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JP2000355671A - 耐傷付き性、耐塗膜かじり性および滑雪性を付与する金属板用の上塗り塗料、および金属板の表面処理方法、並びに耐傷付き性、耐塗膜かじり性および滑雪性に優れた塗装金属板 - Google Patents

耐傷付き性、耐塗膜かじり性および滑雪性を付与する金属板用の上塗り塗料、および金属板の表面処理方法、並びに耐傷付き性、耐塗膜かじり性および滑雪性に優れた塗装金属板

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Publication number
JP2000355671A
JP2000355671A JP16760199A JP16760199A JP2000355671A JP 2000355671 A JP2000355671 A JP 2000355671A JP 16760199 A JP16760199 A JP 16760199A JP 16760199 A JP16760199 A JP 16760199A JP 2000355671 A JP2000355671 A JP 2000355671A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
parts
average particle
coating
resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP16760199A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumishiro Kumon
史城 公文
Kazuyoshi Sugawara
和良 菅原
Katsuhisa Osaki
勝久 大崎
Hiroshi Tsuburaya
浩 圓谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP16760199A priority Critical patent/JP2000355671A/ja
Publication of JP2000355671A publication Critical patent/JP2000355671A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 下塗り塗膜と上塗り塗膜とを有する塗装金属
板において塗膜面で発生する塗膜中の骨材の突出を防止
し、耐塗膜かじり性、耐傷付き性および滑雪性に優れた
塗装金属板を提供する。 【解決手段】 セラミック系無機骨材を含む下塗り塗膜
の上に、フッ化ビニリデン系フッ素樹脂をマトリックス
樹脂としポリアクリロニトリルビーズおよびセラミック
系無機骨材およびフッ素樹脂粉末を配合した上塗り塗料
を金属板に塗装し、マトリックス樹脂が皮膜化するのに
十分な温度で十分な時間加熱して焼き付け乾燥を行う。
塗膜中の骨材の平均粒径と塗膜厚との比率は塗膜面から
の骨材の突出に強く関与しており、上塗り塗膜の骨材の
平均粒径(r)を0.6〜40μm 、この平均粒径
(r)と上塗り塗膜厚(T)との関係を、0.04≦r
/T≦1.0、とし、好ましくは下塗り塗膜の骨材の平
均粒径(r´)と下塗り塗膜厚(T´)との関係を、
0.05≦r´/T´≦1.0、とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗装金属板とその
上塗り塗料およびその金属板の表面処理方法に関する。
更に詳しくは、降雪地域の屋外用建材に好適なフッ化ビ
ニリデン系フッ素樹脂塗装金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、屋外用建材として、耐候性、耐蝕
性、加工性、耐薬品性、耐摩耗性、および耐汚染性等に
優れるフッ素樹脂塗装金属板が広く用いられている。な
かでも、フッ化ビニリデン系フッ素樹脂塗装金属板は上
記特性に加え優れた滑雪性を有するため、特に降雪地域
の屋根材に多用されている。しかしながら、フッ化ビニ
リデン系フッ素樹脂は塗膜強度が小さく、そのため屋根
の凍結した雪が滑り落ちる際にその塗膜表面が傷付き易
い。更に、その塗膜損傷部より水分が内部に浸入すると
塗膜下の金属板が腐食するという問題が生じる。
【0003】従って、降雪地域の屋根材に使用される上
記フッ化ビニリデン系フッ素樹脂塗装金属板には、塗膜
強度を改善するために、例えば塗膜中に補強材として無
機骨材を添加する方策が考案されている。すなわち、上
記塗膜中に補強材としてガラス繊維の無機骨材を添加す
る方法(特開昭61−236869号公報、同61−2
37636号公報)、あるいは上記塗膜中に補強材とし
て球状ガラスビーズの無機骨材を添加し、更にそのビー
ズの平均粒径(r)と塗膜厚(T)とを、0.5≦r/
T≦1.5、の範囲に規定する方法(特開平7−256
821号公報)が行われている。しかしながら、上記の
ガラス繊維は焼き付け乾燥した上塗り塗膜中で垂直方向
に配向する傾向があり、ガラス繊維が塗膜面より突出す
る。また、塗膜厚よりも大きい球状ガラスビーズを使用
して塗膜面よりも突出させると、塗装金属板の運搬中な
どに塗膜同士がこすり合った場合、片方の金属板の塗膜
面に突出した上記無機骨材によってもう一方の金属板の
塗膜面が削り取られ白っぽい外観を呈する、いわゆる白
化現象が生じたり、さらに著しい場合には塗膜が剥離す
る、いわゆる塗膜かじりが生じる、といった深刻な問題
が発生する。更にまた、当該塗膜面に凹凸が発生する
と、無機骨材を添加していないものに比べ滑雪性が低下
し、フッ化ビニリデン系フッ素樹脂塗装金属板の本来の
長所が損なわれてしまうという問題が生じる。
