JP2004064169A - 振動スピーカ及びその装着構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】振幅幅の大きい力強い共振振動を起こさせることのできる振動スピーカを得る。
【解決手段】磁気回路部のヨーク34胴部外周面のほぼ中央部からその周囲に弾性材からなるジンバル40を延設して、該ジンバルの先端部をケース10内側に固定する。磁気回路部30は、ボイスコイル22を流れる100〜170Hzの正弦波電流又はそれに近い波形の電流によりケース10の内側空間で上下に共振振動するように、磁気回路部30の主として重量、大きさ及び形状とジンバル40の主として重量、大きさ、形状及び弾性力を調整する。ジンバル40又はヨーク34の表面には、該ジンバル又はヨークにより仕切られたケース10の上部内側空間と下部内側空間との間をケース10内の空気を流通させる流通路50を開口する。
【選択図】 図1
【解決手段】磁気回路部のヨーク34胴部外周面のほぼ中央部からその周囲に弾性材からなるジンバル40を延設して、該ジンバルの先端部をケース10内側に固定する。磁気回路部30は、ボイスコイル22を流れる100〜170Hzの正弦波電流又はそれに近い波形の電流によりケース10の内側空間で上下に共振振動するように、磁気回路部30の主として重量、大きさ及び形状とジンバル40の主として重量、大きさ、形状及び弾性力を調整する。ジンバル40又はヨーク34の表面には、該ジンバル又はヨークにより仕切られたケース10の上部内側空間と下部内側空間との間をケース10内の空気を流通させる流通路50を開口する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、音声を発するスピーカが、振動を発するバイブレータの役割をも果たす、携帯電話機等に用いられる、振動スピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記振動スピーカとして、特願2001−050445の明細書及び図面に記載された、スピーカがある。
このスピーカでは、そのケース上面に設けられた振動コーンの裏面側に突設されたボイスコイルに、250Hz以下の低周波の正弦波電流又はそれに近い波形の電流を流すことにより、ケース内側空間に弾性板を介して支持された磁気回路部に共振振動を起こさせることができる。そして、その重量のあるマグネットが搭載されたヨークからなる磁気回路部に生じた共振振動をケースが装着されたスピーカ装着部に伝えることができる。
他方、ボイスコイルに、200〜10000Hzの広域周波数帯範囲内で複雑に変化する音声波形電流を流した場合には、そのケース内側空間に弾性板を介して支持された磁気回路部に共振振動を起こさせずに、ボイスコイルが突設された振動コーンを上記音声波形電流の波形に倣って強弱に振動させることができる。そして、その振動コーンから音声を発生させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記スピーカを携帯電話機などのバイブレータに用いた場合には、従来汎用の偏心重りを回転させて振動を起こさせる振動モータに比べて、その振動幅が小さくて、充分な手ごたえのある大きな力強い振動が得られなかった。
ところで、携帯電話機などに内蔵される上記振動スピーカは、小型化、軽量化が要求される。例えば、携帯電話機用のスピーカでは、その大きさが、直径が16mmで、厚さが4.1mmの、短丈円筒状のものが、多い。
このような、小型スピーカの狭いケース内側空間に弾性板を介して支持された磁気回路部に、振幅幅の大きい共振振動を起こさせるためには、磁気回路部の上下方向の厚さを薄く形成して、該磁気回路部をケース内側空間でその上下方向に振幅幅大きく振動させることができるように構成することが考えられる。
しかしながら、そのようにした場合には、磁気回路部の重量が軽くなって、該磁気回路部をケース内側空間で大きな慣性力で上下に力強く共振振動させることができない。そして、そのように構成されたスピーカからは、充分な手ごたえのある力強い振動が得られない。
また、磁気回路部の厚さを薄く形成した場合には、該磁気回路部に加わる慣性力が低下して、該磁気回路部の共振周波数が、上昇してしまう。そして、そのスピーカのボイスコイルに250Hz以下の低周波電流を流しても、磁気回路部が共振振動しなくなってしまう。
【0004】
そこで、本発明者らは、種々研究を重ねた結果、従来の上記振動スピーカにおいて、その狭いケース内側空間で磁気回路部を上下方向に振幅幅大きく力強く共振振動させることができない理由は、その磁気回路部下面が、第1弾性板で覆われたり、その磁気回路部下方のケース内側空間が、第1弾性板及び第2弾性板やそれらの弾性板間を繋ぐ連結部材により、二重に塞がれたりしているからであることを、発見した。
そして、それらの第1弾性板や第2弾性板や連結部材に妨害されて、磁気回路部をケースの下部内側空間で抵抗少なく振幅幅大きく共振振動させることができないからであることを、発見した。
また、その磁気回路部下面を覆う第1弾性板の弾性力に妨害されて、磁気回路部に発生した力強い共振振動が抑制されてしまうためであることを、発見した。
【0005】
そして、このような、磁気回路部がケースの下部内側空間で振幅幅大きく共振振動するのを妨害したり抑制したりする上記第1弾性板や第2弾性板や連結部材を磁気回路部下面やケースの下部内側空間から排除すれば、狭いケース内側空間であっても、そのケース内側空間で磁気回路部を上下方向に振幅幅大きく力強く共振振動させることができることを、発見した。
そして、その磁気回路部下面やケースの下部内側空間から、磁気回路部の共振振動を妨害する上記第1弾性板や第2弾性板や連結部材を排除した構造の、充分な手ごたえのある振動モータに近い振幅幅の大きい力強い振動が得られるスピーカを開発した。
【0006】
また、本発明者らは、それに加えて、上記構造の振動スピーカのケース又は該ケース下面を覆う底板を、弾性部材を介して、携帯電話機等に内蔵されたフレームや携帯電話機等の外ケース内側などの硬質のスピーカ装着部に装着すれば、そのスピーカのケース又は底板を硬質のスピーカ装着部に直接に装着した場合と比べて、その振動スピーカのケース内側空間で共振振動させる磁気回路部の振動が硬質のスピーカ装着部により減衰されずに、その磁気回路部の振動をスピーカ装着部に力強い状態のまま伝達できることを、発見した。
そして、該発見に基づき、振動スピーカのケース内側空間で共振振動させる磁気回路部の振動を、硬質のスピーカ装着部により減衰させずに、そのスピーカ装着部にそのまま力強く伝えることのできる振動スピーカの装着構造を開発した。
【0007】
即ち、本発明は、磁気回路部下面やケースの下部内側空間から、磁気回路部の共振振動を妨害したり抑制したりする部材を排除した、充分な手ごたえのある振幅幅の大きい力強い振動を起こさせることのできる、振動スピーカを提供することを、第1の目的としている。
【0008】
また、振動スピーカのケース内側空間で共振振動させる磁気回路部の振動を、硬質のスピーカ装着部により減衰させずに、そのスピーカ装着部にそのまま力強く伝えることのできる振動スピーカの装着構造を提供することを、第2の目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の振動スピーカは、上下方向に起立する筒状のケース上面が振動コーンにより封じられて、該コーンの裏側面にボイスコイルが突設され、前記コーンよりも内方のケース内側空間に、マグネットが搭載されたヨークからなる磁気回路部が配置されて、該磁気回路部のマグネットとヨークとの間に形成された遊嵌溝に前記ボイスコイルが上下に振動可能に遊嵌されてなるスピーカにおいて、
前記ヨークの胴部外周面のほぼ中央部からその周囲に弾性材からなるジンバルが延設され、該ジンバルの先端部が前記ケースの内側に固定されて、該ジンバルを介して前記磁気回路部が前記ケースの内側空間で上下に振動可能に支持されると共に、該磁気回路部が前記ボイスコイルを流れる100〜170Hzの正弦波電流又はそれに近い波形の電流により前記ケースの内側空間で上下に共振振動するように、前記磁気回路部の主として重量、大きさ及び形状とジンバルの主として重量、大きさ、形状及び弾性力が調整され、
