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JPH11241143A - 耐腐食疲労強度を向上させたばね - Google Patents

耐腐食疲労強度を向上させたばね

Info

Publication number
JPH11241143A
JPH11241143A JP32626898A JP32626898A JPH11241143A JP H11241143 A JPH11241143 A JP H11241143A JP 32626898 A JP32626898 A JP 32626898A JP 32626898 A JP32626898 A JP 32626898A JP H11241143 A JPH11241143 A JP H11241143A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spring
corrosion
shot peening
hardness
steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32626898A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihiro Nakano
智弘 中野
Takayuki Sakakibara
隆之 榊原
Masami Wakita
将見 脇田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chuo Hatsujo KK
Chuo Spring Co Ltd
Original Assignee
Chuo Hatsujo KK
Chuo Spring Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chuo Hatsujo KK, Chuo Spring Co Ltd filed Critical Chuo Hatsujo KK
Priority to JP32626898A priority Critical patent/JPH11241143A/ja
Publication of JPH11241143A publication Critical patent/JPH11241143A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐腐食疲労強度を向上させることにより、実
使用環境において高い耐久性を有し、また、従来と同等
以上の耐へたり性を有するばねを提供する。 【解決手段】 重量比にしてC:0.35〜0.55
%、Si:1.60〜3.00%、Mn:0.20〜
1.50%、S:0.010%以下、Ni:0.40〜
3.00%、Cr:0.10〜1.50%、N:0.0
10〜0.025%、V:0.05〜0.50%を含有
するとともに残部実質的にFeよりなる鋼を材料とし、
硬さがHRC50.5〜55.0となるように熱処理を
行なった後、表面下0.2mmの位置で−600MPa
以上の残留応力が発生するように温間でショットピーニ
ングを施す。なお、ショットピーニング時のばねの温度
は100〜300℃が望ましく、ショットピーニングの
際のショット球の硬さはHv450〜600が望まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐腐食疲労強度を
向上させたばねに関する。
【0002】
【従来の技術】環境保護及び資源保護の観点より、自動
車に対しては排出ガス中の有害物質の低減及び燃費の向
上が強く要請されている。これらに対して大きく寄与す
るのが車体の軽量化であるため、車体を構成する各部品
について軽量化への努力がたゆまず続けられている。自
動車の懸架用ばね等においては、使用応力(設計応力)
を高めることが軽量化に直結するが、使用応力上昇によ
り問題となるのが疲労とへたりである。また、自動車に
限らず、各種機械の要素として用いられるばねについて
も同様の問題がある。
【0003】そこで、耐疲労性(耐久性)、耐へたり性
を高めるために種々の合金元素を添加したばね材料が従
来数多く提案されている。例えば、特開平3−2354
号公報には、炭素量を低減し、Ni、Crを添加し、そ
してN(窒素)を従来よりも多量に添加したばね鋼が提
案されている。また、これらに加え、Nb、V、Moの
1種又は2種以上を添加することも提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】へたりについては、一
般的に、材料の硬さを上げることにより、へたりを有効
に減少させることができる。また、理想的な状態の下で
は、限度はあるものの、材料の硬さの上昇が耐疲労性の
向上につながる。しかし、例えば自動車懸架用のばねは
自動車の車体の中でも最も水・泥等が付着しやすい箇所
に装着されるものであるため、実際の使用を考慮する
と、腐食の問題を第一に考えなければならない。腐食は
ばねの表面にピット(微小穴)を形成し、これを起点と
した疲労破壊を引き起こすためである。
【0005】本発明はこのような課題を解決するために
成されたものであり、その目的とするところは、耐腐食
疲労強度を向上させることにより、実使用環境において
高い耐久性を有し、また、従来と同等以上の耐へたり性
を有するばねを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された本発明に係るばねは、 a)重量比にしてC:0.35〜0.55%、Si:1.
