JPH10175932A - N−ビニルカルボン酸アミドの精製方法 - Google Patents
N−ビニルカルボン酸アミドの精製方法Info
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- JPH10175932A JPH10175932A JP27428097A JP27428097A JPH10175932A JP H10175932 A JPH10175932 A JP H10175932A JP 27428097 A JP27428097 A JP 27428097A JP 27428097 A JP27428097 A JP 27428097A JP H10175932 A JPH10175932 A JP H10175932A
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Abstract
いた精製において、精留塔内での重合を抑制し、また、
精留塔の塔底での不純物の蓄積を防止し、高純度のN−
ビニルカルボン酸アミドを長期間、連続的に高収率をも
って得ること。 【解決手段】 粗N−ビニルカルボン酸アミドを連続的
に精製するに際し、(1)粗N−ビニルカルボン酸アミ
ドを精留塔に供給し、(2)塔頂より精製N−ビニルカ
ルボン酸アミドを留出させ、塔底よりN−ビニルカルボ
ン酸アミドを含む塔底液を抜き出し、(3)該塔底液を
薄膜蒸発器に循環し、未蒸発分を系外に除去し、蒸発分
を前記精留塔に供給することを特徴とするN−ビニルカ
ルボン酸アミドの精製方法。
Description
酸アミドの蒸留精製方法に関する。
ビニルアシルアミドとも呼ばれている重合性に富む化合
物であり、具体的にはN−ビニルホルムアミドやN−ビ
ニルアセトアミドなどが例示される。該化合物は、単独
で重合させるか又は他のビニル化合物と共重合させて、
種々の特性を有する重合物を得ることができる。特に、
N−ビニルカルボン酸アミドは、この重合物を加水分解
してそのアミド基を1級アミノ基に転換して得られるポ
リビニルアミン等の水溶性ポリマーの原料として、ある
いは有機薬品の中間体として有用であることが知られて
いる。
法としては、N−(α−アルコキシエチル)カルボン酸
アミドからアルコールを脱離させる方法(米国特許第
3,914,304号明細書)、ホルミルアラニンニト
リルからシアン化水素を脱離させる方法(特開昭61−
134359号公報)、及び、エチレンビスホルムアミ
ドあるいはエチリデンビスアセトアミドを熱分解する方
法(米国特許第4,018,826号、同4,490,
557号、同4,578,515号明細書)などが知ら
れている。これらの方法は、いずれも減圧下、90〜7
50℃程度の高温でN−ビニルカルボン酸アミドの前駆
体を熱分解し、N−ビニルカルボン酸アミドを得るもの
である。得られたN−ビニルカルボン酸アミドは、熱分
解反応液より、通常、蒸留により回収される。ところ
が、N−ビニルカルボン酸アミドの熱安定性は充分では
なく、更には、熱分解反応で副生した微量の塩基性不純
物が熱分解反応液中に存在してN−ビニルカルボン酸ア
ミドの分解を促進させる。このため、蒸留精製時のN−
ビニルカルボン酸アミドの回収率が低くなったり、ある
いは、回収された精製N−ビニルカルボン酸アミドの純
度が充分でなくポリマー原料としての重合性にも悪影響
を与えるという問題がある。
ち、特にN−ビニルホルムアミドの蒸留の際の分解等を
抑える手段として以下のような方法が提案されている。
(1)蒸留を行う前に、熱分解反応液を弱酸性陽イオン
交換樹脂で接触処理し、含まれる微量の塩基性不純物を
除去する方法(特開昭63−190862号公報)、
(2)熱分解反応液を薄膜蒸発器にかけて混合液の大部
分を蒸発分として回収し、次いで該蒸発分を蒸留塔を用
いて精密蒸留する方法(特開平5−155829号公
報)、(3)粗N−ビニルホルムアミドに多量のホルム
