JPH11293415A - 残留磁束密度が低く加工性および高周波特性に優れる鉄心 - Google Patents
残留磁束密度が低く加工性および高周波特性に優れる鉄心Info
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- JPH11293415A JPH11293415A JP11436198A JP11436198A JPH11293415A JP H11293415 A JPH11293415 A JP H11293415A JP 11436198 A JP11436198 A JP 11436198A JP 11436198 A JP11436198 A JP 11436198A JP H11293415 A JPH11293415 A JP H11293415A
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- Japan
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高珪素鋼板からなり、残留密度が低く、かつ
優れた高周波特性を維持しつつ加工性に優れた鉄心を提
供すること。 【解決手段】 最表層のSi濃度が5〜7wt.%、表
層部に形成されたSiが3.5wt.%以上となる高S
i濃度層の厚さが板厚全体の25%以下であり、板厚方
向に、Si濃度の最大と最小の差が0.3wt.%以上
となるSi濃度勾配を有する高珪素鋼板により、残留磁
束密度が低く加工性および高周波特性に優れる鉄心を構
成する。
優れた高周波特性を維持しつつ加工性に優れた鉄心を提
供すること。 【解決手段】 最表層のSi濃度が5〜7wt.%、表
層部に形成されたSiが3.5wt.%以上となる高S
i濃度層の厚さが板厚全体の25%以下であり、板厚方
向に、Si濃度の最大と最小の差が0.3wt.%以上
となるSi濃度勾配を有する高珪素鋼板により、残留磁
束密度が低く加工性および高周波特性に優れる鉄心を構
成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏磁による突入電
流が間題となるトランス、リアクトル、変成器(CT)
やモータなどに用いられる高珪素鋼板からなる鉄心に関
する。このような鉄心としては、カットコア、EI、切
りコア等が挙げられる。
流が間題となるトランス、リアクトル、変成器(CT)
やモータなどに用いられる高珪素鋼板からなる鉄心に関
する。このような鉄心としては、カットコア、EI、切
りコア等が挙げられる。
【0002】
【従来の技術】トランス、モータ等の鉄心には、鉄損が
低く透磁率が高い等の優れた高周波磁気特性を有するこ
とから、高珪素鋼板が多用されている。特にSi:6.
5wt.%では磁歪が0となり、最大透磁率のピークと
なる等のより優れた高周波磁気特性を示すことが知られ
ている。
低く透磁率が高い等の優れた高周波磁気特性を有するこ
とから、高珪素鋼板が多用されている。特にSi:6.
5wt.%では磁歪が0となり、最大透磁率のピークと
なる等のより優れた高周波磁気特性を示すことが知られ
ている。
【0003】従来、このような高珪素鋼板の製造方法と
して、低珪素鋼を圧延により薄板とした後、鋼板表面か
らSiを浸透拡散させる、いわゆる浸珪法が知られてい
る。しかし、このような高珪素鋼板は脆性材料であり、
処理後鋼板を巻き取る場合に破断が生じるといった問題
を有している。
して、低珪素鋼を圧延により薄板とした後、鋼板表面か
らSiを浸透拡散させる、いわゆる浸珪法が知られてい
る。しかし、このような高珪素鋼板は脆性材料であり、
処理後鋼板を巻き取る場合に破断が生じるといった問題
を有している。
【0004】これに対して、特開昭62−227033
号から特開昭62−227036号公報、および特開平
4−246157号公報には板板厚方向にSi濃度勾配
を形成することにより加工性が向上することが開示され
ている。しかし、これらの公報において加工性の基準と
なるのは加工性の悪い6.5wt.%珪素鋼板であり、
