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JPH10195219A - ポリプロピレン系樹脂押出発泡体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂押出発泡体

Info

Publication number
JPH10195219A
JPH10195219A JP9001439A JP143997A JPH10195219A JP H10195219 A JPH10195219 A JP H10195219A JP 9001439 A JP9001439 A JP 9001439A JP 143997 A JP143997 A JP 143997A JP H10195219 A JPH10195219 A JP H10195219A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polypropylene
polypropylene resin
resin composition
based resin
elongational viscosity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9001439A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaki Amano
正樹 天野
Haruo Tomita
春生 冨田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP9001439A priority Critical patent/JPH10195219A/ja
Publication of JPH10195219A publication Critical patent/JPH10195219A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Molding Of Porous Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリプロピレン系樹脂が本来有するすぐれた
耐熱性および剛性を示し、厚肉であっても密度が低く、
均一かつ微細で独立気泡率が高いセル構造を有するポリ
プロピレン系樹脂押出発泡体を提供すること。 【解決手段】 溶融状態で測定した伸長粘度が歪み量の
増加にともなって急激に上昇し、かつ210℃で測定し
た平衡コンプライアンスが1.2×10-3Pa-1未満の
ポリプロピレン系樹脂組成物を押出発泡させてなり、密
度が10〜100kg/m3であり、独立気泡率が60
%以上であるポリプロピレン系樹脂押出発泡体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
樹脂押出発泡体に関する。さらに詳しくは、ポリプロピ
レン系樹脂が本来有するすぐれた耐熱性および剛性を示
し、厚肉であっても密度が低く、均一かつ微細で独立気
泡率が高いセル構造を有し、各種緩衝包装材、建材など
に好適に使用しうるポリプロピレン系樹脂押出発泡体に
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系樹脂は、耐熱性、耐薬
品性、電気特性などにすぐれることから、従来、フィル
ム、成形品、繊維などに広く用いられており、このよう
にすぐれた特性を有するポリプロピレン系樹脂の発泡体
も、その工業的有用性が高い。
【0003】しかしながら、一般にポリプロピレン系樹
脂は、押出発泡の際にセル膜が破れやすく、高い独立気
泡率が保持された良好な発泡体をうるのは容易ではな
い。
【0004】このような状況下、たとえば特公平8−2
521388号公報では、特定の分子量と分子量分布お
よび特定のレオロジカルな特性を併せ持つポリプロピレ
ンのシート状発泡体が開示されている。
【0005】しかしながら、前記ポリプロピレンから良
好な発泡体がえられるのは、密度が40kg/m3程度
で、しかも厚さが5mm程度までの薄肉の発泡体をえよ
うとしたばあいに限られ、かかるポリプロピレンを用
い、密度が40kg/m3程度で、厚さが10mm程度
以上の厚肉の押出発泡体をえようとしても、独立気泡率
が大きく低下してしまい、良好な発泡体をうることが困
難であるという問題がある。
【0006】また、前記のごとき独立気泡率の低下を防
ぐ目的で、製造条件の変更も試みられているが、本質的
な対策とはなりえず、さらにこのような製造条件の変更
を行なったばあい、押出された発泡体が波を打ったよう
に変形したり、発泡体の表面がむしれたようになるなど
の他の望ましくない現象が発生するという問題がある。
【0007】このように、従来、たとえば5mm程度を
越える比較的大きな厚さを有しながら、しかも密度が低
く、高い独立気泡率が保持された良好な発泡体がえられ
ていないのが実情である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、厚肉であっても、低密
度および高独立気泡率が保持され、たとえば緩衝材、建
材などに好適に用いられるポリプロピレン系樹脂押出発
泡体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶融状態で測
定した伸長粘度が歪み量の増加にともなって急激に上昇
し、かつ210℃で測定した平衡コンプライアンスが
1.2×10-3Pa-1未満のポリプロピレン系樹脂組成
物を押出発泡させてなり、密度が10〜100kg/m
3であり、独立気泡率が60%以上であるポリプロピレ
ン系樹脂押出発泡体に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のポリプロピレン系樹脂押
出発泡体は、前記したように、溶融状態で測定した伸長
粘度が歪み量の増加にともなって急激に上昇し、かつ2
10℃で測定した平衡コンプライアンスが1.2×10
-3Pa-1未満のポリプロピレン系樹脂組成物を押出発泡
させてなり、密度が10〜100kg/m3であり、独
立気泡率が60%以上のものである。
【0011】本発明の押出発泡体の基材樹脂として用い
られるポリプロピレン系樹脂組成物は、まず、溶融状態
で測定した伸長粘度が歪み量の増加にともなって急激に
上昇する特性(以下、特定の伸長粘度特性ともいう)を
有することを1つの特徴としたものである。
【0012】ここで、前記伸長粘度特性を評価する方法
としては、直径3mm程度のストランド状の樹脂組成物
の成形体をサンプルとし、かかるサンプルの両端をロー
タリークランプで挟んでサンプルが完全に溶融する温度
(本発明におけるポリプロピレン系樹脂組成物のばあ
