクチン組成物の組成には、アジュバントを含む適切な製薬上許容される担体が含まれ得る。アジュバント、例えばみょうばんを基とするアジュバントの使用が好適である。本発明では数多くの市販アジュバント類が有効である。これらの試験では、水酸化アルミニウムおよびQuill A(Super Fos、 Copenhagen、 Denmark)が入っているみょうばんを基とするアジュバントを用いた。上記ワクチン組成物に関する正確な組成は、特別なワクチン株、免疫化すべき種および免疫化ルートに依存している。上記ワクチン組成物の組成は当該技術分野の技術者によく知られている。
上記ワクチン組成物は、腸原生動物に敏感な如何なる動物、例えば牛、羊、山羊、兎、馬、豚、犬、猫および鳥種などの免疫化で有効である。家畜および野生型両方の動物を免疫化することが可能であると共に、食物製造用動物の免疫化も意図している。これらのワクチン組成物を用いて人を免疫化することもできる。本発明は、予防または治療を必要としている動物にジアルジア属または他の腸原生動物のワクチン株の有効量を投与することによる、ジアルジア鞭毛虫症または他の腸原生動物感染の予防もしくは治療方法を提供するものである。上記ワクチン株は上に考察した如きワクチン組成物の中で用いられ得る。この方法は犬、猫、羊、人、家畜動物(特に食物製造用動物)、鳥種および野生動物で有効である。野生動物における使用は、人または家畜動物が用いる水源の汚染を防止し得る。
投与のルートは便利なルートのいずれかであってもよく、腸原生動物、処理すべき動物および他の要因に応じて変化し得る。非経口投与、例えば皮下、筋肉内または静脈投与が好適である。犬および猫種では皮下投与が最も好適である。腸用のコートされている経口服用形態を含む経口投与もまた用いられ得る。
投与のスケジュールは、その腸原生動物および処理すべき動物に応じて変化し得る。動物に単一投与を受けさせるか、或は補助服用か数回の服用を受けさせ得る。連続した保護を行う目的で年1回の補助服用が用いられ得る。特に、一次過程として、21日離した2回投与が好適である。
治療すべき動物の年令もまた投与のルートおよびスケジュールに影響を与える。母親の抗体がもはや存在しなくなりそしてその動物が免疫学的に受容能力を有するようになる年令における投与が好適である。これは、犬または猫種の年令で約6から7週である。追加的に、母親を免疫化して母親のミルク内抗体の受動転移を通して子の感染を防止するのが好適である。
本発明の方法は、腸のコロニー形成を防止するに有効である、即ち腸粘膜に原生動物が付着するのを防止するに有効である。これはまた、ジアルジア鞭毛虫症の症状を防止するに有効である。これには、トキシンの中和、並びにこれらの有機体が腸内腔の中に存在しているが付着していない場合に生じる生理学的トキシン効果のいずれかを防止することが含まれる。更に、本発明の方法は、シスト、特に生存能力のあるのう子が便に排出されるのを低くするものである。これによって、感染が更に広がるのを防止する。
慢性的に感染している動物または人を含む、症状を示すか或は無症状の動物に対して治療を行うことが可能であると共に、その治療を用いて、下痢の如き感染症状を和らげることによって成長速度を上昇させることができる。このように、これを食物製造用動物に投与すると、飼料変換率が上昇し得る。
本発明は、ジアルジア属または他の腸原生動物のトキシン類およびこれらのトキシン類の製造方法を提供する。予想外に、胆汁が入っている培地の中で有機体を培養すると、それらがインビトロでトキシンを産生するようになることを見出した。このトキシンを用いることで、腸原生動物感染に対して動物を免疫化することができる。これらの有機体が増殖する培地を濃縮すると、感染を予防および/または治療するに有効なトキシンが得られた。このジアルジア属におけるこのトキシンはエキソトキシンであり、非常に高い細胞毒性を示す。これは効力のあるエンテロトキシンであると見られる。
最近まで、ジアルジア属のエンテロトキシンを単離する試みは不成功であった。しかしながら、濃縮した溶液を用いると共により高い感度を示す分析システムを用いることにより、ジアルジア属が産生する細胞毒性因子を検出することが可能になった。このトキシンを、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いて検出した。このCHOバイオアッセイは、皮膚透過性アッセイ、脂肪細胞脂肪分解アッセイおよび回腸ループアッセイよりも100−10,000倍高い感度を有することが確かめられた。このトキシンを用いた試験により、これがCHO細胞の伸長を生じさせることが示された。伸長度合(即ち長くなった細胞のパーセント)は、一般にトキシン濃度と共に上昇することが見いだされた。ジアルジア属トキシンを用いたとき観察される結果は、細菌のエンテロトキシン類を用いて行う他の研究と非常に類似している。大腸菌のトキシン類、コレラトキシンおよび百日咳トキシンを用いた時と同様な効果がCHO細胞に関して見いだされた。
ジアルジア属トキシンの部分的精製を達成した。このジアルジア属トキシンは細胞内で産生される蛋白質であり、これは、37℃または室温か或は冷蔵または冷凍したとき安定性を示すことが確立された。トキシン含有培地は、分子量が約22、32、38および39kDaのクマシー染色蛋白質と共に97kDa以上の分子量を有するいくつかの蛋白質を含んでいることがSDS−PAGEを用いて確認され、これらの蛋白質は対照培地の中には存在していない。トキシン含有培地を硫酸アンモニウムで分別することにより、分子量が約16−20、25−28、36−42および50−65kDaの蛋白質(これらは対照培地の中には存在していない)と共に細胞毒性を示す画分が得られた。
このトキシンを用いた免疫化により、下痢を含むジアルジア鞭毛虫症の症状が低くなると共に、便へののう子排出が低下した。
本発明はまた、ジアルジア属または他の腸原生動物のトキシン類に対する抗体も提供する。ポリクローナル抗体がジアルジア属トキシンに対して上昇した。通常技術を用いることで、モノクローナル抗体もまた上昇し得る。これらの抗体は、このトキシンの毒性効果を中和する抗血清として有効性を示す。従って、これらは、ジアルジア鞭毛虫症および他の腸原生動物感染の症状を解放すると期待され得る。腸用のコートされている服用調合物を用いた上記抗体の経口投与が好適であると期待される。
本発明の方法は、他の腸原生動物感染を予防および治療するためのワクチン株、ワクチン組成物、トキシン類、および抗トキシン類の製造で有効である。本発明で有効な他の腸原生動物としては、クリプトスポリジウム、トリコモナド類、ヒストモナス、スピロヌクレウス、アメーバ属、球虫類、トキソプラスマおよび肉胞子虫属が含まれる。特に、クリプトスポリジウム、トリコモナド類、ヒストモナス、スピロヌクレウスおよびアメーバ属が挙げられる。
クリプトスポリジウム・ムリス(クリプトスポリジウム・パルブム(Cryptosporidium parvum)とも呼ばれている)は、哺乳動物および家禽類の小腸および大腸の中で見いだされる原生動物寄生性生物であり、そしてクリプトスポリジウム・メレグリジス(Cryptosporidium melegridis)は、家禽類の呼吸および胃腸管の刷子縁の中で見いだされる。この寄生性生物は、人および他の哺乳動物および鳥において軽いからひどい下痢を引き起こすと共に、鳥の呼吸病の原因となっている。クリプトスポリジウムは、刷子縁表面積を狭くし、電解質の輸送を悪化し、そしてジアルジア鞭毛虫症と同様な吸収不良下痢の原因となっている。クリプトスポリジウム種のための全細胞もしくはサブユニットワクチンを開発することに関して多大な可能性が存在している。このワクチンは、この寄生性生物を崩壊させることによって製造され、これらの蛋白質とアジュバントを組み合わせた後、経口もしくは非経口ルートで動物または人を免疫化することができる。1種以上のトキシン類が重要な毒性を示す因子である可能性があり、そしてこれらのトキシン類(またはトキソイド類)もまた経口もしくは非経口ルートによる予防接種で用いられ得る。このワクチンを用いることでこの病気を予防するか或はこの病気の症状に対する保護を行うことができる。クリプトスポリジウム症(cryptosporijiosis)の症状を治療する目的で抗トキシン抗体も用いられ得る。
