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JP2000326446A - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents

化粧シート及び化粧材

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Publication number
JP2000326446A
JP2000326446A JP11137333A JP13733399A JP2000326446A JP 2000326446 A JP2000326446 A JP 2000326446A JP 11137333 A JP11137333 A JP 11137333A JP 13733399 A JP13733399 A JP 13733399A JP 2000326446 A JP2000326446 A JP 2000326446A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protective layer
decorative
pattern
ionizing radiation
surface protective
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP11137333A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukio Suzuki
幸雄 鈴木
Tsukasa Hayakawa
典 早川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP11137333A priority Critical patent/JP2000326446A/ja
Publication of JP2000326446A publication Critical patent/JP2000326446A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】立体成形加工が可能であり、表面に優れた表面
硬度や耐傷付き性を有する化粧シート、また更に、立体
的な意匠効果を有する化粧シート、及びそれを使用した
立体形状を有する化粧材を提供する。 【解決手段】熱可塑性シートに表面保護層を設けた化粧
シートにおいて、前記表面保護層に電離放射線硬化型樹
脂を使用した化粧シートである。この化粧シートは、V
カット加工やラッピング加工、真空成形加工等による立
体形状を有する化粧材の製造が可能である。また、前記
表面保護層に、光沢差を有する模様を設け、又は撥液効
果等による同調凹凸模様を設け、或いは凹凸形状を設け
て凹部に着色インキを施すことによって、立体的な意匠
効果を与えることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築材、家具、住
宅機器等に使用する化粧材の表面化粧用として使用する
ための化粧シートに関するものであり、特に、表面硬度
が高く耐久性に優れた高級化粧材として使用するための
化粧シートであって、ラッピング加工、Vカット加工、
真空成形加工等の立体成形加工にも使用できる化粧シー
トに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の化粧シートとしては、薄葉紙又は
樹脂含浸紙等の紙基材の表面にグラビア印刷法等により
絵柄等の印刷を施し、更に該印刷面上に、アミノアルキ
ド樹脂又はウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂組成物を主成
分とする塗工液を塗工し硬化させて表面保護層を設けて
なる、いわゆるプレコート化粧紙が知られている。
【0003】係るプレコート化粧紙としては、前記表面
保護層を全面に均一に設けたものの他、塗工硬化後の表
面光沢の異なる複数種類の塗工液を使用して、表面保護
層に光沢差を有する模様を設けたもの(グロスマット化
粧紙)や、シリコーン化合物等の撥液性物質を含有する
撥液性インキによる模様の上に前記塗工液を塗工する方
法等により模様と同調した凹部を設けたもの(同調凹凸
模様化粧紙)などもある。これらは、その特有の優れた
立体的意匠効果によって、高級感が求められる用途に使
用されている。
【0004】また、例えば家具天板や階段踏板等の様
に、表面硬度や耐傷付き性の要求の特に厳しい用途に
は、上記した熱可塑性樹脂組成物に代えて、より高硬度
の硬化被膜を与える、紫外線又は電子線等の照射によっ
て硬化する電離放射線硬化型樹脂組成物を主成分とする
塗工液を使用した化粧紙も知られている。
【0005】しかしながら、これらのプレコート化粧紙
は、展延性に乏しい紙基材を使用しているために、表面
がフラットな形状の化粧材用基材へのラミネートは十分
に可能であるものの、立体形状を有する化粧材用基材へ
のラミネートは一般に非常に困難であり、特に、三次元
立体形状を有する化粧材用基材への真空成形加工等によ
る立体成形ラミネートは、事実上不可能であった。ま
た、印刷用基材が本質的に多孔質で表面平滑性に乏しい
紙であることから、印刷された絵柄の鮮鋭性に乏しく、
意匠性に劣るという問題点もあった。
【0006】立体成形が可能な化粧シートとしては、プ
ラスチックフィルム等の熱可塑性シートを基材シートと
したものが知られている。熱可塑性シートは表面の平滑
なものが容易に得られるので、印刷による鮮明な絵柄が
付与された化粧シートが容易に得られる利点もある。熱
可塑性シート自体の表面硬度や耐傷付き性には、熱可塑
性であるが故に自ずと限界があるので、熱可塑性シート
に2液硬化型ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂組成物を
主成分とする塗工液を塗工し硬化させた表面保護層を設
けて、表面硬度や耐傷付き性を改善したものも知られて
いる。
【0007】しかしながら、こうした化粧シートは、表
面硬度や耐傷付き性を改善しようとすると、表面保護層
を形成する塗工液の塗工量を増す必要があるが、そうす
ると、塗工液中の揮発溶剤分を蒸発乾燥させたり、熱硬
化性樹脂組成物を硬化させたりするために必要とされる
熱量が増し、その結果、係る蒸発乾燥や硬化の工程で、
基材である熱可塑性シートが高温度にさらされて、変形
や変質を発生してしまう。
【0008】また、係る熱可塑性シートを使用した化粧
シートに、上記したグロスマット化粧紙や同調凹凸模様
化粧紙の原理を応用して、グロスマット模様や同調凹凸
模様等による立体的な意匠効果を付与しようとすると、
前者の場合には表面保護層を構成する熱硬化性樹脂組成
物の層を多層化するので必然的に全体的な塗工量が増
し、後者の場合には撥液性インキによる模様部とそれ以
外の部分の表面保護層との間の段差を十分に確保するた
めに表面保護層の塗工量を多く設定する必要があるの
で、いずれの場合にも、上記した如く、蒸発乾燥や硬化
の工程の熱による熱可塑性シートの変形や変質が避けら
れない。
【0009】係る事情によって、従来の化粧シートによ
っては、ラッピング加工、Vカット加工、真空成形加工
等の立体成形加工が可能でありながら、表面硬度が高く
耐傷付き性に優れた化粧シートや、グロスマット模様や
同調凹凸模様等の立体的な意匠効果に優れた化粧シート
を得ることができなかった。従ってまた、立体形状を有
する化粧材用基材の表面に、優れた表面硬度や耐傷付き
性、グロスマット模様や同調凹凸模様等の立体的な意匠
効果を付与した化粧材は得られていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来技術の問題点に鑑みてなされたもので、立体成形加工
が可能な化粧シートであって、表面に優れた表面硬度や
耐傷付き性を有する化粧シート、また更に、グロスマッ
ト模様や同調凹凸模様等の立体的な意匠効果を有する化
粧シート、及びそれを使用した立体形状を有する化粧材
