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JP2001051276A - 液晶セル基板上への重合膜の形成方法 - Google Patents

液晶セル基板上への重合膜の形成方法

Info

Publication number
JP2001051276A
JP2001051276A JP2000208722A JP2000208722A JP2001051276A JP 2001051276 A JP2001051276 A JP 2001051276A JP 2000208722 A JP2000208722 A JP 2000208722A JP 2000208722 A JP2000208722 A JP 2000208722A JP 2001051276 A JP2001051276 A JP 2001051276A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
substrate
compound
light
divinyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000208722A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Fukuda
隆史 福田
Hiroo Matsuda
宏雄 松田
Tadamori Nishikado
産盛 西門
Masao Kato
政雄 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP2000208722A priority Critical patent/JP2001051276A/ja
Publication of JP2001051276A publication Critical patent/JP2001051276A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Liquid Crystal (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶を封入する基板と液晶との相互作用を制
御する方法及び液晶分子の配向を光の強度に応じて可逆
的に変化させることを可能とした液晶デバイスを提供す
る。 【解決手段】 基板の液晶と接触する側の表面上にジビ
ニル化合物の重合体を存在させ、該基板と液晶との間の
相互作用を弱めることを特徴とする基板と液晶との相互
作用を制御する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶セル基板上へ
の重合膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2つの基板間に液晶を封入した構造の液
晶セル(デバイス)は知られている。この場合、液晶は
その基板面に沿って一方向に配向させることが必要であ
る。この場合液晶の配向方法を大別すると、異方性を有
する基板界面と液晶分子との間での相互作用を利用して
バルクの配向を規制するものと、液晶全体に外場を印加
してバルクの配向を促す方法が知られている。前者はさ
らに、物理的な方法、化学的な方法に分類できる。化学
的な方法のなかには、分子の構造変化を伴う光異性化や
化学構造の変化を伴う光反応を原理としているものも含
まれる。光異性化を駆動原理とする光配向方法として
は、アゾベンゼン化合物などのフォトクロミック分子の
シス−トランス光異性化を利用する方法が知られてい
る。これは、照射する光の波長や偏光状態によって可逆
的にバルクの配向変化を可能とするものである。しかし
ながら、このような光配向方法には特定の波長の偏光し
た光(主に紫外光)の使用が不可欠であり、従来の光配
向方法の場合には、光の偏光状態とは無関係に、強度に
応じて配向状態を制御できるものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、2つの基板