【0004】そこで、上記無機骨材に由来する欠点を改
善するために、上記塗膜中に補強材である硬質の無機骨
材に加え、上記マトリックス樹脂と同程度に軟質の有機
ポリマービーズおよびフッ素樹脂粉末を複合添加する方
策が考案された。すなわち、上記塗膜中に炭化珪素の無
機骨材と、有機ポリマービーズとしてアクリルポリマー
ビーズおよびフッ素樹脂粉末としてポリ四フッ化エチレ
ン樹脂粉末を複合添加することにより、該無機骨材が上
記塗膜のマトリックス樹脂の強度を高める、と同時に該
無機骨材と上記塗膜のマトリックス樹脂との間で生じた
力学的歪みを有機ポリマービーズおよびフッ素樹脂粉末
が緩和することが可能となる(特開平8−183925
号公報、同9−221621号公報、同9−22162
2号公報)。しかしながら、上記アクリルポリマービー
ズは、塗料中における濡れ性および分散性が劣るため、
塗料中に沈降し易いという欠点を持つ。そこで、上記ア
クリルポリマービーズをカップリング剤を用いて表面処
理を行い、濡れ性および分散性を改善することが別途必
要であった。この処理を行うことで当該製造工程が増
え、製造コストがアップする。更にまた、上記アクリル
ポリマービーズが上記塗膜面から僅かでも突出すると、
当該塗装金属板をロール成形した場合に、塗膜面から突
出した上記ビーズに応力が集中し、その結果上記ビーズ
を被覆している塗膜が剥離または脱落し、あるいは上記
ビーズと塗膜との間で割れや剥離が生じ、加工部の耐蝕
性が低下するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】フッ化ビニリデン系フ
ッ素樹脂塗膜の場合、滑雪性は優れるが、耐摩耗性や耐
傷付き性に関しては不十分であった。そこで、先にも述
べたように、上記塗膜強度を高めるために上記塗膜中に
無機骨材を添加すると、上記塗膜の耐傷付き性について
は改善されるが、無機骨材が上記塗膜面へ突出すると、
塗膜表面の凹凸が大きくなり、耐塗膜かじり性が低下す
ると共に当該フッ化ビニリデン系フッ素樹脂塗装金属板
の本来の長所である滑雪性も損なわれる。そこで、上記
塗膜中に無機骨材に加え、上記マトリックス樹脂と同程
度に軟質の有機ポリマービーズやフッ素樹脂粉末を複合
添加すると、耐塗膜かじり性や滑雪性も相対的には良好
になるが、十分な水準に到達したとは言い難い。また、
上記有機ポリマービーズが塗料中で沈降することを防止
するため、上記添加物を表面処理することが別途必要に
なり、コストアップ要因が発生するという問題がある。
【0006】本発明は、かかる事情に鑑み、従来よりも
飛躍的に優れた耐塗膜かじり性、耐傷付き性および滑雪
性を有する塗装金属板を、低廉なる製造コストにて提供
することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的を
達成するため鋭意研究を重ね、耐傷付き性、耐塗膜かじ
り性、および滑雪性に優れたフッ化ビニリデン系フッ素
樹脂塗装金属板を製造するには、下塗り塗膜と上塗り塗
膜とを有する上記塗装金属板において、上塗り塗膜の最
適化を行うと同時に、更に上塗り塗膜の対策のみでは限
界があり、上記上塗り塗膜の対策と下塗り塗膜の対策と
を組み合わせることで、工程数の増加を伴うことなく、
上記特性を飛躍的に向上させることが可能であることを
見出し本発明を創作するに至った。
【0008】すなわち、本発明の第一の態様は、フッ化
ビニリデン系フッ素樹脂をマトリックス樹脂とし、セラ
ミック系無機骨材と有機ポリマービーズとフッ素樹脂粉
末を添加し、金属板上に形成された下塗り塗膜の上に塗
布する上塗り塗料に関する。上記上塗り塗料において、
有機ポリマービーズがポリアクリロニトリルビーズであ
り、且つ平均粒径0.6〜40μmのセラミック系無機
骨材を上記マトリックス樹脂100重量部に対して1〜
40重量部、平均粒径0.6〜40μmのポリアクリロ
ニトリルビーズを上記マトリックス樹脂に対して1〜4
0重量部、および平均粒径0.6〜40μmのフッ素樹
脂粉末を上記マトリックス樹脂に対して0.1〜20重
量部を添加するのが好ましい。
【0009】また、本発明の第二の態様は、上記の上塗
り塗料を、上記の各添加物と乾燥後の塗膜厚の比率が、
上記の各添加物が塗膜より突出せず、且つ塗膜強度が損
なわれないように規定された範囲となるように金属板に
塗装し、上記のマトリックス樹脂が皮膜化するのに十分
な温度で十分な時間加熱して焼付け乾燥を行い、皮膜化
する工程を含む金属板の表面処理方法に関する。
【0010】また、本発明の第三の態様は、下塗り塗膜
と、下塗り塗膜の上に上記の上塗り塗料を用いて形成さ
れた上塗り塗膜とを含む、フッ化ビニリデン系フッ素樹
脂塗装金属板に関する。更に、上記の上塗り塗膜が、上
記の上塗り塗料を、添加物の平均粒径と乾燥後の上塗り
塗膜厚の比率が、塗膜中の添加物が塗膜より突出せず且
つ塗膜強度が損なわれないように規定された範囲となる
ように上記の下塗り塗膜の上に形成されることが好まし
い。
【0011】また、本発明の第四の態様は、上記の下塗
り塗膜が、セラミック系無機骨材を含むフッ化ビニリデ
ン系フッ素樹脂塗装金属板に関する。上記の下塗り塗膜
が、セラミック系無機骨材の含有量をマトリックス樹脂
100重量部に対して1〜40重量部とし、その平均粒
径と下塗り塗膜厚の比率が上記無機骨材が上記下塗り塗
膜より突出せず、且つ塗膜強度が損なわれないように規
定された範囲になるような金属板に形成されるのが好ま
しい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。 (上塗り塗料)本発明のフッ化ビニリデン系フッ素樹脂
塗装金属板の上塗り塗料は、化成処理皮膜を形成した金
属板上に下塗り塗膜が形成され、その上に上塗り塗膜が
