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JPWO2020049819A1 - スラリー状膨張材組成物 - Google Patents

スラリー状膨張材組成物 Download PDF

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JPWO2020049819A1
JPWO2020049819A1 JP2020541021A JP2020541021A JPWO2020049819A1 JP WO2020049819 A1 JPWO2020049819 A1 JP WO2020049819A1 JP 2020541021 A JP2020541021 A JP 2020541021A JP 2020541021 A JP2020541021 A JP 2020541021A JP WO2020049819 A1 JPWO2020049819 A1 JP WO2020049819A1
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大樹 島崎
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泰一郎 森
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Abstract

膨張材と、膨張材と水和反応しない液体収縮低減剤と、安定化剤とを含有してなり、安定化剤が、重量平均分子量1,000,000以下であるポリビニルピロリドン、および非イオン系界面活性剤のうちの一種以上を含むことを特徴とする、スラリー状膨張材組成物。

Description

本発明は、土木・建築分野で使用されるセメント混和材としてのスラリー状膨張材組成物に関する。
セメントは安価でしかも、大きなコンクリート構造物を任意の形に造れる優れた材料である。さらに、セメント混和材を併用することによって、構造物の強度や耐久性、美観を向上させることが可能である。これまでにセメント混和材は数多く提案されているが、セメントコンクリートのひび割れ低減や曲げ耐力の向上を目的として最も使用されている混和材として、コンクリートに膨張性を付与するセメント膨張材が挙げられる。
コンクリート構造物に膨張性を付与するセメント混和材としては、例えば、遊離石灰−アウイン−無水セッコウ系膨張材(特許文献1)や遊離石灰−カルシウムシリケート−無水セッコウ系膨張材(特許文献2)等がある。また、従来よりも少ない添加量でコンクリートのひび割れを低減できる高性能型膨張材も開発されている(特許文献3〜6)。
一方、レディミクストコンクリート工場(生コンプラント)における膨張材の投入作業は人力で行われる場合が主であり、荷揚げや解体投入に多くの手間や人件費を要し、きめの細かい出荷が難しいという課題があった。また、粉体からなる膨張材を生コンプラントでミキサーに投入した場合や直接アジテーター車に投入した場合、膨張材がミキサーに付着したり、固結したりして、粉体の膨張材が十分に分散されず、固まりが生じて、硬化時に部分的に膨張破壊するというポップアップ現象が発生するという課題があった。
この課題に対して、例えば特許文献7、8では粉体の膨張材を、水と分散剤、あるいは水と澱粉とともに用いて所定の作業性を確保した膨張材スラリーを調製し、性能の安定した膨張コンクリートが容易に得られることが報告されている。
特許文献9〜12では、膨張材を収縮低減剤等の非水系の液体でスラリー化することで長期の練り置きが可能であり、粉塵の発生が無く、練り置いても優れた膨張性能と収縮低減効果を示すセメント組成物が得られると報告されている。
特許文献13では、膨張材と非水系溶液でスラリーを所定の粘度に調製することで、膨張材スラリーをアジテーター車に直接投入、混合することが可能となり、建設現場で必要な箇所へ品質の安定した膨張低収縮セメントコンクリートを自在に打設することができることを報告している。
特公昭42−21840号公報 特公昭53−31170号公報 特開平7−232944号公報 特開2002−226243号公報 特開2005−162564号公報 特開2008−239392号公報 特開2004−216739号公報 特開平7−97248号公報 特開2002−348158号公報 特開2002−356355号公報 特開2003−12351号公報 特開2003−12352号公報 特開2016−2655号公報
しかしながら特許文献7では、高い膨張性を有するコンクリートを得るためには膨張材スラリーを調製する工程の後、60分以内に固まっていないコンクリートに添加する必要があると記述されている。そのため、トラブルが発生した場合には調製したスラリーを廃棄する必要がある。また、従来の混合方法で実施した場合の膨張量と比較して膨張材スラリーを用いた場合には膨張量がおよそ70%となっている。したがって、所定の膨張量を得るためには、現行の配合と比較して膨張材の使用量を増やす必要がある。
