JP2004003529A - メカニカルシール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】密封環(2又は50)の内の一方の密封環がゴム状弾性材製で環状に形成されたシール部(3)を有すると共に、シール部(3)に接着されてシール部(3)を部品に保持する環状の支持環(5)を有し、シール部(3)には先端部(5A)に突起してシール面(3B)を設けたリップ部(3A)を有し、支持環(5)の先端部(5A)がシール面(3B)近傍に達しているものである。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械、装置等に用いられて高圧被密封流体をシールするメカニカルシール装置に関する。更に詳しくは、例えば、ポンプ、空調機の圧縮機等に於けるハウジングと回転軸との間の高圧被密封流体をシールするメカニカルシール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明に係わる関連技術には、図7に示すメカニカルシールが存在する。図7は、メカニカルシールを軸に装着した状態で軸方向に断面にした縦断面図である。
【0003】
図7に於いて、100はメカニカルシールである。このメカニカルシール100は、シールハウジング120の貫通孔121と、この貫通孔121に延在する回転軸130との間に設けられて機内110Aの被密封流体Fが機外111Bへ漏洩するのをシールするものである。
【0004】
このメカニカルシール100は、シールハウジング120に嵌着された炭化珪素材製の固定用シール環122と、回転軸130に嵌着されたカーボン材製の回転用シール装置101との組み合わせにより構成されている。固定用シール環122は、シールハウジング120にOリング123を介在させて固着されており、このOリング123により両部品の嵌合面間をシールしている。固定用シール環122の端面には固定シール面124が設けられている。
【0005】
一方、回転用シール装置101は、回転用シール環104と支持リング111とコイルスプリング113とをケース115内に組み付けて配置されている。回転用シール環104には、回転シール面105が固定用シール環122の固定シール面124と対向した状態に設けられている。そして、この両シール面105,124は相対に圧接することにより被密封流体Fをシールする。
回転用シール環104には、回転シール面105と反対側の端部に棒状に突出する係止凸部106が設けられている。更に、回転用シール環104には、軸中心に嵌通孔108が設けられており、図7に示すように、この嵌通孔108は軸130と遊合するように形成されている。又、嵌通孔108と軸130との嵌合面間は、Oリング109によりシールされる。
【0006】
回転シール環104はケース115に内装されている。そして、回転用シール環104は、ケース115内に装着されたコイルスプリング113により支持リング111を介して固定用シール環122方向に押圧されている。
【0007】
回転用シール環104を内装した嵌通孔108と同心のケース115は、有底円筒状に形成されていると共に、軸130が嵌通する嵌合孔116が設けられている。
【0008】
そして、嵌合孔116に設けられた固着部が軸130の切欠部に固着することにより取り付けられる。更に、ケース115には、有底部と反対側の位置に側面からみてT形状に突出したストッパー117が回転用シール環104の係止凸部106と対応する位置に設けられている。
【0009】
このストッパー117には、係止凸部106が摺動自在に挿入する長孔に形成された係合孔118が設けられている。そして、係合凸部106が係合孔118に係合して回転用シール環104が長孔に沿って移動可能に構成されている。 このメカニカルシール100の正面図は、図8に示すとおりである。この図8に示すメカニカルシール100の構成から明らかなように、1対の回転用シール環104の係合凸部106とケース115の係合孔118とが係合し、コイルスプリング113により回転用シール環104とケース115とが互いに相反する方向に押圧されて係合凸部106が係合孔118の端面に係止して回転用シール環104がケース115に係合保持されている。そして、回転用シール環104とケース115とは、ケース115の両側に1対の係合凸部106と係合孔118とが相対摺動して保持されている。
【0010】
