[go: up one dir, main page]

JP2002080377A - 生体組織の再生方法 - Google Patents

生体組織の再生方法

Info

Publication number
JP2002080377A
JP2002080377A JP2000271576A JP2000271576A JP2002080377A JP 2002080377 A JP2002080377 A JP 2002080377A JP 2000271576 A JP2000271576 A JP 2000271576A JP 2000271576 A JP2000271576 A JP 2000271576A JP 2002080377 A JP2002080377 A JP 2002080377A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
cell
tissue
collected
separation filter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000271576A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4333936B2 (ja
JP2002080377A5 (ja
Inventor
Hajime Ogushi
始 大串
Masaya Sumida
政哉 澄田
Shuji Terajima
修司 寺嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Medical Co Ltd
Original Assignee
Asahi Medical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Medical Co Ltd filed Critical Asahi Medical Co Ltd
Priority to JP2000271576A priority Critical patent/JP4333936B2/ja
Priority to US09/947,374 priority patent/US20020031757A1/en
Publication of JP2002080377A publication Critical patent/JP2002080377A/ja
Publication of JP2002080377A5 publication Critical patent/JP2002080377A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4333936B2 publication Critical patent/JP4333936B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • External Artificial Organs (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便な操作で組織再生用細胞を分離濃縮し、
分離濃縮した組織再生用細胞を利用して生体組織を再生
する方法を提供すること。 【解決手段】 生体組織の再生に用いられる組織再生用
細胞と夾雑細胞とを含む細胞浮遊液を採取すること、採
取した細胞浮遊液を少なくとも夾雑細胞を通過させ組織
再生用細胞を捕捉する細胞分離フィルターに通液するこ
と、該細胞分離フィルターに流体を導入して細胞分離フ
ィルターにいったん捕捉された組織再生用細胞を回収す
ること、回収された組織再生用細胞を生体組織の再生に
使用することを含む生体組織の再生方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体組織の再生に
用いられる組織再生用細胞と夾雑細胞とを含む細胞浮遊
液から組織再生用細胞を分離して、生体組織の再生に使
用する方法に関する。さらに詳細には、本発明は、いわ
ゆる組織工学を用いて生体組織の病変および/または欠
損を修復再生するために用いる細胞の分離および該細胞
を用いた修復再生方法に関する。得られた細胞は生体組
織再生用細胞を用いて行う各種生体組織病変および/ま
たは欠損の治療及び免疫学や細胞生物学等の基礎科学分
野で用いることが可能となる。
【0002】
【従来の技術】近年、生体の組織または臓器(以下、単
に組織という)の幹および/または前駆細胞を用いて、
同組織をin vitroまたはin vivoで形成す
ることで組織の病変および/または欠損を治療する、い
わゆる組織工学(Tissueengineerin
g。再生医学とも言う)が大変注目を集めており、世界
各国で研究開発が盛んに行われている(例えば、「月刊
組織培養工学」Vol.24、No.4、特集:組織工
学I(1998年4月);同、Vol.24、No.
5、特集:組織工学II(1998年5月))。
【0003】骨髄や血液(末梢血、臍帯/胎盤血)中に
は骨や軟骨、血管などを形成する細胞の幹/前駆細胞で
ある間葉系幹/前駆細胞が含まれていることが明らかに
された(例えば、国際公開特許WO95/25164号
