電気接続箱
技術分野
[0001] 本発明は、回路構成体をケースに収容した構成の電気接続箱に関する。
背景技術
[0002] 例えば、自動車に搭載される電気接続箱として、回路構成体をケースに収容した構 造のものがある。回路構成体は、回路基板と、回路基板の裏面に沿って配索したバ スバーと、回路基板の表面側に実装されるリレー等のスイッチング部材とを備えて構 成され、ノ スバーには、その端部を略 L字形に曲げ加工することで端子部が形成され ている。ケースは、回路基板に対しその周縁に沿うように配置されて固定されるフレ ームと、フレームに対し回路基板を覆うように組み付けられるカバーとを備えて構成さ れる。フレームにはコネクタハウジングが取り付けられ、コネクタハウジングの筒状嵌 合部内には、バスバーの端子部が収容されている。筒状嵌合部にハーネス側コネク タが嵌合されると、ハーネス側コネクタの端子がバスバーの端子部に接続されるよう になっている。 尚、この種の電気接続箱としては、特許文献 1に開示されているもの 等がある。
特許文献 1 :特開 2003— 164039公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0003] 上記のような電気接続箱を自動車に搭載する場合、電気接続箱に接続される電線 の配索経路によっては、電線がハーネス側コネクタ力も導出された直後で大きく屈曲 されることがある。例えば、電気接続箱を更に大きな別のボックスに収容して自動車 に搭載する場合には、そのような配索経路になり易い。このように電線がコネクタの直 ぐ近くで大きく曲げられるときには、その電線の弾性復元力のためにハーネス側コネ クタが筒状嵌合部内で姿勢を傾けようとし、その結果、コネクタハウジングの筒状嵌合 部を構成する壁部が変形することが懸念される。
[0004] 本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ケースに設けられ
て 、るコネクタハウジングの筒状嵌合部の変形を防止することを目的とする。 課題を解決するための手段
[0005] 本発明の電気接続箱は、回路基板にスイッチング部材を実装すると共にその回路 基板に沿ってバスバー配索した回路構成体と、この回路構成体を収容し、前記回路 基板に対しその周縁に沿うように配置されて固定されるフレーム及びこのフレームに 対し前記回路基板を覆うように組み付けられるカバーを備えたケースと、前記バスバ 一の端部に形成された端子部と、前記フレームに設けられ前記端子部を収容する筒 状嵌合部を備えたコネクタハウジングと、前記カバーに設けられ前記筒状嵌合部の 外面に当接することで前記筒状嵌合部の変形を規制する変形規制部とを備える。
[0006] この構成では、コネクタハウジングの筒状嵌合部に相手方のコネクタが嵌合されて、 そのコネクタの電線と回路構成体のバスバーとが接続される。コネクタ力も導出された 電線がコネクタの直ぐ近くで大きく曲げられる等して電線力 コネクタにこれを傾けた り、押し込んだりする力が作用した場合、その力はコネクタハウジングの筒状嵌合部 に受け止められてその変形に到ることが懸念される。ところが、その筒状嵌合部の外 面には、カバーに設けた変形規制部が当接しているので、筒状嵌合部が変形するこ とを防止できる。
発明の効果
[0007] 本発明によれば、筒状嵌合部に嵌合されたコネクタを通して電線カゝら力が作用して も、筒状嵌合部が変形することを防止できる。
図面の簡単な説明
[0008] [図 1]図 1は電気接続箱の外観を示す斜視図である。
[図 2]図 2はカバーを除去して示す分解斜視図である。
[図 3]図 3は断面図である。
[図 4]図 4はカバーの底面図である。
符号の説明
[0009] 10· ··回路構成体
11…回路基板
12· · ·バスバー
13· · ·スイッチング部材
15· · ·第 2端子部 (端子部)
20· "ケース
21 · · ·フレーム
24· · ·カバー
26…第 2ハウジング(コネクタハウジング)
26a…筒状嵌合部
30F…変位規制部 (係止部)
30R…変位規制部 (係止部)
32· · ·変形規制部
33a…変位規制部 (係止部)
33b…変位規制部 (係止部)
33c…変位規制部 (係止部)
34· · ·後退規制部
発明を実施するための最良の形態
[0010] 以下、本発明を具体ィ匕した実施形態を図 1乃至図 4を参照して説明する。本実施形 態の電気接続箱は、自動車に搭載され、バッテリ(図示せず)とランプ、オーディオ等 の電装品(図示せず)との間に介設され、バッテリから供給される電力を各電装品に 分配'供給するとともに、これら電力供給のオンオフ等の制御を行うものである。尚、 図 1〜3においては、電気接続箱を表面側が上向きとなるように描いているが、自動 車に搭載されるときには、電気接続箱は、ヒューズブロック 23が上側に位置し、ハウ ジング 25, 26, 27, 28が下向きに開口する向きでリレーボックス(図示せず)内に収 容され、そのリレーボックスが車体(図示せず)に固定されるようになっている。
[0011] 電気接続箱は、回路構成体 10と、回路構成体 10を収容するケース 20とを備えて 構成される。