トリコモナド類は、哺乳動物および鳥の胃腸管、生殖および呼吸管の中に見いだされる鞭毛を有する原生動物寄生性生物の大きな集団である。大部分のトリコモナド類は非病原性の共生動物であると信じられている。しかしながら、我々は、これらの原生動物寄生性生物のいくつかはジアルジア属と同様、動物における体重上昇および飼料変換率に影響を与える可能性があると共に、ある場合には下痢の原因となり得ると考えている。このメカニズムにはトキシンが介在している可能性がある。崩壊させたトリコモナス属(trichomonas)寄生性生物とアジュバントを用いた予防接種は、感染からの保護を与えるか、或はこの感染の症状を軽減し得る。同様に、トキシンまたはトキソイドも防御を与え得る。このワクチンは、腸のコロニー形成およびこの腸の損傷を防止する。異なるトリコモナド種の交差防御もあり得る。
ヒストモナス・メレアグリジス(Histomonas meleagridis)は、家禽類における鞭毛のある原生動物寄生性生物である。この寄生性生物は、盲腸から放出された後、血液流を通って肝臓に至る。この肝臓および盲腸の壊死および組織変性が生じる。この感染から回復した鳥はこの病気に対して免疫性を示す。我々は、この病気の病原性にトキシンが関与している可能性があると考えている。崩壊させた細胞またはトキシンのワクチンを用いた予防接種は、家禽類におけるヒストモナス症を制御する2有効な方法を提供し得る。このワクチンは、腸のコロニー形成または盲腸の貫入を防止する。このワクチンはまた肝臓および盲腸の壊死を防止し得る。
スピロヌクレウス・メレアグリジス(Spironucleus meleagridis)は、下痢および死亡をもたらす若鳥の病気である。死後この腸内は水状の液体で満たされていることが確認されている。この寄生性生物は家庭用および野生鳥類に感染する。我々は、スピロヌクレウス・メレアグリジスは、トキシンが介在した過程を通して症状を誘発すると考えている。崩壊させた全寄生性生物またはトキシンもしくはトキソイドのワクチンは、この感染からの防御を与え得る。このワクチンは、このトキシンの中和を行いそして/またはこの寄生性生物のコロニー形成を防止する。
赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)は、人および動物におけるアメーバ赤痢の原因となる病原性を示すアメーバ状原生動物である。この有機体は、盲腸および結腸にコロニー形成して下痢および赤痢の原因となる。この寄生性生物は腸壁に侵入して粘膜下組織の中で増殖することで潰瘍化の原因となり得る。この寄生性生物はまたリンパ管または腸間膜静脈の中に入る結果として体全体の膿瘍を生じ得る。我々は、1種以上のトキシン類が重要な毒性因子であり得ると考えている。崩壊させた栄養型および/またはトキシンを用いた予防接種は、この寄生性生物のコロニー形成および/または侵入に対する防御を与える作用を示し得る。予防接種もまた、この病気で見られる下痢および赤痢に対する保護となり得る、と言うのは、これはこのトキシンを中和しそして/またはこの寄生性生物の侵入を防止するからである。
コクシジウム症は、アイメリア種(Eimeria spp.)またはイソスポラ種(Isospora spp.)によって引き起こされる複雑な腸の病気であり、これは、家畜動物で主要な経済的重要さを有している。これらの原生動物類は、複雑な生活環を有しておりそして宿主に特異的である。ワクチンを製造する試みが行われた。家禽類のワクチンが製造された(CocciVac、 CocciVac T、 Sherwin Laboratories)。これらのワクチン類は、鶏および七面鳥に対して病原性を示す種の全てを含んでいる。サブユニットワクチン類の開発は大きく不成功であった。球虫類のトキシンはまだ同定されておらず、トキシンワクチン類もまだ製造されていない。人および動物の球虫類に関するトキシンまたはトキソイドを基とするサブユニットまたは強化ワクチンの製造には可能性がある。これらには、イソスポラ種、アイメリア種、ウェニオネラ種(Wenyonell spp.)およびチゼリア種(Tyzzeria spp.)が含まれる。
トキソプラスマは複雑な生活環を有している。いくつかの研究グループは、アジュバントの有り無しによる、熱死滅および熱−もしくはホルマリンで死滅させた相同タキゾイトを用いた実験的免疫化ではマウス、ハムスターおよびラビットを保護することができなかった。実験的挑戦に対して特定の画分が保護を与えた。トキソプラスマの細胞毒はまだ同定されていないが、しかしながら、トキシンまたはトキソイドを用いた動物および人における免疫化はこの病気からの保護を与え得る。
球虫類と同様、肉胞子虫属も複雑な生活環を有しており、それらの接合子のうは、この捕食動物の腸細胞内に存在していると共にその無性段階の間は捕食される動物の組織内に存在している。これらは数多くの家畜および野生動物に共通している。現在の時点では、これらの原生動物寄生性生物のためのワクチンは存在しておらず、そして細胞毒も示されていない。本発明を用いることでこの寄生性生物のためのワクチンを開発することが可能である。
以下に示す実施例は如何なる様式でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
一般に、特に言及しない限り、これらの実施例では下記の材料と方法を用いた。
1.培地の処方および製造
ランブル鞭毛虫用培地(TYI−S−33)を、下記の材料を用いて調製した。
ランブル鞭毛虫用培地(TYI−S−33)を、下記の材料を用いて調製した。
g/L
カゼインの加水分解物(Gibco 152-0014M) 20.0
酵母エキス(BBL 11929) 10.0
デキストロース(無水) 10.0
NaCl 2.0
K2HPO4(無水) 1.0
KH2PO4(無水) 0.6
L−システイン(Sigma C 2529) 2.0
L−アスコルビン酸(Sigma A 4034) 0.2
牛の胆汁(Sigma B 3883) 0.8
特に明記されていない限り、化学品はBritish Drug Houses(BDH)から入手したものであった。
カゼインの加水分解物(Gibco 152-0014M) 20.0
酵母エキス(BBL 11929) 10.0
デキストロース(無水) 10.0
NaCl 2.0
K2HPO4(無水) 1.0
KH2PO4(無水) 0.6
L−システイン(Sigma C 2529) 2.0
L−アスコルビン酸(Sigma A 4034) 0.2
牛の胆汁(Sigma B 3883) 0.8
特に明記されていない限り、化学品はBritish Drug Houses(BDH)から入手したものであった。
上に示した乾燥材料を一緒にした後、必要になるまで暗所中4℃で貯蔵した。National Collection of Type Cultures、 Colindale、 England(NCTC)のビタミンミックス(Gibco Cat. #440-1100 EB)を、包装の指示に従って調製し、滅菌濾過(0.22μ)した後、30mLの一定分量として−20℃で貯蔵した。容積測定用フラスコを用い50mLの蒸留水(dH2O)の中に2.28g懸濁させることによって、クエン酸第二鉄アンモニウム溶液を調製した。この溶液は光に不安定なことから、暗所中4℃で貯蔵した。CLEX(牛胎児血清(FCS)代用品)を解凍した後、無菌の100mL一定分量として−20℃で貯蔵した(Dextran Products CLEX C-500)。
