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JPH11148410A - エンジンにおけるパイロット燃料噴射量制御方法及びその装置 - Google Patents

エンジンにおけるパイロット燃料噴射量制御方法及びその装置

Info

Publication number
JPH11148410A
JPH11148410A JP9329641A JP32964197A JPH11148410A JP H11148410 A JPH11148410 A JP H11148410A JP 9329641 A JP9329641 A JP 9329641A JP 32964197 A JP32964197 A JP 32964197A JP H11148410 A JPH11148410 A JP H11148410A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
injection
pilot
fuel
injector
engine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9329641A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobutaka Sakai
信貴 酒井
Masaaki Saito
昌明 西頭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Isuzu Motors Ltd filed Critical Isuzu Motors Ltd
Priority to JP9329641A priority Critical patent/JPH11148410A/ja
Publication of JPH11148410A publication Critical patent/JPH11148410A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/30Controlling fuel injection
    • F02D41/38Controlling fuel injection of the high pressure type
    • F02D41/40Controlling fuel injection of the high pressure type with means for controlling injection timing or duration
    • F02D41/402Multiple injections
    • F02D41/403Multiple injections with pilot injections
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • High-Pressure Fuel Injection Pump Control (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は,燃焼室内圧力に基づいて計算し
たパイロット噴射に伴う熱発生量が目標熱発生量と一致
するようにパイロット噴射量を制御して,エンジンの安
定した運転と排気ガス性能の向上を図る。 【解決手段】 インジェクタによる燃焼室内へのパイロ
ット噴射に応じて生じる熱発生量Iqを,クランク角で
θsからθeまで計算期間の正の値を有する熱発生率q
の積分値として算出する。算出されたパイロット熱発生
率積分値Iqとエンジンの運転状態に応じて予め決めら
れている目標パイロット熱発生率の積分値との偏差に基
づいて,偏差が無くなるようにパイロット噴射用駆動パ
ルスのパルス幅PWpが補正される。パイロット噴射に
よる噴射燃料の燃焼が良好に行われ,エンジン騒音の抑
制と排気ガス性能の向上が図られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,メイン噴射に先
行してパイロット噴射が燃焼室内に噴射されるエンジン
のパイロット燃焼噴射量制御方法及びその装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ディーゼルエンジンにおいては,燃料噴
射制御に関して,燃料噴射圧力の高圧化を図り,且つ燃
料の噴射タイミング及び噴射量等の噴射特性をエンジン
の運転状態に応じて最適に制御する方法として,コモン
レール式燃料噴射システムが知られている。コモンレー
ル式燃料噴射システムは,燃料ポンプによって所定圧力
に加圧された燃料を複数のインジェクタに対して共通す
るコモンレールに貯留し,コモンレールに貯留した燃料
をコントローラの制御の下で各インジェクタから対応す
る燃焼室内に噴射する燃料噴射システムである。コント
ローラは,各インジェクタにおいて燃料がエンジンの運
転状態に対して最適な噴射条件で噴射されるように,コ
モンレールの燃料圧と各インジェクタに設けられた制御
弁の作動とを制御している。エンジンの運転を最適に制
御するため,コモンレール燃料噴射システムでは,エン
ジンの運転状態に応じて予め決められた燃料噴射量及び
燃料噴射時期をマップ化してコントローラに記憶させて
おき,このマップ化して記憶された燃料噴射量及び燃料
噴射時期から現在のエンジンの運転状態に対応した目標
燃料噴射量及び目標燃料噴射時期を求め,求められた目
標燃料噴射量及び目標燃料噴射時期と現在の燃料噴射量
及び燃料噴射時期との偏差に基づいて,インジェクタの
燃料噴射弁を電子的に制御して,インジェクタに形成さ
れた噴孔から燃料を噴射している。
【0003】インジェクタ3の構造を図21を参照して
簡単に説明する。図21は,インジェクタの縦断面図で
ある。インジェクタ3は,シリンダヘッド等のベースに
設けられた穴部にシール部材によって密封状態に取付け
られるものであるが,シリンダヘッド等の構造について
は図示を省略している。インジェクタ3の上側側部には
燃料入口継手60を介して,コモンレールから分岐した
分岐管23が接続されている。インジェクタ3の本体内
部には,燃料通路61,62が形成されており,分岐管
23及び燃料通路61,62から燃料流路が構成されて
いる。燃料流路を通じて供給された燃料は,燃料溜まり
63及び針弁64の周囲の通路を通じて,針弁64のリ
フト時に開く噴孔65から燃焼室内に噴射される。
【0004】インジェクタ3には,針弁64のリフトを
制御するために,バランスチャンバ式の針弁リフト機構
が設けられている。即ち,インジェクタ3の最上部に
は,電磁アクチュエータ66が設けられており,コント
ローラ37からの制御信号としての制御電流が,信号線
67を通じて電磁アクチュエータ66の電磁ソレノイド
68に送られる。電磁ソレノイド68が励磁されると,
アーマチュア69が上昇して,燃料路71の端部に設け
られた開閉弁72を開くので,燃料流路からバランスチ
ャンバ70に供給された燃料の燃料圧が燃料路71を通
じて解放される。インジェクタ3の本体内部に形成され
た中空穴73内には,コントロールピストン74が昇降
可能に設けられている。低下したバランスチャンバ70
内の圧力に基づく力とリターンスプリング75のばね力
とによってコントロールピストン74に働く押下げ力よ
りも,燃料溜まり63に臨むテーパ面76に作用する燃
料圧に基づいてコントロールピストン74を押し上げる
力が勝るため,コントロールピストン74は上昇する。
その結果,針弁64のリフトが許容され,噴孔65から
燃料が噴射される。燃料噴射量は,燃料流路内の燃料圧
と針弁のリフト(リフト量,リフト期間)とによって定
められる。針弁64のリフトは,開閉弁72の開閉制御
をするために電磁ソレノイド68へ送られる制御電流と
しての駆動パルスによって決定される。なお,針弁64
の弁軸77は,ノズル78の中空穴79内を僅かな隙間
を摺動可能であり,弁軸77の先端に形成されているテ
ーパ部80がノズル78の対応したテーパ部に当接して
噴孔65を開閉可能としている。
【0005】一般に,図22にインジェクタ3の燃料噴
射量Qとコントローラ37から電磁ソレノイド68に供
給される噴射パルス幅Wとの関係が,燃料圧力Pcr
(コモンレール2内の燃料圧力)をパラメータとして示
されている。燃料圧力Pcrを一定とすると,噴射パル
ス幅Wが大きいほど燃料噴射量Qは多くなり,また,同
じ噴射パルス幅Wであっても,燃料圧力Pcrが大であ
るほど燃料噴射量Qは大きくなる。一方,燃料噴射は噴
射パルスの立ち上がり時刻と立ち下がり時刻に対して一
定時間遅れて開始又は停止されるので,噴射パルスがオ
ン又はオフとなる時期を制御することによって,噴射タ
イミングを制御することができる。
【0006】ところで,ディーゼルエンジンは,アイド
リング運転のような低速,低負荷の運転状態にあるとき
に燃焼騒音を生じやすい。かかる燃焼騒音は,燃料の着
火遅れに起因して発生するものである。そのため,燃焼
騒音に対処する手段として,燃焼サイクルにおける総燃
料噴射量のうち一部の量の燃料をメイン噴射に先行して
行うパイロット噴射(予備噴射)で噴射することが有効
であることが知られている。パイロット噴射によって噴
射された燃料を燃焼させることによって燃焼室の壁面の
温度を充分に高めておき,その後に残りの主たる燃料量
を噴射(メイン噴射)するので,遅れたタイミングで生
じる急激な燃料の燃焼,即ち,メイン噴射の着火遅れを
回避することができる。また,燃料の噴射をパイロット
噴射とメイン噴射とに分割しているので,初期燃焼が抑
制され,NOxの低減も図ることもできる。即ち,燃焼
初期にある程度の混合気が燃焼され,メイン噴射によっ
