JPS6240697B2 - - Google Patents
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- JPS6240697B2 JPS6240697B2 JP58203764A JP20376483A JPS6240697B2 JP S6240697 B2 JPS6240697 B2 JP S6240697B2 JP 58203764 A JP58203764 A JP 58203764A JP 20376483 A JP20376483 A JP 20376483A JP S6240697 B2 JPS6240697 B2 JP S6240697B2
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- Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
- Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
Description
本発明は、集積回路の製造における写真食刻工
程用のマスクのごとき被写体の像のコントラスト
を増強させる方法およびそのための材料に関する
ものである。 集積回路の製造における写真食刻工程は、主と
して光学的手段によつて実施される。回路寸法を
縮小し、性能を改善しかつ歩留りを向上させよう
とする流れの中で、各世代の回路技術に関連して
要求される解像度は光学装置によつて達成されて
きた。最近、投影式写真食刻装置の解像度は開口
数や波長に関する実際上の制約がもたらす物理的
限界に近付き始めている。写真食刻技術は更に進
歩するものと予想されるにせよ、固有のレンズ解
像度の劇的な向上は望めない。光学技術によつて
達成し得る最小の細部寸法を更に小さくするため
には、写真食刻工程の何か別の因子を変化させて
一層の改善を図ることが必要である。一層の改善
が可能な領域の1つとしてホトレジスト操作があ
る。各ホトレジストは、以後の加工のために使用
し得るパターンを生み出すためにある度合の入射
コントラストが必要であるという特徴を有する。
このような最小の所要照明コントラストはホトレ
ジストのコントラスト閾値と呼ばれる。基板の性
質、所要のパターン厚さおよびホトレジストの縁
端形状にもよるが、従来使用されてきたポジ型の
ホトレジストは85〜90%のコントラスト閾値を有
している。現在、ほとんどの生産は90%以上のコ
ントラストの下で行われている。ところで、像の
コントラストは像中の空間周波数の増大に伴つて
低下することから見て、ホトレジストのコントラ
スト閾値が低下すれば一定の光学装置を用いて達
成し得る解像度は向上することになる。 さて本発明は、ホトレジスト操作において使用
される空中像のコントラストがホトレジストへの
入射に先立つて増強されるようなホトレジスト操
作に関するものである。 本発明の目的の1つは、ホトレジスト中に使用
可能な像を生み出すために必要な最小コントラス
トを低下させることにある。 また、新規な光脱色可能な化合物および物質を
提供することも本発明の目的の1つである。 ある実施の態様に従つて本発明を述べれば、第
1の厚さおよび所定のコントラスト閾値を有する
ホトレジスト層が用意される。また、不透明およ
び透明領域を有する被写体またはマスクが用意さ
れる。かかる被写体を通して所定波長の光を投射
することにより、ホトレジストの所定のコントラ
スト閾値より小さいコントラストを持つた被写体
の像がホトレジスト層上に形成される。被写体と
ホトレジスト層との間には、光脱色性化合物を含
有する光脱色可能な物質層がホトレジスト層の表
面に隣接して配置される。かかる光脱色性化合物
は上記波長の光に対し感受性を有していて、非脱
色状態におけるそれの吸光係数/分子量比はl/
g・cm単位で10より大きい。また、非脱色状態に
おける吸光係数と脱色状態における吸光係数との
比も10より大きい。被写体を通して上記波長およ
び所定強度の光を光脱色可能な物質層上に一定時
間だけ投射すれば、入射した上記波長の光の量に
正比例した光脱色可能な物質層の光学濃度の低下
が生じる。その結果、光脱色可能な物質層によつ
て透過される像の積分コントラストはそれによつ
て透過される光量と共に増加し、最大値に達し、
それから減少する。光脱色可能な物質層のパラメ
ータは、積分コントラストの最大値がホトレジス
ト層の所定のコントラスト閾値より大きくなるよ
うに設定される。また、ホトレジスト層の感度お
よび厚さは、光脱色可能な物質層によつて透過さ
れる所定範囲内の光量がホトレジスト層を完全に
感光させかつ透過像中のホトレジスト層の所定の
コントラスト閾値より大きい積分コントラストが
得られるように設定される。被写体を通して上記
波長の光を投射する時間は、交脱色可能な物質層
を通して上記所定範囲内の光量が透過されるのに
十分なものとする。光脱色可能な物質層を除去し
た後、ホトレジスト層を現像すれば、被写体の低
コントラスト像に比べてコントラストの増強され
たパターンがホトレジスト層中に生み出される。 本発明はまた、300〜450nmの範囲内に吸収極
大を持つた光脱色可能層を形成し得る回転注型可
能な混合物にも関する。かかる混合物は(A)100重
量部の有機溶剤、(B)1〜30重量部好ましくは5〜
15重量部の不活性有機重合体結合剤、および(C)1
〜30重量部好ましくは5〜15重量部のアリールニ
トロンから成るものである。 本発明に固有なものと信じられる新規な特徴
は、前記特許請求の範囲中に詳細に述べられてい
る。とは言え、本発明の構成や実施方法並びにそ
の他の目的や利点は、添付の図面を参照しながら
以下の説明を読むことによつて最も良く理解でき
よう。 現在のところ、写真食刻操作の大部分はマスク
の空中像を用いてホトレジストを感光させる投影
技術によつて実施されている。低コントラストの
空中像の場合、マスクの暗い領域に対応する像部
分でもかなりの強度を有する。コントラストが低
下するのに伴い、暗い領域と明るい領域との識別
は益々困難になる。本発明に従えば、ホトレジス
トに入射する像のコントラストを増強し、それに
よつてかかる識別を容易にする方法が提供され
る。このようなコントラスト増強は、最初は相対
的に不透明であるが一定の光量の照射後には相対
的に透明となる光脱色可能な物質の使用に基づく
ものである。理想化された脱色可能層の光透過率
を第1図に示す。かかる層にマスクの空中像が入
射した場合、脱色可能層のうちで最高の強度に暴
露された部分が先ず完全に脱色される一方、最低
の強度に暴露された部分はそれよりも遅れて脱色
される。 このような脱色過程の推移を第2A〜2F図に
示す。第2A図は、0%の透過率11を与える不透
明領域および100%の透過率12を与える開放また
は透明領域から成るマスクのごとき被写体の相対
透過率を示している。I0は入射光の強度、Iは透
過光の強度、そしてEbは層の脱色を引起こすた
めに必要な光量である。第2B図は、たとえばホ
トレジスト層の感光用として役立つ空中像を生み
出すための光学的投影装置内にマスクを配置した
場合に得られる空中像の相対強度を位置の関数と
してプロツトしたグラフ13を示している。な
お、使用する光の波長およびマスクの各領域の寸
法は図示のごときコントラストを与えるようなも
のであると仮定する。Imaxは像の最大強度、そ
してIminは像の最小強度である。第2C図は理
想化された光脱色可能な物質層15の断面を示し
ている。第2D図は、第1の時点における層15
の脱色状態を点線16によつて表わしたものであ
る。第2E図は、それより後の時点における層1
5の脱色状態を点線17によつて表わしたもので
ある。第2F図は、感光が終了して脱色が停止し
た時における層15の脱色状態を点線18および
19によつて表わしたものである。第2F図に該
当する時点において感光が停止された場合、層1
5の透過率は元のマスクの透過率に相当する。こ
のような物質で通常のホトレジスト層を被覆すれ
ば、得られる複合物はホトレジスト層のみのコン
トラスト閾値よりも低いコントラスト閾値を有し
得るのである。これが可能となるのは、ホトレジ
ストの感度が十分に高くて脱色時間に比べ短かい
時間で感光される場合である。かかる光脱色可能
な物質層は、本質的に見れば、ホトレジスト層上
において直接に形成されたマスクを成すものであ
る。このような直接形成マスクの真の効果は、ホ
トレジスト層への入射時におけるコントラストを
空中像のコントラストよりも増大させることにあ
る。 サブミクロンの写真食刻操作に対してコントラ
スト増強技術を適用するに際しては、コントラス
ト増強層それ自体に関して幾つかの物理的および
化学的制約が存在する。すなわち、コントラスト
増強層は薄いと同時に光学濃度が高くなければな
