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JP2001058329A - 繊維強化成形品の製造方法 - Google Patents

繊維強化成形品の製造方法

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Publication number
JP2001058329A
JP2001058329A JP11233859A JP23385999A JP2001058329A JP 2001058329 A JP2001058329 A JP 2001058329A JP 11233859 A JP11233859 A JP 11233859A JP 23385999 A JP23385999 A JP 23385999A JP 2001058329 A JP2001058329 A JP 2001058329A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
resin
methyl methacrylate
mainly composed
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11233859A
Other languages
English (en)
Inventor
Mutsuhide Amekawa
睦英 飴川
Atsuo Takeuchi
醇雄 武内
Yutaka Hayashida
豊 林田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP11233859A priority Critical patent/JP2001058329A/ja
Publication of JP2001058329A publication Critical patent/JP2001058329A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑な形状を有する成形体の成形も可能で、
且つ美麗な表面を有する繊維強化メタクリル系樹脂成形
体の製造方法を提供する。 【解決手段】 次のa)〜c)の工程より繊維強化成形
品を製造する。 a)成形型の少なくとも一つが可撓性を有する、少なく
とも2分割し得る成形型を用い、該成形型のキャビティ
内に、織布あるいは不織布状の補強材を設置する工程 b)該キャビティ内に、メチルメタクリレートを主体と
する樹脂原料を注入する工程 c)注入したメチルメタクリレートを主体とする樹脂原
料を加熱して反応させる工程

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は繊維強化成形品の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】補強繊維を用いて繊維強化した樹脂成形
品はさまざまな分野で使用されている。例えば、ガラス
繊維と不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂などの熱
硬化性樹脂からなるFRPは良く知られており、各種の
建設資材、住宅機材、船舶や車両の内外装、タンクや容
器などに利用されている。
【0003】これらの不飽和ポリエステル樹脂等は耐候性が
必ずしも十分とは言えず、屋外で使用した場合に経年変
化を起こし、補強のために添加したガラス繊維が浮き出
したり、最終的には成形品自体の破損にもつながるとい
う問題がある。
【0004】それに対して、メチルメタクリレートを主成分
とするメタクリル系樹脂は、透明性、表面光沢、耐候
性、機械的性質などに優れているため、照明器具、自動
車用部品、看板、建材など各種用途に広く利用されてい
る。
【0005】それゆえ、このメタクリル系樹脂を用いて繊維
強化成形品を作ることが出来れば、屋外での使用に耐え
うる耐久性に優れた製品を製造することが可能である。
【0006】メタクリル系樹脂の製造は原料であるメチルメ
タクリレートを主体とする不飽和単量体を重合させるこ
とによって達成されるが、メチルメタクリレートの重合
では、酸素による重合阻害のために空気中では安定して
重合しないことがある。このために不飽和ポリエステル
で実施されているような空気開放系でのハンドレイアッ
プやスプレーアップのような繊維補強製品に適用されて
いる製造方法は、そのままでは適用し得ない。
【0007】メタクリル系樹脂の製造方法の一つに鋳込み重
合による方法がある。これは、2枚の相対するガラス板
や、相対する2枚のステンレスベルト等を使用して適当
な間隙を設け、その間で硬化せしめる方法である。これ
らの方法のほとんどは平板状の2次元の製品の製造に適
用されるのみであり、メタクリル系樹脂で複雑な形状を
有する、所謂3次元成形品を安定的に量産できる方法は
知られていない。
【0008】また、不飽和ポリエステル樹脂に於いて、スチ
レンを併用し成形する場合には作業時に生じるスチレン
などの臭気の問題から、密閉型で硬化させる方法が提案
されている(例えば、特公平6−49300号公報)。
【0009】しかしながら、不飽和ポリエステル樹脂と同様
に密閉型内でメタクリル系樹脂を重合した場合、メチル
メタクリレートは重合時の体積収縮が大きいため、重合
途中で型の表面から少なくとも一部分が剥離することが
有り、美麗な表面平滑性を有する物の製造は困難であ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等はかかる事
情下に鑑み、3次元形状を有する成形体の成形が可能
で、且つ美麗な表面を有する繊維強化メタクリル系樹脂
成形体を製造する方法を見出すことを目的とし鋭意検討
した結果、成形型の少なくとも一つに、可撓性を持たせ
た成形型を用いる場合には、上記目的を満足し得る繊維
強化メタクリル系樹脂成形体が得られること、また上記