て燃焼する混合気の量が少なくなるので,燃焼ガス温度
を抑えることができて,NOxの発生量が減少する。
【0007】しかしながら,各気筒に設けられるインジ
ェクタ3の燃料噴射特性には,インジェクタ3の加工誤
差や組立誤差,コモンレールとインジェクタ3とを接続
する分岐管23の長さ等の諸要因による個体差があるの
で,各インジェクタ3において実際に噴射される燃料量
(以下,実燃料噴射量という)にはバラツキがあり,実
燃料噴射量を目標燃料噴射量に一致させることが困難で
ある。
【0008】このように,パイロット噴射は,燃焼騒音
とNOxの発生とを防止する点で有効な手段ではある
が,燃料噴射量が極めて少なくなるアイドル運転状態で
は,図22に示すように,コモンレール圧力Pcの大き
さと噴射パルス幅Wとによって燃料噴射量Qを制御する
ことが困難となる。即ち,燃料噴射量が大きい領域では
コモンレール圧力Pcrをパラメータとして変更するこ
とにより,又インジェクタ3の電磁アクチュエータに供
給する噴射パルス幅Wを変えることで燃料噴射量を有効
に制御することができるが,燃料噴射量が小さい領域で
はコモンレール圧力Pcrも噴射パルス幅Wも燃料噴射
量を細かく制御することが困難である。
【0009】この事情は,図23に示すように,目標燃
料噴射量が大きな値である(Q1)場合,同じ噴射パル
ス幅であっても,燃料噴射量のバラツキ範囲ΔQ1の目
標燃料噴射量Q1に対する割合(ΔQ1/Q1)は比較
的小さい値であるが,パイロット噴射の場合には燃料噴
射量Q2が小さい値であるので,同じパイロット噴射パ
ルス幅であるときの燃料噴射量のバラツキ範囲ΔQ2の
目標燃料噴射量Q2に対する割合は非常に大きくなるこ
とからも理解され得る。
【0010】したがって,元来,燃料噴射量が少ないパ
イロット噴射では,かかる各インジェクタ3の燃料噴射
特性のバラツキにより,パイロット噴射としての役割を
果たすことができないことがある。更に,コモンレール
から各インジェクタ3への燃料流量特性に経時変化が生
じる場合もあり,パイロット噴射の役割が,当初は期待
できても時間の経過に伴って果たせなくなる可能性もあ
る。パイロット噴射に関しては以上のような現象がある
ため,パイロット噴射を行おうとしても一部の気筒では
パイロット噴射が行われないことがあり,パイロット噴
射による燃焼騒音とNOxの低減効果が減少してしまう
という問題点がある。
【0011】ところで,ディーゼルエンジンの燃焼噴射
制御装置として,パイロット噴射された燃料の燃焼のピ
ーク及びその近傍を検出してメイン噴射の開始時期が,
パイロット噴射による燃料の燃焼ピークあるいはその近
傍となるように,メイン噴射時期とパイロット噴射時期
のいずれか一方又は双方を制御するものが提案されてい
る(特開平2−95751号公報)。パイロット噴射又
はメイン噴射された燃料の燃焼のピークの検出は,燃焼
室内の圧力波形を検出して圧力波形を熱発生率に置き換
え,熱発生パターンからパイロット噴射又はメイン噴射
に対応した熱発生ピークを検出することにより行われ
る。
【0012】また,エンジンの燃焼騒音を減少させる目
的で,パイロット噴射時期を制御するものとして特開昭
62−17343号公報に開示されたものがある。エン
ジンの近傍に騒音レベルを検出するセンサを取り付け,
パイロット噴射時期を僅かに進めるか後退させるかによ
って騒音レベルの増減を検出し,エンジン騒音が最小と
なる方向にパイロット噴射時期をフィードバック制御し
ている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで,エンジンにお
いては,パイロット噴射によって必要な量の燃料が噴射
されているかどうかを検出し,その検出結果に基づいて
個々のインジェクタの燃料噴射特性にバラツキや経時変
化があった場合でも,パイロット噴射において必要なパ
イロット噴射量を確保することができないかという課題
がある。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は,上記
問題を解決することであって,インジェクタから噴射さ
れた燃料が着火・燃焼するエンジンにおいて,パイロッ
ト噴射とメイン噴射とによって噴射された燃料が着火す
ることによって変化する燃焼室内圧力を検出し,燃焼室
内圧力に基づいて熱発生率を計算することで,パイロッ
ト噴射による燃料の着火・燃焼が十分行われているかを
知ることができることに着目して,その計算結果に基づ
いてパイロット噴射によって噴射された燃料が着火・燃
焼することによって現れる熱発生量(以下,パイロット
熱発生量という)が所定のレベルになるようにインジェ
クタのアクチュエータを駆動するパイロット噴射パルス
幅を補正することにより,個々のインジェクタの燃料噴
射特性にバラツキや経時変化があった場合でも,パイロ
ット噴射において必要な燃料量の噴射を行わせることを
可能にするパイロット噴射量制御方法及びその装置を提
供することである。
【0015】この発明は,インジェクタから燃焼室内へ
噴射される燃料をメイン噴射と前記メイン噴射に先行す
るパイロット噴射とに分割して噴射し,逐次検出される
前記燃焼室内の圧力に基づいて前記燃焼室内における熱
発生率を計算し,前記熱発生率から前記パイロット噴射
において噴射された前記燃料の着火に伴って生じるパイ
ロット熱発生量を算出し,前記エンジンの運転状態に基
づいて予め決められている目標パイロット熱発生量から
現在の前記エンジンの前記運転状態に応じた前記目標パ
イロット熱発生量を求め,前記パイロット熱発生量と前
記目標パイロット熱発生量との偏差をなくすように前記
パイロット噴射によって噴射されるパイロット燃料噴射
量を補正することから成るエンジンにおけるパイロット
燃料噴射量制御方法に関する。
【0016】また,この発明は,燃料流路を通じて供給
された前記燃料をエンジンの燃焼室内に噴射するインジ
ェクタ、及び前記燃料をメイン噴射と前記メイン噴射に
先行するパイロット噴射とに分割して噴射するように前
記インジェクタの駆動を制御するコントローラを具備
し、前記コントローラは、逐次検出する前記燃焼室内の
圧力に基づいて前記燃焼室内における熱発生率を計算
し,前記熱発生率から前記パイロット噴射において噴射
された前記燃料の着火に伴って生じるパイロット熱発生
量を算出し,前記エンジンの運転状態に基づいて予め決
められている目標パイロット熱発生量から現在の前記エ
ンジンの前記運転状態に応じた前記目標パイロット熱発
生量を求め,前記パイロット熱発生量と前記目標パイロ
ット熱発生量との偏差をなくすように前記パイロット噴
射によって噴射されるパイロット燃料噴射量を補正する
ことから成るエンジンにおけるパイロット燃料噴射量制
御装置に関する。
【0017】この発明によるエンジンにおけるパイロッ
ト燃料噴射量制御方法及びその装置によれば,逐次検出
する燃焼室内の圧力に基づいて燃焼室内における熱発生
率が計算され,熱発生率からパイロット噴射において噴
射された燃料の着火に伴って生じるパイロット熱発生量
が算出される。一方,エンジンの運転状態に基づいて予
め,例えばマップとして決められている目標パイロット
熱発生量から現在のエンジンの運転状態に応じた目標パ
イロット熱発生量が求められる。パイロット噴射によっ
て噴射されるパイロット燃料噴射量を補正することによ
って,パイロット熱発生量は目標パイロット熱発生量と
一致するように制御されるので,個々のインジェクタの
燃料噴射特性にバラツキや経時変化があった場合でも,
パイロット噴射において必要なパイロット噴射量が常に
確保され,エンジンの作動安定性や排気ガス性能等を良
好に維持することが可能となる。
【0018】また,この発明によるエンジンにおけるパ
イロット燃料噴射量制御方法及びその装置において,前
記燃焼室内の容積が逐次求められ,燃焼室内の熱発生率
は,逐次検出された燃焼室内の圧力及び逐次求められた
燃焼室内の容積並びにそれらの変化率から計算される。
【0019】また,この発明によるエンジンにおけるパ
イロット燃料噴射量制御方法及びその装置において,前
記パイロット熱発生量は,パイロット噴射を行うために
インジェクタにパイロット噴射用駆動パルスが供給され
るパイロット噴射時期から計算開始遅れが経過した計算
開始時期と,メイン噴射を行うためにインジェクタにメ
イン噴射用駆動パルスが供給されるメイン噴射時期から
計算終了遅れが経過した計算終了時期との間の計算期間
として,その計算期間内における正の値を有する熱発生
率の積分値として求められる。
【0020】また,この発明によるエンジンにおけるパ
イロット燃料噴射量制御方法及びその装置において,計
算開始遅れは,パイロット噴射時期からインジェクタが
実際にパイロット噴射を開始するまでのインジェクタの
噴射遅れとインジェクタからパイロット噴射として噴射
された燃料が着火するまでの着火遅れとを合計した遅れ
であり,計算終了遅れは,メイン噴射時期からインジェ
クタが実際にメイン噴射を開始するまでのインジェクタ
の噴射遅れとインジェクタからメイン噴射として噴射さ
れた燃料が着火するまでの着火遅れとを合計した遅れで
ある。
【0021】更に,この発明によるエンジンにおけるパ
イロット燃料噴射量制御方法及びその装置において,前
記インジェクタに供給された燃料は,インジェクタに備
わる電磁アクチュエータの駆動に応答して針弁がリフト
することでインジェクタの先端に形成された噴孔が開放
されることにより行われ,パイロット燃料噴射量は,イ
ンジェクタの電磁アクチュエータへの駆動パルス幅を変
更することにより補正される。例えば,前記インジェク
タの電磁アクチュエータへの駆動パルス幅の補正量は,
前回の駆動パルス幅の補正量をパイロット熱発生量と目
標パイロット熱発生量の偏差に基づいて補正することで