特許文献8では、特定の澱粉を用いることで、水を用いてスラリーとした場合でも作業性が数時間保持可能であることが報告されている。しかし、硬化体の物性についてはポップアウトの有無や圧縮強度への影響に関する結果しか記載がなく、膨張量に与える影響について具体的な記載はない。
一方、特許文献9〜13では、非水系の溶液を用いて膨張材スラリーを調製することが可能であり、優れた膨張性と収縮低減効果を示すことが報告されている。
しかし、膨張材を非水系の溶液に分散させスラリー化を行うと、時間経過とともに膨張材粒子が凝集し、スラリーの粘度が増加し使用の際の取り扱いが困難となったり、膨張材と収縮低減剤の比重差に従って、膨張材粒子が沈殿し膨張材と収縮低減剤が分離してしまったりといった問題が起こる。このため、当該従来技術に係るスラリーは製造してから数日以上に渡って長期間保管し使用する場合、強力な機械的再攪拌を行わなければ使用することができない。
以上から本発明は、膨張材を非水系の溶液に分散させスラリー化しても物理的・化学的に安定で長期間の使用可能期間を持ちつつ、優れた膨張性、収縮低減効果が得られるスラリー状膨張材組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記状況を鑑み種々検討した結果、膨張材(膨張性セメント混和材)を収縮低減剤および安定化剤と共に用いることで、上記課題が解決されるとの知見を得て本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明の実施形態は下記を提供できる。
[1]
膨張材と、前記膨張材と水和反応しない液体収縮低減剤と、安定化剤とを含有してなり、
前記安定化剤が、
重量平均分子量1,000,000以下であるポリビニルピロリドン、および
非イオン系界面活性剤
のうちの一種以上を含む
ことを特徴とする、スラリー状膨張材組成物。
[2]
膨張材100質量部と、前記膨張材と水和反応しない液体収縮低減剤20〜60質量部と、安定化剤0.2〜5質量部とを含有してなる[1]に記載のスラリー状膨張材組成物。
[3]
前記液体収縮低減剤が、ポリアルキレングリコール、低級アルコールアルキレンオキシド付加物、グリコールエーテル・アミノアルコール誘導体、ポリエーテル、アルコール及びそれらの混合物からなる群から選択される一種以上を含む、[1]または[2]に記載のスラリー状膨張材組成物。
[4]
前記安定化剤が、ポリビニルピロリドンまたは多価アルコールエステルを含む、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のスラリー状膨張材組成物。
[5]
前記膨張材が、CaO原料とCaSO4原料を含む配合物を熱処理して生成する遊離石灰と無水セッコウを有効成分とする鉱物からなり、無水セッコウが遊離石灰と無水セッコウの合計100質量部中10〜50質量部である[1]〜[4]のいずれか一項に記載のスラリー状膨張材組成物。
本発明によれば、製造後長期間にわたって物理的・化学的に安定であり、容易に使用が可能であり、優れた膨張性、収縮低減効果が得られるスラリー状膨張材を提供することが可能となる。
液体収縮低減剤とその比較例の、膨張材との反応熱を測定した結果のグラフである。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書における「部」や「%」は、特に規定しない限り質量基準とする。また、「セメントコンクリート」とは、セメントペースト、モルタル、コンクリートの総称である。本明細書における数値範囲は、別段の定めがない限りは、その下限値および上限値を含むものとする。
本発明の実施形態において使用できる膨張材は、後述する液体収縮低減剤と反応しないものであれば、当該技術分野において知られる任意のものを使用できる。好ましくは、膨張材が、CaO原料とCaSO4原料を含む配合物を熱処理して生成する遊離石灰と無水セッコウを有効成分とする鉱物を含んでよく、より好ましくは該鉱物中の割合は、無水セッコウが遊離石灰と無水セッコウの合計100部中10〜50部であってよく、さらに好ましくは20〜40部であってよい。無水セッコウが10部以上であると、材齢1日までに急激な膨張性を示さないので、その膨張材を用いたセメント硬化体にクラックが発生したり、強度発現性が低下する問題を回避しやすくなる効果がある。また無水セッコウが50部以下であると、膨張性能が向上する効果が得られる。
上記の膨張材を製造する際には、CaO原料とCaSO4原料を含む配合物を熱処理して、遊離石灰と無水セッコウからなるクリンカーを合成してこれを粉砕して製造することが望ましい。なお遊離石灰と無水セッコウを別々に合成し、それらを混合することによっても同じ組成の膨張材を合成することが可能であるが、優れた膨張性能が得られる観点からは、上述したようにCaO原料とCaSO4原料を含む配合物を熱処理して、遊離石灰、無水セッコウからなるクリンカーを合成してこれを粉砕して製造することが好ましい。
