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JP2001100039A - セルロースエステルフイルム、光学補償シートおよび楕円偏光板 - Google Patents

セルロースエステルフイルム、光学補償シートおよび楕円偏光板

Info

Publication number
JP2001100039A
JP2001100039A JP28070499A JP28070499A JP2001100039A JP 2001100039 A JP2001100039 A JP 2001100039A JP 28070499 A JP28070499 A JP 28070499A JP 28070499 A JP28070499 A JP 28070499A JP 2001100039 A JP2001100039 A JP 2001100039A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
machine direction
cellulose ester
film
tensile modulus
liquid crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28070499A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiko Murayama
雅彦 村山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP28070499A priority Critical patent/JP2001100039A/ja
Publication of JP2001100039A publication Critical patent/JP2001100039A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セルロースエステルフイルムの厚み方向のレ
ターデーション値(Rth)と面内のレターデーション値
(Re)との関係を調整する。 【解決手段】 セルロースエステルフイルムの機械方向
の引張弾性率を360乃至480kgf/mm2
し、、機械方向に垂直な方向の引張弾性率が260乃至
440kgf/mm2 とし、さらに、機械方向の引張弾
性率/機械方向に垂直な方向の引張弾性率の比が0.8
0乃至1.36に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セルロースエステルフ
イルム、光学補償シートおよび楕円偏光板に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、液晶セル、偏光素子お
よび光学補償シート(位相差板)からなる。透過型液晶
表示装置では、二枚の偏光素子を液晶セルの両側に取り
付け、一枚または二枚の光学補償シートを液晶セルと偏
光素子との間に配置する。反射型液晶表示装置では、反
射板、液晶セル、一枚の光学補償シート、そして一枚の
偏光素子の順に配置する。液晶セルは、棒状液晶性分
子、それを封入するための二枚の基板および棒状液晶性
分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セル
は、棒状液晶性分子の配向状態の違いで、透過型につい
ては、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Sw
itching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crysta
l)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN
(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Align
ed)、反射型については、HAN(Hybrid Aligned Nem
atic)のような様々な表示モードが提案されている。偏
光素子は、一般に、偏光膜の両側に二枚の透明保護膜を
取り付けた構成を有する。
【0003】光学補償シートは、画像着色を解消した
り、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用
いられている。光学補償シートとしては、延伸複屈折フ
イルムが従来から使用されていた。延伸複屈折フイルム
からなる光学補償シートに代えて、透明支持体上に液晶
性分子(特にディスコティック液晶性分子)から形成さ
れた光学異方性層を有する光学補償シートを使用するこ
とが提案されている。光学異方性層は、液晶性分子を配
向させ、その配向状態を固定することにより形成する。
一般に、重合性基を有する液晶性分子を用いて、重合反
応によって配向状態を固定する。液晶性分子は、大きな
複屈折率を有する。そして、液晶性分子には、多様な配
向形態がある。液晶性分子を用いることで、従来の延伸
複屈折フイルムでは得ることができない光学的性質を実
現することが可能になった。
【0004】光学補償シートの光学的性質は、液晶セル
の光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違
いに応じて決定する。液晶性分子、特にディスコティッ
ク液晶性分子を用いると、液晶セルの様々な表示モード
に対応する様々な光学的性質を有する光学補償シートを
製造することができる。ディスコティック液晶性分子を
用いた光学補償シートでは、様々な表示モードに対応す
るものが既に提案されている。例えば、TNモードの液
晶セル用光学補償シートは、特開平6−214116号
公報、米国特許5583679号、同5646703
号、ドイツ特許公報3911620A1号の各明細書に
記載がある。また、IPSモードまたはFLCモードの
液晶セル用光学補償シートは、特開平10−54982
号公報に記載がある。さらに、OCBモードまたはHA
Nモードの液晶セル用光学補償シートは、米国特許58
05253号および国際特許出願WO96/37804
号の各明細書に記載がある。さらにまた、STNモード
の液晶セル用光学補償シートは、特開平9−26572
号公報に記載がある。そして、VAモードの液晶セル用
光学補償シートは、特許番号第2866372号公報に
記載がある。
【0005】液晶性分子には様々な配向形態があるが、
液晶性分子の光学異方性のみでは、液晶セルを充分に光
学的に補償できない場合もある。そのような場合には、
光学補償シートの透明支持体を光学異方性にして、液晶
性分子の光学異方性と共に液晶セルを光学的に補償する
方法が提案されている(米国特許5646703号明細
書記載)。光学異方性透明支持体としては、具体的には
合成ポリマーの延伸フイルムが用いられている。光学異
方性支持体として従来から用いられている合成ポリマー
延伸フイルムは、支持体としての機能に問題がある。ま
た、合成ポリマー延伸フイルムを透明支持体として用い
ると、光学補償シートと偏光板を一体化した楕円偏光板
を製造することも難しい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】欧州特許091165
6号明細書には、厚み方向のレターデーション値が高い
(70乃至400nmの)セルロースエステルフイルム
を透明支持体として用いた光学補償シートが開示されて
いる。セルロースエステルフイルムは、支持体としての
機能が優れている。また、セルロースエステルフイルム
を透明支持体として用いると、光学補償シートと偏光板
を一体化した楕円偏光板を製造することも容易である。
ただし、従来のセルロースエステルフイルムは、高い光
学的等方性を有する(レターデーション値が低い)こと
を特徴としていた。上記欧州特許0911656号明細
書に記載の発明は、セルロースエステルフイルムのレタ
ーデーション値を高くする手段を開示して、セルロース
エステルフイルムを光学異方性透明支持体として使用す
ることを可能にしている。同明細書は、レターデーショ
ン値を高くする手段として、芳香族環を少なくとも二つ
有し、二つの芳香族環の立体配座を立体障害しない分子
構造を有する化合物(レターデーション上昇剤)の使用
が開示されている。
【0007】レターデーション上昇剤の使用により、レ
ターデーションが高いセルロースエステルフイルムを製
造することが可能になった。ただし、レターデーション
上昇剤は、厚み方向のレターデーション値(Rth)に加
えて、面内のレターデーション値(Re)も上昇させ
る。そのため、レターデーション上昇剤のみでは、厚み
方向のレターデーション値(Rth)と面内のレターデー
ション値(Re)との関係を任意に調整することが困難
であった。本発明の目的は、厚み方向のレターデーショ
ン値(Rth)と面内のレターデーション値(Re)との
関係が調整されたセルロースエステルフイルムを提供す
ることである。また、本発明の目的は、支持体としての
機能が優れている光学異方性透明支持体を用いた光学補
償シートを提供することでもある。さらに、本発明の目
的は、偏光膜の保護機能が優れている光学異方性透明支
持体を用いた一体型楕円偏光板を提供することでもあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(8)のセルロースエステルフイルム、下記
(9)〜(10)の光学補償シートおよび下記(11)
〜(12)の楕円偏光板により達成された。 (1)機械方向の引張弾性率が360乃至480kgf
/mm2 であり、機械方向に垂直な方向の引張弾性率が
260乃至440kgf/mm2 であり、そして、機械
方向の引張弾性率/機械方向に垂直な方向の引張弾性率
の比が0.80乃至1.36であることを特徴とするセ
ルロースエステルフイルム。 (2)ソルベントキャスト法により製造された(1)に
記載のセルロースエステルフイルム。 (3)ソルベントキャスト法の乾燥工程において、残留
溶媒量が5乃至3重量%の状態で、機械方向に垂直な方
向に0.1乃至20%延伸して製造された(1)に記載
のセルロースエステルフイルム。 (4)機械方向に垂直な方向の延伸率/機械方向の延伸
率の比が、0.70乃至8.0となるように延伸して製
造された(1)に記載のセルロースエステルフイルム。 (5)芳香族環を少なくとも二つ有し、二つの芳香族環
の立体配座を立体障害しない分子構造を有する化合物を
0.01乃至20重量%含む(1)に記載のセルロース
エステルフイルム。 (6)面内のレターデーション値が−50乃至50nm
である(1)に記載のセルロースエステルフイルム。 (7)厚み方向のレターデーション値が60乃至100
0nmである(1)に記載のセルロースエステルフイル
ム。 (8)光学的に負の一軸性であり、光軸がフイルム面の
法線と実質的に平行である(1)に記載のセルロースエ
ステルフイルム。
【0009】(9)機械方向の引張弾性率が360乃至
480kgf/mm2 であり、機械方向に垂直な方向の
引張弾性率が260乃至440kgf/mm2 であり、
そして、機械方向の引張弾性率/機械方向に垂直な方向
の引張弾性率の比が0.80乃至1.36であるセルロ
ースエステルフイルムからなる光学補償シート。 (10)透明支持体および液晶性分子から形成された光
学異方性層を有する光学補償シートであって、透明支持
体が、機械方向の引張弾性率が360乃至480kgf
/mm2 であり、機械方向に垂直な方向の引張弾性率が
260乃至440kgf/mm2 であり、そして、機械
方向の引張弾性率/機械方向に垂直な方向の引張弾性率
の比が0.80乃至1.36であるセルロースエステル
フイルムであることを特徴とする光学補償シート。 (11)透明保護膜、偏光膜および光学異方性透明支持
体がこの順に積層されている楕円偏光板であって、光学
異方性透明支持体が、機械方向の引張弾性率が360乃
至480kgf/mm2 であり、機械方向に垂直な方向
の引張弾性率が260乃至440kgf/mm2 であ
り、そして、機械方向の引張弾性率/機械方向に垂直な
方向の引張弾性率の比が0.80乃至1.36であるセ
ルロースエステルフイルムであることを特徴とする楕円
偏光板。 (12)透明保護膜、偏光膜、透明支持体および液晶性
分子から形成された光学異方性層がこの順に積層されて
いる楕円偏光板であって、透明支持体が、機械方向の引
張弾性率が360乃至480kgf/mm2 であり、機
械方向に垂直な方向の引張弾性率が260乃至440k
gf/mm2 であり、そして、機械方向の引張弾性率/