求められる。更に,エンジンの運転状態に応じて求めら
れたパイロット噴射量に基づいて計算された電磁アクチ
ュエータへの駆動パルス幅を今回の駆動パルス幅の補正
量で補正したものが,前記インジェクタの電磁アクチュ
エータへの最終駆動パルス幅として設定される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明
によるパイロット噴射量制御方法及びその装置について
説明する。図1はこの発明によるパイロット噴射量制御
装置が適用されたエンジンの一実施例を示す模式図,図
2はクランク角度の経過に応じた筒内圧力,燃料噴射
率,及び熱発生率の変化の様子を示したグラフ,図3は
クランク角度の経過に伴う各インジェクタでの筒内圧力
及びデータ処理等の概要を示すグラフである。なお,イ
ンジェクタ3の構造等,既に知られているものも,この
発明と矛盾しないかぎりこの発明の実施例として採用し
得るものであり,適宜,実施例の説明に用いる。
【0023】この発明によるエンジンのパイロット噴射
量制御方法及びその装置が適用されるコモンレール式燃
料噴射システムの概要が,図1に示されている。このコ
モンレール式燃料噴射システムでは,エンジンは4気筒
エンジンである。シリンダ2内に形成される燃焼室(図
示せず)にそれぞれ燃料を噴射するインジェクタ31,
32,33,34(総称するときは3を用いる)への燃
料供給は,コモンレール22から,燃料流路の一部を構
成する分岐管23を通じて行われる。フィードポンプ2
6は,燃料タンク24からフィルタ25を通過させて吸
い出した燃料を所定の圧力に加圧し,加圧した燃料を燃
料管27を通じて燃料ポンプ20に送り込む。燃料ポン
プ20は,例えばエンジンによって駆動され,燃料をエ
ンジンの運転状態等に基づいて定められる高圧に昇圧し
て燃料管29を通じてコモンレール22に供給する,所
謂,プランジャ式のサプライ用の燃料供給ポンプであ
る。燃料は所定圧力に昇圧した状態でコモンレール22
に貯留され,コモンレール22から各インジェクタ3に
供給される。インジェクタ3は,電子制御ユニットであ
るコントローラ37の制御の下で,燃料を適当な噴射時
期及び噴射量で対応する燃焼室内に噴射する。インジェ
クタ3から噴射される燃料の噴射圧力はコモンレール2
2に貯留されている燃料の圧力,即ち,コモンレール圧
力に略等しいので,噴射圧力を制御するにはコモンレー
ル圧力が制御される。燃料ポンプ20からリリーフされ
た燃料は,戻し管35を通じて燃料タンク24に戻され
る。また,分岐管23からインジェクタ3に供給された
燃料のうち,燃焼室への噴射に費やされなかった燃料
は,戻し管36を通じて燃料タンク24に戻される。
【0024】コントローラ37には,エンジン回転速度
Neを検出するためのクランク角度センサ10,アクセ
ル開度量Accを検出するためのアクセル開度センサ1
1,コモンレール22に設けられてコモンレール22内
の燃料圧力(コモンレール圧力)を検出するコモンレー
ル圧力センサ12,並びに冷却水温度を検出するための
水温センサ13等のエンジンに関する運転状態を検出す
るための各種センサからの信号が入力されている。これ
らセンサ以外にも,例えば,吸気管内圧力を検出するた
めの吸気管内圧力センサを含めることができる。コント
ローラ37は,これらの信号に基づいて,エンジン出力
が運転状態に即した最適出力になるように,各インジェ
クタ3による燃料の噴射特性,即ち,燃料の噴射時期及
び噴射量を制御する。インジェクタ3から燃料が噴射さ
れることでコモンレール22内の燃料が消費されても,
コントローラ37は,コモンレール圧力Pcrが一定と
なるように燃料ポンプ20の吐出量を制御する。
【0025】図1に示される多気筒エンジン1は,4気
筒エンジンである。4つの気筒#1〜#4には,それぞ
れ,シリンダ2内に形成される燃焼室(図示せず)に燃
料を噴射するインジェクタ31,32,33,34(総
称する時には3を用いる)と,燃焼室内の圧力(筒内圧
力)を検出する圧力検出手段としての筒内圧力センサ4
1,42,43,44(総称する時には4を用いる)と
が配設されている。筒内圧力センサ4は,各気筒#1〜
#4の燃焼室に臨んで取り付けられている。筒内圧力セ
ンサ4が検出した各気筒#1〜#4の筒内圧力を表す信
号は,コントローラ37に入力される。また,多気筒エ
ンジン1に設けられてエンジンの回転に関する情報を得
るセンサ,即ち,基準となる気筒を判別する気筒判別セ
ンサ8,圧縮上死点前のクランク角度位置を検出するB
TDC(before topdead cente
r)センサ9及びクランク角度センサ10がそれぞれ検
出した信号も,コントローラ37に入力される。
【0026】図2は,クランク角度に対する,筒内圧力
(燃焼室内圧力)Pc,燃料噴射率Rf,及び熱発生率
qの変化の様子を示したグラフである。燃料噴射が行わ
れない場合の筒内圧力Pcの変化は,クランク角度の変
化に伴って,筒内圧力Pcのピークに対して対称的な変
化をするが,時刻T0に燃料噴射が行われて且つ噴射さ
れた燃料が着火すると,筒内圧力Pcの上昇が若干緩や
かになり,その後大きく増加する。この急上昇する筒内
圧力Pcから燃料着火時期としてのクランク角度を正確
に求めることは困難である。なお,中段のグラフに示す
燃料噴射率Rfは,初期噴射とメイン噴射との二つのピ
ークを持つように噴射制御されている。
【0027】図3は,クランク角度の経過に伴う筒内圧
力の変化及び各種信号の発生状況の概要を示すグラフで
ある。エンジンが4サイクルエンジンであるので,クラ
ンク角1°毎に1をカンウトするクランク角度のカウン
ト値θは,#1気筒の圧縮上死点で0であり,クランク
軸の2回転,即ち,カウント値719で一巡する。図3
の上段の4つのグラフは,それぞれ気筒#1〜#4のク
ランク角度のカウント値θの経過に伴う筒内圧力Pcの
変化を表している。エンジン1は4気筒であるので,気
筒番号nを列の並びに従って#1〜#4とすると,燃焼
順序iは,表1に示すように,#1→#3→#4→#2
の順となる。
【表1】 各気筒#1〜#4では,上記の順に次々と圧縮・爆発行
程を迎えて燃焼が行われ,ある気筒が爆発行程を経過す
るときに,次の気筒は圧縮行程に入っている。エンジン
の回転に関する各センサの出力が,図3の中段のグラフ
に示されている。#1の気筒は基準気筒であるので,圧
縮上死点前120°で気筒判別(REF)信号が出力さ
れる。また,各気筒の圧縮上死点前60°でBTDC信
号が出力される。#1気筒については,圧縮上死点前1
80°から圧縮上死点後180°まで,即ち,クランク
角度のカウント値θにして540以上で180未満であ
るときに#1気筒が圧縮・爆発行程を迎えるので,この
期間に大きく変化する筒内圧力Pcが検出され且つその
検出データが格納される。格納されたデータに基づいて
圧縮上死点後180°からの所定の時間内にメイン処理
が演算され,次回のBTDC割込み信号に基づいてイン
ジェクタ31の処理が行われる。図3の下段のグラフ
は,クランク角度のカウント値θの増加に従って各気筒
#1〜#4における各インジェクタ3の処理の順序及び
タイミングを概略的に示している。
【0028】このエンジンのコントローラ37を中心と
する各種のセンサとインジェクタ3との関係が図4に示
されている。図4はエンジンの回転に関する各種センサ
及び筒内圧センサからの検出信号を受けて,各インジェ
クタへの制御信号を出力する多気筒エンジンのパイロッ
ト噴射量制御を含む燃料噴射制御を行うコントローラ3
7のブロック図である。エンジン1の回転センサは,気
筒#1〜#4のうち基準となる気筒,例えば#1の上死
点前120°の位置を判別する気筒判別(REF)セン
サ8と,各気筒#1〜#4の爆発行程の上死点前60°
を検出するBTDC(before top dead
center)センサ9と,クランク角度を1°毎に
検出するクランク角度センサ10とから成る。気筒判別
センサ8とBTDCセンサ9とは,エンジン1は4サイ
クルエンジンであるので,クランク軸が2回転する間
に,それぞれ,4つのBTDC信号と1つのREF信号
とを発するように,燃料ポンプ20の駆動軸又は吸排気
弁駆動用のカム軸に関連して配置されている。気筒判別
REFセンサが検出した気筒判別信号及びクランク角度
センサが検出したクランク角度信号は,CPU14へ入
力されるのと平行に,DSP(digital sig
nal processor)15にも入力される。D
SP15は,入力された信号を高速で加減算することが
できる。
【0029】コントローラ37においては,上記のエン
ジン1の回転に関する各センサ8〜10に加えて,エン
ジン1の運転状態を表すものとして,アクセル開度セン
サ11,コモンレール等の圧力を検出するコモンレール
圧力センサ12,及びエンジン1の冷却を行う冷却水の
温度を検出する水温センサ13,或いは吸気圧力センサ
からの検出信号が中央処理装置(CPU)14に入力さ
れる。
【0030】CPU14とDSP15との間のデータの
遣り取りは,CPU14とDSP15とのどちら側から
も読み書きが可能な共通RAMであるデュアルポートメ
モリ16を介して行われる。CPU14とデュアルポー
トメモリ16との間はCPUバス17を通じて接続され
ており,DSP15とデュアルポートメモリ16との間
はDSPバス18を通じて接続されている。筒内圧力P
cを検出する筒内圧力センサ4は,気筒#1〜#4の各
燃焼室に臨んで設けられている筒内圧力センサ41〜4
4であり,筒内圧力Pcを大気圧との相対圧力(ゲージ
圧力)として検出する。筒内圧力センサ41〜44が検
出した筒内圧力のアナログ信号は,AD変換器19に入
力されてデジタル信号に変換され,DSPバス18を通
