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JP2001167758A - アルカリ2次電池用の電極及びアルカリ2次電池及びアルカリ2次電池用の電極の製造方法 - Google Patents

アルカリ2次電池用の電極及びアルカリ2次電池及びアルカリ2次電池用の電極の製造方法

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Publication number
JP2001167758A
JP2001167758A JP35240799A JP35240799A JP2001167758A JP 2001167758 A JP2001167758 A JP 2001167758A JP 35240799 A JP35240799 A JP 35240799A JP 35240799 A JP35240799 A JP 35240799A JP 2001167758 A JP2001167758 A JP 2001167758A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
active material
electrode active
nickel hydroxide
nickel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP35240799A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Uno
貴博 宇野
Koji Hoshino
孝二 星野
Kazusuke Sato
一祐 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP35240799A priority Critical patent/JP2001167758A/ja
Publication of JP2001167758A publication Critical patent/JP2001167758A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高容量で利用率が高い電極及びその電極の製
造方法を提供すると共に、優れた高率放電特性を発揮で
きるアルカリ2次電池を提供する。 【解決手段】 少なくとも電極活物質の粉末が、シート
状若しくは多孔質状の導電性支持体に固着されて構成さ
れ、前記電極活物質は、水酸化ニッケルを主成分とする
粒子の表面の少なくとも一部に金属ニッケル相を含む導
電層が被覆されてなるものであることを特徴とする電極
2及びこの電極2を具備してなるアルカリ2次電池1を
採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ2次電池
用の電極及びその電極の製造方法及びその電極を具備し
てなるアルカリ2次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の携帯型電子機器の発展に伴い、こ
れらの電子機器の電源として使用される2次電池は高容
量化が望まれている。一方2次電池は例えば、電動工具
などの大電流を必要とするパワー用電源にも使用され、
その場合には、高率放電特性の向上が望まれている。
【0003】ところで、例えば正極に水酸化ニッケルを
用いると共に負極にカドミウムもしくは水素吸蔵合金を
用いてなるアルカリ2次電池は、正極の充放電容量より
も負極の充放電容量の方が大きくなるように設計されて
いる。従って、アルカリ2次電池の電池容量は、正極の
充放電容量によって決まる。よって、電池の高容量化を
達成するには正極の高容量化を図ることが必要とされて
いる。
【0004】ところで最近のアルカリ2次電池の正極
は、いわゆるペースト式電極と呼ばれるもので、電極活
物質である水酸化ニッケル粉末及び水酸化コバルトもし
くは一酸化コバルト等のコバルト化合物粉末を含むペー
ストを、集電体である多孔質金属体に充填することによ
り製造される。多孔質金属体は、例えばウレタンフォー
ムの骨格上にNi等の金属膜を形成し、ウレタンフォー
ムを焼却除去して製造され、3次元骨格構造(スポンジ
構造)を有するものである。水酸化ニッケル粉末及びコ
バルト化合物粉末は、3次元骨格構造の空隙の中に充填
されて保持される。コバルト化合物は、電池の初回充電
時に酸化されて導電性のオキシ水酸化コバルトとなり、
水酸化ニッケルの表面に析出する。
【0005】オキシ水酸化コバルトが、放電状態で絶縁
性の水酸化ニッケル粒子の表面に析出すると、水酸化ニ
ッケル粉末同士あるいは水酸化ニッケル粉末と多孔質金
属体の骨格との間において導電性ネットワークが形成さ
れ、これにより水酸化ニッケルに導電性が付与され、放
電時における正極の内部抵抗が低減される。
【0006】また、粒状の水酸化ニッケルの表面に予め
ヒドラジン還元触媒を付与し、この水酸化ニッケルを中
性のヒドラジン水溶液に投入して還元させることによ
り、5〜30重量%の金属ニッケルを形成させたものを
正極活物質として用いる方法も知られている(特開平1
1−233110号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、オキシ水酸化
コバルトは、半導体であって導電性が不十分であり、こ
のような正極を具備するアルカリ2次電池では、正極の
内部抵抗が増大して利用率が低下し、所望に高率放電特
性が得られないという問題があった。また、オキシ水酸
化コバルトの添加は、相対的に水酸化ニッケルの分量を
低下させ、電池の充放電容量が低下してしまうという問
題があった。
