[go: up one dir, main page]

JP2000332249A - 半導体装置の作製方法 - Google Patents

半導体装置の作製方法

Info

Publication number
JP2000332249A
JP2000332249A JP13506399A JP13506399A JP2000332249A JP 2000332249 A JP2000332249 A JP 2000332249A JP 13506399 A JP13506399 A JP 13506399A JP 13506399 A JP13506399 A JP 13506399A JP 2000332249 A JP2000332249 A JP 2000332249A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
region
film
crystal
catalyst element
tft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP13506399A
Other languages
English (en)
Inventor
Chiho Kokubo
千穂 小久保
Yoshie Takano
圭恵 高野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Original Assignee
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd filed Critical Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority to JP13506399A priority Critical patent/JP2000332249A/ja
Publication of JP2000332249A publication Critical patent/JP2000332249A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Thin Film Transistor (AREA)
  • Recrystallisation Techniques (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本願発明で開示する発明は、従来と比較し
て、さらに結晶成長に要する熱処理時間を短縮してプロ
セス簡略化を図る。 【解決手段】一つの活性層204を挟んで二つの触媒元
素導入領域201、202を配置して結晶化を行い、活
性層204が触媒元素導入領域201と、そこから成長
した結晶の先端部205に挟まれた領域に存在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は薄膜トランジスタ
(以下、TFTという)で構成された回路を有する半導
体装置およびその作製方法に関する。例えば、液晶表示
パネルに代表される電気光学装置およびその様な電気光
学装置を部品として搭載した電子機器に関する。
【0002】なお、本明細書中において半導体装置と
は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を
指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て
半導体装置である。
【0003】
【従来の技術】近年、絶縁表面を有する基板上に形成さ
れた半導体薄膜(厚さ数〜数百nm程度)を用いて薄膜
トランジスタ(TFT)を構成する技術が注目されてい
る。薄膜トランジスタはICや電気光学装置のような電
子デバイスに広く応用され、特に画像表示装置のスイッ
チング素子として開発が急がれている。
【0004】TFTの活性層を形成する半導体薄膜とし
て、これまで非晶質シリコン膜(典型的にはアモルファ
スシリコン膜)が多用されてきたが、より動作速度の速
いTFTの需要が高まり結晶質シリコン膜(典型的には
ポリシリコン膜)が主流になりつつある。この結晶質シ
リコン膜を得る技術としては、非晶質シリコン膜を成膜
した後、加熱処理またはレーザー光の照射によって結晶
化させる方法がよく用いられている。
【0005】また、非晶質シリコン膜を成膜した後、非
晶質シリコン膜の結晶化を助長させるための触媒元素
(例えばニッケル)を導入し、加熱処理を行って結晶質
シリコン膜を得る技術(特開平6−232059号、特
開平7−321339号)が開示されている。この技術
によれば、短時間で均一な結晶質シリコン膜を得ること
ができる。
【0006】しかし、非晶質シリコン膜の結晶化を助長
させるための触媒元素はTFTの特性を悪化させる場合
が多い。そこで、結晶化させた後、触媒元素が高濃度に
存在する領域をエッチング等によって除去している。
【0007】以下に非晶質シリコン膜の結晶化を助長さ
せるための触媒元素を用いた結晶化技術及び、触媒元素
が高濃度に存在する領域を除去する技術を具体的に示
す。
【0008】図1において、101はシリコン膜、10
2はシリコン膜面における帯状の領域(以下、触媒元素
導入領域と呼ぶ)である。また、103は触媒元素導入
領域以外のシリコン膜面を覆う酸化珪素マスクである。
なお、酸化珪素マスク103を用いることにより、触媒
元素導入領域102に触媒元素を選択的に導入する。
【0009】まず、触媒元素を触媒元素導入領域102
に導入し、熱処理を行うことによって触媒元素導入領域
102から絶縁表面に対して平行な方向、かつ触媒元素
導入領域102の長辺に対してほぼ垂直な方向に結晶を
成長させる。なお、104は結晶成長の方向を示してい
る。
【0010】こうして得られた結晶成長の先端部を10
5とする。結晶成長の先端部105には触媒元素が高濃
度に存在することが知られている。ある結晶成長距離を
越えると、シリコン膜101のうち、帯状の触媒元素導
入領域102と触媒元素が高濃度に存在する結晶成長の
先端部105との間にTFTの活性層を配置できる領域
が形成される。
【0011】次いで、結晶成長の先端部105と帯状の
触媒元素導入領域102とで挟まれた領域を用いてTF
Tの活性層を形成する際に、触媒元素が高濃度に存在す
る他の領域(少なくとも結晶成長の先端部105を含
む)をエッチングによって除去する。
【0012】従来では、後の工程によりTFTの活性層
となる領域が、結晶成長の先端部105と帯状の触媒元
素導入領域102とで挟まれた領域内に存在するよう
に、触媒元素導入領域102の配置を決定し、結晶化の
ための熱処理条件を決定していた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本願発明で開示する発
明は、従来と比較して、さらに結晶成長に要する熱処理
時間を短縮してプロセス簡略化を図ることを課題とす
る。
【0014】また、近年の回路の微細化及び集積化に伴
い、少ないスペースに触媒元素導入領域を効率よく配置
することも本願発明の課題の一つである。
【0015】従来では、後の工程によりTFTの活性層
となる領域が、結晶成長の先端部と帯状の触媒元素導入
領域とで挟まれた領域内に存在するように、触媒元素導
入領域の配置を決定すればよいとされていた。また、触
媒元素は結晶化後の工程で除去しても、完全に除去する
のが困難であるため、必要最低限の量を導入すればよい
とされていた。
【0016】そのため、触媒元素導入領域は、後の工程
によりTFTの活性層となる領域に対して、一方の側に
一つ設けられていた。なお、一つの触媒元素導入領域
(幅w=10μm)のみ配置された場合の570℃にお
ける結晶成長速度は約3μm/hr程度であった。
【0017】本発明人らは、結晶成長条件が触媒元素導
入領域の幅及び配置間隔に大きく依存していることに着
目し、従来と比較して結晶成長を効率よく行う方法を見
出した。
【0018】
【課題を解決するための手段】本明細書で開示する発明
の構成は、非晶質シリコン膜を形成する工程と、前記非
晶質シリコン膜に結晶化を助長する触媒元素を選択的に
導入する工程と、加熱処理により前記触媒元素が導入さ
れた領域から結晶成長させる工程と、前記結晶成長させ
た領域を用いてTFTの活性層を形成する工程とを有す
ることを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0019】また、他の発明の構成は、非晶質シリコン
膜を形成する工程と、前記非晶質シリコン膜に結晶化を
助長する触媒元素を選択的に導入する工程と、加熱処理
により前記触媒元素が導入された領域から結晶成長させ
る工程と、前記結晶成長させた領域に存在する前記触媒
元素を除去または低減させる工程と、前記触媒元素を除
去または低減された領域を用いてTFTの活性層を形成
する工程とを有することを特徴とする半導体装置の作製
方法である。
【0020】また、上記各構成において、前記触媒元素
を選択的に導入する工程は、前記非晶質シリコン膜の一
部を露呈させる開口部を有したマスクを用いて行われ、
前記マスクは、前記結晶成長を行わせた領域を挟んで複
数の開口部を有していることを特徴とする半導体装置の
作製方法。
【0021】また、上記構成において、前記開口部と、
前記結晶成長を行わせた領域の端部との間にTFTの活
性層を形成することを特徴としている。
【0022】上記各構成において、前記結晶化を助長す
る触媒元素は、Ni、Fe、Co、Cu、Ge、Pdか
ら選ばれた一種または複数種類であることを特徴として
いる。
【0023】本明細書では、触媒元素導入領域の配置を
決定することにより、結晶成長を効率よく行う技術を以
下に説明する。
【0024】本願発明人らは、図2に示したように、一
つの活性層204を挟んで二つの触媒元素導入領域20
1、202を配置して結晶化を行う実験を行った。