間に液晶を封入した液晶セルにおいて、該セル基板上へ
基板と液晶との相互作用を制御する重合膜を形成する方
法を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、少なくとも一方が透
明基板である2つの基板間に液晶を封入した構造の液晶
セル基板上への重合膜を形成する方法であって、該液晶
中にジビニル化合物を存在させるとともに、該透明基板
側から光を照射して該基板上で該ジビニル化合物を光重
合させることを特徴とする液晶セル基板上への重合膜の
形成方法が提供される。また、本発明によれば、少なく
とも一方が透明基板である2つの基板間に液晶を封入し
た液晶セル基板上への重合膜を形成する方法であって、
該液晶としてジビニル構造の液晶性化合物を用いるとと
もに、該透明基板側から光を照射して該基板上で該ジビ
ニル構造の液晶を光重合させることを特徴とする液晶セ
ル基板上への重合膜の形成方法が提供される。さらに、
本発明によれば、前記液晶性化合物が、下記一般式
(1)
【化2】 CH2=C(R1)COO(CH2)nN(R2)−Ph− −N=N−Ph−COO−Ph−CH=CH2 (1) (式中、R1及びR2は水素又は炭素数1〜8のアルキル
基を示し、Phはパラフェニレン基を示し、nは1〜2
0の数を示す)で表される化合物であることを特徴とす
る前記方法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で用いるジビニル化合物
は、分子中に2つのビニル基を含有する化合物であり、
その分子量は、1000以下、好ましくは400以下の
低分子化合物である。その分子量の下限値は、通常、2
50程度である。本発明で用いるジビニル化合物として
は、下記一般式(2)で表されるものが好ましく用いら
れる。
【化3】 前記式中、Aは直線状分子骨格部分を示し、R3〜R8
水素又は置換基を示す。
【0006】直線状分子骨格部分Aには、直線状の2価
脂肪族基及び2価芳香族基が包含される。直線状2価脂
肪族基には、鎖状及び環状の脂肪族基が包含される。鎖
状の2価脂肪族基としては、アルキレン基[−(CH2)n
−、n:1〜20の数、好ましくは6〜12の数を示
す]の他、二重結合(−C=C−)を含有するアルケニ
ル基、三重結合(−C≡C−)を含有するアルキニル
基、エステル結合(−COO−)を含有する2価の基、
アゾ結合(−N=N−)を含有する2価の基、アゾメチ
ン結合(−C=N−)を含有する2価の基、エーテル結
合(−O−)を含有する2価の基等が挙げられる。その
2価脂肪族基の主鎖を形成する原子(炭素原子やヘテロ
原子)の数は、1〜50、好ましくは10〜30であ
る。環状の2価脂肪族基としては、シクロヘキサン環
や、ビシクロオクタン環、窒素原子やイオウ原子を環構
成原子とするヘテロ脂肪族環を含有する2価環状脂肪族
基が挙げられる。この場合、その環構成原子は5〜1
0、好ましくは6〜8程度であり、その環構成原子を含
めた主鎖を構成する原子数は、5〜60、好ましくは6
〜40である。
【0007】前記2価芳香族基は、芳香環やヘテロ芳香
環を主鎖に含有する2価の基である。このようなものと
しては、ベンゼン環や、フラン環、チオフェン環、ピリ
ジン環等の複素環を含有する2価の基が挙げられる。こ
の場合、複素環の環構成原子数は通常、5〜6である。
2価芳香族基の主鎖を構成する原子数は、その芳香環構
成原子を含めて、5〜30、好ましくは5〜20であ
る。
【0008】本発明においては、前記直線状分子骨格部
分Aは、ハードセグメントとソフトセグメントからなる
ものが好ましい。この場合、ハードセグメントは、分子
中に2〜3個の環と結合基とからなり、ソフトセグメン
トは直鎖状2価脂肪族基からなる。前記ハードセグメン
トにおいて、その環は、芳香環、ヘテロ芳香環、脂肪族
環、ヘテロ脂肪族環であることができる。この場合、芳
香環としてはベンゼン環やトルエン環等を挙げることが
できる。ヘテロ芳香環としては、フラン環、チオフェン