このために、係止凸部106とストッパー117とは、保持構成が互いに精巧な連結機構に構成されていると共に、精密加工を施された精度のある摺動面に構成されている。又、ストッパー117のみで回転用シール環104を保持できるようにストッパー117は強度のある厚肉に構成されている。しかし、回転用シール環104は、カーボン材製であるためにヤング率が小さく被密封流体の高圧力Pを外周から受けると図9に示すようにMの力が働き、シール面105が変形する。一方、固定用シール環122は炭化珪素材製であるためにヤング率が大きく、カーボン材製ほどは変形はしない。そして、被密封流体の圧力は回転用シール環104の背面からも作用する。
【0011】
このような状態では、図9に示す回転シール面105の状態からも明らかなように、回転シール面105の接触面積が小さくなると共に、回転シール面105は背面から押圧されるので、回転シール面105の潤滑膜が摺動に伴い減少する。そして、回転シール面105の局部的な摩擦による発熱は、回転シール面105に焼き付き、かじり、損傷を惹起する。
【0012】
次に、不連続に被密封流体の圧力が低圧へと変化して被密封流体が低圧状態になると、回転用シール環104の摩耗した回転用シール面105は、回転用シール環104全体が復元すると、図10に示すような外周面側が摩耗して傾斜した回転シール面105となる。
【0013】
その結果、被密封流体の圧力が回転用シール面105と固定用シール面124との間に形成される断面くさび状の空間へ作用するようになるから、回転シール面105に対して圧力Fの力が作用し、回転用シール環104の背面側へ押圧することになる。そして、回転用シール面105が固定用シール面124から離間して被密封流体が漏洩することになる。
【0014】
又、図9に示すような回転シール面105の傾斜は、カーボン材製の回転用シール環104だけでなく、炭化珪素のような硬質材料の回転用シール環104に於いても惹起する。つまり、回転軸130と回転用シール環104とを精密に嵌合させることは不可能であるから、回転用シール環104はOリング109を介して回転軸130と嵌合している。このために、被密封流体の圧力が変動すると回転用シール環104全体が軸心に対して傾斜することになる。
【0015】
そして、回転シール面105の内1点が圧接されると、1点から180°の位置では固定用シール面124に対して間隙が惹起することになる。この間隙から被密封流体が漏洩することになる。更には、回転用シール環104が傾斜すると、上述したカーボン材製の回転用シール環104と同様な挙動を示し、回転用シール環104が摩耗、損傷を惹起する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
このように、被密封流体が高圧の場合には、シール環の材質のみを変更してもシール面の摺動発熱を防止することは困難である。更に、シール面の偏摩耗も防止することは不可能に近い。更に又、シール面の焼き付き、かじり、鳴き現象を惹起し、ついには、摩耗損傷を惹起することになる。
【0017】
本発明は上述のような問題点に鑑み成されたものであって、その発明が解決しようとする課題は、メカニカルシールに於ける密封環のシール面の傾斜を防止し、摺動面の偏摩耗を阻止することにある。更に、シール面の焼き付き、かじり、損傷を防止することにある。そして、シール面の潤滑を良好にしてシール能力を向上させることにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述のような技術的課題を解決するために成されたものであって、その技術的解決手段は以下のように構成されている。
【0019】
請求項1に係わる本発明のメカニカルシールは、相対回転する部品の一方の部品に保持された第1密封環の第1シール面と他方の部品に保持された第2密封環の第2シール面とを密接させて前記部品間をシールするメカニカルシールであって、前記密封環の内の一方の密封環がゴム状弾性材製で環状に形成されたシール部を有すると共に前記シール部に接着されて前記シール部を前記部品に保持する環状の支持環を有し、前記シール部には先端部に前記シール面を設けたリップ部を有し、前記支持環の先端部が前記シール部を支持する位置に配置されているものである。
【0020】
請求項1に係わる本発明のメカニカルシールでは、ゴム状弾性材、特に硬質のゴム又は樹脂材製のシール部にシール面を設けたリップ部が設けられているので、被密封流体の圧力を受けてもシール面は対向するシール面に対してシール面が傾斜するのを阻止する。このために、シール面に介在する潤滑液が切れることなくして、シール能力の向上と共に、耐久性を発揮させる。
【0021】
そして、リップ部近傍まで支持環の先端部が達してシール面の耐圧を支持しているから、シール面を設けたリップ部は支持環により支持されて耐圧性を発揮する。
【0022】
更に、シール面は対向するシール面(第2シール面)と常に平行に密接してシール能力を発揮する。又、シール面の摺動発熱の増大を防止すると共に、シール面の焼き付き、かじり及び損傷を効果的に阻止する。