60〜3.00%、Mn:0.20〜1.50%、S:
0.010%以下、Ni:0.40〜3.00%、C
r:0.10〜1.50%、N:0.010〜0.02
5%、V:0.05〜0.50%を含有するとともに残
部実質的にFeよりなる鋼を材料とし、 b)硬さがHRC50.5〜55.0となるように熱処理
を行なった後、 c)表面下0.2mmの位置で−600MPa以上の残留
応力が発生するように温間でショットピーニングを施し
た、 ことを特徴とするものである。
【0007】ここで、上記材料のP含有量を0.010
%以下とすることにより、更に良好な効果を得ることが
できる。
【0008】温間ショットピーニングとは、ばねを室温
以上の温度に上昇させた状態でショットピーニングを施
すことを意味するが、上記熱処理硬さが低下しないよう
に、当然、熱処理(焼もどし)の温度よりは低温としな
ければならない。本発明者の実験によると、ショットピ
ーニング時のばねの温度を100〜300℃とすること
により、最も良好な腐食疲労強度が得られることが確か
められた。この温度は、更に望ましくは200〜250
℃とするとよい。
【0009】上記硬さに調製したばねに温間ショットピ
ーニングを施して上記のような残留応力状態を得るため
には、硬さHv450〜600のショット球を用いるこ
とが推奨される。この硬さは、更に望ましくはHv50
0〜550とするとよい。
【0010】
【発明の実施の形態】腐食疲労による破壊の主な原因と
しては、(1)鋼の遅れ破壊現象、(2)腐食による表
面ピット(微小穴)の生成、及び、(3)長期間の使用
による残留応力値の低下、が考えられる。
【0011】遅れ破壊は高強度鋼に特有の現象であり、
鋼に応力が付加されている際、表面に付着した水分や大
気中の水蒸気から鋼中に水素が侵入し、結晶粒界や析出
物と素地との境界等の不規則部分に集積して圧力を高
め、ミクロな亀裂から最終的に破断に至るというもので
ある。各種ばねに用いられる材料は近年特に高強度化が
進んでおり、使用時には従来よりも高い応力が負荷され
るようになっている上、上述の通り水分等が付着しやす
い環境で使用されるため、腐食疲労強度の向上には材料
の遅れ破壊特性を十分考慮する必要がある。
【0012】腐食による表面ピットは応力集中源とな
り、疲労強度を著しく低下させる。これに対しては、腐
食ピットをできるだけ生成させない、或いは、生成して
も応力集中がなるべく少なくなるような形態で生成させ
るようにすることが一方の方策であり、他方には、腐食
ピットが存在しても、そこから亀裂が生じにくいように
材料側で対策を施しておくことが重要である。
【0013】ばねの場合、残留応力はショットピーニン
グにより付与されるものであるが、それを詳しく説明す
ると、ショットピーニングにより表面が塑性変形する
と、それよりも下層の塑性変形しない部分との間で変形
度に差異が生じ、それによる歪が表面に圧縮の残留応力
を生成するものである。従って、腐食により表面層が除
去され、或いは表面に微小亀裂が生じると、歪が小さく
なり、残留応力値が減少する。
【0014】現在、ばねの材料としては、JIS−SU
P7鋼、或いはそれにNb、Vを添加したものが多く用
いられているが、本発明に係るばねの材料としては、そ
れらよりも更に高応力用として開発された上記特開平3
−2354号公報に記載された鋼とほぼ同じものを用い
ることとした。各成分含有量の上限及び下限設定理由は
次の通りである。なお、参考のために、JIS−SUP
7鋼と、本発明のばねで用いる材料の各成分含有量を表
1に対比して示す。
【表1】
【0015】まず、C含有量をJIS−SUP7鋼(以
下、従来鋼と呼ぶ)よりも低い範囲に設定した。これ
は、硬さ(強度)を同じにした場合、C含有量を多くす
るよりも、C含有量を低下させて合金元素の含有量を増
加した方が靭性が向上するためである。靭性の向上は、
腐食ピットからの疲労亀裂の生成及び進展速度を低下さ
せることにより、本発明が目的とする腐食疲労強度の向
上に大きく寄与する。なお、C含有量の下限を0.35
%としたのは、これ以下では、他の合金元素を最大限添
加したとしても、熱処理後上記の硬さを得ることが難し