アミドを存在させることにより蒸留する方法(特公平6
−99374号公報)。
の方法では、イオン交換樹脂の再生等の操作が煩雑であ
る。また、(2)の方法では、薄膜蒸発器での塩基性不
純物の分離が完全でないため、蒸発分の中に一部混入し
た塩基性不純物が蒸留塔底に蓄積し、長時間の連続的蒸
留においては、N−ビニルホルムアミドの安定性の向上
は必ずしも十分でない。更に、(3)の方法では、熱分
解反応液中には元々ホルムアミドが相当量含まれてくる
方がむしろ一般的であり、安定化効果は十分とはいいが
たい。また、熱分解混合液にホルムアミドを追加して蒸
留を行えば、その分だけN−ビニルホルムアミドとホル
ムアミドとの分離の手間が増大する。
題点に鑑み、N−ビニルホルムアミド等のN−ビニルカ
ルボン酸アミドを効率よく回収する方法につき種々検討
した結果、塔頂より精製N−ビニルカルボン酸アミドを
得るための精留塔を用いた蒸留方法において、N−ビニ
ルカルボン酸アミドを含む塔底液の少なくとも一部を塔
外に取り出し、これを薄膜蒸発器に供給して、未蒸発分
は系外に除去し、蒸発分を精留塔に戻して再度蒸留する
方法を採用すれば、精留塔の塔底液中の塩基性不純物の
蓄積もなく、高純度のN−ビニルホルムアミドが高収率
で蒸留回収されることを見出し、本発明に到達した。
ボン酸アミドを連続的に精製するに際し、(1)粗N−
ビニルカルボン酸アミドを精留塔に供給し、(2)塔頂
より精製N−ビニルカルボン酸アミドを留出させ、塔底
よりN−ビニルカルボン酸アミドを含む塔底液を抜き出
し、(3)該塔底液を薄膜蒸発器に循環し、未蒸発分を
系外に除去し、蒸発分を前記精留塔に供給することを特
徴とするN−ビニルカルボン酸アミドの精製方法に存す
る。
本発明で対象とするN−ビニルカルボン酸アミドとして
はN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドが
最も一般的であるが、N−ビニルホルムアミドが本発明
の対象物質として特に好適である。N−ビニルカルボン
酸アミドの製法は前記で例示したような方法であれば特
に限定はないが、N−ビニルカルボン酸アミドの収率が
高く、また、シアン化水素等の有害物質の副生がない点
において、N−(α−アルコキシエチル)−カルボン酸
アミドを熱分解してアルコールを脱離させる方法が特に
好ましい。
反応液は、そのまま粗N−ビニルカルボン酸アミドとし
て本発明の精製に供してもよいが、反応液はN−ビニル
カルボン酸アミドの他に相当量の軽沸点や高沸点成分を
含む混合物であるので、通常、粗N−ビニルカルボン酸
アミドの反応液の少なくとも1部、好ましくは全量につ
き、予め、軽沸点成分や高沸点成分をある程度除去した
粗N−ビニルカルボン酸アミドを精留塔に供給する方法
が望ましい。軽沸点成分を蒸発処理する方法としては、
該混合物中の軽沸点成分を減圧留去する方法が採用でき
る。例えば、N−(α−アルコキシエチル)−ホルムア
ミドからアルコールを脱離させる熱分解法により得られ
たN−ビニルホルムアミドを含む反応液は、N−ビニル
ホルムアミドの他に、副生するアルコールやホルムアミ
ドを含有する混合物であるから、熱分解反応液より、減
圧留去法によりメタノール、エタノールなどを軽沸点ア
ルコールを効果的に除去することができる。
混合物中の高沸点成分もある程度、薄膜蒸発器を用いて
予め除去する方法も好適である。この場合、蒸発分とし
て粗N−ビニルカルボン酸アミドが回収される。薄膜蒸
発器は、混合液よりN−ビニルカルボン酸アミドのよう
な熱安定性の高くない対象物を蒸発分離させるのに適当
である。その構造は市販の装置と同様なものであって特
別の構造を有する必要はなく、回転型薄膜式、プレート
型流下薄膜式、チューブ型流下薄膜式、ワイパー型薄膜
式、遠心型薄膜式等の形式のものが例示されるが、予め
含まれている、あるいは単位操作中に生成する重合物に
対して、閉塞などの不具合を生じにくい型式の装置が望
ましく、回転型薄膜式、ワイパー型薄膜式、遠心型薄膜