公報、WO97/26326号公報、英国公開特許GB
2301114A号公報)。これらの細胞が存在する部
位には、しばしば赤血球などの夾雑細胞が混在してお
り、夾雑細胞を除去し組織再生用細胞を濃縮分離する必
要がある。国際公開特許WO95/25164号公報に
はFicoll−Hypaque比重遠心法を用いて、
末梢血から、組織再生用細胞を濃縮分離する方法が開示
されている。また、英国公開特許GB2301114A
号公報にはPercoll比重遠心法を用いて骨髄から
組織再生用細胞を濃縮分離する方法が開示されている。
これら、比重遠心法がベースとなる方法は、免疫学や細
胞生物学、あるいは臨床検査医学などの実験室レベルで
は汎用される方法ではあるが、操作が煩雑で、しかもク
リーンベンチ内で行われるものの完全開放系の操作のた
め無菌性に難があり、臨床行為としては到底受け入れら
れる方法ではなかった。組織工学が実験室レベルの実験
医療から脱皮し、ルーチンの医療行為として発展するに
は、本分離濃縮操作の簡便化と非完全開放系での処理が
待望されていた。
【0004】さらに、例えば骨髄を患者から採取して骨
髄の中の骨系前駆細胞を用いて骨欠損の治療に用いる場
合、患者が貧血を起こすため骨髄は大量に採取できない
という問題がある。この問題に対しては、同種血輸血あ
るいは貯血自己血による輸血という解決法もあるが、前
者はウイルス感染の危険を否定できず、後者は骨髄採取
とは別に自己血採血、保存という手間が追加されること
になり、別の問題を生むことになる。
【0005】一方、血液医学の分野においては、造血組
織、すなわち骨髄の再生である造血幹細胞移植は、すで
に通常の医療行為として確立されている。同分野で用い
る造血幹細胞の濃縮分離には、たとえば特開平8−10
4643号公報で提案されている、簡便操作が特徴であ
るフィルター法が利用されている。また、造血組織以外
の生体組織再生用細胞についても、生体組織の病変およ
び/または欠損の治療への応用や基礎科学分野での利用
を目指して、本発明者らは、フィルター法による生体組
織再生用細胞の分離方法を開発し、特許出願した(特願
平11−345515号)。これらの方法では、造血組
織あるいは造血組織以外の生体組織再生用細胞を分離回
収する方法は提供できたものの、分離回収した生体組織
再生用細胞を生体組織再生に有効に利用できるまでには
至っていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は簡便な
操作かつ非完全開放系で組織再生用細胞を分離濃縮し、
分離濃縮した組織再生用細胞を利用して生体組織を再生
する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる課題
を解決すべく、鋭意検討を進めた。その結果、造血幹細
胞の濃縮分離に用いるフィルターを用いて、造血組織以
外の組織再生用細胞の濃縮分離をも可能になるという驚
くべき発見を行い、さらに分離濃縮した造血組織や造血
組織以外の組織再生用細胞を用いて生体組織の再生をす
ることが可能であることを見出した。さらに検討を進め
た結果、本発明者らは、分離濃縮した生体組織再生用細
胞から生体組織の再生に適する再生方法の具体的な条件
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、(1)生体組織の再生
に用いられる組織再生用細胞と夾雑細胞とを含む細胞浮
遊液を採取すること、採取した細胞浮遊液を少なくとも
夾雑細胞は通過し組織再生用細胞は捕捉する細胞分離フ
ィルターに通液すること、細胞分離フィルターに流体を
導入して細胞分離フィルターにいったん捕捉された組織
再生用細胞を回収すること、回収された組織再生用細胞
を生体組織の再生に使用することを含む生体組織の再生
方法、および(2)生体組織の再生に用いられる組織再
生用細胞と夾雑細胞とを含む細胞浮遊液を個体から採取
すること、採取した細胞浮遊液を少なくとも赤血球は通
過し組織再生用細胞は捕捉する細胞分離フィルターに通
液すること、細胞分離フィルターから通過流出した赤血
球を回収すること、細胞分離フィルターに流体を導入し
て細胞分離フィルターにいったん捕捉された組織再生用
細胞を回収すること、前記回収された赤血球を同一個体
または別の個体に輸血すること、および前記回収された
組織再生用細胞を生体組織の再生に使用することを含む
生体組織の再生方法、に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で言う生体組織とは、骨、軟骨、筋肉、腱などの
結合組織、造血組織、血管、神経、皮膚、毛髪、各種臓
器のことを言う。本発明で言う生体組織再生用細胞と
は、前述の組織を再生するために用いられる、前述の組
織の幹および/または前駆細胞のことを言い、例えば造
血幹細胞および/または造血前駆細胞、間葉系前駆細
胞、血管内皮前駆細胞、神経幹細胞などがあげられる
が、これらに限定されるものではない。また、生体組織
の再生は、当該組織の病変、欠損、傷害などで必要にな
るが、これらに限定されるものではない。夾雑細胞と
は、これらの細胞が存在する部位にしばしば混在する、
赤血球など本発明の組織の再生機能を有していない細胞