環、ピリジン環等の5員環及び6員環構造の複素環が挙
げられる。脂肪族環としては、シクロヘキサンや、シク
ロオクタン、ビシクロオクタン等の炭素数が6〜10、
好ましくは6〜8の脂肪族環が挙げられる。ヘテロ脂肪
族環としては、前記ヘテロ芳香環を水素添加したものが
挙げられる。また、前記結合基としては、アルキニル基
(−C≡C−)や、アルケニル基(−C=C−)からな
る2価の基や、エステル結合(−COO−)からなる2
価の基、アゾ結合(−N=N−)からなる2価の基、ア
ゾメチン結合(−C=N−)からなる2価の基、エーテ
ル結合(−O−)からなる2価の基等が挙げられる。前
記ソフトセグメントは、炭素数1〜20、好ましくは6
〜12のアルキレン基、好ましくは直鎖状アルキレン基
であることができる。前記ハードセグメントとソフトセ
グメントを含有するジビニル化合物は、通常、液晶性を
有するものであり、本発明においては好ましく使用され
る。
【0009】前記一般式(2)において、R3〜R8は水
素又は置換基であるが、この場合の置換基としては、メ
チル、エチル、プロピル等の炭素数1〜8、好ましくは
1〜3のアルキル基や、フェニル基、シアノ基、アシル
オキシ基(RCOO−、R:炭素数1〜8、好ましくは
1〜3のアルキル基)、アルコキシカルボニル基(RO
CO−、R:炭素数1〜8、好ましくは1〜3のアルキ
ル基)、アミド基(RCONH−、R:炭素数1〜8、
好ましくは1〜3のアルキル基)等が挙げられる。
【0010】アゾベンゼン化合物としては、2つのベン
ゼン環をアゾ基(−N=N−)で結合した化合物であ
る。本発明では、下記一般式(3)で表されるアゾベン
ゼン化合物が好ましく使用される。
【化4】 前記式中、R9及びR10は水素又は置換基を示す。置換
基R9としては電子供与基、R10としては電子吸引基が
好ましい。R9としては、アミノ基、炭素数が1〜8、
好ましくは1〜3のアルキル基を有する置換アミノ基又
はアルコキシ基等が挙げられる。R10としては、ハロゲ
ン原子(F、Cl、Br、I)、シアノ基、ニトロ基、
カルボニル基、カルボキシル基、炭素数1〜8、好まし
くは1〜3の低級アルキル基を有するアシル基、スルホ
ニル基、ジシアノビニル基、トリシアノビニル基等が挙
げられる。
【0011】本発明においては、前記ジビニル化合物と
アゾベンゼン化合物は、それぞれ単独の化合物として用
いることができる他、ジビニル化合物とアゾベンゼン化
合物とを結合した結合体、即ち、分子中に2つのビニル
基と、アゾベンゼン基を含有する化合物であることがで
きる。本発明で好ましく用いることのできるジビニル化
合物とアゾベンゼン化合物の結合体は、下記一般式
(4)で表すことができる。
【化5】 前記式中、R3〜R8は前記と同じ意味を有し、A1及び
2は前記Aと同じ意味を有し、Phはパラフェニレン
基を示す。
【0012】本発明で用いる液晶としては、液晶デバイ
スに使用されている従来公知の各種のものを用いること
ができる。このような液晶としては、ネマチック液晶を
挙げることができる。本発明において、前記ジビニル化
合物、アゾベンゼン化合物及び液晶の使用割合は、液晶
1モル当り、ジビニル化合物は0.1〜5.0モル、好
ましくは0.2〜1.0モル、及びアゾベンゼン化合物
は0.1〜5.0モル、好ましくは0.2〜1.0モル
の割合である。
【0013】本発明においては、前記ジビニル化合物、
アゾベンゼン化合物及び液晶は、それぞれ単一化合物と
して使用し得る他、その3成分のうちの2つを相互に結
合させた結合体として使用することができる。本発明
は、ジビニル化合物とアゾベンゼン化合物とを結合させ
て形成した液晶性化合物を、ジビニル化合物とアゾベン
ゼン化合物と液晶からなる混合物の代りとして好ましく
使用することができる。本発明においては、前記ジビニ
ル化合物とアゾベンゼン化合物と液晶の機能を1つの化
合物に発現させた化合物として、下記一般式(1)で表
される液晶性化合物を示すことができる。