これらの技術では6.5wt.%珪素鋼板よりも加工性
が良好なものの、十分な加工性が得られているとはいえ
ない。すなわち、これらの技術により板厚中心部のSi
濃度を低下させると全板厚が6.5wt.%Siの鋼板
よりも加工性は向上するが、過酷な加工を受けた場合に
は割れ等の不都合が発生する。
号から特開昭62−227036号公報、および特開平
4−246157号公報には板板厚方向にSi濃度勾配
を形成することにより加工性が向上することが開示され
ている。しかし、これらの公報において加工性の基準と
なるのは加工性の悪い6.5wt.%珪素鋼板であり、
これらの技術では6.5wt.%珪素鋼板よりも加工性
が良好なものの、十分な加工性が得られているとはいえ
ない。すなわち、これらの技術により板厚中心部のSi
濃度を低下させると全板厚が6.5wt.%Siの鋼板
よりも加工性は向上するが、過酷な加工を受けた場合に
は割れ等の不都合が発生する。
【0005】一方、珪素鋼板は良好な磁気特性を得るた
めに磁束密度を高め、鉄損を低下させる方向で研究が行
われ、角形比の大きい材料が開発されてきた。しかし、
その結果、残留磁束密度が大きくなり、トランス等の機
器とした場合、偏磁によりさまざまな問題が発生してい
る。
めに磁束密度を高め、鉄損を低下させる方向で研究が行
われ、角形比の大きい材料が開発されてきた。しかし、
その結果、残留磁束密度が大きくなり、トランス等の機
器とした場合、偏磁によりさまざまな問題が発生してい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたものであって、高珪素鋼板からなり、残
留密度が低く、かつ優れた高周波特性を維持しつつ加工
性に優れた鉄心を提供することを目的とする。
鑑みてなされたものであって、高珪素鋼板からなり、残
留密度が低く、かつ優れた高周波特性を維持しつつ加工
性に優れた鉄心を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高珪素鋼
板を用い、所望の磁気特性を有し、かつ加工性に優れた
鉄心を得るために種々検討した結果、表層Si濃度およ
びSi濃度勾配を特定範囲に規定し、かつ表層部分の高
Si濃度層の全板厚に対する割合を特定範囲にすること
が有効であることを見出した。
板を用い、所望の磁気特性を有し、かつ加工性に優れた
鉄心を得るために種々検討した結果、表層Si濃度およ
びSi濃度勾配を特定範囲に規定し、かつ表層部分の高
Si濃度層の全板厚に対する割合を特定範囲にすること
が有効であることを見出した。
【0008】本発明はこのような知見に基づいなされた
ものであり、最表層のSi濃度が5〜7wt.%、表層
部に形成されたSiが3.5wt.%以上となる高Si
濃度層の厚さが板厚全体の25%以下であり、板厚方向
に、Si濃度の最大と最小の差が0.3wt.%以上と
なるSi濃度勾配を有する高珪素鋼板からなることを特
徴とする、残留磁束密度が低く加工性および高周波特性
に優れる鉄心を提供する。
ものであり、最表層のSi濃度が5〜7wt.%、表層
部に形成されたSiが3.5wt.%以上となる高Si
濃度層の厚さが板厚全体の25%以下であり、板厚方向
に、Si濃度の最大と最小の差が0.3wt.%以上と
なるSi濃度勾配を有する高珪素鋼板からなることを特
徴とする、残留磁束密度が低く加工性および高周波特性
に優れる鉄心を提供する。
【0009】また、本発明は、最表層のSi濃度が5〜
7wt.%、表層部に形成されたSiが3.5wt.%
以上となる高Si濃度層の厚さが板厚全体の20%以下
であり、板厚中心部のSi濃度が3wt.%以下であ
る、板厚方向にSi濃度勾配を有する高珪素鋼板からな
ることを特徴とする、残留磁束密度が低く加工性および
高周波特性に優れる鉄心を提供する。
7wt.%、表層部に形成されたSiが3.5wt.%
以上となる高Si濃度層の厚さが板厚全体の20%以下
であり、板厚中心部のSi濃度が3wt.%以下であ
る、板厚方向にSi濃度勾配を有する高珪素鋼板からな
ることを特徴とする、残留磁束密度が低く加工性および
