JP2003306690A

JP2003306690A - 多価不飽和脂肪酸含有油脂組成物

Info

Publication number: JP2003306690A
Application number: JP2002252011A
Authority: JP
Inventors: Tokunori Matsui; 徳則松井; Kazuyoshi Yazawa; 一良矢澤; Hideji Kawada; 秀司河田; Hiroshi Hara; 宏原
Original assignee: NOOBURU KK; Shonan Institute for Medical and Preventive Science
Current assignee: NOOBURU KK; Shonan Institute for Medical and Preventive Science
Priority date: 2002-02-18
Filing date: 2002-07-29
Publication date: 2003-10-31

Abstract

(57)【要約】【課題】ドコサヘキサエン酸（ＤＨＡ）等の多価不
飽和脂肪酸を高含有量で含有し、かつ魚臭や不飽和脂肪
酸臭が安定して抑制された食品の製造において有用な、
多価不飽和脂肪酸含有油脂組成物を提供する。【解決手段】多価不飽和脂肪酸含有油脂、ゴマ油、界
面活性剤及び抗酸化剤を含んでなる、多価不飽和脂肪酸
含有油脂組成物、並びにそれを用いて製造される食品。【効果】本発明の多価不飽和脂肪酸含有油脂、ゴマ
油、界面活性剤及び抗酸化剤を含んでなる多価不飽和脂
肪酸含有油脂組成物を用いることにより、ＤＨＡを初め
とする多価不飽和脂肪酸を高含有量で含有し、さらには
併せて魚臭や不飽和脂肪酸臭がロット毎にばらつくこと
なく安定して抑制された食品が製造できる。例えば、Ｄ
ＨＡ含有油脂組成物であれば、これにより製造される食
品は多量のＤＨＡを含有しているため、一般の食用はも
とより、とくにＤＨＡを多く摂取することが望ましいと
される老人、妊婦、成長期の児童用の食品として有用で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、多価不飽和脂肪酸
含有油脂と特定成分を含んでなる、多価不飽和脂肪酸含
有油脂組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】多価不飽和脂肪酸は、２個以上の炭素−
炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸（すなわち、二価以
上の不飽和脂肪酸）の総称であり、リノール酸、α−リ
ノレン酸、アラキドン酸等は必須脂肪酸として、種々の
生理作用を示すと共に、プロスタグランジン類に変換さ
れるなど、生体にとって極めて重要な脂肪酸である。ま
た、魚油中に含まれる多価不飽和脂肪酸、とくに高度不
飽和脂肪酸（本明細書中において、三価以上の不飽和脂
肪酸を意味する）は血液中のコレステロール低下作用お
よび中性脂肪低下作用等を有し、医学的にも注目されて
いる。これらのうち、イコサペンタエン酸（ＥＰＡ）は
抗血栓作用及び抗動脈硬化作用等の優れた効果を示し、
またドコサヘキサエン酸（ＤＨＡ）は神経系の発育に重
要な役割を果たしており、学習機能の向上、痴呆症状や
不安症状の改善、抗腫瘍作用、抗アレルギー作用、血中
脂質改善作用等優れた効果があり、注目されている［Ｐ
ＥＴＲＯＴＥＣＨ１５（９），８４４（１９９２）；
油化学，３７（１０），７８１（１９８８）；特開平６
−１６５４８；特開平６−４０８８７；特開平７−８２
１４６；特開平８−２３１３９１；特開平８−２４５３
７８；特開平１０−１７４７５；特開平１０−５９８４
４］。

【０００３】これら多価不飽和脂肪酸は一般に、特有の
不飽和脂肪酸臭を有している。高度不飽和脂肪酸のう
ち、とくに、ＥＰＡはイワシ等、またＤＨＡはカツオ、
マグロ等に多く含まれており、これらを健康食品として
利用するために種々試みられているが、魚臭の問題があ
り、また高度不飽和脂肪酸は非常に酸化されやすいた
め、いかに精製しても十分な脱臭は困難である。

【０００４】そのために天然トコフェロール、茶抽出
物、アスコルビン酸、クエン酸等の酸化防止剤、抑臭剤
を添加することが知られているが、このような物質を添
加しても十分な抑臭は不可能であり、特に長時間経過後
には魚臭が戻ってしまうという問題があった。このた
め、ＥＰＡ、ＤＨＡを主成分とする魚油の食品への添加
は、かまぼこや竹輪のようにわずかな魚臭では影響され
ないような食品への利用がほとんどであった。

