JP2003003039A - 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents
熱可塑性エラストマー組成物の製造方法Info
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Abstract
れ、高温下で圧縮永久歪みが小さく、高温クリープ性
能、機械的強度、耐油性、耐溶剤性、耐熱性、耐候性等
に優れる成形品等を製造可能な熱可塑性エラストマー組
成物の簡便な製法の提供。 【解決手段】 ビニル芳香族化合物系重合体ブロック−
共役ジエン化合物系重合体ブロックよりなるMnが20万
以上の水添ブロック共重合体(a)、非芳香族系ゴム用軟
化剤(b)、密度0.94g/cm3以上のパーオキサイド架
橋型オレフィン系樹脂(c)、パーオキサイド分解型オレ
フィン系樹脂(d)、有機パーオキサイド(e)及び架橋助
剤(f)を含有し;前記(a)100部に対して前記(b)の配
合量が50〜250部及び前記(c)の配合量が2.5〜50部で、
前記(d)の配合量が前記(c)に対して0.8〜8倍である混
合物を、一段の工程で加熱下に溶融混練して動的架橋し
て熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法。
Description
造方法に関する。より詳細には、本発明は、簡単な溶融
混練工程で、柔軟性に優れ、ゴム弾性、特に高温下のゴ
ム弾性に優れていて圧縮永久歪みが小さく、しかも高温
クリープ性能、機械的強度、耐油性、耐溶剤性、耐熱
性、耐候性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を製造
する方法に関する。本発明の方法によって得られる熱可
塑性エラストマー組成物は、それらの優れた特性を活か
して、各種成形品用の素材として利用できる。
要とせず、熱可塑性樹脂と同様に成形加工が可能である
ことから、近年、自動車部品、家電部品、電線被覆、医
療部品、履物、雑貨等の広い分野で使用されている。こ
のような熱可塑性エラストマーの中で、ポリスチレン−
ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体(SB
S)やポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブ
ロック共重合体(SIS)、それらの水素添加物で代表
されるスチレン系熱可塑性エラストマーは、安価で耐加
水分解性に優れることから広く用いられている。
レンブロック共重合体の水素添加物や、ポリスチレン−
ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体の水素
添加物に代表される、ビニル芳香族化合物重合体ブロッ
クと共役ジエン化合物重合体ブロックを有するブロック
共重合体の水素添加物は、ビニル芳香族化合物重合体ブ
ロックと共役ジエン化合物重合体ブロックを有するブロ
ック共重合体における耐熱性、耐候性等の問題点を改良
したものであるが、高温時のゴム弾性に劣っていて、高
温下の圧縮永久歪みが大きい。
36号公報、特開平8−225713号公報には、かか
るビニル芳香族化合物重合体ブロック−共役ジエン化合
物重合体ブロックよりなるブロック共重合体の水素添加
物を、a)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂と、
b)パーオキサイド架橋型オレフィン系共重合体ゴムま
たはパーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂との併用下
に、有機パーオキサイドを用いて部分架橋させる方法が
提案されている。
6号公報には、(イ−1)ビニル芳香族化合物重合体ブ
ロック2個以上と共役ジエン化合物重合体ブロック1個
以上を有するブロック共重合体の水素添加物100質量
部、(イ−2)パーオキサイド架橋型オレフィン系共重
合体ゴム20〜150質量部、(イ−3)パーオキサイ
ド非架橋型炭化水素系ゴム状物質0〜50質量部、(イ
−4)非芳香族系ゴム用軟化剤80〜300質量部、
(イ−5)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂30
〜400質量部、および(イ−6)無機充填剤0〜90
0質量部の各成分を、まず(イ−1)を除く各成分のう
ち、少なくとも(イ−2)の全量を有機パーオキサイド
の存在下に熱処理して動的架橋せしめ、次いでこの動的
架橋物と成分(イ−1)および残りの成分とを配合して
エラストマー状組成物を製造する方法が記載されてい
る。そして、この公報には、前記した多段階の部分架橋
−配合工程を採用しない場合は、エラストマー状組成物
の機械的強度が大幅に低下する旨の説明がなされてい
る。
は、(ロ−1)ビニル芳香族化合物重合体ブロック2個
以上と共役ジエン化合物重合体ブロック1個以上を有す
るブロック共重合体および/またはその水素添加物10
0質量部、(ロ−2)非芳香族系ゴム用軟化剤40〜3
00質量部、(ロ−3)パーオキサイド架橋型オレフィ
ン系樹脂および/またはそれを含む共重合体ゴム1.0
〜100質量部、(ロ−4)パーオキサイド分解型オレ
フィン系樹脂および/またはそれを含む共重合体10〜
150質量部を含む熱可塑性エラストマー組成物の製造
方法において、成分(ロ−1)および成分(ロ−2)、
成分(ロ−3)の少なくとも一部、並びに成分(ロ−
4)の一部を、有機パーオキサイドの存在下に熱処理し
て架橋せしめ、次いでこの架橋物と成分(ロ−4)の残
部、または成分(ロ−3)と成分(ロ−4)の残部とを