を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の化粧シートは、
熱可塑性シートに表面保護層を設けた化粧シートにおい
て、前記表面保護層に電離放射線硬化型樹脂を使用した
ことを特徴とする化粧シートである。また本発明の化粧
シートは更に、上記化粧シートにおいて、前記表面保護
層に光沢差を有する模様を設けた化粧シート、前記表面
保護層に同調凹凸模様を設けた化粧シート、前記熱可塑
性シートの表面に凹凸形状を設けた化粧シート、該凹凸
形状の凹部に着色インキを施した化粧シート、及び、前
記熱可塑性シートと前記表面保護層との間にプライマー
層を設けた化粧シートをも包含する。
【0012】そして、本発明の化粧材は、上記本発明の
化粧シートを、平板状の化粧材用基材の片面に貼付し、
該化粧材用基材の前記化粧シートが貼付されていない側
の面に溝加工を施して折り曲げ、立体形状に成形してな
ることを特徴とする化粧材、及び、上記本発明の化粧シ
ートを、立体形状を有する化粧材用基材の表面に立体成
形ラミネートしてなることを特徴とする化粧材である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の化粧シートは、必要に応
じて所望の適宜の絵柄2を印刷形成してなる熱可塑性シ
ート1の表面に、電離放射線硬化型樹脂組成物を主成分
とする電離放射線硬化型塗工液を塗工し、これに紫外線
又は電子線等の電離放射線を照射して硬化させることに
より、電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層3を形
成してなるものである(図1)。
【0014】表面保護層3の形成のための電離放射線硬
化型塗工液の主成分となる電離放射線硬化型樹脂組成物
とは、紫外線又は電子線等の電離放射線の照射により重
合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に少
なくとも一つ有するプレポリマー、オリゴマー及び/又
はモノマーを適宜配合してなるものである。係るプレポ
リマー、オリゴマーとしては、ポリエステルアクリレー
ト、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポ
リエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート等の
アクリレート類、ポリエステルメタクリレート、ウレタ
ンメタクリレート、エポキシメタクリレート、ポリエー
テルメタクリレート、ポリオールメタクリレート等のメ
タクリレート類があげられる。モノマーとしては、n−
アルキルアクリレート、イソ・プロピルアクリレート、
イソ・ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、
シクロヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシエチルア
クリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ポリ
エチレングリコールアクリレート、β−ヒドロキシプロ
ピルアクリレート、グリシジルアクリレート、エチレン
グリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジア
クリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、
ポリエチレングリコールジアクリレート、ジアルキルア
ミノエチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレー
ト、β−エトキシ・エチルアクリレート、アリールアク
リレート、ベンゾイルオキシエチルアクリレート、ベン
ジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フ
ェノキシ・ジエチレングリコールアクリレート、2−ヒ
ドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、テト
ラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフ
リルアルコールとε−カプロラクトン付加物アクリレー
ト、イソ・ボロニルアクリレート、ジシクロペンテニル
オキシエチルアクリレート、1,4−ブタンジオールジ
アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
ト、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオ・ペ
ンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコ
ールジアクリレート、テトレエチレングリコールジアク
リレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ト
リプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピ
バリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、アセ
タールグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン
酸ネオペンチルグリコールとε−カプロラクトン付加物
ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレ
ート、トリメチロールプロパン・ポリエトキシレイト・
トリアクリレート、トリメチロールプロパン・ポリプロ
ポキシレイト・トリアクリレート、ペンタエリスリトー
ルトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサア
クリレート、ジペンタエリスリトールとε−カプロラク
トン付加物ヘキサアクリレート、アクリロキシエチルフ
ォスフェート、フロロアルキルアクリレート、スルホプ
ロピルアクリレート、等のアクリレートモノマー類があ
げられ、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレ
ート、ブチルメタクリレート、イソ・ブチルメタクリレ
ート、セカンダリー・ブチルメタクリレート、ターシャ
リー・ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレー
ト、オクチルメタクリレート、イソ・オクチルメタクリ
レート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルメ
タクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメ
タクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ジメチル
アミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチ
ルメタクリレート、2−ターシャリー・ブチルアミノエ
チルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アリ
ルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フ
ェニールメタクリレート、ノニールフェニールメタクリ
レート、ベンジルメタクリレート、ジシクロペンテニル
メタクリレート、ボルニルメタクリレート、1,4−ブ
タンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオー
ルジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレ
ート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエ
チレングリコールジメタクリレート、テトラエチレング
リコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジ
メタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレ
ート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジ
プロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロー
ルプロパントリメタクリレート、グリセロールメタクリ
レート、メタクリロキシエチルフォスフェート、ビス・
メタクリロキシエチルフォスフェート、等のメタクリレ
ートモノマー類があげられる。
【0015】上記電離放射線硬化型塗工液の塗工膜を紫
外線の照射によって硬化させる場合には、当該電離放射
線硬化型塗工液には、例えばベンゾイン、ベンゾインメ
チルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベ
ンゾイン又はそのアルキルエーテル類、アセトフェノ
ン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノ
ン、1−ヒドロキシシクロヘキシルアセトフェノン等の
アセトフェノン類、チオキサントン、2,4−ジイソプ
ロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフ
ェノンジメチルケタール、ベンジルメチルケタール等の
ケタール類、ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミ
ノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アゾ化合物等
から選ばれる1種以上の光ラジカル重合開始剤が添加さ
れる。また必要に応じて、例えばトリエタノールアミ
ン、メチルジエタノールアミン等の第3級アミン類、2
−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ
安息香酸エチル等の安息香酸誘導体等から選ばれる1種
以上の光増感剤が併用される。
【0016】さらに、上記電離放射線硬化型塗工液の副
成分として、着色剤、充填剤、艶消剤、消泡剤、離型
剤、耐磨剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収
剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、抗菌剤、防黴
剤、希釈溶剤その他の添加物を、必要に応じて適宜含有
させても良い。希釈溶剤を含有する電離放射線硬化型塗
工液を使用する場合には、塗工後希釈溶剤を揮発除去し
た後に電離放射線を照射して硬化させることが望まし
い。
【0017】電離放射線硬化型塗工液の塗工方法は特に
限定されず、例えばグラビアコート法、ダイコート法、
リップコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート
法、スプレーコート法、フローコート法、ロールコート
法、ディップコート法等の従来公知の任意の塗工方法か
ら、電離放射線硬化型塗工液の性状や熱可塑性シート1
の性状に合致した適切な方法を選択して実施すれば良
い。また、電離放射線硬化型塗工液を塗工する前に、熱
可塑性シート1の塗工面に予め例えばコロナ処理、オゾ
ン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、酸処理又はア
ルカリ処理等の適宜の表面処理を施して濡れ性を高めて
おくことによって、熱可塑性シート1と表面保護層3と
の密着性を向上することもできる。
【0018】表面保護層3の厚さには特に制限はない
が、薄すぎると必要な表面硬度や耐傷付き性が達成でき
ず、逆に厚すぎると可撓性が低下し立体成形性を損なう
結果となるから、両者のバランスの取れる厚さ範囲を選
択する必要がある。具体的には、電離放射線硬化型樹脂
の組成にもよるが、硬化後の厚さを1μm以上50μm
以下の範囲とすることが望ましく、中でも3μm以上2
0μm以下の範囲とすることが最も望ましい。
【0019】表面保護層3を構成する電離放射線硬化型
樹脂組成物の硬化の為に使用する電離放射線の種類は特
に限定されず、要するに電離放射線硬化型樹脂組成物又
はそれに添加された光ラジカル重合開始剤又は増感剤等
に作用してこれらを電離(ラジカル化)させ、ラジカル
重合反応を開始せしめるに十分なエネルギーを有する電
離放射線であれば良く、具体的には、例えば可視光線、
紫外線、X線、γ線等の電磁波や、電子線、α線、β線
等の荷電粒子線等が考えられるが、感度や硬化能力、照
射装置(光源・線源)の簡便性等から見て、最も実用性
の高いのは紫外線又は電子線である。
【0020】紫外線照射の光源としては、超高圧水銀
灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、
カーボンアーク灯等の光源が適用できる。照射量は、5
0〜1000mJ/cm2が好ましい。50mJ/cm2
未満では硬化不十分のおそれがある一方、1000mJ
/cm2を越えると熱可塑性シートの劣化の原因となる
からである。通常この処理は50〜500m/minの
ライン速度で可能であるから極めて生産効率が高い。
【0021】電子線照射の線源としては、コックロフト
ワルトン型、ハンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア
変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各
種の電子線加速器を使用した電子線照射装置が適用でき
る。電子線照射装置より照射する電子線の加速電圧は1
50〜250kV、照射量は0.5〜5Mrad程度が
良い。0.5Mrad未満では硬化不十分のおそれがあ
る一方、5Mradを越えると熱可塑性シート1の劣化
の原因となるからである。通常この処理は50〜500
m/minのライン速度で可能であるから極めて生産効
率が高い。
【0022】上記電離放射線硬化型塗工液として、塗工
硬化後の表面光沢が互いに異なる2種以上の電離放射線
硬化型塗工液を使用して、その内の1種以上を任意の所
望の模様状に塗工すると、表面の光沢の変化による視覚
的な立体感を有する意匠感を得ることができる。
【0023】具体的には例えば、塗工硬化後の表面光沢
の低い第1の電離放射線硬化型塗工液と、塗工硬化後の
表面光沢の高い第2の電離放射線硬化型塗工液とを予め
用意しておき、まず熱可塑性シート1の表面全面に第1
の電離放射線硬化型塗工液を塗工して低光沢表面保護層
31を設け、次に該低光沢表面保護層31の表面上に、
高い光沢に表現したい箇所のみに部分的に第2の電離放
射線硬化型塗工液を塗工して模様状の高光沢表面保護層
32を設け、しかる後、全体に電離放射線を照射して硬
化させることによって、表面保護層3に光沢差を有する
模様を形成することができる(図2)。
【0024】勿論、低光沢表面保護層31と高光沢表面
保護層32とは、上記とは逆に、全面に高光沢表面保護
層32を設けた後に低光沢表面保護層31を模様状に設
けても良いし、両者をそれぞれ模様状に設けても良い。
また、電離放射線硬化型塗工液の光沢は2種類に限られ
るものではなく、3種類以上を使用することも勿論可能
である。また、3種類以上の塗工液を使用する替わり
に、2種類の塗工液を使用して、そのうち1種以上を段
階的又は連続的な階調状に設けることによって、段階的
又は連続的な視覚的立体感を得ることもできる。
【0025】なお、先に塗工する塗工液が常温で液状で
ある場合には、その上に次の塗工液を模様状に塗工する
ことは困難であるので、先に塗工した塗工液を硬化させ
てから次の塗工液を塗工すると良い。但し、先に塗工し
た塗工液を完全に硬化させてしまうと、次の塗工液との
密着性が低下するので、流動性を喪失する程度の不完全