いためである。また、上限を0.55%としたのは、こ
れ以上含有させると材料の靭性が著しく劣化するためで
ある。
【0016】Siは耐へたり性向上に効果を有すること
が知られている。従って、耐へたり性をより向上させる
ために、本発明ではSi含有量の上限を従来鋼よりも高
い値とした。ただし、Siは鋼の表面脱炭を助長する元
素であり、3.00%を超えて含有させると、熱処理時
の脱炭が無視し得ないものとなる。この場合、表面にお
いて上記硬さや残留応力値を得ることが困難となるた
め、上限をこのように規定した。
【0017】Mnは焼入性向上に効果を有する元素であ
る。ばねの中心まで十分な焼入・焼もどしを行なうの
は、下記Ni等の合金元素による材料の靭性向上効果を
十全に発揮させる上で必須の条件である。Mnが0.2
%未満では大径のばねの場合、中心まで十分な焼入が得
られないため、下限を0.2%とした。しかし、1.5
%を超えて含有させても、通常用いられる大きさのばね
においては焼入性向上効果が飽和するとともに、靭性の
劣化が問題となるため、上限を1.5%とした。
【0018】Sは鋼中でMnと結合して鋼に不溶のMn
Sとなる。MnSは塑性変形しやすいため、圧延等によ
り延伸して衝撃・疲労等による破壊の起点となりやす
い。そこで、本発明ではSの上限を0.010%とする
ことにより、硬さが上昇したときの靭性及び耐疲労性が
従来並みとなるようにした。
【0019】Niは鋼の靭性向上に効果を有するととも
に、鋼の腐食を抑制する効果を有する。腐食の抑制は、
上記の通り、腐食ピット生成の防止と、残留応力の減少
の防止という両面からばねの腐食疲労強度を向上させ
る。このようなNiの効果は0.4%以上含有させない
と得ることができない。しかし、3%を超えて含有させ
ても、靭性向上効果は飽和する一方、逆に、オーステナ
イト安定化元素であることから、焼入時にオーステナイ
トを残留させ、マルテンサイトへの変態を不完全にする
おそれがある。また、高価であるため、ばねのコストを
大きく押し上げる要因ともなる。従って、上限を3%と
した。
【0020】CrはMn同様、焼入性向上に効果を有す
るとともに、表面脱炭を抑制する効果を有する。0.1
%未満ではこのような効果が殆ど期待できないため、下
限を0.1%とした。しかし、1.5%を超えて含有さ
せてもこのような効果が飽和してしまう上、焼もどし組
織を不均一にするという弊害が生ずる。このため上限を
1.5%とした。
【0021】Nは鋼中のAlと結合してAlNとなり、
微細な粒子として鋼中に析出する。これにより結晶粒の
成長が妨げられるため、Nは鋼の結晶粒を微細化するの
に大きな効果を有する。このような効果を得るためには
0.01%以上のNを含有させる必要がある。しかし、
N含有量が多すぎると、鋼の製造時(凝固・冷却時)に
鋼中でN2ガスとして発生し、鋼の内質を劣化させる。
従って、その上限を0.025%とした。
【0022】Vは、Cと結合して微細なVC(炭化バナ
ジウム)として鋼中に析出し、上記AlNと同様に結晶
粒を微細化させて鋼の靭性を高める。また、このような
微細炭化物を鋼中に多数分散させることにより、外部か
ら侵入したH(水素)が集積する場所を分散させ、上記
遅れ破壊の生成を抑制することができる。このような効
果を得るためには、Vを0.05%以上含有させる必要
がある。しかし、0.5%を超えて含有させると、VC
の析出サイトの数が増加することなく、VCが肥大化す
るだけとなってしまい、そのような効果が得られなくな
る。従って上限を0.5%とした。
【0023】Pは、鋼の靭性を低下させる。従って、そ
の含有量を0.010%以下とすることにより、材料の
靭性を向上させ、ひいては本発明に係るばねの腐食疲労
強度を向上させる効果が得られる。特に、本発明に係る
ばねは従来よりも高硬度で使用するものであるため、靭
性の向上は特に重要なものとなる。
【0024】次に、本発明に係るばねでは、熱処理(焼
入・焼もどし)後の硬さを、従来のばねの一般的な硬さ
範囲であるHRC49〜52よりも高くして、HRC5
0.5〜55.0とした。これは、使用応力(設計応
力)の向上に対応してへたりを同等以上に抑えつつ、疲
労強度を高めるためであるが、このように硬さを高めて
も、上記の各種合金元素添加により、材料自体の靭性が
向上しているため、疲労強度の低下を生ずることはな
い。
【0025】また、表面下0.2mmの位置における残
留応力値を−600MPa以上と規定したが、これは、
上記硬さの鋼を適切な条件で温間ショットピーニング処
理することにより、十分に得ることができる。最表面で
はなく、それよりも0.2mm下の位置における残留応
力をこのようにしておくことにより、表面が腐食した場
合の表面残留応力の低下を効果的に防止し、腐食疲労強
度の低下を最小限に抑えることができる。
【0026】
【実施例】[材料試験結果]耐腐食性、耐遅れ破壊性、
及び靭性に関して、本発明ばねの材料自体の特性を従来
ばね用材料であるSUP7との対比で試験した。使用し
た材料の化学組成を表2に示す。表2において、本発明
ばね用材料Aは、上記成分範囲内でV含有量を低くした
ものであり、材料CはC(炭素)含有量及びS(イオ
ウ)含有量を低くしたものである。また、材料DはP
(リン)含有量を低くしたものである。各材料の硬さ
は、それぞれの使用状態を考慮して、本発明ばね用の材
料はいずれもHRC53.5となるように、SUP7は
HRC51となるように、それぞれの焼もどし温度を調
整した。
【表2】
【0027】(1)遅れ破壊 ノッチを付けた試験片に、電解処理により各材料に積極
的に水素を注入し、50〜120kgf/mmの各種応力を
負荷させた状態で放置した。各材料において、100時
間放置しても遅れ破壊が生じない最大の負荷応力をσ10
0とし、水素を注入しない場合のσ100Nと水素を注入し
た場合のσ100Hとの比RH RH=σ100H/σ100N により耐遅れ破壊特性を評価した。結果は図1に示す通
りであり、本発明ばね用材料は、V含有量が下限に近い
材料Aでも、従来鋼であるSUP7よりも30%以上高
い強度比を有していることがわかった。
【0028】(2)靭性 各材料のシャルピー衝撃試験を行なった結果は図2に示
す通り、C(炭素)、S(イオウ)含有量が上限に近い
材料Bでも、本発明ばね用材料は硬さの低い従来鋼SU
P7よりも15%近く高い靭性値を有していることがわ
かった。
【0029】[ばね試験結果]以下は、表3に示すよう
な工程で製造した、表4に示すような諸元を有するばね
について試験をした結果である。
【表3】
【表4】
【0030】なお、表3における「成形加工」には、熱
間成形加工と冷間成形加工の2種が含まれる。
【0031】(3)腐食 下記腐食サイクルを最高35回繰り返した場合の、各繰
り返し回数におけるばねの最大腐食深さを調査した。 腐食サイクル:(塩水噴霧3時間+乾燥21時間) 腐食サイクルの回数と最大腐食深さの関係を図3に示
す。10回以上の腐食サイクルを繰り返した後は、本発
明ばねは明らかに従来ばねよりも腐食の進行が遅いこと
がわかる。従って、例えば自動車の懸架ばねとして使用
した場合、本発明に係るばねは、長期間使用した後の疲
労強度の低下が特に抑制される。
【0032】(4)残留応力 焼もどし後のばねを250℃に加熱して温間ショットピ
ーニングを施し、室温に戻した後の表面からの残留応力
分布をX線法により測定した。なお、ショット球は硬さ
Hv520のものを用いた。その結果、図4に示すよう
に、本発明ばねは全般的に従来ばねよりも高い内部残留
応力値を有することが分かった。特に、表面から0.2
mm(200μm)の深さに着目すると、従来ばねでは
430MPa程度まで下がっているのに対し、本発明ば
ねでは未だ800MPaという高い値を保持している。
これにより、表面からの腐食による残留応力の減少が、
従来鋼よりも遥かに小さく抑えられる。
【0033】また、温間ショットピーニングの効果をよ
り明らかにするため、ショットピーニングを施す際のば
ねの温度を常温と200〜300℃に変化させた場合の
残留応力分布の関係を調査した。その結果、図5に示す
ように、温間でショットピーニングを施すことにより、
表面の圧縮残留応力の値及び最大圧縮残留応力の値が増
加するほか、特に、表面よりやや深い部分での残留応力
の値が大きくなることが明かとなっている。これは、腐