じてDSP15に送られる。
【0031】CPU14は,各センサ8〜13から直接
に入力されるエンジン1の運転状態を表す情報と,筒内
圧力センサ41〜44からの筒内圧力に関してDSP1
5で処理された結果等とに基づいて演算を行い,各気筒
#1〜#4にそれぞれ対応して設けられているインジェ
クタ31〜34の燃料噴射時期や燃料噴射量等の燃料噴
射に関する制御を行う。DSP15は,筒内圧力Pcに
関するデジタル信号の加減算の処理を高速で行う。この
処理はデジタル処理であるので,筒内圧力Pcの微分や
積分も同様に高速で演算することができる。また,CP
U15は,コモンレールの圧力を制御するため可変式の
燃料ポンプ20の吐出量を制御し,排気ガス循環量を制
御するためEGRバルブ21を制御する。
【0032】CPU14による燃料噴射制御は,多気筒
エンジン1の運転状態,即ち,アクセル開度センサ11
及びエンジン1の回転に関するセンサ8〜10からの信
号に基づいて予め決められた燃料噴射量特性マップが記
憶されており,この特性マップから現在のエンジンの運
転状態に応じた目標燃料噴射量が求められる。パイロッ
ト噴射量は,この目標燃料噴射量とエンジン回転速度と
から求められる。この発明によるパイロット噴射量制御
では,パイロット熱発生率を筒内圧センサ41〜44が
検出した筒内圧力Pcに基づいて求め,パイロット熱発
生率を積分することで求められるパイロット噴射に基づ
くパイロット熱発生量が目標パイロット熱発生量と一致
するようにインジェクタの電磁アクチュエータに供給さ
れるパイロット噴射パルス幅が補正される。以下,かか
るパイロット噴射量の制御について説明する。なお,こ
の説明は,各筒内圧力センサ4が検出した筒内圧力Pc
から求められた実燃焼着火時期が目標燃焼着火時期に一
致させるべく着火遅れを考慮して各インジェクタ3の燃
料噴射時期を補正する燃料噴射時期の補正と合わせて行
う。
【0033】CPU14は,図5に示すメイン処理を行
う。図5は,図4に示したコントローラにおけるCPU
のメイン処理を示すフローチャートである。このメイン
処理は,以下の各ステップから成る。 (1)CPU14の初期化が行われる(ステップ1,S
1と略す。以下同じ)。(2)センサ信号の処理を行う
(S2)。図4に示したようにCPU14に入力される
各種のセンサからの検出信号の処理を行う。 (3)S2で行われた信号処理で得られた情報に基づい
て,各インジェクタ3が噴射すべき燃料量,即ち,燃料
噴射量の計算を行う(S3)。燃料噴射量の計算は,ア
クセル開度とエンジン回転数とによって予め決められて
いる噴射量特性マップにおいて,アクセル開度センサ1
1が検出した現在のアクセル開度とBTDC信号等から
求められたエンジン回転数とに対応する目標燃料噴射量
Qbを求めることによって行われる(必要な噴射量の補
正量とで最終燃料噴射量を求めることもある)。 (4)また,S2で行われた信号処理で得られた情報に
基づいて,各インジェクタ3が燃料を噴射すべき時期,
即ち,燃料噴射時期が計算される(S4)。燃料噴射量
とエンジン回転速度とに基づいて予め決められている燃
料噴射時期特性マップによって,S3で求めた燃料噴射
量と現在のエンジン回転速度とに対応する目標燃料噴射
時期が求められる。 (5)更に,S2で行われた信号処理で得られた情報に
基づいて,且つS3で求められた燃料噴射量を,S4で
求められた燃料噴射時期に噴射できるように,燃料を噴
射する圧力,即ち,燃料噴射圧力が計算される(S
5)。燃料噴射圧力の制御は,燃料噴射量とエンジン回
転数から目標噴射圧力を求めることにより行われ,更に
具体的には,燃料ポンプ20に関連して設けられる流量
制御弁を制御してコモンレール圧力Pcrを制御するこ
とにより行われる。燃料噴射制御は,上記のとおり噴射
量制御,噴射時期制御及び噴射圧力制御から成り,コン
トローラ37は,上記の各噴射条件で各インジェクタ3
から燃料が噴射されるように各インジェクタ3及びコモ
ンレール圧力Pcrの制御を行う。S1でCPU14が
初期化された後は,S2〜S5を燃料噴射を実行すべき
インジェクタ3に対してそれぞれ順に実行し,且つ各噴
射毎に上記のS2〜S5を繰り返す。インジェクタ3が
噴射すべき燃料噴射量,燃料噴射時期及び可変式燃料ポ
ンプ20によって定められる燃料噴射圧力は,排気ガ
ス,騒音及び出力間に存在するトレードオフの関係の下
で燃料噴射が最適となるように制御している。
【0034】燃料ポンプ20のポンプ軸又は吸排気弁駆
動用カム軸に固定した回転板には,基準気筒#1の圧縮
上死点前120°に対応した角度位置に1つの基準マー
ク(欠歯でよい)が形成されており,気筒判別センサ8
がこの基準マークを検出することにより,ポンプ軸1回
転当たり1回のREF信号を出力する。気筒判別センサ
8がREF信号を出力すると,図6に示すようなREF
割込み処理が行われる。図6は,図5に示すメイン処理
において気筒判別信号がCPU14に入力されたときの
割込み処理を示すフローチャートである。この割込み処
理では,BTDC信号のカウント値CNbを0にするリ
セット処理が行われる。即ち,多気筒エンジン1は4気
筒エンジンであるので,BTDC信号は0から3までの
4つの整数を取り得る。カウント値CNbが0のときか
ら各気筒での燃料の噴射と着火とが一巡して,カウント
値CNbが4になる前に,気筒判別センサ8がこの基準
マークを検出するので,カウント値CNbが0にセット
される(S6)。
【0035】燃料ポンプ20のポンプ軸又は吸排気弁駆
動用カム軸に固定した回転板には,各気筒における圧縮
上死点前60°に対応した角度位置に4つの上死点前マ
ーク(欠歯でよい)が90°毎に形成されており,BT
DCセンサ9が上死点前マークを検出することにより,
ポンプ軸1回転当たり4回のBTDC信号を出力する
(図3の中段に示すグラフを参照)。BTDC信号がC
PU14に入力されると,以下に説明するようなBTD
C信号割込み処理が行われる。
【0036】図7のBTDC信号割込み処理は,次のよ
うに行われる。図7は,図5に示したCPUメイン処理
における,BTDC信号が入力されたときの割込み処理
を示すフローチャートである。 (1)エンジン1の回転速度が計算される(S10)。
即ち,前回のBTDC信号を検出してから今回のBTD
C信号を検出するまでに要した時間に基づいて,単位時
間当たりのエンジン1の回転速度が算出される。 (2)BTDC信号のカウント値CNbが0であるか否
かを判定する(S11)。カウント値CNbが0であれ
ば,燃焼順序i=1の気筒(#1)に設けられたインジ
ェクタ31の燃料噴射処理(S2〜S5とその後の燃料
噴射の実行)を行う(S12)。このインジェクタの処
理のタイミングの概要については,図3の最下段のグラ
フに示されている。 (3)S11での判定においてカウント値CNbが0で
なければ,直ちにS13に移行し,カウント値CNbが
1であるか否かを判定する(S13)。 (4)カウント値CNbが1であれば,i=2の気筒
(#3)に設けられたインジェクタ33の燃料噴射処理
(S2〜S5とその後の燃料噴射の実行)を行う(S1
4)。 (5)S13での判定においてカウント値CNbが1で
なければ,直ちにS15に移行し,以下上記と同様な判
定処理と判定処理においてYESである場合のインジェ
クタの燃料噴射処理とが行われる(S15)。 (6)S12,S14,或いは,S15で,#1〜#4
の何れかのインジェクタ3の燃料噴射処理を行うと,対
応していたカウント値CNbの判定以外の判定では必ず
NOとなるので,S16でカウント値CNbに1を増加
したものを新たなカウント値CNbにして(S16),
この割込み処理を終了する。次回のこの割込み処理にお
いても,次のカウント値CNbに対する判定は,S1
1,S13又はS15での同様の判定のいずれかでYE
Sとなる。カウント値CNbを順次増加してカウント値
CNbが3になると,カウント値CNbが4になる前に
基準マークが検出されて,S6によってカウント値CN
bは0にリセットされる。
【0037】次に,図8を参照してDSP15のメイン
処理を説明する。図8は,図4に示したコントローラに
おけるDSPメイン処理を示すフローチャートである。 (1)DSPの初期化を行う(S20)。 (2)初期化が終了すれば,筒内圧処理を行う(S2
1)。筒内圧処理は,検出された気筒#1〜#4の筒内
圧力データの処理であり,該当する気筒#1〜#4につ
いてクランク角度1°毎に筒内圧力データ処理を繰り返
して行い,熱発生率の計算とそれに基づくパイロット熱
発生量等の計算をするためのものである。筒内圧処理の
詳細については,後述する。
【0038】DSPにおいて,S21に示した筒内処理
を行うに際しての前提として,図9に示すAD変換終了
割込み処理が行われる。図9は,図7に示したDSPメ
イン処理におけるAD変換終了時の割込み処理を示すフ
ローチャートである。この割込み処理では,筒内圧力
(即ち,燃焼室圧力)のAD変換結果の読込み,クラン
ク角度の初期化,筒内圧力データのメモリへの格納,及
びクランク角度の更新の各ステップが,クランク角度が
1°変化するのに同期して実行される。即ち,クランク
角度1°毎に各気筒の筒内圧力をAD変換器19(図4
参照)でアナログからデジタルに変換しているが,図9
に示すAD変換終了割込み処理は,このAD変換器19
による変換が終了する毎に割込み処理が行われる。 (1)筒内圧力のAD変換結果ADr(i)を読み込む
(S30)。各筒内圧力のAD変換結果ADr(i)
は,燃焼順序i(=1〜4)にPc(i)として読み込
まれる。 (2)次に,クランク角度の初期化が行われる(S3
1)。 (6)筒内圧力データが,メモリに格納される(S3
