JPS6122551B2 - - Google Patents
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- JPS6122551B2 JPS6122551B2 JP5055678A JP5055678A JPS6122551B2 JP S6122551 B2 JPS6122551 B2 JP S6122551B2 JP 5055678 A JP5055678 A JP 5055678A JP 5055678 A JP5055678 A JP 5055678A JP S6122551 B2 JPS6122551 B2 JP S6122551B2
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- Japan
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- alloy
- wear
- commutator
- small
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Description
本発明は直流小型モータにおける刷子と整流子
を組合せた整流装置に関するもので、特に耐摩耗
性に優れ、接触抵抗が安定で、さらに摺動雑音の
低い整流装置を提供しようとするものである。 直流小型モータはテープレコーダやレコードプ
レーヤ等の音響機器、VTR、あるいは各種自動
制御機器に広く使用されている。かかる機器の高
性能化および長寿命化が要望されている現状にあ
つて、直流小型モータの諸特性や寿命に対する要
望もますます高まつてきている。直流小型モータ
の高性能化、長寿命化において特に問題となるの
は刷子と整流子とを組合わせた整流装置である。
前記整流装置はすべり接触をしながら通電する部
分であり、刷子および整流子の摩耗により次のよ
うな現象が生じ初期の性能を維持することが不可
能となる。 (イ) 摩耗粉が整流子スリツトにつまり、いわゆる
目づまり現象によりブラシ間が整流子で短絡さ
れ、過大電流が流れモータ回路を焼損したり回
転不能となる。 (ロ) 摩耗により刷子と整流子の相対接触位置が変
化し、モータ回転数やモータ入力電流が変化す
る。 (ハ) 摩耗生成物やすべりに伴なう温度上昇による
生成酸化物などにより接触抵抗が増大し、モー
タの回転が不安定になる。 このため、主に摩耗低減を目的として多くの検
討がなされてきている。 従来より、直流小型モータの刷子や整流子の材
料としては、接触抵抗が低く安定なことからAg
が広く使用されている。しかし、Agは硬度が低
く、耐摩耗性の点で十分でない場合が多い。Ag
の耐摩耗性を改善するために、一般には、各種元
素をAgに添加含有させAg合金とし、硬度を高め
て耐摩耗性を改善する手段がとられている。上記
の添加元素としてはAgに合金化しやすい、すな
わち、Agと固溶する元素であるCu、In、Cdおよ
びMnがよく知られており、これらの元素のうち
1種又は2種以上が添加される。この場合、添加
量を増すと硬度が増し、耐摩耗性は向上するもの
の、逆に接触抵抗変化は大きくなるという欠点が
生ずる。したがつて安定な接触抵抗を要求される
モータの整流装置にあつては、添加元素量を一概
に多くすることができず、Mnで3重量%以下、
またCu、InおよびCdについては各各10重量%以
下とするのが一般的である。しかし、これらの組
成範囲にあつては耐摩耗性の面で十分とはいいが
たく、さらに改善が望まれている。 この他にはAg−Pd合金(Pdが20〜60重量%)
が知られており、さらに高性能の用途にはAuや
Au合金、もしくはPtを含む合金などが使用され
るが、コスト上昇をもたらすために用途が限定さ
れる。 このため、汎用の直流小型モータの整流装置に
あつては、AuやPdを含む合金を使用することな
く耐摩性の向上を図ることが最も望まれている。
そのためには耐摩耗性に優れた材料の開発ととも
に、耐耗現象は合金の組合わせによつて変わるも
のであるら、刷子と整流子の合金組合わせを考慮
して最適な組合わせで使用して、優れた性能の整
流装置とすることが重要である。 本発明はかかる問題点を解決するためになされ
たものであり、従来より公知であるAgあるいは
