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JPH10274241A - 多孔質含油軸受 - Google Patents

多孔質含油軸受

Info

Publication number
JPH10274241A
JPH10274241A JP8153597A JP8153597A JPH10274241A JP H10274241 A JPH10274241 A JP H10274241A JP 8153597 A JP8153597 A JP 8153597A JP 8153597 A JP8153597 A JP 8153597A JP H10274241 A JPH10274241 A JP H10274241A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bearing
oil
dynamic pressure
porous
shaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8153597A
Other languages
English (en)
Inventor
Natsuhiko Mori
夏比古 森
Kazuo Okamura
一男 岡村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP8153597A priority Critical patent/JPH10274241A/ja
Priority to GB9804367A priority patent/GB2322915B/en
Priority to GB0024065A priority patent/GB2351781B/en
Priority to NL1008457A priority patent/NL1008457C2/nl
Priority to US09/033,651 priority patent/US6299356B1/en
Priority to DE19809770A priority patent/DE19809770B4/de
Priority to KR1019980007442A priority patent/KR100606982B1/ko
Publication of JPH10274241A publication Critical patent/JPH10274241A/ja
Priority to US09/921,704 priority patent/US6513980B2/en
Priority to US09/921,602 priority patent/US7059052B2/en
Priority to US10/022,399 priority patent/US6533460B2/en
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油が劣化しにくく、アンバランス荷重が加わ
った際の軸振れも小さい多孔質含油軸受を提供する。 【解決手段】 多孔質含油軸受の軸受面1aに、第1領域
m1と第2領域m1とを軸方向に離隔させて設け、その間に
平滑部nを設ける。第1及び第2領域m1、m2に、それぞ
れ軸方向に傾斜した複数の動圧溝5を逆向きに形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑油あるいは潤
滑グリースなどの潤滑剤を含浸させて自己潤滑機能を持
たせると共に、軸受の内周面に複数の傾斜した溝を形成
することによって動圧を発生し、この動圧作用によって
回転軸を支持する多孔質含油軸受に関するものである。
この多孔質含油軸受は、特に、レーザビームプリンタの
ポリゴンミラーモータ(LBP)や磁気ディスクドライ
ブ用のスピンドルモータ(HDD)などのように、高速
で高回転精度が要求される軸受装置や、DVD−ROM
などのようにディスクがのることによって大きなアンバ
ランス荷重が作用し、且つ高速で駆動される軸受装置な
どに好適なものである。
【0002】
【従来の技術】多孔質含油軸受は自己潤滑性を有する軸