い、たとえば180℃程度)に該サンプルの温度を維持
し、該サンプルを一定の歪み速度で伸長させ、チャック
間に生じる応力の測定を経時的に行ない、応力とそのと
きのサンプルの断面積との関係から伸長粘度を求める方
法が採用される。
【0013】すなわち、伸長粘度は、以下の式で表わさ
れる。
【0014】
【数1】
【0015】つぎに、前記のごとく求められた伸長粘度
を経時的にプロットする。このとき、その伸長粘度が、
測定時間の経過にともなって(歪み量が増加するにした
がって)しだいに大きくなり、ある測定時間のとき(あ
る歪み量のとき)から、それまでと比べて伸長粘度の増
加率が急激に増大するものが、前記特定の伸長粘度特性
を有するものであるという。
【0016】なお、本発明においては、横軸を時間の対
数で表わし、縦軸を伸長粘度の対数で表わしてえた測定
時間と伸長粘度との関係を示すグラフ(曲線)におい
て、伸長粘度が測定時間の経過にともなって比較的緩や
かに上昇している測定初期の部分から引出した直線の傾
きに対して、伸長粘度が測定時間の経過にともなっても
っとも急激に上昇している部分から引出した直線の傾き
が1.5倍以上、なかんづく2倍以上であることが、え
られる押出発泡体の特性がより向上するという点から好
ましい。また、かかる両直線の傾きの比の上限にはとく
に制限はないが、たとえば20倍程度までのものが確認
されている。
【0017】なお、前記曲線から引出したそれぞれの直
線の傾きは、以下の式によって求められる。
【0018】 直線の傾き=Δ(logηe)/(Δlogt) たとえば、後述する製造例1でえられた改質ポリプロピ
レン系樹脂組成物の伸長粘度と測定時間との関係を表わ
すグラフ(曲線)Zを図1に示す。かかる曲線Zは前記
改質ポリプロピレン系樹脂組成物を直径3mm、長さ1
80mmの円柱形のロッドに成形したサンプルを、18
0℃、歪み速度0.05/secで伸長させたときの伸
長粘度(logηe)と測定時間(logt)との関係
を表わすものである。
【0019】図1の曲線Zにおいて、測定時間が約−1
〜1.2の測定初期の平坦部(伸長粘度が測定時間の経
過にともなって、比較的緩やかに上昇している部分)か
ら引出した直線Xの傾き(0.436)に対して、測定
時間が約1.2以上の、伸長粘度が測定時間の経過にと
もなって、もっとも急激に上昇している部分から引出し
た直線Yの傾き(1.85)は約4.2倍であることか
ら、製造例1でえられた改質ポリプロピレン系樹脂組成
物は、その伸長粘度が歪み量の増加にともなって急激に
上昇するものであることがわかる。
【0020】本発明において、伸長粘度を測定する際の
条件として、測定温度は180℃程度に限定されるもの
ではなく、前記したように、ポリプロピレン系樹脂組成
物が実質的に溶融する温度以上であり、樹脂組成物が熱
分解を開始する温度未満である温度範囲から任意に選択
すればよい。通常、かかる測定温度は、ポリプロピレン
系樹脂組成物そのものの融点および測定の容易さを考慮
すると、ポリプロピレン系樹脂組成物の融点よりも10
〜50℃高い温度範囲で設定することが好ましい。ま
た、歪み速度条件は、一般に0.01〜0.5sec-1
の範囲で設定することが好ましい。
【0021】なお、前記測定温度の範囲内にあり、かつ
前記歪み速度条件の範囲内にある任意の1点の測定条件
にて前記特性の伸長粘度特性が認められる樹脂組成物で
あれば、通常、これら測定温度および歪み速度条件のす
べての範囲内の測定条件での測定において、かかる特定
の伸長粘度特性が認められる。
【0022】また、本発明の押出発泡体の基材樹脂とし
て用いられるポリプロピレン系樹脂組成物は、210℃
で測定した平衡コンプライアンスが1.2×10-3Pa
-1未満であることをもう1つの特徴としたものである。
【0023】ここで、前記平衡コンプライアンスを評価
する方法としては、以下の方法が採用される。
【0024】すなわち、ポリプロピレン系樹脂組成物の
成形体をサンプルとし、かかるサンプルを2枚の平行円
板に挟み、温度を210±1℃に保ってサンプルを溶融
させる。サンプルを充分に溶融させたのち、前記平行円
板の間隔を1.4mmに調整し、円板からはみ出した樹
脂組成物を取り除く。ついで、時間t=0において、サ
ンプルに与えられる応力σcが100N/m2の一定の
値に保たれるように片方の円板を他方に対して回転さ
せ、300秒間にわたってそのときの歪み量γ(t)を
経時的に測定する。
【0025】つぎに、前記応力σcを与え始めてからの
時間tに対して、以下に示す式で定義されるクリープコ
ンプライアンスJ(t)をプロットする。
【0026】 J(t)=γ(t)/σc=Jeo+t/η 充分な時間が経過したのち、クリープコンプライアンス
J(t)は時間tに対して直線関係を与えるようにな
り、平衡コンプライアンスJeoは、前記クリープコン
プライアンスJ(t)と時間tとのプロットにおいて両
者が直線関係を与える部分を時間t=0に補外したとき
の切片として与えられる。
【0027】かくして210℃で測定したポリプロピレ
ン系樹脂組成物の平衡コンプライアンスは、えられる押
出発泡体が低密度であり、かつ高独立気泡率を有するよ
うにするために、1.2×10-3Pa-1未満であるが、
かかる押出発泡体の特性がより向上するという点から、
平衡コンプライアンスは1×10-3Pa-1以下であるこ
とが好ましい。また、かかる平衡コンプライアンスの下
限値にはとくに限定がないが、通常1×10-5Pa-1
度以上であることが好ましい。
【0028】本発明に用いられる特定の伸長粘度特性お
よび特定の平衡コンプライアンスを有するポリプロピレ
ン系樹脂組成物を製造する方法にはとくに限定がない
が、たとえばポリプロピレン系樹脂組成物を製造する際
の重合の操作を2段階以上の多段階に分けて行なう方法
や、樹脂組成物を改質する方法を採用することが好まし
い。
【0029】前記樹脂組成物を改質する方法としては、
たとえば(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)ラジカル
重合性単量体および(C)ラジカル重合開始剤を、
(A)ポリプロピレン系樹脂が溶融しうる温度、かつ
(C)ラジカル重合開始剤が分解しうる温度で溶融混練
する方法、水性媒質中に(A)ポリプロピレン系樹脂、
(B)ラジカル重合性単量体および(C)ラジカル重合
開始剤を懸濁させたのち、(C)ラジカル重合開始剤が
分解しうる温度で反応を行なう方法、雰囲気の酸素濃度
を低く保った条件下で、(A)ポリプロピレン系樹脂に
低レベルの放射線を照射する方法、樹脂の主鎖切断が優
先的に起こらない程度の温度条件下で、(A)ポリプロ
ピレン系樹脂と(C)ラジカル重合開始剤とを溶融混練
する方法などがあげられる。