らない。厚さに制約があるのは、高解像度の光学
装置の焦点深度が小さいためである。このため、
厚さは約1ミクロン以下の範囲に制限される。コ
ントラスト増強層は光学濃度が高くなければなら
ないから、層の光化学成分は強い吸光性を有する
ことが必要である。脱色後における光透過率は光
化学生成物の吸光性によつて決定されるから、光
化学生成物は親分子よりも遥かに小さい吸光係数
を有していなければならない。 ところで、吸光係数は次式によつて定義され
る。 ε=A/bc ……(1) 式中、Aは吸光度bは光路長(cm)、そしてc
は濃度(mol/l)である。また、吸光度は次式
によつて定義される。 A=log10I0/I ……(2) 式中、I0は入射光の強度、そしてIは透過光の
強度である。物質の吸光係数εは、式(1)中のパラ
メータA,bおよびcを決定することによつて求
められる。パラメータAは式(2)から求められる。
先ず、既知重量の物質を既知容積の溶剤に溶解す
ることによつて溶液中の物質の濃度cを求める。
この溶液を既知寸法のセルに注入してから分光光
度計の光路内に配置し、そして既知強度I0の光を
セルに入射させる。次いで、セルからの透過光の
強度を測定する。同様に、溶剤のみを同じ既知寸
法の別のセルに注入してから分光光度計の光路内
に配置し、そして既知強度I0の光をセルに入射さ
せる。次いで、セルからの透過光の強度を測定す
る。溶剤のみの強度測定結果は、セルおよび溶剤
による吸収に関して透過強度Iを補正するために
使用される。こうして得られた入射強度I0および
透過強度Iの値を式(2)中に代入れすれば吸光度A
が求められる。光路長bはセルの既知寸法から求
められる。こうして得られたb,cおよびAの値
を式(I)中に代入れすれば、この物質の吸光係
数が求められるのである。なお、物質の吸光係数
の測定方法は、アメリカ合衆国ニユーヨーク州ニ
ユーヨーク市のホールド・ラインハート・アン
ド・ウインストン社(Hold、Rinehart &
Winston,lnc.)から発行されたダグラス・エ
イ・スクーグおよびドナルド・エム・ウエスト
(Douglas A.Skoog & Donald M.West)著
「フアンダメンタルズ・オブ・アナリテイツク・
ケミストリ(Fundamentals of Analytic
Chemistry)」第2版(1969年)の644〜652頁に
も記載されている。 再び話を続ければ、所要の露光時間増加をなる
べく少なくするため、脱色反応の量子収量はでき
るだけ高くなければならない。また、ホトレジス
ト層は回転被覆技術によつて設置されるのが普通
であるから、コントラスト増強層も同様な方法に
よつて設置できれば好都合である。なお、光脱色
可能な物質を溶解する溶剤はホトレジスト層に適
合したものでなければならない。更にまた、回転
被覆によつて光学的性質の良好なコントラスト増
強層を形成することが可能でなければならない。
最後に、これらの光脱色可能な物質が働く波長範
囲は光学的投影装置が動作する波長範囲と同じで
なければならない。多くのウエーハ直接処理用装
置は405nmまたは436nmの波長で動作する。ここ
では、アメリカ合衆国カリホルニア州マウンテン
ビユー市所在のオプテイメトリクス社
(Optimetrix Co.)から入手し得るオプテイメト
リクス10:1DSW装置において使用するために
405nmの波長が選ばれた。これらの制約を考慮し
ながら光脱色可能な物質の検索が行われた。特
に、300〜450nmの波長範囲内に吸収極大を有す
る点に着目して光脱色可能な物質が検索された。 また、コントラスト増強層中において使用する
のに適した光脱色可能な物質の評価に際して使用
するため、脱色過程のモデルが考案された。かか
るモデルのパラメータは次の第1表に示す通りで
ある。 第 1 表 量 説 明 εA 非脱色分子の吸光係数 εB 脱色分子の吸光係数 Φ 脱色反応の量子収量 N0 非脱色分子の初期密度 F0 コントラスト増強層に入射する光子の
束密度 t0 コントラスト増強層の厚さ nf 脱色された層の屈折率 ns コントラスト増強層を設置したガラス
基板の屈折率 上記の分析結果および脱色過程のモデルに基づ
き、物質のパラメータに関する3つの基準が設定
されたが、それらは次の第2表に示す通りであ
る。 第 2 表 量 値 (1) ε/分子量 〓100/g・cm (2) Φ 〓0.2 (3) 非脱色時のε/脱色時のε 〓30 ε/脱色時のε 第1の基準は光学濃度の高いフイルムの要求に
基づくもので、本質的にはコントラスト増強層中
における吸収中心の充填密度に関係している。第
2の基準は、非脱色状態から脱色状態へのできる
だけ急速な転移の要求に基づくものである。な
お、所定の量子収量が適格か否かはある程度まで
第1の基準に関係する。なぜなら、第1の基準の
改善によつて第2の基準の不足を補償することが
できるからである。第3の基準は、脱色後のコン
トラスト増強層の透明性の要求に基づくものであ
る。これらの基準の使用により、先ず、光脱色可
能な物質の検索を行つた。 適当な光脱色性化合物の選択に当つては、脱色
過程のモデルにおける評価を行うと共に、層状の
化合物を試験することによつて光の強度を一定に
保つた場合の相対透過率を時間または光量の関数
として求めた。相異なる脱色機構に基づいて脱色
特性を示す各種の光脱色性化合物を評価したとこ
ろ、光異性化による光脱色性化合物が特に適当で
あると判明した。それらの化合物のうち、式 で表わされるアリールニトロン類が特に好適であ
ると判明した。式(I)中、Zは式(R3)a―
Q―R4―またはR5―で表わされる1価の基、
Z′は式―R6(X)bで表わされる1価の基、そして
R,R1およびR3は水素原子、C(1〜8)アル
キル基、C(1〜8)置換アルキル基、C(6〜
13)アリール炭化水素基およびC(6〜13)置換
アリール炭化水素基から成る群より選ばれた1価
の基である。QはF,C,Br,I,O,Sおよ
びNから成る群より選ばれた1価、2価または3
価の原子であり、そしてaはO,1または2の値
を有する。R4はC(6〜13)アリール炭化水素
基またはC(6〜13)置換アリール炭化水素基で
ある。R5はO,NおよびSの中から選ばれた1
個以上の原子を含む置換または非置換のC(6〜
20)芳香族複素環式化合物から成る群より選ぶこ
とができる。R6はC(6〜20)芳香族炭化水素
基であり、またXはハロゲン原子、シアノ基、ア
ルキルカルボニル基、、C(1〜8)アルキル
基、C(1〜8)置換アルキル基、C(6〜13)
アリール炭化水素基、C(6〜13)置換アリール
炭化水素基およびアルコキシカルボニル基から成
る群より選ばれるものでbが0、1、2または3
の値を取るのに応じてこれらの基は任意の組合せ
で使用することができる。nは0、1、2、3ま
たは4の値を有する。上記の化合物は、ホウベン
―ヴアイル(Houben―Weyl)編「メト―デン・
デル・オルガ―ニツシエン・ヘミー(Methoden
der Organischen Chemie)」第10巻第4部
(1968年)の315〜416頁または「ケミカル・レビ
ユーズ(Chemical Reviews)」第1(64)巻中
のジヤン・ヘイマーおよびアンソニー・マカルソ
(Jan Hamer & Anthony Macaluso)著「ニ
トロンズ(Nitrones)」の476〜483頁に記載のご
とき方法に従つて調整することができる。 写真食刻操作において使用される光学装置の特
定の要求条件に適合するよう、様々な置換基を持
つた各種のアリール環系を組立てることができ
る。かかるアリールニトロン類は2〜5×104l/
mol・cmの吸光係数を有し、かつ0.1〜0.5の範囲
内の量子収量をもつて脱色される。 405nmでの投影が可能なウエーハ直接処理用装
置の場合には、一般式 (式中、nは0または1の値を有する)で表わ
されるニトロン類が特に有用であることが判明し
た。この種のp―ジアルキルアミノアリールニト
ロン類の中には、たとえば式 で表わされるような複素環式化合物も含まれる。 式(I)のアリールニトロン類を含有する光脱
色可能な物質層を形成するための回転注型可能な
混合物の調整に役立つ適当な結合剤としては、酢
酸ビニル重合体(単重合体および共重合体)やそ
れの部分鹸化物(たとえばポリ酢酸ビニル)、ス
チレンまたはそれの誘導体の共重合体、アクリル
酸またはメタクリル酸エステルの単重合体や共重
合体、アセタール樹脂、アクリロニトリル・ブタ
ジエン共重合体、エチルセルロースやその他の炭
化水素可溶性セルロースエーテル類、プロピオン
酸セルロースやその他の炭化水素可溶性セルロー
スエステル類、ポリクロロプレン、ポリエチレン
オキシドおよびポリビニルピロリドンが挙げられ
る。 式(I)のアリールニトロン類を含有する光脱
色可能な物質層を形成するための回転注型可能な