食後の疲労強度の向上に大きく寄与しているものと考え
られる。
【0034】(5)耐へたり性 この試験は、焼もどし温度を変化させることによりばね
の硬さを種々に変えて行なった。なお、本発明ばねの方
が使用応力(設計応力)が高くなることを考慮して、締
め付け応力は、従来ばねがτ=1000MPaであるの
に対して本発明ばねはτ=1200MPaとした。ま
た、へたりを加速させるために、試験条件は80℃×9
6時間とした。結果は図6に示すとおり、本発明ばねは
高応力で締め付けられたにも拘らず、へたり量(残留剪
断歪)は従来ばねの約半分となっている。
【0035】(6)腐食疲労 同様に各種硬さに調製したばねについて、塗装を施さな
い状態での腐食疲労試験を行なった。ここでも、使用応
力(設計応力)の違いを考慮して、試験応力は、従来ば
ねではτ=490±294MPaと低く抑え、本発明ば
ねはτ=588±353MPaと高くした。その結果、
図7に示す通り、本発明ばねは全体として平均応力及び
応力振幅が大きいにも拘らず、従来ばねと同等程度の腐
食疲労寿命を有することがわかった。特に、P含有量を
低下させた材料Dを用いた本発明ばねは、高い疲労強度
特性を示している。また、本発明ばねの腐食疲労強度
は、その成形方法(冷間・熱間)に拘らず良好であるこ
とも明かとなっている。温間ショットピーニングは耐腐
食疲労性の向上をねらった手法であるが、耐久性が必要
な場合には2段目のショットピーニングを常温にて行
う。それにより表面粗さが小さくなり、耐久性が向上す
る。
【0036】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係るばねで
は、合金元素含有量を適切に設計することにより材料自
体に十分な強度、靭性、耐腐食性を付与するとともに、
熱処理後の硬さ、温間ショットピーニング処理及びそれ
による残留応力値を規定したことにより、従来よりも高
応力で使用しても従来と同等若しくはそれ以上の耐へた
り性、耐腐食疲労強度を確保することができる。従っ
て、本発明に係るばねを使用することにより、従来通り
の性能を確保しつつ、設計応力を高め、ばねの重量を低
減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 遅れ破壊試験結果のグラフ。
【図2】 シャルピー衝撃試験結果のグラフ。
【図3】 腐食試験結果のグラフ。
【図4】 表面からの深さと残留応力の関係を示すグラ
フ。
【図5】 温間ショットピーニング時の温度と残留応力
の関係を示すグラフ。
【図6】 へたり試験結果のグラフ。
【図7】 腐食疲労試験結果のグラフ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比にしてC:0.35〜0.55
    %、Si:1.60〜3.00%、Mn:0.20〜
    1.50%、S:0.010%以下、Ni:0.40〜
    3.00%、Cr:0.10〜1.50%、N:0.0
    10〜0.025%、V:0.05〜0.50%を含有
    するとともに残部実質的にFeよりなる鋼を材料とし、
    硬さがHRC50.5〜55.0となるように熱処理を
    行なった後、表面下0.2mmの位置で−600MPa
    以上の残留応力が発生するように温間でショットピーニ
    ングを施したことを特徴とするばね。
  2. 【請求項2】 上記材料のP含有量を0.010%以下
    とした請求項1記載のばね。
  3. 【請求項3】 熱間でばねの成形を行う請求項1又は2
    に記載のばね。
  4. 【請求項4】 冷間でばねの成形を行う請求項1又は2
    に記載のばね。
  5. 【請求項5】 ショットピーニング時のばねの温度を1
    00〜300℃とした請求項1〜4のいずれかに記載の
    ばね。
  6. 【請求項6】 硬さHv450〜600のショット球を
    用いてショットピーニングを施す請求項1〜5のいずれ
    かに記載のばね。
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