のことを言う。
【0010】これらを含む細胞浮遊液とは、赤血球と生
体組織再生用細胞とを含むものならいずれでも良い.具
体的には、骨髄液、臍帯血(臍帯血管から採血されたも
のだけでなく、胎盤血管から採血されたものも含む)、
末梢血、リンパ液及びこれらに遠心分離等何らかの処理
を施したもの、あるいは各種臓器や組織から抽出した細
胞を何らかの液体に再浮遊したものがあげられる。たと
えば骨髄液、臍帯血などは造血組織の再生に用いられる
造血幹細胞と、造血組織を除く生体組織の再生に用いら
れる組織再生用細胞とを含み本発明で好適に用いられる
細胞浮遊液である。
【0011】本発明で言う夾雑細胞は通過して生体組織
再生用細胞は捕捉する細胞分離フィルターとは、濾材を
液体導入口と液体導出口を有する容器に充填したもので
ある。濾材としては通常用いられている有核細胞捕捉材
であればいかなる材料も使用できるが、成形性、滅菌性
や細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示する
と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ア
クリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリアクリルアミド、ポリウレタン等の合成高分
子、アガロース、セルロース、酢酸セルロース、キチ
ン、キトサン、アルギン酸塩等の天然高分子、ヒドロキ
シアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材
料、ステンレス、チタン、アルミニム等の金属があげら
れる。
【0012】また、濾材の形状としては、織布、不織
布、スポンジ状構造体、膜等があげられる。不織布の場
合、後述する抗体等の特定の細胞に特異的に結合するい
わゆるバイオリガンド類を表面に固定しない場合は、通
常、繊維径は1.0μm以上30μm以下であり、好ま
しくは1.0μm以上20μm以下であり、さらにより
好ましくは1.5μm以上10μm以下である。1.0
μm未満では回収必要細胞が強固に捕捉されてしまい回
収困難となる可能性がある。また、30μmを超えると
回収必要細胞が繊維に捕捉されず素通りする可能性が高
くなる。いずれの場合も回収率の低下につながるおそれ
があるので好ましくない。
【0013】また、スポンジ状構造体を用いる場合、孔
径は通常2.0μm以上25μm以下であり、好ましく
は3.0μm以上20μm以下であり、さらにより好ま
しくは4.0μm以上15μm以下である。2.0μm
未満では流れ性が著しく劣り、通液自体が困難になるお
それがあり、また25μmを超えると回収必要細胞の捕
捉率が低下し、回収率の低下を招くので好ましくない。
【0014】この濾材を充填する、液体導入口と液体導
出口を有する容器の材質としては成形性や滅菌性に優
れ、細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示する
と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ア
クリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、塩化ビニル等
の合成高分子、ヒドロキシアパタイト、ガラス、アルミ
ナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アル
ミニウム等の金属があげられるが、これらに限定される
ものではない。容器の構造としては、形状は直方体、立
方体、円柱形、楕円柱形などがあげられるが、いずれの
形状でもよい。また、液体導入口と液体導出口の位置と
しては、液体導入口は濾材の最上層に液体を導入できる
位置であればよく、また液体導出口は濾材の最下層から
液体を導出できる位置であれば良い。
【0015】本発明による生体組織再生用細胞の分離方
法は前述の生体組織再生用細胞と夾雑細胞とを含む細胞
浮遊液を、前述の細胞分離フィルターに通液した後、流
体を該フィルターに導入して捕捉されている生体組織再
生用細胞を回収するものであるが、回収用の流体を導入
する前に、該フィルターに微量残存する夾雑細胞を洗い
流す目的でリンスを行っても良い。リンス液としては細
胞に悪影響を及ぼさない液体であればいかなる液体も使
用可能であるが、いくつか例示すると生理食塩水、ダル
ベッコリン酸塩緩衝液(D−PBS)やハンクス液(H
BSS)などの緩衝液、RPMI1640などの培地が
あげられる。リンス液の導入方向としては生体組織再生
用細胞と夾雑細胞を含む細胞浮遊液の通液方向と同一方
向あるいは逆方向が考えられるが、同一方向の方が捕捉
された細胞が漏出する可能性が低い傾向にあるのでより
好ましい。
【0016】捕捉した細胞を回収するために該フィルタ
ーに導入する流体としては細胞に悪影響を及ぼさない流
体であればいかなる流体も使用できるが、いくつか例示
すると、生理食塩水、D−PBS(ダルベッコリン酸塩
緩衝液)、HBSS(ハンクス液)などの緩衝液、RP
MI−1640などの培地があげられる。これらの液体
に、細胞保護、栄養補給、抗凝固性付与、凍結保存時の
