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JP2004209720A - 加工性および耐傷付き性に優れた塗装金属板 - Google Patents

加工性および耐傷付き性に優れた塗装金属板 Download PDF

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Abstract

【目的】金属板表面に形成された樹脂塗膜に硬質の熱硬化型有機樹脂粒子を分散させることにより、相反する加工性と耐傷付き性の両方の特性に優れた塗装金属板を提供する。
【構成】金属板M表面に形成された鉛筆硬度HB以下の樹脂塗膜Rに該樹脂塗膜Rより硬い球状の熱硬化型有機樹脂粒子Pが分散した塗装金属板であって、前記熱硬化型有機樹脂粒子Pはその最大粒子径が前記樹脂塗膜Rの平均膜厚hの3倍未満で、しかも樹脂塗膜の平均膜厚よりも大径の熱硬化型有機樹脂粒子を樹脂塗膜量に対して2〜20質量%塗膜中に分散させ、有機樹脂塗膜中に分散している熱硬化型有機樹脂粒子Pの隆起部が塗膜を構成する有機樹脂Rの薄い皮膜で覆われている。
その加工性を軟らかいベース樹脂塗膜Rに負わせ、耐摩耗性乃至耐傷付き性を塗膜中の硬質粒子Pに負わせて、上記両特性を併せもつ塗装金属板を得る。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、外装建材,内装建材,表装材,器物外板等に使用される、加工性および耐傷付き性に優れた塗装金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗装金属板、特に塗装鋼板は、目標形状に成形加工されて外装建材,内装建材,表装材,器物外板等に使用されている。
従来の塗装金属板は、その用途に応じて塗膜構成や有機樹脂塗膜の成分を設定している。使用態様に応じて、あるいは所望意匠を得るために、樹脂塗膜に対して種々の改良を施している。加工性能が必要とされる場合には塗膜の硬さを抑え、加工による塗膜の割れを防止する工夫が施されている。また、塗膜の傷付きや摩耗に対しては、逆に塗膜を硬くすることもある。さらには、艶消し調の外観や耐摩耗性を付与するために各種骨材を添加・分散させたりしている。そして、この種の骨材としては、シリカ,ガラスビーズ,ガラス繊維等の無機質粒子や、ポリエチレンビーズ,アクリルビーズ,ナイロンビーズ,尿素樹脂ビーズ等の有機質粒子が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、塗膜を軟らかくすると耐摩耗性が低下し、傷が付きやすくなる。逆に硬くすると加工性が低下する。例えば、特開2002−178448号公報では、上塗り塗膜と下塗り塗膜の軟化開始温度を規定することにより、加工性の良い上塗り塗膜で加工性を付与し、比較的硬い下塗り塗膜で耐傷付き性を付与している。しかしながら、一層の塗膜で両方の性能を付与することは容易でなない。また、樹脂塗膜に骨材粒子を分散させた塗装金属板を製品形状に成形加工しようとすると、樹脂と骨材粒子の硬度差が大きすぎるため骨材粒子周辺に応力が集中し、骨材周辺を起点にした亀裂が発生しやすい。このため骨材粒子を分散させた塗装金属板は加工性が低くなる。
さらに、骨材粒子の分散により耐摩耗性は向上しても、鋭利な硬質物が当たったときには目立つ傷が発生し、耐傷付き性という観点からは十分ではなかった。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、金属板表面に形成された樹脂塗膜に硬質の熱硬化型有機樹脂粒子を分散させることにより、相反する加工性と耐傷付き性の両方の特性に優れた塗装金属板を提供すること目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の加工性および耐傷付き性に優れた塗装金属板は、その目的を達成するため、金属板表面に形成された鉛筆硬度HB以下の樹脂塗膜に該樹脂塗膜より硬い球状の熱硬化型有機樹脂粒子が分散した塗装金属板であって、前記熱硬化型有機樹脂粒子はその最大粒子径が前記樹脂塗膜の平均膜厚の3倍未満で、樹脂塗膜の平均膜厚よりも大径の熱硬化型有機樹脂粒子が塗膜量に対して2〜20質量%で、しかも全熱硬化性有機樹脂粒子が塗膜量に対して20質量%以下配合されており、有機樹脂塗膜中に分散している熱硬化型有機樹脂粒子の隆起部が塗膜を構成する有機樹脂の薄い皮膜で覆われていることを特徴とする。
【0005】
【作用】
前記したように、有機樹脂塗装金属板は、一般的に塗膜を軟らかくすると耐摩耗性が低下して傷が付きやすく、硬くすると加工性が低下する。
本発明者等は、有機樹脂塗膜を形成した金属板に、優れた加工性および耐傷付き性を併せて持たせる手法について、鋭意検討を重ねてきた。その結果、金属板を被覆した有機樹脂塗膜中に硬質の有機樹脂粒子を分散させ、その加工性をベース樹脂塗膜に負わせ、耐摩耗性乃至耐傷付き性を塗膜中の硬質粒子に負わせることで、上記両特性を併せもつ塗装金属板が得られた。
【0006】
そのメカニズムを、本発明塗装金属板の塗膜断面を示す図1に基づいて説明する。
ベース樹脂に目標とする平均膜厚h以上の径を有する熱硬化型有機樹脂粒子Pを配合し、塗装すると、表面に凹凸を有した樹脂塗膜Rが形成される。平均膜厚h以上の径の熱硬化型有機樹脂粒子Pは、表面がベース樹脂の薄い皮膜で覆われ、平均膜厚h未満の径の熱硬化型有機樹脂粒子Pは塗膜表面の凹凸に影響することなく塗膜中に分散している。粒子の形状としては、真球状で径が大きいものほど塗膜表面に凹凸を与えることができる。樹脂塗膜中に分散された有機樹脂粒子Pは、ベース樹脂塗料との濡れ性がよく、塗膜形成時に粒子表面は薄い皮膜で覆われることとなり、加工やスクラッチを受けても脱落することはない。
そして塗膜の加工性は、ベース樹脂の硬度によって決定されるので、硬度の低い樹脂を選択することによって加工性を付与することができる。
【0007】
ところで、硬度が低い樹脂塗膜Rを、硬質物質、例えば硬貨CによってスクラッチSした場合、図2(a)に示すように、傷付き面積が広く、連続的に傷Wが付くために塗膜表面に線状の傷が入る。しかしながら、熱硬化型有機樹脂粒子Pを添加して表面に凹凸を付けた樹脂塗膜RをスクラッチSした場合、図2(b)に示すように、硬貨Cが熱硬化型有機樹脂粒子Pによる凸部にのみ接触するため、傷付き面積が少なくなり、しかも連続した傷Wとならないために目立つ傷とはならない。
さらに、塗膜中に分散された熱硬化型有機樹脂粒子Pは、ベース樹脂Rに対して濡れ性が良いために、塗膜形成時に粒子表面にもベース樹脂の薄い皮膜が形成され、粒子は容易には脱落しない。また有機樹脂粒子は無機質粒子ほど硬質ではなく、弾力性があるので、緩衝材的な作用も有している。
【0008】
【実施の態様】
本発明の塗装金属板に使用されるベース樹脂としては、塗装金属板の加工性が塗膜樹脂の硬さに影響されるので、塗膜硬度の低い樹脂、具体的には塗膜の鉛筆硬度がHB以下のものが使用される。塗膜鉛筆硬度がHBを超えるものは加工性が低下するため、本発明の塗膜形成には適さない。この条件を満たすものであれば、熱硬化或いは熱可塑の限定はない。
