【発明の詳細な説明】
非対称電流を用いたガルヴァーニ乾電池の充電装置
発明の分野
本発明は電池の脱硫酸化、充電、及び硫酸化の防止をする装置に関するもので
、特に交流電源からの非対称電流によって、鉛蓄電池のような湿式電池だけでな
く、充電式(rechargeable)及び非充電式(non-rechargeable)のガルヴァーニ
電池、アルカリ電池、リチウム電池、酸化水銀電池、酸化銀電池、亜鉛−炭素電
池、塩化亜鉛電池、及びニッケル−カドミウム電池等の乾電池をも繰返し充電す
ることができる電池充電装置に関するものである。
発明の背景
通常電池充電装置は、電池電圧と電圧値を合わせるために、交流電源電圧を降
下させる、大きく、高価でかつ重いトランスを備えている。このような既知の充
電装置は、鉛蓄電池のような、いわゆる「充電式電池」しか充電することができ
ない。いわゆるトランスレス電池充電装置も、当技術分野において周知である。
これらは通常ダイオードブリッジ回路を利用しており、少なくとも4つのダイオ
ードが必要であり、また充電式電池の充電(または再充電)に限られている。
本明細書中で、「脱硫酸化(desulphation)」の用語は電池端子の清掃を意味
する。
本発明は、最小限の数の部品を備えたトランスレス回路を用いて充電式及び非
充電式両方のガルヴァーニ乾電池を充電することができる回路を備えている。こ
れにより、装置のコストとサイズとが最小化される。さらに、本充電回路は、充
電される電池の数による影響を受けず、回路の蓄電容量に依存する。
関連技術の説明
出願人は、トランスレス電池充電装置に関する以下のアメリカ特許を知得して
いる。
上記特許の中には本発明の特徴を備えているものもあるが、これらはすべてあ
る側面で欠落している点がある。上記特許のほとんどは、大規模な回路を要する
とともに動作上の制限を有し、しかも非充電式電池に使用できるように設計され
ているものは皆無である。このリストの中でもっとも関係が深いのは、ウィット
、バーク、及びメイソンである。
ウィットは、放電抵抗器に接続されて電源電圧が印加される分圧器を備えた充
電式電池ユニットを示している。乾式整流器を用いて抵抗を与えることにより、
充電整流器を電圧変動中に発生する高電圧ピークから保護している。
バークは、フラッシュ用電池の充電装置を示している。バークにあっては、結
合コンデンサを介して電源電圧が供給され、その後に全波整流される。蓄積コン
デンサは交流電源電圧の交互に現れる半周期の間に比較的高電圧まで充電される
。後の半周期で、蓄積コンデンサはLED及び抵抗器を通じて放電し、電池に比
較的高電圧の制限された電流を供給する。
メイソンは、負荷と無関係に電流が調整される場合に充電に使用することがで
きる調整回路を示している。
発明の概要
本発明は、従来の充電回路の短所をなくすると同時に、構造上及び動作上の利
点を追加することができる改良された電池充電回路に関する。
交流電源から充電式と非充電式との両方の電池を充電するための充電回路は、
コンデンサ及び2個のダイオードを利用している。第1のダイオードのアノード
は、第1の出力端子及び第1の入力端子に接続されている。第1のダイオードの
カソードは、第2のダイオードのアノードに接続され、第2のダイオードのカソ
ードは、第2の出力端子に接続されている。第2の入力端子には、コンデンサが
接続されている。1つのコンデンサはさらに、第1のダイオードのカソード、従
って第2のダイオードのアノードに接続されている。第2のコンデンサはさらに
、第2の出力端子に接続されている。
本充電回路は分圧回路網からなり、放電したアルカリ型電池に陰イオンを移動
させるのに適した独自の非対称波形を伝搬することができる。これにより、電池
は熱劣化を起こすことなく指定された電圧及び充電容量レベルまで回復すること
ができる。
発明の目的
本発明の主要な目的は、脱硫酸化、充電、及び硫酸化防止のための改良された
装置を提供することである。
本発明の他の目的は、交流電流からの非対称電流によって、ガルヴァーニ乾電