前記ジンバル又はヨークの少なくとも一方の表面には、該ジンバル又はヨークにより仕切られたケースの上部内側空間と下部内側空間との間をケース内の空気を流通させる流通路が開口されてなることを特徴としている。
【0010】
この振動スピーカにおいては、磁気回路部を構成しているヨークの胴部外周面のほぼ中央部からその周囲に、弾性材からなるジンバルが延設されている。そして、そのジンバルの先端部が筒状のケースの内側に固定されて、そのジンバルを介して磁気回路部がケースの内側空間で上下に振動可能に支持されている。
即ち、当該振動スピーカでは、磁気回路部の下方及び上方が、ジンバルで覆われていたり、ジンバルで塞がれたりしておらずに、その磁気回路部の下方及び上方のケース内側空間が障害物なく広く開口している。
そのために、その弾性材からなるジンバルを介してケース内側空間に支持された磁気回路部を、ケース内側空間で、ジンバル等に妨げられずに、振幅幅大きく安定させて上下に力強く共振振動させることができる。そして、充分に手ごたえのある大きな力強い振動の得られる振動スピーカを提供可能となる。
【0011】
また、弾性材からなるジンバルが、ヨークの胴部外周面のほぼ中央部からその周囲に、延設されているために、そのジンバルよりも上方の磁気回路部上部と、そのジンバルよりも下方の磁気回路部下部との重量を、ジンバルを境に、ほぼ均等に振り分けることができる。そして、そのジンバルに支持された重量のある磁気回路部を上下に共振振動させた際に、その磁気回路部を、ジンバルの上方又は下方のいずれか一方に大きく偏らせて振幅させることなく、ジンバルを境に、その上方及び下方にほぼ均等の振幅幅で安定させて、上下に共振振動させることができる。そして、重い磁気回路部を、ジンバルの上方又は下方に大きく偏らせて振動させたために、ジンバルに上方又は下方に向けての無理な力が加わって、そのジンバルが弾性変形の限界領域を越えて大きく撓む等して塑性変形してしまうのを、防ぐことができる。そして、そのジンバルの弾性力が早期に劣化してしまうのを、防ぐことができる。
【0012】
また、ジンバル又はヨークの少なくとも一方の表面に、該ジンバル又はヨークにより仕切られたケースの上部内側空間と下部内側空間との間をケース内の空気を流通させる流通路が開口されているために、ケース内側にジンバルにより支持された磁気回路部をケース内側空間で上下に共振振動させた際に、そのケースの上部内側空間と下部内側空間との間を仕切るジンバル又はヨークに開口された流通路を通して、ケース内の空気を、磁気回路部の上下振動に合わせて、ケースの上部内側空間と下部内側空間との間を円滑に出入させることができる。そして、振動コーンとジンバル及びヨークとで上下が囲まれたケースの上部内側空間に封じ込められた空気の抵抗を受けて、磁気回路部をケースの上部内側空間側に振幅幅大きく力強く共振振動させることができなくなるのを、防ぐことができる。そして、その磁気回路部に発生した共振振動が抑制されてしまうのを、防ぐことができる。
【0013】
また、磁気回路部がボイスコイルを流れる100〜170Hzの正弦波電流又はそれに近い波形の電流によりケースの内側空間で上下に共振振動するように磁気回路部の重量やジンバルの弾性力等が調整されているために、ボイスコイルに、200〜10000Hzの広域周波数帯範囲内で複雑に変化する音声波形電流を流した場合には、そのケース内側空間にジンバルを介して支持された磁気回路部であって、ボイスコイルに100〜170Hzの正弦波電流又はそれに近い波形の電流を流した場合に共振振動を起こす磁気回路部には、共振振動を起こさせずに、ボイスコイルが突設された振動コーンを上記音声波形電流の波形に倣って上下に強弱に振動させることができる。そして、その振動コーンから音声を発生させることができる。
【0014】
本発明の振動スピーカにおいては、前記ケース下面が、表面に貫通穴を持つ底板により封じられて、該底板の貫通穴を含む表側面が、屈曲、伸縮可能な弾性板で覆われると共に、その貫通穴表面を覆う弾性板が、前記磁気回路部の共振振動に合わせて、該磁気回路部の共振サイクルとほぼ同一サイクルで、該磁気回路部と底板とで上下が囲まれたケースの下部内側空間の空気と共に、上下に共振振動するように、該弾性板の主として硬度及び厚さ、並びに前記貫通穴内径の大きさが調整された構造とすることを好適としている。
【0015】
その場合には、ケース下面を、表面に貫通穴を持つ底板と、該底板の貫通穴を含む表側面を覆う弾性板とにより、封ずることができる。そして、ケース上面を封ずる振動コーンと共に、そのケース下面を封ずる底板及びその底板表面の貫通穴を覆う弾性板とにより、磁気回路部等が収納されたケース内側空間に水等が侵入するのを、防ぐことができる。そして、防水性を持つ振動スピーカを提供可能となる。
また、ケース内側空間で磁気回路部を上下に共振振動させた際に、その貫通穴表面を覆う弾性板を、磁気回路部の共振振動に合わせて、該磁気回路部の共振サイクルとほぼ同一サイクルで、該磁気回路部と底板とで上下が囲まれたケースの下部内側空間の空気と共に、貫通穴の内外に繰り返しドーム状等に膨出させたり没入させたりして、共振振動させることができる。
そして、そのケース下面を覆う底板や該底板表側面を覆う弾性板に妨害されて、ケース内側空間で上下に共振振動する磁気回路部の振動が、磁気回路部と底板との間のケースの下部内側空間の空気抵抗を大きく受けて、抑制されてしまうのを、防ぐことができる。そして、振動スピーカの振動が弱められてしまうのを、防ぐことができる。
【0016】
本発明の振動スピーカにおいては、前記ケース内側にジンバルを介して支持された磁気回路部がケースの内側空間で上方に過度に大きく移動するのを防ぐ上部ストッパと、同じ磁気回路部がケースの内側空間で下方に過度に大きく移動するのを防ぐ下部ストッパと、同じ磁気回路部がケースの内側空間で正逆に過度に大きく回転するのを防ぐ回り止めストッパと、が備えられた構造とすることを好適としている。
下部ストッパは、ケース下面を覆う底板であることを好適としている。
回り止めストッパは、前記ケース内側にジンバルを介して支持された磁気回路部がケースの内側空間で水平(半径)方向に過度に大きく移動するのを防ぐ機能を併せ持つ構造とすることを好適としている。
【0017】
その場合には、振動スピーカが高所から硬質の床面に落下等して、その振動スピーカのケース内側空間にジンバルを介して支持された磁気回路部に大きな慣性力が加わった際に、その重量のある磁気回路部がケース内側空間で上方に過度に大きく移動するのを、上部ストッパにより防ぐことができる。同様に、その重量のある磁気回路部がケース内側空間で下方に過度に大きく移動するのを、下部ストッパにより防ぐことができる。同様に、その重量のある磁気回路部がケース内側空間で正逆に過度に大きく回転するのを、回り止めストッパにより防ぐことができる。そして、その磁気回路部を支持するジンバルが、弾性変形の限界領域を越えて、大きく塑性変形してしまうのを、防ぐことができる。そして、そのジンバルの弾性力が劣化してしまうのを、防ぐこができる。
【0018】
また、下部ストッパが、ケース下面を封ずる底板である場合には、下部ストッパを、ケースの下部内側空間に設けたために、その下部ストッパに邪魔されて、磁気回路部をケースの下部内側空間で振幅幅大きく振動させることができなくなるのを、防ぐことができる。
また、下部ストッパを底板で兼用させた分、振動スピーカの部品点数を削減して、その振動スピーカの製造の容易化を図れる。
【0019】
さらに、回り止めストッパが、ケース内側空間にジンバルを介して支持された磁気回路部がケースの内側空間で水平(半径)方向に過度に大きく移動するのを防ぐ機能を併せ持つ構造をしている場合には、振動スピーカが高所から硬質の床面に落下等して、磁気回路部に水平方向の大きな慣性力が加わった際に、その重量のある磁気回路部がケース内側空間で水平方向に過度に大きく移動するのを、回り止めストッパにより防ぐことができる。そして、その磁気回路部を支持するジンバルが、弾性変形の限界領域を越えて、大きく塑性変形してしまうのを、防ぐことができる。そして、そのジンバルの弾性力が劣化してしまうのを、防ぐこができる。