【０００５】特開平１０−２０１４１７号公報には、高
度不飽和脂肪酸及び／又はそのエステルを含有する魚油
に、食酢及び／又は柑橘類ジュースを添加し混合した
後、水相を除去することを特徴とする無臭化及び安定化
された高度不飽和脂肪酸及び／又はそのエステルを含有
する油が開示されており、これを目的の食品又は化粧品
に添加すると、高度不飽和脂肪酸及び／又はそのエステ
ルを高含有量で含有する食品又は化粧品が得られること
が記載されている。しかしながら、この油の調製には、
高度不飽和脂肪酸及び／又はそのエステルを含有する魚
油に、食酢及び／又は柑橘類ジュースを添加し攪拌混合
して懸濁液とし、これを静置して２相に分離させたの
ち、下層の水相を捨て、上層の油相を採取するという煩
雑な操作を必要とする。また、ＥＰＡ、ＤＨＡの含有量
を多くすることは難しく、ロットによっては、魚臭が生
じる場合があった。

【０００６】さらに、特開平１０−３３０７８１号公報
には、上記の高度不飽和脂肪酸及び／又はそのエステル
を含有する油に対して、植物油脂を添加してなる、高度
不飽和脂肪酸及び／又はそのエステルを含有する組成物
が開示されているが、この調製には上記と同様に煩雑な
操作を必要とする欠点があった。

【０００７】一方、例えば、ＤＨＡが示す上記のような
効果を発現させるためには数百ｍｇ〜数ｇ程度の量のＤ
ＨＡを毎日摂取することが必要といわれている。例え
ば、パン類は主食あるいは間食として常用されている食
品であり、ＤＨＡの摂取源として好ましい食品である。
しかし、現在のところＤＨＡを必要量含有するパン類の
製造方法は知られておらず、また上記したような酸化防
止剤を添加したＤＨＡを主成分とする魚油を少量用いて
も、製造されるパン、菓子パン、クッキー、パイ等にお
いて魚臭を完全に抑制することはできず、品質、風味等
を損なう欠点があった。

【０００８】また、特開平５−２８７２９４号公報に
は、茶抽出物、トコフェロールならびにアスコルビン酸
及び／又はアスコルビン酸脂肪酸エステルからなる魚油
戻り臭抑制剤が記載されているが、この魚油戻り臭抑制
剤を用いたＤＨＡを主成分とする魚油を添加してパン、
クッキー、パイ等を製造した場合には、魚臭を抑えるこ
とはできるものの、製品は茶抽出物により着色されると
いう欠点があった。

【０００９】ごく最近、液卵及びＤＨＡ含有油脂を添加
するＤＨＡ含有パンの製造方法が開示されている（特開
２００１−６１４０２号公報）。この方法である程度の
魚臭を抑える効果は得られるものの、パンの製造方法と
して中種法に限られているとともに、液卵の添加が必須
であり、またＤＨＡの含有量を多くしかつ魚臭を抑制す
るためには特殊なＤＨＡ含有高度無臭化加工油脂の使用
が好ましいとされており、より簡便で低コストな方法の
開発が望まれていた。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、多価
不飽和脂肪酸を高含有量で含有し、かつ不飽和脂肪酸臭
や魚臭がばらつくことなく安定して抑制された、パン類
を初めとする食品等を製造する方法において有用な、多
価不飽和脂肪酸含有油脂組成物並びにそれを用いて製造
される食品及びそれを含んでなる食品を提供することに
ある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、食品等の
製造工程において、多価不飽和脂肪酸含有油脂、ゴマ
油、界面活性剤及び抗酸化剤を含んでなる、多価不飽和
脂肪酸含有油脂組成物を用いると、多価不飽和脂肪酸を
高含有量で含有し、かつ不飽和脂肪酸臭や魚臭がばらつ
くことなく安定して抑制された食品を製造しうることを
見出し、本発明を完成させるに至った。