【0008】更に、中性のヒドラジン水溶液を用いて、
電極活物質の表面に金属ニッケル相を還元形成した場合
には、水酸化ニッケルの表面に金属ニッケルを均一に形
成させることが困難であった。特に金属ニッケルが5重
量%未満では、水酸化ニッケルの表面にまんべんなく金
属ニッケルを被覆させることが困難であり、水酸化ニッ
ケルに充分な導電性を付与できないという問題があっ
た。水酸化ニッケルに充分な導電性を与えるには金属ニ
ッケルを5重量%以上析出させることが必要であるとさ
れているが、この場合には活物質である水酸化ニッケル
量を減少させてしまい、電池の充放電容量が低下してし
まうという問題があった。
【0009】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であって、優れた高率放電特性を発揮できる電極及びそ
の電極の製造方法を提供すると共に、それを用いたアル
カリ2次電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明のアルカ
リ2次電池用の電極は、少なくとも電極活物質の粉末
が、導電性支持体に固着されてなり、前記電極活物質
は、水酸化ニッケルを主成分とする粒子の表面の少なく
とも一部に金属ニッケル相を含む導電層が被覆形成され
るとともに、該電極活物質における該金属ニッケル相の
含有率が5重量%未満であることを特徴とする。また本
発明のアルカリ2次電池用の電極は、少なくとも電極活
物質の粉末が固化成形されて構成され、前記電極活物質
は、水酸化ニッケルを主成分とする粒子の表面の少なく
とも一部に金属ニッケル相を含む導電層が被覆形成され
るとともに、該電極活物質における該金属ニッケル相の
含有率が5重量%未満であることを特徴とする。
【0011】前記の導電層は、pH=11.9以上のア
ルカリ金属水酸化物水溶液中で、水酸化ニッケルをヒド
ラジンで還元させて得られたものが好ましい。また、電
極活物質中の金属ニッケル相の含有量は、0.6重量%
以上5重量%未満であることがより好ましく、1.9重
量%以上4.9重量%以下であることが更に好ましく、
2.6重量%以上4.9重量%以下であることが最も好
ましい。
【0012】本発明のアルカリ2次電池用の電極によれ
ば、粒子表面に金属ニッケル相を含む導電層が被覆形成
されてなる電極活物質の粉末が、導電性支持体に固着さ
れてなるか、あるいはこの粉末が固化成形されてなり、
粒子同士が導電層を介して電気的に接続されて高次構造
の金属導電性を示す導電性ネットワークが形成されるの
で、電極の内部抵抗を小さくすることができ、水酸化ニ
ッケルの利用率を向上させることができる。また金属ニ
ッケル相は、従来のオキシ水酸化コバルトよりも導電性
が優れているので、正極の内部抵抗をより低減できる。
また、導電層に含まれる金属ニッケル相の含有量が5重
量%未満なので、水酸化ニッケル量が相対的に向上し、
電極当たりの充放電容量を高くすることができる。
【0013】また本発明は、従来のように半導体である
オキシ水酸化コバルトを形成させて導電性ネットワーク
を形成するものではなく、金属導電性を有する導電層に
よる導電性ネットワークが形成されるので、電極活物質
間の導電性が著しく向上し、電極の内部抵抗を低減でき
る。
【0014】また、金属ニッケル相を主成分とする導電
層は、水酸化ニッケルが還元されて形成されるので、こ
の導電層と水酸化ニッケルとが密着しており、導電層と
水酸化ニッケルとの間で電気抵抗が高くなることがな
く、正極の内部抵抗が低減される。
【0015】また、前記電極活物質の導電層は、その少
なくとも一部が多孔質状とされていることが好ましい。
導電層の形態が多孔質状とされているので、電解液が導
電層内に浸透してその下にある水酸化ニッケル層まで容
易に到達するようになるので、充放電反応を円滑に進め
させることができる。
【0016】そして、本発明のアルカリ2次電池は、先
に記載のアルカリ2次電池用の電極を具備してなること
を特徴とする。係るアルカリ2次電池によれば、導電層
を有する電極活物質を有する電極を具備してなり、この
電極には高次構造の、金属電気伝導を示す導電性ネット
ワークが形成されているので、電極の内部抵抗が低減さ
れて優れた高率放電特性を発揮させることができる。
【0017】本発明のアルカリ2次電池用の電極の製造
方法は、水酸化ニッケルを主成分とする粒子の表面の少
なくとも一部に金属ニッケル相を含む導電層が被覆され
てなる電極活物質の粉末を、シート状若しくは多孔質状
の導電性支持体に固着させて構成される電極を製造する
方法であって、前記電極活物質を前記導電性支持体に固
着させる際に、前記電極活物質の粉末に圧縮応力をかけ
ることにより前記導電層の少なくとも一部を破断させ
て、前記水酸化ニッケルの少なくとも一部を前記電極活
物質の表面に露出させることを特徴とする。また、本発
明のアルカリ2次電池用の電極の製造方法は、水酸化ニ
ッケルを主成分とする粒子の表面の少なくとも一部に金
属ニッケル相を含む導電層が被覆されてなる電極活物質
の粉末を、固化成形して構成される電極を製造する方法
であり、前記電極活物質を固化成形する際に、前記電極
活物質の粉末に圧縮応力をかけることにより前記導電層
の少なくとも一部を破断させて、前記水酸化ニッケルの
少なくとも一部を前記電極活物質の表面に露出させるこ
とを特徴とする。
【0018】上記のアルカリ2次電池用の電極の製造方
法によれば、電極活物質の粉末に圧縮応力をかけること
により、導電層の少なくとも一部を破断させて水酸化ニ
ッケルを露出させるため、電解液が水酸化ニッケルに直
接接するようになり、充放電反応を円滑に進めさせるこ
とができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1には本発明の第1の実施形態
であるアルカリ2次電池1を示す。このアルカリ2次電
池1は円筒型と呼ばれるもので、本発明に係るシート状
の正極2(電極)と、シート状の負極3と、これら正極
2と負極3との間に配置されたセパレータ4と、主とし
て正極2、負極3及びセパレータ4に含侵されている電
解液と、円筒状の電池容器5と、電池容器5を封口する
封口部材6とを主体として構成されている。このアルカ
リ2次電池1は、正極2と負極3とセパレータ4とが重
ね合わされれ、これらがスパイラル状に巻回された状態
で電池容器5に収納されている。
【0020】本発明に係る正極2(電極)は、電極活物
質の粉末が導電性支持体に固着されてなるもので、図2
に示すように、シート状の導電性支持体であるパンチン
グメタル21の両面に、電極活物質を含んでなる正極電
極層22、22(電極層)が積層されて構成されてい
る。
【0021】正極電極層22は、水酸化ニッケルを主成
分とする粒子に導電層が被覆されてなる電極活物質の粉
末23と、この電極活物質の粉末23同士を結着させる
例えばテフロン等からなる結着材を少なくとも含んでな
るもので、必要に応じてNi粉、黒鉛、カーボンブラッ
ク等の導電助材を含んでいても良い。
【0022】正極電極層22においては、図2及び図3
に示すように、電極活物質の粉末23が結着材を介して
結着され、表面にある導電層24同士が接触して高次構
造の、金属電気伝導を示す導電性ネットワークが形成さ
れる。そしてこの正極電極層22が導電性支持体21に
積層されて固着されることにより、正極電極層22と導
電性支持体21とが電気的に接続される。
【0023】負極3は、負極用の電極活物質の粉末がシ
ート状の導電性支持体に固着されてなるもので、導電性
支持体の両面に、負極用の電極活物質を含んでなる負極
電極層が積層されて構成される。
【0024】負極電極層は、負極用の電極活物質の粉末
と、この電極活物質の粉末を結着させる例えばテフロン
等からなる結着材とを少なくとも含んでなるもので、必
要に応じてNi粉、黒鉛、カーボンブラック等の導電助
材を含んでいても良い。負極用の電極活物質には、例え
ば水素吸蔵合金、水酸化カドミウム等を用いることがで
きる。また、上記の導電性支持体には、正極の場合と同
様にパンチングメタルを用いることができる。
【0025】電解液は、水酸化カリウム、水酸化ナトリ
ウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物のいず
れかあるいはこれらの混合物をを水に溶解させ、必要に
応じてアルカリ土類金属イオンを添加したものである。
また、セパレータ4は、例えばポリアミド樹脂、ポリプ
ロピレン等からなる不織布を用いることができる。
【0026】正極2の電極活物質は、正極活物質である
水酸化ニッケルを主成分とする粒子の表面の少なくとも
一部に導電層24が被覆されてなるものである。水酸化
ニッケルを主成分とする粒子の形状は、球状、板片状、
塊状等のいずれであっても良いが、とく球状であること
が電極活物質自体の密度を高くできるため好ましい。
【0027】また、この粒子は、その平均粒径が5μm
(5×10-6m)〜500μm(5×10-4m)、好ま
しくは10μm(1×10-5m)〜100μm(1×1
-4m)の範囲であることが好ましい。平均粒径が5μ
m(5×10-6m)以下だと、導電層24を形成させた
際に、導電層/水酸化ニッケルの重量比が大きくなり、
電極活物質中の水酸化ニッケルの含有率が小さくなっ
て、電極活物質の単位重量当たりの電気容量が低下して
しまうので好ましくない。平均粒径が500μm(5×
10-4m)を越えると、水酸化ニッケルの利用率が低下
し、好ましくない。
【0028】なお、この粒子には、水酸化ニッケルの他
に、Zn、Al、Co、Caのいずれか一種以上の元素
が含まれていることが好ましい。これらの元素は水酸化
ニッケルの結晶中に固溶されていることが好ましい。Z
n、Coは水酸化ニッケルの結晶性を低下させて水酸化
ニッケルの充放電特性を向上させる効果があり、Al、
Caは高温時における容量低下を防止する効果があり、
またCoは水酸化ニッケルの導電性を向上させる効果も
ある。これらの元素の添加量は、水酸化ニッケルに対し
てZnが1〜6重量%、Alが0.2〜2重量%、Co
が1〜6重量%、Caが1〜5重量%であることが好ま
しい。
【0029】導電層24は、水酸化ニッケルがpH=1
1.9以上のアルカリ金属水酸化物水溶液中でヒドラジ
ンにより還元されて生成したものであり、少なくとも金
属ニッケル相が含まれることが好ましい。この金属ニッ
ケル相は、水酸化ニッケルの還元生成物である。なお、
この導電層24には、金属ニッケル相の他に未還元の水
酸化ニッケル相が含まれていても良い。また、この導電
層24は、多孔質状とされていることが電解液を導電層
に浸透させて水酸化ニッケルまで到達させ、充放電反応
を円滑に進めさせることが可能となるので好ましい。
【0030】導電層24の厚さは、0.05μm(5×
10-8m)〜5μm(5×10-6m)の範囲とすること
が好ましい。導電層24の厚さが0.05μm(5×1
-8m)未満では導電層が薄くなり、導電性ネットワー
クの形成が不十分となって正極2の内部抵抗を低減させ
ることができなくなるおそれがあるので好ましくなく、
厚さが5μm(5×10-6m)を越えると、電解液が水
酸化ニッケルまで浸透できなくなるおそれがあるので好
ましくない。
【0031】また、電極活物質中の金属ニッケル相の含
有量は、5重量%未満であることが好ましく、0.6重
量%以上5重量%未満であることがより好ましく、1.