【0020】
本発明の振動スピーカの装着構造は、本発明の振動スピーカのケース又は該ケース下面を覆う前記底板が、弾性部材を介して、硬質のスピーカ装着部に装着されてなることを特徴としている。
【0021】
この振動スピーカの装着構造においては、前述のように、そのケース内側空間で共振振動させる磁気回路部の振動を、振動スピーカのケース又は該ケース下面を覆う底板と硬質のスピーカ装着部との間に介在させた弾性部材を用いて、硬質のスピーカ装着部により減衰させずに、その硬質のスピーカ装着部に大きな力強い状態のまま伝えることができる。そして、そのスピーカ装着部を振動スピーカにより振幅幅大きく力強く振動させることが可能となる。
【0022】
本発明の振動スピーカの装着構造においては、前記弾性部材が、底板表側面を覆う前記弾性板である構造とすると良い。
【0023】
その場合には、弾性部材を底板表側面を覆う弾性板で兼用させた分、振動スピーカの装着構造の部品点数を削減して、その振動スピーカの装着構造の簡易化を図れる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1ないし図3は本発明の振動スピーカの好適な実施の形態を示し、図1はその正面断面図、図2はその平面断面図、図3はそのジンバルの平面図である。以下に、この振動スピーカを説明する。
【0025】
図の振動スピーカでは、ガラス繊維入りの強化ABS樹脂などからなる上下方向に起立する短丈円筒状のケース10が設けられて、該ケース上面が、音声を発する振動コーン20により覆われている。振動コーン20裏側面のほぼ中央には、小円筒状のボイスコイル22が突設されている。振動コーン20よりも内方のケース10内側空間には、マグネット32が搭載されたヨーク34からなる磁気回路部30が配置されている。そして、その磁気回路部のマグネット32とヨーク34との間に形成された遊嵌溝36にボイスコイル22が上下に振動可能に遊嵌されている。
【0026】
以上の構成は、従来汎用のダイナミックスピーカと同様であるが、
図の振動スピーカにおいては、ヨーク34の胴部外周面のほぼ中央部からその周囲に、リン青銅等の弾性材からなるジンバル40が延設されている。具体的には、ヨーク34が、そのほぼ中央で上下に分離されて、その分離されたヨーク34の間に、ジンバル40内周縁が挟持されている。上下に分離されたヨーク34は、その中央の一方の凸部が他方の凹部に圧入されて、互いに結合されている。ジンバルの外周縁から突き出た3カ所の先端部42は、ケース10内側に形成された段差面に接着等されて固定されている。なお、ジンバルの先端部42は、ケース10内側壁に一体に埋め込んで固定することも、可能である。
そして、そのジンバル40を介して、磁気回路部30がケース10の内側空間で上下に振動可能に支持されている。
それと共に、その磁気回路部30が、ボイスコイル22に100〜170Hzの正弦波電流又はそれに近い波形の電流を流した場合に、そのボイスコイル20と磁気回路部30との間に働く磁力作用より、ケース10の内側空間で上下に共振振動するように、磁気回路部30の主として重量、大きさ及び形状とジンバル40の主として重量、大きさ、形状及び弾性力が調整されている。
ジンバル40又はヨーク34の少なくとも一方(図では、両方としている)の表面には、図2に示したように、該ジンバル又はヨークにより仕切られたケース10の上部内側空間と下部内側空間との間をケース10内の空気を流通させる流通路50が開口されている。
【0027】
図1ないし図3に示した振動スピーカは、以上のように構成されていて、この振動スピーカでは、磁気回路部30の下方及び上方が、ジンバル40で覆われていたり、ジンバル40で塞がれたりしておらずに、その磁気回路部30の下方及び上方のケース10内側空間が障害物なく広く開口しているために、その弾性材からなるジンバル40を介してケース10内側空間に支持された磁気回路部30を、ケース10内側空間で、ジンバル40等に妨げられずに、振幅幅大きく安定させて上下に力強く共振振動させることができる。
【0028】
また、ジンバル40を境に、該ジンバルよりも上方の磁気回路部30上部と、該ジンバルよりも下方の磁気回路部30下部との重量がほぼ均等に振り分けられているために、そのジンバル40に支持された重量のある磁気回路部30を上下に共振振動させた際に、その磁気回路部30を、ジンバル40を境に、その上方及び下方にほぼ均等の振幅幅で安定させて、上下に共振振動させることができる。そして、その重い磁気回路部30を、ジンバル40の上方又は下方に大きく偏らせて振動させたために、ジンバル40に上方又は下方に向けての無理な力が加わって、そのジンバル40が弾性変形の限界領域を越えて大きく撓む等して塑性変形してしまうのを、防ぐことができる。
【0029】
また、ケース10内側にジンバル40により支持された磁気回路部30をケース10内側空間で上下に共振振動させた際には、そのケース10の上部内側空間と下部内側空間との間を仕切るジンバル40又はヨーク34に開口された流通路50を通して、ケース10内の空気を、磁気回路部30の上下振動に合わせて、ケース10の上部内側空間と下部内側空間との間を抵抗少なく円滑に出入させることができる。そして、振動コーン20とジンバル40及びヨーク34とで上下が囲まれたケース10の上部内側空間に封じ込められた空気の抵抗を受けて、磁気回路部30をケース10の上部内側空間側に振幅幅大きく力強く共振振動させることができなくなるのを、防ぐことができる。
【0030】
また、磁気回路部30がボイスコイル22を流れる100〜170Hzの正弦波電流又はそれに近い波形の電流によりケース10の内側空間で上下に共振振動するように磁気回路部30の重量やジンバル40の弾性力等が調整されているために、ボイスコイル22に、200〜10000Hzの広域周波数帯範囲内で複雑に変化する音声波形電流を流した場合には、そのケース10内側空間にジンバル40を介して支持された磁気回路部30であって、ボイスコイル22に100〜170Hzの正弦波電流又はそれに近い波形の電流を流した場合に共振振動を起こす磁気回路部30には、共振振動を起こさせずに、ボイスコイル22が突設された振動コーン20を上記音声波形電流の波形に倣って上下に強弱に振動させることができる。そして、その振動コーン20から音声を発生させることができる。
【0031】
この振動スピーカにおいては、図1に示したように、ケース10下面が、表面に貫通穴62を持つ底板60により封じられて、該底板の貫通穴62を含む表側面が、屈曲、伸縮可能な弾性板70で覆われた構造とすると良い。それと共に、その貫通穴62表面を覆う弾性板70が、磁気回路部30の共振振動に合わせて、磁気回路部30の共振サイルとほぼ同一サイクルで、磁気回路部30と底板とで上下が囲まれたケース10の下部内側空間の空気と共に、共振振動するように、弾性板70の主として硬度及び厚さ、並びに貫通穴62の内径大きさが調整された構造とすると良い。具体的には、例えば、底板60表面に開口する貫通穴62の内径を約4mmとし、底板60の表面側には、厚さが約0.2mmで、ゴム硬度が30の、シリコンゴムからなる弾性板70を、両面接着テープ64を介して貼着すると良い。
【0032】
その場合には、ケース10下面を、表面に貫通穴62を持つ底板60と、該底板の貫通穴62を含む表側面を覆う弾性板70とにより、封ずることができる。そして、ケース10上面を封ずる振動コーン20と共に、そのケース10下面を封ずる底板60及び該底板表面の貫通穴62表面を覆う弾性板70とにより、磁気回路部30等が収納されたケース10内側空間に水等が侵入するのを、防ぐことができる。
また、ケース10内側空間で磁気回路部30を上下に共振振動させた際に、その貫通穴62表面を覆う弾性板70を、図1に破線で示したように、磁気回路部30の共振振動に合わせて、該磁気回路部の共振サイクルとほぼ同一サイクルで、磁気回路部30と底板60とで上下が囲まれたケース10の下部内側空間の空気と共に、貫通穴62の内外に繰り返しドーム状等に膨出させたり没入させたりして、共振振動させることができる。