式等のような機械的に薄膜を形成させる形式のものが特
に好ましい。薄膜蒸発の操作条件としては、通常0.1
〜3KPa、好ましくは0.3〜2KPaの減圧下、蒸
気温度として、通常70〜150℃、好ましくは80〜
130℃、液の平均滞留時間が通常30秒〜10分、好
ましくは1〜5分が示される。かかる条件下で薄膜蒸発
することにより、N−ビニルカルボン酸アミドを含む液
の通常80%以上、好ましくは85%以上を蒸発分とし
て回収する。一方、残りの未蒸発分、即ち残りの高沸点
成分は薄膜蒸発器に循環させることなく、系外に除去す
る。
は、室温(25℃)条件下で軽沸成分等を除去した粗N
−ビニルカルボン酸アミドに対して5重量倍量のアセト
ンを加えたときに沈殿として生じるアセトン不溶成分と
して定量することができる。該成分は、IRスペクト
ル、NMRスペクトル及び液体クロマトグラフィー等の
分析より、主としてN−ビニルカルボン酸アミドの重合
物からなる高沸点成分と同定される。該重合物は、粗N
−ビニルカルボン酸アミドの製造において、例えば、N
−(α−アルコキシエチル)カルボン酸アミドのような
前駆体の熱分解工程で副生するものである。また、N−
ビニルカルボン酸アミド自体の反応性が高いがゆえに、
精製されたN−ビニルカルボン酸アミドの移送、貯蔵中
などにおいても自然に生成増加してくるものである。こ
のようなアセトン不溶成分は、通常の状態では粗N−ビ
ニルカルボン酸中に溶解している。このようなアセトン
不溶成分が精製原料中に含まれていると、該成分を核と
して重合が促進され、安定剤の存在下においてさえ、重
合体の成長が避けられない。蒸留塔においては、充填物
が液体によって均一に濡らされていないところで不溶物
が析出しやすい。不溶物がいったん析出すると、それを
核として重合物が成長し、やがて不溶不融の重合体が蓄
積していくものと推定される。このような現象は、アセ
トン不溶成分が常に供給されている原料供給口において
顕著であるので、粗N−ビニルホルムアミド中のアセト
ン不溶成分は、連続蒸留精製の際には常に、予め極力除
去しておくことが望ましく、粗N−ビニルホルムアミド
中の高分子量成分の含有量を通常400ppm以下、好
ましくは200ppm以下、特に好ましくは50ppm
以下とする。
変化に非常に敏感である性質上、一端アセトン不溶分を
除去できたとしても、薄膜蒸発器で回収される粗N−ビ
ニルカルボン酸アミドを含む蒸気成分が冷却凝縮する際
や、粗N−ビニルカルボン酸アミドを精留塔で直ちに供
給して精製せず、一時的に保存や保管されるような場合
も含めて、アセトン不溶分が再生しやすいので格別の注
意が必要である。一般的な有機物を薄膜蒸発させる場
合、蒸発分を冷却して一旦凝縮液として回収することが
多いが、N−ビニルカルボン酸アミドの場合は、凝縮の
際の気液接触の時間が長くなると、アセトン不溶分が再
生しやすいので注意が必要である。また、この凝縮液を
精留塔に供給する場合、一般的有機物を精留する場合に
おいては、精留塔内の熱負荷をできるだけ軽減するため
に予備加熱して精留塔に供給する方法が一般的に望まし
いが、N−ビニルカルボン酸アミドではあまり加温し過
ぎるとアセトン不溶成分の再生が顕著となるのであまり
好ましくなく、加温しても通常50℃以下、好ましくは
40℃以下に留めるべきである。また、アセトン不溶成
分の再生を回避して精留塔に供給するため、粗N−ビニ
ルカルボン酸アミドを薄膜蒸発器に供給し、未蒸発分を
除去し、一方、N−ビニルカルボン酸アミドを含む蒸発
分を凝縮させることなく精留塔に供給する方法が好まし
い。この際、蒸発分の通常90%以上は凝縮させること
なく供給し、好ましくは実質的に全量を蒸気で精留塔に
供給する。このためには、薄膜蒸発器から精留塔に至る
ラインのを保温状態に維持する必要がある。
ン酸アミドの純度は、通常50重量%以上、好ましくは
80〜95重量%である。なお、粗N−ビニルカルボン
