JPS6157351B2 - - Google Patents
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- JPS6157351B2 JPS6157351B2 JP14608978A JP14608978A JPS6157351B2 JP S6157351 B2 JPS6157351 B2 JP S6157351B2 JP 14608978 A JP14608978 A JP 14608978A JP 14608978 A JP14608978 A JP 14608978A JP S6157351 B2 JPS6157351 B2 JP S6157351B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wax
- weight
- parts
- film
- coating
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired
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- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
Description
本発明は自動車、農業建設機械、その他の機械
器具類の塗装面もしくは金属面などを移送中、保
管中に保護する目的で塗布する、ワツクスを主体
とする水性乳液組成物に関し、さらに詳しくは、
目的とする保護期間が完了した時点で容易に除去
できるように比較的低融点で、親水性のワツクス
を主成分とし、これを用いる結果として生じる欠
陥、たとえば保護期間中の耐熱性、耐水性の不足
を補い、塗布膜の光沢、などの外観を向上させる
ために、炭素数24以上のオレフインと無水マレイ
ン酸とを共重合させることによつて生成するワツ
クス状物質を少量加え、さらに必要に応じて他の
成分を加えて水中に分散乳化させた組成物に関す
る。 自動車などの商品を最終消費者の手に届くまで
の期間中良好な状態に保護するために、一時的な
保護塗装をする必要性が近年次第に認識され、こ
れを目的とする塗装剤が種々開発されている。 この種の塗装剤に必要な性状と機能としては次
のような諸項目が考えられる。 (1) 使用組成物成分が保護すべき商品表面に対し
て不活性であること、 (2) 良好な保護膜を形成すること、 (3) 保護期間中、空気、雨、湿気、光、外力、塵
埃、熱、寒気などから、商品表面を保護し、保
護膜自体もこれらによる劣化を受けないこと、 (4) 保護期間が完了した時、容易に除去できるこ
と。 このような目的で開発された塗装剤としては、
これまでにワツクス油剤(ワツクスを溶剤中に分
散させたもの、例えば特公昭49−5212)、ストリ
ツパブルフイルム(塗布後連続被膜となり、不要
になつた時には剥ぎとることができるもの、例え
ば特公昭44−3098)、水性乳液(ワツクスを水に
乳化分散させたもの、例えば特公昭45−34030)
などがあり、中でも水性乳液型は溶剤を使わない
という点で、安全性、公害対策、経済上の利点が
多い。 しかしこの種の一時的表面保護剤は使用中は強
い保護膜である事と、不用になつた時除去しやす
い事という通常相反する性状を要求される上、水
性乳液型の場合は更に水になじみ易い成分を組み
合わせて乳液にしながら、これを塗装して形成さ
れる保護膜は雨水や湿気に侵されない事という、
これもまた相反する性状を要求されているため、
すべての面で満足できる処方が困難であり、現在
までに広範囲に実用可能な表面保護用水性乳液は
出現していない。 本発明者等は水性乳液型表面保護組成物を目的
としてワツクスを主成分とする水性乳液を種々検
討した結果、次のようなことが判明した。必要性
状として前記した四項目のうち、(1)〜(3)を満足す
る乳液を作ることは比較的容易だが、同時に(4)を
満足させることが困難である。即ち適当なワツク
スその他の成分を良好に乳化し、これを塗布して
強い保護膜を作るのは容易だが、こうして形成さ
れる保護膜のほとんどすべては一定期間経過後水
蒸気噴射など比較的簡単な手段で除去することが
