[go: up one dir, main page]

JPH11291506A - 印刷装置および印刷方法並びに記録媒体 - Google Patents

印刷装置および印刷方法並びに記録媒体

Info

Publication number
JPH11291506A
JPH11291506A JP17063598A JP17063598A JPH11291506A JP H11291506 A JPH11291506 A JP H11291506A JP 17063598 A JP17063598 A JP 17063598A JP 17063598 A JP17063598 A JP 17063598A JP H11291506 A JPH11291506 A JP H11291506A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sub
scanning
raster
accuracy
area
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP17063598A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3641940B2 (ja
Inventor
Koichi Otsuki
幸一 大槻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP17063598A priority Critical patent/JP3641940B2/ja
Priority to US09/245,844 priority patent/US6155668A/en
Priority to EP99300958A priority patent/EP0936075B1/en
Priority to DE69933805T priority patent/DE69933805T2/de
Publication of JPH11291506A publication Critical patent/JPH11291506A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3641940B2 publication Critical patent/JP3641940B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 紙送り精度の低い排紙側のローラにより副走
査を行って画像の記録領域を拡張する際、いわゆる白抜
け等の画質の低下が生じていた。 【解決手段】 インクジェットプリンタにおいて、給紙
ローラにより紙送り精度が確保されている第1の領域で
は、高画質な画像を得るためにインタレース方式による
記録を実施する。給紙ローラから用紙が外れた後も、排
紙ローラにより精度の低い紙送りを行いつつ画像を記録
する(第2の領域)。この際、第2の領域では使用ノズ
ル数を減らしたインタレース方式による記録を実行し、
1回当たりの副走査量を減らして紙送りの誤差を減ら
す。また第2の領域において1ラスタを異なるノズルで
形成する方式による記録を採用したり、ドットの径を大
きくして記録することもできる。かかる手段を単独また
は組み合わせて用いれば第2の領域における画質を向上
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラスタの形成およ
び副走査を行いつつ画像を印刷する技術に関し、詳しく
は該印刷により画像を記録する領域を拡張するための技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】ラスタを形成しつつ、副走査を行って、
印刷媒体上に入力された画像データに応じた画像を印刷
し得るプリンタとしては、ラスタの形成時にヘッドの往
復動たる主走査を伴わないラインプリンタや、ヘッドを
主走査してラスタを形成するシリアルスキャン型プリン
タやドラムスキャン型プリンタ等がある。この種のプリ
ンタ(特にインクジェットプリンタ)においては、一般
に印刷速度を高めるために、同一色について副走査方向
に複数のノズルを備えたノズルアレイが用いられてい
る。近年では、印刷速度を高めるために、副走査方向の
ノズル数を増やす傾向にあり、結果としてノズルアレイ
が大型化する傾向にある。
【0003】かかるプリンタにおいて、画質を向上させ
る記録方式の一つとして、米国特許第4,198,64
2号や特開昭53−2040号公報等に開示されている
「インターレース方式」と呼ばれる技術がある。図43
は、インターレース方式の一例を示す説明図である。ま
ず、以下の説明で用いられる各種のパラメータについて
説明する。図43の例では、ドットの形成に使用される
ノズルの個数Nは3個である。図43中のノズルピッチ
k[ドット]は、記録ヘッドにおけるノズルの中心点間
隔が、記録画像のピッチ(ドットピッチw)の何個分で
あるかを示している。図43の例ではk=2である。図
43の例では1回の主走査で各ラスタが埋めつくされて
いるので、何回の主走査で各主走査ライン(以下、「ラ
スタ」という)をドットで埋めつくすかを示すスキャン
繰り返し回数sは1回である。後述するように、スキャ
ン繰り返し回数sが2以上の時には、各主走査において
は、主走査方向に沿って間欠的にドットが形成されるこ
とになる。図43中のLは、副走査における紙送り量を
意味しており、この例では3ラスタに相当する。
【0004】図43において、2桁の数字を含む丸は、
それぞれドットの記録位置を示している。丸の中の2桁
の数字のうち、左側の数字はノズル番号を示しており、
右側の数字は記録順番(何回目の主走査で記録された
か)を示している。
【0005】図43に示す、インターレース方式の記録
では、1回目の主走査において、2番ノズル、3番ノズ
ルにより各ラスタのドットを形成する。1番ノズルでは
ドットを形成しない。次に、図43に示す通り、3ラス
タ分の紙送りを行った後、2回目の主走査を行いつつ、
1番ノズルから3番ノズルまでを用いて各ラスタを形成
する。以後、同様に3ラスタ分の紙送りと、主走査によ
るラスタの形成とを繰り返し実行することにより、画像
を記録する。ここで明らかな通り、1回目の主走査にお
いて1番ノズルによりラスタを形成しなかったのは、該
ラスタの下に隣接するラスタは2回目以降の主走査で形
成され得ないからである。
【0006】インターレース方式とは、このようにラス
タを副走査方向に間欠的に形成しつつ、画像を記録する
方式をいう。このインターレース方式には、ノズルのピ
ッチやインク吐出特性等のばらつきを、記録画像上で分
散させることができるという利点がある。従って、ノズ
ルのピッチや吐出特性にばらつきがあっても、これらの
影響を緩和して画質を向上させることができるという効
果を奏する。図43では、特定のノズルピッチにおいて
各ラスタを1回の主走査で形成する場合について説明し
たが、ノズルピッチ、ノズル個数、スキャン繰り返し数
等に応じて種々の送り量でのインターレース方式による
記録が可能である。
【0007】インターレース方式は、このように画質を
向上する観点からは非常に有効なドトの記録方式である
が、例えば用紙の上端から記録を開始した場合には、最
後に画像を記録する下端において、画像を記録し得ない
領域が不可避的に生じる。図44は、4ラスタ相当のノ
ズルピッチからなる7個のノズルを備えるヘッドによ
り、7ラスタの送り量でインターレース方式による画像
の記録を行う様子を示した説明図である。図44におい
て、P1,P2,・・・で示した記号は、それぞれ1回
目、2回目・・・の主走査を意味しており、丸囲みの数
字が、各主走査におけるノズルの副走査方向の位置を示
している。数字はノズル番号である。「RN=」の形で
示した番号は、説明の便宜上、各ラスタに付したラスタ
番号である。各ノズル位置における主走査で各ラスタが
形成されるものとすれば、インターレース方式により画
像が形成されることが分かる。
【0008】図44には、用紙の下端近傍の6回の主走
査の様子を示した。つまり、主走査P6における7番ノ
ズルは、紙送りの機構上、ノズルが位置することができ
る下端限界の位置を示している。ここで、紙送りの機構
について図4を用いて説明する。
【0009】一般に、プリンタの紙送り機構は、印刷媒
体の供給側と排出側の2組のローラにより構成されてい
る。印刷媒体の供給側のロータとしては、図4に示す給
紙ローラ25aと従動ローラ25bがあり、排出側のロ
ーラとしては、排紙ローラ27aとギザローラ27bと
がある。副走査における紙送り精度は、給紙側のローラ
または排出側のローラのいずれか一方で保証しているの
が通常である。例えば、給紙側のローラで紙送り精度を
保証しているものとすると、画像を記録するに足る精度
で副走査が行われるのは、給紙ローラ25aおよび従動
ローラ25bから印刷媒体の下端が外れるときが限界と
いうことになる。このときのヘッド下端から印刷媒体の
下端までの距離は、給紙ローラ25aおよび従動ローラ
25bの位置によって定まり、図4に示す通り距離aと
なる。図44における主走査P6の7番ノズルは、かか
る限界位置にノズルがある状態に相当する。
【0010】このような場合に、7ラスタに相当する一
定の送り量で画像を記録すると、図44に示した通り、
ラスタの抜け、つまりラスタが形成されない部分が生じ
てしまう(ラスタ番号−10参照)。このためインター
レース方式を採用した場合には、図44に示した領域A
までしか画像が形成されないことになる。インターレー
ス方式における紙送り量の組み合わせによっては、最悪
の場合として主走査P6における1番ノズルの位置まで
(RN≦−17の領域)しか画像を形成し得ない可能性
もある。図4に示した通り、副走査方向のヘッドの幅を
hとすれば、この場合には、印刷媒体の下端から「a+
h」に相当する部分が、必然的に生じる余白、つまり画
像を形成し得ない領域ということになる。実際には紙送
りにおける誤差等に対する余裕を見込んでおく必要があ
るため、余白はさらに大きくなる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】かかる余白は、ノズル
アレイが比較的小さい場合、即ち図4における幅hが比
較的小さい場合はともかくとして、近年の傾向であるノ
ズルアレイの大型化が進んだ場合には看過し得ないもの
となってきた。かかる余白が大きくなることは、高画質
化および印刷の高速化によるプリンタの価値を大きく損
ねるものとなってしまう。
【0012】副走査の紙送り精度を確保することができ
る給紙側のローラから記録媒体が外れた後は、給紙側の
ローラに用紙が挟持されている場合に比べて精度が低い
ながらも排紙側のローラにより副走査を行うことは可能
である。従って、かかる紙送りを行いつつ、画像を記録
することにより上述の余白部分を少なくする方法も考え
られる。例えば、図44に示した主走査P7を行いつつ
ラスタを形成すれば、上で述べたラスタの抜けを解消す
ることができ、画像の記録領域は拡大することが分か
る。この場合は、原理的には用紙の下端限界まで画像の
記録が可能となる。
【0013】しかし、このように紙送り精度が低い副走
査による記録方法では、当然、画質が低下してしまう。
紙送り精度が低くなった場合に画質が低下する様子を図
45及び図46に示す。これらの図はともにある領域に
記録されたドット列を示している。図45は副走査の精
度が確保されている場合のドットの様子を示している。
図の煩雑さを避けるため、各ラスタごとに実線と破線を
交互に用いてドットの様子を示した。図45に示す通
り、各ドットは主走査方向、副走査方向の双方に一様な
記録ピッチで並んでいる。一般にドットは隣接するドッ
トと若干重なり合う程度の大きさで形成されるため、か
かる場合には図45に示す通り所定の領域をドットが埋
め尽くすことができる。
【0014】一方、図46は副走査の精度が低い場合の
ドットの様子を示している。この場合でも主走査の精度
は確保されているため、主走査方向には一定の記録ピッ
チでドットが形成されている。しかし、副走査の誤差に
より、副走査方向の記録ピッチはまちまちである。この
結果、例えば、領域a1のように副走査方向にドットが
疎になる部分と領域a2のように密になる部分とが生じ
る。これらの疎密は画像データにはない濃淡として視認
され、画質を低下させることになる。また、場合によっ
ては、図46の領域a3のようにドットが形成されない
部分、いわゆる白抜けが生じることもある。一般に視覚
はこのような白抜け部分には非常に敏感であるため、か
かる白抜けの発生は大きく画質を損ねることになる。イ
ンターレース方式の記録は画質の向上を目的としたもの
であるから、このような画質の低下は看過し得るもので
はない。上述の問題は、ヘッドの主走査を伴わないプリ
ンタにおいても同様に生じていた。
【0015】この発明は、従来技術における上述の課題
を解決するためになされたものであり、インターレース
方式による記録を行う場合において、紙送り精度の低い
副走査を行いつつラスタを形成することにより画像を記
録する領域を拡張しつつ、該拡張された領域では、得ら
れた画像全体の品質を損ねない程度の十分な画質で画像
を記録する技術を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の印
刷装置は、次の構成を採用した。本発明の第1の印刷装
置は、ヘッドにより印刷媒体の一方向に並ぶドット列で
あるラスタを形成しつつ、前記ラスタが形成されている
方向と交差する一定の方向に前記ヘッドを印刷媒体に対
し相対的に移動する副走査を行うことにより複数のラス
タを形成することで、入力された画像データに応じた画
像を該印刷媒体上に印刷し得る印刷装置であって、前記
ヘッドは同一色のドットを形成可能な複数のノズルを前
記副走査の方向に所定の間隔で備えるヘッドであり、前
記ヘッドを駆動して前記ラスタを形成するラスタ形成手
段と、前記副走査における相対的な移動を第1の精度で
行う第1の副走査手段と、前記副走査を前記第1の精度
よりも低い第2の精度で行う第2の副走査手段と、前記
第2の副走査手段により副走査が行われる領域におい
て、前記第1の副走査手段による平均の副走査量よりも
小さい副走査量で前記副走査を行いつつ各ラスタを形成
するように前記ラスタ形成手段と前記第2の副走査手段
を制御する制御手段とを備えることを要旨とする。
【0017】本発明の第1の印刷方法は、ヘッドにより
印刷媒体の一方向に並ぶドット列であるラスタを形成し
つつ、前記ラスタが形成されている方向と交差する一定
の方向に前記ヘッドを印刷媒体に対し相対的に移動する
副走査を行うことにより複数のラスタを形成すること
で、入力された画像データに応じた画像を該印刷媒体上
に印刷し得る印刷方法であって、前記ヘッドは同一色の
ドットを形成可能な複数のノズルを前記副走査の方向に
所定の間隔で備え、画像を記録する一部の領域において
は第1の精度で前記副走査を行い、他の領域においては
前記第1の精度よりも低い第2の精度で副走査を行うと
ともに、前記第2の精度で副走査が行われる領域では、
前記第1の精度で行われる平均の副走査量よりも小さい
副走査量で副走査を行って画像を印刷するように前記副
走査の移動と前記ヘッドの駆動とを制御することを要旨
とする。
【0018】かかる印刷装置および印刷方法では、第1
の精度で副走査を行いつつ画像を形成する領域と、第1
の精度よりも低い第2の精度で副走査を行いつつ画像を
形成する領域とから全体の画像を形成し、第1の精度で
副走査を行いつつ画像を形成する印刷装置および印刷方
法に比較して広い記録領域で画像の記録を行う。
【0019】しかも上記印刷装置および印刷方法では、
このようにして拡張された領域における副走査量を第1
の精度で行われる平均の副走査量よりも小さくしてい
る。一般に1回当たりの副走査量が小さい方が、副走査
における誤差も小さくなる。従って、上記の印刷装置お
よび印刷方法によれば、第2の精度により副走査が行わ
れる領域においても十分な画質を確保することができ
る。
【0020】かかる印刷装置において、前記制御手段に
よる送り量は、1ラスタであることも望ましい。
【0021】1ラスタずつの微少送りは最も小さい副走
査量であるため、その誤差を最小にすることができる。
【0022】また、上記印刷装置において、前記制御手
段は、前記ヘッドに備えられるノズルのうちラスタを形
成すべき一部のノズルを選択し、かつ、隣接するラスタ
が該選択されたノズルのうち異なるノズルにより形成さ
れるように副走査を行う手段であることが望ましい。
【0023】かかる印刷装置によれば、ヘッドに備えら
れる複数のノズルのうち選択された一部のノズルによっ
てのみラスタが形成される。ドットの形成に寄与するノ
ズル数が少ない場合には、必然的に副走査の送り量は小
さくなるため、第2の精度で副走査が行われる領域にお
いてもその誤差を小さくすることができる。
【0024】また、上記の印刷装置では、隣接するラス
タが異なるノズルで形成されるように副走査が行われ
る。かかる副走査を行うことにより、ノズルの機械的製
作誤差に基づくドットのずれを分散させることができる
ため、得られる画質をさらに向上することができる。
【0025】隣接するラスタを異なるノズルで形成する
印刷装置において、前記制御手段は、隣接するラスタ間
の間隔の変動周波数が1サイクル/mmに比べて有意に
大きくなる送り量で副走査を行う手段であるものとする
ことが望ましい。
【0026】第2の精度による副走査では、送り量の誤
差に基づいて隣接するラスタの間隔が変動し、画像の濃
淡ムラを形成する。かかる濃淡ムラが視認されると、い
わゆるバンディングが目立つようになり画質を損ねる。
一般に人間の視覚強度は1サイクル/mm付近の空間周
波数でピークを迎え、それ以上の空間周波数では低下す
る。上記印刷装置によれば、隣接するラスタ間の間隔の
変動周波数が1サイクル/mmに比べて有意に大きくな
るようにするため、ラスタ間の間隔の変動に基づく濃淡
