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JP2004035715A - 光ディスク用活性エネルギー線硬化性組成物、及び光ディスク - Google Patents

光ディスク用活性エネルギー線硬化性組成物、及び光ディスク Download PDF

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JP2004035715A
JP2004035715A JP2002194739A JP2002194739A JP2004035715A JP 2004035715 A JP2004035715 A JP 2004035715A JP 2002194739 A JP2002194739 A JP 2002194739A JP 2002194739 A JP2002194739 A JP 2002194739A JP 2004035715 A JP2004035715 A JP 2004035715A
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JP
Japan
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meth
acrylate
optical disk
compound
active energy
Prior art date
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Pending
Application number
JP2002194739A
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English (en)
Inventor
Juichi Fujimoto
藤本 寿一
Yasushi Hayama
葉山 康司
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Publication date
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  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

【課題】透明性、低硬化収縮率、光線透過率、及び記録膜保護性能に優れる硬化物層を形成しうる低粘度な活性エネルギー線硬化性組成物を得る。
【解決手段】下記(a1)〜(a4)成分を反応させて得られる、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)、
(a1)エポキシジ(メタ)アクリレート化合物
(a2)ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類、及びポリカーボネートジオール類から選ばれる少なくとも1種のジオール化合物
(a3)ジイソシアネート化合物
(a4)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル
(A)成分以外のエチレン性不飽和化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含む光ディスク用活性エネルギー線硬化性組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク用活性エネルギー線硬化性組成物、及び光ディスクに関するものであり、さらに詳しくは、重合時の硬化収縮率が低く、記録膜保護性能及び機械的強度に優れた透明硬化物層を形成しうる光ディスク用活性エネルギー線硬化性組成物、及び前記硬化性組成物を硬化せしめて得た硬化物層を有する光ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、動画情報等の膨大な情報を記録及び/又は再生する情報記録の媒体として再生専用光ディスクや光記録型ディスク等の光ディスクが多く用いられるようになってきた。
【0003】
その中の一つとして、例えば、コンパクトディスク(以下、CDと略記)は、微細な情報トラックを形成したポリカーボネート等の透明基板上に、無機酸化物や無機窒化物及び/又は金属薄膜等から形成される光磁気記録膜、相変化記録膜、反射膜等の記録層を形成し、この記録層の劣化を防ぐために膜厚5〜20μm程度の有機保護層を設ける構造であることが一般的である。
【0004】
一方で、近年、光ディスクの記録容量を高めるために、例えば、特開平8−212597号公報記載の2枚の透明基板を貼り合わせた光ディスク、いわゆるデジタルビデオディスク又はデジタルバーサタイルディスク(以下、DVDと略記)が広く、普及しつつある。
【0005】
さらに、DVDよりも記録容量を向上させ、高品位の動画情報等を長時間記録することが可能な高密度型光ディスクとして、特開平8−235638号公報記載の光情報媒体が提案されている。この高密度型光ディスクは、プラスチック等で形成される透明又は不透明の支持体基板上に記録層を形成し、次いで記録層上に約100μmの光透過層を積層してなり、該光透過層を通して記録光及び/又は再生光が入射する構造の光ディスクである。
【0006】
また、高密度型光ディスクとして特開平11−273147号公報には、従来のCDやDVD等の光ディスクの記録及び/又は再生に用いられた赤色レーザーより短波長の記録光、例えば波長400nmのレーザー光を利用することにより、更に光ディスクの高密度化を図る提案が記載されている。
【0007】
前記したような光ディスクの光透過層を形成する方法としては、▲1▼厚さ100μmの透明フィルムを接着剤で記録層上に貼り付ける方法、▲2▼記録層上にのせた紫外線硬化性樹脂を、ガラス板等の平坦で透明な板状物で、所望の膜厚となるように押しひろげ、該板状物を介して紫外線硬化を行い、板状物を離型して光透過層を得る方法、▲3▼紫外線硬化性樹脂を記録層上にスピンコート法により塗布したのちに、紫外線を照射して光透過層を得る方法等が挙げられる。
【0008】
このような光透過層の形成に用いる紫外線硬化性樹脂としては、例えば、特開平3−131605号公報、特開平4−264167号公報等に記載されるCD等従来の光ディスク用保護コート組成物や、特開平10−245467号公報、特開2000−345111号公報等に記載されるDVD用接着剤組成物等が知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記▲1▼の方法では、透明フィルムからなる光透過層の耐擦傷性に劣るという課題があった。
【0010】
また、前記▲2▼又は▲3▼の方法では、前記特開平3−131605号公報、特開平4−264167号公報等に記載されるCD用紫外線硬化性樹脂を用いることができるが、これらの硬化性樹脂の硬化収縮率は高い。そのため、光ディスクに大きな反りを生じ記録及び/又は再生ができない、あるいは得られる光透過層の短波長の記録光に対する光透過率が低く、短波長の記録光を利用する光ディスクの光透過層としては使用できない等といった実用上の課題があった。
【0011】
一方、硬化収縮率を低く抑え柔軟な硬化物層が得られるDVD用接着剤組成物が、前記特開平10−245467号公報、特開2000−345111号公報等には開示されている。
【0012】