1リットルの培地に関して、撹拌棒が入っている1リットルのフラスコの中に870mLのdH2Oの半分を注ぎ込み、乾燥材料を加えた後、残りの水を用いてこの容器とフラスコの縁を濯いだ。次に、そのクエン酸第二鉄アンモニウム溶液の500mLを加えた。この培地が透明になるまで(通常2−3時間)この溶液を撹拌した後、5MのNaOHを用いてpHを6.8に調整した。この培地を無菌条件下で滅菌濾過(0.22μおよびプレフィルター)し、30mLのビタミンミックスと100mLのCLEXを加えた後、混合した。調製した培地を一定分量に分けた後、必要になるまで−20℃で貯蔵した。
2.ジアルジア属栄養型の凍結
下記の操作を用いてジアルジア属の栄養型を凍結した。ジアルジア属を増殖させて後期対数期に入らせた(72時間)。この管の側面上に存在している健康な栄養型を保持するように培地を注ぎ出した。新鮮な培地を注ぎ入れ、そしてこれらの管に氷上で10−15分間冷衝撃を与えた後、500xgで10分間4℃で遠心分離した。無菌条件下、14mLの培地をピペットで取り出し、約2mLを残すことにより、これらの栄養型を再懸濁した。この栄養型懸濁液の約0.9mLを、CLEX中20%のDMSOが0.9mL入っているクリオチューブに加えた。これらのクリオチューブを、液体N2に貯蔵するためのガラス管の中に入れ、そしてこれらを絶縁容器の中に入れた。この絶縁容器を最小で12時間そして最大で72時間−70℃の冷凍庫の中に入れた後、液体N2冷凍庫の中に入れた。
下記の操作を用いてジアルジア属の栄養型を凍結した。ジアルジア属を増殖させて後期対数期に入らせた(72時間)。この管の側面上に存在している健康な栄養型を保持するように培地を注ぎ出した。新鮮な培地を注ぎ入れ、そしてこれらの管に氷上で10−15分間冷衝撃を与えた後、500xgで10分間4℃で遠心分離した。無菌条件下、14mLの培地をピペットで取り出し、約2mLを残すことにより、これらの栄養型を再懸濁した。この栄養型懸濁液の約0.9mLを、CLEX中20%のDMSOが0.9mL入っているクリオチューブに加えた。これらのクリオチューブを、液体N2に貯蔵するためのガラス管の中に入れ、そしてこれらを絶縁容器の中に入れた。この絶縁容器を最小で12時間そして最大で72時間−70℃の冷凍庫の中に入れた後、液体N2冷凍庫の中に入れた。
クリオチューブを37℃の水浴の中に入れることで栄養型を急速解凍し、新鮮な培地の中に入れた後、最初の日は水平に培養し、24時間後継代培養し、そして通常に培養した。
3.ジアルジア属栄養型の継代培養
用いたランブル鞭毛虫株は、WB(人からの単離物、ATCC 30957)、S2(我々の実験室において羊から単離した株)、D3(我々の実験室において犬から単離した株)、およびN(我々の実験室においてBotwood、 Newfoundlandの飲料水から単離した株)であった。
用いたランブル鞭毛虫株は、WB(人からの単離物、ATCC 30957)、S2(我々の実験室において羊から単離した株)、D3(我々の実験室において犬から単離した株)、およびN(我々の実験室においてBotwood、 Newfoundlandの飲料水から単離した株)であった。
使用した全ての株のジアルジア栄養型を継代培養する目的で下記の操作を用いた。ジアルジア属を増殖させて後期対数期に入らせた(72時間)後、培養管を氷の中に10から15分間入れることで冷衝撃を与えた。層流れフード下、新鮮な培養管各々に約7−8mgのピペラシリン(Piperacillin)(Pipracil、 Lederle)を入れた後、新しい管各々に新鮮なTYI−S−33培地を15mL加えた。冷衝撃を与えた後、後期対数期のジアルジア属が入っている管を数回逆さにすることで、沈降および粘着している集団を混合した。1mLの無菌ピペットを用い、1mLの栄養型を取り出した後、その新しい培養管に加え、このピペットを1から2回フラッシュ洗浄した。新しい管をパラフィルム(Parafilm)でシールした後、直立させて37℃の培養器の中に入れた。継代培養を再び3から4日間行った。
二者択一的に、二重表面ガラス製のローラーボトル(Bellco Cat. #7730-38910)の中でジアルジア属栄養型を培養した。72時間の培養後、1mLの培養培地当たり106個の栄養型から成る濃度が容易に得られる。各々のローラーボトルは約650mLの培地を必要とした。如何なる大きな気泡も追い出してこのボトルを充分に満たす目的で、この培地を使用に先立って37℃に温めた。このボトルの上部で高濃度のピペラシリンに栄養型が暴露されるのを回避する目的で、この抗生物質を最初にいくらかの培地(最終濃度1mL当たり約0.5mgまで)の中に溶解させ、この溶液をそのボトルの中に注ぎ込み、このボトルにその培地を更に加えてその上部近くまで満たし、ジアルジア属を加え(上に示した如く冷衝撃を与えた最小で106個の栄養型)、このボトルの上部まで満たし、ピペットを用いて如何なる気泡も除去した後、このボトルをパラフィルムでしっかりと密封する。このローラーボトル装置(Wheaton Model III)をモーター出力の6−8%に設定(1分当たり2回の回転)して、ボトルを3−4日間培養した。
4.ジアルジア属栄養型の収穫
ジアルジア属の栄養型を下記の如く収穫した。ジアルジア属を増殖させて後期対数期に入らせた(72時間)後、管またはボトルを氷の上に置くことで(10mLの管および30mLの管では15−20分間、ローラーボトルでは45分間)冷衝撃を与えた。次に、管またはボトルを数回逆さにした後、この内容物を無菌遠心分離管またはボトルの中に注ぎ込む。これらを500xgで10分間4℃で高速回転させることにより、これらの栄養型をペレットにする。培地を取り出し、そしてこのペレットを無菌PBS(pH7.2)の中に再懸濁させることでこの培地の元の体積にした。この懸濁液を500xgで10分間4℃で高速回転させた。上澄み液を取り出し、そしてその栄養型を新鮮なPBSの中に再懸濁させた。PBS洗浄を全体で4回行った。最終的な高速回転を行った後、その栄養型を再懸濁させて、PBS中所望濃度とした。
ジアルジア属の栄養型を下記の如く収穫した。ジアルジア属を増殖させて後期対数期に入らせた(72時間)後、管またはボトルを氷の上に置くことで(10mLの管および30mLの管では15−20分間、ローラーボトルでは45分間)冷衝撃を与えた。次に、管またはボトルを数回逆さにした後、この内容物を無菌遠心分離管またはボトルの中に注ぎ込む。これらを500xgで10分間4℃で高速回転させることにより、これらの栄養型をペレットにする。培地を取り出し、そしてこのペレットを無菌PBS(pH7.2)の中に再懸濁させることでこの培地の元の体積にした。この懸濁液を500xgで10分間4℃で高速回転させた。上澄み液を取り出し、そしてその栄養型を新鮮なPBSの中に再懸濁させた。PBS洗浄を全体で4回行った。最終的な高速回転を行った後、その栄養型を再懸濁させて、PBS中所望濃度とした。
これらの栄養型に損傷を与えないように低速で遠心分離し、このようにして生じたペレットは非常に柔らかであり、そしてこれらの有機体は自動性を示す。このペレットそれ自身が再懸濁する前にその上澄み液を除去するような迅速な行動を取ることが重要である。
5.ジアルジア属栄養型の音波処理
Virsonic Cell Disrupterを用いてジアルジア属栄養型の音波処理を行った。20秒間の破壊を3回行うことで一般に充分である。血球計数器を用いて無傷の栄養型が存在していることを検査した。完全な崩壊が必要な場合、追加的破壊を用いた。常に栄養型を氷の上に保持し、そして破壊と破壊の間は、70%のエタノールを用いてその音波処理装置の先端を冷却した。音波処理物を一定分量に分けて−20℃で保存した。
Virsonic Cell Disrupterを用いてジアルジア属栄養型の音波処理を行った。20秒間の破壊を3回行うことで一般に充分である。血球計数器を用いて無傷の栄養型が存在していることを検査した。完全な崩壊が必要な場合、追加的破壊を用いた。常に栄養型を氷の上に保持し、そして破壊と破壊の間は、70%のエタノールを用いてその音波処理装置の先端を冷却した。音波処理物を一定分量に分けて−20℃で保存した。