ムラを視認されにくくすることができる。この結果、第
2の精度による副走査が行われる領域における画質を向
上することができる。
【0027】また、隣接するラスタを異なるノズルで形
成する印刷装置において、前記制御手段は、複数のノズ
ルが備えられる前記所定の間隔をkドットとするとき、
隣接するラスタが連続的に形成される本数がk本よりも
小さくなる送り量で副走査を行う手段であるものとする
ことができる。
【0028】かかる方法によれば、以下に説明する通
り、送り誤差に伴って生じる各ラスタの間隔のずれを抑
制することができ、画質を向上することができる。ま
た、かかる方法ではラスタの間隔の変動に伴う濃淡ムラ
が生じる周波数を高くすることによって、該濃淡ムラを
目立たせなくする効果も得ることができる。
【0029】副走査方向に所定の間隔kドットでノズル
を配列したヘッドを用い、かつ隣接するラスタを異なる
ノズルで形成する場合を考える。一回目のラスタの形成
で形成されたラスタ間には、それぞれk−1本の未形成
のラスタが存在する。副走査を行ってk−1本のラスタ
を順次形成する際、一般には副走査方向またはその逆の
方向に隣接するラスタが連続的に形成されるように副走
査を行う。かかる副走査を行えば、隣接するラスタが連
続的に形成される本数はk本となる。逆に言えば、隣接
するラスタが連続的に形成されない部分がk本ごとに現
れる。かかる記録において、各副走査ごとに一定の送り
誤差eが生じた場合を考える。隣接するラスタが連続的
に形成される領域では、各ラスタ間の記録位置のずれは
送り誤差eに等しくなる。これに対し、隣接するラスタ
が連続的に形成されない部分では、k−1回の副走査で
累積した送り誤差が現れる。このラスタ間の送り誤差は
(k−1)×eであり、非常に大きな誤差となる。この
ようが大きな送り誤差は視認されやすく画質を低下させ
る原因となる。また、この大きな送り誤差はノズルの間
隔に等しい間隔で現れ、人間の視覚強度が高い周波数で
現れることが多い。このため、視認されやすく画質を低
下させる原因となりやすい。
【0030】上記発明の印刷装置によれば、隣接するラ
スタが連続的に形成される本数がノズルの間隔k本より
も小さくなるように副走査を行う。従って、ラスタ間に
生じる送り量の誤差の最大値は(k−1)×eよりも小
さくなる。また、ラスタ間の記録位置のずれが変動する
間隔がk本よりも短くすることができる。これは記憶位
置のずれに伴って生じる濃淡ムラの空間周波数を高くす
ることができることを意味する。従って、上記発明の印
刷装置によれば、これらの作用により、第2の精度によ
る副走査が行われる領域における画質を向上することが
できる。
【0031】隣接するラスタが連続的に形成される本数
がノズルの間隔k本よりも小さくなる送り量を実現する
一例として、前記制御手段は、各ラスタを構成するのに
要する主走査の回数をsとするとき、前記選択されるノ
ズルの数Nを、k・s±1とならない範囲で、kと互い
に素になる値とし、N/sの一定の送り量で副走査を行
う手段であるものとすることができる。
【0032】もちろん、隣接するラスタが連続的に形成
される本数がノズルの間隔k本よりも小さくなる送り量
は上記の関係のみに限定されるものではない。例えば、
ノズルの数がk・s±1なる範囲で選択した場合であっ
ても、異なる送り量の副走査を組み合わせて実行するこ
とにより、隣接するラスタが連続的に形成される本数を
k本よりも小さくすることが可能である。ノズルの数N
がkと互いに素になる値でない場合であっても同様であ
る。
【0033】本発明の第2の印刷装置は、ヘッドにより
印刷媒体の一方向に並ぶドット列であるラスタを形成し
つつ、前記ラスタが形成されている方向と交差する一定
の方向に前記ヘッドを印刷媒体に対し相対的に移動する
副走査を行うことにより複数のラスタを形成すること
で、入力された画像データに応じた画像を該印刷媒体上
に印刷し得る印刷装置であって、前記ヘッドは同一色の
ドットを形成可能な複数のノズルを前記副走査の方向に
所定の間隔で備えるヘッドであり、前記ヘッドを駆動し
て前記ラスタを形成するラスタ形成手段と、前記副走査
における相対的な移動を第1の精度で行う第1の副走査
手段と、前記副走査を前記第1の精度よりも低い第2の
精度で行う第2の副走査手段と、前記第2の副走査手段
により副走査が行われる領域においては、前記第1の副
走査手段により副走査が行われる領域において各ラスタ
を形成するのに要する主走査回数よりも多い主走査回数
で、各ラスタを形成するように前記ドット形成手段と前
記第2の副走査手段とを制御する制御手段とを備えるこ
とを要旨とする。
【0034】本発明の第2の印刷方法は、ヘッドにより
印刷媒体の一方向に並ぶドット列であるラスタを形成し
つつ、前記ラスタが形成されている方向と交差する一定
の方向に前記ヘッドを印刷媒体に対し相対的に移動する
副走査を行うことにより複数のラスタを形成すること
で、入力された画像データに応じた画像を該印刷媒体上
に印刷し得る印刷方法であって、前記ヘッドは同一色の
ドットを形成可能な複数のノズルを前記副走査の方向に
所定の間隔で備え、画像を記録する一部の領域において
は第1の精度で前記副走査を行い、他の領域においては
前記第1の精度よりも低い第2の精度で副走査を行うと
ともに、前記第2の精度で副走査が行われる領域におい
ては、前記第1の精度で副走査が行われる領域において
各ラスタを形成するのに要する主走査回数よりも多い主
走査回数で、ラスタを形成するように前記副走査の移動
と前記ヘッドの駆動とを制御することを要旨とする。
【0035】かかる印刷装置および印刷方法によれば、
第2の精度で副走査が行われる領域においては、各ラス
タを形成するのに要する主走査回数を増やして画像を形
成する。例えば、第1の精度により副走査が行われる領
域において各ラスタを1回の主走査で形成している場合
には、第2の精度で副走査が行われる領域では2回以上
の主走査で各ラスタを形成することになる。複数回の主
走査により各ラスタを形成する場合には、1回ごとの主
走査では各ラスタのドットを主走査方向に間欠的に形成
することになる。間欠的なドットの形成の仕方は種々の
方法が可能であるが、例えば2回でラスタを形成する場
合、1回目の主走査では主走査方向に奇数番目のドット
を形成し、2回目の主走査で偶数番目のドットを形成す
る方法が考えられる。3回以上の主走査により各ラスタ
を形成する場合にも同様に種々のドットの形成方法が考
えられる。なお、各ラスタを形成するために必要となる
主走査の回数を以下、スキャン繰り返し数とよぶ。
【0036】このように複数回の主走査により各ラスタ
を形成するものとすれば、副走査時の誤差を各ラスタ内
で分散させることができるため、副走査の精度が低い場
合の画質を向上することができる。また、上記印刷装置
および印刷方法では、第1の精度で副走査が行われる領
域よりも第2の精度で副走査が行われる領域においてス
キャン繰り返し数を大きくすることにより、第2の精度
で副走査が行われ得る領域での画質の向上の程度を相対
的に高めている。このようにすることで、画像を記録す
る領域を拡張しつつ、画質の均一性を高めることができ
る。
【0037】本発明の第3の印刷装置は、ヘッドにより
印刷媒体の一方向に並ぶドット列であるラスタを形成し
つつ、前記ラスタが形成されている方向と交差する一定
の方向に前記ヘッドを印刷媒体に対し相対的に移動する
副走査を行うことにより複数のラスタを形成すること
で、入力された画像データに応じた画像を該印刷媒体上
に印刷し得る印刷装置であって、前記ヘッドは各色毎に
前記副走査方向に複数備えられたノズルにより径の異な
る2種類以上のドットを形成可能なヘッドであり、前記
ヘッドを駆動して前記ラスタを形成するラスタ形成手段
と、前記副走査における相対的な移動を第1の精度で行
う第1の副走査手段と、前記副走査を前記第1の精度よ
りも低い第2の精度で行う第2の副走査手段と、前記第
2の副走査手段により副走査が行われる領域において
は、前記第1の副走査手段により副走査が行われる領域
よりも高い割合で大きい径のドットを形成するように前
記ラスタ形成手段を制御する制御手段とを備えることを
要旨とする。
【0038】本発明の第3の印刷方法は、ヘッドにより
印刷媒体の一方向に並ぶドット列であるラスタを形成し
つつ、前記ラスタが形成されている方向と交差する一定
の方向に前記ヘッドを印刷媒体に対し相対的に移動する
副走査を行うことにより複数のラスタを形成すること
で、入力された画像データに応じた画像を該印刷媒体上
に印刷し得る印刷装置であって、前記ヘッドは同一色の
ドットを形成可能なn個(nは2以上の整数)のノズル
を前記副走査の方向に所定の間隔で備え、画像を記録す
る一部の領域においては第1の精度で前記副走査を行
い、他の領域においては前記第1の精度よりも低い第2
の精度で副走査を行うとともに、前記第2の精度で副走
査が行われる領域においては、前記第1の精度で副走査
が行われる領域よりも高い割合で大きい径のドットを形
成しつつ画像を記録するように前記副走査の移動と前記
ヘッドの駆動とを制御することを要旨とする。
【0039】かかる印刷装置および印刷方法によれば、
第2の精度で副走査が行われる領域においては、ドット
径を大きくして画像を形成する。副走査の精度が低下し
ても、副走査方向に隣接するドット同士が重なりあって
いる間は、いわゆる白抜けは生じないため、画質の低下
はそれほど顕著には現れない。上記の印刷装置および印
刷方法では、ドット径を大きくして、副走査の精度が低
い場合でも隣接するドット同士が重なるようにすること
で、いわゆる白抜けを防止することができる。この結
果、第2の精度で副走査が行われる領域における画質を
向上することができる。
【0040】なお、径の大きいドットを用いる場合に
は、それだけ単位面積当たりの濃度が高いドットを使用
することを意味するため、単純に径のみを大きくしてし
まっては本来得られるべき画像よりも高濃度の画像を形
成するおそれもある。従って、上記印刷装置および印刷
方法においては、かかる点を考慮した上で、画像の階調
を崩さない範囲で、径の大きいドットを使用する割合を
適切に設定することが好ましい。
【0041】以上で説明した種々の印刷装置において、
前記第1の副走査手段により副走査が行われる第1の領
域において、前記第2の副走査手段により副走査が行わ
れる第2の領域に隣接しない所定の領域では、隣接する
ラスタを異なるノズルで形成する所定の送り量で副走査
を行い、該所定の領域と前記第2の領域に隣接する中間
領域では、前記所定の送り量よりも小さい送り量で副走
査を行って各ラスタを形成するように前記ラスタ形成手
段と前記第1の副走査手段とを制御する第2の制御手段
を備えるものとすることもできる。
【0042】かかる印刷装置によれば、第2の精度で副
走査が行われる領域により画像の記録領域を拡張するだ
けでなく、第1の精度で副走査が行われる領域をも広げ
ることができる。上述した種々の発明を適用しても、第
1の精度で副走査が行われる領域の方が画質が高いのは
当然であるから、上記印刷装置によれば、かかる領域を
拡張することにより得られる画像全体の画質を向上する
ことができる。
【0043】この場合において、前記ヘッドは、p個
(pは2以上の整数)のノズルを、nラスタ(nは2以
上の整数)の副走査方向の間隔で備えるヘッドであり、
前記第2の制御手段は、前記中間領域では、前記第1の
副走査手段により副走査を行いうる限界のラスタより
も、mラスタ(mはp×(n−1)よりも小さい整数)
少ない領域において画像を完成させる送り量で副走査を
行うように前記第2の副走査手段を制御する手段である
ものとすることが望ましい。
【0044】こうれば、第1の精度で副走査を行い得る
限界の位置にヘッドが存在するときにその一部の領域ま
では画像を完成することができる。つまり、かかる領域
まで第1の精度による副走査で画像を形成することがで
きる。このように第1の精度で副走査を行いつつ画像を
記録する範囲を拡張した領域を中間領域とよぶものとす
る。
【0045】また、前記制御手段は、さらに前記第2の
制御手段により制御される送り量は、さらに隣接するラ
スタが異なるノズルにより形成される送り量とすること
も望ましい。
【0046】かかる手段を適用すれば、中間領域におい
て、ノズルの機械的製作誤差に起因するドットのずれを
分散させることができるため、さらに画質を向上するこ
とができる。
【0047】さらに、 前記第2の制御手段により制御
される送り量は、1ラスタであるものとすることもでき
る。
【0048】かかる送り量で副走査を実行すれば、第1
の精度で副走査を行うことができる限界の範囲まで中間
領域を拡張することが可能となる。
【0049】以上で説明した本発明の印刷装置は、ドッ
トを記録するためのヘッドの制御をコンピュータにより
実現させることによっても構成することができるため、
本発明は、かかるプログラムを記録した記録媒体として
の態様を採ることもできる。
【0050】本発明の第1の記録媒体は、印刷装置によ
り印刷媒体上に画像を印刷するためのプログラムをコン
ピュータ読みとり可能に記録した記録媒体であって、画
像を記録する領域のうち、前記副走査における相対的な
移動を第1の精度で行うことができる第1の領域と、前
記第1の精度よりも低い第2の精度で副走査を行う第2
の領域とを判定する機能と、前記第2の精度で副走査が
行われる領域において、前記第1の精度で行われる平均
の副走査量よりも小さい副走査量で前記副走査を行う制
御信号を出力する機能と、画像を形成する制御信号を上
記副走査に応じた順序で出力する機能とをコンピュータ
により実現可能なプログラムを記録した記録媒体であ
る。
【0051】本発明の第2の記録媒体は、印刷装置によ
り印刷媒体上に画像を印刷するためのプログラムをコン
ピュータ読みとり可能に記録した記録媒体であって、画
像を記録する領域のうち、前記副走査における相対的な
移動を第1の精度で行うことができる第1の領域と、前
記第1の精度よりも低い第2の精度で副走査を行う第2
の領域とを判定する機能と、前記第2の精度で副走査が
行われる領域においては、前記第1の精度で副走査が行
われる領域において各ラスタを形成するのに要する主走
査回数よりも多い主走査回数で、各ラスタを形成するよ
うに制御信号を出力する機能とをコンピュータにより実
現可能なプログラムを記録した記録媒体である。
【0052】本発明の第3の記録媒体は、印刷装置によ
り印刷媒体上に画像を印刷するためのプログラムをコン
ピュータ読みとり可能に記録した記録媒体であって、画
像を記録する領域のうち、前記副走査における相対的な
移動を第1の精度で行うことができる第1の領域と、前
記第1の精度よりも低い第2の精度で副走査を行う第2
の領域とを判定する機能と、前記第2の精度で副走査が
行われる領域において、前記第1の精度で副走査が行わ
れる領域よりも高い割合で大きい径のドットを形成して
画像を印刷するように制御信号を出力する機能とをコン
ピュータにより実現可能なプログラムを記録した記録媒
体である。
【0053】上記記録媒体に記録されたプログラムが、
前記コンピュータに実行されることにより、先に説明し
た本発明の印刷装置を実現することができる。
【0054】なお、記憶媒体としては、フレキシブルデ
ィスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、
ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの
符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置
(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等
の、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用でき
る。また、コンピュータに上記の印刷装置の制御機能を
実現させるコンピュータプログラムを通信経路を介して
供給するプログラム供給装置としての態様も含む。
【0055】以上で説明した全ての発明は、ヘッドが印
刷媒体に対し相対的に往復動する主走査を伴って各ラス
タを形成する印刷装置および主走査を伴うことなくラス
タを形成する印刷装置の双方に当然、適用可能である。
【0056】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、実施例に基づき説明する。 (1)装置の構成 図1は、本発明の一実施例としての印刷装置の構成を示
すブロック図である。図示するように、コンピュータ9
0にスキャナ12とカラープリンタ22とが接続されて
おり、このコンピュータ90に所定のプログラムがロー
ドされ実行されることにより、全体として印刷装置とし
て機能する。図示するように、このコンピュータ90
は、プログラムに従って画像処理に関わる動作を制御す
るための各種演算処理を実行するCPU81を中心に、
バス80により相互に接続された次の各部を備える。R
OM82は、CPU81で各種演算処理を実行するのに
必要なプログラムやデータを予め格納しており、RAM
83は、同じくCPU81で各種演算処理を実行するの
に必要な各種プログラムやデータが一時的に読み書きさ
れるメモリである。入力インターフェイス84は、スキ
ャナ12やキーボード14からの信号の入力を司り、出
力インタフェース85は、プリンタ22へのデータの出
力を司る。CRTC86は、カラー表示可能なCRT2
1への信号出力を制御し、ディスクコントローラ(DD
C)87は、ハードディスク16やフレキシブルドライ
ブ15あるいは図示しないCD−ROMドライブとの間
のデータの授受を制御する。ハードディスク16には、
RAM83にロードされて実行される各種プログラムや
デバイスドライバの形式で提供される各種プログラムな
どが記憶されている。このほか、バス80には、シリア
ル入出力インタフェース(SIO)88が接続されてい
る。このSIO88は、モデム18に接続されており、
モデム18を介して、公衆電話回線PNTに接続されて