【化6】 CH2=C(R1)COO(CH2)nN(R2)−Ph− −N=N−Ph−COO−Ph−CH=CH2 (1) 前記式中、R1及びR2は水素又は炭素数1〜8のアルキ
ル基を示し、Phはパラフェニレン基を示す。
【0014】本発明による液晶セル基板上へ重合膜を形
成する方法においては、その少なくとも一方が透明基板
である2つの基板間にジビニル化合物を混入した液晶を
封入した構造の液晶セルに対し、その透明基板側から光
を照射する。これにより、そのジビニル化合物はその光
を照射する側の基板内表面上で重合し、重合体が形成さ
れる。前記液晶としてジビニル構造を有する液晶性化合
物を用いるときには、ジビニル化合物の液晶への混合は
必要ではなく、この場合には、基板内表面上にその液晶
性化合物の重合膜を形成させることができる。
【0015】本発明の液晶セル(デバイス)の具体的製
造例を示すと、2つの基板からなる液晶セル内に、充填
材として、(i)前記したジビニル化合物、アゾベンゼ
ン化合物及び液晶の混合物、(ii)ジビニル化合物とア
ゾベンゼン化合物との結合体と液晶との混合物又は(ii
i)ジビニル化合物とアゾベンゼン化合物とを結合させた
結合体からなる液晶性化合物を封入する。この場合、基
板としては、透明性の材料、例えば、ガラスやプラスチ
ックが用いられる。2つの基板のうち、その1つの基板
Aとしては、その液晶と接触する側の表面に水平方向に
配向させた配向膜を有する基板を用いる。他方の基板B
としては、その液晶と接触する側の表面に水平方向に配
向させ配向膜を有するか又は有しない基板を用いる。基
板間のギャップ(セルギャップ)は、1μm〜1mm、
好ましくは10〜500μmである。このセルギャップ
が前記範囲よりも大きくなると、配向性の乱れやスイッ
チング速度の極端な低下を生じることがある。一方、前
記範囲よりも小さくなるとスイッチ挙動が困難になる。
【0016】次に、前記充填材を封入した2つの基板
A、Bからなる液晶セルに対し、その基板B側から光を
照射してその基板B側の内表面上にビニル基を2個有す
る光重合性化合物をそのビニル基を介して重合させて重
合体を形成させる。この場合の平均重合度は、2〜10
00、好ましくは5〜100である。その重合体の重合
度が前記範囲より小さいと、基板と液晶との相互作用を
制御することが困難になる等の問題があり、一方、前記
範囲より大きいと、その重合体の基板表面上での選択的
生成が困難になる等の問題がある。
【0017】前記重合体を生成させる照射光は、ビニル
基の光重合を進行させるためのものである。この場合、
光としては、波長200〜600nm、好ましくは30
0〜550nmの光、例えば、アルゴンレーザーからの
光(波長488nm)や、超高圧水銀ランプからの光
(波長436nm、405nm、365nm)、ヘリウ
ムカドミウムレーザーからの光(波長442nm、32
5nm)等が挙げられる。液晶セルに照射する際の照射
強度は、光重合性化合物の重合を基板Bの界面近傍のみ
に限定する強度である。この目的は、基板Bに対して、
例えば、アルゴンレーザーからの光を、強度56.3m
W(2.26mW/cm2)で10分間程度照射するこ
とにより達成される。
【0018】本発明により得られる液晶デバイスは、そ
の基板Bの内表面上に、2つのビニル基を有する光重合
性化合物がそのビニル基を介して重合した重合体(以
下、単に重合体とも言う)が存在することを特徴とす
る。このような液晶デバイスは、その基板Bの内表面上
に重合体が存在し、液晶と基板Bとはその重合体を介し
て相互作用するため、基板Bと液晶との相互作用は抑制
されたものとなる。従って、この液晶デバイスに光を照
射し、アゾベンゼン化合物の光異性化特性を応用して液
晶を光配向させる場合、その照射光の強度に応じて液晶
の配向状態を可逆的に変化させるこどができる。前記液
晶デバイスは、任意の偏光状態の光に対して、その強度
に応じて光スイッチング動作を示すため、自然光の照射
によっても駆動させることができる。従って、光シャッ
ターや光バルブとして使用し得る他、光センサーとして