Ag合金の耐摩耗性の改善をはかるためにさらに
2〜8重量%のNbを添加したAg−Ndもしくは
Ag−M−Nb合金(MはCu、In、Cd又はMnの1
種又は2種以上)を刷子とした整流装置におい
て、安定した接触抵抗が得られるとともに、著し
く耐摩耗性の改善が図れることを見い出したこと
にもとづくものである。特に、本発明において
は、刷子を上記の合金とすることにより、整流子
がどのような材料であつても、整流子の摩耗をも
極めて少くするという特徴と有するものである。 ここでNbの添加量の下限を2重量%としたの
は、これより少なければNbの耐摩耗性に対する
寄与が少ないからである。またその上限を8重量
%としたのは、これより多くなると逆に耐摩耗性
が損われるだけでなく、本発明になる材料は粉末
焼結後に冷間加工して製造しているが、伸線加工
において切断が生じたり圧延加工において割れを
生ずる傾向が増すからである。また、Cu、In、
CdおよびMnの添加量は公知Ag−M合金と同様
であり、2種以上含有する場合には、接触抵抗が
安定となる見地から添加される元素(ただしNb
を除く)の合計量が10重量%以下であることが望
ましい。また、この種のAg系の接点材料におい
て、結晶粒を微細化し、マトリクスの強度を高め
耐摩耗性や耐消耗性を高めるためにCo、Ni、Fe
から選らばれた1種又は2種以上の元素を0.01〜
0.5重量%添加することが公知であるが、本発明
においてもCo、NiおよびFeの微量添加により結
晶粒微細化を図つてもNb添加の効果を損うもの
ではない。 以下、実施例に従つて、本発明になる整流装置
に使用するNb含有合金の製造方法と効果につい
て詳述する。 まず、本発明を構成する刷子の材料の製造方法
について述べる。AgとNbとを溶解鋳造法で合金
化しようとしてもごく微量のNbを含む合金しか
製造できないため、本発明においては粉末焼結法
により製造した。すなわち、300メツシユのAg粉
末、M金属粉末(MはCu、In、CdおよびMnの1
種又は2種以上の元素を示す)、およびNb粉末
を、各々所定割合に秤量し、トリクレン溶媒中で
4時間混合した。混合後空気中で乾燥したのち、
混合粉を80メツシユのふるいに通し、内径5mm、
深さ50mmの金型に充填し、4.5トン/cm2の圧力で
圧縮成形した。しかる後、真空中において850℃
の温度で2時間焼結した(ただしMがCdを含む
場合は高純度アルゴン雰囲気中で同様に焼結し
た)。さらに、10トン/cm2の圧力をかけての圧縮
成形と850℃真空中で1時間の焼結を交互に2回
くり返した。その後、10〜20%の断面低減率で冷
間押出しをし、さらに600℃真空中で1時間の中
間焼鈍をするという手順を繰返しながら太さ3mm
まで伸線した。しかる後、中間焼鈍と冷間伸線を
上記同様に繰り返すことにより太さ0.75mmの線材
とし、その後は順次、断面形状がわずかずつ異な
る伸線ダイスを用いて伸線し、0.3mm×0.6mm半円
形断面の線材を得た。この線材を中間焼鈍した後
に伸線を行い、最終的には0.23mm×0.46mm半円形
断面の線材とした。この線材を検討用試料とし
た。 次に摩耗試験方法について述べる。摩耗現象は
試験装置によつても少なからず影響をうけるの
で、試験は、小型モータの整流装置と類似させた
回転円板型摩耗試験装置によつた。すなわち第1
図に装置の概略を示すように、検討用試料1を曲
率半径約4mmの半円弧状にわん曲させて一端を板
ばね2の先端に点溶接して取りつけて固定試片
(ブラシに相当)とした。回転試片3(整流子に
相当)は厚さ0.2mmの板材を回転円板4に貼りつ
けた。回転試片としては95重量%Ag−5重量%
Cu合金圧延板、りん青銅圧延板および、70重量
%Au−27重量%Ag−3重量%Ni合金表面層(1
μ)/95重量%Ag−5重量%Cu合金中間層(9
μ)/りん青銅基板の三層クラツド圧延板
(NGSクラツド板と略称する)の3種を用いて検
討した。接触力は約25gとし、回転板は2200rpm
で回転させて摺動速度を約80cm/secとした。また
第1図に示すように2ケの固定試片2の両端に
10V250mAの電流を流しつつ、常温、常湿中で
回転円板を500時間連続回転させた。その後、回
転試片の摩耗跡の摩耗深さおよび固定試片の摩耗
長さ(摩耗跡の長手方向の長さ)を測定した。接
