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JPH10226702A - 乾燥セルロースの復元方法 - Google Patents

乾燥セルロースの復元方法

Info

Publication number
JPH10226702A
JPH10226702A JP4485397A JP4485397A JPH10226702A JP H10226702 A JPH10226702 A JP H10226702A JP 4485397 A JP4485397 A JP 4485397A JP 4485397 A JP4485397 A JP 4485397A JP H10226702 A JPH10226702 A JP H10226702A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cellulose
water
drying
shearing
dried
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4485397A
Other languages
English (en)
Inventor
Otohiko Watabe
乙比古 渡部
Akira Shibata
明 柴田
Naoki Nishimura
直樹 西村
Fumihiro Yoshinaga
文弘 吉永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bio Polymer Research Co Ltd
Original Assignee
Bio Polymer Research Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bio Polymer Research Co Ltd filed Critical Bio Polymer Research Co Ltd
Priority to JP4485397A priority Critical patent/JPH10226702A/ja
Publication of JPH10226702A publication Critical patent/JPH10226702A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バクテリアセルロース等を乾燥後に復水させ
た場合に、溶解性、分散性、沈降度及び粘度等の諸特性
が乾燥前の状態に復元する方法を提供すること。 【解決手段】 乾燥状態にあるバクテリアセルロース、
微小繊維状セルロース又は柔組織細胞セルロースを剪断
の程度が大きくなるような剪断処理を加えて離解するこ
とを特徴とする、該セルロースの復元方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロース生産菌
を培養することによって製造し得るセルロース性物質
(以下、「バクテリアセルロース」又は「BC」とい
う。)、微小繊維状セルロース(以下、「MFC」とも
いう。)又は柔組織細胞セルロース(以下、「PCC」
ともいう。)の乾燥物に剪断処理を加えて離解すること
を特徴とする該セルロースの復元方法に関する。
【0002】
【従来の技術】BC(バクテリアセルロース)は可食性
であり無味無臭であるため、食品分野で利用されるほ
か、水系分散性に優れているので食品、化粧品又は塗料
等の粘度の保持、食品原料生地の強化、水分の保持、食
品安定性向上、低カロリー添加物又は乳化安定化助剤と
しての産業上利用価値がある。BCは木材パルプ等から
製造されるセルロースに較べ、フィブリルの断片幅が2
ケタ程度も小さいことを特徴とする。従って、BCの離
解物はフィブリルのかかる構造的物理的特徴に基づき高
分子、特に水系高分子用補強剤として各種の産業用用途
がある。このようなセルロース性離解物を紙状または固
型状に固化した物質は高い引張弾性率を示すのでフィブ
リルの構造的特徴に基づくすぐれた機械特性が期待さ
れ、各種産業用素材としての応用がある。一方、MFC
は約0.1〜10ミクロン程度の大きさの微小体セルロ
ースとして従来から知られており、水系分散性に優れて
いるので食品、化粧品又は塗料等の粘度の保持、食品原
料生地の強化、水分の保持、食品安定性向上、低カロリ
ー添加物又は乳化安定化助剤としての産業上利用価値が
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
BC、PCC又はMFCの離解物を製造するに際してそ
れらを湿潤状態のままで扱う際には、セルロース成分に
対して数倍〜数百倍の重量で存在する水等の溶媒のため
に、保存スペースの増大、保存及び輸送コストの増大、
保存中の微生物による分解等、種々の問題点がある。そ
こで、このBC、PCC又はMFCを湿潤状態から乾燥
状態にすることができれば、上記問題点の解決につなが
ることが予想される。ところが、BC等は、非常に微細
なセルロース微細繊維からなる。この微細繊維は、幅約
100nm、厚さ数nm程度であることが、透過型電子顕微
鏡観察の結果をもとに推察されている。さらに、走査型
電子顕微鏡観察では、幅が20〜50nmであることが報
告されている。周知のようにセルロースは、グルコース
の1位と4位の炭素がβ結合してできたホモポリマーで
ある。このグルコース残基の2、3、6位には、水酸基