配合する熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法が
記載されている。そして、この公報には、有機パーオキ
サイドの存在下で動的架橋した組成物と、後で配合する
成分(ロ−4)とが相溶して組成物中にミクロ分散し、
得られる熱可塑性エラストマー樹脂組成物の加工特性、
流動性、機械的強度などが向上する旨の説明がなされて
いる。
されている方法は、いずれも、各成分を最終配合割合で
一度に動的架橋させることはできず、構成成分の一部を
動的架橋させた後に、残りの成分を配合することが必要
であるため、熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造工
程が非常に煩雑であるとともに、特に高温下でのゴム弾
性の点で未だ不十分である。
ル芳香族化合物重合体ブロックおよび共役ジエン化合物
重合体ブロックを有するブロック共重合体の水素添加
物、非芳香族系ゴム用軟化剤、パーオキサイド架橋型オ
レフィン系樹脂およびパーオキサイド分解型オレフィン
系樹脂を含む混合物を有機パーオキサイドの存在下に動
的架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物において、
上記した公報に記載されている従来技術におけるような
多段階の部分架橋−配合工程を必要とせずに、一段の簡
単な加熱混練工程で、諸物性に優れる動的架橋した熱可
塑性エラストマー組成物を製造する方法を提供すること
である。特に、一段の簡単な加熱混練工程で、柔軟性に
優れ、ゴム弾性、特に高温下でのゴム弾性に優れていて
圧縮永久歪みが小さく、更に高温クリープ性能、機械的
強度、耐油性、耐溶剤性、耐熱性、耐候性、表面特性な
どに優れる成形品などを製造することのできる、動的架
橋した熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法を提
供することである。
べく鋭意検討した結果、ビニル芳香族化合物重合体ブロ
ックおよび共役ジエン化合物ブロックを有するブロック
共重合体の水素添加物、非芳香族系ゴム用軟化剤、パー
オキサイド架橋型オレフィン系樹脂、およびパーオキサ
イド分解型オレフィン系樹脂を含む混合物を有機パーオ
キサイドの存在下に動的架橋して熱可塑性エラストマー
組成物を製造するに当たって、ビニル芳香族化合物重合
体ブロックおよび共役ジエン化合物重合体ブロックを有
するブロック共重合体の水素添加物として特定の範囲の
分子量を有するものを用いると共に、パーオキサイド架
橋型オレフィン系樹脂として特定の密度のものを使用
し、併せてブロック共重合体の水素添加物、非芳香族系
ゴム用軟化剤、パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂
およびパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂の配合量
を特定の範囲にすると、上記2つの公報に記載されてい
る従来技術におけるような多段階の動的架橋−配合工程
が不要となり、一段の加熱混練工程で、良好な諸物性を
兼ね備える動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物が
得られることを見出した。特に、そのような一段の加熱
混練工程によって得られる動的架橋した熱可塑性エラス
トマー組成物およびそれから得られる成形品は、柔軟性
に優れ、しかもゴム弾性、特に高温下でのゴム弾性に優
れていて高温下で長時間圧縮されても、圧縮永久歪みが
小さく、その上高温クリープ性能、機械的強度、耐油
性、耐溶剤性、耐熱性、耐候性などの特性に優れ、更に
は表面荒れや表面への軟化剤のブリードアウトがなく、
良好な外観を有することを見出した。さらに、本発明者
らは、その際に、ブロック共重合体の水素添加物として
共役ジエン重合体ブロックが1,3−ブタジエンとイソ
プレンからなる重合体ブロックであることが好ましく用
いられ、有機パーオキサイドおよび架橋助剤の配合量を
特定の範囲にすることが好ましく用いられ、また非芳香
族系ゴム用軟化剤として特定の動粘度を有するものが好
ましく用いられることを見出し、それらの知見に基づい
て本発明を完成するに至った。
ル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAを少なく
とも1個、および共役ジエン化合物を主体とする重合体
ブロックBを少なくとも1個含有するブロック共重合体
を水素添加してなる数平均分子量20万以上の水添ブロ
ック共重合体(a)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)、
密度が0.94g/cm3以上のパーオキサイド架橋型
オレフィン系樹脂(c)、パーオキサイド分解型オレフ
ィン系樹脂(d)、有機パーオキサイド(e)、および
架橋助剤(f)を含有し;かつ、(ii)非芳香族系ゴム
用軟化剤(b)の配合量が、水添ブロック共重合体
(a)100質量部に対して、50〜250質量部であ
り;(iii)パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂
(c)の配合量が、水添ブロック共重合体(a)100
質量部に対して、2.5〜50質量部であり;および、
(iv)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(d)の
配合量が、パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂
(c)に対して0.8〜8質量倍である;ことからなる
混合物を一段の工程で加熱下に溶融混練して動的架橋す
ることを特徴とする、熱可塑性エラストマー組成物の製
造方法である。
ック共重合体(a)における共役ジエン化合物を主体と
する重合体ブロックBが、1,3−ブタジエンおよびイ
ソプレンからなる重合体ブロックである前記(1)の熱
可塑性エラストマー組成物の製造方法;(3) 有機パ
ーオキサイド(e)の添加量が、前記(a)〜(d)の
合計100質量部に対して0.3〜1.5質量部であ
り、かつ架橋助剤(f)の添加量が有機パーオキサイド
(e)の配合量に対して0.5〜3.0質量倍である前
記(1)または(2)の熱可塑性エラストマー組成物の
製造方法;および、(4) 非芳香族系ゴム用軟化剤
(b)の40℃における動粘度(Bv)(mm2/s)
が、下記の数式を満たす、前記(1)〜(3)のいず
れかの熱可塑性エラストマー組成物の製造方法;
0℃における動粘度、Mnaは水添ブロック共重合体
(a)の数平均分子量を示す。];を好ましい態様とし
て包含する。
する。本発明で使用する水添ブロック共重合体(a)
は、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする
重合体ブロックAと、少なくとも1個の共役ジエン化合
物を主体とする重合体ブロックBを含有するブロック共
重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体であ
る。水添ブロック共重合体(a)において、重合体ブロ
ックAを構成するビニル芳香族化合物としては、例えば
スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、
m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブ
チルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6
−トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、モノク
ロロスチレン、ジクロロスチレン、ビニルナフタレン、
ビニルアントラセンなどを挙げることができ、重合体ブ
ロックAはこれらのビニル芳香族化合物の1種または2
種以上から形成されていることができる。そのうちで
も、重合体ブロックAはスチレンから形成されているこ
とが好ましい。重合体ブロックAは、本発明の目的およ
び効果の妨げにならない限りは、場合により、ビニル芳
香族化合物以外の不飽和単量体(例えば1−ブテン、ペ
ンテン、ヘキセン、1,3−ブタジエン、イソプレン、
メチルビニルエーテル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニ
ルなど)に由来する構造単位の1種または2種以上を少
量(好ましくは重合体ブロックAの10質量%以下)有
していても良い。
合体(a)における重合体ブロックBを構成する共役ジ
エン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソ
プレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,
3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどを挙げる
ことができ、重合体ブロックBはこれらの共役ジエン化
合物の1種または2種以上から形成されていることがで
きる。それらのうちでも、重合体ブロックBは1,3−
ブタジエンおよびイソプレンの両方から形成されている
ことが特に好ましい。重合体ブロックBが1,3−ブタ
ジエンおよびイソプレンの両方から形成されていると、
熱可塑性エラストマー組成物から得られる成形体の表面
のべとつきがなくなり、また重合体ブロックBが1,3
−ブタジエン単独重合体やイソプレン単独重合体からな
る場合に比べて、水添ブロック共重合体(a)における
非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の保持力が大きくなり、
非芳香族系ゴム用軟化剤(b)のブリードアウトが抑制
できる。
物の結合形態は特に制限されない。例えば、1,3−ブ
タジエンの場合は、1,2−結合および/または1,4
−結合、イソプレンの場合は1,2−結合、3,4−結
合および/または1,4−結合を採ることができ、それ
らのいずれの結合形態であってもよい。そのうちでも、
重合体ブロックBが1,3−ブタジエンおよびイソプレ
ンの両方から形成されている場合は、3,4−結合およ
び1,2−結合の合計が5〜70モル%であるのが特に
好ましい。また、重合体ブロックBが2種以上の共役ジ
エン化合物(例えば1,3−ブタジエンとイソプレン)
から形成されている場合は、それらの結合形態は、完全
交互、ランダム、テーパー、一部ブロック状、またはそ
れら2種以上の組み合わせからなることができる。
に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添
加(水添)されていることが必要である。水添率は特に
制限は無いが、耐熱性や耐候性の観点から、共役ジエン
化合物に基づく炭素−炭素二重結合の85モル%以上が
水素添加されていることが好ましく、90モル%以上水
添されていることがより好ましい。なお、水素添加率
(水添率)は、重合体ブロックB中の共役ジエン化合物
に基づく炭素−炭素二重結合の含有量を、水素添加の前
後において、ヨウ素価測定、赤外分光光度計、1H−N
MRスペクトル等によって測定し、該測定値から求める
ことができる。