【0030】前記改質方法のなかでも、物性が安定した
改質ポリプロピレン系樹脂組成物を容易にうることがで
きるという点から、(A)ポリプロピレン系樹脂、
(B)ラジカル重合性単量体および(C)ラジカル重合
開始剤を、(A)ポリプロピレン系樹脂が溶融しうる温
度、かつ(C)ラジカル重合開始剤が分解しうる温度で
溶融混練する方法がとくに好ましい。
【0031】なお、本発明に用いられるポリプロピレン
系樹脂組成物とは、前記のごとくえられた改質ポリプロ
ピレン系樹脂組成物などの樹脂組成物のほかに、後述す
る(A)ポリプロピレン系樹脂などの樹脂そのものも含
む概念である。
【0032】本発明に用いられる(A)ポリプロピレン
系樹脂としては、たとえばプロピレンの単独重合体、プ
ロピレンと他の単量体とのブロック共重合体、プロピレ
ンと他の単量体とのランダム共重合体などの実質的に線
状の結晶性の重合体があげられるが、剛性が高く、安価
であるという点からは、前記プロピレンの単独重合体が
好ましく、剛性および耐衝撃性がともに高いという点か
らは、前記プロピレンと他の単量体とのブロック共重合
体が好ましい。なお、(A)ポリプロピレン系樹脂がプ
ロピレンと他の単量体とのブロック共重合体またはプロ
ピレンと他の単量体とのランダム共重合体であるばあ
い、ポリプロピレン系樹脂の特徴である高い結晶性、高
い剛性および良好な耐薬品性を保持することを考慮する
と、プロピレン含量が全体の75重量%以上であること
が好ましく、全体の90重量%以上であることがさらに
好ましい。
【0033】前記(A)ポリプロピレン系樹脂におい
て、プロピレンと共重合しうる他の単量体としては、た
とえばエチレン、α−オレフィン、環状オレフィン、ジ
エン系単量体およびビニル系単量体から選ばれた少なく
とも1種の単量体を用いることができる。これらのなか
では、プロピレンと共重合しやすく、安価である点か
ら、エチレン、α−オレフィンおよびジエン系単量体が
好ましい。
【0034】前記プロピレンと共重合しうるα−オレフ
ィンの代表例としては、たとえばブテン−1、イソブテ
ン、ペンテン−1、3−メチル−ブテン−1、ヘキセン
−1、3−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ペンテ
ン−1、3,4−ジメチル−ブテン−1、ヘプテン−
1、3−メチル−ヘキセン−1、オクテン−1、デセン
−1などの炭素数4〜12のα−オレフィンなどがあげ
られる。
【0035】前記プロピレンと共重合しうる環状オレフ
ィンの代表例としては、たとえばシクロペンテン、ノル
ボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,
4,4a,8,8a−6−オクタヒドロナフタレンなど
があげられる。
【0036】前記プロピレンと共重合しうるジエン系単
量体の代表例としては、たとえば5−メチレン−2−ノ
ルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,
4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7
−メチル−1,6−オクタジエンなどがあげられる。
【0037】前記プロピレンと共重合しうるビニル系単
量体の代表例としては、たとえば塩化ビニル、塩化ビニ
リデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、
メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸など
があげられる。
【0038】なお、これらの単量体のなかでも、エチレ
ンおよびブテン−1が安価である点からさらに好まし
い。
【0039】また、本発明においては、前記(A)ポリ
プロピレン系樹脂のなかでも、緩衝特性の点で、プロピ
レンの単独重合体、およびプロピレン含量が96〜9
9.9重量%でエチレン含量が4〜0.1重量%である
エチレン−プロピレンランダム共重合体がとくに好まし
く用いられる。
【0040】(A)ポリプロピレン系樹脂のメルトフロ
ーインデックス(230℃)は、とくに限定がないが、
ポリプロピレン系樹脂組成物が押出発泡に適した粘度を
有するようにするという点を考慮すると、0.01〜8
g/10分程度、なかんづく0.01〜4g/10分程
度であることが好ましい。
【0041】さらに、(A)ポリプロピレン系樹脂に
は、必要に応じて、その他の樹脂やゴムを本発明の効果
を損なわない範囲内で添加してもよい。
【0042】前記(A)ポリプロピレン系樹脂と混合し
て用いることができる樹脂またはゴムの具体例として
は、たとえばポリエチレン、ポリブテン−1、ポリイソ
ブテン、ポリペンテン−1、ポリメチルペンテン−1な
どのポリα−オレフィン;ポリブタジエン、ポリイソプ
レンなどのポリジエン系重合体;ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリ
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エチル、ポリアク
リル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチルなどのビニル系
重合体;エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピ
レン−ジエンゴムなどのゴムなどがあげられる。
【0043】(A)ポリプロピレン系樹脂に混合して用
いることができる成分は、(A)ポリプロピレン系樹脂
の特徴である結晶性、剛性、耐薬品性、耐熱性などが保
持されるようにするためには、ポリプロピレン系樹脂と
の合計量の30重量%以下であることが好ましく、15
重量%以下であることがさらに好ましい。
【0044】さらに、(A)ポリプロピレン系樹脂に
は、必要に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、リン系
加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白
剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤;架橋剤、連鎖
移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填剤、強化剤、顔料、
染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を、本発明の効
果を損なわない範囲内で添加してもよい。
【0045】各種その他の樹脂、ゴム、安定剤、添加剤
などの混練剤を必要に応じて含有した(A)ポリプロピ
レン系樹脂は、粒子状であってもペレット状であっても