混合物の調整に役立つ適当な溶剤としては、芳香
族炭化水素(たとえばトルエン、キシレン、エチ
ルベンゼン、クロロベンゼンなど)またはそれと
脂肪族炭化水素(たとえばシクロヘキサンなど)
との混合物、ハロゲン化脂肪族化合物(たとえば
トリクロロエチレン、メチルクロロホルムな
ど)、アルコール類(たとえばプロパノール、ブ
タノールなど)が挙げられる。 式()中においてR3がCH3CH2−でありかつ
nがOであるようなジアリールニトロンは特に好
適であることが判明した。α―(4―ジエチルア
ミノフエニル)―N―フエニルニトロンと呼ばれ
るこのニトロンは、405nmの波長の光を強く吸収
し、しかも同じ波長において高い効率で脱色され
る。かかる脱色は、この化合物が単分子環化を受
けてオキサジリジンになる結果として起こるもの
である。このニトロンは比較的小さい極性を示す
溶剤(たとえばトルエン、エチルベンゼンなど)
に極めて溶解し易く、そしてポリスチレン、ポリ
(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ―α―
メチルスチレン、ポリ(メチルメタクリレー
ト)、ポリビニルピロリドン、ビニルピリジン・
スチレン共重合体およびアリルアルコール・スチ
レン共重合体のごとき各種の重合体と共に高添加
量の下で良好なフイルムを形成する。α―(4―
ジエチルアミノフエニル)―N―フエニルニトロ
ンは405nmにおいて130l/g・cmの吸光係数/分
子量比を有している。この化合物からコントラス
ト増強層を形成するため、先ず、5(重量)%の
割合でα―(4−ジエチルアミノフエニル)―N
―フエニルニトロンおよび5(重量)%の割合で
スチレン・アリルアルコール共重合体結合剤をト
ルエンに溶解した。こうして得られた溶液を用い
てガラス基板が250nmの厚さに回転被覆された。
かかる試料の相対透過率を405nmで試験したとこ
ろ、第3図に示されるような相対透過率―時間特
性を有することが判明した。 脱色過程のモデルを使用することにより、第3
図のコントラスト増強層に関するコントラストの
改善度が露光時間の関数として計算された。その
ためには、所定パターン中の2つの代表点におけ
る脱色の度合を計算すればよい。この例では、線
および間隙から成る格子パターンの最大値および
最小値に相当する2つの入射強度が選ばれた。こ
れら2つの強度レベルに対応するコントラストC
は、次のようなコントラストの定義式から算出す
ることができる。 C=Imax−Imin/Imax+Imin……(3
) 脱色過程のモデルの使用により、最大レベルお
よび最小レベルにおける透過強度が入射光量の関
数として求められる。これらの量から、瞬時コン
トラストおよび積分コントラストを入射光量の関
数として計算することができる。第4図は、上記
のごとき試料に30%コントラストのパターンを入
射させた場合に関する測定結果および計算結果を
表わす1組のグラフを示すものである。グラフ2
1は、相対最大レベルにおける相対透過率をジユ
ール単位の入射光量の関数として示している。グ
ラフ22は、相対最小レベルにおける相対透過率
を入射光量の関数として示している。グラフ23
は、式(3)を用いてグラフ21および22から求め
られた瞬時コントラストを入射光量の関数として
示している。グラフ24は、ImaxおよびIminの
瞬時値の代りに積分値を用いて式(3)から求められ
た積分コントラストを示している。脱色は動的過
程であるから、透過光に由来するコントラストも
また光量の関数となる。次の第5図には、対応す
るデータを透過光量の関数としてプロツトした一
層有用なグラフが示されている。これらのグラフ
を用いれば、コントラスト増強の程度をコントラ
スト増強層と共に使用すべきホトレジスト層の感
度の関数として評価することが可能となる。グラ
フ26は、相対最大レベルにおける相対透過率を
透過光量の関数として示している。グラフ27
は、相対最小レベルにおける相対透過率を透過光
量の関数として示している。グラフ28は、式(3)
を用いてグラフ26および27から求められた瞬
時コントラストを透過光量の関数として示してい
る。グラフ29は、ImaxおよびIminの積分値を
用いて式(3)から求められた積分コントラストを透
過光量の関数として示している。 次に、かかるコントラスト増強層を利用するた
めの方法を説明し、それからその方法によつて得
られた結果をコントラスト増強層の使用なしに同
じ条件下で得られた結果と比較する。以下の説明
は、適当な基板上にホトレジストのパターンを形
成する方法の諸工程を図解する第6A〜6E図に
関連して行う。第6A図は、基板31上に適当な
ホトレジストの層32を設置したところを示して
いる。適当なホトレジストとしては、たとえば、
アメリカ合衆国マサチユーセツツ州ニユートン市
所在のシプレー・カンパニー(Shipley
Company)から入手可能なシプレー1400シリー
ズのポジ型ホトレジストが挙げられる。かかるポ
ジ型ホトレジストは、ノボラツク樹脂またはポリ
(ビニルフエノール)、ジアゾナフトキノンエステ
ルおよび溶剤(たとえばセロソルブアセテートや
キシレン)から成つている。液状のホトレジスト
を基板の表面上に配置してから回転することによ
り、所望厚さの層が形成される。このホトレジス
ト層を加熱して溶剤を除去した後、ホトレジスト
層の表面上にコントラスト増強層33が設置され
る。コントラスト増強層33は、トルエン溶剤中
に5(重量)%のスチレン・アリルアルコール共
重合体結合剤および5(重量)%のα―(4―ジ
エチルアミノフエニル)―N―フエニルニトロン
を溶解した溶液から成つている。この溶液をホト
レジスト層32の表面上に配置してから回転し、
次いで加熱して溶剤を除去することにより、第6
B図に示されるような所望厚さの層33が形成さ
れる。こうして得られた構造物が、第6C図に示
されるごとく、照射を表わす矢印37の下方の照
射領域35および非照射領域36から成る光のパ
ターンに暴露される。かかる操作は、ホトレジス
ト層が感受性を示しかつホトレジスト層が完全に
感光するような光量範囲内において、コントラス
トの増強された像を生み出すのに十分な時間にわ
たつて行われる。その後、第6D図に示されるご
とく、ホトレジスト層には影響を及ぼすことなし
にコントラスト増強層を除去する適当な剥離溶剤
(たとえばトリクロロエチレン)を用いてコント
ラスト増強層33が除去される。次いでホトレジ
スト層の感光部分を除去すれば、第6E図に示さ
れるごとく、非感光部分または不完全感光部分3
8,39および40が残ることになる。 本発明に従いコントラスト増強層とホトレジス
ト層との複合物に関して得られるコントラスト閾
値向上を実証するため、α―(4―ジエチルアミ
ノフエニル)―N―フエニルニトロンとスチレ
ン・アリルアルコール共重合体とから成る上記の
光脱色可能な物質をシプレー1400シリーズのポジ
型ホトレジストと共に用いて各種のパターンが形
成された。すなわち、第1のシリコンウエーハを
厚さ1.6ミクロンのホトレジストのみで被覆した
一方、第2のシリコンウエーハを厚さ1.6ミクロ
ンのホトレジスト層および厚さ0.25ミクロンの光
脱色可能な物質層で被覆した。次いで、幅2ミク
ロンの不透明線、幅2ミクロンの透明間隙、幅
0.8ミクロンの不透明線および幅0.8ミクロンの透
明間隙から成る被写体をオプチメトリクス10:1
投影装置により405nmの波長の光で投影した。一
定範囲の光量を用いることにより、ホトレジスト
層のみを有するウエーハのホトレジスト層中に複
数のパターンが投影され、またホトレジスト層お
よびコントラスト増強層を有するウエーハのホト
レジスト層中にも複数のパターンが投影された。
各々のウエーハのホトレジスト層を現像したとこ
ろ、ホトレジスト層中に形成された線および間隙
から成る複数のパターンが得られた。ホトレジス
ト層と基板との界面において0.8ミクロンの間隙
を生じる最小光量の使用によりホトレジスト層の
みを有するウエーハにおいて得られたパターン
が、ホトレジスト層と基板との界面において0.8
ミクロンの間隙を生じる最小光量の使用によりホ
トレジスト層およびコントラスト増強層を有する
ウエーハにおいて得られたパターンと比較され
た。ホトレジスト層のみを有するウエーハ並びに
ホトレジスト層およびコントラスト増強層を有す
るウエーハのいずれに関しても、幅2.0ミクロン
の線および幅2.0ミクロンの間隙はほぼ適正であ
つた。ホトレジスト層のみを有するウエーハにお
いては、ホトレジスト層中に幅0.8ミクロンの間
隙を生じる光量を用いた場合に幅0.8ミクロンの
線は概して過度に露光された。しかるに、ホトレ
ジスト層およびコントラスト増強層を有するウエ
ーハにおいては、ホトレジスト層中に幅0.8ミク
ロンの間隙を生じる光量を用いた場合に幅0.8ミ