の活用が期待できる。また、前記液晶デバイスは、その
他、液晶と基板Bとの界面との相互作用を任意に制御す
ることが可能となるために、光だけでなく、電界に対す
る応答性も制御可能となり、高速かつ低電圧で液晶ディ
スプレイなどのデバイスを駆動することを可能とする。
【0019】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。なお、以下の実施例においては、下記式(5)で
示されるジビニル化合物とアゾベンゼン化合物とを結合
させた液晶性化合物A(液晶A)を用いた。
【化7】 CH2=C(CH3)COO(CH2)6−N(CH3)Ph− −N=N−Ph−COOPhCH=CH2 (5) (式中、Phはパラフェニレン基を示す) この液晶Aは、光による重合性能と異性化性能を合わせ
持ったものであり、降温過程では64℃に於いて等方相
からネマティック相に転移し、42℃にてネマティック
相から結晶相に転移する。逆に、昇温過程では液晶性は
示さず、85℃にて結晶相から等方相へと転移をするモ
ノトロピック液晶である。
【0020】実施例1 液晶セルとしては、あらかじめ2つの基板[I]及び
[II]の内表面に水平配向膜を形成したものを用いた。
この場合、2つの基板間のギャップは20μmである。
また、基板としては厚さ1mmのガラス板を用い、その
水平配向膜としては、厚さ0.1μmのポリイミド膜か
らなるものを用いた。前記液晶セルに前記液晶Aを封入
した。液晶Aがネマチック相を形成している温度に於い
てこの液晶セルに光を照射した結果、ジビニル基の光重
合が進行することが確認された。ジビニル基の光重合が
進行する領域を、光の入射側の基板界面近傍のみに限定
するために、アルゴンレーザーからの光(波長488n
m)を強度56.3mW(2.26mW/cm2)で1
0分間照射した。このようにして得られた試料の偏光顕
微鏡観察写真を見ると、光が入射し、界面で重合の進ん
だ部分と元のままの部分が円形の輪郭により区別でき
る。この場合、写真中心部の円形の部分に光照射が施さ
れている。このように偏光顕微鏡ではわずかな複屈折性
の違いにより輪郭が見えているが、通常の肉眼による目
視ではなかなか識別できない。ジビニル基の光重合の偏
光依存性を明らかにするために、入射偏光面0、45、
95度の3通りに設定し、比較したが、それらの間に違
いは見られず、重合のための光としては偏光でも非偏光
でもともに利用可能であることが分かった。そして、こ
の液晶セルをクロスニコルとなるように角度を調節した
偏光子、検光子に挾んで、光を基板[I]側から照射し
たところ、重合体が存在する光照射部だけはっきりと黒
くなり、光スイッチング動作が示された。この現象は、
液晶Aの分子の配向が水平配向から垂直配向に変化した
結果である。また、光重合を進行させる際の温度を上
げ、液晶が等方相の状態においても同様の実験を行った
が、全く同じ結果が得られ、重合膜が存在する光照射部
だけがはっきりと黒くなる光スイッチング動作が観察さ
れた。表1に実時間に対する透過光強度を示す。試料に
照射する光の強度を強い状態から弱い状態に変化させる
と、低透過率状態から高透過率状態へスイッチすること
が分かる。なお、照射時間が短かすぎると光重合反応が
進行しないため、目的の機能は発現しないが、逆に、表
1にも示されているように、照射時間が長すぎると光重
合反応が表面近傍だけではなくバルクまで進行してしま
い、液晶分子の運動性が低下する結果につながる(表1
中の液晶デバイスIとIIに関する実験結果を参照)。し
たがって、分子の再配向が阻害されるため、光スイッチ
ングにはより強い光が必要となり、また、応答速度も遅
くなる。表1に示した光照射条件では液晶デバイスIII
で用いた光照射条件が最適条件であり、その応答速度は
3秒程度である。
【0021】
【表1】
【0022】なお、表1に示した各液晶デバイスのスイ
ッチング動作に必要な照射光の強度は、液晶デバイス
I、II及びIIIに対して、それぞれ、5.6mW、5.