しかしながら、このような組成物を用いて前記▲2▼又は▲3▼の方法で得られた前記高密度型光ディスクの光透過層は、柔軟であるがゆえに記録及び/又は再生の障害になる程度の反りは生じないものの、耐擦傷性に劣るという課題があった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するべく検討した結果、
下記(a1)〜(a4)成分を反応させて得られる、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)、
(a1)エポキシジ(メタ)アクリレート化合物
(a2)ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類、及びポリカーボネートジオール類から選ばれる少なくとも1種のジオール化合物
(a3)ジイソシアネート化合物
(a4)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル
(A)成分以外のエチレン性不飽和化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含む光ディスク用活性エネルギー線硬化性組成物、及び該組成物を硬化してなる硬化物層を有する光ディスクである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳細に説明する。
【0015】
まず、本発明の光ディスク用活性エネルギー線硬化性組成物(以下、本発明の組成物と略記)について説明する。
【0016】
本発明の組成物は、硬化収縮率が低く、光ディスク用基材や、光ディスク用記録膜への密着性に優れ、なおかつ機械的強度を有する透明硬化物層を形成しうるものである。
【0017】
本発明の(A)成分として用いられるウレタン(メタ)アクリレートは、組成物に低収縮性を、得られる硬化物層に記録膜保護性能及び機械的強度を付与する成分である。
【0018】
このウレタン(メタ)アクリレート(A)は、下記(a1)〜(a4)成分を反応させて得られる。
【0019】
(a1)エポキシジ(メタ)アクリレート化合物
(a2)ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類、及びポリカーボネートジオール類から選ばれる少なくとも1種のジオール化合物
(a3)ジイソシアネート化合物
(a4)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル
このエポキシジ(メタ)アクリレート化合物(a1)は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)の骨格中に組み込み、ウレタン(メタ)アクリレート(A)内の(メタ)アクリロイル基濃度を上昇させるための成分である。
【0020】
本発明は、このような構造のウレタン(メタ)アクリレート(A)を用いる組成物を重合硬化させることにより、優れた伸度と機械的強度を併せ持つ靭性に優れた硬化物が得られることを見出した。
【0021】
本発明において、エポキシジ(メタ)アクリレート(a1)は特に限定されるものではないが、その中でも、エポキシジ(メタ)アクリレート(a1)に含有される分子内に3個以上の水酸基を含む化合物の含有量が5質量%未満であることが好ましい。
【0022】
前記分子内に3個以上の水酸基を含む化合物は、エポキシジ(メタ)アクリレート中に不純物として存在する場合がある化合物であるが、(a1)成分中における含有量が5質量%未満の場合には、ウレタン(メタ)アクリレート(A)の合成時にゲル化が生じにくい傾向にあり、また得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)の貯蔵安定性も良く、経時的変化としての増粘やゲル化も生じにくい傾向にある。
【0023】
エポキシジ(メタ)アクリレート(a1)の具体例としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂を(メタ)アクリル酸でエステル化したビスフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレート類;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂等の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂を(メタ)アクリル酸でエステル化した水添ビスフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレート類;シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジグリシジルエーテル等の脂環式グリシジルエーテルを(メタ)アクリル酸でエステル化した脂環式グリシジルエーテル型エポキシジ(メタ)アクリレート類;ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂を(メタ)アクリル酸でエステル化したグリシジルアミン型エポキシジ(メタ)アクリレート類;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂を(メタ)アクリル酸でエステル化した脂環式エポキシジ(メタ)アクリレート類;アジピン酸ジグリシジルエステル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル化合物を(メタ)アクリル酸でエステル化したグリシジルエステルアクリレート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテルを(メタ)アクリル酸でエステル化した脂肪族エポキシジ(メタ)アクリレート類;等を挙げることができる。
【0024】
これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0025】
中でも、得られる硬化物の硬度や耐水性の観点から、ビスフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレート類、水添ビスフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレート類が好ましい。
【0026】
本発明に用いるジオール化合物(a2)は、ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類、及びポリカーボネートジオール類から選ばれる少なくとも1種のジオール化合物であり、ウレタン(メタ)アクリレート(A)の硬化収縮率を低下させるための必須成分である。
【0027】
そのジオール化合物(a2)の具体例としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリ1−メチルブチレングリコール等のポリエーテルジオール類;
ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA等の多価アルコール類に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加した変性ポリエーテルジオール類;
前記多価アルコール類と、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸類又はこれら多塩基酸の酸無水物類との反応によって得られるジオール化合物、前記多価アルコール類とε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるポリカプロラクトンジオール化合物、又は前記多価アルコール類及び多塩基酸類と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類との反応によって得られるカプロラクトン変性ポリエステルジオール化合物等のポリエステルジオール類;