池を充電する装置を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、充電電流値が充電時間ではなく装置の蓄電容量に
よって定まり、多数の電池を充電することができる装置を提供することである。
本発明の他の目的は、電池が十分に再充電されたときに、過充電を防止すべく
充電される電池への電流を制御する装置を提供することである。
図面の簡単な説明
上記及び他の目的は、以下の詳細な説明と添付図面とを参照することにより、
容易に明らかとなろう。
図1は本発明に従ってその特徴を具現すべく構成された電池充電回路を示す概
略回路図である。
図2は電池の過充電を防ぐために補助的に設けられた電池充電回路の概略回路
図である。
図3は本発明による概略波形図であり、充電される電池に対する充電回路の効
果を示している。
詳細な説明
本発明の回路には、図1に示すように、交流電源(120V,60Hzあるいは220V,
50Hz)に接続するために設けられた入力端子1及び2と、再充電するセルに接続
される端子12ないし24との接続のために設けられた出力端子10及び11と
が含まれる。入力端子1は、ダイオード6のアノードと負極側出力端子10とに
それぞれ接続される。ダイオード6のカソードは、ダイオード7のアノードと、
コンデンサ3とにそれぞれ接続される。コンデンサ3のもう一方の端子は、入力
端子2に接続されている。また、入力端子2はコンデンサ5に接続される。コン
デンサ5の他方の端子は、出力端子11と発光ダイオード8のカソードとにそれ
ぞれ接続される。発光ダイオード8のアノードは、ダイオード7のカソードに接
続される。発光ダイオード8は、抵抗器9及びコンデンサ4と並列に接続される
。なお、コンデンサ4及び抵抗器9は、発光ダイオード8に流れる電流を制限す
るために設けられており、白熱電球をインジケータとして使用する場合、これら
は設けられない。
作動中、交流電源電圧が端子1及び2に加えられる。ダイオード6のアノード
が"正"で、コンデンサ3が"負"であるような位相においては、コンデンサ3への
充電が開始される。この充電は、ダイオード6がオフした後、コンデンサ3が電
源電圧の振幅値に到達するまで継続される。コンデンサ3の一方の電圧は、他方
の側と比較すると正に帯電していることになるが、電源及びコンデンサ3を含む
回路中では"0"である。この半周期中、電流は入力端子1、出力端子10、端子
12ないし24、電池、出力端子11、コンデンサ5、入力端子2によって構成
される回路中を流れることになる。
この半周期の後半はじめから、電源及びコンデンサ3を含む回路の電圧は、電
池の電圧にまで徐々に上昇する。この回路の電圧が電池の電圧にまで到達すると
、ダイオード7に電流が流れ、コンデンサ3はダイオード7、抵抗器9、電池、
電源を含む回路を介して電池に放電を開始する。
電源電圧の極性が変わると、充電電流は電源電圧及びコンデンサ3の電圧が電
池の電圧と等しくなるまで流され、その結果、コンデンサ3は先程と逆の極性に
充電される。ダイオード7に電流が流れると、コンデンサ3、ダイオード7、抵
抗器9、コンデンサ5からなる回路を流れる電流によって、コンデンサ3及び5
の電位は等しく保たれる。充電が完了すると、装置の構成が再度変わる。コンデ
ンサ3は電源電圧の振幅値まで再度充電され、その結果、前記の過程は電源電圧
の周波数に応じて周期的に繰り返される。
電池の電圧が電源電圧の振幅値よりも高い場合、上記過程はコンデンサ3の再
充電なしに繰り返される。その代わり、コンデンサ3は電源によって余分に充電
され電池に放電する。すなわち、コンデンサ3の容量性抵抗は、電池充電電流を
制限するものである。充電中、コンデンサ3は電源電圧に連続的に、相対応して
接続されるため、補助電圧電源として動作する。そこで電池は、電源電圧の振幅
の2倍の電圧まで充電される。
実際に電池が充電されうる電荷量は、電池の質、特にセルの密封性に依存する
。一般に、ガルヴァーニ乾電池においては、ここに開示された回路の使用によっ
て、その電気容量の80%以上を再充電することができる。