7mW、3.5mWである。
【0023】実施例2 液晶セル基板[I]、[II]に形成した各配向膜の配向
方向角度が90度である液晶セルを用いた以外は同様に
して液晶デバイスを作製した。この場合、液晶Aを基板
[I]上で重合させるための光照射は、アルゴンレーザ
ーからの光を用い、強度57.0mW(2.29mW/
cm2)及び照射時間10分の条件で行った。このよう
にして得られた試料の偏光光顕微鏡観察写真を見ると、
実施例1の場合と同様に、界面で重合の進んだ部分と元
のままの部分が円形の輪郭により区別できる。また、ク
ロスニコル条件のもと、基板[II]側から光を照射し、
この液晶セルの偏光顕微鏡観察を行ったところ、重合用
の光の当たってない部分は配向膜の影響により、90°
のツイスト状態に配列していることがわかった。また、
光が当たった部分は基板[I]側の界面が重合によって
改質され、水平配向膜の配向効果が遮断ないし抑制され
た結果、90°のツイストがほどけ、基板[II]側のラビ
ング方向に沿って分子が水平配向していることが分かっ
た。この液晶デバイスに於いても、実施例1と同様に、
光の強度に応じて光スイッチング動作を示すことが確認
された。この場合の光スイッチング性能に関しては実施
例1と2の間に差異はなかった。
【0024】実施例3 2つの基板[I]、[II]のうち、基板[I]としてそ
の内面に水平配向膜を有するものを用い、基板[II]と
して配向膜を有しないものを用いた以外は実施例1と同
様にして液晶デバイスを作製した。この場合、重合用の
光照射は、アルゴンレーザーからの光を用い、照射強度
56.0mW(2.25mW/cm2)及び照射時間1
0分の条件で行った。このようにして得られた試料のネ
マティック相における初期配向状態は両面に水平配向膜
を施したもの(実施例1、2)に比較して配向状態は悪
く、小さな欠陥が見られた。光重合を進行させるための
光の入射方向には基板[I]側からの場合と基板[II]
側からの場合の2通りがあるが、この場合、両者の間に
は異なる結果が得られた。即ち、基板[I]の水平配向
膜側からアルゴンレーザーを照射させた場合、得られる
液晶デバイスの偏光顕微鏡観察写真を見ると、完全に液
晶配向が乱れたことを示すシュリーレン組織(帯状のパ
ターン)が観察された。逆に、配向膜の無い基板[II]
側から重合用のアルゴンレーザーを照射させた場合、得
られる液晶デバイスは、初期の配向状態に見られた欠陥
は消失し、配向度が向上した。上記の実験結果は、光重
合によって入射側の基板界面が選択的に改質されている
と言うことを直接的に証明する実験結果であると言え
る。また、この液晶デバイスに於いても、実施例1、2
と同様に、光の強度に応じて光スイッチング動作は確認
されたが、基板[I]側からの照射条件で得られた試料
では光スイッチング動作中もシュリーレン組織は消える
ことなく観察され、この条件はデバイス作製条件として
は望ましくないことが分かった。一方、基板[II]側か
らの照射条件で得られた試料では光スイッチ動作を示す
光の強度閾値が実施例1、2のものに比べてより低くな
り、弱い光に対しても光スイッチングが可能となること
が判明した。
【0025】実施例4 実施例1、2、3とほぼ同一の条件で、光重合を起こさ
せるための光の波長を紫外光に変化させて液晶デバイス
を作製した。即ち、液晶セルに対する重合用の照射を超
高圧水銀灯による紫外線を用い、光強度126mW/c
2、照射時間10分の条件で行ったところ、実施例
1、2、3と同様の結果が得られた。
【0026】実施例5 界面での光重合による表面改質が、液晶と基板界面との
相互作用を任意に制御し、その結果、液晶素子の電界に
対する応答性も制御しうるということを実証するために
以下の実験を行った。2つの基板[I]、[II]からな
る水平配向したネマチック液晶セルに対し、配向方向に
垂直で、かつ、ある閾値以上の電界を印加すると、液晶
の配向状態が水平配向から垂直配向に変化することが一
般に知られている(フレデリクス転移)。この時に見ら
れる電界閾値は液晶バルクの性質だけでなく、基板界面
における液晶と基板界面との相互作用にも左右されるた
め、これをコントロールできれば、電界閾値の低減や応
答速度の向上が期待できる。そこで、透明電極を有する
基板に水平配向処理を施した2つの基板からなるセルに
液晶を封入し、アルゴンレーザーからの光(波長488
nm)を強度55.8mW(2.24mW/cm2)の