受として広く用いられているが、真円軸受の一種である
ため、軸の偏心が小さいところでは不安定振動が発生し
やすく、回転速度の1/2の速度で振れ回るいわゆるホ
ワールが発生しやすいという欠点がある。この対策とし
ては、軸受面にヘンリングボーン形、あるいはスパイラ
ル形と呼ばれる軸方向に傾斜した複数の動圧溝を設ける
ことが挙げられる。
【0003】多孔質含油軸受に動圧溝を形成し、その動
圧作用によって軸を支持し、不安定振動を制御しようと
した例としては、実公昭63-19627号が挙げられる。
【0004】この実公昭63-19627号は、多孔質含油軸受
の軸受面に、表面目つぶし加工で形成された動圧発生用
の溝を有するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記公報記載の
構造であると、 溝部が完全に封孔されているので、多孔質含油軸受
の最大の特徴である油の循環が阻害される。したがっ
て、いったん軸受すきまに滲み出した油は、動圧溝の作
用によって溝の屈曲部に押し込まれ、そこにとどまるこ
とになる。この時、軸受すきま内では大きな剪断作用が
働いているので、動圧溝にとどまった油はその剪断力と
摩擦熱によって変性しやすく、また、温度上昇により酸
化劣化するのが早くなる(通常の多孔質含油軸受(動圧
溝のないタイプ)では、含浸された油は、軸の回転に伴
って常に軸受すきま及び軸受内部を循環するため、軸受
すきま内で連続的に剪断力を受けることはなく、いった
ん暖められても軸受内部で冷やされるので、温度上昇に
よる酸化劣化の影響は受けにくい)。したがって、寿命
が短かった。
【0006】 溝部を封孔処理することは極めて困難
である。上記公報では塑性加工により封孔できるとして
いるが、通常、動圧溝の溝深さはμmオーダーのもので
あり、この程度の圧縮成形で表面の開孔部が封孔される
とは考えにくい。また、塑性加工の他の手段としてはコ
ーティングなどを挙げているが、コーティング被膜の厚
さは溝深さよりも当然薄くする必要があり、数μmのコ
ーティング被膜を溝部だけに施す方法は極めて困難で工
業的に成立するものではない。
【0007】 この種の軸受では、図1に示すよう
に、動圧溝(5)が軸方向で連続しているが、これで
は、アンバランス荷重が加わった際に軸振れが大きくな
る。
【0008】そこで、本発明は、 a:通常の多孔質含油軸受のように含浸された油が軸受
すきまと軸受内部を循環するようにして油が劣化しにく
い構造とし、 b:工業的に実現可能なものとするため、背(動圧溝間
の部分)および溝部の双方に開孔部を残しつつ、その場
合でも十分な動圧効果を確保し、 c:アンバランス荷重が加わった際の軸振れを小さくす
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明にかかる多孔質含油軸受は、多孔質体の内周に、
この多孔質体と相対的に回転する軸を支持するための軸
受面を設けて軸受本体を形成し、この軸受本体に潤滑油
あるいは潤滑グリースを含浸させたものにおいて、軸受
面が、軸方向に対して一方に傾斜した複数の動圧溝を円
周方向に配列した第1領域と、第1領域から軸方向に離
隔し、軸方向に対して他方に傾斜した複数の動圧溝を円
周方向に配列した第2領域と、第1領域と第2領域との
間に位置する環状の平滑部とを有するものである(請求
項1)。
【0010】このような構造にすると、 軸と軸受本体との間に相対回転が生じると、軸方向
両側の領域に逆向きに形成された動圧溝によって、油が
平滑部に集められるため、この部分での油膜圧力が高ま
る。
【0011】 平滑部には動圧溝がないため、動圧溝
が軸方向に連続している従来品に比べて軸受剛性が高く
なる。従って、軸振れを小さく抑えることができる。
【0012】 開孔のばらつきによる動圧発生の不均
一性を避けることができる。なお、本明細書において、
「開孔」とは、多孔質体組織の細孔が外表面に開口した
部分をいう。
【0013】かかる効果〜が得られるのは、以下の
理由による。
【0014】図1に示すように、一般に円筒状の多孔質
体からなる軸受本体(1)の内径面に連続した動圧溝
(5:図面ではヘリングボーン型の動圧溝を例示する)
を設けると、軸方向断面での油の流れは図2のようにな
る。すなわち、軸(2)の回転に伴って、軸受本体
(1)の軸方向両側から油(O)がしみ出し、しみ出し
た油(O)が軸受中央部に押し込まれて圧力(動圧)を
生じ、この圧力によって軸(2)が支持される。
【0015】ところが、このような圧力が発生すると、
油が表面の開孔部から軸受内部に還流するため、動圧効
果が減少する。この傾向は動圧溝を設ける場合のように
軸受面に凹凸を設けるとさらに顕著になる。例えば、動
圧溝の途中に大きな孔があった場合、油はその部分から
軸受内部に還流するので、動圧作用は大幅に減じられ
る。
【0016】一般に、軸受面の開孔部の分布を均一にす
ることは難しいため、軸受面には大きな孔や小さな孔が
混在する。従って、油の軸受内部への還流度合いは各部
で不均一となる。この場合、油の逃げやすい部分では油
膜ができにくく、逃げにくい部分では油膜ができやすく
なるため、図3(軸受面の周方向における展開図を示
す)に示すように、軸受面(1a)における油膜(S)の
分布が軸方向で不均一になる。このままでは、不安定振
動(ホワールなど)の抑制には一定の効果を奏するもの
の、十分な動圧効果を発揮することはできない。
【0017】以上の点から、従来例(実公昭63-19627
号)では溝部の封孔を提案しているのであるが、上述の
ように溝部の封孔は工業的に極めて困難なもので実現性
に乏しい。また、動圧溝間(5)の背の部分(6)が軸
を支持する支持面となるが、軸受面の断面形状が凹凸状
であるため、支持面となる背の部分(6)の面積が小さ
くなって軸受剛性が低下する。
【0018】これに対して、本発明品は、図4に示すよ
うに、第1及び第2領域(m1)(m2)の間に環状の平滑
部(n)を有する。平滑部(n)においては開孔度合を
管理しやすい。また、両領域(m1)(m2)では溝方向の
油の流れが支配的であるが、平滑部(n)では円周方向
の油の流れも存在しており、たとえ大きな孔があっても
次々と油が補われるため、動圧効果が減じられる度合が
はるかに少ない。図5に本発明品の軸受面(1a)の円周
方向における展開図を示す。図示のように、油膜(S)
の広い部分と狭い部分との差が縮まり、油膜分布が均一
化するので、安定した動圧効果が得られる。また、動圧
溝(5)間の背の部分(6)のみならず、平滑部(n)
も軸を支持する支持面となるので、支持面の面積が拡大
し、軸受剛性を高めることができる。
【0019】平滑部(n)の軸受幅方向の比率rは、軸
受幅を1とした場合、r=0.1〜0.6の範囲、望ま
しくは、r=0.2〜0.4の範囲に設定するのが良
い。軸受幅1に対して0.1未満では、平滑部(n)を
設けたことによる効果(動圧の増加、軸受剛性の増加)
が顕著に現れず、また、軸受け幅1に対してrを0.6
より大きくすると、動圧溝が少なくなり、油を軸方向中
央部に押し込む力が弱くなって動圧効果が有効に発揮さ
れない。
【0020】平滑部(n)での表面開孔率は、第1及び
第2領域(m1)(m2)での表面開孔率よりも小さくする
のがよい(請求項2)。
【0021】これにより、動圧溝によって平滑部(n)
に集められた油が表面の開孔部から軸受内部に逃げにく
くなるので、発生する圧力を高めることができる。ま
た、軸を支持するための支持面の面積が十分に確保され
るので、軸受剛性を高めることもできる。
【0022】表面開孔率は、第1および第2領域(m1)
(m2)で5〜40%の範囲、望ましくは10〜30%の
範囲に設定し、平滑部(n)で2〜30%の範囲、望ま
しくは2〜20%の範囲に設定するのが良い。両領域で
の表面開孔率が5%未満では、軸受内部から軸受すきま
への油の供給量が減って油不足、潤滑不良となるおそれ
があり、40%を越えると軸受内部に逃げる油量が多く
なって平滑部に油が供給されず、やはり油不足、潤滑不
良となるおそれがある。また、平滑部での表面開孔率が
2%未満では、生産が極めて困難となってコストアップ
を招き、30%を越えると油の軸受内部への逃げ量が多
くなって潤滑不良を招くおそれがある。
【0023】動圧軸受であっても起動・停止時には、軸
と軸受とが瞬間的に接触する。この時の接触部は軸受端
の近傍で線接触である。従って、図9に示すように、軸
受面(1a)の軸方向両端部を軸受端側ほど内径を拡大さ
せたテーパ面状に形成しておけば(請求項3)、接触面
積が増え、瞬時にして非接触状態となる。図面では、第
1および第2領域(m1)(m2)の全体をテーパ面とした
場合を図示しているが、両領域(m1)(m2)の一部(軸
受端部側)のみをテーパ面としてもよい。なお、テーパ
面以外の軸受面(1a)は、軸の外周面と平行に形成され
る。
【0024】この場合、平滑部(n)から軸受面(1a)
の端部に至るまでの軸受内径の増加分Δcと軸径Dとの
比は、Δc/D=1/3000〜1/200の範囲、よ
り望ましくはΔc/D=1/3000〜1/500の範
囲に設定するのが良い。Δc/Dが1/3000より小
さいと、テーパが小さすぎるために瞬間的な接触を防止
することができず、Δc/Dが1/200より大きい
と、テーパが過大となって動圧効果が有効に発揮されな
い。
【0025】ところで、ハウジングに2個の軸受(多孔
質含油軸受)を圧入する場合、2個の軸受の同軸度、円
筒度などの精度が問題となる。精度が悪い場合、軸と軸
受が線接触したり、最悪の場合には軸が2個の軸受を貫
通しない場合も起こり得る。
【0026】この場合には、図13に示すように、軸受本
体(1)の軸方向の2個所以上に、図4や図9に示す形
状の軸受面(1a)(請求項1乃至3の何れかの軸受面)
を設けるのがよい。この軸受は、軸受本体(1)を1個
とし、その内径面の複数箇所(図面では2個所)に動圧
軸受面(1a)を設けたものであるから、複数個の軸受を
別体に配置したことに起因する精度不良等の上記弊害を
回避することが可能となる。
【0027】この場合、動圧溝を転写するサイジングピ
ンの精度を良く仕上げておけば、軸受けの精度も良くな
る。サイジングピンの精度を必要とされる精度、例えば
真円度1μm以内、円筒度2μm以内などに仕上げるこ
とはさほど難しくなく、容易に達成できる。従って、組
立てが容易に行なえ、軸受も2個が1個になるので、低
コストに製作可能である。
【0028】なお、動圧の発生を安定化させるため、第
1および第2領域(m1)(m2)の動圧溝(5)は、軸受
面(1a)の軸方向中間部(L)を中心として対称に形成
するのが好ましい(図4参照)。
【0029】
【発明の実施の形態】図4に本発明にかかる多孔質含油
軸受の断面図を示す。
【0030】この多孔質含油軸受は、多孔質材料の一例
として焼結合金を用いたもので、例えば、図6に示すよ
うなレーザビームプリンタのスキャナモータにおいて、
ロータ(8)とステータとの間の励磁力によって高速回
転する回転軸(2)をハウジング(7)に対して回転自
在に支持するものである。この含油軸受は、焼結合金に
より多孔質に形成された円筒状の軸受本体(1)に回転
軸(2)が挿通される軸受孔(1b)を形成すると共に、
軸受孔(1b)の内径面、すなわち軸受面(1a)に軸方向
に傾斜する複数の動圧溝(5)を圧縮成形し、さらに軸
受本体(1)に潤滑油又は潤滑油を含浸させたものであ
る。図面では、動圧溝(5)としてへリングボーン型を
例示しているが、軸方向に傾斜する他の形状、例えばス
パイラル型としてもよい。
【0031】動圧溝(5)は、軸受面(1a)のうち、軸
方向に離隔する2つの領域(第1領域m1及び第2領域m
2)にそれぞれ逆向きに配列して形成される。両領域(m
1)(m2)の動圧溝(5)は、その間の軸受面の一部領
域(平滑部n)で区画されて非連続となっており、軸受
幅方向の中心線(L)を中心として対称に形成されてい
る。
【0032】なお、動圧溝(5)の間の背の部分(6)
と平滑部(n)は連続して形成されている。また、この
実施形態では平滑部(n)および背の部分(6)のみな
らず、動圧溝(5)も開孔を有しており、動圧溝(5)
を含む軸受面(1a)の開孔部を介して、油を軸受本体の
内部と軸受すきまとの間を循環させて、軸の外周面を軸
受面で浮上支持する構成になっている。
【0033】この動圧溝(5)の圧縮成形は、コアロッ
ド(例えばサイジングピン)の外周面に軸方向に傾斜し
た凹凸からなる成形部を形成し、このコアロッドの外周
面に多孔質材を供給し、多孔質材に圧迫力を加えてその
内径部をコアロッドの成形部に加圧し、当該内径部にコ
アロッドの成形部に対応した形状の動圧溝を転写するこ
とにより行われる。動圧溝の形成後は、圧迫力を除去す
ることによる多孔質材のスプリングバックを利用してコ
アロッドを多孔質材の内径部から離型する。
【0034】上記多孔質含油軸受を図6に示すような小
型スピンドルモータに組み込み、軸振れを測定した結果
を図7および図8に示す。
【0035】図7はほとんどアンバランス荷重が加わら
ない場合(アンバランス荷重;50mg・cm以下)、
図8はアンバランス荷重が大きい場合(アンバランス荷
重;1g・cm)の結果である。この図には比較のため
に溝のない真円軸受の結果も合わせて示した。真円軸受
の寸法、軸受すきまなどの動圧溝仕様以外の軸受仕様は
動圧溝付き軸受と同じに設定してある。テストピースの
仕様を整理すると、 従来例:連続したヘリングボーン型動圧溝を有する軸
受(図1)
【0036】
【数1】 本発明品1;中間部に平滑部があるヘリングボーン型
動圧溝を有する軸受
【0037】
【数2】 本発明品2;平滑部の表面開孔率がその両側の領域よ
りも小さなヘリングボーン型動圧溝を有する軸受
【0038】
【数3】 である。
【0039】従来例は真円軸受に比べて軸振れが小さく
なるが、本発明品に比べて軸振れが大きく、特にアンバ
ランス荷重が大きく、回転数が高い領域では軸振れの増
加が大きい。本発明品はアンバランス荷重の大小にかか
わらず軸振れが小さく、特に回転数の高い領域での軸振
れの増加が少ない。したがって、LBPモータのような
アンバランス荷重が小さい機種はもとより、DVD−R
OMモータのようにディスクがのることにより大きなア
ンバランス荷重が加わるような機種でも、本発明品は軸
振れを小さく抑えることができる。
【0040】次に、図9に示すように、軸受面(1a)の
軸方向両端部を軸受端側ほど内径を拡大させたテーパ面
状に形成した軸受( 本発明品) と、図1に示す従来品と
のそれぞれについて、起動時における金属接触の頻度を
油膜形成率から測定した結果を図10に示す。なお、軸の
回転数は6000rpmとした。
【0041】従来例(で示す)の場合、起動時の油膜
形成率が低いことから金属接触する頻度が多い。これは
起動直後では軸受すきまに油が潤沢でなく、また、軸が
みそすり運動(揺動)するため軸受端で軸受がエッジ当
たりして金属接触が発生することによる。これに対して
本発明品(で示す)は起動直後から金属接触が見られ
ず、瞬時にして油膜が形成されている。軸受端でテーパ
状となっているため軸と軸受のエッジ当たりが回避され
たためである。
【0042】なお、動圧溝の溝深さと半径すきまとの比
には最適な範囲があり、この範囲以外では動圧効果は著
しく減じられてしまう。c/h=0.5〜5.0(図11
参照)の範囲であれば実用上問題のない高回転精度を維
持することができる。
【0043】また、多孔質含油軸受は通常無給油で使用
されるが、油の飛散、蒸発などにより油が徐々に消耗、
流失することは避けられない。油が消耗されると油膜形
成範囲が収縮するため、軸振れなどの回転精度の悪化を
招く。特に、軸姿勢が縦型で使われる場合が多く、毎分
1万回転以上の高速で使用されるレーザービームプリン
タ用モータでは、図12に示すように、遠心力の作用で、
軸受の油が流失しやすく、油膜形成など性能の維持が難
しかった。LBP、HDDの場合、高精度を維持しよう
とすると油膜が切れることは致命的となる。多孔質軸受
が単独の場合、特に高速で回転すると油は周囲の空気も
巻き込んで軸受内部を循環するため軸受すきまに空気が
混ざり込んでしまうことがある。空気が混ざらないよう
にするためには、軸受本体に密着させて補油部材を配置
し、軸受内部に少しでも空孔ができたら補油部材から油
を補給することが有効である。補油部材を配置すること
は、寿命延長の効果もあるが、高精度を常に維持するた
めの油膜維持に効果がある。軸受本体に密着して用いら
れる補油部材は、金属や樹脂などの多孔質体、あるいは
フェルトなどの繊維物質に油を含ませた周知のものでも
よいが、固形状で少なくとも20℃以上の温度で内包し
た油を表面に滲み出し続ける固形状潤滑組成物を用いた
方がよい。例えば、潤滑油あるいは潤滑グリースと超高
分子量ポリオレフィン粉末との混合物で構成した固形状
のものが良い。これは低コストで量産性に富み、取扱い
が容易で組み込み作業が簡単なものとなる。この固形状
潤滑組成物は、常温以上の温度で内部に含有した油をご
くわずかずつ滲出させ続けるので、連続的に軸受へ油を
補給し続けることができる。
【0044】このように、静置した状態でも油が常に表
面に滲み出る固形状潤滑組成物を軸受の表面と密着する
ように配置すると、軸受の油が流失することがあって
も、油が多孔質軸受の毛細管現象によって軸受内部に補
給されるので、常時、良好な油膜を形成することができ
る。この固形状潤滑組成物は、ごく簡単な方法で製作す
ることができる。
【0045】例えば、所定量の潤滑グリースあるいは潤
滑油と所定量の超高分子量ポリオレフィン粉末を均一に
混合し、所定形状の型に流し込んで、超高分子量ポリオ
レフィン粉末のゲル化点以上で、かつ潤滑グリースを用
いた場合はその滴点以下の温度で分散保持させ、常温で
冷却することによって得られる。超高分子量ポリオレフ
ィン粉末は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブデ
ンもしくはこれらの共重合体からなる粉末またはそれぞ
れ単独の粉末を配合した混合粉末であってよく、各粉末
の分子量は、粘度法により測定される平均分子量が1×
106 〜5×106 である。このような平均分子量の範
囲にあるポリオレフィンは、剛性及び保油性において低
分子量のポリオレフィンより優れ、高温に加熱してもほ
とんど流動することがない。このような超高分子量ポリ
オレフィンの潤滑組成物中の配合割合は、95〜1wt%
であり、その量は組成物の所望の離油度、粘り強さ及び
硬さに依存する。したがって、超高分子量ポリオレフィ
ンの量が多いほど、所定温度で分散保持させた後のゲル
の硬さが大きくなる。
【0046】また、この発明に用いる潤滑グリースは、
特に限定されるものではなく、石鹸または非石鹸で増ち
ょうした潤滑グリースとして、リチウム石鹸−ジエステ
ル系、リチウム石鹸−鉱油系、ナトリウム石鹸−鉱油
系、アルミニウム石鹸ー鉱油系、リチウム石鹸−ジエス
テル鉱油系、非石鹸−ジエステル系、非石鹸−鉱油系、
非石鹸−ポリオールエステル系、リチウム石鹸−ポリオ
ールエステル系などのグリースが挙げられる。同じく、
潤滑油も特に限定されるものではなく、ジエステル系、
鉱油系、ジエステル鉱油系、ポリオールエステル系、ポ
リαオレファン系などの潤滑油を挙げることができる。
なお、潤滑グリースの基油あるいは潤滑油は、当初多孔
質含油軸受に含浸される潤滑油と同じものであることが
望ましいが、潤滑特性を損なわない限りにおいて、多少
異なるものであってもよい。
【0047】上記した超高分子量ポリオレフィンの融点
は、上記平均分子量に対応して変化するため一定ではな
いが、例えば粘度法による平均分子量が2×106 のも
のの融点は136℃である。同平均分子量の市販品とし
ては、三井石油化学工業社製:ミペロン(登録商標)X
M−220などがある。
【0048】したがって、上記した潤滑グリースあるい
は潤滑油に超高分子量ポリオレフィンを分散保持させる
には、上記した材料を混合した後、超高分子量ポリオレ
フィンがゲル化を起こす温度以上で、かつ潤滑グリース
を用いた場合は、その滴点未満の温度、例えば150〜
200℃に加熱する。
【0049】このような軸受装置は、レーザビームプリ
ンタのポリゴンミラーモータや磁気ディスクドライブ用
のスピンドルモータ、DVD−ROMモータなどのほ
か、軸流ファンや換気扇、扇風機などの電機製品、自動
車用電装品など、各種のモータに広範囲に利用するこが
でき、軸を動圧支持することによって特にその耐久性を
著しく向上することができる。
【0050】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の多孔質含油軸受は、軸方向に傾斜した動圧溝の間に平
滑部を設けたので、両側の動圧溝によって油が平滑部に
集められ,油膜圧力が高まる。また、平滑部には溝がな
いため、溝が連続している場合より軸受剛性が高く、軸
振れを小さく抑えることができる。さらに、開孔のばら
つきによる動圧発生の不均一性を避けることができる。
【0051】平滑部の表面開孔率を第1および第2領域
の表面開孔率よりも小さく設定すると、両側の動圧溝に
よって集められた油が平滑部から軸受内部に逃げにくく
なり、さらに発生する圧力、軸受剛性を高めることがで
きる。
【0052】軸受面の軸方向両端部にテーパ部を設けて
おくことによって、起動停止時の軸と軸受とのエッジ当
たりを防止することができる。
【0053】軸受本体の長さを長尺とし、軸方向の2か
所以上に動圧軸受面を設けると、同軸度、円筒度などの
精度不良を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来品の多孔質含油軸受の軸方向の断面図であ
る。
【図2】従来品における油の動きを示す軸方向の断面図
である。
【図3】従来品における軸受面の円周方向での展開図で
ある。
【図4】本発明にかかる多孔質含油軸受の軸方向の断面
図である。
【図5】本発明品における軸受面の円周方向での展開図
である。
【図6】本発明にかかる軸受を組み込んだモータの軸方
向の断面図である。
【図7】本発明品と従来品の軸振れを比較測定した結果
を示す図である(アンバランス荷重が小さい場合)。
【図8】本発明品と従来品の軸振れを比較測定した結果
を示す図である(アンバランス荷重が大きい場合)。
【図9】本発明の他の実施形態を示す軸方向の断面図で
ある。
【図10】本発明品と従来品の起動時における油膜形成
率を比較測定した結果を示す図である。
【図11】多孔質含油軸受の半径方向の断面図である。
【図12】多孔質含油軸受の油の飛散状況を示す軸方向
の断面図である。
【図13】本発明の他の実施形態を示す軸方向の断面図
である。
【符号の説明】
1 軸受本体 1a 軸受面 2 軸 5 動圧溝 m1 第1領域 m2 第2領域 n 平滑部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質体の内周に、この多孔質体と相対
    的に回転する軸を支持するための軸受面を設けて軸受本
    体を形成し、この軸受本体に潤滑油あるいは潤滑グリー
    スを含浸させたものにおいて、 軸受面が、軸方向に対して一方に傾斜した複数の動圧溝
    を円周方向に配列した第1領域と、第1領域から軸方向
    に離隔し、軸方向に対して他方に傾斜した複数の動圧溝
    を円周方向に配列した第2領域と、第1領域と第2領域
    との間に位置する環状の平滑部とを有する多孔質含油軸
    受。
  2. 【請求項2】 平滑部での表面開孔率を、第1および第
    2領域での表面開孔率よりも小さくした請求項1記載の
    多孔質含油軸受。
  3. 【請求項3】 軸受面の軸方向両端部が、軸受端側ほど
    内径を拡大させたテーパ面状に形成されている請求項1
    又は2記載の多孔質含油軸受。
  4. 【請求項4】 軸受本体の軸方向の2個所以上に、請求
    項1乃至3何れか記載の軸受面を有する多孔質含油軸
    受。
  5. 【請求項5】 第1及び第2領域の動圧溝が、軸受面の
    軸方向中間部を中心として対称に形成されている請求項
    1乃至4何れか記載の多孔質含油軸受。
JP8153597A 1997-03-06 1997-03-31 多孔質含油軸受 Pending JPH10274241A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013530303A (ja) * 2010-04-06 2013-07-25 ヌオーヴォ ピニォーネ ソシエタ ペル アチオニ 自己潤滑コーティング及び方法

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