できないのである。 かかる状況に鑑み本発明者等は、前記(1)〜(4)の
全ての条件を満たした塗装剤開発に当つて、まず
除去性が良好であることを第一条件として検討し
た結果、低融点ワツクスを主成分とし、比較的親
水性の高い乳化剤を用いることによつてこの条件
に適応できることの知見を得た。このために主成
分には後記のような特殊ワツクスを採用したが、
一般的にはパラフイン、蜜ろうなど低融点ワツク
スと適当な乳化剤との組み合わせを主成分にすれ
ば除去性のよい保護膜を作ることができる。しか
しこうして作られる被膜は硬さ、耐熱性、耐水性
が不十分になるので、この面を補うために、適当
なその他のワツクスを副成分として加える。加え
られるワツクスは主成分から成る被膜の欠陥を補
うと同時に、これを加えるために主成分の示す良
好な除去性を低下させないことが必要である。こ
のような条件に適合するワツクスとしてセレシ
ン、ヘキストワツクスOP、R−21、などがある
程度良好であることが判つたが、更に検討した結
果主としてC30以上のα−オレフインと無水マレ
イン酸とを共重合させて作られるワツクス状物質
(以後共重合ワツクスと記す)が特にこの目的を
満足させる副成分として好適であることを見出し
た。検討した共重合ワツクスの一例を挙げると触
点75℃、針入度4であつて、種々のワツクスに比
べて、特に高融点でもなければ、硬くもないが、
溶融粘度が高いため(約500cp、100℃)主成分の
低融点ワツクスから成る被膜の耐熱性(80℃での
垂れ流れの有無)を改良し、膜の硬さと耐水性を
増す上、形成される被膜はつやのよい滑かな半透
明になつて、これを添加しない場合の被膜、およ
びセレシン、ヘキストワツクスなどを添加した場
合にできる白い不透明被膜と外観上顕著な差が認
められる。共重合ワツクスはそれ自体良好な乳化
が可能であるが、単独で構成する被膜は除去性が
悪いため、副成分としてしか使用できない。 保護塗装剤を目的とする乳化処方は広範囲にわ
たつて変えることができるが、一般的には主成分
である低融点ワツクス(m.p.50〜75℃)が一定
厚以上の被膜を形成するためには5重量部以上含
有させる必要があり、また良好な乳化を可能にす
るために25重量部以下であることが必要である。
さらに副成分として添加する主としてC24以上好
ましくは主としてC30以上のα−オレフインと無
水マレイン酸との共重合体は、主成分である低融
点ワツクスの耐熱性を改善するためには主成分に
対し15wt%以上配合することにより顕著な効果
が現われ、一方40wt%より多量添加すると除去
性が著しく低下するので不都合が生ずるのであ
る。 従つて本発明における組成物は、低融点ワツク
ス(m.p.50〜75℃)5〜25重量部と、主として
C24以上、好ましくはC30以上のα−オレフインと
無水マレイン酸との共重合体を0.75〜10重量部
(低融点ワツクスに対して15〜40wt%)組み合わ
せた混合物を基本成分とし、これらに加えて水性
乳液とする際にはノニオン系、アニオン系又はカ
チオン系の乳化剤から選ばれる1種又は2種以上
の乳化剤混合物を1〜5重量部、及び必要に応じ
て各種の配合剤を加え、水を加えて総量100重量
部とするのが良い。 主成分として用いた低融点ワツクスは後記の方
法で作られる特殊な含酸素ワツクスで、乳化性が
極めてよく、乳液は滑かな被膜を形成し、保護す
べき商品の塗装面や金属面を侵すことはなく、水
蒸気噴射で容易に除去可能である。この特殊低融
点ワツクスの製法は135〓〜145〓パラフイン10〜
80重量部と、主としてC24〜C60の範囲のワツクス
状のエチレン重合体90〜20重量部とを混合し、こ
の混合ワツクス100重量部に対して、無水マレイ
ン酸3〜25重量部と、有機過酸化物0.5〜5重量
部とを120℃〜220℃で0.5時間〜6時間反応さ
せ、減圧蒸留で揮発性物質を除去することによつ
て得られる。こうして得られるワツクスはマレイ
ン化変性されたパラフインと同じくマレイン化変
性されたエチレレン重合体に、未反応のパラフイ
ンとエチレレン重合体およびその他の成分から成
る混合物であつて、融点65℃〜75℃と比較的低い
のに比して針入度1〜4と硬く、極めて容易に乳