9重量%以上4.9重量%以下であることが更に好まし
く、2.6重量%以上4.9重量%以下であることが最
も好ましい。金属ニッケル相の含有量が5重量%以上で
は、活物質である水酸化ニッケル量が相対的に低下し、
アルカリ2次電池の充放電容量が低くなるので好ましく
ない。
【0032】次に、本発明のアルカリ2次電池に用いら
れる正極の製造方法を説明する。 (電極活物質の製造方法)まず、水酸化ニッケルを主成
分とする粒子からなる粉末を用意する。この粉末は、ア
ンモニア水を予め混合したニッケル塩水溶液及び水酸化
ナトリウム水溶液を、攪拌下の反応槽内に同時に供給
し、連続的に水酸化ニッケルを生成させ、これを洗浄、
乾燥して得ることができる。また、水酸化ニッケルにZ
n、Al、Co、Ca等を固溶させる場合は、予めニッ
ケル塩水溶液にこれらの固溶元素を溶解させておき、こ
れらを水酸化ニッケルの析出と同時にその結晶中に取り
込ませて固溶させる。
【0033】次に、得られた粉末を、pH=11.9以
上に調整したアルカリ金属水酸化物の水溶液に入れ、更
に還元剤を添加し、これを加熱することによって粒子表
面を還元する。これにより、水酸化ニッケルが還元され
て粒子の表面に金属ニッケル相を含む導電層が析出す
る。
【0034】ここで使用する還元剤は、ヒドラジン、ヒ
ドラジンとアンモニアの混合物、水素をはじめとする比
較的不安定な水素化合物、低級酸化物、低級酸素酸塩、
低酸化状態の有機化合物のうちのいずれか1種であるこ
とが好ましく、特にヒドラジンを含む水溶液を用いるこ
とが好ましい。ヒドラジンの添加量は、アルカリ金属水
酸化物溶液1000ml(1×10-33)に対して2
g(2×10-3kg)〜20g(2×10-2kg)の範
囲とすることが好ましい。ヒドラジンの添加量が2g
(2×10-3kg)未満では、金属ニッケルを十分に析
出させることができなくなるため好ましくなく、添加量
が20g(2×10 -2kg)を越えると、金属ニッケル
の析出量が過大となり、導電層が厚く形成されて電解液
が水酸化ニッケルまで浸透しにくくなるので好ましくな
い。
【0035】水酸化ニッケルを主成分とする粒子を、p
H=11.9以上に調整したアルカリ金属水酸化物溶液
中に入れて加熱すると、水酸化ニッケルの表面が僅かに
溶解し、アルカリ金属水酸化物溶液中にニッケル錯イオ
ン(HNiO2 -)が溶出する。そしてこのニッケル錯イ
オン(HNiO2 -)が、水酸化ニッケル表面で還元剤に
より還元されて金属ニッケル相となり、均一な導電層が
生成する。この反応を反応式で表すと下記の通りとな
る。即ち、 Ni(OH)2 → HNiO2 - + H+ (1) 2HNiO2 - + N2H4 + 6H+ + 4OH- → 2Ni + N2 + 8H2O (2)
【0036】上記の(1)式は、水酸化ニッケルの溶解
反応であり、(2)式は、還元剤(ヒドラジン(N
24))によるニッケル錯イオン(HNiO2 -)の還元
反応である。従って、この製造方法によれば、一度溶解
したニッケル錯イオン(HNiO2 -)が水酸化ニッケル
の表面で還元されて金属ニッケル相を析出するので、導
電層を水酸化ニッケル表面に均一に析出させることがで
きる。また、導電層が水酸化ニッケル表面に均一に薄く
析出するので、導電層の生成量を少なくしたとしても、
充分な導電性を水酸化ニッケルに付与できる。なお、ア
ルカリ金属水酸化物水溶液のpHが11.9未満では、
アルカリ金属水酸化物溶液中へのニッケル錯イオン(H
NiO2 -)の溶解量が少なくなり、金属ニッケル相の形
成に長時間を要するので好ましくない。
【0037】加熱は、電極活物質表面に金属ニッケル相
が析出するまで行うことが好ましく、具体的には前記加
熱の温度を313K(40℃)〜378K(105℃)
とすることが好ましく、323K(50℃)〜353K
(80℃)であることがより好ましい。加熱温度が31
3K未満であると、アルカリ金属水酸化物溶液中へのニ
ッケル錯イオン(HNiO2-)の溶解量が少なくなり、
金属ニッケル相の形成に長時間を要するので好ましくな
く、加熱温度が378Kを越えると、アルカリ金属水酸
化物溶液が沸騰し、耐圧容器が必要となり、また還元剤
が自己分解してしまうおそれがあるので好ましくない。
加熱が終了した後、洗浄及び乾燥を行うことにより、本
発明の電極活物質が得られる。
【0038】(正極の製造方法)次に、上記のようにし
て得られた電極活物質と、テフロン粉末等の結着剤と、
必要に応じてNi粉、黒鉛粉末等の導電助剤とを混合
し、この混合物を水、エチレングリコール等の分散媒に
加えてペーストとする。次にこのペーストを、パンチン
グメタル等の導電性支持体の両面に塗布する。この後、
ペーストを加熱乾燥して分散媒を揮発させる。そしてロ
ールプレス等により、乾燥済みのペーストを圧縮しつつ
導電性支持体に圧着させる。このペーストの圧縮は、電
極活物質の導電層の少なくとも一部が破断されて水酸化
ニッケルが電極活物質の粒子表面に露出するまで行うこ
とが好ましい。水酸化ニッケルが電極活物質の粒子表面
に露出することにより、電解液が水酸化ニッケルに直接
接するようになって、充放電反応を円滑に進めさせるこ
とができる。
【0039】圧縮する際に印加する圧下率は、0.05
〜0.6の範囲とすることが好ましい。圧下率が0.0
5未満では、導電層を破断させることができないおそれ
があるので好ましくなく、0.6を越えると、導電性支
持体が破損してしまうおそれがあるので好ましくない。
尚、圧下率とは一般的に、材料等を圧縮したときに、そ
の厚みが薄くなって断面積または厚さが減少したときの
減少率を指し、ここでは圧縮前の正極の厚さをtとし、
圧縮後の厚さをt’としたときに、(t−t’)×10
0/t(%)で表されるものであるである。このように
して、図2に示すような正極が得られる。
【0040】上記のアルカリ2次電池用の正極2によれ