可撓性を有する成形型を用い、更に該成形型の注入した
樹脂と接触する成形型表面を、ノボラック系ビニルエス
テル樹脂で構成する場合には、該樹脂で構成されない樹
脂成形型を用いる場合に比較し、より美麗な表面を有す
る成形体が得られること、また、上記構成の成形型を用
い、型内に注入したメタクリル系樹脂原料を加熱、重
合、硬化させるに際して、成形型の相対する表面の温度
に差を持たせて加熱硬化させる場合には、この手法を採
用しない場合に比較し、更に優れた表面の美麗な成形体
が得られることをも見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
は、次のa)〜c)の工程を含むことを特徴とする繊維
強化成形品の製造方法を提供するにある。 a)成形型の少なくとも一つが可撓性を有する、少なく
とも2分割し得る成形型を用い、該成形型のキャビティ
内に、織布あるいは不織布状の補強材を設置する工程 b)該キャビティ内に、メチルメタクリレートを主体と
する樹脂原料を注入する工程 c)注入したメチルメタクリレートを主体とする樹脂原
料を加熱して反応させる工程
【0012】本発明の第2は、上記製造方法に於いて、少な
くとも2分割し得る成形型が熱硬化性樹脂よりなり、注
入した樹脂原料が接触する成形型の内表面がノボラック
系ビニルエステル樹脂からなる成形型を用いることを特
徴とする繊維強化成形品の製造方法を提供するにある。
【0013】本発明の第3は、上記本発明の第1及び/又は
第2の製造方法の、注入したメチルメタクリレートを主
体とする樹脂原料を加熱して反応させる工程c)におい
て、少なくとも2分割しうる成形型の相対する表面の温
度差を5〜30℃の範囲で制御することを特徴とする繊
維強化成形品の製造方法を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。本発明で使用する成形型は少なくとも2分割できる
構造であって、さらにその一方が可撓性を有することを
特徴とする。ここでいう可撓性とは、後述するメチルメ
タクリレートを主体とする樹脂原料を成形型のキャビテ
ィ内に加圧注入した際に型の変形が起こり得る程度のた
わみを発生することをいう。
【0015】成形型の少なくとも一方に可撓性を付与するこ
とによって、メチルメタクリレートの硬化時の収縮に成
形型が追随することが出来るようになる。可撓性の程度
は成形型の材質、厚みなどにより調整することが出来、
取り扱い時の強度を併せて考慮し、決定するのが好まし
い。
【0016】型の材質としては、金属、樹脂など種々の材質
を適用することが可能であるが、成形型に取り扱い強度
を持たせ、且つ可撓性を付与する目的からは熱硬化性樹
脂が好適である。これら熱硬化性樹脂としては不飽和ウ
レタン、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂等が
挙げられる。また本発明における成形型は後述するよう
にキャビティ内のメチルメタクリレートを主体とする樹
脂を型からの熱伝導によって加熱し重合、硬化する必要
があるため、熱伝導率の高い材料が好ましい。それゆえ
上記熱硬化性樹脂を用いる場合には金属粉や金属繊維等
を充填剤として含有する樹脂組成物等を用いることが推
奨される。
【0017】また、成形型に熱硬化性樹脂を用いる場合に
は、硬化の際に成形型の表面がメチルメタクリレートを
主体とする樹脂原料に侵食され、表面平滑性が損なわれ
る場合があるので、成形型の注入した原料樹脂と接触す
る表面には、ノボラック系のビニルエステル樹脂を使用
することが好ましい。
【0018】本発明ではメチルメタクリレートを主体とする
成形体の強度を高める目的から補強材を使用する。補強
材は予め成形型のキャビティ内部に設置して使用する。
【0019】補強材の種類としては、ガラス繊維などの無機
繊維の他、炭素繊維やアラミド繊維などのような各種有
機繊維も使用することが可能である。十分な補強効果を
得る目的からこれらの繊維を糸にして布状に織ったも
の、糸同士をからませて不織布としたもの、繊維長を5
0〜100mm程度の長さにしたものを結束剤で束ね、
布状にしたり製品形状(プリフォーム)に加工したもの
等が適用できる。
【0020】補強材の量としては、一般に使用する補強材が
多くなるほど補強効果は発現するが、あまり多すぎると
メチルメタクリレートを主体とする不飽和単量体が補強
材を十分に覆うことが出来なくなる。したがって、製品
の厚みや目的とする製品に求められる強度に応じて適宜
選択するのが好ましい。
【0021】補強材は樹脂原料を注入するより前の工程で、
成形型のキャビティ内に設置する。設置の方法として
は、織布あるいは不織布状の補強材を型に沿った大きさ
に裁断して設置したり、予めプリフォームとして成形品
と同じ形状に形作っておく方法も適用出来る。
【0022】本発明におけるメチルメタクリレートを主体と
する樹脂原料とは、メチルメタクリレートと他の共重合
可能な不飽和単量体の混合物をいい、メチルメタクリレ
ートの含有量が約50重量%を超えるものをいう。
【0023】ここでいう共重合可能な不飽和単量体として
は、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)ア
クリレート、2ーエチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフル
フリル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレー
ト、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルア
クリレートなどのメタクリル酸又はアクリル酸と脂肪
族、芳香族、脂環族アルコールとのエステル;ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレートなどのヒドロキシアルキルエステル類等の(メ