触抵抗変動は固定試片の両端より端子を取り出
し、一対の固定試片と回転試片との接触抵抗を電
圧降下分としてオシロスコープ5で定性的に観察
した。測定時には10V、10mAに印加電流を低下
させた。 次に本発明の効果について述べる。 第2図にはAgにNbを添加した場合の固定試片
と回転試片の摩耗量の変化を示す。すなわち、
Nbを添加することにより、固定試片と回転試片
の両方において摩耗量の減少をもたらすことが明
らかであり、特に固定試片の摩耗量減少効果(第
2図B)は著しい。しかし、Nbが8重量%を超
えると急激に摩耗量が増大する。なおNb量が10
重量%を超えた場合には検討用材料製造のための
伸縮時に破断がおこりやすく、また圧延加工によ
る加工性チエツクでは割れが発生しやすいことが
判明した。 第3図にはAgに固溶する元素の代表としてCu
を選び、その量を3重量%に固定し、Nb量を変
化させた場合における固定試片と回転試片の摩耗
量の変化の状態を示す。この結果からAg−Cu合
金においてもNbを添加することにより、固定試
片および回転試片の両方において耐摩耗性が向上
し、特に固定試片の摩耗量低減効果が著しいこと
が明らかである。しかしAg−Nb合金の場合と同
様にAg−Cu−Nb合金においてもNb量が8重量
%をこすと急激に摩耗量が増大する。Nb量が10
重量%を超えた場合については上記Ag−Nb合金
と同様に破断または割れが発生しやすくなつた。 次にNbの添加効果について他の公知のAg合金
に本発明を適用した場合の例を第1表に示す。合
金としては90重量%Ag−10重量%Cu合金、92重
量%Ag−6重量%Cu−2重量%Cd合金、96重量
%Ag−4重量%In合金および98重量%Ag−2重
量%Mn合金を選び、これらの合金とこれらの合
金のAg量の4重量%をNbにおきかえた4種の材
料を刷子に用いるものとして比較した。回転試片
としてはNGSクラツド板を代表例として用い
た。摩耗量は上記公知合金の場合を100とした比
較値で示している。いずれの合金に対してもNb
添加の効果は明らかである。
を組合せた整流装置に関するもので、特に耐摩耗
性に優れ、接触抵抗が安定で、さらに摺動雑音の
低い整流装置を提供しようとするものである。 直流小型モータはテープレコーダやレコードプ
レーヤ等の音響機器、VTR、あるいは各種自動
制御機器に広く使用されている。かかる機器の高
性能化および長寿命化が要望されている現状にあ
つて、直流小型モータの諸特性や寿命に対する要
望もますます高まつてきている。直流小型モータ
の高性能化、長寿命化において特に問題となるの
は刷子と整流子とを組合わせた整流装置である。
前記整流装置はすべり接触をしながら通電する部
分であり、刷子および整流子の摩耗により次のよ
うな現象が生じ初期の性能を維持することが不可
能となる。 (イ) 摩耗粉が整流子スリツトにつまり、いわゆる
目づまり現象によりブラシ間が整流子で短絡さ
れ、過大電流が流れモータ回路を焼損したり回
転不能となる。 (ロ) 摩耗により刷子と整流子の相対接触位置が変
化し、モータ回転数やモータ入力電流が変化す
る。 (ハ) 摩耗生成物やすべりに伴なう温度上昇による
生成酸化物などにより接触抵抗が増大し、モー
タの回転が不安定になる。 このため、主に摩耗低減を目的として多くの検
討がなされてきている。 従来より、直流小型モータの刷子や整流子の材
料としては、接触抵抗が低く安定なことからAg
が広く使用されている。しかし、Agは硬度が低
く、耐摩耗性の点で十分でない場合が多い。Ag
の耐摩耗性を改善するために、一般には、各種元
素をAgに添加含有させAg合金とし、硬度を高め
て耐摩耗性を改善する手段がとられている。上記
の添加元素としてはAgに合金化しやすい、すな
わち、Agと固溶する元素であるCu、In、Cdおよ
びMnがよく知られており、これらの元素のうち
1種又は2種以上が添加される。この場合、添加
量を増すと硬度が増し、耐摩耗性は向上するもの
の、逆に接触抵抗変化は大きくなるという欠点が
生ずる。したがつて安定な接触抵抗を要求される
モータの整流装置にあつては、添加元素量を一概
に多くすることができず、Mnで3重量%以下、
またCu、InおよびCdについては各各10重量%以
下とするのが一般的である。しかし、これらの組