凍害防止、粘度向上(回収率向上に有効な場合がある)
等の目的で必要に応じ、アルブミン、グロブリン、グル
コース、サッカロース、トレハロース、クエン酸化合
物、EDTA、ジメチルスルホキシド、デキストラン、
ポリビニルピロリドン、グリセリン、キチン誘導体、ヒ
ドロキシエチルデンプン、ゼラチン等を添加してもよ
い。また、ここで言う流体とは、液体単体のみならず、
空気、アルゴン、窒素など細胞に悪影響を及ぼさない気
体を混合したものも含まれる。流体の導入方向としては
生体組織再生用細胞と夾雑細胞とを含む細胞浮遊液の通
液方向と同一方向あるいは逆方向が考えられるが、逆方
向の方が高い回収率が得られる傾向にあるのでより好ま
しい。
【0017】本発明による生体組織用細胞の分離方法に
おいては、夾雑細胞は細胞分離フィルターを通過する
が、この通過した夾雑細胞を回収して何らかの目的に利
用することもできる。たとえば、細胞浮遊液が骨欠損患
者から得られた骨髄で、生体組織の再生に用いられる細
胞が骨系前駆細胞で、同細胞を用いて骨欠損の治療(骨
の再生)を行う場合、夾雑細胞は赤血球であり、この細
胞分離フィルターから通過流出した赤血球を血液バッグ
等に回収・保存し、基礎科学実験用赤血球検体としての
利用や人工赤血球の原料となるヘモグロビンの採取目的
に用いることができる。また、輸血用血液として患者に
輸血することもでき、骨髄採取による貧血を防止するこ
とができ好ましい。
【0018】本発明の生体組織の再生方法においては少
なくとも組織再生用細胞を含む細胞浮遊液を個体から採
取するが、その採取方法は、たとえば骨髄であれば骨髄
穿刺針を用いるなど適宜選択する。本発明では細胞分離
フィルターにいったん捕捉させ回収した生体組織再生用
細胞を前述の個体に移植できるのみならず、別の個体へ
の移植、あるいは生体外で生体組織の再生に利用するこ
とができる。細胞分離フィルターから通過流出した赤血
球は、基礎科学実験用赤血球検体としての利用や人工赤
血球の原料となるヘモグロビンの採取目的に用いること
ができる。また、輸血用血液として患者に輸血すること
もでき、特に前述の個体に輸血した場合は、個体の貧血
予防になるためより好ましい。
【0019】本発明で得られた生体組織再生用細胞は、
そのまま、あるいは必要に応じさらなる分離精製、培
養、活性化、分化誘導、増幅、遺伝子導入、凍結保存、
WO97/26326号公報で提案されているハイドロ
キシアパタイトなどの骨補填材との複合化、J.Bio
med.Mater.Res.(Appl.Biome
d.)vol.48,1999で提案されている人工関
節との複合化、第34回日本人工臓器学会大会予稿集S
1−1で提案されている人工血管との複合化などの各種
処理が施された後、各種生体組織の病変および/または
欠損の治療や基礎科学分野の研究に用いられる。具体的
には、本発明では、細胞分離フィルターから5%Fet
al Bovine Serum(FBS)含有Min
imum Essential Medium(ME
M)で回収した生体組織再生用細胞分離液を5%CO2
雰囲気で2週間培養した後、Glycerophosp
hate,Vitamin C Phosphate,
Dexamethasoneを添加した15%FBS含
有MEMでさらに2週間培養したところ、in vit
oroで骨を形成させることができた。本発明は、この
ような細胞分離フィルターから回収した組織再生用細胞
から生体組織再生を行うために必要な条件を初めて見出
したものである。
【0020】
【実施例】以下に実施例により本発明をより詳細に説明
するが、本発明はこれらにより限定されるものではな
い。
【実施例1】1.細胞分離フィルター 平均繊維径2.3μmのポリエステル不織布(目付約6
0g/m2、嵩高約0.3mm)18枚と平均繊維径1
2μmのポリエステル不織布(目付約100g/m2
嵩高約0.47mm)16枚を重ね、押し切りカッター
で35mm角に切断し細胞分離フィルター材とした。こ
の細胞分離フィルター材を容器外寸(縦×横×厚み)4
1×41×18mmで液体流出口と液体流入口を対角線
上に持つポリカーボネート製容器の出口側に平均繊維径
12μmのポリエステル不織布がくるように充填して細
胞分離フィルターとした。この細胞分離フィルターの入
口側には図1に示すように先端がスパイク2で、途中に
細胞回収バッグ6への分岐を有する三方活栓4を有する
チューブを接続した。また、細胞分離回収フィルター1
の出口側には途中に三方活栓5を有し、末端が赤血球バ
ッグ3に接続されるチューブを接続し図1に示す細胞分
離回収装置とした。
【0021】2.原料細胞浮遊液 常法によりヒト骨髄液3mlを採取し、ただちに6単位
/mlヘパリン添加D−PBS3mlと混和し、細胞分
離操作直前に15%Fetal BovineSeru
m(FBS、ギブコ社製)含有Minimum Ess
entialMedium(MEM、シグマ社製)60
mlで希釈して原料細胞浮遊液とした。
【0022】3.細胞分離回収操作 1.で作製した細胞分離回収装置のスパイク2に2.の
原料細胞浮遊液入り血液バッグ(以下、血液バッグ)を
接続した。三方活栓4は血液バッグと細胞分離フィルタ
ー1のみが連通する方向に、三方活栓5は細胞分離フィ