6.全音波処理物ワクチンの製造
ジアルジア属の全音波処理物ワクチンを下記の如く製造した。その音波処理物の蛋白質濃度を測定(BIORAD蛋白質アッセイ)した後、無菌PBS中0.75mg/mLになるように調整した。この溶液を、前に記述したみょうばんを基とするアジュバントと4:1で混合することで、次の試験における動物の免疫化で用いた。
ジアルジア属の全音波処理物ワクチンを下記の如く製造した。その音波処理物の蛋白質濃度を測定(BIORAD蛋白質アッセイ)した後、無菌PBS中0.75mg/mLになるように調整した。この溶液を、前に記述したみょうばんを基とするアジュバントと4:1で混合することで、次の試験における動物の免疫化で用いた。
7.ジアルジア属トキシンの濃縮
Amicon装置(Model No. 8200)を用いてジアルジア属培地および非常に希釈されているサンプルを濃縮することで、有効なトキシン濃度を達成した。この装置では、指定MWカットオフが備わっている膜を通して水および低分子量(MW)粒子を追い出すようにN2圧力が用いられている。これらの試験で用いる膜YM−10は、10,000のMWカットオフを有している。この装置にはまた、この膜に蛋白質が詰まらないようにして水をより容易に通すことを可能にする撹拌棒が備わっている。
Amicon装置(Model No. 8200)を用いてジアルジア属培地および非常に希釈されているサンプルを濃縮することで、有効なトキシン濃度を達成した。この装置では、指定MWカットオフが備わっている膜を通して水および低分子量(MW)粒子を追い出すようにN2圧力が用いられている。これらの試験で用いる膜YM−10は、10,000のMWカットオフを有している。この装置にはまた、この膜に蛋白質が詰まらないようにして水をより容易に通すことを可能にする撹拌棒が備わっている。
同じ蛋白質に関しては、時には膜を2回以上用いた。使用後、これらの膜をdH2Oの中で濯いだ後、10%のエタノールの中で冷蔵した。新しい膜をdH2Oの中に1時間浸し、水を3回交換することで、この膜の防腐剤を除去した。
8.若い子猫モデル
モデル感染システムとして若い(6−8週)子猫を用いることの可能性に対する調査を、我々の初期研究として行った。ジアルジア属が存在していない状態であることを確かめる目的で、条件付けを行っている期間の間、これらの子猫の便に対して便浮選を数回行った。子猫(n=6)に麻酔をかけ、側腹切開を行って、これらの子猫に、1.0mLのPBS中1.0x106個のランブル鞭毛虫栄養型を十二指腸内接種した。2匹の子猫の各々に下記のランブル鞭毛虫株を受けさせた。1)WB株(充分に特徴付けされている人からの単離物、ATCC 30957);2)S2株(我々の実験室が羊から単離した株);または3)D3株(我々の実験室が犬から単離した株)。
モデル感染システムとして若い(6−8週)子猫を用いることの可能性に対する調査を、我々の初期研究として行った。ジアルジア属が存在していない状態であることを確かめる目的で、条件付けを行っている期間の間、これらの子猫の便に対して便浮選を数回行った。子猫(n=6)に麻酔をかけ、側腹切開を行って、これらの子猫に、1.0mLのPBS中1.0x106個のランブル鞭毛虫栄養型を十二指腸内接種した。2匹の子猫の各々に下記のランブル鞭毛虫株を受けさせた。1)WB株(充分に特徴付けされている人からの単離物、ATCC 30957);2)S2株(我々の実験室が羊から単離した株);または3)D3株(我々の実験室が犬から単離した株)。
臨床的な兆候を監視し、感染直後7日間の間、のう子に関する便検査を4回行った(表1)。音波処理した個々のジアルジア属株(即ちそれぞれWB、S2、D3)に対するIgMタイターおよびIgGタイター(表2)を測定する目的で、実験的感染を行ったその日と7日後(と殺した日)に血清サンプルを採取した。各々の子猫から得た長さが1.0cmの十二指腸に関して栄養型の数測定を行い、そして組織サンプルを採取して光顕微鏡および電子顕微鏡で検査した。胆汁と粘膜切屑を集め、そして後の局所的免疫学応答試験および酵素アッセイを行う目的で冷凍(−70℃)保存した。
WBおよびS2に感染させた子猫の十二指腸、空腸および回腸(より低い度合)の中に、ランブル鞭毛虫に典型的な形態を有する原生動物寄生性生物が見られた。これらの顕微鏡技術のいずれを用いても、D3に感染させた子猫の中には栄養型の証拠は全く見られなかった。このような試験的調査を基にして、更に一層の試験で子猫感染モデルを用いることを決定した、と言うのは、このモデルでは、ジアルジア属株が感染して臨床的兆候を生じるからである。
9. 酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)
2mMのEDTA中、1体積当たり10重量%で組織を均一化することによって、猫および犬の腸粘膜均一サンプルを調製した後、−80℃で貯蔵した。サンプルを解凍し、PEPBS(2mMのEDTA、1mMのPMSF)で1:2(猫)または1:1(犬)に希釈し、この混合物を18Gの針に5回通すことで分散させた後、17,000xgで20分間高速回転させた。可溶蛋白質画分を含んでいる上澄み液を用いてこのELISAを行った。血清および胆汁サンプルを−80℃で保存し、解凍し、PEPBSで2倍希釈し、遠心分離にかけた後、このELISAの実施で用いる目的で上澄み液を取り出した。全てのサンプルに関して重複分析を行った。
2mMのEDTA中、1体積当たり10重量%で組織を均一化することによって、猫および犬の腸粘膜均一サンプルを調製した後、−80℃で貯蔵した。サンプルを解凍し、PEPBS(2mMのEDTA、1mMのPMSF)で1:2(猫)または1:1(犬)に希釈し、この混合物を18Gの針に5回通すことで分散させた後、17,000xgで20分間高速回転させた。可溶蛋白質画分を含んでいる上澄み液を用いてこのELISAを行った。血清および胆汁サンプルを−80℃で保存し、解凍し、PEPBSで2倍希釈し、遠心分離にかけた後、このELISAの実施で用いる目的で上澄み液を取り出した。全てのサンプルに関して重複分析を行った。
PBS中2%の、ガンマグロブリンが入っていないFCSを用い、37℃で1時間、3回洗浄を行うことにより、イヌIgG血清アッセイ以外の全てのアッセイに関するブロッキングを行った。イヌIgG血清アッセイでは、PBS中10%のスキンミルク粉末を用いたブロッキングを37℃で1時間行った。
ネコIgGアッセイでは、その抗原として、音波処理したジアルジア属(S2)を用いた。音波処理したS2(PBS中0.2mg/mL)を各々のウエル(ウエル1個当たり100μL)に加えた後、4℃で一晩培養した。次に、これらのウエルをPBS−Tweenで洗浄(3回)した。上に記述した如く調製した血清、胆汁または腸粘膜上澄み液を、その一次抗体として用いた(37℃、1時間、3回の洗浄)。その二次抗体として、ヤギ抗ネコIgG−HRP(KPL cat. #042002)をPBS中に1:1000で希釈したものを用いた(37℃、1時間、4回の洗浄)。
IgAネコアッセイでは、その抗原として、音波処理したジアルジア属S2株を用いた。上に記述した如く調製した血清、胆汁または腸粘膜上澄み液を、その一次抗体として用いた。その二次抗体として、ヤギ抗ネコIgA(Bethyl Lab. cat. #A20-101)をPBS中に1:250で希釈したものを用いた(37℃、1時間、4回の洗浄)。その三次抗体として、ラビット抗ヤギIgA−HRP(Sigma cat. #A-4174)をPBS中に1:500で希釈したものを用いた(37℃、1時間、4回の洗浄)。
イヌのアッセイでは、ネコのアッセイで記述した如く、音波処理したジアルジア属S2株を用いてそのウエルをコートした。上に記述した如く調製した血清、胆汁または腸粘膜上澄み液を、その一次抗体として用いた。その二次抗体として、ヤギ抗イヌIgG−HRP(KPL cat. #041902)またはヤギ抗イヌIgA−HRP(Bethyl Lab. cat. #A40-104P)をPBS中に1:1000で希釈したものを用いた。