クロンの線は適度に露光され、そしてホトレジス
ト層中に幅0.8ミクロンの線を生じた。更にま
た、コントラストの増強を受けたパターンの側壁
はほぼ垂直であつた。なお、コントラスト増強層
を伴わないホトレジスト層中に得られたパターン
の品質が劣るのは、オプトメトリクス投影装置か
ら得られる空中像中の空間周波数が高く、そのた
めに空中像のコントラストが低いからである。 上記には特定のポジ型ホトレジストに関連して
本発明が記載されたが、その他のポジ型ホトレジ
ストおよびネガ型ホトレジストも使用可能であ
る。また、上記の実施例においては特定の厚さの
ホトレジスト層および特定の厚さのコントラスト
増強層が使用されたが、その他の厚さのホトレジ
スト層およびコントラスト増強層も使用可能であ
ることは言うまでもない。なお、ホトレジスト層
は約3ミクロン以下の厚さを有することが好まし
く、またコントラスト増強層は約1ミクロン以下
の厚さを有することが好ましい。 上記のコントラスト増強層の組成中には光脱色
性化合物および結合剤が等しい重量比率で使用さ
れたが、所望ならばその他の比率で使用すること
も可能である。 上記においてはホトレジストがコントラスト閾
値と呼ばれる特性を有すると述べたが、この特性
はホトレジストそれ自体ばかりでなくホトレジス
トの使用条件(たとえば使用する基板の種類やそ
れの反射性)にも依存することに留意すべきであ
る。 光脱色性化合物に関しては非脱色状態における
吸光係数/分子量比が約100より大きくかつ非脱
色状態における吸光係数と脱色状態における吸光
係数との比が約30より大きいことが好ましいと述
べたが、これらの比の値が約10であつても満足す
べき結果が得られるはずである。 上記においては単分子環化に基づく特定の種類
の光脱色性化合物(すなわちアリールニトロン
類)が使用されたが、単分子環化およびその他の
脱色機構(たとえば光解裂)に基づく別種の光脱
色性化合物も本発明に従つて使用可能であること
は言うまでもない。 次の第3表に示される上記のごときα―(4―
ジエチルアミノフエニル)―N―フエニルニトロ
ンを調製するため、18.5g(0.1モル)のp―ジ
エチルアミノベンズアルデヒドと11.4g(0.1モ
ル)の新鮮なフエニルヒドロキシルアミンとの縮
合を40mlの無水エタノール中において室温で18時
間にわたり実施した。溶媒を蒸発させて得られた
赤色の油状物をトルエン/石油エーテルから2回
再結晶したところ、103〜105℃の融点を有する
13.0g(0.05モル)の上記ニトロンが得られた。
分析用試料を更に再結晶したところ、融点は110
〜112℃にまで上昇した。 第3表中にはまた、300〜450nmの波長範囲内
に吸収極大を有するその他のニトロン類も示され
ている。第3表中では、λmax(nm)はナノメ
ートル単位の吸収極大の位置を表わし、εmaxは
極大吸収の波長における吸光係数を表わし、また
mpは摂氏度単位の融点を表わす。 これらのニトロン類も、上記のニトロンの場合
と同じく、適当なアルデヒドとフエニルヒドロキ
シルアミンとを極性溶剤中において縮合させるこ
とによつて調製された。
程用のマスクのごとき被写体の像のコントラスト
を増強させる方法およびそのための材料に関する
ものである。 集積回路の製造における写真食刻工程は、主と
して光学的手段によつて実施される。回路寸法を
縮小し、性能を改善しかつ歩留りを向上させよう
とする流れの中で、各世代の回路技術に関連して
要求される解像度は光学装置によつて達成されて
きた。最近、投影式写真食刻装置の解像度は開口
数や波長に関する実際上の制約がもたらす物理的
限界に近付き始めている。写真食刻技術は更に進
歩するものと予想されるにせよ、固有のレンズ解
像度の劇的な向上は望めない。光学技術によつて
達成し得る最小の細部寸法を更に小さくするため
には、写真食刻工程の何か別の因子を変化させて
一層の改善を図ることが必要である。一層の改善
が可能な領域の1つとしてホトレジスト操作があ
る。各ホトレジストは、以後の加工のために使用
し得るパターンを生み出すためにある度合の入射
コントラストが必要であるという特徴を有する。
このような最小の所要照明コントラストはホトレ
ジストのコントラスト閾値と呼ばれる。基板の性
質、所要のパターン厚さおよびホトレジストの縁
端形状にもよるが、従来使用されてきたポジ型の
ホトレジストは85〜90%のコントラスト閾値を有
している。現在、ほとんどの生産は90%以上のコ
ントラストの下で行われている。ところで、像の
コントラストは像中の空間周波数の増大に伴つて
低下することから見て、ホトレジストのコントラ
スト閾値が低下すれば一定の光学装置を用いて達
成し得る解像度は向上することになる。 さて本発明は、ホトレジスト操作において使用
される空中像のコントラストがホトレジストへの
入射に先立つて増強されるようなホトレジスト操
作に関するものである。 本発明の目的の1つは、ホトレジスト中に使用
可能な像を生み出すために必要な最小コントラス
トを低下させることにある。 また、新規な光脱色可能な化合物および物質を
提供することも本発明の目的の1つである。 ある実施の態様に従つて本発明を述べれば、第
1の厚さおよび所定のコントラスト閾値を有する
ホトレジスト層が用意される。また、不透明およ
び透明領域を有する被写体またはマスクが用意さ
れる。かかる被写体を通して所定波長の光を投射
することにより、ホトレジストの所定のコントラ
スト閾値より小さいコントラストを持つた被写体
の像がホトレジスト層上に形成される。被写体と
ホトレジスト層との間には、光脱色性化合物を含
有する光脱色可能な物質層がホトレジスト層の表
面に隣接して配置される。かかる光脱色性化合物
は上記波長の光に対し感受性を有していて、非脱
色状態におけるそれの吸光係数/分子量比はl/
g・cm単位で10より大きい。また、非脱色状態に
おける吸光係数と脱色状態における吸光係数との
比も10より大きい。被写体を通して上記波長およ
び所定強度の光を光脱色可能な物質層上に一定時
間だけ投射すれば、入射した上記波長の光の量に
正比例した光脱色可能な物質層の光学濃度の低下
が生じる。その結果、光脱色可能な物質層によつ
て透過される像の積分コントラストはそれによつ
て透過される光量と共に増加し、最大値に達し、
それから減少する。光脱色可能な物質層のパラメ
ータは、積分コントラストの最大値がホトレジス
ト層の所定のコントラスト閾値より大きくなるよ
うに設定される。また、ホトレジスト層の感度お
よび厚さは、光脱色可能な物質層によつて透過さ
れる所定範囲内の光量がホトレジスト層を完全に
感光させかつ透過像中のホトレジスト層の所定の
コントラスト閾値より大きい積分コントラストが
得られるように設定される。被写体を通して上記
波長の光を投射する時間は、交脱色可能な物質層
を通して上記所定範囲内の光量が透過されるのに
十分なものとする。光脱色可能な物質層を除去し
た後、ホトレジスト層を現像すれば、被写体の低
コントラスト像に比べてコントラストの増強され
たパターンがホトレジスト層中に生み出される。 本発明はまた、300〜450nmの範囲内に吸収極
大を持つた光脱色可能層を形成し得る回転注型可
能な混合物にも関する。かかる混合物は(A)100重
量部の有機溶剤、(B)1〜30重量部好ましくは5〜
15重量部の不活性有機重合体結合剤、および(C)1
〜30重量部好ましくは5〜15重量部のアリールニ
トロンから成るものである。 本発明に固有なものと信じられる新規な特徴
は、前記特許請求の範囲中に詳細に述べられてい
る。とは言え、本発明の構成や実施方法並びにそ
の他の目的や利点は、添付の図面を参照しながら
以下の説明を読むことによつて最も良く理解でき
よう。 現在のところ、写真食刻操作の大部分はマスク
の空中像を用いてホトレジストを感光させる投影
技術によつて実施されている。低コントラストの
空中像の場合、マスクの暗い領域に対応する像部
分でもかなりの強度を有する。コントラストが低
下するのに伴い、暗い領域と明るい領域との識別
は益々困難になる。本発明に従えば、ホトレジス
トに入射する像のコントラストを増強し、それに
よつてかかる識別を容易にする方法が提供され
る。このようなコントラスト増強は、最初は相対
的に不透明であるが一定の光量の照射後には相対
的に透明となる光脱色可能な物質の使用に基づく
ものである。理想化された脱色可能層の光透過率
を第1図に示す。かかる層にマスクの空中像が入
射した場合、脱色可能層のうちで最高の強度に暴
露された部分が先ず完全に脱色される一方、最低
の強度に暴露された部分はそれよりも遅れて脱色
される。 このような脱色過程の推移を第2A〜2F図に
示す。第2A図は、0%の透過率11を与える不透
明領域および100%の透過率12を与える開放また
は透明領域から成るマスクのごとき被写体の相対