そして、そのケース10下面を封ずる底板60や該底板表側面を覆う弾性板70に妨害されて、ケース10内側空間で上下に共振振動させる磁気回路部30の振動が、磁気回路部30と底板60との間のケースの下部内側空間の空気抵抗を大きく受けて、抑制されてしまうのを、防ぐことができる。
【0033】
また、この振動スピーカにおいては、図1に示したように、ケース10内側にジンバル40を介して支持された磁気回路部30がケース10内側空間で上方に過度に大きく移動するのを防ぐ上部ストッパ82と、同じ磁気回路部30がケース10内側空間で下方に過度に大きく移動するのを防ぐ下部ストッパ84と、同じ磁気回路部30がケース10内側空間で正逆に過度に大きく回転するのを防ぐ回り止めストッパ86とが備えられた構造とすると良い。
上部ストッパは82は、ケース10の上部内側空間の上端に配置された、ヨーク34上端面を当接、係止させるリング状板材から構成すると良い。
下部ストッパ84は、ヨーク34下端面を当接、係止させる、ケース10下面を封ずる底板60から構成すると良い。
回り止めストッパ86は、図2に示したように、ヨーク34外周縁に延設された突起38と、該突起を約0.1mm前後のクリアランスを持たせて嵌合させた、ケース10内側に形成された嵌合部12とから構成すると良い。
回り止めストッパ86は、ケース10内側にジンバル40を介して支持された磁気回路部30がケース10内側空間で水平(半径)方向に過度に大きく移動するのを防ぐ機能を併せ持つ構造とすると良い。具体的には、例えば、磁気回路部30がケース10内側空間で水平方向に過度に大きく移動しようとした場合に、回り止めストッパ86のヨーク外周縁の突起38先端縁がケース内側の嵌合部12内周縁に当接、係止されて、その磁気回路部30がケース10内側空間で水平方向に過度に大きく移動するのが防止される構造とすると良い。
【0034】
その場合には、振動スピーカが高所から硬質の床面に落下等して、その振動スピーカのケース10内側空間にジンバル40を介して支持された磁気回路部30に大きな慣性力が加わった際に、その重量のある磁気回路部30がケース10内側空間で上方に過度に大きく移動するのを、上部ストッパ82により防ぐことができる。同様に、その重量のある磁気回路部30がケース10内側空間で下方に過度に大きく移動するのを、下部ストッパ84により防ぐことができる。同様に、その重量のある磁気回路部30がケース10内側空間で正逆に過度に大きく回転するのを、回り止めストッパ86により防ぐことができる。そして、その磁気回路部30を支持するジンバル40が、弾性変形の限界領域を越えて、大きく塑性変形してしまうのを、防ぐことができる。
【0035】
また、下部ストッパ84が、ケース10下面を封ずる底板60である場合には、その下部ストッパ84に邪魔されて、磁気回路部30をケース10の下部内側空間で振幅幅大きく振動させることができなくなるのを、防ぐことができる。
また、下部ストッパ84を底板60で兼用させた分、振動スピーカの部品点数を削減できる。
【0036】
さらに、回り止めストッパ86が、ケース10内側にジンバル40を介して支持された磁気回路部30がケース10内側空間で水平(半径)方向に過度に大きく移動するのを防ぐ機能を併せ持つ構造をしている場合には、振動スピーカが高所から硬質の床面に落下等して、その磁気回路部30に水平方向の大きな慣性力が加わった際に、その重量のある磁気回路部30がケース10内側空間で水平方向に過度に大きく移動するのを、回り止めストッパ86により防ぐことができる。そして、その磁気回路部30を支持するジンバル40が、弾性変形の限界領域を越えて、大きく塑性変形してしまうのを、防ぐことができる。
【0037】
次に、本発明の振動スピーカの装着構造の好適な実施の形態を説明する。図1はその装着構造を示している。以下に、この振動スピーカの装着構造を説明する。
【0038】
この振動スピーカの装着構造は、図1等に示された振動スピーカを携帯電話機内部のフレーム、携帯電話機の外ケース内側などの、硬質のスピーカ装着部100に装着する際の、振動スピーカの装着構造を示している。
この振動スピーカの装着構造では、振動スピーカのケース10又は該ケース下面を封ずる底板(図では、底板としている)60が、ゴム板等の弾性部材90を介して、硬質のスピーカ装着部100に装着されている。
【0039】
図1に示した振動スピーカの装着構造は、以上のような構造をしていて、この振動スピーカの装着構造においては、前述のように、そのケース10内側空間で共振振動させる磁気回路部30の振動を、弾性部材90を用いて、硬質のスピーカ装着部100により減衰させずに、その硬質のスピーカ装着部100に大きな力強い状態のまま伝えることができる。そして、そのスピーカ装着部100を振動スピーカにより振幅幅大きく力強く振動させることができる。
【0040】
この振動スピーカの装着構造においては、弾性部材90が、図1に示したように、底板60表側面を覆う弾性板70である構造とすると良い。
【0041】
その場合には、弾性部材90を底板60表側面を覆う弾性板70で兼用させた分、振動スピーカの装着構造の部品点数を削減できる。
なお、その場合、貫通穴62表面を覆う弾性板70直下のスピーカ装着部100には、凹部110を広く設けて、底板の貫通穴62表面を覆う弾性板70が、スピーカ装着部100に邪魔されて、ドーム状等に下方に膨出できなくなるのを防ぐ必要がある。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の振動スピーカによれば、ケース内側空間で磁気回路部を振幅幅大きく力強く共振振動させることができる。そして、充分な手ごたえのある力強いバイブレータ機能を持つ小型スピーカを提供可能となる。
そのために、本発明の振動スピーカを携帯電話機に内蔵させれば、バイブレータの役割をする振動モータを携帯電話機から排除できる。そして、その振動モータを設けない分、携帯電話機の小型化、軽量化、省電力化を図れる。
また、本発明の振動スピーカの装着構造によれば、その振動スピーカにより発生させた共振振動を、携帯電話機内部のフレーム、携帯電話機の外ケース等の硬質のスピーカ装着部により減衰させずに、そのスピーカ装着部に振幅幅大きく力強い状態のまま伝えることができる。そして、そのスピーカ装着部を振幅幅大きく力強く振動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の振動スピーカの正面断面図である。
【図2】本発明の振動スピーカの平面断面図である。
【図3】本発明の振動スピーカのジンバルの平面図である。
【符号の説明】
10 ケース
20 振動コーン
22 ボイスコイル
30 磁気回路部
32 マグネット
34 ヨーク
36 遊嵌溝
40 ジンバル
50 流通路
60 底板
62 貫通穴
70 弾性板
82 上部ストッパ
84 下部ストッパ
86 回り止めストッパ
90 弾性部材
100 スピーカ装着部
【発明の属する技術分野】
本発明は、音声を発するスピーカが、振動を発するバイブレータの役割をも果たす、携帯電話機等に用いられる、振動スピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記振動スピーカとして、特願2001−050445の明細書及び図面に記載された、スピーカがある。
このスピーカでは、そのケース上面に設けられた振動コーンの裏面側に突設されたボイスコイルに、250Hz以下の低周波の正弦波電流又はそれに近い波形の電流を流すことにより、ケース内側空間に弾性板を介して支持された磁気回路部に共振振動を起こさせることができる。そして、その重量のあるマグネットが搭載されたヨークからなる磁気回路部に生じた共振振動をケースが装着されたスピーカ装着部に伝えることができる。