よく、その大きさや形状にはとくに限定がない。
【0046】また、前記混練剤を用いるばあいには、か
かる混練剤はあらかじめ(A)ポリプロピレン系樹脂に
添加してもよく、(A)ポリプロピレン系樹脂を溶融す
る際に添加してもよく、また改質ポリプロピレン系樹脂
組成物を製造したのちに、適宜かかる改質ポリプロピレ
ン系樹脂組成物に添加してもよい。
【0047】本発明に用いられる(B)ラジカル重合性
単量体としては、改質の際に、適度の溶融粘度低下を起
こさないという点から、芳香族ビニル化合物および共役
ジエン化合物から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0048】前記芳香族ビニル化合物としては、たとえ
ばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メ
チルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン
などのメチルスチレン;α−クロロスチレン、β−クロ
ロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレ
ン、p−クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロ
ロスチレンなどのクロロスチレン;o−ブロモスチレ
ン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、ジブロ
モスチレン、トリブロモスチレンなどのブロモスチレ
ン;o−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、p
−フルオロスチレン、ジフルオロスチレン、トリフルオ
ロスチレンなどのフルオロスチレン;o−ニトロスチレ
ン、m−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン、ジニト
ロスチレン、トリニトロスチレンなどのニトロスチレ
ン;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレ
ン、p−ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン、
トリヒドロキシスチレンなどのビニルフェノール;o−
ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニ
ルベンゼンなどのジビニルベンゼン;o−ジイソプロペ
ニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、p−ジ
イソプロペニルベンゼンなどのイソプロペニルスチレン
などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合
して用いることができる。これらのなかでは、スチレ
ン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのメ
チルスチレン、ジビニルベンゼンおよびジビニルベンゼ
ン異性体混合物が安価であるという点から好ましい。
【0049】また、前記共役ジエン化合物としては、た
とえばイソプレン、1,3−ブタジエン、クロロプレ
ン、2−フェニル−1,3−ブタジエンなどがあげら
れ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いるこ
とができる。これらのなかでは、イソプレンおよび1,
3−ブタジエンが安価であるという点から好ましい。
【0050】(B)ラジカル重合性単量体の使用量は、
(A)ポリプロピレン系樹脂の発泡性を充分に改良させ
るためには、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部
に対して3重量部以上、なかんづく4重量部以上である
ことが好ましく、また(A)ポリプロピレン系樹脂が本
来有する良好な耐熱性、耐薬品性、機械特性などの特性
が損なわれないようにするためには、(A)ポリプロピ
レン系樹脂100重量部に対して15重量部以下、なか
んづく12重量部以下であることが好ましい。
【0051】なお、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化
合物とを併用するばあい、両者の使用量の比(重量比)
は、任意に選択することができる。
【0052】ラジカル重合開始剤としては、一般に、た
とえば有機過酸化物、アゾ化合物、無機過酸化物などが
あげられるが、本発明に用いられる(C)ラジカル重合
開始剤としては、これらのなかでも有機過酸化物が好ま
しい。
【0053】前記有機過酸化物としては、たとえばメチ
ルエチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテー
トパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド;1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t
−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−
ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;
パーメタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−
テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプ
ロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイド
ロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;ジク
ミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α′−ビス
(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼ
ン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチル
パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパー
オキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシル
パーオキサイド;ジ(3−メチル−3−メトキシブチ
ル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチ
ルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボ
ネート;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチル
パーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウ
レート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチ
ルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピル
カーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾ
イルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセ
テート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−
ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエス
テルなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を
混合して用いることができる。これらのなかでも、とく
に水素引抜き能が高いものが好ましく、たとえば1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t
−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−
ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;
ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−
ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α′−ビス
(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼ
ン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチル
パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパー
オキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシル
パーオキサイド;t−ブチルパーオキシオクテート、t
−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオ
キシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−
トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソ
プロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオ
キシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、
ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオ
キシエステルなどを単独でまたは2種以上混合して用い
ることが好ましい。
【0054】(C)ラジカル重合開始剤の使用量は、充
分な改質効果をうるためには、(A)ポリプロピレン系
樹脂100重量部に対して0.05重量部以上、なかん
づく0.1重量部以上であることが好ましく、またえら
れる改質ポリプロピレン系樹脂組成物の溶融粘度が過度
に低下したり、経済性が低下するほか、好適な形状や外
観を有する押出発泡体がえられにくくなるおそれをなく
すためには、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部
に対して5重量部以下、なかんづく2重量部以下である
ことが好ましい。
【0055】前記(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)
ラジカル重合性単量体および(C)ラジカル重合開始剤
の混合方法および溶融混練方法にはとくに限定がなく、
たとえば、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)ラジカ
ル重合性単量体および(C)ラジカル重合開始剤、なら
びに必要に応じて添加されるその他の添加材料(混練
剤)を混合したのち溶融混練してもよいし、(A)ポリ
プロピレン系樹脂を溶融混練したのち、これに(B)ラ
ジカル重合性単量体および(C)ラジカル重合開始剤、
ならびに必要に応じて添加されるその他の添加材料を、
同時にあるいは別々に、一括してあるいは分割して混合
し、溶融混練してもよい。
【0056】本発明において、所望の特性を有する改質
ポリプロピレン系樹脂組成物をうるためには、(A)ポ
リプロピレン系樹脂が溶融し、(C)ラジカル重合開始
剤が分解するのに充分な温度条件の下で、これらを溶融
混練して反応させることが重要である。
【0057】本発明において、(A)ポリプロピレン系
樹脂が溶融しうる温度とは、かかる樹脂の結晶部が溶融
し、流動性を示す温度範囲のことであり、具体的には、
かかる樹脂の示差走査熱量測定法(DSC)により測定
した融点以上の温度範囲をいう。
【0058】また、本発明において、(C)ラジカル重
合開始剤が分解しうる温度とは、後述する反応時間内
に、実質的にたとえばその80重量%程度以上といった
大部分のラジカル重合開始剤が分解する温度範囲をい
う。
【0059】通常、前記(A)ポリプロピレン系樹脂が
溶解しうる温度で、かつ前記(C)ラジカル重合開始剤
が分解しうる温度は、170〜300℃程度の範囲内に
ある。したがって、前記改質ポリプロピレン系樹脂組成
物をうるための前記溶融混練温度は、170〜300℃
程度の範囲内、なかんづく180〜250℃程度の範囲
内にあることが好ましい。このような条件下において
は、(A)ポリプロピレン系樹脂が充分に溶融し、かつ
熱分解しにくい。また、前記反応のための時間は、0.
5〜60分間程度、なかんづく1〜10分間程度である
ことが好ましい。
【0060】前記の溶融混練の際に用いられる装置とし
ては、ロール、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラ
ベンダー、単軸押出機、2軸押出機などの混練機、2軸
表面更新機、2軸多円板装置などの横型撹拌機、ダブル
ヘリカルリボン撹拌機などの縦型撹拌機などの、樹脂を