透過率を示している。I0は入射光の強度、Iは透
過光の強度、そしてEbは層の脱色を引起こすた
めに必要な光量である。第2B図は、たとえばホ
トレジスト層の感光用として役立つ空中像を生み
出すための光学的投影装置内にマスクを配置した
場合に得られる空中像の相対強度を位置の関数と
してプロツトしたグラフ13を示している。な
お、使用する光の波長およびマスクの各領域の寸
法は図示のごときコントラストを与えるようなも
のであると仮定する。Imaxは像の最大強度、そ
してIminは像の最小強度である。第2C図は理
想化された光脱色可能な物質層15の断面を示し
ている。第2D図は、第1の時点における層15
の脱色状態を点線16によつて表わしたものであ
る。第2E図は、それより後の時点における層1
5の脱色状態を点線17によつて表わしたもので
ある。第2F図は、感光が終了して脱色が停止し
た時における層15の脱色状態を点線18および
19によつて表わしたものである。第2F図に該
当する時点において感光が停止された場合、層1
5の透過率は元のマスクの透過率に相当する。こ
のような物質で通常のホトレジスト層を被覆すれ
ば、得られる複合物はホトレジスト層のみのコン
トラスト閾値よりも低いコントラスト閾値を有し
得るのである。これが可能となるのは、ホトレジ
ストの感度が十分に高くて脱色時間に比べ短かい
時間で感光される場合である。かかる光脱色可能
な物質層は、本質的に見れば、ホトレジスト層上
において直接に形成されたマスクを成すものであ
る。このような直接形成マスクの真の効果は、ホ
トレジスト層への入射時におけるコントラストを
空中像のコントラストよりも増大させることにあ
る。 サブミクロンの写真食刻操作に対してコントラ
スト増強技術を適用するに際しては、コントラス
ト増強層それ自体に関して幾つかの物理的および
化学的制約が存在する。すなわち、コントラスト
増強層は薄いと同時に光学濃度が高くなければな
らない。厚さに制約があるのは、高解像度の光学
装置の焦点深度が小さいためである。このため、
厚さは約1ミクロン以下の範囲に制限される。コ
ントラスト増強層は光学濃度が高くなければなら
ないから、層の光化学成分は強い吸光性を有する
ことが必要である。脱色後における光透過率は光
化学生成物の吸光性によつて決定されるから、光
化学生成物は親分子よりも遥かに小さい吸光係数
を有していなければならない。 ところで、吸光係数は次式によつて定義され
る。 ε=A/bc ……(1) 式中、Aは吸光度bは光路長(cm)、そしてc
は濃度(mol/l)である。また、吸光度は次式
によつて定義される。 A=log10I0/I ……(2) 式中、I0は入射光の強度、そしてIは透過光の
強度である。物質の吸光係数εは、式(1)中のパラ
メータA,bおよびcを決定することによつて求
められる。パラメータAは式(2)から求められる。
先ず、既知重量の物質を既知容積の溶剤に溶解す
ることによつて溶液中の物質の濃度cを求める。
この溶液を既知寸法のセルに注入してから分光光
度計の光路内に配置し、そして既知強度I0の光を
セルに入射させる。次いで、セルからの透過光の
強度を測定する。同様に、溶剤のみを同じ既知寸
法の別のセルに注入してから分光光度計の光路内
に配置し、そして既知強度I0の光をセルに入射さ
せる。次いで、セルからの透過光の強度を測定す
る。溶剤のみの強度測定結果は、セルおよび溶剤
による吸収に関して透過強度Iを補正するために
使用される。こうして得られた入射強度I0および
透過強度Iの値を式(2)中に代入れすれば吸光度A
が求められる。光路長bはセルの既知寸法から求
められる。こうして得られたb,cおよびAの値
を式(I)中に代入れすれば、この物質の吸光係
数が求められるのである。なお、物質の吸光係数
の測定方法は、アメリカ合衆国ニユーヨーク州ニ
ユーヨーク市のホールド・ラインハート・アン
ド・ウインストン社(Hold、Rinehart &
Winston,lnc.)から発行されたダグラス・エ
イ・スクーグおよびドナルド・エム・ウエスト
(Douglas A.Skoog & Donald M.West)著
「フアンダメンタルズ・オブ・アナリテイツク・
ケミストリ(Fundamentals of Analytic
Chemistry)」第2版(1969年)の644〜652頁に
も記載されている。 再び話を続ければ、所要の露光時間増加をなる
べく少なくするため、脱色反応の量子収量はでき
るだけ高くなければならない。また、ホトレジス
ト層は回転被覆技術によつて設置されるのが普通
であるから、コントラスト増強層も同様な方法に
よつて設置できれば好都合である。なお、光脱色
可能な物質を溶解する溶剤はホトレジスト層に適
合したものでなければならない。更にまた、回転
被覆によつて光学的性質の良好なコントラスト増
強層を形成することが可能でなければならない。
最後に、これらの光脱色可能な物質が働く波長範
囲は光学的投影装置が動作する波長範囲と同じで
なければならない。多くのウエーハ直接処理用装
置は405nmまたは436nmの波長で動作する。ここ
では、アメリカ合衆国カリホルニア州マウンテン
ビユー市所在のオプテイメトリクス社
(Optimetrix Co.)から入手し得るオプテイメト
リクス10:1DSW装置において使用するために
405nmの波長が選ばれた。これらの制約を考慮し
ながら光脱色可能な物質の検索が行われた。特
に、300〜450nmの波長範囲内に吸収極大を有す
る点に着目して光脱色可能な物質が検索された。 また、コントラスト増強層中において使用する
のに適した光脱色可能な物質の評価に際して使用
するため、脱色過程のモデルが考案された。かか
るモデルのパラメータは次の第1表に示す通りで
ある。 第 1 表 量 説 明 εA 非脱色分子の吸光係数 εB 脱色分子の吸光係数 Φ 脱色反応の量子収量 N0 非脱色分子の初期密度 F0 コントラスト増強層に入射する光子の
束密度 t0 コントラスト増強層の厚さ nf 脱色された層の屈折率 ns コントラスト増強層を設置したガラス
基板の屈折率 上記の分析結果および脱色過程のモデルに基づ
き、物質のパラメータに関する3つの基準が設定
されたが、それらは次の第2表に示す通りであ
る。 第 2 表 量 値 (1) ε/分子量 〓100/g・cm (2) Φ 〓0.2 (3) 非脱色時のε/脱色時のε 〓30 ε/脱色時のε 第1の基準は光学濃度の高いフイルムの要求に
基づくもので、本質的にはコントラスト増強層中
における吸収中心の充填密度に関係している。第
2の基準は、非脱色状態から脱色状態へのできる
だけ急速な転移の要求に基づくものである。な
お、所定の量子収量が適格か否かはある程度まで
第1の基準に関係する。なぜなら、第1の基準の
改善によつて第2の基準の不足を補償することが
できるからである。第3の基準は、脱色後のコン
トラスト増強層の透明性の要求に基づくものであ
る。これらの基準の使用により、先ず、光脱色可
能な物質の検索を行つた。 適当な光脱色性化合物の選択に当つては、脱色
過程のモデルにおける評価を行うと共に、層状の
化合物を試験することによつて光の強度を一定に
保つた場合の相対透過率を時間または光量の関数
として求めた。相異なる脱色機構に基づいて脱色
特性を示す各種の光脱色性化合物を評価したとこ
ろ、光異性化による光脱色性化合物が特に適当で
あると判明した。それらの化合物のうち、式 で表わされるアリールニトロン類が特に好適であ
ると判明した。式(I)中、Zは式(R3)a―
Q―R4―またはR5―で表わされる1価の基、
Z′は式―R6(X)bで表わされる1価の基、そして
R,R1およびR3は水素原子、C(1〜8)アル
キル基、C(1〜8)置換アルキル基、C(6〜
13)アリール炭化水素基およびC(6〜13)置換
アリール炭化水素基から成る群より選ばれた1価
の基である。QはF,C,Br,I,O,Sおよ
びNから成る群より選ばれた1価、2価または3
価の原子であり、そしてaはO,1または2の値
を有する。R4はC(6〜13)アリール炭化水素
基またはC(6〜13)置換アリール炭化水素基で
ある。R5はO,NおよびSの中から選ばれた1
個以上の原子を含む置換または非置換のC(6〜
20)芳香族複素環式化合物から成る群より選ぶこ
とができる。R6はC(6〜20)芳香族炭化水素
基であり、またXはハロゲン原子、シアノ基、ア
ルキルカルボニル基、、C(1〜8)アルキル
基、C(1〜8)置換アルキル基、C(6〜13)
アリール炭化水素基、C(6〜13)置換アリール
炭化水素基およびアルコキシカルボニル基から成
る群より選ばれるものでbが0、1、2または3
の値を取るのに応じてこれらの基は任意の組合せ
で使用することができる。nは0、1、2、3ま
たは4の値を有する。上記の化合物は、ホウベン
―ヴアイル(Houben―Weyl)編「メト―デン・