他方、ボイスコイルに、200〜10000Hzの広域周波数帯範囲内で複雑に変化する音声波形電流を流した場合には、そのケース内側空間に弾性板を介して支持された磁気回路部に共振振動を起こさせずに、ボイスコイルが突設された振動コーンを上記音声波形電流の波形に倣って強弱に振動させることができる。そして、その振動コーンから音声を発生させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記スピーカを携帯電話機などのバイブレータに用いた場合には、従来汎用の偏心重りを回転させて振動を起こさせる振動モータに比べて、その振動幅が小さくて、充分な手ごたえのある大きな力強い振動が得られなかった。
ところで、携帯電話機などに内蔵される上記振動スピーカは、小型化、軽量化が要求される。例えば、携帯電話機用のスピーカでは、その大きさが、直径が16mmで、厚さが4.1mmの、短丈円筒状のものが、多い。
このような、小型スピーカの狭いケース内側空間に弾性板を介して支持された磁気回路部に、振幅幅の大きい共振振動を起こさせるためには、磁気回路部の上下方向の厚さを薄く形成して、該磁気回路部をケース内側空間でその上下方向に振幅幅大きく振動させることができるように構成することが考えられる。
しかしながら、そのようにした場合には、磁気回路部の重量が軽くなって、該磁気回路部をケース内側空間で大きな慣性力で上下に力強く共振振動させることができない。そして、そのように構成されたスピーカからは、充分な手ごたえのある力強い振動が得られない。
また、磁気回路部の厚さを薄く形成した場合には、該磁気回路部に加わる慣性力が低下して、該磁気回路部の共振周波数が、上昇してしまう。そして、そのスピーカのボイスコイルに250Hz以下の低周波電流を流しても、磁気回路部が共振振動しなくなってしまう。
【0004】
そこで、本発明者らは、種々研究を重ねた結果、従来の上記振動スピーカにおいて、その狭いケース内側空間で磁気回路部を上下方向に振幅幅大きく力強く共振振動させることができない理由は、その磁気回路部下面が、第1弾性板で覆われたり、その磁気回路部下方のケース内側空間が、第1弾性板及び第2弾性板やそれらの弾性板間を繋ぐ連結部材により、二重に塞がれたりしているからであることを、発見した。
そして、それらの第1弾性板や第2弾性板や連結部材に妨害されて、磁気回路部をケースの下部内側空間で抵抗少なく振幅幅大きく共振振動させることができないからであることを、発見した。
また、その磁気回路部下面を覆う第1弾性板の弾性力に妨害されて、磁気回路部に発生した力強い共振振動が抑制されてしまうためであることを、発見した。
【0005】
そして、このような、磁気回路部がケースの下部内側空間で振幅幅大きく共振振動するのを妨害したり抑制したりする上記第1弾性板や第2弾性板や連結部材を磁気回路部下面やケースの下部内側空間から排除すれば、狭いケース内側空間であっても、そのケース内側空間で磁気回路部を上下方向に振幅幅大きく力強く共振振動させることができることを、発見した。
そして、その磁気回路部下面やケースの下部内側空間から、磁気回路部の共振振動を妨害する上記第1弾性板や第2弾性板や連結部材を排除した構造の、充分な手ごたえのある振動モータに近い振幅幅の大きい力強い振動が得られるスピーカを開発した。
【0006】
また、本発明者らは、それに加えて、上記構造の振動スピーカのケース又は該ケース下面を覆う底板を、弾性部材を介して、携帯電話機等に内蔵されたフレームや携帯電話機等の外ケース内側などの硬質のスピーカ装着部に装着すれば、そのスピーカのケース又は底板を硬質のスピーカ装着部に直接に装着した場合と比べて、その振動スピーカのケース内側空間で共振振動させる磁気回路部の振動が硬質のスピーカ装着部により減衰されずに、その磁気回路部の振動をスピーカ装着部に力強い状態のまま伝達できることを、発見した。
そして、該発見に基づき、振動スピーカのケース内側空間で共振振動させる磁気回路部の振動を、硬質のスピーカ装着部により減衰させずに、そのスピーカ装着部にそのまま力強く伝えることのできる振動スピーカの装着構造を開発した。
【0007】
即ち、本発明は、磁気回路部下面やケースの下部内側空間から、磁気回路部の共振振動を妨害したり抑制したりする部材を排除した、充分な手ごたえのある振幅幅の大きい力強い振動を起こさせることのできる、振動スピーカを提供することを、第1の目的としている。
【0008】
また、振動スピーカのケース内側空間で共振振動させる磁気回路部の振動を、硬質のスピーカ装着部により減衰させずに、そのスピーカ装着部にそのまま力強く伝えることのできる振動スピーカの装着構造を提供することを、第2の目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の振動スピーカは、上下方向に起立する筒状のケース上面が振動コーンにより封じられて、該コーンの裏側面にボイスコイルが突設され、前記コーンよりも内方のケース内側空間に、マグネットが搭載されたヨークからなる磁気回路部が配置されて、該磁気回路部のマグネットとヨークとの間に形成された遊嵌溝に前記ボイスコイルが上下に振動可能に遊嵌されてなるスピーカにおいて、
前記ヨークの胴部外周面のほぼ中央部からその周囲に弾性材からなるジンバルが延設され、該ジンバルの先端部が前記ケースの内側に固定されて、該ジンバルを介して前記磁気回路部が前記ケースの内側空間で上下に振動可能に支持されると共に、該磁気回路部が前記ボイスコイルを流れる100〜170Hzの正弦波電流又はそれに近い波形の電流により前記ケースの内側空間で上下に共振振動するように、前記磁気回路部の主として重量、大きさ及び形状とジンバルの主として重量、大きさ、形状及び弾性力が調整され、
前記ジンバル又はヨークの少なくとも一方の表面には、該ジンバル又はヨークにより仕切られたケースの上部内側空間と下部内側空間との間をケース内の空気を流通させる流通路が開口されてなることを特徴としている。
【0010】
この振動スピーカにおいては、磁気回路部を構成しているヨークの胴部外周面のほぼ中央部からその周囲に、弾性材からなるジンバルが延設されている。そして、そのジンバルの先端部が筒状のケースの内側に固定されて、そのジンバルを介して磁気回路部がケースの内側空間で上下に振動可能に支持されている。
即ち、当該振動スピーカでは、磁気回路部の下方及び上方が、ジンバルで覆われていたり、ジンバルで塞がれたりしておらずに、その磁気回路部の下方及び上方のケース内側空間が障害物なく広く開口している。
そのために、その弾性材からなるジンバルを介してケース内側空間に支持された磁気回路部を、ケース内側空間で、ジンバル等に妨げられずに、振幅幅大きく安定させて上下に力強く共振振動させることができる。そして、充分に手ごたえのある大きな力強い振動の得られる振動スピーカを提供可能となる。
【0011】
また、弾性材からなるジンバルが、ヨークの胴部外周面のほぼ中央部からその周囲に、延設されているために、そのジンバルよりも上方の磁気回路部上部と、そのジンバルよりも下方の磁気回路部下部との重量を、ジンバルを境に、ほぼ均等に振り分けることができる。そして、そのジンバルに支持された重量のある磁気回路部を上下に共振振動させた際に、その磁気回路部を、ジンバルの上方又は下方のいずれか一方に大きく偏らせて振幅させることなく、ジンバルを境に、その上方及び下方にほぼ均等の振幅幅で安定させて、上下に共振振動させることができる。そして、重い磁気回路部を、ジンバルの上方又は下方に大きく偏らせて振動させたために、ジンバルに上方又は下方に向けての無理な力が加わって、そのジンバルが弾性変形の限界領域を越えて大きく撓む等して塑性変形してしまうのを、防ぐことができる。そして、そのジンバルの弾性力が早期に劣化してしまうのを、防ぐことができる。
【0012】