機械方向に垂直な方向の引張弾性率の比が0.80乃至
1.36であるセルロースエステルフイルムであること
を特徴とする楕円偏光板。
【0010】
【発明の効果】本発明者の研究により、セルロースエス
テルフイルムの機械方向の引張弾性率と機械方向に垂直
な方向(横方向)の引張弾性率とを調整することによ
り、セルロースエステルフイルムの面内のレターデーシ
ョン値(Re)を制御できることが判明した。具体的に
は、横方向の引張弾性率を通常よりも大きな値とする
か、機械方向の引張弾性率を通常よりも小さな値にする
と(言い換えると横方向の引張弾性率と機械方向の引張
弾性率を近い値にすると)、厚み方向のレターデーショ
ン値(Rth)が比較的高いが、面内のレターデーション
値(Re)が比較的低いセルロースエステルフイルムが
得られる。引張弾性率は、セルロースエステルフイルム
の製造時の延伸処理で容易に調整できる。(通常の方法
では実施しない)横方向の延伸処理を実施すると、横方
向の引張弾性率を通常よりも大きな値にすることができ
る。また、(通常の方法では特に延伸処理を実施しなく
ても、フイルムの巻き取り処理のような製造工程の都合
で延伸されてしまう)縦方向の延伸を抑制すると、縦方
向の引張弾性率を通常よりも小さな値にすることができ
る。延伸処理とレターデーション上昇剤とを併用すれ
ば、厚み方向のレターデーション値(Rth)と面内のレ
ターデーション値(Re)とを任意に調整したセルロー
スエステルフイルムを得ることも可能である。本発明の
セルロースエステルフイルムは、レターデーションが高
く、支持体としての機能が優れており、光学補償シート
の光学異方性透明支持体として有利に用いることができ
る。さらに、このセルロースエステルフイルムは、偏光
膜の保護機能も優れており、一体型楕円偏光板の光学異
方性透明支持体としても有利に用いることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、透過型液晶表示装置の基
本的な構成を示す模式図である。図1の(a)に示す透
過型液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順
に、透明保護膜(1a)、偏光膜(2a)、透明支持体
(3a)、光学異方性層(4a)、液晶セルの下基板
(5a)、棒状液晶性分子からなる液晶層(6)、液晶
セルの上基板(5b)、光学異方性層(4b)、透明支
持体(3b)、偏光膜(2b)、そして透明保護膜(1
b)からなる。透明支持体(3a)〜光学異方性層(4
a)および光学異方性層(4b)〜透明支持体(3b)
が、二枚の光学補償シートを構成している。また、透明
保護膜(1a)〜光学異方性層(4a)および光学異方
性層(4b)〜透明保護膜(1b)が、二枚の楕円偏光
板を構成している。本発明のセルロースエステルフイル
ムは、透明支持体(3a、3b)として用いることがで
きる。なお、本発明のセルロースエステルフイルムは、
レターデーションが高く光学異方性を有しているため、
光学補償シートまたは楕円偏光板から光学異方性層(4
a、4b)を削除して、透明支持体(3a、3b)の光
学異方性のみで液晶セルを光学的に補償することも可能
である。
【0012】図1の(b)に示す透過型液晶表示装置
は、バックライト(BL)側から順に、透明保護膜(1
a)、偏光膜(2a)、透明支持体(3a)、光学異方
性層(4a)、液晶セルの下基板(5a)、棒状液晶性
分子からなる液晶層(6)、液晶セルの上基板(5
b)、透明保護膜(1b)、偏光膜(2b)、そして透
明保護膜(1c)からなる。透明支持体(3a)〜光学
異方性層(4a)が、光学補償シートを構成している。
また、透明保護膜(1a)〜光学異方性層(4a)が、
楕円偏光板を構成している。本発明のセルロースエステ
ルフイルムは、透明支持体(3a)として用いることが
できる。なお、本発明のセルロースエステルフイルム
は、レターデーションが高く光学異方性を有しているた
め、光学補償シートまたは楕円偏光板から光学異方性層
(4a)を削除して、透明支持体(3a)の光学異方性
のみで液晶セルを光学的に補償することも可能である。
【0013】図1の(c)に示す透過型液晶表示装置
は、バックライト(BL)側から順に、透明保護膜(1
a)、偏光膜(2a)、透明保護膜(1b)、液晶セル
の下基板(5a)、棒状液晶性分子からなる液晶層
(6)、液晶セルの上基板(5b)、光学異方性層(4
b)、透明支持体(3b)、偏光膜(2b)、そして透
明保護膜(1c)からなる。光学異方性層(4b)〜透
明支持体(3b)が、光学補償シートを構成している。
また、光学異方性層(4b)〜透明保護膜(1c)が、
楕円偏光板を構成している。本発明のセルロースエステ
ルフイルムは、透明支持体(3b)として用いることが
できる。なお、本発明のセルロースエステルフイルム
は、レターデーションが高く光学異方性を有しているた
め、光学補償シートまたは楕円偏光板から光学異方性層
(4b)を削除して、透明支持体(3b)の光学異方性
のみで液晶セルを光学的に補償することも可能である。
【0014】図2は、反射型液晶表示装置の基本的な構
成を示す模式図である。図2に示す反射型液晶表示装置
は、反射板(RP)側から順に、液晶セルの下基板(5
a)、棒状液晶性分子からなる液晶層(6)、液晶セル
の上基板(5b)、光学異方性層(4b)、透明支持体
(3b)、偏光膜(2b)、そして透明保護膜(1b)
からなる。光学異方性層(4b)〜透明支持体(3b)
が、光学補償シートを構成している。また、光学異方性
層(4b)〜透明保護膜(1b)が、楕円偏光板を構成
している。本発明のセルロースエステルフイルムは、透
明支持体(3b)として用いることができる。なお、本
発明のセルロースエステルフイルムは、レターデーショ
ンが高く光学異方性を有しているため、光学補償シート
または楕円偏光板から光学異方性層(4b)を削除し
て、透明支持体(3b)の光学異方性のみで液晶セルを
光学的に補償することも可能である。
【0015】[セルロースエステルフイルム]本発明で
は、セルロースエステルフイルムの機械方向の引張弾性
率を360乃至480kgf/mm2 とする。機械方向
の引張弾性率は、380乃至460kgf/mm2 であ
ることが好ましく、400乃至440kgf/mm2
あることがさらに好ましい。また、本発明では、セルロ
ースエステルフイルムの機械方向に垂直な方向(横方
向)の引張弾性率を260乃至440kgf/mm2
する。横方向の引張弾性率は、280乃至420である
ことが好ましく、300乃至400kgf/mm2 であ
ることがさらに好ましい。さらに、本発明では、セルロ
ースエステルフイルムの機械方向の引張弾性率/機械方
向に垂直な方向(横方向)の引張弾性率の比を0.80
乃至1.36とする。機械方向の引張弾性率/横方向の
引張弾性率の比は、0.84乃至1.32であることが
好ましく、0.88乃至1.28であることがさらに好
ましい。
【0016】セルロースエステルフイルムの厚さは、2
0乃至500μmであることが好ましく、50乃至20
0μmであることがさらに好ましい。セルロースエステ
ルフイルムは、光学的には負の一軸性であり、光軸がフ
イルム面の法線と実質的に平行であることが好ましい。
セルロースエステルフイルムの厚み方向のレターデーシ
ョン値(Rth)は、60乃至1000nmであることが
好ましい。また、セルロースエステルフイルムの面内の
レターデーション値(Re)は、−50乃至50nmで
あることが好ましく、−20乃至20nmであることが
さらに好ましい。厚み方向のレターデーション値は、厚
み方向の複屈折率にフイルムの厚みを乗じた値である。
面内のレターデーション値は、面内の複屈折率にフイル
ムの厚みを乗じた値である。具体的な値は、測定光の入
射方向をフイルム膜面に対して鉛直方向として、遅相軸
を基準とする面内レターデーションの測定結果と、入射
方向をフイルム膜面に対する鉛直方向に対して傾斜させ
た測定結果から外挿して求める。測定は、エリプソメー
ター(例えば、M−150:日本分光(株)製)を用い
て実施できる。測定波長としては、550nmを採用す
る。厚み方向のレターデーション値(Rth)および面内
のレターデーション値(Re)は、下記に従って算出す
る。 厚み方向のレターデーション値(Rth)={(nx+n
y)/2−nz}×d 面内のレターデーション値(Re)=(nx−ny)×
d 式中、nxはフイルム平面内の機械方向の屈折率であ
り、nyはフイルム平面内の機械方向に垂直な方向(横
方向)の屈折率であり、nzはフイルム面に垂直な方向
の屈折率であり、そしてdはフイルムの厚み(nm)で
ある。
【0017】なお、厚み方向の複屈折率{(nx+n
y)/2−nz}は、7×10-4乃至4×10-3である
ことが好ましく、1×10-3乃至4×10-3であること
がより好ましく、1.5×10-3乃至4×10-3である
ことがさらに好ましく、2×10-3乃至4×10-3であ
ることがさらにまた好ましく、2×10-3乃至3×10
-3であることが最も好ましく、2×10-3乃至2.5×
10-3であることが特に好ましい。以上の引張弾性率お
よび光学的性質を有するセルロースエステルフイルム
は、以下のように製造することができる。
【0018】セルロースエステルとしては、セルロース
の低級脂肪酸エステルを用いることが好ましい。低級脂
肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭
素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロ
ースプロピオネート)または4(セルロースブチレー
ト)であることが好ましい。セルロースアセテートが特
に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセ
ルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エス
テルを用いてもよい。セルロースアセテートの平均酢化
度(アセチル化度)は、55.0%以上62.5%未満
であることが好ましい。フイルムの物性の観点では、平
均酢化度は、58.0%以上62.5%未満であること
がさらに好ましい。ただし、平均酢化度が55.0%以
上58.0%未満(好ましくは57.0%以上58.0
%未満)であるセルロースアセテートを用いると、厚み
方向のレターデーションが高いフイルムを製造すること
ができる。
【0019】ソルベントキャスト法によりセルロースエ
ステルフイルムを製造することが好ましい。ソルベント
キャスト法では、セルロースエステルを有機溶媒に溶解
した溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。有機
溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子
数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエ
ステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水
素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、
ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよ
い。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわ
ち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを
二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることが
できる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の
官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有す
る有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能
基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0020】炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメ
チルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至