形成されて成るもので、上塗り塗膜を補強する無機系骨
材と、上塗り塗膜の補強と潤滑性を向上させるための有
機ポリマービーズ、および上塗り塗膜面の表面エネルギ
ーを低下させ滑雪性を向上させるためのフッ素樹脂粉末
を含む。
【0013】(無機骨材)本発明によるフッ化ビニリデ
ン系フッ素樹脂塗装金属板において、添加されるセラミ
ック系無機骨材は、塗料を塗布し加熱乾燥して形成させ
るマトリックス樹脂皮膜の強度を高めるために添加され
るものであり、マトリックス樹脂の皮膜化を阻害しない
ものであれば特に制限されるものではない。このような
セラミック系無機骨材として、例えば、球状ガラスビー
ズや繊維状セラミックあるいは球状セラミック等が挙げ
られる。また、これらの無機骨材には、本発明の目的、
効果を阻害しない範囲でセラミックに関する技術分野に
公知の各種添加剤を加えてもよい。発明者らが、無機骨
材の含有量と上塗り塗膜の密着性および耐傷付き性との
関係について調査したところ、無機骨材の含有量が上記
マトリックス樹脂100重量部に対して1重量部未満で
あると、塗膜強度が低下し耐傷付き性が不足し、40重
量部を越えると上塗り塗膜の密着性が低下し塗膜の加工
性も不十分となることが判明した。従って、これらの無
機骨材は、上記塗膜のマトリックス樹脂100重量部に
対して1〜40重量部程度の量で添加するのが好まし
い。更に、無機骨材の平均粒径(r1 )と塗膜の厚さ
(T1 )を種々変化させ、無機骨材が塗膜面に突出しな
い条件および塗膜強度を確保できる条件範囲について詳
細に調査したところ、上記平均粒径(r1 )と塗膜の厚
さ(T1 )の比率が無機骨材の突出有無と塗膜強度に関
するキーパラメータであることが判明した。まず、無機
骨材の形状が球状の場合には、無機骨材の突出を防止で
きる範囲は以下の通りになる。無機骨材の平均粒径(r
1 )と上記上塗り塗膜厚(T1 )の比率r1 /T 1
1.0より大きいと無機骨材が上記上塗り塗膜表面より
突出するため、この比率を1.0以下にすることが必要
である。また、この比率r1 /T1 が0.04より小さ
いと塗膜強度が十分に得られないため、この比率は0.
04以上にすることが必要である。従って、無機骨材の
平均粒径(r1 )と上記上塗り塗膜の厚さ(T1 )が、
0.04≦r1 /T1 ≦1.0、となるように塗装する
ことが好ましい。次に、無機骨材の形状が繊維状の場合
には、無機骨材の突出を防止できる範囲は以下の通りに
なる。無機骨材が繊維状の場合、繊維断面の直径が5μ
m以上であると、塗膜の焼き付け乾燥により無機骨材が
塗膜面に対して垂直方向に配向する傾向が見られ、塗膜
面への無機骨材の突出を防ぐためにはこの無機骨材の繊
維断面の直径を5μmより小さくする必要がある。ま
た、球状の無機骨材と同様に、無機骨材の繊維断面の直
径の平均を平均粒径と定義するならば、この平均粒径
(r1 )と上記上塗り塗膜厚(T1 )の比率r1 /T1
を1.0以下にすることが必要である。また、この比率
1 /T1 が0.04より小さいと十分な塗膜強度が得
られないため、この比率は0.04以上にすることが必
要である。従って、無機骨材の平均粒径(r1 )と上記
上塗り塗膜の厚さ(T1 )が、0.04≦r1 /T1
1.0、となるように塗装することが好ましい。
【0014】(有機ポリマービーズ)本発明のフッ化ビ
ニリデン系フッ素樹脂塗装金属板の上塗り塗膜において
添加される有機ポリマービーズは、塗料中での濡れ性お
よび分散性の観点から選ばれたポリアクリロニトリルビ
ーズ(以下PANビーズと記す)を使用する。このPA
Nビーズは塗料との分散性に優れ、そのまま添加しても
塗料中で沈降しないため、従来のアクリルポリマービー
ズに対して行われていたカップリング剤による表面処理
が不要となる利点を有する。また、このPANビーズ
は、従来のアクリルポリマービーズに比べ弾力性に富み
且つ適度の硬さを有するので、成形加工の際にこのPA
Nビーズに応力が集中しても、従来のアクリルポリマー
ビーズに比べ、より大きな力学的歪み緩和作用を示す。
このため、従来のアクリルポリマービーズを添加した上
記塗装金属板に比べ、このPANビーズを添加した当該
塗装金属板は、PANビーズを被覆する上記上塗り塗膜
の剥離および脱落を防止する能力が飛躍的に高くなり、
且つPANビーズと上記上塗り塗膜のマトリックス樹脂
との間のクラックや剥離も十分抑止される。発明者ら
が、PANビーズの含有量と上記上塗り塗膜の耐傷付き
性、耐塗膜かじり性、および塗膜加工性の関係について
調査したところ、上記PANビーズの含有量が上記塗膜
のマトリックス樹脂100重量部に対して1重量部未満
であると、十分な塗膜強度および潤滑性が得られないた
め耐傷付き性および耐塗膜かじり付き性が不足し、また
40重量部を越えると、耐傷付き性および耐塗膜かじり
付き性は確保されるが、塗膜の加工性が不十分となるこ
とが判明した。従って、このPANビーズの含有量は、
上記塗膜のマトリックス樹脂100重量部に対して1〜
40重量部程度の量で添加するのが好ましい。更に、こ
のPANビーズの平均粒径(r2 )と上記上塗り塗膜の
厚さ(T1 )を種々変化させ、塗膜強度を確保できる条
件について詳細に調査したところ、PANビーズの平均
粒径(r2 )と上記上塗り塗膜厚(T1 )の比率r2
1 が1.0より大きいとPANビーズが上記上塗り塗
膜表面より突出し滑雪性や塗膜加工性が低下するため、
この比率を1.0以下にすることが必要である。また、
この比率r2 /T1 が0.04より小さいと塗膜強度が
低下するので、この比率は0.04以上にすることが必
要となる。従って、PANビーズの平均粒径(r2 )と
塗膜の厚さ(T1 )が、0.04≦r2 /T1 ≦1.