効果の妨げにならない限りは、場合により、共役ジエン
化合物以外の不飽和単量体(例えば1−ブテン、1−ペ
ンテン、1−ヘキセン、メチルビニルエーテル、スチレ
ン、メタクリル酸メチル、酢酸ビニルなど)に由来する
構造単位の1種または2種以上を少量(好ましくは重合
体ブロックBの10質量%以下)有していてもよい。
も1個の重合体ブロックAと少なくとも1個の重合体ブ
ロックBとが結合したブロック共重合体の水添物である
限りは、その重合体ブロックの結合様式は限定されず、
直鎖状、分岐状、放射状、またはそれらの2つ以上が組
み合わさった結合形式のいずれでもよい。それらのうち
でも、重合体ブロックAと重合体ブロックBの結合形式
は直鎖状であることが好ましく、例としては、重合体ブ
ロックAをAで、また重合体ブロックBをBで表したと
きに、A−Bのジブロック共重合体の水添物、A−B−
Aのトリブロック共重合体の水添物、A−B−A−Bの
テトラブロック共重合体の水添物、A−B−A−B−A
のペンタブロック共重合体の水添物などを挙げることが
できる。それらのうちでも、A−B−Aのトリブロック
共重合体の水添物が、ブロック共重合体の製造の容易
性、柔軟性、ゴム弾性などの点から好ましく用いられ
る。
ル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量は、熱可塑
性エラストマー組成物の機械的強度、柔軟性などの点か
ら10〜65質量%の範囲にあることが好ましく、15
〜35質量%の範囲内であることがより好ましい。な
お、水添ブロック共重合体(a)におけるビニル芳香族
化合物に由来する構造単位の含有量は、1H−NMRス
ペクトルなどにより求めることができる。
水添後の数平均分子量が20万以上であることが必要で
あり、25万以上であることがより好ましい。水添ブロ
ック共重合体(a)の数平均分子量が20万未満である
と、本発明の方法で製造される熱可塑性エラストマー組
成物の高温下でのゴム弾性が低下する。水添ブロック共
重合体(a)の数平均分子量の上限は特に制限されない
が、本発明の方法で製造される熱可塑性エラストマー組
成物の加工性の点から50万以下であることが好まし
い。なお、本明細書でいう数平均分子量とは、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によっ
て求めたポリスチレン換算の分子量である。
主旨を損なわない限り、場合により、分子鎖中および/
または分子末端に、カルボキシル基、水酸基、酸無水物
基、アミノ基、エポキシ基などの官能基の1種または2
種以上を有していてもよい。
(a)の製法は特に制限されず、例えば、次のような従
来既知のアニオン重合法によって製造することができ
る。すなわち、アルキルリチウム化合物を開始剤とし
て、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の重合反応に不活
性な有機溶媒中で、ビニル芳香族化合物、共役ジエン化
合物を逐次重合、またはカップリング等の方法でブロッ
ク共重合体を形成する。次いで、得られたブロック共重
合体を、既知の方法に従って不活性有機溶媒中で水素添
加触媒の存在下で水素添加することにより、水添ブロッ
ク共重合体(a)を製造することができる。
(b)としては、従来から公知の非芳香族系のゴム用軟
化剤のいずれもが使用でき、そのうちでも非芳香族系の
鉱物油または液状もしくは低分子量の合成軟化剤が適し
ている。非芳香族系ゴム用軟化剤(b)は、1種のみを
使用しても、または2種以上を併用してもよい。一般
に、ゴムの軟化、増容、加工性向上などのために用いら
れるプロセスオイルまたはエクテンダーオイルと呼ばれ
る鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およ
びパラフィン鎖の三者が組合わさった混合物であって、
全炭素数中で、パラフィン鎖の炭素数が50%以上を占
めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環の炭素数
が30〜45%のものがナフテン系、また芳香族炭素数
が30%より多いものが芳香族系と称されている。本発
明では、上記したプロセスオイルのうち、パラフィン系
プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルを用いるこ
とができる。そして、それら以外にも、ホワイトオイ
ル、ミネラルオイル、エチレンとα−オレフィンの低分
子量共重合体(オリゴマー)、パラフィンワックス、流
動パラフィンなどを用いることができる。これらの中で
も、本発明では、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)として
パラフィン系プロセスオイルおよび/またはナフテン系
プロセスオイルが好ましく用いられる。
えて、芳香族系プロセスオイルなどのような芳香族系の
ゴム用軟化剤を使用すると、水添ブロック共重合体
(a)中のビニル芳香族化合物からなる重合体ブロック
が侵され、熱可塑性エラストマー組成物の物性、特に機
械的強度、ゴム弾性の向上が図れない。
れる熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性を向上させ
る、特に高温下でのゴム弾性を保持する観点から、非芳
香族系ゴム用軟化剤(b)の40℃における動粘度(m
m2/s)が、下記の数式を満たすことが好ましい。
0℃における動粘度、Mnaは水添ブロック共重合体
(a)の数平均分子量を示す。];なお、本明細書にお
ける非芳香族系ゴム用軟化剤の40℃における動粘度