酸アミドとは、本発明による精製を行った後よりも純度
の低いN−ビニルカルボン酸アミドを意味するものであ
って、上記のような反応液より軽沸点成分あるいは高沸
点成分をある程度除いたような液以外にも、一旦精製し
てあっても長期保存により劣化して純度が低下したN−
ビニルカルボン酸アミドなども含まれる。
ルボン酸アミドの精製を、精留塔を用いた連続蒸留によ
り行う。使用される精留塔の構造は、一般的な蒸留塔の
場合と同様であり、充てん式、棚段式等が例示される。
精留塔の粗N−ビニルカルボン酸アミド液の供給口は、
塔の中段であって、塔全体の下から通常1/5〜4/5
の位置に設置される。蒸留の操作条件には特に制限はな
いが、工業的に実施しやすい条件として、塔の理論段数
は通常3〜30、好ましくは5〜20であり、精留塔の
塔頂圧力が通常0.1〜3KPa、好ましくは0.3〜
2KPaであり、対応する塔頂温度の範囲が通常50〜
100、70〜85℃である。また、本発明では、塔底
温度は通常80〜120℃、好ましくは100℃以下に
保持でき、N−ビニルカルボン酸アミドを従来の通常の
方法で蒸留するよりも5〜10℃程度低く保持して安定
な蒸留運転をすることが可能である。
カルボン酸アミドのN−ビニルカルボン酸アミド成分の
通常40〜90%、好ましくは50〜80%を塔頂より
留出させる。精留塔でのN−ビニルカルボン酸アミドの
留出率が低すぎる場合は、薄膜蒸発器を経た後に精留塔
に再度供給する場合、精留塔の塔底液の量が多くなりす
ぎて、薄膜蒸発器及び精留塔を大型化する必要が生じる
ので工業的に有利でなくなる。一方、精留塔でのN−ビ
ニルカルボン酸アミドの留出率が高すぎる場合は、精留
塔の塔底液の量が少なくなりすぎて、塔底での滞留時間
が大きくなり、塔底における塩基性不純物の蓄積が無視
できなくなるため、本発明の効果が十分に発揮されな
い。ここでの塩基性不純物は、アンモニア、ピコリン、
エチルピコリン、その他構造不明の種々の塩基性物質の
混合物である。なお、本発明において、塔頂とは広義の
意味であって、塔頂そのものとその近傍も含まれる。即
ち、塔頂より微量の軽沸点不純物を除去し、塔頂近傍よ
り目的とするN−ビニルカルボン酸アミドに富む成分を
留出させる方法も可能である。
度は、目的とする精製度に応じて適宜調整できるが、通
常97重量%以上、好ましくは98重量%以上の高純度
のN−ビニルホルムアミドを安定に得ることができる。
一方、精留塔の塔底液の組成については、本発明ではN
−ビニルカルボン酸アミドの塔頂からの留出率を通常9
0%以下に抑えることから、N−ビニルカルボン酸アミ
ド成分が塔底液の通常50重量%以上、好ましくは60
重量%以上となる。
ボン酸アミドを含有する塔底液を連続的に塔外に抜き出
す。そして、該抜き出し液を薄膜蒸発器に供給し、薄膜
蒸発器において、未蒸発分を系外に除去し、N−ビニル
カルボン酸アミドを含む蒸発分を回収し、該回収分を前
記精留塔の供給口に供給する。塔底液のうちで塔外に抜
き出して薄膜蒸発器に供する割合は高ければ高いほど好
ましく、通常50%以上、好ましくは80%以上、特に
好ましくは90%以上である。
特に制限はなく、前述の熱分解反応液中の高沸点成分を
除去した粗N−ビニルカルボン酸アミドを得るために使
用した薄膜蒸発器と同様の種類、操作条件が採用でき
る。また、前述の薄膜蒸発器に塔底からの抜き出し液を
戻すこともできるが、この方法は一つの薄膜蒸発器が有
効利用されることになるので特に望ましい。薄膜蒸発器
において、未蒸発分を系外に除去し、N−ビニルカルボ
ン酸アミドを含む蒸発分を回収し、該蒸発分をそのま
ま、または凝縮させた液を前記精留塔の供給口に循環さ
せる。以上の本発明の方法は、精留塔による蒸留及び薄
膜蒸発器による蒸発分離を各々連続的に操作し、かつ、
両者を組み合わせることで構成される。
去される一方で、蒸発分は前記の精留塔の供給口に供給
されるため、該精留塔での精密蒸留におけるN−ビニル
カルボン酸アミドの収率をそれほど高くしなくても、高
純度のN−ビニルカルボン酸アミドが高収率で蒸留回収
される。精留塔の塔底での滞留時間と蒸留の留出率とは
本来は反比例的な関係にあるので、単にN−ビニルカル
ボン酸アミドを蒸留する方法では、精留塔の塔底でのN
−ビニルカルボン酸アミドの分解を防止するためには、
N−ビニルカルボン酸アミドの留出率を極端に抑える必
要があった。しかしながら、本発明によれば、精留塔の
塔底でのN−ビニルカルボン酸アミドの分解が少なくな
り、高純度のN−ビニルカルボン酸アミドを高収率で回
収できる。
には、粗N−ビニルホルムアミドに多量のホルムアミド
を存在させることにより、精留塔で蒸留する際に塔底液
を薄膜蒸発器を経てポンプ循環させる旨の記載がある。
これは通常の蒸留でもよく行われる塔底液を効果的に加
熱する方法の一つであって、抜き出したホルムアミドを
主成分とする塔底液を薄膜蒸発器で加熱し、未蒸発分は
そのまま塔底に循環させる一方、加熱による蒸発分も塔
底に循環させるものである。即ち、薄膜蒸発器をリボイ
ラ−として利用したものである。従って、本願発明のよ
うに、N−ビニルカルボン酸アミドを主とする塔底液を
塔底より抜き出し、この抜き出し液を薄膜蒸発器に供給
し、蒸発分のみを回収し、粗Nービニルカルボン酸アミ
ドとともに精留塔に供給する方法とは相違する。
カルボン酸アミドの熱重合防止に関して有効な安定剤を
用いてもよい。安定剤は、上記の精製系において、薄膜
蒸発器及び精留塔にN−ビニルカルボン酸アミドを供給
する際に添加する方法が好ましい。有効な安定剤として
は、たとえば、キノン類、キノン類のアルカリ変性物、
フェノール系化合物、芳香族アミン系化合物、チオ尿素
系化合物などであり、その添加量は通常50〜1000
0ppm、好ましくは100〜5000ppmである。
アルカリ変性物であり、キノン類の化合物としては、p
−ベンゾキノン、o−ベンゾキノンなどのベンゾキノン
類や、ナフトキノン類、アントラキノン類が例示される
が、これらのキノン類のアルカリ変性物を調製する場合
には、N−ビニルカルボン酸アミドとの蒸留分離が容易
なメタノール、エタノール、水、トルエン、ベンゼン等
の溶媒、あるいは、N−ビニルカルボン酸アミドに、キ
ノン類を通常5〜150g/lとなるように溶解し、こ
れに苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ
等のアルカリを添加して、室温ないし加温下に撹拌すれ
ばよい。アルカリの添加量は10-4〜10-2モル/l程
度で十分である。キノン類は一般には重合禁止剤として
作用するが、更にこのキノン類のアルカリ変性物は不揮
発性であるので、連続蒸留を通じて精製N−ビニルカル
ボン酸アミドと容易に分離することができる。
明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施
例に限定されるものではない。なお、以下の実施例にお
いて「%」は「重量%」、「ppm」は「重量ppm」
を示す。また、実施例において、N−ビニルホルムアミ
ド中のアセトン不溶成分の分析方法は以下の通りであ
る。
5℃)条件下、試料のN−ビニルホルムアミド50gに
アセトン250gを添加混合し、析出物を0.5μmの
テフロン製フィルターで濾取した。これを60℃で恒量
になるまで減圧乾燥し、該量を測定して高分子量成分の
含有量(単位:ppm)を(不溶物の乾燥重量/50)
×106で表示した。
ーテル体」と言う)の製造〕攪拌機及び温度調節器を備
えた500リットルステンレス製反応器に、ホルムアミ
ドとアセトアルデヒドとを重炭酸カリウム触媒の存在下
で反応させて得たN−(αーヒドロキシエチル)ホルム
アミド(以下「ヒドロキシ体」と言う)結晶(純度73
重量%、ホルムアミド含量0.5重量%、重炭酸カリウ
ム含量0.5重量%)30kgを仕込み、これにメタノ
ール31.5kg(ヒドロキシ体に対して4モル倍)及
び硫酸0.25kg(重炭酸カリウム中和量とヒドロキ