株の選択および保存
我々の標準的実験室方法を用いて、TYI−S−33培地が入っている管中インビトロで、種々のランブル鞭毛虫株を増殖させた。一次および二次ストックを−70℃で凍結させて保存した。これらの3種のランブル鞭毛虫株(WB、S2、D3)の増殖曲線を測定(図1)し、そしてこれらを、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のトキシン応答(細胞伸長)に対して比較した(図2−4)。D3は最も印象的な増殖特性を示したが、これらの3種全ての株は、インビトロで適当な増殖能力を示し、標的動物種に感染する能力を有すると共に、CHO細胞に毒性効果を示すことから、明らかに有望であった。
我々の標準的実験室方法を用いて、TYI−S−33培地が入っている管中インビトロで、種々のランブル鞭毛虫株を増殖させた。一次および二次ストックを−70℃で凍結させて保存した。これらの3種のランブル鞭毛虫株(WB、S2、D3)の増殖曲線を測定(図1)し、そしてこれらを、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のトキシン応答(細胞伸長)に対して比較した(図2−4)。D3は最も印象的な増殖特性を示したが、これらの3種全ての株は、インビトロで適当な増殖能力を示し、標的動物種に感染する能力を有すると共に、CHO細胞に毒性効果を示すことから、明らかに有望であった。
子猫の予防接種−実験的感染
この調査では、下記の実験グループを確立した:グループA−上に記述したアジュバントの0.2mLと0.8mLのPBSを皮下投与することで7匹の子猫の模擬免疫化を行った後、28日後に、1.0mLのPBS中1x106個の生存能力のある栄養型を十二指腸内接種することによって、ランブル鞭毛虫株S2に感染させたグループ;グループB−0.2mLのアジュバントとS2の濃縮(10x)培養物の上澄み液の0.8mL(750μgの蛋白質/mL、そしてCHO細胞毒性活性を示すことが示されたもの)を皮下投与することで3匹の子猫に予防接種し、21日後に同じ調合物をブースター投与した後、28日後にS2で十二指腸内感染させたグループ;グループC−0.2mLのアジュバントと音波処理した全S2栄養型の0.8mL(750μgの蛋白質/mL)を皮下投与することで8匹の子猫に予防接種し、21日後に同じ調合物をブースター投与した後、28日後にS2で十二指腸内感染させたグループ。
この調査では、下記の実験グループを確立した:グループA−上に記述したアジュバントの0.2mLと0.8mLのPBSを皮下投与することで7匹の子猫の模擬免疫化を行った後、28日後に、1.0mLのPBS中1x106個の生存能力のある栄養型を十二指腸内接種することによって、ランブル鞭毛虫株S2に感染させたグループ;グループB−0.2mLのアジュバントとS2の濃縮(10x)培養物の上澄み液の0.8mL(750μgの蛋白質/mL、そしてCHO細胞毒性活性を示すことが示されたもの)を皮下投与することで3匹の子猫に予防接種し、21日後に同じ調合物をブースター投与した後、28日後にS2で十二指腸内感染させたグループ;グループC−0.2mLのアジュバントと音波処理した全S2栄養型の0.8mL(750μgの蛋白質/mL)を皮下投与することで8匹の子猫に予防接種し、21日後に同じ調合物をブースター投与した後、28日後にS2で十二指腸内感染させたグループ。
臨床的兆候を監視し、そして感染後42日間、定量的に便のう子数を毎日数えた。これらの子猫の体重を毎日測定し、予防接種していないグループ(グループA)とS2音波処理物ワクチンのグループ(グループC)に関する成長曲線を生じさせた。血清サンプルを毎週および死後入手して、IgGのELISAタイターを測定した。安楽死させた後、腸サンプル(十二指腸、空腸、回腸)を取り出して、栄養型数、光顕微鏡および電子顕微鏡測定を行った。粘膜切屑、血清サンプルおよび胆汁を採取し、凍結(−70℃)貯蔵することで、免疫学的分析および酵素的調査を行った。
この試験において、全ての子猫で、間欠的下痢または軟便が不規則に見られた。予防接種していない動物と予防接種した動物の間には、ひどさに関する差は観察されなかった。予防接種していないグループA、および音波処理したS2で予防接種したグループBに関する、ランブル鞭毛虫感染させた後の体重上昇データを図5に示す。予防接種した子猫は、予防接種していない対照に比べて、この試験期間中有意に体重が上昇した。血清IgGのELISAで測定した、上記3種の実験グループの子猫に関する免疫学的応答を図6に示す。グループB(トキシンで免疫化した)およびグループC(音波処理したS2で免疫化した)の両方共、免疫化およびブースター投与に典型的な応答である、血清IgGの有意な上昇を示した。これらの免疫化した動物をジアルジア属に後感染させた時見られるタイター上昇は、最小限のみであった。それとは対照的に、グループA、即ち免疫化しないで感染させた子猫は、感染させた後でのみ応答を示したが、これの血清タイターの上昇は最小限であった。図6にはまた、免疫化せずそして感染させていない子猫1匹(n=1)に関するIgGタイターも含める。全ての子猫の十二指腸、空腸および回腸から得られる1.0cmの腸セグメントに対して、腸栄養型数を数えた。その結果を図7に示す。音波処理したS2栄養型を用いた免疫化(グループC)では、予防接種していない子猫(グループA)と比較して、十二指腸および空腸の腸内腔内に存在している栄養型の数が減少していた。トキシンで免疫化した(グループB)の動物で得られるデータは、説得力の低いものである、と言うのは、恐らくは、このグループの「n値」が比較的小さい(n=3)ことによるものであろう。二者択一的に、トキシン単独を用いた免疫化は、感染を生じさせることなく症状を防止するか、或はより多い服用量のトキシンはより高い効果を示し得る。興味の持たれることに、家庭用猫のジアルジア鞭毛虫症に関して典型的に記述されているようには30、回腸の中に栄養型を見付け出すのは容易でなかった。上に記述した腸栄養型データに関する変化もまた図8に示し、ここでは、栄養型が見られる腸サンプルのパーセントを実験グループの中で比較する。ジアルジア属栄養型の存在に関して、音波処理したS2で免疫化した(グループC)子猫では、免疫化していない(グループA)およびトキシンで免疫化した(グループB)子猫に比較して、腸サンプルの比較的低いパーセントが陽性を示した。
音波処理したS2栄養型を用いた免疫化により、子猫ののう子排泄のひどさが低下した。
選択した腸組織サンプルの顕微鏡検査により、免疫化していない子猫の中には栄養型が存在していたが、音波処理したS2で免疫化した子猫に関しては全くか或はほとんど存在が観察されなかった。
血清および腸粘膜内のIgAレベルに関する免疫学的試験結果を表4に示す。予防接種せずそしてチャレンジしていない動物では全くIgA応答が記録されなかった。S2音波処理物で予防接種した後、チャレンジした動物では、強いIgA応答が記録された。それとは対照的に、予防接種しないでチャレンジした動物が示すIgA応答は弱かった。トキシンで予防接種した後、チャレンジした動物では、中程度のIgA応答があった。このように、予防接種は、自然感染よりも強力なIgA免疫応答を引き出した。予防接種をせずそしてチャレンジしていない動物を含む、全ての胆汁サンプルにおいて、非特異的免疫応答が記録された。
犬の予防接種−実験的感染
音波処理したジアルジア属株S2を用いた犬の予防接種の効果に関する試験を下記の如く行った。8から10週令の子犬4匹から成る2つのグループを用いた。1つのグループの動物(番号1から4)には、上に記述した如く調製した音波処理ジアルジア属株S2が入っているワクチンを皮下注射した(1日)。上に記述したアジュバントの0.2mLと0.8mLのPBSの中に600μgの蛋白質が含まれているワクチンを、各々の動物に受けさせた。もう1つのグループ(番号5から8)には予防接種を行わなかった。