【００１２】すなわち、本発明は、多価不飽和脂肪酸含
有油脂、ゴマ油、界面活性剤及び抗酸化剤を含んでな
る、多価不飽和脂肪酸含有油脂組成物並びにそれを用い
て製造される食品及びそれを含んでなる食品を提供す
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下に本発明の多価不飽和脂肪酸
含有油脂組成物を詳細に説明する。本発明の多価不飽和
脂肪酸含有油脂組成物は、多価不飽和脂肪酸含有油脂
に、ゴマ油、界面活性剤及び抗酸化剤を含むことを特徴
とする。

【００１４】ゴマ油としては、通常入手しうるゴマ油を
用いることができ、目的とする食品にあわせて適宜選択
しうる。その使用量は、多価不飽和脂肪酸含有油脂に対
して２％以上、好ましくは４％以上、より好ましくは６
％以上であり、多量に使用すればするほど魚臭の抑制効
果が高くなる。通常は２５％程度までの範囲内で、望ま
れる多価不飽和脂肪酸含有量を考慮して、使用量を適宜
選択することができる。

【００１５】界面活性剤としては、食品添加用の界面活
性剤であればいずれも用いることができるが、その中で
もとくにレシチンが好ましい。レシチンとしては、動物
性、植物性のいずれであってもよいが、コスト、入手性
等の点で、大豆レシチンを好適に使用しうる。その使用
量は、多価不飽和脂肪酸含有油脂に対して０．５％〜１
０％、好ましくは１％〜５％である。上記の量より少な
い量では効果が小さく、多く使用すると、コスト面で不
利になる。

【００１６】抗酸化剤としては、食品添加用の抗酸化剤
であればいずれも用いることができるが、とくにトコフ
ェロールが好ましい。トコフェロールはα−トコフェロ
ール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−
トコフェロールのいずれでもよく、またこれらの混合物
であってもよい。ただし、コスト及び効果を勘案する
と、これらの混合物あるいはδ−トコフェロールの使用
が好ましい。これらは、市販品をそのまま使用すること
ができる。その使用量は、多価不飽和脂肪酸含有油脂に
対して０．０５％〜５％、好ましくは０．３％〜１％で
ある。上記の量より少ない量では効果が小さくなりす
ぎ、多く使用しても効果がそれほど上がらず、コスト面
で不利になる。

【００１７】多価不飽和脂肪酸含有油脂としては、動植
物油を挙げることができ、例えば、リノール酸であれ
ば、サフラワー油等、α−リノレン酸であれば、エゴマ
油、シソ油、亜麻仁油等、γ−リノレン酸であれば、月
見草油、ボラージ油等が挙げられる。アラキドン酸含有
油脂としては、微生物を用いて得られるものが挙げられ
る。またＥＰＡ、ＤＨＡについては、これらを含有する
魚油、イカ油等を挙げることができ、例えばＤＨＡツナ
オイルのような市販品あるいはこれらの精製油を用いる
ことができるが、魚臭を抑制する上では、魚臭がほとん
ど認められない程度にまで精製したものを使用すること
が好ましい。その他、多価不飽和脂肪酸の遊離酸、その
エステルおよびリン脂質（リゾ体を含む）等を添加、混
合したものであってもよい。なお、上述の、特開平１０
−２０１４１７号公報記載の無臭化及び安定化されたド
コサヘキサエン酸を含有する油を多価不飽和脂肪酸含有
油脂として使用することもできるが、本発明において
は、このような特殊な加工油脂を用いなくとも本発明の
目的を達成することができる。

【００１８】なお、本明細書において、「多価不飽和脂
肪酸」なる語は、特記しない限り、遊離酸の他、そのエ
ステル（トリグリセリドを含む）およびリン脂質（リゾ
体を含む）等を総称するものとして使用される。また
「多価不飽和脂肪酸含有油脂」なる語は、特記しない限
り、遊離酸の他、そのエステル（トリグリセリドを含
む）およびリン脂質（リゾ体を含む）等の形態にある多
価不飽和脂肪酸を含有する油脂状物を総称するものとし
て使用され、天然物或いは合成粗生成物等から抽出その
他の方法により得られる未精製物、あらゆる段階の精製
物（純品を含む）、及び適切な媒体に溶解或いは懸濁し
たもの等を包含する。また、付加価値が高いこと及び臭
気マスキングの必要性がとくに高いことから、多価不飽
和脂肪酸含有油脂として高度不飽和脂肪酸含有油脂を用
いることが好ましく、とくにＥＰＡ及び／又はＤＨＡ含
有油脂が好ましい。