が結合しているが、これらの水酸基とグルコースのピラ
ノース環の中の酸素原子との間に水素結合が形成され
る。微細繊維と微細繊維の間には、水分が存在している
が、乾燥の過程でこれらの水分が除去されると、微細繊
維表面にも水酸基と酸素原子が存在するために、微細繊
維間にも水素結合が形成される。バクテリアセルロー
ス、柔組織細胞セルロース及び微小繊維状セルロースの
リボン状の微細繊維は、通常のセルロース繊維、例え
ば、植物パルプ繊維と比較して非常に細い分、表面積が
大きいので、水素結合に寄与する部分が多くなるので、
微細繊維間の水素結合は、通常のパルプ繊維などと比較
して非常に強固なものとなる。
【0004】従って、一旦BCが乾燥されると微細繊維
間の結合が強固なために、単に水を加えてももとの湿潤
状態には復元しない。巨視的な形態で言えば、静置培養
で得られるBCはゲル膜状、攪拌培養で得られるBCは
スラリー状、両者を離解して得られる離解物もスラリー
状であるが、単に乾燥するとフィルム状となり、これに
水を加えてもフィルム状のままでもとの状態にはもどら
ない。このため、単に乾燥後復水させたBCが、溶解
性、分散性、沈降度、及び粘度などの諸特性が乾燥前の
状態に復元することは著しく困難であった。又、PCC
及びMFCについても同様な問題点があった。この問題
を解決する手段として、従来から凍結乾燥法や臨界点乾
燥法などの他に、有機溶剤で置換処理した後乾燥する方
法(特開平6ー233691号)などが提案されてい
る。これらの方法の特徴は、BCの微細繊維の間にある
水を氷の状態にしてから乾燥したり、水を溶媒に置換す
ることで、乾燥の際に形成される微細繊維間の水素結合
の発生を防止するものである。しかしながら、これらの
方法では膨大なエネルギーや複雑なプロセスを必要とし
ていた。これらの点を改善した方法として、バクテリア
セルロースの水性懸濁液にBCと水以外の第3成分を添
加した後に脱水乾燥する方法が提案されている(特願平
7−288058号)。又、乾燥状態のBCに高速剪断
力を加え離解することにより、ゲルを離解して得られた
離解物と同様の紙力増強効果(シート強度)を示すとい
う報告もされている(特開平5−51885号)。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、一定量(値)
以上の剪断処理を加えて乾燥されたバクテリアセルロー
ス、微小繊維状セルロース又は柔組織細胞セルロースを
離解することによって、乾燥前のこれらセルロースが有
していた保水性、粘度及び乳化力等の優れた特性を復元
することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、乾燥状態にあるバクテリアセルロー
ス、微小繊維状セルロース又は柔組織細胞セルロースを
剪断の程度が大きくなるような剪断処理を加えて離解す
ることを特徴とする、該セルロースの復元方法及びこう
して復元されたセルロースの懸濁物に係わる。本発明の
剪断処理に於ける「剪断の程度」は、ポリアクリルアミ
ド溶液の剪断処理に伴う粘度低下を利用して求める。ま
ずポリアクリルアミド(アクリパーズ、ダイヤフロック
(株)製)の0.05重量%の水溶液を調製する。溶解
には、ごく穏やかな攪拌を室温で2時間行うという方法
を用いる。この溶液300mlを300ml容のトールビー
カーにいれて、B型粘度計(トキメック製)を用いて、
ローター No.1、ガード付き、60rpm 、30℃で粘度
を測定する。なお、粘度計のローターが回転しはじめて
から1分後の値を粘度の代表値とする。このポリアクリ
ルアミド溶液測定系を用いて、各剪断処理前後の粘度を
測定し、その差を「剪断の程度」とする。よって、高剪
断力を発生する装置を使用した場合には比較的短時間の
剪断処理で済む。本発明方法において、かかる「剪断の
程度」は、約5mPa.s 以上、好ましくは約20mPa.s 以
上、より好ましくは35mPa.s 以上、さらに好ましくは
50mPa.s 以上である。剪断処理には、当業者に公知の
装置、例えば、攪拌機、2重円筒型の破砕機(ポリトロ
ン)や、刃付きのブレンダー、ホモジナイザー、高圧ホ
モジナイザー、超音波破砕機、超音波発振機等を使用す
ることができるが、高剪断力を発生させるものであれ
ば、どのような装置でもよい。なお剪断処理は、通常セ
ルロースを水性懸濁液の状態にして行い、その際のセル
ロースの濃度等は、当業者が適宜選択することができ
る。
【0006】尚、本発明に於いて、「乾燥」状態とは、
乾燥物に含まれる水が全くない絶乾状態ではない。すな
わち、乾燥物に含まれるBC等および第3成分の合計重
量に対して、約25%以下の場合をいう。このような状
態の時の乾燥物の外観は、ほとんど乾いたものである。
BC等や、本発明の第3成分の中には、分子内に水酸基
などの極性基をもつために水分を吸着する作用がある場
合が多かったり、低分子の場合には結晶水のような形で
水を保持する作用があったりするために、上述に述べる
ような方法、装置で乾燥をおこなって一見乾燥したと思
われる乾燥物を得ても、通常の空気中に放置すると、空
気中の水蒸気を吸着して平衡状態に達する。保存を必要
とする場合には、本発明の乾燥物の水分活性値が、微生
物の生育できない程度以下である必要がある。高くとも
0.9以下、望ましくは0.75以下の水分活性の値が
要求される。乾燥方法としては、従来公知のものであれ