いる。コンピュータ90は、このSIO88およびモデ
ム18を介して、外部のネットワークに接続されてお
り、特定のサーバーSVに接続することにより、画像処
理に必要なプログラムをハードディスク16にダウンロ
ードすることも可能である。また、必要なプログラムを
フレキシブルディスクFDやCD−ROMによりロード
し、コンピュータ90に実行させることも可能である。
【0057】図2は本印刷装置のソフトウェアの構成を
示すブロック図である。コンピュータ90では、所定の
オペレーティングシステムの下で、アプリケーションプ
ログラム95が動作している。オペレーティングシステ
ムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が
組み込まれており、アプリケーションプログラム95か
らはこれらのドライバを介して、最終カラー画像データ
FNLが出力されることになる。画像のレタッチなどを
行うアプリケーションプログラム95は、スキャナ12
から画像を読み込み、これに対して所定の処理を行いつ
つビデオドライバ91を介してCRTディスプレイ21
に画像を表示している。スキャナ12から供給されるデ
ータは、カラー原稿から読みとられ、レッド(R),グ
リーン(G),ブルー(B)の3色の色成分からなる原
カラー画像データORGである。
【0058】このアプリケーションプログラム95が、
印刷命令を発行すると、コンピュータ90のプリンタド
ライバ96が、画像情報をアプリケーションプログラム
95から受け取り、これをプリンタ22が印字可能な信
号(ここではシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの
各色についての2値化された信号)に変換している。図
2に示した例では、プリンタドライバ96の内部には、
アプリケーションプログラム95が扱っているカラー画
像データをドット単位の画像データに変換するラスタラ
イザ97と、ドット単位の画像データに対してプリンタ
22が使用するインク色および発色の特性に応じた色補
正を行う色補正モジュール98と、色補正モジュール9
8が参照する色補正テーブルCTと、色補正された後の
画像情報からドット単位でのインクの有無によってある
面積での濃度を表現するいわゆるハーフトーンの画像情
報を生成するハーフトーンモジュール99とが備えられ
ている。プリンタ22は、印字可能な上記信号を受け取
り、記録用紙に画像情報を記録する。
【0059】次に、図3によりプリンタ22の概略構成
を説明する。図示するように、このプリンタ22は、紙
送りモータ23によって用紙Pを搬送する機構と、キャ
リッジモータ24によってキャリッジ31をプラテン2
6の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ31に搭
載された印字ヘッド28を駆動してインクの吐出および
ドット形成を行う機構と、これらの紙送りモータ23,
キャリッジモータ24,印字ヘッド28および操作パネ
ル32との信号のやり取りを司る制御回路40とから構
成されている。以下、この順に各機構等について説明す
る。
【0060】まず用紙Pを搬送する機構について説明す
る。図4は上述のプリンタ22の用紙Pを搬送する機構
を示す側断面図である。用紙Pを搬送する機構は、給紙
側に備えられた給紙ローラ25aおよび従動ローラ25
bと、排紙側に備えられた排紙ローラ27aおよびギザ
ローラ27bとから構成される。これらのローラは、先
に図3を用いて説明した紙送りモータ23の回転をギヤ
トレイン(図示省略)により伝達することにより駆動さ
れる。図4に示す通り、最初、用紙Pは給紙側から給紙
ローラ25aおよび従動ローラ25bに挟持され、両ロ
ーラの回転により搬送される。用紙Pの上端が排紙ロー
ラ27aおよびギザローラ27bに挟持されると、これ
らのローラによっても排紙側に送られるようになる。用
紙Pには、プラテン26上にある領域にヘッド28によ
り画像が記録される。
【0061】なお、紙送りの精度は、給紙側のローラ2
5a,25bにより確保している。従って、用紙Pの下
端が給紙ローラ25aおよび従動ローラ25bから外れ
た後、排紙ローラ27aおよびギザローラ27bによっ
て紙送りされる場合には、送り量の精度が給紙側のロー
ラ25a,25bにより搬送される場合に比べて低くな
る。
【0062】次に図3に戻りキャリッジ31をプラテン
26の軸方向に往復動させる機構について説明する。こ
の機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッ
ジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジ
モータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプ
ーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出する位置
検出センサ39等から構成されている。
【0063】なお、このキャリッジ31には、黒インク
(Bk)用のカートリッジ71とシアン(C1),ライ
トシアン(C2)、マゼンタ(M1),ライトマゼンダ
(M2)、イエロ(Y)の6色のインクを収納したカラ
ーインク用カートリッジ72が搭載可能である。シアン
およびマゼンダの2色については、濃淡2種類のインク
を備えていることになる。キャリッジ31の下部の印字
ヘッド28には計6個のインク吐出用ヘッド61ないし
66が形成されており、キャリッジ31の底部には、こ
の各色用ヘッドにインクタンクからのインクを導く導入
管67(図5参照)が立設されている。キャリッジ31
に黒(Bk)インク用のカートリッジ71およびカラー
インク用カートリッジ72を上方から装着すると、各カ
ートリッジに設けられた接続孔に導入管67が挿入さ
れ、各インクカートリッジから吐出用ヘッド61ないし
66へのインクの供給が可能となる。
【0064】インクの吐出およびドット形成を行う機構
について説明する。図5はインク吐出用ヘッド28の内
部の概略構成を示す説明図である。インク用カートリッ
ジ71,72がキャリッジ31に装着されると、図5に
示すように毛細管現象を利用してインク用カートリッジ
内のインクが導入管67を介して吸い出され、キャリッ
ジ31下部に設けられた印字ヘッド28の各色ヘッド6
1ないし66に導かれる。なお、初めてインクカートリ
ッジが装着されたときには、専用のポンプによりインク
を各色のヘッド61ないし66に吸引する動作が行われ
るが、本実施例では吸引のためのポンプ、吸引時に印字
ヘッド28を覆うキャップ等の構成については図示およ
び説明を省略する。
【0065】各色のヘッド61ないし66には、後で説
明する通り、各色毎に48個のノズルNzが設けられて
おり(図7参照)、各ノズル毎に電歪素子の一つであっ
て応答性に優れたピエゾ素子PEが配置されている。ピ
エゾ素子PEとノズルNzとの構造を詳細に示したの
が、図6である。図6上段に図示するように、ピエゾ素
子PEは、ノズルNzまでインクを導くインク通路68
に接する位置に設置されている。ピエゾ素子PEは、周
知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて
高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。本
実施例では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間
に所定時間幅の電圧を印加することにより、図6下段に
示すように、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張
し、インク通路68の一側壁を変形させる。この結果、
インク通路68の体積はピエゾ素子PEの伸張に応じて
収縮し、この収縮分に相当するインクが、粒子Ipとな
って、ノズルNzの先端から高速に吐出される。このイ
ンク粒子Ipがプラテン26に装着された用紙Pに染み
込むことにより、印刷が行われる。
【0066】図7は、インク吐出用ヘッド61〜66に
おけるインクジェットノズルNzの配列を示す説明図で
ある。これらのノズルの配置は、各色ごとにインクを吐
出する6組のノズルアレイから成っており、48個のノ
ズルNzが一定のノズルピッチkで千鳥状に配列されて
いる。各ノズルアレイの副走査方向の位置は互いに一致
している。なお、各ノズルアレイに含まれる48個のノ
ズルNzは、千鳥状に配列されている必要はなく、一直
線上に配置されていてもよい。但し、図7に示すように
千鳥状に配列すれば、製造上、ノズルピッチkを小さく
設定し易いという利点がある。
【0067】図8にノズルアレイの拡大図および該ノズ
ルアレイにより形成されるドットの様子を示す。図8に
示す通り、本実施例ではノズルアレイを副走査すること
により、ノズルピッチの1/6のピッチでドットを記録
することができる。つまり、本実施例ではノズルピッ
チ:記録ピッチ=6:1なる関係にある。また、いわゆ
るドットの白抜けを防止するために、各ドットは主走査
方向および副走査方向に互いに隣接するドットと一部重
なる形で形成されている。
【0068】本発明のプリンタ22は、図7に示した通
り一定の径からなるノズルNzを備えているが、かかる
ノズルNzを用いて径の異なる3種類のドットを形成す
ることができる。この原理について説明する。図9は、
インクが吐出される際のノズルNzの駆動波形と吐出さ
れるインクIpとの関係を示した説明図である。図9に
おいて破線で示した駆動波形が通常のドットを吐出する
際の波形である。区間d2において一旦、マイナスの電
圧をピエゾ素子PEに印加すると、先に図6を用いて説
明したのとは逆にインク通路68の断面積を増大する方
向にピエゾ素子PEが変形するため、図9の状態Aに示
した通り、メニスカスと呼ばれるインク界面Meは、ノ
ズルNzの内側にへこんだ状態となる。一方、図9の実
線で示す駆動波形を用い、区間d2に示すようにマイナ
ス電圧を急激に印加すると、状態aで示す通りメニスカ
スは状態Aに比べて大きく内側にへこんだ状態となる。
次に、ピエゾ素子PEへの印加電圧を正にすると(区間
d3)、先に図6を用いて説明した原理に基づいてイン
クが吐出される。このとき、メニスカスがあまり内側に
へこんでいない状態(状態A)からは状態Bおよび状態
Cに示すごとく大きなインク滴が吐出され、メニスカス
が大きく内側にへこんだ状態(状態a)からは状態bお
よび状態cに示すごとく小さなインク滴が吐出される。
【0069】以上に示した通り、駆動電圧を負にする際
(区間d1,d2)の変化率に応じて、ドット径を変化
させることができる。また、駆動波形のピーク電圧の大
小によってもドット径を変化させることができることは
容易に想像できるところである。本実施例では、駆動波
形とドット径との間のこのような関係に基づいて、ドッ
ト径の小さい小ドットを形成するための駆動波形と、2
番目のドット径からなるの中ドットを形成するための駆
動波形の2種類を用意している。図10に本実施例にお
いて用いている駆動波形を示す。駆動波形W1が小ドッ
トを形成するための波形であり、駆動波形W2が中ドッ
トを形成するための波形である。両者を使い分けること
により、一定のノズル径からなるノズルNzからドット
径が小中2種類のドットを形成することができる。
【0070】また、図10の駆動波形W1,W2の双方
を使ってドットを形成することにより、大ドットを形成
することができる。この様子を図10の下段に示した。
図10下段の図は、ノズルから吐出された小ドットおよ
び中ドットのインク滴IPs、IPmが吐出されてから
用紙Pに至るまでの様子を示している。図10の駆動波
形を用いて小中2種類のドットを形成する場合、中ドッ
トの方がピエゾ素子PEの変化量が大きいため、インク
滴IPが勢いよく吐出される。このようなインクの飛翔
速度差があるため、キャリッジ31が主走査方向に移動
しながら、最初に小ドットを吐出し、次に中ドットを吐
出した場合、キャリッジ31の走査速度、両ドットの吐
出タイミングをキャリッジ31と用紙Pの間の距離に応
じて調整すれば、両インク滴を同じタイミングで用紙P
に到達させることができる。本実施例では、このように
して図10の2種類に駆動波形から最もドット径が最も
大きい大ドットを形成しているのである。
【0071】最後にプリンタ22の制御回路40の内部
構成を説明するとともに、図7に示した複数のノズルN
zからなるヘッド28を駆動する方法について説明す
る。図11は制御回路40の内部構成を示す説明図であ
る。図11に示す通り、この制御回路40の内部には、
CPU41,PROM42,RAM43の他、コンピュ
ータ90とのデータのやりとりを行うPCインタフェー
ス44と、紙送りモータ23、キャリッジモータ24お
よび操作パネル32などとの信号をやりとりする周辺入
出力部(PIO)45と、計時を行うタイマ46と、ヘ
ッド61〜66にドットのオン・オフの信号を出力する
転送用バッファ47などが設けられており、これらの素
子および回路はバス48で相互に接続されている。ま
た、制御回路40には、所定周波数で駆動波形(図10
参照)を出力する発信器51、および発信器51からの
出力をヘッド61〜66に所定のタイミングで分配する
分配器55も設けられている。制御回路40は、コンピ
ュータ90で処理されたドットデータを受け取り、これ
を一時的にRAM43に蓄え、所定のタイミングで転送
用バッファ47に出力する。従って、多階調の画像を形
成するための画像処理は、プリンタ22側では行ってい
ない。制御回路40は、単にドット単位でのオン・オ
フ、即ちドットを形成するか否かの制御およびそれに伴
う副走査の制御等を行っているのである。
【0072】制御回路40がヘッド61〜66に対して
信号を出力する形態について説明する。図12は、ヘッ
ド61〜66の1つのノズル列を例にとって、その接続
について示す説明図である。ヘッド61〜66の一つの
ノズル列は、転送用バッファ47をソース側とし、分配
出力器55をシンク側とする回路に介装されており、ノ
ズル列を構成する各ピエゾ素子PEは、その電極の一方
が転送用バッファ47の各出力端子に、他方が一括して
分配出力器55の出力端子に、それぞれ接続されてい
る。分配出力器55からは図12に示す通り、発信器5
1の駆動波形が出力されている。CPU41から各ノズ
ル毎にオン・オフを定め、転送用バッファ47の各端子
に信号を出力すると、駆動波形に応じて、転送用バッフ
ァ47側からオン信号を受け取っていたピエゾ素子PE
だけが駆動される。この結果、転送用バッファ47から
オン信号を受け取っていたピエゾ素子PEのノズルから
一斉にインク粒子Ipが吐出される。
【0073】図7に示す通り、ヘッド61〜66は、キ
ャリッジ31の搬送方向に沿って配列されているから、
それぞれのノズル列が用紙Pに対して同一の位置に至る
タイミングはずれている。従って、CPU41は、この
ヘッド61〜66の各ノズルの位置のずれを勘案した上
で、必要なタイミングで各ドットのオン・オフの信号を
転送用バッファ47を介して出力し、各色のドットを形
成している。また、図7に示した通り、各ヘッド61〜
66もノズルが2列に形成されている点も同様に考慮し
てオン・オフの信号の出力が制御されている。
【0074】本実施例では、単一の発信器51から図1
0に示す駆動波形W1,W2を連続的に出力することに
より径の異なるドットの形成を可能としているが、各駆
動波形を出力する発信器をそれぞれ用意し、その使い分
けによって径の異なるドットを形成するものとしてもよ
い。
【0075】以上説明したハードウェア構成を有するプ
リンタ22は、紙送りモータ23により給紙側のローラ
25a、25bその他のローラを回転して用紙Pを搬送
しつつ(以下、副走査という)、キャリッジ31をキャ
リッジモータ24により往復動させ(以下、主走査とい
う)、同時に印字ヘッド28の各色ヘッド61ないし6
6のピエゾ素子PEを駆動して、各色インクの吐出を行
い、ドットを形成して用紙P上に多色の画像を形成す
る。
【0076】なお、本実施例では、既に述べた通りピエ
ゾ素子PEを用いてインクを吐出するヘッドを備えたプ
リンタ22を用いているが、他の方法によりインクを吐
出するプリンタを用いるものとしてもよい。例えば、イ
ンク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発
生する泡(バブル)によりインクを吐出するタイプのプ
リンタに適用するものとしてもよい。
【0077】(2)ドット形成制御 次に本実施例におけるプリンタ22による画像の記録に
ついて説明する。以下ではヘッドの主走査および用紙の
副走査によりドットが形成される様子を具体的に説明す
る。図13および図14は、本実施例における主走査お
よび副走査の制御の流れを示すフローチャートである。
この制御は図3に示したプリンタ22の制御回路40の
CPU41が、上述のドット形成制御ルーチンを実行す
ることにより行われる。
【0078】ドット形成制御ルーチンが開始されると、
CPU41は画像データを入力する(ステップS10
0)。この画像データは、先に図3で示したプリンタド
ライバ96により、色補正その他の画像処理が施された
データであり、各色のドットを印刷用紙の主走査方向お
よび副走査方向のどの位置に形成すべきかを特定するデ
ータである。本実施例では、ステップS100で印刷す
る画像に関する全てのデータを入力している。もちろ
ん、後述するドットの形成を行いながら、順次データを
入力するものとしてもよい。
【0079】次に、CPU41は標準印刷処理による画
像の記録を実行する(ステップS200)。本実施例に
おける標準印刷処理とは、いわゆるインターレース方式
による記録である。標準印刷処理の流れを図14に示
す。また、図15に本実施例による画像の記録の様子を
示す。図15に示す通り、本実施例では、図4で示した
紙送り機構と印刷用紙Pとの位置関係に応じて画像は大