成範囲にあつては耐摩耗性の面で十分とはいいが
たく、さらに改善が望まれている。 この他にはAg−Pd合金(Pdが20〜60重量%)
が知られており、さらに高性能の用途にはAuや
Au合金、もしくはPtを含む合金などが使用され
るが、コスト上昇をもたらすために用途が限定さ
れる。 このため、汎用の直流小型モータの整流装置に
あつては、AuやPdを含む合金を使用することな
く耐摩性の向上を図ることが最も望まれている。
そのためには耐摩耗性に優れた材料の開発ととも
に、耐耗現象は合金の組合わせによつて変わるも
のであるら、刷子と整流子の合金組合わせを考慮
して最適な組合わせで使用して、優れた性能の整
流装置とすることが重要である。 本発明はかかる問題点を解決するためになされ
たものであり、従来より公知であるAgあるいは
Ag合金の耐摩耗性の改善をはかるためにさらに
2〜8重量%のNbを添加したAg−Ndもしくは
Ag−M−Nb合金(MはCu、In、Cd又はMnの1
種又は2種以上)を刷子とした整流装置におい
て、安定した接触抵抗が得られるとともに、著し
く耐摩耗性の改善が図れることを見い出したこと
にもとづくものである。特に、本発明において
は、刷子を上記の合金とすることにより、整流子
がどのような材料であつても、整流子の摩耗をも
極めて少くするという特徴と有するものである。 ここでNbの添加量の下限を2重量%としたの
は、これより少なければNbの耐摩耗性に対する
寄与が少ないからである。またその上限を8重量
%としたのは、これより多くなると逆に耐摩耗性
が損われるだけでなく、本発明になる材料は粉末
焼結後に冷間加工して製造しているが、伸線加工
において切断が生じたり圧延加工において割れを
生ずる傾向が増すからである。また、Cu、In、
CdおよびMnの添加量は公知Ag−M合金と同様
であり、2種以上含有する場合には、接触抵抗が
安定となる見地から添加される元素(ただしNb
を除く)の合計量が10重量%以下であることが望
ましい。また、この種のAg系の接点材料におい
て、結晶粒を微細化し、マトリクスの強度を高め
耐摩耗性や耐消耗性を高めるためにCo、Ni、Fe
から選らばれた1種又は2種以上の元素を0.01〜
0.5重量%添加することが公知であるが、本発明
においてもCo、NiおよびFeの微量添加により結
晶粒微細化を図つてもNb添加の効果を損うもの
ではない。 以下、実施例に従つて、本発明になる整流装置
に使用するNb含有合金の製造方法と効果につい
て詳述する。 まず、本発明を構成する刷子の材料の製造方法
について述べる。AgとNbとを溶解鋳造法で合金
化しようとしてもごく微量のNbを含む合金しか
製造できないため、本発明においては粉末焼結法
により製造した。すなわち、300メツシユのAg粉
末、M金属粉末(MはCu、In、CdおよびMnの1
種又は2種以上の元素を示す)、およびNb粉末
を、各々所定割合に秤量し、トリクレン溶媒中で
4時間混合した。混合後空気中で乾燥したのち、
混合粉を80メツシユのふるいに通し、内径5mm、
深さ50mmの金型に充填し、4.5トン/cm2の圧力で
圧縮成形した。しかる後、真空中において850℃
の温度で2時間焼結した(ただしMがCdを含む
場合は高純度アルゴン雰囲気中で同様に焼結し
た)。さらに、10トン/cm2の圧力をかけての圧縮
成形と850℃真空中で1時間の焼結を交互に2回
くり返した。その後、10〜20%の断面低減率で冷
間押出しをし、さらに600℃真空中で1時間の中
間焼鈍をするという手順を繰返しながら太さ3mm
まで伸線した。しかる後、中間焼鈍と冷間伸線を
上記同様に繰り返すことにより太さ0.75mmの線材
とし、その後は順次、断面形状がわずかずつ異な
る伸線ダイスを用いて伸線し、0.3mm×0.6mm半円
形断面の線材を得た。この線材を中間焼鈍した後
に伸線を行い、最終的には0.23mm×0.46mm半円形
断面の線材とした。この線材を検討用試料とし
た。 次に摩耗試験方法について述べる。摩耗現象は
試験装置によつても少なからず影響をうけるの
で、試験は、小型モータの整流装置と類似させた
回転円板型摩耗試験装置によつた。すなわち第1
図に装置の概略を示すように、検討用試料1を曲
率半径約4mmの半円弧状にわん曲させて一端を板
ばね2の先端に点溶接して取りつけて固定試片