【0025】後の工程によりTFTの活性層となる領域
204を2つの触媒元素導入領域201、202が挟ん
だ状態で結晶化を行えば、一方の触媒元素導入領域から
他方の触媒元素導入領域に向かって互いに結晶が成長す
ることになる。なお、TFTの活性層となる領域204
が触媒元素導入領域201と、そこから成長した結晶の
先端部205に挟まれた領域に存在するように、触媒元
素導入領域201が配置されているものとする。
【0026】まず、65nmの膜厚を有する非晶質シリ
コン膜と、150nmの膜厚を有する酸化珪素膜を積層
した。次いで、触媒元素導入領域201、202に触媒
元素を導入するため、酸化珪素膜に非晶質シリコン膜に
達する開口部を形成した。この開口部によって露呈され
たシリコン膜面における帯状の領域が触媒元素導入領域
となる。
【0027】次いで、結晶成長を助長させる触媒元素と
してニッケルを用い、重量換算で10ppmのニッケル
元素を含んだ酢酸ニッケルエタノール溶液を用いて触媒
元素導入領域にニッケル元素を導入した。最後に、57
0℃の熱処理を行い結晶成長させた。
【0028】図2において、結晶成長方向203(一方
の触媒元素導入領域201から、他方の触媒元素導入領
域202に向かう方向)における結晶成長速度をv、2
つの触媒元素導入領域201、202の間隔距離をdと
する。また、触媒元素導入領域201、202の幅をw
とする。ここでは、w=10μmとした場合と、w=3
0μmとした場合とでそれぞれ結晶化のための熱処理を
行った。
【0029】上記条件において、2つの触媒元素導入領
域に挟まれた領域の間隔距離dの値から結晶成長速度v
を算出したグラフを図3に示す。図3から明らかなよう
に、結晶成長速度vは間隔距離dに依存し、間隔距離d
<400μmの範囲においては、間隔距離dが大きけれ
ば結晶成長速度vは小さくなる。ただし、間隔距離dが
400μmを越えると結晶成長速度vは飽和する傾向に
ある。この飽和した結晶成長速度vの値は、1つの触媒
元素導入領域のみを配置して結晶化させた時の結晶成長
速度とほぼ等しい。
【0030】このようにして本願発明人らは、結晶成長
条件が2つの触媒元素導入領域の間隔距離dに大きく依
存していることを見出した。また、触媒元素導入領域2
02から触媒元素導入領域201へ向かう方向の結晶成
長速度も同様に間隔距離dに依存する。
【0031】従って、所望の領域を挟んで2つの触媒元
素導入領域を配置し、その間隔距離dを小さくすれば効
率よく短時間で所望の領域の結晶化を行うことができ
る。ただし、間隔距離dは、結晶成長距離の2倍または
それ以上である。加えて、間隔距離dは、400μm>
d≧2×(触媒元素導入領域201と活性層となる領域
204との間隔+結晶成長方向203における活性層と
なる領域204の幅)である。
【0032】また、触媒元素導入領域の幅wが広くなる
につれて、結晶成長速度vは大きくなる。従って、触媒
元素導入領域の幅wを広くすれば効率よく短時間で結晶
化を行うことができる。
【0033】なお、熱処理条件等のパラメーターを変化
させても結晶成長速度vと間隔距離dとの間に成立する
関係は変わらなかった。
【0034】図3の関係を利用して、結晶化を行いたい
領域を結晶化させるために必要な触媒元素導入領域の幅
wと間隔距離dを決定することにより結晶成長速度vを
上げて短時間で結晶化を行うことが可能となった。結晶
成長に要する時間を短縮することは、プロセス簡略化を
図る上で大変重要である。
【0035】以下に触媒元素導入領域の幅wと間隔距離
dの決定手順の一例を示す。
【0036】例えば、図3の関係を得た上記条件と同じ
条件(非晶質シリコン膜の膜厚は65nm、触媒元素導
入用マスクに用いた酸化珪素膜の初期膜厚は150n
m、重量換算で10ppmのニッケル元素を含んだ酢酸
ニッケルエタノール溶液を添加し、570℃の熱処理を
する)を用いて非晶質シリコン膜を結晶化させる場合を
考える。
【0037】また、所望の領域(ここではTFTの活性
層となる領域)は図4に示すように配置されている場合
を考える。図4において、活性層となる領域401、4
02は200μm間隔で配置されている。活性層となる
領域401、402の幅をそれぞれ20μmとした。
【0038】ここでは、活性層となる領域401、40
2と触媒元素導入領域との間のマージンを10μmとす
る。また、一方の触媒元素導入領域より成長した結晶の
先端部からのマージンを10μmとし、結晶の先端部に
挟まれた領域に活性層となる領域401、402を配置
する。従って、活性層となる領域401、402を結晶
化するための結晶成長距離は40μm(10μm+20
μm+10μm)以上必要である。
【0039】10μmの幅wを有する3つの触媒元素導
入領域503、504、505をそれぞれ図5に示すよ
うに配置すると、間隔距離dは190μm(200μm
−10μm)となる。従って、図3より間隔距離dは1
90μmの時の結晶成長速度は約7μm/hrであるこ
とが読みとれるので、結晶化に必要な熱処理時間は5.
7時間と算出できる。
【0040】また、上記例とは他の例として所望の領域
(ここではTFTの活性層となる領域)が図6に示すよ
うに配置されている場合を考える。図6において、活性
層となる領域601、602は500μm間隔で配置さ
れている。活性層となる領域601、602の幅はそれ
ぞれ60μmである。
【0041】この場合においては、同様に幅wが10μ
mの触媒元素導入領域を配置したと仮定して算出した場
合(d=490μm)、結晶化に必要な時間は27.8
時間となる。図5の配置に比べて図6の配置では結晶化
に要する時間が長くなってしまうことがわかる。従っ
て、図6の場合においては、触媒元素導入領域の幅wを
30μmとする。間隔距離d=470μmとなり、図3
により結晶化に必要な時間は11.4時間と算出でき
る。さらに、幅wを30μm以上とすればさらに熱処理
時間を短縮できる。
【0042】なお、触媒元素導入領域の幅wは結晶成長
速度vと間隔距離dとの関係が得られていれば、特に1
0μmや30μmに限定されない。ただし、この触媒元
素導入領域の幅wは熱処理条件と、必要な結晶成長距離
に応じて決定することが望ましい。
【0043】以上のように、図3を利用すれば、ある熱
処理時間において、必要な結晶成長距離を得るための触
媒元素導入領域の配置を決定することができる。
【0044】以上の構成でなる本願発明について、以下
に示す発明の実施の形態でもってさらに詳細な説明を行
うこととする。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図8
〜10を用いて説明する。ここでは、同一基板上に画素
部とその画素部を駆動するための駆動回路とを同時に作
製する方法について説明する。ただし、説明を簡単にす
るために駆動回路のうち、バッファー回路部の一部を図
示することとする。
【0046】図8はバッファー回路部全体のうち端の部
分を示した図で、2つのインバーター回路801、80
2が一番端に配置されており、図示しないが図の下側に
は同様な回路が周期的に配置されている。また、805
は結晶質シリコン膜のパターン、806はゲート線、8
07、808、809はソース線である。
【0047】まず、65nmの膜厚を有する非晶質シリ
コン膜と、150nmの膜厚を有する酸化珪素膜を積層
した。次いで、触媒元素導入領域に触媒元素を導入する
ため、酸化珪素膜に非晶質シリコン膜に達する開口部を
形成した。この開口部によって露呈されたシリコン膜面
における帯状の領域が触媒元素導入領域となる。
【0048】次いで、結晶成長を助長させる触媒元素と
してニッケルを用い、重量換算で10ppmのニッケル
元素を含んだ酢酸ニッケルエタノール溶液を用いて触媒
元素導入領域にニッケル元素を導入した。
【0049】各活性層の幅は60μmである。結晶成長
の先端部がTFTの活性層に配置された場合、特性が悪
化する。従って、本発明においては、結晶成長の先端部
とTFTの活性層との間にある程度のマージンをもたせ
て配置する。ただし、先端部は、偏差σで約1μm程度
のばらつきをもっていることを考慮に入れると、好まし
くは、マージンを2μm以上とすればよい。ここでは、
マージンを10μmとした。
【0050】活性層となる領域を結晶化させるのに必要
な結晶成長距離は、80μm(10μm+60μm+1
0μm)以上である。触媒元素導入領域の間隔距離d
は、(500−w)μmである。図3より、触媒元素導
入領域の幅w=10μm、d=490μmの場合、結晶
化に必要な時間は27.8時間である。触媒元素導入領
域の幅wを10μmにした場合は、結晶化の時間が長く
なってしまう。従って、触媒元素導入領域の幅wを30
μmにする。図3より、w=30μm、d=470μm
のときに結晶化に必要な時間は12.4時間と算出でき
る。よって、570℃、11.4時間の熱処理において
活性層となる領域に10μmのマージンを加えた領域を
結晶化することができる。
【0051】よって、図9に示すように幅30μmの触
媒元素導入領域910、911を配置する。なお、図9
は図8に用いた同一の符号を用いた。
【0052】以上のように、図3の関係を用いて各素子
に適した触媒元素導入領域の配置を決定することができ
る。
【0053】こうして2つの触媒元素導入領域の間隔距
離dを調節して結晶成長速度を大きくし、短時間で結晶
化された結晶質シリコン膜を用いてTFTや他の素子の
半導体部分に用いて半導体装置を完成させる。
【0054】
【実施例】[実施例1]本実施例では本発明の構成につ
いて図10〜図13を用い、画素部とその周辺に設けら
れるドライバー回路の基本形態であるCMOS回路を同
時に形成したアクティブマトリクス基板の作製方法につ
いて説明する。
【0055】図10(A)において、基板1001に
は、ガラス基板や石英基板やシリコン基板を使用するこ
とが望ましい。本実施例では石英基板を用いた。その他