きく3つの領域により形成されている。
【0080】1つめの領域は図15中に示す標準印刷の
領域である。これは、図4で示した給紙ローラ25aお
よび従動ローラ25bに用紙Pが挟持されている状態、
即ち紙送り精度が十分保証されている状態で画像が記録
される領域である。2つめの領域は図15中に示す中間
処理の領域である。これは、標準印刷の領域と後述する
3番目の領域との過渡的な領域に相当する。この領域で
も紙送り精度は十分保証されている。3番目の領域は、
図15中の拡張印刷の領域である。この領域は、図4で
示した給紙ローラ25aおよび従動ローラ25bから用
紙Pの下端が外れ、排紙ローラ27aおよびギザローラ
27bにより紙送りを行いつつ、記録される領域であ
る。従って、拡張印刷の領域では標準印刷や中間処理の
領域に比較して低い紙送り精度で画像が記録されること
になる。本実施例のプリンタ22は原理的には用紙Pの
全ての領域に画像を記録することが可能であるが、用紙
Pのサイズの誤差やプリンタ22への挿入時の誤差等を
考慮して、若干の余白を残すようにしている。
【0081】ドット形成制御(図13および図14)に
より形成されるドットの様子を図16により詳細に示
す。また、このときの各ノズルにより形成されるラスタ
を一覧にして図17に示す。なお、図16および図17
では説明の便宜上、ノズルピッチを4ラスタ相当とし、
ノズル数を7に減らした例を示してある。
【0082】図16は、各主走査時のノズルの副走査方
向の位置を表した図である。図16の上下方向が副走査
方向に相当する。図の煩雑さを避けるため、ノズル位置
を主走査ごとに順次右にずらして示した。図16におい
て、P1,P2・・・は1回目、2回目・・・の主走査
を意味している。丸囲みの数字は、各主走査におけるノ
ズルの副走査方向の位置を示している。また、太線で丸
囲みしてある数字は、その位置でドットが形成されるこ
とを意味しており、細い線で丸囲みしてある数字はノズ
ルが位置するものの、ドットは形成されないことを意味
している。図16の左側に示した値は各ラスタに便宜上
付したラスタ番号RNであり、後述する通り、この記録
方法によって副走査における紙送り精度を保証しつつ画
像が記録される最も下方のラスタをラスタ番号0(RN
=0)とし、それよりも下方のラスタを正の数字で、上
方のラスタを負の数字で表している。「L=」の形で表
した数字は、各副走査における紙送り量をラスタ数で表
したものである。
【0083】標準印刷処理ルーチン(図14)が開始さ
れると、CPU41はドット形成データを設定した後
(ステップS110)、主走査を行いつつドットを形成
する(ステップS120)。図16の例では、ノズルピ
ッチは4ラスタ分であるから、ドット形成用のデータ
は、先に入力した画像データの先頭から4ラスタおきに
主走査方向に順にデータを抽出したものとなり、CPU
41はこれらのデータを図11に示した転送用バッファ
47に送る。ドットの形成では、図12に示す通り、ヘ
ッド28の主走査方向の位置に同期して示す通り駆動波
形を出力することによりヘッド28を駆動してインクを
吐出する。こうして図16中の主走査P1では、ラスタ
番号−28より上方の領域(RN≦−28なる領域)
で、4ラスタおきにドットが形成される。
【0084】各主走査におけるノズル位置とラスタ番号
との対応を図17に示す。図17の左欄に#1,#2・
・・で示したものが、図16における各ノズル番号に相
当し、上欄に示したP1,P2・・・が、同じく図16
中で主走査を示すP1,P2・・にそれぞれ対応してい
る。表中の数字は、各ノズルが各主走査において形成す
るラスタ番号RNを示している。図17より、1番ノズ
ルは、主走査P1において、ラスタ番号−52のラスタ
を形成することが分かる。因みに、これは図16に示し
た領域よりも上方の領域である。
【0085】次にCPU41は、紙送りモータ23を制
御して、副走査を行う(ステップS130)。紙送りの
方法は、図4を用いて既に説明した通りである。図16
の例では、7ラスタに相当する紙送りが実行され、ヘッ
ド28の位置は図16中のP2まで移動する。この送り
量は、インターレース方式によりラスタの抜けが生じる
ことなく画像を記録することができる種々の送り量のう
ち、ノズルを最も有効に用いることができる送り量に設
定してある。送り量はノズルピッチ、ノズル個数および
スキャン繰り返し数に応じて定めることができるが、そ
の設定方法は周知であるため説明を省略する。
【0086】副走査を行った後、上述した各処理(ステ
ップS110〜S130)を繰り返し実行して図16の
主走査P2で示した位置、即ちラスタ番号−20より上
方の領域にドットを形成する。この処理の繰り返しによ
り、ラスタを間欠的に形成しつつ、画像を記録すること
ができる。例えば、図16から明らかな通り、主走査P
4までが実行されると、ラスタ番号−34から−25の
領域では画像が完成していることが分かる。以下、画像
の形成が終了するまで(ステップS140)この処理を
繰り返し実行して、画像を形成する。但し、本実施例で
は、後述する通り、標準印刷処理(図13のステップS
200)の後に、別の印刷モードによる印刷を実行する
ため、ここでいう画像の形成が終了とは、入力された画
像データ全体の印刷の終了ではなく、標準印刷処理ルー
チンによる画像の形成の終了を意味している。
【0087】なお、標準印刷処理による画像の形成が終
了したか否かについては、後述する中間処理(図13の
ステップS300)および拡大領域印刷処理(ステップ
S700)により形成されるべきラスタ数に応じて判断
される。予め印刷用紙Pのサイズ等が指定されていれ
ば、入力された画像データを構成するラスタの本数は既
知であり、また拡大領域印刷処理および中間処理にお要
するラスタの本数も既知であるため、これらの情報に基
づいて画像データの上端からどれだけのラスタを標準印
刷すべきかを求めることができる。こうして求められた
ラスタと実際に形成されたラスタとを比較すれば、標準
印刷処理を終了すべきか否かは容易に判断することがで
きる。もっとも、本実施例では、このように判断された
範囲に若干の余裕を見込んで標準印刷をすべき領域とし
ている。用紙のサイズは厳密に一定とは言えず、また、
用紙吸入時等の滑りその他の要因により印刷する領域に
誤差が生じる可能性もあるからである。
【0088】用紙のサイズが未知である場合のために、
図4の給紙ローラ25aおよび従動ローラ25bよりも
さらに上流側の所定の位置に紙端を検出するためのセン
サを設け、該センサからの情報に基づいて標準印刷処理
の終了を判定するものとしてもよい。例えば、光学的に
用紙の端を検出する周知のセンサにより紙端を検出すれ
ば、用紙端が検出された時点で印刷を実行している領域
から用紙の下端までの距離が既知となり、その領域に記
録すべき画像のラスタ数が既知となるため、これらの情
報に基づいて上述と同様の判断を行うものとすればよ
い。
【0089】こうして、標準印刷処理による画像の形成
が終了した後、CPU41は、中間処理による画像の印
刷を実行する(図13のステップS300)。中間処理
におけるドット形成の流れ自体は、図14に示した標準
印刷処理ルーチンと同様であるため、フローチャートの
図示は省略する。中間処理では、副走査における紙送り
量が標準印刷における紙送り量と相違する。
【0090】中間処理(ステップS300)において
は、標準処理における7ラスタ相当の紙送り量とは異な
り、まず4ラスタ相当の紙送りを実行し、ラスタを形成
する(図16の主走査P5)。この4ラスタの意味につ
いては後述する。次に、3ラスタの紙送りを行いつつ、
ラスタを形成する(図16の主走査P6〜P8)。この
際、例えば主走査P7における1番ノズルのように、既
に形成されたラスタ位置にノズルが重複して存在する場
合もあるため、かかるノズルはドットの形成データをマ
スクし、ドットの形成が行われないようにされる。図1
7において、n/aと示したノズルはデータのマスクが
行われるノズルを意味している。なお、図16の主走査
P8の位置が、精度を保証しつつ紙送りをすることがで
きる限界位置である。つまり、このとき用紙Pの下端は
給紙ローラ25aおよび従動ローラ25bから外れる直
前の状態にあることになる。もっとも、厳密にいえば、
本実施例では、主走査P8の位置は上記限界位置に対し
2ミリ程度の余裕を見込んだ位置である。
【0091】中間処理における送り量の設定について説
明する。本実施例の中間処理においては、4ラスタの過
渡的な送り量に続いて3ラスタの一定の送り量による紙
送りが行われている。この一定の送り量は、4ラスタ分
のノズルピッチからなる3つのノズルが備えられている
場合のインターレース方式の送り量に相当する。つま
り、本実施例の中間処理では、全部で7つ備えられてい
るノズルのうち、3つを用いてインターレース方式の記
録を行うように送り量が設定されているのである。実
際、図16の主走査P8においては、3番ノズルから5
番ノズルまでの3つのノズルのみがドットを形成してい
る。主走査P6およびP7では、3つ以上のノズルが使
用されているが、これは標準印刷された領域とのつなが
り上、ラスタの抜けが生じないようにするためのもので
ある。また、中間処理の最初に実行した4ラスタ分の過
渡的な送りも、ラスタの抜けが生じないように設定され
るものである。過渡的な送り量は、標準処理における送
り量等のパラメータと中間処理における送り量等のパラ
メータ双方に基づいて定まるものである。
【0092】このように中間処理において使用ノズル数
を見かけ上減らしたインターレース記録を実行するの
は、かかる記録方式を採用することにより、紙送り精度
を保証した状態で画像を記録することができる領域を拡
張することができるからである。この点について、図4
4との比較により説明する。
【0093】既に説明した通り、図44は7ラスタ相当
の紙送り量のインターレース方式のみにより画像を記録
した場合の様子を示したものである。図16と図44で
ラスタ番号の副走査方向の位置は統一してある(例え
ば、共に主走査P4の7番ノズルの位置はラスタ番号−
7となっている)。ノズルピッチおよびノズル数も同一
である。既に説明した通り、図44では主走査P6まで
が紙送り精度を保証されている領域である。このときは
ラスタ番号−10においてラスタの抜けが生じているた
め、画像はラスタ番号−11より上方の領域(RN≦−
11なる領域)でしか完成していない。これに対し、図
16では、中間処理を採用することにより、ラスタ番号
0までの領域(RN≦0なる領域)で画像が形成されて
いる。
【0094】このように使用ノズル数を減らした中間処
理を実行すれば紙送り精度を保証して画像を記録できる
領域が拡大する。一方、使用ノズル数を減らせば、ドッ
トの形成効率が低下し、印刷速度の低下を招くことにな
る。また、使用ノズル数を減らせば、隣接するラスタを
同じノズルで形成せざるを得ない状況も生じる。本実施
例では、かかる事情を総合的に判断して、上述の送り量
からなる中間処理を設定したが、この送り量はこれらの
事情に応じて種々の値に設定可能である。但し、いかな
る値に設定しても、標準処理における送り量よりは小さ
い送り量とする必要がある。標準処理における送り量よ
りも大きい送り量を行う場合には、紙送り精度を保証し
たまま画像を記録できる領域は拡大し得ないからであ
る。
【0095】こうして中間処理による記録を実行した
後、CPU41は位置合わせ送りを実行する(ステップ
S400)。位置合わせ送りとは、図16における主走
査P9の位置に副走査を行うことをいう。この送り量の
設定は、その後に行われる拡張印刷処理の送り量に応じ
て定められる。本実施例における拡張印刷処理を説明す
る前に、図18および図19を用いて位置合わせ送りの
考え方について説明する。
【0096】図18は、拡張印刷の一つの態様を示す説
明図である。また、図19はそのときの主走査、ノズル
番号とラスタとの対応を示す説明図である。図18の標
準印刷および中間処理におけるドットの形成は、先に図
16で説明したものと同一である。図18では拡張印刷
でのドットの形成において、本実施例におけるドットの
形成(図16)と相違する。
【0097】既に説明した通り、本実施例では、中間処
理の結果、ラスタ番号0よりも上方の領域(RN≦0な
る領域)において画像が完成しているため、その後に行
われる拡張印刷処理においては、ラスタ番号1よりも下
方の領域(RN≧1なる領域)に画像を形成することに
なる。ところが、図18より明らかな通り、中間処理が
終了した時点で既にこの領域に6番ノズルおよび7番ノ
ズルが存在している。副走査は一方向にしか行うことが
できないから、6番ノズルおよび7番ノズルは拡張印刷
処理では使用することができない。従って、拡張印刷処
理においては1番ノズルから5番ノズルまでの5つのノ
ズルを用いてインターレース方式による記録を行うこと
になる。以下、この意味で5番ノズルをエンドノズルと
呼ぶものとする。仮に4番ノズルまでを用いて拡張印刷
処理を実行するのであれば、エンドノズルは4番ノズル
となる。
【0098】中間処理が終了した状態(図18の主走査
P8)においては、エンドノズルである5番ノズルは画
像が完成されている領域よりも上方(図18のラスタ番
号−2)に位置しているため、ラスタ番号1よりも下方
に隣接して画像を形成するためには、5番ノズルがラス
タ番号0に一致した状態からインターレース記録を行う
必要がある。
【0099】拡張印刷処理を実行するためには、さらに
インターレース記録を行うために設定された送り量で副
走査を行う必要がある。標準印刷処理においてインター
レース方式による送り量を設定したのと同様の手法によ
り拡張印刷処理における送り量を設定すれば5ラスタ相
当となる。標準印刷処理における送り量よりも小さくな
るのは、拡張印刷において使用できるノズル数が減った
からである。
【0100】以上より、拡張印刷処理においてインター
レース方式による記録を行う際に使用可能なノズルが1
番ノズルから5番ノズルまでである場合には、ステップ
S400における位置合わせ送りは、エンドノズルをラ
スタ番号0に一致させるために必要となる送り量である
2ラスタと、拡張印刷処理における送り量である5ラス
タの和から、7ラスタと求められる。図18では、こう
して求められた7ラスタの送りにより位置合わせを行っ
た後、5ラスタの一定の送り量でインターレース方式に
よるドットの記録を実行している。
【0101】これに対し、図16では位置合わせ送りと
して5ラスタの送りを実行している(図16の主走査P
8からP9への送り量参照)。また、拡張印刷領域では
各3ラスタの送りによる副走査を行いつつ、ドットを記
録している。既に説明した通り、拡張印刷においては1
番ノズルから5番ノズルまでしか使用することができな
い。図18では、これらのノズルを全て使用する場合の
ドットの記録を示したが、本実施例(図16)では、こ
れらのノズルのうち、1番ノズルと2番ノズルを敢えて
使用しないノズルとし、3番ノズルから5番ノズルのみ
を用いてドットを記録している。このように設定したと
き、インターレース方式による記録をするための送り量
はさらに減少し、3ラスタ分となる。従って、エンドノ
ズルである5番ノズルをラスタ番号0(RN=0)まで
移動するのに要する2ラスタの送り量と併せて、位置合
わせの送り量は5ラスタと求められる。本実施例で拡張
印刷において使用するノズル数を3つに減らした理由に
ついては後述する。
【0102】こうして位置合わせ送りを行った後、CP
U41は使用ノズルの設定を行い(ステップS50
0)、使用しないノズルについてはデータマスク処理を
行う(ステップS600)。本実施例では、上述の通
り、3番ノズルから5番ノズルまでを使用ノズルとして
設定する。データマスク処理とは、ドット形成用のデー
タを転送用バッファ47(図11および図12参照)に
転送しないようにして、ドットが形成されないようにす
る処理をいう。従って、図17に示す通り、1番、2
番、6番および7番ノズルは拡張印刷において全て「n
/a」とされる。
【0103】次に、CPU41は拡張印刷処理を実行す
る(ステップS700)。拡張印刷処理におけるドット
形成の流れ自体は、図14に示した標準印刷処理ルーチ
ンと同様であるため、フローチャートの図示は省略す
る。中間処理では、副走査における紙送り量が標準印刷
における紙送り量と相違する。先に説明した通り、拡張
印刷処理においては、3ラスタ分の送り量によるインタ
ーレース方式でドットを形成する。従って、拡張印刷処
理では図16の主走査P10ないしP14の位置でドッ
トが形成されることになる。このとき、ラスタ番号0よ
りも上方の領域(RN≦0なる領域)では既に画像が形
成されているため、かかる領域に存在するノズルはドッ
トを形成しない。例えば、1番ノズルは主走査P12以
降で初めてラスタを形成する。
【0104】図16では、ノズルピッチおよびノズル数
を減らした場合のドット形成の様子を示した。これに対
し、本実施例のプリンタ22は、6ラスタに相当するノ
ズルピッチで48個のノズルを備えている。かかる場合
のドットの形成の様子を図17と同じ形式で図20およ
び図21に示す。図20は1番から24番までのノズル
についてラスタとの対応を示しており、図21は25番
以降のノズルについてラスタとの対応を示している。こ
れらの図に示す通り、標準処理(図13のステップS2
00)として47ラスタ分の紙送りを行い、中間処理
(ステップS300)として15ラスタの過渡的な紙送
りと5ラスタの紙送りを行い、位置合わせ送り(ステッ
プS400)として47ラスタの紙送りを行った後、拡
張印刷処理(ステップ700)として43ラスタ分の紙
送りを行っている。
【0105】以上で説明した印刷装置によれば、標準印
刷を行う領域においては、インターレース方式により高
画質な画像を得ることができる。また、中間処理を採用
することにより、紙送りの精度を保証しつつ画像を形成
することができる領域を拡張することができる。このよ
