JPH10324877A - 石炭の液化方法 - Google Patents
石炭の液化方法Info
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- JPH10324877A JPH10324877A JP28858597A JP28858597A JPH10324877A JP H10324877 A JPH10324877 A JP H10324877A JP 28858597 A JP28858597 A JP 28858597A JP 28858597 A JP28858597 A JP 28858597A JP H10324877 A JPH10324877 A JP H10324877A
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- Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 従来の石炭液化方法の場合に比較し、スラリ
ー状混合体中の原料石炭への溶剤の含浸量が少なく、そ
のため、送液上の支障を生じることなくスラリー状混合
体中の石炭濃度を高くし得、その結果、液化油収率、単
位時間・単位容積当たりの石炭処理量、装置容積効率を
高くする。 【解決手段】 気液分離器(3) 等から得られる軽質油
と、石炭液化油を気相水添装置(7) 等により水素化処理
して得られる重質油とを混合してなる酸素含有量:1.5
質量%以下の混合溶剤を、石炭スラリー調製槽(1) にて
原料石炭に混合してスラリー状混合体を得、該混合体を
水添反応器(4) に供給する、或いは、該混合体を気液分
離器(3) に送って軽質油を分離してスラリー濃度をさら
に高めてから水添反応器(4) に供給し、水添工程を遂行
する石炭の液化方法。
ー状混合体中の原料石炭への溶剤の含浸量が少なく、そ
のため、送液上の支障を生じることなくスラリー状混合
体中の石炭濃度を高くし得、その結果、液化油収率、単
位時間・単位容積当たりの石炭処理量、装置容積効率を
高くする。 【解決手段】 気液分離器(3) 等から得られる軽質油
と、石炭液化油を気相水添装置(7) 等により水素化処理
して得られる重質油とを混合してなる酸素含有量:1.5
質量%以下の混合溶剤を、石炭スラリー調製槽(1) にて
原料石炭に混合してスラリー状混合体を得、該混合体を
水添反応器(4) に供給する、或いは、該混合体を気液分
離器(3) に送って軽質油を分離してスラリー濃度をさら
に高めてから水添反応器(4) に供給し、水添工程を遂行
する石炭の液化方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭の液化方法に
関し、詳細には、原料石炭に溶剤を混合してスラリー状
混合体を得る原料調整工程と、該混合体に水素を添加し
て石炭を水添する水添処理工程とを含む石炭の液化方法
に関する技術分野に属する。
関し、詳細には、原料石炭に溶剤を混合してスラリー状
混合体を得る原料調整工程と、該混合体に水素を添加し
て石炭を水添する水添処理工程とを含む石炭の液化方法
に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】二度の石油危機を契機として、石油代替
燃料に関する技術開発が強く望まれている。特に、石炭
はその埋蔵量が豊富なことから、石炭を効率良く液化し
て燃料油を得る技術の確立が重要な課題となっている。
燃料に関する技術開発が強く望まれている。特に、石炭
はその埋蔵量が豊富なことから、石炭を効率良く液化し
て燃料油を得る技術の確立が重要な課題となっている。
【0003】このため、従来より石炭の液化方法が種々
提案されている。その代表的な石炭の液化方法として
は、粉砕された原料石炭に溶剤及び触媒を混合してスラ
リー状混合体を得る原料調整工程と、該混合体に高温高
圧下で水素ガスを添加して石炭を水添する水添工程と、
該水添工程で得られる水添生成物から油分を分離して得
る油分分離工程とを有する石炭の液化方法を挙げること
ができる。ここで、油分分離工程としては、一般的に
は、水添生成物を気液分離器に送給し、該気液分離器で
の減圧操作によりCO,CO2 等の不要ガスを除去すると共
に、気相留分と液相留分とを分離して得る気液分離工程
が採用される。そして、得られた液相留分は蒸留工程等
により沸点範囲を調整し、製品油として回収され、その
一部が前記原料調整工程に循環供給され、原料石炭に混
合する溶剤(いわゆる循環溶剤)として用いられる。
提案されている。その代表的な石炭の液化方法として
は、粉砕された原料石炭に溶剤及び触媒を混合してスラ
リー状混合体を得る原料調整工程と、該混合体に高温高
圧下で水素ガスを添加して石炭を水添する水添工程と、
該水添工程で得られる水添生成物から油分を分離して得
る油分分離工程とを有する石炭の液化方法を挙げること
ができる。ここで、油分分離工程としては、一般的に
は、水添生成物を気液分離器に送給し、該気液分離器で
の減圧操作によりCO,CO2 等の不要ガスを除去すると共
に、気相留分と液相留分とを分離して得る気液分離工程
が採用される。そして、得られた液相留分は蒸留工程等
により沸点範囲を調整し、製品油として回収され、その
一部が前記原料調整工程に循環供給され、原料石炭に混
合する溶剤(いわゆる循環溶剤)として用いられる。
【0004】かかる石炭液化プロセスにおいて、スラリ
ー状混合体中の石炭濃度が高い方が経済的に有利である
が、石炭濃度を高くするとスラリー状混合体の粘度が高
くなるため、その取り扱いが困難となる。そこで、スラ
リー状混合体中の石炭濃度は、その混合体の取り扱いに
支障がない濃度に設定される。従来の石炭液化方法の場
合、この石炭濃度は低く、特に、褐炭の場合は、細孔構
造が発達しているため、溶剤の一部が褐炭の細孔に吸収
され、スラリー状混合体の粘度が高くなることから、ス
ラリー状混合体中の石炭濃度は28〜35質量%程度という
低い濃度に制限されることが多く、かかる低い濃度に設
定する必要があった。そのため、従来の石炭液化方法の
場合、反応器容積に対して処理できる石炭の量が少な
く、装置容積効率が低く、又、石炭と触媒との接触効率
が低く、液化油収率が低かった。
ー状混合体中の石炭濃度が高い方が経済的に有利である
が、石炭濃度を高くするとスラリー状混合体の粘度が高
くなるため、その取り扱いが困難となる。そこで、スラ
リー状混合体中の石炭濃度は、その混合体の取り扱いに
支障がない濃度に設定される。従来の石炭液化方法の場
合、この石炭濃度は低く、特に、褐炭の場合は、細孔構
造が発達しているため、溶剤の一部が褐炭の細孔に吸収
され、スラリー状混合体の粘度が高くなることから、ス
ラリー状混合体中の石炭濃度は28〜35質量%程度という
低い濃度に制限されることが多く、かかる低い濃度に設
定する必要があった。そのため、従来の石炭液化方法の
場合、反応器容積に対して処理できる石炭の量が少な
く、装置容積効率が低く、又、石炭と触媒との接触効率
が低く、液化油収率が低かった。
【0005】即ち、原料調整工程で調整する溶剤及び石
炭を含むスラリー状混合体(以下、スラリー)中の石炭
濃度を高めることが、輸送効率、容積効率向上の点から
重要となっている。又、スラリー中の石炭濃度を高める
ことは、触媒と石炭との接触効率を高めるために、液化
反応性を向上させることが期待できる。ところで、スラ
リーを得る際の溶剤としては、水添生成物から分離して
得られた油分(石炭液化油)を蒸留して沸点範囲を調整
した溶剤(循環溶剤)を使用するのが一般的である。し
かし、この溶剤は一部が原料石炭の細孔に吸収され、ス
ラリーの粘度が高くなり、特に、原料石炭として褐炭を
用いた場合は、褐炭内部に細孔構造が発達しているた
め、溶剤の一部が細孔内に吸収され、スラリーの粘度が
他の炭種を用いた場合より高くなる傾向が認められてい
る。
炭を含むスラリー状混合体(以下、スラリー)中の石炭
濃度を高めることが、輸送効率、容積効率向上の点から
重要となっている。又、スラリー中の石炭濃度を高める
ことは、触媒と石炭との接触効率を高めるために、液化
反応性を向上させることが期待できる。ところで、スラ
リーを得る際の溶剤としては、水添生成物から分離して
得られた油分(石炭液化油)を蒸留して沸点範囲を調整
した溶剤(循環溶剤)を使用するのが一般的である。し
かし、この溶剤は一部が原料石炭の細孔に吸収され、ス
ラリーの粘度が高くなり、特に、原料石炭として褐炭を
用いた場合は、褐炭内部に細孔構造が発達しているた
め、溶剤の一部が細孔内に吸収され、スラリーの粘度が
他の炭種を用いた場合より高くなる傾向が認められてい
る。
【0006】ここで、石炭液化プロセスの工業的規模の
プラントにおける原料調整槽から予熱器、反応器へのス
ラリーフィードポンプの吐出性能から考えると、送液可
能なスラリーの粘度は温度100 ℃においておよそ500mPa
・s 以下である。原料石炭として豪州褐炭を水分:15質
量%以下、粒度:60メッシュ以下に調整した石炭を用
い、溶剤として該石炭から得られた石炭液化油の180 ℃
〜420 ℃の留分を用いて、スラリーを調整した場合、ス
ラリー中の石炭濃度は28〜35質量%程度の低い濃度(溶
剤質量:供給される原料石炭の無水無灰分換算の石炭質
量に対して1.8 〜2.5 倍程度)でないと、送液可能な限
界スラリーの粘度以下にできないことが確認されてい
る。かかるスラリーにおける石炭濃度では、石炭液化時
における石炭と触媒との接触効率が低下し反応性が低い
ばかりでなく、単位時間当たりの石炭処理量が少ないた
めに、フィードポンプの送液容量や水添反応器の内容積
が大きくなり、効率的でない。
プラントにおける原料調整槽から予熱器、反応器へのス
ラリーフィードポンプの吐出性能から考えると、送液可
能なスラリーの粘度は温度100 ℃においておよそ500mPa
・s 以下である。原料石炭として豪州褐炭を水分:15質
量%以下、粒度:60メッシュ以下に調整した石炭を用
い、溶剤として該石炭から得られた石炭液化油の180 ℃
〜420 ℃の留分を用いて、スラリーを調整した場合、ス
ラリー中の石炭濃度は28〜35質量%程度の低い濃度(溶
剤質量:供給される原料石炭の無水無灰分換算の石炭質
量に対して1.8 〜2.5 倍程度)でないと、送液可能な限
界スラリーの粘度以下にできないことが確認されてい
る。かかるスラリーにおける石炭濃度では、石炭液化時
における石炭と触媒との接触効率が低下し反応性が低い
ばかりでなく、単位時間当たりの石炭処理量が少ないた
めに、フィードポンプの送液容量や水添反応器の内容積
が大きくなり、効率的でない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な事情
に着目してなされたものであって、その目的は、前記従
来の石炭液化方法の場合に比較し、スラリー状混合体中
の原料石炭への溶剤の含浸量が少なくなり、そのため、
送液可能なスラリー状混合体の限界粘度以内の粘度を確
保するに必要な溶剤の量が少なくてすみ、送液上の支障
を生じることなくスラリー状混合体中の石炭濃度を高く
することができ、その結果、石炭と触媒との接触効率が
向上し、ひいては液化油収率をより向上し得、又、水添
での単位時間・単位容積当たりの石炭処理量が増大し、
ひいては反応器容積に対して処理できる石炭の量が多
く、装置容積効率を高くし得る石炭の液化方法を提供し
ようとするものである。
に着目してなされたものであって、その目的は、前記従
来の石炭液化方法の場合に比較し、スラリー状混合体中