高周波特性に優れる鉄心を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明においては、最表層のSi濃度が5〜7
wt.%、表層部のSiが3.5wt.%以上となる高
Si濃度層の厚さが板厚全体の25%以下であり、板厚
方向に、Si濃度の最大と最小の差が0.3wt.%以
上となるSi濃度勾配を有する高珪素鋼板により鉄心を
構成する。
明する。本発明においては、最表層のSi濃度が5〜7
wt.%、表層部のSiが3.5wt.%以上となる高
Si濃度層の厚さが板厚全体の25%以下であり、板厚
方向に、Si濃度の最大と最小の差が0.3wt.%以
上となるSi濃度勾配を有する高珪素鋼板により鉄心を
構成する。
【0011】5kHz以上の高周波での鉄損を下げるに
は、鋼板の表層近傍のみ透磁率を高くし、そこに磁束を
集中させることで見かけの板厚を薄くすることが有効で
ある。そのために、本発明では、表層のSi濃度を5〜
7wt.%と高くし、板厚中心部のSi濃度を低くし
て、板厚方向にSiの濃度勾配を形成し、板厚表層部の
み透磁率を高めている。表層Si濃度が5wt.%未満
の場合および7wt.%超の場合には、上述したような
鋼板の表層近傍の透磁率を高める効果が低い。また、7
wt.%を超えた場合には加工性が悪くなる。表層のS
i濃度のより好ましい範囲は6〜7wt.%である。
は、鋼板の表層近傍のみ透磁率を高くし、そこに磁束を
集中させることで見かけの板厚を薄くすることが有効で
ある。そのために、本発明では、表層のSi濃度を5〜
7wt.%と高くし、板厚中心部のSi濃度を低くし
て、板厚方向にSiの濃度勾配を形成し、板厚表層部の
み透磁率を高めている。表層Si濃度が5wt.%未満
の場合および7wt.%超の場合には、上述したような
鋼板の表層近傍の透磁率を高める効果が低い。また、7
wt.%を超えた場合には加工性が悪くなる。表層のS
i濃度のより好ましい範囲は6〜7wt.%である。
【0012】残留磁束密度は、板厚方向のSi濃度の最
大と最小の差(ΔSi)に強く依存し、この値が大きく
なるほどその絶対値が小さくなる。これは、Siの添加
とともに格子定数が小さくなることから、Siの濃度勾
配を形成することにより鋼板内に張力が発生するためと
推定される。
大と最小の差(ΔSi)に強く依存し、この値が大きく
なるほどその絶対値が小さくなる。これは、Siの添加
とともに格子定数が小さくなることから、Siの濃度勾
配を形成することにより鋼板内に張力が発生するためと
推定される。
【0013】本発明では、上述のような高周波鉄損を低
くする観点、および残留磁束密度を低くする観点から、
板厚方向のΔSiを0.3wt.%以上と規定してい
る。
くする観点、および残留磁束密度を低くする観点から、
板厚方向のΔSiを0.3wt.%以上と規定してい
る。
【0014】さらに本発明では、以上のように残留磁束
密度および高周波鉄損を低く維持しつつ加工性を良好に
するために、上述のような規定の他、表層部に形成され
たSiが3.5wt.%以上となる高Si濃度層の厚さ
を板厚全体の25%以下としている。これは、表層部分
の高Si濃度層が厚すぎると、脆性材料となり応力集中
により割れやすくなるからである。なお、25%以下の
規定は、片側表面の高Si層厚さの全板厚に対する割合
である。
密度および高周波鉄損を低く維持しつつ加工性を良好に
するために、上述のような規定の他、表層部に形成され
たSiが3.5wt.%以上となる高Si濃度層の厚さ
を板厚全体の25%以下としている。これは、表層部分
の高Si濃度層が厚すぎると、脆性材料となり応力集中
により割れやすくなるからである。なお、25%以下の
規定は、片側表面の高Si層厚さの全板厚に対する割合
である。
【0015】以上の条件を満たすことにより、残留磁束
密度および高周波鉄損を低く維持しつつ、かしめプレス
のような過酷な加工にも耐えうる鉄心が得られる。
密度および高周波鉄損を低く維持しつつ、かしめプレス
のような過酷な加工にも耐えうる鉄心が得られる。
【0016】また、最表層のSi濃度が5〜7wt.