また、ジンバル又はヨークの少なくとも一方の表面に、該ジンバル又はヨークにより仕切られたケースの上部内側空間と下部内側空間との間をケース内の空気を流通させる流通路が開口されているために、ケース内側にジンバルにより支持された磁気回路部をケース内側空間で上下に共振振動させた際に、そのケースの上部内側空間と下部内側空間との間を仕切るジンバル又はヨークに開口された流通路を通して、ケース内の空気を、磁気回路部の上下振動に合わせて、ケースの上部内側空間と下部内側空間との間を円滑に出入させることができる。そして、振動コーンとジンバル及びヨークとで上下が囲まれたケースの上部内側空間に封じ込められた空気の抵抗を受けて、磁気回路部をケースの上部内側空間側に振幅幅大きく力強く共振振動させることができなくなるのを、防ぐことができる。そして、その磁気回路部に発生した共振振動が抑制されてしまうのを、防ぐことができる。
【0013】
また、磁気回路部がボイスコイルを流れる100〜170Hzの正弦波電流又はそれに近い波形の電流によりケースの内側空間で上下に共振振動するように磁気回路部の重量やジンバルの弾性力等が調整されているために、ボイスコイルに、200〜10000Hzの広域周波数帯範囲内で複雑に変化する音声波形電流を流した場合には、そのケース内側空間にジンバルを介して支持された磁気回路部であって、ボイスコイルに100〜170Hzの正弦波電流又はそれに近い波形の電流を流した場合に共振振動を起こす磁気回路部には、共振振動を起こさせずに、ボイスコイルが突設された振動コーンを上記音声波形電流の波形に倣って上下に強弱に振動させることができる。そして、その振動コーンから音声を発生させることができる。
【0014】
本発明の振動スピーカにおいては、前記ケース下面が、表面に貫通穴を持つ底板により封じられて、該底板の貫通穴を含む表側面が、屈曲、伸縮可能な弾性板で覆われると共に、その貫通穴表面を覆う弾性板が、前記磁気回路部の共振振動に合わせて、該磁気回路部の共振サイクルとほぼ同一サイクルで、該磁気回路部と底板とで上下が囲まれたケースの下部内側空間の空気と共に、上下に共振振動するように、該弾性板の主として硬度及び厚さ、並びに前記貫通穴内径の大きさが調整された構造とすることを好適としている。
【0015】
その場合には、ケース下面を、表面に貫通穴を持つ底板と、該底板の貫通穴を含む表側面を覆う弾性板とにより、封ずることができる。そして、ケース上面を封ずる振動コーンと共に、そのケース下面を封ずる底板及びその底板表面の貫通穴を覆う弾性板とにより、磁気回路部等が収納されたケース内側空間に水等が侵入するのを、防ぐことができる。そして、防水性を持つ振動スピーカを提供可能となる。
また、ケース内側空間で磁気回路部を上下に共振振動させた際に、その貫通穴表面を覆う弾性板を、磁気回路部の共振振動に合わせて、該磁気回路部の共振サイクルとほぼ同一サイクルで、該磁気回路部と底板とで上下が囲まれたケースの下部内側空間の空気と共に、貫通穴の内外に繰り返しドーム状等に膨出させたり没入させたりして、共振振動させることができる。
そして、そのケース下面を覆う底板や該底板表側面を覆う弾性板に妨害されて、ケース内側空間で上下に共振振動する磁気回路部の振動が、磁気回路部と底板との間のケースの下部内側空間の空気抵抗を大きく受けて、抑制されてしまうのを、防ぐことができる。そして、振動スピーカの振動が弱められてしまうのを、防ぐことができる。
【0016】
本発明の振動スピーカにおいては、前記ケース内側にジンバルを介して支持された磁気回路部がケースの内側空間で上方に過度に大きく移動するのを防ぐ上部ストッパと、同じ磁気回路部がケースの内側空間で下方に過度に大きく移動するのを防ぐ下部ストッパと、同じ磁気回路部がケースの内側空間で正逆に過度に大きく回転するのを防ぐ回り止めストッパと、が備えられた構造とすることを好適としている。
下部ストッパは、ケース下面を覆う底板であることを好適としている。
回り止めストッパは、前記ケース内側にジンバルを介して支持された磁気回路部がケースの内側空間で水平(半径)方向に過度に大きく移動するのを防ぐ機能を併せ持つ構造とすることを好適としている。
【0017】
その場合には、振動スピーカが高所から硬質の床面に落下等して、その振動スピーカのケース内側空間にジンバルを介して支持された磁気回路部に大きな慣性力が加わった際に、その重量のある磁気回路部がケース内側空間で上方に過度に大きく移動するのを、上部ストッパにより防ぐことができる。同様に、その重量のある磁気回路部がケース内側空間で下方に過度に大きく移動するのを、下部ストッパにより防ぐことができる。同様に、その重量のある磁気回路部がケース内側空間で正逆に過度に大きく回転するのを、回り止めストッパにより防ぐことができる。そして、その磁気回路部を支持するジンバルが、弾性変形の限界領域を越えて、大きく塑性変形してしまうのを、防ぐことができる。そして、そのジンバルの弾性力が劣化してしまうのを、防ぐこができる。
【0018】
また、下部ストッパが、ケース下面を封ずる底板である場合には、下部ストッパを、ケースの下部内側空間に設けたために、その下部ストッパに邪魔されて、磁気回路部をケースの下部内側空間で振幅幅大きく振動させることができなくなるのを、防ぐことができる。
また、下部ストッパを底板で兼用させた分、振動スピーカの部品点数を削減して、その振動スピーカの製造の容易化を図れる。
【0019】
さらに、回り止めストッパが、ケース内側空間にジンバルを介して支持された磁気回路部がケースの内側空間で水平(半径)方向に過度に大きく移動するのを防ぐ機能を併せ持つ構造をしている場合には、振動スピーカが高所から硬質の床面に落下等して、磁気回路部に水平方向の大きな慣性力が加わった際に、その重量のある磁気回路部がケース内側空間で水平方向に過度に大きく移動するのを、回り止めストッパにより防ぐことができる。そして、その磁気回路部を支持するジンバルが、弾性変形の限界領域を越えて、大きく塑性変形してしまうのを、防ぐことができる。そして、そのジンバルの弾性力が劣化してしまうのを、防ぐこができる。
【0020】
本発明の振動スピーカの装着構造は、本発明の振動スピーカのケース又は該ケース下面を覆う前記底板が、弾性部材を介して、硬質のスピーカ装着部に装着されてなることを特徴としている。
【0021】
この振動スピーカの装着構造においては、前述のように、そのケース内側空間で共振振動させる磁気回路部の振動を、振動スピーカのケース又は該ケース下面を覆う底板と硬質のスピーカ装着部との間に介在させた弾性部材を用いて、硬質のスピーカ装着部により減衰させずに、その硬質のスピーカ装着部に大きな力強い状態のまま伝えることができる。そして、そのスピーカ装着部を振動スピーカにより振幅幅大きく力強く振動させることが可能となる。
【0022】
本発明の振動スピーカの装着構造においては、前記弾性部材が、底板表側面を覆う前記弾性板である構造とすると良い。
【0023】
その場合には、弾性部材を底板表側面を覆う弾性板で兼用させた分、振動スピーカの装着構造の部品点数を削減して、その振動スピーカの装着構造の簡易化を図れる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1ないし図3は本発明の振動スピーカの好適な実施の形態を示し、図1はその正面断面図、図2はその平面断面図、図3はそのジンバルの平面図である。以下に、この振動スピーカを説明する。
【0025】
図の振動スピーカでは、ガラス繊維入りの強化ABS樹脂などからなる上下方向に起立する短丈円筒状のケース10が設けられて、該ケース上面が、音声を発する振動コーン20により覆われている。振動コーン20裏側面のほぼ中央には、小円筒状のボイスコイル22が突設されている。振動コーン20よりも内方のケース10内側空間には、マグネット32が搭載されたヨーク34からなる磁気回路部30が配置されている。そして、その磁気回路部のマグネット32とヨーク34との間に形成された遊嵌溝36にボイスコイル22が上下に振動可能に遊嵌されている。
【0026】
以上の構成は、従来汎用のダイナミックスピーカと同様であるが、
図の振動スピーカにおいては、ヨーク34の胴部外周面のほぼ中央部からその周囲に、リン青銅等の弾性材からなるジンバル40が延設されている。具体的には、ヨーク34が、そのほぼ中央で上下に分離されて、その分離されたヨーク34の間に、ジンバル40内周縁が挟持されている。上下に分離されたヨーク34は、その中央の一方の凸部が他方の凹部に圧入されて、互いに結合されている。ジンバルの外周縁から突き出た3カ所の先端部42は、ケース10内側に形成された段差面に接着等されて固定されている。なお、ジンバルの先端部42は、ケース10内側壁に一体に埋め込んで固定することも、可能である。