(mm2/s)とは、B型粘度計を使用して、温度40
℃で測定した動粘度を、40℃における非芳香族系ゴム
用軟化剤(b)の密度で除した商の値をいう。
は、水添ブロック共重合体(a)100質量部に対して
50〜250質量部であることが必要であり、好ましく
は80〜200質量部である。非芳香族系ゴム用軟化剤
(b)の配合量が、水素添加ブロック共重合体(a)1
00質量部に対して、50質量部未満である場合は、本
発明の方法で得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔
軟性が劣るようになり、しかも成形加工性が低下し、一
方、250質量部を超える場合には、本発明の方法で得
られる熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品の機
械的強度が不足し、しかも非芳香族系ゴム用軟化剤
(b)のブリードアウトを生じる。
レフィン系樹脂(c)とは、パーオキサイドの存在下で
加熱処理することにより架橋して分子量が増大するオレ
フィン系樹脂をいう。パーオキサイド架橋型オレフィン
系樹脂(c)としては、例えば、ポリエチレン、エチレ
ンと少量のプロピレン、1−ヘキセン、1−オクテン等
の共重合体などを挙げることができ、これらの1種また
は2種以上を用いることができる。そのうちでも、ポリ
エチレンが高温下のゴム弾性を発現できる観点から好ま
しく用いられる。
フィン系樹脂(c)は、密度が0.94g/cm3以上
であることが必要であり、0.95g/cm3以上であ
ることが好ましい。パーオキサイド架橋型オレフィン系
樹脂(c)の密度が0.94g/cm3未満であると、
高温下、特に100℃を超える高温下において、本発明
の方法で得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾
性が不足する。
樹脂(c)は、そのMFRが190℃、21.2N条件
下で10〜50g/10分であることが、得られる熱可
塑性エラストマー組成物の流動性の点から好ましく、2
0〜50g/10分であることがより好ましい。
(c)の配合量は、水添ブロック共重合体(a)100
質量部に対して2.5〜50質量部であることが必要で
あり、5〜45質量部であることが好ましい。パーオキ
サイド架橋型オレフィン系樹脂(c)の配合量が2.5
質量部よりも少ないと、得られる熱可塑性エラストマー
組成物の高温下でのゴム弾性が不足して圧縮永久歪みが
大きくなり、一方、50質量部を超えると、得られる熱
可塑性エラストマー組成物の硬度が高くなり過ぎて柔軟
性が失われ、しかも非芳香族系ゴム用軟化剤(b)のブ
リードアウトが顕著になるため望ましくない。
レフィン系樹脂(d)とは、パーオキサイドの存在下で
加熱処理することにより熱分解して、分子量を減じ、流
動性が増大するオレフィン系樹脂をいう。パーオキサイ
ド分解型オレフィン系樹脂(d)としては、例えば、ア
イソタクチックポリプロピレン、プロピレンと少量のエ
チレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなど
の他のα−オレフィンとの共重合体などを挙げることが
でき、これらの1種または2種以上を用いることができ
る。そのうちでも、プロピレンと少量のα−オレフィン
との共重合体が、熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾
性が良好になる点から好ましく用いられ、特にブロック
タイプと称されるものがより好ましく用いられる。
(d)の配合量は、パーオキサイド架橋型オレフィン系
樹脂(c)の配合量の0.8〜8質量倍であることが必
要であり、1〜5質量倍であることが好ましい。パーオ
キサイド分解型オレフィン系樹脂(d)の配合量がパー
オキサイド架橋型オレフィン系樹脂(c)の配合量の
0.8質量倍未満であると、熱可塑性エラストマー組成
物から得られる成形品、特に射出成形品の表面平滑性が
失われ、一方8質量倍を超えると、得られる熱可塑性エ
ラストマー組成物の高温下のゴム弾性が失われ、圧縮永
久歪みが大きくなる。
ーオキサイド(e)を使用する。有機パーオキサイド
(e)としては、動的条件下に架橋作用を有する有機パ
ーオキサイドであればいずれでもよく、芳香族パーオキ
サイドもしくは脂肪族パーオキサイドのいずれもが使用
できる。また、1種類の有機パーオキサイドを用いて
も、または2種以上の有機パーオキサイドを用いてもよ
い。本発明で用いることのできる有機パーオキサイド
(e)の具体例としては、2,5−ジメチル−2,5−
ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t
−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサ
イド、ジイソプロピルベンゾハイドロパーオキサイド、
1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)
ベンゼン、ベンゾイルパーオキサイドなどを挙げること
ができ、これらの1種または2種以上を用いることがで
きる。有機パーオキサイド(e)の使用量は任意に選択
できるが、本発明の方法で得られる熱可塑性エラストマ
ー組成物の高温下でのゴム弾性の改良効果および流動性
の点で、上記した成分(a)〜(d)の合計100質量
部に対して0.3〜1.5質量部であることが好まし
く、0.5〜1.0質量部であることがより好ましい。
する。架橋助剤(f)としては、多官能性モノマーが好
ましく用いられ、具体例としてはトリアリルイソシアヌ
レート、ジビニルベンゼンなどのビニル系多官能性モノ