ば、粒子表面に導電層24が被覆されてなる電極活物質
の粉末23が、パンチングメタル21に圧着されて保持
され、粒子同士が導電層24を介して電気的に接続され
て高次構造の、金属電気伝導を示す導電性ネットワーク
が形成されるので、正極2の内部抵抗を小さくすること
ができ、水酸化ニッケルの利用率を向上させることがで
きる。また本発明の正極2は、従来のように半導体であ
るオキシ水酸化コバルトを形成させて導電性ネットワー
クを形成させるものではなく、金属ニッケルを含む導電
層による導電性ネットワークが形成されるので、電極活
物質間の導電性が著しく向上するようになり、正極2の
内部抵抗を低減できる。
【0041】また、上記の電極活物質に含まれる金属ニ
ッケル相は全体の5重量%未満であるので、水酸化ニッ
ケル量が相対的に向上し、アルカリ2次電池の充放電容
量を高くすることができる。また、この金属ニッケル相
は従来のオキシ水酸化コバルトよりも導電性が優れてい
るので、正極2の内部抵抗をより低減させることができ
る。
【0042】また、導電層24の形態が多孔質状とされ
ているので、電解液を導電層24に浸透させて導電層の
下にある水酸化ニッケルまで到達させることができ、こ
れにより充放電反応を円滑に進めさせることができる。
【0043】また、上記のアルカリ2次電池用の正極2
の製造方法によれば、導電層24が破断されて水酸化ニ
ッケルが露出するまで電極活物質を圧縮するので、電解
液が水酸化ニッケルに直接接するようになり、充放電反
応を円滑に進めさせることができる。
【0044】次に、本発明の第2の実施形態を図面を参
照して説明する。図4には、本発明の第2の実施形態で
あるアルカリ2次電池に用いて好適な別の正極32を示
す。この正極32(電極)は、電極活物質の粉末が多孔
質状の導電性支持体に固着されてなるもので、図4に示
すように、多孔質状の導電性支持体33に、電極活物質
を含んでなる正極電極層34(電極層)が充填されて構
成されてなるものである。導電性支持体33には、例え
ば、ニッケル多孔質体、エキスパンドメタル、金網等の
多孔質シートを好適に用いることができる。
【0045】正極電極層34は、正極活物質である水酸
化ニッケルを主成分とする電極活物質の粉末と、この電
極活物質の粉末を結着させる例えばテフロン等からなる
結着材とを少なくとも含んでなるもので、必要に応じて
Ni粉、黒鉛、カーボンブラック等の導電助材を含んで
いても良い。
【0046】正極32の電極活物質は、正極活物質であ
る水酸化ニッケルを主成分とする粒子の表面の少なくと
も一部に金属ニッケル相を含む導電層が被覆形成されて
なるもので、第1の実施形態において説明した電極活物
質と同じものである。
【0047】多孔質状の導電性支持体33は、多数の空
孔が網目状の金属骨格に区画された形態を有するもの
で、例えばウレタンフォームの骨格上に金属ニッケル膜
を形成し、ウレタンフォームを焼却除去して製造された
ものである。
【0048】また多孔質状の導電性支持体33は、不織
布等の繊維に金属膜を形成し、不織布を焼却除去して得
られたものでも良い。
【0049】正極電極層34は、図4に示すように、電
極活物質の粉末が結着材を介して結着されてなり、導電
層が相互に接触することにより高次構造の、金属電気伝
導を示す導電性ネットワークが形成されている。そして
この正極電極層34は、多孔質状の導電性支持体33の
空孔に充填されて導電性支持体33の金属骨格と接触し
ており、これにより正極電極層34と導電性支持体33
とが電気的に接続される。
【0050】次に、この正極は、先に説明した第1の実
施形態の正極とほぼ同様にして製造される。まず、電極
活物質と、テフロン粉末等の結着材と、必要に応じてN
i粉、黒鉛粉末等の導電助材とを混合し、この混合物
を、水、エチレングリコール等の分散媒に加えてペース
トとする。なお電極活物質は、先に説明した第1の実施
形態の電極活物質とほぼ同様にして製造される。次にこ
のペーストを、ロール充填法等により多孔質状の導電性
支持体に塗布して充填し、これらを加熱乾燥して分散媒
を揮発させる。そして、ロールプレス等により、乾燥後
のペーストを含む導電性支持体をプレス(圧縮)し、ペ
ーストを導電性支持体の金属骨格に密着させる。この圧
縮は、電極活物質の導電層を破断させてその下にある水
酸化ニッケルが電極活物質の粒子表面に露出するまで行
うことが好ましい。水酸化ニッケルが電極活物質の粒子
表面に露出することにより、電解液が水酸化ニッケルに
直接接するようになって、充放電反応を円滑に進めさせ
ることができる。
【0051】圧縮する際に印加する圧下率は、0.05
〜0.6の範囲とすることが好ましい。圧下率が0.0
5未満では、導電層を破断させることができないおそれ
があるので好ましくなく、0.6を越えると、導電性支
持体が破損してしまうおそれがあるので好ましくない。
このようにして、図4に示すような正極32が得られ
る。
【0052】上記の正極32によれば、第1の実施形態
とほぼ同様な効果が得られる。
【0053】次に、本発明の第3の実施形態を図面を参
照して説明する。図5には、本発明の第3の実施形態で
あるアルカリ2次電池41を示す。このアルカリ2次電
池41はボタン型と呼ばれるもので、本発明に係る円柱
状の正極42(電極)と、円柱状の負極43と、これら
正極42と負極43との間に配置されたセパレータ44
と、主として正極42、負極43及びセパレータ44に
含浸される電解液と、正極端子を兼ねた円筒状の電池容
器45と、電池容器45を封口する負極端子を兼ねた封
口部材46とを主体として構成されている。このアルカ
リ2次電池41は、電池容器45に正極42、セパレー
タ44及び負極43が順に収納されると共に、封口部材
46により電池容器45が封口されている。このように
構成することにより、正極42が正極端子である電池容