化できる。乳化剤としてはアルキルフエニルエチ
レンオキサイドエーテル型、オレイル又はステア
リルエチレンオキサイドエーテル型などのノニオ
ン乳化剤、オレイン酸カリウムなどのアニオン乳
化剤、モルフオリントリエタノールアミンなどの
カチオン乳化剤、又はこれ等の組み合わせが適当
であり、ワツクス総量100重量部に対して乳化剤
総量5〜25重量部を要する。被膜の耐熱性、耐水
性、つやなどの外観を改良するため共重合ワツク
スを加えるほか、必要に応じて適宜その他の成
分、例えば被膜の密着性を改良するためにフエノ
ール樹脂を、水中に乳化する。乳化は容易に行わ
れるので特別な技術は必要ない。得られる乳液を
保護すべき商品の表面に噴射、刷毛塗りなどで塗
布した後、自然乾燥2〜6時間又は加熱乾燥(赤
外線照射、温風吹きつけ、加熱炉内に静置など)
5分〜2時間によつて被膜を完成する。この被膜
は促進耐候試験(63℃アーク灯照射、2時間ごと
に18分間散水)250時間、耐熱試験80℃、96時
間、耐水試験40℃、浸水、240時間、によつて何
ら変質せず、この被膜を除去した後の商品表面も
何ら変化が認められない。促進耐候試験後の皮膜
に一定設計のノズルから水蒸気を10秒間噴射する
と、15〜25mmφのほぼ円型に被膜が除去され、商
品表面が完全な状態で現われる。 このように主としてC24以上、好ましくは主と
してC30以上のα−オレフインと無水マレイン酸
との共重合ワツクスを添加することによつて完成
される本発明の除去性の良好な表面保護用水性乳
液を、以下実施例によつて具体的に説明するが、
本発明の実施例の範囲内にとどまるものではな
く、本発明の範囲が実施例によつて制約されるも
のでないことはいうまでもない。 低融点ワツクスの製造例 145゜Fパラフイン500gと主としてC28〜C50
(平均炭素数C33)から成るエチレレン重合体(白
色、針入度11、融点80℃二重結合数32個/
1000C、うちビニル型78%、ビニリデン型18
%、)500gとを2四つ口フラスコに入れ、これ
に無水マレイン酸130gを加えた。水冷コンデン
サーを通して、大気開放系にしたまま、内部を
N2置換し、油浴で150℃に昇温溶融した。一方ジ
タ−シヤリ−ブチルパーオキサイド(DTBP)10
gをキシレン50c.c.に溶かして滴下ロートに入れ、
十分撹拌しながら30分かけて滴加した。反応は発
熱を伴うので、滴下速度と、油浴とりはずしによ
る調節で反応温度を150℃に保つた。更に30分撹
拌した後同温度、5mmHgに減圧し、微量のN2を
吹きこみながら2時間にわたつて揮発性物質を完
全に留去した。 こうして得られたワツクスはケン化価90、針入
度1、淡黄色(ガードナー値3)、融点70℃であ
り、このままでは溶融状態でやや濁りがあつたの
で、これを約3μ孔径の紙で加圧過すること
によつて清澄なワツクスを得た。このワツクスを
仮にワツクスAと記す。 比較例 1 (水性乳液処方) ワツクスA 15g エマルゲン930(商品名)(花王アトラス(株)製、
ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル)
1.2g オレイン酸カリ 1.05g スミライトPR19788(商品名)(住友デユレツ
(株)製、フエノール樹脂) 1g 水 81.75g 水とオレイン酸カリ以外の全成分を200c.c.ビー
カーに入れて110℃に加熱溶融した。一方オレイ
ン酸カリ全量を水に加え、沸騰状態まで加熱し
て、前記のワツクスなどの混合物に撹拌しながら
徐々に加えた。加え終つた後撹拌を続けたまま室
温まで徐冷した。生成した乳液はやや青味を帯び
た均質の白色乳液で、室温で粘度10cpを示した。
この乳液は室温3ケ月静置で何の変質も認められ
なかつた。 (塗 布) 150mm×70mm(1mm厚)の軟鋼板に黒色アミノ
アルキツド樹脂を焼付けた塗装板を試験片とし
て、乳液をノズルから噴射塗布し、赤外灯を5分
照射して乾燥した。重量から換算してワツクス被
膜の厚さは平均15μだつた。 (試 験) 前記試験片について次の諸項目を試験した。結
果を第1表に示す。 (1) ワツクス被膜の外観・感触 (2) 耐熱試験 恒温器内に垂直に立てて80℃、96時間静置。