0、となるように塗装することが好ましい。
【0015】(フッ素樹脂粉末)本発明のフッ化ビニリ
デン系フッ素樹脂塗装金属板の上塗り塗料において添加
されるフッ素樹脂粉末は、上塗り塗膜の潤滑性と滑雪性
および耐塗膜白化性を高めるために添加されるものであ
り、マトリックス樹脂の皮膜化を阻害しないものであれ
ば特に制限されるものではない。このような骨材として
例えば、ポリ四フッ化エチレン樹脂、エチレン−四フッ
化エチレン樹脂等を挙げることができる。また、これら
のフッ素樹脂粉末には、本発明の目的、効果を阻害しな
い範囲でフッ素樹脂に関する技術分野に公知の各種添加
剤を加えてもよい。発明者らが、フッ素樹脂粉末の含有
量と上塗り塗膜の密着性および耐傷付き性の関係につい
て調査したところ、フッ素樹脂粉末の含有量が上記マト
リックス樹脂100重量部に対して0.1重量部未満で
あると、上記上塗り塗膜の耐塗膜かじり性、滑雪性およ
び耐塗膜白化性が十分得られず、20重量部を越えると
上記上塗り塗膜の塗膜密着性および加工性が低下するこ
とが判明した。従って、これらのフッ素樹脂粉末は、上
記塗膜のマトリックス樹脂100重量部に対して0.1
〜20重量部程度の量で添加するのが好ましい。更に、
フッ素樹脂粉末の平均粒径(r3 )と上記上塗り塗膜の
厚さ(T1 )を種々変化させ、フッ素樹脂粉末が塗膜面
に突出しない条件および潤滑性を確保できる条件につい
て詳細に調査したところ、フッ素樹脂粉末は適度の硬さ
と適度の柔軟さを有し且つ潤滑性に優れるため、塗膜面
より突出した場合でも無機骨材のように、相手の塗膜を
損傷させることがないので、耐塗膜かじり性、耐塗膜白
化性を確保するという観点からは、平均粒径の上限は規
定するものではないが、このフッ素樹脂粉末の粒径が塗
膜厚より大きいと上記上塗り塗膜の塗膜密着性が低下
し、同時に加工性も低下する。更に、このフッ素樹脂粉
末が塗膜面より突出すると、上記上塗り塗膜面の凹凸が
大きくなり滑雪性が低下するため、フッ素樹脂粉末の平
均粒径(r3 )と上記上塗り塗膜厚(T 1 )の比率r3
/T1 は1.0以下にすることが必要である。また、こ
の比率r 3 /T1 が0.04より小さいと耐塗膜かじり
性および耐塗膜白化性が低下するので、この比率は0.
04以上にすることが必要となる。従って、フッ素樹脂
粉末の平均粒径(r3 )と塗膜の厚さ(T1 )が、0.
04≦r3 /T1 ≦1.0、となるように塗装すること
が好ましい。
【0016】(金属板の表面処理方法)このようにして
各添加剤が所定の規定範囲に調製され配合された本発明
による上塗り塗料を使用して金属板の表面処理を行う方
法について以下に説明する。本発明に用いる金属板は、
化成処理皮膜を形成できる金属板であれば特に制限され
るものではなく、例えば、溶融Znめっき鋼板、溶融Z
n−Al系合金めっき鋼板、溶融Zn−Al−Mg系合
金めっき鋼板、溶融Alめっき鋼板、ステンレス鋼板、
アルミニウム板等を用いることができる。
【0017】(前処理)本発明の第二の態様である金属
板の表面処理方法においては、まず前処理として塗装を
行う金属板をアルカリ脱脂、湯洗、水洗等により清浄化
することが好ましい。この清浄化方法は、本発明による
フッ化ビニリデン系フッ素樹脂皮膜が適正に形成された
ために必要な化成処理皮膜が形成できれば、特に制限さ
れるものではない。
【0018】(化成処理)このようにして清浄化された
金属板の表面に化成処理を施すが、この化成処理方法は
特に制限はなく、クロメート系皮膜およびノンクロメー
ト系皮膜のいずれも用いることができる。例えば、クロ
メート系皮膜の場合、耐蝕性、塗膜密着性を確保するた
め、クロム付着量を全Cr量換算で5〜100mg/m
2 とするのが好ましい。このクロム付着量は、クロメー
ト皮膜が水溶性もしくは水分散性の樹脂やシリカを含有
する場合でも、あるいはクロメート皮膜がリン酸−クロ
ム酸処理液により形成された場合であっても同様とする
のが好ましい。
【0019】(下塗り塗膜)このようにして形成された
化成処理皮膜の上に下塗り塗膜を形成するが、下塗り塗
膜のマトリックス樹脂の種類には特に制限はなく、例え
ば、従来のエポキシ系、ポリエステル系、エポキシ・ウ
レタン系、あるいはフェノキシ系樹脂等を用いることが
できる。下塗り塗膜の添加剤としては、セラミックビー
ズ等の無機骨材を用い、この無機骨材が下塗り塗膜より
突出せず且つ十分な膜強度が確保されるように規定され
た範囲となるように適量添加し、適正な膜厚で塗布す
る。また、下塗り塗膜の膜厚は、従来の3〜10μm程
度とする。更に、下塗り塗膜の防錆顔料として、クロム
酸ストロンチウム、クロム酸カルシウム、クロム酸バリ
ウム、クロム酸亜鉛等のクロム酸系防錆顔料、あるいは
リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、
炭酸カルシウム等のノンクロメート系の防錆顔料を単独
で用いても、または併用してもよい。
【0020】(上塗り塗膜)このようにして形成された
下塗り塗膜の上に、上記の上塗り塗料を、各添加物と乾
燥後の塗膜厚の比率が、塗膜より当該添加物が突出せ
ず、且つ塗膜強度が損なわれないように規定された範囲
となるように金属板に塗装して、上塗り塗膜のマトリッ
クス樹脂が皮膜化するのに十分な温度で十分な時間加熱
