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JP2003000294A - 微生物によるl−フェニルアラニン誘導体の製造方法 - Google Patents

微生物によるl−フェニルアラニン誘導体の製造方法

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Publication number
JP2003000294A
JP2003000294A JP2001249236A JP2001249236A JP2003000294A JP 2003000294 A JP2003000294 A JP 2003000294A JP 2001249236 A JP2001249236 A JP 2001249236A JP 2001249236 A JP2001249236 A JP 2001249236A JP 2003000294 A JP2003000294 A JP 2003000294A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phenylalanine
derivative
phenylalanine derivative
genus
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001249236A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasushi Aoki
裕史 青木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2001249236A priority Critical patent/JP2003000294A/ja
Publication of JP2003000294A publication Critical patent/JP2003000294A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フェニル基上に置換基を有する桂皮酸誘導体
を原料として、微生物を用いて簡便に光学純度の高いL
−フェニルアラニン誘導体を得る方法、及びその方法に
より得られる光学純度の高いL−フェニルアラニン誘導
体を提供する。 【解決手段】 桂皮酸誘導体及びアンモニアの存在下、
Cladosporium属、Eurotium属、Thanatephorus属、Gonat
obotryum属、Sporobolomyces属微生物、その微生物成分
またはその微生物処理物を作用させることを特徴とする
下記式(1) 【化1】 (式中の記号は明細書に記載の通り)で示されるL−フ
ェニルアラニン誘導体の製造方法、及びその方法で得ら
れる光学純度の高いL−フェニルアラニン誘導体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物の作用によ
り得られる光学活性L−フェニルアラニン誘導体とその
製造方法に関する。特に、桂皮酸誘導体にアンモニアを
付加し、対応する光学活性L−フェニルアラニン誘導体
を得る製造方法に関する。本発明により得られる光学活
性L−フェニルアラニン誘導体は、医薬、農薬、その他
精密化学品の合成原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】光学活性アミノ酸を得る方法としては、
不斉触媒を利用した有機合成的反応、また微生物の特異
性を生かした発酵的製法が多数検討されている。光学活
性フェニルアラニンを得る製法の一つとして、桂皮酸
に、微生物のもつ酵素であるフェニルアラニンアンモニ
ア−リアーゼを作用させ、光学選択的に光学活性フェニ
ルアラニンを得る方法がある(英国特許第1489468号、
特開昭53-96388号公報)。これらは高アンモニア濃度
下、酵素の作用により桂皮酸のα−炭素にアミノ基を付
加する酵素反応を利用したものであり、光学純度よくL
−フェニルアラニンを生成することができる。
【0003】フェニル基上に置換基を持つ、光学活性L
−フェニルアラニン誘導体を得る方法としては、L−フ
ェニルアラニンに対し種々の修飾反応を用いてフェニル
基上に置換基を導入する方法が考えられる。しかしなが
らこうした方法では、フェニル基以外の部分の副反応に
よる収率や純度の低下、及び過酷な反応条件下でのラセ
ミ化の進行による光学純度の低下が避けられない。また
導入する置換基のフェニル基上での位置特異性を得るこ
とも困難であることから、低収率・分離精製の困難を来
し実用的でない。
【0004】そこで、前出のフェニルアラニンアンモニ
ア−リアーゼを利用し、あらかじめ所望の置換基が導入
された置換フェニル基を有する桂皮酸誘導体に、酵素を
作用させる方法が考えられる。酵素反応は温和な条件で
進行するため、フェニル基およびフェニル基上の置換基
に対し何ら副反応による弊害を与えず、純度よく光学活
性L−フェニルアラニン誘導体が得られると期待され
る。しかしながら、フェニルアラニンアンモニア−リア
ーゼの基質特異性は一般に厳密であり、置換フェニル体
に対する反応性は、本来の反応である桂皮酸からL−フ
ェニルアラニンを得る反応に比べ著しく低いか、または
ほとんど反応しない場合が多い。フッ素化フェニル基を
有する桂皮酸誘導体を原料とし、酵素の作用により光学
活性フッ素化フェニルアラニンを得る方法(特開昭63-1
48992号公報)、またRhodotorula属の特定の微生物を用
いたフェニルアラニン誘導体を得る方法(米国特許第59
81239号)など少数の事例が開示されているにすぎな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フェニル基
上に置換基を有する桂皮酸誘導体を原料として、微生物
を用いて簡便に光学純度の高いL−フェニルアラニン誘
導体を得る新規な方法、及びその方法により得られる光
学純度の高いL−フェニルアラニン誘導体を提供するこ