図2に本発明による充電装置の好適一実施例を示す。ここに図示された回路は
、図1の回路にいくつかの部分を付加したものである。両図に共通の符号は、同
一の部分を示す。コンデンサ26及び抵抗器27は、コンデンサ3と並列に接続
される。抵抗器36は、発光ダイオード8に流れる電流を制限するために発光ダ
イオード8と直列に接続される。制御回路37は、出力端子10と11との間に
接続されるセルの過充電を防ぐために充電回路に接続される。
制御回路37は、そのアノードがダイオード6のカソードとダイオード7のア
ノードとに接続されたダイオード28を含む。ダイオード28のカソードは、シ
リコン制御整流素子30のアノードに接続される抵抗器29と直列につながれる
。SCR30のゲートは、ツェナーダイオード32のアノードと、抵抗器31の
一方の端子に接続される。抵抗器31の他方の端子はSCR30のカソードに接
続される。SCR30のカソードは出力端子10に接続される。ツェナーダイオ
ード32のカソードは、ポテンショメータ33のワイパーに接続される。ポテン
ショメータ33の一方の端子は抵抗器35と直列に接続され、また、他方の端子
は抵抗器34と接続される。抵抗器34の他方の端子は出力端子11と接続され
、また、抵抗器35の他方の端子は出力端子10に接続される。
作動中、ポテンショメータの作動レベルは、出力端子10と11間の充電器に
設置される充電を要する電池セルの数量と種類に応じて、本充電器の使用者によ
って設定されるものとする。セルが上記回路の作動によって十分充電され、また
、端子2が端子1に対して正である場合、ダイオード7とダイオード28はON
状態で、ダイオード6はOFF状態である。充電の完了に伴う端子10と11と
の間の電圧の上昇によって、ツェナーダイオード32にブレークダウン電圧が生
じる。端子10と11との間の再充電されたセルは抵抗値が高いため、電流はセ
ル方向から反れて抵抗器34を流れる。この逆方向電流は、ツェナーダイオード
32を通じて、さらにはSCR30のゲートへと流れる。これによりSCR30
が作動され、電流がSCRのアノードからカソード方向へと流れるようになる。
すなわち、電流は上記のように充電回路からこの制御回路の方へ導かれ、これに
より再充電されたセルはバイパスされ過充電を防ぐことができるのである。
端子1が端子2に対して正であるとき、ダイオード28とダイオード7はとも
にOFF状態で、ダイオード6はON状態である。電流はダイオード6、コンデ
ンサ5、一連の抵抗器34,33,35からなる回路を流れる。
図3に示されるように、本充電回路は特徴的な非対称波形を伝達し、陰イオン
を放電されたアルカリ型電池に移動させることができる。これにより、熱劣化を
生じることなく電池を指定された電圧及び充電容量レベルにまで再充電すること
ができる。さらに、充電しているアルカリ電池を含む電圧フィードバック回路網
が動作しており、電池が満充電となるとなだれ的な電流降下が生じて、充電電流
を一定に保持する。このような安全策によって、過充電による電池の破壊を防止
している。
すなわち、分極が発生すると、アルカリ電池の正極端子AOは水酸化物(hydr
ogen oxide)のバリアに取り囲まれてその酸化カリウム(potassium oxide)(K
OH)電解質から分離され、外部電気回路への自由電子の通路が妨害される。分極
が起こると、アルカリ電池の内部抵抗は増大し、電池の起電力(emf)が減少す
る。内部抵抗が最大となると、電池は放電した状態であり、使用できないものと
考えられる。
本電池充電装置独自の非対称波形は、正極の分極を崩壊させ、排除された水酸
イオン(OH-1)はカリウムと化学的に再結合して元の電解質を生成する。これに
より、電池の内部抵抗は減少されて、電池は再度満充電の状態に回復される。本
発明の充電装置は、2つの成分を生成する。基準直流電流キャリアと、その基準
直流電流キャリアに重畳される重畳交流電流ベクトルとである。交流電流ベクト
ルは充電ベクトルであり、その大きさと方向とは変わることがない。一方、基準