12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピ
ルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテー
ト、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含ま
れる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、
2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノー
ルおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン
化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好
ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化
水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲ
ン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている
割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、3
0乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至
65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60
モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリド
が、代表的なハロゲン化炭化水素である。二種類以上の
有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0021】一般的な方法でセルロースエステル溶液を
調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温
または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製
は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製
方法および装置を用いて実施することができる。なお、
一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化
水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好まし
い。セルロースエステルの量は、得られる溶液中に10
乃至40重量%含まれるように調整する。セルロースエ
ステルの量は、10乃至30重量%であることがさらに
好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の
添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温(0乃至
40℃)でセルロースエステルと有機溶媒とを攪拌する
ことにより調製することができる。高濃度の溶液は、加
圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セ
ルロースエステルと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉
し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が
沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温
度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至2
00℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃であ
る。
【0022】各成分は予め粗混合してから容器に入れて
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0023】冷却溶解法により、溶液を調製することも
できる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させ
ることが困難な有機溶媒(ハロゲン化炭化水素以外の有
機溶媒)中にも、セルロースエステルを溶解させること
ができる。なお、通常の溶解方法でセルロースエステル
を溶解できる溶媒(例えば、ハロゲン化炭化水素)であ
っても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られ
るとの効果がある。また、冷却溶解法を用いると、製造
するセルロースエステルフイルムのレターデーションが
高い値になる。冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒
中にセルロースエステルを撹拌しながら徐々に添加す
る。セルロースエステルの量は、この混合物中に10乃
至40重量%含まれるように調整することが好ましい。
セルロースエステルの量は、10乃至30重量%である
ことがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する
任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0024】次に、混合物を−100乃至−10℃(好
ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50
乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に
冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール
浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液
(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷
却すると、セルロースエステルと有機溶媒の混合物は固
化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好まし
く、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃
/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速い
ほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であ
り、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして10
0℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷
却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却
を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で
割った値である。
【0025】さらに、これを0乃至200℃(好ましく
は0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、
最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒
中にセルロースエステルが溶解する。昇温は、室温中に
放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加温
速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分
以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であ
ることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましい
が、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000
℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実
用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する
時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してか
ら最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値であ
る。以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、
溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返し
てもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶
液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0026】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20重量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。た
だし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの
平均酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機
溶媒により異なる。
【0027】調製したセルロースエステル溶液(ドー
プ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースエス
テルフイルムを製造する。ドープは、ドラムまたはバン
ド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。
流延前のドープは、固形分量が18乃至35%となるよ
うに濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバン
ドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法につ
いては、米国特許2336310号、同2367603
号、同2492078号、同2492977号、同24
92978号、同2607704号、同2739069
号、同2739070号、英国特許640731号、同
736892号の各明細書、特公昭45−4554号、
同49−5614号、特開昭60−176834号、同
60−203430号、同62−115035号の各公
報に記載がある。ドープは、表面温度が10℃以下のド
ラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延し
た2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られ
たフイルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに
100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥
して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法
は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方
法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮するこ
とが可能である。この方法を実施するためには、流延時
のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル
化することが必要である。本発明に従い調製した溶液
(ドープ)は、この条件を満足する。なお、この乾燥工
程と同時に後述する延伸処理を実施することもできる。
