JP4712926B2 - 半導体装置及び半導体装置の作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は絶縁表面を有する基板上に薄膜トランジスタ(以下、TFTという)で構成された回路を有する半導体装置およびその作製方法に関する。特に本発明は、画素部とその周辺に設けられる駆動回路を同一基板上に設けた液晶表示装置に代表される電気光学装置、および電気光学装置を搭載した電子装置に関する。尚、本願明細書において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能する装置全般を指し、上記電気光学装置およびその電気光学装置を搭載した電子装置も半導体装置に含む。
【0002】
【従来の技術】
絶縁表面を有する基板上にTFTで形成した大面積集積回路を有する半導体装置の開発が進んでいる。液晶表示装置、EL表示装置、および密着型イメージセンサはその代表例として知られている。特に、ポリシリコン膜(多結晶シリコン膜)を活性層にしたTFT(以下、ポリシリコンTFTと記す)は電界効果移動度が高いことから、いろいろな機能を有する回路に用いることができる。
【0003】
例えば、アクティブマトリクス型液晶表示装置には、機能ブロックごとに画像表示を行う画素部や、CMOS回路を基本としたシフトレジスタ回路、レベルシフタ回路、バッファ回路、サンプリング回路などの集積回路が一枚の基板上に形成される。また、密着型イメージセンサでは、サンプルホールド回路、シフトレジスタ回路、マルチプレクサ回路などの画素部を制御するための駆動回路がTFTを用いて形成されている。
【0004】
また、アクティブマトリクス型液晶表示装置の画素部には、数十から数百万個の各画素にTFT(以下、画素TFTという)が配置され、その画素TFTのそれぞれには画素電極が設けられている。液晶を挟んだ対向基板側には対向電極が設けられており、液晶を誘電体とした一種のコンデンサーを形成している。そして、各画素に印加する電圧を画素TFTのスイッチング機能により制御して、このコンデンサーへの電荷を制御することで液晶を駆動し、透過光量を制御して画像を表示する仕組みになっている。
【0005】
ところが、このコンデンサーは画素TFTのオフ電流(TFTがスイッチとしてオフ状態にあるにも拘わらず流れてしまうドレイン電流)等に起因するリーク電流により次第にその蓄積容量が減少するため、透過光量が変化して画像表示のコントラストを低下させる原因となっていた。そのため、従来、液晶を誘電体とするコンデンサーとは別のコンデンサー(保持容量)を並列に設け、液晶を誘電体とするコンデンサーが損失する容量を補っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
電気光学装置の画素部に設ける保持容量の例として、本出願人は特願平11−045558号、特願平11−053424号、特願平11−059455号を既に出願している。これらの出願では、遮蔽膜(又は遮光膜)、該遮蔽膜の表面に形成された酸化物及び画素電極で保持容量を形成する発明が開示されている。
【0007】
本願発明は上記出願明細書に記載された保持容量に関する発明をさらに改良することを課題とし、以て半導体装置の動作性能を向上させることを課題とするものである。また、そのような半導体装置を実現するための作製方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、本願発明では上記出願明細書に記載された保持容量を形成するにあたって、遮蔽膜とその表面に形成された酸化物とが形成する段差を、高い平坦性の得られる絶縁膜を用いて平坦化する。
【0009】
高い平坦性の得られる絶縁膜としては、溶液を塗布することによって形成できる樹脂材料でなる絶縁膜が好適である。
【0010】
上記段差を絶縁膜によって平坦化することで、その上に形成される画素電極や配向膜の平坦性(平坦度)を向上させることができる。即ち、液晶に接する面の平坦性が向上するので、段差による液晶分子の配向不良や不均一電界による液晶分子の配向不良を防止することができる。
【0011】
こうして遮蔽膜と酸化物とが形成する段差を低減する若しくはなくすことによって、液晶分子の配向乱れを低減し、液晶表示装置のコントラストを改善することが可能である。また、EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置のEL素子においても、EL素子の下に段差が存在することは好ましいものではないが、本願発明を実施することにより段差に起因する発光不良を防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、以下に示す実施例でもって詳細な説明を行うこととする。
【0013】
[実施例1]
本発明の実施例について図1〜図4を用いて説明する。ここでは、画素部とその周辺に設けられる駆動回路を同時に作製する方法について説明する。但し、説明を簡単にするために、駆動回路に関しては、シフトレジスタ回路、バッファ回路等の基本回路であるCMOS回路と、サンプリング回路を形成するnチャネル型TFTとを図示することとする。
【0014】
図1(A)において、基板101には、ガラス基板や石英基板を使用することが望ましい。その他にもシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを基板としても良い。耐熱性が許せばプラスチック基板を用いることも可能である。
【0015】
そして、基板101のTFTが形成される表面には、珪素(シリコン)を含む絶縁膜(本明細書中では酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、または窒化酸化シリコン膜の総称を指す)からなる下地膜102をプラズマCVD法やスパッタ法で100〜400nmの厚さに形成する。
【0016】
なお、本明細書中において窒化酸化シリコン膜とはSiOxNyで表される絶縁膜であり、珪素、酸素、窒素を所定の割合で含む絶縁膜を指す。本実施例では、下地膜102として、窒素を20〜50atomic%(典型的には20〜30atomic%)で含む100nm厚の窒化酸化シリコン膜と、窒素を1〜20atomic%(典型的には5〜10atomic%)で含む200nm厚の窒化酸化シリコン膜との積層膜を用いる。なお、厚さはこの値に限定する必要はない。また、窒化酸化シリコン膜に含まれる窒素と酸素の含有比(atomic%比)は3:1〜1:3(典型的には1:1)とすればよい。また、窒化酸化シリコン膜は、SiH4とN2OとNH3を原料ガスとして作製すればよい。
【0017】
なお、この下地膜101は基板からの不純物汚染を防ぐために設けられるものであり、石英基板を用いた場合には必ずしも設けなくても良い。
【0018】
次に下地膜102の上に30〜120nm(好ましくは50〜70nm)の厚さの、非晶質構造を含む半導体膜(本実施例では非晶質シリコン膜(図示せず))を公知の成膜法で形成する。なお、非晶質構造を含む半導体膜としては、非晶質半導体膜、微結晶半導体膜があり、さらに非晶質シリコンゲルマニウム膜などの非晶質構造を含む化合物半導体膜も含まれる。また、上記膜厚で形成しておけば、最終的にTFTが完成した時点の活性層の膜厚は10〜100nm(好ましくは30〜50nm)となる。
【0019】
そして、特開平7−130652号公報(USP5,643,826号に対応)に記載された技術に従って、結晶構造を含む半導体膜(本実施例では結晶質シリコン膜)103を形成する。同公報記載の技術は、非晶質シリコン膜の結晶化に際して、結晶化を助長する触媒元素(ニッケル、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、パラジウム、鉄、銅から選ばれた一種または複数種の元素、代表的にはニッケル)を用いる結晶化手段である。
【0020】
具体的には、非晶質シリコン膜表面に触媒元素を保持させた状態で加熱処理を行い、非晶質シリコン膜を結晶質シリコン膜に変化させるものである。本実施例では同公報の実施例1に記載された技術を用いるが、実施例2に記載された技術を用いても良い。なお、結晶質シリコン膜には、いわゆる単結晶シリコン膜も多結晶シリコン膜も含まれるが、本実施例で形成される結晶質シリコン膜は結晶粒界を有するシリコン膜である。(図1(A))
【0021】
非晶質シリコン膜は含有水素量にもよるが、好ましくは400〜550℃で数時間加熱して脱水素処理を行い、含有水素量を5atom%以下として、結晶化の工程を行うことが望ましい。また、非晶質シリコン膜をスパッタ法や蒸着法などの他の作製方法で形成しても良いが、膜中に含まれる酸素、窒素などの不純物元素を十分低減させておくことが望ましい。
【0022】
ここでは、下地膜と非晶質シリコン膜とは、同じ成膜法で形成することが可能であるので両者を連続形成しても良い。下地膜を形成後、一旦大気雰囲気にさらされないようにすることで表面の汚染を防ぐことが可能となり、作製されるTFTの特性バラツキを低減させることができる。
【0023】
次に、結晶質シリコン膜103に対してレーザー光源から発する光(レーザー光)を照射(以下、レーザーアニールという)して結晶性の改善された結晶質シリコン膜104を形成する。レーザー光としては、パルス発振型または連続発振型のエキシマレーザー光が望ましいが、連続発振型のアルゴンレーザー光でも良い。また、レーザー光のビーム形状は線状であっても矩形状であっても構わない。(図1(B))
【0024】
また、レーザー光の代わりにランプから発する光(以下、ランプ光という)を照射(以下、ランプアニールという)しても良い。ランプ光としては、ハロゲンランプ、赤外ランプ等から発するランプ光を用いることができる。
【0025】
なお、このようにレーザー光またはランプ光により熱処理(アニール)を施す工程を光アニール工程という。光アニール工程は短時間で高温熱処理が行えるため、ガラス基板等の耐熱性の低い基板を用いる場合にも効果的な熱処理工程を高いスループットで行うことができる。勿論、目的はアニールであるので電熱炉を用いたファーネスアニール(熱アニールともいう)で代用することもできる。
【0026】
本実施例では、パルス発振型エキシマレーザー光を線状に加工してレーザーアニール工程を行う。レーザーアニール条件は、励起ガスとしてXeClガスを用い、処理温度を室温、パルス発振周波数を30Hzとし、レーザーエネルギー密度を250〜500mJ/cm2(代表的には350〜400mJ/cm2)とする。
【0027】
上記条件で行われたレーザーアニール工程は、熱結晶化後に残存した非晶質領域を完全に結晶化すると共に、既に結晶化された結晶質領域の欠陥等を低減する効果を有する。そのため、本工程は光アニールにより半導体膜の結晶性を改善する工程、または半導体膜の結晶化を助長する工程と呼ぶこともできる。このような効果はランプアニールの条件を最適化することによっても得ることが可能である。本明細書中ではこのような条件を第1アニール条件と呼ぶことにする。
【0028】
次に、結晶質シリコン膜104をパターニングして島状の半導体膜(以下、活性層という)105〜108を形成する。なお、このとき同時に、今後のパターニング時の位置合わせに用いるアライメントマーカーを、結晶質シリコン膜を用いて形成する。本実施例の場合、活性層の形成と同時にアライメントマーカーを形成することができるため、アライメントマーカーを別途形成する手間(マスク数の増加)を防ぐことができる。
【0029】
次に、活性層105〜108上に後の不純物添加時のために保護膜109を形成する。保護膜109は100〜200nm(好ましくは130〜170nm)の厚さの窒化酸化シリコン膜または酸化シリコン膜を用いる。この保護膜109は不純物添加時に結晶質シリコン膜が直接プラズマに曝されないようにするためと、微妙な濃度制御を可能にするための意味がある。(図1(C))
【0030】
そして、その上にレジストマスク110を形成し、保護膜109を介してp型を付与する不純物元素(以下、p型不純物元素という)を添加する。p型不純物元素としては、代表的には13族に属する元素、典型的にはボロンまたはガリウムを用いることができる。この工程(チャネルドープ工程という)はTFTのしきい値電圧を制御するための工程である。なお、ここではジボラン(B2H6)を質量分離しないでプラズマ励起したイオンドープ法でボロンを添加する。勿論、質量分離を行うイオンインプランテーション法を用いても良い。
【0031】
こうして1×1015〜1×1018atoms/cm3(代表的には5×1016〜5×1017atoms/cm3)の濃度でp型不純物元素(本実施例ではボロン)が添加された活性層111〜113が形成される。この活性層111〜113は後のnチャネル型TFTの活性層となる。但し、本明細書中で記載する濃度は全てSIMS(質量二次イオン分析)による測定値である。
【0032】
なお、本明細書中では少なくとも上記濃度範囲でp型不純物元素を含む不純物領域(但し、1×1016atoms/cm3の濃度でn型を付与する不純物元素、典型的にはリン又は砒素が添加された領域を除く)をp型不純物領域(b)と定義する。(図1(D))
【0033】
次に、レジストマスク110を除去し、新たにレジストマスク114a〜114dを形成する。そして、n型を付与する不純物元素(以下、n型不純物元素という)を添加してn型を呈する不純物領域115〜117を形成する。なお、n型不純物元素としては、代表的には15族に属する元素、典型的にはリンまたは砒素を用いることができる。(図1(E))
【0034】
この低濃度不純物領域115〜117は、後にCMOS回路およびサンプリング回路のnチャネル型TFTにおいて、LDD領域として機能させるための不純物領域である。なお、ここで形成された不純物領域にはn型不純物元素が2×1016〜5×1019atoms/cm3(代表的には5×1017〜5×1018atoms/cm3)の濃度で含まれている。本明細書中では上記濃度範囲でn型不純物元素を含む不純物領域をn型不純物領域(b)と定義する。
【0035】
なお、ここではフォスフィン(PH3)を質量分離しないでプラズマ励起したイオンドープ法でリンを1×1018atoms/cm3の濃度で添加する。勿論、質量分離を行うイオンインプランテーション法を用いても良い。この工程では、保護膜109を介して結晶質シリコン膜にリンを添加する。
【0036】
次に、レジストマスク114a〜114d及び保護膜109を除去し、再びレーザー光の照射工程を行う。ここでもレーザー光としては、パルス発振型または連続発振型のエキシマレーザー光が望ましいが、連続発振型のアルゴンレーザー光でも良い。また、レーザー光のビーム形状は線状であっても矩形状であっても構わない。但し、添加された不純物元素の活性化が目的であるので、結晶質シリコン膜が溶融しない程度のエネルギーで照射することが好ましい。また、保護膜104をつけたままレーザーアニール工程を行うことも可能である。(図1(F))
【0037】
本実施例では、パルス発振型エキシマレーザー光を線状に加工してレーザーアニール工程を行う。レーザーアニール条件は、励起ガスとしてKrFガスを用い、処理温度を室温、パルス発振周波数を30Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜300mJ/cm2(代表的には150〜250mJ/cm2)とする。
【0038】
上記条件で行われた光アニール工程は、添加されたn型またはp型を付与する不純物元素を活性化すると共に、不純物元素の添加時に非晶質化した半導体膜を再結晶化する効果を有する。なお、上記条件は半導体膜を溶融させることなく原子配列の整合性をとり、且つ、不純物元素を活性化することが好ましい。また、本工程は光アニールによりn型またはp型を付与する不純物元素を活性化する工程、半導体膜を再結晶化する工程、またはそれらを同時に行う工程と呼ぶこともできる。このような効果はランプアニールの条件を最適化することによっても得ることが可能である。本明細書中ではこのような条件を第2アニール条件と呼ぶことにする。
【0039】
この工程によりn型不純物領域(b)115〜117の境界部、即ち、n型不純物領域(b)の周囲に存在する真性な領域(p型不純物領域(b)も実質的に真性とみなす)との接合部が明確になる。このことは、後にTFTが完成した時点において、LDD領域とチャネル形成領域とが非常に良好な接合部を形成しうることを意味する。
【0040】
なお、このレーザー光による不純物元素の活性化に際して、電熱炉を用いた熱処理による活性化を併用しても構わない。熱処理による活性化を行う場合は、基板の耐熱性を考慮して450〜650℃(好ましくは500〜550℃)の熱処理を行えば良い。
【0041】
次に、活性層105、111〜113を覆ってゲート絶縁膜118を形成する。ゲート絶縁膜118は、10〜200nm、好ましくは50〜150nmの厚さに形成すれば良い。本実施例では、プラズマCVD法でN2OとSiH4を原料とした窒化酸化シリコン膜を115nmの厚さに形成する。(図2(A))
【0042】
次に、ゲート配線となる導電膜を形成する。なお、ゲート配線は単層の導電膜で形成しても良いが、必要に応じて二層、三層といった積層膜とすることが好ましい。本実施例では、第1導電膜119と第2導電膜120とでなる積層膜を形成する。(図2(B))
【0043】
ここで第1導電膜119、第2導電膜120としては、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、シリコン(Si)から選ばれた元素を含む金属膜、または前記元素を主成分とする金属化合物膜(代表的には窒化タンタル膜、窒化タングステン膜、窒化チタン膜)、または前記元素を組み合わせた合金膜(代表的にはMo−W合金膜、Mo−Ta合金膜、タングステンシリサイド膜)、若しくはそれらの薄膜を積層した積層膜を用いることができる。
【0044】
なお、第1導電膜119は10〜50nm(好ましくは20〜30nm)とし、第2導電膜120は200〜400nm(好ましくは250〜350nm)とすれば良い。本実施例では、第1導電膜119として、50nm厚の窒化タンタル(TaN)膜を、第2導電膜120として、350nm厚のタンタル(Ta)膜を用いる。
【0045】
このほか、窒化タングステン膜とタングステン膜との積層膜、窒化タンタル膜のみの単層膜、タングステンシリサイド膜も好適である。また、第1導電膜119の下にシリコン膜を2〜20nm程度の厚さで形成する構造(ポリサイド構造)とすると、シリコン膜上に形成された導電膜の密着性を向上させると同時に、導電膜の酸化を抑制することができる。
【0046】
また、本実施例のように第2導電膜120として金属膜を用いた場合、その表面をアンモニアガスまたは窒素ガスを用いたプラズマ雰囲気に曝すことで窒化することも有効である。こうすることで、金属膜表面の酸化を抑制することが可能である。
【0047】
次に、第1導電膜119と第2導電膜120とを一括でエッチングして400nm厚のゲート配線(ゲート電極とも言える)121〜124a、124bを形成する。この時、駆動回路に形成されるゲート配線122、123はn型不純物領域(b)115〜117の一部とゲート絶縁膜を介して重なるように形成する。なお、ゲート配線124a、124bは断面では二つに見えるが、実際は連続的に繋がった一つのパターンから形成されている。(図2(C))
【0048】
次に、ゲート配線121〜124をマスクとして自己整合的にn型不純物元素(本実施例ではリン)を添加する。こうして形成された不純物領域125〜130には前記n型不純物領域(b)の1/2〜1/10(代表的には1/3〜1/4)の濃度(但し、前述のチャネルドープ工程で添加されたボロン濃度よりも5〜10倍高い濃度、代表的には1×1016〜5×1018atoms/cm3、典型的には3×1017〜3×1018atoms/cm3、)でリンが添加されるように調節する。なお、本明細書中では上記濃度範囲でn型不純物元素を含む不純物領域をn型不純物領域(c)と定義する。(図2(D))
【0049】
なお、n型不純物領域(c)127〜130には既にチャネルドープ工程で1×1015〜1×1018atoms/cm3の濃度のボロンが添加されているが、この工程ではp型不純物領域(b)に含まれるボロンの5〜10倍の濃度でリンが添加されるので、ボロンの影響は無視して良い。
【0050】
但し、厳密にはn型不純物領域(b)115〜117のうちゲート配線に重なった部分のリン濃度が2×1016〜5×1019atoms/cm3のままであるのに対し、ゲート配線に重ならない部分はそれに1×1016〜5×1018atoms/cm3の濃度のリンが加わっており、若干高い濃度でリンを含むことになる。
【0051】
次に、ゲート配線121〜124をマスクとして自己整合的にゲート絶縁膜118をエッチングする。エッチングはドライエッチング法を用い、エッチングガスとしてはCHF3ガスを用いれば良い。但し、エッチングガスはこれに限定する必要はない。こうしてゲート配線下にゲート絶縁膜131〜134a、134bが形成される。(図2(E))
【0052】
このように活性層を露呈させることによって、次に不純物元素の添加工程を行う際に加速電圧を低くすることができる。そのため、また必要なドーズ量が少なくて済むのでスループットが向上する。勿論、ゲート絶縁膜をエッチングしないで残し、スルードーピングによって不純物領域を形成しても良い。
【0053】
次に、ゲート配線を覆う形でレジストマスク135a〜135dを形成し、n型不純物元素(本実施例ではリン)を添加して高濃度にリンを含む不純物領域136〜144を形成する。ここでも、フォスフィン(PH3)を用いたイオンドープ法(勿論、イオンインプランテーション法でも良い)で行い、この領域のリンの濃度は1×1020〜1×1021atoms/cm3(代表的には2×1020〜5×1021atoms/cm3)とする。(図2(F))
【0054】
なお、本明細書中では上記濃度範囲でn型不純物元素を含む不純物領域をn型不純物領域(a)と定義する。また、不純物領域136〜144が形成された領域には既に前工程で添加されたリンまたはボロンが含まれるが、十分に高い濃度でリンが添加されることになるので、前工程で添加されたリンまたはボロンの影響は考えなくて良い。従って、本明細書中では不純物領域136〜144はn型不純物領域(a)と言い換えても構わない。
【0055】
次に、レジストマスク135a〜135dを除去し、新たにレジストマスク145を形成する。そして、p型不純物元素(本実施例ではボロン)を添加し、高濃度にボロンを含む不純物領域146、147を形成する。ここではジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法(勿論、イオンインプランテーション法でも良い)により3×1020〜3×1021atoms/cm3(代表的には5×1020〜1×1021atoms/cm3)濃度でボロンを添加する。なお、本明細書中では上記濃度範囲でp型不純物元素を含む不純物領域をp型不純物領域(a)と定義する。(図3(A))
【0056】
なお、不純物領域146、147の一部(前述のn型不純物領域(a)136、137)には既に1×1020〜1×1021atoms/cm3の濃度でリンが添加されているが、ここで添加されるボロンはその少なくとも3倍以上の濃度で添加される。そのため、予め形成されていたn型の不純物領域は完全にP型に反転し、P型の不純物領域として機能する。従って、本明細書中では不純物領域146、147をp型不純物領域(a)と言い換えても構わない。
【0057】
次に、レジストマスク145を除去した後、第1層間絶縁膜148を形成する。第1層間絶縁膜148としては、珪素を含む絶縁膜、具体的には窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜またはそれらを組み合わせた積層膜で形成すれば良い。また、膜厚は50〜400nm(好ましくは100〜200nm)とすれば良い。
【0058】
本実施例では、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3を原料ガスとし、200nm厚の窒化酸化シリコン膜(但し窒素濃度が25〜50atomic%)を用いる。この第1層間絶縁膜148は次に行われる熱処理工程(活性化工程)において、ゲート配線121〜124が酸化されて抵抗値が増加するのを防ぐ効果を有する。
【0059】
その後、それぞれの濃度で添加されたn型またはp型不純物元素を活性化するために熱処理工程を行う。この工程はファーネスアニール法、レーザーアニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)で行うことができる。ここではファーネスアニール法で活性化工程を行う。この熱処理工程は、窒素雰囲気中において300〜650℃、好ましくは400〜550℃、ここでは550℃、4時間の熱処理を行う。(図3(B))
【0060】
この時、本実施例において非晶質シリコン膜の結晶化に用いた触媒元素(本実施例ではニッケル)が、矢印で示す方向に移動して、前述の図2(F)の工程で形成された高濃度にリンを含む領域に捕獲(ゲッタリング)される。これはリンによる金属元素のゲッタリング効果に起因する現象であり、この結果、後のチャネル形成領域149〜153は前記触媒元素の濃度が1×1017atoms/cm3以下となる。但し、ニッケルの場合、1×1017atoms/cm3以下はSIMSの測定下限となるため、現状の技術では測定不能である。
【0061】
また、逆に触媒元素のゲッタリングサイトとなった領域(図2(F)の工程で不純物領域136〜144が形成された領域)は高濃度に触媒元素が偏析して5×1018atoms/cm3以上(代表的には1×1019〜5×1020atoms/cm3)濃度で存在するようになる。しかし、このゲッタリングサイトとなった領域はソース領域またはドレイン領域として機能すれば良いので、ニッケルの有無は問題とはならないと考えられる。
【0062】
次に、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行い、活性層を水素化する工程を行う。この工程は熱的に励起された水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
【0063】
活性化工程を終えたら、第1層間絶縁膜148の上に500nm〜1.5μm厚の第2層間絶縁膜154を形成する。本実施例では第2層間絶縁膜154として800nm厚の酸化シリコン膜をプラズマCVD法により形成する。こうして第1層間絶縁膜(窒化酸化シリコン膜)148と第2層間絶縁膜(酸化シリコン膜)154との積層膜でなる1μm厚の層間絶縁膜を形成する。
【0064】
なお、第2層間絶縁膜154として、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)等の有機樹脂絶縁膜を用いることも可能である。
【0065】
その後、それぞれのTFTのソース領域またはドレイン領域に達するコンタクトホールが形成され、ソース配線155〜158と、ドレイン配線159〜162を形成する。なお、図示されていないがCMOS回路を形成するためにドレイン配線159、160は同一配線で形成されている。また、本実施例ではこの電極を、Ti膜を100nm、Tiを含むアルミニウム膜300nm、Ti膜150nmをスパッタ法で連続して形成した3層構造の積層膜とする。
【0066】
次に、パッシベーション膜163として、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、または窒化酸化シリコン膜で50〜500nm(代表的には200〜300nm)の厚さで形成する。(図3(C))
【0067】
この時、膜の形成に先立ってH2、NH3等水素を含むガスを用いてプラズマ処理を行い、成膜後に熱処理を行うことは有効である。この前処理により励起された水素が第1、第2層間絶縁膜中に供給される。この状態で熱処理を行うことで、パッシベーション膜163の膜質を改善するとともに、第1、第2層間絶縁膜中に添加された水素が下層側に拡散するため、効果的に活性層を水素化することができる。
【0068】
また、パッシベーション膜163を形成した後に、さらに水素化工程を行っても良い。例えば、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行うと良く、あるいはプラズマ水素化法を用いても同様の効果が得られた。
【0069】
なお、ここで後に画素電極とドレイン配線を接続するためのコンタクトホールを形成する位置において、パッシベーション膜163に開口部を形成しておいても良い。
【0070】
その後、図3(D)に示すように、樹脂材料(又は有機材料ともいう)でなる絶縁膜(以下、樹脂絶縁膜という)でなる第3層間絶縁膜164を約1μmの厚さに形成する。樹脂材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)等を使用することができる。樹脂絶縁膜を用いることの利点は、成膜方法が簡単である点や、比誘電率が低いので、寄生容量を低減できる点、平坦性に優れる点などが上げられる。なお上述した以外の樹脂絶縁膜や有機系SiO化合物などを用いることもできる。
【0071】
なお、ここでは、基板に塗布後、熱で重合するタイプのアクリル膜を用いるが、光照射により重合するタイプを用いても良い。また、光重合タイプとしてはネガ型樹脂絶縁膜が挙げられる。このようなタイプは光が照射された部分が重合して架橋構造を形成するため、溶液に対する耐性が強くなる。
【0072】
また、第3層間絶縁膜164の一部の層として、顔料等で着色した樹脂絶縁膜を設け、カラーフィルターとして用いることも可能である。
【0073】
次に、画素部において、第3層間絶縁膜164上に遮蔽膜165を形成する。なお、本明細書中において遮蔽膜とは、光若しくは電磁波を遮断する性質を有する導電膜を指す。
【0074】
遮蔽膜165はアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)から選ばれた元素でなる遮光性を有する金属膜または前記いずれかの元素を主成分(本明細書中では50重量%以上で含む場合に主成分とみなす)とする金属膜で100〜300nmの厚さに形成する。本実施例では1wt%のチタンを含有させたアルミニウム膜を125nmの厚さに形成する。なお、本明細書中ではこの遮蔽膜を「第1導電膜」と呼ぶ場合がある。
【0075】
なお、図示していないが第3層間絶縁膜164上に酸化シリコン膜等の絶縁膜を5〜50nm形成しておくと、この上に形成する遮蔽膜の密着性を高めることができるため好ましい。また、樹脂絶縁膜で形成した第3層間絶縁膜164の表面にCF4ガスを用いたプラズマ処理を施すことによっても、表面改質により膜上に形成する遮蔽膜の密着性を向上させることができる。
【0076】
また、このチタンを含有させたアルミニウム膜を用いて、遮蔽膜だけでなく他の接続配線を形成することも可能である。例えば、駆動回路内で回路間をつなぐ接続配線を形成できる。但し、その場合は遮蔽膜または接続配線を形成する材料を成膜する前に、予め第3層間絶縁膜にコンタクトホールを形成しておく必要がある。
【0077】
次に、遮蔽膜165の表面に公知の陽極酸化法又はプラズマ酸化法(本実施例では陽極酸化法)により20〜100nm(好ましくは30〜50nm)の厚さの酸化物を形成する。本実施例では遮蔽膜165としてアルミニウムを主成分とする膜を用い、陽極酸化法を用いるため、陽極酸化物166として酸化アルミニウム膜(アルミナ膜)が形成される。
【0078】
また、ここでは陽極酸化法を用いて遮蔽膜表面のみに絶縁物を設ける構成としたが、他の絶縁膜をプラズマCVD法、熱CVD法またはスパッタ法などの気相法によって形成しても良い。その場合も膜厚は20〜100nm(好ましくは30〜50nm)とすることが好ましい。なお、本明細書中では前記酸化物と他の絶縁膜とを総称して「絶縁物」と呼ぶ場合がある。
【0079】
次に、図4(A)に示すように、再び1μm厚の樹脂絶縁膜(本実施例ではアクリル膜)を形成し、平坦化工程(膜厚を減じる工程とも言える)を行うことにより平坦化された樹脂絶縁膜(以下、平坦化膜という)167を形成する。なお、平坦化手段としては、機械的研磨(CMP〔ケミカルメカニカルポリッシング〕等)、化学的研磨(電解研磨等)若しくは等方的なエッチングを用いることができる。
【0080】
本実施例では酸素ガスを用いてプラズマを発生させ、その中にアクリル膜でなる樹脂絶縁膜を曝すことより等方的なエッチングを行う。なお、樹脂材料でなる絶縁膜を酸素プラズマに曝してエッチング処理を行う技術は、アッシング(灰化)技術として知られている。また、このようなプラズマ状態のガス雰囲気に曝す処理をプラズマ処理という。
【0081】
その際、本実施例では時間制御を行い、陽極酸化物166上に、10〜100nm(好ましくは10〜30nm)の平坦化膜を残すようにする。この膜厚が10nm以下となると膜厚制御が困難になり、100nm以上となると保持容量の容量値が小さくなってしまうため好ましくない。
【0082】
ここで設けた平坦化膜167には三つの効果がある。それらの効果について説明する。
【0083】
一つめは、万一陽極酸化物166にピンホール等の微小な孔が形成されてしまったとしても、樹脂絶縁膜で被覆しておくことにより、その微小な孔を介して遮蔽膜と画素電極とが短絡(ショート)とすることを防ぐことができる。即ち、作製過程における歩留まりが向上する。
【0084】
二つめは、遮蔽膜及び陽極酸化物とが形成する段差を平坦化する平坦化膜として働くことによって、その上に形成される画素電極を平坦なものとする効果がある。即ち、液晶層に接する面(基本的には配向膜、画素電極が直接接する場合もある)の平坦度が向上するため、液晶の配向不良が防がれると共に液晶に対して均一に電界が形成される。従って、液晶分子の配向不良に起因するドメインの発生(ディスクリネーションともいう)を防ぐことができる。
【0085】
遮蔽膜及び陽極酸化物によって形成される段差は0.3〜0.5μm程度にもなるが、平坦化膜167を設けることにより、この段差を低減若しくはなくすことができる。即ち、液晶が接する面に形成される段差(配向膜などの絶縁膜の表面の高低差、若しくは平坦化膜と画素電極との段差)は画素電極の膜厚に起因する段差分のみにすることができ、0.01〜0.2μm(好ましくは0.01〜0.1μm)としうる。
【0086】
三つめは、後の工程において画素電極の形成を安定化させる効果がある。透過型液晶表示装置の場合、画素電極としてはITO(酸化インジウム・スズ)等の透明導電膜が用いられるが、本出願人の知見では、有機樹脂絶縁膜上と酸化物上とで透明導電膜のエッチングレートが異なる現象が見受けられる。これがエッチング不良等を起こし、歩留まりが低下する要因となりえる。
【0087】
しかしながら、本実施例の構造とすれば透明導電膜は全て有機樹脂絶縁膜上(本実施例の場合アクリル膜上)に形成されるので、上述のようなエッチングレートの差は生じない。即ち、均一にエッチングが進行するため、設計どおりのパターニングが可能となり、歩留まりを低下させるような不良を防ぐことができる。
【0088】
以上のように、本願発明では遮蔽膜によって形成される段差を樹脂絶縁膜で平坦化する点に特徴がある。なお、ここでは樹脂絶縁膜を用いているが、平坦化効果が得られるのであれば、無機材料でなる絶縁膜を用いても良い。本明細書中では樹脂材料でなる絶縁膜と無機材料でなる絶縁膜とを総称して「絶縁膜」と呼ぶ場合がある。
【0089】
次に、平坦化膜167、第3層間絶縁膜164、パッシベーション膜163にドレイン配線162に達するコンタクトホールを形成し、画素電極168を形成する。なお、画素電極169、170はそれぞれ隣接する別の画素の画素電極である。本実施例では画素電極168〜170として透明導電膜を用い、具体的には酸化インジウム・スズ(ITO)膜を110nmの厚さにスパッタ法で形成する。なお、本明細書中では画素電極を「第2導電膜」と呼ぶ場合がある。
【0090】
なお、反射型の液晶表示装置とする場合には画素電極の材料として金属膜を用いれば良い。その場合、エッチングレートの差をなくすという効果が得られるかどうかは不明だが、少なくとも画素電極を平坦にするという効果は得られる。
【0091】
また、この時、画素電極168と遮蔽膜165とが陽極酸化物166を介して重なり、保持容量(キャパシタンス・ストレージ又はコンデンサー)171を形成する。なお、保持容量171しか符号を付していないが、遮蔽膜と画素電極とが重なる領域は全て保持容量として機能する。
【0092】
また、この場合、遮蔽膜165をフローティング状態(電気的に孤立した状態)か固定電位、好ましくはコモン電位(データとして送られる画像信号の中間電位)に設定しておくことが望ましい。
【0093】
こうして同一基板上に、駆動回路と画素部とを有した基板(以下、アクティブマトリクス基板という)が完成する。なお、図4(B)においては、駆動回路にはpチャネル型TFT301、nチャネル型TFT302、303が形成され、画素部にはnチャネル型TFTでなる画素TFT304が形成される。
【0094】
なお、本実施例の工程順序は適宜変更しても構わない。どのような順序としても、最終的に形成されるTFTの構造が図4(B)のような構造であればアクティブマトリクス基板の基本的な機能は変化せず、本発明の効果を損なうものではない。
【0095】
駆動回路のpチャネル型TFT301には、チャネル形成領域201、ソース領域202、ドレイン領域203がそれぞれp型不純物領域(a)で形成される。但し、実際にはソース領域またはドレイン領域の一部に1×1020〜1×1021atoms/cm3の濃度でリンを含む領域が存在する。また、その領域には図3(B)の工程でゲッタリングされた触媒元素が5×1018atoms/cm3以上(代表的には1×1019〜5×1020atoms/cm3)濃度で存在する。
【0096】
また、nチャネル型TFT302には、チャネル形成領域204、ソース領域205、ドレイン領域206、そしてチャネル形成領域の片側(ドレイン領域側)に、ゲート絶縁膜を介してゲート配線と重なったLDD領域(本明細書中ではこのような領域をLov領域という。なお、ovはoverlapの意味で付した。)207が形成される。この時、Lov領域207は2×1016〜5×1019atoms/cm3の濃度でリンを含み、且つ、ゲート配線と全部重なるように形成される。
【0097】
また、nチャネル型TFT303には、チャネル形成領域208、ソース領域209、ドレイン領域210、そしてチャネル形成領域の両側にLDD領域211、212が形成された。なお、この構造ではLDD領域211、212の一部がゲート配線と重なるように配置されたために、ゲート絶縁膜を介してゲート配線と重なったLDD領域(Lov領域)とゲート絶縁膜を介してゲート配線と重ならないLDD領域(本明細書中ではこのような領域をLoff領域という。なお、offはoffsetの意味で付した。)が形成されている。
【0098】
ここで図6に示す断面図は図4(B)に示したnチャネル型TFT303を図3(B)の工程まで作製した状態を示す拡大図である。ここに示すように、LDD領域211はさらにLov領域211a、Loff領域211bに、LDD領域212はさらにLov領域212a、Loff領域212bに区別できる。また、前述のLov領域211a、212aには2×1016〜5×1019atoms/cm3の濃度でリンが含まれるが、Loff領域211b、212bはその1〜2倍(代表的には1.2〜1.5倍)の濃度でリンが含まれる。
【0099】
また、画素TFT304には、チャネル形成領域213、214、ソース領域215、ドレイン領域216、Loff領域217〜220、Loff領域218、219に接したn型不純物領域(a)221が形成される。この時、ソース領域215、ドレイン領域216はそれぞれn型不純物領域(a)で形成され、Loff領域217〜220はn型不純物領域(c)で形成される。
【0100】
本実施例によれば、画素部および駆動回路が求める性能に応じて回路または素子を形成するTFTの構造を最適化し、半導体装置の動作性能および信頼性を向上させることができる。具体的には、nチャネル型TFTは回路仕様に応じてLDD領域の配置を異ならせ、Lov領域またはLoff領域を使い分けることによって、同一基板上に高速動作またはホットキャリア対策を重視したTFT構造と低オフ電流動作を重視したTFT構造とを実現しうる。
【0101】
例えば、アクティブマトリクス型液晶表示装置の場合、nチャネル型TFT302は高速動作を重視するシフトレジスタ回路、信号分割回路、レベルシフタ回路、バッファ回路などの駆動回路に適している。即ち、チャネル形成領域の片側(ドレイン領域側)のみにLov領域を配置することで、できるだけ抵抗成分を低減させつつホットキャリア注入による劣化に強い動作を達成しうる。これは上記回路の場合、ソース領域とドレイン領域の機能が変わらず、キャリア(電子)の移動する方向が一定だからである。但し、必要に応じてチャネル形成領域の両側にLov領域を配置することもできる。
【0102】
また、nチャネル型TFT303はホットキャリア対策と低オフ電流動作の双方を重視するサンプリング回路(サンプル及びホールド回路)に適している。即ち、Lov領域を配置することでホットキャリア対策とし、さらにLoff領域を配置することで低オフ電流動作を達成しうる。また、サンプリング回路はソース領域とドレイン領域の機能が反転してキャリアの移動方向が180°変わるため、ゲート配線を中心に線対称となるような構造としなければならない。なお、場合によってはLov領域のみとすることもありうる。
【0103】
また、nチャネル型TFT304は低オフ電流動作を重視した画素部、サンプリング回路(サンプルホールド回路)に適している。即ち、オフ電流値を増加させる要因となりうるLov領域を配置せず、Loff領域のみを配置することで低オフ電流動作を達成しうる。また、駆動回路のLDD領域よりも低い濃度のLDD領域をLoff領域として用いることで、多少オン電流値が低下するが徹底的にオフ電流値を低減することができる。さらに、n型不純物領域(a)221はオフ電流値を低減する上で非常に有効である。
【0104】
また、nチャネル型TFT302のLov領域207の長さ(幅)は0.1〜3.0μm、代表的には0.2〜1.5μmとすれば良い。また、nチャネル型TFT303のLov領域211a、212aの長さ(幅)は0.1〜3.0μm、代表的には0.2〜1.5μm、Loff領域211b、212bの長さ(幅)は1.0〜3.5μm、代表的には1.5〜2.0μmとすれば良い。また、画素TFT304に設けられるLoff領域217〜220の長さ(幅)は0.5〜3.5μm、代表的には2.0〜2.5μmとすれば良い。
【0105】
また、本実施例では保持容量の誘電体として比誘電率が7〜9と高いアルミナ膜を用いたことで、必要な容量を形成するための面積を少なくすることを可能としている。さらに、本実施例のように画素TFT上に形成される遮蔽膜を保持容量の一方の電極とすることで、アクティブマトリクス型液晶表示装置の画像表示部の開口率を向上させることができる。
【0106】
[実施例2]
本実例では、アクティブマトリクス基板から、アクティブマトリクス型液晶表示装置を作製する工程を説明する。図5に示すように、図4(B)の状態の基板に対し、配向膜501を形成する。本実施例では配向膜としてポリイミド膜を用いる。また、対向基板502には、透明導電膜503と、配向膜504とを形成する。なお、対向基板には必要に応じてカラーフィルターや遮蔽膜を形成しても良い。
【0107】
次に、配向膜を形成した後、ラビング処理を施して液晶分子がある一定のプレチルト角を持って配向するように調節する。そして、画素部と、駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とを、公知のセル組み工程によってシール材やスペーサ(共に図示せず)などを介して貼りあわせる。
【0108】
その後、両基板の間に液晶505を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図5に示すアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。
【0109】
なお、本願発明の保持容量は非常に液晶505に近い位置に形成されるため、スペーサーからの圧力の影響を受けやすい。即ち、従来は保持容量がセルギャップの最も狭い部分(アクティブマトリクス基板の最も高い部分)に形成されたため、スペーサーが直上に形成されるとセルギャップを確保する際のプレス工程においてスペーサーからの圧力を受け、画素電極と遮蔽膜とがショートしてしまうという問題が起こり得た。
【0110】
しかしながら、本願発明を実施すれば基板に対する画素電極の平坦度を向上させることによってセルギャップをどの位置でも同じ長さにすることができる。即ち、前述のプレス工程においてそのスペーサーにも均等に圧力がかかり、特定部分(特に保持容量)に過剰な圧力がかかるようなことがない。従って、上記のような画素電極と遮蔽膜のショート等の不具合を防ぐことができる。
【0111】
なお、本願発明を実施する際、スペーサーは特に何を用いても良いが、点接触となるビーズ状スペーサー(シリカ系スペーサー等)よりは面接触となる樹脂材料でなるスペーサー(ポリイミド等をパターニングして形成するスペーサー等)を用いることが好ましい。樹脂材料でなるスペーサーはビーズ状スペーサーよりも柔らかいため、素子に過剰な負荷をかけることがないという利点がある。
【0112】
また、形成位置を自由に設計することができるので、画像表示領域を有効に活用することができる。本願発明の場合、遮蔽膜やソース配線上など画像表示領域として用いない領域に形成すれば良い。勿論、樹脂材料に限らず無機材料でスペーサーを形成しても良いし、スペーサーをテーパー状に形成して配向膜(または画素電極)との接触面積を広くして圧力を分散させても良い。
【0113】
次に、このアクティブマトリクス型液晶表示装置の構成を、図7の斜視図を用いて説明する。アクティブマトリクス基板は、ガラス基板601上に形成された、画素部602と、ゲート側駆動回路603と、ソース側駆動回路604で構成される。画素部の画素TFT605はnチャネル型TFTであり、画素電極606及び保持容量607に接続される。実施例1に示した保持容量の構造は、この保持容量607に用いることができる。
【0114】
また、周辺に設けられる駆動回路はCMOS回路を基本として構成されている。ゲート側駆動回路603と、ソース側駆動回路604はそれぞれゲート配線608とソース配線609で画素部602に接続されている。また、FPC610が接続された外部入出力端子611には駆動回路まで信号を伝達するための入出力配線(接続配線)612、613が設けられている。また、614は対向基板である。
【0115】
なお、本明細書中では図7に示した半導体装置をアクティブマトリクス型液晶表示装置と呼んでいるが、図7に示すようにFPCまで取り付けられた液晶パネルのことを一般的には液晶モジュールという。従って、本実施例でいうアクティブマトリクス型液晶表示装置を液晶モジュールと呼んでも差し支えない。
【0116】
[実施例3]
本実施例では、実施例2で示した液晶表示装置の回路構成の一例を示す。本実施例の液晶表示装置は、ソース側駆動回路801、ゲート側駆動回路(A)807、ゲート側駆動回路(B)811、プリチャージ回路812、画素部806を有している。なお、本明細書中において、駆動回路とはソース側処理回路およびゲート側駆動回路を含めた総称である。
【0117】
ソース側駆動回路801は、シフトレジスタ回路802、レベルシフタ回路803、バッファ回路804、サンプリング回路805を備えている。また、ゲート側駆動回路(A)807は、シフトレジスタ回路808、レベルシフタ回路809、バッファ回路810を備えている。ゲート側駆動回路(B)811も同様な構成である。
【0118】
ここでシフトレジスタ回路802、808は駆動電圧が5〜16V(代表的には10V)であり、回路を形成するCMOS回路に使われるnチャネル型TFTは図4(B)の302で示される構造が適している。
【0119】
また、レベルシフタ回路803、809、バッファ回路804、810は、駆動電圧は14〜16Vと高くなるが、シフトレジスタ回路と同様に、図4(B)のnチャネル型TFT302を含むCMOS回路が適している。なお、ゲート配線をダブルゲート構造、トリプルゲート構造といったマルチゲート構造とすることは、各回路の信頼性を向上させる上で有効である。
【0120】
また、サンプリング回路805は駆動電圧が14〜16Vであるが、ソース領域とドレイン領域が反転する上、オフ電流値を低減する必要があるので、図4(B)のnチャネル型TFT303を含むCMOS回路が適している。なお、図4(B)ではnチャネル型TFTしか図示されていないが、実際にサンプリング回路を形成する時はnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとを組み合わせて形成することになる。
【0121】
また、画素部806は駆動電圧が14〜16Vであり、サンプリング回路805よりもさらにオフ電流値が低いことを要求するので、オフ電流の増加を招くLov領域を配置しない構造とすることが望ましく、図4(B)のnチャネル型TFT304を画素TFTとして用いることが望ましい。
【0122】
なお、本実施例の構成は、実施例1に示した作製工程に従ってTFTを作製することによって容易に実現することができる。また、本実施例では画素部と駆動回路の構成のみ示しているが、実施例1の作製工程に従えば、その他にも信号分割回路、D/Aコンバータ回路、オペアンプ回路、γ補正回路など駆動回路以外の論理回路を同一基板上に形成することが可能であり、さらにはメモリ部やマイクロプロセッサ等を形成しうる。
【0123】
[実施例4]
本実施例では、画素部を形成する複数の画素の構造に関する一実施例を示す。
説明には図9を用いる。
【0124】
まず、図9(A)において、901は活性層、902はゲート配線(ゲート電極を含む)、903はソース配線、904はドレイン配線、905、906はそれぞれソース配線903とドレイン配線904が活性層901と接続するコンタクト部である。この状態は実施例1において図3(C)の工程まで終了した時点での上面図に相当する。
【0125】
さらに、図9(B)に示すように、遮蔽膜907、遮蔽膜907の表面に形成された酸化物(図示せず)、遮蔽膜907によって生じた段差を平坦化するための樹脂絶縁膜(図示せず)、画素電極908が形成される。909はドレイン配線904と画素電極908とのコンタクト部である。また、ここでいう樹脂絶縁膜は実施例1に示した樹脂絶縁膜167に相当する。この状態は実施例1において図4(B)の工程まで終了した時点での上面図に相当する。
【0126】
このとき、上述の遮蔽膜907、図示しない酸化物、図示しない樹脂絶縁膜及び画素電極908とが重なる領域が保持容量となる。図7(B)では、910a〜910cで示された領域が保持容量である。なお、画素電極908は画素の外周部において遮蔽膜907と重なっており、当然その部分にも保持容量が形成されていることは言うまでもない。
【0127】
以上のように、本願発明を用いることで小さい面積で大きな容量を確保しうる保持容量を形成することができる。また、樹脂絶縁膜を用いて遮蔽膜による段差をなくし、平坦化を行っているので、液晶にかかる電界を均一なものとすることが可能である。
【0128】
なお、画素構造は本実施例の構造に限定されるものではない。また、本実施例の構造は実施例1の作製工程によって作製することが可能であり、実施例2、3に示した液晶表示装置の画素として用いることができる。
【0129】
[実施例5]
本実施例では、実施例2とは異なる構造の画素部を有するアクティブマトリクス型液晶表示について図10を用いて説明する。なお、基本的な構造は図5と同じであるので変更点のみを説明する。従って、その他の部分については図5で説明した通りである。
【0130】
図10の構造では画素部を形成する画素TFT(nチャネル型TFT)305の構造が実施例2と異なる。具体的には、本実施例の場合、チャネル形成領域11、12とn型不純物領域(c)でなるLDD領域(Loff領域)13〜16との間に、オフセット領域17〜20が形成されている点で異なる。
【0131】
なお、オフセット領域とは、17〜20で示されるようにチャネル形成領域と同一組成の半導体層(含まれる不純物元素がチャネル形成領域と同一であるという意味)で、ゲート電極と重ならない領域を指す。このオフセット領域17〜20は単なる抵抗として機能し、オフ電流値を低減する上で非常に効果がある。
【0132】
このような構造を実現するには、例えば実施例1の図2(D)の工程においてn型不純物元素を添加する前に、厚さ20〜200nm(好ましくは25〜150nm)の珪素を含む絶縁膜を、ゲート配線等を覆って形成しておけば良い。
【0133】
こうすることでゲート電極124a、124bの側壁に絶縁膜が形成された状態で不純物元素が添加されるので、その部分がマスクとなってオフセット領域が形成される。従って、こうして形成されるオフセット領域の長さは前記絶縁膜の膜厚にほぼ一致し、20〜200nm(好ましくは25〜150nm)となる。
【0134】
この絶縁膜はとしてはゲート絶縁膜の材料と同一のものを用いることが好ましい。そうすると、図2(E)の工程でゲート絶縁膜と同時に除去することができる。
【0135】
なお、本実施例の構造は実施例1の工程の一部を変更することで実現可能であり、実施例2〜4のいずれの構成とも自由に組み合わせることができる。
【0136】
[実施例6]
本実施例では、実施例2とは異なる構造の保持容量を有するアクティブマトリクス型液晶表示について図11を用いて説明する。なお、基本的な構造は図5と同じであるので変更点のみを説明する。従って、その他の部分については図5で説明した通りである。
【0137】
図11に示した構造は、実施例1の図4(A)の工程において、陽極酸化物166上の樹脂絶縁膜を完全に除去した場合に相当する。即ち、図11に示すように、遮蔽膜165及び樹脂絶縁膜166が形成する段差を埋め込むような形で樹脂絶縁膜21が設けられ、画素電極22は陽極酸化物166と直接接するように形成される。
【0138】
このような構造とした場合、実施例1で説明した画素電極のエッチングレートの差をなくすという効果は得られないが、段差をなくすことによる画素電極の平坦化効果は同様に得られる。また、保持容量の誘電体は比誘電率の高い陽極酸化物(本実施例ではアルミナ膜)166だけであるので、非常に大きな容量を確保することができる。
【0139】
従って、下地の違いによる画素電極(透明導電膜)のエッチングレートの差が問題とならない場合には、本実施例の構造が有効である。
【0140】
なお、本実施例の構造は実施例1の作製工程において図4(A)の工程の条件を変更するだけで達成可能であり、実施例2〜5のいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【0141】
[実施例7]
画素部の各画素に設けられる保持容量は画素電極に接続されていない方の電極(本発明の場合は遮蔽膜)を固定電位としておくことで保持容量を形成することができる。その場合、遮蔽膜をフローティング状態(電気的に孤立した状態)かコモン電位(データとして送られる画像信号の中間電位)に設定しておくことが望ましい。
【0142】
そこで本実施例では遮蔽膜をコモン電位に固定する場合の接続方法について図12を用いて説明する。なお、基本構造は図4(B)で説明した画素部と同様であるので、同一部位には同じ符号を用いて説明する。
【0143】
図12(A)において、304は実施例1と同様にして作製された画素TFT(nチャネル型TFT)であり、165は保持容量の一方の電極として機能する遮蔽膜である。画素部の外側に延在した遮蔽膜1201は樹脂絶縁膜167、第3層間絶縁膜164、パッシベーション膜163に設けられたコンタクトホール1202を介してコモン電位を与える電源供給線1203と接続している。この電源供給線1203はソース配線またはドレイン配線と同時に形成しておけば良い。
【0144】
このように画素部の外側において、遮蔽膜1201とコモン電位を与える電源供給線1203とを電気的に接続することで、遮蔽膜165をコモン電位に保持することができる。
【0145】
次に、図12(B)において、304は実施例1と同様にして作製された画素TFTであり、165は保持容量の一方の電極として機能する遮蔽膜である。画素部の外側まで延在した遮蔽膜1204は、1205で示される領域において導電膜1206と酸化物1207及び樹脂絶縁膜1208を介して重なる。この導電膜1206は画素電極168と同時に形成される。
【0146】
そして、この導電膜1206はコンタクトホール1209を介してコモン電位を与える電源供給線1210と接続している。この時、領域1205では遮蔽膜1204、酸化物1207、樹脂絶縁膜1208及び導電膜1206でなるコンデンサーが形成される。このコンデンサーの容量が十分に大きい(1走査ライン分の全画素に接続された全保持容量の合計容量の10倍程度)場合、領域1205で形成された静電結合によって遮蔽膜1204及び165の電位変動を低減することができる。
【0147】
また、図12(B)の構造を採用する場合は、アクティブマトリクス型液晶表示装置の駆動方法としてはソースライン反転駆動を採用することが好ましい。ソースライン反転駆動ならば画素電極に印加される電圧極性が1フレーム毎に反転するので、時間的に平均化すれば遮蔽膜165に蓄積される電荷量は殆どゼロとなる。即ち、非常に電位変動の小さい状態を維持できるので、安定した保持容量を形成することができる。
【0148】
このように図12(B)の構造を採用することで、工程数を増やすことなく遮蔽膜をコモン電位に保持することが可能となる。
【0149】
なお、本実施例の構成は、実施例1の作製工程を一部変更するだけで実現可能であり、その他の工程は実施例1と同様の工程で良い。また、実施例2〜6に示したいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【0150】
[実施例8]
本実施例では、実施例1において陽極酸化物166を形成する際の陽極酸化方法の一例を示す。
【0151】
本実施例では、まず十分にアルカリイオン濃度の小さい酒石酸エチレングリコール溶液を作製する。これは15%の酒石酸アンモニウム水溶液とエチレングリコールとを2:8で混合した溶液であり、これにアンモニア水を加え、pHが7±0.5となるように調節する。そして、この溶液中に陰極となる白金電極を設け、遮蔽膜165が形成されている基板を10℃の溶液に浸し、遮蔽膜165を陽極として、一定の直流電流を流す。なお、直流電流の量は陽極酸化対象となる遮蔽膜165の表面積によって変わるが、30〜100μA/cm2(好ましくは50〜70μA/cm2とすればよい。本実施例では60μA/cm2とする。
【0152】
溶液中の陰極と陽極との間の電圧は陽極酸化物の成長に従い時間と共に変化するが、定電流のまま100V/minの昇圧レートで電圧を上昇させて、到達電圧45Vに達したところで陽極酸化処理を終了させる。このようにして遮蔽膜165の表面には厚さ約50nmの陽極酸化物166を形成することができる。また、その結果、遮蔽膜165の膜厚は90nmとなる。なお、ここで示した陽極酸化法に係わる数値は一例にすぎず、作製する素子の大きさ等によって当然最適値は変化しうるものである。
【0153】
以上のような工程で陽極酸化処理を行うことにより、樹脂材料でなる第3層間絶縁膜164上に直接遮蔽膜165を形成しても、遮蔽膜165の密着性の悪さが問題とならない。即ち、密着性が悪いと遮蔽膜165と第3層間絶縁膜164との隙間に潜り込むように陽極酸化反応が進行するといった不具合が生じるが、本実施例のような条件で行えば、たとえ密着性が悪かったとしても、前述のような不具合を防止することができる。
【0154】
なお、本実施例は実施例1の陽極酸化処理の条件を変更しただけであり、実施例2〜7のいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【0155】
[実施例9]
実施例1では、図1(B)に示す工程が終わった後に結晶質シリコン膜104をパターニングし、活性層105〜108を形成してからp型不純物領域(b)の形成工程、n型不純物領域(b)の形成工程を行っているが、本願発明は結晶質シリコン膜104をパターニングする前にp型不純物領域(b)の形成工程、n型不純物領域(b)の形成工程を行っても良い。
【0156】
この場合、p型不純物領域(b)及びn型不純物領域(b)を活性化する工程(実施例1では図1(F)のレーザーアニール工程に相当する)を、結晶質シリコン膜をパターニングする前に済ませることができる。そのため、レーザーアニール工程の最適条件がパターン設計(活性層の位置や形状等)によって変化するといった不具合を防止することができる。即ち、TFT形成時の設計の自由度が向上するという利点がある
【0157】
なお、本実施例は実施例1の工程順序を変更しただけであり、実施例2〜8のいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【0158】
[実施例10]
実施例1に示した作製工程においては、nチャネル型TFTとなる領域のみにチャネルドープ工程を行ってしきい値電圧を制御する例を示しているが、nチャネル型TFTやpチャネル型TFTの区別なしに全面にチャネルドープ工程を行うことも可能である。その場合、作製工程のフォトマスク数が減るので工程のスループットおよび歩留まりの向上が図れる。
【0159】
また、場合によっては全面にチャネルドープ工程を施して、nチャネル型TFTまたはpチャネル型TFTのどちらか一方に、全面に添加した不純物元素と逆の導電型を付与する不純物元素を添加する場合もありうる。
【0160】
なお、本実施例の構成は、実施例1〜9に示したいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【0161】
[実施例11]
実施例1の作製工程では、結晶構造を含む半導体膜の形成方法として、結晶化を助長する触媒元素を用いる例を示したが、本実施例では、そのような触媒元素を用いずに熱結晶化またはレーザー結晶化によって結晶構造を含む半導体膜を形成する場合を示す。
【0162】
熱結晶化による場合、非晶質構造を含む半導体膜を形成した後、600〜650℃の温度で15〜24時間の熱処理工程を行えば良い。即ち、600℃を超える温度で熱処理を行うことにより自然核が発生し、結晶化が進行する。
【0163】
また、レーザー結晶化による場合、非晶質構造を含む半導体膜を形成した後、実施例1に示した第1アニール条件でレーザーアニール工程を行えば良い。これにより短時間で結晶構造を含む半導体膜を形成することができる。勿論、レーザーアニールの代わりにランプアニールを行っても良い。
【0164】
以上のように、TFTに用いる結晶構造を含む半導体膜は、公知のあらゆる手段を用いて形成することができる。なお、本実施例は実施例1〜10のいずれの構成とも自由に組み合わせることができる。
【0165】
[実施例12]
本実施例ではTFTの活性層となる結晶質シリコン膜の作製方法として、特願平11−76967号出願明細書の実施例1に記載された技術を用いる。同出願明細書の実施例1の作製工程によれば、特異な結晶構造の結晶質シリコン膜を得ることができる。
【0166】
なお、この結晶質シリコン膜に関する詳細は、本出願人による特願平10−044659号、特願平10−152316号、特願平10−152308号または特願平10−152305号の出願を参照すれば良い。以下、本出願人が実験的に調べた結晶構造の特徴について概略を説明する。なお、この特徴は、本実施例を実施して完成されたTFTの活性層を形成する半導体層の特徴と一致すると考えて良い。
【0167】
上記結晶質シリコン膜は、微視的に見れば複数の針状又は棒状の結晶(以下、棒状結晶と略記する)が集まって並んだ結晶構造を有する。このことはTEM(透過型電子顕微鏡法)による観察で容易に確認できる。
【0168】
また、電子線回折及びエックス線(X線)回折を利用すると結晶質シリコン膜の表面(チャネルを形成する部分)が、結晶軸に多少のずれが含まれているものの主たる配向面として{110}面を有することを確認できる。この時、電子線回折で分析を行えば{110}面に対応する回折斑点がきれいに現れるのを確認することができる。また、各斑点は同心円上に分布を持っていることも確認できる。
【0169】
また、個々の棒状結晶が接して形成する結晶粒界をHR−TEM(高分解能透過型電子顕微鏡法)により観察すると、結晶粒界において結晶格子に連続性があることを確認できる。これは観察される格子縞が結晶粒界において連続的に繋がっていることから容易に確認することができる。
【0170】
なお、結晶粒界における結晶格子の連続性は、その結晶粒界が「平面状粒界」と呼ばれる粒界であることに起因する。本明細書における平面状粒界の定義は、「Characterization of High-Efficiency Cast-Si Solar Cell Wafers by MBIC Measurement ;Ryuichi Shimokawa and Yutaka Hayashi,Japanese Journal of Applied Physics vol.27,No.5,pp.751-758,1988」に記載された「Planar boundary 」である。
【0171】
上記論文によれば、平面状粒界には双晶粒界、特殊な積層欠陥、特殊なtwist 粒界などが含まれる。この平面状粒界は電気的に不活性であるという特徴を持つ。即ち、結晶粒界でありながらキャリアの移動を阻害するトラップとして機能しないため、実質的に存在しないと見なすことができる。
【0172】
特に結晶軸(結晶面に垂直な軸)が〈110〉軸である場合、{211}双晶粒界はΣ3の対応粒界とも呼ばれる。Σ値は対応粒界の整合性の程度を示す指針となるパラメータであり、Σ値が小さいほど整合性の良い粒界であることが知られている。
【0173】
実際に本実施例の結晶質シリコン膜を詳細にTEMを用いて観察すれば、結晶粒界の殆ど(90%以上、典型的には95%以上)がΣ3の対応粒界、典型的には{211}双晶粒界であることが判る。
【0174】
二つの結晶粒の間に形成された結晶粒界において、両方の結晶の面方位が{110}である場合、{111}面に対応する格子縞がなす角をθとすると、θ=70.5°の時にΣ3の対応粒界となることが知られている。本実施例の結晶質シリコン膜は、結晶粒界において隣接する結晶粒の各格子縞がまさに約70.5°の角度で連続しており、その事からこの結晶粒界はΣ3の対応粒界であると言える。
【0175】
なお、θ= 38.9 °の時にはΣ9の対応粒界となるが、この様な他の対応粒界も存在する。いずれにしても不活性であることに変わりはない。
【0176】
この様な対応粒界は、同一面方位の結晶粒の間にしか形成されない。即ち、本実施例の結晶質シリコン膜は面方位が概略{110}で揃っているからこそ、広範囲に渡ってこの様な対応粒界を形成しうる。
【0177】
この様な結晶構造(正確には結晶粒界の構造)は、結晶粒界において異なる二つの結晶粒が極めて整合性よく接合していることを示している。即ち、結晶粒界において結晶格子が連続的に連なり、結晶欠陥等に起因するトラップ準位を非常に作りにくい構成となっている。従って、この様な結晶構造を有する半導体薄膜は実質的に結晶粒界が存在しない見なすことができる。
【0178】
またさらに、800〜1150℃という高い温度での熱処理工程(熱酸化工程)によって結晶粒内に存在する欠陥が殆ど消滅していることがTEM観察によって確認される。これはこの熱処理工程の前後で欠陥数が大幅に低減されていることからも明らかである。
【0179】
この欠陥数の差は電子スピン共鳴分析(Electron Spin Resonance :ESR)によってスピン密度の差となって現れる。現状では本実施例の結晶質シリコン膜のスピン密度は少なくとも 5×1017spins/cm3以下(好ましくは 3×1017spins/cm3以下)であることが判明している。ただし、この測定値は現存する測定装置の検出限界に近いので、実際のスピン密度はさらに低いと予想される。
【0180】
以上の事から、本実施例の結晶質シリコン膜は結晶粒内の欠陥が極端に少なく、結晶粒界が実質的に存在しないと見なせるため、単結晶シリコン膜又は実質的な単結晶シリコン膜と考えて良い。
【0181】
本実施例を実施することで、上記のような特異な結晶構造の結晶質シリコン膜をTFTの活性層として用いることが可能である。これにより非常に優れた電気特性を示すTFTを形成することができ、さらに半導体装置の動作性能を向上させることが可能となる。
【0182】
なお、本実施例の構成は、本願明細書の実施例1の一部の工程を変更するだけで実施することが可能である。また、実施例2〜11のいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【0183】
[実施例13]
実施例1に示した作製工程では、図4(A)に示すような平坦化工程を積極的に行うことによって配向膜の平坦度を高めているが、樹脂絶縁膜を特に平坦化工程を行わずに用いることも可能である。
【0184】
但し、陽極酸化物166上に存在する樹脂絶縁膜の膜厚が厚すぎると必要な容量の保持容量を形成することができなくなるので、その点を考慮しておくことは言うまでもない。溶液塗布型の絶縁膜は溝の深い部分に多く残る性質があるため、成膜するだけでも平坦化効果がある。実施例1はそれでも緩和しきれない段差の平坦度をさらに上げるために、特に平坦化工程を設けているのである。
【0185】
また本実施例の構成を実施する場合、図4(A)の工程において樹脂絶縁膜を成膜した後、特に平坦化のための工程を行わずにコンタクトホールを形成し、画素電極を形成することになる。この場合、ITO等の透明導電膜を形成する際にスパッタ法を用い、スパッタガスとして酸素を含むキャリアガス(例えばアルゴンと酸素の混合ガス)を用いることが望ましい。
【0186】
スパッタガスとして酸素が含まれていると、透明導電膜の成膜時に樹脂絶縁膜がエッチングされ、多少膜厚が減少する。予めその膜厚の減少分を計算にいれて樹脂絶縁膜の膜厚を決定しておけば、陽極酸化物166上の樹脂絶縁膜の膜厚を制御することが可能である。
【0187】
本実施例の構成では、特に平坦化のための工程を設ける必要がないので、製造プロセスのスループットが向上する。なお、本実施例の構成は、実施例2〜5、7〜12のいずれの構成とも自由に組み合わせることができる。
【0188】
[実施例14]
本実施例では、本願発明を実施する場合においてアクティブマトリクス基板と対向基板との間隔(セルギャップ)を確保するためのスペーサーの配置について図13を用いて説明する。
【0189】
図13(A)は実施例2で説明したアクティブマトリクス型液晶表示装置の画素部の断面構造(切り口は異なる)を拡大したものに相当する。従って、実施例1、2で用いた符号はそのまま引用することにする。
【0190】
本実施例では、画素電極168とドレイン配線162とを接続させるためのコンタクトホール1301の上に樹脂材料でなるスペーサー1302を形成することを特徴としている。
【0191】
コンタクトホール1301を被覆するように形成された画素電極168はコンタクトホールの形状に沿って段差を生じる。この段差はコンタクトホール1301の深さに相当し、本実施例の場合は1〜2.5μm(典型的には1.5〜2μm)にも達する。この段差は液晶の配向不良の原因ともなりうるため好ましいものではない。しかしながら、本願発明では樹脂絶縁膜167を形成した後で画素電極168が形成されるので、コンタクトホール1301に起因する段差を平坦化することは不可能である。
【0192】
そこで、本実施例のように、樹脂材料でなるスペーサー1302をコンタクトホール1301の上に形成することによって、コンタクトホールに起因する段差を平坦化することが可能である。そして、このようなスペーサーの形成位置の制御は樹脂材料をパターニングして用いることによってなし得る。勿論、パターニングによってスペーサーを形成しうる材料であれば、樹脂材料に限定しなくても構わない。
【0193】
なお、スペーサー1302の形成位置を上面から見ると図13(B)のような配置となる。図13(B)は実施例4に示した画素構造に対して本実施例を実施した場合の例であって、ドレイン配線904と画素電極908とのコンタクト部909の上にスペーサー1302が形成されている。
【0194】
また、従来のビーズ状スペーサーが点接触型であるのに対し、本実施例で用いるようなスペーサーは面接触型であるため、画素電極に過剰な負荷(圧力)がかかることを緩和することができる。
【0195】
なお、本実施例の構成は、実施例1〜13のいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【0196】
[実施例15]
本発明は半導体基板を用いた従来のMOSFET上に層間絶縁膜を形成し、その上にTFTを形成する際に用いることも可能である。即ち、三次元構造の半導体装置を実現することも可能である。
【0197】
また、反射型液晶表示装置を作製する場合に限り、基板としてSIMOX、Smart−Cut(SOITEC社の登録商標)、ELTRAN(キャノン株式会社の登録商標)などのSOI基板を用いることも可能である。勿論、これらのSOI技術を用いて透明基板上に単結晶半導体薄膜を形成する技術が確立されれば、透過型表示装置に用いることも可能となる。
【0198】
なお、本実施例の構成は、実施例1〜14のいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【0199】
[実施例16]
本願発明はアクティブマトリクス型EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置やアクティブマトリクス型EC(エレクトロクロミックス)表示装置に対して実施することも可能である。本実施例ではアクティブマトリクス型EL表示装置に実施した例を図14に示す。
【0200】
図14はアクティブマトリクス型EL表示装置の回路図である。81は画素部を表しており、その周辺にはX方向駆動回路82、Y方向駆動回路83が設けられている。また、画素部81の各画素は、スイッチ用TFT84、コンデンサー85、電流制御用TFT86、有機EL素子87を有し、スイッチ用TFT84にX方向信号線88a(または88b)、Y方向信号線89a(または89b、89c)が接続される。また、電流制御用TFT86には、電源線90a、90bが接続される。
【0201】
本実施例のアクティブマトリクス型EL表示装置では、X方向駆動回路82、Y方向駆動回路83または電流制御用TFT86に用いられるTFTを図4(B)のpチャネル型TFT301、nチャネル型TFT302または303を組み合わせて形成する。また、スイッチ用TFT84のTFTを図4(B)のnチャネル型TFT304で形成する。また、コンデンサー85として図4(B)の保持容量171を用いて形成する。
【0202】
ところで、TFTの上方に向かって(TFTを形成した基板を通さずに)光出射を行う動作モードのEL表示装置の場合、画素電極を反射性の電極で形成することになる。EL表示装置において画素内のどこにEL素子を配置するかは画素構造によっても異なるが、このような動作モードの場合、画素電極の上は全て有効表示領域として用いることができるため、保持容量の上にもEL素子を形成することができる。
【0203】
その場合、遮蔽膜(但しこの場合電界遮蔽の効果しかない)に起因する段差があるとEL素子も段差を有するようになり、その部分で発光方向が乱れるので画像表示の明るさや色合いを低下させる原因にもなる。本願発明はこのような状況を解決する手段として有効である。
【0204】
なお、本実施例のアクティブマトリクス型EL表示装置に対して、実施例1、4〜6、8〜13、15のいずれの構成を組み合わせても良い。
【0205】
[実施例17]
本願発明によって作製された液晶表示装置は様々な液晶材料を用いることが可能である。そのような材料として、TN液晶、PDLC(ポリマー分散型液晶)、FLC(強誘電性液晶)、AFLC(反強誘性電液晶)、またはFLCとAFLCの混合物(反強誘電性混合液晶)が挙げられる。
【0206】
例えば、「H.Furue et al.;Charakteristics and Drivng Scheme of Polymer-Stabilized Monostable FLCD Exhibiting Fast Response Time and High Contrast Ratio with Gray-Scale Capability,SID,1998」、「T.Yoshida et al.;A Full-Color Thresholdless Antiferroelectric LCD Exhibiting Wide Viewing Angle with Fast Response Time,841,SID97DIGEST,1997」、「S.Inui et al.;Thresholdless antiferroelectricity in liquid crystals and its application to displays,671-673,J.Mater.Chem.6(4),1996」、または米国特許第5,594,569号に開示された材料を用いることができる。
【0207】
特に、電場に対して透過率が連続的に変化する電気光学応答特性を示す無しきい値反強誘電性混合液晶(Thresholdless Antiferroelectric LCD:TL−AFLCと略記する)にはV字型(またはU字型)の電気光学応答特性を示すものがあり、その駆動電圧が約±2.5V程度(セル厚約1μm〜2μm)のものも見出されている。ここで、V字型の電気光学応答を示す無しきい値反強誘電性混合液晶の印加電圧に対する光透過率の特性を示す例を図15に示す。
【0208】
図15に示すグラフの縦軸は透過率(任意単位)、横軸は印加電圧である。なお、液晶表示装置の入射側の偏光板の透過軸は、液晶表示装置のラビング方向にほぼ一致する無しきい値反強誘電性混合液晶のスメクティック層の法線方向とほぼ平行に設定されている。また、出射側の偏光板の透過軸は、入射側の偏光板の透過軸に対してほぼ直角(クロスニコル)に設定されている。
【0209】
図15に示されるように、このような無しきい値反強誘電性混合液晶を用いると、低電圧駆動かつ階調表示が可能となることがわかる。
【0210】
そのため、画素部用の電源電圧が5〜8V程度で済む場合があり、駆動回路と画素部を同じ電源電圧で動作させる可能性が示唆されている。即ち、液晶表示装置全体の低消費電力化を図ることができる。
【0211】
また、強誘電性液晶や反強誘電性液晶はTN液晶に比べて応答速度が速いという利点をもつ。本発明で用いるようなTFTは非常に動作速度の速いTFTを実現しうるため、強誘電性液晶や反強誘電性液晶の応答速度の速さを十分に生かした画像応答速度の速い液晶表示装置を実現することが可能である。
【0212】