デル・オルガ―ニツシエン・ヘミー(Methoden
der Organischen Chemie)」第10巻第4部
(1968年)の315〜416頁または「ケミカル・レビ
ユーズ(Chemical Reviews)」第1(64)巻中
のジヤン・ヘイマーおよびアンソニー・マカルソ
(Jan Hamer & Anthony Macaluso)著「ニ
トロンズ(Nitrones)」の476〜483頁に記載のご
とき方法に従つて調整することができる。 写真食刻操作において使用される光学装置の特
定の要求条件に適合するよう、様々な置換基を持
つた各種のアリール環系を組立てることができ
る。かかるアリールニトロン類は2〜5×104l/
mol・cmの吸光係数を有し、かつ0.1〜0.5の範囲
内の量子収量をもつて脱色される。 405nmでの投影が可能なウエーハ直接処理用装
置の場合には、一般式 (式中、nは0または1の値を有する)で表わ
されるニトロン類が特に有用であることが判明し
た。この種のp―ジアルキルアミノアリールニト
ロン類の中には、たとえば式 で表わされるような複素環式化合物も含まれる。 式(I)のアリールニトロン類を含有する光脱
色可能な物質層を形成するための回転注型可能な
混合物の調整に役立つ適当な結合剤としては、酢
酸ビニル重合体(単重合体および共重合体)やそ
れの部分鹸化物(たとえばポリ酢酸ビニル)、ス
チレンまたはそれの誘導体の共重合体、アクリル
酸またはメタクリル酸エステルの単重合体や共重
合体、アセタール樹脂、アクリロニトリル・ブタ
ジエン共重合体、エチルセルロースやその他の炭
化水素可溶性セルロースエーテル類、プロピオン
酸セルロースやその他の炭化水素可溶性セルロー
スエステル類、ポリクロロプレン、ポリエチレン
オキシドおよびポリビニルピロリドンが挙げられ
る。 式(I)のアリールニトロン類を含有する光脱
色可能な物質層を形成するための回転注型可能な
混合物の調整に役立つ適当な溶剤としては、芳香
族炭化水素(たとえばトルエン、キシレン、エチ
ルベンゼン、クロロベンゼンなど)またはそれと
脂肪族炭化水素(たとえばシクロヘキサンなど)
との混合物、ハロゲン化脂肪族化合物(たとえば
トリクロロエチレン、メチルクロロホルムな
ど)、アルコール類(たとえばプロパノール、ブ
タノールなど)が挙げられる。 式()中においてR3がCH3CH2−でありかつ
nがOであるようなジアリールニトロンは特に好
適であることが判明した。α―(4―ジエチルア
ミノフエニル)―N―フエニルニトロンと呼ばれ
るこのニトロンは、405nmの波長の光を強く吸収
し、しかも同じ波長において高い効率で脱色され
る。かかる脱色は、この化合物が単分子環化を受
けてオキサジリジンになる結果として起こるもの
である。このニトロンは比較的小さい極性を示す
溶剤(たとえばトルエン、エチルベンゼンなど)
に極めて溶解し易く、そしてポリスチレン、ポリ
(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ―α―
メチルスチレン、ポリ(メチルメタクリレー
ト)、ポリビニルピロリドン、ビニルピリジン・
スチレン共重合体およびアリルアルコール・スチ
レン共重合体のごとき各種の重合体と共に高添加
量の下で良好なフイルムを形成する。α―(4―
ジエチルアミノフエニル)―N―フエニルニトロ
ンは405nmにおいて130l/g・cmの吸光係数/分
子量比を有している。この化合物からコントラス
ト増強層を形成するため、先ず、5(重量)%の
割合でα―(4−ジエチルアミノフエニル)―N
―フエニルニトロンおよび5(重量)%の割合で
スチレン・アリルアルコール共重合体結合剤をト
ルエンに溶解した。こうして得られた溶液を用い
てガラス基板が250nmの厚さに回転被覆された。
かかる試料の相対透過率を405nmで試験したとこ
ろ、第3図に示されるような相対透過率―時間特
性を有することが判明した。 脱色過程のモデルを使用することにより、第3
図のコントラスト増強層に関するコントラストの
改善度が露光時間の関数として計算された。その
ためには、所定パターン中の2つの代表点におけ
る脱色の度合を計算すればよい。この例では、線
および間隙から成る格子パターンの最大値および
最小値に相当する2つの入射強度が選ばれた。こ
れら2つの強度レベルに対応するコントラストC
は、次のようなコントラストの定義式から算出す
ることができる。 C=Imax−Imin/Imax+Imin……(3
) 脱色過程のモデルの使用により、最大レベルお
よび最小レベルにおける透過強度が入射光量の関
数として求められる。これらの量から、瞬時コン
トラストおよび積分コントラストを入射光量の関
数として計算することができる。第4図は、上記
のごとき試料に30%コントラストのパターンを入
射させた場合に関する測定結果および計算結果を
表わす1組のグラフを示すものである。グラフ2
1は、相対最大レベルにおける相対透過率をジユ
ール単位の入射光量の関数として示している。グ
ラフ22は、相対最小レベルにおける相対透過率
を入射光量の関数として示している。グラフ23
は、式(3)を用いてグラフ21および22から求め
られた瞬時コントラストを入射光量の関数として
示している。グラフ24は、ImaxおよびIminの
瞬時値の代りに積分値を用いて式(3)から求められ
た積分コントラストを示している。脱色は動的過
程であるから、透過光に由来するコントラストも
また光量の関数となる。次の第5図には、対応す
るデータを透過光量の関数としてプロツトした一
層有用なグラフが示されている。これらのグラフ
を用いれば、コントラスト増強の程度をコントラ
スト増強層と共に使用すべきホトレジスト層の感
度の関数として評価することが可能となる。グラ
フ26は、相対最大レベルにおける相対透過率を
透過光量の関数として示している。グラフ27
は、相対最小レベルにおける相対透過率を透過光
量の関数として示している。グラフ28は、式(3)
を用いてグラフ26および27から求められた瞬
時コントラストを透過光量の関数として示してい
る。グラフ29は、ImaxおよびIminの積分値を
用いて式(3)から求められた積分コントラストを透
過光量の関数として示している。 次に、かかるコントラスト増強層を利用するた
めの方法を説明し、それからその方法によつて得
られた結果をコントラスト増強層の使用なしに同
じ条件下で得られた結果と比較する。以下の説明
は、適当な基板上にホトレジストのパターンを形
成する方法の諸工程を図解する第6A〜6E図に
関連して行う。第6A図は、基板31上に適当な
ホトレジストの層32を設置したところを示して
いる。適当なホトレジストとしては、たとえば、
アメリカ合衆国マサチユーセツツ州ニユートン市
所在のシプレー・カンパニー(Shipley
Company)から入手可能なシプレー1400シリー
ズのポジ型ホトレジストが挙げられる。かかるポ
ジ型ホトレジストは、ノボラツク樹脂またはポリ
(ビニルフエノール)、ジアゾナフトキノンエステ
ルおよび溶剤(たとえばセロソルブアセテートや
キシレン)から成つている。液状のホトレジスト
を基板の表面上に配置してから回転することによ
り、所望厚さの層が形成される。このホトレジス
ト層を加熱して溶剤を除去した後、ホトレジスト
層の表面上にコントラスト増強層33が設置され
る。コントラスト増強層33は、トルエン溶剤中
に5(重量)%のスチレン・アリルアルコール共
重合体結合剤および5(重量)%のα―(4―ジ
エチルアミノフエニル)―N―フエニルニトロン
を溶解した溶液から成つている。この溶液をホト
レジスト層32の表面上に配置してから回転し、
次いで加熱して溶剤を除去することにより、第6
B図に示されるような所望厚さの層33が形成さ
れる。こうして得られた構造物が、第6C図に示
されるごとく、照射を表わす矢印37の下方の照
射領域35および非照射領域36から成る光のパ
ターンに暴露される。かかる操作は、ホトレジス
ト層が感受性を示しかつホトレジスト層が完全に
感光するような光量範囲内において、コントラス
トの増強された像を生み出すのに十分な時間にわ
たつて行われる。その後、第6D図に示されるご
とく、ホトレジスト層には影響を及ぼすことなし
にコントラスト増強層を除去する適当な剥離溶剤
(たとえばトリクロロエチレン)を用いてコント
ラスト増強層33が除去される。次いでホトレジ
スト層の感光部分を除去すれば、第6E図に示さ
れるごとく、非感光部分または不完全感光部分3
8,39および40が残ることになる。 本発明に従いコントラスト増強層とホトレジス
ト層との複合物に関して得られるコントラスト閾
値向上を実証するため、α―(4―ジエチルアミ
ノフエニル)―N―フエニルニトロンとスチレ
ン・アリルアルコール共重合体とから成る上記の
光脱色可能な物質をシプレー1400シリーズのポジ