ルター1と赤血球バッグのみが連通する方向にして原料
細胞浮遊液を細胞分離フィルターに落差で通液濾過し、
フィルターから流出した赤血球を赤血球バッグに回収し
た。空になった血液バッグを生理食塩水入りバッグと交
換し、フィルターに100mlの生理食塩水を通液し、
フィルター内に微量残存する赤血球を洗い流し、この洗
液も赤血球バッグに回収した。次に三方活栓5に15%
FBS含MEM30mlを入れた30ml注射器(ルア
ーロック口)を接続し、三方活栓5は注射器と細胞分離
フィルター1のみが連通する方向にし、三方活栓4は細
胞分離フィルター1と細胞回収バッグ6のみが連通する
方向にした。次に注射器のプランジャーを手で押すこと
で細胞分離回収フィルター1に捕捉されている細胞(以
下、組織再生用細胞)を回収バッグ6に回収した。
【0023】4.培養操作 3.で回収した組織再生用細胞を15mlをT75ティ
ッシュカルチャーフラスコに入れ5%CO2インキュベ
ータで2週間培養した後、付着細胞を公知のトリプシン
を用いる方法で剥離、回収した。
【0024】5.評価 赤血球バッグ3に回収された赤血球数を測定した。赤血
球数は自動血球カウンターを用いて測定した。原料細胞
浮遊液中の赤血球数、赤血球バッグ中の赤血球数とこれ
らから算出した赤血球回収率を表1に示す。
【表1】
【0025】また、細胞回収バッグに回収された有核細
胞数を自動血球カウンターを用いて測定した。原料細胞
浮遊液中の有核細胞数、細胞回収バッグ中の有核細胞
数、これらから算出した有核細胞回収率を表2に示す。
なお、有核細胞の全てが組織再生用細胞ではないが、組
織再生用細胞はこの有核細胞に含まれている。
【表2】
【0026】In vitroの骨形成は、以下の方法
で評価した。すなわち、回収した5×104の細胞を直
径35mmの培養用ディッシュに入れ、10mMのGl
ycerophosphate、82μg/mlのVi
tamin C Phosphate、10nMのDe
xamethasone(いずれも最終濃度)を添加し
た15%FBS含MEMで2週間培養を行った後、アリ
ザリン染色およびアルカリフォスファターゼ染色で評価
した。
【0027】6.結果 本分離操作により組織再生用細胞を分離回収できるこ
と、及び、得られた組織再生細胞用細胞は図2に示すご
とくin vitroで骨を形成する能力を有すること
が明らかになった。図2においては、矢印で囲んだ部分
に石灰化が観察され、骨を形成していることが確認でき
る。また、赤血球バッグには原料細胞浮遊液の赤血球の
90%という高い回収率で赤血球が回収されていた。
【0028】
【実施例2】1.細胞分離フィルター 実施例1のフィルターに通液性を高めるために以下の方
法で親水性ポリマーをコートする以外は同様な操作を行
った。すなわち、実施例1のフィルターにヒドロキシエ
チルメタクリレート・ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート共重合体(モル比=97:3)の1%エタノール溶
液15mLを該細胞分離フィルターの液体流入口から通
エキし、窒素ガスで余分なポリマー溶液をパージした
後、60℃で8時間以上真空乾燥機で乾燥させ細胞分離
フィルターとした。本フィルターを実施例1と同様な回
路を接続し、細胞分離回収装置とした。
【0029】2.原料細胞浮遊液 実施例1と同様の原料細胞浮遊液を用いた。 3.細胞分離回収操作 実施例1と同様な細胞分離回収操作を行った。
【0030】4.培養操作 実施例1と同様な培養操作を行った。 5.評価 実施例1と同様に骨形成および回収した赤血球の評価を
行った。原料細胞浮遊液中の赤血球数、赤血球バッグ中
の赤血球数とこれらから算出した赤血球回収率を表3に
示す
【表3】 6.結果 実施例1と同様な骨形成像が得られた。また、赤血球バ
ッグには原料細胞浮遊液の赤血球の91%という高い回
収率で赤血球が回収されていた。
【0031】
【発明の効果】以上示したように本発明によれば簡便な
操作かつ非完全開放系で原料細胞浮遊液中の組織再生用
細胞を機能を維持したまま分離濃縮でき、分離濃縮した
組織再生用細胞が組織再生能力を有していることが分か
った。また同時に赤血球も高率に回収できるので、組織
工学が実験室レベルの実験医療から脱皮し、ルーチンの
医療行為への発展に貢献すること極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の生体組織再生用細胞分離装置の模式
図である。
【図2】実施例1で分離された細胞のin vitro
骨形成の状態を示した写真である。
【符号の説明】
1 細胞分離フィルター 2 スパイク 3 赤血球バッグ 4 三方活栓 5 三方活栓 6 細胞回収バッグ 7 細胞回収用流体の注入手段
フロントページの続き Fターム(参考) 4B065 AA90X AC20 BB25 BC01 BC21 BC42 BD18 CA44 4C077 BB02 CC01 EE01 KK11 LL02 LL12 NN02 NN18 PP08 PP10 PP12 PP13 4C087 AA01 AA02 AA04 BB34 BB44 BB63 DA03 DA17 ZB21