2)。 (7)クランク角度の更新が行われる(S33)。S3
1〜S33については,それぞれ,以下に詳細を説明す
る。
【0039】次に,図10に示すフローチャートを参照
してS31におけるクランク角度の初期化について説明
する。図10は,図9に示するAD変換終了時の割込み
処理におけるクランク角度の初期化の処理を示すフロー
チャートである。エンジンは4気筒エンジンであり,ク
ランク軸の2回転で各気筒の燃料の噴射・着火が一巡す
るので,クランク角度の一巡周期はカウント回数で72
0である。クランク角度のカウント値θは,1°で1を
カウントする。クランク角度のカウント値θは,燃焼順
序i=1の気筒(#1)が上死点の位置を取るときを0
とし,4気筒の燃料の噴射・着火が一巡するまで,71
9までのカウント値を取る。 (1)クランク角度の初期化が既に完了しているか否か
を判定する(S40)。既に,クランク角度の初期化が
完了していれば,直ちにAD変換終了割込みのルーチン
に戻る。クランク角度の初期化が完了していなければ,
ステップはS41に移行する。 (2)特定の気筒,即ち,i=1の気筒(#1)の上死
点前120°に出力されるREF信号が立ち上がってい
るか否かを判定する(S41)。REF信号が立ち上が
っていなければ,直ちにAD変換終了割込みのルーチン
にリターンする。(3)S41においてREF信号の立
ち上がっていれば,クランク角度のカウント数θを72
0マイナス120(即ち,600)に設定する(S4
2)。120は,気筒判別センサ8の取り付け角度に相
当している。 (4)S42における設定が終了すると,クランク角度
の初期化が完了する(S43)。一旦,クランク角度の
初期化が行われると,次回にエンジンの始動が行われな
い限りクランク角度の初期化が行われることはない。
【0040】次に,図11に示すフローチャートを参照
して,S32における筒内圧力データのメモリへの格納
処理について説明する。図11は,図9に示するAD変
換終了時の割込み処理における筒内圧データのメモリへ
の格納処理を示すフローチャートである。 (1)初期化されたクランク角度のカウント数θが54
0以上又は180未満であるか否かを判定する(S5
0)。クランク角度のカウント数θがこの範囲内に入っ
ていなければ,S57に移行する。S50で定めるカウ
ント数θの範囲は,i=1の気筒(#1)のクランク角
度が圧縮上死点の前後180°以内に対応した範囲であ
り,圧縮行程から爆発行程までの範囲である。この間の
筒内圧力が着火時期制御に重要であり,データとして採
用される。 (2)クランク角度のカウント数θが540であるか否
かが判定される(S51)。このカウント数θが540
であれば,上記のカウント数θの範囲の始点であるの
で,i=1の気筒についてのクランク角度のカウント数
として定義される気筒別クランク角度カウント数θc
(1)をクリアして0とする(S52)。括弧内の1
は,i=1の気筒についてのクランク角度カウント数で
あることを示す。したがって,θc(1)は,0から3
59までの値を取る。 (3)i=1の気筒についての筒内圧力Pc(1)を,
気筒別クランク角度カウント数θc(1)のときの筒内
圧力Pc(θc(1),1)とする(S53)。 (4)i=1の気筒についての,気筒別クランク角度カ
ウント数θc(1)が359であるか否かを判定する
(S54)。即ち,i=1の気筒についてのデータ採集
クランク角度範囲の終点であるか否かを判定する。 (5)θc(1)が359であるとすると,既に,θc
(1)は,0から359まで実行した後であるので,i
=1の気筒についての筒内圧力データの格納が終了して
いることになる(S55)。 (6)θc(1)が359でないとすると,θc(1)
は,まだ終点まで到達していないので,クランク角度を
1°進めることに対応して,θc(1)のカウント数を
1だけ増加したものを新たなθc(1)とする(S5
6)。
【0041】(7)次に,クランク角度のカウント数θ
が0以上360未満であるか否かを判定する(S5
7)。クランク角度のカウント数θがこの範囲内に入っ
ていなければ,S64に移行する。S57で定めるカウ
ント数θの範囲は,燃焼順序i=2の気筒(#3)のク
ランク角度が圧縮上死点の前後180°以内の対応した
範囲であり,その圧縮行程から爆発行程までの範囲であ
る。この間の筒内圧力が着火時期制御に必要であり,デ
ータとして採用される。したがって,クランク角度のカ
ウント数θが0以上180未満であるときには,i=1
の気筒(#1)とi=2の気筒(#3)とについての筒
内圧力データの格納が行われる。 (8)クランク角度のカウント数θが0であるか否かが
判定される(S58)。このカウント数θが0であれ
ば,上記のカウント数θの範囲の始点であるので,i=
2の気筒(#3)についてのクランク角度のカウント数
として定義される気筒別クランク角度カウント数θc
(2)をクリアして0とする(S59)。したがって,
i=2の気筒についてのθc(2)も,0から359ま
での値を取る。 (9)気筒別クランク角度カウント数θc(2)のとき
のi=2の気筒についての筒内圧力Pc(2)を,筒内
圧力Pc(θc(2),2)とする(S60)。 (10)i=2の気筒についての,気筒別クランク角度
カウント数θc(2)が359であるか否かを判定する
(S61)。 (11)θc(2)が359であるとすると,既に,θ
c(2)は,0から359まで実行した後であるので,
i=2の気筒についての筒内圧力データの格納が終了す
る(S62)。 (12)θc(2)が359でないとすると,θc
(2)は,まだ終点まで到達していないので,クランク
角度を1°進めることに対応して,θc(2)のカウン
ト数を1だけ増加したものを新たなθc(2)とする
(S63)。 (13)以後,i=3及び4の気筒(#4及び#2)に
ついても,同様の処理をして,筒内圧力データをメモリ
に格納する(S64)。
【0042】次に,図12に示すフローチャートを参照
して,クランク角度の更新処理について説明する。図1
2は,図9に示すAD変換終了時の割込み処理における
クランク角度の更新処理を示すフローチャートである。
θcの1の増分毎に,クランク角度の更新処理S33が
実行される。 (1)クランク角度のカウント数θを1増加して更新す
る(S70)。 (2)カウント数θが720未満であるか否かを判定す
る(S71)。カウント数θが720未満であれば,4
つの気筒についての噴射と着火がまだ一巡していないの
で,AD変換終了後の割込み処理を続行する。 (3)カウント数θが720以上であれば,カウント数
θを0にリセットする(S72)。
【0043】次に,図13に示すフローチャートを参照
して,図8に示したDSPのメイン処理中における筒内
圧処理(S21)の詳細について説明する。図13は,
図8に示すDSPのメイン処理における筒内圧処理を示
すフローチャートである。 (1)図11のS55において行われる燃焼順序i=1
の気筒(#1)の筒内圧力データ格納が終了しているか
否かを判定する(S80)。i=1の気筒(#1)の筒
内圧力データ格納が終了していなければ,S84に移行
して,i=2の気筒(#3)の筒内圧力データ格納が終
了しているか否かを判定する。 (2)S80の判定で,i=1の気筒の筒内圧力データ
格納が終了していると,データにフィルタ処理を施す
(S81)。筒内圧力データは,大きく変動しているの
で,移動平均を取る等のフィルタ処理を施してノイズを
除去し,滑らかな筒内圧力曲線を得る(図2参照)。
【0044】(3)得られた圧力曲線から,熱発生率q
の計算を行う(S82)。熱発生率qは,次のようにし
て求められる。先ず,筒内容積Vθは,次の式で表され
る。
【数1】 ここで,Vcは隙間容積〔m3 〕,Sはピストンストロ
ーク〔m〕,Lはコンロッド長さ〔m〕,θcはクラン
ク角度(deg)である。この筒内容積Vθと,そのク
ランク角度θcによる微分値とは,クランク角度θcが
更新される毎にリアルタイムで演算してもよいが,予め
計算で求めてメモリに格納されたマップデータから逐次
読み出してもよい。また,筒内圧力Pcとそのクランク
角度θcによる微分値は,センサで検出し,DSPで処
理することにより得られる。熱発生率q=dQ/dθc
は,次の式で求められる。
【数2】 ここで,比熱比κは,一定であるとして,上の式をリア
ルタイムで計算する。 (4)S82で計算された熱発生率qの結果に基づい
て,パイロット熱発生率qの積分値Iq(1)の計算を
行う(S83)。この積分値Iqは,パイロット噴射に
よっ噴射された燃料が着火・燃焼することによって生じ
たパイロット熱発生量に相当する。かかる積分値Iq
(1)の計算の詳細については後述する。
【0045】(5)燃焼順序i=1の気筒(#1)の筒
内圧力データ格納が終了していなければ,i=2の気筒
(#3)の筒内圧力データ格納が終了しているか否かを
判定する(S84)。S84以降のフィルタ処理(S8
5),熱発生率qの計算(S86),パイロット熱発生
率qの積分値Iq(2)の計算(S87)の各ステップ
は,S80〜S83と同様であるので,省略する。同様
に,i=3の気筒(#4)及びi=4の気筒(#2)に
ついても同様の処理が行われる。なお,図13の処理
は,クランク角度の割込みで各気筒の10燃焼行程分の
筒内圧力データの格納が終わった状態で,フィルタ処
理,熱発生率qの計算,パイロット熱発生率qの積分値
Iq(i)の計算の各ステップが行われる。
【0046】既に説明したように,アクセル開度,エン
ジン回転速度等に基づいて予め決められた燃料噴射量特
性マップから,現在のエンジン運転状態であるアクセル
開度,エンジン回転速度等に対応した目標燃料噴射量Q
bが求められるが,パイロット噴射をする場合には,更
に,この目標燃料噴射量Qbとエンジン回転速度とから
パイロット燃料噴射量(以下,パイロット噴射量と略
す)Qpを求めて,目標燃料噴射量Qbをパイロット噴
射量Qpとメイン燃料噴射量(以下,メイン噴射量と略
す)Qmとに分割する。パイロット噴射量Qpとパイロ
ット熱発生率ピーク値qmaxとの間には図18に示す
ような相関がある。即ち,目標燃料噴射量Qbに占める
パイロット噴射量Qpの割合を大きくすると,パイロッ
ト熱発生率ピーク値qmaxが高く且つ熱発生量が多く
なると共にメイン噴射による熱発生率ピークが低く且つ
熱発生量が小さくなる。図18に示す熱発生率qの中で
は破線で示す変化を生じるようにパイロット噴射を行う
のが最も望ましい。エンジンがアイドリング運転状態に
あるときには,パイロット熱発生率qの積分値Iqが予
め設定された目標値となるように,インジェクタ3の電
磁アクチュエータ16を駆動するパイロット噴射パルス
幅を補正して,インジェクタ3の噴射特性にバラツキや
経時変化があっても,最適なパイロット噴射とその燃焼
を行わせる。
【0047】次に,図14を参照して,パイロット熱発
生率積分値Iq(i)の計算について説明する。図14
は,図13に示す筒内圧処理におけるパイロット熱発生
率積分値Iq(i)の計算処理を示すフローチャートで
ある。iは,1〜4の値を取り得る燃焼番号であり,各
iの値に対して共通の処理が行われる。 (1)パイロット噴射をするためにインジェクタ3の電
磁アクチュエータ16に供給されるパルスの開始時期
(以下,パイロット噴射時期と略す)Tpと,メイン噴
射をするためにインジェクタ3の電磁アクチュエータ1
6に供給されるパルスの開始時期(メイン噴射時期と略
す)Tmと,エンジン回転速度Neとを,デュアルポー
トメモリ16から読み込む(S90)。これらのデータ
は,CPU14で処理されてRAMであるデュアルポー
トメモリ16に書き込まれている。 (2)パイロット噴射時期Tpからパイロット熱発生率
積分値Iq(i)の積分計算を開始する時期までの遅れ
を表す計算開始遅れθa(クランク角)を計算する(S
91)。計算開始遅れθaは,図19に示すように,イ
ンジェクタ3の噴射遅れθiに着火遅れαを加えた値か
それよりも小さくなるように予め決められている。噴射
遅れθiはほぼ時間一定であり,着火遅れαはエンジン
回転速度Neによって変化するので,計算期間の開始遅
れθaはエンジン回転速度Neを変数とするマップデー
タとなる。 (3)パイロット噴射時期Tpと計算開始遅れθaとか
ら,次の式によってパイロット熱発生率積分値Iqの計
算開始角度θsを計算する(S92)。なお,パイロッ
ト噴射時期Tpはクランク角度に次元を合わせておく。 θs←Tp+θa (4)メイン噴射時期Tmからパイロット熱発生率積分
値Iqの積分計算を終了する時期までの遅れを表す計算
終了遅れθbが計算される(S93)。計算終了遅れθ
bは,メイン噴射のためにインジェクタの電磁アクチュ
エータに供給される駆動パルスの立上りに相当するメイ
ン噴射時期Tmからメイン噴射が噴射されるまでの噴射
遅れと,メイン噴射で噴射された燃料が着火する時期ま
での着火遅れβとの和に相当する期間として計算され
る。着火遅れβはエンジン回転速度Neに依存している
ので,計算期間終了遅れθbはエンジン回転速度Neを
変数とするマップデータとなる。 (5)メイン噴射時期Tmと計算期間終了遅れθbとか
ら,次の式によってパイロット熱発生率積分値Iqの計
算終了角度θeが,計算される(S94)。なお,パイ
ロット噴射時期Tpはクランク角度に次元を合わせてお
く。 θe←Tm+θb (6)θsからθeまでの計算角度期間においてパイロ
ット熱発生率qをクランク角度で積分計算をし,デュア
ルポートメモリ16に書き込む(S95)。なお,計算
区間開始遅れθaと計算区間終了遅れθbとエンジン回
転速度との関係が,図20のグラフに示されている。一
般的に,エンジン回転速度が増加すると,遅れとしての
現れるクランク角度は小さくなる傾向にある。
【0048】S95で示した,パイロット熱発生率積分
値Iqの計算について図15を参照して説明する。図1
5は,図14に示したパイロット熱発生率積分値Iqの
計算におけるパイロット熱発生率積分値Iq(i)の計
算を示すフローチャートである。 (1)当初のパイロット熱発生率積分値Iqをゼロと置
く(S100)。 (2)パイロット熱発生率qが正の値であるか否かを判
定する(S101)。パイロット熱発生率qが負の値又
は0である場合には,S103に移行してクランク角度
のカウント値を1だけ更新する。 (3)S101でパイロット熱発生率qが正の値である
場合には,パイロット熱発生率積分値Iqに,q×1
(=q)を加算する(S102)。 (4)クランク角度のカウント値θに増分1を加えたも
のを新たなクランク角度のカウント値θとする(S10
3)。 (5)クランク角度のカウント値θが計算角度期間の終
点θe以下であるかを判定する(S104)。クランク
角度のカウント値θがまだ計算角度期間の終点θeに到
達していないときには,S101に戻って,上記の処理
を繰り返す。クランク角度θが計算角度期間の終点θe
に到達すると,図14に示すパイロット熱発生率積分値
Iqの計算のフローに戻る。
【0049】次に,図14〜図15に示したフローチャ
ートによって,パイロット熱発生率積分値Iq(i)が
求まると,パイロット熱発生率積分値Iq(i)が予め
決められた目標値と一致するように,各インジェクタ3
の電磁アクチュエータ16に供給する駆動パルス幅が補
正される。その修正処理を,燃焼順序iが1である気筒
#1に設けられたインジェクタ31を例に採って,以下
に説明する。なお,燃焼順序iについては,ここでは1
に限るので,表示の簡素化のため省略する。図16は,
図7に示したBTDC信号割込み処理におけるインジェ
クタ31の駆動処理におけるパイロット噴射用駆動パル
ス幅の補正処理を示すフローチャートである。かかるパ
イロット噴射用駆動パルス幅の補正処理の前提として,
図6に示す気筒判別REF信号に同期してREF割込み
処理が開始されて気筒判別用カウンタCNbがリセット
され,更に,図7に示すBTDC信号に同期してBTD
C信号割込み処理が開始され,気筒判別用カウンタCN
bの値に応じて燃料の噴射を行う気筒が判定されている
ものとする。 (1)該当するインジェクタによって燃料を噴射すべき
燃料噴射の条件が,読み込まれる(S110)。燃料噴
射の条件は,燃料噴射圧力(即ち,コモンレール圧力P
cr),メイン燃料噴射量Qm,パイロット燃料噴射量
Qp,メイン噴射時期Tm,及びパイロット噴射時期T
pである。 (2)現在,パイロット噴射量Qpが0であるか否かを
判定する(S111)。パイロット噴射量Qpが0のと
きには,パイロット熱発生率積分値Iqを求める必要が
ないので,S119へ移行してメイン噴射を行うために
インジェクタ31の電磁アクチュエータ66(図21参
照)に供給される駆動パルス幅PWm(以下,メイン噴
射パルス幅と略す)を求める。 (3)パイロット噴射量Qpが0でない場合には,エン
ジンの運転状態がアイドル運転状態であるか否かを判定
する(S112)。エンジンの運転状態がアイドル運転
状態でない場合には,エンジン運転状態がアイドル運転
であることに伴う諸問題(運転の不安定化,騒音,排気
ガス特性)が特に顕著にならないので,S116へ移行
して引続きパイロット噴射を伴う燃料噴射制御を行う。 (4)エンジンがアイドル運転状態である場合には,例
えば,その時のパイロット噴射量Qpやパイロット噴射
時期Tp等に応じた目標パイロット熱発生量に相当する
目標パイロット熱発生率積分値Iqbを計算する(S1
13)。
【0050】(5)S103で求め且つデュアルポート
メモリ16(図4参照)に記憶されている噴射気筒(#
1)のパイロット熱発生率積分値Iqと目標パイロット
熱発生率積分値Iqbとの偏差ΔIqを計算する(S1
14)。即ち,ΔIq=Iqb−Iq (6)該当する気筒について,パイロット噴射を行うた
めにインジェクタ31の電磁アクチュエータ66(図2
1参照)に供給される駆動パルス幅(以下,パイロット
噴射パルス幅と略す)PWpの前回の補正量ΔPWpが
求められているとする。以下の式のように,S114で
得られた偏差ΔIqにゲインを乗じた値を,パイロット
噴射パルス幅PWpの前回求めた補正量ΔPWpに加算
して,今回のパイロット噴射パルス幅補正量ΔPWpを
求める(S115)。この処理により,パイロット噴射
パルス幅の積分制御を行うことができる。 ΔPWp←ΔPWp+ΔIq×Gp ここで,Gpは,ゲインである。 (7)燃料噴射圧力Pcr,パイロット噴射量Qp,及
びインジェクタ流量特性から,パイロット噴射パルス幅
PWpを求める(S116)。エンジンがアイドル運転
でない場合も以降の処理が行われる。 (8)S116で求めたパイロット噴射パルス幅PWp
に,S115で求めた今回のパイロット噴射パルス幅補
正量ΔPWpを加算することにより,最終パイロット噴
射パルス幅PWpfを求める(S117)。 PWpf←PWp+ΔPWp (9)インジェクタ31の電磁アクチュエータをパイロ
ット噴射用として駆動するための駆動パルスを出力する
パイロット噴射用駆動パルス出力カウンタ(図示せず)
に,S110で読み込んだパイロット噴射時期Tp,及
びS117で求めた最終パイロット噴射パルス幅PWp
fに対応した噴射パルス幅をセットする(S118)。 (10)パイロット噴射パルス幅PWpは補正されるた
め,実際には,S110で読み込んだパイロット噴射量
Qpと異なる噴射量が噴射される。したがって,パイロ
ット噴射とメイン噴射との和としての全燃料噴射量を変
えないために,燃料噴射圧力と最終パイロット噴射パル
ス幅PWpfに対応した最終パイロット噴射量とから,
メイン噴射パルス幅PWmを計算する(S119)。 (11)インジェクタ31の電磁アクチュエータ66を
メイン噴射用として駆動するための駆動パルスを出力す
るメイン噴射用駆動パルス出力カウンタ(図示せず)
に,S110で読み込んだメイン噴射時期Tm,及びS
119で求めたメイン噴射パルス幅PWmに対応した噴
射パルス幅をセットする(S120)。
【0051】以上のように,算出したパイロット熱発生
率積分値Iq(i)が目標のパイロット熱発生率積分値
Iqb(i)と一致するようにパイロット噴射用の駆動
パルス幅を補正するので,パイロット噴射においては,
そのときのエンジンの運転状態に応じた最適なパイロッ
ト熱発生量を得ることができる。したがって,特にエン
ジンがアイドル運転状態のときのように,不安定なエン
ジンの運転,エンジン騒音及び排気ガス性能の悪化等の
現象が生じるのを防止することができる。
【0052】次に,図17を参照して,熱発生率のデー
タを用いた実燃料着火時期Td(i)(図2)の計算に
ついて説明する。図17は,図13に示した筒内圧処理
において求められた熱発生率から実燃料着火時期Td
(i)を求める計算処理を示すフローチャートである。
各燃焼順序i(1〜4の値を取り得る)に対して共通の
処理が行われる。また,θcは各気筒の圧縮膨張過程の
クランク角度のカウント値であって,爆発行程上死点の
前後180°の範囲のクランク角度を0〜359までカ
ウントする。このフローチャートは,S130で示すよ
うに,θcが3以上の場合に実行される。S83やS8
6等において熱発生率qが既に求められている。また,
図24に示すクランク角度のカウント値θcに対する熱
発生率qのグラフを参照する。なお,実燃料着火時期T
d(i)は,デュアルポートメモリ16(図4参照)上
のデータである。 (1)その時の燃焼順序i,即ち,燃料の着火・燃焼が
行われている気筒について,q(i)(θc−3)が負
であるか否かを判定する(S131)。 (2)q(i)(θc−3)が負であれば,当該気筒の
クランク角度のカウント値θcが1カウントだけ進んだ
時のq(i)(θc−2)が負であるか否かを判定する
(S132)。 (3)q(i)(θc−2)が負であれば,当該気筒の
クランク角度のカウント値θcが更に1カウントだけ進
んだ時のq(i)(θc−1)が正であるか否かを判定
する(S133)。 (4)q(i)(θc−1)が正であれば,当該気筒の
クランク角度のカウント値θcが更に1カウントだけ進
んだ時のq(i)(θc)が正であるか否かを判定する
(S134)。
【0053】(5)q(i)(θc)が正であれば,実
燃料着火時期Td(i)は,θc−2であるとする(S
135)。即ち,連続する4つのクランク角度のカウン
ト値で,中間の時点であるθc−2とθc−1との間で
熱発生率qの符号が変化しているので,実燃料着火時期
Td(i)をθc−2とみなしている。実際は,ゼロク
ロス点はθc−2とθc−1との間であるので,補間し
てゼロクロス点を求めてもよい。また,演算の精度が良
好である場合には,前後の2点で符号が負から正に変化
したときをゼロクロス点として求めてもよい。 (6)S131でq(i)(θc−3)が正のとき,S
132でq(i)(θc−2)が正のとき,S133で
q(i)(θc−1)が負のとき,及びS134でq
(i)(θc)が負のときは,それぞれ実燃料着火時期
Td(i)をクランク角度カウント着火0の時期とする
(S136)。即ち,θc−2とθc−1との間でqの
符号が変化するときのみ,S135で実燃料着火時期T
d(i)が求められ,それ以外の状況ではすべて実燃料
着火時期Td(i)が0とされる。 (7)実燃料着火時期Td(i)が0であるか否かを判
定する(S137)。 (8)実燃料着火時期Td(i)が0であると,クラン
ク角度のカウント値θcを1カウント増加する(S13
8)。 (9)クランク角度のカウント値θcが360で有るか
否かを判定する(S139)。即ち,θcの取り得る範
囲の最後のカウント値であるか否かを判定する。θcが
まだ360でなければ,S131に戻って,再度ルーチ
ンを実行する。
【0054】図2を再度参照すると,時刻T0に燃料噴
射が行われて且つ噴射された燃料が着火すると,筒内圧
力Pcの上昇が若干緩やかになり,その後の着火によっ
て大きく増加する。この急上昇する筒内圧力Pcから燃
料が着火するクランク角度を正確に判断するのは困難で
あったが,熱発生率qに着目すると,上記のように,実
燃料着火時期を正確に求めることができる。即ち,図2
の中段のグラフに示す燃料噴射率Rfで燃料が燃焼室内
に噴射されると,下段の熱発生率qのグラフに示すよう
に,一旦は吸熱により負の熱発生率を示すが,その後,
正の熱発生率に変化する。熱発生率qは,燃料噴射が行
われた当初は若干負になる(燃料の気化による)が燃料
の着火によって増加に転じ,熱発生率qが負から正に転
じるゼロクロス時刻T1を,燃料着火時期Td(パイロ
ット噴射を行う場合にはパイロット噴射によって噴射さ
れた燃料の着火時期)とみなすことで容易に実燃料着火
時期を定めることができる。なお,時刻T0から時刻T
dまでの期間が燃料の着火遅れ期間に相当する。実燃料
着火時期Td(i)が求まると,実燃料着火時期が,運
転状態に応じて求められる目標燃料着火時期と一致する
ように,各インジェクタにおける燃料噴射時期が修正さ
れる。燃料噴射時期の具体的な修正処理は,この発明の
対象とするところではないので省略する。
【0055】以上のフローチャートの内容を図3を参照
してまとめると,図3の上段の4つのグラフは,それぞ
れ気筒#1〜#4のクランク角度θの経過に伴う筒内圧
力Pcの変化を表している。#1気筒,#3気筒,#4
気筒,#2気筒の順で,次々と圧縮爆発行程を迎える。
ある気筒が爆発行程を経過するときに,次の気筒は圧縮
行程に入っている。また,各気筒の圧縮上死点前60°
でBTDC信号が出力される。クランク角度のカウント
値θは,#1気筒の圧縮上死点で0であり,4サイクル
エンジンであるので,クランク軸2回転,即ち,カウン
ト値719で一巡する。#1気筒については,圧縮上死
点前180°,即ち,カウント値にして540以上で,
圧縮上死点後180°,即ち,カウント値にして180
未満であるときに,#1気筒の筒内圧力データを格納す
る。格納されたデータに基づいてメンン処理を圧縮上死
点後180°からの所定の時間内に演算し,次回のBT
DC割込み信号に基づいてインジェクタ31の噴射弁駆
動処理を行う。また,図19に示すような計算区間でパ
イロット噴射によって噴射された燃料の着火・燃焼によ
って発生する熱発生量,即ち,パイロット熱発生量に相
当するパイロット熱発生率の積分値Ipが求められ,図
18に点線で示した熱発生率に対応する最適なパイロッ
ト熱発生量(ハッチングで示した面積に相当)を維持す
るように,インジェクタの電磁アクチュエータのパイロ
ット噴射時期及び駆動パルス幅が制御される。
【0056】
【発明の効果】この発明によるエンジンのパイロット噴
射量制御方法及びその装置は,上記のように構成されて
いるので,次のような効果を奏する。即ち,個々のイン
ジェクタに個体差があったり,或いは同じインジェクタ
であっても経時変化によってパイロット噴射量特性が変
動するような場合であっても,パイロット噴射を行う目
的を達成する程度をよく表すものと考えられるパイロッ
ト熱発生量がそのときのアイドル運転等の運転状態に応
じた目標値となるように,インジェクタの電磁アクチュ
エータの駆動パルス幅が補正される。パイロット噴射量
のバラツキが抑制され,最適なパイロット噴射量を維持
した状態でパイロット噴射される燃料の噴射及び着火が
行われるので,排気ガス中に含まれるNOx又はスモー
クの量の増大を招くことがない。特に,エンジンのアイ
ドリング運転状態ではエンジン回転数が低いために元来
エンジンの運転状態が不安定となり易い状況であるが,
この発明によるエンジンのパイロット噴射量制御方法及
びその装置においては,パイロット熱発生量のバラツキ
が軽減されるので,パイロット噴射による燃焼が安定す
るとその後のメイン燃料噴射による燃焼も安定し,エン
ジンの良好な運転状態が確保される結果,排気ガス性能
が良好に維持される。その結果,エンジンの運転が不安
定になることがなく,エンジン騒音が抑制されると共
に,またNOxの発生等の排気ガス性能の悪化を防止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるパイロット噴射量制御方法及び
その装置が適用される多気筒エンジンを含むコモンレー
ル式燃料噴射システムの一例を示す模式図である。
【図2】図1に示すエンジンのクランク角度の経過に応
じた筒内圧力,燃料噴射率,及び熱発生率の変化の様子
を示したグラフである。
【図3】図1に示す多気筒エンジンのクランク角度の経
過に従ったインジェクタでの筒内圧力及びデータ処理等
の概要を示すグラフである。
【図4】この発明によるエンジンのパイロット噴射量制
御を行うコントローラの概要を示すブロック図である。
【図5】図4に示したコントローラにおけるCPUメイ
ン処理を示すフローチャートである。
【図6】図5に示したCPUメイン処理においてREF
信号が入力されたときの割込み処理を示すフローチャー
トである。
【図7】図5に示したCPUメイン処理においてBTD
C信号が入力されたときの割込み処理を示すフローチャ
ートである。
【図8】図4に示したコントローラにおけるDSPメイ
ン処理を示すフローチャートである。
【図9】図8に示したDSPメイン処理におけるAD変