直流電流キャリアは、交流充電ベクトルの影響(affectivity)に従って、アル
カリ電池の初期の直流電圧まで上昇する。
要するに、この充電装置は、交流電流を直流パルス電流(交流成分)に変換し
、その直流パルス電流は上昇する直流成分に重畳される。この組合せにより、ア
ルカリ電池をはじめとする他の形式の電池を充電し、また再充電することができ
る。この充電装置が発生する独特の波形は、初期値から第1のピークまで上昇し
、わずかに降下した後に前記第1のピークより低い第2のピークまで上昇する。
そして初期値まで降下してその値をしばらく維持した後、第1のピークと同様の
レベルまで上昇する。図3に示されるように、これは電池が充電されるまで反復
される。上記以外の充電成分から同様の波形を得ることもできるであろうが、本
発明はこの波形を得ることができるようないかなる成分をも包含するものである
。
代替実施例
以上説明した回路は、種々改変して様々な容量の様々な電池を取り扱うことが
できる。例えば、ガルヴァーニ電池、アルカリ電池、リチウム電池、酸化水銀電
池、酸化銀電池、亜鉛−炭素電池、塩化亜鉛電池、ニッケル−カドミウム電池な
どであり、充電式のものであっても非充電式のものであってもよく、また鉛蓄電
池のような湿式電池であってもよい。充電電流は負荷の値、すなわち同時に充電
する電池の数及びその形式には関係なく、コンデンサ3の蓄電容量によって定ま
る。従って、発光ダイオードを単なる表示灯に置き換えてもよい。さらに、回路
に拡張を加えて、装置の機能または安全性を増すようにしてもよい。例えば、ス
イッチを設けて、使用者が装置に電池を装填している間は電源を切り離すように
することができる。回路ユニットを電池と同じケースに組み込むことができ、そ
れにより充電用スタンドをなくすことができる。さらに、含まれる回路は限られ
ているので、充電装置と電池とをそれが使用される装置に直接組み込んでもよい
。
本発明による目的達成の概要
以上述べたことからすでに明らかであるが、乾電池及び湿式電池の脱硫酸化と
充電とを行うための方法及び装置を改良する発明であり、充電式、非充電式いず
れにも適用でき、また、従来よりもより経済的に行うことができるものである。
なお、以上の説明及び特定の実施例は、本発明のベストモードとその原理とを
単に例示したものに過ぎず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本装
置に当業者によって種々の改変と追加とを行うことが可能である。従って、その
本発明の精神と範囲とは、付属の請求の範囲のみによって限定されるべきもので
ある。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年8月27日
【補正内容】
第2のコンデンサはさらに、第2の出力端子に接続されている。
本充電回路は分圧回路網からなり、放電したアルカリ型電池に陰イオンを移動
させるのに適した独自の非対称波形を伝搬することができる。これにより、電池
は熱劣化を起こすことなく指定された電圧及び充電容量レベルまで回復すること
ができる。
この交流電流は反復される波形を有し、初期値から第1のピークまで上昇し、
わずかに降下した後に前記第1のピークより低い第2のピークまで上昇し、そし
て前記初期値まで降下してその値をしばらく維持した後、前記第1のピークと同
様のレベルまで上昇してこれを反復する。そして、電池を充電するのに十分な時
間の間電池の端子を通じて前記交流電流を供給する。
発明の目的
本発明の主要な目的は、電池の脱硫酸化、充電、及び硫酸化防止のための改良
された装置を提供することである。
本発明の他の目的は、交流電流からの非対称電流によって、ガルヴァーニ乾電
池を充電する装置を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、充電電流値が充電時間ではなく装置の蓄電容量に
よって定まり、多数の電池を充電することができる装置を提供することである。
本発明の他の目的は、電池が十分に再充電されたときに、過充電を防止すべく