にも金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形
成したものを基板としても良い。本実施例の場合、80
0℃以上の温度に耐えうる耐熱性を要求されるので、そ
れを満たす基板であればどのような基板を用いても構わ
ない。
【0056】そして、基板1001のTFTが形成され
る表面には、20〜100nm(好ましくは40〜80
nm)の厚さの非晶質構造を含む半導体膜1002を減
圧熱CVD法、プラズマCVD法またはスパッタ法で形
成する。なお、本実施例では60nm厚の非晶質シリコ
ン膜を形成するが、後に熱酸化工程があるのでこの膜厚
が最終的なTFTの活性層の膜厚になるわけではない。
【0057】また、非晶質構造を含む半導体膜として
は、非晶質半導体膜、微結晶半導体膜があり、さらに非
晶質シリコンゲルマニウム膜などの非晶質構造を含む化
合物半導体膜も含まれる。さらに、基板上に下地膜と非
晶質シリコン膜とを大気解放しないで連続的に形成する
ことも有効である。そうすることにより基板表面の汚染
が非晶質シリコン膜に影響を与えないようにすることが
可能となり、作製されるTFTの特性バラツキを低減さ
せることができる。
【0058】次に、非晶質シリコン膜1002上に珪素
(シリコン)を含む絶縁膜でなるマスク膜1003を形
成し、パターニングによって開口部1004a、100
4bを形成する。この開口部によって露呈された非晶質
シリコン膜面における帯状の領域が、次の結晶化工程の
際に結晶化を助長する触媒元素を導入するための触媒元
素導入領域となる。(図10(A))
【0059】この触媒元素導入領域の位置が後の結晶化
工程において重要となる。本実施例では図示しないが、
活性層となる領域から10μmのマージンをとり、帯状
の第1の触媒元素導入領域(幅w=10μm)を配置し
た。そして、活性層となる領域を挟むように第2の触媒
元素導入領域を配置した。実施者は、図3を用いて、こ
の第1の触媒元素導入領域と第2の触媒元素導入領域と
の間隔距離d及び触媒元素導入領域の幅wを適宜決定す
ればよい。本実施例ではd=190μm、w=10μm
とした。ただし、全て同じ間隔距離dや幅wにする必要
はなく、回路配置を考慮して、適宜実施者が決定すれば
よい。
【0060】なお、珪素を含む絶縁膜としては、酸化シ
リコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜を用い
ることができる。窒化酸化シリコン膜は、珪素、窒素及
び酸素を所定の量で含む絶縁膜であり、SiOxNyで
表される絶縁膜である。窒化酸化シリコン膜はSiH4
とN2OとNH3を原料ガスとして作製することが可能で
あり、含有する窒素濃度が25atomic%以上50atomic%
未満とすると良い。
【0061】また、このマスク膜1003のパターニン
グを行うと同時に、後のパターニング工程の基準となる
マーカーパターンを形成しておく。マスク膜1003を
エッチングする際に非晶質シリコン膜1002も僅かに
エッチングされるが、この段差が後にマスク合わせの時
にマーカーパターンとして用いることができるのであ
る。
【0062】次に、特開平10−247735号公報
(米国出願番号09/034,041に対応)に記載さ
れた技術に従って、結晶構造を含む半導体膜を形成す
る。同公報記載の技術は、非晶質構造を含む半導体膜の
結晶化に際して、結晶化を助長する触媒元素(ニッケ
ル、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、パラジウム、
鉄、銅から選ばれた一種または複数種の元素)を用いる
結晶化手段である。
【0063】具体的には、非晶質構造を含む半導体膜の
表面に触媒元素を保持させた状態で加熱処理を行い、非
晶質構造を含む半導体膜を、結晶構造を含む半導体膜に
変化させるものである。なお、結晶化手段としては、特
開平7−130652号公報の実施例1に記載された技
術を用いても良い。また、結晶質構造を含む半導体膜に
は、いわゆる単結晶半導体膜も多結晶半導体膜も含まれ
るが、同公報で形成される結晶構造を含む半導体膜は結
晶粒界を有している。
【0064】なお、同公報では触媒元素を含む層をマス
ク膜上に形成する際にスピンコート法を用いているが、
触媒元素を含む薄膜をスパッタ法や蒸着法といった気相
法を用いて成膜する手段をとっても良い。
【0065】また、非晶質シリコン膜は含有水素量にも
よるが、好ましくは400〜550℃で1時間程度の加
熱処理を行い、水素を十分に脱離させてから結晶化させ
ることが望ましい。その場合、含有水素量を5atom%以
下とすることが好ましい。
【0066】結晶化工程は、まず400〜500℃で1
時間程度の熱処理工程を行い、水素を膜中から脱離させ
た後、500〜650℃(好ましくは550〜600
℃)で6〜16時間(好ましくは8〜14時間)の熱処
理を行う。
【0067】本実施例では、触媒元素としてニッケルを
用い、触媒元素導入領域の幅および位置を上述のように
工夫したため、570℃、5.7時間の熱処理で結晶化
することができた。その結果、開口部1004a、10
04bを起点として概略基板と平行な方向(矢印で示し
た方向)に結晶化が進行し、巨視的な結晶成長方向が揃
った結晶構造を含む半導体膜(本実施例では結晶質シリ
コン膜)1005a〜1005dが形成された。(図10
(B))なお、1005bと1005cの境界は、結晶
成長がぶつかる領域であり、比較的高濃度にニッケルが
存在している。
【0068】次に、結晶化の工程で用いたニッケルを結
晶質シリコン膜から除去するゲッタリング工程を行う。
本実施例では、先ほど形成したマスク膜1003をその
ままマスクとして15族に属する元素(本実施例ではリ
ン)を添加する工程を行い、開口部1004a、100
4bで露出した結晶質シリコン膜に1×1019〜1×1
20atoms/cm3の濃度でリンを含むリン添加領域(以
下、ゲッタリング領域という)1006a、1006bを
形成する。(図10(C))
【0069】次に、窒素雰囲気中で450〜650℃
(好ましくは500〜550℃)、4〜24時間(好ま
しくは6〜12時間)の熱処理工程を行う。この熱処理
工程により結晶質シリコン膜中のニッケルは矢印の方向
に移動し、リンのゲッタリング作用によってゲッタリン
グ領域1006a、1006bに捕獲される。即ち、結晶
質シリコン膜中からニッケルが除去されるため、ゲッタ
リング後の結晶質シリコン膜1007a〜1007dに含
まれるニッケル濃度は、1×1017atms/cm3以下、好ま
しくは1×1016atms/cm3にまで低減することができ
る。
【0070】次に、マスク膜1003を除去し、結晶質
シリコン膜1007a〜1007d上に後の不純物添加時
のために保護膜1008を形成する。保護膜1008は
100〜200nm(好ましくは130〜170nm)
の厚さの窒化酸化シリコン膜または酸化シリコン膜を用
いると良い。この保護膜1008は不純物添加時に結晶
質シリコン膜が直接プラズマに曝されないようにするた
めと、微妙な濃度制御を可能にするための意味がある。
【0071】そして、その上にレジストマスク1009
を形成し、保護膜1008を介してp型を付与する不純
物元素(以下、p型不純物元素という)を添加する。p
型不純物元素としては、代表的には13族に属する元
素、典型的にはボロンまたはガリウムを用いることがで
きる。この工程(チャネルドープ工程という)はTFT
のしきい値電圧を制御するための工程である。なお、こ
こではジボラン(B26)を質量分離しないでプラズマ
励起したイオンドープ法でボロンを添加する。勿論、質
量分離を行うイオンインプランテーション法を用いても
良い。
【0072】この工程により1×1015〜1×1018at
oms/cm3(代表的には5×1016〜5×1017atoms/c
m3)の濃度でp型不純物元素(本実施例ではボロン)を
含む不純物領域1010a、1010bを形成する。な
お、本明細書中では上記濃度範囲でp型不純物元素を含
む不純物領域(但し、リンは含まれていない領域)をp
型不純物領域(b)と定義する。(図10(D))
【0073】次に、レジストマスク1009を除去し、
結晶質シリコン膜をパターニングして島状の半導体層
(以下、活性層という)1011〜1014を形成す
る。図示しないが、結晶質シリコン膜をエッチングする
際に基板または基板上に設けられている下地膜も僅かに
エッチングされる。そのため、触媒元素導入領域を配置
した跡がわずかに残る。
【0074】なお、活性層1011〜1014は、ニッ
ケルを選択的に導入して結晶化することによって、非常
に結晶性の良い結晶質シリコン膜で形成されている。具
体的には、棒状または柱状の結晶が、特定の方向性を持
って並んだ結晶構造を有している。また、結晶化後、ニ
ッケルをリンのゲッタリング作用により除去又は低減し
ており、活性層1011〜1014中に残存する触媒元
素の濃度は、1×1017atms/cm3以下、好ましくは1×
1016atms/cm3である。(図10(E))
【0075】また、pチャネル型TFTの活性層101
1は意図的に導入された不純物元素を含まない領域であ
り、nチャネル型TFTの活性層1012〜1014は
p型不純物領域(b)となっている。本明細書中では、
この状態の活性層1011〜1014は全て真性または
実質的に真性であると定義する。即ち、TFTの動作に
支障をきたさない程度に不純物元素が意図的に導入され
ている領域が実質的に真性な領域と考えて良い。
【0076】次に、プラズマCVD法またはスパッタ法
により10〜100nm厚の珪素を含む絶縁膜を形成す
る。本実施例では、30nm厚の窒化酸化シリコン膜を
形成する。この珪素を含む絶縁膜は、他の珪素を含む絶
縁膜を単層または積層で用いても構わない。
【0077】次に、800〜1150℃(好ましくは9