ば良く、例えば、スプレードライ、圧搾、風乾、熱風乾
燥、及び真空凍結乾燥を挙げることができる。尚、乾燥
装置の例としては、以下のようなものである。すなわ
ち、連続式のトンネル乾燥装置、バンド乾燥装置、縦型
乾燥装置、垂直ターボ乾燥装置、多重段円板乾燥装置、
通気乾燥装置、回転乾燥装置、気流乾燥装置、噴霧乾燥
装置、円筒乾燥装置、ドラム乾燥装置、スクリューコン
ベア乾燥装置、加熱管付回転乾燥装置、振動輸送乾燥装
置等、回分式の箱型乾燥装置、通気乾燥装置、真空箱型
乾燥装置、及び撹拌乾燥装置等の乾燥装置を単独で又は
2つ以上組み合わせて用いることができる。乾燥におい
て被乾燥物に熱エネルギーを供給する方法としては、例
えば、直接加熱、放射加熱、間接加熱が挙げられるが、
このうち特に、赤外線加熱、マイクロ波加熱などがエネ
ルギー効率の点から望ましい。
【0007】本発明方法に於いて乾燥状態にあるセルロ
ースは予め離解処理を受けたものであることが好まし
い。セルロースの離解現象は、機械的外力等によってセ
ルロース内部に発生した応力が、これを変形・破壊する
ことによる現象と考えられる。従って、セルロースの離
解処理は、セルロースに機械的外力を与えることにより
行なえる。更に酸加水分解、酵素加水分解及び漂白剤に
よっても離解処理を行なうことができる。ここでいう機
械的外力とは、例えば、引っ張り、曲げ、圧縮、ねじ
り、衝撃及び剪断等の応力が挙げられるが、一般的には
圧縮、衝撃及び剪断応力が主体である。実際にこれら機
械的外力をセルロースに与える場合は、例えば、ミキサ
ー、ポリトロン又は自励式超音波粉砕機のような超音波
発振機等を使用することで達成できる。
【0008】ミキサーによる離解処理においては、機械
的外力は攪拌羽根とセルロースが衝突することによる衝
撃力と、媒体の速度差によるズレ現象によって発生する
剪断力が主体となる。ポリトロンによる離解処理におい
ては、機械的外力はセルロースが外歯と内歯に挟まるこ
とによる圧縮力、高速に回転する歯とセルロースが衝突
することによる衝撃力、静止している外歯と高速に回転
する内歯の隙間に存在する媒体に発生する剪断応力が主
体となる。超音波粉砕機による離解においては、機械的
外力は超音波発振部の発振により媒体中にキャビテーシ
ョン(空洞現象)が連続的に発生し、局部的に生じる著
しい剪断応力が主体となる。本発明の離解処理は、セル
ロースに一定の負荷(機械的外力)を与えることができ
れば、上記具体例以外のいかなる方法でも行ない得る。
その他の離解処理条件は当業者が適宜選択することが出
来る。更に、特願平7−160173号に記載されてい
るように、かかる離解処理後に、BC離解物自体の粒度
を調整する目的で所定の目開きを有するスクリーンで篩
い分けすることもできる。
【0009】以上、離解処理について説明したが、本発
明でいう離解処理が、セルロース生産菌の攪拌培養後、
培養液から分離・精製されたバクテリアセルロースに対
して行なう、独立した二次的な操作のみに限定されない
ことは、当業者には自明のことである。即ち、後述する
ように攪拌操作にはバクテリアセルロースを離解する作
用があり、本発明で採用した攪拌培養においては、培養
を目的とした攪拌作用によってもバクテリアセルロース
を離解処理することが十分に可能であるからである。更
に、攪拌培養により得たバクテリアセルロースを分離、
洗浄、精製及び輸送する操作においても同様のことが言
え、これらの操作において付加的に離解処理を行なうこ
とも本発明の離解処理に包含されることに留意された
い。
【0010】本発明におけるバクテリアセルロースの生
産に使用されるセルロース生産菌は、例えば、BPR2
001株に代表されるアセトバクター・キシリナム・サ
ブスピーシーズ・シュクロファーメンタンス(Acetobac
ter xylinum subsp. sucrofermentans)、アセトバクタ
ー・キシリナム(Acetobacter xylinum )ATCC23
768、アセトバクター・キシリナムATCC2376
9、アセトバクター・パスツリアヌス(A. pasteurianu
s )ATCC10245、アセトバクター・キシリナム
ATCC14851、アセトバクター・キシリナムAT
CC11142及びアセトバクター・キシリナムATC
C10821等の酢酸菌(アセトバクター属)、その他
に、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、サルシナ
属、シュードモナス属、アクロモバクター属、アルカリ
ゲネス属、アエロバクター属、アゾトバクター属及びズ
ーグレア属並びにそれらをNTG(ニトロソグアニジ
ン)等を用いる公知の方法によって変異処理することに
より創製される各種変異株である。尚、BPR2001
株は、平成5年2月24日に通商産業省工業技術院生命
工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託され
(受託番号FERM P−13466)、その後199
4年2月7日付で特許手続上の寄託の国際的承認に関す
るブダペスト条約に基づく寄託(受託番号FERM B
P−4545)に移管されている。NTG等の変異剤を
用いての化学的変異処理方法には、例えば、Bio Factor
s,Vol. l, p.297−302 (1988)及び J. Gen. Microbiol,
Vol. 135, p.2917−2929(1989) 等に記載されているも