充電される電池への電流を制御する装置を提供することである。
図面の簡単な説明
上記の及び他の目的は、以下の詳細な説明と添付図面とを参照することにより
、容易に明らかとなろう。
図1は本発明に従ってその特徴を具現すべく構成された電池充電回路を示す概
略回路図である。
図2は電池の過充電を防ぐために補助的に設けられた電池充電回路の概略回路
図である。
図3は本発明による概略波形図であり、充電される電池に対する充電回路の効
果を示している。
詳細な説明
本発明の回路には、図1に示すように、交流電源(120V,60Hzあるいは220V,
50Hz)に接続するために設けられた入力端子1及び2と、再充電するセルに接続
される端子12ないし24との接続のために設けられた出力端子10及び11と
が含まれる。入力端子1は、ダイオード6のアノードと負極側出力端子10とに
それぞれ接続される。ダイオード6のカソードは、ダイオード7のアノードと、
コンデンサ3とにそれぞれ接続される。コンデンサ3のもう一方の端子は、入力
端子2に接続されている。また、入力端子2はコンデンサ5に接続される。コン
デンサ5の他方の端子は、出力端子11と発光ダイオード8のカソードとにそれ
ぞれ接続される。発光ダイオード8のアノードは、ダイオード7のカソードに接
続される。発光ダイオード8は、抵抗器9及びコンデンサ4と並列に接続される
。なお、コンデンサ4及び抵抗器9は、発光ダイオード8に流れる電流を制限す
るために設けられており、白熱電球をインジケータとして使用する場合には、こ
れらは設けられない。
作動中、交流電源電圧が端子1及び2に加えられる。ダイオード6のアノード
が"正"で、コンデンサ3が"負"であるような位相においては、コンデンサ3への
充電が開始される。この充電は、ダイオード6がオフした後、コンデンサ3が電
源電圧の振幅値に到達するまで継続される。コンデンサ3の一方の側の電圧は、
他方の側と比較すると正に帯電していることになるが、電源及びコンデンサ3を
含む回路中では"0"である。この半周期中、電流は入力端子1、出力端子10、
端子12ないし24、電池、出力端子11、コンデンサ5、入力端子2によって
構成される回路中を流れることになる。
この半周期の後半はじめから、電源及びコンデンサ3を含む回路の電圧は、電
池の電圧にまで徐々に上昇する。この回路の電圧が電池の電圧にまで到達すると
、ダイオード7に電流が流れ、コンデンサ3はダイオード7、抵抗器9、電池、
電源を含む回路を介して電池に放電を開始する。
電源電圧の極性が変わると、充電電流は電源電圧及びコンデンサ3の電圧が電
池の電圧と等しくなるまで流され、その結果、コンデンサ3は先程と逆の極性に
充電される。ダイオード7に電流が流れると、コンデンサ3、ダイオード7、抵
抗器9、コンデンサ5からなる回路を流れる電流によって、コンデンサ3及び5
の電位は等しく保たれる。充電が完了すると、装置の構成が再度変わる。コンデ
ンサ3は電源電圧の振幅値まで再度充電され、その結果、前記の過程は電源電圧
の周波数に応じて周期的に繰り返される。
電池の電圧が電源電圧の振幅値よりも高い場合、上記過程はコンデンサ3の再
充電なしに繰り返される。その代わり、コンデンサ3は電源によって余分に充電
され電池に放電する。すなわち、コンデンサ3の容量性抵抗は、電池充電電流を
制限するものである。充電中、コンデンサ3は電源電圧に連続的に、相対応して
接続されるため、補助電圧電源として動作する。そこで電池は、電源電圧の振幅
の2倍の電圧まで充電される。
実際に電池が充電されうる電荷量は、電池の質、特にセルの密封性に依存する
。一般に、ガルヴァーニ乾電池においては、ここに開示された回路の使用によっ
て、その電気容量の80%以上を再充電することができる。
図2に本発明による充電装置の好適一実施例を示す。ここに図示された回路は
、図1の回路にいくつかの部分を付加したものである。両図に共通の符号は、同
一の部分を示す。コンデンサ26及び抵抗器27は、コンデンサ3と並列に接続
される。抵抗器36は、発光ダイオード8に流れる電流を制限するために発光ダ