膨張材の粉末度は、適正なスラリー粘度や膨張性能を得る面から、ブレーン比表面積値で2000〜6000cm2/gが好ましく、2500〜4500cm2/gがより好ましい。膨張材の中心粒径は約5〜20μmであるのが好ましく、膨張材全体として1〜200μmの粒子が含まれるのが好ましい。
また、膨張材中のフリーライムの量は、30質量%以上であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましい。フリーライムの量が30質量%以上であることで、少ない添加量で充分な膨張性能を得ることができる。なお、フリーライムの量は「セメント協会標準試験方法JCAS I−01−1997(遊離酸化カルシウムの定量方法)」に準拠して求めることができる。
本発明の実施形態で使用できる液体収縮低減剤とは、上述した膨張材と水和反応をすることが無いものであれば、いかなるものでも使用可能である。膨張材と液体収縮低減剤とが水和反応しないことは、例えば伝導型水和熱熱量計CHC−OM6(東京理工社製)のような反応熱測定装置を用いて、膨張材と液体収縮低減剤を練混ぜた際の反応熱を測定することで判定できる。その反応熱は例えば以下の手法で測定できる。膨張材と液体収縮低減剤を3分間薬さじで混合した後、伝導型水和熱測定装置CHC−OM6(東京理工社製)で反応熱を測定する。これにより得られる24時間の積算発熱量が膨張材1g当たり20J以下であることが、液体収縮低減剤の条件として好ましい。なお液体収縮低減剤は、JIS Z8703:1983で定義する常温において、少なくともその一部が液体状態にある(好ましくは実質的に全体が液体状態にある)収縮低減剤を意味する。液体収縮低減剤の例として、主成分として、ポリアルキレングリコール系、低級アルコールアルキレンオキシド付加物、アルコール系、グリコールエーテル・アミノアルコール誘導体系、ポリエーテル系、低分子量アルキレンオキシド共重合体系を含むもの等が挙げられる。膨張材と水和反応を起こさない観点からは、液体収縮低減剤は非水系(例えば、水分含有率が5%以下の系、より好ましくは水を実質的に含まない系)であるのが好ましい。
スラリー状膨張材組成物中の液体収縮低減剤の配合割合は、特に限定されるものではないが、例えば膨張材100部に対して、20〜60部が好ましく、30〜40部がより好ましい。液体収縮低減剤の配合量を20部以上とすることで、粘性が低く、取り扱いが良好な膨張性セメント混和材スラリーが得られ、また60部以下とすることで材料分離が抑えられた膨張性セメント混和材スラリーを得ることができる。液体収縮低減剤の配合量が20〜60部であると、スラリー中の粒子体積濃度は約35%〜65%と非常に濃厚な(すなわち粒子濃度が非常に高い)スラリーとなるため特に好ましいと考えられる。
本発明の実施形態で使用できる安定化剤には、膨張材スラリー組成物作製直後の粘度を実質的に変化させること無く、また長期にわたって膨張材スラリー組成物の粘度を増加させず高い物理的安定性を与える効果を奏するものであることが求められる。当該技術分野における膨張材と液体収縮低減剤とを含んだ膨張材スラリー組成物は、他分野のスラリーに比べてきわめて粒子濃度が高いのが通常である。このため、当該技術分野のスラリーでは粒子同士が接近して凝集しやすい問題が解消できておらず、物理的安定性を欠き相分離が発生してしまう問題があった。こうした粒子濃度が非常に高いスラリーに対しては、当該技術分野の減水剤(ポリオール複合体、リグニンスルホン酸塩、オキシカルボン酸塩などを主成分とする陰イオン系界面活性剤)では効果を発揮できない。
上記の問題に対して本発明者は、上記液体収縮低減剤への溶解性が良くかつ粒子表面に吸着できるようなポリビニルピロリドンを安定化剤に含めることで、粒子の凝集を妨げられることを見出した。すなわち、ポリビニルピロリドンの重量平均分子量を1,000,000以下とすることで、膨張剤スラリー組成物中の粒子の表面にポリビニルピロリドンが吸着しやすくなり、粒子の凝集沈降を防止する効果が得られる。さらに好ましい実施形態では、ポリビニルピロリドンの重量平均分子量を500,000以下、より好ましくは250,000以下としてもよい。また当該重量平均分子量の下限値は特に限定されないが、例えば9,000以上であってよい。ポリビニルピロリドンの重量平均分子量が1,000,000超であると、高分子が粒子間での架橋構造を形成し、膨張材スラリー組成物の粘度を増加させてしまい、コンクリートに添加した際に膨張材が十分に分散しなくなってしまう。
また上記の問題に対する別のアプローチとして、上記液体収縮低減剤に可溶である非イオン系(ノニオン)界面活性剤を安定化剤に含めることでも、粒子の凝集沈降を防止する効果が得られる。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、非イオン系であると陰イオン系とは異なり、液体収縮低減剤からの影響を受けにくく、粒子の凝集を効果的に防止できると考えられる。そうした非イオン系界面活性剤としては、エーテル型(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなど)、多価アルコールエーテル型(アルキルグリコシドなど)、エステル型(ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなど)、多価アルコールエステル型(ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなど)といったものが含まれるが、溶解性の低い脂肪酸アルカノールアミドは含まれない。好ましくは、安定化剤は多価アルコールエステル型界面活性剤を含むことができる。
上記したポリビニルピロリドンと非イオン系界面活性剤とは併用も可能であり、さらなる相乗効果を得ることもできる。
スラリー状膨張材組成物中の安定化剤の配合割合は、特に限定されるものではないが、例えば膨張材100部に対して、安定化剤の量が0.2〜5部であるのが好ましく、0.5部〜3部がより好ましい。安定化剤の量が0.2部以上であると分散安定効果が向上し、また5部以下であるとスラリー状膨張材組成物の粘度が大きくなりすぎず、取り扱いが容易になる効果が得られる。
スラリー状膨張材組成物を作製する混合装置としては、既存の如何なる装置も使用可能であり、例えば、プロシェアミキサー、レーディゲミキサー、傾胴ミキサー、オムニミキサー、ヘンシェルミキサー、V型ミキサー、及びナウタミキサー等の使用が可能である。
コンクリート(セメント)に対して使用する際のスラリー状膨張材組成物の添加量は、コンクリートの配合によって変化するため特に限定されるものではないが、通常、コンクリート中のセメント100部に対して、スラリー状膨張材組成物を1〜12部添加するのが好ましく、3〜9部がより好ましい。スラリー状膨張材組成物の添加量を1部以上とすることで、充分な膨張性能、収縮低減効果が得られ、また12部以下とすることで、過膨張となってコンクリートに膨張クラックを生じるのを防ぐことができる。
スラリー状膨張材組成物の粘度は、セメントコンクリート中への分散性の観点から、1〜150Pa・sが好ましく、20〜50Pa・sがより好ましい。膨張性セメント混和材スラリーの粘度を1Pa・s以上とすることで、材料分離による投入誤差を防止可能であり、また150Pa・s以下とすることで膨張材が十分に分散した膨張性セメントコンクリートを得ることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
〈使用材料〉
水 :水道水
セメント :普通ポルトランドセメント、密度3.16g/cm3
膨張材:デンカパワーCSAタイプS、デンカ社製、エトリンガイト・石灰系、ブレーン比表面積値3440cm2/g、フリーライム49.8質量%、中心粒径11.5μm、1〜150μmの粒子を含む。
液体収縮低減剤:デンカエスケーガード、デンカ社製、アルキレンオキシド共重合体系
安定化剤A:ピッツコールK−30、第一工業製薬社製、ポリビニルピロリドン系、重量平均分子量45,000
安定化剤B:SNディスパーサント9228、サンノプコ社製、多価アルコールエステル型非イオン系界面活性剤
安定化剤C:SNスパース70、サンノプコ社製、脂肪族アルカノールアミド系界面活性剤
安定化剤D:SNスパース2190、サンノプコ社製、ポリカルボン酸アルキルアミン塩
安定化剤E:ピッツコールK−90、第一工業製薬社製、ポリビニルピロリドン系、重量平均分子量1,200,000
(液体収縮低減剤の物性)
液体収縮低減剤として上述したデンカエスケーガードの反応熱を、他の液体物質と比較して評価した。比較用の液体物質としては以下を用いた。
比較液体A:デンカエスケーガードと水(水道水)を質量比90:10で混合したもの
比較液体B:デンカエスケーガードと水(水道水)を質量比80:20で混合したもの
比較液体C:液体収縮低減剤「アクアガードTD−200」、日本触媒社製、主成分:特殊ポリオキシアルキレングリコール
比較液体D:液体収縮低減剤「ヒビダンB」、竹本油脂社製、主成分:ポリエーテル誘導体
比較液体E:水(水道水)
デンカエスケーガードまたは上記の比較液体A〜Eのいずれかをそれぞれ、上記の膨張材(デンカパワーCSAタイプS)と併せて、3分間薬さじで混合し試験用スラリーを得た。混合質量比は、当該液体/膨張材=0.4とした。
得られた各試験用スラリーをそれぞれ、伝導型水和熱測定装置CHC−OM6(東京理工社製)に掛け、膨張材1g当たりの24時間の積算発熱量を算出した。積算発熱量のグラフを図1に示す。図1の横軸は混合後の経過時間(hour)、縦軸は膨張材1g当たりの積算発熱量(J/g)を示す。
デンカエスケーガードは、24時間の積算発熱量が膨張材1g当たり4Jであり、対照となる比較液体Eのそれが約572Jであった。したがってデンカエスケーガードは膨張材と実質的に水和反応しないことが確かめられた。一方、比較液体Cの当該積算発熱量は膨張材1g当たり約117J、比較液体Dは約89Jであり、これらの市販の液体収縮低減剤が不適切であることがわかる。またデンカエスケーガードに水を添加すると当該積算発熱量が比較液体Aで約85J、比較液体Bで約112Jとなり、純粋なデンカエスケーガードが実質的に水を含んでいないことも確認できた。
(実験例1)膨張材、液体収縮低減剤、安定化剤を表1に示す配合(質量部の比で示す、以下同様)で混練してスラリー状膨張材組成物を調製した。調製したスラリー状膨張材組成物を100mLメスシリンダー内に静置し14日間経過後、スラリー状膨張材組成物の固液分離度を上澄み液のシリンダーの目盛りを読むことで評価し、物理的安定性を判定した。結果を表1に示す。
Figure 2020049819
物理的に安定している程、スラリー状膨張材組成物において長時間放置後の相分離の発生が少なくなる。すなわち表1中の上澄みの値が小さいほど、物理的安定性は高い。表1に示されている通り安定化剤を用いない比較例1では、非常に大きな相分離の発生が見られ、一方で安定化剤A、Bを用いた実施例1〜10ではいずれも良好な物理的安定性を示した。
また、非イオン系ではない安定化剤C、Dを用いた比較例2〜11では相分離を抑えることができなかった。また、重量平均分子量が大きすぎる安定化剤Eを用いた比較例12〜15では、相分離を小さくするために添加量を多くするとスラリーの粘度が増加し流動性が低下する問題が発生してしまった。
またさらなる比較実験として、実施例1の液体収縮低減剤を、同量の上記の比較液体A〜Dのいずれかに置き換えて、同様に物理的安定性を評価した。比較液体A〜Dのいずれについても、約1〜2日経過後に水和により膨張材が膨張し、物理的安定性の評価は不可能であった。
(実験例2)実験例1において良好な結果を示した安定化剤A、Bについて、実験例1と同様に作製したスラリー状膨張材組成物を用いてモルタルの長さ変化率の測定を行った。セメント組成物100部に対して、膨張材の添加量が3.3部となるようにスラリー状膨張材組成物を添加した。スラリー状膨張材組成物は作製直後のもの、または作製後14日間静置したものをそれぞれ用いた。水/セメント組成物比=50%、セメント組成物/砂比=1/3のモルタルを調製して、JIS A 6202:2008に準じて長さ変化率の測定を行い、化学的安定性および性能を評価した。比較例として、安定化剤を加えなかったもの(比較例1a)、膨張材と液体収縮低減剤を混合させず別々に添加したもの(比較例2a)、膨張材のみを添加したもの(比較例3a)についても同様の実験を行った。結果を表2に示す。
Figure 2020049819
表2に示すように、本発明の実施例に係るスラリー状膨張材組成物を使用した場合、作製直後であっても14日間静置したものであっても、モルタルは膨張性能を示し、収縮率が少ないことが分かる。また、膨張材のみを用いた場合と比較して、膨張材と液体収縮低減剤を同時に用いることで膨張率が大きくなることも分かる。

Claims (5)

  1. 膨張材と、前記膨張材と水和反応しない液体収縮低減剤と、安定化剤とを含有してなり、
    前記安定化剤が、
    重量平均分子量1,000,000以下であるポリビニルピロリドン、および
    非イオン系界面活性剤
    のうちの一種以上を含む
    ことを特徴とする、スラリー状膨張材組成物。
  2. 膨張材100質量部と、前記膨張材と水和反応しない液体収縮低減剤20〜60質量部と、安定化剤0.2〜5質量部とを含有してなる請求項1に記載のスラリー状膨張材組成物。
  3. 前記液体収縮低減剤が、ポリアルキレングリコール、低級アルコールアルキレンオキシド付加物、グリコールエーテル・アミノアルコール誘導体、ポリエーテル、アルコール及びそれらの混合物からなる群から選択される一種以上を含む、請求項1または2に記載のスラリー状膨張材組成物。
  4. 前記安定化剤が、ポリビニルピロリドンまたは多価アルコールエステルを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスラリー状膨張材組成物。
  5. 前記膨張材が、CaO原料とCaSO4原料を含む配合物を熱処理して生成する遊離石灰と無水セッコウを有効成分とする鉱物からなり、無水セッコウが遊離石灰と無水セッコウの合計100質量部中10〜50質量部である請求項1〜4のいずれか一項に記載のスラリー状膨張材組成物。
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