タ)アクリル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸など
の不飽和酸類;スチレン、α−メチルスチレンなどのス
チレン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル,無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキ
シルマレイミド、酢酸ビニル等の単官能不飽和単量体、
或いはアリルメタクリレート、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチ
ロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロ
ールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の1分子内に
ラジカル重合可能な二重結合を少なくとも2個有する不
飽和単量体(多官能不飽和単量体)が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。 これらは単独もしく
は2種以上混合して使用することが出来る。
【0024】メチルメタクリレートを主体とする樹脂原料中
のメチルメタクリレートの含有量は約50重量%を超え
る量であるが、好ましくは約70重量%以上、さらに好
ましくは約90重量%以上である。
【0025】さらに上記のメチルメタクリレートを主体とす
る樹脂原料は、粘度調整のため高分子成分を溶解含有さ
せることが出来る。溶解させる高分子成分としては、メ
チルメタクリレートの単独重合体、もしくは共重合体な
どを用いることが出来る。一般的に溶解させる高分子成
分の量はメチルメタクリレートを主体とする樹脂原料中
の0〜約40重量%の範囲で行う。約40重量%を超え
ると粘度が高く、注入が困難となるため好ましくない。
【0026】本発明では、メチルメタクリレートを主体とす
る樹脂原料を重合硬化させるためにラジカル重合開始剤
を添加する。ラジカル重合開始剤としては、例えば、
1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニト
リル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチル
ペンテン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパ
ン)、2−シアノ−2−プロピラゾホルムアミド、2,
2’−アゾビス(2−ヒドロキシ−メチルプロピオネー
ト)、2,2’−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリ
ル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,
2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)
プロパン]、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチル
プロピオネート)などのアゾ化合物;ジクミルパーオキ
サイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブ
チルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイドなどのジアシル、ジアルキルパー
オキサイド系開始剤;t−ブチルパーオキシ−3,3,
5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ
ラウレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t
−ブチルパーオキシアセテート、ジ−t−ブチルパーオ
キシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパー
オキシアゼレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチル
パーオキシ−2−エチルへキサノエート、t−アミルパ
ーオキシ−2−エチルヘキサノエート、などのパーオキ
シエステル系開始剤;t−ブチルパーオキシアリルカー
ボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネ
ート、などのパーカーボネイト系開始剤;1,1−ジ−
t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t
−ブチルパ−オキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘ
キサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパ−オキシ−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキシケ
タール系開始剤などが挙げられる。これらのラジカル重
合開始剤は単独で又は2種類以上を併用して用いられ
る。
【0027】なかでも、10時間半減温度が約40℃〜約7
0℃のものが好適に使用できる。10時間半減温度が約
40℃より低い場合は、ラジカル重合開始剤を添加した
メチルメタクリレートを主体とする樹脂原料の保存安定
性が不安定となり、混合途中や注入途中などで硬化反応
が開始することがある。逆に10時間半減温度が約70
℃より高くなると、硬化反応を行わせるのに高温で加熱
する必要が生じ、エネルギー的に不利となるばかりでな
く、硬化時の重合発熱によりキャビティ内の温度がメチ
ルメタクリレートの沸点を上回る状況になると成形品に
気泡を発生することがあるため好ましくない。
【0028】これらの重合開始剤は、通常メチルメタクリレ
ートを主体とする樹脂原料100重量部に対して約0.