適切な温度に加熱することができ、適宜剪断応力を与え
ながら各成分を混練しうる装置があげられる。これらの
なかでは、とくに単軸押出機および2軸押出機が、生産
性の点および均一な変性を行なうことができるという点
から好ましい。また、各成分を充分に均一に混合するた
めに、前記溶融混練を複数回繰返してもよい。
【0061】本発明の押出発泡体の製法として、たとえ
ば(1)(改質)ポリプロピレン系樹脂組成物と発泡剤
とを溶融押出機内で溶融混練して発泡性組成物としたの
ち、溶融押出機から押出することにより押出発泡体をう
る方法、(2)溶融させた状態の(改質)ポリプロピレ
ン系樹脂組成物に発泡剤を添加または圧入して発泡性組
成物としたのち、溶融押出機から押出すことにより押出
発泡体をうる方法などがあげられる。
【0062】たとえば前記(1)または(2)の方法に
よって押出発泡体をうるばあいに用いられる装置として
は、たとえば一軸押出機、2軸押出機などの多軸押出
機、これらの1種または2種を直列に接続したタンデム
型押出機などの任意のものを用いることができる。ま
た、発泡性組成物を均一に混練、冷却するためのオンレ
ータ、発泡性組成物をダイから押出す速度を調節、冷却
するためのアキュムレータなどが押出発泡のための装置
の一部分として好適に用いられる。
【0063】前記方法(1)を採用するばあいには、発
泡剤として熱分解型発泡剤を用いることが好ましい。該
熱分解型発泡剤としては、たとえばN,N′−ジニトロ
ソペンタメチレンテトラミン、N,N′−ジメチル−
N,N′−ジニトロソテレフタルアミドなどのニトロソ
系発泡剤;アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バ
リウムなどのアゾ系発泡剤;p,p′−オキシビスベン
ゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセ
ミカルバジドなどのスルホヒドラジド系発泡剤;トリヒ
ドラジノトリアジンなどが好ましく例示され、これらは
単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0064】前記熱分解型発泡剤の添加量(混練量)
は、発泡剤の種類および目標とする押出発泡体の発泡倍
率に応じて適宜調整すればよいが、(改質)ポリプロピ
レン系樹脂組成物100重量部に対して5〜100重量
部の範囲内であることが好ましい。
【0065】また、押出発泡体の気泡径をコントロール
するために、たとえばタルク、重炭酸ソーダ−クエン酸
などの発泡核剤を用いてもよく、またたとえば顔料、安
定剤、充填剤、難燃剤、帯電防止剤などを、必要に応じ
て本発明の効果を損なわない範囲で用いてもよい。
【0066】また、前記方法(1)のばあい、(改質)
ポリプロピレン系樹脂組成物と熱分解型発泡剤とを、と
もにたとえば溶融押出機に供給し、適切な温度で溶融混
練しながら発泡剤を熱分解させることにより気体を発生
させ、この気体を含有した溶融状態の(改質)ポリプロ
ピレン系樹脂組成物をダイより吐出することにより、押
出発泡体を成形することができる。かかる方法における
溶融混練温度および溶融混練時間は、用いられる発泡剤
の種類および混練条件により適宜調整すればよく、ポリ
プロピレン系樹脂の種類によっても異なるが、通常溶融
混練温度が130〜400℃程度、溶融混練時間が1〜
60分間程度であることが好ましい。
【0067】前記方法(2)を採用するばあいには、発
泡剤として揮発型発泡剤を用いることが好ましい。該揮
発型発泡剤としては、たとえばプロパン、ブタン、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類;シ
クロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂
環式炭化水素類;クロロジフルオロメタン、ジフルオロ
メタン、トリフルオロメタン、トリクロロフルオロメタ
ン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロ
ロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、クロ
ロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタ
ン、ジクロロフルオロエタン、クロロジフルオロエタ
ン、ジクロロペンタフルオロエタン、テトラフルオロエ
タン、ジフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、トリ
フルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリ
クロロトリフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエ
タン、クロロペンタフルオロエタン、パーフルオロシク
ロブタンなどのハロゲン化炭化水素類;二酸化炭素、チ
ッ素、空気などの無機ガス;水などが好ましく例示さ
れ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いるこ
とができる。
【0068】前記揮発型発泡剤の添加量(混練量)は、
発泡剤の種類および目標とする押出発泡体の発泡倍率に
応じて適宜調整すればよいが、(改質)ポリプロピレン
系樹脂組成物100重量部に対して5〜100重量部の
範囲内であることが好ましい。
【0069】また、かかる方法においても、押出発泡体
の気泡径をコントロールするために、たとえばタルク、
重炭酸ソーダ−クエン酸などの発泡核剤を用いてもよ
く、またたとえば顔料、安定剤、充填剤、難燃剤、帯電
防止剤などを、必要に応じて本発明の効果を損なわない
範囲で用いてもよい。
【0070】また、前記方法(2)のばあい、たとえば
押出機内で(改質)ポリプロピレン系樹脂組成物を溶融
させ、この押出機内に揮発型発泡剤を圧入し、高圧に保
持しつつ溶融状態の(改質)ポリプロピレン系樹脂組成
物と混練し、充分に混練された(改質)ポリプロピレン
系樹脂組成物と揮発型発泡剤との混練物をダイより吐出
することにより、押出発泡体を成形することができる。
かかる方法における溶融混練温度および溶融混練時間
は、用いられる発泡剤の種類および混練条件により適宜
調整すればよく、ポリプロピレン系樹脂の種類によって
も異なるが、通常溶融混練温度が130〜300℃程
度、溶融混練時間が1〜120分間程度であることが好
ましい。
【0071】かくしてえられる本発明の押出発泡体は、
その密度が10〜100kg/m3であることから、軽
量性、断熱性、外部応力の緩衝性、圧縮強度などの特性
にすぐれたものであるが、前記特性のバランスがよく、