【0028】セルロースエステルフイルムには、機械的
物性を改良するため、または乾燥速度を向上するため
に、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、
リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられ
る。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェ
ート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TC
P)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル
酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フ
タル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DM
P)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレ
ート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジ
フェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシル
フタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステル
の例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACT
E)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACT
B)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例に
は、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、
セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが
含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DE
P、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用
いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤
の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25
重量%であることが好ましく、1乃至20重量%である
ことがさらに好ましく、3乃至15重量%であることが
最も好ましい。
【0029】セルロースエステルフイルムには、後述す
るレターデーション上昇剤、劣化防止剤(例、酸化防止
剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化
剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよ
い。劣化防止剤については、特開平3−199201
号、同5−1907073号、同5−194789号、
同5−271471号、同6−107854号の各公報
に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液
(ドープ)の0.01乃至1重量%であることが好まし
く、0.01乃至0.2重量%であることがさらに好ま
しい。添加量が0.01重量%未満であると、劣化防止
剤の効果がほとんど認められない。添加量が1重量%を
越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードアウ
ト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい
劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン
(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤につい
ては、特開平7−11056号公報に記載がある。な
お、平均酢化度が55.0乃至58.0%であるセルロ
ースアセテートは、平均酢化度が58.0%以上である
セルローストリアセテートと比較して、調製した溶液の
安定性や製造したフイルムの物性が劣るとの欠点があ
る。しかし、上記のような劣化防止剤、特にブチル化ヒ
ドロキシトルエン(BHT)のような酸化防止剤を用い
ることで、この欠点を実質的に解消することが可能であ
る。
【0030】[セルロースエステルフイルムの延伸処
理]前述したソルベントキャスト法の乾燥工程におい
て、セルロースエステルフイルムの残留溶媒量が5乃至
3重量%の状態で、機械方向に垂直な方向に0.1乃至
20%延伸することが好ましい。ただし、フイルムの乾
燥工程において、フイルムの温度がセルロースエステル
のガラス転移温度以上の温度となる状態では、機械方向
には実質的に延伸しない(延伸率0乃至0.1%とす
る)ことが好ましい。言い換えると、上記の0.1乃至
20%延伸の延伸処理は、フイルムの温度がセルロース
エステルのガラス転移温度よりも低い温度で実施するこ
とが好ましい。そのためには、セルロースエステルフイ
ルムの残留溶媒量が5乃至3重量%の状態では、フイル
ムの温度をセルロースエステルのガラス転移温度よりも
低い温度まで低下させる。機械方向に垂直な方向(横方
向)の延伸率/機械方向の延伸率の比は、0.70乃至
8.0であることが好ましく、0.7乃至6.0である
ことがさらに好ましい。上記の延伸率比を得るために
は、セルロースエステルフイルムに横方向の延伸処理を
実施することが好ましい。横方向の延伸処理は、ピンテ
ンターを用いてロール状フイルムの巾を規制しながらフ
イルムを乾燥することにより実施できる。ピンテンター
を用いる横方向の延伸処理については、特開昭61−1
58413号、同61−158414号および特開平4
−1009号の各公報に記載がある。
【0031】[レターデーション上昇剤]セルロースエ
ステルフイルムには、レターデーション上昇剤を添加す
ることが好ましい。レターデーション上昇剤としては、
芳香族環を少なくとも二つ有し、二つの芳香族環の立体
配座を立体障害しない分子構造を有する化合物を使用で
きる。レターデーション上昇剤は、セルロースエステル
100重量部に対して、0.01乃至20重量部の範囲
で使用することが好ましい。少なくとも二つの芳香族環
を有する化合物は、炭素原子7個分以上のπ結合性の平
面を有する。二つの芳香族環の立体配座を立体障害しな
ければ、二つの芳香族環は、同一平面を形成する。本発
明者の研究によれば、セルロースエステルフイルムのレ
ターデーションを上昇させるためには、複数の芳香族環
により同一平面を形成することが重要である。本明細書
において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加え
て、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6
員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好まし
い。
【0032】芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ
環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または
7員環であることが好ましく、5員環または6員環であ
ることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、
最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原
子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特
に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チ
オフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサ
ゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾ
ール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、
ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、
ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれ
る。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフ
ェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、
イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミ
ジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が
好ましい。
【0033】レターデーション上昇剤が有する芳香族環
の数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至12
であることがより好ましく、2乃至8であることがさら
に好ましく、2乃至6であることが最も好ましい。3以
上の芳香族環を有する場合、少なくとも二つの芳香族環
の立体配座を立体障害しなければよい。二つの芳香族環
の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単
結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合す
る場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形
成できない)。レターデーション上昇機能の観点では、
(a)〜(c)のいずれでもよい。ただし、(b)また
は(c)の場合は、二つの芳香族環の立体配座を立体障
害しないことが必要である。
【0034】(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮
合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン
環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン
環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン
環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベン
ゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベ
ンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミ
ダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダ
ゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、
キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサ
リン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール
環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン
環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイ
ン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれ
る。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾ
オキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾ
ール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ま
しい。(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間
の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの
芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環ま
たは非芳香族性複素環を形成してもよい。
【0035】(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素
原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン
基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O
−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせである
ことが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下
に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆に
なってもよい。 c1:−CO−O− c2:−CO−NH− c3:−アルキレン−O− c4:−NH−CO−NH− c5:−NH−CO−O− c6:−O−CO−O− c7:−O−アルキレン−O− c8:−CO−アルケニレン− c9:−CO−アルケニレン−NH− c10:−CO−アルケニレン−O− c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO
−アルキレン− c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−
CO−アルキレン−O− c13:−O−CO−アルキレン−CO−O− c14:−NH−CO−アルケニレン− c15:−O−CO−アルケニレン−
【0036】芳香族環および連結基は、置換基を有して
いてもよい。ただし、置換基は、二つの芳香族環の立体
配座を立体障害しないことが必要である。立体障害で
は、置換基の種類および位置が問題になる。置換基の種
類としては、立体的に嵩高い置換基(例えば、3級アル
キル基)が立体障害を起こしやすい。置換基の位置とし
ては、芳香族環の結合に隣接する位置(ベンゼン環の場
合はオルト位)が置換された場合に、立体障害が生じや
すい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、B
r、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミ
ノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、
ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、
脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ
基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルア
ミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪
族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミ
ノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファ
モイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素
環基が含まれる。
【0037】アルキル基の炭素原子数は、1乃至8であ
ることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル
基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。
アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボ
キシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有して
いてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例
には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2
−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メト
キシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれ
る。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であること
が好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基
の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。
アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。ア
ルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセ
ニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2乃至
8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖
状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が
特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有して
いてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブ
チニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
【0038】脂肪族アシル基の炭素原子数は、1乃至1
0であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、ア
セチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。脂
肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10である
ことが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセ
トキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1乃
至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置
換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコ
キシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキ
シ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含ま
れる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至
10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の
例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニル
が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子
数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカ
ルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ
およびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0039】アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至1
2であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メ
チルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8である
ことが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタ
ンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。、脂
肪族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが
好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含
まれる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃
至8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の
例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド
およびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。脂肪族
置換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが
好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミ
ノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノ
が含まれる。脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数
は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カル
バモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチ
ルカルバモイルが含まれる。脂肪族置換スルファモイル
基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂
肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモ
イルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。脂肪族
置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であること
が好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウ
レイドが含まれる。非芳香族性複素環基の例には、ピペ
リジノおよびモルホリノが含まれる。レターデーション
上昇剤の分子量は、300乃至800であることが好ま
しい。レターデーション上昇剤の沸点は、260℃以上
であることが好ましい。
【0040】[セルロースエステルフイルムの表面処
理]セルロースエステルフイルムを透明支持体として使
用する場合、セルロースエステルフイルムを表面処理す
ることができる。表面処理としては、コロナ放電処理、
グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理また
は紫外線照射処理を実施する。透明支持体と配向膜ある
いは光学異方性層との接着を改善するためには、ゼラチ
ン下塗り層を設けることが好ましい。ゼラチンの下塗り
層の厚さは、0.01乃至1μmであることが好まし
く、0.02乃至0.5μmであることがさらに好まし
く、0.05乃至0.2μmであることが最も好まし
い。
【0041】[配向膜]配向膜は、有機化合物(好まし
くはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸
着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラン
グミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物
(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモ
ニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のよう
な手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、
磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配
向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形
成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、ポリマ
ー層の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることに
より実施する。配向膜に使用するポリマーの種類は、液
晶セルの表示モードの種類に応じて決定する。液晶セル
内の棒状液晶性分子の多くが実質的に垂直に配向してい
る表示モード(例、VA、OCB、HAN)では、光学
異方性層の液晶性分子を実質的に水平に配向させる機能
を有する配向膜を用いる。液晶セル内の棒状液晶性分子
の多くが実質的に水平に配向している表示モード(例、
STN)では、光学異方性層の液晶性分子を実質的に垂
直に配向させる機能を有する配向膜を用いる。液晶セル
内の棒状液晶性分子の多くが実質的に斜めに配向してい
る表示モード(例、TN)では、光学異方性層の液晶性
分子を実質的に斜めに配向させる機能を有する配向膜を
用いる。
【0042】具体的なポリマーの種類については、前述
した様々な表示モードに対応するディスコティック液晶
性分子を用いた光学補償シートについての文献に記載が
ある。配向膜に使用するポリマーを架橋して、配向膜の
強度を強化してもよい。配向膜に使用するポリマーに架
橋性基を導入して、架橋性基を反応させることにより、
ポリマーを架橋させることができる。なお、配向膜に使
用するポリマーの架橋については、特開平8−3389
13号公報に記載がある。配向膜の厚さは、0.01乃
至5μmであることが好ましく、0.05乃至1μmで
あることがさらに好ましい。なお、配向膜を用いて液晶
性分子を配向させてから、その配向状態のまま液晶性分
子を固定して光学異方性層を形成し、光学異方性層のみ
を支持体上に転写してもよい。配向状態で固定されたデ
ィスコティック液晶性分子は、配向膜がなくても配向状
態を維持することができる。そのため、光学補償シート
では、配向膜は(ディスコティック液晶性分子を含む光
学補償シートの製造において必須ではあるが)必須の要
素ではない。
【0043】[光学異方性層]光学異方性層は、液晶性
分子から形成する。液晶性分子としては、棒状液晶性分
子またはディスコティック液晶性分子が好ましく、ディ
スコティック液晶性分子が特に好ましい。棒状液晶性分
子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェ
ニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル
類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シ
アノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピ
リミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フ
ェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロ
ヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上
のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性
分子も用いることができる。高分子液晶性分子は、以上
のような低分子液晶性分子に相当する側鎖を有するポリ
マーである。高分子液晶性分子を用いた光学補償シート
については、特開平5−53016号公報に記載があ
る。
【0044】ディスコティック液晶性分子は、様々な文
献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., v
ol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総
説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節
(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. C
omm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am.Che
m. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されて
いる。ディスコティック液晶性分子の重合については、
特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティ
ック液晶性分子を重合により固定するためには、ディス
コティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重
合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに
重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を
保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基
との間に、連結基を導入する。従って、ディスコティッ
ク液晶性分子は、下記式(I)で表わされる化合物であ
ることが好ましい。
【0045】(I)D(−L−P)n 式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であ
り;Pは重合性基であり;そして、nは4乃至12の整
数である。式(I)の円盤状コア(D)の例を以下に示
す。以下の各例において、LP(またはPL)は、二価
の連結基(L)と重合性基(P)との組み合わせを意味
する。
【0046】
【化1】
【0047】
【化2】
【0048】
【化3】
【0049】
【化4】
【0050】
【化5】
【0051】
【化6】
【0052】
【化7】
【0053】
【化8】
【0054】
【化9】
【0055】式(I)において、二価の連結基(L)
は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−
CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み
合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であること
が好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、ア
ルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−
O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少
なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好まし
い。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレ
ン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群
より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基
であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数
は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基
の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。ア
リーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好
ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレ
ン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シア
ノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよ
い。二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤
状コア(D)に結合し、右側が重合性基(P)に結合す
る。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味
し、ARはアリーレン基を意味する。
【0056】L1:−AL−CO−O−AL− L2:−AL−CO−O−AL−O− L3:−AL−CO−O−AL−O−AL− L4:−AL−CO−O−AL−O−CO− L5:−CO−AR−O−AL− L6:−CO−AR−O−AL−O− L7:−CO−AR−O−AL−O−CO− L8:−CO−NH−AL− L9:−NH−AL−O− L10:−NH−AL−O−CO− L11:−O−AL− L12:−O−AL−O−
【0057】L13:−O−AL−O−CO− L14:−O−AL−O−CO−NH−AL− L15:−O−AL−S−AL− L16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO− L17:−O−CO−AR−O−AL−CO− L18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO− L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−C
O− L20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−A
L−O−CO− L21:−S−AL− L22:−S−AL−O− L23:−S−AL−O−CO− L24:−S−AL−S−AL− L25:−S−AR−AL−
【0058】なお、STNモードのような棒状液晶性分
子がねじれ配向している液晶セルを、光学的に補償する
ためには、ディスコティック液晶性分子もねじれ配向さ
せることが好ましい。上記AL(アルキレン基またはア
ルケニレン基)に、不斉炭素原子を導入すると、ディス
コティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させること
ができる。また、不斉炭素原子を含む光学活性を示す化
合物(カイラル剤)を光学異方性層に添加しても、ディ
スコティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させるこ
とができる。
【0059】式(I)の重合性基(P)は、重合反応の
種類に応じて決定する。重合性基(P)の例を以下に示
す。
【0060】
【化10】
【0061】
【化11】
【0062】
【化12】
【0063】
【化13】
【0064】
【化14】
【0065】
【化15】
【0066】重合性基(P)は、不飽和重合性基(P
1、P2、P3、P7、P8、P15、P16、P1
7)またはエポキシ基(P6、P18)であることが好
ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、
エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8、P1
5、P16、P17)であることが最も好ましい。式
(I)において、nは4乃至12の整数である。具体的
な数字は、ディスコティックコア(D)の種類に応じて
決定される。なお、複数のLとPの組み合わせは、異な
っていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0067】二種類以上のディスコティック液晶性分子
を併用してもよい。例えば、以上述べたような重合性デ
ィスコティック液晶性分子と非重合性ディスコティック
液晶性分子とを併用することができる。非重合性ディス
コティック液晶性分子は、前述した重合性ディスコティ
ック液晶性分子の重合性基(P)を、水素原子またはア
ルキル基に変更した化合物であることが好ましい。すな
わち、非重合性ディスコティック液晶性分子は、下記式
(II)で表わされる化合物であることが好ましい。 (II)D(−L−R)n 式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であ
り;Rは水素原子またはアルキル基であり;そして、n
は4乃至12の整数である。式(II)の円盤状コア
(D)の例は、LP(またはPL)をLR(またはR
L)に変更する以外は、前記の重合性ディスコティック
液晶分子の例と同様である。また、二価の連結基(L)
の例も、前記の重合性ディスコティック液晶分子の例と
同様である。Rのアルキル基は、炭素原子数が1乃至4
0であることが好ましく、1乃至30であることがさら
に好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方
が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも直鎖状
アルキル基の方が好ましい。Rは、水素原子または炭素
原子数が1乃至30の直鎖状アルキル基であることが特
に好ましい。
【0068】光学異方性層は、液晶性分子、あるいは下
記の重合性開始剤や任意の添加剤(例、可塑剤、モノマ
ー、界面活性剤、セルロースエステル、1,3,5−ト
リアジン化合物、カイラル剤)を含む塗布液を、配向膜
の上に塗布することで形成する。塗布液の調製に使用す
る溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機
溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムア
ミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、
ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベン
ゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホル
ム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢
酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケト
ン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジ
メトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよび
ケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用しても
よい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコー
ティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバ
ースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)に
より実施できる。
【0069】液晶性分子は、実質的に均一に配向してい
ることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で
固定されていることがさらに好ましく、重合反応により
液晶性分子が固定されていることが最も好ましい。重合
反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開
始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好
ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物
(米国特許2367661号、同2367670号の各
明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448
828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロ
イン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、
多核キノン化合物(米国特許3046127号、同29
51758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾ
ールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わ
せ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジ
ンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667
号公報、米国特許4239850号明細書記載)および
オキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明
細書記載)が含まれる。光重合開始剤の使用量は、塗布
液の固形分の0.01乃至20重量%であることが好ま
しく、0.5乃至5重量%であることがさらに好まし
い。ディスコティック液晶性分子の重合のための光照射
は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギー
は、20mJ/cm2 乃至50J/cm2 であることが
好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることが
さらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件
下で光照射を実施してもよい。
【0070】光学異方性層の厚さは、一般には、0.1
乃至10μmである。光学異方性層の厚さは、0.5乃
至5μmであることが好ましく、1乃至5μmであるこ
とがさらに好ましい。ただし、液晶セルのモードによっ
ては、高い光学異方性を得るために、光学異方性層を厚
く(3乃至10μm)する場合がある。本発明者の研究
によれば、いことが好ましく、0.5乃至5μmである
ことがさらに好ましく、1乃至5μmであることが最も
好ましい。光学異方性層内での液晶性分子の配向状態
は、前述したように、液晶セルの表示モードの種類に応
じて決定される。液晶性分子の配向状態は、具体的に
は、液晶性分子の種類、配向膜の種類および光学異方性
層内の添加剤(例、可塑剤、バインダー、界面活性剤)
の使用によって制御される。
【0071】[液晶表示装置]本発明のセルロースエス
テルフイルムを用いた光学補償シートまたは一体型楕円
偏光板は、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plan
e Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crysta
l)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN
(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Align
ed)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような
様々な表示モードの液晶表示装置に用いることができ
る。本発明のセルロースエステルフイルムは、光学補償
のために高いレターデーションを必要とする液晶表示装
置(例えば、TNやVA)において特に有効である。液
晶表示装置は、液晶セル、偏光素子および光学補償シー
ト(位相差板)からなる。偏光素子は、一般に偏光膜と
保護膜からなる。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性
染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。
ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニ
ルアルコール系フイルムを用いて製造する。偏光膜の偏
光軸は、フイルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
保護膜は偏光膜の両面に設けられる。光学補償シートま
たはその透明支持体を、偏光膜の一方の側の保護膜とし
ても機能させる(一体型楕円偏光板を形成する)ことが
できる。他方の側の保護膜としては、(通常の)セルロ
ースエステルフイルムを用いることが好ましい。
【0072】
【実施例】[実施例1] (セルロースエステルフイルムの作製)下記の組成物を
ミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各
成分を溶解し、セルロースエステル溶液を調製した。
【0073】 ──────────────────────────────────── セルロースエステル溶液組成 ──────────────────────────────────── 酢化度60.9%のセルロースアセテート 100重量部 トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8重量部 ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9重量部 メチレンクロライド(第1溶媒) 300重量部 メタノール(第2溶媒) 54重量部 1−ブタノール 11重量部 ────────────────────────────────────
【0074】別のミキシングタンクに、下記の組成物を
投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、レタ
ーデーション上昇剤溶液を調製した。
【0075】 ──────────────────────────────────── レターデーション上昇剤溶液組成 ──────────────────────────────────── 2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン(レターデーション上昇 剤) 12重量部 2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン(レターデーション上昇剤) 4重量部 メチレンクロライド 80重量部 メタノール 20重量部 ────────────────────────────────────
【0076】セルロースエステル溶液474重量部に、
レターデーション上昇剤溶液22重量部を添加し、充分
に攪拌して、ドープを調製した。二種類のレターデーシ
ョン上昇剤の合計添加量は、セルロースアセテート10
0重量部に対して、3重量部である。ドープを流延口か
ら0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70
重量%の場外で剥ぎ取り、フイルムの巾方向の両端をピ
ンテンター(特開平4−1009号の図3に記載のピン
テンター)で固定し、溶媒含有率が3乃至5重量%の状
態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%
となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置の
ロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、ガラス
転移温度が120゜を越える領域で機械方向の延伸率が
実質0%、(剥ぎ取り時に機械方向に4%延伸すること
を考慮して)横方向の延伸率と機械方向の延伸率との比
が0.75となるように調整して、厚さ107μmのセ
ルロースアセテートフイルムを作製した。作製したフイ
ルムの機械方向の引張弾性率は430kgf/mm2
あり、機械方向に垂直な方向の引張弾性率は360kg