00〜1000℃)の温度で15分〜8時間(好ましく
は30分〜2時間)の熱処理工程を、酸化性雰囲気下で
行う(熱酸化工程)。本実施例では酸素雰囲気中に3体
積%の塩化水素を添加した雰囲気中で950℃、80分
の熱処理工程を行う。なお、図10(D)の工程で添加
されたボロンはこの熱酸化工程の間に活性化される。
(図11(A))
【0078】なお、酸化性雰囲気としては、ドライ酸素
雰囲気でもウェット酸素雰囲気でも良いが、半導体層中
の結晶欠陥の低減にはドライ酸素雰囲気が適している。
また、本実施例では酸素雰囲気中にハロゲン元素を含ま
せた雰囲気としたが、100%酸素雰囲気で行っても構
わない。
【0079】この熱酸化工程の間、珪素を含む絶縁膜と
その下の活性層1011〜1014との界面においても
酸化反応が進行する。本願発明ではそれを考慮して最終
的に形成されるゲート絶縁膜1015の膜厚が50〜2
00nm(好ましくは100〜150nm)となるよう
に調節する。本実施例の熱酸化工程では、60nm厚の
活性層のうち25nmが酸化されて活性層1011〜1
014の膜厚は45nmとなる。また、30nm厚の珪
素を含む絶縁膜に対して50nm厚の熱酸化膜が加わる
ので、最終的なゲート絶縁膜1015の膜厚は110n
mとなる。
【0080】次に、新たにレジストマスク1016〜1
019を形成する。そして、n型を付与する不純物元素
(以下、n型不純物元素という)を添加してn型を呈す
る不純物領域1020〜1022を形成する。なお、n
型不純物元素としては、代表的には15族に属する元
素、典型的にはリンまたは砒素を用いることができる。
(図11(B))
【0081】この不純物領域1020〜1022は、後
にCMOS回路およびサンプリング回路のnチャネル型
TFTにおいて、LDD領域として機能させるための不
純物領域である。なお、ここで形成された不純物領域に
はn型不純物元素が2×10 16〜5×1019atoms/cm3
(代表的には5×1017〜5×1018atoms/cm3)の濃
度で含まれている。本明細書中では上記濃度範囲でn型
不純物元素を含む不純物領域をn型不純物領域(b)と
定義する。
【0082】なお、ここではフォスフィン(PH3)を
質量分離しないでプラズマ励起したイオンドープ法でリ
ンを1×1018atoms/cm3の濃度で添加する。勿論、質
量分離を行うイオンインプランテーション法を用いても
良い。この工程では、ゲート膜1015を介して結晶質
シリコン膜にリンを添加する。
【0083】次に、600〜1000℃(好ましくは7
00〜800℃)の不活性雰囲気中で熱処理を行い、図
11(B)の工程で添加されたリンを活性化する。本実
施例では800℃、1時間の熱処理を窒素雰囲気中で行
う。(図11(C))
【0084】この時、同時にリンの添加時に損傷した活
性層及び活性層とゲート絶縁膜との界面を修復すること
が可能である。この活性化工程は電熱炉を用いたファー
ネスアニールが好ましいが、ランプアニールやレーザー
アニールといった光アニールを併用しても良い。
【0085】この工程によりn型不純物領域(b)10
20〜1022の境界部、即ち、n型不純物領域(b)
の周囲に存在する真性又は実質的に真性な領域(勿論、
p型不純物領域(b)も含む)との接合部が明確にな
る。このことは、後にTFTが完成した時点において、
LDD領域とチャネル形成領域とが非常に良好な接合部
を形成しうることを意味する。
【0086】次に、ゲート配線となる導電膜を形成す
る。なお、ゲート配線は単層の導電膜で形成しても良い
が、必要に応じて二層、三層といった積層膜とすること
が好ましい。本実施例では、第1導電膜1023と第2
導電膜1024とでなる積層膜を形成する。(図11
(D))
【0087】ここで第1導電膜1023、第2導電膜1
024としては、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、
モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(C
r)、シリコン(Si)から選ばれた元素、または前記
元素を主成分とする導電膜(代表的には窒化タンタル
膜、窒化タングステン膜、窒化チタン膜)、または前記
元素を組み合わせた合金膜(代表的にはMo−W合金
膜、Mo−Ta合金膜、タングステンシリサイド膜等)
を用いることができる。
【0088】なお、第1導電膜1023は10〜50n
m(好ましくは20〜30nm)とし、第2導電膜10
24は200〜400nm(好ましくは250〜350
nm)とすれば良い。本実施例では、第1導電膜102
3として、50nm厚の窒化タングステン(WN)膜
を、第2導電膜1024として、350nm厚のタング
ステン膜を用いる。なお、図示しないが、第1導電膜1
023の下にシリコン膜を2〜20nm程度の厚さで形
成しておくことは有効である。これによりその上に形成
される導電膜の密着性の向上と、酸化防止を図ることが
できる。
【0089】また、第1導電膜1023として窒化タン
タル膜、第2導電膜としてタンタル膜を用いることも有
効である。
【0090】次に、第1導電膜1023と第2導電膜1
024とを一括でエッチングして400nm厚のゲート
配線1025〜1028を形成する。この時、ドライバ
ー回路に形成されるゲート配線1026、1027はn
型不純物領域(b)1020〜1022の一部とゲート
絶縁膜1015を介して重なるように形成する。この重
なった部分が後にLov領域となる。なお、ゲート配線1
028a、1028bは断面では二つに見えるが実際は連
続的に繋がった一つのパターンから形成されている。
(図11(E))
【0091】次に、レジストマスク1029を形成し、
p型不純物元素(本実施例ではボロン)を添加して高濃
度にボロンを含む不純物領域1030、1031を形成
する。本実施例ではジボラン(B26)を用いたイオン
ドープ法(勿論、イオンインプランテーション法でも良
い)により3×1020〜3×1021atoms/cm3(代表的
には5×1020〜1×1021atoms/cm3)濃度でボロン
を添加する。なお、本明細書中では上記濃度範囲でp型
不純物元素を含む不純物領域をp型不純物領域(a)と
定義する。(図12(A))
【0092】次に、レジストマスク1029を除去し、
ゲート配線及びpチャネル型TFTとなる領域を覆う形
でレジストマスク1032〜1034を形成する。そし
て、n型不純物元素(本実施例ではリン)を添加して高
濃度にリンを含む不純物領域1035〜1041を形成
する。ここでも、フォスフィン(PH3)を用いたイオ
ンドープ法(勿論、イオンインプランテーション法でも
良い)で行い、この領域のリンの濃度は1×1020〜1
×1021atoms/cm3(代表的には2×1020〜5×10
21atoms/cm3)とする。(図12(B))
【0093】なお、本明細書中では上記濃度範囲でn型
不純物元素を含む不純物領域をn型不純物領域(a)と
定義する。また、不純物領域1035〜1041が形成
された領域には既に前工程で添加されたリンまたはボロ
ンが含まれるが、十分に高い濃度でリンが添加されるこ
とになるので、前工程で添加されたリンまたはボロンの
影響は考えなくて良い。従って、本明細書中では不純物
領域1035〜1041はn型不純物領域(a)と言い
換えても構わない。
【0094】次に、レジストマスク1032〜1034
を除去し、珪素を含む絶縁膜でなるキャップ膜1042
を形成する。膜厚は25〜100nm(好ましくは30
〜50nm)とすれば良い。本実施例では25nm厚の
窒化珪素膜を用いることとする。キャップ膜1042は
後の活性化工程でゲート配線の酸化を防ぐ保護膜として
も機能するが、厚く形成しすぎると応力が強くなって膜
はがれ等の不具合が発生するので好ましくは100nm
以下とすることが好ましい。
【0095】次に、ゲート配線1025〜1028をマ
スクとして自己整合的にn型不純物元素(本実施例では
リン)を添加する。こうして形成された不純物領域10
43〜1046には前記n型不純物領域(b)の1/2
〜1/10(代表的には1/3〜1/4)の濃度(但
し、前述のチャネルドープ工程で添加されたボロン濃度
よりも5〜10倍高い濃度、代表的には1×1016〜5
×1018atoms/cm3、典型的には3×1017〜3×10
18atoms/cm3、)でリンが添加されるように調節する。
なお、本明細書中では上記濃度範囲でn型不純物元素を
含む不純物領域(但し、p型不純物領域(a)を除く)
をn型不純物領域(c)と定義する。(図12(C))
【0096】この工程では105nmの膜厚の絶縁膜
(キャップ膜1042とゲート絶縁膜1015との積層
膜)を通してリンを添加することになるが、ゲート配線
1034a、1034bの側壁に形成されたキャップ膜も
マスクとして機能する。即ち、キャップ膜1042の膜
厚に相当する長さのオフセット領域が形成されることに
なる。なお、オフセット領域とは、チャネル形成領域に
接して形成され、チャネル形成領域と同一組成の半導体
膜でなるが、ゲート電圧が印加されないため反転層(チ
ャネル領域)を形成しない高抵抗な領域を指す。オフ電
流値を下げるためにはLDD領域とゲート配線の重なり
を極力抑えることが重要であり、そういう意味でオフセ
ット領域を設けることは有効と言える。
【0097】なお、本実施例のように、チャネル形成領
域にも1×1015〜1×1018atoms/cm3の濃度でp型
不純物元素を含んでいる場合、当然オフセット領域にも
同濃度でp型不純物元素が含まれる。
【0098】このオフセット領域の長さは、実際にゲー
ト配線の側壁に形成されるキャップ膜の膜厚や不純物元
素を添加する際の回り込み現象(マスクの下に潜り込む
ように不純物が添加される現象)によって決まるが、L
DD領域とゲート配線との重なりを抑えるという観点か