器45に接触し、負極43が負極端子である封口部材4
6に接触する。
【0054】正極42(電極)は、少なくとも電極活物
質の粉末が圧縮されて円柱状に固化成形されてなるもの
で、電極活物質の粉末と、この電極活物質の粉末を結着
させる例えばテフロン等からなる結着材とを含んでな
り、必要に応じてNi粉、黒鉛、カーボンブラック等の
導電助材を含んでいても良い。
【0055】正極42に含まれる本発明に係る電極活物
質は、正極活物質である水酸化ニッケルを主成分とする
粒子の表面の一部もしくは全部に金属ニッケル相を含む
導電層が被覆されてなるもので、第1の実施形態におい
て説明した電極活物質と同じものである。
【0056】この正極42は、電極活物質の粉末が結着
材を介して結着されてなり、導電層同士が接触して高次
構造の、金属電気伝導を示す導電性ネットワークが形成
される。そしてこの正極42が正極端子を兼ねた電池容
器45に接触し、正極42と正極端子とが電気的に接続
される。
【0057】負極43は、負極用の電極活物質の粉末
と、この電極活物質の粉末を結着させる例えばテフロン
等からなる結着材とを少なくとも含んでなるもので、必
要に応じてNi粉、黒鉛、カーボンブラック等の導電助
材を含んでいても良い。また、負極用の電極活物質に
は、例えば水素吸蔵合金、水酸化カドミウム等を用いる
ことができる。
【0058】電解液は、水酸化カリウム、水酸化ナトリ
ウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物いずれ
かあるいはこれらの混合物を水に溶解させ、必要に応じ
てアルカリ土類金属イオンを添加したものである。ま
た、セパレータ44は、例えばポリアミド樹脂、ポリプ
ロピレン等からなる不織布を用いることができる。
【0059】次に、この正極42は、以下のようにして
製造される。まず、電極活物質と、テフロン粉末等の結
着材と、黒鉛粉末等の導電助材を混合して混合物とす
る。電極活物質は、先に説明した第1の実施形態の電極
活物質とほぼ同様にして製造される。次にこの混合物
を、例えば円柱状のキャビティを有する金型に充填し、
プレス機等で金型に圧力を印加して混合物を圧縮し、混
合物を円柱状に固化成形する。混合物を圧縮する際は、
電極活物質の導電層が破断されて水酸化ニッケルの一部
が電極活物質の粒子表面に露出するまで行うことが好ま
しい。水酸化ニッケルが露出することにより、電解液が
水酸化ニッケルに直接接して、充放電反応を円滑に進め
させることができる。
【0060】圧縮する際に印加する圧力は、5×106
〜5×107Paの範囲とすることが好ましい。圧力が
5×106Pa未満では、導電層を破断させることがで
きないおそれがあるので好ましくなく、5×107Pa
を越えると、正極が欠けたり、割れたりしてしまうおそ
れがあるので好ましくない。このようにして、図5に示
すような正極が得られる。
【0061】上記の正極42においては、第1の実施形
態の正極とほぼ同様な効果が得られる。
【0062】
【実施例】まず、3重量%の亜鉛及び5重量%のコバル
トを含むニッケル塩水溶液を調整した。次に、アンモニ
ア水を予め混合した前記ニッケル塩水溶液と水酸化ナト
リウム水溶液とを、攪拌下の反応槽内に同時に供給し、
連続的に水酸化ニッケルを生成させた。析出した水酸化
ニッケルを乾燥し、粒径が10μm(1×10-5m)〜
300μm(5×10-5m)の粒状の水酸化ニッケル粉
末を得た。
【0063】次に、100g(0.1kg)の水酸化ニ
ッケル粉末を、10規定(pH=15)、1000ml
(1×10-33)の水酸化ナトリウム水溶液に投入
し、更に攪拌しながら2g(2×10-3kg)〜20g
(2×10-2kg)のヒドラジン一水和物(以下、ヒド
ラジンと表記)を投入して、70℃(343K)で1時
間(3600秒)加熱することにより、水酸化ニッケル
粒子の表面を還元して導電層を形成した。更に水洗、乾
燥を行うことにより、導電層を有する実施例11〜15
の水酸化ニッケル粉末を調製した。表1に、各実施例の
水酸化ニッケル粉末を製造する際に投入したヒドラジン
の添加量を示す。
【0064】また、水酸化ニッケル粉末の表面にヒドラ
ジン分解触媒(Pd)を付着させたた後、1000ml
(1×10-33)の水に入れ、更に31g(3.1×
10- 2kg)のヒドラジンを投入し、37℃(310
K)で65分間(3900秒)反応させることにより水
酸化ニッケル表面を還元して金属ニッケル相を形成さ
せ、比較例11の水酸化ニッケル粉末を作成した。更
に、還元処理を全く行わない水酸化ニッケル粉末を比較
例12とした。
【0065】
【表1】
【0066】得られた水酸化ニッケル粉末に対し、走査
型電子顕微鏡(SEM)による形態観察、X線回折測定
及びEPMA(electron probe for micro-analysis;電
子プローブマイクロ分析法)による酸素分析を行った。
SEM観察の結果を図6及び図7に示し、X線回折測定
の結果を図10に示し、EPMA法による酸素結果を表
2に示す。また図8及び図9に、比較例12の水酸化ニ
ッケル粉末のSEM観察の結果を示す。
【0067】
【表2】
【0068】また、実施例11〜実施例15及び比較例
11並びに比較例12の水酸化ニッケル粉末に、テフロ
ンのディスパージョン液を加えて混合することによりペ
ーストとし、このペーストをパンチングメタルシートに
塗布し、150℃(423K)で4時間(14400
秒)乾燥した後にプレスすることにより、厚さ0.7m
m(7×10-4m)のニッケル電極を製造した。なお、
比較12の水酸化ニッケルについては、CoOを10重
量%を混合した後にテフロンのディスパージョン液を加
えてペーストとし、このペーストを用いてニッケル電極
を作製した。
【0069】次に、Mm1.0Ni4.5Co0.5(ただし、