うに拡張された領域においてもインターレース方式によ
る画像の記録が行われているため、高画質な画像を得る
ことができる。画像を記録することができる領域は、さ
らに拡張印刷を実行することにより下方に拡張すること
ができる。
【0106】また、拡張印刷で使用するノズル数を3つ
に減らすことによって、拡張印刷における副走査の送り
量を小さくすることができる。つまり、拡張印刷におい
て5つのノズルを使用するものとすれば、図18に示し
た通り5ラスタずつの送り量で副走査を行うことになる
が、本実施例では3つのノズルを使用するものとしてい
るため、図16に示した通り3ラスタずつの送り量から
なる副走査で拡張印刷を実行することができる。図4を
用いて説明した通り、拡張印刷をする領域では副走査の
紙送り精度が十分保証されてはいない。一般に副走査の
紙送り誤差は、用紙Pと紙送りを行うローラとの滑り等
によって生じるため、一回の紙送り量を小さくすればそ
れだけ滑り、即ち誤差を小さくすることができる。本実
施例では、印刷速度の若干の低下を犠牲にしつつ、拡張
印刷において使用するノズル数を敢えて減らすことによ
り紙送り量を小さくして副走査の誤差を小さくしてい
る。この結果、本実施例のプリンタ22によれば、拡張
印刷領域においても比較的良好な画像を得ることができ
る。
【0107】上述の効果に加えて、本実施例のプリンタ
22は上記効果の他、送り誤差に基づく各ラスタ間の間
隔の変動によって生じる濃淡のムラを視認されにくくす
ることで拡張印刷領域における画質の向上を図ることが
できる。この効果について説明する。
【0108】上述の実施例では、拡張印刷として、標準
印刷を実行する場合に比較して少ないノズルを用いたイ
ンターレース方式の記録を行っている。インターレース
方式による記録を行う場合、一般にノズルピッチk(ド
ット)とノズル数Nとは互いに素の関係になるように選
ばれる。このとき、ノズル数Nに相当する一定の送り量
N(ドット)で副走査をすれば、インターレースによる
記録を実現することができる。上記実施例におけるノズ
ル数の選択および送り量の選択は、かかる関係を考慮し
てなされた例である。
【0109】このようにノズル数および送り量を設定す
ると、使用ノズル数に相当する本数のラスタが副走査方
向またはそれと逆方向に連続的に形成される。図18の
拡張印刷領域を例にとって説明する。既に説明した通
り、図18では拡張印刷領域では、4ドットピッチで配
列された5つのノズルを用いたインターレース方式の記
録を実行している。ラスタ番号5〜9までの5本のラス
タは主走査P9〜P13までの5回の連続する主走査で
隣接するラスタが順に形成されている。インターレース
において上記関係を満足するように送り量を設定する
と、このように使用ノズル数に相当する本数のラスタが
連続的に形成されるようになる。図18では、副走査方
向に連続的にラスタが形成されているが、副走査方向と
は逆の方向に連続的にラスタが形成される場合もある。
ラスタ番号1〜4までの4本のラスタも連続的に形成さ
れている。連続して形成されるラスタの本数が使用ノズ
ル数に満たないのは、拡張印刷を開始した直後の領域で
あることに基づくものである。
【0110】拡張印刷領域では、標準印刷領域に比べて
副走査方向の送り精度が低い。図18の拡張印刷領域に
対し、各副走査ごとに一定の送り誤差eが生じた場合の
ラスタの形成の様子を図22に示す。図22は図18の
拡張領域で形成されるドットのみを拡大して示した。記
号の意味は図18と同じである。図22の左側には、副
走査における誤差がない場合のドットの位置を示した。
図22の右側にはそれぞれ一定の送り誤差eが生じた場
合のドットの位置を示した。図22では、送り量が大き
くなる方向に誤差eが生じた場合を示している。
【0111】図22の主走査P9における4番ノズルの
位置を比較する。送り誤差がない場合に比べてドットは
副走査方向にeだけずれた場所に記録される。主走査P
10では、主走査P9に対してさらにeだけ送り誤差が
生じる。従って、主走査P10における累積の送り誤差
は2eとなる。主走査P10では、送り誤差がない場合
に比べてドットは副走査方向に2eだけすれた場所に記
録される。以下、同様に主走査P11,P12,P13
では累積の送り誤差がそれぞれ3e,4e,5eとな
る。各主走査における累積の送り誤差を図22の下方に
示した。
【0112】上述の送り誤差を含んでドットが記録され
た場合における隣接するラスタ間の間隔の誤差を図22
の右側に示した。間隔の誤差は、各ラスタを形成する主
走査の累積誤差同士の差分を求めればよい。例えば、主
走査P10(累積誤差2e)と主走査P9(累積誤差
e)で形成されるラスタ間の間隔は、両者の累積の送り
誤差の差分によりeと求められる。以下、同様にして各
ラスタ間の間隔の誤差を求めることができる。この誤差
は図22に示す通り、隣接して形成されるラスタ間では
値eの一定値となる。隣接して形成されないラスタ間で
は−3eなる誤差が生じる。隣接して形成されないラス
タは使用ノズル数に相当する本数ごとに現れる。図18
に示した記録では、5本のラスタごとにラスタ間の間隔
が本来の値から大きくずれた部分が生じる。かかる部分
が視認されると、いわゆるバンディングとなり、画質を
損ねる場合がある。
【0113】ラスタの間隔のずれが視認され易いか否か
は、濃淡ムラによる空間周波数で計ることができる。図
23に空間周波数と視覚強度の関係を示した。図23に
示すように1サイクル/mm付近の空間周波数で人間の
視覚強度がピークに達することが分かる。つまり、かか
る空間周波数で生じる濃淡はムラとして人間の視覚に敏
感に感じられるのである。図22で説明したように使用
ノズル数に相当する間隔で濃淡の変動が生じた場合、使
用ノズル数が増える程、濃淡の変動は1サイクル/mm
付近の空間周波数になり易い。従って、送り精度の低下
に伴う濃淡の変動はバンディングとして視認されやす
い。
【0114】上述した実施例(図16)について、送り
精度の低下に伴う濃淡の変動を検討する。拡張印刷の領
域で連続して形成されるラスタは3本である。連続して
形成されるラスタとしては、例えば図16のラスタ番号
1番〜3番がある。図16の例では、隣接するラスタが
連続して形成されない領域が3本ごとに現れる。変動が
生じる間隔も図22に示した例より短くなり、空間周波
数は高くなる。また、その部分で生じるズレは図22で
説明したズレの絶対値3eに比較すれば小さく、絶対値
で2eに過ぎない。従って、上記実施例におけるドット
の記録では、副走査の送り精度の低下に伴う濃淡の変動
はバンディングとして視認されにくく、画質を向上する
ことができる。
【0115】拡張印刷領域において、副走査方向の濃淡
の変動の周波数を高くすることによる画質の向上を図る
のに適した記録方法を上記実施例の第2の態様として示
す。第2の態様により記録されたドットの様子を図24
に示す。また、各主走査におけるノズル位置とラスタ番
号との対応を図25に示す。図24では、8ドットのノ
ズルピッチで配列された7つのノズルを用いた例を示
す。また、図示の都合上1番ノズルから7番ノズルまで
の各ノズルをシンボルで示した。シンボルのノズル番号
との対応を図24の右下に示す。
【0116】標準印刷領域では、7ドットの一定の送り
量で副走査を実行して印刷を行う。その後、4ドットの
過渡的な送り量による副走査を実行し、中間処理として
1ドットずつの微少送りによる印刷を行う。中間処理の
送り量はこの他にも種々の設定が可能である。
【0117】続いて、21ドットの過渡的な送りを行っ
た後、標準印刷で用いたノズルよりも少ないノズルで拡
張印刷を行う。過渡的な送り量の設定方法は、第1実施
例(図16)の場合と同様である。第2の態様では5つ
のノズルを用いて拡張印刷を行っている。拡張印刷で使
用するノズル数の設定方法は次の通りである。
【0118】先に説明した通り、インターレース記録を
行う場合には、ノズルピッチとノズル数は互いに素にな
る関係で選択するのが一般的である。従って、第2の態
様ではノズルピッチ8と素になる値を選択する。第2の
態様では、この条件に加えて、「k・s±1」となる値
を避けてノズル数を設定する。kはノズルピッチであ
り、sはスキャン繰り返し数、即ち各ラスタを形成する
のに要する主走査の回数である。第2の態様では「ノズ
ルピッチk=8」「スキャン繰り返し数s=1」である
ため、使用ノズルは「9および7」以外の値で選択す
る。以上の2つの条件を満足する使用ノズル数として、
第2の態様ではノズル数を5に設定している。
【0119】ノズル数とノズルピッチが互いに素となる
関係に選択された場合には、ノズル数に相当する送り量
で副走査をすればインターレースによる記録を行うこと
ができる。従って、第2の態様では5ドット相当の一定
の送り量で拡張印刷を行う。このとき、図24から明ら
かな通り、拡張印刷領域における各ラスタは隣接するラ
スタを連続した主走査で形成する部分が存在しなくな
る。これは「k・s±1」となる値を避けてノズル数を
設定したことによるものである。
【0120】第2の態様による記録を行った場合におけ
る各ラスタ間の間隔の変動の様子を図22と同様の形式
で図26に示す。図26の左下にシンボルとノズル番号
の対応を併せて示した。図26では、副走査の送りに誤
差が含まれる場合のドットの記録位置のみを示した。主
走査P16〜P24では、それぞれ累積の送り誤差は値
e〜9eとなる。各ラスタ間の間隔の変動を右側に示し
た。図示する通り、ラスタ間の間隔は「−3e、5e、
−3e」の周期で変動する。変動の最大値は5eであ
り、最大の変動を生じる部分は副走査方向に3ラスタご
とに現れる。比較対照として、ノズルピッチに相当する
7本の隣接するラスタが連続的に形成された場合を考え
る。この場合は、先に図22を用いて説明したのと同
様、変動の最大値は7eとなり、最大の変動を生じる部
分は7ラスタごとに現れる。第2の態様での記録におけ
る変動の最大値は、7本のラスタが連続的に形成される
場合の変動の最大値よりも小さい。また、変動の最大値
が現れる間隔は半分以下となり、送り量の誤差に伴う濃
淡の空間周波数は高い値となる。
【0121】以上より、拡張印刷において第2の態様に
よる記録を実行すれば、使用ノズル数を減らすことによ
る画質の向上効果に加えて、ラスタ間の間隔の変動によ
る空間周波数を高めることによりバンディングを目立た
なくする効果を得ることができる。先に説明した関係を
考慮して拡張印刷領域における使用ノズル数を設定すれ
ば、図24に示した以外のノズルピッチおよびノズル数
でも第2の態様と同様の記録、即ち隣接するラスタが連
続的に形成される部分が非常に少ない印刷を実現するこ
とができる。なお、図24では、拡張印刷領域において
隣接するラスタが連続的に形成される部分は生じていな
いが、隣接するラスタが連続的に形成される部分がごく
一部に生じても同様の効果を得ることができる。
【0122】拡張印刷領域においてラスタ間の間隔の変
動周期を短くする記録は、ノズルピッチと素でない値に
使用ノズル数を選択した場合であっても実現することが
できる。この場合の記録を第3の態様として説明する。
図27は第3の態様によるドットの記録の様子を示す説
明図である。また、各主走査におけるノズル位置とラス
タ番号との対応を図28に示す。図27では、4ドット
のノズルピッチで配列された7つのノズルを用いた例を
示す。
【0123】第3の態様では、第1実施例(図16参
照)と同様、7ドットずつの副走査で標準印刷を実行
し、その後4ドットの過渡的な送りを行い、3ドットず
つの副走査で中間処理を実行する。次に、第3の態様で
は11ドットの過渡的な送りを行って、拡張印刷を実行
する。過渡的な送り量の設定方法は第1実施例の場合と
同様である。第3の態様では、拡張印刷における使用ノ
ズル数を、標準印刷で使用するノズル数よりも少ない範
囲で、ノズルピッチと同じ4本に選択した。
【0124】かかる場合には、一定の送り量で副走査を
実行してもインターレースによる記録を実現することが
できない。従って、第3の態様では「6ドット、3ドッ
ト、2ドット、5ドット」の送り量を一組として、送り
量を周期的に変更しつつ副走査を実現する。但し、平均
の送り量は4ドットであり、使用ノズル数と一致する。
かかる送り量は平均の送り量が使用ノズル数と一致する
条件の下で、各ノズルが記録するラスタに重複が生じな
いように設定される。図27に示したノズル数およびノ
ズルピッチ以外の場合でも設定可能である。
【0125】このように送り量を変更しつつ拡張印刷を
実行した場合には、図27に示すように隣接するラスタ
が連続して形成される本数が非常に小さくなる。連続的
に形成されるラスタは2本に過ぎない。従って、第3の
態様による拡張印刷を実行すれば、使用ノズル数を減ら
すことによる画質の向上効果に加えて、ラスタ間の間隔
の変動による空間周波数を高めることによりバンディン
グを目立たなくする効果を得ることができる。
【0126】なお、上述の実施例では全て一定のドット
径で画像を形成するものとしている。これに対し、拡張
印刷を行う際には標準印刷および中間処理で用いるドッ
トよりも径の大きいドットを形成するものとしてもよ
い。説明の便宜上、前者を「小ドット」と呼び、後者を
「大ドット」と呼ぶものとする。大ドットの形成につい
ては、先に図9および図10を用いて説明した通りであ
る。
【0127】大ドットを形成した場合の様子を図29に
示す。図の煩雑さを避けるため、実線と破線とを各ラス
タごとに交互に用いてドットの様子を示した。先に図4
6により、副走査の精度が低下した場合には、副走査方
向の記録ピッチがまちまちになり、場合によってはいわ
ゆる白抜け(図46の領域a3)が生じることを説明し
た。図29は、図46と同じ副走査方向の記録ピッチ
で、大ドットが記録された場合の様子を示している。図
29と図46との比較から明らかな通り、ドット径を大
きくすることにより、副走査の精度が低下しても隣接す
るドット同士が重なり合うため、白抜けを防止すること
ができる。人間の視覚は白抜けには非常に敏感であるた
め、白抜けを防止することができれば画質を格段に向上
することができる。
【0128】もっとも、大ドットを用いる場合には、そ
れだけ単位面積当たりの濃度が高いドットを使用するこ
とを意味するため、単純に径のみを大きくしてしまって
は本来得られるべき画像よりも高濃度の画像を形成する
おそれもある。かかる点を考慮すれば、画像の階調を崩
さない範囲で、小ドットと大ドットとを使用する割合を
適切に設定することが好ましい。
【0129】画像の階調を崩さないように径の異なるド
ットを混在させて記録した場合の様子を図30に示す。
図30も図29および図46と同じ副走査方向の記録ピ
ッチで、大ドットが記録された場合の様子を示してい
る。図30に示されるように大ドットを適度に混在させ
ることにより白抜けを防止することができる。両ドット
は、乱数的に使い分けて形成するものとしてもよいし、
市松状等の予め定めたパターンに従って形成するものと
してもよい。
【0130】このように径の異なるドットを混在して記
録する場合のドットの記録率の例を図31および図32
に示す。図31は小ドットのみを用いて画像を記録した
場合、即ち先に説明した標準処理におけるドットの記録
率を示したものである。階調値が高くなるにつれて小ド
ットの記録率を高めることによって各階調を表現するこ
とができる。なお、ドットの記録率とは、ある一定の階
調値からなるベタ領域について、該階調値を表現するた
めに形成されるドットの割合をいう。
【0131】図32は、拡張印刷において大ドットと小
ドットを混在させて記録した場合の各ドットの記録率を
示している。階調値が高くなり、大ドットを使用するに
つれて小ドットの割合を減少させることによって各階調
値を表現できる。両ドットの使い分けについては、両者
のドット径に応じて様々に設定可能である。図32に示
したよりももっと低い階調値から大ドットを用いるもの
とすることもできる。本実施例では、拡張印刷において
副走査の送り精度を目立たないようにしつつ、階調を適
切に表現できるように記録率を実験的に設定した。な
お、当然、標準印刷処理においても大ドットと小ドット
を混在させて記録することもできる。かかる場合、拡張
印刷において大ドットの記録率を高めることができるよ
うに、両者の記録率の設定を2種類以上(標準印刷用と
拡張印刷用)用意しておくことが望ましい。
【0132】なお、本実施例のプリンタ22は、図7に
示した通り、シアンおよびマゼンダについては濃淡2種
類のインクを備えている。従って、径の大きいドットを
用いる場合には、表現すべき画像の階調値に応じて淡イ
ンクを用いるものとしてもよい。これらのドットの使い
分けに関しても、図32に示したと同様な記録率を予め
設定することができる。
【0133】拡張印刷において径の大きいドットを形成
することにより画質を向上する方法は、上述した実施例
に適用する場合の他、単独で適用しても有効な手段であ
る。当然、図18に示したような紙送り量による拡張印
刷において適用することもできる。
【0134】(3)第2実施例におけるドット形成制御 次に、第2実施例によるドットの形成について説明す
る。第2実施例におけるプリンタ22は、ハードウェア
構成としては図1ないし図12で示した第1実施例と同
一である。また、ドットを形成する際の処理の流れも第
1実施例(図13および図14)と同様である。
【0135】図33は、第2実施例におけるドットの形
成の様子を示す説明図である。図34は、各主走査にお
いて各ノズルにより形成されるラスタの対応を示す説明
図である。これらの図に示される通り、第2実施例にお
いても、標準印刷処理では7ラスタ分の紙送りを行いつ
つラスタを形成する。また、中間処理においても、第1
実施例と同様、4ラスタ分の過渡的な送りを実行した
後、3ラスタずつの送りを行いつつ画像を記録する。
【0136】第2実施例では、拡張印刷における紙送り
量が第1実施例とは相違する。図33および図34に示
す通り、第2実施例では拡張印刷(図33の主走査P9