換終了時の割込み処理を示すフローチャートである。
【図10】図9に示したAD変換終了時の割込み処理に
おけるクランク角度初期化の処理を示すフローチャート
である。
【図11】図9に示したAD変換終了時の割込み処理に
おける筒内圧データのメモリへの格納処理を示すフロー
チャートである。
【図12】図9に示したAD変換終了時の割込み処理に
おけるクランク角度の更新処理を示すフローチャートで
ある。
【図13】図4に示したコントローラにおけるDSPに
よる筒内圧処理を示すフローチャートである。
【図14】図13に示した筒内圧処理におけるパイロッ
ト熱発生率積分値の計算処理を示すフローチャートであ
る。
【図15】図14に示したパイロット熱発生率積分値の
計算処理における,計算期間でのパイロット熱発生率積
分値の計算処理を示すフローチャートである。
【図16】図7に示したBTDC信号割込み処理におけ
るインジェクタ処理を示すフローチャートである。
【図17】熱発生率から実燃料着火時期を求める計算処
理を示すフローチャートである。
【図18】クランク角度の経過に伴う熱発生率の変化を
示すグラフである。
【図19】パイロット噴射とメイン噴射とにおけるイン
ジェクタ駆動パルス,インジェクタの針弁リフト量及び
熱発生率の変化を示すグラフである。
【図20】エンジン回転速度と計算期間開始遅れθaと
計算期間終了遅れθbとの関係を示すグラフである。
【図21】従来のインジェクタを示す縦断面図である。
【図22】図21に示すインジェクタにおいて,燃料圧
力をパラメータとした噴射パルス幅と燃料噴射量との関
係を示すグラフである。
【図23】パイロット噴射用駆動パルス幅と,パイロッ
ト噴射量のバラツキとの関係を示す説明図である。
【図24】図17に示したフローチャートに基づく実燃
料着火時期の検出を説明するグラフである。
【符号の説明】
1 多気筒エンジン 2 シリンダ 3,31〜34 インジェクタ 4,41〜44 筒内圧力センサ 8 気筒判別センサ 9 BTDCセンサ 10 クランク角度センサ 11 アクセル開度センサ 12 コモンレール圧力センサ 22 コモンレール 23 分岐管 37 コントローラ 61,62 燃料通路 64 針弁 65 噴孔 Pc 筒内圧力 θ クランク角度のカウント値 θc 気筒別クランク角度のカウント値 q 熱発生率 Iq パイロット熱発生量 Iqb 目標パイロット熱発生量 i 燃料順序 Qb 目標燃料噴射量 Qp パイロット噴射量 Qm メイン噴射量 Tp パイロット噴射時期 Tm メイン噴射時期 Td 実燃料着火時期 PWp パイロット噴射用駆動パルス幅 ΔPWp PWpの補正量 PWpf 最終パイロット噴射用駆動パルス幅

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インジェクタから燃焼室内へ噴射される
    燃料をメイン噴射と前記メイン噴射に先行するパイロッ
    ト噴射とに分割して噴射し,逐次検出される前記燃焼室
    内の圧力に基づいて前記燃焼室内における熱発生率を計
    算し,前記熱発生率から前記パイロット噴射において噴
    射された前記燃料の着火に伴って生じるパイロット熱発
    生量を算出し,前記エンジンの運転状態に基づいて予め
    決められている目標パイロット熱発生量から現在の前記
    エンジンの前記運転状態に応じた前記目標パイロット熱
    発生量を求め,前記パイロット熱発生量と前記目標パイ
    ロット熱発生量との偏差をなくすように前記パイロット
    噴射によって噴射されるパイロット燃料噴射量を補正す
    ることから成るエンジンにおけるパイロット燃料噴射量
    制御方法。
  2. 【請求項2】 前記燃焼室内の容積が逐次求められ,前
    記燃焼室内の前記熱発生率は,逐次検出された前記燃焼
    室内の前記圧力及び逐次求められた前記燃焼室内の前記
    容積並びにそれらの変化率から計算されることから成る
    請求項1に記載のエンジンにおけるパイロット燃料噴射
    量制御方法。
  3. 【請求項3】 前記パイロット熱発生量は,前記パイロ
    ット噴射を行うために前記インジェクタにパイロット噴
    射用駆動パルスが供給されるパイロット噴射時期から計
    算開始遅れが経過した計算開始時期と,前記メイン噴射
    を行うために前記インジェクタにメイン噴射用駆動パル
    スが供給されるメイン噴射時期から計算終了遅れが経過
    した計算終了時期との間の計算期間における正の値を有
    する前記熱発生率の積分値として求められることから成
    る請求項1又は2に記載のエンジンにおけるパイロット
    燃料噴射量制御方法。
  4. 【請求項4】 前記計算開始遅れは,前記パイロット噴
    射時期から前記インジェクタが実際に前記パイロット噴
    射を開始するまでの前記インジェクタの噴射遅れと前記
    インジェクタから前記パイロット噴射として噴射された
    前記燃料が着火するまでの着火遅れとを合計した遅れで
    あり,前記計算終了遅れは,前記メイン噴射時期から前
    記インジェクタが実際に前記メイン噴射を開始するまで
    の前記インジェクタの噴射遅れと前記インジェクタから
    前記メイン噴射として噴射された前記燃料が着火するま
    での着火遅れとを合計した遅れであることから成る請求
    項3に記載のエンジンにおけるパイロット燃料噴射量制
    御方法。
  5. 【請求項5】 前記インジェクタに供給された前記燃料
    は,前記インジェクタに備わる電磁アクチュエータの駆
    動に応答して針弁がリフトすることで前記インジェクタ
    の先端に形成された噴孔が開放されることにより行わ
    れ,前記パイロット燃料噴射量は,前記インジェクタの
    前記電磁アクチュエータへの駆動パルス幅を変更するこ
    とにより補正されることから成る請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載のエンジンにおけるパイロット噴射量制御
    方法。
  6. 【請求項6】 燃料流路を通じて供給された燃料をエン
    ジンの燃焼室内に噴射するインジェクタ、及び前記燃料
    をメイン噴射と前記メイン噴射に先行するパイロット噴
    射とに分割して噴射するように前記インジェクタの駆動
    を制御するコントローラを具備し、前記コントローラ
    は、逐次検出する前記燃焼室内の圧力に基づいて前記燃
    焼室内における熱発生率を計算し,前記熱発生率から前
    記パイロット噴射において噴射された前記燃料の着火に
    伴って生じるパイロット熱発生量を算出し,前記エンジ
    ンの運転状態に基づいて予め決められている目標パイロ
    ット熱発生量から現在の前記エンジンの前記運転状態に
    応じた前記目標パイロット熱発生量を求め,前記パイロ
    ット熱発生量と前記目標パイロット熱発生量との偏差を
    なくすように前記パイロット噴射によって噴射されるパ
    イロット燃料噴射量を補正することから成るエンジンに
    おけるパイロット燃料噴射量制御装置。
  7. 【請求項7】 前記コントローラは,前記燃焼室内の容
    積を逐次求めると共に,逐次検出された前記燃焼室内の
    前記圧力及び逐次求められた前記燃焼室内の前記容積並
    びにそれらの変化率から前記燃焼室内の前記熱発生率を
    計算することから成る請求項6に記載のエンジンにおけ
    るパイロット燃料噴射量制御装置。
  8. 【請求項8】 前記コントローラは,前記パイロット熱
    発生量を,前記パイロット噴射を行うために前記インジ
    ェクタにパイロット噴射用駆動パルスが供給されるパイ
    ロット噴射時期から計算開始遅れが経過した計算開始時
    期と,前記メイン噴射を行うために前記インジェクタに
    メイン噴射用駆動パルスが供給されるメイン噴射時期か
    ら計算終了遅れが経過した計算終了時期との間の計算期
    間における正の値を有する前記熱発生率の積分値として
    求めることから成る請求項6又は7に記載のエンジンに
    おけるパイロット燃料噴射量制御装置。
  9. 【請求項9】 前記計算開始遅れは,前記パイロット噴
    射時期から前記インジェクタが実際に前記パイロット噴
    射を開始するまでの前記インジェクタの噴射遅れと前記
    インジェクタから前記パイロット噴射として噴射された
    前記燃料が着火するまでの着火遅れとを合計した遅れで
    あり,前記計算終了遅れは,前記メイン噴射時期から前
    記インジェクタが実際に前記メイン噴射を開始するまで
    の前記インジェクタの噴射遅れと前記インジェクタから
    前記メイン噴射として噴射された前記燃料が着火するま
    での着火遅れとを合計した遅れであることから成る請求
    項8に記載のエンジンにおけるパイロット燃料噴射量制
    御装置。
  10. 【請求項10】 前記インジェクタは,電磁アクチュエ
    ータ,前記電磁アクチュエータが駆動されたことに応答
    してリフトする針弁,前記インジェクタの先端に形成さ
    れ且つ前記針弁がリフトすることにより開放される噴孔
    とを備えており,前記パイロット燃料噴射量は,前記イ
    ンジェクタの前記電磁アクチュエータへの駆動パルス幅
    を変更することにより補正されることから成る請求項6
    〜9のいずれか1項に記載のエンジンにおけるパイロッ
    ト噴射量制御装置。
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