らすれば、本願発明のようにn型不純物領域(c)を形
成する際に、前もってキャップ膜を形成しておくことは
非常に有効である。
【0099】なお、この工程ではゲート配線で隠された
部分を除いて全ての不純物領域にも1×1016〜5×1
18atoms/cm3の濃度でリンが添加されているが、非常
に低濃度であるため各不純物領域の機能には影響を与え
ない。また、n型不純物領域(b)1043〜1046
には既にチャネルドープ工程で1×1015〜1×10 18
atoms/cm3の濃度のボロンが添加されているが、この工
程ではp型不純物領域(b)に含まれるボロンの5〜1
0倍の濃度でリンが添加されるので、この場合もボロン
はn型不純物領域(b)の機能には影響を与えないと考
えて良い。
【0100】但し、厳密にはn型不純物領域(b)10
47、1048のうちゲート配線に重なった部分のリン
濃度が2×1016〜5×1019atoms/cm3のままである
のに対し、ゲート配線に重ならない部分はそれに1×1
16〜5×1018atoms/cm3の濃度のリンが加わってお
り、若干高い濃度でリンを含むことになる。
【0101】次に、第1層間絶縁膜1049を形成す
る。第1層間絶縁膜1049としては、珪素を含む絶縁
膜、具体的には窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化
酸化シリコン膜またはそれらを組み合わせた積層膜で形
成すれば良い。また、膜厚は100〜400nmとすれ
ば良い。本実施例では、プラズマCVD法でSiH4
2O、NH3を原料ガスとし、200nm厚の窒化酸化
シリコン膜(但し窒素濃度が25〜50atomic%)を用
いる。
【0102】その後、それぞれの濃度で添加されたn型
またはp型不純物元素を活性化するために熱処理工程を
行った。この工程はファーネスアニール法、レーザーア
ニール法、ランプアニール法またはそれらを併用して行
うことができる。ファーネスアニール法で行う場合は、
不活性雰囲気中において500〜800℃、好ましくは
550〜600℃で行えば良い。本実施例では600
℃、4時間の熱処理を行い、不純物元素を活性化する。
(図12(D))
【0103】なお、本実施例では窒化シリコン膜104
2と窒化酸化シリコン膜1049とを積層した状態でゲ
ート配線を覆い、その状態で活性化工程を行っている。
本実施例ではタングステンを配線材料として用いている
が、タングステン膜は非常に酸化に弱いことが知られて
いる。即ち、保護膜で覆って酸化してもピンホールが保
護膜に存在すればただちに酸化されてしまう。ところ
が、本実施例では酸化防止膜としては非常に有効な窒化
シリコン膜を用い、且つ、窒化シリコン膜に対して窒化
酸化シリコン膜を積層しているため、窒化シリコン膜の
ピンホールの問題を気にせずに高い温度で活性化工程を
行うことが可能である。
【0104】次に、活性化工程の後、3〜100%の水
素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜4時間の
熱処理を行い、活性層の水素化を行う。この工程は熱的
に励起された水素により半導体層のダングリングボンド
を終端する工程である。水素化の他の手段として、プラ
ズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)
を行っても良い。
【0105】活性化工程を終えたら、第1層間絶縁膜1
049の上に500nm〜1.5μm厚の第2層間絶縁
膜1050を形成する。本実施例では第2層間絶縁膜1
050として800nm厚の酸化シリコン膜をプラズマ
CVD法により形成する。こうして第1層間絶縁膜(窒
化酸化シリコン膜)1049と第2層間絶縁膜(酸化シ
リコン膜)1050との積層膜でなる1μm厚の層間絶
縁膜を形成する。
【0106】なお、後の工程で耐熱性が許せば、第2層
間絶縁膜1050として、ポリイミド、アクリル、ポリ
アミド、ポリイミドアミド、BCB(ベンゾシクロブテ
ン)等の有機樹脂膜を用いることも可能である。
【0107】その後、それぞれのTFTのソース領域ま
たはドレイン領域に達するコンタクトホールが形成さ
れ、ソース配線1051〜1054と、ドレイン配線1
055〜1057を形成する。なお、CMOS回路を形
成するためにドレイン配線1055はpチャネル型TF
Tとnチャネル型TFTとの間で共通化されている。ま
た、図示していないが、本実施例ではこの配線を、Ti
膜を200nm、Tiを含むアルミニウム膜500n
m、Ti膜100nmをスパッタ法で連続して形成した
3層構造の積層膜とする。(図13(A))
【0108】次に、パッシベーション膜1058とし
て、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、または窒化酸化
シリコン膜で50〜500nm(代表的には200〜3
00nm)の厚さで形成する。この時、本実施例では膜
の形成に先立ってH2、NH3等水素を含むガスを用いて
プラズマ処理を行い、成膜後に熱処理を行う。この前処
理により励起された水素が第1、第2層間絶縁膜中に供
給される。この状態で熱処理を行うことで、パッシベー
ション膜1058の膜質を改善するとともに、第1、第
2層間絶縁膜中に添加された水素が下層側に拡散するた
め、効果的に活性層を水素化することができる。
【0109】また、パッシベーション膜1058を形成
した後に、さらに水素化工程を行っても良い。例えば、
3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450
℃で1〜12時間の熱処理を行うと良く、あるいはプラ
ズマ水素化法を用いても同様の効果が得られる。なお、
水素化工程後に画素電極とドレイン配線を接続するため
のコンタクトホールを形成する位置において、パッシベ
ーション膜1058に開口部(図示せず)を形成してお
いても良い。
【0110】その後、有機樹脂からなる第3層間絶縁膜
1059を約1μmの厚さに形成する。有機樹脂として
は、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドア
ミド、BCB(ベンゾシクロブテン)等を使用すること
ができる。有機樹脂膜を用いることの利点は、成膜方法
が簡単である点や、比誘電率が低いので、寄生容量を低
減できる点、平坦性に優れる点などが上げられる。なお
上述した以外の有機樹脂膜や有機系SiO化合物などを用
いることもできる。ここでは、基板に塗布後、熱重合す
るタイプのポリイミドを用い、300℃で焼成して形成
する。
【0111】次に、画素部となる領域において、第3層
間絶縁膜1059上に遮蔽膜1060を形成する。な
お、本明細書中では光と電磁波を遮るという意味で遮蔽
膜という文言を用いる。遮蔽膜1060はアルミニウム
(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)から選ば
れた元素でなる膜またはいずれかの元素を主成分とする
膜で100〜300nmの厚さに形成する。本実施例で
は1wt%のチタンを含有させたアルミニウム膜を125n
mの厚さに形成する。
【0112】なお、第3層間絶縁膜1059上に酸化シ
リコン膜等の絶縁膜を5〜50nm形成しておくと、こ
の上に形成する遮蔽膜の密着性を高めることができる。
また、有機樹脂で形成した第3層間絶縁膜1059の表
面にCF4ガスを用いたプラズマ処理を施すと、表面改
質により膜上に形成する遮蔽膜の密着性を向上させるこ
とができる。
【0113】また、このチタンを含有させたアルミニウ
ム膜を用いて、遮蔽膜だけでなく他の接続配線を形成す
ることも可能である。例えば、ドライバー回路内で回路
間をつなぐ接続配線を形成できる。但し、その場合は遮
蔽膜または接続配線を形成する材料を成膜する前に、予
め第3層間絶縁膜にコンタクトホールを形成しておく必
要がある。
【0114】次に、遮蔽膜1060の表面に陽極酸化法
またはプラズマ酸化法(本実施例では陽極酸化法)によ
り20〜100nm(好ましくは30〜50nm)の厚
さの酸化物1061を形成する。本実施例では遮蔽膜1
060としてアルミニウムを主成分とする膜を用いたた
め、陽極酸化物1061として酸化アルミニウム膜(ア
ルミナ膜)が形成される。
【0115】この陽極酸化処理に際して、まず十分にア
ルカリイオン濃度の小さい酒石酸エチレングリコール溶
液を作製する。これは15%の酒石酸アンモニウム水溶
液とエチレングリコールとを2:8で混合した溶液であ
り、これにアンモニア水を加え、pHが7±0.5とな
るように調節する。そして、この溶液中に陰極となる白
金電極を設け、遮蔽膜1060が形成されている基板を
溶液に浸し、遮蔽膜1060を陽極として、一定(数m
A〜数十mA)の直流電流を流す。
【0116】溶液中の陰極と陽極との間の電圧は陽極酸
化物の成長に従い時間と共に変化するが、定電流のまま
100V/minの昇圧レートで電圧を上昇させて、到
達電圧45Vに達したところで陽極酸化処理を終了させ
る。このようにして遮蔽膜1060の表面には厚さ約5
0nmの陽極酸化物1061を形成することができる。
また、その結果、遮蔽膜1060の膜厚は90nmとな
る。なお、ここで示した陽極酸化法に係わる数値は一例
にすぎず、作製する素子の大きさ等によって当然最適値
は変化しうるものである。
【0117】また、ここでは陽極酸化法を用いて遮蔽膜
表面のみに絶縁膜を設ける構成としたが、絶縁膜をプラ
ズマCVD法、熱CVD法またはスパッタ法などの気相
法によって形成しても良い。その場合も膜厚は20〜1
00nm(好ましくは30〜50nm)とすることが好
ましい。また、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化
酸化シリコン膜、DLC(Diamond like carbon)
膜、酸化タンタル膜または有機樹脂膜を用いても良い。