以降)において1ラスタずつの微少送りを行いつつ画像
を記録する。この際、既に画像が記録されているラスタ
にはドットを形成する必要がないため、5番ノズルのみ
を用いてドットを形成することになる。5番ノズルを使
用するのは、中間処理の終了時点で5番ノズルがエンド
ノズルとなっており、拡張印刷への移行時における紙送
り量が最も小さくなるからである。
【0137】拡張印刷を開始する際の副走査送り(図3
3の主走査P8からP9に至る際の送り量)は、第1実
施例において説明した位置合わせ送りと同様の考え方に
より設定される。つまり、エンドノズルである5番ノズ
ルをラスタ番号0の位置まで移動するための送り量に相
当する2ラスタと、拡張印刷における送り量である1ラ
スタの和から、位置合わせ送りの送り量は3ラスタとな
る。
【0138】第2実施例のプリンタによれば、拡張印刷
において微少送りを採用することにより、副走査を最も
高い精度で行うことができる。この結果、拡張印刷にお
ける画質を向上することができる。
【0139】なお、第2実施例において、拡張印刷時は
2回の主走査で各ラスタを形成するようにしてもよい。
かかる場合のドットの記録の様子を図35に示す。ま
た、その場合におけるノズル番号、主走査とラスタ番号
との対応を図36に示す。
【0140】図35に示すドットの記録方法は、標準印
刷および中間印刷(主走査P1〜P8)においては、上
で説明した第2実施例(図33)と同一である。また、
拡張印刷における副走査も第2実施例と同一である。
【0141】但し、図35に示すドットの記録方法で
は、拡張印刷において各ラスタを2回の主走査で、5番
ノズルと4番ノズルの2つのノズルを用いて形成してい
る。例えば、ラスタ番号1については、主走査P9にお
いて5番ノズルでその一部のドットを形成し、主走査P
13において4番ノズルで残りのドットを形成してい
る。このように各ラスタを2回以上の主走査により形成
する方法をオーバラップ方式とよぶ。
【0142】図35の記録方法による拡張印刷のドット
の様子を図37に示す。図37において丸印で示したド
ットが5番ノズルにより形成されたドットであり、菱形
で示したドットが4番ノズルにより形成されたドットで
ある。図37では、図の煩雑さを回避するため、1ラス
タごとに実戦と破線を交互に用いてドットを表してい
る。本実施例では、図37に示す通り、5番ノズルでは
各ラスタにおいて、主走査方向に奇数番目のドットを形
成し、4番ノズルでは偶数番目のノズルを形成するもの
としている。
【0143】かかる記録を行えば、副走査の誤差を各ラ
スタ内で分散させることができるため、さらに画質を向
上することができる。つまり、5番ノズルであるラスタ
のドットを形成した後、数回の副走査が行われてから4
番ノズルで該ラスタの残りのドットが形成されるため、
副走査に誤差が含まれている場合には、各ラスタを構成
するドットは主走査方向に一列に並びにくくなる。確率
的には各ラスタの副走査方向の平均的な誤差は小さくな
ることが多い。従って、拡張印刷における画質を向上す
ることができる。
【0144】なお、2回の主走査で各ラスタのドットを
間欠的に形成する方法については、種々の方法が可能で
あり、図37に示した様に5番ノズルおよび4番ノズル
で形成されるドットの主走査方向の位置を統一するもの
としてもよいし、図38に示す様に両者を市松状に形成
するものとしてもよい。もちろん、その他の種々のパタ
ーンが適用可能である。また、2回の主走査に限らず、
3回以上の主走査により各ラスタを形成するものとして
も構わない。
【0145】(4)第3実施例におけるドット形成制御 次に、第3実施例によるドットの形成について説明す
る。第3実施例におけるプリンタ22は、ハードウェア
構成としては図1ないし図12で示した第1実施例と同
一である。また、ドットを形成する際の処理の流れも第
1実施例(図13および図14)と同様である。なお、
第3実施例では、説明の便宜上、4ラスタ分のノズルピ
ッチで6つのノズルを備える場合を例にとって説明す
る。かかるノズルピッチおよびノズル個数以外であって
も適用可能であることはいうまでもない。
【0146】図39は、第3実施例におけるドットの形
成の様子を示す説明図である。図40は、各主走査にお
いて各ノズルにより形成されるラスタの対応を示す説明
図である。
【0147】第3実施例においては、3ラスタ分の紙送
りにより標準印刷処理がなされる(図39の主走査P1
〜P8)。図39から明らかな通り、本実施例では、2
回の主走査により各ラスタが形成されている。つまり、
スキャン繰り返し数が2のオーバラップ方式でドットが
記録されている。オーバラップ方式における記録方法に
ついては、先に図37を用いて説明した通りである。
【0148】第3実施例では、図39に示した通り、3
ラスタの紙送りによりスキャン繰り返し数2回のオーバ
ラップ方式による標準印刷が行われる(主走査P1〜P
8)。この送り量も第1実施例等と同様、インターレー
ス方式においてラスタの抜けを生じることなく画像を形
成できる送り量の中で、ノズルを最も有効に用いること
ができる送り量に設定されている。当然、各ラスタを異
なるノズルにより形成するように設定されている。
【0149】標準印刷が終了した後、中間処理として2
ラスタ分の過渡的な送りを行い、ドットを形成した後
(主走査P9)、1ラスタずつの微少送りにより画像を
形成する(主走査P10〜P16)。この場合も各ラス
タが2回の主走査で形成されるようにしている。中間処
理を実行した後、13ラスタ分の過渡的な送りを行い、
1ラスタずつの微少送りによる拡張印刷処理を実行す
る。この際も1番ノズルと2番ノズルにより2回の主走
査で各ラスタが形成される。
【0150】以上で説明した印刷装置によれば、既に説
明した通り、中間処理や拡張印刷処理を適用することに
より、画像を形成する領域を拡張することができるばか
りでなく、オーバラップ方式によるドットの記録を行う
ことにより、より高画質な画像を得ることができる。
【0151】第3実施例では、拡張印刷領域において、
1ラスタずつの微少送りを行いつつ、オーバラップ方式
による記録をした場合を示した。拡張印刷領域における
送り量は微少送りに限らず種々の設定が可能である。か
かる場合において、第1実施例の第2の態様および第3
の態様で示したように、各ラスタ間の間隔の変動による
空間周波数が1サイクル/mmよりも十分高くなるよう
に設定することも可能である。一定の送り量からなる副
走査でかかる印刷を実現しようとすれば、「ノズル数/
スキャン繰り返し数s」とノズルピッチkとが互いに素
になる条件下で、「k・s±1」以外の値となるように
ノズル数を設定すればよい。このとき、「ノズル数/ス
キャン繰り返し数s」なる送り量で副走査を行えば、第
1実施例の第2の態様および第3の態様と同様、隣接す
るラスタが連続的に形成される部分を少なくすることが
できる。
【0152】(5)その他の態様 以上で説明した各実施例のプリンタでは、標準処理で一
定の送り量を用いているが、異なる送り量の組み合わせ
により1サイクルを構成するような、いわゆる変則送り
を適用するものとしても構わない。かかる変則送りの例
を図41に示す。図41は、4ラスタ分のノズルピッチ
で8個のノズルを備えるヘッドによるドットの記録の様
子を示した説明図である。上述した実施例と異なり、
「5ラスタ、2ラスタ、3ラスタ、6ラスタ」で1サイ
クルを構成し、スキャン繰り返し数2回で画像を形成し
ている。この他にも、上述の各実施例のプリンタについ
ては、標準処理、中間処理、拡張印刷処理における種々
の送り量が設定可能である。
【0153】その他、以下に示す種々の態様も可能であ
る。例えば、上述の実施例では、標準印刷処理におい
て、画像の上端から全て一定のサイクルによる送り量で
印刷を行うものとしているが、インターレース方式によ
り画像を記録する場合、図41等に示した例から明らか
な通り、上端部分においては画像を記録し得ない領域
(印刷不可領域)が生じる。従って、上端近傍において
はいわゆる上端処理、即ち標準処理における送り量とは
異なった送り量で副走査を実行するものとしてもよい。
【0154】かかる上端処理の例を図42に示す。これ
は、図41で示した変則送りに先立ち行われる上端処理
の例である。図42に示す通り、変則送りを実行する前
に3ラスタ分の一定の送り量で7回の副走査を実行し、
変則送りへと移行する。このような上端処理を実行しな
い場合は(図41)、23ラスタに相当する印刷不可領
域が存在していたのに対し、上端処理を実行することに
より18ラスタに減少していることが分かる。上端処理
は、この他にも種々の処理が可能であり、本実施例のプ
リンタ22に適用することが可能である。
【0155】また、上述の実施例では、図4を用いて説
明した通り、給紙側のローラで紙送り精度を確保してい
る場合を例にとって説明したが、逆に排紙側のローラで
紙送り精度を確保している場合にも適用可能である。か
かる場合には、図15等に示した実施例と逆に、画像を
記録する領域の上端から拡張印刷領域、中間処理、標準
処理の順に記録されることになる。上端近傍での拡張印
刷領域において、上述した各実施例がそれぞれ適用可能
となる。
【0156】以上で説明した各実施例では、標準印刷の
後、中間処理を経て拡張印刷を行うものとしているが、
中間処理を省略して標準印刷の後、すぐに拡張印刷を行
うものとしてもよい。このような場合の拡張印刷領域に
おいても、上述した種々の実施例がそれぞれ適用可能と
なる。
【0157】上記各実施例の印刷装置では、ドットを形
成するための制御(図13,図14)をプリンタ22に
備えられたCPU41で実行するものとして説明した。
こうすれば、プリンタドライバ96が出力する画像デー
タを、ドットの形成方法に依存せず一定の形式とするこ
とができるため、コンピュータ90の処理負担が減ると
いう利点がある。一方、上記制御ルーチンにおけるドッ
ト形成用のデータの設定をプリンタドライバ96側で行
うものとしてもよい。この場合には、「1回目の主走査
において形成すべきドットデータ、副走査の紙送り量、
2回目の主走査において形成すべきドットデータ・・
・」を順次プリンタ22に転送することになるから、ド
ットの形成方法に応じてプリンタドライバ96から出力
する画像データが変わってくる。しかし、かかる方法を
採れば、プリンタ22側の負担を軽減することができる
利点、およびバージョンアップが容易である利点、つま
り、プリンタ22のPROM42等を変更することな
く、新たなドット記録方法を実現することができる利点
がある。
【0158】上記印刷装置はドットの記録を行うための
ヘッドの制御に、コンピュータによる処理を含んでいる
ことから、かかる制御を実現するためのプログラムを記
録した記録媒体としての実施の態様を採ることもでき
る。このような記憶媒体としては、フレキシブルディス
クやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、RO
Mカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号
が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(R
AMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、
コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
また、コンピュータに上記で説明したドットの記録を行
うためのヘッドの制御機能を実現させるコンピュータプ
ログラムを通信経路を介して供給するプログラム供給装
置としての態様も可能である。
【0159】以上、本発明の種々の実施例について説明
してきたが、本発明はこれらに限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の形態による実
施が可能である。上述の実施例では、ヘッドが主走査を
行って各ラスタを形成するプリンタを例にとって説明し
たが、例えばラインプリンタのようにかかる主走査を伴
うことなくラスタを形成する印刷装置にも当然、適用す
ることができる。また、上述の実施例では6色のインク
を備えるカラープリンタを例にとって説明したが、本発
明はインクの色数には依存せず、単色のプリンタに適用
することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷装置の概略構成図である。
【図2】ソフトウェアの構成を示す説明図である。
【図3】本発明のプリンタの概略構成図である。
【図4】本発明のプリンタの紙送り機構を示す説明図で
ある。
【図5】本発明のプリンタのドット記録ヘッドの概略構
成を示す説明図である。
【図6】本発明のプリンタにおけるドット形成原理を示
す説明図である。
【図7】本発明のプリンタにおけるノズル配置例を示す
説明図である。
【図8】本発明のプリンタにおけるノズル配置の拡大図
および形成されるドットとの関係を示す説明図である。
【図9】本発明のプリンタにより径の異なるドットを形
成する原理を説明する説明図である。
【図10】本発明のプリンタにおけるノズルの駆動波形
および該駆動波形により形成されるドットの様子を示す
説明図である。
【図11】プリンタの制御装置の内部構成を示す説明図
である。
【図12】ドットを形成するための信号がヘッドに送ら
れる様子を示す説明図である。
【図13】本実施例におけるドット形成制御ルーチンの
流れを示すフローチャートである。
【図14】本実施例における標準印刷処理ルーチンの流
れを示すフローチャートである。
【図15】第1実施例によるドットの記録の様子を示す
説明図である。
【図16】第1実施例によるドットの記録の様子を示す
説明図である。
【図17】第1実施例における主走査、ノズル番号とラ
スタ番号との対応を示す説明図である。
【図18】従来技術によるドットの記録の様子を示す説
明図である。
【図19】従来技術による主走査、ノズル番号とラスタ
番号との対応を示す説明図である。
【図20】本実施例のプリンタ22における主走査、ノ
ズル番号とラスタ番号との対応を示す説明図である。
【図21】本実施例のプリンタ22における主走査、ノ
ズル番号とラスタ番号との対応を示す説明図である。
【図22】従来技術によるドットの記録におけるラスタ
間の誤差の分布の様子を示す説明図である。
【図23】空間周波数と視覚強度の関係を示すグラフで
ある。
【図24】第1実施例の第2の態様によるドットの記録
の様子を示す説明図である。
【図25】第1実施例の第2の態様における主走査、ノ
ズル番号とラスタ番号との対応を示す説明図である。
【図26】第1実施例の第2の態様によるラスタ間の誤
差の分布の様子を示す説明図である。
【図27】第1実施例の第3の態様によるドットの記録
の様子を示す説明図である。
【図28】第1実施例の第3の態様における主走査、ノ
ズル番号とラスタ番号との対応を示す説明図である。
【図29】ドット径を大きくした場合のドットの記録の
様子を示す説明図である。
【図30】径の異なるドットを混在して記録する場合の
様子を示す説明図である。
【図31】小ドットのみで画像を記録する場合の記録率
を示すグラフである。
【図32】大小のドットを用いて画像を記録する場合の
記録率を示すグラフである。
【図33】第2実施例によるドットの記録の様子を示す
説明図である。
【図34】第2実施例における主走査、ノズル番号とラ
スタ番号との対応を示す説明図である。
【図35】第3実施例によるドットの記録の様子を示す
説明図である。
【図36】第3実施例における主走査、ノズル番号とラ
スタ番号との対応を示す説明図である。
【図37】オーバラップ方式を採用した場合のドットの
記録の様子を示す説明図である。
【図38】オーバラップ方式を採用した場合の第2の態
様によるドットの記録の様子を示す説明図である。
【図39】第4実施例によるドットの記録の様子を示す
説明図である。
【図40】第4実施例における主走査、ノズル番号とラ
スタ番号との対応を示す説明図である。
【図41】変則送りによるドットの記録の様子を示す説
明図である。
【図42】上端処理の例を示す説明図である。
【図43】インターレース方式によるドットの記録の様
子を示す説明図である。
【図44】従来技術におけるインターレース方式でのド
ットの記録の様子を示す説明図である。
【図45】副走査の紙送り精度が確保されている場合の
ドットの記録の様子を示す説明図である。
【図46】副走査の紙送り精度が確保されていない場合
のドットの記録の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
12…スキャナ 14…キーボード 15…フレキシブルドライブ 16…ハードディスク 18…モデム 21…カラーディスプレイ 22…カラープリンタ 23…紙送りモータ 24…キャリッジモータ 25a…給紙ローラ 25b…従動ローラ 26…プラテン 27a…排紙ローラ 27b…ギザローラ 28…印字ヘッド 31…キャリッジ 32…操作パネル 34…摺動軸 36…駆動ベルト 38…プーリ 39…位置検出センサ 40…制御回路 41…CPU 42…プログラマブルROM(PROM) 43…RAM 44…PCインタフェース 45…周辺入出力部(PIO) 46…タイマ 47…転送用バッファ 48…バス 51…発信器 55…分配出力器 61、62、63、64、65、66…インク吐出用ヘ
ッド 67…導入管 68…インク通路 71…黒インク用のカートリッジ 72…カラーインク用カートリッジ 80…バス 81…CPU 82…ROM 83…RAM 84…入力インターフェイス 85…出力インタフェース 86…CRTC 87…ディスクコントローラ(DDC) 88…シリアル入出力インタフェース(SIO) 90…パーソナルコンピュータ 91…ビデオドライバ 92…入力部 95…アプリケーションプログラム 96…プリンタドライバ 97…ラスタライザ 98…色補正モジュール 99…ハーフトーンモジュール

