【発明の詳細な説明】
酵素界面活性剤組成物
技術分野
本発明は、酵素界面活性剤組成物、及び脂肪分解酵素を含む酵素界面活性剤添
加物に関する。
背景技術
脂肪分解酵素は、脂肪染色剤の除去を改善するための界面活性剤に役立つこと
が知られている。これにより、近年、サーモマイセス・ラヌギノサス(Thermomyc es lanuginosus)
(ヒュミコーラ・ラヌギノーサ(Humicola lanuginosa)とも呼ば
れる)から得られる微生
ンドに導入されている。
他の微生物のリパーゼ、例えばシュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepac ia)
(US 4,876,024)から、ストレプトマイセーテス(Streptomycetes)(WO 94/149
40)から、及びゴングロネラ・ブトレリ(Gongronella butleri)株NRRL3521(US 3
,634,195、その株はアブシジア・ブトレリ(Absidia butleri)と以前に命名され
ている、K.H.Domsch et al.,Compendium of Soil Fungi,Academic Press 19
80,p.381)からのバクテリアのリパーゼも界面活性剤における使用について示
唆されている。
多くの界面活性剤は溶液中で高いpH(例えば約pH10)のアルカリ性であり、Ca2+
イオンに対するビルダーを含み、よって、Ca2+の欠如下で高いpHで高い活性を
有する脂肪分解酵素の必要性がある。
発明の概要
驚くことに、我々は、Ca2+の欠如下でアルカリ性pHで高い活性を有する脂肪分
解酵素が、アブシジア(Absidia)属に属する糸状菌の株から得られうること、並
びに脂肪分解酵素が界面活性剤の効果を改善するのに効果的であることを見い出
した。
従って、本発明は、界面活性剤及びアルカリ性アブシジア脂肪分解酵素を含む
酵素界面活性剤組成物を提供する。本発明は、繊維から脂肪汚物を除去するため
の方法であって、前記界面活性剤組成物を含む水溶液において前記繊維を洗浄す
ることを含むことを特徴とする方法も提供する。
本発明は、非散布性粒子、安定な液体、スラリー又は保護された酵素の形態で
供される活性構成物としてアブシジア脂肪分解酵素を含む酵素界面活性剤添加物
を更に提供する。
本発明の他の態様は、株の培養又は組換えDNA 技術のいずれかにより、アブシ ジア・レフレキサ(Absidia reflexa)
又はアブシジア・スポロホラ−バリアビリ ス(Absidia sporophora-variabilis)
の脂肪分解酵素産生性株から得られたアル
カリ性脂肪分解酵素を産生するための方法を提供する。
US 3,634,195は、A.シリンドロスポーラ(A.cylindrospora)変種リゾモル ファ(rhizomorpha)
NRRL2815及びA.ブラケスレアナ(A.blakesleeana)NRRL13
05 からのリパーゼの産生を記載する。S.Koritala et al.,J.Am.Oil Chem.
Soc.64(4),509〜13(1987)は、A.コエルラ(A.coerula)NRRL5926及びA. ラモサ(A.ramosa)
NRRL1309 と共にインキュベートされる場合に大豆油が部分
的に加水分解されることを開示する。T.Satyanarayana,Current Science,50(
15),680〜2(1981)は、A.コリムビフェラ(A.corymbifera)の株によるリパ
ーゼの分泌を開示する。K.Aisaka et a
l.,Agric.Biol.Chem.,43(10),2125〜2129(1979)は、(現在A.ブラケスレ アナ(A.blakesleeana)
として分類される)アブシジア・ヒアロスポーラ(Absidi a hyalospora)
KY303からのリポ蛋白質リパーゼの形成を記載する。
しかしながら、先行技術は、アブシジアからの脂肪分解酵素がCa2+の欠如下で
高いpHで活性であることを開示又は提唱せず、またそれらが界面活性剤に役立つ
ことも開示又は提唱しない。
図面の簡単な記載
図1〜5は、本発明に従ういくつかの精製された脂肪分解酵素のためのCa2+の
欠如下での脂肪分解酵素活性対pHのグラフを示す。
発明の詳細な記載
微生物
本発明に用いられる微生物は、M.A.A.Schipper.Persoonia,Vol.14,Par
t 2,pp.133〜148(1990)に記載されるようなアブシジア(Absidia)属に属する。
この属内において、次の亜属、グループ、種及び株が好ましい。脂肪分解性酵素
を産生することができるその変異体も本発明に用いられる。先に認められたいく
つかの種の名前はSchipper Op.cit.により再分類され、便利にはいくつかの株
の先に用いられる名前も以下に列記されることに注意のこと。
先行技術は、A.レフレキサ(reflexa)及びA.スポロホラ−バリアビリス(A .sporophora-variabilis)
からの脂肪分解酵素産生を記載しない。それら2つの
種はSchipperにより分類される。これらの2つの種による脂肪分解酵素の産生は
先に記載され、我々は、これらの種からの脂肪分解酵素が亜属マイコクラドゥス (Mycocladus)
及びアブシジア(Absidia)からの脂肪分解酵素から異なることを
見い出した。
先に言及される株は微生物のための次の寄託機関から自由に利用できる。同じ
ボックス内の複数の数字は、同じ株の複数の寄託を示す。
NRRL : Agricultural Research Service Culture Collection,1815 North Un
iversity Street,Peoria,Illinois 61604,USA.
ATCC : American Type Culture Collection,12301 Parklawn Drive,Rockvil
le,Maryland 20852,USA.
CBS : Centraal Bureau voor Schimmelcultures,Oosterstraatl,3740 AG Ba
arn,Netherlands.
CMI : CAB International Mycological Institute,Ferry Lane,Kew,Surrey
TW9 2AF,U.K.
IFO : Institute for Fermentation,17-85 Juso-honmachi 2-chome,Yodogaw
a-ku,Osaka 532,Japan.
脂肪分解酵素は、適切な栄養培地中で先の微生物のいずれかを培養し、次に任
意に、当業者に公知であり、又は本明細書に記載され
るような方法に従って回収及び精製することによって、産生され得る。
酵素の特性
本発明の酵素は脂肪分解酵素である。本文脈において、“脂肪分解酵素”とい
う言葉は、Recommendations(1992)of the International Union of Biochemis
try and Molecular Biology(IUBMB)に従って酵素分類番号E.C.3.1.1−(カル
ボキシルエステルヒドロラーゼ)下に分類された酵素を示すことが意図される。
これにより脂肪分解酵素は、E.C.3.1.1の文脈において言及されるエステル結合
、例えばモノ−、ジ−及びトリグリセリド、リン脂質(全てのクラス)、チオエ
ステル、コレステロールエステル、ワックス−エステル、クチン、スベリン、合
成エステル等中に存在するエステルの少くとも1つのタイプに対して加水分解活
性を示す。例えば、本発明の脂肪分解酵素は、トリグリセリドに対する活性(リ
パーゼ活性、E.C.3.1.1.3)、例えば1,3−位置に特異的なリパーゼ活性を有
し得る。
本発明の脂肪分解酵素は、遊離Ca2+の欠如下でさえアルカリ性pH(約pH9〜10
)において高い活性を有することを特徴とする。
更に詳しくは、これらの脂肪分解酵素は、以下に記載されるOPID法により、遊
離Ca2+の欠如下でテストされた時に約pH9以上において最適活性を有する(pH8
よりpH9で高い活性を有する)。
いくつかの好ましい脂肪分解酵素は、遊離Ca2+なしでpH9において、及び20LU
/mlの脂肪分解酵素濃度(LU及びOPIDは以下に規定される脂肪分解酵素活性単位
である)、即ちオリーブオイルとトリブチリンとの間の少くとも0.15OPID/LUの
活性比率でテストされた場合に少くとも3OPIDユニット/mlの活性を有する。こ
のような脂肪分解酵素は、アブシジア亜属マイコクラドゥス、例えば先に列記さ
れる種及び株から得られうる。
好ましい脂肪分解酵素の他の群は、Ca2+の欠損下でpH9よりpH10で高い脂肪分
解酵素活性を有する。このような脂肪分解酵素は、A.レフレキサ、例えば先に
列記される株から得られうる。この脂肪分解酵素は新しく、本発明により供され
る。
好ましい脂肪分解酵素の更なる群は、pH10,45℃における30分のインキュベー
ションの後に90%超の残存活性を保持する。このような脂肪分解酵素は、A.ス ポロホラ−バリアビリス
の株、例えば先に列記される株から得られうる。この脂
肪分解酵素は新しく、本発明により供される。
リパーゼ活性測定(LU)
1リパーゼ単位(LU)は、30.0℃,pH7.0(リン酸緩衝液)において基質として
のトリブチリン及び乳化剤としてのアラビアゴムで、分当りに滴定脂肪酸1μモ
ルを遊離する酵素の量である。
リパーゼ活性測定(OPID)
pH7〜10の範囲の遊離Ca2+なしでの脂肪分解酵素活性は、特定のpHにおいて、
10分間、40℃におけるオリーブ油:2%PVA 溶液(1:3)の基質エマルション
でテストされる。その反応の終りにおいて、その反応混合物は、酸性条件下でク
ロロホルム:メタノール(1:1)により抽出され、その反応の間に遊離した脂
肪酸がTLC-FID 分析(latroscan)により測定される。1単位(OPIDU)は、分当りの
脂肪酸のμモルの遊離として与えられる。
各々のテストにおいて、200mM の緩衝液(Tris-HCl緩衝液、pH7及び8、ジエ
タノールアミン緩衝液、pH8,9及び10)と共に、10mM EDTA が用いられる。
免疫化学的特性
アブシジアの株に対してネイティブである脂肪分解酵素のものと
同一又は部分的に同一の免疫化学的特性を有し、先に言及される特性を有する位
置的に非特異的な脂肪分解酵素は本発明の範囲内である。
免疫化学的特性は、免疫学的交差反応同定テストにより測定され得る。その同
定テストは、公知のオクタロニー二重免疫拡散法により、又はI .M.Roitt ; Im
munology,Gower Medical Publishing(1985)及びN .H.Axelsen ; Handbook o
f Immunopreciptitation-in-Gel Techniques,Blackwell Scientific Publicati
ons(1983)Chapter 5 and 14 に従う双頭交差免疫電気泳動により行われ得る。
免疫化学的同定(抗原同定)及び部分的免疫化学同定(部分的抗原同定)が、Ax
elsen、前掲、Chapters 5,19及び20 and Roit、前掲、Chapter 6 に記載される
。
免疫学的テストに用いるための単一特異性抗血清は、例えばN.H.Axelsen、
前掲のChapter 41又はN.H.Axelsen et al.,A Manual of Quantitative Immun
oelectrophoresis,Blackwell Scientific Publications(1973)のChapter 23に
記載されるように、精製された脂肪分解酵素に対して例えばウサギにおいて作ら
れ得る。
脂肪分解酵素の産生
本発明の脂肪分解酵素は、炭素及び窒素源並びに無機塩を含む適切な栄養培地
中で先に記載される微生物の1つを培養し、次にその脂肪分解酵素を回収するこ
とにより作られ得る。
培養の後、脂肪分解酵素は、疎水クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグ
ラフィー及びそれらの組合せのような慣用的方法により培養物から回収され、精
製され得る。
便利な精製方法は、任意的なバッチ精製及び次の2段階クロマトグラフィーか
らなる。任意的なバッチ精製は、DEAE Streamline(Pharmaciaの製品)、Super-
Q Toyopearl、陰イオン交換樹脂又はMa
croprep HIC Support hydrophobic(Biorad の製品)により行われ得る。2段階
クロマトグラフィーの1部は、例えばPhenyl Toyopearl,Butyl Toyopearl 又は
Macroprep HIC Support hydrophobic での疎水クロマトグラフィーからなる。2
段階クロマトグラフィーの他の部分は、陰イオン交換樹脂、例えばDEAE Toyopea
rl又はSuper-Q Toyopearl で行われ得る。その2段階はいずれかの順番で行われ
得る。
脂肪分解酵素の適用
本発明の脂肪分解酵素は、例えば、施設及び工業的クリーリングにおける並び
に皮の処理における洗濯及び皿洗いの界面活性剤中での、特に高いpHにおける脂
肪分解酵素の慣用的な適用に用いられ得る。
本発明の脂肪分解酵素は、脂肪及び油の全体の加水分解のために、並びに光学
異性体分解処理において、相互エステル化のためにも用いられ得る。
界面活性剤添加物
本発明によれば、脂肪分解酵素は、界面活性剤組成物における添加物として典
型的に用いられ得る。この添加物は、便利には、非散布性粒子、安定な液体、ス
ラリー又は保護された酵素として製剤化される。
本発明の脂肪分解酵素を含む界面活性剤添加物についての適切な活性範囲は 5
,000〜 100,000 OPIDU/g(pH9で測定されたOPID)又は添加物のg当り0.01〜
100mg の純粋な酵素蛋白質である。
界面活性剤
有利には、本発明の脂肪分解酵素は遊離Ca2+の欠如下でさえアルカリ性pH(約
pH9〜10)で高い活性を有する。これは、遊離Ca2+に結合するための高い含有量
のビルダーを有する界面活性剤中でさえ
、これらの脂肪分解酵素を広範囲の界面活性剤において用いるのに十分に適した
ものにする。
本発明の脂肪分解酵素は、界面活性剤中で便利に用いられる濃度で組み込まれ
得る。本発明の界面活性剤組成物は、界面活性剤のグラム当り10〜50,000LU、好
ましくは20〜5,000LU/gに相当する量の脂肪分解酵素を含み得る。その界面活
性剤は水に溶かされて、洗浄液のリッター当り25〜15,000LUに相当する量の脂肪
分解酵素を含む洗浄液を形成する。脂肪分解酵素蛋白質の量は、界面活性剤のグ
ラム当り 0.001〜10mg又は洗浄液のリッター当り 0.001〜100mg であり得る。
界面活性剤組成物
本発明によれば、脂肪分解酵素は、典型的に界面活性剤組成物の構成物であり
得る。このような場合、それは非散布性粒子、安定な液体、又は保護された酵素
の形態で界面活性剤組成物内に含まれ得る。非散布性粒子は、例えばUS 4,106,9
91及び4,661,452(両方ともNovo Industri A/S)に開示されるように作られ得、当
該技術で周知である方法により任意に被覆され得る。ろう状被覆材料の例は、平
均分子量 1,000〜20,000を有するポリ(エチレンオキシド)製品(ポリエチレン
グリコール、PEG);16〜50エチレンオキシド単位を有するエトキシ化ノニルフェ
ノール;アルコールが12〜20炭素原子を含み、15〜80エチレンオキシド単位を有
するエトキシ化脂肪アルコール;脂肪アルコール;脂肪酸;並びに脂肪酸のモノ
−及びジ−及びトリグリセリドである。流動床技術による適用に適したフイルム
形成性被覆材料の例は、特許GB 1483591に供される。液体酵素調製物は、例えば
、確立された方法に従って、プロピレングリコールのような多価アルコール、糖
もしくは糖アルコール、乳酸又はホウ酸を加えることによって安定化され得る。
他の酵素安定化剤は当該技
術において公知である。保護された酵素は、EP 238,216に開示される方法に従っ
て調製され得る。
本発明の界面活性剤組成物は、例えば粉体、粒子、ペースト又は液体として、
いずれかの便利な形態であり得る。液体界面活性剤は70%までの水及び0〜30%
の有機溶媒を典型的に含む水性又は非水性であり得る。
界面活性剤組成物は、その各々が陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、又は
双性イオン性であり得る1以上の界面活性剤を含む。界面活性剤は、通常、直鎖
アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、α−オレフィンスルホネート(AOS)、アル
キルスルフェート(脂肪アルコールスルフェート)(AS)、アルコールエトキシスル
フェート(AEOS又はAES)、第2アルカンスルホネート(SAS)、α−スルホ脂肪酸メ
チルエステル、アルキルもしくはアルケニルコハク酸、又はセッケンのような陰
イオン性界面活性剤を0〜50%含むであろう。それは、アルコールエトキシレー
ト(AEO又はAE)、カルボキシル化アルコールエトキシレート、ノニルフェノール
エトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、
エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、又は(
例えば WO 92/06154 に記載されるような)ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミ
ドのような非イオン性界面活性剤も0〜40%含み得る。
界面活性剤組成物は、アミラーゼ、クチナーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、
ペルオキシダーゼ、及びオキシダーゼ、例えばラッカーゼのような1以上の他の
酵素を更に含み得る。
界面活性剤は、ゼオライト、ジホスフェート、トリホスフェート、ホスホネー
ト、クエン酸、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)
、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTM
PA)、アルキル−もしくはアルケニルコハク酸、可溶性シリケートもしくは層状
シリケート(例えばHoechst からの SKS−6)のような1〜65%の界面活性剤ビ
ルダー又は複合剤を含み得る。界面活性剤は、洗浄増進されなくても、即ち界面
活性剤ビルダーが本質的になくてもよい。
界面活性剤は、1以上のポリマーを含み得る。例としては、カルボキシメチル
セルロース(CMC)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG
)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリアクリレートのようなポリカルボキシレ
ート、マレイン/アクリル酸コポリマー及びラウリルメタクリレート/アクリル
酸コポリマーがある。
界面活性剤は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)又はノナノイルオキ
シベンゼンスルホネート(NOBS)のような過酸形成性漂白活性剤と組み合わせら
れ得るペルボレート又はペルカルボネートのようなH2O2ソースを含み得る漂白シ
ステムを含み得る。あるいは、漂白システムは、例えばアミド、イミド、又はス
ルホンタイプの過酸を含み得る。
本発明の界面活性剤組成物の酵素は、慣用的な安定化剤、例えばプロピレング
リコールもしくはグリセリンのような多価アルコール、糖もしくは糖アルコール
、乳酸、ホウ酸、又は例えば芳香族ホウ酸エステルのようなホウ酸誘導体を用い
て安定化され得、本組成物は例えば WO 92/19709 及び WO 92/19708 に記載さ
れるように製剤化され得る。
界面活性剤は、例えばクレー、泡ブースター、セッケン泡サプレッサー、防食
剤、汚れ懸濁剤、抗汚れ再沈着剤、染料、殺菌剤、視覚的光沢剤、又は香料のよ
うな他の慣用的界面活性剤成分も含み得る。
(使用濃度において水溶液中で測定された)pHは、通常例えば7〜11の範囲内
で中性又はアルカリ性であるだろう。
本発明の範囲内の界面活性剤の特定の形態は以下のものを含む。
1)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
2)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
3)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
4)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
5)次のものを含む水溶液界面活性剤組成物
6)次のものを含む水性構造液界面活性剤組成物
7)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
8)次のものを含む粒状体として製剤化された界面活性剤組成物
9)次のものを含む粒状体として製剤化された界面活性剤組成物
10)次のものを含む水溶液組成物
11)次のものを含む水溶液界面活性剤組成物
12)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
13)直鎖アルキルベンゼンスルホネートの全て又は一部分が(C12〜C18)ア
ルキルスルフェートにより置換されている1)〜12)に記載の界面活性剤製剤
14)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
15)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
16)更なる構成物として又は既に特定された漂白システムのかわりとしてのい
ずれかの安定化又はカプセル化過酸を含む1)〜15)に記載の界面活性剤製剤
17)ペルボレートがペルカルボネートにより置換されている1),3),7)
,9)及び12)に記載の界面活性剤組成物
18)マンガン触媒を更に含む1),3),7),9),12),14)及び15)に
記載の界面活性剤組成物。マンガン触媒は、例えば、“Efficient manganese ca
talysits for low-temperature bleaching”,Nature 369,1994,pp.637 〜63
9 に記載される化合物の1つであり得る。
19)直鎖アルコキシル化第1アルコール、ビルダーシステム(例えばホスフェ
ート)、酵素及びアルカリのような液状非イオン性界面活性剤を含む非水性界面
活性剤液として製剤化された界面活性剤組成物。その界面活性剤は、陰イオン性
界面活性剤及び/又は漂白システムも含み得る。
実施例
培養培地
以下の表に示される培地を本実施例に用いた。
実施例1
A.コリムビフェラ(A.corymbifera)からの脂肪分解酵素の産生
A.コリムビフェラ株NN100062を、100ml のRS-G培地を含む振とうフラスコ内
で30℃で3日間、培養した。2,500ml の無細胞ブイヨンを、細胞量を除去した後
に50振とうフラスコから回収した。これを凍結乾燥して以下の実施例に用いられ
る 379LU/gの脂肪分解酵素活性を有する58gの粉体サンプルを得た。
実施例2
A.コリムビフェラ脂肪分解酵素の洗浄効果
脂肪分解酵素(先の実施例からの粉体調製物)の洗浄効果を、pH10において、
陰イオン性界面活性剤(LAS)を含む界面活性剤中で汚れた繊維を洗浄することに
より測定した。テストは、次の条件下でTerg-O-tometer研究用洗浄機内で行った
。
温度 30℃
時間 30分
撹拌 100rpm
界面活性剤 0.25g/l of LAS(直鎖アルキルベンゼンス
ルホネート、製品名 Nansa HS 80/S)
+1.0g/l of Na2CO3
水 Tap 水(約18°German hardness)
pH 10.0
脂肪分解酵素投与量 2,000 LU/l
テスト材料 各々85μLのオリーブ油で染色した綿布
7×7cm
布/液体比 7きれ/500ml
洗浄後、ソックスレー抽出し、残りの油の量を重量で測定した。
残った油の組成を TLC/FID 分析により測定した。脂肪分解酵素を含まない対照
実験を同様に行った。結果は次の通りである。
脂肪分解酵素が、全量の残った油を減少させるのに、特にLAS の存在下でpH10
.0で洗浄することにおいてトリグリセリドの量を減らすのに有効であることが見
られる。
実施例3
A.ブラケスレエアナ(A.blakesleeana)からの脂肪分解酵素の産生及び精製
本実施例において、アラビアゴムで乳化されたオリーブ油を用いて脂肪分解酵
素活性を測定した。条件は、40℃,pH10(100mMグリシン緩衝液)である。1単位
は、分当りに1μモルのNaOHと当量の脂肪酸の滴定量を遊離する酵素の量に従う
。
A.ブラケスレアナ株NN100826を100ml のOM培地を含む振とうフラスコ中で30
℃で3日間、培養した。脂肪分解酵素産物は41ユニット/mlであった。
培養ブイヨンを50の振とうフラスコから収集し、2Lの脱イオン水で洗浄した
後、限外ろ過することにより2Lに濃縮した。冷却チャンバー内で撹拌しながら
、その濃縮ブイヨンに粉砕硫酸アンモニ
ウムを40%飽和まで加え、4℃で1時間、放置した。遠心により沈殿を除いた。
硫酸アンモニウムを50%飽和まで更に加え、その沈殿を除いた。その上清を180m
l に濃縮して、4℃において 20mM Tris/HCl 緩衝液(pH8.5)中でセルロースチ
ューブを用いて一晩透析し、凍結乾燥した。1,500ユニット/gの活性を有する
9.8gの粉状脂肪分解酵素調製物を得た。
冷却したアセトンを培養ブイヨンに加え、その調製物を凍結乾燥することによ
り更なる粉状脂肪分解酵素調製物を得た。
実施例4
A.ブラケスレエアナ脂肪分解酵素の洗浄効果
先の実施例からの粉状脂肪分解酵素調製物を、以下の変更を伴って先の洗浄例
と同じ方法でテストした:洗浄時間を20分とした;各々の布きれを50μLの油で
染色した;洗浄テストの前に室温で2日間、その布きれをおいた;そしてpH、界
面活性剤及び脂肪分解酵素投与量を以下に示す。分析データを用いて残ったエス
テル結合(μモル)及び加水分解の程度を計算した。
脂肪分解酵素は残った油の量を減らし、加水分解の割合を増加させ、これにより
残ったエステル結合の数を減らすのに有効であった。
実施例5
A.ブラケスレアナからの脂肪分解酵素の産生
A.ブラケスレアナ株NN100826を、水中39g/lのPDA(Difcoの製品)及び10
g/lの寒天の斜面上で5週間、胞子形成させた。
水中Tween の 0.1%溶液9mlを斜面上に注いで胞子懸濁液とした。
3mlの胞子懸濁液を100ml のYS-2S0培地を含む500ml のじゃま板付振とうフラ
スコ(2のじゃま板)内に接種して、そのフラスコを、24時間、34℃で振とう(
230rpm)しながらインキュベートして種培養物を調製した。
種培養物をホモジナイズしてペレット形状の菌糸体に分け、2mlのホモジナイ
ズされた培養物を、100ml のOMM 培地及び2%の大豆レシチンを含む振とうフラ
スコ内に接種した。そのフラスコを30℃で振とう(230rpm)しながらインキュベ
ートした。2日の培養後、そのブイヨンは、17.0LU/mlの脂肪分解活性及び6.7
のpHを有していた。
実施例6
脂肪分解酵素の精製
A.ブラケスレエアナ株NN100826からの脂肪分解酵素を、以下の通り3ステッ
プのクロマトグラフィー、即ちStreamline DEAE、フェニル−及びDEAE-Toyopear
lにより精製した。
Streamline DEAE カラムクロマトグラフィー。先の実施例で調製された50の振
とうフラスコからの培養ブイヨンを遠心して無細胞ブイヨン 2.8Lを得た。これ
を、50mM炭酸ナトリウム緩衝液、pH10で予め平衡化されたStreamline DEAE 600m
l に適用した。流速は 100
ml/分であった。同じ緩衝液でカラムを洗浄した後、結合した脂肪分解酵素を、
0.6M NaCl を含む50mM Tris 緩衝液、pH7.2 により溶出した。開始脂肪分解酵
素活性の38%及び36%を各々その溶出液及び通過画分中で回収した。即ち全回収
率は74%であった。更なる精製のために、樹脂に結合した脂肪分解酵素を用いた
。その脂肪分解酵素溶液を中和し、次にUFモジュール、3,000 NMWLにより濃縮し
た。回収率は47%であった。遠心した後、脂肪分解酵素を 0.2μm膜を通してろ
過した。
フェニルToyopearl カラムクロマトグラフィー。勾配溶出において、脂肪分解
酵素活性は、検出するのが難しい極めて広いピークを供した。かわりに、1.4M
酢酸アンモニウムの60分、純水の30分及び20%エタノールの30分でのステップ溶
出を用いた。脂肪分解酵素活性は2つのピークを供した。1つは水により溶出さ
れ(“脂肪分解酵素A”)、そして他方は20%EtOHにより溶出された(“脂肪分
解酵素B”)。回収率は、脂肪分解酵素Aについて41%、脂肪分解酵素Bについ
て33%であった。各々の脂肪分解酵素を濃縮してUFモジュール、3,000 NMWLによ
り脱イオン化した。回収率は各々94%及び91%であった。
DEAE Toyopearlカラムクロマトグラフィー。脂肪分解酵素Aを、50mM炭酸ナト
リウム緩衝液(pH10)から50mM Tris 緩衝液(pH7.2)+ 0.6M NaCl への勾配溶
出により精製した。高脂肪分解酵素活性を有する画分をプールした。収率は66%
であった。脂肪分解酵素を濃縮して、UFモジュール、3,000 NMWLにより脱イオン
化した。回収率は69%であった。
SDS-PAGEは、単一蛋白質バンドの純粋である脂肪分解酵素を示した。pH8.0 に
おける等電点及び25,400の分子量を有することが見い出された。純粋な脂肪分解
酵素の特異活性は3,300 〜 4,100LU/mg
であることが見い出された。
脂肪分解酵素Bを同様に精製し、SDS-PAGEによりそれが脂肪分解酵素Aと同一
であることを確認した。
実施例7
種々のアブシジア株からの脂肪分解酵素の産生
以下の表に示される各々のアブシジア株を、以下のステップによる脂肪分解酵
素産生のために用いた。
種培養。(NN100826が除かれた)YS-2培地で27℃で2日間、
主培養。27℃(示されるように1つの場合に30℃)で示される培地を用いる振
とうフラスコ内。その培養時間及び得られた脂肪分解酵素収率も表2に示す。
回収及び精製。無細胞サンプルを得るために遠心し、次に粉状サンプルを作る
ために凍結乾燥。
培養条件及び結果の収率を以下に示す。
実施例8
アブシジア脂肪分解酵素に対するpH及びCa2+の効果
20LU/mlの脂肪分解酵素量を用いる先に記載のOPID法により、Ca2+なしでpH7
〜10の範囲において脂肪分解酵素活性をテストした。次の株からの本発明に従う
精製された酵素をテストした:
A.ブラケスレエアナ NN000591
A.ブラケスレエアナ NN000987
A.ブラケスレエアナ NN100826
A.コリムビフェラ NN100062
A.レフレキサ NN102424
結果を添付の図面に示す。
Ca2+の欠如下において、テストされた全てのアブシジア脂肪分解酵素は、pH8
よりpH9においてより高い活性を示し(約pH9以上で最適)、A.レフレキサか
らの脂肪分解酵素はpH9よりpH10においてより高い活性を示す(約pH10以上で最
適)。(A.ブラケスレエアナ及びA.コリムビフェラにより供される)アブシ ジア
亜属マイコクラドゥスからの脂肪分解酵素は、Ca2+の欠如下でpH9において
、20LU/mlの脂肪分解酵素投与量について3 OPIDU/ml超、即ち0.15 OPIDU/LU
超の比率で活性を示す。
実施例9
pH10における脂肪分解酵素活性についてのプレートテスト
(JP-W 1-501120に相当する)WO 88/02775 の実施例11に記載されるプレートテ
ストを用いてCa2+あり及びなしでのpH10での脂肪分解酵素活性についてチェック
した。実施例7に列記される全ての株からの脂肪分解酵素調製物は、Ca2+の添加
があるもの及びないものの両方で、pH10において脂肪分解酵素活性を示すことが
見い出された。
実施例10
脂肪分解酵素のpI及びMW
いくつかの株からの精製された脂肪分解酵素を用いて、分取等電点電気泳動に
より等電点(pI)を、SDS-PAGEにより分子量(MW)を測定した。結果は次の通り
であった。
A.ブラケスレエアナNN100826からのリパーゼの分離精製は、サイズが31〜32
kDa であることを示唆する。それゆえ、25kDa リパーゼはおそらく少し端が切り
取られたリパーゼ分子をおそらく示す。
実施例11
A.ブラケスレエアナ脂肪分解酵素の構造的特徴
A.ブラケスレアナNN000591及びNN000987からの脂肪分解酵素のN末端配列を
、エレクトロブロッティングに従って決定した。両方の脂肪分解酵素は、約30kD
a の分子量を有する。
NN000987からの脂肪分解酵素のN末端アミノ酸配列決定は、添付の配列表にお
ける配列番号:1として示される配列を供した。
NN000591からの脂肪分解酵素のN末端配列決定は、配列番号:2及び配列番号
:3として示される2つの配列を供した。
NN000591について、配列番号:3として示されるN末端配列は、配列番号:2
として示されるN末端配列のアミノ酸残基6で開始することが見られた。これに
より、2つの配列は、合成又は精製のいずれかの間の同じ蛋白質の可変性の過程
を示す。更に、NN000987についての配列番号:1及びNN000591についての配列番
号:2は同じN末端配列を表すことが明らかであり、2つの脂肪分解酵素はほぼ
同一であると確信される。これにより、3つの先のN末端配列に基づき、成熟脂
肪分解酵素は配列番号:4として示されるN末端配列を有すると結論づけられる
。
NN000591調製物中の30kDa 脂肪分解酵素に加えて、約21kDa の分子量のバンド
が見られた。エレクトロブロッティングの後のこの蛋白質のN末端アミノ酸配列
決定は、配列番号:5として示される配列を供した。このN末端配列は、リゾム コール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)
からのリパーゼについての周知の配列の
通りにアラインされ得、それが全長の30kDa 脂肪分解酵素のフラグメントである
ことが結論づけられた。
NN000591脂肪分解酵素を、リシル特異的プロテアーゼでのデグラデーションの
前に還元し、S−カルボキシメチル化した。その結果生ずるペプチドを分別して
、N末端アミノ酸配列決定を行う前に逆相HPLCを用いて再精製した。配列番号:
6〜10として示されるペプチド配列を得た。
その配列を、リゾムコール・ミエヘイ及びリゾプス・デレマール(Rhizopus d elemar)
からのリパーゼの周知の配列とアラインすることにより、全長の脂肪分
解酵素がこの順番で配列番号:4〜10の配列を含むことが結論づけられた。これ
らの配列において、Xaa は、同定され得なかったアミノ酸を表す。Asx はAsp と
Asn とが区別できなかった位置を指す。配列番号:5の位置1及び9のアミノ酸
は不確かである。
実施例12
A.コリムビフェラ脂肪分解酵素の精製
A.コリムビフェラ株NN100062からの脂肪分解酵素を次の通り精製した。
ストリームライン。株の培養により得られた粗酵素粉体を50mM炭
酸ナトリウム緩衝液中に溶かした。遠心後、脂肪分解酵素サンプルを同緩衝液で
平衡化された膨潤されたDEAE樹脂上に吸着させ、次に樹脂を同緩衝液で洗浄した
。その脂肪分解酵素を 0.5M NaCl を含むTris-HCl緩衝液(pH7.6)で溶出した。
このステップの収率は52%であった。
ブチルToyopearl
第2のステップは、予め充填されたブチルToyopearl 及びHPLCを用いるクロマ
トグラフィーである。濃縮脂肪分解酵素を1M酢酸アンモニウムの塩濃度に調節
し、次に1M酢酸アンモニウムで平衡化されたカラム上に吸着させた。1〜0M
硫酸アンモニウム及び20%エタノールの直線勾配で溶出を行った。各々の画分の
脂肪分解酵素活性を測定し、高脂肪分解酵素活性の画分を集めて、マイクロアシ
ライザー(micro asilizer)(Asahi Kaseiの製品)で脱塩した。
DEAE Toyopearlカラムクロマトグラフィー。
第3のステップは予め充填されたDEAE Toyopearl及びHPLC(Watersの製品)を
用いる陰イオンカラムクロマトグラフィーである。脂肪分解酵素をpH8.5 に調節
した。これを、50mM Tris-HCl 緩衝液(pH8.5)で平衡化されたカラムに適用し、
脂肪分解酵素を0〜 0.5M NaCl の直線勾配で溶出した。高脂肪分解活性の画分
を集めて、得られた脂肪分解酵素を濃縮した。このステップの収率は66%であっ
た。
ゲルろ過
最終ステップはゲルろ過である。用いられる緩衝液は0.15M NaCl を含む50mM
Tris-HCl であった。再び高脂肪分解酵素活性の画分を集めた。
精製を次の表に要約する。
実施例13
A.コリムビフェラ脂肪分解酵素の構造的キャラクタリゼーション
A.コリムビフェラNN100062の脂肪分解酵素の構造を実施例11と同じ様に研究
した。N末端配列決定は、配列番号:11として示される配列を供した。デグラデ
ーションの後に得られたペプチドが、配列番号:12〜16及び18〜19として示され
る配列を有することが見い出された。配列番号:12の残基Asn 20がグリコシル化
されていることが見い出された。
比較することにより、配列番号:15のC末端における22アミノ酸が配列番号:
16のN末端におけるそれと同一であることが示され、これら2つの配列が配列番
号:17として示されるより大きなフラグメントの一部分を形成することが結論づ
けられた。リゾムコール・ミエヘイ及びリゾプス・デレマールからのリパーゼの
周知の配列とのアラインメントにより、全長の脂肪分解酵素が、配列番号:11〜
14及び17〜19の配列をこの順番で含むことが結論づけられた。
実施例14
A.スポロホーラ−バリアビリスからの脂肪分解酵素のアルカリ安定性
pH10における50mMグリシン緩衝液中のA.スポロホーラ−バリアビリスから、
約10LU/mlの脂肪分解酵素を含む酵素溶液を調製した。この溶液の一部を45℃で
30分、インキュベートして迅速に冷却した。脂肪分解酵素活性を、インキュベー
ションの前及び後に測定した。
その結果は、97%の残存活性がインキュベーションの後に残っていることを示
した。
実施例15
A.スポロホーラ−バリアビリスからの脂肪分解酵素の基質アフィニティー
非イオン性界面活性剤Dobanol 25-7(2,500ppm)の存在下でアルカリ性pH(pH9
.0)において基質相(オリーブオイル)上/中で脂肪分解酵素が蓄積する能力の
簡単な測定のために次の手順を用いた。
非イオン性界面活性剤を有する緩衝液中の脂肪分解酵素の2つの同一の溶液を
密閉可能バイアル内で調製し、その溶液の1つに基質を加えた。両方の溶液を激
しく振とうしながらインキュベートし、残存脂肪分解酵素活性を、基質の分離及
び除去の後に(先に規定されるLUにおいて)測定した。
次の組成を用いた:
緩衝液: 100mM グリシン(pH9.0)
非イオン性界面活性剤 100ppmアルコールエトキシレート
(DobanolTM25-7)
基質: オリーブ油
緩衝液:基質 50:50 v/v
インキュベーション温度 4℃
開始脂肪分解酵素活性 5−10LU/ml
インキュベーション時間 一晩(24−26時間)
結果は、基質なしでの活性に対する基質と共にインキュベートされた後の残存活
性として供される。
A.スポロホーラ−バリアビリス脂肪分解酵素 39%
結果は、Lipolaseが、用いられた条件下で水相に全体的に残る傾向があるのに
対して、A.スポロホーラ−バリアビリスからの脂肪分解酵素は、一晩のインキ
ュベーションの後に水相中で添加された活性の50%未満を残すオリーブ油のため
のより高いアフィニティーを有することを示す。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1996年5月15日
【補正内容】
酵素界面活性剤組成物
技術分野
本発明は、酵素界面活性剤組成物、及び脂肪分解酵素を含む酵素界面活性剤添
加物に関する。
背景技術
脂肪分解酵素は、脂肪染色剤の除去を改善するための界面活性剤に役立つこと
が知られている。これにより、近年、サーモマイセス・ラヌギノサス(Thermomyc es lanuginosus)
(ヒュミコーラ・ラヌギノーサ(Humicola lanuginosa)とも呼ば
れる)から得られる微生
ンドに導入されている。
他の微生物のリパーゼ、例えばシュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepac ia)
(US 4,876,024)から、ストレプトマイセーテス(Streptomycetes)(WO 94/149
40)から、及びゴングロネラ・ブトレリ(Gongronella butleri)株NRRL352l(US 3
,634,195、その株はアブシジア・ブトレリ(Absidia butleri)と以前に命名され
ている、K.H.Domsch et al.,Compendium of Soil Fungi,Academic Press 19
80,p.381)からのバクテリアのリパーゼも界面活性剤における使用について示
唆されている。
多くの界面活性剤は溶液中で高いpH(例えば約pH10)のアルカリ性であり、Ca2+
イオンに対するビルダーを含み、よって、Ca2+の欠如下で高いpHで高い活性を
有する脂肪分解酵素の必要性がある。
発明の概要
驚くことに、我々は、Ca2+の欠如下でアルカリ性pHで高い活性を有する脂肪分
解酵素が、アブシジア(Absidia)属に属する糸状菌の株から得られうること、並
びに脂肪分解酵素が界面活性剤の効果を改善するのに効果的であることを見い出
した。
従って、本発明は、界面活性剤及びアルカリ性アブシジア脂肪分解酵素を含む
酵素界面活性剤組成物を提供する。本発明は、繊維から脂肪汚物を除去するため
の方法であって、前記界面活性剤組成物を含む水溶液において前記繊維を洗浄す
ることを含むことを特徴とする方法も提供する。
本発明は、非散布性粒子、安定な液体、スラリー又は保護された酵素の形態で
供される活性構成物としてアブシジア脂肪分解酵素を含む酵素界面活性剤添加物
を更に提供する。
本発明の他の態様は、アブシジア・レフレキサ(Absidia reflexa)の株から得
られ、Ca2+の欠如下でpH9よりpH10でより高い脂肪分解酵素活性を有する脂肪分
解酵素を提供する。
US 3,634,195は、A.シリンドロスポーラ(A.cylindrospora)変種リゾモル ファ(rhizomorpha)
NRRL2815及びA.ブラケスレエアナ(A.blakesleeana)NRRL
1305 からのリパーゼの産生を記載する。S.Koritala et al.,J.Am.Oil Chem
.Soc.64(4),509〜13(1987)は、A.コエルラ(A.coerula)NRRL5926及びA .ラモサ(A.ramosa)
NRRL1309 と共にインキュベートされる場合に大豆油が部
分的に加水分解されることを開示する。T.Satyanarayana,Current Science,5
0(15),680〜2(1981)は、A.コリムビフェラ(A.corymbifera)の株によるリ
パーゼの分泌を開示する。K.Aisaka et al.,Agric.Biol.Chem.,43(10),21
25〜2129(1979)は、(現在A.ブラケスレエアナ(A.blakesleeana)として分類
される)アブシジア・ヒアロスポーラ(Absidia hyalospora)
KY303からのリポ蛋白質リパーゼ
の形成を記載する。
しかしながら、先行技術は、アブシジアからの脂肪分解酵素がCa2+の欠如下で
高いpHで活性であることを開示又は提唱せず、またそれらが界面活性剤に役立つ
ことも開示又は提唱しない。
図面の簡単な記載
図1〜5は、本発明に従ういくつかの精製された脂肪分解酵素のためのCa2+の
欠如下での脂肪分解酵素活性対pHのグラフを示す。
発明の詳細な記載
微生物
本発明に用いられる微生物は、M.A.A.Schipper.Persoonia,Vol.14,Par
t 2,pp.133〜148(1990)に記載されるようなアブシジア(Absidia)属に属する。
この属内において、次の亜属、グループ、種及び株が好ましい。脂肪分解性酵素
を産生することができるその変異体も本発明に用いられる。先に認められたいく
つかの種の名前はSchipper Op.cit.により再分類され、便利にはいくつかの株
の先に用いられる名前も以下に列記されることに注意のこと。
先行技術は、A.レフレキサ(reflexa)からの脂肪分解酵素産生を記載しない
。その種はSchipperにより分類される。この種による脂肪分解酵素の産生は先に
記載され、我々は、この種からの脂肪分解酵素が亜属マイコクラドゥス(Mycocl adus)
及びアブシジア(Absidia)からの脂肪分解酵素から異なることを見い出し
た。
先に言及される株は微生物のための次の寄託機関から自由に利用できる。同じ
ボックス内の複数の数字は、同じ株の複数の寄託を示す。
NRRL : Agricultural Research Service Culture Collection,1815 North Un
iversity Street,Peoria,Illinois 61604,USA.
ATCC : American Type Culture Collection,12301 Parklawn Drive,Rockvil
le,Maryland 20852,USA.
CBS : Centraal Bureau voor Schimmelcultures,Oosterstraatl,3740 AG Ba
arn,Netherlands.
CMI : CAB International Mycological Institute,Ferry Lane,Kew,Surrey
TW9 2AF,U.K.
IFO : Institute for Fermentation,17-85 Juso-honmachi 2-chome,Yodogaw
a-ku,Osaka 532,Japan.
脂肪分解酵素は、適切な栄養培地中で先の微生物のいずれかを培養し、次に任
意に、当業者に公知であり、又は本明細書に記載され
るような方法に従って回収及び精製することによって、産生され得る。
酵素の特性
本発明の酵素は脂肪分解酵素である。本文脈において、“脂肪分解酵素”とい
う言葉は、Recommendations(1992)of the International Union of Biochemis
try and Molecular Biology(IUBMB)に従って酵素分類番号E.C.3.1.1−(カル
ボキシルエステルヒドロラーゼ)下に分類された酵素を示すことが意図される。
これにより脂肪分解酵素は、E.C.3.1.1の文脈において言及されるエステル結合
、例えばモノ−、ジ−及びトリグリセリド、リン脂質(全てのクラス)、チオエ
ステル、コレステロールエステル、ワックス−エステル、クチン、スベリン、合
成エステル等中に存在するエステルの少くとも1つのタイプに対して加水分解活
性を示す。例えば、本発明の脂肪分解酵素は、トリグリセリドに対する活性(リ
パーゼ活性、E.C.3.1.1.3)、例えば1,3−位置に特異的なリパーゼ活性を有
し得る。
本発明の脂肪分解酵素は、遊離Ca2+の欠如下でさえアルカリ性pH(約pH9〜10
)において高い活性を有することを特徴とする。
更に詳しくは、これらの脂肪分解酵素は、以下に記載されるOPID法により、遊
離Ca2+の欠如下でテストされた時に約pH9以上において最適活性を有する(pH8
よりpH9で高い活性を有する)。
いくつかの好ましい脂肪分解酵素は、遊離Ca2+なしでpH9において、及び20LU
/mlの脂肪分解酵素濃度(LU及びOPIDは以下に規定される脂肪分解酵素活性単位
である)、即ちオリーブオイルとトリブチリンとの間の少くとも0.15OPID/LUの
活性比率でテストされた場合に少くとも3OPIDユニット/mlの活性を有する。こ
のような脂肪分解酵素は、アブシジア亜属マイコクラドゥス、例えば先に列記さ
れる種及び株から得られうる。
好ましい脂肪分解酵素の他の群は、Ca2+の欠損下でpH9よりpH10で高い脂肪分
解酵素活性を有する。このような脂肪分解酵素は、A.レフレキサ、例えば先に
列記される株から得られうる。この脂肪分解酵素は新しく、本発明により供され
る。
リパーゼ活性測定(LU)
1リパーゼ単位(LU)は、30.0℃,pH7.0(リン酸緩衝液)において基質として
のトリブチリン及び乳化剤としてのアラビアゴムで、分当りに滴定脂肪酸1μモ
ルを遊離する酵素の量である。
リパーゼ活性測定(OPID)
pH7〜10の範囲の遊離Ca2+なしでの脂肪分解酵素活性は、特定のpHにおいて、
10分間、40℃におけるオリーブ油:2%PVA 溶液(1:3)の基質エマルション
でテストされる。その反応の終りにおいて、その反応混合物は、酸性条件下でク
ロロホルム:メタノール(1:1)により抽出され、その反応の間に遊離した脂
肪酸がTLC-FID 分析(latroscan)により測定される。1単位(OPIDU)は、分当りの
脂肪酸のμモルの遊離として与えられる。
各々のテストにおいて、200mM の緩衝液(Tris-HCl緩衝液、pH7及び8、ジエ
タノールアミン緩衝液、pH8,9及び10)と共に、10mM EDTA が用いられる。
免疫化学的特性
アブシジアの株に対してネイティブである脂肪分解酵素のものと同一又は部分
的に同一の免疫化学的特性を有し、先に言及される特性を有する位置的に非特異
的な脂肪分解酵素は本発明の範囲内である。
免疫化学的特性は、免疫学的交差反応同定テストにより測定され得る。その同
定テストは、公知のオクタロニー二重免疫拡散法によ
り、又はI .M.Roitt ; Immunology,Gower Medical Publishing(1985)及びN .H.Axelsen
; Handbook of Immunopreciptitation-in-Gel Techniques,Black
well Scientific Publications(1983)Chapter 5 and 14 に従う双頭交差免疫
電気泳動により行われ得る。免疫化学的同定(抗原同定)及び部分的免疫化学同
定(部分的抗原同定)が、Axelsen、前掲、Chapters 5,19及び20 and Roit、前
掲、Chapter 6 に記載される。
免疫学的テストに用いるための単一特異性抗血清は、例えばN.H.Axelsen、
前掲のChapter 41又はN.H.Axelsen et al.,A Manual of Quantitative Immun
oelectrophoresis,Blackwell Scientific Publications(1973)のChapter 23に
記載されるように、精製された脂肪分解酵素に対して例えばウサギにおいて作ら
れ得る。
脂肪分解酵素の産生
本発明の脂肪分解酵素は、炭素及び窒素源並びに無機塩を含む適切な栄養培地
中で先に記載される微生物の1つを培養し、次にその脂肪分解酵素を回収するこ
とにより作られ得る。
培養の後、脂肪分解酵素は、疎水クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグ
ラフィー及びそれらの組合せのような慣用的方法により培養物から回収され、精
製され得る。
便利な精製方法は、任意的なバッチ精製及び次の2段階クロマトグラフィーか
らなる。任意的なバッチ精製は、DEAE Streamline(Pharmaciaの製品)、Super-
Q Toyopearl、陰イオン交換樹脂又はMacroprep HIC Support hydrophobic(Bior
ad の製品)により行われ得る。2段階クロマトグラフィーの1部は、例えばPhe
nyl Toyopearl,Butyl Toyopearl 又はMacroprep HIC Support hydrophobic で
の疎水クロマトグラフィーからなる。2段階クロマトグラフィーの他の部分は、
陰イオン交換樹脂、例えばDEAE Toyopearl又はSuper-
Q Toyopearl で行われ得る。その2段階はいずれかの順番で行われ得る。
脂肪分解酵素の適用
本発明の脂肪分解酵素は、例えば、施設及び工業的クリーリングにおける並び
に皮の処理における洗濯及び皿洗いの界面活性剤中での、特に高いpHにおける脂
肪分解酵素の慣用的な適用に用いられ得る。
本発明の脂肪分解酵素は、脂肪及び油の全体の加水分解のために、並びに光学
異性体分解処理において、相互エステル化のためにも用いられ得る。
界面活性剤添加物
本発明によれば、脂肪分解酵素は、界面活性剤組成物における添加物として典
型的に用いられ得る。この添加物は、便利には、非散布性粒子、安定な液体、ス
ラリー又は保護された酵素として製剤化される。
本発明の脂肪分解酵素を含む界面活性剤添加物についての適切な活性範囲は 5
,000〜 100,000 OPIDU/g(pH9で測定されたOPID)又は添加物のg当り0.01〜
100mg の純粋な酵素蛋白質である。
界面活性剤
有利には、本発明の脂肪分解酵素は遊離Ca2+の欠如下でさえアルカリ性pH(約
pH9〜10)で高い活性を有する。これは、遊離Ca2+に結合するための高い含有量
のビルダーを有する界面活性剤中でさえ、これらの脂肪分解酵素を広範囲の界面
活性剤において用いるのに十分に適したものにする。
本発明の脂肪分解酵素は、界面活性剤中で便利に用いられる濃度で組み込まれ
得る。本発明の界面活性剤組成物は、界面活性剤のグラム当り10〜50,000LU、好
ましくは20〜 5,000LU/gに相当する量
の脂肪分解酵素を含み得る。その界面活性剤は水に溶かされて、洗浄液のリッタ
ー当り25〜15,000LUに相当する量の脂肪分解酵素を含む洗浄液を形成する。脂肪
分解酵素蛋白質の量は、界面活性剤のグラム当り 0.001〜10mg又は洗浄液のリッ
ター当り 0.001〜100mg であり得る。
界面活性剤組成物
本発明によれば、脂肪分解酵素は、典型的に界面活性剤組成物の構成物であり
得る。このような場合、それは非散布性粒子、安定な液体、又は保護された酵素
の形態で界面活性剤組成物内に含まれ得る。非散布性粒子は、例えばUS 4,106,9
91及び4,661,452(両方ともNovo Industri A/S)に開示されるように作られ得、当
該技術で周知である方法により任意に被覆され得る。ろう状被覆材料の例は、平
均分子量 1,000〜20,000を有するポリ(エチレンオキシド)製品(ポリエチレン
グリコール、PEG);16〜50エチレンオキシド単位を有するエトキシ化ノニルフェ
ノール;アルコールが12〜20炭素原子を含み、15〜80エチレンオキシド単位を有
するエトキシ化脂肪アルコール;脂肪アルコール;脂肪酸;並びに脂肪酸のモノ
−及びジ−及びトリグリセリドである。流動床技術による適用に適したフイルム
形成性被覆材料の例は、特許GB 1483591に供される。液体酵素調製物は、例えば
、確立された方法に従って、プロピレングリコールのような多価アルコール、糖
もしくは糖アルコール、乳酸又はホウ酸を加えることによって安定化され得る。
他の酵素安定化剤は当該技術において公知である。保護された酵素は、EP 238,2
16に開示される方法に従って調製され得る。
本発明の界面活性剤組成物は、例えば粉体、粒子、ペースト又は液体として、
いずれかの便利な形態であり得る。液体界面活性剤は70%までの水及び0〜30%
の有機溶媒を典型的に含む水性又は非水
性であり得る。
界面活性剤組成物は、その各々が陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、又は
双性イオン性であり得る1以上の界面活性剤を含む。界面活性剤は、通常、直鎖
アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、α−オレフィンスルホネート(AOS)、アル
キルスルフェート(脂肪アルコールスルフェート)(AS)、アルコールエトキシスル
フェート(AEOS又はAES)、第2アルカンスルホネート(SAS)、α−スルホ脂肪酸メ
チルエステル、アルキルもしくはアルケニルコハク酸、又はセッケンのような陰
イオン性界面活性剤を0〜50%含むであろう。それは、アルコールエトキシレー
ト(AEO又はAE)、カルボキシル化アルコールエトキシレート、ノニルフェノール
エトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、
エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、又は(
例えば WO 92/06154 に記載されるような)ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミ
ドのような非イオン性界面活性剤も0〜40%含み得る。
界面活性剤組成物は、アミラーゼ、クチナーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、
ペルオキシダーゼ、及びオキシダーゼ、例えばラッカーゼのような1以上の他の
酵素を更に含み得る。
界面活性剤は、ゼオライト、ジホスフェート、トリホスフェート、ホスホネー
ト、クエン酸、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)
、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTMPA)、アルキル−もしくはアルケニルコ
ハク酸、可溶性シリケートもしくは層状シリケート(例えばHoechst からの SKS
−6)のような1〜65%の界面活性剤ビルダー又は複合剤を含み得る。界面活性
剤は、洗浄増進されなくても、即ち界面活性剤ビルダーが本質的になくてもよい
。
界面活性剤は、1以上のポリマーを含み得る。例としては、カルボキシメチル
セルロース(CMC)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG
)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリアクリレートのようなポリカルボキシレ
ート、マレイン/アクリル酸コポリマー及びラウリルメタクリレート/アクリル
酸コポリマーがある。
界面活性剤は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)又はノナノイルオキ
シベンゼンスルホネート(NOBS)のような過酸形成性漂白活性剤と組み合わせら
れ得るペルボレート又はペルカルボネートのようなH2O2ソースを含み得る漂白シ
ステムを含み得る。あるいは、漂白システムは、例えばアミド、イミド、又はス
ルホンタイプの過酸を含み得る。
本発明の界面活性剤組成物の酵素は、慣用的な安定化剤、例えばプロピレング
リコールもしくはグリセリンのような多価アルコール、糖もしくは糖アルコール
、乳酸、ホウ酸、又は例えば芳香族ホウ酸エステルのようなホウ酸誘導体を用い
て安定化され得、本組成物は例えば WO 92/19709 及び WO 92/19708 に記載さ
れるように製剤化され得る。
界面活性剤は、例えばクレー、泡ブースター、セッケン泡サプレッサー、防食
剤、汚れ懸濁剤、抗汚れ再沈着剤、染料、殺菌剤、視覚的光沢剤、又は香料のよ
うな他の慣用的界面活性剤成分も含み得る。
(使用濃度において水溶液中で測定された)pHは、通常例えば7〜11の範囲内
で中性又はアルカリ性であるだろう。
本発明の範囲内の界面活性剤の特定の形態は以下のものを含む。
1)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
2)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
3)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
4)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
5)次のものを含む水溶液界面活性剤組成物
6)次のものを含む水性構造液界面活性剤組成物
7)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
8)次のものを含む粒状体として製剤化された界面活性剤組成物
9)次のものを含む粒状体として製剤化された界面活性剤組成物
10)次のものを含む水溶液組成物
11)次のものを含む水溶液界面活性剤組成物
12)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
13)直鎖アルキルベンゼンスルホネートの全て又は一部分が(C12〜C18)ア
ルキルスルフェートにより置換されている1)〜12)に記載の界面活性剤製剤
14)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
15)次のものを含む少くとも 600g/lのかさ密度を有する粒状体として製剤
化された界面活性剤組成物
16)更なる構成物として又は既に特定された漂白システムのかわりとしてのい
ずれかの安定化又はカプセル化過酸を含む1)〜15)に記載の界面活性剤製剤
17)ペルボレートがペルカルボネートにより置換されている1),3),7)
,9)及び12)に記載の界面活性剤組成物
18)マンガン触媒を更に含む1),3),7),9),12),14)及び15)に
記載の界面活性剤組成物。マンガン触媒は、例えば、“Efficient manganese ca
talysits for low-temperature bleaching”,Nature 369,1994,pp.637 〜63
9 に記載される化合物の1つであり得る。
19)直鎖アルコキシル化第1アルコール、ビルダーシステム(例えばホスフェ
ート)、酵素、及びアルカリのような液状非イオン性界面活性剤を含む非水性界
面活性剤液として製剤化された界面活性剤組成物。その界面活性剤は、陰イオン
性界面活性剤及び/又は漂白システムも含み得る。
実施例
培養培地
以下の表に示される培地を本実施例に用いた。
実施例1
A.コリムビフェラ(A.corymbifera)からの脂肪分解酵素の産生
A.コリムビフェラ株NN100062を、100ml のRS-G培地を含む振とうフラスコ内
で30℃で3日間、培養した。2,500ml の無細胞ブイヨンを、細胞量を除去した後
に50振とうフラスコから回収した。これを凍結乾燥して以下の実施例に用いられ
る 379LU/gの脂肪分解酵素活性を有する58gの粉体サンプルを得た。
実施例2
A.コリムビフェラ脂肪分解酵素の洗浄効果
脂肪分解酵素(先の実施例からの粉体調製物)の洗浄効果を、pH10において、
陰イオン性界面活性剤(LAS)を含む界面活性剤中で汚れた繊維を洗浄することに
より測定した。テストは、次の条件下でTerg-O-tometer研究用洗浄機内で行った
。
温度 30℃
時間 30分
撹拌 100rpm
界面活性剤 0.25g/l of LAS(直鎖アルキルベンゼンス
ルホネート、製品名 Nansa HS 80/S)
+ 1.0g/l of Na2CO3
水 Tap 水(約18°German hardness)
pH 10.0
脂肪分解酵素投与量 2,000 LU/l
テスト材料 各々85μLのオリーブ油で染色した綿布
7×7cm
布/液体比 7きれ/500ml
洗浄後、ソックスレー抽出し、残りの油の量を重量で測定した。
残った油の組成を TLC/FID 分析により測定した。脂肪分解酵素を含まない対照
実験を同様に行った。結果は次の通りである。
脂肪分解酵素が、全量の残った油を減少させるのに、特にLAS の存在下でpH10
.0で洗浄することにおいてトリグリセリドの量を減らすのに有効であることが見
られる。
実施例3
A.ブラケスレエアナ(A.blakesleeana)からの脂肪分解酵素の産生及び精製
本実施例において、アラビアゴムで乳化されたオリーブ油を用いて脂肪分解酵
素活性を測定した。条件は、40℃,pH10(100mMグリシン緩衝液)である。1単位
は、分当りに1μモルのNaOHと当量の脂肪酸の滴定量を遊離する酵素の量に従う
。
A.ブラケスレアナ株NN100826を100ml のOM培地を含む振とうフラスコ中で30
℃で3日間、培養した。脂肪分解酵素産物は41ユニット/mlであった。
培養ブイヨンを50の振とうフラスコから収集し、2Lの脱イオン水で洗浄した
後、限外ろ過することにより2Lに濃縮した。冷却チャンバー内で撹拌しながら
、その濃縮ブイヨンに粉砕硫酸アンモニ
ウムを40%飽和まで加え、4℃で1時間、放置した。遠心により沈殿を除いた。
硫酸アンモニウムを50%飽和まで更に加え、その沈殿を除いた。その上清を180m
l に濃縮して、4℃において 20mM Tris/HCl 緩衝液(pH8.5)中でセルロースチ
ューブを用いて一晩透析し、凍結乾燥した。1,500ユニット/gの活性を有する
9.8gの粉状脂肪分解酵素調製物を得た。
冷却したアセトンを培養ブイヨンに加え、その調製物を凍結乾燥することによ
り更なる粉状脂肪分解酵素調製物を得た。
実施例4
A.ブラケスレエアナ脂肪分解酵素の洗浄効果
先の実施例からの粉状脂肪分解酵素調製物を、以下の変更を伴って先の洗浄例
と同じ方法でテストした:洗浄時間を20分とした;各々の布きれを50μLの油で
染色した;洗浄テストの前に室温で2日間、その布きれをおいた;そしてpH、界
面活性剤及び脂肪分解酵素投与量を以下に示す。分析データを用いて残ったエス
テル結合(μモル)及び加水分解の程度を計算した。
脂肪分解酵素は残った油の量を減らし、加水分解の割合を増加させ、これにより
残ったエステル結合の数を減らすのに有効であった。
実施例5
A.ブラケスレアナからの脂肪分解酵素の産生
A.ブラケスレアナ株NN100826を、水中39g/lのPDA(Difcoの製品)及び10
g/lの寒天の斜面上で5週間、胞子形成させた。
水中Tween の 0.1%溶液9mlを斜面上に注いで胞子懸濁液とした。
3mlの胞子懸濁液を100ml のYS-2S0培地を含む500ml のじゃま板付振とうフラ
スコ(2のじゃま板)内に接種して、そのフラスコを、24時間、34℃で振とう(
230rpm)しながらインキュベートして種培養物を調製した。
種培養物をホモジナイズしてペレット形状の菌糸体に分け、2mlのホモジナイ
ズされた培養物を、100ml のOMM 培地及び2%の大豆レシチンを含む振とうフラ
スコ内に接種した。そのフラスコを30℃で振とう(230rpm)しながらインキュベ
ートした。2日の培養後、そのブイヨンは、17.0LU/mlの脂肪分解活性及び6.7
のpHを有していた。
実施例6
脂肪分解酵素の精製
A.ブラケスレエアナ株NN100826からの脂肪分解酵素を、以下の通り3ステッ
プのクロマトグラフィー、即ちStreamline DEAE、フェニル−及びDEAE-Toyopear
lにより精製した。
Streamline DEAE カラムクロマトグラフィー。先の実施例で調製された50の振
とうフラスコからの培養ブイヨンを遠心して無細胞ブイヨン 2.8Lを得た。これ
を、50mM炭酸ナトリウム緩衝液、pH10で予め平衡化されたStreamline DEAE 600m
l に適用した。流速は 100
ml/分であった。同じ緩衝液でカラムを洗浄した後、結合した脂肪分解酵素を、
0.6M NaCl を含む50mM Tris 緩衝液、pH7.2 により溶出した。開始脂肪分解酵
素活性の38%及び36%を各々その溶出液及び通過画分中で回収した。即ち全回収
率は74%であった。更なる精製のために、樹脂に結合した脂肪分解酵素を用いた
。その脂肪分解酵素溶液を中和し、次にUFモジュール、3,000 NMWLにより濃縮し
た。回収率は47%であった。遠心した後、脂肪分解酵素を 0.2μm膜を通してろ
過した。
フェニルToyopearl カラムクロマトグラフィー。勾配溶出において、脂肪分解
酵素活性は、検出するのが難しい極めて広いピークを供した。かわりに、1.4M
酢酸アンモニウムの60分、純水の30分及び20%エタノールの30分でのステップ溶
出を用いた。脂肪分解酵素活性は2つのピークを供した。1つは水により溶出さ
れ(“脂肪分解酵素A”)、そして他方は20%EtOHにより溶出された(“脂肪分
解酵素B”)。回収率は、脂肪分解酵素Aについて41%、脂肪分解酵素Bについ
て33%であった。各々の脂肪分解酵素を濃縮してUFモジュール、3,000 NMWLによ
り脱イオン化した。回収率は各々94%及び91%であった。
DEAE Toyopearlカラムクロマトグラフィー。脂肪分解酵素Aを、50mM炭酸ナト
リウム緩衝液(pH10)から50mM Tris 緩衝液(pH7.2)+ 0.6M NaCl への勾配溶
出により精製した。高脂肪分解酵素活性を有する画分をプールした。収率は66%
であった。脂肪分解酵素を濃縮して、UFモジュール、3,000 NMWLにより脱イオン
化した。回収率は69%であった。
SDS-PAGEは、単一蛋白質バンドの純粋である脂肪分解酵素を示した。pH8.0 に
おける等電点及び25,400の分子量を有することが見い出された。純粋な脂肪分解
酵素の特異活性は3,300 〜 4,100LU/mg
であることが見い出された。
脂肪分解酵素Bを同様に精製し、SDS-PAGEによりそれが脂肪分解酵素Aと同一
であることを確認した。
実施例7
種々のアブシジア株からの脂肪分解酵素の産生
以下の表に示される各々のアブシジア株を、以下のステップによる脂肪分解酵
素産生のために用いた。
種培養。(NN100826が除かれた)YS-2培地で27℃で2日間、
主培養。27℃(示されるように1つの場合に30℃)で示される培地を用いる振
とうフラスコ内。その培養時間及び得られた脂肪分解酵素収率も表2に示す。
回収及び精製。無細胞サンプルを得るために遠心し、次に粉状サンプルを作る
ために凍結乾燥。
培養条件及び結果の収率を以下に示す。
実施例8
アブシジア脂肪分解酵素に対するpH及びCa2+の効果
20LU/mlの脂肪分解酵素量を用いる先に記載のOPID法により、Ca2+なしでpH7
〜10の範囲において脂肪分解酵素活性をテストした。次の株からの本発明に従う
精製された酵素をテストした:
A.ブラケスレエアナ NN000591
A.ブラケスレエアナ NN000987
A.ブラケスレエアナ NN100826
A.コリムビフェラ NN100062
A.レフレキサ NN102424
結果を添付の図面に示す。
Ca2+の欠如下において、テストされた全てのアブシジア脂肪分解酵素は、pH8
よりpH9においてより高い活性を示し(約pH9以上で最適)、A.レフレキサか
らの脂肪分解酵素はpH9よりpH10においてより高い活性を示す(約pH10以上で最
適)。(A.ブラケスレエアナ及びA.コリムビフェラにより供される)アブシ ジア
亜属マイコクラドゥスからの脂肪分解酵素は、Ca2+の欠如下でpH9において
、20LU/mlの脂肪分解酵素投与量について3 OPIDU/ml超、即ち0.15 OPIDU/LU
超の比率で活性を示す。
実施例9
pH10における脂肪分解酵素活性についてのプレートテスト
(JP-W 1-501120に相当する)WO 88/02775 の実施例11に記載されるプレートテ
ストを用いてCa2+あり及びなしでのpH10での脂肪分解酵素活性についてチェック
した。実施例7に列記される全ての株からの脂肪分解酵素調製物は、Ca2+の添加
があるもの及びないものの両方で、pH10において脂肪分解酵素活性を示すことが
見い出された。
実施例10
脂肪分解酵素のpI及びMW
いくつかの株からの精製された脂肪分解酵素を用いて、分取等電点電気泳動に
より等電点(pI)を、SDS-PAGEにより分子量(MW)を測定した。結果は次の通り
であった。
A.ブラケスレエアナNN100826からのリパーゼの分離精製は、サイズが31〜32
kDa であることを示唆する。それゆえ、25kDa リパーゼはおそらく少し端が切り
取られたリパーゼ分子をおそらく示す。
実施例11
A.ブラケスレエアナ脂肪分解酵素の構造的特徴
A.ブラケスレアナNN000591及びNN000987からの脂肪分解酵素のN末端配列を
、エレクトロブロッティングに従って決定した。両方の脂肪分解酵素は、約30kD
a の分子量を有する。
NN000987からの脂肪分解酵素のN末端アミノ酸配列決定は、添付の配列表にお
ける配列番号:1として示される配列を供した。
NN000591からの脂肪分解酵素のN末端配列決定は、配列番号:2及び配列番号
:3として示される2つの配列を供した。
NN000591について、配列番号:3として示されるN末端配列は、配列番号:2
として示されるN末端配列のアミノ酸残基6で開始することが見られた。これに
より、2つの配列は、合成又は精製のいずれかの間の同じ蛋白質の可変性の過程
を示す。更に、NN000987についての配列番号:1及びNN000591についての配列番
号:2は同じN末端配列を表すことが明らかであり、2つの脂肪分解酵素はほぼ
同一であると確信される。これにより、3つの先のN末端配列に基づき、成熟脂
肪分解酵素は配列番号:4として示されるN末端配列を有すると結論づけられる
。
NN000591調製物中の30kDa 脂肪分解酵素に加えて、約21kDa の分子量のバンド
が見られた。エレクトロブロッティングの後のこの蛋白質のN末端アミノ酸配列
決定は、配列番号:5として示される配列を供した。このN末端配列は、リゾム コール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)
からのリパーゼについての周知の配列の
通りにアラインされ得、それが全長の30kDa 脂肪分解酵素のフラグメントである
ことが結論づけられた。
NN000591脂肪分解酵素を、リシル特異的プロテアーゼでのデグラデーションの
前に還元し、S−カルボキシメチル化した。その結果生ずるペプチドを分別して
、N末端アミノ酸配列決定を行う前に逆相HPLCを用いて再精製した。配列番号:
6〜10として示されるペプチド配列を得た。
その配列を、リゾムコール・ミエヘイ及びリゾプス・デレマール(Rhizopus d elemar)
からのリパーゼの周知の配列とアラインすることにより、全長の脂肪分
解酵素がこの順番で配列番号:4〜10の配列を含むことが結論づけられた。これ
らの配列において、Xaa は、同定され得なかったアミノ酸を表す。Asx はAsp と
Asn とが区別できなかった位置を指す。配列番号:5の位置1及び9のアミノ酸
は不確かである。
実施例12
A.コリムビフェラ脂肪分解酵素の精製
A.コリムビフェラ株NN100062からの脂肪分解酵素を次の通り精製した。
ストリームライン。株の培養により得られた粗酵素粉体を50mM炭
酸ナトリウム緩衝液中に溶かした。遠心後、脂肪分解酵素サンプルを同緩衝液で
平衡化された膨潤されたDEAE樹脂上に吸着させ、次に樹脂を同緩衝液で洗浄した
。その脂肪分解酵素を 0.5M NaCl を含むTris-HCl緩衝液(pH7.6)で溶出した。
このステップの収率は52%であった。
ブチルToyopearl
第2のステップは、予め充填されたブチルToyopearl 及びHPLCを用いるクロマ
トグラフィーである。濃縮脂肪分解酵素を1M酢酸アンモニウムの塩濃度に調節
し、次に1M酢酸アンモニウムで平衡化されたカラム上に吸着させた。1〜0M
硫酸アンモニウム及び20%エタノールの直線勾配で溶出を行った。各々の画分の
脂肪分解酵素活性を測定し、高脂肪分解酵素活性の画分を集めて、マイクロアシ
ライザー(micro asilizer)(Asahi Kaseiの製品)で脱塩した。
DEAE Toyopearlカラムクロマトグラフィー。
第3のステップは予め充填されたDEAE Toyopearl及びHPLC(Watersの製品)を
用いる陰イオンカラムクロマトグラフィーである。脂肪分解酵素をpH8.5 に調節
した。これを、50mM Tris-HCl 緩衝液(pH8.5)で平衡化されたカラムに適用し、
脂肪分解酵素を0〜 0.5M NaCl の直線勾配で溶出した。高脂肪分解活性の画分
を集めて、得られた脂肪分解酵素を濃縮した。このステップの収率は66%であっ
た。
ゲルろ過
最終ステップはゲルろ過である。用いられる緩衝液は0.15M NaCl を含む50mM
Tris-HCl であった。再び高脂肪分解酵素活性の画分を集めた。
精製を次の表に要約する。
実施例13
A.コリムビフェラ脂肪分解酵素の構造的キャラクタリゼーション
A.コリムビフェラNN100062の脂肪分解酵素の構造を実施例11と同じ様に研究
した。N末端配列決定は、配列番号:11として示される配列を供した。デグラデ
ーションの後に得られたペプチドが、配列番号:12〜16及び18〜19として示され
る配列を有することが見い出された。配列番号:12の残基Asn 20がグリコシル化
されていることが見い出された。
比較することにより、配列番号:15のC末端における22アミノ酸が配列番号:
16のN末端におけるそれと同一であることが示され、これら2つの配列が配列番
号:17として示されるより大きなフラグメントの一部分を形成することが結論づ
けられた。リゾムコール・ミエヘイ及びリゾプス・デレマールからのリパーゼの
周知の配列とのアラインメントにより、全長の脂肪分解酵素が、配列番号:11〜
14及び17〜19の配列をこの順番で含むことが結論づけられた。
実施例14
A.スポロホーラ−バリアビリスからの脂肪分解酵素の基質アフィニティー
非イオン性界面活性剤Dobanol 25-7(2,500ppm)の存在下でアルカリ性pH(pH9
.0)において基質相(オリーブオイル)上/中で脂肪分解酵素が蓄積する能力の
簡単な測定のために次の手順を用いた。
非イオン性界面活性剤を有する緩衝液中の脂肪分解酵素の2つの同一の溶液を
密閉可能バイアル内で調製し、その溶液の1つに基質を加えた。両方の溶液を激
しく振とうしながらインキュベートし、残存脂肪分解酵素活性を、基質の分離及
び除去の後に(先に規定されるLUにおいて)測定した。
次の組成を用いた:
緩衝液: 100mM グリシン(pH9.0)
非イオン性界面活性剤 100ppmアルコールエトキシレート
(DobanolTM25-7)
基質: オリーブ油
緩衝液:基質 50:50 v/v
インキュベーション温度 4℃
開始脂肪分解酵素活性 5−10LU/ml
インキュベーション時間 一晩(24−26時間)
結果は、基質なしでの活性に対する基質と共にインキュベートされた後の残存活
性として供される。
A.スポロホーラ−バリアビリス脂肪分解酵素 39%
結果は、Lipolaseが、用いられた条件下で水相に全体的に残る傾向があるのに
対して、A.スポロホーラ−バリアビリスからの脂肪分解酵素は、一晩のインキ
ュベーションの後に水相中で添加された活性の50%未満を残すオリーブ油のため
のより高いアフィニティーを有することを示す。
請求の範囲
1.界面活性剤及びアルカリ性アブシジア(Absidia)脂肪分解酵素を含む酵素
界面活性剤組成物。
2.前記脂肪分解酵素が、遊離Ca2+の欠如下でpH8よりpH9においてより高い
脂肪分解酵素活性を有することを特徴とする請求項1に記載の界面活性剤組成物
。
3.前記脂肪分解酵素がアブシジア亜属マイコクラドゥス(Mycocladus)の株
から得られ、LU当り少くとも0.15OPID(遊離Ca2+なしでpH9)の脂肪分解酵素活
性比を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の界面活性剤組成物。
4.前記株がA.ブラケスレエアナ(A.blakesleeana)に属することを特徴と
する請求項3に記載の界面活性剤組成物。
5.前記株がA.ブラケスレアナ変種アトロスポーラ(atrospora)に属するこ
とを特徴とする請求項3に記載の界面活性剤組成物。
6.前記株がA.コリムビフェラ(A.corymbifera)に属することを特徴とする
請求項3に記載の界面活性剤組成物。
7.前記脂肪分解酵素が、アブシジア亜属アブシジアグループBの株から得ら
れることを特徴とする請求項1又は2に記載の界面活性剤組成物。
8.前記株がA.シリンドロスポーラ(A.cylindrospora)変種リゾモルファ (rhizomorpha)
又はA.シュードシリンドロスポーラ(A.pseudocylindrospora )
に属することを特徴とする請求項7に記載の界面活性剤組成物。
9.前記脂肪分解酵素が、A.レフレキサ(A.reflexa)の株から得られ、遊離
Ca2+の欠如下でpH9よりpH10でより高い脂肪分解酵素活性を有することを特徴と
する請求項1又は2に記載の界面活性剤
組成物。
10.前記脂肪分解酵素が、配列番号:4,5,6,7,8,9及び10からなる
群から選択されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項1に記載の界面活
性剤組成物。
11.前記脂肪分解酵素が、前記配列の2以上を含み、好ましくは前記配列の全
てを含むことを特徴とする請求項10に記載の界面活性剤組成物。
12.前記脂肪分解酵素が、配列番号:11,12,13,14,17,18及び19からなる
群から選択されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項1に記載の界面活
性剤組成物。
13.前記脂肪分解酵素が、前記配列の2以上を含み、好ましくは前記配列の全
てを含むことを特徴とする請求項12に記載の界面活性剤組成物。
14.5〜40重量%の界面活性剤ビルダーを更に含み、水溶液中で測定して8〜
10.5のpHを有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の界面活性剤
組成物。
15.請求項1〜14のいずれかに記載の界面活性剤組成物を含む水溶液で、繊維
を洗浄することを含むことを特徴とする繊維から脂肪のよごれを除去するための
方法。
16.前記水溶液が、遊離Ca2+イオンを本質的に含まないか、又は1mM未満、好
ましくは0.2mM 未満の量で遊離Ca2+イオンを含むことを特徴とする請求項15に記
載の方法。
17.活性成分としてアブシジア脂肪分解酵素を含む非散布性粒子、安定化溶液
、スラリー、又は保護された酵素の形態における酵素界面活性剤添加物。
18.前記脂肪分解酵素が、遊離Ca2+の欠如下でpH8よりpH9においてより高い
脂肪分解酵素活性を有することを特徴とする請求項17
に記載の酵素界面活性剤添加物。
19.前記脂肪分解酵素がアブシジア亜属マイコクラドゥス(Mycocladus)に属
する株から得られ、LU当り少くとも0.15OPID(遊離Ca2+なしでpH9)の脂肪分解
酵素活性比を有することを特徴とする請求項17又は18に記載の酵素界面活性剤添
加物。
20.前記株がA.ブラケスレエアナ(A.blakesleeana)に属することを特徴と
する請求項19に記載の酵素界面活性剤添加物。
21.前記株がA.ブラケスレアナ変種アトロスポーラ(atrospora)に属するこ
とを特徴とする請求項19に記載の酵素界面活性剤添加物。
22.前記株がA.コリムビフェラ(A.corymbifera)に属することを特徴とする
請求項19に記載の酵素界面活性剤添加物。
23.前記脂肪分解酵素が、アブシジア亜属アブシジアグループBの株から得ら
れることを特徴とする請求項17又は18に記載の酵素界面活性剤添加物。
24.前記株がA.シリンドロスポーラ(A.cylindrospora)変種リゾモルファ (rhizomorpha)
又はA.シュードシリンドロスポーラ(A.pseudocylindrospora )
に属することを特徴とする請求項23に記載の酵素界面活性剤添加物。
25.前記脂肪分解酵素が、A.レフレキサ(A.reflexa)の株から得られ、遊離
Ca2+の欠如下でpH9よりpH10でより高い脂肪分解活性を有することを特徴とする
請求項17又は18に記載の酵素界面活性剤添加物。
26.前記脂肪分解酵素が、配列番号:4,5,6,7,8,9及び10からなる
群から選択されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項17に記載の酵素界
面活性剤添加物。
27.前記脂肪分解酵素が、前記配列の2以上を含み、好ましくは
前記配列の全てを含むことを特徴とする請求項26に記載の酵素界面活性剤添加物
。
28.前記脂肪分解酵素が、配列番号:11,12,13,14,17,18及び19からなる
群から選択されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項17に記載の酵素界
面活性剤添加物。
29.前記脂肪分解酵素が、前記配列の2以上を含み、好ましくは前記配列の全
てを含むことを特徴とする請求項28に記載の酵素界面活性剤添加物。
30.アブシジア・レフレキサの株から得られ、Ca2+の欠如下でpH9よりpH10に
おいてより高い脂肪分解酵素活性を有することを特徴とする脂肪分解酵素。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),AL,AM,AT,AU,BB,BG,BR,B
Y,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES
,FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG,
KP,KR,KZ,LK,LR,LS,LT,LU,L
V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ
,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,
SK,TJ,TM,TT,UA,UG,US,UZ,V
N
(72)発明者 高木 忍
千葉県市川市須和田2丁目5番地8号 カ
ーサ デ アキ 202号室
(72)発明者 堤 紀子
千葉県市川市東菅野3丁目2番地16号
(72)発明者 ハルキエール,トルベン
デンマーク国,デーコー−3460 ビルケロ
エド,ヘストコエブバイ 11エー