%、表層部に形成されたSiが3.5wt.%以上とな
る高Si濃度層の厚さが板厚全体の20%以下であり、
板厚中心部のSi濃度が3wt.%以下となるようなS
iの濃度勾配を有していることがより好ましい。このよ
うな条件を満たすことにより、残留磁束密度および高周
波鉄損を低く維持しつつ特に良好な加工性が得られ、か
しめプレスも良好に行うことができる。
%、表層部に形成されたSiが3.5wt.%以上とな
る高Si濃度層の厚さが板厚全体の20%以下であり、
板厚中心部のSi濃度が3wt.%以下となるようなS
iの濃度勾配を有していることがより好ましい。このよ
うな条件を満たすことにより、残留磁束密度および高周
波鉄損を低く維持しつつ特に良好な加工性が得られ、か
しめプレスも良好に行うことができる。
【0017】本発明の鉄心を構成するSiの濃度勾配を
有する珪素鋼板は、例えば、化学気相蒸着(CVD、浸
珪処理)法、物理気相蒸着(PVD)法、クラツド技
術、めっき技術等によって製造することが可能である
が、これらの中ではCVD法によって製造することが好
ましい。
有する珪素鋼板は、例えば、化学気相蒸着(CVD、浸
珪処理)法、物理気相蒸着(PVD)法、クラツド技
術、めっき技術等によって製造することが可能である
が、これらの中ではCVD法によって製造することが好
ましい。
【0018】CVD法においては、鋼板をSi系化合物
を含む無酸化性ガス雰囲気で浸珪処理し、次いで、Si
系化合物を含まない無酸化性ガス雰囲気でSiの拡散処
理を行ってSiの拡散速度を制御し、表層のSi濃度が
板厚中心部のSi濃度よりも高い状態にあるうちに打ち
切ることにより、上述のようなSi濃度分布を形成する
ことができる。
を含む無酸化性ガス雰囲気で浸珪処理し、次いで、Si
系化合物を含まない無酸化性ガス雰囲気でSiの拡散処
理を行ってSiの拡散速度を制御し、表層のSi濃度が
板厚中心部のSi濃度よりも高い状態にあるうちに打ち
切ることにより、上述のようなSi濃度分布を形成する
ことができる。
【0019】また、鋼板表面からSiを浸透させる浸珪
処理および浸透させたSiを鋼板内に拡散させる拡散処
理をSi化合物を含む無酸化性雰囲気で同時的に行って
浸珪および拡散速度を制御し、表層のSi濃度が板厚中
心部のSi濃度よりも高い状態にあるうちに打ち切り、
上述のようなSi濃度分布を形成することもできる。
処理および浸透させたSiを鋼板内に拡散させる拡散処
理をSi化合物を含む無酸化性雰囲気で同時的に行って
浸珪および拡散速度を制御し、表層のSi濃度が板厚中
心部のSi濃度よりも高い状態にあるうちに打ち切り、
上述のようなSi濃度分布を形成することもできる。
【0020】ここで、浸珪処理は、Si化合物ガスを用
いて行う。処理に用いるSi化合物ガスは、特に限定さ
れるものではなく、SiH4、Si2H5、SiCl4等を
用いることができるが、中でもSiCl4が好ましい。
処理ガスとしてSiCl4を用いる場合には、処理温度
を1023〜1250℃の範囲にすることが好ましい。
また、浸珪処理および拡散処理の際のSiCl4の濃度
は0.02〜35mol%とすることが好ましい。
いて行う。処理に用いるSi化合物ガスは、特に限定さ
れるものではなく、SiH4、Si2H5、SiCl4等を
用いることができるが、中でもSiCl4が好ましい。
処理ガスとしてSiCl4を用いる場合には、処理温度
を1023〜1250℃の範囲にすることが好ましい。
また、浸珪処理および拡散処理の際のSiCl4の濃度
は0.02〜35mol%とすることが好ましい。
【0021】本発明において、Si以外の成分は特に限
定されるものではなく、通常この種の鋼板として用いら
れる範囲であればよい。すなわち、C≦0.02wt.
%、0.05wt.%≦Mn≦0.5wt.%、P≦
0.01wt.%、S≦0.02wt.%、0.001
wt.%≦sol.Al≦0.06wt.%、N≦0.