ワツクス被膜の垂れ流れ、ひび割れその他の変
化を観察し、さらにワツクス被膜を赤外灯で加
熱溶融してガーゼで拭きとり、アルキツド塗装
面のつやびけ、ふくれその他の変化を観察し
た。結果表示は、何らの変化もない(〇)、僅
かに変化が認められる(△)、何らかの変化が
ある(×)、の三段階による。 (3) 耐水試験 40℃に保つた純水中に240時間浸漬し、ワツ
クス被膜およびワツクス被膜除去後の塗装面の
変化を観察。 (4) 促進耐候性試験 東洋理化工業(株)製のサンシヤインウエザーメ
ーターに入れ、63℃で2時間ごとに18分間冷水
を降らせながら250時間試験し、ワツクス被膜
と被膜除去後の塗装面の変化を観察した。 (5) 除去性試験 孔径約3mmのノズルを通して、1Kg/cm2G水
蒸気を約50mm離した位置から10秒間吹きつけ、
ワツクス被膜が除去された円形の痕跡の直径を
測定した。該試験は(4)項の促進耐候性試験後の
被膜を対象とした。結果は除去された痕跡の直
径15mm以上を〇、15未満〜8mmを△、8mm未満
を×として、第1表に示した。 比較例 2 比較例1におけるワツクスA15gの代わりにワ
ツクスA12gとヘキストワツクスOP3gを使用
し、その他は全く比較例1と同様にした。 比較例 3 比較例1におけるワツクスA15gの代わりに、
ワツクスA12gとヘキストワツクスR−21 3g
を使用し、その他は全く比較例1と同様にした。 比較例 4 比較例1のワツクスA15gの代わりに、ワツク
スA12gとセレシン3gを使用し、その他は全く
比較例1と同様にした。 実施例 1 比較例1のワツクスA15gの代りに、ワツクス
A12gとダイヤカルナ30(三菱化成(株)製、主に
C30以上のα−オレフインと、無水マレイン酸と
の共重合ワツクス)3gを使用し、その他は全く
比較例1と全く同様にした。 比較例 5 比較例1のワツクスAの代りに、ダイヤカルナ
30 15gを入れ、その他は全く同様にした。生成
した乳液は青味のない白色乳液で比較例1よりや
や粗粒子分散のようだつた。 実施例 2および3
器具類の塗装面もしくは金属面などを移送中、保
管中に保護する目的で塗布する、ワツクスを主体
とする水性乳液組成物に関し、さらに詳しくは、
目的とする保護期間が完了した時点で容易に除去
できるように比較的低融点で、親水性のワツクス
を主成分とし、これを用いる結果として生じる欠
陥、たとえば保護期間中の耐熱性、耐水性の不足
を補い、塗布膜の光沢、などの外観を向上させる
ために、炭素数24以上のオレフインと無水マレイ
ン酸とを共重合させることによつて生成するワツ
クス状物質を少量加え、さらに必要に応じて他の
成分を加えて水中に分散乳化させた組成物に関す
る。 自動車などの商品を最終消費者の手に届くまで
の期間中良好な状態に保護するために、一時的な
保護塗装をする必要性が近年次第に認識され、こ
れを目的とする塗装剤が種々開発されている。 この種の塗装剤に必要な性状と機能としては次
のような諸項目が考えられる。 (1) 使用組成物成分が保護すべき商品表面に対し
て不活性であること、 (2) 良好な保護膜を形成すること、 (3) 保護期間中、空気、雨、湿気、光、外力、塵
埃、熱、寒気などから、商品表面を保護し、保
護膜自体もこれらによる劣化を受けないこと、 (4) 保護期間が完了した時、容易に除去できるこ
と。 このような目的で開発された塗装剤としては、
これまでにワツクス油剤(ワツクスを溶剤中に分
散させたもの、例えば特公昭49−5212)、ストリ
ツパブルフイルム(塗布後連続被膜となり、不要
になつた時には剥ぎとることができるもの、例え
ば特公昭44−3098)、水性乳液(ワツクスを水に
乳化分散させたもの、例えば特公昭45−34030)
などがあり、中でも水性乳液型は溶剤を使わない
という点で、安全性、公害対策、経済上の利点が
多い。 しかしこの種の一時的表面保護剤は使用中は強
い保護膜である事と、不用になつた時除去しやす
い事という通常相反する性状を要求される上、水
性乳液型の場合は更に水になじみ易い成分を組み
合わせて乳液にしながら、これを塗装して形成さ