f/mm2 であり、そして、機械方向の引張弾性率/機
械方向に垂直な方向の引張弾性率の比は1.19であっ
た。また、厚み方向のレターデーション(Rth)は80
nm、面内のレターデーション(Re)は、17nmで
あった。なお、レターデーション上昇剤の析出は、製造
直後はもちろん、後述するフイルム製造後の処理におい
ても、全く認められなかった。
【0077】(第1下塗り層の形成)作製したセルロー
スエステルフイルムを透明支持体として用いた。透明支
持体の上に、下記の組成の塗布液を28ml/m2 塗布
し、乾燥して第1下塗り層を形成した。
【0078】 ──────────────────────────────────── 第1下塗り層塗布液組成 ──────────────────────────────────── ゼラチン 5.42重量部 ホルムアルデヒド 1.36重量部 サリチル酸 1.6重量部 アセトン 391重量部 メタノール 158重量部 メチレンクロライド 406重量部 水 12重量部 ────────────────────────────────────
【0079】(第2下塗り層の形成)第1下塗り層の上
に、下記の組成の塗布液を7ml/m2 塗布し、乾燥し
て第2下塗り層を形成した。
【0080】 ──────────────────────────────────── 第2下塗り層塗布液組成 ──────────────────────────────────── 下記のアニオン性ポリマー 0.79重量部 クエン酸ハーフエチルエステル 10.1重量部 アセトン 200重量部 メタノール 877重量部 水 40.5重量部 ────────────────────────────────────
【0081】
【化16】
【0082】(バック層の形成)透明支持体の反対側の
面に、下記の組成の塗布液を25ml/m2 塗布し、乾
燥してバック層を形成した。
【0083】 ──────────────────────────────────── バック層塗布液組成 ──────────────────────────────────── 酢化度55%のセルロースジアセテート 6.56重量部 シリカ系マット剤(平均粒径:1μm) 0.65重量部 アセトン 679重量部 メタノール 104重量部 ────────────────────────────────────
【0084】(配向膜の形成)第2下塗り層の上に、下
記の変性ポリビニルアルコールの水溶液を塗布し、80
℃の温風で乾燥した後、ラビング処理を行い配向膜を形
成した。
【0085】
【化17】
【0086】(光学的異方性層の形成)下記のディスコ
ティック液晶性化合物1.8g、エチレンオキサイド変
性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#36
0、大阪有機化学(株)製)0.2g、セルロースアセ
テートブチレート(CAB531−1.0、イーストマ
ンケミカル社製)0.04g、光重合開始剤(イルガキ
ュア907、日本チバガイギー(株)製)0.06gお
よび増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)
製)0.02gを、メチルエチルケトン8.43gに溶
解して塗布液を調製した。塗布液を#2.5のワイヤー
バーで配向膜の上に塗布した。これを金属枠に貼り付け
た状態で、130℃の恒温槽中で2分間加熱し、ディス
コティック液晶性化合物を配向させた。130℃の温度
を維持して、120W/cmの高圧水銀灯を用いて1分
間紫外線を照射し、ディスコティック液晶性化合物のビ
ニル基を重合させ、配向状態を固定した。その後、室温
まで放冷した。このようにして、光学補償シートを作製
した。光学異方性層の厚さは、1.0μmであった。
【0087】
【化18】
【0088】(透明保護膜の作製)円盤状化合物(レタ
ーデーション上昇剤)を添加しなかった以外は、透明支
持体の作製と同様にして、厚さ80μmのトリアセチル
セルロースフイルムを作製した。これを、透明保護膜と
して用いた。透明保護膜の一方の面に、透明支持体と同
様に第1下塗り層および第2下塗り層を設けた。
【0089】(楕円偏光板の作製)延伸したポリビニル
アルコールフイルムにヨウ素を吸着させて、偏光膜を作
製した。偏光膜の片側に、ポリビニルアルコール系接着
剤を用いて、光学補償シートを、光学異方性層が外側と
なるように貼り付けた。反対側には、ポリビニルアルコ
ール系接着剤を用いて、透明保護膜を貼り付けた。偏光
膜の吸収軸と、光学異方性層のラビング方向は、平行に
なるように配置した。このようにして、楕円偏光板を作
製した。
【0090】(液晶表示装置の作製)ITO透明電極が
設けられたガラス基板の上に、ポリイミド配向膜を設
け、ラビング処理を行った。5μmのスペーサーを介し
て、二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ねた。配
向膜のラビング方向が直交するように、基板の向きを調
節した。基板の間隙に、棒状液晶性分子(ZL479
2、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。液晶性
分子のΔnは0.0969であった。以上のように作製
したTN液晶セルの両側に、楕円偏光板を、光学的異方
性層が基板と対面するように貼り付けて液晶表示装置を
作製した。光学的異方性層と透明支持体の積層体の遅相
軸と、液晶セルのラビング方向は、直交するように配置
した。液晶表示装置の液晶セルに、電圧を印加して表示
画像を調べたところ、広い視野角が得られた。
【0091】[比較例1]実施例1で調製したドープを
流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含
有率70重量%の場外で剥ぎ取り、機械方向の延伸率が
6%、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が0%
となる条件で乾燥して、厚さ107μmのセルロースア
セテートフイルムを作製した。作製したフイルムの機械
方向の引張弾性率は410kgf/mm2 であり、機械
方向に垂直な方向の引張弾性率は300kgf/mm2
であり、そして、機械方向の引張弾性率/機械方向に垂
直な方向の引張弾性率の比は1.37であった。また、
厚み方向のレターデーション(Rth)は85nm、面内
のレターデーション(Re)は、25nmであった。作
製したセルロースエステルフイルムを用いた以外は、実
施例1と同様にして、光学補償シート、楕円偏光板およ
び液晶表示装置を順次作製した。液晶表示装置の液晶セ
ルに、電圧を印加して表示画像を調べたところ、実施例
1で作製した液晶表示装置よりも視野角が狭かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】透過型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式
図である。
【図2】反射型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式
図である。
【符号の説明】
BL バックライト RP 反射板 1a、1b、1c 透明保護膜 2a、2b 偏光膜 3a、3b 透明支持体 4a、4b 光学異方性層 5a 液晶セルの下基板 5b 液晶セルの上基板 6 棒状液晶性分子からなる液晶層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 1/10 C08L 1/10 // B29K 1:00 B29K 1:00 B29L 7:00 B29L 7:00 11:00 11:00 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA04 BA06 BA42 BB03 BB33 BB49 BC03 BC09 4F071 AA09 AH19 BA02 BB02 BB07 BC01 BC17 4F100 AJ06A AR00C AS00B BA03 BA07 EJ37A GB90 JA11B JK07A JL00C JN01C JN10B YY00A 4F210 AA01 AE01 AG01 QA02 QC03 QG01 QG18 4J002 AB021 EA036 ED056 EE036 EH006 EP016 FD206

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機械方向の引張弾性率が360乃至48
    0kgf/mm2 であり、機械方向に垂直な方向の引張
    弾性率が260乃至440kgf/mm2 であり、そし
    て、機械方向の引張弾性率/機械方向に垂直な方向の引
    張弾性率の比が0.80乃至1.36であることを特徴
    とするセルロースエステルフイルム。
  2. 【請求項2】 ソルベントキャスト法により製造された
    請求項1に記載のセルロースエステルフイルム。
  3. 【請求項3】 ソルベントキャスト法の乾燥工程におい
    て、残留溶媒量が5乃至3重量%の状態で、機械方向に
    垂直な方向に0.1乃至20%延伸して製造された請求
    項2に記載のセルロースエステルフイルム。
  4. 【請求項4】 機械方向に垂直な方向の延伸率/機械方
    向の延伸率の比が、0.70乃至8.0となるように延
    伸して製造された請求項1に記載のセルロースエステル
    フイルム。
  5. 【請求項5】 芳香族環を少なくとも二つ有し、二つの
    芳香族環の立体配座を立体障害しない分子構造を有する
    化合物を0.01乃至20重量%含む請求項1に記載の
    セルロースエステルフイルム。
  6. 【請求項6】 面内のレターデーション値が−50乃至
    50nmである請求項1に記載のセルロースエステルフ
    イルム。
  7. 【請求項7】 厚み方向のレターデーション値が60乃
    至1000nmである請求項1に記載のセルロースエス
    テルフイルム。
  8. 【請求項8】 光学的に負の一軸性であり、光軸がフイ
    ルム面の法線と実質的に平行である請求項1に記載のセ
    ルロースエステルフイルム。
  9. 【請求項9】 機械方向の引張弾性率が360乃至48
    0kgf/mm2 であり、機械方向に垂直な方向の引張
    弾性率が260乃至440kgf/mm2 であり、そし
    て、機械方向の引張弾性率/機械方向に垂直な方向の引
    張弾性率の比が0.80乃至1.36であるセルロース
    エステルフイルムからなる光学補償シート。
  10. 【請求項10】 透明支持体および液晶性分子から形成
    された光学異方性層を有する光学補償シートであって、
    透明支持体が、機械方向の引張弾性率が360乃至48
    0kgf/mm2 であり、機械方向に垂直な方向の引張
    弾性率が260乃至440kgf/mm2 であり、そし
    て、機械方向の引張弾性率/機械方向に垂直な方向の引
    張弾性率の比が0.80乃至1.36であるセルロース
    エステルフイルムであることを特徴とする光学補償シー
    ト。
  11. 【請求項11】 透明保護膜、偏光膜および光学異方性
    透明支持体がこの順に積層されている楕円偏光板であっ
    て、光学異方性透明支持体が、機械方向の引張弾性率が
    360乃至480kgf/mm2 であり、機械方向に垂
    直な方向の引張弾性率が260乃至440kgf/mm
    2 であり、そして、機械方向の引張弾性率/機械方向に
    垂直な方向の引張弾性率の比が0.80乃至1.36で
    あるセルロースエステルフイルムであることを特徴とす
    る楕円偏光板。
  12. 【請求項12】 透明保護膜、偏光膜、透明支持体およ
    び液晶性分子から形成された光学異方性層がこの順に積
    層されている楕円偏光板であって、透明支持体が、機械
    方向の引張弾性率が360乃至480kgf/mm2
    あり、機械方向に垂直な方向の引張弾性率が260乃至
    440kgf/mm2 であり、そして、機械方向の引張
    弾性率/機械方向に垂直な方向の引張弾性率の比が0.
    80乃至1.36であるセルロースエステルフイルムで
    あることを特徴とする楕円偏光板。
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