Mmはミッシュメタルの略)なる組成の水素吸蔵合金粉
末に、テフロンのディスパージョン液を加えて混合する
ことによりペーストとし、このペーストをパンチングメ
タルシートに塗布し、150℃(423K)で4時間
(14400秒)乾燥した後にプレスすることにより、
厚さ0.6mm(6×10-4m)の水素電極を製造し
た。
【0070】次に上記のニッケル電極と水素電極との間
にポリイミド製のセパレータを挟み、これを渦巻き状に
巻回して円筒状の電池容器に収納し、アルカリ電解液を
添加した後に封口することにより、実施例11〜15及
び比較例11並びに比較例12の単3型(AAサイズ)
のニッケル水素2次電池を作製した。
【0071】得られた電池について、充放電を行い、5
サイクル目と100サイクル目における放電容量を測定
した。なお充電は、電流密度0.1Cで理論電池容量の
110%の容量まで充電する条件で行い、放電は、電流
密度0.2C、放電終止電圧0.9Vまで放電する条件
で行った。結果を表1に示す。また、実施例11及び比
較例12の電池について、放電電流密度を0.2〜3C
としたときの放電容量を測定した。結果を図12に示
す。
【0072】図6及び図7に示すように、実施例11の
水酸化ニッケル粒子の表面には、多孔質状の層がまんべ
んなく均一に形成されていることがわかる。一方、図8
及び図9に示すように、ヒドラジンで還元する前の水酸
化ニッケル粒子(比較例12)の表面には、このような
多孔質の層は見られない。
【0073】図10には、実施例11のX線回折測定の
結果を示す。水酸化ニッケルの回折パターンの他に、金
属ニッケルの回折パターンが確認される。これにより、
水酸化ニッケル粒子の表面をヒドラジンで還元すること
によって、表面に金属ニッケル相が析出することが確認
できる。
【0074】更に表2には、実施例11〜15及び比較
例11並びに比較例12の電極活物質粒子(水酸化ニッ
ケル粒子)の表面の導電層部位と内部の水酸化ニッケル
部位について、それぞれをEPMAで酸素分析した結果
を示す。表2から明らかなように、表中、表面の導電層
部位の酸素含有量は、内部の水酸化ニッケル部位の酸素
含有量よりも低くなっていることがわかる。これによ
り、実施例11〜15の水酸化ニッケルでは、ヒドラジ
ンによって水酸化ニッケル粒子の表面が還元されること
により、粒子表面の酸素含有量が低下し、ついには金属
ニッケル相が析出していることが明らかである。
【0075】また、図11には、磁化率を測定すること
により水酸化ニッケルの還元率を測定した結果を示す。
金属ニッケルは磁性体であるため、電極活物質の磁化率
を測定することにより電極活物質中の金属ニッケル量を
推定することが可能である。図11の縦軸は水酸化ニッ
ケル粒子表面に析出した金属ニッケルの含有量を示す。
図11に示すように、ヒドラジンの投入量が高いほど金
属ニッケルの含有量が高くなることが分かる。
【0076】また実施例11の水酸化ニッケルの金属ニ
ッケルの含有量は4.2重量%であり、この水酸化ニッ
ケルを8.0×106Paの圧力を印加しつつ電気抵抗
を測定したところ、5×102Ω・mであった。
【0077】以上のことから、図6及び図7において観
察された多孔質な層は、酸素含有量が低く、かつ金属ニ
ッケル相を含んでいる導電層であることが明らかであ
る。また、ヒドラジンの投入量を調整することにより、
金属ニッケル相の析出量を調製できることがわかる。
【0078】次に表1から明らかなように、実施例11
〜15の電池の0.2Cでの放電容量は、比較例11の
電池の放電容量よりも高くなっていることがわかる。こ
れは、実施例11〜実施例15の電池の水酸化ニッケル
には、5重量%未満の金属ニッケル相を含む導電層が均
一に形成されているので、電池に充填される水酸化ニッ
ケル量が相対的に増加し、放電容量が増加したものと考
えられる。
【0079】また、比較例12の電池では、従来の、半
導体であるオキシ水酸化コバルトで導電性ネットワーク
が形成されているので、抵抗が高く、水酸化ニッケルの
利用率が低くなって、放電容量が実施例11〜15の電
池よりも小さくなったものと考えられる。
【0080】また、図12に示すように、実施例11の
電池は、放電電流密度を増加させても放電容量の低下が
小さく、高率放電が可能であるのに対し、比較例12の
電池は電流密度が増加すると放電容量が急激に低下して
いることがわかる。このように、実施例11の電池は、
比較例12の電池よりも良好な高率放電特性を有してい
ることがわかる。これは、実施例11の電池のニッケル
極の内部抵抗が小さいため、水酸化ニッケルの利用率が
高くなって、高い放電電流密度でも放電容量が高くなる
ためと考えられる。
【0081】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
アルカリ2次電池用の電極は、水酸化ニッケルを主成分
とする粒子の表面に金属ニッケル相を含む導電層が被覆
されてなる電極活物質の粉末が、導電性支持体に固着さ
れてなるか、もしくは前記の電極活物質の粉末が、固化
成形されてなるもので、粒子同士が導電層を介して電気
的に接続されて高次構造の、金属電気伝導を示す導電性
ネットワークが形成されるので、電極の内部抵抗を小さ
くすることができ、水酸化ニッケルの利用率を向上させ
ることができる。また本発明の電極は、従来のように電
極活物質を導電性支持体に固着させた後に、半導体であ
るオキシ水酸化コバルトを形成させて導電性ネットワー
クを形成するものではなく、電極活物質を導電性支持体
に固着させた時点で、金属電気伝導を示す導電性ネット
ワークが形成されるので、常に安定した導電率が大きい
導電性ネットワークを形成させることができ、電極の内
部抵抗をより低減できる。
【0082】また、前記電極活物質の導電層には金属ニ