イオード8と直列に接続される。制御回路37は、出力端子10と11との間に
接続されるセルの過充電を防ぐために充電回路に接続される。
制御回路37は、そのアノードがダイオード6のカソードとダイオード7のア
ノードとに接続されたダイオード28を含む。ダイオード28のカソードは、シ
リコン制御整流素子30のアノードに接続される抵抗器29と直列につながれる
。SCR30のゲートは、ツェナーダイオード32のアノードと、抵抗器31の
一方の端子に接続される。抵抗器31の他方の端子はSCR30のカソードに接
続される。SCR30のカソードは出力端子10に接続される。ツェナーダイオ
ード32のカソードは、ポテンショメータ33のワイパーに接続される。ポテン
ショメータ33の一方の端子は抵抗器35と直列に接続され、また、他方の端子
は
抵抗器34と接続される。抵抗器34の他方の端子は出力端子11と接続され、
また、抵抗器35の他方の端子は出力端子10に接続される。
作動中、ポテンショメータの作動レベルは、出力端子10と11間で充電器に
設置される充電を要する電池セルの数量と種類に応じて、本充電器の使用者によ
って設定されるものとする。セルが上記回路の作動によって十分充電され、また
、端子2が端子1に対して正である場合、ダイオード7とダイオード28はON
状態で、ダイオード6はOFF状態である。充電の完了に伴う端子10と11と
の間の電圧の上昇によって、ツェナーダイオード32にブレークダウン電圧が生
じる。端子10と11との間の再充電されたセルは抵抗値が高いため、電流はセ
ル方向から反れて抵抗器34を流れる。この逆方向電流は、ツェナーダイオード
32を通じて、さらにはSCR30のゲートへと流れる。これによりSCR30
が作動され、電流がSCRのアノードからカソード方向へと流れるようになる。
すなわち、電流は上記のように充電回路からこの制御回路の方へ導かれ、これに
より再充電されたセルはバイパスされ過充電を防ぐことができるのである。
端子1が端子2に対して正であるとき、ダイオード28とダイオード7はとも
にOFF状態で、ダイオード6はON状態である。電流はダイオード6、コンデ
ンサ5、直列抵抗器34,33,35からなる回路を流れる。
図3に示されるように、本充電回路は特徴的な非対称波形を伝達し、陰イオン
を放電されたアルカリ型電池に移動させることができる。これにより、熱劣化を
生じることなく電池を指定された電圧及び充電容量レベルにまで再充電すること
ができる。さらに、充電しているアルカリ電池を含む電圧フィードバック回路網
が動作しており、電池が満充電となるとなだれ的な電流降下が生じて、充電電流
を一定に保持する。このような安全策によって、過充電による電池の破壊を防止
している。
すなわち、分極が発生すると、アルカリ電池の正極端子AOは水酸化物(hydr
ogen oxide)のバリアに取り囲まれてその酸化カリウム(potassium oxide)(K
OH)電解質から分離され、外部電気回路への自由電子の通路が妨害される。分極
が起こると、アルカリ電池の内部抵抗は増大し、電池の起電力(emf)が減少す
る。内部抵抗が最大となると、電池は放電した状態であり、使用できないものと
考え
られる。
本電池充電装置独自の非対称波形は、正極の分極を崩壊させ、排除された水酸
イオン(OH-1)はカリウムと化学的に再結合して元の電解質を生成する。これに
より、電池の内部抵抗は減少されて、電池は再度満充電の状態に回復される。本
充電装置は、2つの成分を生成する。基準直流電流キャリアと、その基準直流電
流キャリアに重畳される重畳交流電流ベクトルとである。交流電流ベクトルは充
電ベクトルであり、その大きさと方向とは変わることがない。一方、基準直流電
流キャリアは、交流充電ベクトルの影響(affectivity)に従って、アルカリ電
池の初期の直流電圧まで上昇する。
要するに、この充電装置は、交流電流を前記上昇する直流成分に重畳した直流
パルス電流(交流成分)に変換する。この組合せにより、アルカリ電池をはじめ
とする他の形式の電池を充電し、また再充電することができる。この充電装置は