芳香族ポリカーボネートジオール、脂肪族ポリカーボネートジオール等のポリカーボネートジオール類等を挙げることができる。
【0028】
これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0029】
その中でも、得られる組成物の硬化収縮率の低減化を考慮すると、(a2)成分の分子量は300以上であることが好ましい。
【0030】
また、組成物の低粘度化の観点から、(a2)成分の分子量は2000以下であることが好ましい。
【0031】
さらに、得られる硬化物の強伸度バランスと耐久性に優れる傾向にあることから、ポリブチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、脂肪族ポリカーボネートジオールが好ましい。
【0032】
本発明においてジイソシアネート化合物(a3)は、上述したエポキシジ(メタ)アクリレート(a1)及び多価アルコール(a2)のヒドロキシ基とを付加反応することによりポリウレタン化を行い、高分子化を進めて、ウレタンプレポリマーを得るための成分である。
【0033】
本発明で用いるジイソシアネート化合物(a3)は、特に限定されるものではなく公知の各種ジイソシアネート化合物から適宜選択すればよい。
【0034】
(a3)成分の具体例としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−イソシアナトフェニル)メタン、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、デカリンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0035】
これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0036】
その中でも、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2、4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、デカリンジイソシアネートが好ましい。
【0037】
更に、硬化物に優れた靭性と難黄変性を付与できることから、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、デカリンジイソシアネート等の脂環族骨格のジイソシナネート化合物が特に好ましい。
【0038】
また、加水分解性塩素量が100ppm以下であるジイソシアネート化合物を使用することが、光ディスクの記録膜保護性能向上の観点から最も好ましい。
【0039】
なお、ここでいう加水分解性塩素量とは、ジイソシアネート化合物を過剰のメタノール(塩素フリー)で反応させ、ウレタン化合物にしたあと、純水を加えて還流を行い加水分解を実施し、硝酸で酸性条件にしたあと、硝酸銀溶液を用いて電位差滴定することにより求めた値である。
【0040】
本発明で用いるヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル(a4)は、前記ウレタンプレポリマーの末端に付加することで、ラジカル反応性を付与する成分である。
【0041】
(a4)成分の具体例としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンの付加物、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンの付加物、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
【0042】
これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0043】
その中でも、組成物の低粘度化の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0044】
ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)の合成は、公知の方法を適宜選択して行えばよく、特に限定されるものではない。
【0045】
具体的には、例えば、(a1)成分及び(a2)成分と、ジラウリン酸ジ−n−ブチル錫等の触媒との混合物中に、(a3)成分を50〜90℃の条件下で滴下して反応させてウレタンプレポリマーを得て、その後該ウレタンプレポリマーに(a4)成分を反応させることにより製造可能である。
【0046】
また、先に(a3)成分と(a4)成分を反応させた後に、(a1)成分及び(a2)成分を反応させてもよい。
【0047】
ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)製造時の反応終点を確認する方法は、特に限定されるものではなく、例えばイソシアネート量定量により判定可能である。
【0048】
ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)製造時における(a1)〜(a4)成分の反応率は、好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上である。
【0049】
また、得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)中に残存する(a4)成分は、得られる硬化物の耐水性の観点から2%以下となるような処方をとることが好ましく、より好ましくは1%以下である。
【0050】
本発明の組成物において、(A)成分の使用割合は特に限定されないが、(A)及び(B)成分の合計量100質量部中、下限値は20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましい。また上限値は80質量%以下が好ましく、好ましくは75質量%以下がより好ましい。
【0051】
(A)成分の使用量は、組成物の低収縮性の観点から20質量%以上であることが好ましく、一方組成物の液粘度が低く、光ディスク用基材や光ディスク用記録膜への塗工作業性が良好であることから、80質量%以下であることが好ましい傾向にある。
【0052】
本発明の(B)成分として用いる、前記(A)成分以外のエチレン性不飽和化合物は、本発明の組成物の硬化性と粘度を調整する成分である。
【0053】
この(B)成分の具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、炭素数2〜5の脂肪族炭化水素変性トリメチロールプロパントリアクリレート、炭素数2〜5の脂肪族炭化水素変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、炭素数2〜5の脂肪族炭化水素変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル酸エステル類;
ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸メチルペンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチルペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジメタノール、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル酸シクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッド水添ビスフェノールA、ビスフェノキシフルオレンエタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのγ−ブチロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ネオペンチルグリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ブチレングリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、シクロヘキサンジメタノールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンタンジオールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、水添ビスフェノールAのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールFのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル等ジ(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタン、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸テトラシクロドデカニル、2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラニルメチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−ジオキソラニルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
酢酸ビニル、酪酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー類;エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
アクリルアミド、 N,N−ジメチルアクリルアミド、 N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;
フタル酸、コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、アジピン酸等の多塩基酸、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコール及び(メタ)アクリル酸又はその誘導体との反応で得られるポリエステルポリ(メタ)アクリレート類;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類とエピクロルヒドリンの縮合反応で得られるビスフェノール型エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸又はその誘導体を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート類;アルカンジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、スピログリコール化合物等の1種又は2種以上の混合物からなるアルコール類の水酸基に有機ジイソシアネート化合物を付加し、残ったイソシアネート基に、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基、及び1個のヒドロキシ基を有するヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させた(A)成分以外のウレタンポリ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
【0054】
これらは、1種単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0055】
それらの中でも、得られる硬化物に耐水性を付与できることから、分子内に環状骨格を有する化合物(b1)が好ましい。
【0056】
この化合物(b1)の具体例としては、例えば、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドシクロヘキサンジメタノール、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタン、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸テトラシクロドデカニル、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラニルメチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−ジオキソラニルメチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0057】
これらは、1種単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0058】
このような前記(b1)成分を、(A)成分と(B)成分の合計量中に5〜50質量%の範囲で用いれば、特に優れた耐水性を有する硬化物を得ることができる。
【0059】
本発明において、(B)成分の使用割合は特に限定されていないが、(A)及び(B)成分の合計量100質量部中下限値は20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましい。また上限値は80質量%以下が好ましく、好ましくは75質量%以下がより好ましい。
【0060】
(B)成分の使用量は、組成物の粘度が低く、光ディスク用基材や光ディスク用記録膜への塗工作業性が良好であることから20質量%以上であることが好ましく、組成物の低収縮性の観点から80質量%以下であることが好ましい傾向にある。
【0061】
本発明において、(C)成分として用いる光重合開始剤は、より効率よく紫外線硬化法による硬化物を得るために用いることができる。
【0062】
(C)成分の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート等を挙げることができる。
【0063】
これらは、1種単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0064】
本発明において、光重合開始剤(C)は、例えば、光ディスクの読み取りに用いるレーザー光の波長が380〜800nmの範囲である場合には、読み取りに必要なレーザー光が十分に硬化物層を通過するよう、光重合開始剤の種類及び使用量を適宜選択して用いることが好ましい。
【0065】
特に波長400nm程度のレーザー光を用いる、短波長記録型光ディスク用光透過層を形成するために、本発明の硬化性組成物を使用する場合には、得られる硬化物層が青色レーザー光を吸収しない、短波長感光型光重合開始剤を使用することが特に好ましい。