音波処理したジアルジア属株S2を用いた犬の予防接種の効果に関する試験を下記の如く行った。8から10週令の子犬4匹から成る2つのグループを用いた。1つのグループの動物(番号1から4)には、上に記述した如く調製した音波処理ジアルジア属株S2が入っているワクチンを皮下注射した(1日)。上に記述したアジュバントの0.2mLと0.8mLのPBSの中に600μgの蛋白質が含まれているワクチンを、各々の動物に受けさせた。もう1つのグループ(番号5から8)には予防接種を行わなかった。
3週間後(21日)、動物1から4に、上と同じジアルジア属ワクチンの補助予防接種を受けさせた。動物5から8には予防接種を行わなかった。28日目、全ての子犬に、4x106個のランブル鞭毛虫株N栄養型のチャレンジを行った。株Nは犬に高い感染性を示すことからこれを用いた。この挑戦用有機体を、1.0mLのPBSの中に入れて十二指腸内投与した。結果は、ジアルジア属株S2を用いた免疫化は、ジアルジア属株Nの感染に対して交差防御性を示すことを示している。
チャレンジを行った後、血液サンプルを週毎に採取し、そして全ての動物を56日目にと殺するまで、堅さおよびのう子排出に関して便を毎日検査した。
予防接種は下痢に対して犬を保護しており、予防接種した動物が示す下痢は平均で2.2±1.5日である一方、予防接種していない動物が示す下痢は平均で8.2±5.6日であった。
のう子の排出データは、予防接種した動物が排出するのう子数は予防接種していない動物よりも少ないことを示していた。結果を図9に示す。
長さが1cmの腸セグメントをPBSの中に懸濁させ、そして37℃で1時間振とうした。血球計数器を用いて栄養型の数を数えた。結果を表5に示す。予防接種により、免疫化した動物の腸の全ての領域でジアルジア属栄養型がなくなっていた。
このワクチンは、ジアルジア属に対して特異的な血清および粘膜免疫応答を誘発した。予防接種後3週間で始まる、このワクチンに対する強力な血清IgG応答が存在していた。それとは対照的に、予防接種していない犬は、感染4週間後に弱い応答を示したのみであった。
予防接種して6週でチャレンジした時、若干から中程度の血清IgA応答が存在していたが、予防接種していない動物では全く血清IgA応答がなかった。両方のグループ共、死後、胆汁中に検出可能なIgAを有していた。予防接種した動物および予防接種していない動物の十二指腸および回腸の中でIgAが検出された。
トキシンの産生、精製およびアッセイ
ランブル鞭毛虫のWB単離物を、NCTC−109ビタミンミックス(3%)、CLEX(10%)、胆汁(0.8g/L)およびピペラシリンを補ったTYI−S−33培地中37℃で10日間培養した。3日の間隔で移しながら、培養物を対数期に維持した。10日後、この培地(「条件付けした培地」)を3,000xgで15分間遠心分離し、無菌濾過(0.22μのフィルター−Nalgene Co.)した後、YM−10膜フィルターが備わっているAmicon装置を用いて濃縮した。
ランブル鞭毛虫のWB単離物を、NCTC−109ビタミンミックス(3%)、CLEX(10%)、胆汁(0.8g/L)およびピペラシリンを補ったTYI−S−33培地中37℃で10日間培養した。3日の間隔で移しながら、培養物を対数期に維持した。10日後、この培地(「条件付けした培地」)を3,000xgで15分間遠心分離し、無菌濾過(0.22μのフィルター−Nalgene Co.)した後、YM−10膜フィルターが備わっているAmicon装置を用いて濃縮した。
チャイニーズハムスター卵巣細胞系CHO−K1(ATCC No. CCL61)を、相対湿度が90%の37℃で、5%のCO2中、アミノ酸類と共に10%の牛胎児血清(FCS)および0.5%のペニシリンとストレプトマイシンを補ったイーグルのアルファ最少必須培地(MEM)の中で増殖させた。
形態学的試験に関して、96個のウエルが備わっている組織培養プレート(Linbro Corp.)の各々のウエルに、200μLの培地中5x103個のCHO細胞から成る懸濁液を入れた後、5%のCO2中37℃で48時間培養した。各々のウエルの中の培地をピペットで集めて、150μLの新鮮な培地で置換した。試験すべき基質の50μLを、第一列のウエルに加え、そしてこの列の最後に至るまで、連続的な4倍希釈を行った(12個のウエル)。このプレートを再び48時間培養した。次に、各々のウエルをギムザ染色で染色し、そして長く伸びた細胞のパーセントを測定した。このグラフ上の形態学データ各々は、数を数えた500個の細胞から長く伸びた細胞の平均パーセントを表している(図10)。ランブル鞭毛虫の濃縮培地に関する分析結果を、ジアルジア属が入っていない濃縮培地の対照と比較した。コレラトキシン(Sigma Corp.)および百日咳トキシンを正の対照として用いた。コレラトキシンは、特徴的な伸長反応を引き出し、そして百日咳トキシンは、特徴的な凝集反応を引き出す。
CHO細胞の形態に対する、これらの濾液の希釈度を変化させることによる効果を、図10に示す。濃縮したジアルジア属10日培地(GM)に暴露した後の細胞の伸長率は顕著である。同じ希釈度の濃縮対照無菌培地(CM)に暴露した時、CHO細胞はまた伸長を示したが同じ度合ではなかった。このCMは、より高い濃度のときある程度の形態学的応答を示し、元の濃度の0.25倍の濃度のとき最大の応答が得られたが、それでもCHO細胞の31.6%のみの伸長であった。このGMは、より高い濃度の時ずっと大きな効果をCHO細胞形態にもたらし(元の濃度の0.25倍の時75%)、そしてまた、非常に低い濃度でも伸長を生じさせた。元の濃縮したジアルジア属培地の1.5x10−5以上の濃度の時、CHO細胞の伸長が生じた。第一希釈の後GMを上昇させることによってその伸長が生じた後、希釈するにつれて減少し始めた(図10)。
10個の培養管の中に入っている16.0mLの新鮮なTYI−S−33培地の中に、0日の時、500,000個の栄養型を接種した。1つの管をランダムに選択して栄養型の数を毎日数えた。この培地のサンプル2.0mLを取り出した後、0.22μのフィルター(Costar Corp.)を用いて無菌濾過した。この滅菌した培養培地の1mLを4℃で冷蔵し、そして他方の1.0mLを−70℃で冷凍した。この操作を8日間繰り返した。集めた培養培地の画分各々を、上に記述した如きCHO細胞バイオアッセイで分析した。
健康な対数期のジアルジア属栄養型を、20mMのトリス緩衝液(pH6.0)で2回洗浄し、5,000xgで15分間遠心分離した後、1.0mLの緩衝液の中に再懸濁させた。次に、15秒の破壊1回で、これらの栄養型を音波処理し、そしてこの音波処理物を、生存している栄養型に関して光顕微鏡で試験した。シトゾル内容物を集める目的で、その音波処理物を0.22μのフィルター(Costar Corp.)で濾過した。このフィルターを1.0mLの緩衝液で逆洗浄することにより、それらの膜とシトゾル画分を集めた。この緩衝液、シトゾル画分および膜画分を、CHO細胞バイオアッセイにより、毒性活性に関して分析した。 増殖培地(GM)タイターとジアルジア属増殖の曲線関係を、図11に示す。これらのジアルジア属栄養型は分割して、対数様式で数が上昇した。1日目では、遅滞期の証拠が存在しており、2日目には促進期に入り、そして3日目には減速期に入る。その後、この栄養型の数は一定して少なくなる。これらの栄養型の数は3日で最大値に到達し4x107個であった。この培地のタイターは1日後上昇し始め、そしてこれらの栄養型の増殖段階の間上昇した。3日後、この栄養型数は少なくなり始めた時、このタイターは上昇し続けた。
ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲルの電気泳動法(SDS−PAGE)を用いて、トキシン培地内の蛋白質を分離した。このゲルを、クーマシーブリリアントブルーで染色した。この対照培地を、ジアルジア属音波処理物(シトゾル内容物)、その中で3、4、5、6、7、10および25日間増殖させたランブル鞭毛虫が入っているトキシン培地、並びにFCSと比較した。トキシンが入っている培地は、分子量が約22、32、38、39の蛋白質と、97kDa以上の分子量を有する蛋白質を含んでいるが、これらは、対照培地の中には存在していない。