交流及び直流電流を重畳した直接の結果として、独特の波形を発生する。この独
特の波形は充電装置に依存し、初期値から第1のピークまで上昇し、わずかに降
下した後に前記第1のピークより低い第2のピークまで上昇する。そして初期値
まで降下してその値をしばらく維持した後、第1のピークと同様のレベルまで上
昇する。図3に示されるように、これは電池が充電されるまで反復される。上記
以外の充電成分から同様の波形を得ることもできるであろうが、本発明はこの波
形を得ることができるようないかなる成分をも包含するものである。
代替実施例
この改良された充電回路は、コンデンサと2個のダイオードとを利用して、「
充電式」及び「非充電式」いずれの電池も充電する。本回路は、基準直流電流キ
ャリアとその基準直流電流に重畳された交流電流充電ベクトルとによって電池を
充電する。本回路は反復する波形を有する交流電流を生成する。その反復波形は
、一波長について2位相の変位を有し、交流電流のピーク値Imに関する実効値(
自乗平均平方根値)電流Irms(Irmsはほぼ0.707Imに等しい。)をとる
。また、第1の振幅増加及び第2の振幅増加を備え、各振幅増加はそれに引き続
いて起こる振幅の減少を伴う。それによって、その第2の振幅増加は、交流電流
充
電ベクトルの位相角が0度に戻るのとほぼ同時に始まる。第2の振幅減少は、交
流電流充電ベクトルの位相角が45度まで戻るのとほぼ同時に終わり、その後、
波形は一定の角周波数、位相期間、及び振幅をもって周期的に反復される。
以上説明した回路は、種々改変して様々な容量の様々な電池を取り扱うことが
できる。例えば、ガルヴァーニ電池、アルカリ電池、リチウム電池、酸化水銀電
池、酸化銀電池、亜鉛−炭素電池、塩化亜鉛電池、ニッケル−カドミウム電池な
どであり、充電式のものであっても非充電式のものであってもよく、また鉛蓄電
池のような湿式電池であってもよい。充電電流は負荷の値、すなわち同時に充電
する電池の数及びその形式には関係なく、コンデンサ3の充電容量によって定ま
る。従って、発光ダイオードを単なる表示灯に置き換えてもよい。さらに、回路
に拡張を加えて、装置の機能または安全性を増すようにしてもよい。例えば、ス
イッチを設けて、使用者が装置に電池を装填している間は電源を切り離すように
することができる。回路ユニットを電池と同じケースに組み込むことができ、そ
れにより充電用スタンドをなくすことができる。さらに、含まれる回路は限られ
ているので、充電装置と電池とをそれが使用される装置に直接組み込んでもよい
。
本発明による目的達成の概要
以上述べたことからすでに明らかであるが、乾電池及び湿式電池の脱硫酸化と
充電とを行うための方法及び装置を改良する発明であり、充電式非充電式いずれ
にも適用でき、また、従来よりもより経済的に行うことができるものである。
なお、以上の説明及び特定の実施例は、本発明のベストモードとその原理とを
単に例示したものに過ぎず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本装
置に当業者によって種々の改変と追加とを行うことが可能である。従って、その
本発明の精神と範囲とは、付属の請求の範囲のみによって限定されるべきもので
ある。
請求の範囲
1.交流電源電圧から生成される非対称電流によって電池を充電する回路であっ
て、
前記交流電源電圧に接続するための接続手段を備えた第1及び第2の入力端子
と、
前記電池に接続するための接続手段を備えた第1及び第2の出力端子と、
アノード及びカソードを備え、そのアノードが前記第1の出力端子と第1の入
力端子とに接続されている第1のダイオードと、
アノード及びカソードを備え、そのカソードが前記第2の出力端子に接続され
ている第2のダイオードと、
2つの端子を有し、その一方の端子が前記第2の入力端子に接続されるととも
に、他方の端子が前記第1のダイオードのカソードと前記第2のダイオードのア
ノードとに接続されている第1のコンデンサと、
2つの端子を有し、その一方の端子が前記第2の入力端子に接続されるととも