熱硬化型樹脂塗料としては、ウレタン樹脂系塗料,高分子ポリエステル樹脂系塗料,ポリエステル樹脂系塗料等が使用される。熱可塑性樹脂塗料としては塩化ビニール,アクリルゾル,フッ素樹脂系塗料等が使用される。本発明による塗装金属板を、耐候性が要求されるが外装建材として使用する場合には、耐候性に優れるウレタン樹脂系塗料を、内装・器物等に用いられる場合には、高分子ポリエステル樹脂系塗料を用いることが好ましい。ウレタン樹脂系塗膜に比べて高分子ポリエステル樹脂系塗膜は一般的に耐候性が低く、耐候性を向上させようとすると加工性が低下するため、加工性と耐候性の両立が難しい。
【0009】
ベース樹脂塗膜中分散させる熱硬化型有機樹脂粒子としては、ベース樹脂塗膜よりも硬い樹脂を素材としたものを用いる。熱可塑性の有機樹脂粒子を用いると、塗料の焼付け時に樹脂が軟化し、塗料の硬化による収縮とともに粒子の変形が起こりやすく、塗膜表面に所望の凹凸が形成され難い。熱硬化型の架橋粒子であれば、塗料焼付け時に変形することがなく、塗膜表面に粒径に応じた凹凸を形成することができる。
ベース樹脂塗膜よりも硬い熱硬化型有機樹脂としては、ポリアクリロニトリル,アクリル,ウレタン,尿素樹脂等が使用される。これらの有機樹脂の粒子を、後述するような方法で数十μm程度の大きさで製造すると、その硬度はビッカース硬度(Hv)で5〜30程度になっている。なお、この有機樹脂粒子の硬度は微小ビッカース硬度計にて測定される。具体的には、有機樹脂粒子をエポキシ系有機樹脂に埋め込み、耐水研磨紙を用いて研磨し、その断面で、圧痕が粒子径の1/3程度に収まる程度の測定荷重を掛けて測定することができる。ところで、ベース樹脂塗膜は軟らかすぎてビッカースによる圧痕が回復してしまうため、上記ビッカース硬度は測定できない。
【0010】
粒子形状としては、球状であり、より真球度の高いものを用いることが好ましい。粒子形状はより真球に近い方が、配合する粒径に応じた凹凸が得られるため、塗膜表面に形成される凹凸の状態を予測しやすい。また形状が偏平である場合は凹凸が得られ難く、楕円形の場合でも塗装時に粒子が横になりやすい。鋭利な角をもった形状の場合は、粒子表面に薄い皮膜が付きにくくなることや、傷付き時に引っ掛かりができて耐傷付き性が得られなくなる。
粒子の表面状態としては、滑らかであるよりも細かな凹凸がある方がベース樹脂との密着性がよくなる。粒子と樹脂の密着性が良くないと、加工等によって樹脂塗膜が伸ばされたときに粒子と樹脂の界面に隙間が発生し、樹脂塗膜の加工性を低下させる。したがって、熱硬化型有機樹脂粒子としては、表面に微細な凹凸があるものを使用することが好ましい。
このような熱硬化型有機樹脂粒子は、水系沈殿重合法等で製造される。ポリアクリロニトリルビーズの製造法に関しては、特願2002−321426号の明細書中で紹介している。
【0011】
粒子の大きさとしては、最大粒子径がベース樹脂塗膜平均膜厚の3倍未満のものを使用する。粒子径が塗膜平均膜厚の3倍以上のものが分散されていると、粒子表面に薄い皮膜を形成でき難くなる。同時に塗装が困難になり、皮膜を形成できても脱落しやすくなって、塗膜の表面性状を悪化させることになる。
そして、ベース樹脂塗膜平均膜厚よりも大きな径の有機樹脂粒子量は、塗膜量に対して2〜20質量%とし、かつ有機樹脂粒子全体量に対しては20質量%以下とする。平均膜厚よりも大きな径の有機樹脂粒子量が2質量%に満たないと、塗膜表面の凹凸が少なく、耐傷付き性が得られない。有機樹脂粒子全体量が20質量%を超えると、ベース樹脂本来の加工性が得られず、塗膜の加工性が低下する。有機樹脂粒子量の絶対量を抑えるためには小径の有機樹脂粒子の割合が少ない方が好ましい。
【0012】
ベース樹脂塗料に、上記熱硬化型の有機樹脂粒子を配合する。
ベース樹脂塗料には、有機樹脂粒子の他に、必要に応じて顔料,ワックス,分散剤,レベリング剤等が配合される。
ベース樹脂塗料に熱硬化型有機樹脂粒子やその他の添加剤を混合・分散させる際、粒子の凝集がなく、分散性が良い場合には従来の攪拌で分散が可能である。粒子が凝集している場合や分散性が悪い場合、塗膜中で粒子が凝集し、加工性の低下や耐傷付き性の低下につながるので、3本ロールを用いる等で十分に分散させることが好ましい。
【0013】
本発明の塗装金属板に使用される金属板には、材質的な制約は受けることなく、種々の金属板が使用できる。例えば、冷延鋼板,溶融Znめっき鋼板,電気Znめっき鋼板,溶融Al−Zn合金めっき鋼板,溶融Al−Zn−Mg合金めっき鋼板,溶融Alめっき鋼板,ステンレス鋼板,アルミニウム合金板,銅板,銅合金板等が使用できる。
塗装に先立って、耐食性や塗膜密着性を向上させるために、通常の脱脂・酸洗や表面調整、及びクロメート処理,リン酸塩処理,クロムフリー処理等の塗装前処理を必要に応じて下地金属板に施すこともできる。
【0014】
塗装前処理された下地金属板に前記有機樹脂粒子分散塗料を塗布し、乾燥・焼付けすることによって樹脂塗膜が形成される。
有機樹脂粒子分散塗膜を形成する前に、下塗り塗膜を形成しても良い。下塗り塗装には、防錆顔料を配合したエポキシ樹脂系あるいはポリエステル樹脂系の塗料を用いることが好ましい。
下塗り塗膜,有機樹脂粒子分散樹脂塗膜の形成は、通常の塗膜形成法と同様に、塗料をロールコータ,カーテンコータ等で下地金属板上に塗布した後、200〜250℃×1分程度の乾燥・焼付けで行われる。
【0015】
【実施例】
実施例1:
片面当りめっき付着量75g/m2の、Al:55質量%を含むAl−Zn合金めっき層が形成された板厚0.5mmの溶融Al−Zn合金めっき鋼板をゼンジミア方式の連続溶融めっきラインで製造した。
Al−Zn合金めっき鋼板をアルカリ脱脂処理した後、湯洗,水洗により洗浄し、乾燥した。次いで、塗布型クロメート処理液をロールコーターで塗布し、100℃で乾燥させ、全Cr付着量40mg/m2のクロメート皮膜を形成した。
クロメート皮膜の上に、クロム酸ストロンチウムを不揮発分にして25質量%を配合したエポキシ系樹脂の下塗り塗料を塗装・焼付けすることにより、プライマー塗膜を形成した。
プライマー塗膜の上に鉛筆硬度HBのウレタン系樹脂をベース樹脂として、各種熱硬化性有機樹脂粒子を12.5質量%配合した塗料を乾燥平均膜厚として35μmとなるように塗装・焼付けをすることにより表面塗膜を形成し、平均膜厚以上の粒子配合量が2質量%以上のものを実施例1〜3、2質量%未満のものを比較例4,5、熱可塑性有機樹脂粒子を配合したものを比較例6、および熱硬化性有機樹脂粒子を配合していない塗膜を比較例7とした。
【0016】
各塗装鋼板から試験片を切り出し、加工性試験および耐傷付き性試験に供した。
〔加工性試験〕
サイズ50mm×50mmの試験片を使用し、試験片の圧延方向と直角に試験面を外にして直径2mmの棒の回りに約1秒かけて180度折り曲げた。折り曲げに際し、曲げ部内側に試験片と同じ厚さの厚さの板を2枚挟み込み、万力を用いて急速に締め付けた。
曲げ部外側にある塗膜を倍率20倍の視野で観察し、割れが検出できなかった塗膜を◎,微細な割れが発生した塗膜を○,中程度の割れが発生した塗膜を△,著しい割れが発生した塗膜を×として加工性を評価した。
【0017】
〔耐傷つき性〕
サイズ100mm×100mmの試験片を使用し、試験片の表面塗膜をスクラッチ方向に45度傾けた10円銅貨で圧延方向と平行にスクラッチした。試験装置として、新東科学株式会社製の連続荷重式表面性測定機トライボギアTYPE18を用い、荷重400g,スクラッチ速度600m/minで50mmスクラッチした。
スクラッチした50mmの中の前後10mmを除いた部分を目視にて観察し、傷が観察されなかった塗膜を◎,部分的に傷が確認できた塗膜を○,中程度の傷が線状に連続して確認された塗膜を△,著しい傷が線状に連続して発生した塗膜を×として耐傷付き性を評価した。
【0018】
各塗装鋼板表層塗膜の熱硬化性有機樹脂粒子の構成および配合量、ならびに試験結果を併せて表1に示す。
表1に示す結果にみられるように、本発明例1〜3の塗装鋼板は加工性および耐傷付き性に優れ、加工試験による塗膜割れや耐傷付き性試験による傷の発生は認められなかった。
この結果から、鉛筆試験HB以下のベース樹脂に、該ベース樹脂よりも硬くしかもその平均膜厚以上の粒径の熱硬化型有機樹脂粒子を配合させることにより、加工性および耐傷付き性に優れることが確認できた。
他方、平均膜厚以上の大きさの熱硬化型有機樹脂粒子の配合量が2質量%未満の比較例4および5は、加工性には優れているが、耐傷付き性試験により線状に連続した傷が確認された。また、熱可塑性有機樹脂粒子を配合した比較例6は、塗膜焼付け時に粒子の変形が起こり、塗膜表面の凹凸が小さく、耐傷付き性試験により線状に連続した傷が確認された。さらに、熱硬化型有機樹脂粒子が配合されていない比較例7では著しい傷が発生していた。
【0019】
Figure 2004209720
【0020】
実施例2:
実施例1と同じAl−Zn合金めっき鋼板に、同じ処理を施して製造したプライマー塗膜形成めっき鋼板を使用した。
プライマー塗膜の上に鉛筆硬度HBのウレタン系樹脂をベース樹脂として、ポリアクリロニトリル(PAN)粒子の粒子径および配合量を変えて乾燥平均膜厚が35μmになるように表層塗膜を形成した。平均粒子径50μmおよび35μmのポリアクリロニトリル粒子を平均膜厚以上の粒子配合量が2質量%以上であり、全配合量が20質量%以下の塗膜を本発明例11〜16とし、全配合量が1質量%および30質量%の塗膜を比較例17〜20、最大粒子径が125μmの塗膜を比較例21とした。
【0021】
各塗装鋼板から試験片を切り出し、実施例1と同じ加工性試験および耐傷付き性試験に供した。
各塗装鋼板表層塗膜の熱硬化性有機樹脂粒子の構成および配合量、ならびに試験結果を併せて表2に示す。
表2に示す結果にみられるように、本発明例11〜16の塗装鋼板は加工性および耐傷付き性に優れ、加工試験による塗膜割れや耐傷付き性試験による傷の発生は認められなかった。
この結果から、鉛筆試験HB以下のベース樹脂に、該ベース樹脂よりも硬くしかもその平均膜厚以上の粒径の熱硬化型有機樹脂粒子を2質量%以上、全粒子配合量20質量%以下配合させることにより、加工性を維持したまま耐傷付き性が向上されることが確認できた。
他方、比較例17〜20にみられるように、平均膜厚以上の大きさの熱硬化型有機樹脂粒子配合量が2質量%に満たないと耐傷付き性に対して効果を示さず、全粒子量が20質量%を超えると加工性の低下に繋がる。
また、比較例21にみられるように、最大粒子径が塗膜平均膜厚の3倍を超えて大きすぎると塗装時に粒子による筋引きが起こり、健全な塗膜が形成されなくなる。
【0022】
Figure 2004209720
【0023】
実施例3:
実施例1と同じAl−Zn合金めっき鋼板に、同じ処理を施して製造したプライマー塗膜形成めっき鋼板を使用した。
プライマー塗膜の上に、ベース樹脂の異なる塗料に平均粒径30μmのPAN粒子を2.2および11.1質量%配合し、乾燥平均膜厚が15μmになるように塗装・焼付けを行い表層塗膜を形成した。ベース樹脂の鉛筆硬度がHB以下の塗膜を本発明例31〜34とし、HBを超えるベース樹脂の塗膜を比較例35〜38とした。
【0024】
各塗装鋼板から試験片を切り出し、実施例1と同じ加工性試験および耐傷付き性試験に供した。
各塗装鋼板表層塗膜のベース樹脂硬度およびPAN粒子の配合量、ならびに試験結果を併せて表3に示す。
表3に示す結果にみられるように、本発明例31〜34の塗装鋼板は加工性および耐傷付き性に優れ、加工試験による塗膜割れや耐傷付き性試験による傷の発生は認められなかった。
この結果から、鉛筆試験HB以下のベース樹脂に、該ベース樹脂よりも硬くしかもその平均膜厚以上の粒径の熱硬化型有機樹脂粒子を2質量%以上、全粒子配合量20質量%以下配合させることにより、加工性を維持したまま耐傷付き性が向上されることが確認できた。
他方、比較例35〜38にみられるように、鉛筆試験がHBよりも硬いベース樹脂を用いた塗料では、熱硬化型のPAN粒子の配合により耐傷付き性の効果は認められたものの、ベース樹脂の加工性が劣るため、加工による塗膜の割れが確認された。加工性能としては、ベース樹脂の硬い方が著しい割れ発生しており、ベース樹脂の硬度が高ほど加工性が低下することがわかる。
【0025】
Figure 2004209720
【0026】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明においては、金属板表面に形成された比較的軟らかい樹脂塗膜中に、この樹脂塗膜よりも硬い球状の熱硬化型有機樹脂粒子を分散させた塗装金属板であって、前記熱硬化型有機樹脂粒子の最大粒子径を前記樹脂塗膜の平均膜厚の3倍未満で、しかも樹脂塗膜の平均膜厚よりも大径の熱硬化型有機樹脂粒子を樹脂塗膜量に対して2〜20質量%塗膜中に分散させ、前記熱硬化型有機樹脂粒子の隆起部を、塗膜を構成する有機樹脂の薄い皮膜で覆わせることにより、その加工性を軟らかい樹脂塗膜に負わせ、耐摩耗性乃至耐傷付き性を塗膜中の硬質有機樹脂粒子に負わせて、加工性と耐傷付き性の両特性に優れた塗装金属板を提供することができる。
したがって、本発明により、加工性に優れ、艶消し外観を長期にわたって維持できる塗装鋼板を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明塗装金属板の塗膜断面構造を説明する図
【図2】硬貨でスクラッチしたときの塗膜の傷付き状況を模式的に説明する図、(a)が有機樹脂粒子を分散していない塗膜で、(b)が有機樹脂粒子を分散している塗膜

Claims (1)

  1. 金属板表面に形成された鉛筆硬度HB以下の樹脂塗膜に該樹脂塗膜より硬い球状の熱硬化型有機樹脂粒子が分散した塗装金属板であって、前記熱硬化型有機樹脂粒子はその最大粒子径が前記樹脂塗膜の平均膜厚の3倍未満で、樹脂塗膜の平均膜厚よりも大径の熱硬化型有機樹脂粒子が塗膜量に対して2〜20質量%で、しかも全熱硬化性有機樹脂粒子が塗膜量に対して20質量%以下配合されており、有機樹脂塗膜中に分散している熱硬化型有機樹脂粒子の隆起部が塗膜を構成する有機樹脂の薄い皮膜で覆われていることを特徴とする加工性および耐傷付き性に優れた塗装金属板。
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