条件で5分間照射した。このようにして得られた試料に
対し、透明電極間に直流電界(または1kHz程度の交
流電界)を印加すると、光重合の起こっていない領域で
はフレデリクス転移の電界閾値が6V程度であったのに
対し、光重合の施された領域では目的の通り電界閾値が
3V程度にまで低減されることが確認された。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、液晶セルの基板内表面
上に分子中にビニル基を2個有する光重合性化合物の重
合体を形成させることができる。本発明の方法は、基板
間に液晶を封入した構造の各種の液晶装置に対して適用
することができる。本発明により得られるアゾベンゼン
化合物の光特異性を用いて液晶分子を光配向させる構造
の液晶デバイスにおいて、液晶セルを構成する基板のう
ちの一方の内表面上に光重合性化合物の重合体を形成さ
せたものは、液晶分子の配向を光の強度に応じて可逆的
に変化させることができる。本発明により得られる液晶
デバイスは、これに入射させる光の強度に応じてスイッ
チング動作を示すため、自然光(太陽光)の照射によっ
ても駆動させることができることから、光シャッター、
光バルブ、光センサー等として応用することができる。
さらに、本発明により得られる液晶デバイスの場合、液
晶と基板界面との相互作用を任意に制御することが可能
となるために、光だけでなく、電界に対する応答性も制
御可能となり、高速かつ低電圧で液晶ディスプレイなど
のデバイスを駆動することを可能とするものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福田 隆史 茨城県つくば市並木4−802−205 (72)発明者 松田 宏雄 茨城県つくば市吾妻1−408−302 (72)発明者 西門 産盛 茨城県つくば市稲荷前22−4−A−202 (72)発明者 加藤 政雄 千葉県野田市山崎2641 東京理科大学基礎 工学部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が透明基板である2つの
    基板間に液晶を封入した構造の液晶セル基板上への重合
    膜を形成する方法であって、該液晶中にジビニル化合物
    を存在させるとともに、該透明基板側から光を照射して
    該基板上で該ジビニル化合物を光重合させることを特徴
    とする液晶セル基板上への重合膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも一方が透明基板である2つの
    基板間に液晶を封入した液晶セル基板上への重合膜を形
    成する方法であって、該液晶としてジビニル構造の液晶
    性化合物を用いるとともに、該透明基板側から光を照射
    して該基板上で該ジビニル構造の液晶を光重合させるこ
    とを特徴とする液晶セル基板上への重合膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 該ジビニル化合物が、ジビニル化合物と
    アゾベンゼン化合物との結合体からなる請求項1の方
    法。
  4. 【請求項4】 該ジビニル構造の液晶性化合物が、ジビ
    ニル化合物とアゾベンゼン化合物との結合体からなる液
    晶性化合物である請求項2の方法。
  5. 【請求項5】 該液晶性化合物が、下記一般式(1) 【化1】 CH2=C(R1)COO(CH2)nN(R2)−Ph− −N=N−Ph−COO−Ph−CH=CH2
    (1) (式中、R1及びR2は水素又は炭素数1〜8のアルキル
    基を示し、Phはパラフェニレン基を示し、nは1〜2
    0の数を示す)で表される化合物である請求項4の方
    法。
  6. 【請求項6】 該基板が、液晶と接触する側の表面に水
    平配向膜を有する基板Aと、液晶と接触する側の表面に
    水平配向膜を有するか又は有しない透明基板Bとからな
    り、該基板Bから光を照射する請求項1〜5のいずれか
    の方法。
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JP2009064035A (ja) * 2001-10-02 2009-03-26 Sharp Corp 液晶表示装置用基板及びそれを用いた液晶表示装置

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