【0023】
請求項2に係わる本発明のメカニカルシールは、前記シール部の周面の前記シール面と反対側に被密封流体をシールするシールリップを有するものである。
【0024】
請求項2に係わる本発明のメカニカルシールでは、シール面同士の密接により被密封流体をシールすると共に、回転軸と密封環との嵌合間の被密封流体をシールする。そして、被密封流体の圧力を受けて密封環が周面側からの圧力により軸心に対して傾斜するのもシールリップにより防止される。このためにシール面は、対向するシール面に対して被密封流体の圧力により傾斜されることなく密接し、シール能力を発揮することが可能になる。
【0025】
請求項3に係わる本発明のメカニカルシールは、前記リップ部が被密封流体領域側に向かって傾斜したリップ形状に形成されているものである。
【0026】
この請求項3の本発明のメカニカルシールでは、リップ部が被密封流体領域側に向かって傾斜したリップ形状に形成されているので、リップ部に被密封流体の圧力を受けると、リップ部は、対向するシール面に対してますます密接するから、シール面間に潤滑液を介在させて摺動発熱を防止すると共に、シール面のシール能力を発揮する。
【0027】
請求項4に係わる本発明のメカニカルシールは、前記シール部の周面の前記シール面と反対側に被密封流体をシールする第1シールリップと前記シール面側の前記周面に第3シールリップを有するものである。
【0028】
この請求項5に係わる本発明のメカニカルシールでは、同形状に形成されたシール部の周面のシール面と反対側に被密封流体をシールする第1シールリップと、シール面側の周面に第3シールリップを配置されているので、第1シールリップから漏れた被密封流体の圧力は、第1と第3のシールリップ間に蓄積されてシール部を弾性的に保持することが可能になる。このために、弾発的に保持されたシール部はシール面を回転軸中心に保持するので、シール面のシール能力を発揮する。
【0029】
請求項5に係わる本発明のメカニカルシールは、前記シール部が硬度80°から98°の範囲のゴム状弾性材で構成されているものである。
【0030】
この請求項5に係わる本発明のメカニカルシールでは、シール部の硬度が80°から98°の範囲にすると、シール部は被密封流体の圧力に対して耐圧性を有すると共に、対向するシール面に対し、ゴム状弾性材としてのシール面が弾性変形して密接することが可能になる。このために、両シール面間に潤滑液が介在して、シール面間の摺動発熱を効果的に防止することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる実施の形態のメカニカルシール1を図面に基づいて詳述する。尚、以下に説明する各図面は、特許用の概念図ではなく、実験データを基にした寸法関係が正確な設計図である。
【0032】
図1は、本発明に係わる第1実施の形態のメカニカルシール1の半断面図である。このメカニカルシール1は、ハウジング60と回転軸80との間に装着される。又、図2は、本発明に係わる第2実施の形態のメカニカルシール1の半断面図である。更に、図3は、本発明に係わる第3実施の形態のメカニカルシール1の半断面図である。更に又、図4は、本発明に係わる第4実施の形態のメカニカルシール1の半断面図である。
【0033】
又、図5は、本発明に係わる第5実施の形態のメカニカルシール1の半断面図である。更に、図6は、本発明に係わる第6実施の形態のメカニカルシール1の半断面図である。
【0034】
図1に於いて、1はメカニカルシールである。メカニカルシール1は、回転軸80に取り付けられた第1密封環2と、ハウジング60に固定された第2密封環50とから構成されている。尚、この第1密封環2は回転用にも固定用にも用いることが可能である。つまり、両密封環は回転用と固定用とが逆に取り付けることも可能である。
メカニカルシール1を構成する一方の第1密封環2には、ゴム材製の環状をしたシール部3が設けられている。このシール部3には一端に環状のリップ部3Aが形成されている。このリップ部3Aの端面は第1シール面3Bに形成されている。又、シール部3には内周に周面3Cが設けられており、この周面2Cは回転軸80と嵌合する内径に形成されている。
【0035】
このシール部3は、ゴム材製である。ゴム材として、例えば、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FKM)、ポリアクリレートゴム(ACM)、ポリウレタンゴム(AU)等が用いられる。特に、ゴム材質の硬度として、JIS硬度80°から100°にすると良く、更に好ましくは、硬度80°から98°にすると良い。そして、強度と共に、耐摩耗性に優れた材質を用いると良い。更に、このシール部3は、樹脂材で形成することもできる。この場合は、シール部3の支持環5との結合を強化するために、支持環5の内外周面5D、5Eの接着面に孔、凸部等を設け、この孔等を介して結合を強化する必要がある。