マー、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレ
ングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコー
ルジメタクリレートなどのアクリル系多官能性モノマー
などを挙げることができる。架橋助剤(f)の配合量に
特に制限はないが、一般に、有機パーオキサイド(e)
1質量部に対し、0.5〜3.0質量部であることが特
に好ましい。
いることもできる。無機充填剤の配合によって、本発明
の方法で得られる熱可塑性エラストマー組成物からなる
成形品の圧縮永久歪みなどの一部の物性を改良すること
ができ、さらに増量によるコストの低減を図ることがで
きる。用いることのできる無機充填剤としては、例え
ば、炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、マ
イカ、クレー、硫酸バリウム、天然珪酸、合成珪酸、酸
化チタン、カーボンブラックなどを挙げることができ、
これらの1種または2種以上を用いることができる。
メチルスチレンなどの補強樹脂、非水添のブロック共重
合体、難燃剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収
剤、光安定剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、顔料、染
料、増白剤などを用いることができる。
および場合により他の成分を含む混合物を、一段の工程
で一括して加熱溶融状態で混練する。それによって、極
めて簡便な工程で、諸特性に優れる、動的架橋された熱
可塑性エラストマー組成物を製造することができる。こ
こで、本明細書における「動的架橋」とは、上記した成
分(a)〜(f)および場合により他の成分を含む混合
物を、加熱溶融状態で混練して外部から剪断応力を加え
ながら架橋することを意味する。本発明の製造方法で
は、動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物の製造に
当たって、その混練温度を150〜250℃の範囲から
選ぶことが好ましい。そのうちでも、混練前半は有機パ
ーオキサイド(e)の半減期が全混練時間の1/2以上
の時間となる温度で行い、混練後半は有機パーオキサイ
ド(e)の半減期が全混練時間の1/2未満となる温度
で混練を行うことが、得られる熱可塑性エラストマー組
成物の物性、および成形加工性が良好になる点から好ま
しい。混練前半に有機パーオキサイド(e)の半減期が
全混練時間の1/2未満となる温度で混練を行うと、水
添ブロック共重合体(a)およびパーオキサイド架橋型
オレフィン系樹脂(c)が組成物中に微分散する前に架
橋反応が進行し、得られる熱可塑性エラストマー組成物
の物性および成形加工性が低下したものになり易いので
好ましくない。なお、本明細書における混練前半とは一
般に混練開始から全混練時間の約半分までの時間をい
い、それ以後を混練後半という。
程での加熱溶融混練を、熱可塑性重合体の溶融混練に際
して従来から利用されている方法、例えば一軸押出機、
二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール、ブラベ
ンダー、各種ニーダーなどの溶融混練機を用いて各構成
成分を一括して加熱溶融状態で混練する方法を採用して
行うことができ、そのうちでも、混練時の温度制御の点
から、一軸押出機、二軸押出機などを用いて一段で溶融
混練を行う方法が、動的架橋された熱可塑性エラストマ
ー組成物をより簡便に製造できることから好ましく採用
される。
マー組成物は、各種成形法、例えば、射出成形、プレス
成形、押出成形、カレンダー成形、中空成形など公知の
方法により成形することができる。本発明の方法で得ら
れる熱可塑性エラストマー組成物からは、柔軟性、機械
的強度およびゴム弾性に優れる成形品を得ることがで
き、例えば、シート、フィルム、板状体、チューブ状に
成形し、ホース、ベルト、チューブ等の用途;スポーツ
シューズ、ファッションサンダルなどの履き物用途;テ
レビ、ステレオ、掃除機、冷蔵庫等の家電用品用途;建
築物の扉、窓枠に使用するシーリング用パッキン;バン
パー部品、ボディーパネル、ウェザーストリップ等の自
動車用内外装部品用途;はさみ、ドライバー、歯ブラ
シ、スキーストックなどにおける各種グリップ類などの
広範囲の用途に有効に利用することができる。
体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限
定されるものではない。なお、以下の例において、熱可
塑性エラストマー組成物から得られる成形品の各種物性
(硬度、引張強度、引張伸度、圧縮永久歪み、耐油性お
よび表面状態)は、以下の方法で測定または評価した。
て、「タイプA」硬度を測定した。
で得られた射出成形シートからダンベル状5号形試験片
を打ち抜いて、JIS K−6251に準じて引張試験
を行い、破断時の強度および伸びを測定して引張強度お
よび引張伸度とした。
射出成形シートを直径29mmの円サイズに打ち抜き、
それを6枚重ねて温度200℃、圧力2.9MPaでプ
レスして試験片を作製し、その試験片を用いて、JIS
K−6262に準じて、温度100℃および120℃
で、圧縮率25%で22時間圧縮し、22時間後に圧縮
を解放してそのときの圧縮永久歪みを測定した。
形シートから縦×横×厚さ=40mm×20mm×2m
mのサイズの試験片を打ち抜き、JIS K−6258
に準じて2号膨潤油を用いて、100℃で24時間耐油
性試験を行い、耐油試験前の質量に対する耐油試験後の