そして、そのジンバル40を介して、磁気回路部30がケース10の内側空間で上下に振動可能に支持されている。
それと共に、その磁気回路部30が、ボイスコイル22に100〜170Hzの正弦波電流又はそれに近い波形の電流を流した場合に、そのボイスコイル20と磁気回路部30との間に働く磁力作用より、ケース10の内側空間で上下に共振振動するように、磁気回路部30の主として重量、大きさ及び形状とジンバル40の主として重量、大きさ、形状及び弾性力が調整されている。
ジンバル40又はヨーク34の少なくとも一方(図では、両方としている)の表面には、図2に示したように、該ジンバル又はヨークにより仕切られたケース10の上部内側空間と下部内側空間との間をケース10内の空気を流通させる流通路50が開口されている。
【0027】
図1ないし図3に示した振動スピーカは、以上のように構成されていて、この振動スピーカでは、磁気回路部30の下方及び上方が、ジンバル40で覆われていたり、ジンバル40で塞がれたりしておらずに、その磁気回路部30の下方及び上方のケース10内側空間が障害物なく広く開口しているために、その弾性材からなるジンバル40を介してケース10内側空間に支持された磁気回路部30を、ケース10内側空間で、ジンバル40等に妨げられずに、振幅幅大きく安定させて上下に力強く共振振動させることができる。
【0028】
また、ジンバル40を境に、該ジンバルよりも上方の磁気回路部30上部と、該ジンバルよりも下方の磁気回路部30下部との重量がほぼ均等に振り分けられているために、そのジンバル40に支持された重量のある磁気回路部30を上下に共振振動させた際に、その磁気回路部30を、ジンバル40を境に、その上方及び下方にほぼ均等の振幅幅で安定させて、上下に共振振動させることができる。そして、その重い磁気回路部30を、ジンバル40の上方又は下方に大きく偏らせて振動させたために、ジンバル40に上方又は下方に向けての無理な力が加わって、そのジンバル40が弾性変形の限界領域を越えて大きく撓む等して塑性変形してしまうのを、防ぐことができる。
【0029】
また、ケース10内側にジンバル40により支持された磁気回路部30をケース10内側空間で上下に共振振動させた際には、そのケース10の上部内側空間と下部内側空間との間を仕切るジンバル40又はヨーク34に開口された流通路50を通して、ケース10内の空気を、磁気回路部30の上下振動に合わせて、ケース10の上部内側空間と下部内側空間との間を抵抗少なく円滑に出入させることができる。そして、振動コーン20とジンバル40及びヨーク34とで上下が囲まれたケース10の上部内側空間に封じ込められた空気の抵抗を受けて、磁気回路部30をケース10の上部内側空間側に振幅幅大きく力強く共振振動させることができなくなるのを、防ぐことができる。
【0030】
また、磁気回路部30がボイスコイル22を流れる100〜170Hzの正弦波電流又はそれに近い波形の電流によりケース10の内側空間で上下に共振振動するように磁気回路部30の重量やジンバル40の弾性力等が調整されているために、ボイスコイル22に、200〜10000Hzの広域周波数帯範囲内で複雑に変化する音声波形電流を流した場合には、そのケース10内側空間にジンバル40を介して支持された磁気回路部30であって、ボイスコイル22に100〜170Hzの正弦波電流又はそれに近い波形の電流を流した場合に共振振動を起こす磁気回路部30には、共振振動を起こさせずに、ボイスコイル22が突設された振動コーン20を上記音声波形電流の波形に倣って上下に強弱に振動させることができる。そして、その振動コーン20から音声を発生させることができる。
【0031】
この振動スピーカにおいては、図1に示したように、ケース10下面が、表面に貫通穴62を持つ底板60により封じられて、該底板の貫通穴62を含む表側面が、屈曲、伸縮可能な弾性板70で覆われた構造とすると良い。それと共に、その貫通穴62表面を覆う弾性板70が、磁気回路部30の共振振動に合わせて、磁気回路部30の共振サイルとほぼ同一サイクルで、磁気回路部30と底板とで上下が囲まれたケース10の下部内側空間の空気と共に、共振振動するように、弾性板70の主として硬度及び厚さ、並びに貫通穴62の内径大きさが調整された構造とすると良い。具体的には、例えば、底板60表面に開口する貫通穴62の内径を約4mmとし、底板60の表面側には、厚さが約0.2mmで、ゴム硬度が30の、シリコンゴムからなる弾性板70を、両面接着テープ64を介して貼着すると良い。
【0032】
その場合には、ケース10下面を、表面に貫通穴62を持つ底板60と、該底板の貫通穴62を含む表側面を覆う弾性板70とにより、封ずることができる。そして、ケース10上面を封ずる振動コーン20と共に、そのケース10下面を封ずる底板60及び該底板表面の貫通穴62表面を覆う弾性板70とにより、磁気回路部30等が収納されたケース10内側空間に水等が侵入するのを、防ぐことができる。
また、ケース10内側空間で磁気回路部30を上下に共振振動させた際に、その貫通穴62表面を覆う弾性板70を、図1に破線で示したように、磁気回路部30の共振振動に合わせて、該磁気回路部の共振サイクルとほぼ同一サイクルで、磁気回路部30と底板60とで上下が囲まれたケース10の下部内側空間の空気と共に、貫通穴62の内外に繰り返しドーム状等に膨出させたり没入させたりして、共振振動させることができる。
そして、そのケース10下面を封ずる底板60や該底板表側面を覆う弾性板70に妨害されて、ケース10内側空間で上下に共振振動させる磁気回路部30の振動が、磁気回路部30と底板60との間のケースの下部内側空間の空気抵抗を大きく受けて、抑制されてしまうのを、防ぐことができる。
【0033】
また、この振動スピーカにおいては、図1に示したように、ケース10内側にジンバル40を介して支持された磁気回路部30がケース10内側空間で上方に過度に大きく移動するのを防ぐ上部ストッパ82と、同じ磁気回路部30がケース10内側空間で下方に過度に大きく移動するのを防ぐ下部ストッパ84と、同じ磁気回路部30がケース10内側空間で正逆に過度に大きく回転するのを防ぐ回り止めストッパ86とが備えられた構造とすると良い。
上部ストッパは82は、ケース10の上部内側空間の上端に配置された、ヨーク34上端面を当接、係止させるリング状板材から構成すると良い。
下部ストッパ84は、ヨーク34下端面を当接、係止させる、ケース10下面を封ずる底板60から構成すると良い。
回り止めストッパ86は、図2に示したように、ヨーク34外周縁に延設された突起38と、該突起を約0.1mm前後のクリアランスを持たせて嵌合させた、ケース10内側に形成された嵌合部12とから構成すると良い。
回り止めストッパ86は、ケース10内側にジンバル40を介して支持された磁気回路部30がケース10内側空間で水平(半径)方向に過度に大きく移動するのを防ぐ機能を併せ持つ構造とすると良い。具体的には、例えば、磁気回路部30がケース10内側空間で水平方向に過度に大きく移動しようとした場合に、回り止めストッパ86のヨーク外周縁の突起38先端縁がケース内側の嵌合部12内周縁に当接、係止されて、その磁気回路部30がケース10内側空間で水平方向に過度に大きく移動するのが防止される構造とすると良い。
【0034】
その場合には、振動スピーカが高所から硬質の床面に落下等して、その振動スピーカのケース10内側空間にジンバル40を介して支持された磁気回路部30に大きな慣性力が加わった際に、その重量のある磁気回路部30がケース10内側空間で上方に過度に大きく移動するのを、上部ストッパ82により防ぐことができる。同様に、その重量のある磁気回路部30がケース10内側空間で下方に過度に大きく移動するのを、下部ストッパ84により防ぐことができる。同様に、その重量のある磁気回路部30がケース10内側空間で正逆に過度に大きく回転するのを、回り止めストッパ86により防ぐことができる。そして、その磁気回路部30を支持するジンバル40が、弾性変形の限界領域を越えて、大きく塑性変形してしまうのを、防ぐことができる。