【0036】
このシール部3には金属材製の支持環5が一体に形成されている。この支持環5は、先端にリップ部3Aを支持する先端部5Aが形成されていると共に、後端に向かって3段階の円筒部が形成されている。この支持環5の各段部による円筒部を設けることにより全体が強度を有する構造体に形成されている。支持環5は、鉄、鋼、ステンレス鋼、アルミニュウム等より製作される。又、プラスチック等により製作することも可能である。
【0037】
そして、シール部3は、支持環5の内周面5Dと外周面5Eのそれぞれの接着面に成形するときに焼き着付け接着する。この支持環5には、必要に応じて接着面に貫通する孔やスリットが設けられており、成形時に、この孔やスリットを介し、シール部3の一部が互いに接続してシール部3を支持環5に強力に結合させている。
【0038】
支持環5の先端部5Aは、シール部3のリップ部3Aまで延在して、このリップ部3Aを補強している。又、後端はフランジ部5Bに形成されている。このフランジ部5Bの外周部には等配に切欠係止溝5Cが設けられている。
支持環5の段部の内周面5Dと回転軸80との間にはOリング11が装着されている。このOリング11により支持環5と回転軸80との間隙がシールされる。
【0039】
又、支持環5には、Oリング11の隣りにばね受座14が接合して配置されている。
【0040】
固定環6は有底円筒状に形成されている。この有底部には、回転軸80と嵌合する孔が設けられている。この孔を形成する内周面に設けられた係止部6Bは、回転軸80の外周の段部に設けられた溝部80Aに突出して係止している。そして、この係止部6Bが溝部80Aに係止して回転軸80と共に固定環6が回動するように構成されている。
【0041】
更に、固定環6には、円筒部6Cの軸方向自由端側にストッパー6Aが切欠係止溝5Cに対応した各位置に突出板状に形成されている。そして、このストッパー6Aは切欠係止溝5C内に係合して第1密封環2が固定環6を介して回転軸80と共に回動するように構成されている。この固定環6は、鋼板、鉄板、ステンレス鋼板等から深絞りにより形成される。又は、鋳造により製作することも可能である。
【0042】
更に、ストッパー6Aの自由端側には内周に突出した止部6A1が形成されており、この止部6A1はフランジ部5Bの切欠係止溝5Cより径方向内方に突出している。そして、ストッパー6Aがフランジ部5Bより軸方向外方へ抜け出さないようにしている。
【0043】
固定環6の有底部に於ける外周側の折曲げられた角には、ばね9が着座しており、このばね9の先端部は、ばね受座14に着座して第1密封環2を弾発に押圧している。このばね9の弾発力により押圧された第1密封環2は、第2密封環50の第2シール面50Bと密接する。この第1密封環2は、Oリング11を介して回転軸80に摺動自在に支持されている。このために、Oリング11に支持された第1密封環2は、第1シール面3Bを第2シール面50Bに密接させることが可能になる。そして、第1密封環2と第2密封環50との接合により高圧被密封流体領域Aの被密封流体をシールする。
【0044】
次に、ハウジング60の段部状取付面60AにはOリング66を介して第2密封環50の外周面が嵌着している。この第2密封環50は、断面が方形に形成されて環状を成している。そして、第2密封環50には、端面に第2シール面50Bが形成されている。更に、第2密封環50には、内周に内周面50Aが形成されている。この内周面50Aは回転軸80との間に間隙が形成されており、この内周面50Aと回転軸80との間隙は、低圧領域Bに通じている。
【0045】
この第2密封環50は、炭化珪素、セラミック、超硬合金等から製作されている。
【0046】
このように構成されたメカニカルシール1は、高圧被密封流体領域A側の被密封流体を第1密封環2の第1シール面3Bと第2密封環50の第2シール面50Bとの密接によりシールする。そして、高圧被密封流体領域Aの被密封流体が高圧であっても、第1密封環2は硬質ゴム状弾性材で構成されているから、第1シール面3Bは、第1密封環2よりも硬質材で構成された第2密封環50の第2シール面50Bに対応変形して密接することが可能になる。
【0047】
しかも、第1密封環2には、支持環5がリップ部3Aまで埋設されて一体化されているから、高圧被密封流体の圧力を受けても、支持環5により支持された第1シール面3Bは第2シール面50Bに対して傾斜することなく密接することが可能になる。このために、第1シール面3Bと第2シール面50Bとの平行な摺動面間には常に潤滑液が介在するから、摺動面の摺動摩擦熱が増大するのを効果的に防止する。そして、第1シール面3Bと第2シール面50Bとの摺動面に焼き付き、かじり、損傷が惹起するのを効果的に防止する。
【0048】
図2は、本発明に係わる第2実施の形態を示すメカニカルシール1の半断面図である。
【0049】
図2に於いて、図1のメカニカルシール1と相違する点は、支持環5の内周面5Dのほぼ全面にシール部3を延在させて第1シール面3Bと反対側に凸部状の第1シールリップ3Dをシール部3と一体に形成したものである。そして、Oリング11とばね受部14とを部品不用としたものである。
【0050】
このように、第1シールリップ3Dをシール部3に形成することにより、第1シールリップ3Dと支持環6との間が効果的にシールできる。
【0051】
本来、支持環5の内周面5Dは、シール部3を接着する関係から、精密な表面仕上げに加工することが困難である。このために、従来のようにOリングを用いた場合には、被密封流体圧力の変化により摺動するOリングと支持環5の内周面5Dとの摺動摩擦により、摩耗してシール能力が低下していたが、シール部3に第1シールリップ3Dを一体化することによりシール能力が向上できるものである。
【0052】
又、第1シールリップ3Dをシール部3に一体化することにより、部品点数が低減できるので、第1密封環2の密封する装置への組み付けが極めて容易になる。
【0053】
図3は、本発明に係わる第3実施の形態を示すメカニカルシール1の半断面図である。図3に於いて、図1のメカニカルシール1と相違する点は、第2シールリップ3Eが第1シール面3Bと反対方向へ板肉リップ状に突出したものである。この反対方向へ突出した第2シールリップ部3Eは、高圧被密封流体の圧力を受けると、回転軸80に密接してシールする。そして、被密封流体の圧力が変動しても、第2シールリップ3Eにより第1シール面3Bが第2シール面50Bから離反する方向への作用が防止される。一方、従来のOリングの場合は、被密封流体の圧力変動に応じて弾性変形するから第1シール面3Bが第2シール面50Bから離反する作用を受ける。
【0054】
図4は、本発明に係わる第4実施の形態を示すメカニカルシール1の半断面図である。図4に於いて、図1のメカニカルシール1と相違する点は、支持環5の先端部5Aをリング状に形成すると共に、リップ部3Aが外方向へ向かって傾斜したものである。
このリップ部3Aは硬質ゴム材製で被密封流体領域側Aへ傾斜していると共に、リップ部3Aはリング状の先端部5Aで保持されているので、被密封流体の圧力を受けると、第1シール面3Bのみが、第2シール面50Bに対し摺動面積を増加して密接する。このために、シール面に潤滑液を介してシール面のシール能力が向上する。同時に、平行に対向する摺動面に潤滑液が介在して摺動するので摺動面に於ける摩擦熱の発生が防止される。
【0055】
図5は、本発明に係わる第5実施の形態を示すメカニカルシール1の半断面図である。図5に於いて、図4のメカニカルシール1と相違する点は、シール部3の内周の周面3Cに断面U形状の支持リング4を嵌着したものである。この支持リング4には、リップ部3Aを保持する保持板4Aがリップ部3Aと同方向へ長く突出した状態に形成されており、この保持板4Aによりリップ部3Aを保持している。
このように構成することにより、シール部3は支持環5により支持された上に、保持板4Aを設けた支持リング4により保持されるので、高圧被密封流体の圧力を受けても第1シール面3Bを第2シール面50Bに対して設定通りの接面状態に保持することが可能である。特に、支持リング4には、保持板4Aがリップ部3Aと同形状に延在形成されており、この保持板4Aによりリップ部3Aが被密封流体の圧力を受けても弾性変形しないように支持しているので、第1シール面3Bは、第2シール面50Bに密接してシール能力を発揮する。
【0056】
図6は、本発明に係わる第6実施の形態を示すメカニカルシール1の半断面図である。図6に於いて、図3のメカニカルシール1と相違する点は、シール部3の第2シールリップ3E側の内周の周面3Cに第2シールリップ3Eと並列して第1シールリップ3Dが設けられていると共に、第1シール面3B側の内周の周面3Cに第3シールリップ3Fが設けけられているものである。
このように構成することにより、第2シールリップ3Eは第1シールリップ3Dに支持されてシールするので、内周の周面3Cと回転軸80との間は確実にシールされる。
【0057】
又、第3シールリップ3Fは、被密封流体の圧力に対してリップ部3Aを支持する。更に、第1シールリップ3D側から漏洩した被密封流体の圧力を第3シールリップ3Fでシールして第1シールリップ3Dと第3シールリップ3Fに蓄圧し、この蓄圧された圧力でシール部3を空力弾性的に支持する。そして、この第1、第2および第3シールリップ3D、3E、3Fの協動作用により第1シール面3Bのシール能力を補償するものである。