の原料石炭への溶剤の含浸量が少なくなり、そのため、
送液可能なスラリー状混合体の限界粘度以内の粘度を確
保するに必要な溶剤の量が少なくてすみ、送液上の支障
を生じることなくスラリー状混合体中の石炭濃度を高く
することができ、その結果、石炭と触媒との接触効率が
向上し、ひいては液化油収率をより向上し得、又、水添
での単位時間・単位容積当たりの石炭処理量が増大し、
ひいては反応器容積に対して処理できる石炭の量が多
く、装置容積効率を高くし得る石炭の液化方法を提供し
ようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る石炭の液化方法は、請求項1〜8記
載の石炭の液化方法としており、それは次のような構成
としたものである。即ち、請求項1記載の石炭の液化方
法は、原料石炭に溶剤を混合してスラリー状混合体を得
る原料調整工程と、該混合体に水素を添加して石炭を水
添する水添工程とを含む石炭の液化方法において、前記
溶剤として、軽質油と、石炭を原料として得られた石炭
液化油を水素化処理して得られる重質油とを、混合して
なる酸素含有量:1.5 質量%以下の混合溶剤を用いるこ
とを特徴とする石炭の液化方法である(第1発明)。
めに、本発明に係る石炭の液化方法は、請求項1〜8記
載の石炭の液化方法としており、それは次のような構成
としたものである。即ち、請求項1記載の石炭の液化方
法は、原料石炭に溶剤を混合してスラリー状混合体を得
る原料調整工程と、該混合体に水素を添加して石炭を水
添する水添工程とを含む石炭の液化方法において、前記
溶剤として、軽質油と、石炭を原料として得られた石炭
液化油を水素化処理して得られる重質油とを、混合して
なる酸素含有量:1.5 質量%以下の混合溶剤を用いるこ
とを特徴とする石炭の液化方法である(第1発明)。
【0009】請求項2記載の石炭の液化方法は、前記原
料調整工程で得られたスラリー状混合体を予熱し、気液
分離操作により該混合体中の混合溶剤中の軽質油を分離
して該混合体のスラリー濃度を高めた後、該混合体を前
記水添工程に送給する請求項1記載の石炭の液化方法で
ある(第2発明)。
料調整工程で得られたスラリー状混合体を予熱し、気液
分離操作により該混合体中の混合溶剤中の軽質油を分離
して該混合体のスラリー濃度を高めた後、該混合体を前
記水添工程に送給する請求項1記載の石炭の液化方法で
ある(第2発明)。
【0010】請求項3記載の石炭の液化方法は、前記水
添工程に送給されるスラリー状混合体中の溶剤の質量
が、原料石炭の無水無灰分換算の石炭質量の0.3 〜1.0
倍である請求項2記載の石炭の液化方法である(第3発
明)。請求項4記載の石炭の液化方法は、前記原料調整
工程で用いられる軽質油及び重質油の混合溶剤中の軽質
油量が30〜70質量%である請求項2又は3記載の石炭の
液化方法である(第4発明)。請求項5記載の石炭の液
化方法は、前記原料調整工程で原料石炭に混合する溶剤
の質量が、原料石炭の無水無灰分換算の石炭質量の1.0
〜1.5 倍である請求項1、2、3又は4記載の石炭の液
化方法である(第5発明)。請求項6記載の石炭の液化
方法は、前記原料石炭が褐炭である請求項1、2、3、
4又は5記載の石炭の液化方法である(第6発明)。請
求項7記載の石炭の液化方法は、前記軽質油が300 ℃以
下の連続的な沸点分布を有する軽質油であり、前記重質
油が300 〜420 ℃の連続的な沸点分布を有する重質油で
ある請求項1、2、3、4、5又は6記載の石炭の液化
方法である(第7発明)。
添工程に送給されるスラリー状混合体中の溶剤の質量
が、原料石炭の無水無灰分換算の石炭質量の0.3 〜1.0
倍である請求項2記載の石炭の液化方法である(第3発
明)。請求項4記載の石炭の液化方法は、前記原料調整
工程で用いられる軽質油及び重質油の混合溶剤中の軽質
油量が30〜70質量%である請求項2又は3記載の石炭の
液化方法である(第4発明)。請求項5記載の石炭の液
化方法は、前記原料調整工程で原料石炭に混合する溶剤
の質量が、原料石炭の無水無灰分換算の石炭質量の1.0
〜1.5 倍である請求項1、2、3又は4記載の石炭の液
化方法である(第5発明)。請求項6記載の石炭の液化
方法は、前記原料石炭が褐炭である請求項1、2、3、
4又は5記載の石炭の液化方法である(第6発明)。請
求項7記載の石炭の液化方法は、前記軽質油が300 ℃以
下の連続的な沸点分布を有する軽質油であり、前記重質
油が300 〜420 ℃の連続的な沸点分布を有する重質油で
ある請求項1、2、3、4、5又は6記載の石炭の液化
方法である(第7発明)。
【0011】請求項8記載の石炭の液化方法は、前記酸
素含有量:1.5 質量%以下の混合溶剤に含まれる酸素を
有する酸素含有化合物の酸素量に対する、酸素を水酸基
として有する酸素含有化合物の酸素量の割合が、60質量
%以下である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載
の石炭の液化方法である(第8発明)。
素含有量:1.5 質量%以下の混合溶剤に含まれる酸素を
有する酸素含有化合物の酸素量に対する、酸素を水酸基
として有する酸素含有化合物の酸素量の割合が、60質量
%以下である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載
の石炭の液化方法である(第8発明)。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は石炭の液化方法に係わ
り、例えば次のようにして実施する。石炭を原料として
得られた石炭液化油を水素化処理して得られる重質油
と、該石炭液化油を蒸留して得られる軽質油とを酸素含
有量:1.5 質量%以下になるように混合して混合溶剤と
なす。このようにして得られた混合溶剤と石炭液化用触
媒とを粉砕された原料石炭(原料褐炭等)に混合して、
スラリー状混合体を得る。次に、このスラリー状混合体
に高温高圧下で水素ガスを添加して石炭を水添する。こ
こで、石炭液化油の水素化処理は、石炭液化油を水素と
反応させる処理のことであり、この処理により水素化処
理油(溶剤)が得られる。この水素化処理油から分離し
て得られる重質油が、石炭液化油を水素化処理して得ら
れる重質油のことである。
り、例えば次のようにして実施する。石炭を原料として
得られた石炭液化油を水素化処理して得られる重質油
と、該石炭液化油を蒸留して得られる軽質油とを酸素含
有量:1.5 質量%以下になるように混合して混合溶剤と
なす。このようにして得られた混合溶剤と石炭液化用触
媒とを粉砕された原料石炭(原料褐炭等)に混合して、
スラリー状混合体を得る。次に、このスラリー状混合体
に高温高圧下で水素ガスを添加して石炭を水添する。こ
こで、石炭液化油の水素化処理は、石炭液化油を水素と
反応させる処理のことであり、この処理により水素化処
理油(溶剤)が得られる。この水素化処理油から分離し
て得られる重質油が、石炭液化油を水素化処理して得ら
れる重質油のことである。
【0013】上記の如き石炭液化油を水素化処理して得
られる重質油は、水素化処理によって水酸基やカルボニ
ル基、エーテル基等を有する含酸素化合物、即ち酸素含
有化合物の量が少なくなっている。そのため、この重質
油と軽質油とを混合して混合溶剤とし、これを原料石炭
に混合してスラリー状混合体とすると、この溶剤の含酸
素化合物中の水酸基やカルボニル基、エーテル基等の含
酸素官能基と、石炭の構成分子が有する水酸基やカルボ
ニル基、エーテル基等の含酸素官能基との相互作用が弱
く、石炭への溶剤の含浸量が少なくなる。
られる重質油は、水素化処理によって水酸基やカルボニ
ル基、エーテル基等を有する含酸素化合物、即ち酸素含
有化合物の量が少なくなっている。そのため、この重質
油と軽質油とを混合して混合溶剤とし、これを原料石炭
に混合してスラリー状混合体とすると、この溶剤の含酸
素化合物中の水酸基やカルボニル基、エーテル基等の含
酸素官能基と、石炭の構成分子が有する水酸基やカルボ
ニル基、エーテル基等の含酸素官能基との相互作用が弱
く、石炭への溶剤の含浸量が少なくなる。
【0014】かかる本発明の実施の形態からもわかるよ
うに、本発明に係る石炭の液化方法によれば、従来の石
炭液化方法の場合に比較し、スラリー状混合体中の原料
石炭への溶剤の含浸量が少なくなる。即ち、本発明に係
る石炭の液化方法においては、従来の石炭液化方法の場
合と異なり、原料石炭に溶剤を混合してスラリー状混合
体を得る原料調整工程での溶剤(スラリー調製用溶剤)
として、軽質油と石炭液化油を水素化処理して得られる
重質油とを酸素含有量:1.5 質量%以下になるように混
合してなる混合溶剤を用いており、それに起因して、従
来の石炭液化方法の場合に比較し、溶剤(スラリー調製
用溶剤)と石炭との相互作用が減少し、スラリー状混合
体中の原料石炭への溶剤の含浸量が少なくなる。そのた
め、送液可能なスラリー状混合体の限界粘度以内の粘度
を確保するに必要な溶剤の量が少なくてすみ、送液上の
支障を生じることなくスラリー状混合体中の石炭濃度を
高くすることができるようになる。その結果、輸送効率
が向上し、又、石炭と触媒との接触効率が向上し、ひい
ては液化油収率をより向上し得、更に、水添での単位時
間・単位容積当たりの石炭処理量が増大し、ひいては反
応器容積に対して処理できる石炭の量が多く、装置容積
効率を高くし得るようになる(第1発明)。
うに、本発明に係る石炭の液化方法によれば、従来の石
炭液化方法の場合に比較し、スラリー状混合体中の原料
石炭への溶剤の含浸量が少なくなる。即ち、本発明に係
る石炭の液化方法においては、従来の石炭液化方法の場
合と異なり、原料石炭に溶剤を混合してスラリー状混合
体を得る原料調整工程での溶剤(スラリー調製用溶剤)
として、軽質油と石炭液化油を水素化処理して得られる
重質油とを酸素含有量:1.5 質量%以下になるように混
合してなる混合溶剤を用いており、それに起因して、従
来の石炭液化方法の場合に比較し、溶剤(スラリー調製
用溶剤)と石炭との相互作用が減少し、スラリー状混合
体中の原料石炭への溶剤の含浸量が少なくなる。そのた
め、送液可能なスラリー状混合体の限界粘度以内の粘度
を確保するに必要な溶剤の量が少なくてすみ、送液上の
支障を生じることなくスラリー状混合体中の石炭濃度を
高くすることができるようになる。その結果、輸送効率
が向上し、又、石炭と触媒との接触効率が向上し、ひい
ては液化油収率をより向上し得、更に、水添での単位時
間・単位容積当たりの石炭処理量が増大し、ひいては反
応器容積に対して処理できる石炭の量が多く、装置容積
効率を高くし得るようになる(第1発明)。
【0015】更に、前記原料調整工程で前記混合溶剤を
スラリー調製用溶剤として用いて得られるスラリー状混
合体を予熱し、気液分離操作により該混合体中の混合溶
剤中の軽質油を分離することにより、該混合体のスラリ
ー濃度をさらに高めることができ、かかる高スラリー濃
度のスラリー状混合体を水添工程に送給して水添するこ
とができ、その結果、液化油収率、単位時間・単位容積
当たりの石炭処理量、装置容積効率をさらに向上し得る
ようになる(第2発明)。
スラリー調製用溶剤として用いて得られるスラリー状混
合体を予熱し、気液分離操作により該混合体中の混合溶
剤中の軽質油を分離することにより、該混合体のスラリ
ー濃度をさらに高めることができ、かかる高スラリー濃
度のスラリー状混合体を水添工程に送給して水添するこ
とができ、その結果、液化油収率、単位時間・単位容積
当たりの石炭処理量、装置容積効率をさらに向上し得る
ようになる(第2発明)。
【0016】この詳細を以下説明する。
【0017】本発明者らは、スラリー(スラリー状混合
体)の粘度に及ぼす原料石炭及び溶剤の性状の影響につ
いて鋭意検討した。その結果、特に原料石炭として褐炭
を用いた場合、褐炭は炭化度が低い炭種であるため、褐
炭の構成分子中に多くの水酸基、カルボニル基、エーテ
ル基等の含酸素官能基が存在しており、この褐炭に溶剤
として前記従来技術で使用される循環溶剤(石炭液化油
を蒸留して沸点範囲を調整した溶剤)を混合してスラリ
ーとすると、この溶剤中に存在する含酸素化合物中の水
酸基、カルボニル基、エーテル基等の含酸素官能基と、
前記褐炭中の含酸素官能基との水素結合等による相互作
用が生じるために、褐炭内部への溶剤の含浸が促進さ
れ、それに伴ってスラリー粘度が上昇することを見い出
した。
体)の粘度に及ぼす原料石炭及び溶剤の性状の影響につ
いて鋭意検討した。その結果、特に原料石炭として褐炭
を用いた場合、褐炭は炭化度が低い炭種であるため、褐
炭の構成分子中に多くの水酸基、カルボニル基、エーテ
ル基等の含酸素官能基が存在しており、この褐炭に溶剤
として前記従来技術で使用される循環溶剤(石炭液化油
を蒸留して沸点範囲を調整した溶剤)を混合してスラリ
ーとすると、この溶剤中に存在する含酸素化合物中の水
酸基、カルボニル基、エーテル基等の含酸素官能基と、
前記褐炭中の含酸素官能基との水素結合等による相互作
用が生じるために、褐炭内部への溶剤の含浸が促進さ
れ、それに伴ってスラリー粘度が上昇することを見い出
した。
【0018】特に、褐炭に混合する溶剤として、褐炭を
原料として得られた石炭液化油を蒸留により沸点範囲:
180 ℃から420 ℃の留分に調整した溶剤を用いた場合、
溶剤中の酸素含有量は3質量%以上となり、これらの酸
素は主にフェノール、ベンゾフラン、クレゾール等の芳
香族系含酸素化合物の形で溶剤中に存在している。その
ため、褐炭内部への溶剤の含浸がより促進され、スラリ
ー粘度がさらに上昇する。このように溶剤中の酸素含有
量が高いのは、炭化度の低い褐炭は炭化度の高い亜瀝青
炭、瀝青炭に比べて元々酸素含有量が20質量%以上と高
いために、褐炭を原料として得られる石炭液化油中にも
多くの含酸素化合物が含まれるためである。
原料として得られた石炭液化油を蒸留により沸点範囲:
180 ℃から420 ℃の留分に調整した溶剤を用いた場合、
溶剤中の酸素含有量は3質量%以上となり、これらの酸
素は主にフェノール、ベンゾフラン、クレゾール等の芳
香族系含酸素化合物の形で溶剤中に存在している。その
ため、褐炭内部への溶剤の含浸がより促進され、スラリ
ー粘度がさらに上昇する。このように溶剤中の酸素含有
量が高いのは、炭化度の低い褐炭は炭化度の高い亜瀝青
炭、瀝青炭に比べて元々酸素含有量が20質量%以上と高
いために、褐炭を原料として得られる石炭液化油中にも
多くの含酸素化合物が含まれるためである。
【0019】そこで、本発明者らは、スラリー中におけ
る石炭と溶剤との相互作用を低下させ、石炭内部への溶
剤の含浸量を低減し、スラリー粘度の上昇を緩和するた
め、溶剤として使用する石炭液化油中の酸素含有量を低
減させることを試みた。この酸素含有量の低減方法とし
ては、石炭液化油(溶剤)をさらに水素化処理し、それ
により溶剤中の含酸素化合物を分解、水素化して、含酸
素化合物中の酸素原子を水又はCO,CO2 の形で除去する
方法が挙げられる。かかる石炭液化油の水素化処理の代
表的方法としては、例えば触媒としてNi-Mo 系触媒やCo
-Mo 系触媒を充填した流通式固定床高圧反応装置を用
い、温度:300〜400 ℃、水素圧力:10〜20MPa 、LHSV
(液空間速度):0.5 〜1.5 hr-1の条件下で石炭液化油
を処理し、水素化処理油を得る方法がある。
る石炭と溶剤との相互作用を低下させ、石炭内部への溶
剤の含浸量を低減し、スラリー粘度の上昇を緩和するた
め、溶剤として使用する石炭液化油中の酸素含有量を低
減させることを試みた。この酸素含有量の低減方法とし
ては、石炭液化油(溶剤)をさらに水素化処理し、それ
により溶剤中の含酸素化合物を分解、水素化して、含酸
素化合物中の酸素原子を水又はCO,CO2 の形で除去する
方法が挙げられる。かかる石炭液化油の水素化処理の代
表的方法としては、例えば触媒としてNi-Mo 系触媒やCo
-Mo 系触媒を充填した流通式固定床高圧反応装置を用
い、温度:300〜400 ℃、水素圧力:10〜20MPa 、LHSV
(液空間速度):0.5 〜1.5 hr-1の条件下で石炭液化油
を処理し、水素化処理油を得る方法がある。
【0020】褐炭を原料として得られた石炭液化油を上
記の如き水素化処理方法により水素化処理し、得られた
生成液(水素化処理油)を蒸留により180 ℃から420 ℃
の留分に調製し生成液を得たところ、この生成液中の酸
素含有量は水素化処理条件によるが0.5 〜1.5 質量%で
あった。
記の如き水素化処理方法により水素化処理し、得られた
生成液(水素化処理油)を蒸留により180 ℃から420 ℃
の留分に調製し生成液を得たところ、この生成液中の酸
素含有量は水素化処理条件によるが0.5 〜1.5 質量%で
あった。
【0021】この中の酸素含有量:1.2 質量%の生成液
を溶剤として豪州褐炭に混合してスラリーを調製したと
ころ、スラリー中での石炭濃度を40質量%(溶剤質量:
無水無灰分換算の石炭質量の1.5 倍)にした場合は100
℃におけるスラリー粘度:約210mPa・s であり、又、50
0mPa・s の送液限界のスラリー粘度に相当するようにス
ラリー中の石炭濃度を調整したところ、そのスラリー中
石炭濃度は48質量%(溶剤質量:無水無灰分換算の石炭
質量の1.08倍)となり、石炭液化油を直接スラリー調製
用の溶剤として用いた場合に比べ石炭濃度を高くするこ
とができた(第1発明)。
を溶剤として豪州褐炭に混合してスラリーを調製したと
ころ、スラリー中での石炭濃度を40質量%(溶剤質量:
無水無灰分換算の石炭質量の1.5 倍)にした場合は100
℃におけるスラリー粘度:約210mPa・s であり、又、50
0mPa・s の送液限界のスラリー粘度に相当するようにス
ラリー中の石炭濃度を調整したところ、そのスラリー中
石炭濃度は48質量%(溶剤質量:無水無灰分換算の石炭
質量の1.08倍)となり、石炭液化油を直接スラリー調製
用の溶剤として用いた場合に比べ石炭濃度を高くするこ
とができた(第1発明)。
【0022】このようにスラリー中の石炭濃度を高くし
てもスラリー粘度が低いのは、石炭液化油(溶剤)中の
酸素含有量を水素化処理により低下させることにより該
溶剤中の含酸素化合物が減少し、そのため、溶剤の含酸
素化合物中の水酸基、カルボニル基、エーテル基等の含
酸素官能基と、褐炭の構成分子が有する水酸基、カルボ
ニル基、エーテル基等の含酸素官能基との相互作用が減
少し、褐炭内部への溶剤の含浸量が低下したためと考え
られる。
てもスラリー粘度が低いのは、石炭液化油(溶剤)中の
酸素含有量を水素化処理により低下させることにより該
溶剤中の含酸素化合物が減少し、そのため、溶剤の含酸
素化合物中の水酸基、カルボニル基、エーテル基等の含
酸素官能基と、褐炭の構成分子が有する水酸基、カルボ
ニル基、エーテル基等の含酸素官能基との相互作用が減
少し、褐炭内部への溶剤の含浸量が低下したためと考え
られる。
【0023】上記石炭液化油(溶剤)の水素化処理条件
を緩和して水素化処理後の溶剤中の酸素含有量:1.5 質
量%超とし、該溶剤を用いてスラリーを調製した場合
は、スラリー中の石炭濃度を40質量%以下(溶剤質量:
無水無灰分換算の石炭質量の1.5 倍以上)にしないと、
前記送液限界以下のスラリー粘度にならない。又、酸素
含有量:1.5 質量%以下の水素化処理溶剤を用いてもス
ラリー中の石炭濃度を50質量%以上(溶剤質量:無水無
灰分換算の石炭質量の1.0 倍以下)とすると、前記送液
限界以上のスラリー粘度になることが多く好ましくな
い。従って、酸素含有量:1.5 質量%以下の水素化処理
溶剤を用いるときの原料調整工程でのスラリー中の石炭
濃度は50質量%以下(溶剤質量:無水無灰分換算の石炭
質量の1.0 倍以上)にすることが望ましい。このとき、
このスラリー中の石炭濃度を40質量%以上(溶剤質量:
無水無灰分換算の石炭質量の1.5 倍以下)にすることが
でき、そうすると、スラリー中の石炭濃度:28〜35質量
%(溶剤質量:原料石炭の無水無灰分換算の石炭質量の
1.8 〜2.5 倍)程度である従来技術の場合よりも石炭濃
度が極めて高くなる。かかる点から、原料調整工程での
スラリー中の石炭濃度は40〜50質量%(溶剤質量:無水
無灰分換算の石炭質量の1.0 〜1.5 倍)にすることが望
ましい(第5発明)。
を緩和して水素化処理後の溶剤中の酸素含有量:1.5 質
量%超とし、該溶剤を用いてスラリーを調製した場合
は、スラリー中の石炭濃度を40質量%以下(溶剤質量:
無水無灰分換算の石炭質量の1.5 倍以上)にしないと、
前記送液限界以下のスラリー粘度にならない。又、酸素
含有量:1.5 質量%以下の水素化処理溶剤を用いてもス
ラリー中の石炭濃度を50質量%以上(溶剤質量:無水無
灰分換算の石炭質量の1.0 倍以下)とすると、前記送液
限界以上のスラリー粘度になることが多く好ましくな
い。従って、酸素含有量:1.5 質量%以下の水素化処理
溶剤を用いるときの原料調整工程でのスラリー中の石炭
濃度は50質量%以下(溶剤質量:無水無灰分換算の石炭
質量の1.0 倍以上)にすることが望ましい。このとき、
このスラリー中の石炭濃度を40質量%以上(溶剤質量:
無水無灰分換算の石炭質量の1.5 倍以下)にすることが
でき、そうすると、スラリー中の石炭濃度:28〜35質量
%(溶剤質量:原料石炭の無水無灰分換算の石炭質量の
1.8 〜2.5 倍)程度である従来技術の場合よりも石炭濃
度が極めて高くなる。かかる点から、原料調整工程での
スラリー中の石炭濃度は40〜50質量%(溶剤質量:無水
無灰分換算の石炭質量の1.0 〜1.5 倍)にすることが望
ましい(第5発明)。
【0024】一方、石炭液化反応の観点からは、液化反
応に用いる溶剤としては沸点範囲:300 〜420 ℃の重質
油を用いた方が、沸点範囲:180 〜420 ℃の溶剤を用い
た場合より、得られる石炭液化油が軽質留分に富むこと
が既に明らかとなっている。従って、原料調整工程で石
炭とのスラリー調製に用いる溶剤としては、水素化処理
溶剤の重質油を使用することが望ましい。そこで、前記
水素化処理溶剤を蒸留により沸点範囲:300 〜420 ℃の
留分を分離し、酸素含有量:1.7 質量%の水素化処理溶
剤の重質油を得て、先に挙げた豪州褐炭を用いて同様に
スラリーを調製したところ、スラリー中の石炭濃度を40
質量%(溶剤質量:無水無灰分換算の石炭質量の1.5
倍)で調製した場合は100 ℃でのスラリー粘度:約610m
Pa・s であり、又、500mPa・s の送液限界のスラリー粘
度に相当するようにスラリー中の石炭濃度を調整したと
ころ、そのスラリー中石炭濃度は35質量%(溶剤質量:
無水無灰分換算の石炭質量の1.8 倍)となり、沸点範
囲:180 〜420 ℃の水素化処理溶剤を用いたときより石
炭濃度が低くなることが明らかとなった。かかる石炭濃
度では触媒と石炭の接触効率が低く、液化反応性が低下
することが予想される。
応に用いる溶剤としては沸点範囲:300 〜420 ℃の重質
油を用いた方が、沸点範囲:180 〜420 ℃の溶剤を用い
た場合より、得られる石炭液化油が軽質留分に富むこと
が既に明らかとなっている。従って、原料調整工程で石
炭とのスラリー調製に用いる溶剤としては、水素化処理
溶剤の重質油を使用することが望ましい。そこで、前記
水素化処理溶剤を蒸留により沸点範囲:300 〜420 ℃の
留分を分離し、酸素含有量:1.7 質量%の水素化処理溶
剤の重質油を得て、先に挙げた豪州褐炭を用いて同様に
スラリーを調製したところ、スラリー中の石炭濃度を40
質量%(溶剤質量:無水無灰分換算の石炭質量の1.5
倍)で調製した場合は100 ℃でのスラリー粘度:約610m
Pa・s であり、又、500mPa・s の送液限界のスラリー粘
度に相当するようにスラリー中の石炭濃度を調整したと
ころ、そのスラリー中石炭濃度は35質量%(溶剤質量:
無水無灰分換算の石炭質量の1.8 倍)となり、沸点範
囲:180 〜420 ℃の水素化処理溶剤を用いたときより石
炭濃度が低くなることが明らかとなった。かかる石炭濃
度では触媒と石炭の接触効率が低く、液化反応性が低下
することが予想される。
【0025】そこで、水素化処理溶剤の重質油を使用
し、かつ水添反応器に送給するスラリー中の石炭濃度を
高く保つために、本発明者らはスラリー調製工程におけ
る溶剤の留分構成に着目し、スラリー調製時において水
素化処理溶剤の重質油に沸点範囲:300 ℃以下の軽質油
を混合させることでスラリー粘度を低下させ、かつスラ
リーが水添反応器に入る前に溶剤中の軽質油分を気液分
離操作により分離することで、スラリー中の溶剤を実質
的に水素化処理溶剤の重質油のみに濃縮できることを見
出した(第2発明)。即ち、スラリー調製用溶剤として
沸点範囲:300 ℃以下の軽質油と沸点範囲:300 〜420
℃の水素化処理溶剤の重質油を混合した溶剤を用い、そ
の軽質油を原料調整工程から予熱工程へ送給した後に、
温度300 ℃付近の気液分離工程において軽質油を分離す
ることにより、反応器に送給する前のスラリーが実質的
に石炭と重質油から構成され、かつ300 ℃以上の高温条
件下であるためにスラリー中の石炭濃度が前述の40〜50
質量%より高くても流動性があり、送給可能であること
を見出した。この際、原料調整工程で使用する軽質油と
重質油との混合溶剤は、その溶剤中の酸素含有量が前述
の如く原料石炭との相互作用低減のために1.5 質量%以
下であることが必要である。ここで、沸点範囲:300 ℃
以下の軽質油については、水素化処理溶剤の軽質成分を
使うことが望ましいが、重質油との混合後の溶剤中の酸
素含有量が1.5 質量%以下になるような軽質油の性状及
び混合割合であるならば、必ずしも水素化処理溶剤であ
る必要はない。
し、かつ水添反応器に送給するスラリー中の石炭濃度を
高く保つために、本発明者らはスラリー調製工程におけ
る溶剤の留分構成に着目し、スラリー調製時において水
素化処理溶剤の重質油に沸点範囲:300 ℃以下の軽質油
を混合させることでスラリー粘度を低下させ、かつスラ
リーが水添反応器に入る前に溶剤中の軽質油分を気液分
離操作により分離することで、スラリー中の溶剤を実質
的に水素化処理溶剤の重質油のみに濃縮できることを見
出した(第2発明)。即ち、スラリー調製用溶剤として
沸点範囲:300 ℃以下の軽質油と沸点範囲:300 〜420
℃の水素化処理溶剤の重質油を混合した溶剤を用い、そ
の軽質油を原料調整工程から予熱工程へ送給した後に、
温度300 ℃付近の気液分離工程において軽質油を分離す
ることにより、反応器に送給する前のスラリーが実質的
に石炭と重質油から構成され、かつ300 ℃以上の高温条
件下であるためにスラリー中の石炭濃度が前述の40〜50
質量%より高くても流動性があり、送給可能であること
を見出した。この際、原料調整工程で使用する軽質油と
重質油との混合溶剤は、その溶剤中の酸素含有量が前述
の如く原料石炭との相互作用低減のために1.5 質量%以
下であることが必要である。ここで、沸点範囲:300 ℃
以下の軽質油については、水素化処理溶剤の軽質成分を
使うことが望ましいが、重質油との混合後の溶剤中の酸
素含有量が1.5 質量%以下になるような軽質油の性状及
び混合割合であるならば、必ずしも水素化処理溶剤であ
る必要はない。
【0026】前述の酸素含有量:1.7 質量%の水素化処
理溶剤の重質油:50質量%に、沸点範囲:180 〜300
℃,酸素含有量:0.9 質量%の水素化処理溶剤の軽質油
を50質量%混合し、酸素含有量:1.3 質量%の混合溶剤
を得て、先に挙げた豪州褐炭と同条件でスラリー調製し
たところ、スラリー中の石炭濃度を40質量%(溶剤質
量:無水無灰分換算の石炭質量の1.5 倍)で調製した場
合は100 ℃でのスラリー粘度:約350mPa・s であり、
又、500mPa・s の送液限界のスラリー粘度に相当するよ
うにスラリー中の石炭濃度を調整したところ、そのスラ
リー中石炭濃度は43質量%(溶剤質量:無水無灰分換算
の石炭質量の1.3 倍)となり、水素化処理溶剤の重質油
を用いたときより、石炭濃度を高くすることができた。
更に、このスラリーを用いて予熱工程後の気液分離操作
で軽質油を分離したところ、スラリーの石炭濃度が61質
量%(溶剤質量:無水無灰分換算の石炭質量の0.65倍)
と、水添反応器に送給するスラリー中での石炭濃度を大
幅に高めることができた。
理溶剤の重質油:50質量%に、沸点範囲:180 〜300
℃,酸素含有量:0.9 質量%の水素化処理溶剤の軽質油
を50質量%混合し、酸素含有量:1.3 質量%の混合溶剤
を得て、先に挙げた豪州褐炭と同条件でスラリー調製し
たところ、スラリー中の石炭濃度を40質量%(溶剤質
量:無水無灰分換算の石炭質量の1.5 倍)で調製した場
合は100 ℃でのスラリー粘度:約350mPa・s であり、
又、500mPa・s の送液限界のスラリー粘度に相当するよ
うにスラリー中の石炭濃度を調整したところ、そのスラ
リー中石炭濃度は43質量%(溶剤質量:無水無灰分換算
の石炭質量の1.3 倍)となり、水素化処理溶剤の重質油
を用いたときより、石炭濃度を高くすることができた。
更に、このスラリーを用いて予熱工程後の気液分離操作
で軽質油を分離したところ、スラリーの石炭濃度が61質
量%(溶剤質量:無水無灰分換算の石炭質量の0.65倍)
と、水添反応器に送給するスラリー中での石炭濃度を大
幅に高めることができた。
【0027】以上のように、原料調整工程でスラリーを
調製する溶剤として、軽質油と、石炭液化油を水素化処
理して得られる重質油とを、混合後の酸素含有量が1.5
質量%以下になるように混合してなる混合溶剤を用いこ
とにより、スラリー中の原料石炭への溶剤の含浸量が少
なくなり、そのため、送液可能なスラリー状混合体の限
界粘度以内の粘度を確保するに必要な溶剤の量が少なく
てすみ、送液上の支障を生じることなくスラリー状混合
体中の石炭濃度を高くすることができるようになること
を見出した。
調製する溶剤として、軽質油と、石炭液化油を水素化処
理して得られる重質油とを、混合後の酸素含有量が1.5
質量%以下になるように混合してなる混合溶剤を用いこ
とにより、スラリー中の原料石炭への溶剤の含浸量が少
なくなり、そのため、送液可能なスラリー状混合体の限
界粘度以内の粘度を確保するに必要な溶剤の量が少なく
てすみ、送液上の支障を生じることなくスラリー状混合
体中の石炭濃度を高くすることができるようになること
を見出した。
【0028】更に、上記混合溶剤を用いて原料調整工程
で得られたスラリー状混合体を予熱し、気液分離操作に
より該混合体中の混合溶剤中の軽質油を分離することに
より、スラリー状混合体中の石炭濃度(スラリー濃度)
をより高めることができることを見出した。
で得られたスラリー状混合体を予熱し、気液分離操作に
より該混合体中の混合溶剤中の軽質油を分離することに
より、スラリー状混合体中の石炭濃度(スラリー濃度)
をより高めることができることを見出した。
【0029】このとき、原料調整工程において用いられ
る軽質油及び重質油の混合溶剤中の軽質油量は30〜70質
量%であることが望ましい。即ち、この混合溶剤中の軽
質油量を30質量%未満とすると、予熱後の気液分離操作
で軽質油を分離した後のスラリー中の石炭濃度が48質量
%未満(溶剤質量:無水無灰分換算の石炭質量の1.05倍
超)となり、水添反応器に送給するスラリー中の石炭濃
度が充分に高くなく、石炭と触媒の接触効率が低く、液
化反応効率が低下する傾向がある。一方、混合溶剤中の
軽質油量を70質量%超とすると、予熱後の気液分離操作
での軽質油分離後のスラリー中の石炭濃度が77質量%超
(溶剤質量:無水無灰分換算の石炭質量の0.3 倍未満)
となり、このスラリーの流動性が300 ℃以上の温度でも
悪く、水添反応器へのスラリーの送給がし難くなる傾向
がある。従って、混合溶剤中の軽質油量は30〜70質量%
となるようにすることが望ましい(第4発明)。これら
のことからわかる如く、前記水添工程に送給されるスラ
リー状混合体中の溶剤の質量は、原料石炭の無水無灰分
換算の石炭質量の0.3 〜1.0 倍となるようにすることが
望ましい(第3発明)。
る軽質油及び重質油の混合溶剤中の軽質油量は30〜70質
量%であることが望ましい。即ち、この混合溶剤中の軽
質油量を30質量%未満とすると、予熱後の気液分離操作
で軽質油を分離した後のスラリー中の石炭濃度が48質量
%未満(溶剤質量:無水無灰分換算の石炭質量の1.05倍
超)となり、水添反応器に送給するスラリー中の石炭濃
度が充分に高くなく、石炭と触媒の接触効率が低く、液
化反応効率が低下する傾向がある。一方、混合溶剤中の
軽質油量を70質量%超とすると、予熱後の気液分離操作
での軽質油分離後のスラリー中の石炭濃度が77質量%超
(溶剤質量:無水無灰分換算の石炭質量の0.3 倍未満)
となり、このスラリーの流動性が300 ℃以上の温度でも
悪く、水添反応器へのスラリーの送給がし難くなる傾向
がある。従って、混合溶剤中の軽質油量は30〜70質量%
となるようにすることが望ましい(第4発明)。これら
のことからわかる如く、前記水添工程に送給されるスラ
リー状混合体中の溶剤の質量は、原料石炭の無水無灰分
換算の石炭質量の0.3 〜1.0 倍となるようにすることが
望ましい(第3発明)。
【0030】本発明において、原料調整工程でスラリー
調製溶剤として用いる酸素含有量:1.5 質量%以下の混
合溶剤は、以上のことからわかる如く、軽質油と、石炭
液化油を水素化処理して得られる重質油とを、混合後の
酸素含有量が1.5 質量%以下になるように混合してなる
混合溶剤である。即ち、混合後の含酸素化合物(酸素含
有化合物)の量が酸素量で1.5 質量%以下になるように
混合してなる混合溶剤である。
調製溶剤として用いる酸素含有量:1.5 質量%以下の混
合溶剤は、以上のことからわかる如く、軽質油と、石炭
液化油を水素化処理して得られる重質油とを、混合後の
酸素含有量が1.5 質量%以下になるように混合してなる
混合溶剤である。即ち、混合後の含酸素化合物(酸素含
有化合物)の量が酸素量で1.5 質量%以下になるように
混合してなる混合溶剤である。
【0031】この酸素含有化合物は酸素を有する化合
物、即ち、含酸素基(例えば水酸基、カルボニル基、エ
ーテル基等)を有する化合物のことである。かかる酸素
含有化合物には、酸素を水酸基、カルボニル基、エーテ
ル基等として有する化合物がある。従って、前記酸素含
有量:1.5 質量%以下の混合溶剤は、酸素を水酸基、カ
ルボニル基、エーテル基等として有する酸素含有化合物
の量が酸素量で1.5 質量%以下の混合溶剤であるといえ
る。
物、即ち、含酸素基(例えば水酸基、カルボニル基、エ
ーテル基等)を有する化合物のことである。かかる酸素
含有化合物には、酸素を水酸基、カルボニル基、エーテ
ル基等として有する化合物がある。従って、前記酸素含
有量:1.5 質量%以下の混合溶剤は、酸素を水酸基、カ
ルボニル基、エーテル基等として有する酸素含有化合物
の量が酸素量で1.5 質量%以下の混合溶剤であるといえ
る。
【0032】前述の如く、褐炭に溶剤として従来技術で
使用されている如き循環溶剤を混合してスラリーとする
と、この溶剤中に存在する含酸素化合物中の水酸基、カ
ルボニル基、エーテル基等の含酸素官能基と、褐炭中の
含酸素官能基との水素結合等による相互作用が生じるた
めに、褐炭内部への溶剤の含浸が促進され、それに伴っ
てスラリー粘度が上昇する。さらに研究した結果、これ
らの含酸素化合物中の含酸素官能基の中、水酸基が最も
褐炭中の含酸素官能基との水素結合等による相互作用が
強く、褐炭内部への溶剤の含浸を促進し、スラリー粘度
を上昇させる働きがあり、そのため溶剤の含酸素化合物
(酸素含有化合物)の中でも、特に、酸素を水酸基とし
て有する含酸素化合物の量を減少させることが褐炭の含
酸素官能基との相互作用の減少、ひいては褐炭内部への
溶剤の含浸量の低下に有効であることがわかった。そし
て、前記酸素含有量:1.5 質量%以下の混合溶剤の場
合、酸素を水酸基として有する含酸素化合物の量を酸素
含有化合物の全量に対して酸素量で60質量%以下となる
ようにすると、特に褐炭内部への溶剤の含浸量が低下
し、そのため送液可能なスラリー状混合体の限界粘度以
内の粘度を確保するに必要な溶剤の量がさらに少なくて
すみ、送液上の支障を生じることなくスラリー状混合体
中の石炭濃度をより高くし得ることがわかった。
使用されている如き循環溶剤を混合してスラリーとする
と、この溶剤中に存在する含酸素化合物中の水酸基、カ
ルボニル基、エーテル基等の含酸素官能基と、褐炭中の
含酸素官能基との水素結合等による相互作用が生じるた
めに、褐炭内部への溶剤の含浸が促進され、それに伴っ
てスラリー粘度が上昇する。さらに研究した結果、これ
らの含酸素化合物中の含酸素官能基の中、水酸基が最も
褐炭中の含酸素官能基との水素結合等による相互作用が
強く、褐炭内部への溶剤の含浸を促進し、スラリー粘度
を上昇させる働きがあり、そのため溶剤の含酸素化合物
(酸素含有化合物)の中でも、特に、酸素を水酸基とし
て有する含酸素化合物の量を減少させることが褐炭の含
酸素官能基との相互作用の減少、ひいては褐炭内部への
溶剤の含浸量の低下に有効であることがわかった。そし
て、前記酸素含有量:1.5 質量%以下の混合溶剤の場
合、酸素を水酸基として有する含酸素化合物の量を酸素
含有化合物の全量に対して酸素量で60質量%以下となる
ようにすると、特に褐炭内部への溶剤の含浸量が低下
し、そのため送液可能なスラリー状混合体の限界粘度以
内の粘度を確保するに必要な溶剤の量がさらに少なくて
すみ、送液上の支障を生じることなくスラリー状混合体
中の石炭濃度をより高くし得ることがわかった。
【0033】かかる知見より、前記酸素含有量:1.5 質
量%以下の混合溶剤は、この溶剤に含まれる酸素を有す
る酸素含有化合物の酸素量に対する、酸素を水酸基とし
て有する酸素含有化合物の酸素量の割合が、60質量%以
下となるようにすることが望ましい(第8発明)。即
ち、前記酸素含有量:1.5 質量%以下の混合溶剤は、酸
素を水酸基、カルボニル基、エーテル基等の含酸素官能
基として有する酸素含有化合物の量に対する、酸素を水
酸基として有する酸素含有化合物の量の割合が、酸素量
の割合で60質量%以下であることが望ましい。
量%以下の混合溶剤は、この溶剤に含まれる酸素を有す
る酸素含有化合物の酸素量に対する、酸素を水酸基とし
て有する酸素含有化合物の酸素量の割合が、60質量%以
下となるようにすることが望ましい(第8発明)。即
ち、前記酸素含有量:1.5 質量%以下の混合溶剤は、酸
素を水酸基、カルボニル基、エーテル基等の含酸素官能
基として有する酸素含有化合物の量に対する、酸素を水
酸基として有する酸素含有化合物の量の割合が、酸素量
の割合で60質量%以下であることが望ましい。
【0034】本発明に係る石炭の液化方法は、より具体
的には例えば図1に示す装置及びプロセスフローにより
行われ、又、図2に示す装置及びプロセスフローにより
行われる。その詳細をこれらの図を用いて以下説明す
る。
的には例えば図1に示す装置及びプロセスフローにより
行われ、又、図2に示す装置及びプロセスフローにより
行われる。その詳細をこれらの図を用いて以下説明す
る。
【0035】図1に示す装置を用いる場合は次のように
して行う。石炭スラリー調製槽(1)に、乾燥、粉砕され
た原料石炭と、予熱器(2) の後の気液分離器(3) から分
離された軽質油と、石炭液化油を気相水添装置(7) によ
り水素化処理した後に気液分離器(8) にて分離して得た
重質油とを供給し、これらを混合してスラリー状混合体
を得る。このスラリー状混合体を予熱器(2) に送給して
予熱する。予熱後のスラリー状混合体を気液分離器(3)
に送り、約300 ℃の温度でガス成分と液成分に分離し、
ガス成分は冷却後に軽質油(循環溶剤)として石炭スラ
リー調製槽(1)に供給される。
して行う。石炭スラリー調製槽(1)に、乾燥、粉砕され
た原料石炭と、予熱器(2) の後の気液分離器(3) から分
離された軽質油と、石炭液化油を気相水添装置(7) によ
り水素化処理した後に気液分離器(8) にて分離して得た
重質油とを供給し、これらを混合してスラリー状混合体
を得る。このスラリー状混合体を予熱器(2) に送給して
予熱する。予熱後のスラリー状混合体を気液分離器(3)
に送り、約300 ℃の温度でガス成分と液成分に分離し、
ガス成分は冷却後に軽質油(循環溶剤)として石炭スラ
リー調製槽(1)に供給される。
【0036】ガス成分(軽質油)を分離した後のスラリ
ー状混合体には、触媒(硫黄等の助触媒を含む)及び水
素ガスが添加され、水添反応器(4) に送給され、ここで
水添生成物を得る。このとき、水添反応器(4) としては
気泡塔型反応器が代表的なものである。水添反応条件と
しては、温度:450℃,圧力:15MPa,時間:1hrの条件が
代表的である。
ー状混合体には、触媒(硫黄等の助触媒を含む)及び水
素ガスが添加され、水添反応器(4) に送給され、ここで
水添生成物を得る。このとき、水添反応器(4) としては
気泡塔型反応器が代表的なものである。水添反応条件と
しては、温度:450℃,圧力:15MPa,時間:1hrの条件が
代表的である。
【0037】得られた水添生成物は気液分離器(5) に導
入され、高温高圧の状態の気相成分が分離される。この
気相成分をそのまま気相水添装置(7) に送給し、水素化
処理し、水素化処理溶剤を得る。このとき、気相水添装
置(水素化処理装置)としては固定床型の水素化処理用
触媒を充填した流通式管型反応器が代表的なものとして
用いられる。水素化処理条件としては、温度:350℃,圧
力:15MPa,LHSV(液空間速度):1hr-1の条件が代表的
である。
入され、高温高圧の状態の気相成分が分離される。この
気相成分をそのまま気相水添装置(7) に送給し、水素化
処理し、水素化処理溶剤を得る。このとき、気相水添装
置(水素化処理装置)としては固定床型の水素化処理用
触媒を充填した流通式管型反応器が代表的なものとして
用いられる。水素化処理条件としては、温度:350℃,圧
力:15MPa,LHSV(液空間速度):1hr-1の条件が代表的
である。
【0038】得られた水素化処理溶剤は、気液分離器
(8) に導入され、沸点300 ℃以下の軽質油と、沸点300
〜420 ℃の重質油とに分離され、分離された重質油は循
環溶剤として石炭スラリー調製槽(1) に送給される。
(8) に導入され、沸点300 ℃以下の軽質油と、沸点300
〜420 ℃の重質油とに分離され、分離された重質油は循
環溶剤として石炭スラリー調製槽(1) に送給される。
【0039】前記気液分離器(5) により分離された触媒
を含む液相部は、その一部は直接水添反応器(4) に循環
供給され、又、一部は油分分離器(6) に送給され、油分
と固形分を含む残渣に分離される。
を含む液相部は、その一部は直接水添反応器(4) に循環
供給され、又、一部は油分分離器(6) に送給され、油分
と固形分を含む残渣に分離される。
【0040】図2に示す装置は、気液分離器(3) を有し
ておらず、その点において図1に示す装置と相違する
が、その他の点はこの図1に示す装置と同様である。図
1に示す装置を用いる場合には、予熱器(2) で予熱後の
スラリー状混合体は 気液分離器(3) での気液分離操作
によりガス成分(軽質油)が分離されて該混合体のスラ
リー濃度が高められた後、水添反応器(4) に送給される
が、これに対して、図2に示す装置を用いる場合には、
かかるスラリー状混合体の気液分離操作によるガス成分
(軽質油)の分離及びスラリー状混合体のスラリー濃度
を高めることは行わず、予熱器(2) で予熱後のスラリー
状混合体は直接水添反応器(4) に送給されることにな
る。
ておらず、その点において図1に示す装置と相違する
が、その他の点はこの図1に示す装置と同様である。図
1に示す装置を用いる場合には、予熱器(2) で予熱後の
スラリー状混合体は 気液分離器(3) での気液分離操作
によりガス成分(軽質油)が分離されて該混合体のスラ
リー濃度が高められた後、水添反応器(4) に送給される
が、これに対して、図2に示す装置を用いる場合には、
かかるスラリー状混合体の気液分離操作によるガス成分
(軽質油)の分離及びスラリー状混合体のスラリー濃度
を高めることは行わず、予熱器(2) で予熱後のスラリー
状混合体は直接水添反応器(4) に送給されることにな
る。
【0041】本発明において、石炭としては、褐炭等の
低炭化度炭の他、亜瀝青炭や瀝青炭を使用することがで
きるが、特に、褐炭に有利に使用することができる(第
6発明)。それは、褐炭は前述の如く細孔構造が発達し
ているために溶剤の含浸が生じ易く、スラリー状混合体
の粘度が高くなり易いが、本発明法ではかかる溶剤の含
浸によるスラリー状混合体の粘度の上昇が起こり難く、
その効果が顕著であるからである。かかる点から、褐炭
の中でも、JIS M 1002で定義される発熱量:7300Kcal/Kg
(無水無鉱物質基準)以下の褐炭に属する石炭を有利に
使用することができる。これらの石炭は通常、水分:15
%程度以下に乾燥された後、約60メッシュより細かい粒
度に粉砕されてから使用され、その場合、本発明法によ
ってより効率良く石炭液化を行うことができる。
低炭化度炭の他、亜瀝青炭や瀝青炭を使用することがで
きるが、特に、褐炭に有利に使用することができる(第
6発明)。それは、褐炭は前述の如く細孔構造が発達し
ているために溶剤の含浸が生じ易く、スラリー状混合体
の粘度が高くなり易いが、本発明法ではかかる溶剤の含
浸によるスラリー状混合体の粘度の上昇が起こり難く、
その効果が顕著であるからである。かかる点から、褐炭
の中でも、JIS M 1002で定義される発熱量:7300Kcal/Kg
(無水無鉱物質基準)以下の褐炭に属する石炭を有利に
使用することができる。これらの石炭は通常、水分:15
%程度以下に乾燥された後、約60メッシュより細かい粒
度に粉砕されてから使用され、その場合、本発明法によ
ってより効率良く石炭液化を行うことができる。
【0042】気液分離工程や油分分離工程での溶剤や油
分或いは固形分の分離操作方法としては、特には限定さ
れず、蒸留の他に、濾過等の手段も採用できる。蒸留の
場合には、所望の目的物に適した蒸留条件を適宜選択す
ることができる。
分或いは固形分の分離操作方法としては、特には限定さ
れず、蒸留の他に、濾過等の手段も採用できる。蒸留の
場合には、所望の目的物に適した蒸留条件を適宜選択す
ることができる。
【0043】
【実施例】本発明の実施例を以下説明するが、本発明は
その要旨を越えない限り、これら実施例に限定されるも
のではない。各実施例での原料石炭の種類、スラリー調
製用溶剤の種類(軽質油と重質油との混合割合、酸素含
有量)、スラリー調製用溶剤質量と無水無灰分換算の石
炭質量との比(S/C 比):1.5 のときのスラリー粘度
(スラリー状混合体の粘度)、100 ℃でのスラリー粘
度:500mPa・s (送液限界のスラリー粘度)のときのS/
C 比、100 ℃におけるスラリー粘度:500mPa・sのスラ
リー状混合体を蒸留操作により軽質油分離した後のS/C
比、この軽質油分離後のスラリー状混合体についての液
化反応の成績を、表1に示す。又、比較のために行った
比較例でのそれらもあわせて表1に示す。
その要旨を越えない限り、これら実施例に限定されるも
のではない。各実施例での原料石炭の種類、スラリー調
製用溶剤の種類(軽質油と重質油との混合割合、酸素含
有量)、スラリー調製用溶剤質量と無水無灰分換算の石
炭質量との比(S/C 比):1.5 のときのスラリー粘度
(スラリー状混合体の粘度)、100 ℃でのスラリー粘
度:500mPa・s (送液限界のスラリー粘度)のときのS/
C 比、100 ℃におけるスラリー粘度:500mPa・sのスラ
リー状混合体を蒸留操作により軽質油分離した後のS/C
比、この軽質油分離後のスラリー状混合体についての液
化反応の成績を、表1に示す。又、比較のために行った
比較例でのそれらもあわせて表1に示す。
【0044】〔実施例1〕原料石炭として褐炭A(発熱
量5930Kcal/Kg 無水無鉱物質基準,燃料比0.89)を用
い、触媒としてパイライト:3質量%を用い、その触媒
の存在下、温度:450℃、水素圧:15MPaの条件下で液化反
応を行い、石炭液化粗油を得た。この石炭液化粗油を蒸
留により、沸点範囲180 ℃から420 ℃の石炭液化油にカ
ット(分離)した。この石炭液化油を用いて、Ni-Mo 系
触媒を充填した流通式固定床高圧反応装置を用い、温
度:350℃、水素圧:15MPa 、LHSV:1.0hr-1の条件で水素
化処理し、水素化処理溶剤を得た。この水素化処理溶剤
を蒸留により、沸点範囲180 ℃から300 ℃の軽質油と、
沸点範囲300 ℃から420 ℃の重質油を各々分離して得
た。この水素化処理溶剤の軽質油と水素化処理溶剤の重
質油とを表1に示す如く50質量%対50質量%の割合で混
合し、混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の酸素含有量
を元素分析にて求めたところ、表1に示す如く1.25質量
%であった。
量5930Kcal/Kg 無水無鉱物質基準,燃料比0.89)を用
い、触媒としてパイライト:3質量%を用い、その触媒
の存在下、温度:450℃、水素圧:15MPaの条件下で液化反
応を行い、石炭液化粗油を得た。この石炭液化粗油を蒸
留により、沸点範囲180 ℃から420 ℃の石炭液化油にカ
ット(分離)した。この石炭液化油を用いて、Ni-Mo 系
触媒を充填した流通式固定床高圧反応装置を用い、温
度:350℃、水素圧:15MPa 、LHSV:1.0hr-1の条件で水素
化処理し、水素化処理溶剤を得た。この水素化処理溶剤
を蒸留により、沸点範囲180 ℃から300 ℃の軽質油と、
沸点範囲300 ℃から420 ℃の重質油を各々分離して得
た。この水素化処理溶剤の軽質油と水素化処理溶剤の重
質油とを表1に示す如く50質量%対50質量%の割合で混
合し、混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の酸素含有量
を元素分析にて求めたところ、表1に示す如く1.25質量
%であった。
【0045】この混合溶剤をスラリー調製用溶剤として
用い、原料石炭として前記褐炭Aを乾燥し粉砕したもの
(水分 14.54質量%、粒度60メッシュ以下)を用い、石
炭スラリーを調製した。混合溶剤質量と無水無灰分換算
の石炭質量との比(S/C 比)を1.5 (スラリー中の石炭
濃度:40質量%)としてスラリー調製した場合、二重円
筒型の回転粘度計を用いてスラリー粘度を測定したとこ
ろ、100 ℃におけるスラリー粘度は表1に示す如く約32
0mPa・s であった。又、100 ℃におけるスラリー粘度が
500mPa・s (:送液限界のスラリー粘度)になるように
混合溶剤と石炭質量との混合比(S/C 比)を調製したと
ころ、そのS/C 比は表1に示す如く1.25(スラリー中の
石炭濃度:44.4質量%)となった。
用い、原料石炭として前記褐炭Aを乾燥し粉砕したもの
(水分 14.54質量%、粒度60メッシュ以下)を用い、石
炭スラリーを調製した。混合溶剤質量と無水無灰分換算
の石炭質量との比(S/C 比)を1.5 (スラリー中の石炭
濃度:40質量%)としてスラリー調製した場合、二重円
筒型の回転粘度計を用いてスラリー粘度を測定したとこ
ろ、100 ℃におけるスラリー粘度は表1に示す如く約32
0mPa・s であった。又、100 ℃におけるスラリー粘度が
500mPa・s (:送液限界のスラリー粘度)になるように
混合溶剤と石炭質量との混合比(S/C 比)を調製したと
ころ、そのS/C 比は表1に示す如く1.25(スラリー中の
石炭濃度:44.4質量%)となった。
【0046】上記S/C 比:1.25のスラリーを用いて、蒸
留操作により沸点範囲300 ℃以下の軽質油を分離し、表
1に示す如くS/C 比:0.63(スラリー中の石炭濃度:6
1.3質量%)のスラリーを得た。このスラリー10ccを用
いて、オートクレーブ(内容積:30cc)中にパイライト
触媒を無水無灰分換算の石炭質量に対して3質量%を加
え、水素圧力:15MPa、温度:450℃の条件下で液化反応を
行った。反応終了後に生成物を分離し、溶剤分別法を用
いて区分したところ、表1に示すように、オイル分(n
−ヘキサン可溶分)の収率は77.1質量%であった。又、
ガス成分の収率は14.2質量%、水素消費量は5.8 質量%
であった。
留操作により沸点範囲300 ℃以下の軽質油を分離し、表
1に示す如くS/C 比:0.63(スラリー中の石炭濃度:6
1.3質量%)のスラリーを得た。このスラリー10ccを用
いて、オートクレーブ(内容積:30cc)中にパイライト
触媒を無水無灰分換算の石炭質量に対して3質量%を加
え、水素圧力:15MPa、温度:450℃の条件下で液化反応を
行った。反応終了後に生成物を分離し、溶剤分別法を用
いて区分したところ、表1に示すように、オイル分(n
−ヘキサン可溶分)の収率は77.1質量%であった。又、
ガス成分の収率は14.2質量%、水素消費量は5.8 質量%
であった。
【0047】
【表1】
【0048】〔実施例2〕実施例1と同様の方法によ
り、水素化処理溶剤を得、これより沸点範囲180 〜300
℃の軽質油と沸点範囲300 〜420 ℃の重質油を分離して
得、この軽質油と重質油とを70質量%対30質量%の割合
で混合し、混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の酸素含
有量は1.03質量%であった。この混合溶剤をスラリー調
製用溶剤として用い、原料石炭として実施例1と同様の
乾燥粉砕褐炭を用い、石炭スラリーを調製した。S/C 比
を1.5 としてスラリー調製しスラリー粘度を測定したと
ころ、100 ℃でのスラリー粘度:約250mPa・s であっ
た。又、100 ℃でのスラリー粘度が500mPa・s になるよ
うにS/C 比を調製したところ、そのS/C 比は1.10(スラ
リー中の石炭濃度:47.6質量%)となった。
り、水素化処理溶剤を得、これより沸点範囲180 〜300
℃の軽質油と沸点範囲300 〜420 ℃の重質油を分離して
得、この軽質油と重質油とを70質量%対30質量%の割合
で混合し、混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の酸素含
有量は1.03質量%であった。この混合溶剤をスラリー調
製用溶剤として用い、原料石炭として実施例1と同様の
乾燥粉砕褐炭を用い、石炭スラリーを調製した。S/C 比
を1.5 としてスラリー調製しスラリー粘度を測定したと
ころ、100 ℃でのスラリー粘度:約250mPa・s であっ
た。又、100 ℃でのスラリー粘度が500mPa・s になるよ
うにS/C 比を調製したところ、そのS/C 比は1.10(スラ
リー中の石炭濃度:47.6質量%)となった。
【0049】上記S/C 比:1.10のスラリーを用いて、蒸
留操作により沸点範囲300 ℃以下の軽質油を分離し、S/
C 比:0.33(スラリー中の石炭濃度:75.1質量%)のス
ラリーを得た。このスラリー10ccを用いて、実施例1と
同様の条件で液化反応を行ったところ、オイル分の収率
は80.1質量%であった。又、ガス成分の収率は14.8質量
%、水素消費量は6.1 質量%であった。
留操作により沸点範囲300 ℃以下の軽質油を分離し、S/
C 比:0.33(スラリー中の石炭濃度:75.1質量%)のス
ラリーを得た。このスラリー10ccを用いて、実施例1と
同様の条件で液化反応を行ったところ、オイル分の収率
は80.1質量%であった。又、ガス成分の収率は14.8質量
%、水素消費量は6.1 質量%であった。
【0050】〔実施例3〕実施例1と同様の方法によ
り、水素化処理溶剤を得、これより沸点範囲180 〜300
℃の軽質油と沸点範囲300 〜420 ℃の重質油を分離して
得、この軽質油と重質油とを30質量%対70質量%の割合
で混合し、混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の酸素含
有量は1.47質量%であった。この混合溶剤をスラリー調
製用溶剤として用い、原料石炭として実施例1と同様の
乾燥粉砕褐炭を用い、石炭スラリーを調製した。S/C 比
を1.5 としてスラリー調製しスラリー粘度を測定したと
ころ、100 ℃でのスラリー粘度:約410mPa・s であっ
た。又、100 ℃でのスラリー粘度が500mPa・s になるよ
うにS/C 比を調製したところ、そのS/C 比は1.40(スラ
リー中の石炭濃度:41.6質量%)となった。
り、水素化処理溶剤を得、これより沸点範囲180 〜300
℃の軽質油と沸点範囲300 〜420 ℃の重質油を分離して
得、この軽質油と重質油とを30質量%対70質量%の割合
で混合し、混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の酸素含
有量は1.47質量%であった。この混合溶剤をスラリー調
製用溶剤として用い、原料石炭として実施例1と同様の
乾燥粉砕褐炭を用い、石炭スラリーを調製した。S/C 比
を1.5 としてスラリー調製しスラリー粘度を測定したと
ころ、100 ℃でのスラリー粘度:約410mPa・s であっ
た。又、100 ℃でのスラリー粘度が500mPa・s になるよ
うにS/C 比を調製したところ、そのS/C 比は1.40(スラ
リー中の石炭濃度:41.6質量%)となった。
【0051】上記S/C 比:1.40のスラリーを用いて、蒸
留操作により沸点範囲300 ℃以下の軽質油を分離し、S/
C 比:0.98(スラリー中の石炭濃度:50.5質量%)のス
ラリーを得た。このスラリー10ccを用いて、実施例1と
同様の条件で液化反応を行ったところ、オイル分の収率
は73.6質量%であった。又、ガス成分の収率は13.1質量
%、水素消費量は5.6 質量%であった。
留操作により沸点範囲300 ℃以下の軽質油を分離し、S/
C 比:0.98(スラリー中の石炭濃度:50.5質量%)のス
ラリーを得た。このスラリー10ccを用いて、実施例1と
同様の条件で液化反応を行ったところ、オイル分の収率
は73.6質量%であった。又、ガス成分の収率は13.1質量
%、水素消費量は5.6 質量%であった。
【0052】〔実施例4〕原料石炭として褐炭B(発熱
量6640Kcal/Kg 無水無鉱物質基準,燃料比0.94)を用
い、実施例1と同様の方法により水素化処理溶剤を得、
これより沸点範囲180 〜300 ℃の軽質油と沸点範囲300
〜420 ℃の重質油を分離して得、この軽質油と重質油と
を50質量%対50質量%の割合で混合し、混合溶剤を得
た。得られた混合溶剤の酸素含有量は0.86質量%であっ
た。この混合溶剤をスラリー調製用溶剤に用い、原料石
炭として前記褐炭Bを乾燥し粉砕したもの(水分 13.90
質量%、粒度60メッシュ以下)を用い、石炭スラリーを
調製した。S/C 比を1.5 としてスラリー調製しスラリー
粘度を測定したところ、100 ℃でのスラリー粘度:約26
0mPa・s であった。又、100 ℃でのスラリー粘度が500m
Pa・s になるようにS/C 比を調製したところ、そのS/C
比は1.15(スラリー中の石炭濃度:46.5質量%)となっ
た。
量6640Kcal/Kg 無水無鉱物質基準,燃料比0.94)を用
い、実施例1と同様の方法により水素化処理溶剤を得、
これより沸点範囲180 〜300 ℃の軽質油と沸点範囲300
〜420 ℃の重質油を分離して得、この軽質油と重質油と
を50質量%対50質量%の割合で混合し、混合溶剤を得
た。得られた混合溶剤の酸素含有量は0.86質量%であっ
た。この混合溶剤をスラリー調製用溶剤に用い、原料石
炭として前記褐炭Bを乾燥し粉砕したもの(水分 13.90
質量%、粒度60メッシュ以下)を用い、石炭スラリーを
調製した。S/C 比を1.5 としてスラリー調製しスラリー
粘度を測定したところ、100 ℃でのスラリー粘度:約26
0mPa・s であった。又、100 ℃でのスラリー粘度が500m
Pa・s になるようにS/C 比を調製したところ、そのS/C
比は1.15(スラリー中の石炭濃度:46.5質量%)となっ
た。
【0053】上記S/C 比:1.15のスラリーを用いて、蒸
留操作により軽質油を分離し、S/C比:0.58(スラリー
中の石炭濃度:63.3質量%)のスラリーを得た。このス
ラリー10ccを用いて、実施例1と同様の条件で液化反応
を行ったところ、オイル分の収率は77.9質量%であっ
た。又、ガス成分の収率は14.5質量%、水素消費量は5.
9 質量%であった。
留操作により軽質油を分離し、S/C比:0.58(スラリー
中の石炭濃度:63.3質量%)のスラリーを得た。このス
ラリー10ccを用いて、実施例1と同様の条件で液化反応
を行ったところ、オイル分の収率は77.9質量%であっ
た。又、ガス成分の収率は14.5質量%、水素消費量は5.
9 質量%であった。
【0054】〔比較例1〕実施例1と同様の方法により
石炭液化粗油を得た後、この粗油を蒸留により、沸点範
囲180 ℃から420 ℃の石炭液化油にカットした。この石
炭液化油を用いて、Ni-Mo 系触媒を充填した流通式固定
床高圧反応装置を用い、温度:250℃、水素圧:15MPa 、
LHSV:1.0hr-1の条件で水素化処理し、水素化処理溶剤を
得た。この水素化処理溶剤を蒸留により、沸点範囲180
℃から300 ℃の軽質油と、沸点範囲300 ℃から420 ℃の
重質油を各々分離して得た。この水素化処理溶剤の軽質
油と水素化処理溶剤の重質油とを50質量%対50質量%の
割合で混合し、混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の酸
素含有量は1.80質量%であった。
石炭液化粗油を得た後、この粗油を蒸留により、沸点範
囲180 ℃から420 ℃の石炭液化油にカットした。この石
炭液化油を用いて、Ni-Mo 系触媒を充填した流通式固定
床高圧反応装置を用い、温度:250℃、水素圧:15MPa 、
LHSV:1.0hr-1の条件で水素化処理し、水素化処理溶剤を
得た。この水素化処理溶剤を蒸留により、沸点範囲180
℃から300 ℃の軽質油と、沸点範囲300 ℃から420 ℃の
重質油を各々分離して得た。この水素化処理溶剤の軽質
油と水素化処理溶剤の重質油とを50質量%対50質量%の
割合で混合し、混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の酸
素含有量は1.80質量%であった。
【0055】この混合溶剤をスラリー調製用溶剤として
用い、原料石炭として実施例1と同様の乾燥粉砕褐炭を
用い、石炭スラリーを調製した。S/C 比を1.5 としてス
ラリー調製しスラリー粘度を測定したところ、100 ℃で
のスラリー粘度:1200mPa・sであった。又、100 ℃での
スラリー粘度が500mPa・s になるようにS/C 比を調製し
たところ、そのS/C 比は2.30(スラリー中の石炭濃度:
30.3質量%)となり、実施例1〜3の場合よりも高い値
となった。
用い、原料石炭として実施例1と同様の乾燥粉砕褐炭を
用い、石炭スラリーを調製した。S/C 比を1.5 としてス
ラリー調製しスラリー粘度を測定したところ、100 ℃で
のスラリー粘度:1200mPa・sであった。又、100 ℃での
スラリー粘度が500mPa・s になるようにS/C 比を調製し
たところ、そのS/C 比は2.30(スラリー中の石炭濃度:
30.3質量%)となり、実施例1〜3の場合よりも高い値
となった。
【0056】上記S/C 比:2.30のスラリーを用いて、蒸
留操作により軽質油を分離し、S/C比:1.15(スラリー
中の石炭濃度:46.5質量%)のスラリーを得た。このス
ラリー10ccを用いて、実施例1と同様の条件で液化反応
を行ったところ、オイル分の収率は64.3質量%であり、
実施例1〜3の場合よりも低い値となった。
留操作により軽質油を分離し、S/C比:1.15(スラリー
中の石炭濃度:46.5質量%)のスラリーを得た。このス
ラリー10ccを用いて、実施例1と同様の条件で液化反応
を行ったところ、オイル分の収率は64.3質量%であり、
実施例1〜3の場合よりも低い値となった。
【0057】〔比較例2〕実施例1と同様の方法によ
り、水素化処理溶剤を得、これより沸点範囲180 〜300
℃の軽質油と沸点範囲300 〜420 ℃の重質油を分離して
得、この軽質油と重質油とを80質量%対20質量%の割合
で混合し、混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の酸素含
有量は0.92質量%であった。この混合溶剤をスラリー調
製用溶剤として用い、原料石炭として実施例1と同様の
乾燥粉砕褐炭を用い、石炭スラリーを調製した。S/C 比
を1.5 としてスラリー調製しスラリー粘度を測定したと
ころ、100 ℃でのスラリー粘度:180mPa・s であった。
又、100 ℃でのスラリー粘度が500mPa・s になるように
S/C 比を調製したところ、そのS/C 比は0.97(スラリー
中の石炭濃度:50.8質量%)となった。
り、水素化処理溶剤を得、これより沸点範囲180 〜300
℃の軽質油と沸点範囲300 〜420 ℃の重質油を分離して
得、この軽質油と重質油とを80質量%対20質量%の割合
で混合し、混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の酸素含
有量は0.92質量%であった。この混合溶剤をスラリー調
製用溶剤として用い、原料石炭として実施例1と同様の
乾燥粉砕褐炭を用い、石炭スラリーを調製した。S/C 比
を1.5 としてスラリー調製しスラリー粘度を測定したと
ころ、100 ℃でのスラリー粘度:180mPa・s であった。
又、100 ℃でのスラリー粘度が500mPa・s になるように
S/C 比を調製したところ、そのS/C 比は0.97(スラリー
中の石炭濃度:50.8質量%)となった。
【0058】上記S/C 比:0.97のスラリーを用いて、蒸
留操作により軽質油を分離し、S/C比:0.19(スラリー
中の石炭濃度:84.0質量%)のスラリーを得た。このス
ラリー10ccを用いて、実施例1と同様の条件で液化反応
を行ったところ、温度を450℃まで昇温してもスラリー
が粘稠のため、攪拌できず液化反応が実施できなかっ
た。
留操作により軽質油を分離し、S/C比:0.19(スラリー
中の石炭濃度:84.0質量%)のスラリーを得た。このス
ラリー10ccを用いて、実施例1と同様の条件で液化反応
を行ったところ、温度を450℃まで昇温してもスラリー
が粘稠のため、攪拌できず液化反応が実施できなかっ
た。
【0059】〔比較例3〕実施例1と同様の方法によ
り、水素化処理溶剤を得、これより沸点範囲180 〜300
℃の軽質油と沸点範囲300 〜420 ℃の重質油を分離して
得、この軽質油と重質油とを20質量%対80質量%の割合
で混合し、混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の酸素含
有量は1.58質量%であった。この混合溶剤をスラリー調
製用溶剤として用い、原料石炭として実施例1と同様の
乾燥粉砕褐炭を用い、石炭スラリーを調製した。S/C 比
を1.5 としてスラリー調製しスラリー粘度を測定したと
ころ、100 ℃でのスラリー粘度:950mPa・s であった。
又、100 ℃でのスラリー粘度が500mPa・s になるときの
S/C 比は2.12(スラリー中の石炭濃度:32.0質量%)で
あった。
り、水素化処理溶剤を得、これより沸点範囲180 〜300
℃の軽質油と沸点範囲300 〜420 ℃の重質油を分離して
得、この軽質油と重質油とを20質量%対80質量%の割合
で混合し、混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の酸素含
有量は1.58質量%であった。この混合溶剤をスラリー調
製用溶剤として用い、原料石炭として実施例1と同様の
乾燥粉砕褐炭を用い、石炭スラリーを調製した。S/C 比
を1.5 としてスラリー調製しスラリー粘度を測定したと
ころ、100 ℃でのスラリー粘度:950mPa・s であった。
又、100 ℃でのスラリー粘度が500mPa・s になるときの
S/C 比は2.12(スラリー中の石炭濃度:32.0質量%)で
あった。
【0060】上記S/C 比:2.12のスラリーを用いて、蒸
留操作により軽質油を分離し、S/C比:1.70(スラリー
中の石炭濃度:37.0質量%)のスラリーを得た。このス
ラリー10ccを用いて、実施例1と同様の条件で液化反応
を行ったところ、オイル分の収率は63.2質量%であり、
実施例1〜3の場合よりも液化反応性が低かった。
留操作により軽質油を分離し、S/C比:1.70(スラリー
中の石炭濃度:37.0質量%)のスラリーを得た。このス
ラリー10ccを用いて、実施例1と同様の条件で液化反応
を行ったところ、オイル分の収率は63.2質量%であり、
実施例1〜3の場合よりも液化反応性が低かった。
【0061】〔実施例5〕原料石炭として褐炭C(発熱
量6520Kcal/Kg 無水無鉱物質基準,燃料比0.91)を用
い、触媒としてパイライト:3質量%を用い、その触媒
の存在下、温度:450℃、水素圧:15MPaの条件下で液化反
応を行い、石炭液化粗油を得た。この石炭液化粗油を蒸
留により、沸点範囲180 ℃から420 ℃の石炭液化油にカ
ットした。この石炭液化油を用いて、Ni-Mo 系触媒を充
填した流通式固定床高圧反応装置を用い、温度:350℃、
水素圧:15MPa 、LHSV:1.0hr-1の条件で水素化処理し、
水素化処理溶剤を得た。この水素化処理溶剤を蒸留によ
り、沸点範囲180 ℃から300 ℃の軽質油と、沸点範囲30
0 ℃から420 ℃の重質油を各々分離して得た。この水素
化処理溶剤の軽質油と水素化処理溶剤の重質油とを50質
量%対50質量%の割合で混合し、混合溶剤を得た。得ら
れた混合溶剤の酸素含有量を元素分析にて求めたとこ
ろ、表1に示す如く1.23質量%であった。又、この溶剤
に含まれる酸素を有する酸素含有化合物の量に対する、
酸素を水酸基として有する酸素含有化合物の量の割合
は、酸素量の割合で55質量%であった。
量6520Kcal/Kg 無水無鉱物質基準,燃料比0.91)を用
い、触媒としてパイライト:3質量%を用い、その触媒
の存在下、温度:450℃、水素圧:15MPaの条件下で液化反
応を行い、石炭液化粗油を得た。この石炭液化粗油を蒸
留により、沸点範囲180 ℃から420 ℃の石炭液化油にカ
ットした。この石炭液化油を用いて、Ni-Mo 系触媒を充
填した流通式固定床高圧反応装置を用い、温度:350℃、
水素圧:15MPa 、LHSV:1.0hr-1の条件で水素化処理し、
水素化処理溶剤を得た。この水素化処理溶剤を蒸留によ
り、沸点範囲180 ℃から300 ℃の軽質油と、沸点範囲30
0 ℃から420 ℃の重質油を各々分離して得た。この水素
化処理溶剤の軽質油と水素化処理溶剤の重質油とを50質
量%対50質量%の割合で混合し、混合溶剤を得た。得ら
れた混合溶剤の酸素含有量を元素分析にて求めたとこ
ろ、表1に示す如く1.23質量%であった。又、この溶剤
に含まれる酸素を有する酸素含有化合物の量に対する、
酸素を水酸基として有する酸素含有化合物の量の割合
は、酸素量の割合で55質量%であった。
【0062】この混合溶剤をスラリー調製用溶剤として
用い、前記褐炭Cを乾燥し粉砕したもの(水分 13.5 質
量%、粒度60メッシュ以下)を原料石炭として用い、石
炭スラリーを調製した。混合溶剤質量と無水無灰分換算
の石炭質量との比(S/C 比)を1.5 (石炭スラリー中の
石炭濃度:40質量%)としてスラリー調製した場合、二
重円筒型の回転粘度計を用いてスラリー粘度を測定した
ところ、100 ℃におけるスラリー粘度は表1に示す如く
約240mPa・s であった。又、100 ℃におけるスラリー粘
度が500mPa・s になるように混合溶剤と石炭との混合比
(S/C 比)を調製したところ、そのS/C 比は表1に示す
如く1.12(石炭スラリー中の石炭濃度:44.4質量%)と
なった。
用い、前記褐炭Cを乾燥し粉砕したもの(水分 13.5 質
量%、粒度60メッシュ以下)を原料石炭として用い、石
炭スラリーを調製した。混合溶剤質量と無水無灰分換算
の石炭質量との比(S/C 比)を1.5 (石炭スラリー中の
石炭濃度:40質量%)としてスラリー調製した場合、二
重円筒型の回転粘度計を用いてスラリー粘度を測定した
ところ、100 ℃におけるスラリー粘度は表1に示す如く
約240mPa・s であった。又、100 ℃におけるスラリー粘
度が500mPa・s になるように混合溶剤と石炭との混合比
(S/C 比)を調製したところ、そのS/C 比は表1に示す
如く1.12(石炭スラリー中の石炭濃度:44.4質量%)と
なった。
【0063】上記S/C 比:1.12の石炭スラリーを用い
て、蒸留操作により沸点範囲300 ℃以下の軽質油を分離
し、S/C 比:0.56(スラリー中の石炭濃度:64.1質量
%)の石炭スラリーを得た。このスラリー10ccを用い
て、オートクレーブ(内容積:30cc)中にパイライト触媒
を無水無灰分換算の石炭質量に対して3質量%を加え、
水素圧力:15MPa、温度:450℃の条件下で液化反応を行っ
た。反応終了後に生成物を分離し、溶剤分別法を用いて
区分したところ、表1に示す如くオイル分(n−ヘキサ
ン可溶分)の収率は79.2質量%であった。又、ガス成分
の収率は13.8質量%、水素消費量は5.9 質量%であっ
た。
て、蒸留操作により沸点範囲300 ℃以下の軽質油を分離
し、S/C 比:0.56(スラリー中の石炭濃度:64.1質量
%)の石炭スラリーを得た。このスラリー10ccを用い
て、オートクレーブ(内容積:30cc)中にパイライト触媒
を無水無灰分換算の石炭質量に対して3質量%を加え、
水素圧力:15MPa、温度:450℃の条件下で液化反応を行っ
た。反応終了後に生成物を分離し、溶剤分別法を用いて
区分したところ、表1に示す如くオイル分(n−ヘキサ
ン可溶分)の収率は79.2質量%であった。又、ガス成分
の収率は13.8質量%、水素消費量は5.9 質量%であっ
た。
【0064】
【発明の効果】本発明に係る石炭の液化方法によれば、
従来の石炭液化方法の場合に比較し、スラリー状混合体
中の原料石炭への溶剤の含浸量が少なくなり、そのた
め、送液可能なスラリー状混合体の限界粘度以内の粘度
を確保するに必要な溶剤の量が少なくてすみ、送液上の
支障を生じることなくスラリー状混合体中の石炭濃度を
高くすることができ、その結果、石炭と触媒との接触効
率が向上し、ひいては液化油収率をより向上し得、又、
水添での単位時間・単位容積当たりの石炭処理量が増大
し、ひいては反応器容積に対して処理できる石炭の量が
多く、装置容積効率を高くし得、或いは、反応器容積を
小さくしても充分な石炭処理量を確保でき、反応器の小
型化が図れるようになる。
従来の石炭液化方法の場合に比較し、スラリー状混合体
中の原料石炭への溶剤の含浸量が少なくなり、そのた
め、送液可能なスラリー状混合体の限界粘度以内の粘度
を確保するに必要な溶剤の量が少なくてすみ、送液上の
支障を生じることなくスラリー状混合体中の石炭濃度を
高くすることができ、その結果、石炭と触媒との接触効
率が向上し、ひいては液化油収率をより向上し得、又、
水添での単位時間・単位容積当たりの石炭処理量が増大
し、ひいては反応器容積に対して処理できる石炭の量が
多く、装置容積効率を高くし得、或いは、反応器容積を
小さくしても充分な石炭処理量を確保でき、反応器の小
型化が図れるようになる。
【図1】 本発明に係る石炭の液化方法の一例の概要を
示す図である。
示す図である。
【図2】 本発明に係る石炭の液化方法の一例の概要を
示す図である。
示す図である。
(1)-- 石炭スラリー調製槽、(2)-- 予熱器、(3)-- 気液
分離器、(4)-- 水添反応器、(5)-- 気液分離器、(6)--
油分分離器、(7)-- 気相水添装置、(8) --気液分離器。
分離器、(4)-- 水添反応器、(5)-- 気液分離器、(6)--
油分分離器、(7)-- 気相水添装置、(8) --気液分離器。
Claims (8)
- 【請求項1】 原料石炭に溶剤を混合してスラリー状混
合体を得る原料調整工程と、該混合体に水素を添加して
石炭を水添する水添工程とを含む石炭の液化方法におい
て、前記溶剤として、軽質油と、石炭を原料として得ら
れた石炭液化油を水素化処理して得られる重質油とを、
混合してなる酸素含有量:1.5 質量%以下の混合溶剤を
用いることを特徴とする石炭の液化方法。 - 【請求項2】 前記原料調整工程で得られたスラリー状
混合体を予熱し、気液分離操作により該混合体中の混合
溶剤中の軽質油を分離して該混合体のスラリー濃度を高
めた後、該混合体を前記水添工程に送給する請求項1記
載の石炭の液化方法。 - 【請求項3】 前記水添工程に送給されるスラリー状混
合体中の溶剤の質量が、原料石炭の無水無灰分換算の石
炭質量の0.3 〜1.0 倍である請求項2記載の石炭の液化
方法。 - 【請求項4】 前記原料調整工程で用いられる軽質油及
び重質油の混合溶剤中の軽質油量が30〜70質量%である
請求項2又は3記載の石炭の液化方法。 - 【請求項5】 前記原料調整工程で原料石炭に混合する
溶剤の質量が、原料石炭の無水無灰分換算の石炭質量の
1.0 〜1.5 倍である請求項1、2、3又は4記載の石炭
の液化方法。 - 【請求項6】 前記原料石炭が褐炭である請求項1、
2、3、4又は5記載の石炭の液化方法。 - 【請求項7】 前記軽質油が300 ℃以下の連続的な沸点
分布を有する軽質油であり、前記重質油が300 〜420 ℃
の連続的な沸点分布を有する重質油である請求項1、
2、3、4、5又は6記載の石炭の液化方法。 - 【請求項8】 前記酸素含有量:1.5 質量%以下の混合
溶剤に含まれる酸素を有する酸素含有化合物の酸素量に
対する、酸素を水酸基として有する酸素含有化合物の酸
素量の割合が、60質量%以下である請求項1、2、3、
4、5、6又は7記載の石炭の液化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28858597A JPH10324877A (ja) | 1997-03-27 | 1997-10-21 | 石炭の液化方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9-75678 | 1997-03-27 | ||
JP7567897 | 1997-03-27 | ||
JP28858597A JPH10324877A (ja) | 1997-03-27 | 1997-10-21 | 石炭の液化方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10324877A true JPH10324877A (ja) | 1998-12-08 |
Family
ID=26416831
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28858597A Pending JPH10324877A (ja) | 1997-03-27 | 1997-10-21 | 石炭の液化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10324877A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008508369A (ja) * | 2004-07-30 | 2008-03-21 | 神華集団有限責任公司 | 直接石炭液化のためのプロセス |
-
1997
- 1997-10-21 JP JP28858597A patent/JPH10324877A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008508369A (ja) * | 2004-07-30 | 2008-03-21 | 神華集団有限責任公司 | 直接石炭液化のためのプロセス |
JP4866351B2 (ja) * | 2004-07-30 | 2012-02-01 | 神華集団有限責任公司 | 直接石炭液化のためのプロセス |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20030916 |