1〜約5重量部を用いる。約0.1重量部より少ないと
ラジカル重合を行うのに長時間かかり、また、約5重量
部を越えた場合には安定して重合できなくなるため好ま
しくない。
【0029】さらに、このメチルメタクリレートを主体とす
る樹脂原料には必要に応じて、公知の添加剤、例えば、
酸化防止剤、紫外線吸収剤、連鎖移動剤、重合調整剤、
重合禁止剤、難燃化剤、離型剤、染料、顔料、無機系充
填剤類などを添加することもできる。
【0030】本発明では上記のメチルメタクリレートを主体
とする樹脂原料をキャビティ内に注入する。注入の方法
としては高所よりヘッド圧を利用して注入する方法、ポ
ンプなどの装置を用いて注入する方法、加圧ガスを用い
て注入する方法などがあるが、特に限定はされない。ま
た、樹脂原料の注入に先立って、キャビティ内を減圧に
しておくと予め設置した補強材と樹脂の間に空隙を生じ
にくくなるため好ましい。
【0031】本発明では、成形型の一つが可撓性を有するた
め、この樹脂原料の注入時に型が変形する。型の変形度
合いは注入する樹脂原料の量に依存するが、概ねキャビ
ティ内に注入する樹脂原料の硬化時の収縮量に応じて過
剰に注入する。
【0032】次に注入した樹脂原料を反応硬化させる。硬化
反応は樹脂原料を加熱することで開始される。加熱の方
法としては、成形型内に水や油の循環流路を包埋してお
いてそこへ加熱した水や油を流通させる方法や、成形型
内に電気ヒーター等の発熱体を包埋しておき加熱する方
法、あるいは型の外周より熱風を吹き付けて加熱する方
法などが挙げられるが、これらに限定されるわけではな
く、成形型のキャビティ内に注入された樹脂原料が加熱
出来る方法であればよい。
【0033】本発明でメチルメタクリレートを主体とする樹
脂原料を硬化させる際の温度の範囲は、約30〜約10
0℃の間とする。約30℃より低い温度で硬化させた場
合は、硬化終了までに長時間を要することとなり、工業
的に不利である。逆に約100℃より高い温度で硬化さ
せた場合は、成形品に発泡やクラック等の欠陥を発生す
ることがあるため好ましくない。硬化の温度は一定温度
に保持しても、段階的または連続的に変化させてもよ
い。
【0034】さらに本発明に於いて成形型として熱硬化性樹
脂を用いる場合には、硬化反応の際に成形型の相対する
表面の温度差を約5〜約30℃の範囲で制御することに
より、外観がより良好な成形品を得ることができる。表
面温度の差が約5℃より小さくなると表面と裏面の両面
に不規則にヒケや補強繊維の浮き出し等の欠陥が発生し
易くなり、表面温度の差が約30℃より大きくなると、
得られる成形品に硬化ムラを生じ、クラックなどの欠陥
が発生しやすくなる。
【0035】また、成形型の相対する表面の温度差は、製品
の厚みに応じて一定のまま保持してもよいし、硬化の途
中で高温側と低温側を逆転させることも可能である。成
形品の厚みが薄い場合などは一定のまま保持しても良好
な表面状態の製品が得られるが、厚みが大きくなると低
温側の成形型表面近傍は硬化が不十分になることもある
ため、途中で高温側と低温側を逆転させて十分に硬化反
応を進ませる必要がある。その温度差や温度に変化をつ
ける時期などは製品の形状や肉厚に応じて適宜選択する
必要がある。
【0036】硬化反応がほぼ完結したら、成形品中に残存す
る未反応のメチルメタクリレートあるいはこれと共重合
可能な不飽和単量体の硬化反応を完結させるために熱処
理を行うことが好ましい。熱処理は型内、もしくは型外
で実施することが出来る。熱処理に移行する際に、成形
品中のメチルメタクリレートあるいはこれと共重合可能
な不飽和単量体の未反応分率が多いと熱処理中に成形品
に発泡やクラック等の欠陥を発生したり、あるいは表面
にガラス繊維が浮き出すことがあるため好ましくない。
【0037】熱処理の温度は通常約80〜約130℃の範囲
で行う。この温度が約80℃より低いと、熱処理の効果
が得られず、また約130℃を超えて加熱すると黄色く
変色することもあるため好ましくない。
【0038】
【発明の効果】本発明方法によれば、3次元形状の複雑
な成形体の成形が可能であり、且つ、美麗な表面を有す
る繊維強化メタクリル系樹脂成形品が容易に得られる。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】実施例1 図1に示すような、成形型として、縦330mm、横4
60mm、高さ30mm、肉厚4mmの四角いお盆状の
成形品が得られる上下2分割の成形型を作製した。上型
には加熱源として面状発熱体を埋設し、型の表面にはノ
ボラック系ビニルエステル樹脂(リポキシGM−62
0、昭和高分子株式会社製)を用いた。下型には温水循
環用の配管を埋設し、型は注型用レジン「コアロイ」