そのトリス緩衝液、並びにその音波処理した栄養型から得られる膜および細胞骨格画分は、毒性活性に関して陰性であった。そのシトゾル画分は、その最大濃度で細胞の死滅を生じさせ、そしてより低い濃度では細胞を生存させそして伸長させた。このような発見は、GMを用いたとき得られる結果と類似している。
トキシン産生に対する胆汁の効果を図12に示す。胆汁が入っている培地の中で増殖させたジアルジア属は、CHO細胞伸長で測定して、トキシンを産生した。胆汁無しの培地で増殖させたジアルジア属は産生しなかった。
成体猫の免疫化
3種のランブル鞭毛虫株の抽出物を用いた免疫化に対する成長した猫の免疫学的応答を調査する目的で追加的試験を行った。12匹の成体猫を、音波処理したランブル鞭毛虫株WB(373μgの蛋白質/mL)(n=4)、S2(864μgの蛋白質/mL)(n=4)およびD3(120μgの蛋白質/mL)(n=4)で免疫化した。前に記述したアジュバントの0.2mLと0.8mLの音波処理物から成るワクチンの1.0mLを皮下注射で受けさせることにより、猫の予防接種を行った。21日後、これらの猫にブースター投与し、そして更に21日後2回目の補助投与を行った。免疫化前の血液サンプルを採取し、そして全ての猫に関して、各々の促進免疫化後7日で、IgGのELISAのためのサンプリングを行った。以下に示す表(表6)は、この試験で得られる免疫学的データの要約である。成熟した猫は、上の実験(即ち表2)で記述した若い子猫よりも高い、ジアルジア属に対する初期IgGタイターを示し、そしてこれらの成熟した猫は、IgGタイターが有意に上昇すると共に予防接種に対する応答を示した。
3種のランブル鞭毛虫株の抽出物を用いた免疫化に対する成長した猫の免疫学的応答を調査する目的で追加的試験を行った。12匹の成体猫を、音波処理したランブル鞭毛虫株WB(373μgの蛋白質/mL)(n=4)、S2(864μgの蛋白質/mL)(n=4)およびD3(120μgの蛋白質/mL)(n=4)で免疫化した。前に記述したアジュバントの0.2mLと0.8mLの音波処理物から成るワクチンの1.0mLを皮下注射で受けさせることにより、猫の予防接種を行った。21日後、これらの猫にブースター投与し、そして更に21日後2回目の補助投与を行った。免疫化前の血液サンプルを採取し、そして全ての猫に関して、各々の促進免疫化後7日で、IgGのELISAのためのサンプリングを行った。以下に示す表(表6)は、この試験で得られる免疫学的データの要約である。成熟した猫は、上の実験(即ち表2)で記述した若い子猫よりも高い、ジアルジア属に対する初期IgGタイターを示し、そしてこれらの成熟した猫は、IgGタイターが有意に上昇すると共に予防接種に対する応答を示した。
子羊の免疫化
平均体重が18kgの、Caesarean誘導子羊の5匹を、Agriculture Canada、 Lethbridge、 Alberta、 Canadaの羊(Romanof交雑種)集団から選択した。最初の予防接種を行うその日に、免疫化前の血液サンプルを採取した。次に、これらの子羊に、1mLのワクチンを筋肉内注射(IM)で接種した。このワクチンは、前に記述した如く調製した音波処理ランブル鞭毛虫栄養型(S2株)の0.8mLを用い、その前日に再懸濁して、1mLのPBS(燐酸塩緩衝食塩水)当たり0.75mgの蛋白質を得るように調製したものであった。次に、この音波処理した溶液を、みょうばんを基としたアジュバントの0.2mLに加えることにより、最終蛋白濃度である0.6mg/mLを得た。
平均体重が18kgの、Caesarean誘導子羊の5匹を、Agriculture Canada、 Lethbridge、 Alberta、 Canadaの羊(Romanof交雑種)集団から選択した。最初の予防接種を行うその日に、免疫化前の血液サンプルを採取した。次に、これらの子羊に、1mLのワクチンを筋肉内注射(IM)で接種した。このワクチンは、前に記述した如く調製した音波処理ランブル鞭毛虫栄養型(S2株)の0.8mLを用い、その前日に再懸濁して、1mLのPBS(燐酸塩緩衝食塩水)当たり0.75mgの蛋白質を得るように調製したものであった。次に、この音波処理した溶液を、みょうばんを基としたアジュバントの0.2mLに加えることにより、最終蛋白濃度である0.6mg/mLを得た。
3週間後、別の血液サンプルを採取した後、これらの子羊に、最初の注射と同じ2番目の注射(補助服用)をまたIMで受けさせた。その最初の接種後55週および70週で、血液サンプルを採取した。この注射した部位を定期的に監視したが、異常な反応は全く観察されなかった。
採血した後直ぐこの血液を遠心分離にかけ、そして分析するまで血清を凍結した。ランブル鞭毛虫に特異的な抗体タイターの検出をELISA(酵素結合イムノソルベント検定法)試験を用いて行った。重複してサンプルを実験した。ラビット抗−ヒツジIgG HRP接合試薬(ICN Cat. #674531)を二次抗体として用いる以外は前に記述したネコIgGアッセイと同じ様式で、このELISAを行った。負の対照として0週を用いた。タイターの結果を表7に示す。
これらの子羊は、このワクチンを1回接種した後でさえ、ランブル鞭毛虫に対して有意に抗体タイターを上昇した。3週目に行ったブースター接種により、この初期の免疫応答が上昇した。
10XのTYI−S−33で条件付けした培地の硫酸アンモニウム分別
ランブル鞭毛虫のS2単離物を実施例5に記述したのと同様にして培養した。10倍濃度のTYI−S−33で条件付けした培地と対照培地を、前に記述した如きCHO伸長アッセイにおけるトキシン活性に関して、0−40%、40−60%、60−80%の硫酸アンモニウムペレット、80−100%の上澄み液および100%の硫酸アンモニウムペレットに対して比較した。結果を表8に示す。CHO細胞の50%伸長を生じさせる10X培地の最大希釈度として活性を定義した。
ランブル鞭毛虫のS2単離物を実施例5に記述したのと同様にして培養した。10倍濃度のTYI−S−33で条件付けした培地と対照培地を、前に記述した如きCHO伸長アッセイにおけるトキシン活性に関して、0−40%、40−60%、60−80%の硫酸アンモニウムペレット、80−100%の上澄み液および100%の硫酸アンモニウムペレットに対して比較した。結果を表8に示す。CHO細胞の50%伸長を生じさせる10X培地の最大希釈度として活性を定義した。
硫酸アンモニウム分別により115.9倍(6400/55.2)の精製度が得られた。回収は10%であった。
活性を示す画分をSDS−PAGEゲルの上を流した。対照培地にも条件付けした培地にも検出されないユニークな帯が、硫酸アンモニウム画分の中に見られた。これらの帯は、65−50kDa、42−36kDa、28−25kDaおよび20−16kDaの範囲の分子量を有している。他の蛋白質も存在し得るが検出不可能である。
子犬および子猫の免疫化
子犬(33)と子猫(33)をランダムに割り当てて、予防接種グループ(20匹の子犬と20匹の子猫)、対照の予防接種無しグループ(10匹の子犬と10匹の子猫)および対照の処置無しグループ(3匹の子犬と3匹の子猫)を生じさせた。0日および21日目に、胆汁が入っている培地の中で増殖させたジアルジア属S2栄養型を含んでいるジアルジア属ワクチンの1.0mLを、20匹の子犬と20匹の子猫に皮下予防接種した。予防接種無しの対照グループには食塩水のみを受けさせた。
子犬(33)と子猫(33)をランダムに割り当てて、予防接種グループ(20匹の子犬と20匹の子猫)、対照の予防接種無しグループ(10匹の子犬と10匹の子猫)および対照の処置無しグループ(3匹の子犬と3匹の子猫)を生じさせた。0日および21日目に、胆汁が入っている培地の中で増殖させたジアルジア属S2栄養型を含んでいるジアルジア属ワクチンの1.0mLを、20匹の子犬と20匹の子猫に皮下予防接種した。予防接種無しの対照グループには食塩水のみを受けさせた。