ッケル相が含まれており、この金属ニッケル相の導電性
は、従来のオキシ水酸化コバルトより優れるため、電極
の内部抵抗をより低減できる。また、導電層の形態が多
孔質状とされているので、電解液を導電層に浸透させて
導電層の下にある水酸化ニッケルまで到達させ、充放電
反応を円滑に進めさせることができる。
【0083】本発明のアルカリ2次電池用の電極の製造
方法は、前記電極活物質を圧縮して前記導電層を破断さ
せることにより、前記水酸化ニッケルの一部を露出させ
るので、電解液が水酸化ニッケルに直接接するようにな
り、充放電反応を円滑に進めさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態であるアルカリ2
次電池を示す斜視断面図である。
【図2】 図1に示すアルカリ2次電池の正極の断面
模式図である。
【図3】 図2に示す正極の要部を示す拡大模式図で
ある。
【図4】 本発明の第2の実施形態である正極の断面
模式図である。
【図5】 本発明の第3の実施形態であるアルカリ2
次電池を示す断面図である。
【図6】 実施例11の水酸化ニッケル粉末のSEM
写真である。
【図7】 図6に示したSEM写真を更に拡大した写
真である。
【図8】 比較例12の水酸化ニッケル粉末のSEM
写真である。
【図9】 図8に示したSEM写真を更に拡大した写
真である。
【図10】 実施例11の水酸化ニッケル粉末のX線
回折測定の結果を示す図である。
【図11】 ヒドラジンの投入量と金属ニッケルの含
有量との関係を示すグラフである。
【図12】 放電電流密度と放電容量との関係を示す
グラフである。
【符号の説明】 1 アルカリ2次電池 2 正極(電極) 3 負極 4 セパレータ 21 パンチングメタル(導電性支持体) 22 正極電極層 23 電極活物質の粉末 24 導電層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 一祐 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社材料技術研究所内 Fターム(参考) 5H003 AA01 BA04 BA05 BB04 BB14 BC01 BC04 BC05 BD04 5H016 AA02 AA05 BB04 BB05 BB08 CC03 EE01 EE05 HH01 5H028 BB04 EE01 EE05 EE10 HH01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも電極活物質の粉末が、導電
    性支持体に固着された電極において、 前記電極活物質は、水酸化ニッケルを主成分とする粒子
    の表面の少なくとも一部に金属ニッケル相を含む導電層
    が被覆形成されるとともに、該電極活物質における該金
    属ニッケル相の含有率が5重量%未満であることを特徴
    とするアルカリ2次電池用の電極。
  2. 【請求項2】 電極活物質の粉末が固化成形されて構
    成される電極において、 前記電極活物質は、水酸化ニッケルを主成分とする粒子
    の表面の少なくとも一部に金属ニッケル相を含む導電層
    が被覆形成されるとともに、該電極活物質における該金
    属ニッケル相の含有率が5重量%未満であることを特徴
    とするアルカリ2次電池用の電極。
  3. 【請求項3】 前記電極活物質の導電層は、その少な
    くとも一部が多孔質状とされていることを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載のアルカリ2次電池用の電
    極。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに
    記載のアルカリ2次電池用の電極を具備してなることを
    特徴とするアルカリ2次電池。
  5. 【請求項5】 水酸化ニッケルを主成分とする粒子の
    表面の少なくとも一部に金属ニッケル相を含む導電層が
    被覆形成されてなる電極活物質の粉末を、シート状若し
    くは多孔質状の導電性支持体に固着させて構成される電
    極を製造する方法であって、 前記電極活物質を前記導電性支持体に固着させる際に、
    前記電極活物質の粉末に圧縮応力をかけることにより前
    記導電層の少なくとも一部を破断させて、前記水酸化ニ
    ッケルの少なくとも一部を前記電極活物質の表面に露出
    させることを特徴とするアルカリ2次電池用の電極の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 水酸化ニッケルを主成分とする粒子の
    表面の少なくとも一部に金属ニッケル相を含む導電層が
    被覆されてなる電極活物質粉末を、固化成形して構成さ
    れる電極を製造する方法であり、 前記電極活物質を固化成形する際に、前記電極活物質の
    粉末に圧縮応力をかけることにより前記導電層の少なく
    とも一部を破断させて、前記水酸化ニッケルの少なくと
    も一部を前記電極活物質の表面に露出させることを特徴
    とするアルカリ2次電池用の電極の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007123229A (ja) * 2005-09-29 2007-05-17 Sanyo Electric Co Ltd アルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法及びアルカリ蓄電池
CN1333475C (zh) * 2001-09-05 2007-08-22 三星Sdi株式会社 用于电池的活性材料及其制备方法

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