れる保護膜は雨水や湿気に侵されない事という、
これもまた相反する性状を要求されているため、
すべての面で満足できる処方が困難であり、現在
までに広範囲に実用可能な表面保護用水性乳液は
出現していない。 本発明者等は水性乳液型表面保護組成物を目的
としてワツクスを主成分とする水性乳液を種々検
討した結果、次のようなことが判明した。必要性
状として前記した四項目のうち、(1)〜(3)を満足す
る乳液を作ることは比較的容易だが、同時に(4)を
満足させることが困難である。即ち適当なワツク
スその他の成分を良好に乳化し、これを塗布して
強い保護膜を作るのは容易だが、こうして形成さ
れる保護膜のほとんどすべては一定期間経過後水
蒸気噴射など比較的簡単な手段で除去することが
できないのである。 かかる状況に鑑み本発明者等は、前記(1)〜(4)の
全ての条件を満たした塗装剤開発に当つて、まず
除去性が良好であることを第一条件として検討し
た結果、低融点ワツクスを主成分とし、比較的親
水性の高い乳化剤を用いることによつてこの条件
に適応できることの知見を得た。このために主成
分には後記のような特殊ワツクスを採用したが、
一般的にはパラフイン、蜜ろうなど低融点ワツク
スと適当な乳化剤との組み合わせを主成分にすれ
ば除去性のよい保護膜を作ることができる。しか
しこうして作られる被膜は硬さ、耐熱性、耐水性
が不十分になるので、この面を補うために、適当
なその他のワツクスを副成分として加える。加え
られるワツクスは主成分から成る被膜の欠陥を補
うと同時に、これを加えるために主成分の示す良
好な除去性を低下させないことが必要である。こ
のような条件に適合するワツクスとしてセレシ
ン、ヘキストワツクスOP、R−21、などがある
程度良好であることが判つたが、更に検討した結
果主としてC30以上のα−オレフインと無水マレ
イン酸とを共重合させて作られるワツクス状物質
(以後共重合ワツクスと記す)が特にこの目的を
満足させる副成分として好適であることを見出し
た。検討した共重合ワツクスの一例を挙げると触
点75℃、針入度4であつて、種々のワツクスに比
べて、特に高融点でもなければ、硬くもないが、
溶融粘度が高いため(約500cp、100℃)主成分の
低融点ワツクスから成る被膜の耐熱性(80℃での
垂れ流れの有無)を改良し、膜の硬さと耐水性を
増す上、形成される被膜はつやのよい滑かな半透
明になつて、これを添加しない場合の被膜、およ
びセレシン、ヘキストワツクスなどを添加した場
合にできる白い不透明被膜と外観上顕著な差が認
められる。共重合ワツクスはそれ自体良好な乳化
が可能であるが、単独で構成する被膜は除去性が
悪いため、副成分としてしか使用できない。 保護塗装剤を目的とする乳化処方は広範囲にわ
たつて変えることができるが、一般的には主成分
である低融点ワツクス(m.p.50〜75℃)が一定
厚以上の被膜を形成するためには5重量部以上含
有させる必要があり、また良好な乳化を可能にす
るために25重量部以下であることが必要である。
さらに副成分として添加する主としてC24以上好
ましくは主としてC30以上のα−オレフインと無
水マレイン酸との共重合体は、主成分である低融
点ワツクスの耐熱性を改善するためには主成分に
対し15wt%以上配合することにより顕著な効果
が現われ、一方40wt%より多量添加すると除去
性が著しく低下するので不都合が生ずるのであ
る。 従つて本発明における組成物は、低融点ワツク
ス(m.p.50〜75℃)5〜25重量部と、主として
C24以上、好ましくはC30以上のα−オレフインと
無水マレイン酸との共重合体を0.75〜10重量部
(低融点ワツクスに対して15〜40wt%)組み合わ
せた混合物を基本成分とし、これらに加えて水性
乳液とする際にはノニオン系、アニオン系又はカ
チオン系の乳化剤から選ばれる1種又は2種以上
の乳化剤混合物を1〜5重量部、及び必要に応じ
て各種の配合剤を加え、水を加えて総量100重量
部とするのが良い。 主成分として用いた低融点ワツクスは後記の方
法で作られる特殊な含酸素ワツクスで、乳化性が
極めてよく、乳液は滑かな被膜を形成し、保護す
べき商品の塗装面や金属面を侵すことはなく、水
蒸気噴射で容易に除去可能である。この特殊低融
点ワツクスの製法は135〓〜145〓パラフイン10〜
80重量部と、主としてC24〜C60の範囲のワツクス
状のエチレン重合体90〜20重量部とを混合し、こ
の混合ワツクス100重量部に対して、無水マレイ
ン酸3〜25重量部と、有機過酸化物0.5〜5重量
部とを120℃〜220℃で0.5時間〜6時間反応さ
せ、減圧蒸留で揮発性物質を除去することによつ
て得られる。こうして得られるワツクスはマレイ
ン化変性されたパラフインと同じくマレイン化変
性されたエチレレン重合体に、未反応のパラフイ
ンとエチレレン重合体およびその他の成分から成
る混合物であつて、融点65℃〜75℃と比較的低い
のに比して針入度1〜4と硬く、極めて容易に乳
化できる。乳化剤としてはアルキルフエニルエチ
レンオキサイドエーテル型、オレイル又はステア
リルエチレンオキサイドエーテル型などのノニオ
ン乳化剤、オレイン酸カリウムなどのアニオン乳
化剤、モルフオリントリエタノールアミンなどの
カチオン乳化剤、又はこれ等の組み合わせが適当
であり、ワツクス総量100重量部に対して乳化剤
総量5〜25重量部を要する。被膜の耐熱性、耐水
性、つやなどの外観を改良するため共重合ワツク
スを加えるほか、必要に応じて適宜その他の成
分、例えば被膜の密着性を改良するためにフエノ
ール樹脂を、水中に乳化する。乳化は容易に行わ
れるので特別な技術は必要ない。得られる乳液を
保護すべき商品の表面に噴射、刷毛塗りなどで塗
布した後、自然乾燥2〜6時間又は加熱乾燥(赤
外線照射、温風吹きつけ、加熱炉内に静置など)
5分〜2時間によつて被膜を完成する。この被膜
は促進耐候試験(63℃アーク灯照射、2時間ごと
に18分間散水)250時間、耐熱試験80℃、96時
間、耐水試験40℃、浸水、240時間、によつて何
ら変質せず、この被膜を除去した後の商品表面も
何ら変化が認められない。促進耐候試験後の皮膜
に一定設計のノズルから水蒸気を10秒間噴射する
と、15〜25mmφのほぼ円型に被膜が除去され、商
品表面が完全な状態で現われる。 このように主としてC24以上、好ましくは主と
してC30以上のα−オレフインと無水マレイン酸
との共重合ワツクスを添加することによつて完成
される本発明の除去性の良好な表面保護用水性乳
液を、以下実施例によつて具体的に説明するが、
本発明の実施例の範囲内にとどまるものではな
く、本発明の範囲が実施例によつて制約されるも
のでないことはいうまでもない。 低融点ワツクスの製造例 145゜Fパラフイン500gと主としてC28〜C50
(平均炭素数C33)から成るエチレレン重合体(白
色、針入度11、融点80℃二重結合数32個/
1000C、うちビニル型78%、ビニリデン型18
%、)500gとを2四つ口フラスコに入れ、これ
に無水マレイン酸130gを加えた。水冷コンデン
サーを通して、大気開放系にしたまま、内部を
N2置換し、油浴で150℃に昇温溶融した。一方ジ
タ−シヤリ−ブチルパーオキサイド(DTBP)10
gをキシレン50c.c.に溶かして滴下ロートに入れ、
十分撹拌しながら30分かけて滴加した。反応は発
熱を伴うので、滴下速度と、油浴とりはずしによ
る調節で反応温度を150℃に保つた。更に30分撹
拌した後同温度、5mmHgに減圧し、微量のN2を
吹きこみながら2時間にわたつて揮発性物質を完
全に留去した。 こうして得られたワツクスはケン化価90、針入
度1、淡黄色(ガードナー値3)、融点70℃であ
り、このままでは溶融状態でやや濁りがあつたの
で、これを約3μ孔径の紙で加圧過すること
によつて清澄なワツクスを得た。このワツクスを
仮にワツクスAと記す。 比較例 1 (水性乳液処方) ワツクスA 15g エマルゲン930(商品名)(花王アトラス(株)製、
ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル)
1.2g オレイン酸カリ 1.05g スミライトPR19788(商品名)(住友デユレツ
(株)製、フエノール樹脂) 1g 水 81.75g 水とオレイン酸カリ以外の全成分を200c.c.ビー
カーに入れて110℃に加熱溶融した。一方オレイ