に、他方の端子が前記第2の出力端子に接続されている第2のコンデンサと、
前記電池が所定のレベルまで充電された後に前記出力端子に接続された電池を
流れる電流を制限するための手段とを備え、その電流制限手段は、
アノード及びカソードを備えた第3のダイオードと、
2つの端子を有する第1の抵抗器と、
アノード、カソード、及びゲートを有するシリコン制御整流器と、
2つの端子を有する第2の抵抗器と、
アノード及びカソードを有するツェナーダイオードと、
2つの端子を有する第3の抵抗器と、
2つの端子を有する第4の抵抗器と、
3つの端子を有し、そのうちの1つの端子がその抵抗値を可変させるようにな
っているポテンショメータとを有しており、
前記第3のダイオードのアノードは前記第1のダイオードのカソードに接続さ
れ、
前記第1の抵抗器の一方の端子は、前記第3のダイオードのカソードに接続さ
れ、他方の端子は前記シリコン制御整流器のアノードに接続され、
前記シリコン制御整流器のゲートは、前記ツェナーダイオードのアノードと前
記第2の抵抗器の一方の端子とに接続され、
前記シリコン制御整流器のカソードは、前記第2の抵抗器の第2の端子と前記
第1の出力端子とに接続され、
前記ツェナーダイオードのカソードは、前記ポテンシヨメータの可変端子に接
続され、
前記第3の抵抗器の一方の端子は前記第2の出力端子に接続され、他方の端子
は前記ポテンショメータの1つの端子に接続され、
前記第4の抵抗器の一方の端子は、前記ポテンショメータの第2の端子に接続
され、他方の端子は前記第1の出力端子に接続されている電池充電回路。
2.充電電流に応じて回路が動作していることを表示するための表示手段をさら
に備えている請求の範囲第1項に記載の回路。
3.充電される電池が装填されていないときに前記交流電源電圧を切り離すため
のスイッチ手段をさらに備えている請求の範囲第1項に記載の回路。
4.充電される電池は乾電池である請求の範囲第1項に記載の回路。
5.充電される電池が、充電式あるいは非充電式のガルヴァーニ電池、アルカリ
電池、リチウム電池、酸化水銀電池、酸化銀電池、亜鉛−炭素電池、塩化亜鉛電
池、ニッケル−カドミウム電池からなるグループから選択される請求の範囲第4
項に記載の回路。
6.充電される電池は湿式電池である請求の範囲第1項に記載の回路。
7.第5の抵抗器と第3のコンデンサとをさらに備え、それら第5の抵抗器及び
第3のコンデンサは、前記第1のコンデンサの端子間で分路を形成している請求
の範囲第1項に記載の回路。
8.アノードとカソードとを有し、そのカソードは前記第2の出力端子に接続さ
れており、そのアノードは前記第2のダイオードのカソードに接続されている発
光ダイオードをさらに備えた請求の範囲第2項に記載の回路。
9.前記第2のダイオードのカソードと前記発光ダイオードのアノードとの間に
第6の抵抗器がさらに接続されている請求の範囲第8項に記載の回路。
10.それぞれ第1及び第2の端子を有し、第1の端子は各々前記第1のダイオ
ードのカソードに接続され、第2の端子は各々前記第2の出力端子に接続されて
いる第7の抵抗器と第4のコンデンサとをさらに備えた請求の範囲第9項に記載
の回路。
11.放電した電池を充電する方法であって、
基準直流電流キャリアとその基準電流に重畳される交流電流充電ベクトルとを
生成し、
その交流電流は一波長について2つの位相の変位を有し、
その2つの位相の変位は、
第1及び第2の振幅増加と、第1及び第2の振幅減少とを備え、
前記第2の振幅増加は前記交流電流充電ベクトルの位相角が0度に戻るのとほ
ぼ同時に始まり、
前記第2の振幅減少は前記交流電流充電ベクトルの位相角が45度に戻るのと
ほぼ同時に終了し、
前記波形を一定の角周波数、位相期間、及び振幅をもって周期的に反復し、
この交流電流を前記交流電流充電ベクトルの影響に従って前記基準直流電流キ
ャリアが電池の初期の直流電圧に上昇するまで電池の端子を通じて印加する
充電方法。
【図3】
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