【0066】
前記短波長感光型光重合開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾイルホルメート等を挙げることができる。
【0067】
これらは、1種単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0068】
本発明において、光重合開始剤(C)の使用量は特に限定されないが、(A)及び(B)成分の合計量100質量部に対して、下限値は0.001質量部以上が好ましく、0.01質量部以上がより好ましい。またその上限値は8質量部以下が好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。
【0069】
本発明において、(C)成分の使用量は、硬化性の観点から0.001質量部以上であることが好ましく、深部硬化性と難黄変性の観点から上限値は8質量部以下であることが好ましい。
【0070】
以上が本発明の組成物の構成成分であるが、本発明で達成する性能を損なわない範囲であれば、必要に応じて、例えば4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等、公知の光増感剤や、熱可塑性高分子、スリップ剤、レベリング剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機フィラー、有機フィラー、表面有機化処理した無機フィラー等、公知の添加剤等を適宜配合して用いてもよい。
【0071】
それら添加剤の中でも、特に経時変化による硬化物層の耐変色性、及び記録又は読み取り光の光透過率が低下するのを防ぎ、光ディスクの耐久性を向上させるためには、酸化防止剤や光安定剤を添加することが好ましい。
【0072】
酸化防止剤や光安定剤の具体例としては、例えば、各種市販されている、住友化学(株)製スミライザーBHT、スミライザーS、スミライザーBP−76、スミライザーMDP−S、スミライザーGM、スミライザーBBM−S、スミライザーWX−R、スミライザーNW、スミライザーBP−179、スミライザーBP−101、スミライザーGA−80、スミライザーTNP、スミライザーTPP−R、スミライザーP−16;
旭電化工業(株)製アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60AO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−330、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ329K、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010;
チバスペシャリティーケミカルズ(株)製チヌビン770、チヌビン765、チヌビン144、チヌビン622、チヌビン111、チヌビン123、チヌビン292;
日立化成工業(株)製ファンクリルFA−711M、FA−712HM等を挙げることができる。
【0073】
本発明において、これら酸化防止剤や光安定剤の添加量は特に限定されないが、(A)及び(B)成分の合計量100質量部に対して、0.001〜2質量部の範囲で添加することが好ましく、0.01〜1質量部の範囲がさらに好ましい。
【0074】
本発明の組成物の粘度は特に限定されるものではなく、塗工方法により適宜選択すればよい。
【0075】
塗工作業性の観点から、下限値は25℃において1000mPa・s以上が好ましく、2000mPa・s以上がより好ましい。また組成物の取り扱い性の観点から、その上限値は25℃において10000mPa・s以下が好ましく、8000mPa・s以下がより好ましい。
【0076】
具体例としては、例えば短時間のスピンコートで膜厚100μm程度の硬化物層を得る場合には、組成物の25℃における粘度が2000〜8000mPa・sの範囲であることが、特に好ましい。
【0077】
本発明の組成物の光ディスク用基材や光ディスク用記録膜への塗工方法は、公知の方法で行えばよく、特に限定されるものではない。
【0078】
その中でも、光ディスクの生産性の観点から、スピンコーター法による塗工方法が特に好ましい。
【0079】
なお、スピンコーター法により塗工する場合には、光ディスクの最外周に組成物の表面張力により盛り上がる現象が生じやすいが、そのような場合には、スピンコート後、回転を保持しながら、又は回転停止直後(好ましくは停止後0.2秒以内)に、活性エネルギー線を照射して該組成物を硬化させれば均一な膜厚の硬化物層を得ることができる。
【0080】
また、本発明の組成物の塗膜を硬化させるには、活性エネルギー線を照射すればよい。
【0081】
この活性エネルギー線の種類としては、例えばα,β及びγ線など、公知の活性エネルギー線の中から適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
【0082】
本発明の硬化性組成物を用いて、厚み100μm程度の硬化物層を得る場合には、工業的には紫外線を用いることが特に好ましい。
【0083】
ここでいう紫外線の発生源としては、実用性、経済性の観点から、一般に使用されている紫外線ランプを挙げることができる。
【0084】
紫外線ランプの具体例としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプなどが挙げられる。
【0085】
なお、本発明の組成物を硬化させる際の活性エネルギー線照射時の雰囲気下は、空気中でもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガス中でもよい。
【0086】
次に本発明の光ディスクについて、以下詳細に説明する。
【0087】
本発明の光ディスクは、前記組成物を硬化してなる硬化物層を有する光ディスクである。
【0088】
ここでいう硬化物層とは、高密度光ディスクの記録層上の光透過層や、多層記録型光ディスクの接着剤兼光透過層等、光ディスクに付与する硬化物層全般を意味する。
【0089】
この硬化物層は、外観上、及び記録層のデータの記録及び/又は再生を行う場合には読み取り障害が生じないよう透明であることが好ましい。
【0090】
また、本発明において該硬化物層は、前記組成物の中でも、得られる光ディスクの反りの観点から、硬化収縮率が7.5%以下の前記組成物を硬化させてなる硬化物層であることが特に好ましい。
【0091】
なお、本発明でいう硬化収縮率とは、以下の方法により算出した値である。
【0092】
〔硬化収縮率〕
20℃における硬化前の組成物の液比重(d)と、硬化して得られた硬化物層の20℃における比重(d)をそれぞれ測定し、下記式により求めた値を硬化収縮率(%)とする。
【0093】
硬化収縮率(%)={(d−d)/d}×100
硬化収縮率が7.5%より高い場合には、記録層との密着性不良や、本発明の組成物の硬化時収縮により得られる光ディスクが大きく反る等の不具合が生じやすく、記録データの記録及び/又は再生が困難になる傾向にある。
【0094】
このような硬化収縮率が7.5%以下の光ディスクは、高密度光ディスクの実用化に十分対応できるものである。
【0095】
また、本発明の光ディスクにおいて、硬化物層の表面硬度は特に限定されないが、鉛筆硬度で2B以上であることが好ましく、特に該硬化物層上にハードコート層を形成しない場合には、B以上がより好ましい。
【0096】
ここでいう鉛筆硬度とは、JIS K−5400準拠の方法で得られる値である。
【0097】
この鉛筆硬度が2Bより柔らかい場合には、硬化物層表面に傷がつきやすいため、光ディスクの書き込み又は読み込みエラーの原因となる傾向にある。
【0098】
さらに、本発明の光ディスクは、データの読み取りや書き込みのエラーを防ぐために、データの読み取り又は書き込みに用いる光線の光線透過率が80%以上、好ましくは85%以上であることが好ましい。
【0099】
この光線の波長は、一般に光ディスクの読み取りや書き込みに使用される波長であればよく、特に限定されるものではない。
【0100】
その中でも本発明の光ディスクの記録容量を高密度にできることから、波長380〜800nmの範囲のレーザー光が好ましく、400nm前後の青色レーザー光であることが特に好ましい。
【0101】
本発明の光ディスクにおいて、硬化物層の厚みは、所望する特性を有する光ディスクが得られるよう適宜選択すればよく、限定されるものではない。
【0102】
例えば、記録層の酸化劣化や水分による劣化を抑制しやすい硬化物層の厚みは、20μm以上が好ましく、得られる光ディスクの反り量を抑制する観点から、200μm以下が好ましい。
【0103】
また、光ディスクの記録容量を高密度にできることから、硬化物層の厚みは20〜200μmの範囲がより好ましく、50〜150μmの範囲が特に好ましい。
【0104】
本発明の光ディスクにおいて、硬化物層のガラス転移温度(以下、Tgという)は、特に限定されないが、車載用途等、耐熱性の要求される環境での使用を考慮すると、硬化物層のTgは50℃以上が好ましく、Tg60℃以上がより好ましい。
【0105】
本発明の光ディスクを製造する方法としては、公知の方法を用いればよく、例えば、
における硬化物層を形成するには、例えば、光ディスク用基材や光ディスク用記録膜等
記録層を有する支持体基板上に、該記録層側に本発明の組成物を塗布して均一塗膜を形成し、これを活性エネルギー線を照射して硬化させればよい。
【0106】
本発明の光ディスクにおいて、支持体基板は透明でも非透明であってもよく、その材質としては、ガラス、セラミックス、金属、プラスチック等、公知のものを使用することができる。
【0107】
中でも、低コスト、軽量、光ディスクのランド及びグルーブを成型する容易性の観点から、プラスチックが好ましい。
【0108】
プラスチックの材質の具体例としては、例えばポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、アモルファスポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
【0109】
本発明においては、このようなプラスチック材料の成型品が特に好ましい。
【0110】
本発明の光ディスクにおいて、記録層としては特に限定されず、従来公知の記録用材料を使用すればよい。
【0111】
例えば、読み取り専用光ディスクの場合、記録層の材質としては、金、白金、銀、銀合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、光の反射率の高い金属であれば使用可能である。
【0112】
また、例えば書き換え可能な光ディスクの場合、相変化記録層の材質としては、銀・In・Te・Sb合金、銀・In・Te・Sb・Ge合金、Ge・Sb・Te合金、 Ge・Sn・Sb・Te合金、Sb・Te合金等が挙げられ、光磁気記録層の材質としては、Tb・Fe・Co系合金等が挙げられる。
【0113】
さらに、これらの各種記録層上に、SiN、ZnS、SiO等の誘電膜を積層してもよい。
【0114】
これらの記録層は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等公知の薄膜形成技術を用いて形成すればよい。
【0115】
なお、本発明の光ディスクは、耐候性や表面硬度をさらに向上させる目的で、該硬化物層上にハードコート層等を適宜積層してもよい。
【0116】
本発明の光ディスクにおいて、該ハードコート層を形成する組成物としては特に限定されるものではなく、アクリル系ハードコート材、シリカ微粒子含有ハードコート材等、公知の各種ハードコート用組成物を使用すればよい。
【0117】
特に、光ディスクの表面にわずかな傷が存在するだけでも、読み取りエラーが増大するような高密度型光ディスクを得る場合には、本発明の光ディスクの硬化物層上に、分子内に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する化合物類20〜60質量%、その他のエチレン性不飽和化合物類40〜80質量%からなるハードコート用組成物を塗布、硬化し、膜厚0.1〜7μmの範囲のハードコート層を設けることが好ましい。
【0118】
該ハードコート用組成物中には、光ディスクのスリップ性が良好となり、傷付き防止性能が向上することから、フッ素系又はシリコーン系のスリップ剤を添加してもよい。該スリップ剤の具体例としては、例えばポリエーテル変性シリコーンが好適に使用される。
【0119】
このように、本発明の組成物は、光ディスク用途の硬化物層、特に光透過層や接着剤兼光透過層を形成する材料として非常に有用なものである。
【0120】
また、本発明の組成物は、それから得られる硬化物の透明性や、低収縮かつ機械特性にも優れていることから、例えば、ICカード、IDカード等のカード類の接着剤用や保護コート用としても有用であり、フレネルレンズ、プリズムシート等の光学部品用2Pレジンや、透明ポッティング材料、光造形用樹脂、液晶封止材、EL封止材としても非常に有用である。
【0121】
【実施例】
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。
なお、実施例中の評価は、下記評価方法や評価基準に従って行った。
【0122】
本実施例中の評価方法は、以下に示す。
【0123】
(粘度)
得られた組成物の25℃における粘度を、E型粘度計(東機産業(株)製TV−20型粘度計)で測定した。
【0124】
(硬化収縮率)
20℃における硬化前の組成物の液比重(d)と、硬化して得られた硬化物層の20℃における比重(d)をそれぞれ測定し、下記式により硬化収縮率(%)を求め、下記評価基準により評価した。
【0125】
硬化収縮率(%)={(d−d)/d}×100
○:7.5以下
×:7.5<
【0126】
(耐擦傷性)
得られた円盤状基板に有する硬化物層について、JIS K−5400に準拠して鉛筆硬度を測定し、下記基準により評価した。
○:2Bより硬い
×:2Bより柔かい
【0127】
(光線透過率)
得られた円盤状基板から剥離した硬化物層について、日立製作所(株)製分光光度計U−3400を用い、リファレンスとして波長400nmにおける光線透過率を測定し、下記評価基準により評価した。
【0128】
次に、上記硬化物層を80℃、85%RHの環境条件下に96時間放置した後、取り出した直後に再び前記同様にして測定し、下記評価基準により評価した。
○:80%以上
×:80%未満
【0129】
(反り角)
得られた円盤状基板について、光ディスク光学器械特性測定装置(ジャパンイーエム(株)製、商品名:DLD−3000)を用いて、20℃、50%RH環境下にて光ディスクの半径55mm位置における半径方向最大反り角を測定しこれを初期の反り角とし、下記評価基準により評価した。
また、耐久試験後の反り角は、該円盤状基板を80℃、85%RHの環境条件下に96時間放置した後、20℃、50%RH環境下にて96時間放置した後、前記と同様にして測定し、下記評価基準により評価した。
【0130】
○:0〜0.3度
×:0.3度<
【0131】
(記録膜保護性能)
耐久性試験後の円盤状基板を微分干渉顕微鏡(倍率:800倍)にて観察し、銀反射膜表面について、下記基準により評価した。
○:変化なし
×:表面に荒れ、白化、ピンホールが発生
【0132】
《合成例1》エポキシジアクリレート〔(a1−1)〕の製造
攪拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容積3リットルの三つ口フラスコに、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、商品名:YDF8170(分子蒸留精製品;エポキシ当量160))320g、アクリル酸144g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル2.32g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.46gを仕込み、95℃で24時間反応させた。この反応の終点は酸価測定により行い、酸価1mgKOH/g以下であることを確認し、1モルのビスフェノールF型エポキシジアクリレート(a1−1)を得た。
【0133】
得られたエポキシジアクリレート(a1−1)をGPCにより分析したところ、分子内にOH基を3個以上有するオリゴエポキシジアクリレートを3%含むことを確認した。
【0134】
《合成例2》エポキシジアクリレート〔(a1−2)〕の製造
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、商品名:YD8125(分子蒸留精製品;エポキシ当量173))346g、アクリル酸144g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル2.45g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.49gを用いる以外は、合成例1と同様にして1モルのビスフェノールA型エポキシジアクリレート(a1−2)を得た。
【0135】
得られたエポキシジアクリレート(a1−2)をGPCにより分析したところ、分子内にOH基を3個以上有するオリゴエポキシジアクリレートを3%含むことを確認した。
【0136】
《合成例3》ウレタンアクリレート〔A−1〕の製造
(1)攪拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(住友バイエルエレタン社製、商品名:デスモジュールI(加水分解塩素量60ppm))1110g(5モル)、及びジブチル錫ジラウレート0.5gを仕込んでウオーターバスで内温が40℃になるように加熱した。
【0137】
(2)合成例1で得たビスフェノールF型エポキシジアクリレート(a1−1)を185.6g(0.4モル)とポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学工業(株)製、商品名:プラクセル205、平均分子量:530)848g(1.6モル)を均一に混合溶解させた液を側管付きの滴下ロートに仕込んだ。
【0138】
次に、上記(1)のフラスコ中の内容物を攪拌しつつ、フラスコ内温を35〜45℃に保持しながら、滴下ロート内に仕込んだ液を4時間かけて等速で滴下し、滴下終了後、さらに同温度で2時間攪拌して反応させた。
【0139】
(3)次いで、フラスコ内容物の温度を60℃に昇温後、別の滴下ロートに仕込んだ2−ヒドロキシエチルアクリレート696g(6モル)とハイドロキノンモノメチルエーテル1.5gを均一に混合溶解させた液を、フラスコ内温を55〜65℃に保持しながら2時間かけて等速滴下により滴下した後、フラスコ内容物の温度を70〜80℃に保持しつつ4時間反応させて、ウレタンアクリレート(A−1)を得た。
【0140】
なお、この反応は、残存イソシアネート当量を測定し、反応率99%以上(残存イソシアネート当量が1%未満)となった時点を反応の終点とした。
【0141】
《合成例4》ウレタンアクリレート〔A−2〕の製造
(1)攪拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(住友バイエルエレタン社製、商品名:デスモジュールW(加水分解塩素量4ppm))1324g(5モル)、及びジブチル錫ジラウレート0.5gを仕込んでウオーターバスで内温が70℃になるように加熱した。
【0142】
(2)合成例2で得たビスフェノールA型エポキシジアクリレート(a1−2)392g(0.8モル)とポリブチレングリコール(n=12、平均分子量:850)1275g(1.5モル)を均一に混合溶解させた液を側管付きの滴下ロートに仕込み、この滴下ロート内の液を上記(1)のフラスコ中の内容物に対して滴下した。
【0143】
なお、上記(1)のフラスコ中の内容物を攪拌しつつ、フラスコ内温を65〜75℃に保持しながら、4時間かけて等速滴下により滴下した。さらに、滴下終了後、同温度で2時間攪拌して反応させた。
【0144】
(3)次いで、フラスコ内容物の温度を60℃に下げた後、別の滴下ロートに仕込んだ2−ヒドロキシエチルアクリレート626g(5.4モル相当量)とハイドロキノンモノメチルエーテル1.5gを均一に混合溶解させた液を、フラスコ内温を55〜65℃に保持しながら2時間かけて等速滴下により滴下した後、フラスコ内容物の温度を75〜85℃に保持しつつ4時間反応させて、ウレタンアクリレート(A−2)を得た。なお、反応の終点は合成例1と同様に判定した。
【0145】
《合成例5》ウレタンアクリレート〔A−3〕の製造
(1)攪拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート1110g(5モル)、及びジブチル錫ジラウレート0.5gを仕込んでウオーターバスで内温が70℃になるように加熱した。
【0146】
(2)合成例1で得たビスフェノールF型エポキシジアクリレート(a1−1)185.6g(0.4モル)とポリカーボネートジオール(旭化成(株)製CX−4710、平均分子量:1002)1603g(1.6モル)を均一に混合溶解させた液を側管付きの滴下ロートに仕込み、この滴下ロート内の液を上記(1)のフラスコ中の内容物に対して滴下した。なお、上記(1)のフラスコ中の内容物を攪拌しつつ、フラスコ内温を65〜75℃に保持しながら、4時間かけて等速滴下により滴下した。さらに、滴下終了後、同温度で2時間攪拌して反応させた。
【0147】
(3)次いで、フラスコ内容物の温度を60℃に下げた後、別の滴下ロートに仕込んだ2−ヒドロキシエチルアクリレート626g(6モル)とハイドロキノンモノメチルエーテル1.5gを均一に混合溶解させた液を、フラスコ内温を55〜65℃に保持しながら2時間かけて等速滴下により滴下した後、フラスコ内容物の温度を75〜85℃に保持しながら4時間反応させて、ウレタンアクリレート(A−3)を得た。なお、反応の終点は合成例1と同様に判定した。
《合成例6》ウレタンアクリレート〔B−1〕の製造
(1)攪拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート888g(4モル)、及びジブチル錫ジラウレート0.5gを仕込んでウオーターバスで内温が70℃になるように加熱した。
【0148】
(2)ポリブチレングリコール(n=12、平均分子量:850)1700g(2モル)を側管付きの滴下ロートに仕込み、この滴下ロート内の液を上記(1)のフラスコ中の内容物に対して滴下した。なお、上記(1)のフラスコ中の内容物を攪拌しつつ、フラスコ内温を65〜75℃に保持しながら、4時間かけて等速滴下により滴下した。さらに、滴下終了後、同温度で2時間攪拌して反応させた。
【0149】
(3)次いで、フラスコ内容物の温度を60℃に下げた後、別の滴下ロートに仕込んだ2−ヒドロキシエチルアクリレート464g(4モル)とハイドロキノンモノメチルエーテル1.5gを均一に混合溶解させた液を、フラスコ内温を55〜65℃に保持しながら2時間かけて等速滴下により滴下した後、フラスコ内容物の温度を75〜85℃に保持しながら4時間反応させて、ウレタンアクリレート(B−1)を得た。なお、反応の終点は合成例1と同様に判定した。
【0150】
【表1】
Figure 2004035715
【0151】
[実施例1]
(1)活性エネルギー線硬化性組成物の調製
成分(A)として、合成例3で得られたA−1(60質量部)、成分(B)として、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(10質量部)、及びテトラヒドロフルフリルアクリレート(30質量部)、成分(C)として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(2質量部)を混合溶解し、高密度光ディスクの光透過層形成用活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
【0152】
得られた組成物は、透明で粘調な液体であり、その25℃における粘度を測定したところ、5000mPa・sであった。
また、得られた組成物の液比重と硬化物の比重により硬化収縮率を求めた結果、6.7%であった。
【0153】
(2)評価用光ディスクの作製及び評価
帝人化成(株)製パンライトAD9000TG(ポリカーボネート樹脂)を射出成型して得た光ディスク形状を有する透明円盤状基板(直径12cm、板厚1.1mm、反り角0度)の信号記録面に、バルザース(株)製スパッタリング装置CDI−900により、銀(純度99.9%)を膜厚50nmとなるようにスパッタリングし、信号記録面に銀反射膜を有する光ディスクを得た。
【0154】
得られた光ディスクの銀反射膜上に、スピンコーターを用いて、前記硬化性組成物を平均膜厚100μmとなるように塗工した。
この塗膜を、ランプ高さ15cmの高圧水銀灯(80w/cm)により、積算光量1000mj/cmのエネルギー量で硬化させて、前記硬化性組成物の硬化物層を有する透明円盤状基板を得た。
【0155】
得られた円盤状基板について硬化収縮率を評価したところ、非常に低く優れていた。
鉛筆硬度はBであり、ポリカーボネート基板(4B)より硬く良好であり、光線透過率も88%と良好であった。
また、反り角はほとんどなく良好な機械特性を示し、耐久性試験後も同様に良好な機械特性を示した。
さらに、記録保護性能についても、白化やピンホール等の腐食は発生しておらず、良好であった。
【0156】
[実施例2〜5、比較例1〜3]
表2に示す組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして光ディスクを得た。得られた光ディスクの評価結果は表2に示した。
【0157】
[比較例4]
特開平4−264167号公報の実施例1記載の組成物を硬化性組成物として用いる以外は、本発明の実施例1と同様にして光ディスクを得た。この評価結果は、表2に示した。
【0158】
【表2】
Figure 2004035715
【0159】
表2中の略号は以下の通りである。
【0160】
注1:反り角が測定装置の測定可能範囲(±1度)を大きく越え、測定不可
注2:高粘度で塗膜を形成できず、評価不可
【0161】
TAIC:トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
BPE4:ビスフェノールAテトラオキシエチレンジアクリレート
C6DA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
NPGDA:ネオペンチルグリコールジアクリレート
BPAEA:ビスフェノールA型エポキシジアクリレート
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
TCA:トリシクロデカニルアクリレート
2HPA:2−ヒドロキシプロピルアクリレート
PM2:日本化薬(株)製(商品名:カヤマーPM−2)
HCPK:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン
HMPP:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン
【0162】
表2から明らかなように、本発明の組成物は硬化物層の硬化収縮率が低いため反り角が小さくかつ鉛筆硬度も十分であり、また得られた光ディスクの光線透過率も高いものであった。
【0163】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の光ディスク用活性エネルギー線硬化性組成物を用いれば、硬化収縮率が小さいため100μm程度の硬化物層を形成してもほとんど反らない光ディスクを得ることが可能である。また、該硬化物層は、優れた透明性と金属被膜層の保護性能を有し、かつ優れた機械特性を発揮するものである。
【0164】
従って、そのような組成物を硬化させた硬化物層を有する光ディスクは、特に400nm付近の青色レーザーを用いて記録及び/又は再生を行う光ディスクとして極めて有用である。

Claims (5)

  1. 下記(a1)〜(a4)成分を反応させて得られる、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)、
    (a1)エポキシジ(メタ)アクリレート化合物
    (a2)ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類、及びポリカーボネートジオール類から選ばれる少なくとも1種のジオール化合物
    (a3)ジイソシアネート化合物
    (a4)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル
    (A)成分以外のエチレン性不飽和化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含む光ディスク用活性エネルギー線硬化性組成物。
  2. 重合時の硬化収縮率が7.5%以下である、請求項1記載の光ディスク用活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. (a1)成分中に含有される不純物のうち分子内に3個以上の水酸基を含む化合物が5質量%未満である請求項1記載の光ディスク用活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. (a1)成分が、ビスフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレートである請求項1記載の光ディスク用活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物を硬化してなる硬化物層を有する光ディスク。
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