さらに、これらを組み合わせた積層膜を用いても良い。
【0118】次に、第3層間絶縁膜1059、パッシベ
ーション膜1058にドレイン配線1057に達するコ
ンタクトホールを形成し、画素電極1062を形成す
る。なお、画素電極1063は隣接する別の画素の画素
電極である。画素電極1062、1063は、透過型液
晶表示装置とする場合には透明導電膜を用い、反射型の
液晶表示装置とする場合には金属膜を用いれば良い。こ
こでは透過型の液晶表示装置とするために、酸化インジ
ウム・スズ(ITO)膜を110nmの厚さにスパッタ
法で形成する。
【0119】また、この時、画素電極1062と遮蔽膜
1060とが陽極酸化物1061を介して重なり、保持
容量(キャハ゜シタンス・ストレーシ゛)1064を形成する。なお、
この場合、遮蔽膜1060をフローティング状態(電気
的に孤立した状態)か固定電位、好ましくはコモン電位
(データとして送られる画像信号の中間電位)に設定し
ておくことが望ましい。
【0120】こうして同一基板上に、ドライバー回路と
画素部とを有したアクティブマトリクス基板が完成し
た。なお、図13(B)においては、ドライバー回路に
はpチャネル型TFT1301、nチャネル型TFT1
302、1303が形成され、画素部にはnチャネル型
TFTでなる画素TFT1304が形成される。
【0121】ドライバー回路のpチャネル型TFT13
01には、チャネル形成領域1201、ソース領域12
02、ドレイン領域1203がそれぞれp型不純物領域
(a)で形成される。但し、厳密にはソース1202領
域及びドレイン領域1203に1×1016〜5×1018
atoms/cm3の濃度でリンを含んでいる。
【0122】また、nチャネル型TFT1302には、
チャネル形成領域1204、ソース領域1205、ドレ
イン領域1206、そしてチャネル形成領域とドレイン
領域との間に、ゲート絶縁膜を介してゲート配線と重な
った領域(本明細書中ではこのような領域をLov領域と
いう。なお、ovはoverlapの意味で付した。)1207
が形成される。この時、Lov領域1207は2×1016
〜5×1019atoms/cm 3の濃度でリンを含み、且つ、ゲ
ート配線と全部重なるように形成される。
【0123】また、nチャネル型TFT1303には、
チャネル形成領域1208、ソース領域1209、ドレ
イン領域1210、そしてチャネル形成領域を挟むよう
にしてLDD領域1211、1212が形成される。即
ち、ソース領域とチャネル形成領域との間及びドレイン
領域とチャネル形成領域との間にLDD領域が形成され
る。
【0124】なお、この構造ではLDD領域1211、
1212の一部がゲート配線と重なるように配置された
ために、ゲート絶縁膜を介してゲート配線と重なった領
域(Lov領域)とゲート配線と重ならない領域(本明細
書中ではこのような領域をLoff領域という。なお、off
はoffsetの意味で付した。)が実現されている。
【0125】また、チャネル長3〜7μmに対してnチ
ャネル型TFT1302のLov領域207の長さ(幅)
は0.3〜3.0μm、代表的には0.5〜1.5μm
とすれば良い。また、nチャネル型TFT1303のL
ov領域の長さ(幅)は0.3〜3.0μm、代表的には
0,5〜1.5μm、Loff領域の長さ(幅)は1.0
〜3.5μm、代表的には1.5〜2.0μmとすれば
良い。また、画素TFT1304に設けられるLoff領
域1217〜1220の長さ(幅)は0.5〜3.5μ
m、代表的には2.0〜2.5μmとすれば良い。
【0126】なお、本発明は本実施例に示した保持容量
の構造に限定される必要はない。例えば、本出願人によ
る特願平9−316567号出願、特願平9−2734
44号出願または特願平10−254097号出願に記
載された構造の保持容量を用いることもできる。
【0127】次いで上記基板から、液晶表示装置を作製
する工程を説明する。図14に示すように、図13
(B)の状態の画素部及びドライバー回路が形成された
基板に対し、配向膜1401を形成する。本実施例では
配向膜としてポリイミド膜を用いる。また、対向基板1
402には、透明導電膜1403と、配向膜1404と
を形成する。なお、対向基板には必要に応じてカラーフ
ィルターや遮蔽膜を形成しても良い。
【0128】次に、配向膜を形成した後、ラビング処理
を施して液晶分子がある一定のプレチルト角を持って配
向するように調節する。そして、画素部と、ドライバー
回路が形成された基板と対向基板とを、公知のセル組み
工程によってシール材やスペーサなどを介して貼りあわ
せる。その後、両基板の間に液晶1405を注入し、封
止剤によって完全に封止する。液晶には公知の液晶材料
を用いれば良い。このようにして図14に示す液晶表示
装置が完成する。
【0129】次に、この液晶表示装置の構成を、図15
の斜視図を用いて説明する。なお、図15は、図14の
断面構造図と対応付けるため、共通の符号を用いてい
る。石英基板1001上には、画素部1501と、ゲー
ト側ドライバー回路1502と、ソース側ドライバー回
路1503が形成されている。画素部の画素TFT13
04はnチャネル型TFTであり、周辺に設けられるド
ライバー回路はCMOS回路を基本として構成されてい
る。ゲート側ドライバー回路1502と、ソース側ドラ
イバー回路1503はそれぞれゲート配線1028とソ
ース配線1054で画素部1501に接続されている。
また、FPC1504が接続された外部入出力端子15
05からドライバー回路の入出力端子までの接続配線1
506、1507が設けられている。
【0130】次に、図15に示した液晶表示装置の回路
構成の一例を図16に示す。本実施例の液晶表示装置
は、ソース側ドライバー回路1601、ゲート側ドライ
バー回路(A)1607、ゲート側ドライバー回路
(B)1611、プリチャージ回路1612、画素部1
606を有している。なお、本明細書中において、ドラ
イバー回路には画像信号処理回路1601およびゲート
側ドライバー回路1607が含まれる。
【0131】ソース側ドライバー回路1601は、シフ
トレジスタ回路1602、レベルシフタ回路1603、
バッファ回路1604、サンプリング回路1605を備
えている。また、ゲート側ドライバー回路(A)160
7は、シフトレジスタ回路1608、レベルシフタ回路
1609、バッファ回路1610を備えている。ゲート
側ドライバー回路(B)1611も同様な構成である。
【0132】なお、本実施例の構成は、図10〜14に
示した工程に従ってTFTを作製することによって容易
に実現することができる。また、本実施例では画素部と
ドライバー回路の構成のみ示しているが、実施例1の作
製工程に従えば、その他にも信号分割回路、分周波回
路、D/Aコンバータ回路、オペアンプ回路、γ補正回
路、さらにはマイクロプロセッサ回路などの信号処理回
路(論理回路と言っても良い)を同一基板上に形成する
ことも可能である。
【0133】このように本発明は、同一基板上に画素部
と該画素部を制御するためのドライバー回路とを少なく
とも含む半導体装置、例えば同一基板上に信号処理回
路、ドライバー回路および画素部とを具備した半導体装
置を実現しうる。
【0134】[実施例2]実施例1における図11
(A)に示した熱酸化工程までの工程を経た活性層の結
晶構造は結晶格子に連続性を持つ特異な結晶構造とな
る。その特徴について以下に説明する。
【0135】実施例1の作製工程に従って形成した結晶
質シリコン膜は、微視的に見れば複数の棒状又は柱状の
結晶が集まって並んだ結晶構造を有する。このことはT
EM(透過型電子顕微鏡法)による観察で容易に確認で
きた。
【0136】また、電子線回折及びエックス線(X線)
回折を利用すると活性層の表面(チャネルを形成する部
分)が、結晶軸に多少のずれが含まれているものの主た
る配向面として{110}面を有することを確認でき
た。本出願人がスポット径約1.5μmの電子線回折写
真を詳細に観察した結果、{110}面に対応する回折
斑点がきれいに現れているが、各斑点は同心円上に分布
を持っていることが確認された。
【0137】また、本出願人は個々の棒状結晶が接して
形成する結晶粒界をHR−TEM(高分解能透過型電子
顕微鏡法)により観察し、結晶粒界において結晶格子に
連続性があることを確認した。これは観察される格子縞
が結晶粒界において連続的に繋がっていることから容易
に確認できた。
【0138】なお、結晶粒界における結晶格子の連続性
は、その結晶粒界が「平面状粒界」と呼ばれる粒界であ
ることに起因する。本明細書における平面状粒界の定義
は、「Characterization of High-Efficiency Cast-Si
Solar Cell Wafers by MBICMeasurement ;Ryuichi Shi
mokawa and Yutaka Hayashi,Japanese Journal ofAppl
ied Physics vol.27,No.5,pp.751-758,1988」に記載
された「Planar boundary 」である。
【0139】上記論文によれば、平面状粒界には双晶粒
界、特殊な積層欠陥、特殊なtwist粒界などが含まれ
る。この平面状粒界は電気的に不活性であるという特徴
を持つ。即ち、結晶粒界でありながらキャリアの移動を
阻害するトラップとして機能しないため、実質的に存在
しないと見なすことができる。
【0140】特に結晶軸(結晶面に垂直な軸)が〈11
0〉軸である場合、{211}双晶粒界はΣ3の対応粒
界とも呼ばれる。Σ値は対応粒界の整合性の程度を示す
指針となるパラメータであり、Σ値が小さいほど整合性
の良い粒界であることが知られている。
【0141】本出願人が本実施例を実施して得た結晶質
シリコン膜を詳細にTEMを用いて観察した結果、結晶
粒界の殆ど(90%以上、典型的には95%以上)がΣ
3の対応粒界、即ち{211}双晶粒界であることが判
明した。
【0142】二つの結晶粒の間に形成された結晶粒界に
おいて、両方の結晶の面方位が{110}である場合、
{111}面に対応する格子縞がなす角をθとすると、
θ=70.5°の時にΣ3の対応粒界となることが知られて
いる。
【0143】本実施例の結晶質シリコン膜は、結晶粒界
において隣接する結晶粒の各格子縞がまさに約70.5°の
角度で連続しており、その事からこの結晶粒界は{21
1}双晶粒界であるという結論に辿り着いた。
【0144】なお、θ= 38.9 °の時にはΣ9の対応粒
界となるが、この様な他の結晶粒界も存在した。
【0145】この様な対応粒界は、同一面方位の結晶粒
間にしか形成されない。即ち、本実施例を実施して得た
結晶質シリコン膜は面方位が概略{110}で揃ってい
るからこそ、広範囲に渡ってこの様な対応粒界を形成し
うる。
【0146】この様な結晶構造(正確には結晶粒界の構
造)は、結晶粒界において異なる二つの結晶粒が極めて
整合性よく接合していることを示している。即ち、結晶
粒界において結晶格子が連続的に連なり、結晶欠陥等に
起因するトラップ準位を非常に作りにくい構成となって
いる。従って、この様な結晶構造を有する結晶質シリコ
ン膜は実質的に結晶粒界が存在しない見なすことができ
る。
【0147】またさらに、700〜1150℃という高
い温度での熱処理工程(本実施例における熱酸化工程ま
たはゲッタリング工程にあたる)によって結晶粒内に存
在する欠陥が殆ど消滅していることがTEM観察によっ
て確認されている。これはこの熱処理工程の前後で欠陥
数が大幅に低減されていることからも明らかである。
【0148】この欠陥数の差は電子スピン共鳴分析(El
ectron Spin Resonance :ESR)によってスピン密度
の差となって現れる。現状では本実施例の作製工程に従
って作製された結晶質シリコン膜のスピン密度は少なく
とも 5×1017spins/cm3以下(好ましくは 3×1017spins
/cm3以下)であることが判明している。ただし、この測
定値は現存する測定装置の検出限界に近いので、実際の
スピン密度はさらに低いと予想される。
【0149】以上の事から、本実施例を実施することで
得られた結晶質シリコン膜は結晶粒内及び結晶粒界が実
質的に存在しないため、単結晶シリコン膜又は実質的な
単結晶シリコン膜と考えて良い。本出願人はこのような
結晶構造を有する結晶質シリコン膜をCGS(Continuou
s Grain Silicon)と呼んでいる。
【0150】CGSに関する記載は本出願人による特願
平10−044659号、特願平10−152316
号、特願平10−152308号または特願平10−1
52305号の出願を参照すれば良い。
【0151】(TFTの電気特性に関する知見)本実施
例の活性層を用いたTFTは、MOSFETに匹敵する
電気特性を示した。本出願人が試作したTFT(但し、
活性層の膜厚は30nm、ゲート絶縁膜の膜厚は100n
m)からは次に示す様なデータが得られている。
【0152】(1)スイッチング性能(オン/オフ動作
切り換えの俊敏性)の指標となるサブスレッショルド係
数が、Nチャネル型TFTおよびPチャネル型TFTと
もに60〜100mV/decade(代表的には60〜85mV/decade )
と小さい。 (2)TFTの動作速度の指標となる電界効果移動度
(μFE)が、Nチャネル型TFTで 200〜650cm2/Vs
(代表的には 300〜500cm2/Vs )、Pチャネル型TFT
で100〜300cm2/Vs(代表的には 150〜200cm2/Vs)と大
きい。 (3)TFTの駆動電圧の指標となるしきい値電圧(V
th)が、Nチャネル型TFTで-0.5〜1.5 V、Pチャネ
ル型TFTで-1.5〜0.5 Vと小さい。
【0153】以上の様に、極めて優れたスイッチング特
性および高速動作特性が実現可能であることが確認され
ている。なお、本実施例の構成は、実施例1または実施
例2の構成とも自由に組み合わせることが可能である。
但し、非晶質半導体膜の結晶化に、実施例1または実施
例2で示したような結晶化を助長する触媒元素を用いて
いることが重要である。
【0154】[実施例3]本発明は従来のMOSFET
上に層間絶縁膜を形成し、その上にTFTを形成する際
に用いることも可能である。即ち、三次元構造の半導体
装置を実現することも可能である。また、基板としてS
IMOX、Smart−Cut(SOITEC社の登録商
標)、ELTRAN(キャノン株式会社の登録商標)な
どのSOI基板を用いることも可能である。
【0155】なお、本実施例の構成は、実施例1の構成
と組み合わせることが可能である。
【0156】[実施例4]本発明によって作製された液
晶表示装置は様々な液晶材料を用いることが可能であ
る。そのような材料として、TN液晶、PDLC(ポリ
マー分散型液晶)、FLC(強誘電性液晶)、AFLC
(反強誘性電液晶)、またはFLCとAFLCの混合物
が挙げられる。
【0157】例えば、「H.Furue et al.;Charakteristi
cs and Drivng Scheme of Polymer-Stabilized Monosta
ble FLCD Exhibiting Fast Response Time and High Co
ntrast Ratio with Gray-Scale Capability,SID,199
8」、「T.Yoshida et al.;A Full-Color Thresholdless
Antiferroelectric LCD Exhibiting Wide Viewing Ang
le with Fast Response Time,841,SID97DIGEST,199
7」、または米国特許第5,594,569号に開示された材料を
用いることができる。
【0158】特に、しきい値なし(無しきい値)の反強
誘電性液晶(Thresholdless Antiferroelectric LCD:
TL−AFLCと略記する)を使うと、液晶の動作電圧
を±2.5V程度に低減しうるため電源電圧として5〜
8V程度で済む場合がある。即ち、ドライバー回路と画
素マトリクス回路を同じ電源電圧で動作させることが可
能となり、液晶表示装置全体の低消費電力化を図ること
ができる。
【0159】また、強誘電性液晶や反強誘電性液晶はT
N液晶に比べて応答速度が速いという利点をもつ。上記
実施例で用いるような結晶質TFTは非常に動作速度の
速いTFTを実現しうるため、強誘電性液晶や反強誘電
性液晶の応答速度の速さを十分に生かした画像応答速度
の速い液晶表示装置を実現することが可能である。
【0160】なお、本実施例の液晶表示装置をパーソナ
ルコンピュータ等の電子機器の表示ディスプレイとして
用いることが有効であることは言うまでもない。
【0161】また、本実施例の構成は、実施例1または
実施例3のいずれの構成とも自由に組み合わせることが
可能である。
【0162】〔実施例5〕本願発明を実施して形成され
たCMOS回路や画素マトリクス回路は様々な電気光学
装置(アクティブマトリクス型液晶ディスプレイ、アク
ティブマトリクス型ELディスプレイ、アクティブマト
リクス型ECディスプレイ)に用いることができる。即
ち、それら電気光学装置を表示媒体として組み込んだ電
子機器全てに本願発明を実施できる。
【0163】その様な電子機器としては、ビデオカメ
ラ、デジタルカメラ、プロジェクター(リア型またはフ
ロント型)、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型
ディスプレイ)、カーナビゲーション、パーソナルコン
ピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯
電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一
例を図17及び図18に示す。
【0164】図17(A)はパーソナルコンピュータで
あり、本体2001、画像入力部2002、表示装置2
003、キーボード2004で構成される。本願発明を
画像入力部2002、表示装置2003やその他の信号
制御回路に適用することができる。
【0165】図17(B)はビデオカメラであり、本体
2101、表示装置2102、音声入力部2103、操
作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部21
06で構成される。本願発明を表示装置2102、音声
入力部2103やその他の信号制御回路に適用すること
ができる。
【0166】図17(C)はモバイルコンピュータ(モ
ービルコンピュータ)であり、本体2201、カメラ部
2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表
示装置2205で構成される。本願発明は表示装置22
05やその他の信号制御回路に適用できる。
【0167】図17(D)はゴーグル型ディスプレイで
あり、本体2301、表示装置2302、アーム部23
03で構成される。本発明は表示装置2302やその他
の信号制御回路に適用することができる。
【0168】図17(E)はプログラムを記録した記録
媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであ
り、本体2401、表示装置2402、スピーカ部24
03、記録媒体2404、操作スイッチ2405で構成
される。なお、この装置は記録媒体としてDVD(Di
gtial Versatile Disc)、CD等
を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネット
を行うことができる。本発明は表示装置2402やその
他の信号制御回路に適用することができる。
【0169】図17(F)はデジタルカメラであり、本
体2501、表示装置2502、接眼部2503、操作
スイッチ2504、受像部(図示しない)で構成され
る。本願発明を表示装置2502やその他の信号制御回
路に適用することができる。
【0170】図18(A)はフロント型プロジェクター
であり、表示装置2601、スクリーン2602で構成
される。本発明は表示装置やその他の信号制御回路に適
用することができる。
【0171】図18(B)はリア型プロジェクターであ
り、本体2701、表示装置2702、ミラー270
3、スクリーン2704で構成される。本発明は表示装
置やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0172】なお、図18(C)は、図18(A)及び
図18(B)中における表示装置2601、2702の
構造の一例を示した図である。表示装置2601、27
02は、光源光学系2801、ミラー2802、280
4〜2806、ダイクロイックミラー2803、プリズ
ム2807、液晶表示装置2808、位相差板280
9、投射光学系2810で構成される。投射光学系28
10は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施
例は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単
板式であってもよい。また、図18(C)中において矢
印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機
能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィル
ム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0173】また、図18(D)は、図18(C)中に
おける光源光学系2801の構造の一例を示した図であ
る。本実施例では、光源光学系2801は、リフレクタ
ー2811、光源2812、2813、2814、偏光
変換素子2815、集光レンズ2816で構成される。
なお、図18(D)に示した光源光学系は一例であって
特に限定されない。例えば、光源光学系に実施者が適
宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相
差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設け
てもよい。
【0174】以上の様に、本願発明の適用範囲は極めて
広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能で
ある。また、本実施例の電子機器は実施例1〜4のどの
ような組み合わせからなる構成を用いても実現すること
ができる。
【0175】
【発明の効果】本発明で提示された技術により、結晶成
長速度を大きくして結晶化工程に要する熱処理時間を短
縮し、優れた電気特性を有するTFTを作製することが
可能である。
【0176】また、本発明で提示された技術を用いて、
触媒元素導入領域の幅及び配置を最適化することによ
り、少ないスペースに触媒元素導入領域を効率よく配置
し、回路の微細化及び集積化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 触媒元素導入領域からの結晶成長を示す図
【図2】 触媒元素導入領域の配置の一例を示す図。
【図3】 間隔距離dと結晶成長速度vとの関係を示
す図。
【図4】 活性層となる領域の配置の一例を示す図。
【図5】 触媒元素導入領域の配置及び活性層領域の
配置の一例を示す図。
【図6】 活性層となる領域の配置の一例を示す図。
【図7】 触媒元素導入領域の配置及び活性層となる
領域の配置の一例を示す図。
【図8】 TFTを有する素子の上面図。
【図9】 TFTを有する素子及び触媒元素導入領域
の配置の一例を示す図。
【図10】 作製工程を示す図。
【図11】 作製工程を示す図。
【図12】 作製工程を示す図。
【図13】 作製工程を示す図。
【図14】 液晶表示装置の断面構造図
【図15】 AM−LCDの外観を示す図。
【図16】 周辺回路を示す図。
【図17】 電子機器の一例を示す図。
【図18】 電子機器の一例を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F052 AA11 CA02 DA02 DB02 DB03 FA06 GB05 JA04 5F110 AA16 BB02 BB04 CC02 DD01 DD03 DD11 EE01 EE02 EE04 EE05 EE06 EE08 EE15 FF02 FF04 FF09 FF23 FF28 FF30 GG02 GG13 GG32 GG34 GG45 GG47 GG52 GG55 HJ01 HJ04 HJ13 HJ22 HJ23 HL03 HL04 HL06 HL12 HL23 HM14 HM15 NN02 NN03 NN04 NN22 NN23 NN24 NN35 NN36 NN44 NN46 NN47 PP23 PP34 PP35 QQ23 QQ24 QQ25 QQ28

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非晶質シリコン膜を形成する工程と、 前記非晶質シリコン膜に結晶化を助長する触媒元素を選
    択的に導入する工程と、 加熱処理により前記触媒元素が導入された領域から結晶
    成長させる工程と、 前記結晶成長させた領域を用いてTFTの活性層を形成
    する工程とを有することを特徴とする半導体装置の作製
    方法。
  2. 【請求項2】非晶質シリコン膜を形成する工程と、 前記非晶質シリコン膜に結晶化を助長する触媒元素を選
    択的に導入する工程と、 加熱処理により前記触媒元素が導入された領域から結晶
    成長させる工程と、 前記結晶成長させた領域に存在する前記触媒元素を除去
    または低減させる工程と、前記触媒元素を除去または低
    減された領域を用いてTFTの活性層を形成する工程と
    を有することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2において、前記触
    媒元素を選択的に導入する工程は、前記非晶質シリコン
    膜の一部を露呈させる開口部を有したマスクを用いて行
    われ、 前記マスクは、前記結晶成長を行わせた領域を挟んで複
    数の開口部を有していることを特徴とする半導体装置の
    作製方法。
  4. 【請求項4】請求項3において、前記開口部と、前記結
    晶成長を行わせた領域の端部との間にTFTの活性層を
    形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のいずれか一において、前
    記結晶化を助長する触媒元素は、Ni、Fe、Co、C
    u、Ge、Pdから選ばれた一種または複数種類である
    ことを特徴とする半導体装置の作製方法。
JP13506399A 1999-05-14 1999-05-14 半導体装置の作製方法 Pending JP2000332249A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13506399A JP2000332249A (ja) 1999-05-14 1999-05-14 半導体装置の作製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13506399A JP2000332249A (ja) 1999-05-14 1999-05-14 半導体装置の作製方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000332249A true JP2000332249A (ja) 2000-11-30

Family

ID=15143024

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13506399A Pending JP2000332249A (ja) 1999-05-14 1999-05-14 半導体装置の作製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000332249A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6170641B1 (ja) 液晶表示装置
JP6062497B2 (ja) 液晶表示装置
US7633085B2 (en) Semiconductor device and manufacturing method thereof
JP4298131B2 (ja) 液晶表示装置の作製方法
US6337235B1 (en) Semiconductor device and manufacturing method thereof
US20030197179A1 (en) Semiconductor device and fabrication method thereof
JP4578609B2 (ja) 電気光学装置
JP4651777B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP4260334B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP4197574B2 (ja) 液晶表示装置
JP2007235145A (ja) 半導体装置
JP2000332249A (ja) 半導体装置の作製方法
JP4712926B2 (ja) 半導体装置及び半導体装置の作製方法
JP2000349025A (ja) 半導体装置の作製方法