のがある。従って、当業者であればこれら公知の方法に
基づき本発明で用いる変異株を得ることができる。ま
た、本発明で用いる変異株は他の変異方法、例えば放射
線照射等によっても得ることができる。
【0011】上述の方法によって創製されるセルロース
生産菌の中でも、通気攪拌培養することによって、ポリ
スチレン換算の重量平均重合度が1.6×104 以上、
好ましくは1.7×104 以上である高重合度のバクテ
リアセルロースを製造するか、又は、静置培養すること
によって、ポリスチレン換算の重量平均重合度が2.0
×104 以上である高重合度のバクテリアセルロースを
製造する菌株が好ましい。本発明で使用し得る高重合度
のバクテリアセルロースの生産菌のうち、BPR300
1Aは、平成7年6月12日付で通商産業省工業技術院
生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託
され、受託番号FERM P−14982を付されてい
る。一般的に、高分子材料の強度や弾性率は、高分子の
重合度が高いほど、高いものとなることが知られてい
る。バクテリアセルロースの場合にも同様で、高重合度
のバクテリアセルロースを原料として形成させた被膜
は、相対的に低い重合度のバクテリアセルロースを原料
として形成させた被膜と比較して、その強度や弾性率が
高い。従って、本発明の被膜として、高強度や弾性率の
ものを形成させたい場合には、先に述べたような高重合
度のバクテリアセルロースを用いた方が高い効果が得ら
れる。
【0012】本発明におけるBC等の各種セルロースの
重量平均重合度は、検出器としてRIを内蔵したGPC
システム(Tosoh HLC−8020)を用いて以下のよ
うにして測定する。各種セルロース試料を発煙硝酸−五
酸化リン溶液で W.J. Alexander, R.L. Mitchell, Anal
ytical chemistry 21, 12, 1497-1500 (1949) の方法に
よりニトロ化する。コントロールとして同時にニトロ化
したコットンリンターを用いる。セルロースニトロ化物
はTHF(和光純薬 1級)に0.05%濃度で溶かし
たのち、1.0μmポアサイズのフィルターで濾過す
る。GPCの溶離液にもTHFを用いる。流速は0.5
ml/min 、圧力は10〜13kg f/cm2 、サンプル注入
量は100μl とする。カラムはTSKgel GMH
−HR(S)(7.5ID×300mm×2本)とガード
カラム(HHR(S))(Tosoh Co., Ltd.) を用い35
℃で測定する。分子量算出のためにスタンダードポリス
チレン(Tosoh) を用いポリスチレン換算の相対分子量を
求める。2×107 から2630の分子量のポリスチレ
ンを用い、溶出時間(t)と分子量の対数(logM)
について、3次式:(logM=At3 +Bt2 +Ct
+D)による近似を行いスタンダード曲線を作製する。
分子量はTosoh のデータ処理専用機(SC−8020)
に内蔵されたプログラム(ver.3,10)により重
量平均分子量を計算する。これらの分子量の値からニト
ロ化後の置換度を考慮して重量平均重合度を計算する。
【0013】培養に用いる培地の組成物中、炭素源とし
てはシュクロース、グルコース、フラクトース、マンニ
トール、ソルビトール、ガラクトース、マルトース、エ
リスリット、グリセリン、エチレングリコール、エタノ
ール等を単独或いは併用して使用することができる。更
にはこれらのものを含有する澱粉水解物、シトラスモラ
セス、ビートモラセス、ビート搾汁、サトウキビ搾汁、
柑橘類を始めとする果汁等をシュクロースに加えて使用
することもできる。 また、窒素源としては硫酸アンモ
ニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等のア
ンモニウム塩、硝酸塩、尿素等有機或いは無機の窒素源
を使用することができ、或いはBacto−Pepto
ne、Bacto−Soytone、Yeast−Ex
tract、豆濃などの含窒素天然栄養源を使用しても
よい。有機微量栄養素としてアミノ酸、ビタミン、脂肪
酸、核酸、2,7,9−トリカルボキシ−1Hピロロ
〔2,3,5〕−キノリン−4,5−ジオン、亜硫酸パ
ルプ廃液、リグニンスルホン酸等を添加してもよい。
【0014】生育にアミノ酸等を要求する栄養要求性変
異株を使用する場合には、要求される栄養素を補添する
ことが必要である。無機塩類としてはリン酸塩、マグネ
シウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩、コバルト
塩、モリブデン酸塩、赤血塩、キレート金属類等が使用
される。更に、イノシトール、フィチン酸、ピロロキノ
リンキノン(PQQ)(特公平5−1718号公報;高
井光男,紙パ技協誌,第42巻,第3号,第237〜2
44頁)、カルボン酸又はその塩(特願平5−1914
67号)、インベルターゼ(特願平5−331491
号)及びメチオニン(特願平5−335764号)等の
セルロース生成促進因子を適宜培地中に添加することも
できる。例えば、酢酸菌を生産菌として用いる場合に
は、培養のpHは3ないし7に、好ましくは5付近に制
御する。培養温度は10〜40℃、好ましくは25〜3
5℃の範囲で行う。培養装置に供給する酸素濃度は1〜
100%、望ましくは21〜80%であれば良い。これ