緩衝材、建材などにより好適に用いることができるとい
う点から、該密度が15kg/m3以上、好ましくは1
8kg/m3以上であることが望ましく、また40kg
/m3以下、好ましくは36kg/m3以下であることが
望ましい。
【0072】また、本発明の押出発泡体は、その独立気
泡率が60%以上であることから、すぐれた断熱性、外
部応力の緩衝性および圧縮強度を有するものであるが、
より緩衝性が高い発泡体となりうるという点から、該独
立気泡率が70%以上であることが好ましい。
【0073】これらのことから、本発明の押出発泡体に
おいては、密度が15〜40kg/m3であり、独立気
泡率が60%以上であることがとくに好ましい。
【0074】また、本発明の押出発泡体の形状にはとく
に限定がなく、シート状、ボード状などの板状、チュー
ブ状、袋状などの中空状、円柱状、だ円柱状、角柱状、
ストランド状などの柱状などの種々の形状があげられ
る。これらのなかでは、本発明の押出発泡体をたとえば
緩衝材や芯材として用いるばあいには、たとえば厚さが
8mm以上といった比較的厚い板状であることが、独立
気泡率が高く、また低密度としうる点などから好まし
い。
【0075】なお、本発明の押出発泡体の厚さ(肉厚)
にはとくに限定がなく、その用途に応じて適宜コントロ
ールすればよい。
【0076】このように、本発明のポリプロピレン系樹
脂押出発泡体は、ポリプロピレン系樹脂が本来有するす
ぐれた耐熱性および剛性を示し、厚肉であっても密度が
低く、均一かつ微細で独立気泡率が高いセル構造を有す
るので、各種緩衝包装材、建材などに好適に用いること
ができる。
【0077】
【実施例】つぎに、本発明のポリプロピレン系樹脂押出
発泡体を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本
発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0078】製造例1 エチレン−プロピレンランダム共重合体(エチレン含
量:3重量%、230℃でのメルトフローインデック
ス:0.4g/10分)100重量部、スチレン10重
量部およびラジカル重合開始剤としてα,α′−ビス
(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン
(1分間半減期温度:175℃)0.5重量部を、2軸
押出機((株)日本製鋼所製、LABOTEX)を用い
て200℃で5分間溶融混練し、溶融押出しすることに
より、直径4mmのロッド状の改質ポリプロピレン系樹
脂組成物をえた。このロッド状の改質ポリプロピレン系
樹脂組成物の成形物を3mmの厚さに細断することによ
り、改質ポリプロピレン系樹脂組成物(以下、樹脂Aと
いう)のペレットをえた。
【0079】なお、前記2軸押出機は、同方向2軸タイ
プであり、シリンダーの孔径が32mmφであり、最大
スクリュー有効長(L/D)が25.5のものである。
この2軸押出機のシリンダー部の設定温度を200℃と
し、フィード部の設定温度を180℃として加熱し、ス
クリューの回転速度は各軸とも100rpmに設定し
た。
【0080】製造例2 製造例1において、エチレン−プロピレンランダム共重
合体100重量部をプロピレン単独重合体(230℃で
のメルトフローインデックス:0.5g/10分)10
0重量部に、またα,α′−ビス(t−ブチルパーオキ
シ−m−イソプロピル)ベンゼンの量を0.5重量部か
ら1.8重量部に変更し、200℃で5分間溶融混練し
たほかは製造例1と同様にして改質ポリプロピレン系樹
脂組成物(以下、樹脂Bという)のペレットをえた。
【0081】製造例3 製造例1において、スチレン10重量部をイソプレン5
重量部に、またα,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ
−m−イソプロピル)ベンゼンの量を0.5重量部から
1重量部に変更したほかは製造例1と同様にして改質ポ
リプロピレン系樹脂組成物(以下、樹脂Cという)のペ
レットをえた。
【0082】比較製造例1 製造例1において、エチレン−プロピレンランダム共重
合体100重量部をプロピレン単独重合体(230℃で
のメルトフローインデックス:0.5g/10分)10
0重量部に、またα,α′−ビス(t−ブチルパーオキ
シ−m−イソプロピル)ベンゼンの量を0.5重量部か
ら2.3重量部に変更し、200℃で5分間溶融混練し
たほかは製造例1と同様にして改質ポリプロピレン系樹
脂組成物(以下、樹脂Dという)のペレットをえた。
【0083】比較製造例2 製造例1において、α,α′−ビス(t−ブチルパーオ
キシ−m−イソプロピル)ベンゼンの量を0.5重量部
から5.2重量部に変更したほかは製造例1と同様にし
て改質ポリプロピレン系樹脂組成物(以下、樹脂Eとい
う)のペレットをえた。
【0084】つぎに、製造例1〜3および比較例製造例
1〜2でえられた樹脂A〜E、ならびに直鎖状の分子構
造を有するプロピレン単独重合体(230℃でのメルト
フローインデックス:0.5g/10分、以下、樹脂F
という)および樹脂中に長鎖の分岐構造を有するプロピ
レン単独重合体(Himont社製、PF−814、2
30℃でのメルトフローインデックス:4g/10分、
以下、樹脂Gという)について、伸長粘度特性および平
衡コンプライアンスを調べた。その結果を表1に示す。
【0085】(伸長粘度の特性)樹脂(A〜G)のペレ
ットを直径3mmのオリフィスを設けたキャピログラフ
に充填し、200℃で溶融させたのち、押出して長さ約
180mmのストランド状のサンプルを作製する。この
サンプルについて、メルテンレオメーター(東洋精機
(株)製)を用いて180℃、歪み速度0.05/se
cで、伸長粘度と測定時間(歪み量)との関係を測定す
る。
【0086】このとき、伸長粘度は、応力を電荷結合素
子(CCD)で測定したサンプルの断面積で除して求め
る。
【0087】すなわち、伸長粘度は、以下の式で表わさ
れる。
【0088】
【数2】
【0089】図1に樹脂Aの溶融状態での伸長粘度(l
ogηe)と測定時間(歪み量、logt)との関係を
表わすグラフ(曲線)Zを示す。図1の曲線Zは、測定
開始直後から緩やかな傾きで上昇しているが、それ以降
急激に上昇している。この測定時間が約1.2以上の急
激に上昇している部分(伸長粘度が測定時間の経過にと
もなって、もっとも急激に上昇している部分)から引出
した直線Yの傾き(1.85)の、測定時間が約−1〜
1.2の測定初期の平坦部(伸長粘度が測定時間の経過
にともなって、比較的緩やかに上昇している部分)から
引出した直線Xの傾き(0.436)に対する比(以
下、特定の伸長粘度の比という)を求める。
【0090】なお、樹脂B〜Gについても、かかる樹脂