【0058】
【発明の効果】
本発明に係わるメカニカルシールによれば、以下のような効果を奏する。
【0059】
ゴム状弾性材製のシール部にシール面を設けたリップ部が設けられているので、シール面は対向するシール面に対して被密封流体の圧力を受けてもシール面が傾斜することなく密接する効果を発揮する。このために、シール面に介在する潤滑液膜が切れることなく介在し、シール能力の向上と共に、耐久能力を効果的に発揮する。
【0060】
そして、リップ部近傍まで支持環の先端部が達してシール面を支持しているから、シール面を設けたリップ部は支持環により支持されて被密封流体に対する耐圧能力を発揮する。
【0061】
更に、シール面は対向シール面と常に正常に密接してシール能力を効果的に発揮する。又、シール面の摺動発熱の増大を防止すると共に、焼き付き、かじり及びシール面の損傷を阻止する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる第1実施の形態を示すメカニカルシールの半断面図である。
【図2】本発明に係わる第2実施の形態を示すメカニカルシールの半断面図である。
【図3】本発明に係わる第3実施の形態を示すメカニカルシールの半断面図である。
【図4】本発明に係わる第4実施の形態を示すメカニカルシールの半断面図である。
【図5】本発明に係わる第5実施の形態を示すメカニカルシールの半断面図である。
【図6】本発明に係わる第6実施の形態を示すメカニカルシールの半断面図である。
【図7】従来のメカニカルシールの断面図である。
【図8】図7のメカニカルシールの正面図である
【図9】図7の密封環が圧力により偏芯した状態図である。
【図10】図9の密封環の弾性変形が復元した状態の断面図である。
【符号の説明】
1 メカニカルシール
2 第1密封環
3 シール部
3A リップ部
3B 第1シール面
3C 周面
3D 第1シールリップ
3E 第2シールリップ
3F 第3シールリップ
4 支持リング
4A 保持板
5 支持環
5A 先端部
5B フランジ部
5C 切欠係止溝
5D 内周面
5E 外周面
6 固定環
6A ストッパー
6B 係止部
6C 円筒部
9 ばね
11 Oリング
14 ばね受部
50 第2密封環
50A 内周面
50B 第2シール面
60 ハウジング
60A 取付面
80 軸
Claims (5)
- 相対回転する部品の一方の部品に保持された第1密封環の第1シール面と他方に部品に保持された第2密封環の第2シール面とを密接させて前記部品間をシールするメカニカルシールであって、前記密封環の内の一方の密封環がゴム状弾性材製で環状に形成されたシール部を有すると共に前記シール部に接着されて前記シール部を前記部品に保持する環状の支持環を有し、前記シール部には端部に前記シール面を設けたリップ部を有し、前記支持環の先端部が前記リップ部を支持する位置に配置されていることを特徴とするメカニカルシール。
- 前記前記シール部の取り付けられる周面の前記シール面と反対側に被密封流体をシールするシールリップを有することを特徴とする請求項1に記載のメカニカルシール。
- 前記リップ部が被密封流体領域側に向かって傾斜したリップ形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のメカニカルシール。
- 前記前記シール部の取り付けられる周面の前記シール面と反対側に被密封流体をシールする第1シールリップと前記シール面側の前記周面に第3シールリップを有することを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3に記載のメカニカルシール。
- 前記シール部が硬度80°から98°の範囲のゴム状弾性材で構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4に記載のメカニカルシール。
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JP2009516130A (ja) * | 2005-11-15 | 2009-04-16 | メッカノテクニカ ウンブラ エス.ピー.エー. | ポンプのセラミック製機械用シールリングに対する表面処理工程および前述の工程により得られたリング |
CN110043506A (zh) * | 2019-04-15 | 2019-07-23 | 深圳市安普节能科技有限公司 | 一种新型轴机械密封 |
-
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