して焼付け乾燥を行い、皮膜化する工程を含む金属板の
表面処理方法に関する。当該上塗り塗膜の膜厚は、従来
の通常のフッ素樹脂塗装金属板と同じく15〜40μm
程度とする。この理由は膜厚が15μmより薄いと十分
な耐候性および耐蝕性が得られないからであり、また膜
厚が40μmを超えると、焼き付け乾燥の際にわきが発
生し易くなると共に製造コストが上昇するため、上記膜
厚は15〜40μmとすることが必要である。更に、下
塗り塗膜の膜厚は、従来の通常のフッ素樹脂塗装金属板
と同じく3〜10μmとする。この理由は3μmより薄
いと十分な耐蝕性が確保されないためであり、また10
μmを超えると焼き付け乾燥の際にわきが発生し易くな
ると共に下塗り塗膜の加工性も低下するので好ましくな
い。乾燥温度としては、塗料の溶媒の沸点以上で且つ樹
脂の溶質の融点以上の温度に加熱する。例えば、フッ化
ビニリデン系フッ素樹脂に、ガラスビーズとPANビー
ズおよびポリ四フッ化エチレン樹脂粉末が添加された塗
料では、加熱温度を250±10℃とするのが好まし
い。
【0021】
【実施例1】(金属板の化成処理)溶融亜鉛めっき鋼板
(板厚:0.35mm、片面めっき付着量:140g/
2 、以下GIと略記する)、および溶融亜鉛5%Al
めっき鋼板(板厚:0.35mm、片面めっき付着量:
140g/m2 、以下GTと略記する)の表面調製処理
を行い、次に当該めっき鋼板を湯洗、水洗により洗浄
し、乾燥させた。また、溶融Zn−55%Al−1.6
%Siめっき鋼板(板厚:0.35mm、片面めっき付
着量:75g/m2 、以下GSと略記する)をアルカリ
脱脂し、湯洗、水洗により洗浄し、乾燥させた。この
後、いずれの金属板にも、塗布型クロメート処理液(日
本ペイント(株)製、商品名:サ−フコートNRC30
0NS)をロールコ−タ−で塗布し、水洗することなく
100℃で乾燥させ、全Cr量が40mg/m2 のクロ
メート皮膜を形成した。
【0022】(塗装)次に、上記クロメート皮膜の上
に、防錆剤としてクロム酸ストロンチウムを不揮発分1
00重量部に対して25重量部を添加し、顔料として酸
化チタンおよびシリカを添加したエポキシ樹脂系の下塗
り塗料を乾燥膜厚で5μmとなるように塗装し、215
℃で乾燥させた。その後、ガラスビーズ、繊維状セラミ
ック、セラミックビーズ、ガラスビーズと繊維状セラミ
ックの組み合わせ、ガラスビーズとセラミックビーズの
組み合わせの各無機骨材とPANビーズとポリ四フッ化
エチレン粉末のフッ素樹脂粉末が、フッ化ビニリデン系
フッ素樹脂に対してそれぞれ所定の含有量となるよう
に、且つそれぞれ所定の平均粒径となるように添加され
たフッ化ビニリデン系フッ素樹脂上塗り塗料を乾燥膜厚
で22μmとなるように塗装し、250℃で乾燥させ
た。また、比較のため、平均粒径を特に規定していない
ガラスの無機骨材のみを添加したフッ化ビニリデン系フ
ッ素樹脂の上塗り塗料および添加剤無しのエナメル系樹
脂の上塗り塗料をそれぞれ上記の下塗り塗膜の上に上記
と同様にして塗装した。表1に本発明の実施例1と従来
法による比較例の塗膜組成を示す。
【0023】
【表1】
【0024】(注) 1)金属板の明細は次の通りである。 GT:溶融亜鉛5%Alめっき鋼板(板厚:0.35m
m、片面めっき付着量:140g/m2 ) GI:溶融亜鉛めっき鋼板(板厚:0.35mm、片面
めっき付着量:140g/m2 ) GS:溶融亜鉛55%Al−1.6%Siめっき鋼板
(板厚:0.35mm、片面めっき付着量:75g/m
2 ) 2)PANビーズ(ポリアクリロニトリルビーズ) 3)ポリ四フッ化エチレン 4)無機骨材を配合した上塗り塗料の配合A〜Gは次の
通りである。 A:平均粒径12μmのガラスビーズを5重量部添加。 B:平均粒径12μmのガラスビーズを20重量部添
加。 C:平均粒径3μm、長さ30μmの繊維状セラミック
を10重量部添加。 D:平均粒径2μmのセラミックビーズを20重量部添
加。 E:平均粒径12μmのガラスビーズを5重量部と平均
粒径3μm、長さ30μmの繊維状セラミックを5重量
部添加。 F:平均粒径12μmのガラスビーズを5重量部と平均
粒径2μmのセラミックビーズを5重量部添加。 G:平均粒径3μm 、長さ30μmの繊維状セラミック
を10重量部と平均粒径2μmのセラミックビーズを1
0重量部添加。 H:平均粒径12μmのガラスビーズを45重量部添
加。 I:平均粒径25μmのガラスビーズを5重量部添加。 J:平均粒径13μm、長さ35μmのガラス繊維を20
重量部添加。 K:無機骨材、有機骨材、PTFE粉末無添加(エナメ
ル塗料)。 5)重量部で表示。 6)r:平均粒径、T:塗膜厚 7)単位:μm
【0025】(評価)以上のように作製した塗装鋼板に
ついて、以下の特性評価を行った。表2に試験結果を示
す。
【0026】(1)塗膜密着性評価 20℃の室内で塗膜が外側になるように0〜10t
(t:材料の板厚)の180度の折り曲げ加工を順次行
い、その都度粘着テープで折り曲げ部の塗膜剥離試験に
よる塗膜密着性評価を行い、折り曲げ加工が0〜1tで
も塗膜剥離が発生しないものを記号◎で、同2tで塗膜
剥離が生じたものを記号○で、同3tで塗膜剥離が生じ
たものを記号△で、同4tで塗膜剥離が生じたものを記