質量増加率を求めて、質量膨潤率とした。
た射出成形シートの表面を目視により観察して、荒れが
なく平滑な表面を有している場合を良好(○)、および
荒れが生じている場合を不良(×)として評価した。
号は次の通りである。 (1)水添ブロック共重合体(a):s−ブチルリチウ
ムを重合開始剤として用いて、シクロヘキサン中で、ス
チレンと、イソプレン/1,3−ブタジエンの混合モノ
マーをアニオン重合することにより、ブロック共重合体
を合成し、得られたブロック共重合体を、シクロヘキサ
ン中で、Ziegler触媒を用いて、0.8MPaの
水素圧力雰囲気下、75℃で5時間水素添加反応を行っ
て、表1に示す水添ブロック共重合体を得た。
W−380」[パラフィン系プロセスオイル;動粘度=
381.6mm2/s(40℃)、流動点=−15℃、
環分析:CN=27.0%、CP=73.0%] (b)−2:出光興産株式会社製「ダイアナプロセスP
W−90」[パラフィン系プロセスオイル;動粘度=9
5.54mm2/s(40℃)、流動点=−15℃、環
分析:CN=29.0%、CP=71.0%]
樹脂(c): (c)−1:日本ポリケム株式会社製「ノバテックHJ
490」[高密度ポリエチレン樹脂;MFR=20g/
10分(190℃、21.2N)、密度=0.958g
/cm3] (c)−2:日本ポリケム株式会社製「ノバテックLJ
800」[低密度ポリエチレン樹脂;MFR=20g/
10分(190℃、21.2N);密度=0.918g
/cm3]
樹脂(d): (d)−1:株式会社グランドポリマー製「グランドポ
リプロJ704」[ブロックタイプポリプロピレン樹
脂;MFR=5g/10分(230℃、21.2N)、
密度=0.90g/cm3] (d)−2:株式会社グランドポリマー製「グランドポ
リプロB701」[ブロックタイプポリプロピレン樹
脂;MFR=0.5g/10分(230℃、21.2
N)、密度=0.90g/cm3]
脂株式会社製「パーヘキサ25B−40」[2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、40質量%含有品、担持物:シリカ] (6)架橋助剤(f):日本化成株式会社製「タイクM
−60」(トリアリルイソシアヌレート、60質量%含
有品、担持物:ケイソウ土)
系ゴム用軟化剤(b)、パーオキサイド架橋型オレフィ
ン系樹脂(c)、パーオキサイド分解型オレフィン系樹
脂(d)、有機パーオキサイド(e)および架橋助剤
(f)を、下記の表2に示す量で予め混合した後、それ
を一括して二軸押出機(東芝機械社製「TEM−35
B」)に供給して、下記の表2に示す温度でスクリュー
回転数200rpmで混練した後、ストランド状に押出
し、切断して、動的架橋した熱可塑性エラストマー組成
物のペレットを製造した。 (2)上記(1)で得られたペレットを用い、射出成形
機(東芝機械社製「IS−55EPN」、型締圧55×
103kg)を使用して、溶融温度230℃、金型温度
40℃の条件下に射出成形して、縦×横×厚さ=110
mm×110mm×2mmのシート状成形品を製造し
た。この成形品について、硬度、引張強度、引張伸度、
圧縮永久歪み、耐油性および表面状態を上記した方法で
測定または評価したところ、下記の表2に示すとおりで
あった。
系ゴム用軟化剤(b)、パーオキサイド架橋型オレフィ
ン系樹脂(c)、パーオキサイド分解型オレフィン系樹
脂(d)、有機パーオキサイド(e)、架橋助剤(f)
を下記の表3に示す量で予め混合した後、それを一括し
て二軸押出機(東芝機械社製「TEM−35B」)に供
給して、下記の表3に示す温度でスクリュー回転数20
0rpmで混練した後、ストランド状に押出し、切断し
て、動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物のペレッ
トを製造した。 (2)上記(1)で得られたペレットを用い、射出成形
機(東芝機械社製「IS−55EPN」、型締圧55×
103kg)を使用して、溶融温度230℃、金型温度
40℃の条件下に射出成形して、縦×横×厚さ=110
mm×110mm×2mmのシート状成形品を製造し
た。この成形品について、硬度、引張強度、引張伸度、
圧縮永久歪み、耐油性および表面状態を上記した方法で
測定または評価したところ、下記の表3に示すとおりで
あった。なお、比較例2では、成形品における非芳香族
系ゴム用軟化剤(b)のブリードアウトが顕著であり、
また比較例5では成形品表面の荒れが著しく、いずれも
成形品の品質が劣悪であったため、硬度、引張強度、引
張伸度、圧縮永久歪みおよび耐油性の試験は行わなかっ
た。
例1〜6では、数平均分子量20万以上の水添ブロック
共重合体(a)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)、密度
0.94g/cm3以上のパーオキサイド架橋型オレフ
ィン系樹脂(c)、パーオキサイド分解型オレフィン系
樹脂(d)、有機パーオキサイド(e)および架橋助剤
(f)を使用し、且つ水添ブロック共重合体(a)10
0質量部に対して非芳香族系ゴム用軟化剤(b)を50
〜250質量部の範囲内、パーオキサイド架橋型オレフ
ィン系樹脂(c)を2.5〜50質量部の範囲内の配合
量で用い、さらにパーオキサイド分解型オレフィン系樹
脂(d)の配合量をパーオキサイド架橋型オレフィン系
樹脂(c)の配合量の0.8〜8質量倍の範囲内にして
いることによって、全成分を一括して一段で加熱下に溶
融混練するという極めて簡単な操作を採用しているにも
拘わらず、実施例1〜6で得られた熱可塑性エラストマ
ー組成物からなる成形品は、柔軟性に優れ、ゴム弾性、