シ体に対して0.5モル%量の合計量に相当)を加え、
攪拌下、25〜40℃の温度で反応系内のヒドロキシ体
の残量が8重量%となるまでエーテル化反応を3時間行
い、次いで、これに20重量%苛性ソーダを加え、触媒
を中和することによりpHを7とした。更に、この液を
6.7KPaの減圧下で軽沸分を蒸発させた後、0.4
KPaの減圧蒸留にてエーテル体を回収した。
得たエーテル体を、ヒーターを備えた径40mm、長さ1
000mmのステンレス管に、内温を400℃に保ちなが
ら13.3KPaの減圧下、0.2kg/minの割合
で供給し、一方、排出されるガスを直ちに凝縮させるこ
とにより熱分解を行い、留出液(N−ビニルホルムアミ
ド67重量%、メタノール31重量%)23kgを回収
した。
留出液を、更に、圧力6.7KPa、温度50℃の条件
下においてメタノール等の軽沸点成分を蒸発除去したも
のを蒸留処理用の粗N−ビニルホルムアミド(N−ビニ
ルホルムアミド88重量%、ホルムアミド5重量%、エ
ーテル体5重量%、高沸不純物2重量%)を得た。この
粗N−ビニルホルムアミド中にはアセトン不溶成分が1
500ppm含まれていた。
ン)をメタノールに5重量%濃度となるように溶解し、
該溶液に苛性ソーダを20meq/kgとなるように添
加し、20℃で3時間攪拌した液を調製した。該液につ
いて、液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−
ベンゾキノンは検出されず(検出下限50ppm)、す
べてアルカリ変性物に転換されていた。
定剤として、上記で得たp−ベンゾキノンのアルカリ変
性物(p−ベンゾキノンとして3000ppm相当量)
を添加した。以上の粗N−ビニルホルムアミドを、ガラ
ス製流下薄膜蒸発器(伝熱面直径50mm、高さ200
mm)を用い、圧力0.4KPa、蒸気温度125℃、
液の平均滞留時間5分の条件にて、蒸発処理を行った。
なく系外に除去した。また、蒸発分の凝縮液(アセトン
不溶成分50ppm)を加温することなく、そのまま精
留塔(径50mm、高さ900mm、スルーザーラボパ
ッキングを充てん)に供給し、圧力6.7KPa、塔頂
温度70℃、塔底温度90℃、理論段数15段、還流比
4、塔底滞留時間2.5時間の条件にて、精密蒸留を行
った。この際、該凝縮液に対し、上記p−ベンゾキノン
アルカリ変性物をp−ベンゾキノンとして2000pp
mとなるように連続添加した。また、該精密蒸留におけ
るN−ビニルホルムアミドの塔頂からの回収率は70%
であり、塔頂からは純度99重量%の精製N−ビニルホ
ルムアミドが得られた。また、塔底液は、前記の粗N−
ビニルホルムアミドと合流させ、前記ガラス製流下薄膜
蒸発器に供給した。
て、実質的にN−ビニルホルムアミドの分解はなく、塔
底での分解物及び塩基性不純物の蓄積もなく、高純度
(99重量%)のN−ビニルホルムアミドが一環収率9
3%で回収された(一環収率のベースは粗N−ビニルホ
ルムアミドである。) 以上の精製プロセスの定常状態における関係を示すフロ
ーシートを図1に示す。図1において「VFA」はN−
ビニルホルムアミド、「FA」はホルムアミド、「エー
テル体」はN−(α−メトキシエチル)ホルムアミド、
「塩基」は塩基性不純物を示す。各成分は液体クロマト
グライフィーにより分析を行った。また、0.1N硫酸
水溶液での中和滴定による値を塩基性不純物の総量とし
た。
1と同じガラス製薄膜蒸発器及び精留塔を用い、精留塔
の塔底液を薄膜蒸発器に循環させることなく系外に除去
した以外は実施例1と同様にして精製を行った。この
際、純度99重量%のN−ビニルホルムアミドを一貫収
率90%程度で得るため、N−ビニルホルムアミドの留
出率を約93%までに高めたところ、精留塔での精密蒸
留における塔底滞留時間が10時間を超えてしまい、塔
底での分解物及び塩基性不純物の蓄積が大きく、塔底温
度が90℃から110℃程度に上昇してもなお温度上昇
が止まらず、連続運転ができなかった。そして、蒸留初
期におけるN−ビニルホルムアミドの分解率は5%であ
った。以上の精製プロセスの定常状態における関係を図
2に示す。
酸アミドの精留塔を用いた精製において、精留塔内での
重合を抑制し、また、精留塔の塔底での不純物の蓄積を
防止し、高純度のN−ビニルカルボン酸アミドを長期
間、連続的に高収率をもって得ることができる。
セスを示すフローシートである。
セスを示すフローシートである。
Claims (7)
- 【請求項1】 粗N−ビニルカルボン酸アミドを連続的
に精製するに際し、(1)粗N−ビニルカルボン酸アミ
ドを精留塔に供給し、(2)塔頂より精製N−ビニルカ
ルボン酸アミドを留出させ、塔底よりN−ビニルカルボ
ン酸アミドを含む塔底液を抜き出し、(3)該塔底液を
薄膜蒸発器に循環し、未蒸発分を系外に除去し、蒸発分
を前記精留塔に供給することを特徴とするN−ビニルカ
ルボン酸アミドの精製方法。 - 【請求項2】 粗N−ビニルカルボン酸アミドの少なく
とも一部を予め薄膜蒸発器に供給し、未蒸発分を系外に
除去し、N−ビニルカルボン酸アミドを含む蒸発分を精
留塔に供給することを特徴とする請求項1の方法。 - 【請求項3】 精留塔に供給されるN−ビニルカルボン
酸アミド成分の40〜90重量%を塔頂より留出させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。 - 【請求項4】 N−ビニルカルボン酸アミド成分が塔底
液の50重量%以上であることを特徴とする請求項1な
いし3のいずれかに記載の方法。 - 【請求項5】 精留塔の塔頂圧力を0.1〜3KPaで
蒸留することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか
に記載の方法。 - 【請求項6】 精留塔の塔底温度を100℃以下に保持
することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記
載の方法。 - 【請求項7】 N−ビニルカルボン酸アミドがN−ビニ
ルホルムアミドであることを特徴とする請求項1ないし
6のいずれかに記載の方法。
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JP8-273570 | 1996-10-16 | ||
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2005350388A (ja) * | 2004-06-10 | 2005-12-22 | Sumitomo Chemical Co Ltd | アニリンの製造方法 |
JP2012056856A (ja) * | 2010-09-06 | 2012-03-22 | Daiyanitorikkusu Kk | N−ビニルホルムアミドの製造方法 |
CN116789546A (zh) * | 2023-07-04 | 2023-09-22 | 河北华旭化工有限公司 | 从生产特戊酸精馏残液中回收高品质c9叔碳酸的方法 |
-
1997
- 1997-10-07 JP JP27428097A patent/JP3975525B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2005350388A (ja) * | 2004-06-10 | 2005-12-22 | Sumitomo Chemical Co Ltd | アニリンの製造方法 |
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CN116789546B (zh) * | 2023-07-04 | 2024-02-09 | 河北华旭化工有限公司 | 从生产特戊酸精馏残液中回收c9叔碳酸的方法 |
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