ン酸カリ全量を水に加え、沸騰状態まで加熱し
て、前記のワツクスなどの混合物に撹拌しながら
徐々に加えた。加え終つた後撹拌を続けたまま室
温まで徐冷した。生成した乳液はやや青味を帯び
た均質の白色乳液で、室温で粘度10cpを示した。
この乳液は室温3ケ月静置で何の変質も認められ
なかつた。 (塗 布) 150mm×70mm(1mm厚)の軟鋼板に黒色アミノ
アルキツド樹脂を焼付けた塗装板を試験片とし
て、乳液をノズルから噴射塗布し、赤外灯を5分
照射して乾燥した。重量から換算してワツクス被
膜の厚さは平均15μだつた。 (試 験) 前記試験片について次の諸項目を試験した。結
果を第1表に示す。 (1) ワツクス被膜の外観・感触 (2) 耐熱試験 恒温器内に垂直に立てて80℃、96時間静置。
ワツクス被膜の垂れ流れ、ひび割れその他の変
化を観察し、さらにワツクス被膜を赤外灯で加
熱溶融してガーゼで拭きとり、アルキツド塗装
面のつやびけ、ふくれその他の変化を観察し
た。結果表示は、何らの変化もない(〇)、僅
かに変化が認められる(△)、何らかの変化が
ある(×)、の三段階による。 (3) 耐水試験 40℃に保つた純水中に240時間浸漬し、ワツ
クス被膜およびワツクス被膜除去後の塗装面の
変化を観察。 (4) 促進耐候性試験 東洋理化工業(株)製のサンシヤインウエザーメ
ーターに入れ、63℃で2時間ごとに18分間冷水
を降らせながら250時間試験し、ワツクス被膜
と被膜除去後の塗装面の変化を観察した。 (5) 除去性試験 孔径約3mmのノズルを通して、1Kg/cm2G水
蒸気を約50mm離した位置から10秒間吹きつけ、
ワツクス被膜が除去された円形の痕跡の直径を
測定した。該試験は(4)項の促進耐候性試験後の
被膜を対象とした。結果は除去された痕跡の直
径15mm以上を〇、15未満〜8mmを△、8mm未満
を×として、第1表に示した。 比較例 2 比較例1におけるワツクスA15gの代わりにワ
ツクスA12gとヘキストワツクスOP3gを使用
し、その他は全く比較例1と同様にした。 比較例 3 比較例1におけるワツクスA15gの代わりに、
ワツクスA12gとヘキストワツクスR−21 3g
を使用し、その他は全く比較例1と同様にした。 比較例 4 比較例1のワツクスA15gの代わりに、ワツク
スA12gとセレシン3gを使用し、その他は全く
比較例1と同様にした。 実施例 1 比較例1のワツクスA15gの代りに、ワツクス
A12gとダイヤカルナ30(三菱化成(株)製、主に
C30以上のα−オレフインと、無水マレイン酸と
の共重合ワツクス)3gを使用し、その他は全く
比較例1と全く同様にした。 比較例 5 比較例1のワツクスAの代りに、ダイヤカルナ
30 15gを入れ、その他は全く同様にした。生成
した乳液は青味のない白色乳液で比較例1よりや
や粗粒子分散のようだつた。 実施例 2および3
【表】
上記の処方に基き、比較例1と同様に実施し
た。 実施例 4 比較例1および実施例1、2、3で得られたワ
ツクス乳液を軟鋼板に刷毛で塗つて、そのまま放
置乾燥し、一週間後ワツクス被膜を除去した。軟
鋼板表面には何ら変化は認められなかつた。
た。 実施例 4 比較例1および実施例1、2、3で得られたワ
ツクス乳液を軟鋼板に刷毛で塗つて、そのまま放
置乾燥し、一週間後ワツクス被膜を除去した。軟
鋼板表面には何ら変化は認められなかつた。
【表】
以上述べた実施例、比較例および第1表の結果
から分るように本発明に係る水性乳液組成物によ
るワツクス被膜は、被膜の外観、感触もすぐれ、
耐熱性、耐水性等に富むと同時に被膜の除去性に
もすぐれているので、商品の表面保護用の塗装剤
として好ましい効果を奏する。
から分るように本発明に係る水性乳液組成物によ
るワツクス被膜は、被膜の外観、感触もすぐれ、
耐熱性、耐水性等に富むと同時に被膜の除去性に
もすぐれているので、商品の表面保護用の塗装剤
として好ましい効果を奏する。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 組成物全量を100重量部として、 (A) 135〓〜145〓パラフイン10〜80重量部と、
C24〜C60のワツクス状エチレン重合体90〜20重
量部とを混合し、この混合ワツクス100重量部
に対して、無水マレイン酸3〜25重量部と、有
機過酸化物0.5〜5重量部とを反応させること
により得られる、融点50〜75℃の低融点ワツク
ス5〜25重量部と、 (B) C24以上のモノオレフインと無水マレイン酸
との共重合物0.75〜10重量部、 を必須成分として水中に乳化分散させてなり、か
つ(B)成分の含有量が(A)成分の15〜40重量%である
ことを特徴とする表面保護用水性乳液組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14608978A JPS5573764A (en) | 1978-11-28 | 1978-11-28 | Aqueous emulsion composition for surface protection |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14608978A JPS5573764A (en) | 1978-11-28 | 1978-11-28 | Aqueous emulsion composition for surface protection |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5573764A JPS5573764A (en) | 1980-06-03 |
JPS6157351B2 true JPS6157351B2 (ja) | 1986-12-06 |
Family
ID=15399874
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14608978A Granted JPS5573764A (en) | 1978-11-28 | 1978-11-28 | Aqueous emulsion composition for surface protection |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5573764A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019231094A1 (ko) * | 2018-05-30 | 2019-12-05 | Kang Ho Chang | 링형 골 이식재 제조방법 |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6064143A (ja) * | 1983-09-20 | 1985-04-12 | Nippon Oil Co Ltd | 換気扇油塵除去用塗布剤 |
JPS6142572A (ja) * | 1984-08-06 | 1986-03-01 | Nippon Oil Co Ltd | 硬質材の保護用塗布剤 |
JPH0635547B2 (ja) * | 1985-10-03 | 1994-05-11 | 三菱化成株式会社 | 撥水性組成物 |
JPH0823007B2 (ja) * | 1985-09-25 | 1996-03-06 | 三菱化学株式会社 | 撥水性組成物 |
JPH0826305B2 (ja) * | 1985-10-03 | 1996-03-13 | 三菱化学株式会社 | 撥水性組成物 |
-
1978
- 1978-11-28 JP JP14608978A patent/JPS5573764A/ja active Granted
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019231094A1 (ko) * | 2018-05-30 | 2019-12-05 | Kang Ho Chang | 링형 골 이식재 제조방법 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5573764A (en) | 1980-06-03 |
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