硬化状態で次の塗工液を塗工し、しかる後に電離放射線
を再度照射して完全硬化させることが望ましい。上記不
完全硬化状態とは具体的には、ラジカル重合性二重結合
の内の50〜99%程度、より好ましくは70〜95%
程度が重合反応によって消費された状態とすることが望
ましい。
【0026】電離放射線硬化型塗工液の光沢の制御方法
は特に限定されず、従来公知の如く、例えばシリカ、ア
ルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオ
リン等の無機質粒子や、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリウレタン、アクリル、ポリアミド等の合成樹脂
粒子等から選ばれる艶消剤、及び/又は、脂肪酸、脂肪
酸エステル、金属石鹸、低分子量ポリエチレン、シリコ
ーン化合物等から選ばれる艶出し剤等の艶調整剤を、適
宜の配合比率で配合することによって、所望の光沢に調
整することができる。
【0027】それぞれの光沢度の範囲は、嗜好や用途に
応じ所望の範囲に適宜設定すれば良いが、光沢差による
視覚的立体感を効果的に得る為には、60度反射光沢度
を少なくとも10以上、より好ましくは20以上異なら
せることが望ましい。具体的には、最も光沢の低い層
(低光沢表面保護層31)の60度反射光沢度を10以
下、最も光沢の高い層(高光沢表面保護層32)の60
度反射光沢度を20以上、より好ましくは30以上、と
することが望ましい。
【0028】光沢差を有する模様の種類は特に限定され
ないが、例えば木目の導管部に該当する部分を低光沢
に、それ以外の部分を高光沢にすることによって、恰も
天然木の木目における如く、導管部が深く陥没している
かの様な立体的意匠感を得ることができる。
【0029】電離放射線硬化型塗工液を模様状に塗工す
る方法としては、例えばグラビア印刷法、オフセット印
刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、
フレキソ印刷法、ドライオフセット印刷法、インクジェ
ット印刷法等、従来公知の任意の方法から適宜選択して
実施することができる。
【0030】上記の様に表面保護層3に光沢差を有する
模様を設ける方法の他、表面保護層3に同調凹凸模様を
設けることによっても、化粧シートに優れた立体的意匠
感を付与することができる。同調凹凸模様の形成方法の
代表的なものは撥液効果を利用する方法である。これ
は、予め熱可塑性シート1の表面に、シリコーン系化合
物又はフッ素系化合物等の低表面張力の物質からなる撥
液剤を含有する樹脂組成物からなる撥液模様33を設け
ておき、その上に全面に電離放射線硬化型塗工液を塗工
し、これを撥液模様33上で撥かせた状態で電離放射線
を照射して硬化させることによって、撥液模様33上を
除く部分のみに選択的に表面保護層3を設ける方法であ
る(図3)。撥液模様33を適宜の色彩(例えば木目模
様における導管色)に着色しておけば、色彩模様と完全
に合致(同調)した凹部を表面に形成することができる
訳である。この場合には、撥液模様33と表面保護層3
との間に十分な段差を形成すべく、表面保護層3の硬化
後の厚さは少なくとも5μm以上とすることが好まし
く、10〜30μmの範囲が最も好適である。
【0031】上記方法において、撥液模様33部分の耐
溶剤性や表面硬度を確保する為には、撥液模様33は硬
化型樹脂を主成分とする組成物から形成することが望ま
しい。撥液模様33は、例えばウレタン系樹脂やアミノ
アルキド系樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とする組成物
から形成しても良いが、特に電離放射線硬化型樹脂組成
物から形成すると、表面保護層3の塗工形成後の電離放
射線照射工程によって表面保護層3の硬化と同時に硬化
させることができる他、撥液模様33の輪郭部の表面保
護層3との接触部分において両者が重合架橋一体化して
優れた密着性が得られる利点もある。
【0032】表面保護層3への同調凹凸模様の形成方法
としては上記の他、(1)熱可塑性シート1の表面の凹
部を形成すべき箇所に、多孔質シリカ等の多孔質物質を
含有する組成物からなる樹脂吸収性模様を形成してお
き、しかる後、該樹脂吸収性模様を含む熱可塑性シート
1の表面全面に電離放射線硬化型塗工液を塗工し、樹脂
吸収性模様上の電離放射線硬化型塗工液を樹脂吸収性模
様に吸収させることによって凹部を形成する方法、
(2)熱可塑性シート1の表面の凹部を形成すべき箇所
に発泡樹脂模様を形成しておき、該発泡樹脂模様を含む
熱可塑性シート1の表面全面に電離放射線硬化型塗工液
を塗工し、硬化後又は硬化前に、加熱、溶剤の作用若し
くは機械的研削等の手法により発泡樹脂模様部を陥没さ
せて凹部を形成する方法、(3)熱可塑性シート1の表
面の凹部を形成すべき箇所に、電離放射線硬化型塗工液
中の成分と化学的に反応して気体を発生する化学物質を
含有する反応性模様を形成しておき、該反応性模様を含
む熱可塑性シート1の表面全面に電離放射線硬化型塗工
液を塗工して、反応性模様上の電離放射線硬化型塗工液
を反応性模様部の化学物質との反応により発泡させ、し
かる後、電離放射線硬化型塗工液の硬化後又は硬化前
に、加熱、溶剤の作用若しくは機械的研削等の手法によ
り発泡部を陥没させて凹部を形成する方法、(4)熱可
塑性シート1の表面の凹部を形成すべき箇所に電離放射
線硬化抑制剤を含有する硬化抑制模様を形成しておき、
該硬化抑制模様を含む熱可塑性シート1の表面全面に電
離放射線硬化型塗工液を塗工し、これに電離放射線を照
射して、硬化抑制模様上以外の部分の電離放射線硬化型
塗工液が硬化抑制模様上よりも速く硬化して収縮する現
象を利用して硬化抑制模様上で凹部を形成するか、若し
くは、電離放射線の照射後に硬化抑制模様上に残存した
未硬化の電離放射線硬化型塗工液を洗浄除去する方法、
等から選ばれる任意の手法を採用することができる。そ
して、いずれの場合においても、樹脂吸収性模様、発泡
樹脂模様、反応性模様、硬化抑制模様等を適宜の色彩に
着色しておけば、色彩模様と完全に合致(同調)した凹
部を表面に形成することができる(これらは特に図示し
ないが、図3において撥液模様33を樹脂吸収性模様、
発泡樹脂模様、反応性模様又は硬化抑制模様等と読み替
えた形態となる)。
【0033】以上に述べた様な表面保護層3に同調凹凸
模様を設ける手法の代わりに、表面保護層3の表面に凹
凸形状34を設けることによっても、優れた立体的な意
匠感を達成することができる。この手法は大別して次の
2通りの手法に分類することができる。その第1の手法
は、予め熱可塑性シート1の表面に凹凸形状34を形成
しておき、その上に該凹凸形状34を保持しつつ表面保
護層3を形成する手法である(図4)。第2の手法は、
表面が平滑な熱可塑性シート1の表面上に、それ自体が
凹凸形状34を具備した表面保護層3を形成する手法で
ある(図5)。勿論、両者を併用することも、技術的に
は可能である。
【0034】上記第1の手法にあっては、熱可塑性シー
ト1の表面に凹凸形状34を形成する手法として具体的
には例えば、(1)熱可塑性シート1の表面に形成すべ
き凹凸形状34を反転した凹凸形状を表面に有する、金
属又は耐熱性樹脂等の硬質で耐熱性の材質からなるエン
ボス版、エンボスロール又は賦型フィルム等を予め用意
しておき、これを加熱軟化させた熱可塑性シート1の表
面に押圧することによって、凹凸形状34を熱可塑性シ
ートの表面に転写形成する方法、(2)加熱溶融した熱
可塑性樹脂をフィルム状乃至シート状に押し出すと同時
に、上記と同様のエンボス版、エンボスロール又は賦型
フィルム等の表面上に溶融状態で積層させ、冷却固化後
にエンボス版等の表面から剥離する方法、(3)熱可塑
性シート1の表面の凸部とすべき箇所の表面に、グラビ
ア印刷法又はスクリーン印刷法等の手法により、適宜の
樹脂組成物による盛り上げ印刷を施す方法、(4)熱可
塑性シート1の表面の凸部とすべき箇所に耐薬品性の材