型ホトレジストと共に用いて各種のパターンが形
成された。すなわち、第1のシリコンウエーハを
厚さ1.6ミクロンのホトレジストのみで被覆した
一方、第2のシリコンウエーハを厚さ1.6ミクロ
ンのホトレジスト層および厚さ0.25ミクロンの光
脱色可能な物質層で被覆した。次いで、幅2ミク
ロンの不透明線、幅2ミクロンの透明間隙、幅
0.8ミクロンの不透明線および幅0.8ミクロンの透
明間隙から成る被写体をオプチメトリクス10:1
投影装置により405nmの波長の光で投影した。一
定範囲の光量を用いることにより、ホトレジスト
層のみを有するウエーハのホトレジスト層中に複
数のパターンが投影され、またホトレジスト層お
よびコントラスト増強層を有するウエーハのホト
レジスト層中にも複数のパターンが投影された。
各々のウエーハのホトレジスト層を現像したとこ
ろ、ホトレジスト層中に形成された線および間隙
から成る複数のパターンが得られた。ホトレジス
ト層と基板との界面において0.8ミクロンの間隙
を生じる最小光量の使用によりホトレジスト層の
みを有するウエーハにおいて得られたパターン
が、ホトレジスト層と基板との界面において0.8
ミクロンの間隙を生じる最小光量の使用によりホ
トレジスト層およびコントラスト増強層を有する
ウエーハにおいて得られたパターンと比較され
た。ホトレジスト層のみを有するウエーハ並びに
ホトレジスト層およびコントラスト増強層を有す
るウエーハのいずれに関しても、幅2.0ミクロン
の線および幅2.0ミクロンの間隙はほぼ適正であ
つた。ホトレジスト層のみを有するウエーハにお
いては、ホトレジスト層中に幅0.8ミクロンの間
隙を生じる光量を用いた場合に幅0.8ミクロンの
線は概して過度に露光された。しかるに、ホトレ
ジスト層およびコントラスト増強層を有するウエ
ーハにおいては、ホトレジスト層中に幅0.8ミク
ロンの間隙を生じる光量を用いた場合に幅0.8ミ
クロンの線は適度に露光され、そしてホトレジス
ト層中に幅0.8ミクロンの線を生じた。更にま
た、コントラストの増強を受けたパターンの側壁
はほぼ垂直であつた。なお、コントラスト増強層
を伴わないホトレジスト層中に得られたパターン
の品質が劣るのは、オプトメトリクス投影装置か
ら得られる空中像中の空間周波数が高く、そのた
めに空中像のコントラストが低いからである。 上記には特定のポジ型ホトレジストに関連して
本発明が記載されたが、その他のポジ型ホトレジ
ストおよびネガ型ホトレジストも使用可能であ
る。また、上記の実施例においては特定の厚さの
ホトレジスト層および特定の厚さのコントラスト
増強層が使用されたが、その他の厚さのホトレジ
スト層およびコントラスト増強層も使用可能であ
ることは言うまでもない。なお、ホトレジスト層
は約3ミクロン以下の厚さを有することが好まし
く、またコントラスト増強層は約1ミクロン以下
の厚さを有することが好ましい。 上記のコントラスト増強層の組成中には光脱色
性化合物および結合剤が等しい重量比率で使用さ
れたが、所望ならばその他の比率で使用すること
も可能である。 上記においてはホトレジストがコントラスト閾
値と呼ばれる特性を有すると述べたが、この特性
はホトレジストそれ自体ばかりでなくホトレジス
トの使用条件(たとえば使用する基板の種類やそ
れの反射性)にも依存することに留意すべきであ
る。 光脱色性化合物に関しては非脱色状態における
吸光係数/分子量比が約100より大きくかつ非脱
色状態における吸光係数と脱色状態における吸光
係数との比が約30より大きいことが好ましいと述
べたが、これらの比の値が約10であつても満足す
べき結果が得られるはずである。 上記においては単分子環化に基づく特定の種類
の光脱色性化合物(すなわちアリールニトロン
類)が使用されたが、単分子環化およびその他の
脱色機構(たとえば光解裂)に基づく別種の光脱
色性化合物も本発明に従つて使用可能であること
は言うまでもない。 次の第3表に示される上記のごときα―(4―
ジエチルアミノフエニル)―N―フエニルニトロ
ンを調製するため、18.5g(0.1モル)のp―ジ
エチルアミノベンズアルデヒドと11.4g(0.1モ
ル)の新鮮なフエニルヒドロキシルアミンとの縮
合を40mlの無水エタノール中において室温で18時
間にわたり実施した。溶媒を蒸発させて得られた
赤色の油状物をトルエン/石油エーテルから2回
再結晶したところ、103〜105℃の融点を有する
13.0g(0.05モル)の上記ニトロンが得られた。
分析用試料を更に再結晶したところ、融点は110
〜112℃にまで上昇した。 第3表中にはまた、300〜450nmの波長範囲内
に吸収極大を有するその他のニトロン類も示され
ている。第3表中では、λmax(nm)はナノメ
ートル単位の吸収極大の位置を表わし、εmaxは
極大吸収の波長における吸光係数を表わし、また
mpは摂氏度単位の融点を表わす。 これらのニトロン類も、上記のニトロンの場合
と同じく、適当なアルデヒドとフエニルヒドロキ
シルアミンとを極性溶剤中において縮合させるこ
とによつて調製された。
【表】
【表】
【表】
本発明の方法においては、光脱色可能な物質層
はホトレジスト層上において直接に形成されたマ
スクを成している。かかる複合構造物の形成は幾
つかの利点を有している。光脱色可能な物質層は
ホトレジスト層の表面形状に従うから、光脱色可
能な物質層およびホトレジスト層の表面の高い地
点間に空隙が形成されることが回避される。2つ
の層を別個の支持体上に形成してから接触させた
場合にはそのような空隙が生じるはずである。か
かる空隙はホトレジスト層中に形成される像の解
像度にとつて極めて有害であつて、特に形成すべ
き細部の寸法が数ミクロン程度である場合や投影
装置の焦点深度が数ミクロンである場合にはそれ
が著しい。また、光脱色可能な物質層をホトレジ
スト層に接触させてから引離した場合には、一方
の層の断片が他方の層に付着し、そのためにホト
レジスト層が損われる危険性がある。 本発明の実施例の説明に際してはコントラスト
増強層がホトレジスト層に接触して配置されると
述べたが、所望ならば、たとえばその場に形成さ
れた中性物質の薄い介在層によつてコントラスト
増強層をホトレジスト層から隔離することもでき
る。 以上、特定の実施例に関連して本発明を記載し
たが、たとえば上記のごとき変形や変更を加え得
ることは当業者にとつて自明であろう。それ故、
前記特許請求の範囲が本発明の精神および範囲か
ら逸脱しない限りはそのような変形実施例の全て
を包括するように意図されていることを理解すべ
きである。
はホトレジスト層上において直接に形成されたマ
スクを成している。かかる複合構造物の形成は幾
つかの利点を有している。光脱色可能な物質層は
ホトレジスト層の表面形状に従うから、光脱色可
能な物質層およびホトレジスト層の表面の高い地
点間に空隙が形成されることが回避される。2つ
の層を別個の支持体上に形成してから接触させた
場合にはそのような空隙が生じるはずである。か
かる空隙はホトレジスト層中に形成される像の解
像度にとつて極めて有害であつて、特に形成すべ
き細部の寸法が数ミクロン程度である場合や投影
装置の焦点深度が数ミクロンである場合にはそれ
が著しい。また、光脱色可能な物質層をホトレジ
スト層に接触させてから引離した場合には、一方
の層の断片が他方の層に付着し、そのためにホト
レジスト層が損われる危険性がある。 本発明の実施例の説明に際してはコントラスト
増強層がホトレジスト層に接触して配置されると
述べたが、所望ならば、たとえばその場に形成さ
れた中性物質の薄い介在層によつてコントラスト
増強層をホトレジスト層から隔離することもでき
る。 以上、特定の実施例に関連して本発明を記載し
たが、たとえば上記のごとき変形や変更を加え得
ることは当業者にとつて自明であろう。それ故、
前記特許請求の範囲が本発明の精神および範囲か
ら逸脱しない限りはそのような変形実施例の全て
を包括するように意図されていることを理解すべ
きである。
第1図は理想化された脱色可能層の相対透過率
をそれの入射面への入射光量の関数として示した
グラフ、第2A〜2F図は本発明において使用さ
れる脱色過程の推移を説明するのに役立つ略図、
第3図は特定の入射光量に暴露された特定のコン
トラスト増強層の相対透過率を時間の関数として
示したグラフ、第4図は30%コントラストの像に
関する最大レベルおよび最小レベルの透過率並び
にそれによつて得られる瞬時コントラストおよび
積分コントラストを入射光量の関数として示した
1組のグラフ、第5図は第4図のグラフに関する
相対透過率を透過光量の関数として表わした1組
のグラフ、そして第6A〜6E図は本発明の一実
施方法における相次ぐ諸工程を示す構造物の断面
図である。 図中、31は基板、32はホトレジスト層、3
3はコントラスト増強層、35は照射領域、36