とを課題とする。
【0006】
【発明を解決するための手段】発明者らは、フェニル基
に置換基を有する桂皮酸誘導体に対し反応性の高いアン
モニアリアーゼ活性を有する微生物を探索すべく、新規
土壌微生物のスクリーニング、および既知フェニルアラ
ニンアンモニア−リアーゼ生成微生物の反応性について
鋭意検討を行った。そして、新たにCladosporium属、Eu
rotium属、Thanatephorus属、Gonatobotryum属、Sporob
olomyces属に属する微生物に、各種の置換フェニル基を
有する桂皮酸誘導体を、置換フェニル型L−フェニルア
ラニン誘導体に変換する能力を見出し、本発明に至っ
た。
【0007】なお、Cladosporium属、Eurotium属、Than
atephorus属、Gonatobotryum属、Sporobolomyces属に属
する微生物が各種の置換フェニル基を有する桂皮酸誘導
体を、L−置換フェニル型アラニン誘導体に変換する能
力を有することはこれまで知られておらず、今回本発明
者らが初めて見出したことである。
【0008】すなわち、本発明は以下のL−フェニルア
ラニン誘導体の製造方法、及びその方法で得られるL−
フェニルアラニン誘導体を提供するものである。 1)Cladosporium属、Eurotium属、Thanatephorus属、G
onatobotryum属、Sporobolomyces属のいずれかに属する
微生物、前記微生物成分または前記生物処理物を用いる
ことを特徴とする、下記式(1)
【化4】 (但し、R1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に
水素、水酸基、アルキル基(アルキルは直鎖または枝分
かれしていてもよく、炭素数は1〜4個である。)、ア
ルコキシ基(アルコキシを形成するアルキルは直鎖また
は枝分かれしていてもよく、炭素数は1〜4個であ
る。)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン、NR 67(R
6、R7はそれぞれ独立に水素、直鎖または枝分かれして
いてもよい炭素数が1〜4個のアルキル基を示すか、ま
たはR6とR7で環を形成していてもよく、この環は炭素
数3〜5個でヘテロ原子を含んでいてもよい。)、ある
いは置換基を有していてもよいフェニル基を示す。但
し、R1、R2、R3、R4、R5は、全てが同時に水素で
あることはない。)で示されるL−フェニルアラニン誘
導体の製造方法。
【0009】2)下記式(2)
【化5】 (但し、R1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に
水素、水酸基、アルキル基(アルキルは直鎖または枝分
かれしていてもよく、炭素数は1〜4個である。)、ア
ルコキシ基(アルコキシを形成するアルキルは直鎖また
は枝分かれしていてもよく、炭素数は1〜4個であ
る。)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン、NR 67(R
6、R7はそれぞれ独立に水素、直鎖または枝分かれして
いてもよい炭素数が1〜4個のアルキル基を示すか、ま
たはR6とR7で環を形成していてもよく、この環は炭素
数3〜5個でヘテロ原子を含んでいてもよい。)、ある
いは置換基を有していてもよいフェニル基を表わす。但
し、R1、R2、R3、R4、R5は、全てが同時に水素で
あることはない。)で示される桂皮酸誘導体およびアン
モニアの存在下、Cladosporium属、Eurotium属、Thanat
ephorus属、Gonatobotryum属、Sporobolomyces属のいず
れかに属する微生物、その微生物成分またはその微生物
処理物を作用させる前項1に記載の式(1)で示される
L−フェニルアラニン誘導体の製造方法。
【0010】3)式(1)のR1、R2、R3、R4、R5
が、それぞれ独立に水素、シアノ基、水酸基のいずれか
であるが、全てが同時に水素であることはない、前項1
または前項2に記載のL−フェニルアラニン誘導体の製
造方法。 4)予めフェニルアラニンまたはフェニルアラニン誘導
体を含有する培地中で培養されたCladosporium属、Euro
tium属、Thanatephorus属、Gonatobotryum属、Sporobol
omyces属のいずれかに属する微生物を用いる前項1乃至
3のいずれかに記載のL−フェニルアラニン誘導体の製
造方法。 5)アンモニアの少なくとも一部が、炭酸塩として供給
されることを特徴とする前項2に記載のL−フェニルア
ラニン誘導体の製造方法。 6)二酸化炭素を用いて作用液のpHを8.5〜1.1に調整
する前項2または4に記載のL−フェニルアラニン誘導
体の製造方法。 7)得られるL−フェニルアラニン誘導体の少なくとも
一部が、アンモニウム塩として回収される前項2に記載
のL−フェニルアラニン誘導体の製造方法。
【0011】8)得られるL−フェニルアラニン誘導体
の少なくとも一部が、炭酸塩として回収される前項5ま
たは6に記載のL−フェニルアラニン誘導体の製造方
法。 9)桂皮酸誘導体濃度が5質量%以下の液中で、前記微
生物、その微生物成分またはその微生物処理物を作用さ
せる前項2に記載の式(1)で示されるL−フェニルア
ラニン誘導体の製造方法。 10)L−フェニルアラニン誘導体が、3−シアノ−L
−フェニルアラニンである前項1乃至3のいずれかに記
載のL−フェニルアラニン誘導体の製造方法。 11)L−フェニルアラニン誘導体が、4−シアノ−L
−フェニルアラニンである前項1乃至3のいずれかに記
載のL−フェニルアラニン誘導体の製造方法。 12)L−フェニルアラニン誘導体が、3−ヒドロキシ
−L−フェニルアラニンである前項1乃至3のいずれか
に記載のL−フェニルアラニン誘導体の製造方法。 13)L−フェニルアラニン誘導体が、4−ヒドロキシ
−L−フェニルアラニンである前項1乃至3のいずれか
に記載のL−フェニルアラニン誘導体の製造方法。
【0012】14)L−フェニルアラニン誘導体が、
3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニンである前
項1乃至3のいずれかに記載のL−フェニルアラニン誘
導体の製造方法。 15)用いる微生物が、Cladosporium colocasiaeEur
otium chevalieriThanatephorus cucumerisGonatob
otryum apiculatumSporobolomyces roseusのいずれか
である前項1、2または4に記載のL−フェニルアラニ
ン誘導体の製造方法。 16)用いる微生物が、Cladosporium colocasiae IFO
6698、Eurotium chevali eri IFO 4090、Thanatephorus
cucumeris IFO 6254、Gonatobotryum apiculatumIFO 90
98、Sporobolomyces roseus IFO 1040のいずれかである
ことを特徴とする前項1、2または4に記載のL−フェ
ニルアラニン誘導体の製造方法。 17)前項1乃至16のいずれかの製造方法により得ら
れる光学純度100%(検出限界0.1%)の下記式
(1)
【化6】 (但し、R1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に
水素、水酸基、アルキル基(アルキルは直鎖または枝分
かれしていてもよく、炭素数は1〜4個である。)、ア
ルコキシ基(アルコキシを形成するアルキルは直鎖また
は枝分かれしていてもよく、炭素数は1〜4個であ
る。)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン、NR 67(R
6、R7はそれぞれ独立に水素、直鎖または枝分かれして
いてもよい炭素数が1〜4個のアルキル基を示すか、ま
たはR6とR7で環を形成していてもよく、この環は炭素
数3〜5個でヘテロ原子を含んでいてもよい。)、ある
いは、置換基を有していてもよいフェニル基を表わす。
但し、R1、R2、R3、R4、R5は、全てが同時に水素
であることはない。)で示されるL−フェニルアラニン
誘導体。
【0013】18)R1、R2、R3、R4、R5が、それ
ぞれ独立に水素、シアノ基、水酸基のいずれかである
が、全てが同時に水素であることはない前項17に記載
のL−フェニルアラニン誘導体。 19)L−フェニルアラニン誘導体が、4−シアノ−L
−フェニルアラニンである前項18に記載のL−フェニ
ルアラニン誘導体。 20)L−フェニルアラニン誘導体が、3−ヒドロキシ
−L−フェニルアラニンである前項18に記載のL−フ
ェニルアラニン誘導体。 21)L−フェニルアラニン誘導体が、4−ヒドロキシ
−L−フェニルアラニンである前項18に記載のL−フ
ェニルアラニン誘導体。 22)L−フェニルアラニン誘導体が、3,4−ジヒド
ロキシ−L−フェニルアラニンである前項18に記載の
L−フェニルアラニン誘導体。
【0014】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。本発明に適用される、Cladosporium属、Eurotium
属、Thanatephorus属、Gonatobotryum属は、自然界に広
く見出される糸状菌の一種である。またSporobolomyces
属は、同じく自然界に広く見出される酵母の一種であ
る。この反応を触媒するフェニルアラニンアンモニア−
リアーゼ活性を示す微生物株としては、例えば財団法人
発酵研究所に寄託されているCladosporium colocasiae
IFO 6698 、Eurotium chevalieri IFO 4090、Thanateph
orus cucumeris IFO 6254、Gonatobotryumapiculatum I
FO 9098、Sporobolomyces roseus IFO 1040 の各株を挙
げることができる。なお、本発明で用いられる微生物の
うち、Thanatephorus属は、以前にはPellicularia属と
して分類されていたものであり、Thanatephorus cucume
risPellicularia filamentosaは同一の微生物であ
る。
【0015】具体的には、例えばEurotium chevalieri
IFO 4090 株を、通常知られるような微生物の培養方
法、例えば1%ペプトンなどの栄養培地で、15℃〜3
5℃、望ましくは18℃〜30℃の温度で24時間〜7
日間程度培養し、得られた培養液に、反応原料として置
換基を有する桂皮酸誘導体を1ppm〜20%、望まし
くは10ppm〜10%、またアンモニアを終濃度とし
て0.5M〜11M、望ましくは1M〜9Mとなるよう添
加し、更にpHを8.5〜11、好ましくは9〜10.5とな
るよう調整し、引き続き同様の温度範囲で1時間〜20
0時間程度撹拌し続けることにより反応が達せられる。
pHを調整するために用いる酸としては、硫酸、塩酸、
リン酸、ホウ酸、炭酸等の無機酸、また蟻酸、酢酸、プ
ロピオン酸等の有機酸及びこれらの塩を用いることがで
きる。この際、揮発性の酸を用いることは、反応液の除
菌と留去により、脱塩の工程を省き簡便に生成物を分取
することができ、有用である。このような酸としては炭
酸が好適である。この場合の炭酸とは、二酸化炭素を水
溶液中にバブリング等により溶解し、生成する炭酸を含
む。またこれらの酸とアンモニアの塩を、反応液へのア
ンモニア源として用いることもでき、上記のような理由
からアンモニア源の一部または全部として炭酸アンモニ
ウム、炭酸水素アンモニウムを用いることは好適であ
る。
【0016】なお、添加される置換基を有する桂皮酸誘
導体は必ずしも全量が溶解していなくてもよいが、反応
液中での溶解性や分散性を改善するような溶媒、界面活
性剤等を添加することもできる。また反応の進行による
桂皮酸誘導体の消費に応じて、連続的あるいは間欠的に
桂皮酸誘導体を添加してもよく、この場合の桂皮酸誘導
体の反応液中濃度は前記の限りではない。但し過剰な桂
皮酸誘導体の添加は酵素反応に阻害的に働くことが認め
られており、反応期間の大部分において、反応液中に溶
存する桂皮酸誘導体濃度は最大5%を越えないことが望
ましい。
【0017】微生物を培養するための培地の炭素源とし
ては、グルコースやシュークロース、フルクトース、廃
糖蜜等の糖類、エタノールや酢酸、クエン酸、コハク
酸、乳酸、安息香酸、脂肪酸などの有機物又はこれらの
アルカリ金属塩、n−パラフィンなどの脂肪族炭化水素
類、また例えばペプトン、肉エキス、魚エキス、大豆
粉、ふすま、麦芽抽出物、ジャガイモ抽出物等の天然有
機物を、単独、あるいはこれらの組み合わせにより、通
常0.01%〜30%、望ましくは0.1%〜10%程度の濃
度で用いることができる。
【0018】微生物を培養するための培地窒素源として
は、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝
酸ナトリウム、硝酸カリウムなどの無機窒素化合物、ま
た尿素、尿酸などの含窒素有機物、ペプトン、肉エキ
ス、魚エキス、大豆粉、麦芽抽出物、ジャガイモ抽出物
等の天然有機物を単独、あるいはこれらの組み合わせに
より、通常0.01%〜30%、望ましくは0.1%〜10%
程度の濃度で用いることができる。
【0019】さらに必要に応じて、リン酸2水素カリウ
ム等のリン酸塩、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、酢酸
カルシウム、塩化マンガン、硫酸銅、硫酸亜鉛、硫酸コ
バルト、硫酸ニッケルなどの金属塩が菌の生育改善のた
めに添加される。添加濃度は培養条件により異なるが、
通常、リン酸塩に関しては0.01%〜5%、マグネシウム
塩においては10ppm〜1%、他の化合物では0.1p
pm〜1000ppm程度である。また選択する培地によ
り、ビタミン類、アミノ酸、核酸などの供給源として例
えば酵母エキス、カザミノ酸、酵母核酸を1ppm〜1
00ppm程度添加することにより、菌の生育を改善す
ることができる。
【0020】また、菌の桂皮酸誘導体への反応性を向上
するために、フェニルアラニンアンモニア−リアーゼの
誘導源として培養中にフェニルアラニンを10ppm〜
1%添加することは有用である。
【0021】いずれの成分を用いた場合も培地のpH
は、4.5〜8、望ましくは5〜7.5に調整されることが望
ましい。また以上のごとき培地であらかじめ培養された
微生物菌体を、遠心分離、膜ろ過などの方法により培養
液から分取し、反応に供することは、培養液から持ち込
まれる夾雑物を低減し、のちの生成物の分取を簡便にす
るために有用である。
【0022】反応液中に生成したフェニルアラニン誘導
体は、その反応液中での性状により、遠心分離、膜ろ
過、減圧乾燥、蒸留、溶媒抽出、塩析、イオン交換、各
種クロマトグラフィーなど通常用いられる方法で分取さ
れる。簡便には、以下のようにして達せられる。例え
ば、反応液からろ過・遠心により菌体または菌処理物を
除去後、溶媒抽出、または反応液を酸性に調整し未反応
の原料桂皮酸誘導体を析出させ、沈殿を除去する。得ら
れた上清のpHを再度、フェニルアラニン誘導体の等電
点付近に調整し、析出する誘導体を同様に回収する。こ
のようにして反応液より生成物を収率・純度よく回収す
ることができる。また、あらかじめ反応液から蒸留など
により余剰のアンモニアを除去すること、等電点での生
成物の回収率を向上するために水を留去し濃度を高めて
おくこと等は有用である。
【0023】更に簡便には、反応液のpH調整を、揮発
性の酸により実施する。変換率が十分高い場合は除菌後
そのまま、また原料の桂皮酸誘導体が多量に残存する場
合は酸性として溶媒抽出、または酸性下析出分をろ過・
遠心などによりし除去した後に水・酸塩基を留去するこ
とにより、生成物をフェニルアラニン誘導体の塩として
単離することができる。このような方法に用いる揮発性
の酸としては炭酸及びそのアンモニウム塩が好適であ
る。
【0024】反応生成物の性質によっては、反応液中に
生成物が蓄積することにより、反応速度が低下する場合
がある。このような場合は、生成物の濃度に応じて反応
液中に、アンモニアを含む水、生理食塩水、反応緩衝液
を追加し連続的に希釈してゆく方法は好適である。また
反応速度が低下した時点で菌を分取し、上清を生産物溶
液として回収し、分取した菌は再度反応原料を含む溶液
あるいは懸濁液に戻すことにより、反応速度を回復する
ことができる。これらの方法は、微生物のアンモニアリ
アーゼ活性が維持される範囲において、何回でも繰り返
すことができる。
【0025】本発明はさらに、本発明に適用可能な微生
物の無細胞抽出液、さらにこの無細胞抽出液から上記反
応を触媒する成分を濃縮・抽出したもの等の処理物を用
いても同様に実施することができる。さらには、本反応
に適用可能な微生物もしくはその抽出液・抽出成分を難
溶性の担体に固定化し、この固定化物を原料溶液に接触
させることによっても達成される。このような固定化担
体としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコー
ル、ポリ−N−ビニルホルムアミド、ポリアリルアミ
ン、ポリエチレンイミン、メチルセルロース、グルコマ
ンナン、アルギン酸塩、カラギーナン等、更にこれらの
共重合、架橋化物など、微生物もしくはその抽出成分を
包合した水難溶性の固形分を形成するような化合物を単
独、もしくは混合して用いることができる。また、活性
炭、多孔質セラミックス、グラスファイバー、多孔質ポ
リマー成形体、ニトロセルロース膜など、予め固形物と
して形成された物体上に微生物もしくはその抽出液・抽
出成分を保持させたものを用いることもできる。こうし
た固定化物を用いて連続反応を行うことは、生成物の蓄
積による酵素反応阻害を回避するうえで有用である。
【0026】本発明の原料となる置換基を有する桂皮酸
誘導体は、下記式(2)
【化7】 (但し、R1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に
水素、水酸基、アルキル基(アルキルは直鎖または枝分
かれしていてもよく、炭素数は1〜4個である。)、ア
ルコキシ基(アルコキシを形成するアルキルは直鎖また
は枝分かれしていてもよく、炭素数は1〜4個であ
る。)、シアノ基、ニトロ基、塩素またはフッ素等のハ
ロゲン、NR67(R6、R7はそれぞれ独立に水素、直
鎖または枝分かれしていてもよい炭素数が1〜4個のア
ルキル基を示すか、またはR6とR7で環を形成していて
もよく、この環は炭素数3〜5個でヘテロ原子を含んで
いてもよい。)、あるいは、置換基を有していてもよい
フェニル基を示す。但し、R1、R2、R3、R4、R
5は、全てが同時に水素であることはない。)で示さ
れ、好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5が、それぞ
れ独立に水素、シアノ基、水酸基である桂皮酸誘導体
(但し、全てが水素であることはない。)である。
【0027】特に好ましい例を挙げれば、3−シアノ桂
皮酸、4−シアノ桂皮酸、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−
ヒドロキシ桂皮酸、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸を挙げ
ることができる。
【0028】これら反応原料となる、置換基を有する桂
皮酸誘導体は、対応する置換基が導入されたベンズアル
デヒド誘導体のアルデヒド基と無水酢酸を作用させる、
いわゆるパーキン反応による方法(Arch. Pharm.(Weinh
eim) 327(10), p619-625(1994)等を参照)、もしくはピ
リジン溶媒中、ピペリジンの存在下マロン酸などを作用
させる方法(Journal of Chemical Society, p357-360
(1939) 等を参照)、ほか種々の改法(Synth. Commun.,
29(4), p573-581(1999) 等を参照)等により容易に調
製される。
【0029】本発明の生成物である置換基を有するL−
フェニルアラニン誘導体は、下記式(1)
【化8】 (但し、R1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に
水素、水酸基、アルキル基(アルキルは直鎖または枝分
かれしていてもよく、炭素数は1〜4個である。)、ア
ルコキシ基(アルコキシを形成するアルキルは直鎖また
は枝分かれしていてもよく、炭素数は1〜4個であ
る。)、シアノ基、ニトロ基、塩素またはフッ素等のハ
ロゲン、NR67(R6、R7はそれぞれ独立に水素、直
鎖または枝分かれしていてもよい炭素数が1〜4個のア
ルキル基を示すか、またはR6とR7で環を形成していて
もよく、この環は炭素数3〜5個でヘテロ原子を含んで
いてもよい。)、あるいは、置換基を有していてもよい
フェニル基を示す。但し、R1、R2、R3、R4、R
5は、全てが同時に水素であることはない。)で表さ
れ、好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5が、それぞ
れ独立に水素、シアノ基、水酸基である桂皮酸誘導体
(但し、全てが水素であることはない。)である。
【0030】特に好ましい例は、3−シアノ−L−フェ
ニルアラニン、4−シアノ−L−フェニルアラニン、3
−ヒドロキシ−L−フェニルアラニン(メタチロシ
ン)、4−ヒドロキシ−L−フェニルアラニン(チロシ
ン)、3、4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン
(DOPA)が挙げられる。
【0031】本発明で得られるL−フェニルアラニン誘
導体は光学純度が高く、実施例に示した測定法では検出
限界の0.1%の範囲内で100%の光学純度を示す。ま
た、本発明では、フェニル基上の置換基、例えばシアノ
基、水酸基は、本反応の温和な条件下では影響を受ける
ことなく、反応の終了まで保持され、対応する所望のL
−フェニルアラニン誘導体をほぼ100%の変換率で収
率よく得ることが出来る。
【0032】従って、本発明の方法では、光学純度の高
いL−フェニルアラニン誘導体を、有機合成的に簡便に
得られる置換基を有する桂皮酸誘導体を基質として1段
階の反応で得ることが出来る。このようにして得られる
L−フェニルアラニン誘導体は、高度な光学純度が要求
される医薬・農薬などファインケミカル分野の合成中間
体として有用である。
【0033】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
これら実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
なお、得られたL−フェニルアラニン誘導体の分離定量
は、以下の分析条件による逆相HPLCにより行った。 カラム:Shodex(昭和電工株式会社登録商標) RSpak N
N-614(昭和電工製) カラム温度:40℃ 溶離液:アセトニトリル/水/50mM H3PO4−K
2PO4水溶液(pH3)=20/70/10 流速:1.0ml/min 検出:UV 210nmの吸収による
【0034】また、得られたL−フェニルアラニン誘導
体の光学純度の分析は、以下の条件による光学分割HP
LCにより行った。 カラム:Shodex(昭和電工株式会社登録商標) ORpak C
RX-853、 カラム温度:室温(22℃)、 溶離液:アセトニトリル/水=15/85,CuSO4
2.5mM, 流速:1.0ml/min、 検出方法:UV 256nmの吸収による。
【0035】実施例1Cladosporium colocasiae IFO 6698(財団法人 発酵研
究所より分譲)を、ポテトデキストロース寒天培地(Di
fco社製)に接種し、25℃の恒温槽で72時間培養し
た。形成された微生物菌体をかきとり、500mL容の
バッフル付きフラスコ中の下記の組成の液体培地100
mLに懸濁した。
【0036】<培地組成> グルコース 10g ペプトン 5g 酵母エキス 3g モルトエキス 3g L−フェニルアラニン 0.5g 蒸留水 1L pH 6.0
【0037】フラスコを、25℃の恒温回転振盪培養器
に設置し、毎分150回転、3日間培養した。得られた
微生物菌体を、10,000gの遠心により回収し、培養液と
等容の2M炭酸水素アンモニウム/6Mアンモニア溶液
(終濃度2M相当の炭酸水素アンモニウムを少量の水に
溶解後、終濃度6M相当の濃アンモニア水を加え水でfi
ll upしたもの、pH=10.3)に懸濁した。菌懸濁液に4−
シアノ桂皮酸を1%(w/v)相当添加し、30℃の恒
温回転振盪培養器に設置し、毎分120回転、96時間
反応した。反応液を逆相HPLCに供したところ、標品
との比較により、0.58%の4−シアノ−L−フェニルア
ラニンの蓄積が検出された。誘導体のガスクロマトグラ
フ分析によれば光学純度は100%(検出限界0.1%)
と算出された。
【0038】実施例2Cladosporium colocasiae IFO 6698を、実施例1と同様
に培養し、2M炭酸水素アンモニウム/6Mアンモニア
溶液(pH=10.3)に懸濁した。菌懸濁液に3−シアノ
桂皮酸を1%(w/v)相当添加し、30℃の恒温回転
振盪培養器に設置し、毎分120回転、96時間反応し
た。反応液を逆相HPLCに供したところ、標品との比
較により、0.70%の3−シアノ−L−フェニルアラニン
の蓄積が検出された。誘導体のガスクロマトグラフ分析
によれば光学純度は100%(検出限界0.1%)であっ
た。
【0039】実施例3Cladosporium colocasiae IFO 6698を、実施例1と同様
に培養し、2M炭酸水素アンモニウム/6Mアンモニア
溶液(pH=10.3)に懸濁した。菌懸濁液に4−ヒドロ
キシ桂皮酸を1%(w/v)相当添加し、30℃の恒温
回転振盪培養器に設置し、毎分120回転、96時間反
応した。反応液を逆相HPLCに供したところ、標品と
の比較より、0.33%のL−チロシンの蓄積が検出され
た。誘導体のガスクロマトグラフ分析によれば光学純度
は100%( 検出限界0.1%)であった。
【0040】実施例4Cladosporium colocasiae IFO 6698を、実施例1と同様
に培養し、2M炭酸水素アンモニウム/6Mアンモニア
溶液(pH=10.3)に懸濁した。菌懸濁液に3−ヒドロ
キシ桂皮酸を1%(w/v)相当添加し、30℃の恒温
回転振盪培養器に設置し、毎分120回転、96時間反
応した。反応液を逆相HPLCに供したところ、標品と
の比較より、0.80%のメタチロシンの蓄積が検出され
た。誘導体のガスクロマトグラフ分析によれば光学純度
は100%(検出限界0.1%)であった。
【0041】実施例5Eurotium chevalieri IFO 4090(財団法人 発酵研究所
より分譲)を、ポテトデキストロース寒天培地(Difco
社製)に接種し、25℃の恒温槽で72時間培養した。
形成された微生物菌体をかきとり、500mL容のバッ
フル付きフラスコ中の、下記の組成の液体培地100m
Lに懸濁した。
【0042】<培地組成> グルコース 10g ペプトン 5g 酵母エキス 3g モルトエキス 3g L−フェニルアラニン 0.5g 蒸留水 1L pH 6.0
【0043】フラスコを、25℃の恒温回転振盪培養器
に設置し、毎分150回転、5日間培養した。得られた
培養液より微生物菌体を10,000gの遠心により回収し、
培養液と等容の2M炭酸水素アンモニウム/6Mアンモ
ニア溶液(終濃度2M相当の炭酸水素アンモニウムを少
量の水に溶解後、終濃度6M相当の濃アンモニア水を加
え水でfill upしたもの、pH=10.3)に懸濁した。菌懸
濁液に4−シアノ桂皮酸を1%(w/v)相当添加し、
30℃の恒温回転振盪培養器に設置し、毎分120回
転、120時間反応した。反応液を逆相HPLCに供したと
ころ、0.22%の4-シアノ−L−フェニルアラニンの蓄積
が検出された。誘導体の光学分割HPLC分析によれば
光学純度は100%(検出限界0.1%)と算出された。
【0044】実施例6Thanatephorus cucumeris IFO 6254(財団法人 発酵研
究所より分譲)を、ポテトデキストロース寒天培地(Di
fco社製)に接種し、25℃の恒温槽で72時間培養し
た。形成された微生物体をかきとり、製造元のマニュア
ルに従い調製した市販ポテトデキストロースブロス(Di
fco社製)100mLに懸濁し、500mL容のバッフ
ル付きフラスコ中、25℃の恒温回転振盪培養器にて毎
分150回転、5日間培養した。得られた培養液より微
生物菌体を10,000gの遠心により回収し、2M炭酸水素
アンモニウム/6Mアンモニア溶液(pH=10.3)に懸
濁した。菌懸濁液に3−シアノ桂皮酸を1%(w/v)
相当添加し、30℃の恒温回転振盪培養器に設置し、毎
分120回転、120時間反応した。反応液を逆相HP
LCに供したところ、0.39%の3−シアノ−L−フェニ
ルアラニンの蓄積が検出された。誘導体の光学分割HP
LC分析によれば光学純度は100%(検出限界0.1
%)であった。
【0045】実施例7Gonatobotryum apiculatum IFO 9098(財団法人 発酵
研究所より分譲)を、実施例5と同様に培養し、得られ
た菌体を2M炭酸水素アンモニウム/6Mアンモニア溶
液(pH=10.3)に懸濁した。菌懸濁液に4−ヒドロキ
シ桂皮酸を1%(w/v)相当添加し、30℃の恒温回
転振盪培養器に設置し、毎分120回転、120時間反
応した。反応液を逆相HPLCに供したところ、0.32%
のL−チロシンの蓄積が検出された。誘導体の光学分割
HPLC分析によれば光学純度は100%(検出限界0.
1%)であった。
【0046】実施例8Eurotium chevalieri IFO 4090(財団法人 発酵研究所
より分譲)を、実施例6と同様に培養し、2M炭酸水素
アンモニウム/6Mアンモニア溶液(pH=10.3)に懸
濁した。菌懸濁液に3−ヒドロキシ桂皮酸を1%(w/
v)相当添加し、30℃の恒温回転振盪培養器に設置
し、毎分120回転、96時間反応した。反応液を逆相
HPLCに供したところ、0.64%の3−ヒドロキシ−L
−フェニルアラニン(メタチロシン)の蓄積が検出され
た。誘導体の光学分割HPLC分析によれば光学純度は
100%(検出限界0.1%)であった。
【0047】実施例9 実施例1と同様にして得られた反応液50mLを、ろ紙
により吸引濾過し、微生物菌体を除去した。得られた水
溶液に二酸化炭素を通じ、pH=7に調整した後、等容
のトルエンを添加し撹拌・抽出を行った。分取し得られ
た水層をエバポレーターにより減圧留去した。得られた
固形物を1H−NMR、元素分析、及びHPLCにより
分析した。固形物の主成分は4−シアノ−L−フェニル
アラニンのアンモニウム塩でありその含量は乾重当たり
99.0%、反応液からの4−シアノ−L−フェニルアラニ
ン回収率は93%であった。
【0048】実施例10 実施例2と同様にして得られた反応液50mLを、ろ紙
により吸引ろ過し、微生物菌体を除去した。得られた水
溶液に二酸化炭素を通じ、pH=7に調整した後、等容
のトルエンを添加し撹拌・抽出を行った。分取し得られ
た水層をエバポレーターにより減圧乾固した。得られた
固形物を1H−NMR、元素分析、及びHPLCにより
分析した。固形物の主成分は4−シアノ−L−フェニル
アラニンでありその含量は乾重当たり98.0%、反応液か
らの4−シアノ−L−フェニルアラニン回収率は91.3%
であった。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、容易に合成できる桂皮
酸誘導体を原料として、簡便で効率よく、フェニル基上
に種々の置換基を有するL−フェニルアラニン誘導体を
得ることが出来る。

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cladosporium属、Eurotium属、Thanatep
    horus属、Gonatobotryum属、Sporobolomyces属のいずれ
    かに属する微生物、前記微生物成分または前記生物処理
    物を用いることを特徴とする、下記式(1) 【化1】 (但し、R1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に
    水素、水酸基、アルキル基(アルキルは直鎖または枝分
    かれしていてもよく、炭素数は1〜4個である。)、ア
    ルコキシ基(アルコキシを形成するアルキルは直鎖また
    は枝分かれしていてもよく、炭素数は1〜4個であ
    る。)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン、NR 67(R
    6、R7はそれぞれ独立に水素、直鎖または枝分かれして
    いてもよい炭素数が1〜4個のアルキル基を示すか、ま
    たはR6とR7で環を形成していてもよく、この環は炭素
    数3〜5個でヘテロ原子を含んでいてもよい。)、ある
    いは置換基を有していてもよいフェニル基を示す。但
    し、R1、R2、R3、R4、R5は、全てが同時に水素で
    あることはない。)で示されるL−フェニルアラニン誘
    導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 下記式(2) 【化2】 (但し、R1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に
    水素、水酸基、アルキル基(アルキルは直鎖または枝分
    かれしていてもよく、炭素数は1〜4個である。)、ア
    ルコキシ基(アルコキシを形成するアルキルは直鎖また
    は枝分かれしていてもよく、炭素数は1〜4個であ
    る。)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン、NR 67(R
    6、R7はそれぞれ独立に水素、直鎖または枝分かれして
    いてもよい炭素数が1〜4個のアルキル基を示すか、ま
    たはR6とR7で環を形成していてもよく、この環は炭素
    数3〜5個でヘテロ原子を含んでいてもよい。)、ある
    いは置換基を有していてもよいフェニル基を表わす。但
    し、R1、R2、R3、R4、R5は、全てが同時に水素で
    あることはない。)で示される桂皮酸誘導体およびアン
    モニアの存在下、Cladosporium属、Eurotium属、Thanat
    ephorus属、Gonatobotryum属、Sporobolomyces属のいず
    れかに属する微生物、その微生物成分またはその微生物
    処理物を作用させる請求項1に記載の式(1)で示され
    るL−フェニルアラニン誘導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 式(1)のR1、R2、R3、R4、R
    5が、それぞれ独立に水素、シアノ基、水酸基のいずれ
    かであるが、全てが同時に水素であることはない、請求
    項1または2に記載のL−フェニルアラニン誘導体の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 予めフェニルアラニンまたはフェニルア
    ラニン誘導体を含有する培地中で培養されたCladospori
    um属、Eurotium属、Thanatephorus属、Gonatobotryum
    属、Sporobolomyces属のいずれかに属する微生物を用い
    る請求項1乃至3のいずれかに記載のL−フェニルアラ
    ニン誘導体の製造方法。
  5. 【請求項5】 アンモニアの少なくとも一部が、炭酸塩
    として供給されることを特徴とする請求項2に記載のL
    −フェニルアラニン誘導体の製造方法。
  6. 【請求項6】 二酸化炭素を用いて作用液pHを8.5〜
    11に調整する請求項2または4に記載のL−フェニル
    アラニン誘導体の製造方法。
  7. 【請求項7】 得られるL−フェニルアラニン誘導体の
    少なくとも一部が、アンモニウム塩として回収される請
    求項2に記載のL−フェニルアラニン誘導体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 得られるL−フェニルアラニン誘導体の
    少なくとも一部が、炭酸塩として回収される請求項5ま
    たは6に記載のL−フェニルアラニン誘導体の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 桂皮酸誘導体濃度が5質量%以下の液中
    で、前記微生物、その微生物成分またはその微生物処理
    物を作用させる請求項2に記載のL−フェニルアラニン
    誘導体の製造方法。
  10. 【請求項10】 L−フェニルアラニン誘導体が、3−
    シアノ−L−フェニルアラニンである請求項1乃至3の
    いずれかに記載のL−フェニルアラニン誘導体の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 L−フェニルアラニン誘導体が、4−
    シアノ−L−フェニルアラニンである請求項1乃至3の
    いずれかに記載のL−フェニルアラニン誘導体の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 L−フェニルアラニン誘導体が、3−
    ヒドロキシ−L−フェニルアラニンである請求項1乃至
    3のいずれかに記載のL−フェニルアラニン誘導体の製
    造方法。
  13. 【請求項13】 L−フェニルアラニン誘導体が、4−
    ヒドロキシ−L−フェニルアラニンである請求項1乃至
    3のいずれかに記載のL−フェニルアラニン誘導体の製
    造方法。
  14. 【請求項14】 L−フェニルアラニン誘導体が、3,
    4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニンである請求項
    1乃至3のいずれかに記載のL−フェニルアラニン誘導
    体の製造方法。
  15. 【請求項15】 用いる微生物が、Cladosporium coloc
    asiaeEurotium chevalieriThanatephorus cucumeri
    sGonatobotryum apiculatumSporobolomyces roseus
    のいずれかである請求項1、2または4に記載のL−フ
    ェニルアラニン誘導体の製造方法。
  16. 【請求項16】 用いる微生物が、Cladosporium coloc
    asiae IFO 6698、Eurotium chevalieri IFO 4090、Than
    atephorus cucumeris IFO 6254、Gonatobotryum apicul
    atum IFO 9098、Sporobolomyces roseus IFO 1040のい
    ずれかであることを特徴とする請求項1、2または4に
    記載のL−フェニルアラニン誘導体の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項1乃至16のいずれかの製造方
    法により得られる光学純度100%(検出限界0.1%)
    の下記式(1) 【化3】 (但し、R1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に
    水素、水酸基、アルキル基(アルキルは直鎖または枝分
    かれしていてもよく、炭素数は1〜4個である。)、ア
    ルコキシ基(アルコキシを形成するアルキルは直鎖また
    は枝分かれしていてもよく、炭素数は1〜4個であ
    る。)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン、NR 67(R
    6、R7はそれぞれ独立に水素、直鎖または枝分かれして
    いてもよい炭素数が1〜4個のアルキル基を示すか、ま
    たはR6とR7で環を形成していてもよく、この環は炭素
    数3〜5個でヘテロ原子を含んでいてもよい。)、ある
    いは、置換基を有していてもよいフェニル基を表わす。
    但し、R1、R2、R3、R4、R5は、全てが同時に水素
    であることはない。)で示されるL−フェニルアラニン
    誘導体。
  18. 【請求項18】 R1、R2、R3、R4、R5が、それぞ
    れ独立に水素、シアノ基、水酸基のいずれかであるが、
    全てが同時に水素であることはない請求項17に記載の
    L−フェニルアラニン誘導体。
  19. 【請求項19】 L−フェニルアラニン誘導体が、4−
    シアノ−L−フェニルアラニンである請求項18に記載
    のL−フェニルアラニン誘導体。
  20. 【請求項20】 L−フェニルアラニン誘導体が、3−
    ヒドロキシ−L−フェニルアラニンである請求項18に
    記載のL−フェニルアラニン誘導体。
  21. 【請求項21】 L−フェニルアラニン誘導体が、4−
    ヒドロキシ−L−フェニルアラニンである請求項18に
    記載のL−フェニルアラニン誘導体。
  22. 【請求項22】 L−フェニルアラニン誘導体が、3,
    4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニンである請求項
    18に記載のL−フェニルアラニン誘導体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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