01wt.%の範囲が好ましい。
定されるものではなく、通常この種の鋼板として用いら
れる範囲であればよい。すなわち、C≦0.02wt.
%、0.05wt.%≦Mn≦0.5wt.%、P≦
0.01wt.%、S≦0.02wt.%、0.001
wt.%≦sol.Al≦0.06wt.%、N≦0.
01wt.%の範囲が好ましい。
【0022】Cは多量に含有されると磁気時効を引き起
こすため、0.02wt.%以下とすることが好まし
い。特性上、その下限は特に存在しないが、経済的に除
去する観点からは0.001wt.%とすることが好ま
しい。
こすため、0.02wt.%以下とすることが好まし
い。特性上、その下限は特に存在しないが、経済的に除
去する観点からは0.001wt.%とすることが好ま
しい。
【0023】Mnは多量に含有されると鋼板が脆くなる
ため、0.5wt.%以下とすることが好ましい。ま
た、その含有量が低く過ぎると、熱延工程で破断や表面
キズを誘発するため、0.05wt.%以上であること
が好ましい。
ため、0.5wt.%以下とすることが好ましい。ま
た、その含有量が低く過ぎると、熱延工程で破断や表面
キズを誘発するため、0.05wt.%以上であること
が好ましい。
【0024】Pは磁気特性から見ると好ましい元素であ
るが、多量に含有されると鋼板の加工性を劣化させるた
め、0.01wt.%以下であることが好ましい。特性
上、その下限は特に存在しないが、経済的に除去する観
点からは0.001wt.%とすることが好ましい。
るが、多量に含有されると鋼板の加工性を劣化させるた
め、0.01wt.%以下であることが好ましい。特性
上、その下限は特に存在しないが、経済的に除去する観
点からは0.001wt.%とすることが好ましい。
【0025】Sは加工性を劣化させるため、0.02w
t.%以下とすることが好ましい。特性上、その下限は
特に存在しないが、経済的に除去する観点からは0.0
01wt.%とすることが好ましい。
t.%以下とすることが好ましい。特性上、その下限は
特に存在しないが、経済的に除去する観点からは0.0
01wt.%とすることが好ましい。
【0026】sol.Alは同じく加工性を害するた
め、0.06wt.%以下とすることが好ましい。一
方、脱酸剤としての必要性からその0.001wt.%
以上が好ましい。
め、0.06wt.%以下とすることが好ましい。一
方、脱酸剤としての必要性からその0.001wt.%
以上が好ましい。
【0027】Nは多量に含有されると窒化物を形成して
磁気特性を劣化させるため、0.01wt.%以下であ
ることが好ましい。特性上、その下限は特に存在しない
が、現在の製鋼技術では0.0001wt.%が事実上
の下限となる。
磁気特性を劣化させるため、0.01wt.%以下であ
ることが好ましい。特性上、その下限は特に存在しない
が、現在の製鋼技術では0.0001wt.%が事実上
の下限となる。
【0028】なお、表層のSi濃度およびSi濃度の最
大と最小との差、高Si濃度層の厚さ、中心部のSi濃
度は全板厚をEPMA分析して得られるSi濃度プロフ
ァイルから決定することができる。また、残留磁束密度
は、直流で1.2T励磁後の値である。さらにまた、本
発明の効果は鋼板の板厚によらず得ることができる。
大と最小との差、高Si濃度層の厚さ、中心部のSi濃
度は全板厚をEPMA分析して得られるSi濃度プロフ
ァイルから決定することができる。また、残留磁束密度
は、直流で1.2T励磁後の値である。さらにまた、本
発明の効果は鋼板の板厚によらず得ることができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。板
厚0.3mmの3wt.%珪素鋼板に種々の条件で浸珪
処理し、表層Si濃度および表層部の高Si濃度層の片
側の厚さ割合、ΔSi値を変化させ、これらと加工性、
高周波鉄損、残留密度との関係を調査した。その結果を
表1に示す。
厚0.3mmの3wt.%珪素鋼板に種々の条件で浸珪
処理し、表層Si濃度および表層部の高Si濃度層の片
側の厚さ割合、ΔSi値を変化させ、これらと加工性、
高周波鉄損、残留密度との関係を調査した。その結果を
表1に示す。
【0030】表1中、プレス性は、超硬刃での丸穴連続
プレスにおいて、バリが30μmを超えるまでのプレス
回数で評価し、評価基準は、5万回以下:×、5〜15
万回、:△、15〜25万回:○、25万回以上:◎と
した。曲げ加工性は、カットコア製作時にほぼ直角曲げ
が入ることを想定し、90°曲げと180°曲げを実施