特に高温下でのゴム弾性に優れていて、圧縮永久歪みが
小さく、しかも機械的強度および耐油性に優れており、
更には表面荒れやブリードアウトがなく表面特性に優れ
ている。
うに、比較例1では、熱可塑性エラストマー組成物の製
造に当たって、水添ブロック共重合体(a)として、数
平均分子量が20万よりも小さい水添ブロック共重合体
(a)−4を用いていることにより、比較例1で得られ
た熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品は、高温
での圧縮永久歪みが極めて大きく、高温でのゴム弾性に
劣っている。比較例2では、非芳香族系ゴム用軟化剤
(c)を本発明で規定している量を超えて使用している
ことにより、比較例2で得られた熱可塑性エラストマー
組成物からなる成形品における軟化剤のブリードアウト
が著しい。比較例3では、パーオキサイド架橋型オレフ
ィン系樹脂(c)を使用していないために、比較例3で
得られた熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品
は、高温下での圧縮永久歪みが大きく、高温でのゴム弾
性に劣っている。比較例4では、パーオキサイド架橋型
オレフィン系樹脂(c)として密度が0.94g/cm
3未満の(c)−2を用いていることにより、比較例4
で得られた熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品
の高温での圧縮永久歪みが大きく、高温でのゴム弾性に
劣っており、しかも油による膨潤度が大きく耐油性に劣
っている。比較例5では、パーオキサイド分解型オレフ
ィン系樹脂(d)の使用が本発明で規定しているよりも
少ないことにより、成形品の表面荒れが著しい。
程が不要であり、全成分を一括して一段で加熱下に溶融
混練するという極めて簡単な操作で、諸特性に優れる熱
可塑性エラストマー組成物を、生産性よく簡便に製造す
ることができる。特に、本発明の方法によって得られる
熱可塑性エラストマー組成物およびそれからなる成形品
は、柔軟性に優れ、ゴム弾性、特に高温下でのゴム弾性
に優れていて、高温下で長時間圧縮されても圧縮永久歪
みが小さく、その上高温クリープ性能、機械的強度、耐
油性、耐溶剤性、耐熱性、耐候性などの特性に優れてお
り、更には表面荒れや表面への軟化剤のブリードアウト
がなく良好な外観を有する。本発明の方法によって得ら
れる熱可塑性エラストマー組成物は、上記した優れた諸
物性により、工業部品をはじめとして、広範囲の用途に
有効に使用することができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 (i)ビニル芳香族化合物を主体とする
重合体ブロックAを少なくとも1個、および共役ジエン
化合物を主体とする重合体ブロックBを少なくとも1個
含有するブロック共重合体を水素添加してなる数平均分
子量20万以上の水添ブロック共重合体(a)、非芳香
族系ゴム用軟化剤(b)、密度が0.94g/cm3以
上のパーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(c)、パ
ーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(d)、有機パー
オキサイド(e)、および架橋助剤(f)を含有し;か
つ、(ii)非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の配合量が、
水添ブロック共重合体(a)100質量部に対して、5
0〜250質量部であり;(iii)パーオキサイド架橋
型オレフィン系樹脂(c)の配合量が、水添ブロック共
重合体(a)100質量部に対して、2.5〜50質量
部であり;および、(iv)パーオキサイド分解型オレフ
ィン系樹脂(d)の配合量が、パーオキサイド架橋型オ
レフィン系樹脂(c)に対して0.8〜8質量倍であ
る;ことからなる混合物を一段の工程で加熱下に溶融混
練して動的架橋することを特徴とする、熱可塑性エラス
トマー組成物の製造方法。 - 【請求項2】 前記水添ブロック共重合体(a)におけ
る共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBが、
1,3−ブタジエンおよびイソプレンからなる重合体ブ
ロックである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組
成物の製造方法。 - 【請求項3】 有機パーオキサイド(e)の添加量が前
記(a)〜(d)の合計100質量部に対して0.3〜
1.5質量部であり、かつ架橋助剤(f)の添加量が有
機パーオキサイド(e)の配合量に対して0.5〜3.
0質量倍である請求項1または2に記載の熱可塑性エラ
ストマー組成物の製造方法。 - 【請求項4】 非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の40℃
における動粘度(Bv)(mm2/s)が、下記の数式
を満たす、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エ
ラストマー組成物の製造方法。 【数1】 Bv(mm2/s)≧3×107/Mna [上記式中、Bvは非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の4
0℃における動粘度、Mnaは水添ブロック共重合体
(a)の数平均分子量を示す。]
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