ポリスチレン製のボトル(1.2から2.5L)の中に入っている胆汁を含む培地の中で栄養型を培養し、34から37℃で48から96時間培養することによって、ワクチンの調製を行った。ボトルを24時間以内に2から7℃に冷却することで、栄養型が脱離して増殖表面を生じるのを可能にした。栄養型を収穫した後、連続流のローター遠心分離で濃縮した。次に、この濃縮した栄養型を遠心分離にかけ、冷標準食塩水で2回洗浄した後、元の培養体積の5から10%になるように再懸濁した。この懸濁液を高圧ホモジェナイザーにより2回均一化することにより、栄養型の全体的崩壊を達成した。この均一化させた懸濁液が含んでいる全蛋白質は1mL当たり200μg以上であった(Biorad蛋白質アッセイ)。ワクチンの各々1.0mLは、0.9mLの標準食塩水と0.1mLのみょうばんを基とするアジュバントの中に蛋白質を150μg含んでいた。
35日目、この予防接種したグループと対照の予防接種無しグループに、100万個のランブル鞭毛虫栄養型を用いた十二指腸内接種の挑戦を行った。ジアルジア属S2株を用いた挑戦を子猫に行い、そしてN株を用いた挑戦を子犬に行った。この病気に関する35日から56日の臨床的症状(下痢、食欲不振、活動)を毎日記録し、そして動物の体重を毎週測定した。便のサンプルを毎週採取し、便ののう子の数を数えた。第一予防接種の前およびこの試験全体を通して週毎に採血して、血清抗体レベルを測定した。56日目、動物を安楽死させた後、十二指腸、空腸および回腸のセグメントを取り出して、栄養型の数を数えた。
予防接種した子犬の軟便は12.3±1.3日であり、そして下痢は0.2±0.1日であったが、予防接種しなかった子犬の軟便は15.1±1.3日であり、そして下痢は0.6±0.2日であった。予防接種した子猫の軟便は2.85±0.60日であったが、予防接種しなかった子猫の軟便は4.4±0.9日であった。従って、予防接種した動物に下痢または軟便が生じる回数は減少していた。
活動に関しては予防接種動物と対照動物の間には差が見られなかった。
予防接種した子犬と予防接種しなかった子犬との間には、上昇率の差は存在していなかった。予防接種しなかった子猫は、予防接種した動物に比較して、感染後期間の間成長の遅れを示した(図13)。
感染前および感染後期間の間のう子の数を数えた。予防接種した動物は便にのう子を排泄しないか、或はのう子排泄を示した期間は短かった。予防接種しなかった動物は、より長い期間に渡ってより多くの数ののう子を排泄した。
予防接種しなかった動物はより大きな比率でジアルジア属ののう子を排出した。子犬でのう子を排出したのは、予防接種した動物では0−5%であるのに比較して、予防接種しなかった動物では20−80%であった。子猫でのう子を排出したのは、予防接種した動物では0−35%であるのに比較して、予防接種しなかった動物では40−80%であった。
予防接種した子猫と予防接種しなかった子猫に関して、のう子の生存能力を評価した。これらののう子をメチレンブルーで染色した後これらののう子が染料を吸収するのを観察することによって上記を達成した。生存能力損失の指示である空胞化および異常構造に関しても、のう子を検査した。のう子が排泄された時ののう子の生存能力は、予防接種した動物では38.8%±5.0%であり、そして予防接種しなかった子猫では99.9%±0.1%であった。
剖検時に、前の実施例に記述した方法を用いて、十二指腸、空腸および回腸内の栄養型の数を数えた。これらの数および対数変換した数を表9から12に示す。予防接種した動物の栄養型出現率および栄養型数は、予防接種しなかった動物よりも低かった。
この試験の最後に、予防接種した子犬の中でその寄生性生物に感染したのは、これらの動物の5−10%であったが、予防接種した子猫の中で感染したのは、これらの動物の0−5%であった。予防接種しなかった動物の中でその寄生性生物に感染したのは、これらの子犬の80−90%であり、そしてこれらの子猫の30−60%であった。
前の実施例に記述した方法を用いて抗体測定を行った。予防接種した動物では体液免疫が明確な一方、予防接種しなかった動物が示すジアルジア属寄生性生物に対する応答は劣っていた。子猫における感染前および感染後期間中の血清IgG応答を図14に示す。
本文中に示した如き本発明の教示を受けた後の本分野の技術者に、本発明の種々の具体例を実施する上記様式の修飾形が明らかになるであろう。上に記述した実施例は制限するものではなく単に本発明を例示するものであり、請求の範囲で本発明の範囲を定義する。
Claims (14)
- 防御免疫原性を示すように胆汁が入っている培地の中で培養したジアルジア(Giardia)のワクチン株を含んでなるが、但し、ワクチン組成物。
- a)胆汁が入っている増殖用培地中インビトロ(in vitro)でジアルジア(Giardia)の株を培養し、防御免疫原性を示すワクチン株を生じさせる工程、および
b)その得られるワクチン株を単離する工程、
を含んでなる、ジアルジア(Giardia)のワクチン株を含んでなるワクチン組成物の製造方法。 - 防御免疫原性を示すように胆汁が入っている培地の中で培養したジアルジア(Giardia)のワクチン株、該ジアルジア(Giardia)のワクチン株のサブユニット含有画分、該ジアルジア(Giardia)のワクチン株のトキシン含有画分、およびそれらの組み合わせ物から成る群から選択される免疫原を防御免疫原性量で含んでなる、インビボ(in vivo)投与されたとき腸原生動物に対する防御免疫を与えるワクチン組成物。
- 野生または家畜動物、食物製造で用いられる動物、人、犬、猫または鳥種で用いるに適合している請求項3に記載の組成物。
- 上記組成物内の上記腸原生動物以外の腸原生動物門に対して交差防御免疫を与える請求項3に記載の組成物。
- a)防御免疫原性を示すように胆汁が入っている培地の中で培養したジアルジア(Giardia)のワクチン株を用意する工程、および
b)上記ワクチン株と製薬上許容される担体とを一緒にする工程、
を含んでなる、ワクチン組成物の製造方法。 - 防御免疫原性を示すように胆汁が入っている培地の中で培養した、腸原生動物の感染の原因となるジアルジア(Giardia)のワクチン株、該ジアルジア(Giardia)のワクチン株のサブユニット含有画分、該ジアルジア(Giardia)のワクチン株のトキシン含有画分、およびそれらの組み合わせ物から成る群から選択される免疫原を有効量で含んでいる少なくとも1つの服用量を動物に投与することを含んでなる、ヒト以外の動物における腸原生動物の感染を予防または治療する方法。
- 上記有効量が、生存能力のある腸原生動物のシストが動物内で落ちるのを防止するに充分な量である請求項7に記載の方法。
- 上記投与を、症状を示すか或は症状を示さない動物に対して行い、そして上記有効量が、上記動物の成長速度を上昇させるに充分である請求項7に記載の方法。
- 上記投与を、食物製造で用いられる動物に対して行い、そして上記有効量が、上記動物における飼料変換率を上昇させるに充分である請求項7に記載の方法。
- a)胆汁が入っている培地中インビトロ(in vitro)でジアルジア(Giardia)の株を増殖させることによって培養物を調製する工程、および
b)上記培養物からトキシンを単離する工程、
を含んでなる、腸原生動物のトキシンの製造方法。 - 上記ワクチン株がインビトロでトキシンを産生するものである請求項1または3に記載のワクチン組成物。
- 上記ワクチン株がインビトロでトキシンを産生するものである請求項2又は6に記載のワクチン組成物の製造方法。
- 上記ワクチン株がインビトロでトキシンを産生するものである請求項7に記載の方法。
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