号×で評価した。なお、建材用途には、本評価における
記号○以上が要求される。
【0027】(2)耐湿性評価 JIS K 2246に準拠し、温度70℃、相対湿度
98%の試験条件にて、3000時間行った。その結
果、平坦部に塗膜膨れの発生しないものを記号◎で、塗
膜膨れの発生したものを記号×で評価した。
【0028】(3)加工性評価 20℃の室内で塗膜が外側になるように0〜10tの1
80度折り曲げ加工を順次実施し、折り曲げ部のクラッ
ク発生状態を実体顕微鏡(倍率;30倍)で観察し、折
り曲げ加工が0〜4tでもクラックが発生しないものを
記号◎で、5tでクラックが発生したものを記号○で、
6tでクラックが発生したものを記号△で、7tでクラ
ックが発生したものを記号×で評価した。なお、建材用
途には、本評価における記号○以上が要求される。
【0029】(4)耐スクラッチ性評価 20℃の室内でキザミのない10円硬貨にて塗膜表面を
傷が下塗り塗膜に達するほどの圧下力で引っ掻き、その
後下塗り塗膜の露出状態を観察し、下塗り塗膜が露出し
ないものを記号◎で、下塗り塗膜の露出面積が30%未
満のものを記号○で、同露出面積が30〜50%のもの
を記号△で、同露出面積が50%超のものを記号×で評
価した。なお、建材用途には、本評価における記号○以
上が要求される。
【0030】(5)耐傷付き性評価 クレメンス型引っ掻き塗膜硬度試験機(東洋精機(株)
製)を用いて、20℃の室内で塗膜表面を先端径125
μmのダイヤモンド針で引っ掻き、素地鋼板のめっき層
が露出するまでの引っ掻き耐荷重(オモリの最小荷重が
50gであるため、例えば、500gの荷重で素地鋼板
のめっき層が露出した場合、耐荷重の評価は450gと
した)を測定し、耐荷重値で評価した。
【0031】(6)耐塗膜かじり性評価 20℃の室内で寸法が70×70mmの塗装鋼板を塗膜
が外側になるように曲率半径が5mmとなるように曲
げ、曲げ部の両端部を削り落とし、慴動試験片とした。
次に、この慴動試験片の曲げ加工部頂点を、固定台に取
り付けた寸法70×90mmの平板試験片の塗膜面と接
触させ、固定した。その後、慴動試験片に10kgの荷
重をかけた状態で平板試験片を左右に50往復(1往復
の距離:70mm)慴動させ、慴動試験片の曲げ加工部
頂点の下塗り塗膜と素地鋼板(めっき層)が露出しない
ものを記号◎で、露出面積が全体に対し10%以下のも
のを記号○で、同11〜30%のものを記号△で、同3
0%超のものを記号×で評価した。また、本評価におい
て、耐塗膜白化性評価も同時に行い、目視観察により試
験後の塗膜表面にて白化が殆ど認められないものを記号
◎で、白化が軽度のものを記号○で、白化が全面に目立
つものを記号△で、白化が全面に著しく発生したものを
記号×で評価した。なお、建材用途には、本評価におけ
る記号○以上が要求される。
【0032】(7)滑雪性評価 寸法が70×150mmの塗装鋼板の中央部に1ccの
水を滴下し、その上に縦・横・高さがそれぞれ35mm
の氷を置き、−20℃の冷凍庫内で24時間凍結させ
た。その後、氷が凍結している塗装鋼板を冷凍庫から取
り出し、20℃の室内で傾斜角30度の屋根型模型(温
度:4℃に冷却)の上に置き、塗装面から氷が滑り落ち
るまでの時間(保持時間)を測定し、評価した。また、
同様に、氷が塗装鋼板の中央部から最下部まで完全に落
下するまでの時間(保持時間)を測定し、評価した。
【0033】(8)耐候性評価 JIS A 1415に準拠し、ブラックパネル温度を
80℃に設定したサンシャインウェザーメーター試験機
で促進耐候性試験を5000時間実施し、試験後に塗膜
表面の色調変化が軽度であり、塗膜剥離および膨れの発
生が見られないものを記号◎で、従来の骨材無添加のエ
ナメル塗膜に比べ色調変化の度合いが大きい、あるいは
塗膜剥離または塗膜膨れのうち少なくとも1以上の発生
が見られたものを記号×で評価した。
【0034】(9)耐蝕性評価 クレメンス型引っ掻き塗膜硬度試験機を用いて、荷重4
50gにて塗膜表面を長さ50mm引っ掻くことによ
り、塗装鋼板の上塗り塗膜、下塗り塗膜および素地鋼板
のめっき層に傷を入れた試験片を作製した。なお、傷の
深さは、上塗り塗膜および下塗り塗膜の耐傷付き性でそ
れぞれ異なる。その後、この塗装鋼板を1%の硫酸溶液
中に24時間浸漬した後、更に、30サイクルの酸性雨
複合腐食試験(1サイクル:0.1%NaCl腐食液
噴霧(温度:35℃、pH:4、硫酸でpHを調整))
を1時間行い、次に4時間乾燥させ(温度:50℃)、
次に3時間湿潤環境下に置いた(温度:50℃、相対湿
度:98%)を行った後、傷付き部から発生した塗膜膨
れ(傷付き部の片側クリープ)を測定した。傷付き部か
ら塗膜膨れが発生していないものを記号◎で、最大塗膜
膨れ幅が0.5mm以下のものを記号○で、同0.6〜
1.0mmのものを記号△で、同1.0mm超のものを
記号×で評価した。表2に実施例1と従来法による比較
例の評価結果を示す。
【0035】
【表2】
【0036】(注) 1)金属板の明細は次の通りである。 GT:溶融亜鉛5%Alめっき鋼板(板厚:0.35m
m、片面めっき付着量:140g/m2 ) GI:溶融亜鉛めっき鋼板(板厚:0.35mm、片面
めっき付着量:140g/m2 ) GS:溶融亜鉛55%Al−1.6%Siめっき鋼板