した。この際の評価は、割れあり:×、クラックあり:
○、割れ・クラックが一切なし:◎という基準で行っ
た。
プレスにおいて、バリが30μmを超えるまでのプレス
回数で評価し、評価基準は、5万回以下:×、5〜15
万回、:△、15〜25万回:○、25万回以上:◎と
した。曲げ加工性は、カットコア製作時にほぼ直角曲げ
が入ることを想定し、90°曲げと180°曲げを実施
した。この際の評価は、割れあり:×、クラックあり:
○、割れ・クラックが一切なし:◎という基準で行っ
た。
【0031】
【表1】
【0032】表1に示すように、表層Si、Si層厚
さ、ΔSiが本発明の範囲であるものは、高周波鉄損お
よび残留磁束密度が低く、かつ加工性も良好であった。
特に、Si濃度が5〜7wt.%、高Si濃度層の厚さ
が板厚全体の20%以下、板厚中心部のSi濃度が3w
t.%以下を満たすものは、プレス性が◎であり、Vか
しめ等のかしめプレスが可能であった。
さ、ΔSiが本発明の範囲であるものは、高周波鉄損お
よび残留磁束密度が低く、かつ加工性も良好であった。
特に、Si濃度が5〜7wt.%、高Si濃度層の厚さ
が板厚全体の20%以下、板厚中心部のSi濃度が3w
t.%以下を満たすものは、プレス性が◎であり、Vか
しめ等のかしめプレスが可能であった。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
表層Si濃度、板厚方向のSi濃度勾配、および表層部
の高Si濃度層の厚さを規定した珪素鋼板を用いること
により、残留密度が低く、かつ優れた高周波特性を維持
しつつ加工性に優れた鉄心を得ることができる。
表層Si濃度、板厚方向のSi濃度勾配、および表層部
の高Si濃度層の厚さを規定した珪素鋼板を用いること
により、残留密度が低く、かつ優れた高周波特性を維持
しつつ加工性に優れた鉄心を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高田 芳一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 平谷 多津彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 最表層のSi濃度が5〜7wt.%、表
層部に形成されたSiが3.5wt.%以上となる高S
i濃度層の厚さが板厚全体の25%以下であり、板厚方
向に、Si濃度の最大と最小の差が0.3wt.%以上
となるSi濃度勾配を有する高珪素鋼板からなることを
特徴とする、残留磁束密度が低く加工性および高周波特
性に優れる鉄心。 - 【請求項2】 最表層のSi濃度が5〜7wt.%、表
層部に形成されたSiが3.5wt.%以上となる高S
i濃度層の厚さが板厚全体の20%以下であり、板厚中
心部のSi濃度が3wt.%以下である、板厚方向にS
i濃度勾配を有する高珪素鋼板からなることを特徴とす
る、残留磁束密度が低く加工性および高周波特性に優れ
る鉄心。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11436198A JPH11293415A (ja) | 1998-04-10 | 1998-04-10 | 残留磁束密度が低く加工性および高周波特性に優れる鉄心 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11436198A JPH11293415A (ja) | 1998-04-10 | 1998-04-10 | 残留磁束密度が低く加工性および高周波特性に優れる鉄心 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11293415A true JPH11293415A (ja) | 1999-10-26 |
Family
ID=14635810
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11436198A Pending JPH11293415A (ja) | 1998-04-10 | 1998-04-10 | 残留磁束密度が低く加工性および高周波特性に優れる鉄心 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11293415A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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