(ブラシに相当)とした。回転試片3(整流子に
相当)は厚さ0.2mmの板材を回転円板4に貼りつ
けた。回転試片としては95重量%Ag−5重量%
Cu合金圧延板、りん青銅圧延板および、70重量
%Au−27重量%Ag−3重量%Ni合金表面層(1
μ)/95重量%Ag−5重量%Cu合金中間層(9
μ)/りん青銅基板の三層クラツド圧延板
(NGSクラツド板と略称する)の3種を用いて検
討した。接触力は約25gとし、回転板は2200rpm
で回転させて摺動速度を約80cm/secとした。また
第1図に示すように2ケの固定試片2の両端に
10V250mAの電流を流しつつ、常温、常湿中で
回転円板を500時間連続回転させた。その後、回
転試片の摩耗跡の摩耗深さおよび固定試片の摩耗
長さ(摩耗跡の長手方向の長さ)を測定した。接
触抵抗変動は固定試片の両端より端子を取り出
し、一対の固定試片と回転試片との接触抵抗を電
圧降下分としてオシロスコープ5で定性的に観察
した。測定時には10V、10mAに印加電流を低下
させた。 次に本発明の効果について述べる。 第2図にはAgにNbを添加した場合の固定試片
と回転試片の摩耗量の変化を示す。すなわち、
Nbを添加することにより、固定試片と回転試片
の両方において摩耗量の減少をもたらすことが明
らかであり、特に固定試片の摩耗量減少効果(第
2図B)は著しい。しかし、Nbが8重量%を超
えると急激に摩耗量が増大する。なおNb量が10
重量%を超えた場合には検討用材料製造のための
伸縮時に破断がおこりやすく、また圧延加工によ
る加工性チエツクでは割れが発生しやすいことが
判明した。 第3図にはAgに固溶する元素の代表としてCu
を選び、その量を3重量%に固定し、Nb量を変
化させた場合における固定試片と回転試片の摩耗
量の変化の状態を示す。この結果からAg−Cu合
金においてもNbを添加することにより、固定試
片および回転試片の両方において耐摩耗性が向上
し、特に固定試片の摩耗量低減効果が著しいこと
が明らかである。しかしAg−Nb合金の場合と同
様にAg−Cu−Nb合金においてもNb量が8重量
%をこすと急激に摩耗量が増大する。Nb量が10
重量%を超えた場合については上記Ag−Nb合金
と同様に破断または割れが発生しやすくなつた。 次にNbの添加効果について他の公知のAg合金
に本発明を適用した場合の例を第1表に示す。合
金としては90重量%Ag−10重量%Cu合金、92重
量%Ag−6重量%Cu−2重量%Cd合金、96重量
%Ag−4重量%In合金および98重量%Ag−2重
量%Mn合金を選び、これらの合金とこれらの合
金のAg量の4重量%をNbにおきかえた4種の材
料を刷子に用いるものとして比較した。回転試片
としてはNGSクラツド板を代表例として用い
た。摩耗量は上記公知合金の場合を100とした比
較値で示している。いずれの合金に対してもNb
添加の効果は明らかである。
【表】
次に、接触抵抗変動について述べると、検討し
た各摺動組合せにひとつの傾向が認められた。す
なわち、Nbを含まない材料の場合には、初期に
おいてはNbを含有する材料より若干接触抵抗が
低くなり、その変動も小さいが、摺動時間が長く
なるにしたがつて接触抵抗の変動巾が増大してゆ
く。一方、Nbを含有する本発明の材料を用いた
場合には、摺動時間の増加に伴なう接触抵抗の増
大は緩かであり、500時間後にはNbを含まない材
料よりも低く安定な接触抵抗を示すことが判明し
た。この理由については、Nbを含有する材料
は、摺動時に摺動部の温度上昇により酸化物が形
成されたとしても、Nbの酸化物は導電性がよい
ため接触抵抗増大に及ぼす影響が少ないことおよ
びNbを含まない材料の場合には、摺動時に接点
接触部での凝着による移着層の生成が生じやす
く、摩耗跡の凹凸生成が大きくなるのに反し、
Nbを含有する材料では移着層生成が防止されて
摩耗跡が比較的滑らかになるためと考えられる。
Nbの酸化物は導電性は良いが、かなり硬い物質
であり、前述の如く含有量が8重量%をこえると
急激に摩耗が増すのは、摺動時に生成する酸化物
の量が増して摩耗を促進するためと考えられる。
従つて、酸化物生成の少ない組成範囲では耐摩耗
性の改善が図れるものである。 以上の直流小型モータ整流装置に類似させた試
験装置による試験の結果、Nbを含有するAgおよ
びAg合金における耐摩耗性向上の効果は明らか
であり、固定試片つまり刷子として上記Nbを含
む合金を使用することにより、固定試片のみなら
ず可動試片(整流子に相当)の摩耗を低減するこ
とは、小型モータの整流装置として実用的効果が
極めて大である。 次に、実際に直流小型モータに内蔵させた実施
例を従来のものと比較することにより、本発明に
なる整流装置の効果をより一層明確にする。耐摩
耗性については上述の小型モータ類似試験装置に
よる試験により明確にされたため、そのなかで特
に優れた耐摩耗性を示した93重量%Ag−3重量
%Cu−4重量%Nb合金、89重量%Ag−3重量%
Cu−8重量%Nb合金をそれぞれ刷子に用いた整
流装置を2つの実施例とした。次の第2表は上記
実施例と従来のものの材質を示したものである。
なお数字は重量%である。
た各摺動組合せにひとつの傾向が認められた。す
なわち、Nbを含まない材料の場合には、初期に
おいてはNbを含有する材料より若干接触抵抗が
低くなり、その変動も小さいが、摺動時間が長く
なるにしたがつて接触抵抗の変動巾が増大してゆ
く。一方、Nbを含有する本発明の材料を用いた
場合には、摺動時間の増加に伴なう接触抵抗の増
大は緩かであり、500時間後にはNbを含まない材
料よりも低く安定な接触抵抗を示すことが判明し
た。この理由については、Nbを含有する材料
は、摺動時に摺動部の温度上昇により酸化物が形
成されたとしても、Nbの酸化物は導電性がよい
ため接触抵抗増大に及ぼす影響が少ないことおよ
びNbを含まない材料の場合には、摺動時に接点
接触部での凝着による移着層の生成が生じやす
く、摩耗跡の凹凸生成が大きくなるのに反し、
Nbを含有する材料では移着層生成が防止されて
摩耗跡が比較的滑らかになるためと考えられる。
Nbの酸化物は導電性は良いが、かなり硬い物質
であり、前述の如く含有量が8重量%をこえると
急激に摩耗が増すのは、摺動時に生成する酸化物
の量が増して摩耗を促進するためと考えられる。
従つて、酸化物生成の少ない組成範囲では耐摩耗
性の改善が図れるものである。 以上の直流小型モータ整流装置に類似させた試
験装置による試験の結果、Nbを含有するAgおよ
びAg合金における耐摩耗性向上の効果は明らか
であり、固定試片つまり刷子として上記Nbを含
む合金を使用することにより、固定試片のみなら
ず可動試片(整流子に相当)の摩耗を低減するこ
とは、小型モータの整流装置として実用的効果が
極めて大である。 次に、実際に直流小型モータに内蔵させた実施
例を従来のものと比較することにより、本発明に
なる整流装置の効果をより一層明確にする。耐摩
耗性については上述の小型モータ類似試験装置に
よる試験により明確にされたため、そのなかで特
に優れた耐摩耗性を示した93重量%Ag−3重量
%Cu−4重量%Nb合金、89重量%Ag−3重量%
Cu−8重量%Nb合金をそれぞれ刷子に用いた整
流装置を2つの実施例とした。次の第2表は上記
実施例と従来のものの材質を示したものである。
なお数字は重量%である。
【表】
【表】
整流子材料は前述の小型モータ類似試験に用い
たものと同じ3種を使用した。 実験に使用した直流小型モータは定格13.2V
(使用範囲10〜16V)、定格回転数2200rpmの電子
制御方式マイクロモータで、電子制御回路部を取
りはずしたモータ本体の刷子端子に直接に電圧を
かけて回転させる方式を用いた。この方式によれ
ば、回転の安定性に及ぼす整流装置の影響が直接
的にあらわれる。モータの回路構成を第4図に示
す。ここで5は整流子を構成するセグメント、6
は刷子、7は鉄芯に巻かれたコイル、8は火花消
去素子である。整流子形状は第5図に示す平型で
あり、9は整流子セグメント、10はスリツトで
ある。刷子は第6図に示すような双刷子形状であ
り板バネ11の先端に刷子材料12を点溶接で取
りつけてある。なお13は防振ゴムである。 試験条件は10Vで負荷電流が250mAとなるよ
うモータ回転軸にトルクを加え(回転数は2000〜
2200rpm)、その状態で連続回転試験を行つた。
試験手順は次の通りである。 モータ組立て→エージング(5V4時間)→無負
荷初期特性測定(5V)→10V250mA連続回転試
験(500時間まで)。 かかるモータ試験における本発明の効果を次に
示す。 第3表は無負荷初期特性の一つとして測定した
摺動雑音の比較を示す。この種のモータは音響機
器に使用されることが多いため、整流装置におけ
る摺動雑音はできるだけ低いことが望まれる。摺
動雑音は、回転するモータより10cm離れた位置に
マイクロフオンをおきブルユエル・ケアー社の騒
音周波数分析装置により測定した。摺動雑音は
JISC−1502に準拠するA特性の聴感補性をした
値で単位はdB(A)である。
たものと同じ3種を使用した。 実験に使用した直流小型モータは定格13.2V
(使用範囲10〜16V)、定格回転数2200rpmの電子
制御方式マイクロモータで、電子制御回路部を取
りはずしたモータ本体の刷子端子に直接に電圧を
かけて回転させる方式を用いた。この方式によれ
ば、回転の安定性に及ぼす整流装置の影響が直接
的にあらわれる。モータの回路構成を第4図に示
す。ここで5は整流子を構成するセグメント、6
は刷子、7は鉄芯に巻かれたコイル、8は火花消
去素子である。整流子形状は第5図に示す平型で
あり、9は整流子セグメント、10はスリツトで
ある。刷子は第6図に示すような双刷子形状であ
り板バネ11の先端に刷子材料12を点溶接で取
りつけてある。なお13は防振ゴムである。 試験条件は10Vで負荷電流が250mAとなるよ
うモータ回転軸にトルクを加え(回転数は2000〜
2200rpm)、その状態で連続回転試験を行つた。
試験手順は次の通りである。 モータ組立て→エージング(5V4時間)→無負
荷初期特性測定(5V)→10V250mA連続回転試
験(500時間まで)。 かかるモータ試験における本発明の効果を次に
示す。 第3表は無負荷初期特性の一つとして測定した
摺動雑音の比較を示す。この種のモータは音響機
器に使用されることが多いため、整流装置におけ
る摺動雑音はできるだけ低いことが望まれる。摺
動雑音は、回転するモータより10cm離れた位置に
マイクロフオンをおきブルユエル・ケアー社の騒
音周波数分析装置により測定した。摺動雑音は
JISC−1502に準拠するA特性の聴感補性をした
値で単位はdB(A)である。
【表】
第3表より本発明になる整流装置を使用したモ
ータはその摺動雑音が低く、音響機器の用途に対
し非常に好ましい結果を与えることが明らかであ
る。 第7図には、1V、250mAの負荷状態で連続回
転させた場合の回転数の安定性の堆移を示す。回
転の安定性はモータ軸に取りつけた回転円板をス
トロボで照射し、回転数に同期した状態で生ずる
回転円板の前後変動の大小を観察し定性的に略3
段階に判定した。第7図では本実施例、従来例と
もそれぞれの整流子について3台ずつのモータを
使用し、回転数変動定性的評価のバラツキの範囲
を縦細線で示してある。定性的評価は実用特性と
の関係で判定したもので〇印レベルは実使用上良
好、△印レベルは実用上問題ないレベル、そして
×印レベルは実使用不可のレベルである。第7図
は500時間の堆移を示すが本発明になる整流装置
を使用したモータは回転の安定性が極めてよいこ
とが明らかである。 以上のように、本発明の整流装置は、刷子およ
び整流子の摩耗が少なく、接触抵抗が安定で摺動
雑音が低く、回転の安定性もよいという極めて優
れた特徴を有するものであり、その実用的効果は
大である。
ータはその摺動雑音が低く、音響機器の用途に対
し非常に好ましい結果を与えることが明らかであ
る。 第7図には、1V、250mAの負荷状態で連続回
転させた場合の回転数の安定性の堆移を示す。回
転の安定性はモータ軸に取りつけた回転円板をス
トロボで照射し、回転数に同期した状態で生ずる
回転円板の前後変動の大小を観察し定性的に略3
段階に判定した。第7図では本実施例、従来例と
もそれぞれの整流子について3台ずつのモータを
使用し、回転数変動定性的評価のバラツキの範囲
を縦細線で示してある。定性的評価は実用特性と
の関係で判定したもので〇印レベルは実使用上良
好、△印レベルは実用上問題ないレベル、そして
×印レベルは実使用不可のレベルである。第7図
は500時間の堆移を示すが本発明になる整流装置
を使用したモータは回転の安定性が極めてよいこ
とが明らかである。 以上のように、本発明の整流装置は、刷子およ
び整流子の摩耗が少なく、接触抵抗が安定で摺動
雑音が低く、回転の安定性もよいという極めて優
れた特徴を有するものであり、その実用的効果は
大である。
第1図は本発明の検討に用した摩耗試験装置の
略図、第2図及び第3図は本発明になる整流装置
における耐摩耗性を示す線図、第4図は本発明の
実用試験を行つたモータの回路の構成を示す図、
第5図は整流子の斜視図、第6図は刷子の斜視
図、第7図はモータの連続回転試験における回転
の安定性の推移を示す図である。 5……整流子、6……刷子、7……コイル、9
……整流子セグメント、10……スリツト、11
……板バネ、12……刷子材料。
略図、第2図及び第3図は本発明になる整流装置
における耐摩耗性を示す線図、第4図は本発明の
実用試験を行つたモータの回路の構成を示す図、
第5図は整流子の斜視図、第6図は刷子の斜視
図、第7図はモータの連続回転試験における回転
の安定性の推移を示す図である。 5……整流子、6……刷子、7……コイル、9
……整流子セグメント、10……スリツト、11
……板バネ、12……刷子材料。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 整流子と刷子とを備え、刷子が銀もしくは銀
合金に2〜8重量%のNbを含有する合金である
ことを特徴とする直流小型モータの整流装置。 2 銀合金は銀にCu、In、CdおよびMnのうちの
1種又は2種以上が含まれる合金であることを特
徴とする特許請求の範囲第1項記載の直流小型モ
ータの整流装置。 3 整流子が95重量%Ag−5重量%Cu合金であ
ることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の
直流小型モータの整流装置。 4 整流子が70重量%An−27重量%Ag−3重量
%Ni合金表面層/95重量%Ag−5重量%Cu合金
中間層/りん青銅基板の三層クラツド材であるこ
とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の直流
小型モータの整流装置。 5 整流子がりん青銅であることを特徴とする特
許請求の範囲第1項記載の直流小型モータの整流
装置。 6 銀合金にCu、In、CdおよびMnのうちの2種
以上が含まれ、その合計量が10重量%以下である
ことを特徴とする特許請求の範囲第2項記載の直
流小型モータの整流装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5055678A JPS54142504A (en) | 1978-04-26 | 1978-04-26 | Rectifying apparatus for dc small motor |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5055678A JPS54142504A (en) | 1978-04-26 | 1978-04-26 | Rectifying apparatus for dc small motor |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS54142504A JPS54142504A (en) | 1979-11-06 |
JPS6122551B2 true JPS6122551B2 (ja) | 1986-06-02 |
Family
ID=12862282
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5055678A Granted JPS54142504A (en) | 1978-04-26 | 1978-04-26 | Rectifying apparatus for dc small motor |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS54142504A (ja) |
-
1978
- 1978-04-26 JP JP5055678A patent/JPS54142504A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS54142504A (en) | 1979-11-06 |
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