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体組織の再生に用いられる組織再生用細
    胞と夾雑細胞とを含む細胞浮遊液を採取すること、採取
    した細胞浮遊液を少なくとも夾雑細胞を通過させ組織再
    生用細胞を捕捉する細胞分離フィルターに通液するこ
    と、該細胞分離フィルターに流体を導入して細胞分離フ
    ィルターにいったん捕捉された組織再生用細胞を回収す
    ること、回収された組織再生用細胞を生体組織の再生に
    使用することを含む生体組織の再生方法。
  2. 【請求項2】生体組織の再生に用いられる組織再生用細
    胞と夾雑細胞とを含む細胞浮遊液を個体から採取するこ
    と、採取した細胞浮遊液を少なくとも赤血球を通過させ
    生体組織再生用細胞を捕捉する細胞分離フィルターに通
    液すること、細胞分離フィルターから通過流出した赤血
    球を回収すること、該細胞分離フィルターに流体を導入
    して細胞分離フィルターにいったん捕捉された組織再生
    用細胞を回収すること、前記回収された赤血球を同一個
    体または別の個体に輸血すること、および前記回収され
    た組織再生用細胞を生体組織の再生に使用することを含
    む生体組織の再生方法。
JP2000271576A 1997-01-24 2000-09-07 生体骨組織再生用細胞を得る方法 Expired - Fee Related JP4333936B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000271576A JP4333936B2 (ja) 2000-09-07 2000-09-07 生体骨組織再生用細胞を得る方法
US09/947,374 US20020031757A1 (en) 1997-01-24 2001-09-07 Method of regenerating a tissue

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000271576A JP4333936B2 (ja) 2000-09-07 2000-09-07 生体骨組織再生用細胞を得る方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2002080377A true JP2002080377A (ja) 2002-03-19
JP2002080377A5 JP2002080377A5 (ja) 2007-09-27
JP4333936B2 JP4333936B2 (ja) 2009-09-16

Family

ID=18757840

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000271576A Expired - Fee Related JP4333936B2 (ja) 1997-01-24 2000-09-07 生体骨組織再生用細胞を得る方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4333936B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012143256A (ja) * 2005-10-21 2012-08-02 Kaneka Corp 幹細胞の分離材および分離方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012143256A (ja) * 2005-10-21 2012-08-02 Kaneka Corp 幹細胞の分離材および分離方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4333936B2 (ja) 2009-09-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU731766B2 (en) Cell separation method
JP5343110B2 (ja) 接線流れ濾過デバイス、および幹細胞富化のための方法
JPWO2002101029A1 (ja) 腎再生用細胞の分離濃縮方法
WO2004018615A1 (ja) フィブリン含有組成物
JP5515133B2 (ja) 骨再生組成物製造器具
US20020031757A1 (en) Method of regenerating a tissue
JP5336109B2 (ja) 単核細胞と血小板の濃縮方法
JP5800797B2 (ja) 細胞濃縮・回収方法及び細胞回収液
JP2002087971A (ja) 生体組織再生用細胞の分離方法及び装置
US20030180705A1 (en) Method of regenerating blood vessels
JP2003304865A (ja) 細胞分離方法
JP2001000178A (ja) 細胞分離方法及び細胞分離装置
JP2003250820A (ja) 血管の再生方法、そのための細胞の分離回収方法及び装置
JP4333936B2 (ja) 生体骨組織再生用細胞を得る方法
JP2001161352A (ja) 生体組織再生用細胞の分離方法、生体組織再生用細胞及び生体組織再生用細胞分離装置
JP6169972B2 (ja) 幹細胞分離方法
JP4412621B2 (ja) 細胞分離方法
JP3938973B2 (ja) 細胞分離方法
JP2002080377A5 (ja)
JP4043094B2 (ja) 細胞分離器
JP5923292B2 (ja) 骨髄液処理方法
JP2003116521A (ja) Sp細胞の分離濃縮方法及び装置
JP2000325071A (ja) 細胞分離回収方法
JP2000139454A (ja) 細胞分離回収方法及び回収必要細胞含有液
JP2006050976A (ja) 細胞回収方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070814

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070814

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090323

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090521

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090619

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090619

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4333936

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130703

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130703

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees