JPH10265427A - 6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒドと関連化合物の製造方法 - Google Patents
6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒドと関連化合物の製造方法Info
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- JPH10265427A JPH10265427A JP6819597A JP6819597A JPH10265427A JP H10265427 A JPH10265427 A JP H10265427A JP 6819597 A JP6819597 A JP 6819597A JP 6819597 A JP6819597 A JP 6819597A JP H10265427 A JPH10265427 A JP H10265427A
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Abstract
2−ナフトアルデヒドを安価に収率よく製造する。 【解決手段】 2−メチル−6−ナフトール無水酢酸で
アシル化し、生成した6−アシルオキシ−2−メチルナ
フタレンをハロゲン化剤と反応させて6−アシルオキシ
−2−ジハロゲノメチルナフタレンを中間体として生成
させる。この中間体を、水と低級カルボン酸との混合溶
媒中にて、ハロゲン化水素酸の存在下に加水分解すると
6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒドが、中間体中の
ハロゲン基に対して等モル以上の量の低級カルボン酸ア
ルカリ金属塩の存在下に加水分解すると6−アシルオキ
シ−2−ナフトアルデヒドが、いずれも選択的に高収率
で生成する。
Description
体として有用な6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド
および6−アシルオキシ−2−ナフトアルデヒドの製造
方法、ならびにこの製造方法において出発物質となる6
−アシルオキシ−2−ジハロゲノメチルナフタレンの製
造方法に関する。
は、6−ブロモ−2−ナフトールとブチルリチウムとか
ら合成されている (米国特許第5,399,588 号) 。また、
6−メトキシ−2−ナフトアルデヒドの脱メチル化によ
る合成も示唆されている [特開平2−245200号公報およ
びJ. Chem. Soc., 2530 (1995)] 。第一の方法には使用
薬品が高価である、第二の方法には収率が低い、という
欠点がある。
デヒドは、6−アシル−2−メチルナフタレンの過酸に
よる酸化とその後の液相空気酸化から副生組成物として
確認されているが、収率が低い。
ロキシ−2−ナフトアルデヒドと6−アシルオキシ−2
−ナフトアルデヒドのいずれについても、満足できる製
造方法が未だ確立していない。本発明は、これらの化合
物を安価に収率よく製造する方法を提供することを目的
とする。
式に示すように、2−メチル−6−ナフトール(1) から
出発して、これをアシル化して6−アシルオキシ−2−
メチルナフタレン(2)にした後、ハロゲン化して6−ア
シルオキシ−2−ジハロゲノメチルナフタレン(3) を生
成させ、これを加水分解することにより、加水分解分解
条件によって6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド
(4) または6−アシルオキシ−2−ナフトアルデヒド
(5) を高収率で製造できることを見出した。
Xはハロゲンである。低級アルキル基R1 は好ましくは
炭素数1〜3のアルキル基あり、ハロゲンXは好ましく
は塩素または臭素である。
−2−ジハロゲノメチルナフタレン(3) を水と低級カル
ボン酸との混合溶媒中で加水分解することからなる6−
ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド(4) または6−アシ
ルオキシ−2−ナフトアルデヒド(5) の製造方法が提供
される。
−ジハロゲノメチルナフタレン(3)の加水分解をハロゲ
ン化水素酸の存在下に行うと、このナフタレン化合物
(3) の6位のアシルオキシ基と2位のジハロゲノメチル
基の両方が加水分解され、6−ヒドロキシ−2−ナフト
アルデヒド(4) が得られる。また、このナフタレン化合
物(3) の加水分解を、、該ナフタレン化合物1モルに対
して2当量以上の弱酸アルカリ金属塩からなる酸捕捉剤
の存在下に行うと、2位のジハロゲノメチル基だけが選
択的に加水分解されて、6−アシルオキシ−2−ナフト
アルデヒド(5) が得られる。
シ−2−ジハロゲノメチルナフタレン(3) は、2−メチ
ル−6−ナフトール(1) を酸無水物と反応させてアシル
化する工程、および生成した6−アシルオキシ−2−メ
チルナフタレン(2) を、好ましくはラジカル発生剤の存
在下でハロゲン化する工程により製造することができ
る。
フトール(1) から出発し、6−アシルオキシ−2−メチ
ルナフタレン(2) および6−アシルオキシ−2−ジハロ
ゲノメチルナフタレン(3) を経て、6−ヒドロキシ−2
−ナフトアルデヒド(4) または6−アシルオキシ−2−
ナフトアルデヒド(5) を製造する。
は、市販品を使用することができるが、2−メチルナフ
タレンをスルホン化した後、アルカリ融解(濃い水酸化
アルカリ溶液と共に 200〜350 ℃に加熱する) により芳
香族スルホン基をフェノール基に転化させることで容易
に合成することもできる。この化合物(1) は白色固体で
ある。
ルデヒド基に転化させれば、目的とする6−ヒドロキシ
−2−ナフトアルデヒド(4) が得られる。芳香族アルデ
ヒドの合成方法として、メチル基をハロゲン化してモノ
ハロゲノメチル基にし、このモノハロゲノメチル基を、
例えばヘキサメチレンテトラミン等の存在下で酸化して
アルデヒド基にする方法は周知であり、例えばナフトア
ルデヒドの合成において採用されている。
チル−6−ナフトール(1) のメチル基をアルデヒド基に
転化させるために、化合物(1) のハロゲン化反応を実施
してみたが、副反応としてナフタレン核のハロゲン化が
起こり易く、目的とするモノハロゲノメチル化生成物の
収率が非常に低くなることが判明した。そこで、さらに
検討を重ねた結果、化合物(1) の6位のヒドロキシル基
を一旦アシル化してアシルオキシ基にしてから2位のメ
チル基をハロゲン化すると、上記の副反応がほとんど生
じない上、このメチル基を高い選択率でジハロゲノメチ
ル基へ誘導できることを知った。
が置換されている場合には、ナフトアルデヒドの合成で
行われているような、ヘキサメチレンテトラミンを用い
てモノハロゲノメチル基を酸化する方法では、アルデヒ
ドはほとんど生成せず、分子量が202 の生成物 (アルデ
ヒド基ではなくCH2O付加物と推測される生成物)が生
成した。しかし、上記のようにメチル基をジハロゲノメ
チル基に誘導し、このジハロゲノメチル基を加水分解す
ると、非常に高い収率でアルデヒドが得られた。しか
も、この時の加水分解の反応条件に応じて、6位のアシ
ルオキシ基を同時に加水分解してヒドロキシル基に戻し
たり、或いはこの基は加水分解せずアシルオキシ基のま
まにしておき、2位のジハロゲノメチル基だけを選択的
に加水分解することができるので、2種類のアルデヒド
生成物(4) および(5) を別々に選択的に製造できること
も判明した。
チル−6−ナフトール(1) をまずアシル化して、この化
合物の6位のヒドロキシル基がアシルオキシ基に転化さ
せた化合物(2) を得る。次に、この化合物(2) をハロゲ
ン化して、2位のメチル基をジハロゲノメチル基に転化
させた化合物(3) を得る。この化合物(3) を最後に加水
分解して、2位のジハロゲノメチル基をアルデヒド基に
変化させる。この時、化合物(3) の6位のアシルオキシ
基も同時に加水分解させてヒドロキシル基にすると目的
化合物(4) が得られ、この加水分解を生じさせなければ
目的化合物(5)が得られる。
明する。まず、2−メチル−6−ナフトール(1) のアシ
ル化反応は、常法に従って、化合物(1) に、アシル基に
対応する酸無水物[(R1CO)2O] をアシル化剤として
反応させることより実施できる。R1 は、前述したよう
に低級アルキル基であり、好ましくは炭素数1〜3のア
ルキル基である。中でも、メチル基が最も好ましい。従
って、好ましいアシル化剤は無水酢酸である。
酸無水物は化合物(1) に対して等モル以上を使用するこ
とが好ましく、あまり多量にしても無駄になるので、通
常は等モルの1〜2倍の範囲内で十分である。低級カル
ボン酸の無水物は室温で液状であり、無溶媒で反応は十
分に進行するので、反応溶媒は使用する必要がないが、
溶媒を使用するのであれば、酢酸などの低級カルボン酸
を使用することができる。反応温度は80℃から反応系の
還流温度までの温度が好ましい。アシル化剤が無水酢酸
の場合で、好ましい反応温度は 100〜130 ℃である。
物と一緒に反応温度に加熱するだけでアシル化反応は進
行する。反応時間は、通常は数十分〜数時間、例えば、
1〜3時間程度である。反応条件を適切に選択すれば、
ほとんど定量的収率でアシル化生成物の6−アシルオキ
シ−2−メチルナフタレン(2) を得ることができる。ア
シル化生成物は、反応混合物に炭化水素などの無極性有
機溶媒を加えて析出させるといった手段で分離すること
により単離できる。必要に応じて水洗により洗浄し、乾
燥した後、そのまま次工程に使用できる。
メチルナフタレン(2) を次いでハロゲン化して、2位の
メチル基をジハロゲノメチル基に転化させ、6−アシル
オキシ−2−ジハロゲノメチルナフタレン(3) を得る。
ハロゲンとしては、塩素および臭素が好ましい。このハ
ロゲン化は、ラジカル発生剤の存在下または不存在下
に、適当なハロゲン化剤を反応させることにより実施で
きる。
しうるアゾニトリル系のものが好ましく、この種の最も
一般的なラジカル発生剤であるアゾビスイソブチロニト
リル(AIBN) を本発明でも使用できる。ラジカル発
生剤の使用は、ハロゲン化剤の種類によっては必須では
ないが、使用する方が反応が促進されることから好まし
い。また、ラジカル発生剤の代わりに、紫外線照射を利
用してもよい。
できるが、これらは有毒ガスで取扱いにくいことと、反
応性があまり高くないことから、反応性がより高く、固
体で取扱い易い、N−クロロスクシンイミド (NCS)
、N−ブロモスクシンイミド(NBS) 、ジクロロヒダ
ントイン、ジブロモヒダントイン等の化合物型のハロゲ
ン化剤の方が好ましい。
に使用することが好ましい。例えば、ハロゲン化剤が上
記の化合物型のものである場合で、その使用量は化合物
(2)に対するモル比が 1.5〜3倍、特に 2.0〜2.2 倍と
なる量が好ましい。ラジカル発生剤は、ハロゲン化剤に
対するモル比で 0.01〜0.1倍の量で用いることが好まし
い。
化剤の両方を溶解可能な有機溶媒中で行うことが好まし
い。ハロゲン化剤が上記の化合物型のものである場合、
適当な有機溶媒の例としては、ベンゼン等の芳香族炭化
水素、シクロヘキサン等のナフテン系 (脂環式) 炭化水
素、四塩化炭素等といった無極性の有機溶媒が挙げられ
る。この場合の反応温度は、50〜120 ℃、特に70〜95℃
の範囲が好ましい。反応時間は通常は数十分〜数時間、
例えば、1〜3時間程度である。
は、反応温度は80〜120 ℃と、上記より高くすることが
好ましく、反応時間もより長くなる。ハロゲン化反応生
成物(3) は、反応混合物から必要に応じて過剰のハロゲ
ン化剤を除去した後、溶媒を留去することにより単離す
ることができる。必要であれば、洗浄、再結晶等の周知
の方法により精製してもよい。
オキシ−2−ジハロゲノメチルナフタレン(3) を加水分
解して、目的とする6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデ
ヒド(4) または6−アシルオキシ−2−ナフトアルデヒ
ド(5) を製造する。この加水分解は、ジハロゲノメチル
基の加水分解に適用可能な任意の方法で実施することが
できる。
ン酸との混合溶媒中で化合物(3) を加熱する方法であ
る。溶媒の低級カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロ
ピオン酸等が使用できるが、酢酸が好ましい。この溶媒
中の低級カルボン酸は、化合物(3) の溶解に必要なもの
であるが、化合物(3) の2位のジハロゲノメチル基に対
する加水分解触媒としても作用し、このジハロゲノメチ
ル基をアルデヒド基に転化させる。しかし、低級カルボ
ン酸は、この化合物(3) の6位のアシルオキシ基の加水
分解に対しては触媒効果を発揮しない。この芳香環に結
合したアシルオキシ基の加水分解には、より強力な酸、
好ましくはハロゲン化水素酸 (例、塩酸、臭化水素酸)
の存在が必要である。
は、重量比で1:4〜4:1、特に1:2〜2:1の範
囲内が好ましい。また、溶媒中の低級カルボン酸は、前
述したように加水分解触媒としても作用するので、化合
物(3) に対して等モル量以上の量を用いることが好まし
い。反応温度は、化合物(3) が反応溶媒に溶解する温度
以上であればよいが、好ましくは60〜150 ℃、より好ま