ら培地中の各成分の組成割合及び培地に対する菌体の接
種等は培養方法に応じて当業者が適宜選択し得るもので
ある。バクテリアセルロースは、従来より、微生物を培
養する培養形式として公知の形式、即ち、静置、振盪も
しくは通気攪拌培養等、また、培養操作法として公知
の、いわゆる回分発酵法、流加回分発酵法、反復回分発
酵法及び連続発酵法等によって製造することができる。
尚、攪拌手段としては、例えばインペラー(攪拌羽
根)、エアーリフト発酵槽、発酵ブロスのポンプ駆動循
環、及びこれら手段の組合せ等が使用されている。
【0015】尚、攪拌培養とは、培養液を攪拌しながら
行なう培養法であり、当該攪拌培養中に受ける攪拌作用
によって、バクテリアセルロースの構造が、例えば、結
晶化指数が低下して非晶部が増すように変化する。攪拌
手段としては、例えばインペラー、エアーリフト発酵
槽、発酵ブロスのポンプ駆動循環、及びこれら手段の組
合せ等を使用することができる。培養操作法としては、
いわゆる回分発酵法、流加回分発酵法、反復回分発酵法
及び連続発酵法等がある。更に、本出願人名義の特願平
6−192287号に記載された培養装置と分離装置の
間で菌体を含む培養液を循環させるセルロース性物質の
製造方法であって、該分離装置に於いて、生産物である
セルロース性物質を菌体及び培養液から分離することを
特徴とする前記方法や、同じく、本出願人名義の特願平
6−192288号に記載されたセルロース生産菌を培
養してセルロース性物質を製造する方法であって、培養
期間中、培養系からの培養液の引き抜き及び該引き抜き
量とほぼ等容量の新たな培養液の供給を連続的に行なう
ことによって、培養中の培養液に於けるセルロース性物
質の濃度を低く維持することを特徴とする前記製造方法
がある。
【0016】前記攪拌培養を行なうための槽としては、
例えば、ジャーファーメンター及びタンク等の攪拌槽、
並びにバッフル付きフラスコ、坂口フラスコ及びエアー
リフト型の攪拌槽が使用可能であるがこの限りではな
い。本発明でいう攪拌培養においては、攪拌と同時に、
必要に応じて、通気を行なっても良い。ここでいう通気
とは、例えば空気等の酸素を含有するガス、並びに例え
ばアルゴン及び窒素等の酸素を含有しないガスのいずれ
を通気しても良く、これらガスは培養系の条件に合わせ
て当業者により適宜、選択されよう。例えば、嫌気性の
微生物の場合は、不活性ガスを通気をすれば、その気泡
によって培養液を攪拌することができる。好気性の微生
物の場合には、酸素を含有するガスを通気することで微
生物の成育に必要な酸素を供給すると同時に、培養液を
攪拌することができる。
【0017】攪拌培養により得たバクテリアセルロース
を遠心分離法又は濾過法等により培養液から分離する。
バクテリアセルロースは菌体と一緒に回収してもよく、
さらに本物質中に含まれる菌体を含むセルロース性物質
以外の不純物を取り除く処理を施すことが出来る。不純
物を取り除くためには、水洗、加圧脱水、希酸洗浄、ア
ルカリ洗浄、次亜塩素酸ソーダ及び過酸化水素などの漂
白剤による処理、リゾチームなどの菌体溶解酵素による
処理、ラウリル硫酸ソーダ、デオキシコール酸などの界
面活性剤による処理、常温から200℃の範囲の加熱洗
浄などを単独及び併用して行い、セルロース性物質から
不純物をほぼ完全に除去することができる。このように
して得られた本発明でいうセルロース性物質とは、セル
ロース及び、セルロースを主鎖としたヘテロ多糖を含む
もの及びβ−1,3、β−1,2等のグルカンを含むも
のである。ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成成
分はマンノース、フラクトース、ガラクトース、キシロ
ース、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の六
炭糖、五炭糖及び有機酸等である。なおこれ等の多糖が
単一物質である場合もあるし2種以上の多糖が水素結合
等により混在してもよい。
【0018】又、BC、PCC又はMFCの懸濁液に水
以外の第3成分を予め加えた後、これを乾燥させること
もできる。この為に、すでに述べたように、有機物質を
水に代えて、セルロース懸濁液の溶媒とすることも出来
る。かかる第3成分の例としては、アルコール及びエス
テル等の極性溶剤、アセトン、ヘキサン系の非極性溶
剤、親水性液体、親水性固体、水不溶性物質及び水難溶
性物質等を挙げることができる。第3成分として用いる
親水性液体の例として、グリセリン、エチレングリコー
ル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、界
面活性剤、乳酸、グルコン酸及びデルタグルコノラクト
ン並びにそれら1つ以上の混合物を挙げることができ
る。更に、第3成分として用いることができる親水性固
体には、水溶性低分子及び水溶性高分子等の水溶性物
質、並びに水不溶性物質及び水難溶性物質が含まれる。
【0019】この中で水溶性低分子とは、例えば、糖類
(グルコース、フラクトース、ガラクトース、キシロー
ス、マンノース、アラビノース、シュクロース、ラクト
ース、セロビオース、パラチノース、マルトース、ゲン
チオビオース、トレハロース、ラムノース、オリゴ糖、
イソマルトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、フラクトオリゴ