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘッドにより印刷媒体の一方向に並ぶド
    ット列であるラスタを形成しつつ、前記ラスタが形成さ
    れている方向と交差する一定の方向に前記ヘッドを印刷
    媒体に対し相対的に移動する副走査を行うことにより複
    数のラスタを形成することで、入力された画像データに
    応じた画像を該印刷媒体上に印刷し得る印刷装置であっ
    て、 前記ヘッドは同一色のドットを形成可能な複数のノズル
    を前記副走査の方向に所定の間隔で備えるヘッドであ
    り、 前記ヘッドを駆動して前記ラスタを形成するラスタ形成
    手段と、 前記副走査における相対的な移動を第1の精度で行う第
    1の副走査手段と、 前記副走査を前記第1の精度よりも低い第2の精度で行
    う第2の副走査手段と、 前記第2の副走査手段により副走査が行われる領域にお
    いて、前記第1の副走査手段による平均の副走査量より
    も小さい副走査量で前記副走査を行いつつ各ラスタを形
    成するように前記ラスタ形成手段と前記第2の副走査手
    段を制御する制御手段とを備える印刷装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の印刷装置であって、 前記制御手段による送り量は、1ラスタである印刷装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の印刷装置であって、 前記制御手段は、前記ヘッドに備えられるノズルのうち
    ラスタを形成すべき一部のノズルを選択し、かつ、隣接
    するラスタが該選択されたノズルのうち異なるノズルに
    より形成されるように副走査を行う手段である印刷装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の印刷装置であって、 前記制御手段は、 隣接するラスタ間の間隔の変動周波数が1サイクル/m
    mに比べて有意に大きくなる送り量で副走査を行う手段
    である印刷装置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の印刷装置であって、 前記制御手段は、 複数のノズルが備えられる前記所定の間隔をkドットと
    するとき、 隣接するラスタが連続的に形成される本数がk本よりも
    小さくなる送り量で副走査を行う手段である印刷装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の印刷装置であって、 前記制御手段は、 各ラスタを構成するのに要する主走査の回数をsとする
    とき、 前記選択されるノズルの数Nを、k・s±1とならない
    範囲で、kと互いに素になる値とし、 N/sの一定の送り量で副走査を行う手段である印刷装
    置。
  7. 【請求項7】 ヘッドにより印刷媒体の一方向に並ぶド
    ット列であるラスタを形成しつつ、前記ラスタが形成さ
    れている方向と交差する一定の方向に前記ヘッドを印刷
    媒体に対し相対的に移動する副走査を行うことにより複
    数のラスタを形成することで、入力された画像データに
    応じた画像を該印刷媒体上に印刷し得る印刷装置であっ
    て、 前記ヘッドは同一色のドットを形成可能な複数のノズル
    を前記副走査の方向に所定の間隔で備えるヘッドであ
    り、 前記ヘッドを駆動して前記ラスタを形成するラスタ形成
    手段と、 前記副走査における相対的な移動を第1の精度で行う第
    1の副走査手段と、 前記副走査を前記第1の精度よりも低い第2の精度で行
    う第2の副走査手段と、 前記第2の副走査手段により副走査が行われる領域にお
    いては、前記第1の副走査手段により副走査が行われる
    領域において各ラスタを形成するのに要する主走査回数
    よりも多い主走査回数で、各ラスタを形成するように前
    記ドット形成手段と前記第2の副走査手段とを制御する
    制御手段とを備える印刷装置。
  8. 【請求項8】 ヘッドにより印刷媒体の一方向に並ぶド
    ット列であるラスタを形成しつつ、前記ラスタが形成さ
    れている方向と交差する一定の方向に前記ヘッドを印刷
    媒体に対し相対的に移動する副走査を行うことにより複
    数のラスタを形成することで、入力された画像データに
    応じた画像を該印刷媒体上に印刷し得る印刷装置であっ
    て、 前記ヘッドは各色毎に前記副走査方向に複数備えられた
    ノズルにより径の異なる2種類以上のドットを形成可能
    なヘッドであり、 前記ヘッドを駆動して前記ラスタを形成するラスタ形成
    手段と、 前記副走査における相対的な移動を第1の精度で行う第
    1の副走査手段と、 前記副走査を前記第1の精度よりも低い第2の精度で行
    う第2の副走査手段と、 前記第2の副走査手段により副走査が行われる領域にお
    いては、前記第1の副走査手段により副走査が行われる
    領域よりも高い割合で大きい径のドットを形成するよう
    に前記ラスタ形成手段を制御する制御手段とを備える印
    刷装置。
  9. 【請求項9】 請求項1、請求項7または請求項8のい
    ずれか記載の印刷装置であって、さらに、 前記第1の副走査手段により副走査が行われる第1の領
    域において、 前記第2の副走査手段により副走査が行われる第2の領
    域に隣接しない所定の領域では、隣接するラスタを異な
    るノズルで形成する所定の送り量で副走査を行い、 該所定の領域と前記第2の領域に隣接する中間領域で
    は、前記所定の送り量よりも小さい送り量で副走査を行
    って各ラスタを形成するように前記ラスタ形成手段と前
    記第1の副走査手段とを制御する第2の制御手段を備え
    る印刷装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の印刷装置であって、 前記ヘッドは、p個(pは2以上の整数)のノズルを、
    nラスタ(nは2以上の整数)の副走査方向の間隔で備
    えるヘッドであり、 前記第2の制御手段は、前記中間領域では、 前記第1の副走査手段により副走査を行いうる限界のラ
    スタよりも、mラスタ(mはp×(n−1)よりも小さ
    い整数)少ない領域において画像を完成させる送り量で
    副走査を行うように前記第2の副走査手段を制御する手
    段である印刷装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の印刷装置であって、 前記第2の制御手段により制御される送り量は、さらに
    隣接するラスタが異なるノズルにより形成される送り量
    である印刷装置。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の印刷装置であって、 前記第2の制御手段により制御される送り量は、1ラス
    タである印刷装置。
  13. 【請求項13】 ヘッドにより印刷媒体の一方向に並ぶ
    ドット列であるラスタを形成しつつ、前記ラスタが形成
    されている方向と交差する一定の方向に前記ヘッドを印
    刷媒体に対し相対的に移動する副走査を行うことにより
    複数のラスタを形成することで、入力された画像データ
    に応じた画像を該印刷媒体上に印刷し得る印刷方法であ
    って、 前記ヘッドは同一色のドットを形成可能な複数のノズル
    を前記副走査の方向に所定の間隔で備え、 画像を記録する一部の領域においては第1の精度で前記
    副走査を行い、他の領域においては前記第1の精度より
    も低い第2の精度で副走査を行うとともに、 前記第2の精度で副走査が行われる領域では、前記第1
    の精度で行われる平均の副走査量よりも小さい副走査量
    で副走査を行って画像を印刷するように前記副走査の移
    動と前記ヘッドの駆動とを制御する印刷方法。
  14. 【請求項14】 ヘッドにより印刷媒体の一方向に並ぶ
    ドット列であるラスタを形成しつつ、前記ラスタが形成
    されている方向と交差する一定の方向に前記ヘッドを印
    刷媒体に対し相対的に移動する副走査を行うことにより
    複数のラスタを形成することで、入力された画像データ
    に応じた画像を該印刷媒体上に印刷し得る印刷方法であ
    って、 前記ヘッドは同一色のドットを形成可能な複数のノズル
    を前記副走査の方向に所定の間隔で備え、 画像を記録する一部の領域においては第1の精度で前記
    副走査を行い、他の領域においては前記第1の精度より
    も低い第2の精度で副走査を行うとともに、 前記第2の精度で副走査が行われる領域においては、前
    記第1の精度で副走査が行われる領域において各ラスタ
    を形成するのに要する主走査回数よりも多い主走査回数
    で、ラスタを形成するように前記副走査の移動と前記ヘ
    ッドの駆動とを制御する印刷方法。
  15. 【請求項15】 ヘッドにより印刷媒体の一方向に並ぶ
    ドット列であるラスタを形成しつつ、前記ラスタが形成
    されている方向と交差する一定の方向に前記ヘッドを印
    刷媒体に対し相対的に移動する副走査を行うことにより
    複数のラスタを形成することで、入力された画像データ
    に応じた画像を該印刷媒体上に印刷し得る印刷装置であ
    って、 前記ヘッドは同一色のドットを形成可能なn個(nは2
    以上の整数)のノズルを前記副走査の方向に所定の間隔
    で備え、 画像を記録する一部の領域においては第1の精度で前記
    副走査を行い、他の領域においては前記第1の精度より
    も低い第2の精度で副走査を行うとともに、 前記第2の精度で副走査が行われる領域においては、前
    記第1の精度で副走査が行われる領域よりも高い割合で
    大きい径のドットを形成しつつ画像を記録するように前
    記副走査の移動と前記ヘッドの駆動とを制御する印刷方
    法。
  16. 【請求項16】 印刷装置により印刷媒体上に画像を印
    刷するためのプログラムをコンピュータ読みとり可能に
    記録した記録媒体であって、 画像を記録する領域のうち、前記副走査における相対的
    な移動を第1の精度で行うことができる第1の領域と、
    前記第1の精度よりも低い第2の精度で副走査を行う第
    2の領域とを判定する機能と、 前記第2の精度で副走査が行われる領域において、 前記第1の精度で行われる平均の副走査量よりも小さい
    副走査量で前記副走査を行う制御信号を出力する機能
    と、 画像を形成する制御信号を上記副走査に応じた順序で出
    力する機能とをコンピュータにより実現可能なプログラ
    ムを記録した記録媒体。
  17. 【請求項17】 印刷装置により印刷媒体上に画像を印
    刷するためのプログラムをコンピュータ読みとり可能に
    記録した記録媒体であって、 画像を記録する領域のうち、前記副走査における相対的
    な移動を第1の精度で行うことができる第1の領域と、
    前記第1の精度よりも低い第2の精度で副走査を行う第
    2の領域とを判定する機能と、 前記第2の精度で副走査が行われる領域においては、前
    記第1の精度で副走査が行われる領域において各ラスタ
    を形成するのに要する主走査回数よりも多い主走査回数
    で、各ラスタを形成するように制御信号を出力する機能
    とをコンピュータにより実現可能なプログラムを記録し
    た記録媒体。
  18. 【請求項18】 印刷装置により印刷媒体上に画像を印
    刷するためのプログラムをコンピュータ読みとり可能に
    記録した記録媒体であって、 画像を記録する領域のうち、前記副走査における相対的
    な移動を第1の精度で行うことができる第1の領域と、
    前記第1の精度よりも低い第2の精度で副走査を行う第
    2の領域とを判定する機能と、 前記第2の精度で副走査が行われる領域において、前記
    第1の精度で副走査が行われる領域よりも高い割合で大
    きい径のドットを形成して画像を印刷するように制御信
    号を出力する機能とをコンピュータにより実現可能なプ
    ログラムを記録した記録媒体。
JP17063598A 1998-02-13 1998-06-02 印刷装置および印刷方法並びに記録媒体 Expired - Fee Related JP3641940B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17063598A JP3641940B2 (ja) 1998-02-13 1998-06-02 印刷装置および印刷方法並びに記録媒体
US09/245,844 US6155668A (en) 1998-02-13 1999-02-08 Printer, method of printing, and computer program product to actualize the printer
EP99300958A EP0936075B1 (en) 1998-02-13 1999-02-10 Printer, method of printing, and computer program product to actualize the printer
DE69933805T DE69933805T2 (de) 1998-02-13 1999-02-10 Drucker, Druckverfahren und Rechnerprogramm zur Aktualisierung des Druckers