また、一般に、無しきい値反強誘電性混合液晶は自発分極が大きく、液晶自体の誘電率が高い。このため、無しきい値反強誘電性混合液晶を液晶表示装置に用いる場合には、画素に比較的大きな保持容量が必要となってくる。よって、自発分極が小さな無しきい値反強誘電性混合液晶を用いるのが好ましい。そういった意味で本願発明の保持容量は小さい面積で大きな容量を蓄積することができるので好ましい。
【0213】
なお、本実施例の液晶表示装置をパーソナルコンピュータ等の表示ディスプレイとして用いることが有効であることは言うまでもない。
【0214】
また、本実施例の構成は、実施例1〜15のいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【0215】
[実施例18]
本願発明はパーソナルコンピュータ等の表示ディスプレイとして用いる液晶ディスプレイ、ELディスプレイ等に用いるだけでなく、それらのような表示ディスプレイを組み込んだ電子装置(電子デバイス若しくは電子製品)全てに実施することができる。
【0216】
その様な電子装置としては、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、プロジェクター(リア型またはフロント型)、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはコンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(LD)又はデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それら半導体装置の例を図16に示す。
【0217】
図16(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、受像部2002、表示装置2003、キーボード2004等で構成される。本願発明は表示装置2004に用いることができる。
【0218】
図16(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示装置2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106等で構成される。本願発明を表示装置2102に用いることができる。
【0219】
図16(C)はゴーグル型ディスプレイであり、本体2201、表示装置2202、アーム部2203等で構成される。本発明は表示装置2202に用いることができる。
【0220】
図16(D)は記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2301、記録媒体(CD、LDまたはDVD等)2302、操作スイッチ2303、表示装置(a)2304、表示装置(b)2305等で構成される。表示装置(a)は主として画像情報を表示し、表示装置(b)は主として文字情報を表示するが、本発明はこれら表示装置(a)、(b)に用いることができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置としては、CD再生装置、ゲーム機器などに本発明を用いることができる。
【0221】
図16(E)はフロント型プロジェクターであり、本体2401、光源、光学系レンズ及び表示装置を含む光学エンジン2402等で構成され、スクリーン2403に画像を表示することができる。本発明は光学エンジン2402に内蔵される表示装置(図示せず)に用いることができる。なお、表示装置は3枚用いる方式でも1枚用いる方式でも良く、透過型表示装置であっても反射型表示装置であっても良い。
【0222】
図16(F)はリア型プロジェクターであり、本体2501、光源、光学系レンズ及び表示装置を含む光学エンジン2402、光源2502、リフレクター2503、2504、スクリーン2505等で構成される。本発明は光学エンジン2502に内蔵される表示装置(図示せず)に用いることができる。なお、表示装置は3枚用いる方式でも1枚用いる方式でも良く、透過型表示装置であっても反射型表示装置であっても良い。
【0223】
以上の様に、本願発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子装置に適用することが可能である。また、本実施例の電子装置は実施例1〜17のどのような組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。
【0224】
【発明の効果】
本願発明を用いることで、1)配向膜の平坦度が向上する、2)保持容量の誘電体のピンホールを塞ぐことができる、3)画素電極のエッチングレートの差をなくすことができる、といった利点が得られる。
【0225】
そして、1)により液晶の配向不良又はEL素子の発光不良を防ぐことができ、2)により保持容量における電極間のショートを防ぐことができる。このように液晶表示装置に代表される電気光学装置の動作性能の向上と信頼性の向上とを達成することができる。
【0226】
また、延いてはそのような電気光学装置を表示ディスプレイとして有する電子装置の動作性能と信頼性をも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 画素部と駆動回路の作製工程を示す図。
【図2】 画素部と駆動回路の作製工程を示す図。
【図3】 画素部と駆動回路の作製工程を示す図。
【図4】 画素部と駆動回路の作製工程を示す図。
【図5】 アクティブマトリクス型液晶表示装置の断面図。
【図6】 nチャネル型TFTのLDD構造を示す図。
【図7】 アクティブマトリクス型液晶表示装置の斜視図。
【図8】 アクティブマトリクス型液晶表示装置の回路ブロック図。
【図9】 画素の構造を示す上面図。
【図10】 アクティブマトリクス型液晶表示装置の断面図。
【図11】 アクティブマトリクス型液晶表示装置の断面図。
【図12】 画素部及び電源線と遮蔽膜の接続構造を示す断面図。
【図13】 アクティブマトリクス型液晶表示装置の断面図。
【図14】 アクティブマトリクス型EL表示装置の構成を示す図。
【図15】 無しきい値反強誘電性混合液晶の光透過率特性を示す図。
【図16】 電子装置の一例を示す図。
【符号の説明】
101 基板
102 下地膜
103 結晶質半導体膜
104 結晶質半導体膜
105〜108 活性層
109 保護膜
111〜113 p型不純物領域(b)が形成された活性層
115〜117 n型不純物領域(b)
118 ゲート絶縁膜
119 第1導電膜
120 第2導電膜
121〜124 ゲート配線
125〜130 n型不純物領域(c)
131〜134 ゲート絶縁膜
136〜144 n型不純物領域(a)
146、147 p型不純物領域(a)
148 第1層間絶縁膜
149〜153 チャネル形成領域
154 第2層間絶縁膜
155〜158 ソース配線
159〜162 ドレイン配線
163 パッシベーション膜
164 第3層間絶縁膜
165 遮蔽膜
166 酸化物
167 樹脂絶縁膜
168〜170 画素電極
171 保持容量
201、204、208、213、214 チャネル形成領域
202、205、209、215 ソース領域
203、206、210、216 ドレイン領域
207、211a、212a Lov領域
211b、212b、217〜220 Loff領域
221 n型不純物領域(a)
Claims (11)
- 基板の上方に設けられたTFTと、
前記TFTの上方に設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜に接して設けられた導電膜と、
前記導電膜を酸化して得られた酸化物と、
前記導電膜及び前記酸化物が形成する段差を平坦化するように設けられた樹脂材料でなる絶縁膜と、
前記酸化物及び前記樹脂材料でなる絶縁膜に接して設けられた画素電極と、を有し、
前記画素電極は、前記樹脂材料でなる絶縁膜及び前記絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して前記TFTに接続され、
前記導電膜、前記酸化物及び前記画素電極で保持容量が形成されることを特徴とする半導体装置。 - 基板の上方に設けられたTFTと、
前記TFTの上方に設けられた層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜に接して設けられた遮蔽膜と、
前記遮蔽膜を酸化して得られた酸化物と、
前記遮蔽膜及び前記酸化物が形成する段差を平坦化するように設けられた樹脂材料でなる絶縁膜と、
前記酸化物及び前記樹脂材料でなる絶縁膜に接して設けられた画素電極と、を有し、
前記画素電極は、前記樹脂材料でなる絶縁膜及び前記層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して前記TFTに接続され、
前記遮蔽膜、前記酸化物及び前記画素電極で保持容量が形成されることを特徴とする半導体装置。 - 請求項2において、
前記遮蔽膜は、コモン電位を与える電源供給線に接続することを特徴とする半導体装置。 - 請求項2において、
前記遮蔽膜を一方の電極とし、前記画素電極と同時に形成される導電膜を他方の電極とするコンデンサーを有し、
前記導電膜は、コモン電位を与える電源供給線に電気的に接続することを特徴とする半導体装置。 - 請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記樹脂材料でなる絶縁膜は、アクリル膜であることを特徴とする半導体装置。 - 請求項2乃至5のいずれか一項において、
前記遮蔽膜は、アルミニウムを主成分とする材料で形成されていることを特徴とする半導体装置。 - 基板上にTFTを形成し、
前記TFTを覆って層間絶縁膜を形成し、
前記層間絶縁膜の上に遮蔽膜を形成し、
前記遮蔽膜を酸化することにより酸化物を形成し、
前記遮蔽膜及び前記酸化物を覆って樹脂材料でなる絶縁膜を形成し、
前記樹脂材料でなる絶縁膜を平坦化することで、前記酸化物上の前記樹脂材料でなる絶縁膜を除去し、
前記樹脂材料でなる絶縁膜及び前記層間絶縁膜を開孔して前記TFTに接続し、且つ前記酸化物に接する画素電極を形成し、
前記遮蔽膜、前記酸化物及び前記画素電極で保持容量を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。 - 基板上にTFTを形成し、
前記TFTを覆って層間絶縁膜を形成し、
前記層間絶縁膜の上に遮蔽膜を形成し、
前記遮蔽膜を酸化することにより酸化物を形成し、
前記遮蔽膜及び前記酸化物を覆って樹脂材料でなる絶縁膜を形成し、
前記樹脂材料でなる絶縁膜を酸素ガスを用いたプラズマ処理によりエッチングして平坦化することで、前記酸化物上の前記樹脂材料でなる絶縁膜を除去し、
前記樹脂材料でなる絶縁膜及び前記層間絶縁膜を開孔して前記TFTに接続し、且つ前記酸化物に接する画素電極を形成し、
前記遮蔽膜、前記酸化物及び前記画素電極で保持容量を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。 - 請求項7又は8において、
前記層間絶縁膜は、樹脂材料でなることを特徴とする半導体装置の作製方法。 - 請求項7乃至9のいずれか一項において、
前記遮蔽膜は、アルミニウムを主成分とする材料でなることを特徴とする半導体装置の作製方法。 - 請求項7乃至10のいずれか一項において、
前記酸化物は、陽極酸化法により形成されることを特徴とする半導体装置の作製方法。
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