糖、ガラクトオリゴ糖、ラクトスクロース、カップリン
グシュガー、液糖、サイクロデキストリン、、糖アルコ
ール、ソルビトール、エリスリトール、ラクチトール、
マルチトール、キシリトール、マンニット、ズルシッ
ト)、塩類(硫酸ナトリウム、硫安、食塩、塩化カルシ
ウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ロッセル
塩)、アミノ酸、アミノ酸塩、有機酸、有機酸塩、核
酸、核酸塩、アルキルケテンダイマー、スチレンーアク
リル系サイズ剤、オレフィンー無水マレイン酸系サイズ
剤、高級脂肪酸系サイズ剤、エポキシ化合物からなる耐
水性材料、蛍光増白剤、消泡剤、帯電防止剤、顔料、染
料、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソー
ダ、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミ
ニウム、アルミナゾル、水溶性アルミニウム化合物、硫
酸第1鉄、塩化第2鉄、及びアルケニル無水コハク酸系
サイズ剤並びにそれら1つ以上の混合物をいう。
【0020】また水溶性高分子とは、例えば、セルロー
ス誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロー
ス)、キサンタンガム、キシログルカン、デキストリ
ン、デキストラン、カラギーナン、ローカストビーンガ
ム、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、澱粉、かた
くり粉、クズ粉、陽性澱粉、燐酸化澱粉、コーンスター
チ、アラビアガム、ローカストビーンガム、グアガム、
ゲランガム、ポリデキストロース、ペクチン、キチン、
水溶性キチン、キトサン、カゼイン、アルブミン、大豆
蛋白溶解物、ペプトン、ポリビニルアルコール、ポリア
クリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロ
リドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミノ酸、ポリ乳酸、ポ
リリンゴ酸、ポリグリセリン、ラテックス、ロジン系サ
イズ剤、石油樹脂系サイズ剤、尿素樹脂、メラミン樹
脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド・ポリ
アミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、植物ガ
ム、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー、ポ
リアクリル酸塩、でんぷんポリアクリル酸共重合体、タ
マリンドガム、ジェランガム、ペクチン、グァーガム及
びコロイダルシリカ並びにそれら1つ以上の混合物をい
う。
【0021】更に、水不溶性物質または水難溶性物質と
は、例えば、米粉、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、大豆
粉、小豆粉、ソバ粉、フスマ粉、トウモロコシ粉、炭酸
カルシウム、クレー、タルク、ガラス微粉末、炭素粉、
カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カ
ルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二
酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化
マグネシウム、水酸化カルシウム、珪酸マグネシウム、
珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、アルミノ珪酸塩、シ
リカ、セリサイト、セライト、ベントナイト、スメクタ
イト、ポリスチレン微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒
子、微小中空粒子、セルロース粒子、ラウロイルリジ
ン、珪藻土及びバクテリアセルロース被膜の二次加工用
の各種有機物質並びにそれら1つ以上の混合物をいう。
【0022】以上述べた第3成分は、本発明方法による
セルロースの復元効果の補強に加えて、本発明のセルロ
ースの使用目的により、当該業者によって選択されるも
のである。固体成分、低分子可溶成分、高分子成分等を
組み合わせて用いることもある。例えば、製紙分野にお
いて無機粉体シートを作成する際に、BCの無機粉体の
結着特性と、無機粉体の機能(例えば、磁性粉など)
を、できた無機粉体シート表面で効率よく発現させるた
めには、原料となるセルロースは、BC離解物、磁性無
機粉体、アクリルアミド(凝集剤)、カチオン化澱粉
(糊料)を、例えば、100:15:1:3程度の比率
で混合して用いればよい。また別な例として、食品分野
で光沢増強剤として用いる場合には、キシログルカン、
食塩、シュクロースなどを、例えば、10:5:50の
比率で、組み合わせで用いる場合がある。特に、食品に
用いる場合に無味、無臭、無色、無害のものが求められ
る場合には、第3成分としては、可食性可溶性の高分子
が望ましい。更に、セルロースの被膜の表面を疎水性に
する為には第3成分としてポリスチレンラテックス等を
添加したり、又、第3成分として、各種薬剤成分を加え
ることも可能である。これら第3成分の添加量は、当業
者であれば物質の種類等に応じて適宜選択することがで
き、通常BC、PCC又はMFCの重量に対して2〜
1,000重量%である。更に、第3成分が含まれるバ
クテリアセルロース懸濁液の例として、セルロース生産
菌の培養液そのものを使用することもできる。
【0023】尚、本発明で使用するMFCは、従来公知
の方法、例えば、パルプ繊維等のセルロース繊維のボー
ルミル等による打砕・粉砕、水中での加圧粉砕、液体窒
素中での粉砕及び音波による粉砕、又は特開昭56−1
00801に記載された方法等によって製造することが
できる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を詳細
に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
【0025】
【実施例】
実施例1 セルロース生産菌の通気攪拌培養とセルロー
ス(BC)の調製 (1) BPR2001株をグリセロールストックより
以下のCSL−Fru培地100mlを仕込んだ750ml
容ルーフラスコに1%植菌し28℃で3日間静置培養し
た。培養後ルーフラスコをよく振って菌体をセルロース
膜よりはがした後、菌液12.5mlを112.5mlの培
地を含む500mlフラスコに植菌し、28℃、180rp
m 、3日間培養した。培養物をブレンダーにより無菌的
に離解し、その60mlを540mlのCSL−Fru培地
を仕込んだ11ジャーに植菌し、pHをNH3 ガスおよ
び1規定H2 SO4 で4.9〜5.1に制御しながら、
溶存酸素量(DO)が3.0%以上になるように回転数
を自動制御しながらメイン培養を行った。終了後、得ら
れた培養液を酢酸緩衝液で約5倍に希釈した後、遠心分
離し沈殿物を回収した。沈殿を蒸留水で最初の培養液量
の約8倍に希釈後、80℃、20分間加熱し、加熱後遠
心分離により沈殿物を回収した。沈殿物を同じく8倍量
の0.1N NaOHに懸濁し80℃、20分間加熱す
ることにより溶菌し、溶菌後遠心分離により沈殿物を回
収した。この後、さらに8倍量の蒸留水に沈殿を懸濁し
80℃、20分間加熱し、加熱後遠心分離し沈殿物を回
収することによりセルロースの洗浄を行った。同様の洗
浄を3回行うことにより精製BCを得た。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】ビタミン混合液 化合物 mg/L イノシトール 200 ナイアシン 40 ピリドキシンHCl 40 チアミンHCl 40 パントテン酸カルシウム 20 リボフラビン 20 p−アミノ安息香酸 20 葉 酸 0.2 ビオチン 0.2
【0028】
【表3】塩類混合液 FeSO4 ・7H2 O 360mg/L CaCl2 ・2H2 O 1470mg/L Na2 MoO2 ・2H2 O 242mg/L ZnSO4 ・7H2 O 173mg/L MnSO4 ・5H2 O 139mg/L CuSO4 ・5H2 O 5mg/L
【0029】(2) 得られた精製BCを以下の条件で
離解処理にかけた。 ソノレーター(SONIC 社製):離解処理濃度(BC乾燥
重量/容量;BC懸濁液の濃度に関して以下同様)0.
2%、液温25℃、流量6L/分、圧50kg/cm2 、通
し回数1、2又は3回とした。音圧が最大となるよう
に、背圧バルブとブレード位置を調製した。
【0030】実施例2 BCの乾燥物の調製方法凍結乾燥物 フィルタープレスを用いて、BC含量25%水分含量7
5%まで濃縮したBCケークを−20℃で凍結後、凍結
乾燥した。これを市販の電動式のコーヒーミルを用いて
乾式粉砕した。この時の水分含量は、4%であった。な
お、水分含量は、105℃で大気圧下で乾燥後の恒量を
測定し、湿潤重量基準の値として計算した。 ・ドラムドライヤーを用いた乾燥物 上記のBCケークを、500rpm の回転数の攪拌機を用
いて分散し、2%の懸濁液を調製した。これを、ドラム
ドライヤー(楠木機械製)を用いて、120℃で乾燥し
て水分含量5%の乾燥物を調製しさらに、上記と同様に
乾式粉砕した。・スプレードライヤーを用いた乾燥物
記と同様にして1%の懸濁液を調製し、スプレードライ
ヤー(大川原化工機製)を用いて、出口温度80℃〜9
0℃になるように送液量と投入空気の温度を調整しなが
ら乾燥し、水分含量4%の乾燥物を得た。
【0031】実施例3 BCの乾燥物からの復元方法 実施例2で調製したそれぞれのBC乾燥サンプル1重量
部を水200重量部と混合してから、3種類の剪断処理
方法で復元を試みた。すなわち、1000rpm の攪拌
機で目視で分散するまで攪拌、回転式の刃付きのホモ
ジナイザーを用いて18000rpm で2分間の攪拌、及
び超音波破砕機を用いた3分間の攪拌であった。超音
波破砕には、超音波破砕機(SONIFIER 450 (BRANSON 社
製)を用いて最大出力で処理した。いずれの攪拌処理も
室温で行った。上記3種類の剪断処理方法で攪拌したと
ころ、前記のポリアクリルアミド溶液測定系の粘度は攪
拌後にそれぞれ、58mPa.s 、53mPa.s 、3mPa.s で
あった。これに対して、元の粘度が59mPa.s であっ
た。この粘度の低下は攪拌によって、溶液中のポリアク
リルアミドの分子鎖が切断されることによると思われ
る。よって、攪拌後の粘度と攪拌前のこの粘度の差が上
記各剪断処理における「剪断の程度」である。攪拌に伴
う剪断力が強いほど、分子鎖がきれやすくなり、粘度が
低下した。
【0032】実施例4 物性の測定 実施例3で得られた、乾燥方法及び復元方法の異なる合
計9種類のBCサンプルについて、以下の測定方法に従
って保水性、粘度及び乳化効果につき、乾燥処理前の離
解BCを基準(100%)として、各物性値に関しての
復元率を求めた。 ・保水性(単位重量のBC当たりの水分の保水重量) 0.5%のBC懸濁液10mlを、遠心後(3000rpm
、15分間)にパックされた部分の保水性を測定し
た。 ・粘度 B型粘度計(トキメック製)を用いて、 No.4ロータ
ー、60rpm 、25℃の条件で測定した。BCの懸濁液
はチキソトロピック性を示すので、懸濁液を一晩放置
後、測定を開始し、3分後の値を粘度の代表値とした。 ・乳化効果 0.1%のBC懸濁液とサラダ油を1:1の割合で混合
し、フィスコトロンで1分間乳化後、2日以上静置し、
全体の容積に占める乳化層の割合を百分率として計算し
た。得られた結果を図1に示す。特に剪断の程度の大き
い(例えば、56mPa.s )超音波処理を行うことによっ
て、乾燥物の物性が元の離解物のレベル(100%)の
値と同等以上あるいは近いところまで復元することがわ
かった。
【0033】実施例5 剪断力を加える種々の装置の剪断力を測定した。結果を
表4に示す。
【0034】
【表4】 ─────────────────────────────────── 剪断条件 剪断後粘度(mPa.s) 剪断の程度(mPa.s) ─────────────────────────────────── 原液(剪断なし) 59.0(剪断前の粘度) 0.0 ─────────────────────────────────── 攪拌機、5cmφ4枚羽根、1000rpm 1分間 56.7 2.3 5分間 55.5 3.5 10分間 55.1 3.9 ─────────────────────────────────── ホモジナイザー(*1)、刃付き、容量250ml、18000rpm 1分間 51.9 7.1 5分間 23.0 26.0 10分間 16.3 42.7 ─────────────────────────────────── 高圧ホモジナイザー(*2)、100kg/cm2 1回通過 11.2 47.8 2回通過 3.7 55.3 ─────────────────────────────────── 超音波破砕機 1分間 6.8 52.2 3分間 1.3 57.7 ─────────────────────────────────── (*1)オステライザー、(*2)RANNIE社製ミニラボ
【0035】実施例6 MFCとPCCを用いて、実施例2、3、4と同様の実
験を行った。MFCとしては、ダイセル製のセリッシュ
FD100Fを用いた。また、PCCは、未乾燥の砂糖
大根のパルプから「CELLULOSE(1996)3, 183-188 」の方
法に従って精製したものを用いた。どちらを用いた場合
にもBCと同様に、剪断の程度が大きくなるような剪断
処理を加えて離解することで、乾燥したものからでも、
もとの湿潤状態の懸濁液の物性に近いものが得られた。
【0036】実施例7 乾燥物の調製 ・ドラムドライヤーを用いた乾燥物 フィルタープレスを用いて、BC含量25%、水分含量
75%まで濃縮したBCケークを、500rpm の回転数
の攪拌機を用いて分散し、BC含量2%の懸濁液を調製
した。この懸濁液にカルボキシメチルセルロース(半井
化学製)をBCの10分の1になるように混合溶解し
た。この混合溶解液を、ドラムドライヤー(楠木機械
製)を用いて、120℃で乾燥して水分含量6%の乾燥
物を調製し、更に、これを市販の電動式のコーヒーミル
を用いて乾式粉砕した。乾式粉砕後の粉末を0.5mmの
開孔部をもつ篩を用いて篩分した。 ・スプレードライヤーを用いた乾燥物 上記と同様にして1%の懸濁液を調製し、スプレードラ
イヤー(大川原化工機製)を用いて、出口温度80℃〜
90℃になるように送液量と投入空気の温度を調整しな
がら乾燥し、水分含量4%の乾燥物を得た。実施例3及
び4と同様の方法を用いて、BCの乾燥物から湿潤状態
の乾燥物への復元と物性の測定を行った。結果を図2に
示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法による、保水性、粘度及び乳化効
果の復元率を示す。
【図2】 第3成分を含有した場合の本発明方法によ
る、保水性、粘度及び乳化効果の復元率を示す。
フロントページの続き (72)発明者 吉永 文弘 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 株式会社バイオポリマー・リサーチ内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乾燥状態にあるバクテリアセルロース、
    微小繊維状セルロース又は柔組織細胞セルロースを剪断
    の程度が大きくなるような剪断処理を加えて離解するこ
    とを特徴とする、該セルロースの復元方法。
  2. 【請求項2】 高剪断力が超音波によって発生する請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の方法によって得られるセ
    ルロース復元物。
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