回路構成体 10は、回路基板 11と、回路基板 11の裏面(図 3における下面)に沿つ て配索した複数のバスバー 12と、回路基板 11の表面側(図 3における上面側)に実
装されるリレーや半導体素子などのスイッチング部材 13とを備えて構成されている。 バスバー 12は回路基板 11の裏面に接着されており、バスバー 12の端部に形成した 第 1端子部 14が回路基板 11の前端縁から突出されているとともに、同じくバスバー 1 2の端部に形成した第 2端子部 15 (本発明の構成要件である端子部)が回路基板 11 の後端縁から突出されている。
[0012] 第 2端子部 15は、回路基板 11に対して略直角に表面側(上向き)に立ち上がる支 持部 15a (第 2端子部 15における第 2コネクタハウジングの筒状嵌合部 26aの背面側 力 の突出部分)と、この支持部 15aの立ち上がり端力 後方(回路基板 11とは反対 側)へ略直角に(回路基板 11とほぼ平行に)延出する接続部 15bとから構成され、側 方から見て略 L字形をなす。一方の第 1端子部 14も、第 2端子部 15と同様に略 L字 形に屈曲した形状をなして 、る。
[0013] ケース 20は、合成樹脂等の絶縁材料からなる略方形の枠状をなすフレーム 21と、 フレーム 21に対しその裏側の開口を塞ぐように固着される金属製の放熱板 22と、フ レーム 21に対しその前端縁側力も組み付けられる合成樹脂製のヒューズブロック 23 と、フレーム 21に対しその表面側 (放熱板 22とは反対側)の開口を塞ぐように組み付 けられる合成樹脂製のカバー 24と、ヒューズブロック 23に組み付けられる合成樹脂 製の第 1ハウジング 25と、フレーム 21の後縁部に組み付けられる合成樹脂製の第 2 〜第 4コネクタハウジング, 27, 28とを備えて構成される。
[0014] フレーム 21は、回路基板 11の周縁に沿って回路構成体 10を全周に亘つて連続し て包囲するように配置されているとともに、放熱板 22の表面に接着剤(図示せず)に より固定されている。上記した複数の第 2端子部 15は、フレーム 21の後縁部に沿つ て横に並ぶように配置されて 、る。
放熱板 22は、回路基板 11と概ね相似形であり、放熱板 22の表面にはノ スバー 12 の裏面が接着剤(図示せず)により固着されている。
ヒューズブロック 23は、フレーム 21の前縁部に沿って配される横長の本体部 23aと 、この本体部 23aの左右両端部力 後方へ片持ち状に延出する形態の一対のァー ム部 23bとからなる。本体部 23a内には、第 1端子部 14の先端部と、端子金具 29の 略前半分領域と、第 1端子部 14と端子金具 29を接続するヒューズ (図示せず)とが収
容されるようになって!/、る。
[0015] フレーム 21の後縁部に取り付けられる第 2〜第 4コネクタハウジング, 27, 28のうち 第 2コネクタハウジング (本発明の構成要件であるコネクタハウジングに相当する)は、 全体として左右方向に細長いブロック状をなし、後方へ開口する左右 2つの横長の 筒状嵌合部 26aを有している。この第 2コネクタハウジングは、その左右両端部の取 付け片 27をフレーム 21の後縁部の表面にビス止めすることにより、フレーム 21の表 面に載置する形態で固定されている。上記した第 2端子部 15の接続部 15bは、第 2 コネクタハウジングの背面壁 26bを貫通して筒状嵌合部 26aの内部に収容されてい る。また、第 2端子部 15の支持部 15aは、背面壁 26bの背面 (前面であって、筒状嵌 合部 26aの開口方向とは反対側の面)に沿うように配されている。この第 2コネクタハ ウジングの筒状嵌合部 26aには、後方力もハーネス側コネクタ Cが嵌合されるようにな つている。尚、第 3ハウジング 27と第 4ハウジング 28も、第 2コネクタハウジングと同様 に、後方へ開口する筒状嵌合部を有し、ビス止めによりフレーム 21に固定されている
[0016] 第 2コネクタハウジングの筒状嵌合部 26aは、上面壁 26c、左右両側壁 26d、及び 下面壁 26eによって構成されており、下面壁 26eがフレーム 21の後縁部の表面(上 面)に当接されている。筒状嵌合部 26aの上面壁 26cの外面(上面)には、左右方向 (フレーム 21の後縁部の長さ方向)に直線状に延びる前後一対の変位規制部 30F, 30Rが形成されている。変位規制部 30F, 30Rは、リブ状に突出した形態であって、 筒状嵌合部 26aの全幅に亘つて連続して形成されて 、る。前側の変位規制部 30F は、筒状嵌合部 26aの前縁 (背面壁 26bの上縁)に沿って形成され、後側の変位規 制部 30Rは、筒状嵌合部 26aの後端よりも少し前方に配置されている。また、この変 位規制部 30F, 30Rは、本発明の係止部を兼ねている。
[0017] カバー 24は、全体として回路基板 11とほぼ相似形であって、回路基板 11よりも一 回り大きい形状をなす。カバー 24は、表面側からフレーム 21に対して組み付けられ 、組付け状態ではフレーム 21内に収容されて 、る回路基板 11とスイッチング部材 13 がカバー 24によって覆 、隠される。
[0018] カバー 24の後縁部のうち第 2コネクタハウジングの筒状嵌合部 26aと対応する部分
は、筒状嵌合部 26aに対してその上面側力も覆い被さるように当接する変形規制部 3 2となっている。変形規制部 32は板状をなし、変形規制部 32の下面 (筒状嵌合部 26 aとの対向面)には、左右方向(フレーム 21の後縁部の長さ方向及びカバー 24の後 縁部に沿った方向)に直線状に延びる前後 3本の変位規制部 33a, 33b, 33cが形 成されている。この第 1〜第 3変位規制部 33a, 33b, 33cは、リブ状に突出した形態 であって、幅方向(左右方向)において筒状嵌合部 26aと対応する領域に亘つて連 続して形成されている。最も後に位置する第 1変位規制部 33aは、カバー 24の後端 縁に沿って配置され、中央に位置する第 2変位規制部 33bは、第 1変位規制部 33a よりも少し前方に配置されている。これらの変位規制部 33a, 33b, 33cは、本発明の 係止部を兼ねている。
[0019] また、変形規制部 32の下面には、第 3変位規制部 33cよりも更に前方の位置から 下方へ延出する複数の後退規制部 34が、カバー 24の後縁部に沿って左右方向に 並んで形成されている。各後退規制部 34の前端縁部は、第 2端子部 15の支持部 15 aに対して前方 (筒状嵌合部 26aの開口部とは反対側)から当接するように配置され ている。後退規制部 34の前端縁部は段差状をなしており、この後退規制部 34の前 端縁部のうち支持部 15aと非対応の上端側部分 (変位規制部 32に近い側の端部)は 、筒状嵌合部 26aの背面 (前面)に対して前方力 当接するように配置されている。
[0020] 次に、本実施形態の作用を説明する。
もし、筒状嵌合部 26aに嵌合されたハーネス側コネクタ Cが図 3における上下方向 に傾 、た場合には、筒状嵌合部 26aの上面壁 26cが上方 (外側)へ膨らむように変形 させられることが懸念されるが、本実施形態では、変形規制部 32に形成されている 第 1〜第 3変位規制部 33a, 33b, 33cが筒状嵌合部 26aの上面壁 26cに対して上か ら当接されているので、筒状嵌合部 26aの上面壁 26cが上方へ膨らむように変形す ることはない。
[0021] し力も、カバー 24の第 1変位規制部 33aと第 2変位規制部 33bが、筒状嵌合部 26a の後側の変位規制部 30Rに対して前後に挟むように嵌合 (係止)されるとともに、カバ 一 24の第 3変位規制部 33cと後退規制部 34が筒状嵌合部 26aの前側の変位規制 部 30Fを前後から挟むように嵌合 (係止)されているので、これらの嵌合 (係止)により
、カバー 24の後縁部がフレーム 21及び第 2コネクタハウジングに対して相対的に前 後方向 (筒状嵌合部 26aの開口方向と平行な方向)へ相対変位することが規制され ている。したがって、変形規制部 32 (第 1〜第 3変位規制部 33a, 33b, 33c)が筒状 嵌合部 26aに対して位置ずれすることがなぐ筒状嵌合部 26aの変形を確実に防止 することができる。
[0022] また、後退規制部 34が第 2端子部 15の支持部 15aに対して背面側力も当接するこ とにより、第 2端子部 15は、筒状嵌合部 26a及びカバー 24の後縁部に対して背面側 (前方)へ相対変位することを規制されている。この場合も、カバー 24が第 2コネクタ ハウジングに対して相対的に前方 (背面側)へ変位することを規制されて 、るので、 後退規制部 34による第 2端子部 15の後退を確実に規制することができる。
[0023] また、本実施形態では第 2コネクタハウジングがフレーム 21とは別体部品であるた め、第 2コネクタハウジングがフレーム 21に対しビス止め位置を支点として姿勢を前 後(上下)に傾けることが懸念されるが、筒状嵌合部 26a (第 2コネクタハウジング)を カバー 24の変形規制部 32とフレーム 21との間で上下に挟み付けているので、第 2コ ネクタハウジングの傾きが防止されて 、る。
[0024] <他の実施形態 >
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく 、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
[0025] (1)上記実施形態ではハウジングをフレームとは別体の部品とした力 本発明によ れば、ハウジングをフレームに一体に形成してもよい。
(2)上記実施形態では変位規制部は第 2端子部の延長方向に沿った方向の変位 を規制するように設けているが、これに限らず、その方向と直交する方向の変位が規 制されるように設けてもよぐ或いは、例えば筒状嵌合部の外面にピンを立て、カバー のうち上記筒状嵌合部の外面に当接する変形規制部に上記ピンが嵌合する嵌合孔 を設けることで、あらゆる方向の変位が規制される構成としてもよい。
[0026] (3)上記実施形態では筒状嵌合部側の変位規制部をリブ状としたが、本発明によ れば、筒状嵌合部側の変位規制部を溝状としてもょ 、。