しくは80〜120 ℃であり、特に 100〜120 ℃の範囲が好
ましい。反応時間は一般に30分〜5時間程度である。
アシルオキシ基も加水分解させて、6−ヒドロキシ−2
−ナフトアルデヒド(4) を製造したい場合には、上記の
加水分解反応を、反応系にハロゲン化水素酸が存在する
ようにして行う。但し、酢酸によりジハロゲノメチル基
が加水分解されると、ハロゲン化水素酸 (HX) が副生
する。従って、特にハロゲン化水素酸を反応系に添加し
なくても、ジハロゲノメチル基の加水分解反応の進行に
伴って反応系にハロゲン化水素酸が放出されてくるの
で、このハロゲン化水素酸が6位のアシルオキシ基の加
水分解に利用されうる。即ち、この場合、ハロゲン化水
素酸の存在下で加水分解反応が行われることになる。
素酸だけではアシルオキシ基の加水分解は非常に遅くな
るので、アシルオキシ基の加水分解を促進させるため、
別にハロゲン化水素酸、好ましくは塩酸、を反応系に添
加することが、化合物(4) の製造にとって好ましい。こ
の場合、加水分解反応の最初にハロゲン化水素酸を添加
すると、2位のジハロゲノメチル基のアルデヒド基への
加水分解反応が妨害され、赤色に着色し、重質化した副
生物の生成が起こり易くなるので、ジハロゲノメチル基
の加水分解がほぼ終了してからハロゲン化水素酸を添加
することが好ましい。ハロゲン化水素酸は、溶媒中の濃
度が2〜10重量%となるような量で添加することが好ま
しい。
して、6−アシルオキシ−2−ナフトアルデヒド(5) を
製造したい場合には、ジハロゲノメチル基の加水分解で
生ずるハロゲン化水素酸 (HX) を捕捉して中和するよ
うに、酸捕捉剤として機能する弱酸アルカリ金属塩を反
応系に存在させる。酸捕捉剤として用いる弱酸アルカリ
金属塩は、反応溶媒である水と低級カルボン酸との混合
溶媒中に可溶性のものであればよい。適当な酸捕捉剤と
しては、アルカリ金属炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、
低級カルボン酸塩などが例示できる。特にアルカリ金属
低級カルボン酸塩 (例、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウ
ム、ギ酸カリウム、酢酸カリウムなど)の使用が好まし
い。この塩を反応系に添加する代わりに、アルカリ金属
水酸化物を反応系に添加して、反応溶媒の低級カルボン
酸を反応させることにより、アルカリ金属低級カルボン
酸塩を反応系内で生成させることもできる。
場合、反応系に存在させる酸捕捉剤の量は、少なくとも
ジハロゲノメチル基の加水分解で生ずるハロゲン化水素
酸を完全に中和するのに必要な量とする。ジハロゲノメ
チル基1モルの加水分解で2モルのハロゲン化水素酸が
生成するので、酸捕捉剤は化合物(3) 1モルに対して2
当量以上の量が必要である。即ち、酸捕捉剤がアルカリ
金属低級カルボン酸塩の場合には、化合物(3) 1モルに
対して酸捕捉剤を2モル以上、酸捕捉剤が炭酸ナトリウ
ムの場合には、化合物(3) に対して酸捕捉剤が1モル以
上の量であればよい。あまりに多量に存在させても無駄
になるだけであるので、通常は上記量の1〜2倍程度、
特に1〜1.5 倍で十分である。これにより、ジハロゲノ
メチル基の加水分解で生じたハロゲン化水素酸は、反応
系に存在するアルカリ金属低級カルボン酸塩(または他
の酸捕捉剤)によりすぐに捕捉されて中和される結果、
6位のアシルオキシ基は加水分解を受けずにそのまま残
る。その結果、2位のジハロゲノメチル基だけが選択的
に加水分解され、6−アシルオキシ−2−ナフトアルデ
ヒド(5) が得られる。
アルカリ金属低級カルボン酸塩を反応系に存在させて
も、その量が化合物(3) 1モルに対して2当量より少な
いと、ジハロゲノメチル基の加水分解で生ずるハロゲン
化水素酸 (HX) が完全には中和されず、一部が残存す
る。そして、この残存するハロゲン化水素酸が6位のア
シルオキシ基の加水分解に対して作用する結果、上記の
反応系に塩酸を添加する場合と同様に、2位のジハロゲ
ノメチル基と6位のアシルオキシ基が同時に加水分解さ
れ、6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド(4) が生成
するようになる。即ち、この場合も、加水分解反応はハ
ロゲン化水素酸の存在下で進行することになる。そし
て、このように当量に不足する量の酸捕捉剤を添加し
て、ハロゲン化水素酸の存在下で加水分解反応を進行さ
せた場合にも、理由は不明であるが、6位のアシルオキ
シ基の加水分解も速やかに進行し、化合物(4) が得られ
ることが判明した。
ルデヒド(4) を収率よく製造するには、反応系に存在さ
せるアルカリ金属低級カルボン酸塩 (または他の酸捕捉
剤)の量を、化合物(3) 中のハロゲン基のモル数に対し
て 0.5〜0.8 当量、即ち、化合物(3) 1モルに対しては
1.0〜1.6 当量の範囲内とすることが好ましい。この量
が化合物(3) 1モルに対して1.6 当量より多くなると、
ハロゲン化水素酸の残存量が少なくなって、6−アシル
オキシ生成物(5) の生成割合が増え、6−ヒドロキシ生
成物(4) と6−アシルオキシ生成物(5) との混合物が得
られるようになる。
ゲン化水素酸を添加しないか、或いはアルカリ金属低級
カルボン酸を添加してもその添加量が化合物(3) 1モル
に対して1.0 当量より少ないと、6−ヒドロキシ−2−
ナフトアルデヒド(4) への加水分解反応の進行が遅くな
る。従って、ハロゲン化水素酸の存在下で化合物(3)を
加水分解して化合物(4) を製造する場合には、ジハロゲ
ノメチル基の加水分解がほぼ終了した後にハロゲン化水
素酸を添加するか、或いは反応系に化合物(3)1モルに
対して 1.0〜1.6 当量という、加水分解反応で生成する
ハロゲン化水素酸の完全中和には不足する量の酸捕捉剤
(好ましくは、アルカリ金属低級カルボン酸) を添加し
て加水分解反応を行うことが好ましい。
あっても、反応混合物を冷却すると反応生成物が結晶化
するので容易に単離できる。必要により洗浄、再結晶等
の周知の方法で精製すればよい。
体的に説明する。但し、実施例は例示に過ぎず、本発明
を制限するものではない。実施例における生成物の純度
分析は、メチルシリコーンの化学結合型キャピラリーカ
ラムを用いたガスクロマトグラフィー分析においてFI
D検出器で求めた純度 (GC面百純度) である。
酸122.4 g (1.2モル)の混合物を還流温度(122〜125 ℃)
に3時間加熱して反応させた。その後、反応混合物に
シクロヘキサン300 g を加えて、室温まで冷却した。析
出した結晶を濾別し、減圧下60℃で乾燥して、純度99.1
%の6−アセトキシ−2−メチルナフタレン 184g (収
率91.1モル%) を得た。
140 g (0.7モル) 、ベンゼン1128 g、N−ブロモスクシ
ンイミド (NBS) 274 g (1.54 モル、反応物質に対し
て2.2 倍モル) 、およびアゾビスイソブチロニトリル
(AIBN) 2.8g (0.017 モル) からなる混合物を、還
流温度 (83〜85℃) に2時間加熱して反応させた。その
後、反応混合物を室温まで冷却し、析出したスクシンイ
ミドを濾去し、濾液を5%亜硫酸ナトリウム水溶液500
mlで洗浄した後、ベンゼンを留去して、純度96.9%の粗
−アセトキシ−2−ジブロムメチルナフタレン231.3 g
(収率92.3モル%) を淡黄色の結晶として得た。
測定のためにガス化すると分解して臭素の一部が脱離す
るので、生成物の純度は、試料に2倍モル量のナトリウ
ムメチラートを添加し、80℃で10分間加熱してジブロモ
メチル基をジメトキシメチル基に添加させ、この反応生
成物に水とトルエンを加え、トルエン相に抽出されたジ
メトキシメチル化誘導体を分析することにより実施し
た。
の合成 6−アセトキシ−2−ジブロモメチルナフタレン50 g
(0.1397モル) 、水100g および酢酸100 g からなる混合
物を還流温度 (約 110〜115 ℃) に2時間加熱した後、
濃塩酸20 ml を加えてさらに30分間還流加熱して、加水
分解反応を行った。その後、反応混合物を室温まで冷却
し、析出した結晶を濾別し、減圧下60℃で乾燥して、純
度98.2%の6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド19.2
g (収率78.6モル%) を得た。
の合成 6−アセトキシ−2−ジブロモメチルナフタレン50 g
(0.1397モル) 、水100g 、酢酸100 g 、およびギ酸ナト
リウム11.4g (0.168モル) からなる混合物を還流温度
(約 110〜115 ℃) に2時間加熱して加水分解反応を行
った後、室温まで冷却し、析出した結晶を濾別し、減圧
下60℃で乾燥して、純度98.8%の6−ヒドロキシ−2−
ナフトアルデヒド19.0 g (収率78.2モル%) を得た。
の合成 6−アセトキシ−2−ジブロモメチルナフタレン50 g
(0.1397モル) 、水100g 、酢酸100 g 、および酢酸ナト
リウム25.2 g (0.307 モル) からなる混合物を還流温度
(約 110〜115 ℃) に2時間加熱して加水分解反応させ
た後、室温 (20℃) まで冷却し、析出した結晶を濾別
し、減圧下60℃で乾燥して、純度99.1%の6−アセトキ
シ−2−ナフトアルデヒド21.4 g (収率88.4モル%) を
得た。
ゼン160 g 、N−ブロモスクシンイミド (NBS) 39.1
g (0.22モル) 、およびアゾビスイソブチロニトリル
(AIBN) 0.4 g からなる混合物を、還流温度 (83〜8
5℃) に2時間加熱して反応させた。反応混合物を室温
まで冷却し、析出したスクシンイミドを濾去し、濾液を
5%亜硫酸ナトリウム水溶液300 mlで洗浄した後、ベン
ゼンを留去すると、黄色の結晶26.6gが得られた。
モメチルナフタレン38.8重量%、6−ヒドロキシ−2−
ジブロモメチルナフタレンの核ブロム化物36.1重量%、
および6−ヒドロキシ−2−ブロモメチルナフタレン1
4.4重量%を含有していた。2−メチル−6−ナフトー
ルを直接ハロゲン化した場合も、ジブロモメチル化生成
物が主生成物となるが、収率が低く、核ブロム化物が大
量に副生する上、モノブロムメチル化物も一緒に生成す
ることが分かる。
よる6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒドの合成 6−アセトキシ−2−ブロモメチルナフタレンを常法に
従って酸化して6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド
を合成することを試みた。
レン27.9 g (0.10モル) 、ヘキサメチレンテトラミン28
g (0.2 モル) 、酢酸80gおよび水80gからなる混合物
を還流温度 (約110 ℃) に2時間加熱して、ブロモメチ
ル基を酸化させた後、20%塩酸20 gを加え、さらに0.5
時間還流加熱して、アセトキシ基の加水分解を行った。
得られた反応液をガスクロマトグラフィーで分析したと
ころ、6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒドはほどん
ど生成していなかった。
ールから出発して、アシル化工程とハロゲン化工程を経
て、中間体の6−アシルオキシ−2−ジハロゲノメチル
ナフタレンを、安価な反応剤だけを使用して、ほぼ定量
的に近い高収率で製造することができる。この中間体
を、水と低級カルボン酸の混合溶媒中で加水分解するこ
とにより、加水分解条件に応じて、6−ヒドロキシ−ナ
フトアルデヒドと6−アシルオキシ−ナフトアルデヒド
とを、それぞれ選択的に、いずれもかなりの高収率で製
造することができる。従って、本発明は、これら2種類
の化合物の安価な製造方法として有用性が高い。
Claims (5)
- 【請求項1】 6−アシルオキシ−2−ジハロゲノメチ
ルナフタレンを、水と低級カルボン酸との混合溶媒中
で、ハロゲン化水素酸の存在下に加水分解することから
なる、6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒドの製造方
法。 - 【請求項2】 6−アシルオキシ−2−ジハロゲノメチ
ルナフタレンを、水と低級カルボン酸との混合溶媒中
で、該ナフタレン化合物1モルに対して2当量以上の弱
酸アルカリ金属塩からなる酸捕捉剤の存在下に加水分解
することからなる、6−アシルオキシ−2−ナフトアル
デヒドの製造方法。 - 【請求項3】 出発物質の6−アシルオキシ−2−ジハ
ロゲノメチルナフタレンが、2−メチル−6−ナフトー
ルを酸無水物と反応させてアシル化し、生成した6−ア
シルオキシ−2−メチルナフタレンをハロゲン化するこ
とにより得たものである、請求項1または2記載の方
法。 - 【請求項4】 2−メチル−6−ナフトールを酸無水物
と反応させてアシル化する工程、および生成した6−ア
シルオキシ−2−メチルナフタレンをハロゲン化する工
程からなる、6−アシルオキシ−2−ジハロゲノメチル
ナフタレンの製造方法。 - 【請求項5】 前記ハロゲン化を、ラジカル発生剤の存
在下に行う請求項3または4記載の方法。
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