【００１９】本発明の組成物を用いて食品を製造する場
合、多価不飽和脂肪酸含有油脂組成物の使用量は、食品
の種類及び目的とする食品中の多価不飽和脂肪酸含有量
により適宜選択することができるが、食品重量に対し
て、１〜２５重量％程度であり、通常、２〜２０重量％
程度である。その使用方法としては、食品製造の際に通
常用いられる油脂に変えて、もしくはその一部として、
あるいは新たな添加物として使用することができる。

【００２０】本発明の多価不飽和脂肪酸含有油脂組成物
の製造方法は、特に限定されることなく、通常の混合方
法により実施される。例えば、本組成物は、多価不飽和
脂肪酸含有油脂にゴマ油を添加し、次いで界面活性剤及
び抗酸化剤を添加し、よく混合することにより製造され
る。

【００２１】本発明のゴマ油、界面活性剤及び抗酸化剤
を含む多価不飽和脂肪酸含有油脂組成物を種々の食品を
製造する際に添加することにより、ＤＨＡ含有食品を簡
便に製造することができる。本発明の多価不飽和脂肪酸
含有油脂組成物を用いて製造される食品あるいはこの組
成物を含んでなる食品は特に限定されるものではない
が、例えば上記のパン類、ケーキ類、クッキー類、パイ
類のほか、スパゲッティ等のパスタ類などの小麦粉を原
料とする食品、米飯、豆腐、豆乳、こんにゃく、マヨネ
ーズ、ソーセージ、醤油、味噌、菓子、煎餅、アイスク
リーム、ヨーグルト、清涼飲料水（ジュース類、ドリン
ク類等）、種々の缶詰などを挙げることができる。な
お、本発明の多価不飽和脂肪酸含有油脂組成物は、元来
油脂を用いる食品に限定されることなく、通常は油脂を
用いないものにまで使用することができる点にも特徴が
ある。

【００２２】

【発明の効果】本発明の多価不飽和脂肪酸含有油脂、ゴ
マ油、界面活性剤及び抗酸化剤を含んでなる、多価不飽
和脂肪酸含有油脂組成物を用いることにより、多価不飽
和脂肪酸を高含有量で含有し、さらには併せて不飽和脂
肪酸臭や魚臭がロット毎にばらつくことなく安定して抑
制された食品が製造できる。これにより製造される食品
は多量の多価不飽和脂肪酸を含有しうる。このため、一
般の食用はもとより、とくに多価不飽和脂肪酸を多く
摂取することが望ましいとされる人々、例えばアラキド
ン酸の場合は新生児や菜食主義者用の食品として、ＥＰ
Ａの場合は、血栓予防用食品として、またＤＨＡの場合
は、老人、妊婦、成長期の児童用の食品として有用であ
る。

【００２３】

【実施例】以下に実施例、製造例により、本発明を更に
詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの例に限定さ
れるものではない。

【００２４】実施例１多価不飽和脂肪酸含有油脂組成
物の製造１日本化学飼料株式会社製のＤＨＡ２７％含有精製油脂
に、室温で、かどや製油株式会社製ゴマ油７．８％、δ
−トコフェロール０．５６％、及び大豆レシチン３．３
５％を添加し、よく攪拌、混合した。得られた油状体を
濾過することにより、ＤＨＡ含有油脂、ゴマ油、レシチ
ン及びトコフェロールを含むＤＨＡ含有油脂組成物を得
た。

【００２５】実施例２多価不飽和脂肪酸含有油脂組成
物の製造２実施例１において、δ−トコフェロールの代りに混合ト
コフェロール（α−、β−、γ−、δ−トコフェロール
の混合物）を用いた以外は同様にして、ＤＨＡ含有油
脂、ゴマ油、レシチン及びトコフェロールを含むＤＨＡ
含有油脂組成物を得た。

【００２６】製造例１パンの製造（ストレート法）下記の表に示す配合に従い、ストレート法でパンを製造
した。

【００２７】

【表１】

【００２８】ＤＨＡ含有油脂および加工油脂以外の材料
をボールに入れ、低速２分、高速６分で混捏し、加工油
脂を添加した。次いで、低速２分、高速３分で混捏し、
ＤＨＡ含有油脂を添加した。さらに、低速２分、高速５
分で混捏し、捏ねあげ温度を２８±０．５℃として、パ
ン生地を調製した。ついで、これを９０分間一次醗酵さ
せた。醗酵終了温度は３１℃であった。その後、５℃の
冷蔵庫で２時間生地を冷やして醗酵を停止させた。