は非照射領域、そして38,39および40はホ
トレジスト層の残留部分を表わす。
をそれの入射面への入射光量の関数として示した
グラフ、第2A〜2F図は本発明において使用さ
れる脱色過程の推移を説明するのに役立つ略図、
第3図は特定の入射光量に暴露された特定のコン
トラスト増強層の相対透過率を時間の関数として
示したグラフ、第4図は30%コントラストの像に
関する最大レベルおよび最小レベルの透過率並び
にそれによつて得られる瞬時コントラストおよび
積分コントラストを入射光量の関数として示した
1組のグラフ、第5図は第4図のグラフに関する
相対透過率を透過光量の関数として表わした1組
のグラフ、そして第6A〜6E図は本発明の一実
施方法における相次ぐ諸工程を示す構造物の断面
図である。 図中、31は基板、32はホトレジスト層、3
3はコントラスト増強層、35は照射領域、36
は非照射領域、そして38,39および40はホ
トレジスト層の残留部分を表わす。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 下記の工程を含む集積回路の製法: a 所定波長の光に対して所定レベルのコントラ
スト閾値を示すホトレジスト層を用意し、 b 前記光に対して感光性のある光脱色性層の被
覆を前記ホトレジスト層の上に形成して前記光
脱色性層と前記ホトレジスト層からなる複合構
造物を得て、前記光脱色性層中には非脱色状態
における吸光係数/分子量比が約10l/g・cm
より大きく、かつ非脱色状態における吸光係数
と脱色状態における吸光係数との比が約10より
大きい光脱色性化合物が含まれ、 c 前記所定波長の光を或るパターンのマスクを
通して投射することにより前記パターンの高い
空間周波数に基因して前記所定レベルのコント
ラスト閾値よりも低レベルのコントラストを示
す前記パターンの輻射線像に前記光脱色性層を
曝らし、これにより前記光脱色性層内に前記パ
ターンのマスクを再現しながら、前記低レベル
のコントラストよりも増強された前記輻射線像
のパターンが前記ホトレジスト層内に形成され
る間、前記光脱色性層内の前記マスクを通して
前記ホトレジスト層を露光して、前記パターン
を前記ホトレジスト層内に形成する。 2 前記光脱色性化合物の非脱色状態における吸
光係数/分子量比が約100より大きく、かつ前記
光脱色性化合物の非脱色状態における吸光係数と
脱色状態における吸光係数との比が約30より大き
い特許請求の範囲第1項記載の製法。 3 前記光脱色性化合物がアリールニトロン系化
合物中から選ばれた化合物である特許請求の範囲
第1項記載の製法。 4 前記アリールニトロン系化合物がα―(4―
ジエチルアミノフエニル)―N―フエニルニトロ
ンでありかつ前記所定波長が約405nmである特許
請求の範囲第3項記載の製法。 5 前記ホトレジスト層の厚さが約3ミクロン以
下でありかつ前記光脱色性層の厚さが約1ミクロ
ン以下である特許請求の範囲第1項記載の製法。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US43819482A | 1982-11-01 | 1982-11-01 | |
US438194 | 1982-11-01 | ||
US536923 | 1983-09-28 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS59104642A JPS59104642A (ja) | 1984-06-16 |
JPS6240697B2 true JPS6240697B2 (ja) | 1987-08-29 |
Family
ID=23739639
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP58203764A Granted JPS59104642A (ja) | 1982-11-01 | 1983-11-01 | 集積回路の製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS59104642A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TWI875260B (zh) | 2023-10-23 | 2025-03-01 | 奇美實業股份有限公司 | 水溶性組合物、其用途及半導體裝置的製造方法 |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5188924A (en) * | 1984-05-14 | 1993-02-23 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Pattern forming method utilizing material with photoresist film underlayer and contrast enhancement overlayer containing photosensitive diazonium salt |
US4663275A (en) * | 1984-09-04 | 1987-05-05 | General Electric Company | Photolithographic method and combination including barrier layer |
JPH07107602B2 (ja) * | 1985-04-30 | 1995-11-15 | 株式会社東芝 | パタ−ン形成材料 |
CA2011927C (en) * | 1989-06-02 | 1996-12-24 | Alan Lee Sidman | Microlithographic method for producing thick, vertically-walled photoresist patterns |
JP2663815B2 (ja) * | 1992-11-02 | 1997-10-15 | 信越化学工業株式会社 | レジストパターン形成方法 |
US5902716A (en) * | 1995-09-05 | 1999-05-11 | Nikon Corporation | Exposure method and apparatus |
Citations (5)
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---|---|---|---|---|
US3416922A (en) * | 1963-07-04 | 1968-12-17 | Azoplate Corp | Resinous printing plate compositions containing light-sensitive nitrones |
GB1186772A (en) * | 1966-07-01 | 1970-04-02 | American Cyanamid Co | Improved Technique of Photographic Dodging and Modified Photographic Film |
JPS4988466A (ja) * | 1972-11-30 | 1974-08-23 | ||
US3873313A (en) * | 1973-05-21 | 1975-03-25 | Ibm | Process for forming a resist mask |
US4005437A (en) * | 1975-04-18 | 1977-01-25 | Rca Corporation | Method of recording information in which the electron beam sensitive material contains 4,4'-bis(3-diazo-3-4-oxo-1-naphthalene sulfonyloxy)benzil |
-
1983
- 1983-11-01 JP JP58203764A patent/JPS59104642A/ja active Granted
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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TWI875260B (zh) | 2023-10-23 | 2025-03-01 | 奇美實業股份有限公司 | 水溶性組合物、其用途及半導體裝置的製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS59104642A (ja) | 1984-06-16 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |