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JPH10152523A - アリル基変性ノルボルネン系重合体及びその製造方法 - Google Patents

アリル基変性ノルボルネン系重合体及びその製造方法

Info

Publication number
JPH10152523A
JPH10152523A JP27933497A JP27933497A JPH10152523A JP H10152523 A JPH10152523 A JP H10152523A JP 27933497 A JP27933497 A JP 27933497A JP 27933497 A JP27933497 A JP 27933497A JP H10152523 A JPH10152523 A JP H10152523A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
norbornene
allyl group
polymer
group
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27933497A
Other languages
English (en)
Inventor
Jiyunji Kodemura
順司 小出村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP27933497A priority Critical patent/JPH10152523A/ja
Publication of JPH10152523A publication Critical patent/JPH10152523A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘電特性、耐熱性、及び耐薬品性に優れるノ
ルボルネン系重合体、その製造方法、及び架橋性樹脂材
料を提供すること。 【解決手段】 芳香環含有ノルボルネン系重合体に少な
くとも一つのアリル基を導入した重量平均分子量(M
w)が500〜500,000のアリル基変性ノルボル
ネン系重合体。芳香環含有ノルボルネン系重合体を有機
金属でメタル化する工程、次いで、アリルハライドで置
換反応してアリル基を導入する工程を含むことを特徴と
するアリル基変性ノルボルネン系重合体の製造方法。芳
香環含有ノルボルネン系重合体に少なくとも一つのアリ
ル基を導入した重量平均分子量(Mw)が500〜50
0,000のアリル基変性ノルボルネン系重合体を含ん
でなる架橋性樹脂材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な変性ノルボ
ルネン系重合体、その製造方法、及び架橋性樹脂材料に
関する。さらに詳しくは、本発明は、誘電特性、耐熱
性、及び耐薬品性に優れるアリル基変性ノルボルネン系
重合体、その製造方法、及び該変性重合体を含む架橋性
樹脂材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、通信用、民生用、産業用等の電子
機器の分野において、実装方法の小型化、高密度化への
指向には著しいものがあり、それに伴って、樹脂材料の
面でもより優れた耐熱性、寸法安定性、電気特性が要求
されつつある。例えば、プリント配線基板としては、従
来からフェノール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹
脂を基材とした銅張り積層板が用いられてきた。これら
は、各種の性能をバランスよく有するものの、電気特
性、特に高周波領域での誘電特性が悪いという欠点を持
っている。
【0003】この問題を解決する新しい材料として、近
年、ノルボルネン系重合体が注目を集め、銅張り積層板
への応用が試みられている。例えば、特開平6−248
164号公報には、ノルボルネン系重合体を架橋剤で架
橋させた架橋物基板に銅箔を張り付けた積層板が開示さ
れている。しかしながら、この方法では、ジアリルフタ
レートなどの架橋助剤を多量に用いなければならず、架
橋助剤が誘電特性を低下させる原因となっている。一
方、架橋助剤の配合割合が少なかったり、配合しない場
合には、ノルボルネン系重合体の架橋反応が充分に進ま
ず、耐熱性や耐薬品性が不充分な積層板しか得ることが
できないという問題点を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、誘電
特性、耐熱性、及び耐薬品性に優れるノルボルネン系重
合体、並びにその製造方法を提供することにある。本発
明の他の目的は、誘電特性、耐熱性、及び耐薬品性に優
れる架橋性樹脂材料を提供することにある。本発明者ら
は、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究を
重ねた結果、ノルボルネン系重合体の中でも、芳香環含
有ノルボルネン系重合体がn−ブチルリチウムなどの有
機金属で容易にメタル化(すなわち、金属置換基の導
入)することができ、このメタル化した当該重合体をア
リルハライドと反応させると、脱金属ハライドが起こる
と共に、重合体中にアリル基を導入することができるこ
とを見いだした。そして、このアリル基変性ノルボルネ
ン系重合体を用いると、架橋助剤を全く添加しないか、
あるいは僅かの添加量で充分に架橋反応が進み、耐熱
性、耐薬品性に優れ、かつ、誘電特性に優れた架橋物を
得ることができることを見いだした。本発明は、これら
の知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、芳香環含有ノルボルネン系重合体に少なくとも一つ
のアリル基を導入した重量平均分子量(Mw)が500
〜500,000のアリル基変性ノルボルネン系重合体
が提供される。また、本発明によれば、芳香環含有ノル
ボルネン系重合体を有機金属でメタル化する工程、次い
で、アリルハライドで置換反応してアリル基を導入する
工程を含むことを特徴とするアリル基変性ノルボルネン
系重合体の製造方法が提供される。さらに、本発明によ
れば、芳香環含有ノルボルネン系重合体に少なくとも一
つのアリル基を導入した重量平均分子量(Mw)が50
0〜500,000のアリル基変性ノルボルネン系重合
体を含んでなる架橋性樹脂材料が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】アリル基変性ノルボルネン系重合体 本発明のアリル基変性ノルボルネン系重合体は、芳香環
含有ノルボルネン系重合体に、変性反応によって、少な
くとも一つのアリル基を導入して得られるものである。
【0007】<芳香環含有ノルボルネン系重合体> (1)重合体及びモノマー 本発明に使用される芳香環含有ノルボルネン系重合体と
しては、ノルボルネン系重合体であって、分子内に少な
くとも一つの芳香環を有するものであれば格別な制限は
ないが、好ましくは芳香環含有モノマー単位を含有する
重合体が用いられる。芳香環含有モノマーとしては、例
えば、芳香環含有ノルボルネン系モノマー、芳香族ビニ
ル化合物などが挙げられ、これらの中でも、芳香環の含
有量とノルボルネン系モノマー単位の含有量を高める上
で、芳香環含有ノルボルネン系モノマーが好ましい。芳
香環含有モノマー単位を有する芳香環含有ノルボルネン
系重合体としては、例えば、芳香環含有ノルボルネン系
モノマーの開環重合体、芳香環含有ノルボルネン系モノ
マーと芳香環を含有しないノルボルネン系モノマーとの
開環共重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられ
る。
【0008】また、芳香環含有ノルボルネン系重合体と
して、(1)芳香環含有ノルボルネン系モノマーと芳香
族ビニル化合物との付加重合体、(2)芳香環含有ノル
ボルネン系モノマーと芳香環を含有しないノルボルネン
系モノマーと芳香族ビニル化合物との付加重合体、
(3)芳香環を含有しないノルボルネン系モノマーと芳
香族ビニル化合物との付加共重合体、(4)芳香環含有
ノルボルネン系モノマーと芳香族ビニル化合物以外のビ
ニル化合物(例、エチレン)との付加共重合体、(5)
芳香環含有ノルボルネン系モノマーの付加重合体、及び
(6)芳香族含有ノルボルネン系モノマーと芳香環を含
有しないノルボルネン系モノマーとの付加共重合体など
を使用することができる。
【0009】前記の水素添加物は、主鎖の炭素−炭素二
重結合については、99%以上の水素添加率まで水素添
加されてもよいが、芳香環の全てが水素添加されたもの
ではない。芳香環の水素添加率は、芳香環含有モノマー
の含有率に応じて適宜選択されるが、通常は90%以
下、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下
である。芳香環含有ノルボルネン系モノマーとしては、
格別な制限はなく、例えば、特開平5−97719号公
報、特開平7−41550号公報、及び特開平8−72
210号公報などに記載されているものを用いることが
できる。すなわち、芳香環含有モノマーとしては、代表
的には、下式(I)で表される化合物を使用することが
できる。
【0010】
【化1】 式(I)中、各記号の意味は、次のとおりである。 m:0、1または2である。 h:0、1または2である。 j:0、1または2である。 k:0、1または2である。 R1 〜R11:それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、
及びハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、エステル基
(例、アルキルエステル基)、シアノ基、アミド基、イ
ミド基、シリル基などの極性基よりなる群より選ばれる
原子または基、並びにこれらの極性基が置換した炭化水
素基を表す。 R12〜R20:それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、
及びハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、エステル基
(例、アルキルエステル基)、シアノ基、アミド基、イ
ミド基、シリル基などの極性基よりなる群より選ばれる
原子または基、並びにこれらの極性基が置換した炭化水
素基を表す。
【0011】式(I)において、R10及びR11が結合し
ている炭素原子と、R14が結合している炭素原子または
12が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原
子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよ
い。また、j=K=0の場合は、R16とR13またはR16
とR20は、互いに結合して単環または多環の芳香環を形
成してもよい。
【0012】ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子、及びヨウ素原子を挙げることができ
る。炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜2
0、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のアル
キル基、炭素原子数が2〜20、好ましくは2〜10、
より好ましくは2〜6のアルケニル基、炭素原子数が2
〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6の
アルキニル基、炭素原子数が2〜20、好ましくは2〜
10、より好ましくは2〜6のアルキリデン基、炭素原
子数3〜15、好ましくは3〜8、より好ましくは5〜
6のシクロアルキル基、及び炭素原子数6〜20、好ま
しくは6〜16、より好ましくは6〜10の芳香族炭化
水素基などを挙げることができる。極性基が置換した炭
化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜20、好ま
しくは1〜10、より好ましくは1〜6のハロゲン化ア
ルキル基を挙げることができる。
【0013】このような芳香環含有ノルボルネン系モノ
マーとしては、例えば、5−フェニル−ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン(5−フェニル−2−ノルボ
ルネン),5−メチル−5−フェニル−ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−ベンジル−ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリル−ビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エン〔5−(4−メチル
フェニル)−2−ノルボルネン〕、5−(エチルフェニ
ル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−
(イソプロピルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン、8−フェニル−テトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル
−8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−ベンジル−テトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−
トリル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、8−(エチルフェニル)−テトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8
−(イソプロピルフェニル)−テトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフェ
ニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、8−(ビフェニル)−テトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−
(β−ナフチル)−テトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−(α−ナフチ
ル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、8−(アントラセニル)−テトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、11
−フェニル−ヘキサシクロ[6.6.1.13,6
2,7.09,14]−4ヘプタデセン、6−(α−ナフチ
ル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5
−(アントラセニル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプ
ト−2−エン、5−(ビフェニル)−ビシクロ[2.
2.1]−ヘプト−2−エン、5−(β−ナフチル)−
ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5,6−
ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エ
ン、9−(2−ノルボルネン−5−イル)−カルバゾー
ルなどの芳香族置換基を有するノルボルネン系モノマ
ー;1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8
a,9a−オクタヒドロフルオレン類;1,4−メタノ
−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,
4−メタノ−8−メチル−1,4,4a,9a−テトラ
ヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−クロロ−1,
4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メ
タノ−8−ブロモ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ
フルオレン等の1,4−メタノ−1,4,4a,9a−
テトラヒドロフルオレン類、1,4−メタノ−1,4,
4a,9a−テトラヒドロジベンゾフラン類、1,4−
メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾー
ル、1,4−メタノ−9−フェニル−1,4,4a,9
a−テトラヒドロカルバゾール等の1,4−メタノ−
1,4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾール類、
1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘ
キサヒドロアントラセンなどの1,4−メタノ−1,
4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセ
ン類、7,10−メタノ−6b,7,10,10a−テ
トラヒドロフルオランセン類、(シクロペンタジエン−
アセナフチレン付加物)にシクロペンタジエンをさらに
付加した化合物、11,12−ベンゾ−ペンタシクロ
[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデ
セン、11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.6.
1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、1
4,15−ベンゾ−ヘプタシクロ[8.7.0.
2,9.14,7.111,17 .03,8 .012,16 ]−5−エ
イコセン、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物
などの多環体構造中にノルボルネン環構造と芳香族環構
造とを有する芳香環含有ノルボルネン系モノマー;など
を挙げることができる。
【0014】これらの芳香環含有ノルボルネン系モノマ
ーは、前記の具体例の化合物以外にも、アルキル、アル
キリデン、アルケニル置換誘導体、及びこれら置換また
は非置換の化合物のハロゲン、水酸基、エステル基
(例、アルキルエステル基)、アルコキシ基、シアノ
基、アミド基、イミド基、シリル基等の極性置換体であ
ってもよい。芳香族ビニル化合物としては、例えば、ス
チレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニル
ナフタレン等が挙げられる。
【0015】これらの芳香環含有モノマーは、それぞれ
単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることが
できる。芳香環含有ノルボルネン系重合体中の芳香環含
有モノマー単位の含有量(結合量)は、使用目的に応じ
て適宜選択されるが、通常、10重量%以上、好ましく
は20重量%以上、より好ましくは30重量%以上であ
る。芳香環含有モノマー単位を含むことにより、各種配
合剤の分散性が高度に改善される。芳香環を含有しない
その他のノルボルネン系モノマーとしては、例えば、特
開平2−227424号公報、特開平2−276842
号公報、及び特開平8−72210号公報などに開示さ
れている公知のモノマーを使用することができる。芳香
環を含有しないノルボルネン系モノマーは、代表的に
は、下式(II)で表される化合物である。
【0016】
【化2】 式(II)中、各記号の意味は、次のとおりである。 n:0または1である。 s:0または1である。 p:0または1〜4の整数である。 q:0または1である。 r:0または1である。 R1 〜R20:それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、
及びハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ
基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基等の極性
基よりなる群より選ばれる原子または基、並びにこれら
の極性基が置換した炭化水素基を表す。 Ra 〜Rd :それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、
及びハロゲン原子、水酸基、エステル基、アルコキシ
基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基等の極性
基よりなる群より選ばれる原子または基、並びにこれら
の極性基が置換した炭化水素基を表す。
【0017】式(II)において、R15〜R18は、互い
に結合して、不飽和結合、単環または多環を形成してい
てもよく、かつ、この単環または多環は二重結合を有し
ていてもよい。R15とR16とで、またはR17とR18とで
アルキリデン基を形成していてもよい。qまたはrが0
の場合には、それぞれの結合手が結合して5員環を形成
する。
【0018】ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子、及びヨウ素原子を挙げることができ
る。炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜2
0、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のアル
キル基、炭素原子数が2〜20、好ましくは2〜10、
より好ましくは2〜6のアルケニル基、炭素原子数が2
〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6の
アルキニル基、炭素原子数3〜15、好ましくは3〜
8、より好ましくは5〜6のシクロアルキル基、及び炭
素原子数6〜20、好ましくは6〜16、より好ましく
は6〜10の芳香族炭化水素基などを挙げることができ
る。アルキリデン基としては、例えば、メチリデン基、
エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基などの炭
素原子数が1〜6の低級アルキリデン基などを挙げるこ
とができる。極性基が置換した炭化水素基としては、例
えば、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10、より
好ましくは1〜6のハロゲン化アルキル基を挙げること
ができる。
【0019】芳香環を有しないノルボルネン系モノマー
の具体例としては、例えば、ノルボルネン、そのアルキ
ル、アルキリデン、及びこれら置換または非置換のノル
ボルネンのハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ
基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基等の極性
基置換体を挙げることができる。より具体的には、例え
ば、2−ノルボルネン〔すなわち、ビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン〕、5−メチル−2−ノルボルネ
ン、5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル
−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、
5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカル
ボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボル
ネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノル
ボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−オク
チル−2−ノルボルネン、5−オクタデシル−2−ノル
ボルネン等が挙げられる。
【0020】また、その他の具体例としては、ノルボル
ネンに一つ以上のシクロペンタジエンが付加したモノマ
ー、その上記と同様の誘導体や置換体、より具体的に
は、例えば、1,4:5,8−ジメタノ−1,2,3,
4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−2,3−シク
ロペンタジエノナフタレン、6−メチル−1,4:5,
8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−
オクタヒドロナフタレン、1,4:5,10:6,9−
トリメタノ−1,2,3,4,4a,5,5a,6,
9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−2,3−シク
ロペンタジエノアントラセン等;シクロペンタジエンの
多量体である多環構造の単量体、その上記と同様の誘導
体や置換体、より具体的には、ジシクロペンタジエン、
2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等;シクロペン
タジエンとテトラヒドロインデン等との付加物、その上
記と同様の誘導体や置換体、より具体的には、1,4−
メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オ
クタヒドロフルオレン、5,8−メタノ−1,2,3,
4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−2,3−シク
ロペンタジエノナフタレン等;などが挙げられる。
【0021】芳香環含有ノルボルネン系重合体中のノル
ボルネン系モノマー(芳香環含有及び/またはその他の
ノルボルネン系モノマー)単位の含有量(結合量)は、
使用目的に応じて適宜選択されるが、通常30重量%以
上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重
量%以上である。ノルボルネン系モノマーの含有量が過
度に少ないと、電気特性、耐熱性、耐ハンダ性、耐薬品
性、及び機械的強度などの特性が充分でなくなるおそれ
があり、好ましくない。
【0022】芳香族ビニル化合物以外のビニル化合物と
しては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、
1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテ
ン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペン
テン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘ
キセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジ
メチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3
−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、
1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、
1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜2
0のエチレンまたはα−オレフィン;シクロブテン、シ
クロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシク
ロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メ
チルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、
3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−
1H−インデンなどのシクロオレフィン;1,4−ヘキ
サジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メ
チル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンな
どの非共役ジエン;などが挙げられる。これらのビニル
系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み
合わせて使用することができる。
【0023】(2)重合方法 ノルボルネン系モノマーの開環重合体または開環共重合
体は、公知の重合方法により得ることができる。開環重
合触媒としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、
オスミウム、イリジウム、及び白金などから選ばれる金
属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合
物と、還元剤とからなる触媒;あるいは、チタン、バナ
ジウム、ジルコニウム、タングステン、及びモリブデン
から選ばれる金属のハロゲン化物またはアセチルアセト
ン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を
用いることができる。
【0024】上記触媒系に、第三成分を加えて、重合活
性や開環重合の選択性を高めることができる。具体例と
しては、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化
物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケ
トン、含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハロゲン化合
物、分子状ヨウ素、その他のルイス酸などが挙げられ
る。含窒素化合物としては、脂肪族または芳香族第三級
アミンが好ましく、具体例としては、トリエチルアミ
ン、ジメチルアニリン、トリ−n−ブチルアミン、ピリ
ジン、α−ピコリンなどが挙げられる。
【0025】開環(共)重合は、溶媒を用いなくても可
能であるが、不活性有機溶媒中でも実施することができ
る。溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシ
レンなどの芳香族炭化水素、n−ペンタン、ヘキサン、
ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサンなどの
脂環族炭化水素、スチレンジクロリド、ジクロルエタ
ン、ジクロルエチレン、テトラクロルエタン、クロルベ
ンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼンなどの
ハロゲン化炭化水素などが挙げられる。重合温度は、通
常−50℃〜100℃、好ましくは−30℃〜80℃、
より好ましくは−20℃〜60℃であり、重合圧力は、
通常、0〜50kg/cm2、好ましくは0〜20kg
/cm2である。
【0026】ノルボルネン系モノマーと芳香族ビニル化
合物及び/または芳香族ビニル化合物以外のビニル化合
物との付加共重合体を製造するには、公知の方法を採用
することができ、例えば、モノマー成分を炭化水素溶媒
中でまたは溶媒が存在しない条件下で、溶媒またはノル
ボルネン系モノマーに可溶のバナジウム化合物と有機ア
ルミニウム化合物、好ましくはハロゲン含有有機アルミ
ニウム化合物とからなる触媒の存在下で共重合させる方
法を挙げることができる。炭化水素触媒として、例え
ば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、灯油などの脂肪族
炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなど
の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなど
の芳香族炭化水素等が挙げられる。重合温度は、通常−
50℃〜100℃、好ましくは−30℃〜80℃、より
好ましくは−20℃〜60℃であり、重合圧力は、通
常、0〜50kg/cm2、好ましくは0〜20kg/
cm2である。
【0027】(3)水素化方法 芳香環含有ノルボルネン系重合体の水素化重合体(水素
添加物)は、常法に従って、開環重合体または開環共重
合体を水素添加触媒の存在下に、水素により水素化する
方法により得ることができる。水素添加触媒としては、
遷移金属化合物とアルキル金属化合物の組み合わせから
なる触媒、例えば、酢酸コバルト/トリエチルアルミニ
ウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチル
アルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチ
ウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウ
ム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム
等の組み合わせが挙げられる。
【0028】水素添加反応は、通常、不活性有機溶媒中
で実施する。有機溶媒としては、生成する水素添加物の
溶解性に優れていることから、炭化水素系溶媒が好まし
く、環状炭化水素系溶媒がより好ましい。このような炭
化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族
炭化水素;n−ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水
素、シクロヘキサン、デカリン等の脂環族炭化水素;テ
トラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテ
ル等のエーテル類;等が挙げられ、これらの2種以上を
混合して使用することもできる。通常は、重合反応溶媒
と同じでよく、重合反応液にそのまま水素添加触媒を添
加して反応させればよい。
【0029】本発明で使用する芳香環含有ノルボルネン
系重合体は、耐候性や耐光劣化性が高いことが好まし
く、そのために、開環(共)重合体は、主鎖構造中の不
飽和結合の通常95%以上、好ましくは98%以上、よ
り好ましくは99%以上は飽和していることが好まし
い。芳香環構造については、本発明の目的を達成するに
は、通常20%以上、好ましくは30%以上、好ましく
は40%以上が残存していることが望ましい。主鎖構造
中の不飽和結合と芳香環構造中の不飽和結合とは、1
−NMRによる分析により区別して認識することができ
る。主鎖構造中の不飽和結合を主として水素添加するに
は、−20℃〜120℃、好ましくは0〜100℃、よ
り好ましくは20〜80℃の温度で、0.1〜50kg
/cm2、好ましくは0.5〜30kg/cm2、より好
ましくは1〜20kg/cm2の水素圧力で水素添加反
応を行うことが望ましい。
【0030】<アリル基の導入法>本発明のアリル基変
性ノルボルネン系重合体は、上記芳香環含有ノルボルネ
ン系重合体にアリル基を導入して得ることができる。ア
リル基の導入方法としては、格別限定されるものではな
いが、例えば、芳香環含有ノルボルネン系重合体を有機
金属でメタル化する工程及びアリルハライドで置換反応
する工程を含んでなる方法によって行うことができる。
この方法により、芳香環を有するノルボルネン系重合体
(開環重合体、その水素添加物、及び付加重合体のいず
れでも)に容易にアリル基を導入することができる。
【0031】従来、ポリフェニレンエーテルを有機金属
でメタル化し、次いで、アリルハライドで置換反応する
ことにより、主鎖の芳香環のα位の炭素原子にアリル基
が導入されることが知られている(特開昭64−696
28号公報)。また、本発明において、芳香環を持たな
いノルボルネン系重合体には、同様な方法によりアリル
基が導入できないことから考えて、本発明においても、
アリル基は、芳香環のα位の炭素原子または芳香環に導
入されているものと思われる。
【0032】本発明の製造方法は、アリル基を有するノ
ルボルネン系重合体の開環重合体の水素添加物を製造す
るのに特に好適である。すなわち、アリル基含有ノルボ
ルネン系重合体の他の製造方法として、アリル基を持つ
ノルボルネン系モノマーを開環重合する方法がある。し
かしながら、この方法では、得られた開環重合体の耐熱
性や耐薬品性を向上させるために、主鎖に形成された炭
素−炭素二重結合を水素添加させる場合に、アリル基を
選択的に残存させるのは困難である。これに対して、本
発明の製造方法によれば、ノルボルネン系モノマーの開
環重合体を水素添加してから、得られた水素添加物にア
リル基を導入することができる。
【0033】有機金属としては、芳香環ノルボルネン系
重合体をメタル化できるものであれば格別な制限はない
が、通常は、有機アルカリ金属が用いられる。有機アル
カリ金属としては、例えば、メチルリチウム、n−ブチ
ルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチ
ウム、フェニルリチウムなどの有機リチウム化合物;ア
ルキルナトリウムなどの有機ナトリウム化合物などが挙
げられ、好ましくは有機リチウム化合物である。これら
の有機金属は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組
み合わせて用いることができる。有機金属化合物の使用
量は、目標のアリル基導入量に応じて適宜選択できる
が、芳香環含有ノルボルネン系重合体100重量部に対
して、通常0.01〜1000ミリモル、好ましくは
0.1〜500ミリモル、より好ましくは1〜250ミ
リモルの範囲である。
【0034】アリルハライドとしては、例えば、アリル
クロライド、アリルブロマイド、アリルアイオダイドな
どが挙げることができる。これらのアリルハライドは、
それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用い
ることができる。アリルハライドの使用量は、目標のア
リル基導入量に応じて適宜選択されるが、有機金属に対
して、通常、当量以上、好ましくは1〜5当量、より好
ましくは1〜2当量の範囲である。メタル化反応とそれ
に続くアリル化反応は、溶媒を加えて行うことができ
る。溶媒としては、例えば、1,4−ジオキサン、ジメ
トキシエタンなどのエーテル類;N,N,N′,N′−
テトラメチルエチレンジアミンなどの第3級アミン類の
共存下のシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレ
ンなどの炭化水素類等などを用いることができる。
【0035】反応温度及び反応時間については、特に制
限はないが、メタル化反応では、反応温度は、通常−7
8℃〜(系の沸点)の間〔低温で凝固をするものは、
(系の凝固点)〜(系の沸点)の間〕、好ましくは5℃
〜(系の沸点)の間であり、反応時間は、通常,30秒
〜24時間、好ましくは1分〜10時間の範囲である。
アリル化反応では、反応温度は、通常−78℃〜(系の
沸点)の間〔低温で凝固をするものは、(系の凝固点)
〜(系の沸点)の間〕、好ましくは5℃〜(系の沸点)
の間であり、反応時間は、通常,30秒〜24時間、好
ましくは1分〜10時間の範囲である。メタル化反応及
びアリル化反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲
気下で行うのが特に好ましい。
【0036】<アリル基変性ノルボルネン系重合体>本
発明のアリル基変性ノルボルネン系重合体は、重合体中
に少なくとも一つのアリル基が存在すれば、充分に改善
の効果は発揮できるが、下式(1) アリル基変性率=X/Y (1) X:アリル基全モル数 Y:ポリマーの総モノマー単位数(ポリマー重量/モノ
マーの平均分子量)で求められるアリル基変性率が、通
常0.1〜100モル%、好ましくは1〜50モル%、
より好ましくは5〜30モル%の範囲であることが望ま
しい。アリル基変性率がこの範囲である時に、架橋性が
良好でかつ架橋物の誘電特性、耐熱性及び耐薬品性の各
特性が高度にバランスされ好適である。
【0037】本発明のアリル基変性ノルボルネン系重合
体中の芳香環含有ノルボルネン系モノマー単位の含有量
は、通常10重量%以上、好ましくは20重量%以上、
より好ましくは30重量%以上である。アリル基変性ノ
ルボルネン系重合体中の芳香環含有ノルボルネン系モノ
マー単位の含有量を高めることにより、各種の樹脂、ゴ
ム質重合体、配合剤、及び溶剤との相溶性が向上し、組
成物とした時に好適である。
【0038】本発明のアリル基変性ノルボルネン系重合
体の分子量は、トルエンを溶媒とするゲル・パーミエー
ション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した
ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、あるい
はアリル基変性ノルボルネン系重合体がトルエンに溶解
しない場合は、シクロヘキサンを溶媒とするGPCによ
り測定したポリイソプレン換算の重量平均分子量(M
w)で、500〜500,000、好ましくは1,00
0〜200,000、より好ましくは2,000〜10
0,000の範囲である。アリル基変性ノルボルネン系
重合体の重量平均分子量(Mw)がこの範囲である時
に、機械的強度や成形加工性が高度にバランスされ好適
である。
【0039】本発明のアリル基変性ノルボルネン系重合
体の分子量分布は、上記条件のGPCにより測定される
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比
(Mw/Mn)が、通常4以下、好ましくは3以下、よ
り好ましくは2以下である時に、機械的強度が高く好適
である。本発明のアリル基変性ノルボルネン系重合体の
ガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択
されればよいが、通常50〜300℃、好ましくは10
0〜250℃、より好ましくは120〜200℃の範囲
が耐熱性や成形加工性が高度にバランスされ好適であ
る。
【0040】本発明のアリル基変性ノルボルネン系重合
体の幹ポリマーは、芳香環含有ノルボルネン系重合体で
あり、開環重合または付加重合などの重合形式や共重合
の有無などによって、その構造は変化する。代表的な幹
ポリマーとしては、以下のような重合体を挙げることが
できる。 (1)式(III)で表される繰り返し単位を有する開
環重合体またはその水素添加物。
【0041】
【化3】 〔式中、各符号の意味は、式(I)におけるのと同じで
ある。ただし、・・・・は、単結合または二重結合を表
す。〕 なお、式(III)中、主鎖の二重結合が水素添加され
ている場合には、側鎖に非共役二重結合がある場合、該
非共役二重結合も水素添加されているが、芳香環の二重
結合は、全部または少なくとも一部が残存している。 (2)式(III)で表される繰り返し単位と式(I
V)で表される繰り返し単位とを有する開環共重合体ま
たはその水素添加物。
【0042】
【化4】 〔式中、各符号の意味は、式(II)におけるのと同じ
である。ただし、・・・・は、単結合または二重結合を
表す。〕 なお、式(IV)中、主鎖の二重結合が水素添加されて
いる場合には、側鎖に非共役二重結合がある場合、該非
共役二重結合も水素添加されている。また、開環共重合
体中、式(III)で表される繰り返し単位の割合は、
通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より
好ましくは50重量%以上である。 (3)式(V)で表される繰り返し単位を有する付加重
合体。
【0043】
【化5】 〔式中、各符号の意味は、式(I)におけるのと同じで
ある。〕 (4)式(V)で表される繰り返し単位と式(VI)で
表される繰り返し単位とを有する付加共重合体。
【0044】
【化6】 〔式中、各符号の意味は、式(II)におけるのと同じ
である。〕 付加共重合体中、式(V)で表される繰り返し単位の割
合は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以
上、より好ましくは50重量%以上である。 (5)式(V)で表される繰り返し単位と式(VII)
で表される繰り返し単位とを有する付加共重合体。
【0045】
【化7】 〔式中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、
アルキル基、またはアリール基である。〕
【0046】なお、式(VII)の繰り返し単位は、エ
チレンなどのビニル化合物に由来する繰り返し単位であ
る。付加共重合体中、式(V)で表される繰り返し単位
の割合は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%
以上、より好ましくは50重量%以上である。本発明の
アリル基変性ノルボルネン系重合体は、上記の如き繰り
返し単位を有する重合体を幹ポリマーとし、アリル基
(−CH2−CH=CH2)が芳香環のα位の炭素原子、
芳香環などに導入されたものである。アリル基の変性率
は、アリル基のモル数/ポリマーの総モノマー単位数
(ポリマー重量/モノマーの平均分子量)で0.1〜1
00モル%の範囲である。
【0047】架橋性樹脂材料 本発明の架橋性樹脂材料は、上記アリル基変性ノルボル
ネン系重合体を有効樹脂成分とするものであることを特
徴とする。本発明の架橋性樹脂材料を架橋させる方法と
しては、格別な制限はなく、加熱や放射線照射によって
行うことができる。また、本発明の架橋性樹脂材料は、
架橋剤により架橋反応を行うことができる。特に、本発
明の架橋性樹脂材料は、架橋剤による架橋反応におい
て、架橋助剤の配合量を充分に低減しても架橋反応が進
むので、誘電正接等の電気特性を劣化させない。
【0048】(1)架橋剤 架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、有機過
酸化物や光架橋剤が用いられる。有機過酸化物として
は、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロ
ヘキサノンパ−オキシドなどのケトンパーオキシド類;
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール類;t−ブ
チルハイドロパーオキシド、2,5−ジメチルヘキサン
−2,5−ジハイドロパーオキシドなどのハイドロパー
オキシド類;ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、
α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロ
ピル)ベンゼンなどのジアルキルパーオキシド類:オク
タノイルパーオキシド、イソブチリルパーオキシドなど
のジアシルパーオキシド類;パーオキシジカーボネート
などのパーオキシエステル類;が挙げられる。これらの
中でも、架橋後の樹脂の性能から、ジアルキルパーオキ
シドが好ましく、アルキル基の種類は、成形温度によっ
て変えるのがよい。
【0049】光架橋剤としては、例えば、ベンゾインエ
チルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベン
ゾインアルキルエーテル系化合物;ベンゾフェノン、メ
チルオルソベンゾイルベンゾエート、4,4′−ジクロ
ロベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ジベン
ジル、ベンジルメチルケタール等のベンジル系化合物;
2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−
ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1,1−ジ
クロロアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェ
ノン、4′−フェノキシ−2,2−ジクロロアセトフェ
ノン等のアセトフェノン系化合物;2−クロロチオキサ
ントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピル
チオキサントン等のチオキサントン系化合物;2−エチ
ルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、ナフト
キノン等のアントラキノン系化合物;2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオフェノン、4′−ドデシル−2−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフ
ェノン系化合物;オクテン酸コバルト、ナフテン酸コバ
ルト、オクテン酸マンガン、ナフテン酸マンガン等の有
機酸金属塩;等の光架橋剤を挙げることができる。
【0050】これらの架橋剤は、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋
剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択されればよい
が、アリル基変性ノルボルネン系重合体100重量部に
対して、通常、0.001〜30重量部、好ましくは
0.001〜15重量部、より好ましくは0.1〜10
重量部、最も好ましくは0.5〜5重量部の範囲であ
る。架橋剤の配合量がこの範囲にあるときに、架橋性及
び架橋物の電気特性、耐薬品性、耐熱性などの特性が高
度にバランスされ好適である。
【0051】(2)架橋助剤 本発明において、架橋助剤は、誘電正接を著しく悪化さ
ない範囲で適宜使用することができる。架橋助剤として
は、特に限定されるものではないが、特開昭62−34
924号公報等で公知のものでよく、例えば、キノンジ
オキシム、ベンゾキノンジオキシム、p−ニトロソフェ
ノール等のオキシム・ニトロソ系架橋助剤;N,N−m
−フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系架橋助
剤;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、ト
リアリルイソシアヌレート等のアリル系架橋助剤;エチ
レングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロ
パントリメタクリレート等のメタクリレート系架橋助
剤;ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニル
ベンゼンなどのビニル系架橋助剤;等が例示される。こ
れらの中でも、アリル系架橋助剤、メタクリレート系架
橋助剤が、均一に分散させやすく好ましい。
【0052】これらの架橋助剤は、それぞれ単独で、あ
るいは2種以上組み合わせて用いることができる。その
配合量は、架橋剤の種類により適宜選択されるが、架橋
剤1重量部に対して、通常、0.1〜10重量部、好ま
しくは0.2〜5重量部である。本発明の架橋性材料
は、架橋剤及び架橋助剤以外に、所望により、難燃剤、
その他の配合剤、及び溶剤などを配合することができ
る。
【0053】(3)難燃剤 難燃剤としては、特に制約はないが、架橋剤によって分
解、変性、変質しないものが好ましく、通常はハロゲン
系難燃剤を用いられる。ハロゲン系難燃剤としては、塩
素系及び臭素系の種々の難燃剤が使用可能であるが、難
燃化効果、成形時の耐熱性、樹脂への分散性、樹脂の物
性への影響等の面から、例えば、ヘキサブロモベンゼ
ン、ペンタブロモエチルベンゼン、ヘキサブロモビフェ
ニル、デカブロモジフェニル、ヘキサブロモジフェニル
オキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、デカ
ブロモジフェニルオキサイド、ペンタブロモシクロヘキ
サン、テトラブロモビスフェノールA、及びその誘導体
[例えば、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ヒド
ロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノール
A−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テト
ラブロモビスフェノールA−ビス(ブロモエチルエーテ
ル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエ
ーテル)等]、テトラブロモビスフェノールS、及びそ
の誘導体[例えば、テトラブロモビスフェノールS−ビ
ス(ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフ
ェノールS−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテ
ル)等]、テトラブロモ無水フタル酸、及びその誘導体
[例えば、テトラブロモフタルイミド、エチレンビステ
トラブロモフタルイミド等]、エチレンビス(5,6−
ジブロモノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミ
ド)、トリス−(2,3−ジブロモプロピル−1)−イ
ソシアヌレート、ヘキサクロロシクロペンタジエンのデ
ィールス・アルダー反応の付加物、トリブロモフェニル
グリシジルエーテル、トリブロモフェニルアクリレー
ト、エチレンビストリブロモフェニルエーテル、エチレ
ンビスペンタブロモフェニルエーテル、テトラデカブロ
モジフェノキシベンゼン、臭素化ポリスチレン、臭素化
ポリフェニレンオキサイド、臭素化エポキシ樹脂、臭素
化ポリカーボネート、ポリペンタブロモベンジルアクリ
レート、オクタブロモナフタレン、ヘキサブロモシクロ
ドデカン、ビス(トリブロモフェニル)フマルアミド、
N−メチルヘキサブロモジフェニルアミン、ハロゲン化
ビスフェノール型エポキシ化合物等を使用するのが好ま
しい。
【0054】これらの難燃剤は、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて用いることができる。難燃
剤の配合量は、アリル基変性ノルボルネン系重合体10
0重量部に対して、通常3〜150重量部、好ましくは
10〜140重量部、特に好ましくは15〜120重量
部である。難燃剤の難燃化効果をより有効に発揮させる
ための難燃助剤として、例えば、三酸化アンチモン、五
酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、三塩化アン
チモン等のアンチモン系難燃助剤を用いることができ
る。これらの難燃助剤は、難燃剤100重量部に対し
て、通常1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部の
割合で使用する。
【0055】(4)その他の配合剤 その他の配合剤としては、例えば、天然ゴム、ポリイソ
プレンゴム及びその水素添加物、ポリブタジエンゴム及
びその水素添加物、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴ
ム及びその水素添加物、スチレン−ブタジエンランダム
共重合体ゴム及びその水素添加物、スチレン−イソプレ
ンランダム共重合体及びその水素添加物、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体ゴム及びその水素添加物、ス
チレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム及びその水素
添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体及びそ
の水素添加物、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エ
チレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチ
レン−ブテン共重合体ゴム、プロピレン−ブテン共重合
体ゴムなどのエラストマー;熱可塑性ノルボルネン系樹
脂、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状
低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、超低密度ポリエ
チレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリフェニ
レンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリカーボネート、セルローストリ
アセテートなどの熱可塑性樹脂;テトラキス[メチレン
−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]メタン、β−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキ
ルエステル、2,2′−オキザミドビス[エチル−3
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、トリスノニルフェニルホスファイ
ト、トリス(2,4−ジ−t−ブリルフェニル)ホスフ
ァイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホ
スファイト等の安定剤;アルキルスルホン酸ナトリウム
塩及び/またはアルキルスルホン酸ホスホニウム塩など
やステアリン酸のグリセリンエステル等の脂肪酸エステ
ルヒドロキシアミン系化合物等の帯電防止剤;スリップ
剤;アンチブロッキング剤;ステアリン酸亜鉛、ステア
リン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カル
シウム等の脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレー
ト、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレ
ート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタ
エリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトール
トリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステル;
合成ハイドロタルサイト;防曇剤;滑剤;染料;顔料;
天然油;合成油;ワックス;シリカ、ケイ藻土、アルミ
ナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バル
ーン、塩基性炭酸マグネシウム、ドワマイト、硫酸カル
シウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カル
シウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス
繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウ
ム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、
アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケ
イ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポ
リエステル繊維、ポリアミド繊維など有機または無機の
充填剤;シランカップリング剤、チタネートカップリン
グ剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネ
ートカップリング剤等のカップリング剤;可塑剤;顔料
や染料などの着色剤;などの各種配合剤を適量添加する
ことができる。これらのその他配合剤は、それぞれ単独
で、あるいは2種以上を組み合わせて配合することがで
きる。配合割合は、それぞれの機能及び使用目的に応じ
て適宜定めることができるが、少ないほど好ましい。
【0056】(5)溶媒 本発明においては、アリル基変性ノルボルネン系重合体
を溶媒に溶解させて、プリプレグ用の含浸用溶液を調製
したり、溶液流延法によりシート(フィルム)を製造す
ることができる。このように、溶媒を用いてアリル基含
有ノルボルネン系重合体を溶解させる場合には、例え
ば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族
炭化水素、n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂
肪族炭化水素、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、
クロロベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼ
ンなどのハロゲン化炭化水素などを挙げることができ
る。これらの溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以
上組み合わせて用いることができ、その使用量は、芳香
環含有ノルボルネン系重合体、及び必要に応じて配合す
る各成分を均一に溶解ないしは分散するに足りる量比で
範囲である。
【0057】成形体、プリプレグ、積層体など 本発明においては、上記架橋性樹脂材料を成形した後、
架橋させて架橋性成形体を得ることができる。架橋性樹
脂材料を成形する方法は、成形途中での架橋により成形
性の悪化が起こらないように、溶媒に溶解して成形する
か、架橋しない温度、または架橋速度が充分に遅い速度
で溶融して成形する。具体的には、溶媒に溶解した架橋
性材料を流延して溶媒を除去して、シート状(シートま
たはフィルム)に成形するか、基材に含浸させて成形す
る。
【0058】(1)プリプレグ 架橋性成形体の具体例の一つであるプリプレグは、トル
エン、シクロヘキサン、キシレン等の溶媒中にアリル基
変性ノルボルネン系重合体及び各種配合剤を均一に溶解
ないしは分散させ、次いで、補強基材を含浸させた後、
乾燥させて溶媒を除去して製造される。一般に、プリプ
レグは、50〜500μm程度の厚さになるようにする
ことが好ましい。溶媒としては、前記の如きものを使用
することができる。溶媒の使用量は、固形分濃度が通常
1〜90重量%、好ましくは5〜85重量%、より好ま
しくは10〜80重量%、最も好ましくは20〜80重
量%になるように調整される。
【0059】補強基材としては、例えば、紙基材(リン
ター紙、クラフト紙など)、ガラス基材(ガラスクロ
ス、ガラスマット、ガラスペーパークオーツファイバー
など)及び合成樹脂繊維基材(ポリエステル繊維、アラ
ミド繊維など)を用いることができる。これらの補強基
材は、シランカップリング剤などの処理剤で表面処理さ
れていてもよい。これらの補強基材は、それぞれ単独
で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。補強基材に対するアリル基含有ノルボルネン系重合
体の量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、補強基
材に対して1〜90重量%、好ましくは10〜60重量
%の範囲である。
【0060】(2)シート 架橋性成形体の具体例の一つであるシートを製造する方
法は、特に限定されないが、一般には、溶媒キャスティ
ング法が用いられる。例えば、トルエン、キシレン、シ
クロヘキサン等の溶媒中に、本発明の架橋性樹脂材料を
固形分濃度5〜50重量%程度になるように溶解、分散
させ、平滑面上に流延または塗布し、乾燥等により溶剤
を除去し、平滑面から剥離してシートを得る。乾燥によ
り溶媒を除去する場合は、急速な乾燥により発泡するこ
とのない方法を選択することが好ましく、例えば、低温
である程度溶媒を揮発させた後、温度を上げて溶媒を充
分に揮発させるようにすればよい。
【0061】平滑面としては、鏡面処理した金属板や樹
脂製のキャリアフィルム等を用いることができる。樹脂
製のキャリアフィルムを用いる場合、キャリアフィルム
の素材の耐溶剤性、耐熱性に注意して、用いる溶媒や乾
燥条件を決める。キャスティング法により得られるシー
トは、一般に10μm〜1mm程度の厚みを有する。こ
れらのシートは、架橋することにより、層間絶縁膜、防
湿層形質用フィルム等として用いることができる。ま
た、次に記載する積層体の製造に用いることもできる。
【0062】(3)積層体 架橋成形品の具体例の一つである積層板などの積層体
は、前述のプリプレグ及び/または未架橋のシートを積
み重ね、加熱圧縮成形して架橋・熱融着させることによ
り、必要な厚さにしたものである。積層板を回路基板と
して用いる場合には、例えば、金属箔等からなる配線用
導電層を積層したり、表面のエッチング処理等により回
路を形成する。配線用導電層は、完成品である積層板の
外部表面に積層するのみでなく、使用目的によっては、
積層板の内部に積層されていてもよい。エッチング処理
等の二次加工時の反り防止のためには、上下対象に組み
合わせて積層することが好ましい。例えば、重ねたプリ
プレグ及び/またはシートの表面を、用いた変性ノルボ
ルネン系樹脂に応じた熱融着温度以上、通常150〜3
00℃程度に加熱し、30〜80kgf/cm2 程度に
加圧して、各層の間に架橋・熱融着させて積層板を得
る。これらの絶縁層または基材に金属を適用する他の方
法は、蒸着、電気メッキ、スパッター、イオンメッカ、
噴霧及びレヤーリングである。一般に使用される金属
は、銅、ニッケル、錫、銀、金、アルミニウム、白金、
チタン、亜鉛及びクロムなどが挙げられる。配線基板に
おいては、銅が最も頻繁に使用されている。
【0063】(4)架橋 本発明においては、架橋性成形体を単独で、または積層
して、一定温度以上に加熱して架橋させて架橋成形体を
得ることができる。架橋反応を生じさせる温度は、主と
して架橋剤と架橋助剤の組み合せによって決められる
が、通常、80〜350℃、好ましくは120℃〜30
0℃、より好ましくは150〜250℃の温度に加熱す
ることにより架橋する。また、架橋時間は、有機過酸化
物を使用する場合には、その半減期の4倍程度にするの
が好ましく、通常、5〜120分、好ましくは10〜9
0分、さらに好ましくは20〜60分である。架橋剤と
して光架橋剤を用いた場合には、光照射により架橋させ
ることができる。架橋性成形体を積層して架橋する場
合、各層の間で熱融着・架橋が起こり、一体の架橋成形
品が得られる。
【0064】
【実施例】以下に、合成例、実施例、及び比較例を挙げ
て、本発明をより具体的に説明する。諸物性の測定法
は、次のとおりである。 (1)ガラス転移温度 ガラス転移温度は、示差走査熱量(DSC)法により測
定した。 (2)分子量 分子量は、特に記載しない限り、トルエンを溶媒とする
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GP
C)によるポリスチレン換算値として測定した。 (3)水素添加率 主鎖の水素添加率は1H−NMRにより測定した。 (4)アリル基含有量 アリル基含有量は、1H−NMRにより測定し、前式
(1)により算出した。 (5)誘電率及び誘電正接 1MHzにおける誘電率、誘電正接は、JIS C 6
481に準じて測定した。 (6)耐トルエン性 耐トルエン性は、積層フィルムを25mm角に切り出
し、トルエン中で5分間煮沸した後、外観の変化を目視
により観察し、以下の基準で評価した。 ○:外観に変化がない、 ×:一部溶解している。 (7)耐ハンダ性 耐ハンダ性は、積層フィルムを25mm角に切り出し、
260℃のハンダ浴中に120秒間浮かべた後、外観の
変化を目視により観察し、以下の基準で評価した。 ○:外観に変化がない、 ×:変形している。
【0065】[実施例1〜3]窒素で置換した1リット
ルのフラスコに、1,4−メタノ−1,4,4a,9a
−テトラヒドロフルオレン(以下、MTFと略す)5g
とトルエン120gを加え、重合触媒として、トリイソ
ブチルアルミニウム0.287mmolとイソブチルア
ルコール0.287mmol、分子量調整剤として1−
ヘキセン2.30mmolを添加した。ここに、六塩化
タングステン0.057mmolを添加し、40℃で5
分間撹拌した。その後、MTF45gと六塩化タングス
テン0.086mmolを約30分間で連続的に系内に
滴下し、滴下終了後、さらに30分間撹拌して重合を終
了した。この重合反応液を1リットルのオートクレーブ
に移し、トルエン160gを加え、ニッケルアセチルア
セトナート0.5gとトリイソブチルアルミニウムの3
0重量%トルエン溶液5.15gを混合したものを加
え、反応器内を水素置換した後、撹拌しながら80℃に
昇温した。温度が安定した所で水素圧力を30kg/c
2に昇圧し反応過程で消費される水素を補充しながら
3時間反応させた。次いで、4.2gの水と、活性アル
ミナ(表面積320cm2/g、細孔容量0.8cm3
g、平均粒径15μm、水澤化学製、ネオビードD粉
末)を2.5gを加え、80℃にて1時間撹拌した後、
固形分をろ過して除去した水素添加反応液を、3リット
ルのイソプロピルアルコール中に注いで析出させ、ろ別
して回収した。回収した樹脂を100℃、1Torr以
下で48時間乾燥させた。得られたポリマー20gをテ
トラヒドロフラン200mlに溶解させ、n−ブチルリ
チウム(1.54モル/リットル、ヘキサン溶液)35
ml、70ml、及び150mlを加え、窒素雰囲気
下、加熱還流下で1時間反応させた。室温まで冷却した
後に、アリルブロマイドをそれぞれ1.4g、2.7
g、及び5.6gを添加し、室温のまま30分間撹拌し
た。反応液を上記と同様にして凝固、乾燥し、変性率の
異なる3種のアリル基変性ポリマー(A、B、C)を得
た。それぞれの物性を表1に示した。
【0066】[実施例4〜6]MTFを、5−フェニル
−2−ノルボルネン(以下、PNBと略す)50重量%
とテトラシクロドデセン(以下、TCDと略す)50重
量%の混合モノマーにかえる以外は、実施例1〜3と同
様にして、変性率の異なる3種のアリル基変性ポリマー
(D、E、F)を合成した。それぞれの物性を表1に示
した。
【0067】[実施例7〜9]窒素で置換した1リット
ルの重合器に、MTFのシクロヘキサン溶液、触媒とし
てVO(OC25)Cl2のシクロヘキサン溶液、及び
エチルアルミニウムセスキクロライド〔Al(C25
1.5Cl1.5〕のシクロヘキサン溶液を重合器内での濃度
がそれぞれ55g/リットル、0.5mmol/l、
4.0mmol/リットルとなるように供給し、これに
エチレンを14リットル/Hr、水素を0.5リットル
/Hrで供給し、系内を10℃に制御した。一方、重合
器上部から連続的にフラスコ内の重合液の全量が1リッ
トルとなり、平均滞留時間が0.5時間となるように抜
き出した。抜き出した重合液にイソプロピルアルコール
を少量添加して重合を停止し、その後、水1リットルに
対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と重合液を1対1
の割合でホモジナイザーを用いて強撹拌下で接触させ、
触媒残渣を水相へ移行させた。上記混合液を静置し、水
相を除去後さらに蒸留水で2回水洗を行い、重合液を精
製分離した。この重合液を3リットルのアセトン中に注
いで析出させ、ろ別して回収した。回収した樹脂を10
0℃、1Torr以下で48時間乾燥させた。得られた
ポリマーを、実施例1〜3と同様にしてアリル基変性
し、変性率の異なる3種のアリル基変性ポリマー(G、
H、I)を得た。それぞれの物性を表1に示した。
【0068】[比較例1]MTFをエチルテトラシクロ
ドデセン(以下、ETDと略す)にかえる以外は、実施
例3と同様にして水素化開環重合体を合成し、アリル基
変性を試みたが、アリル基は検出されなかった(ポリマ
ーJ)。合成結果を表1に示した。
【0069】[比較例2]MTFをTCDにかえる以外
は、実施例9と同様にして付加型重合体を合成し、アリ
ル基変性を試みたが、アリル基は検出されなかった(ポ
リマーK)。合成結果を表1に示した。
【0070】
【表1】 (*1)共重合割合は、モル%である。
【0071】[実施例10〜18]実施例1〜9で得ら
れたアリル基変性ノルボルネン系ポリマー(A〜K)
を、それぞれ各種の添加剤と表2に示した配合比でトル
エンに溶解させ、ガラス板上に流延して厚さ約100μ
mのフィルムとした後、ガラス板上に固定して150℃
のエアーオーブン中で1時間熱処理した。このフィルム
を20枚積層し、200℃の真空プレスに挟んで成形、
熱処理を行った。得られた厚さ2mmのシートの特性を
表2に示した。
【0072】[比較例3〜6]比較例1及び2で得られ
たポリマー(J,K)を、それぞれ各種の添加剤と表2
に示した配合比でトルエンに溶解させ、実施例と同様に
シート化し、物性を測定した。測定結果を表2に示し
た。
【0073】
【表2】
【0074】[実施例19〜21] [重合]米国特許第5,468,819号に記載されて
いる公知の方法によって、2−ノルボルネン(NB)と
5−フェニル−2−ノルボルネン(PNB)の付加共重
合体(ポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)=6
6,400、重量平均分子量(Mw)=140,10
0、モノマー組成比NB/PNB=45/55(モル
比)、Tg=265℃)を得た。 [アリル基変性]得られたノルボルネン系付加共重合体
を実施例1〜3と同様にしてアリル基変性し、変性率の
異なる3種類のアリル基変性ポリマーを得た。それぞれ
の物性を表3に示した。なお、表中のポリマーの部数
は、100重量部である。
【0075】
【表3】
【0076】[実施例22〜24] [重合]特開平4−45113号公報に記載の公知の方
法により、NB/スチレン(St)共重合体(ポリスチ
レン換算で数平均分子量(Mn)=14,200、重量
平均分子量(Mw)=38,600、共重合組成比はN
B/St=54/46(モル比)、Tg=264℃)を
得た。 [アリル基変性]得られたノルボルネン系付加共重合体
を実施例1〜3と同様にしてアリル基変性し、変性率の
異なる3種類のアリル基変性ポリマーを得た。それぞれ
の物性を表4に示した。なお、表中のポリマーの部数
は、100重量部である。
【0077】
【表4】
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、誘電特性、耐熱性、耐
薬品性に優れるアリル基変性ノルボルネン系重合体及び
その製造方法が提供される。本発明の製造方法によれ
ば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加を
行った後に、アリル基を導入することができる。本発明
のアリル基変性ノルボルネン系重合体を含有する架橋性
樹脂材料は、ハンダ耐熱性、誘電特性、耐薬品性などに
優れた積層体を与えることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香環含有ノルボルネン系重合体に少な
    くとも一つのアリル基を導入した重量平均分子量(M
    w)が500〜500,000のアリル基変性ノルボル
    ネン系重合体。
  2. 【請求項2】 アリル基の変性率が、アリル基のモル数
    /ポリマーの総モノマー単位数(ポリマー重量/モノマ
    ーの平均分子量)で0.1〜100モル%の範囲である
    請求項1記載のアリル基変性ノルボルネン系重合体。
  3. 【請求項3】 芳香環含有ノルボルネン系重合体を有機
    金属でメタル化する工程、次いで、アリルハライドで置
    換反応してアリル基を導入する工程を含むことを特徴と
    するアリル基変性ノルボルネン系重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 芳香環含有ノルボルネン系重合体に少な
    くとも一つのアリル基を導入した重量平均分子量(M
    w)が500〜500,000のアリル基変性ノルボル
    ネン系重合体を含んでなる架橋性樹脂材料。
JP27933497A 1996-09-30 1997-09-29 アリル基変性ノルボルネン系重合体及びその製造方法 Pending JPH10152523A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013513705A (ja) * 2009-12-11 2013-04-22 プロメラス, エルエルシー 第四アンモニウム官能基を有するノルボルネン型ポリマー
WO2022181561A1 (ja) * 2021-02-26 2022-09-01 日本ゼオン株式会社 樹脂組成物

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