Aと同様にして特定の伸長粘度の比を求める。
【0091】(平衡コンプライアンス)樹脂A〜Gのペ
レットを温度190℃の条件下、無圧で5分間、50k
g/cm3の圧力で2分間プレスし、厚さ1.5mmの
シート状に成形する。このシートからポンチで直径25
mmの円板を打ち抜き、測定サンプルとする。
【0092】測定にはダイナミックストレスレオメータ
(DSR)(Rheometrios社製)を用いる。
このとき、フィクスチャーとしては直径25mmの平行
円板を用い、温度は210±1℃に保つ。前記サンプル
を平行円板のあいだで充分に溶融させたのち、平行円板
の間隔を1.4mmに調節して平行円板からはみ出した
樹脂を取り除く。ついで、片側の板を他方の板に対して
応力σc=100N/m2で一方向に回転させながら、
そのときの歪み量γ(t)の経時変化を300秒間にわ
たって測定する。
【0093】このとき、応力σcを与え始めてからの時
間tに対して、以下の式で定義されるクリープコンプラ
イアンスJ(t)(Pa-1)をプロットしたばあい、充
分な時間が経過したのちには、クリープコンプライアン
スJ(t)は時間tに対して直線と見なすことができ、
平衡コンプライアンスJeoは、その直線を時間t=0
に外挿したときの切片として求められる。
【0094】 J(t)=γ(t)/σc=Jeo+t/η
【0095】
【表1】
【0096】なお、樹脂EおよびFは、特定の伸長粘度
特性を示さなかった。
【0097】実施例1〜3および比較例1〜4 樹脂A〜Gのペレットを用い、つぎの方法により板状の
押出発泡体を作製した。
【0098】表2に示す樹脂A〜Gのペレット100重
量部、ブレンドオイル(越谷化学工業(株)製、スーパ
ーイーズ)0.05重量部および発泡核剤として重炭酸
ナトリウム−クエン酸(永和化成(株)製、セルボンS
G/K)0.1重量部をリボンブレンダーを用いて15
分間混合した。この混合物をタンデム型押出機(第1段
押出機シリンダー径:65mmφ、第2段押出機シリン
ダー径:90mmφ)に供給し、第1段押出機内にて2
30℃で溶融したのち、発泡剤としてブタンガス(イソ
リッチのブタンガス、ノルマルブタン/イソブタン(重
量比):15/85)を樹脂A〜G100重量部に対し
て15重量部圧入して混練し、これを第2段押出機内で
樹脂温度が145℃になるように冷却し、幅60mm、
高さ1.0mmのスリットを有する矩形ダイより押出し
て板状の押出発泡体をえた。
【0099】えられた板状の押出発泡体について、独立
気泡率、密度および断面の最小厚さを以下の方法にした
がって調べた。その結果を表2に示す。
【0100】(イ)独立気泡率 マルチピクノメータ(製品名、湯浅アイオニクス(株)
製)を用い、ASTMD−2856に記載の方法に準拠
して測定する。
【0101】(ロ)密度 重量を、水没法により求めた体積で除して求める。
【0102】(ハ)断面の最小厚さ カッターを用いて板状の押出発泡体を押出し方向と垂直
に切断し、端部より5mm以上内側でもっとも薄い部位
の厚さをノギスで測定する。
【0103】
【表2】
【0104】表2に示された結果から、特定の伸長粘度
特性を示し、かつ平衡コンプライアンスが1.2×10
-3Pa-1未満のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてえ
られた実施例1〜3の押出発泡体は、その厚さが20m
m以上と大きいにもかかわらず、70%以上といった高
独立気泡率および30kg/m3未満といった低密度を
併有したものであることがわかる。
【0105】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン系樹脂押出発泡
体は、ポリプロピレン系樹脂が本来有するすぐれた耐熱
性および剛性を示し、厚肉であっても密度が低く、均一
かつ微細で独立気泡率が高いセル構造を有するものであ
る。
【0106】したがって、本発明のポリプロピレン系樹
脂押出発泡体は、各種緩衝包装材、建材などに好適に用
いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1でえられた樹脂Aの溶融状態での伸長
粘度(logηe)と測定時間(logt)との関係を
表わすグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融状態で測定した伸長粘度が歪み量の
    増加にともなって急激に上昇し、かつ210℃で測定し
    た平衡コンプライアンスが1.2×10-3Pa-1未満の
    ポリプロピレン系樹脂組成物を押出発泡させてなり、密
    度が10〜100kg/m3であり、独立気泡率が60
    %以上であるポリプロピレン系樹脂押出発泡体。
  2. 【請求項2】 密度が15〜40kg/m3であり、独
    立気泡率が60%以上である請求項1記載のポリプロピ
    レン系樹脂押出発泡体。
  3. 【請求項3】 厚さが8mm以上の板状である請求項1
    または2記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡体。
  4. 【請求項4】 ポリプロピレン系樹脂組成物が、(A)
    ポリプロピレン系樹脂、(B)ラジカル重合性単量体お
    よび(C)ラジカル重合開始剤を、該(A)ポリプロピ
    レン系樹脂が溶融しうる温度、かつ(C)ラジカル重合
    開始剤が分解しうる温度で溶融混練してえられ、溶融状
    態で測定した伸長粘度が歪み量の増加にともなって急激
    に上昇し、かつ210℃で測定した平衡コンプライアン
    スが1.2×10-3Pa-1未満の改質ポリプロピレン系
    樹脂組成物である請求項1、2または3記載のポリプロ
    ピレン系樹脂押出発泡体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7968180B2 (en) 2005-04-27 2011-06-28 Prime Polymer Co., Ltd. Extruded propylene-resin composite foam
EP3318582A4 (en) * 2015-07-01 2019-03-13 The Japan Steel Works, Ltd. PEROXIDE REACTION PROCESS AND DEVICE WITH EXTRUDER
CN112430347A (zh) * 2020-12-02 2021-03-02 广德祥源新材科技有限公司 一种高阻隔性能的树脂发泡体及其制备方法

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