質からなるレジストパターンを形成し、該レジストパタ
ーンが設けられていない部分の熱可塑性シート1の表面
部分を適宜の溶剤又は化学薬品により溶解又は分解除去
して凹部を形成し、しかる後、レジストパターンを除去
する方法、等から選ばれる適宜の手法を採用することが
できる。
【0035】一方、上記第2の手法にあっては、熱可塑
性シート1の表面上に凹凸形状34を具備した表面保護
層3を形成する手法として具体的には例えば、(1)熱
可塑性シート1の表面上に均一な厚さに電離放射線硬化
型塗工液を塗工し、その表面に前記と同様のエンボス
版、エンボスロール又は賦型フィルム等を圧着して凹凸
形状34を転写形成し、これを前記エンボス版等から剥
離する前又は後に、電離放射線を照射して硬化させる方
法、(2)上記と同様のエンボス版、エンボスロール又
は賦型フィルム等の表面に電離放射線硬化型塗工液を塗
工し、該塗工面に熱可塑性シート1を圧着して熱可塑性
シート1上に電離放射線硬化型塗工液を積層させ、これ
を前記エンボス版等から剥離する前又は後に、電離放射
線を照射して硬化させる方法、(3)熱可塑性シート1
の表面に均一に電離放射線硬化型塗工液を塗工し、該塗
工面にフォトマスク又は製版フィルム等の電離放射線遮
蔽性パターンを介して露光するか、若しくはビーム走査
法等の手法により、形成すべき凹凸形状34の高さに応
じて場所により異なる露光量で電離放射線を照射し、硬
化速度差による収縮差を利用して凹凸形状34を形成す
るか、若しくは、電離放射線の照射後の硬化状態の差を
利用して、未硬化の電離放射線硬化型塗工液を洗浄除去
して凹凸形状34を形成する方法、(4)熱可塑性シー
ト1上に予め電離放射線硬化促進剤又は硬化抑制剤を含
有する硬化制御模様を形成し、硬化速度差による収縮差
を利用して凹凸形状34を形成するか、若しくは、電離
放射線の照射後の硬化状態の差を利用して、未硬化の電
離放射線硬化型塗工液を洗浄除去して凹凸形状34を形
成する方法、(5)熱可塑性シート1の表面に均一に電
離放射線硬化型塗工液を塗工し、該塗工面に、電離放射
線透過性フィルム上に硬化促進剤若しくは硬化抑制剤を
含有する硬化制御模様を形成した模様フィルムの該模様
面を圧着した状態で電離放射線を照射し、硬化速度差に
よる収縮差を利用して凹凸形状34を形成するか、若し
くは、電離放射線の照射後の硬化状態の差を利用して、
未硬化の電離放射線硬化型塗工液を除去して凹凸形状3
4を形成する方法、(6)熱可塑性シート1上に、グラ
ビア印刷法又はスクリーン印刷法等の適宜の手法によ
り、形成すべき凹凸形状34の高さに応じて場所により
異なる塗布量に電離放射線硬化型塗工液を塗布して硬化
させる方法、等から選ばれる適宜の手法を採用すること
ができる。
【0036】係る如く、表面保護層3に凹凸形状34を
設けた場合にあっても、該凹凸形状34の凹部に着色イ
ンキ35を施すと、前記した同調凹凸模様の場合と同様
に、表面の凹凸形状34と同調した色彩模様を有する、
立体的な意匠感に優れた化粧シートを得ることができ
る。着色インキ35は、例えばインキを全面に塗布した
後に凸部上の不要なインキをドクター又は布等により掻
き取って除去するワイピング法等の手法によって、凹凸
形状34の凹部のみに選択的に施すことができる。
【0037】凹凸形状34を熱可塑性シート1には設け
ずに表面保護層34自体に形成した場合にあっては、着
色インキ35を施す箇所は必然的に表面保護層3上とな
る(図6)のであるが、凹凸形状34を熱可塑性シート
1の表面に設けた場合にあっては、着色インキ35を施
す箇所は表面保護層3上であっても良いし(図7)、熱
可塑性シート1と表面保護層3との間であっても良い
(図8)。凹凸形状34を熱可塑性シート1の表面に設
けた場合には、着色インキ35は熱可塑性シート1と表
面保護層3との間に設けた方が、該着色インキ35とし
て通常のインキを使用しても、表面保護層3によって保
護されることにより、耐溶剤性や耐磨耗性等の問題が発
生しないので有利である。
【0038】一方、着色インキ35を表面保護層3上に
設ける場合にあっては、耐溶剤性や耐磨耗性等を考慮す
ると、着色インキ35としては硬化型樹脂をビヒクルと
するインキを使用することが望ましく、中でも電離放射
線硬化型樹脂をビヒクルとするインキを使用することが
最も望ましい。また、完全硬化した電離放射線硬化型樹
脂は一般に接着性に乏しいことから、表面保護層3の完
全硬化後に着色インキ35を設けると、表面保護層3と
着色インキ35の密着性が不十分となり易い。従って、
表面保護層3が着色インキ35の塗布やワイピング等に
堪える程度にまで硬化した不完全硬化の状態で着色イン
キ35を施し、しかる後、再度電離放射線を照射して表
面保護層3を完全硬化させるのが良い。上記不完全硬化
の状態とは具体的には、表面保護層3を形成する電離放
射線硬化型樹脂組成物のラジカル重合性二重結合の内の
50〜99%程度、より好ましくは70〜95%程度が
重合反応によって消費された状態とすることが望まし
い。着色インキ35が電離放射線硬化型樹脂をビヒクル
とするものである場合には、該着色インキ35に含まれ
るラジカル重合性二重結合と、不完全硬化の状態の表面
保護層3中に残存するラジカル重合性二重結合との間で
の重合架橋反応によって、両者が化学的に強固に結合す
ることによって、表面保護層3と着色インキ35との間
での優れた密着性が得られる利点がある。
【0039】本発明の化粧シートの基材シートたる熱可
塑性シート1としては、従来より一般的に化粧シートの
構成材料として使用されて来た任意の公知の熱可塑性樹
脂からなるフィルム乃至シート類を使用することができ
る。具体的には例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィ
ン系、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニ
ルアルコール、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコー
ル共重合体、ビニロン等のビニル系、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート−イソフタレート共重合体等のポリエス
テル系、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エ
チル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等
のアクリル系、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミ
ド、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系、
ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポ
リイミド等の、合成樹脂フィルム又はシートの単層もし
くは積層体等があげられる。熱可塑性シート1の厚さに
は特に制限はないが、一般的には20〜500μm程度
の範囲内から選ばれ、中でも50〜250μm程度の範
囲内が最も好適である。
【0040】さらに、熱可塑性シート1には所望の適宜
の絵柄模様を表現した絵柄層2を施してもよい。絵柄層
2の形成位置は、熱可塑性シート1の表面上であっても
良い(図1〜図8)し、熱可塑性シート1が透明乃至半
透明である場合には熱可塑性シート1の裏面であっても
良い(図9)。また、熱可塑性シート1が複数の熱可塑
性樹脂層の積層体である場合には、絵柄層2より表面側
の熱可塑性樹脂層が透明乃至半透明である限りにおい
て、複数の熱可塑性樹脂層の任意の層間であっても良
い。例えば、熱可塑性シート1が裏面側の下地熱可塑性
シート11と表面側の透明熱可塑性シート12との2層
から構成される場合には、絵柄層2を下地熱可塑性シー
ト11と透明熱可塑性シート12との層間に設けること
ができる(図10)。また、絵柄層2の形成位置は1箇
所に限定されるものではなく、透明層を挟んで複数箇所
に設けることによって、見る角度による変化のある複雑
な意匠を表現することも可能である。
【0041】なお、係る如く、絵柄層2を熱可塑性シー
ト1の裏面又は層間、若しくは表面、裏面及び層間から
選ばれる複数箇所に設ける場合にあっても、表面保護層
3に光沢差を有する模様、同調凹凸模様又は凹凸形状を
設けたり、該凹凸形状の凹部に着色インキを設けたりし
ても良いことは勿論である。
【0042】絵柄層2を熱可塑性シート1の表面、すな
わち表面保護層3との層間に設ける場合には、絵柄層2
の印刷に用いられるインキは、熱可塑性シート1及び表
面保護層3を構成する電離放射線硬化型樹脂組成物との
双方に密着性が良いものが好ましく、それぞれの材質に
合わせて適宜選択すればよい。絵柄層2の形成方法には
特に制限はなく、適宜の樹脂をビヒクルとし、適宜の染
料又は顔料等の着色剤によって着色されてなる印刷イン
キや塗料等を使用して、例えばグラビア印刷法、オフセ
ット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷
法、ドライオフセット印刷法、スクリーン印刷法、イン
クジェット印刷法等、従来公知の任意の印刷方法によっ
て形成することができる。
【0043】化粧シート類には一般に、化粧材用基材の
表面の好ましくない色彩や色ムラ、欠陥等を隠蔽するた
めの隠蔽性が要求される場合が多い。熱可塑性シート1
や絵柄層2によって十分な隠蔽性が達成されない場合に
は、絵柄層2の場合と同様の、但し無機顔料等の隠蔽性
顔料を含有して隠蔽性を有する印刷インキ組成物又は塗
料による隠蔽層21を設けることができる(図11)。
隠蔽層21の形成方法としては、絵柄層2の場合と同様
の各種の印刷方法や、例えばグラビアコート法、ダイコ
ート法、リップコート法、ナイフコート法、エアーナイ
フコート法、スプレーコート法、フローコート法、ロー
ルコート法、ディップコート法等の各種のコーティング
方法等から適宜選択して適用することができる。
【0044】熱可塑性シート1及び/又は絵柄層2と表
面保護層3との間の密着性が不足する場合には、表面保
護層3を形成するための電離放射線硬化型塗工液を塗工
する前に、絵柄層2を含むか又は含まない熱可塑性シー
ト1上に該電離放射線硬化型塗工液との密着性を向上す
るためのプライマー層4を設けることができる(図1
2)。プライマー層4としては、例えばアクリル系樹
脂、ウレタン系樹脂、カルボン酸変性オレフィン系樹
脂、塩素化オレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系
樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系
樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、繊維素誘導
体等からなる易接着性樹脂組成物を使用することができ
る。中でも、各種の熱可塑性樹脂や電離放射線硬化型樹
脂との密着性や耐候性等の観点から、アクリル系樹脂又
はウレタン系樹脂を採用することが最も好ましい。
【0045】上記プライマー層4を構成する易接着性樹
脂組成物は1液型であっても2液型であっても良いが、
特に、イソシアネート化合物を含有する2液型の樹脂組
成物を使用すると、イソシアネート化合物の有する高い
反応活性によって、熱可塑性シート1がオレフィン系樹
脂等の用に接着性に乏しい樹脂である場合であっても、
優れた密着性を達成することができる利点がある。勿
論、オレフィン系樹脂以外の一般の熱可塑性樹脂からな
る熱可塑性シート1にも適用可能である。係るイソシア
ネート化合物を含有する樹脂組成物として具体的には、
例えばアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、
ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール等の
ポリオール化合物に、例えばトリレンジイソシアネー
ト、メシチレンジイソシアネート、キシレンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物を配合
した樹脂組成物等を挙げることができる。
【0046】また特に、上記プライマー層4として、ラ
ジカル重合性二重結合を含有する化合物を少なくとも含
有する樹脂組成物を使用すると、表面保護層3を形成す
る電離放射線硬化型樹脂組成物との間でラジカル重合反
応により化学的に強固に結合して、優れた密着性を達成
することができる利点がある。ラジカル重合性二重結合
を含有する化合物としては、例えば前記した表面保護層
3を形成するための電離放射線硬化型樹脂組成物の構成
物質として挙げた各種のプレポリマー、オリゴマー又は
モノマー類を挙げることができる。なお、係る樹脂組成
物を採用する場合には、プライマー層4中のラジカル重
合性二重結合が架橋反応によって消費される前に、表面
保護層3を形成する電離放射線硬化型塗工液を塗工し、
これに電離放射線を照射して、両者を同時に架橋硬化さ
せることが望ましいことは勿論である。
【0047】本発明の化粧シートは、従来の化粧シート
と同様、各種の化粧材用基材の表面に貼付して使用する
ものであるが、熱可塑性シート1の材質によっては、係
る化粧材用基材との接着にしようされる汎用の接着剤と
の接着性に乏しい場合もある。係る場合には、熱可塑性
シート1の裏面に、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系
樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹
脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂等の易接着性合成樹
脂を主成分とする易接着性バックコート層5を設けるこ
とによって、各種の接着剤との接着性を改善することも
できる(図13)。また、該易接着性バックコート層5
に、例えばシリカ等の粉末状物質を添加すると、表面が
マット状となって、巻取保存時のブロッキングを防止し
たり、投錨効果を利用して接着性を更に改善したりする
のに有効である。
【0048】以上に説明した本発明の化粧シート93
は、例えば合板、パーティクルボード、中密度繊維板等
の木質系基材や、石膏板、ケイ酸カルシウム板、石綿セ
メント板、木毛セメント板、ガラス繊維強化コンクリー
ト板、軽量気泡コンクリート板等の無機質系基材、AB
S樹脂等の合成樹脂系基材、鉄、真鍮、ステンレス、ア
ルミニウム等の金属系基材等から選ばれる任意の化粧材
用基材91の表面に、必要に応じて適宜の接着剤92を
介して積層された化粧材9として、建築物や車両等の内
外装や、家具什器類や家電製品等の表面化粧等に使用す
ることができる。
【0049】そして本発明の化粧シート93は、平板状
の化粧材用基材91の片面に貼付し、該化粧材用基材9
1の前記化粧シート93が貼付されていない側の面に、
例えばV字状、U字状乃至櫛目状等の溝加工を施して折
り曲げ、立体形状に成形して化粧材9とする用途(Vカ
ット加工)(図14)や、立体形状を有する化粧材用基
材91の表面に、例えばラッピングラミネート法や真空
成形ラミネート法(圧空ラミネート法、真空圧空ラミネ
ート法を含む)、ゴム等の弾性板乃至弾性ロールを使用
して熱や圧力を印加する方法等の手段により、化粧シー
ト93を化粧材用基材91の表面の立体形状に沿って成
形させつつラミネートして化粧材9とする用途(立体成
形ラミネート)(図15)などには特に好適に使用する
ことができる。それは、本発明の化粧シート93は、熱
可塑性シート1を基材シートとしたことにより折り曲げ
加工性や立体成形加工性に優れており、破断等の成形不
良の心配なく立体加工可能であると共に、表面に電離放
射線硬化型樹脂を使用した表面保護層が設けられている
ので表面硬度や耐傷付き性、耐磨耗性、耐溶剤性等に優
れており、しかも光沢差や凹凸による立体的な意匠感を
容易に付与することができるからである。
【0050】
【実施例】以下に、本発明の化粧シートの具体的な実施
例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0051】<実施例1>厚さ90μmの着色ランダム
重合ポリプロピレン樹脂フィルムの表面にコロナ処理を
施し、ウレタン系グラビア印刷インキ(東洋インキ製造
株式会社製「ラミスター」)にてグラビア印刷法により
木目柄の絵柄を印刷し、該印刷面にイソシアネート化合
物とウレタンアクリレート化合物とを含有するプライマ
ー剤(大日精化株式会社製「プライマーX」/ダイセル
ユーシービー株式会社製「エベクリル1290」)を乾
燥後の塗布量1g/m2に塗工してプライマー層を形成
し、しかる後、電離放射線硬化型塗工液(ダイセルユー
シービー株式会社製「EB−230」/1,6−ヘキサ
ンジオールジアクリレート/ダイセルユーシービー株式
会社製「エベクリル350」、粘度300cpsに調
整)をグラビア塗工法により塗布量8g/m2に塗工
し、電子線照射装置にて加速電圧200kV、照射線量
5Mrad/cm2の電子線を照射し硬化させて表面保
護層を形成し、最後に裏面にコロナ処理後シリカ粉末を
含有するウレタン系易接着バックコート層を乾燥後の塗
布量1g/m2に施して、本発明の化粧シートを作製し
た。
【0052】<実施例2>厚さ90μmの着色ランダム
重合ポリプロピレン樹脂フィルムの表面にコロナ処理を
施し、ウレタン系グラビア印刷インキ(東洋インキ製造
株式会社製「ラミスター」)にてグラビア印刷法により
木目柄の絵柄を印刷し、該印刷面にイソシアネート化合
物とウレタンアクリレート化合物とを含有するプライマ
ー剤(大日精化株式会社製「プライマーX」/ダイセル
ユーシービー株式会社製「エベクリル1290」)を乾
燥後の塗布量1g/m2に塗工してプライマー層を形成
し、しかる後、シリカ系艶消剤10重量%及び光ラジカ
ル重合開始剤(メルク社製「ダロキュアー1173」)
3重量%を添加した電離放射線硬化型塗工液(ダイセル
ユーシービー株式会社製「EB−230」/1,6−ヘ
キサンジオールジアクリレート/ダイセルユーシービー
株式会社製「エベクリル350」、粘度300cpsに
調整)をグラビア塗工法により塗布量4g/m2に塗工
して低光沢表面保護層を形成し、超高圧水銀灯にて紫外
線を照射し不完全硬化状態とした後、シリカ系艶消剤及
び光ラジカル重合開始剤を添加していない上記と同一の
電離放射線硬化型塗工液を使用して、木目導管部を除く
部分にグラビア印刷法により塗布量6g/m2に塗工し
て高光沢表面保護層を形成し、しかる後、電子線照射装
置にて加速電圧200kV、照射線量5Mrad/cm
2の電子線を照射し硬化させて表面保護層を形成し、最
後に裏面にコロナ処理後シリカ粉末を含有するウレタン
系易接着バックコート層を乾燥後の塗布量1g/m2
施して、本発明の化粧シートを作製した。
【0053】<実施例3>厚さ90μmの着色ランダム
重合ポリプロピレン樹脂フィルムの表面にコロナ処理を
施し、ウレタン系グラビア印刷インキ(東洋インキ製造
株式会社製「ラミスター」)にてグラビア印刷法により
木目柄の絵柄を印刷し、該印刷面にイソシアネート化合
物とウレタンアクリレート化合物とを含有するプライマ
ー剤(大日精化株式会社製「プライマーX」/ダイセル
ユーシービー株式会社製「エベクリル1290」)を乾
燥後の塗布量1g/m2に塗工してプライマー層を形成
し、該プライマー層上に、シリコーンオイル5重量%を
添加した撥液性の電離放射線硬化型インキ(ダイセルユ
ーシービー株式会社製「EB−810」/トリメチロー
ルプロパントリアクリレート/着色顔料)にてグラビア
印刷法により導管柄の撥液模様を施し、しかる後、全面
に電離放射線硬化型塗工液(ダイセルユーシービー株式
会社製「EB−230」/1,6−ヘキサンジオールジ
アクリレート/ダイセルユーシービー株式会社製「エベ
クリル350」、粘度300cpsに調整)をグラビア
塗工法により塗布量8g/m2に塗工し、前記撥液模様
上で撥かせて凹部を形成した後、電子線照射装置にて加
速電圧200kV、照射線量5Mrad/cm2の電子
線を照射し硬化させて表面保護層を形成し、最後に裏面
にコロナ処理後シリカ粉末を含有するウレタン系易接着
バックコート層を乾燥後の塗布量1g/m2に施して、
本発明の化粧シートを作製した。
【0054】<実施例4>厚さ90μmの着色ランダム
重合ポリプロピレン樹脂フィルムの表面にコロナ処理を
施し、ウレタン系グラビア印刷インキ(東洋インキ製造
株式会社製「ラミスター」)にてグラビア印刷法により
木目柄の絵柄を印刷し、該印刷面にイソシアネート化合
物とウレタンアクリレート化合物とを含有するプライマ
ー剤(大日精化株式会社製「プライマーX」/ダイセル
ユーシービー株式会社製「エベクリル1290」)を乾
燥後の塗布量1g/m2に塗工してプライマー層を形成
し、該プライマー層上に、多孔質シリカ30重量%を添
加した電離放射線硬化型インキ(ダイセルユーシービー
株式会社製「EB−810」/トリメチロールプロパン
トリアクリレート/着色顔料)にてグラビア印刷法によ
り導管柄の樹脂吸収性模様を施し、しかる後、全面に電
離放射線硬化型塗工液(ダイセルユーシービー株式会社
製「EB−230」/1,6−ヘキサンジオールジアク
リレート/ダイセルユーシービー株式会社製「エベクリ
ル350」、粘度300cpsに調整)をグラビア塗工
法により塗布量8g/m2に塗工し、前記樹脂形成模様
上の塗工液を樹脂吸収性模様に吸収させて凹部を形成し
た後、電子線照射装置にて加速電圧200kV、照射線
量5Mrad/cm2の電子線を照射し硬化させて表面
保護層を形成し、最後に裏面にコロナ処理後シリカ粉末
を含有するウレタン系易接着バックコート層を乾燥後の
塗布量1g/m2に施して、本発明の化粧シートを作製
した。
【0055】<実施例5>厚さ90μmの着色ランダム
重合ポリプロピレン樹脂フィルムの表面にコロナ処理を
施し、ウレタン系グラビア印刷インキ(東洋インキ製造
株式会社製「ラミスター」)にてグラビア印刷法により
木目柄の絵柄を印刷し、該印刷面に2液ウレタン系プラ
イマー剤(東洋モートン株式会社製「アドコートAD−
502」)を乾燥後の塗布量1g/m2に塗工乾燥後、
厚さ20μmの熱接着性樹脂(マレイン酸変性エチレン
−エチルアクリレート共重合体系)と、厚さ60μmの
透明オレフィン系樹脂(ランダム重合ポリプロピレン/
低密度ポリエチレン)とを、溶融共押出しすると同時に
その熱接着性樹脂面を前記フィルムの印刷面に積層し、
該積層と同時にエンボスロールを使用して透明オレフィ
ン系樹脂面に導管柄のエンボスを施し、コロナ処理後、
前記エンボスの凹部にウレタン系インキ(東洋インキ製
造株式会社製「ラミスター」)をワイピング法にて充填
し、更に全面にイソシアネート化合物とウレタンアクリ
レート化合物とを含有するプライマー剤(大日精化株式
会社製「プライマーX」/ダイセルユーシービー株式会
社製「エベクリル1290」)を乾燥後の塗布量1g/
2に塗工してプライマー層を形成し、しかる後、電離
放射線硬化型塗工液(ダイセルユーシービー株式会社製
「EB−230」/1,6−ヘキサンジオールジアクリ
レート/ダイセルユーシービー株式会社製「エベクリル
350」、粘度300cpsに調整)をグラビア塗工法
により塗布量8g/m2に塗工し、電子線照射装置にて
加速電圧200kV、照射線量5Mrad/cm2の電
子線を照射し硬化させて表面保護層を形成し、最後に裏
面にコロナ処理後シリカ粉末を含有するウレタン系易接
着バックコート層を乾燥後の塗布量1g/m2に施し
て、本発明の化粧シートを作製した。
【0056】<実施例6>厚さ90μmの着色ランダム
重合ポリプロピレン樹脂フィルムの表面にコロナ処理を
施し、ウレタン系グラビア印刷インキ(東洋インキ製造
株式会社製「ラミスター」)にてグラビア印刷法により
木目柄の絵柄を印刷し、該印刷面にイソシアネート化合
物とウレタンアクリレート化合物とを含有するプライマ
ー剤(大日精化株式会社製「プライマーX」/ダイセル
ユーシービー株式会社製「エベクリル1290」)を乾
燥後の塗布量1g/m2に塗工してプライマー層を形成
し、しかる後、光ラジカル重合開始剤(メルク社製「ダ
ロキュアー1173」)3重量%を添加した電離放射線
硬化型塗工液(ダイセルユーシービー株式会社製「EB
−230」/1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
/ダイセルユーシービー株式会社製「エベクリル35
0」、粘度300cpsに調整)をグラビア塗工法によ
り塗布量20g/m2に塗工し、該塗布面に、厚さ25
μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに
シリコーン系インキにて導管柄の盛り上げ印刷を施して
なる賦型フィルムを圧着した状態で、超高圧水銀灯にて
紫外線を照射し不完全硬化状態とした後、賦型フィルム
を剥離除去して導管柄の凹凸形状が賦型された表面保護
層を形成し、該凹凸形状の凹部に電離放射線硬化型着色
インキ(ダイセルユーシービー株式会社製「EB−81
0」/トリメチロールプロパントリアクリレート/着色
顔料)をワイピング法にて充填後、電子線照射装置にて
加速電圧200kV、照射線量3Mrad/cm2の電
子線を照射して表面保護層及び凹部の着色インキを完全
硬化させ、最後に裏面にコロナ処理後シリカ粉末を含有
するウレタン系易接着バックコート層を乾燥後の塗布量
1g/m2に施して、本発明の化粧シートを作製した。
【0057】以上の実施例1〜6の6種類の化粧シート
を使用して、予め表面に水性2液ウレタン樹脂系接着剤
を乾燥後の塗布量10g/m2に塗工乾燥した、曲率半
径5Rの三次元立体形状を有する木質基材の表面に、真
空成形法にて立体成形ラミネートしたところ、いずれも
シート破断等の成形不良を発生することなく良好に立体
成形ラミネートされた化粧材を得ることができた。ま
た、これらの化粧シートを厚さ3mmの合板の表面に貼
付して、合板の裏面にVカット加工を施して折り曲げた
ところ、いずれもシート破断等の成形不良を発生するこ
となく良好に折り曲げ成形された化粧材を得ることがで
きた。しかも、これらの化粧材は鉛筆硬度2H以上の表
面硬度を有し、実用上支障のない耐傷付き性や層間密着
性を備えると共に、印刷による鮮明な絵柄を備えること
は勿論のこと、特に実施例2〜6の化粧シートを使用し
たものは、それぞれ光沢差や凹凸による優れた立体的な
意匠感を備えた、高級感あふれるものであった。
【0058】
【発明の効果】以上詳細に説明した様に、本発明の化粧
シートは、熱可塑性シートに表面保護層を設けた化粧シ
ートにおいて、前記表面保護層に電離放射線硬化型樹脂
を使用したことにより、基材シートが熱可塑性シートで
あるのでVカット加工、ラッピング加工、真空成形加工
等の折り曲げ加工性や立体成形加工性に優れており、破
断等の成形不良の心配なく立体加工可能であると共に、
表面に電離放射線硬化型樹脂を使用した表面保護層が設
けられているので表面硬度や耐傷付き性、耐磨耗性、耐
溶剤性等に優れており、しかも、基材シートの耐熱性の
限界によって制約を受けることなく、光沢差模様や同調
凹凸模様、凹凸形状等による優れた立体的な意匠感を容
易に付与することができる。そして本発明の化粧材は、
係る本発明の化粧シートを使用することによって、表面
硬度や耐傷付き性等の表面物性と、光沢差や凹凸等によ
る立体的な意匠感との両方を兼ね備えた、複雑な立体形
状を有する化粧材を、容易に実現することができるとい
う優れた利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの実施の形態の一例を示す
模式断面図。
【図2】本発明の化粧シートの実施の形態の一例を示す
模式断面図。
【図3】本発明の化粧シートの実施の形態の一例を示す
模式断面図。
【図4】本発明の化粧シートの実施の形態の一例を示す
模式断面図。
【図5】本発明の化粧シートの実施の形態の一例を示す
模式断面図。
【図6】本発明の化粧シートの実施の形態の一例を示す
模式断面図。
【図7】本発明の化粧シートの実施の形態の一例を示す
模式断面図。
【図8】本発明の化粧シートの実施の形態の一例を示す
模式断面図。
【図9】本発明の化粧シートの実施の形態の一例を示す
模式断面図。
【図10】本発明の化粧シートの実施の形態の一例を示
す模式断面図。
【図11】本発明の化粧シートの実施の形態の一例を示
す模式断面図。
【図12】本発明の化粧シートの実施の形態の一例を示
す模式断面図。
【図13】本発明の化粧シートの実施の形態の一例を示
す模式断面図。
【図14】本発明の化粧材の実施の形態の一例を示す模
式断面図。
【図15】本発明の化粧材の実施の形態の一例を示す模
式断面図。
【符号の説明】
1 熱可塑性シート 11 下地熱可塑性シート 12 透明熱可塑性シート 2 絵柄層 21 隠蔽層 3 表面保護層 31 低光沢表面保護層 32 高光沢表面保護層 33 撥液模様 34 凹凸形状 35 着色剤 4 プライマー層 5 易接着バックコート層 9 化粧材 91 化粧材用基材 92 接着剤 93 化粧シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK01A AK01B AK07 AS00B AT00C BA02 BA03 BA07 BA10B BA10C CC00B DD01B DD05C DD07B DD09B EH462 EJ283 EJ39B EJ532 EJ551 EJ651 GB07 GB08 GB81 HB00B HB31 JB14B JB16A JK14 JL10B JN21B

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性シートに表面保護層を設けた化粧
    シートにおいて、前記表面保護層に電離放射線硬化型樹
    脂を使用したことを特徴とする化粧シート。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の化粧シートにおいて、前
    記表面保護層に光沢差を有する模様を設けたことを特徴
    とする化粧シート。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の化粧シートにおいて、前
    記表面保護層に同調凹凸模様を設けたことを特徴とする
    化粧シート。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の化粧シートにおいて、前
    記表面保護層に凹凸形状を設けたことを特徴とする化粧
    シート。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の化粧シートにおいて、前
    記凹凸形状の凹部に着色インキを施したことを特徴とす
    る化粧シート。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シー
    トにおいて、前記熱可塑性シートと前記表面保護層との
    間にプライマー層を設けたことを特徴とする化粧シー
    ト。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シー
    トを、平板状の化粧材用基材の片面に貼付し、該化粧材
    用基材の前記化粧シートが貼付されていない側の面に溝
    加工を施して折り曲げ、立体形状に成形してなることを
    特徴とする化粧材。
  8. 【請求項8】請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シー
    トを、立体形状を有する化粧材用基材の表面に立体成形
    ラミネートしてなることを特徴とする化粧材。
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