【0035】
また、下部ストッパ84が、ケース10下面を封ずる底板60である場合には、その下部ストッパ84に邪魔されて、磁気回路部30をケース10の下部内側空間で振幅幅大きく振動させることができなくなるのを、防ぐことができる。
また、下部ストッパ84を底板60で兼用させた分、振動スピーカの部品点数を削減できる。
【0036】
さらに、回り止めストッパ86が、ケース10内側にジンバル40を介して支持された磁気回路部30がケース10内側空間で水平(半径)方向に過度に大きく移動するのを防ぐ機能を併せ持つ構造をしている場合には、振動スピーカが高所から硬質の床面に落下等して、その磁気回路部30に水平方向の大きな慣性力が加わった際に、その重量のある磁気回路部30がケース10内側空間で水平方向に過度に大きく移動するのを、回り止めストッパ86により防ぐことができる。そして、その磁気回路部30を支持するジンバル40が、弾性変形の限界領域を越えて、大きく塑性変形してしまうのを、防ぐことができる。
【0037】
次に、本発明の振動スピーカの装着構造の好適な実施の形態を説明する。図1はその装着構造を示している。以下に、この振動スピーカの装着構造を説明する。
【0038】
この振動スピーカの装着構造は、図1等に示された振動スピーカを携帯電話機内部のフレーム、携帯電話機の外ケース内側などの、硬質のスピーカ装着部100に装着する際の、振動スピーカの装着構造を示している。
この振動スピーカの装着構造では、振動スピーカのケース10又は該ケース下面を封ずる底板(図では、底板としている)60が、ゴム板等の弾性部材90を介して、硬質のスピーカ装着部100に装着されている。
【0039】
図1に示した振動スピーカの装着構造は、以上のような構造をしていて、この振動スピーカの装着構造においては、前述のように、そのケース10内側空間で共振振動させる磁気回路部30の振動を、弾性部材90を用いて、硬質のスピーカ装着部100により減衰させずに、その硬質のスピーカ装着部100に大きな力強い状態のまま伝えることができる。そして、そのスピーカ装着部100を振動スピーカにより振幅幅大きく力強く振動させることができる。
【0040】
この振動スピーカの装着構造においては、弾性部材90が、図1に示したように、底板60表側面を覆う弾性板70である構造とすると良い。
【0041】
その場合には、弾性部材90を底板60表側面を覆う弾性板70で兼用させた分、振動スピーカの装着構造の部品点数を削減できる。
なお、その場合、貫通穴62表面を覆う弾性板70直下のスピーカ装着部100には、凹部110を広く設けて、底板の貫通穴62表面を覆う弾性板70が、スピーカ装着部100に邪魔されて、ドーム状等に下方に膨出できなくなるのを防ぐ必要がある。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の振動スピーカによれば、ケース内側空間で磁気回路部を振幅幅大きく力強く共振振動させることができる。そして、充分な手ごたえのある力強いバイブレータ機能を持つ小型スピーカを提供可能となる。
そのために、本発明の振動スピーカを携帯電話機に内蔵させれば、バイブレータの役割をする振動モータを携帯電話機から排除できる。そして、その振動モータを設けない分、携帯電話機の小型化、軽量化、省電力化を図れる。
また、本発明の振動スピーカの装着構造によれば、その振動スピーカにより発生させた共振振動を、携帯電話機内部のフレーム、携帯電話機の外ケース等の硬質のスピーカ装着部により減衰させずに、そのスピーカ装着部に振幅幅大きく力強い状態のまま伝えることができる。そして、そのスピーカ装着部を振幅幅大きく力強く振動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の振動スピーカの正面断面図である。
【図2】本発明の振動スピーカの平面断面図である。
【図3】本発明の振動スピーカのジンバルの平面図である。
【符号の説明】
10 ケース
20 振動コーン
22 ボイスコイル
30 磁気回路部
32 マグネット
34 ヨーク
36 遊嵌溝
40 ジンバル
50 流通路
60 底板
62 貫通穴
70 弾性板
82 上部ストッパ
84 下部ストッパ
86 回り止めストッパ
90 弾性部材
100 スピーカ装着部
Claims (7)
- 上下方向に起立する筒状のケース上面が振動コーンにより封じられて、該コーンの裏側面にボイスコイルが突設され、前記コーンよりも内方のケース内側空間に、マグネットが搭載されたヨークからなる磁気回路部が配置されて、該磁気回路部のマグネットとヨークとの間に形成された遊嵌溝に前記ボイスコイルが上下に振動可能に遊嵌されてなるスピーカにおいて、
前記ヨークの胴部外周面のほぼ中央部からその周囲に弾性材からなるジンバルが延設され、該ジンバルの先端部が前記ケース内側に固定されて、該ジンバルを介して前記磁気回路部が前記ケースの内側空間で上下に振動可能に支持されると共に、該磁気回路部が前記ボイスコイルを流れる100〜170Hzの正弦波電流又はそれに近い波形の電流により前記ケースの内側空間で上下に共振振動するように、前記磁気回路部の主として重量、大きさ及び形状とジンバルの主として重量、大きさ、形状及び弾性力が調整され、
前記ジンバル又はヨークの少なくとも一方の表面には、該ジンバル又はヨークにより仕切られたケースの上部内側空間と下部内側空間との間をケース内の空気を流通させる流通路が開口されてなることを特徴とする振動スピーカ。 - 前記ケース下面が、表面に貫通穴を持つ底板により封じられて、該底板の貫通穴を含む表側面が、屈曲、伸縮可能な弾性板で覆われると共に、その貫通穴表面を覆う弾性板が、前記磁気回路部の共振振動に合わせて、該磁気回路部の共振サイクルとほぼ同一サイクルで、該磁気回路部と底板とで上下が囲まれたケースの下部内側空間の空気と共に、上下に共振振動するように、該弾性板の主として硬度及び厚さ、並びに前記貫通穴内径の大きさが調整された請求項1記載の振動スピーカ。
- 前記ケース内側にジンバルを介して支持された磁気回路部がケース内側空間で上方に過度に大きく移動するのを防ぐ上部ストッパと、同じ磁気回路部がケース内側空間で下方に過度に大きく移動するのを防ぐ下部ストッパと、同じ磁気回路部がケース内側空間で正逆に過度に大きく回転するのを防ぐ回り止めストッパとが備えられた請求項1又は2記載の振動スピーカ。
- 前記回り止めストッパが、前記ケース内側にジンバルを介して支持された磁気回路部がケース内側空間で水平方向に過度に大きく移動するのを防ぐ機能を併せ持つ構造をした請求項3記載の振動スピーカ。
- 前記下部ストッパが、前記底板である請求項3又は4記載の振動スピーカ。
- 請求項1、2、3、4又は5記載の振動スピーカのケース又は該ケース下面を封ずる前記底板が、弾性部材を介して、硬質のスピーカ装着部に装着されてなることを特徴とする振動スピーカの装着構造。
- 前記弾性部材が、底板表側面を覆う前記弾性板である請求項6記載の振動スピーカの装着構造。
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WO2005084073A1 (ja) * | 2004-02-27 | 2005-09-09 | Namiki Seimitsu Houseki Kabusikikaisha | 多機能型振動アクチュエータ並びに携帯用通信機器 |
KR100941292B1 (ko) | 2007-11-12 | 2010-02-11 | 엘지이노텍 주식회사 | 진동 모터 및 그 제조방법 |
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-
2002
- 2002-07-25 JP JP2002216027A patent/JP2004064169A/ja active Pending
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