(板厚:0.35mm、片面めっき付着量:75g/m
2 ) 2)氷の落下開始時間(秒)/氷が最下部まで落下する
のに要する時間(秒)
【0037】表2に示す通り、含有量および平均粒径に
ついて所定の範囲内に規定された各無機骨材とPANビ
ーズとポリ四フッ化エチレンを添加したフッ化ビニリデ
ン系フッ素樹脂の上塗り塗料で塗装した試験片では、塗
膜密着性、耐湿性、耐スクラッチ性、耐傷付き性、耐塗
膜かじり性、耐塗膜白化性、並びに耐蝕性ともに、いず
れも評価結果は◎であり、また加工性についても、評価
結果は◎〜○であり、建材用途の要求レベルを十分に満
たしている。一方、上記無機骨材のみを添加した上記上
塗り塗料または添加剤を全く添加しなかった上記上塗り
塗料では、加工性、耐塗膜かじり性、耐塗膜白化性、耐
蝕性に関して×が見られ、建材用途の要求基準に達して
いないものが存在する。また、滑雪性についても、所定
の条件に規定された添加剤を添加した上塗り塗料の試験
片の方が、添加剤について特に規定していないもの、ま
たは添加剤無しのものに比べ、いずれも同等以上に優れ
た性能を有している。
【0038】
【実施例2】防錆剤としてクロム酸ストロンチウムを不
揮発分100重量部に対して25重量部を添加し、顔料
として酸化チタンおよびシリカを添加したエポキシ樹脂
に、平均粒径を2μmに規定したセラミックビーズの無
機骨材をエポキシ樹脂100重量部に対して5〜20重
量部を含有する下塗り塗料を乾燥膜厚で5μmとなるよ
うに塗装し、引き続いて、実施例1と同様にして上塗り
塗料を塗装した。また、比較のため、上記防錆剤と上記
顔料を添加したエポキシ樹脂に平均粒径が2〜10μm
のセラミックビーズの無機骨材をエポキシ樹脂100重
量部に対して5〜45重量部を含有する下塗り塗料を乾
燥膜厚で5μmとなるように塗装した試験片を作製し
た。その後、各塗装鋼板について、実施例1と同様に評
価した。表3に実施例2と従来法による比較例の塗膜組
成、表4に実施例2と従来法による比較例の試験結果を
示す。
【0039】
【表3】
【0040】(注) 1)金属板の明細は次の通りである。 GT:溶融亜鉛5%Alめっき鋼板(板厚:0.35m
m、片面めっき付着量:140g/m2 ) GI:溶融亜鉛めっき鋼板(板厚:0.35mm、片面
めっき付着量:140g/m2 ) GS:溶融亜鉛55%Al−1.6%Siめっき鋼板
(板厚:0.35mm、片面めっき付着量:75g/m
2 ) 2)セラミックビーズ 3)実施例2および比較例1、2はPTFE粉末(ポリ
四フッ化エチレン、平均粒径:5μm、含有量1重量
部、r/T(粒径/塗膜厚):0.23)を添加。 4)ポリアクリロニトリルビーズ(PANビーズ) 5)単位:μm 6)重量部で表示。 7)r/T:半径/塗膜厚 8)無機骨材配合の上塗りの配合A、B、C、D、E、
F、G、Kは次の通りである。 A:平均粒径12μmのガラスビーズを5重量部添加。 B:平均粒径12μmのガラスビーズを20重量部添
加。 C:平均粒径3μm、長さ30μmの繊維状セラミック
を10重量部添加。 D:平均粒径2μmのセラミックビーズを20重量部添
加。 E:平均粒径12μmのガラスビーズを5重量部と平均
粒径3μm、長さ30μmの繊維状のセラミックを5重
量部添加。 F:平均粒径12μmのガラスビーズを5重量部と平均
粒径2μmのセラミックビーズを5重量部添加。 G:平均粒径3μm、長さ30μmの繊維状セラミック
を10重量部と平均粒径2μmのセラミックビーズを1
0重量部添加。 K:無機骨材、有機骨材、PTFE粉末無添加(エナメ
ル塗料)。
【0041】
【表4】
【0042】(注) 1)金属板の明細は次の通りである。 GT:溶融亜鉛5%Alめっき鋼板(板厚:0.35m
m、片面めっき付着量:140g/m2 ) GI:溶融亜鉛めっき鋼板(板厚:0.35mm、片面
めっき付着量:140g/m2 ) GS:溶融亜鉛55%Al−1.6%Siめっき鋼板
(板厚:0.35mm、片面めっき付着量:75g/m
2 ) 2)氷の落下開始時間(秒)/氷が最下部まで落下する
のに要する時間(秒)
【0043】表4に示す通り、セラミックビーズの無機
骨材をその平均粒径と含有量を規定した下塗り塗膜の試
験片では、塗膜密着性、耐湿性、耐スクラッチ性、耐傷
付き性、耐塗膜かじり性、耐塗膜白化性、並びに耐蝕性
ともに、いずれも評価結果は◎であり、また加工性につ
いても、評価結果は◎〜○であり、建材用途の要求レベ
ルを十分に満たしている。一方、無機骨材のみ添加した
上塗り塗料および添加剤無しの上塗り塗料では、加工
性、耐塗膜かじり性、耐塗膜白化性、耐蝕性に関して×
が見られ、建材用途の要求基準に達していないものがあ
る。また、滑雪性についても、所定の条件に規定された
添加剤を配合した上塗り塗料の試験片が、添加剤につい
て特に規定していないもの、または添加剤無しのものに
比べ、いずれも同等以上に優れた性能を有している。
【0044】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、フ
ッ化ビニリデン系フッ素樹脂をマトリックス樹脂とし、
これにセラミック系無機骨材とポリアクリロニトリルビ
ーズとフッ素樹脂粉末の含有物を適正な量且つ適正な平
均粒径で含む上塗り塗料を、当該含有物の平均粒径と乾
燥後の塗膜の膜厚との比率が適正な範囲となるように、
金属板上の下塗り塗膜の上に塗布し、適正な温度範囲に
て加熱乾燥し皮膜形成することによって、従来に比べ耐
傷付き性、耐塗膜かじり性、滑雪性が格段に優れた塗装
金属板を得ることが可能となる。
【0045】また更に、上記下塗り塗膜に、平均粒径を
適正化したセラミック系無機骨材を適正な量含有させ、
且つ当該無機骨材の平均粒径と乾燥後の上記下塗り塗膜
の膜厚との比率が適正な範囲となるように下塗り塗膜を
形成すれば、上塗り塗膜からの当該骨材の突出を十分に
防止することができ、従来に比べ耐傷付き性、耐塗膜か
じり性、滑雪性が飛躍的に優れた塗装金属板を得ること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 15/08 B32B 15/08 G 102 102B (72)発明者 大崎 勝久 千葉県市川市高谷新町7番地の1 日新製 鋼株式会社技術研究所内 (72)発明者 圓谷 浩 千葉県市川市高谷新町7番地の1 日新製 鋼株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4D075 BB28Z CA02 CA09 DA06 DB01 DC01 DC10 EB16 EC05 EC13 EC24 4F100 AB01A AB03 AD00B AD00C AG00 AK17B AK18 AK19B AK19C AK27B AL01B BA02 BA03 BA07 BA10A BA10B CA24B CA24C CC00B DE01B DE01C DE04B DG01 EJ64 JA20 JK16 YY00 4J038 CD111 CG162 KA08 MA02 NA11 PA07 PC02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ化ビニリデン系フッ素樹脂をマトリ
    ックス樹脂とし、平均粒径0.6〜40μmのセラミッ
    ク系無機骨材をマトリックス樹脂100重量部に対して
    1〜40重量部、平均粒径0.6〜40μmのポリアク
    リロニトリルビーズをマトリックス樹脂100重量部に
    対して1〜40重量部、および平均粒径0.6〜40μ
    mのフッ素樹脂粉末をマトリックス樹脂100重量部に
    対して0.1〜20重量部を含む耐傷付き性、耐塗膜か
    じり性および滑雪性を付与する金属板用の上塗り塗料。
  2. 【請求項2】 フッ化ビニリデン系フッ素樹脂をマトリ
    ックス樹脂とし、平均粒径(r1 )0.6〜40μmの
    セラミック系無機骨材をマトリックス樹脂100重量部
    に対して1〜40重量部、平均粒径(r2 )0.6〜4
    0μmのポリアクリロニトリルビ−ズをマトリックス樹
    脂100重量部に対して1〜40重量部、および平均粒
    径(r3 )0.6〜40μmのフッ素樹脂粉末をマトリ
    ックス樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部を
    含む上塗り塗料を乾燥後の塗膜の膜厚(T 1 )が、 0.04≦r1 /T1 ≦1.0、 0.04≦r2 /T1 ≦1.0、 0.04≦r3 /T1 ≦1.0、 となるように金属板に塗装して、マトリックス樹脂が皮
    膜化するのに十分な温度で十分な時間加熱して焼き付け
    乾燥を行い、皮膜化することを特徴とする耐傷付き性、
    耐塗膜かじり性および滑雪性を付与する金属板の表面処
    理方法。
  3. 【請求項3】 金属の表面に化成処理皮膜と、下塗り塗
    膜と、上塗り塗膜とを有する塗装金属板であって、上記
    上塗り塗膜が、フッ化ビニリデン系フッ素樹脂をマトリ
    ックス樹脂とし、セラミック系無機骨材をマトリックス
    樹脂100重量部に対して1〜40重量部、ポリアクリ
    ロニトリルビーズをマトリックス樹脂100重量部に対
    して1〜40重量部、フッ素樹脂粉末をマトリックス樹
    脂100重量部に対して0.1〜20重量部を含み、且
    つセラミック系無機骨材、ポリアクリロニトリルビーズ
    およびフッ素樹脂粉末の平均粒径(r4 )と上塗り塗膜
    厚(T1 )を、0.04≦r4 /T1 ≦1.0、とした
    ことを特徴とする、耐傷付き性、耐塗膜かじり性および
    滑雪性に優れた塗装金属板。
  4. 【請求項4】 上記下塗り塗膜が、セラミック系無機骨
    材を含み、その含有量をマトリックス樹脂100重量部
    に対して1〜40重量部とし、セラミック系無機骨材の
    平均粒径(r5 )と下塗り塗膜厚(T2 )を、0.05
    ≦r5 /T2 ≦1.0、としたことを特徴とする、請求
    項3に記載の耐傷付き性、耐塗膜かじり性および滑雪性
    に優れた塗装金属板。
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JP2021011052A (ja) * 2019-07-04 2021-02-04 凸版印刷株式会社 プリント鋼板

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