【００２９】次に、得られたパン生地を分割した（分割
生地一個当たりの重量：５０ｇ）。この分割操作後の生
地を回復させるためにベンチタイムを２０分とり、生地
を折り込み後、ロール成形した。成形物をホイロにて３
８℃、湿度８０％で、６０分間二次醗酵を行った。

【００３０】以上のようにして調製した二次醗酵後のパ
ン生地を１８０℃のオーブンで１３分間焼成し、ロール
パンを調製した。

【００３１】製造されたパンは、べたつきもなく、魚臭
は認められなかった。また、ロット間でのばらつきも全
くなかった。なお、ＤＨＡ含有量は、１個あたり約０．
３ｇであった。また、得られたパンを一旦冷凍保存した
後、解凍しても魚臭は認められなかった。

【００３２】製造例２パンの製造多価不飽和脂肪酸含有油脂として、実施例２で得られた
ＤＨＡ含有油脂組成物に代えた以外は製造例１と同様に
して、ロールパンを調製した。製造されたパンは、べた
つきもなく、魚臭は認められなかった。また、ロット間
でのばらつきも全くなかった。なお、ＤＨＡ含有量は、
１個あたり約０．３ｇであった。

【００３３】製造例３パンの製造下記の表に示す配合に従い、ストレート法でパンを製造
した。

【００３４】

【表２】

【００３５】ＤＨＡ含有油脂および加工油脂以外の材料
をボールに入れ、低速２分、高速６分で混捏し、加工油
脂を添加した。次いで、低速２分、高速３分で混捏し、
ＤＨＡ含有油脂を添加した。さらに、低速２分、高速５
分で混捏し、捏ねあげ温度を２８±０．５℃として、パ
ン生地を調製した。ついで、これを９０分間一次醗酵さ
せた。醗酵終了温度は３１℃であった。その後、５℃の
冷蔵庫で２時間生地を冷やして醗酵を停止させた。

【００３６】次に、得られたパン生地を分割した（分割
生地一個当たりの重量：５０ｇ）。この分割操作後の生
地を回復させるためにベンチタイムを２０分とり、生地
を折り込み後、ロール成形した。成形物をホイロにて３
８℃、湿度８０％で、６０分間二次醗酵を行った。

【００３７】以上のようにして調製した二次醗酵後のパ
ン生地を１８０℃のオーブンで１３分間焼成し、ロール
パンを調製した。

【００３８】製造されたパンは、べたつきもなく、魚臭
は認められなかった。また、ロット間でのばらつきも全
くなかった。なお、ＤＨＡ含有量は、１個あたり約０．
３ｇであった。

【００３９】製造例４パンの製造（ストレート法）下記の表に示す配合に従い、ストレート法でパンを製造
した。

【００４０】

【表３】

【００４１】ＤＨＡ含有油脂および加工油脂以外の材料
をボールに入れ、低速２分、高速６分で混捏し、加工油
脂を添加した。次いで、低速２分、高速３分で混捏し、
ＤＨＡ含有油脂の半量を添加し、続けて低速２分、高速
３分で混捏し、ＤＨＡ含有油脂の残った半量を添加し
た。さらに、低速２分、高速５分で混捏し、捏ねあげ温
度を２７．５±０．５℃として、パン生地を調製した。
ついで、これを９０分間一次醗酵させた。醗酵終了温度
は３１℃であった。その後、５℃の冷蔵庫で２時間生地
を冷やして醗酵を停止させた。

【００４２】次に、得られたパン生地を分割した（分割
生地一個当たりの重量：７５ｇ）。この分割操作後の生
地を回復させるためにベンチタイムを２０分とり、生地
を折り込み後、ロール成形した。成形物をホイロにて３
８℃、湿度８０％で、６０分間二次醗酵を行った。

【００４３】以上のようにして調製した二次醗酵後のパ
ン生地を１８０℃のオーブンで１３分間焼成し、ロール
パンを調製した。

【００４４】製造されたパンは、べたつきもなく、魚臭
は認められなかった。また、ロット間でのばらつきも全
くなかった。なお、ＤＨＡ含有量は、１個あたり約１．
０ｇであった。このように、本発明のＤＨＡ含有油脂組
成物を用いることにより、中種法によることなく、また
アレルギー源ともなり得る液卵を添加する必要もなく、
ＤＨＡを高含有量、とくに５００ｍｇ／１００ｇ以上含
有し、魚臭がばらつくことなく安定して抑制されたパン
類を製造することが可能であった。

【００４５】製造例５スパゲッティの製造下記の表に示す配合に従い、スパゲッティを製造した。

【００４６】

【表４】

【００４７】スパゲッティの混捏用の水は次のようにし
て調整した。すなわち、水２００ｇをＤＨＡ含有油脂組
成物に少量づつ添加しながら乳化水を作成した。さらに
この乳化水に混捏用の水を添加して、総量を２８．６ｋ
ｇにした。次に、食塩３００ｇを混捏用の水に溶解し
た。

【００４８】デュラム小麦のセモリナ１００ｋｇを混捏
型リボンミキサーに投入し、混捏用の水を拡散させなが
ら添加した。混捏は毎分６０回転の速度で４分間とし
た。混捏後の生地は約１０ｋｇほどに分割してポリエチ
レン製の袋に取り分けて、２０〜３０分間常温下で熟成
させた。

【００４９】次に、熟成後の生地をパスタ用の押し出し
製麺機に投入して、スパゲッティを抽出製麺した。抽出
時の圧力は９０〜１００ｋｇ／ｃｍ^２の間とした。抽出
後のスパゲッティは竿に掛けて乾燥室にて乾燥した。乾
燥は、３５℃以下のファンによる空気の循環で、７２時
間以上かけて行った。乾燥の終了は、製品の水分値が１
３％以下となった時とした。

【００５０】製造されたスパゲッティに、魚臭は認めら
れなかった。また、ロット間でのばらつきも全くなかっ
た。なお、ＤＨＡ含有量は、１００ｇあたり約３２０ｍ
ｇであった。

【００５１】製造例６実施例２で得られたＤＨＡ含有油脂を用いた以外は製造
例５と同様にして生地を製造した。次いで、マカロニ用
の成形型を用いて成形し、網上で乾燥して、マカロニを
製造した。製造されたマカロニに、魚臭は認められなか
った。また、ロット間でのばらつきも全くなかった。な
お、ＤＨＡ含有量は、１００ｇあたり約３１５ｍｇであ
った。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者松井徳則愛知県丹羽郡扶桑町高雄下山458 (72)発明者矢澤一良神奈川県藤沢市鵠沼松が岡３丁目19番９号 (72)発明者河田秀司愛知県犬山市大字橋爪字末友７番 (72)発明者原宏愛知県名古屋市熱田区大宝２丁目４番６− 706白鳥パークハイツ公園通りＦターム(参考） 4B026 DC01 DC05 DG01 DG09 DG11 DK05 DL02 DX01 4H059 BA33 BA39 BB05 BB06 BB14 BB15 BB18 BB22 BB45 BC06 BC13 EA03 EA11

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】多価不飽和脂肪酸含有油脂、ゴマ油、界
面活性剤及び抗酸化剤を含んでなる、多価不飽和脂肪酸
含有油脂組成物。
【請求項２】多価不飽和脂肪酸含有油脂に対し、ゴマ
油を２％以上、界面活性剤を０．５％〜１０％、及び抗
酸化剤を０．０５％〜５％含む、請求項１記載の多価不
飽和脂肪酸含有油脂組成物。
【請求項３】多価不飽和脂肪酸含有油脂が高度不飽和
脂肪酸含有油脂である、請求項１又は２記載の多価不飽
和脂肪酸含有油脂組成物。
【請求項４】高度不飽和脂肪酸含有油脂がドコサヘキ
サエン酸含有油脂及び／又はイコサペンタエン酸含有油
脂である、請求項３記載の多価不飽和脂肪酸含有油脂組
成物。
【請求項５】請求項１〜４のいずれかに記載の多価不
飽和脂肪酸含有油脂組成物を用いて製造される食品。
【請求項６】請求項１〜４のいずれかに記載の多価不
飽和脂肪酸含有油脂組成物を含んでなる食品。
【請求項７】多価不飽和脂肪酸含有油脂、ゴマ油、界
面活性剤及び抗酸化剤を含むことを特徴とする食品。