(日邦産業株式会社製)を使用し、型の表面はノボラッ
ク系ビニルエステル樹脂(リポキシGM−620、昭和
高分子株式会社製)を用いて処理した。上型の中央部に
は樹脂原料の注入口を設け、また端部にはキャビティ内
を減圧にするための脱気口を設けた。キャビティ外周縁
には溝状のシール部を設け、溝には線状の発砲ウレタン
をパッキンとして設置してシールする構造とし、またシ
ール部に内通する減圧口を設けることで、減圧によりシ
ールされる構造とした。
【0041】メチルメタクリレートを主体とするシロップ
(スミセメントLC−1、住友化学工業株式会社製)8
0重量部、メチルメタクリレート20重量部を混合し、
25℃における粘度が約1ポイズのシロップを調合し
た。さらに重合開始剤として、t−ブチルパーオキシピ
バレートを0.6重量部、重合調整剤としてターピノー
レンを0.01重量部添加して混合した。この混合液を
注入槽に移し、110torrに15分間保持して脱気
を行った。
【0042】ガラス繊維としてユニフィロU−816(Ve
trotex社製)を型の大きさに合わせて裁断し、キ
ャビティ内部に3枚重ねで設置した。上下型を合わせた
後に、キャビティ内部を110torrに減圧し、前述
の脱気した混合液を2kg/cmのエアーで加圧しな
がら注入した。
【0043】注入前後の上型の変形量をダイヤルゲージを用
いて測定したところ、注入によってキャビティ内の厚み
が0.5mm増加していた。
【0044】上型に埋設した面状発熱体に通す電流量の調整
と、下型へ供給する温水の温度を調整することによって
キャビティ内の温度を制御し、上型を45℃、下型を2
5℃になるように調整した。そのまま3時間継続して樹
脂原料を反応硬化させたその後、上下型をいずれも65
℃まで昇温し、4時間保持した。成形品を型より取り出
したところ、平滑な表面を有しており、外観は良好であ
った。
【0045】実施例2 成形型の表面にノボラック系のビニルエステル樹脂を用
いないで、表面にポリビニルアルコールよりなる離型剤
を塗布、乾燥し、離型皮膜を形成させたこと以外は、実
施例1と同様にしてメチルメタクリレートを主体とする
シロップの硬化反応を行った。硬化反応終了後、成形品
を型より取り出したところ、表面に離型皮膜のついた成
形品が得られた。離型皮膜を水洗して除去したところ、
成形品は平滑な表面を有しており、外観は良好であっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いる成形型の断面概要を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林田 豊 愛知県一宮市千秋町佐野農中52 日邦産業 株式会社内 Fターム(参考) 4F204 AA21L AD16 AJ03 AR06 EA03 EB01 EB11 EF01 EF05 EF30 EK13 EK17 EK24

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次のa)〜c)の工程を含むことを特徴と
    する繊維強化成形品の製造方法。 a)成形型の少なくとも一つが可撓性を有する、少なく
    とも2分割し得る成形型を用い、該成形型のキャビティ
    内に、織布あるいは不織布状の補強材を設置する工程 b)該キャビティ内に、メチルメタクリレートを主体と
    する樹脂原料を注入する工程 c)注入したメチルメタクリレートを主体とする樹脂原
    料を加熱して反応させる工程
  2. 【請求項2】少なくとも2分割し得る成形型が熱硬化性
    樹脂よりなり、注入した樹脂原料が接触する成形型の内
    表面がノボラック系ビニルエステル樹脂からなる成形型
    を用いることを特徴とする請求項1記載の繊維強化成形
    品の製造方法。
  3. 【請求項3】キャビティ内にメチルメタクリレートを主
    体とする樹脂原料を注入する工程b)に於いて、予めキ
    ャビティ内を減圧にした後に、樹脂原料を注入せしめる
    ことを特徴とする請求項1または2記載の繊維強化成形
    品の製造方法。
  4. 【請求項4】注入したメチルメタクリレートを主体とす
    る樹脂原料を加熱して反応させる工程c)において、少
    なくとも2分割しうる成形型の相対する表面の温度差を
    5〜30℃の範囲で制御することを特徴とする請求項1
    〜3のいずれか一項に記載の繊維強化成形品の製造方
    法。
JP11233859A 1999-08-20 1999-08-20 繊維強化成形品の製造方法 Pending JP2001058329A (ja)

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