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4905798 1998-02-13
JP10-49057 1998-02-13
JP17063598A JP3641940B2 (ja) 1998-02-13 1998-06-02 印刷装置および印刷方法並びに記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11291506A true JPH11291506A (ja) 1999-10-26
JP3641940B2 JP3641940B2 (ja) 2005-04-27

Family

ID=26389405

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17063598A Expired - Fee Related JP3641940B2 (ja) 1998-02-13 1998-06-02 印刷装置および印刷方法並びに記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3641940B2 (ja)

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1190862A1 (en) * 2000-08-31 2002-03-27 Canon Kabushiki Kaisha Image processing method and apparatus
JP2002137371A (ja) * 2000-11-01 2002-05-14 Canon Inc 記録装置および記録方法
WO2004110763A1 (ja) * 2003-06-12 2004-12-23 Canon Kabushiki Kaisha 記録装置および記録方法
JP2005280130A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Brother Ind Ltd インクジェットヘッド
US6964466B1 (en) 1999-04-06 2005-11-15 Seiko Epson Corporation Ink-jet recording apparatus and recording method thereof
JP2006264054A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 Seiko Epson Corp 印刷システム、印刷方法及び印刷制御装置
JP2006264056A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 Seiko Epson Corp 印刷システム、印刷方法及び印刷制御装置
JP2006264055A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 Seiko Epson Corp 印刷システム、印刷方法及び印刷制御装置
US7252356B2 (en) 2004-08-30 2007-08-07 Canon Kabushiki Kaisha Recording apparatus and method
US7284823B2 (en) 2004-08-30 2007-10-23 Canon Kabushiki Kaisha Print apparatus and printing method
US7290855B2 (en) 2004-08-18 2007-11-06 Canon Kabushiki Kaisha Printing apparatus and printing method
JP2008114441A (ja) * 2006-11-02 2008-05-22 Brother Ind Ltd 画像形成装置及び画像形成方法
US7784894B2 (en) 2006-06-29 2010-08-31 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Image forming device
JP2013010318A (ja) * 2011-06-30 2013-01-17 Brother Industries Ltd 印刷装置、および、コンピュータプログラム
US8439464B2 (en) 2007-05-15 2013-05-14 Canon Kabushiki Kaisha Inkjet printing apparatus and inkjet printing method
JP2013208751A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Brother Industries Ltd インクジェット記録装置

Cited By (37)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7255434B2 (en) 1999-04-06 2007-08-14 Seiko Epson Corporation Sheet feeding device and ink-jet recording apparatus incorporating the same
US7854503B2 (en) 1999-04-06 2010-12-21 Seiko Epson Corporation Ink-jet recording apparatus and recording method therefor
US8029128B2 (en) 1999-04-06 2011-10-04 Seiko Epson Corporation Ink-jet recording apparatus and recording method therefor
US7669999B2 (en) 1999-04-06 2010-03-02 Seiko Epson Corporation Ink-jet recording apparatus and recording method therefor
US7401916B2 (en) 1999-04-06 2008-07-22 Seiko Epson Corporation Ink-jet recording apparatus and recording method therefor
US7377633B2 (en) 1999-04-06 2008-05-27 Seiko Epson Corporation Ink-jet recording apparatus and recording method therefor
US8109628B2 (en) 1999-04-06 2012-02-07 Seiko Epson Corporation Ink-jet recording apparatus and recording method therefor
US6964466B1 (en) 1999-04-06 2005-11-15 Seiko Epson Corporation Ink-jet recording apparatus and recording method thereof
US7077499B2 (en) 1999-04-06 2006-07-18 Seiko Epson Corporation Ink-jet recording apparatus and recording method therefor
US7296886B2 (en) 1999-04-06 2007-11-20 Seiko Epson Corporation Ink-jet recording apparatus and recording method therefor
US8277042B2 (en) 1999-04-06 2012-10-02 Seiko Epson Corporation Ink-jet recording apparatus and recording method therefor
US8267512B2 (en) 1999-04-06 2012-09-18 Seiko Epson Corporation Ink-jet recording apparatus and recording method therefor
US7901066B2 (en) 1999-04-06 2011-03-08 Seiko Epson Corporation Ink-jet recording apparatus and recording method therefor
KR100755150B1 (ko) * 2000-08-31 2007-09-04 캐논 가부시끼가이샤 이미지 처리 방법 및 장치
JP2002144637A (ja) * 2000-08-31 2002-05-22 Canon Inc 画像処理方法、画像記録装置の制御方法、画像処理装置、画像記録装置、プログラムが格納された記憶媒体およびプログラム
EP1190862A1 (en) * 2000-08-31 2002-03-27 Canon Kabushiki Kaisha Image processing method and apparatus
US6963423B2 (en) 2000-08-31 2005-11-08 Canon Kabushiki Kaisha Image processing method and apparatus
JP2002137371A (ja) * 2000-11-01 2002-05-14 Canon Inc 記録装置および記録方法
JP4708547B2 (ja) * 2000-11-01 2011-06-22 キヤノン株式会社 記録装置および記録方法
JP2005022404A (ja) * 2003-06-12 2005-01-27 Canon Inc 記録装置および記録方法
US7556330B2 (en) 2003-06-12 2009-07-07 Canon Kabushiki Kaisha Recording apparatus and recording method
WO2004110763A1 (ja) * 2003-06-12 2004-12-23 Canon Kabushiki Kaisha 記録装置および記録方法
JP4603820B2 (ja) * 2003-06-12 2010-12-22 キヤノン株式会社 記録装置および記録方法
JP4513379B2 (ja) * 2004-03-30 2010-07-28 ブラザー工業株式会社 インクジェットヘッド
JP2005280130A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Brother Ind Ltd インクジェットヘッド
US7290855B2 (en) 2004-08-18 2007-11-06 Canon Kabushiki Kaisha Printing apparatus and printing method
US7252356B2 (en) 2004-08-30 2007-08-07 Canon Kabushiki Kaisha Recording apparatus and method
US7284823B2 (en) 2004-08-30 2007-10-23 Canon Kabushiki Kaisha Print apparatus and printing method
JP2006264054A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 Seiko Epson Corp 印刷システム、印刷方法及び印刷制御装置
JP4517907B2 (ja) * 2005-03-23 2010-08-04 セイコーエプソン株式会社 印刷システム、印刷方法及び印刷制御装置
JP2006264055A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 Seiko Epson Corp 印刷システム、印刷方法及び印刷制御装置
JP2006264056A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 Seiko Epson Corp 印刷システム、印刷方法及び印刷制御装置
US7784894B2 (en) 2006-06-29 2010-08-31 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Image forming device
JP2008114441A (ja) * 2006-11-02 2008-05-22 Brother Ind Ltd 画像形成装置及び画像形成方法
US8439464B2 (en) 2007-05-15 2013-05-14 Canon Kabushiki Kaisha Inkjet printing apparatus and inkjet printing method
JP2013010318A (ja) * 2011-06-30 2013-01-17 Brother Industries Ltd 印刷装置、および、コンピュータプログラム
JP2013208751A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Brother Industries Ltd インクジェット記録装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3641940B2 (ja) 2005-04-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3498571B2 (ja) ドット記録方法およびドット記録装置、並びに、そのためのプログラムを記録した記録媒体
JP3440804B2 (ja) 印刷装置および印刷方法並びに記録媒体
US7954923B2 (en) Liquid ejecting apparatus and liquid ejecting method
JP3641940B2 (ja) 印刷装置および印刷方法並びに記録媒体
KR100427218B1 (ko) 도트기록장치, 도트기록방법, 및 그 방법을 실현시키기 위한 컴퓨터 프로그램을 기록한 기록매체
JP3575415B2 (ja) プラテンを汚すことなく印刷用紙の端部まで行う印刷
JP3562308B2 (ja) 印刷装置および印刷方法
JPH11208029A (ja) 印刷装置および印刷方法並びに記録媒体
JP2000343688A (ja) 印刷装置、印刷方法並びに記録媒体
JPH10278247A (ja) ドット記録方法およびドット記録装置
JP3663899B2 (ja) 印刷装置および印刷方法並びに記録媒体
JP3800874B2 (ja) 印刷装置、印刷方法および記録媒体
US6226101B1 (en) Dot recording using specific schemes at the end of recording medium
JPH11254663A (ja) 印刷装置および印刷方法並びに記録媒体
JP2001018387A (ja) 印刷装置
JP2009262342A (ja) 液体吐出装置、液体吐出方法
JP4154865B2 (ja) 複数画素を階調再現の1単位とする印刷
US6843546B2 (en) Draft printing with multiple same-hue ink nozzles
JPH11207947A (ja) 印刷装置、画像形成方法および記録媒体
JP2001113691A (ja) 印刷装置、印刷方法および記録媒体
JP3729199B2 (ja) 印刷装置、印刷方法および記録媒体
JP2001334654A (ja) 異なるタイミングで形成されるドット間の形成位置のずれの調整
JP3663911B2 (ja) 印刷装置および印刷方法並びに記録媒体
JP4096658B2 (ja) 印刷ヘッドの機械的な振動を考慮した双方向印刷
JP2005238484A (ja) 印刷装置、印刷方法、および印刷用プログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040629

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040830

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Effective date: 20040922

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050104

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050117

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 3

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080204

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090204

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 4

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090204

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100204

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110204

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110204

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 7

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120204

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees