JPH10140998A - 地山の安定化方法 - Google Patents
地山の安定化方法Info
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- JPH10140998A JPH10140998A JP31699596A JP31699596A JPH10140998A JP H10140998 A JPH10140998 A JP H10140998A JP 31699596 A JP31699596 A JP 31699596A JP 31699596 A JP31699596 A JP 31699596A JP H10140998 A JPH10140998 A JP H10140998A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 作業が簡単になされ、安価に、しかも、地山
を損傷させることなく地山を確実に安定させること。 【解決手段】 地山にボアホール12を削岩機により穿
孔する。プレート10が装着されたパイプ状のロックボ
ルト2をボアホール12に挿入し、弾性膨張体4をロッ
クボルト2の先端に挿入する。弾性膨張体4を加圧し、
ロックボルト2の内面に圧力を加える。ロックボルト2
の破断用凹部6の高い応力がロックボルト2の引張り強
さに達すると、破断用凹部6から破断し、塑性変形が生
じて、加圧前の外周径よりも大きな径となる。破断させ
た後、弾性膨張体4を破断時の圧力よりも低い圧力で再
度加圧し、ロックボルト2の外周面をボアホール12の
孔壁1202の凹凸に対応した形状で孔壁1202に密
着させる。
を損傷させることなく地山を確実に安定させること。 【解決手段】 地山にボアホール12を削岩機により穿
孔する。プレート10が装着されたパイプ状のロックボ
ルト2をボアホール12に挿入し、弾性膨張体4をロッ
クボルト2の先端に挿入する。弾性膨張体4を加圧し、
ロックボルト2の内面に圧力を加える。ロックボルト2
の破断用凹部6の高い応力がロックボルト2の引張り強
さに達すると、破断用凹部6から破断し、塑性変形が生
じて、加圧前の外周径よりも大きな径となる。破断させ
た後、弾性膨張体4を破断時の圧力よりも低い圧力で再
度加圧し、ロックボルト2の外周面をボアホール12の
孔壁1202の凹凸に対応した形状で孔壁1202に密
着させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はトンネル工事や斜面
掘削工事において、地山の崩壊を防いで地山を安定化さ
せる方法に関する。
掘削工事において、地山の崩壊を防いで地山を安定化さ
せる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、トンネル工事において、その掘
削面の崩壊を防ぐため、掘削面に多数の孔(ボアホー
ル)を穿孔し、各孔にそれぞれロックボルトを打ち込む
ことが行なわれている。この種のロックボルトとして、
従来、定着型、摩擦抵抗型、膨張型の三つの種類が公知
である。 (1)定着型:現在、最も多く使われているロックボル
トで、全面定着型のタイプであり、穿孔した孔(ボアホ
ール)にモルタルを充填し、その中に異形鋼棒を挿入し
て、異形鋼棒の外周のモルタルが硬化することにより、
孔壁と異形鋼棒が付着して地山と結合することにより、
地山を安定化する。 (2)摩擦抵抗型:特公昭57−19280号で公知の
ように、ボアホールの孔径より少し大きな円環状で、そ
の全長にわたりスリットを設けた中空のロックボルト
を、その口元を打撃によりボアホールに圧入し、ボルト
を円周状に圧縮して、ボルトの圧縮に対する回復力によ
り、ボアホールの孔壁とボルト外周面の摩擦係合により
地山を安定化する。 (3)膨張型:特公昭2−520号で公知のように、環
状に閉じた中空の管形状のロックボルトで、ロックボル
トに、その半径方向内方への外力を加えてロックボルト
の断面をボアホールの孔径よりも小さくしておき、この
形状のロックボルトをボアホールに挿入し、内圧を加え
ることによりロックボルトを孔壁一杯に膨張させ、この
広がったロックボルトのバネ効果により、膨張した状態
が保持され、ロックボルトに圧縮力が作用し、挿入した
孔壁との摩擦抵抗により地山を安定化する。
削面の崩壊を防ぐため、掘削面に多数の孔(ボアホー
ル)を穿孔し、各孔にそれぞれロックボルトを打ち込む
ことが行なわれている。この種のロックボルトとして、
従来、定着型、摩擦抵抗型、膨張型の三つの種類が公知
である。 (1)定着型:現在、最も多く使われているロックボル
トで、全面定着型のタイプであり、穿孔した孔(ボアホ
ール)にモルタルを充填し、その中に異形鋼棒を挿入し
て、異形鋼棒の外周のモルタルが硬化することにより、
孔壁と異形鋼棒が付着して地山と結合することにより、
地山を安定化する。 (2)摩擦抵抗型:特公昭57−19280号で公知の
ように、ボアホールの孔径より少し大きな円環状で、そ
の全長にわたりスリットを設けた中空のロックボルト
を、その口元を打撃によりボアホールに圧入し、ボルト
を円周状に圧縮して、ボルトの圧縮に対する回復力によ
り、ボアホールの孔壁とボルト外周面の摩擦係合により
地山を安定化する。 (3)膨張型:特公昭2−520号で公知のように、環
状に閉じた中空の管形状のロックボルトで、ロックボル
トに、その半径方向内方への外力を加えてロックボルト
の断面をボアホールの孔径よりも小さくしておき、この
形状のロックボルトをボアホールに挿入し、内圧を加え
ることによりロックボルトを孔壁一杯に膨張させ、この
広がったロックボルトのバネ効果により、膨張した状態
が保持され、ロックボルトに圧縮力が作用し、挿入した
孔壁との摩擦抵抗により地山を安定化する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述の従
来のロックボルトでは次のような不具合があった。
(1)の定着型タイプでは、モルタルが効果するまでの
養生期間が3日程度必要となるため、補強効果が発揮さ
れるまで長時間を要した。また、湧水箇所ではモルタル
が流出して、施工不可となる。(2)の摩擦抵抗型のタ
イプでは、ボルト外径と孔径のクリアランスが摩擦抵抗
力に大きく影響し、2mm以上のクリアランスがあると
規定の引抜き力10tonを下回ることが多い。一方、
クリアランスが小さいと大きな打撃力が必要となり、施
工時間が増え、また、打撃するために使う削岩機の損傷
も激しくなる。(3)の膨張型のタイプでは、ロックボ
ルトを膨張させるために約300kgf/cm2 以上の
大きな内圧を必要とする。このため、孔周辺が脆弱な地
山では、この圧力により崩壊することがあり、地山の損
傷を招く。また、約300kgf/cm2 以上の内圧に
よりロックボルトを広げるため、伸長性の高い特殊鋼材
を使用する必要があり、ボルトの価格が(1)のタイプ
の2倍以上と高価となる。さらに、管形状のボルト両端
を閉塞し、かつ端部の膨張を阻止するために補強スリー
ブを圧入し、溶接で接合しているため、通常の作業現場
にてボルト長さを変更できない。本発明は前記事情に鑑
み案出されたものであって、本発明の目的は、作業が簡
単になされ、安価に、しかも、地山を損傷させることな
く地山を確実に安定させることができる地山の安定化方
法を提供することにある。
来のロックボルトでは次のような不具合があった。
(1)の定着型タイプでは、モルタルが効果するまでの
養生期間が3日程度必要となるため、補強効果が発揮さ
れるまで長時間を要した。また、湧水箇所ではモルタル
が流出して、施工不可となる。(2)の摩擦抵抗型のタ
イプでは、ボルト外径と孔径のクリアランスが摩擦抵抗
力に大きく影響し、2mm以上のクリアランスがあると
規定の引抜き力10tonを下回ることが多い。一方、
クリアランスが小さいと大きな打撃力が必要となり、施
工時間が増え、また、打撃するために使う削岩機の損傷
も激しくなる。(3)の膨張型のタイプでは、ロックボ
ルトを膨張させるために約300kgf/cm2 以上の
大きな内圧を必要とする。このため、孔周辺が脆弱な地
山では、この圧力により崩壊することがあり、地山の損
傷を招く。また、約300kgf/cm2 以上の内圧に
よりロックボルトを広げるため、伸長性の高い特殊鋼材
を使用する必要があり、ボルトの価格が(1)のタイプ
の2倍以上と高価となる。さらに、管形状のボルト両端
を閉塞し、かつ端部の膨張を阻止するために補強スリー
ブを圧入し、溶接で接合しているため、通常の作業現場
にてボルト長さを変更できない。本発明は前記事情に鑑
み案出されたものであって、本発明の目的は、作業が簡
単になされ、安価に、しかも、地山を損傷させることな
く地山を確実に安定させることができる地山の安定化方
法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明は、地山に孔を穿孔し、この孔にロックボルトを
埋め込むことで地山を安定化させる方法であって、前記
ロックボルトを中空パイプ状に形成すると共に、ロック
ボルトの周面に該ロックボルトの長手方向に延在する破
断用凹部を形成し、前記孔にロックボルトを挿入すると
共に、このロックボルトの内部に弾性膨張体を挿入し、
前記弾性膨張体の内部を加圧して該弾性膨張体を膨張さ
せることで前記ロックボルトを拡径させ、前記破断用凹
部から破断させて前記孔に定着するようにしたことを特
徴とする。また、本発明は、前記ロックボルトが肉厚が
薄い中空パイプ状に形成され、ロックボルトが破断用凹
部から破断された後、弾性膨張体の加圧を停止して弾性
膨張体内の圧力を下げ、前記孔への定着は、前記破断時
の圧力よりも低い圧力で弾性膨張体を再度加圧し、ロッ
クボルトの外周面を、穿孔された孔の壁部に対応した凹
凸形状に塑性変形させることでなされることを特徴とす
る。また、本発明は、前記弾性膨張体の長さが前記ロッ
クボルトよりも短く形成され、前記ロックボルトの拡径
は、削孔に挿入された先端側から前記弾性膨張体の長さ
に対応した長さ毎に行なわれることを特徴とする。ま
た、本発明は、前記弾性膨張体の長さが前記ロックボル
トよりも短く形成され、前記弾性膨張体の複数がジョイ
ントを介して連結されて前記ロックボルトに対応した長
さに構成され、前記ロックボルトの拡径は、連結された
複数の弾性膨張体が同時に膨張することで行なわれるこ
とを特徴とする。また、本発明は、前記穿孔された孔に
挿入されたロックボルトが地山の表面に露出する部分に
は、ロックボルトから引き抜き不能にプレートが取着さ
れていることを特徴とする。また、本発明は、前記地山
とは反対側のプレートの外側に位置するロックボルト部
分には雄ねじが形成され、この雄ねじに螺合してナット
が設けられ、前記孔への定着時に、前記ナットが締め付
けられ、前記プレートに地山の表面を押付け力が付加さ
れることを特徴とする。また、本発明は、前記ロックボ
ルトの外周面には凹凸が設けられていることを特徴とす
る。また、本発明は、前記凹凸が、ロックボルトの外周
面に形成された凹溝により構成されていることを特徴と
する。また、本発明は、前記凹凸が、ロックボルトの外
周面に取着された網により構成されていることを特徴と
する。また、本発明は、前記弾性膨張体の加圧が内部に
加圧水が供給されることでなされることを特徴とする。
本発明は、地山に孔を穿孔し、この孔にロックボルトを
埋め込むことで地山を安定化させる方法であって、前記
ロックボルトを中空パイプ状に形成すると共に、ロック
ボルトの周面に該ロックボルトの長手方向に延在する破
断用凹部を形成し、前記孔にロックボルトを挿入すると
共に、このロックボルトの内部に弾性膨張体を挿入し、
前記弾性膨張体の内部を加圧して該弾性膨張体を膨張さ
せることで前記ロックボルトを拡径させ、前記破断用凹
部から破断させて前記孔に定着するようにしたことを特
徴とする。また、本発明は、前記ロックボルトが肉厚が
薄い中空パイプ状に形成され、ロックボルトが破断用凹
部から破断された後、弾性膨張体の加圧を停止して弾性
膨張体内の圧力を下げ、前記孔への定着は、前記破断時
の圧力よりも低い圧力で弾性膨張体を再度加圧し、ロッ
クボルトの外周面を、穿孔された孔の壁部に対応した凹
凸形状に塑性変形させることでなされることを特徴とす
る。また、本発明は、前記弾性膨張体の長さが前記ロッ
クボルトよりも短く形成され、前記ロックボルトの拡径
は、削孔に挿入された先端側から前記弾性膨張体の長さ
に対応した長さ毎に行なわれることを特徴とする。ま
た、本発明は、前記弾性膨張体の長さが前記ロックボル
トよりも短く形成され、前記弾性膨張体の複数がジョイ
ントを介して連結されて前記ロックボルトに対応した長
さに構成され、前記ロックボルトの拡径は、連結された
複数の弾性膨張体が同時に膨張することで行なわれるこ
とを特徴とする。また、本発明は、前記穿孔された孔に
挿入されたロックボルトが地山の表面に露出する部分に
は、ロックボルトから引き抜き不能にプレートが取着さ
れていることを特徴とする。また、本発明は、前記地山
とは反対側のプレートの外側に位置するロックボルト部
分には雄ねじが形成され、この雄ねじに螺合してナット
が設けられ、前記孔への定着時に、前記ナットが締め付
けられ、前記プレートに地山の表面を押付け力が付加さ
れることを特徴とする。また、本発明は、前記ロックボ
ルトの外周面には凹凸が設けられていることを特徴とす
る。また、本発明は、前記凹凸が、ロックボルトの外周
面に形成された凹溝により構成されていることを特徴と
する。また、本発明は、前記凹凸が、ロックボルトの外
周面に取着された網により構成されていることを特徴と
する。また、本発明は、前記弾性膨張体の加圧が内部に
加圧水が供給されることでなされることを特徴とする。
【0005】本発明の地山の安定化方法によれば、弾性
膨張体の膨張により破断用凹部が破断し、ロックボルト
がボアホール(孔)の全体に広がり、ロックボルトに塑
性変形が生じ、地山を安定化する。ロックボルトとし
て、市販されている安価な鋼管パイプを用いることがで
き、また、ロックボルト径を数mm膨張させることで足
りるため、1本あたりの使用料が非常に安価となる。作
業性についても挿入が非常に簡単で、地山を損傷させる
ことなく加圧時間も数分以内と迅速になされる。
膨張体の膨張により破断用凹部が破断し、ロックボルト
がボアホール(孔)の全体に広がり、ロックボルトに塑
性変形が生じ、地山を安定化する。ロックボルトとし
て、市販されている安価な鋼管パイプを用いることがで
き、また、ロックボルト径を数mm膨張させることで足
りるため、1本あたりの使用料が非常に安価となる。作
業性についても挿入が非常に簡単で、地山を損傷させる
ことなく加圧時間も数分以内と迅速になされる。
【0006】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施例について説明
する。本発明の地山の安定化方法ではロックボルト2
(図1参照)と弾性膨張体4(図2参照)が用いられ
る。図1(A)はロックボルトの正面図、(B)は同断
面側面図、(C)は同側面図を示す。前記ロックボルト
2は筒体状に形成された中空パイプであり、市販の鋼管
が用いられている。ロックボルト2の外周面には、ロッ
クボルト2の延在方向に沿ってロックボルト2の全長に
わたり破断用凹部6が延在形成され、ロックボルト2の
一端には環状の座金8が溶接により固定されている。1
0はロックボルト2の断面積よりも大きな面積を有する
矩形のプレート10であり、プレート10の中央にはロ
ックボルト2が挿通され、かつ、前記座金8が係止する
大きさの孔102が貫設され、ロックボルト2は、プレ
ート10の孔102に挿通されて用いられる。前記ロッ
クボルト2の長さは地山に穿孔される孔(ボアホール)
12(図4参照)の深さに対応させた寸法で形成され
る。ロックボルト2の肉厚は、例えば、2〜3mm程度で
あり、外径は地山に穿孔される孔(ボアホール)12の
直径に対応させた寸法で形成されるが、約42mm程度が
多い。
する。本発明の地山の安定化方法ではロックボルト2
(図1参照)と弾性膨張体4(図2参照)が用いられ
る。図1(A)はロックボルトの正面図、(B)は同断
面側面図、(C)は同側面図を示す。前記ロックボルト
2は筒体状に形成された中空パイプであり、市販の鋼管
が用いられている。ロックボルト2の外周面には、ロッ
クボルト2の延在方向に沿ってロックボルト2の全長に
わたり破断用凹部6が延在形成され、ロックボルト2の
一端には環状の座金8が溶接により固定されている。1
0はロックボルト2の断面積よりも大きな面積を有する
矩形のプレート10であり、プレート10の中央にはロ
ックボルト2が挿通され、かつ、前記座金8が係止する
大きさの孔102が貫設され、ロックボルト2は、プレ
ート10の孔102に挿通されて用いられる。前記ロッ
クボルト2の長さは地山に穿孔される孔(ボアホール)
12(図4参照)の深さに対応させた寸法で形成され
る。ロックボルト2の肉厚は、例えば、2〜3mm程度で
あり、外径は地山に穿孔される孔(ボアホール)12の
直径に対応させた寸法で形成されるが、約42mm程度が
多い。
【0007】前記弾性膨張体4は、図2(A)に示すよ
うに、円筒状に所定の長さ延在し両端に心金14が取着
された弾性チューブ16と、弾性チューブ16の外側に
被覆された弾性材製の保護膜18と、前記弾性チューブ
16内を加圧する加圧用パイプ20で構成され、弾性膨
張体4はロックボルト2内に円滑に挿入できるように、
ロックボルト2の内径よりも僅かに小さな外径で形成さ
れている。なお、このような弾性膨張体4は、例えば、
特開平2ー115490号公報や特開平3ー18389
4号公報等で公知の膨張破砕式割岩機の弾性膨張体が利
用される。すなわち、図3(A)、(B)で示すよう
に、膨張破砕式割岩機82は、円筒状に所定の長さ延在
し両端に心金84が取着された弾性チューブ86と、断
面が矩形で細長状に延在し内部に弾性チューブ86が挿
入される弾性スリーブ88と、弾性スリーブ88の平坦
な外面毎に配設された複数の載荷板90で構成されてお
り、前記弾性チューブ86を本発明の弾性チューブ16
として用い、前記弾性スリーブ88と同じ材料で本発明
の保護膜18が形成されている。
うに、円筒状に所定の長さ延在し両端に心金14が取着
された弾性チューブ16と、弾性チューブ16の外側に
被覆された弾性材製の保護膜18と、前記弾性チューブ
16内を加圧する加圧用パイプ20で構成され、弾性膨
張体4はロックボルト2内に円滑に挿入できるように、
ロックボルト2の内径よりも僅かに小さな外径で形成さ
れている。なお、このような弾性膨張体4は、例えば、
特開平2ー115490号公報や特開平3ー18389
4号公報等で公知の膨張破砕式割岩機の弾性膨張体が利
用される。すなわち、図3(A)、(B)で示すよう
に、膨張破砕式割岩機82は、円筒状に所定の長さ延在
し両端に心金84が取着された弾性チューブ86と、断
面が矩形で細長状に延在し内部に弾性チューブ86が挿
入される弾性スリーブ88と、弾性スリーブ88の平坦
な外面毎に配設された複数の載荷板90で構成されてお
り、前記弾性チューブ86を本発明の弾性チューブ16
として用い、前記弾性スリーブ88と同じ材料で本発明
の保護膜18が形成されている。
【0008】次に、上述のロックボルト2、弾性膨張体
4を用いて地山を安定化させる方法について説明する。
まず、図4に示すように、岩盤等の地山に所定の長さの
ボアホール12を削岩機により穿孔する。通常、ボアホ
ール12の直径は、穿孔に用いたビットの外径よりも1
〜5mm程度大きくなり、また、ボアホール12の孔壁1
202は平滑ではなく、図5(A)、図6(A)、
(B)に示すように、凹凸が横断方向及び縦断方向に形
成される(孔荒れという)。更に、ボアホール12の軸
心は必ずしも直線ではなく、少し湾曲して形成されるこ
と(孔曲がりという)が多い。この孔荒れおよび孔曲が
りの程度は、割岩機の操作や地山の性状により異なって
くる。このため、穿孔に用いるビット径としては、ロッ
クボルト2の外径を基準とするが、孔荒れや孔曲がりの
程度が大きい場合には、ビット径をロックボルト2の外
径よりも少し小さくし、穿孔したボアホール12の孔壁
1202とロックボルト2の外周面とのクリアランスを
5mm以下とすることが望ましい。
4を用いて地山を安定化させる方法について説明する。
まず、図4に示すように、岩盤等の地山に所定の長さの
ボアホール12を削岩機により穿孔する。通常、ボアホ
ール12の直径は、穿孔に用いたビットの外径よりも1
〜5mm程度大きくなり、また、ボアホール12の孔壁1
202は平滑ではなく、図5(A)、図6(A)、
(B)に示すように、凹凸が横断方向及び縦断方向に形
成される(孔荒れという)。更に、ボアホール12の軸
心は必ずしも直線ではなく、少し湾曲して形成されるこ
と(孔曲がりという)が多い。この孔荒れおよび孔曲が
りの程度は、割岩機の操作や地山の性状により異なって
くる。このため、穿孔に用いるビット径としては、ロッ
クボルト2の外径を基準とするが、孔荒れや孔曲がりの
程度が大きい場合には、ビット径をロックボルト2の外
径よりも少し小さくし、穿孔したボアホール12の孔壁
1202とロックボルト2の外周面とのクリアランスを
5mm以下とすることが望ましい。
【0009】次に、図4に示すように、プレート10が
装着されたロックボルト2をボアホール12に人力によ
り挿入し、この状態を図5(A)に断面正面図で示す。
なお、孔曲がりのため人力での挿入が困難な場合には、
ロックボルト2が薄肉であり曲げ剛性が小さいことか
ら、削孔機を用いることでロックボルト2の挿入が簡単
になされる。
装着されたロックボルト2をボアホール12に人力によ
り挿入し、この状態を図5(A)に断面正面図で示す。
なお、孔曲がりのため人力での挿入が困難な場合には、
ロックボルト2が薄肉であり曲げ剛性が小さいことか
ら、削孔機を用いることでロックボルト2の挿入が簡単
になされる。
【0010】次に、図2(A)で示すように、弾性膨張
体4をロックボルト2の先端に挿入し、この状態を図6
(A)に断面正面図で、図6(B)に断面側面図で示
す。。この場合、弾性膨張体4が容易に挿入できるよう
に、保護膜18の外周面とロックボルト2の内周面との
間に1〜2ミリメートル程度のクリアランスが確保され
ることが好ましい。
体4をロックボルト2の先端に挿入し、この状態を図6
(A)に断面正面図で、図6(B)に断面側面図で示
す。。この場合、弾性膨張体4が容易に挿入できるよう
に、保護膜18の外周面とロックボルト2の内周面との
間に1〜2ミリメートル程度のクリアランスが確保され
ることが好ましい。
【0011】次に、図2(B)で示すように、挿入した
弾性膨張体4に、加圧用パイプ20を介して液圧供給装
置から液圧(この実施例では液は水である)を弾性チュ
ーブ16の内部に加え、弾性チューブ16の膨張により
保護膜18を介してロックボルト2の内面に所定の圧力
(約200kgf/cm2 程度)を加える。この加圧により、
ロックボルト2は加圧した圧力の数倍以上の円周方向の
応力が生じ、特に破断用凹部6には応力集中により更に
高い応力が生じる。この破断用凹部6の高い応力がロッ
クボルト2の引張り強さに達すると、この箇所にてロッ
クボルト2は図2(C)、図5(B)、(C)に示すよ
うに破断し、裂目2002が生じるとともに、塑性変形
が生じて、加圧前の外周径よりも大きな径となる。
弾性膨張体4に、加圧用パイプ20を介して液圧供給装
置から液圧(この実施例では液は水である)を弾性チュ
ーブ16の内部に加え、弾性チューブ16の膨張により
保護膜18を介してロックボルト2の内面に所定の圧力
(約200kgf/cm2 程度)を加える。この加圧により、
ロックボルト2は加圧した圧力の数倍以上の円周方向の
応力が生じ、特に破断用凹部6には応力集中により更に
高い応力が生じる。この破断用凹部6の高い応力がロッ
クボルト2の引張り強さに達すると、この箇所にてロッ
クボルト2は図2(C)、図5(B)、(C)に示すよ
うに破断し、裂目2002が生じるとともに、塑性変形
が生じて、加圧前の外周径よりも大きな径となる。
【0012】一方、破断が生じた瞬間には弾性チューブ
16の圧力が瞬間的に低下する。液圧供給装置は常に圧
力をモニターする機能をもっており、この瞬間的な圧力
低下を感知して瞬時に圧力供給を停止し、弾性チューブ
16内の圧力を更に下げる。この機能により、弾性膨張
体4の高い圧力での過度の膨張を防ぐことができ、これ
により、弾性膨張体4の損傷を防ぐことが可能となり、
弾性膨張体4の繰り返し使用ができる。さらに、過度の
膨張抑制機能により、破断時のロックボルト2の外周が
孔壁1202を高い圧力(約200kgf/cm2 程度)で膨
張さすことを防ぐことが可能となり、孔壁1202周辺
の地山を損傷することがない。図5(C)はこの破断時
の状態を示したものであり、図5(D)のようにロック
ボルト2は破断用凹部6のみが破断し、他の部分には損
傷がない。また、孔壁1202にも損傷がない。
16の圧力が瞬間的に低下する。液圧供給装置は常に圧
力をモニターする機能をもっており、この瞬間的な圧力
低下を感知して瞬時に圧力供給を停止し、弾性チューブ
16内の圧力を更に下げる。この機能により、弾性膨張
体4の高い圧力での過度の膨張を防ぐことができ、これ
により、弾性膨張体4の損傷を防ぐことが可能となり、
弾性膨張体4の繰り返し使用ができる。さらに、過度の
膨張抑制機能により、破断時のロックボルト2の外周が
孔壁1202を高い圧力(約200kgf/cm2 程度)で膨
張さすことを防ぐことが可能となり、孔壁1202周辺
の地山を損傷することがない。図5(C)はこの破断時
の状態を示したものであり、図5(D)のようにロック
ボルト2は破断用凹部6のみが破断し、他の部分には損
傷がない。また、孔壁1202にも損傷がない。
【0013】次に、ロックボルト2の先端を破断させた
後、図7(A)、(B)で示すように、弾性膨張体4を
破断時の圧力よりも低い圧力(約100kgf/cm2 程度)
で再度加圧する。破断したロックボルト2は肉厚が小さ
いため、この低い圧力により容易に曲げられ、ロックボ
ルト2の外周面が孔壁1202に当たり、更に、孔壁1
202の凹凸に接触した箇所では、低い圧力でも塑性加
工され、図5(E)、図7(A)、(B)で示すよう
に、孔壁1202の凹凸に対応した形状に塑性変形す
る。このように、ロックボルト2の外周面を孔壁120
2に密着させロックボルト2を塑性変形するまで加圧し
た後は、圧力を抜いてもロックボルト2の径は初期の径
よりも大きくなっており、さらにロックボルト2の外周
面が孔壁1202の凹凸に対応した凹凸を持った形状を
保って孔壁1202に密着する。
後、図7(A)、(B)で示すように、弾性膨張体4を
破断時の圧力よりも低い圧力(約100kgf/cm2 程度)
で再度加圧する。破断したロックボルト2は肉厚が小さ
いため、この低い圧力により容易に曲げられ、ロックボ
ルト2の外周面が孔壁1202に当たり、更に、孔壁1
202の凹凸に接触した箇所では、低い圧力でも塑性加
工され、図5(E)、図7(A)、(B)で示すよう
に、孔壁1202の凹凸に対応した形状に塑性変形す
る。このように、ロックボルト2の外周面を孔壁120
2に密着させロックボルト2を塑性変形するまで加圧し
た後は、圧力を抜いてもロックボルト2の径は初期の径
よりも大きくなっており、さらにロックボルト2の外周
面が孔壁1202の凹凸に対応した凹凸を持った形状を
保って孔壁1202に密着する。
【0014】次に、ロックボルト2の先端部のボアホー
ル12への定着が終了したならば、弾性膨張体4を、手
前に弾性膨張体4の長さ分だけずらし、図2(D)、
(E)、図8に示すように、上述のような作業を繰り返
して、ロックボルト2の所定部分のボアホール12への
定着を行う。なお、口元付近は地山表面に近いため、地
山表面が大きな自由面となってチューブの低い圧力の加
圧によっても地山を破砕する可能性があるため、ロック
ボルト2の口元部では定着を行わない。
ル12への定着が終了したならば、弾性膨張体4を、手
前に弾性膨張体4の長さ分だけずらし、図2(D)、
(E)、図8に示すように、上述のような作業を繰り返
して、ロックボルト2の所定部分のボアホール12への
定着を行う。なお、口元付近は地山表面に近いため、地
山表面が大きな自由面となってチューブの低い圧力の加
圧によっても地山を破砕する可能性があるため、ロック
ボルト2の口元部では定着を行わない。
【0015】以上の作業により、ロックボルト2は地山
に定着され、ロックボルト2の塑性加工により、ロック
ボルト2内に塑性ひずみが残留し、ロックボルト2には
半径方向外側に向かった残留応力が保たれ、このために
ボアホール12の孔壁1202には、地山側への押付け
力が作用する。この押付け力により、孔壁1202と接
触しているロックボルト2の外周面との間に摩擦力が生
じ、地山の動きを拘束する効果がもたらされ、地山を安
定した状態に補強できる。また、図8に模式的に示すよ
うに、地山からの押出し力が地山表面に密着したプレー
ト10を介してロックボルト2に引抜き力が作用して
も、孔壁1202と接触しているロックボルト2の外周
面との間の摩擦力による抵抗により、ロックボルト2は
引抜けず、地山の押し出しを抑制できる。
に定着され、ロックボルト2の塑性加工により、ロック
ボルト2内に塑性ひずみが残留し、ロックボルト2には
半径方向外側に向かった残留応力が保たれ、このために
ボアホール12の孔壁1202には、地山側への押付け
力が作用する。この押付け力により、孔壁1202と接
触しているロックボルト2の外周面との間に摩擦力が生
じ、地山の動きを拘束する効果がもたらされ、地山を安
定した状態に補強できる。また、図8に模式的に示すよ
うに、地山からの押出し力が地山表面に密着したプレー
ト10を介してロックボルト2に引抜き力が作用して
も、孔壁1202と接触しているロックボルト2の外周
面との間の摩擦力による抵抗により、ロックボルト2は
引抜けず、地山の押し出しを抑制できる。
【0016】次に、図9(A)、(B)を参照して別実
施例について説明する。この例では、ロックボルト2の
口元に雄ねじを形成し、この雄ねじに雌ねじを螺合させ
て六角ナット30を取りつけたものであり、座金8を六
角ナット30に変更したものである。別実施例では、ロ
ックボルト2の定着後、六角ナット30を更に締め付け
ることにより、プレート10に押付け力を付加できる。
また、通常ネジ加工は簡単な工具で可能であるため、作
業現場にて加工することが可能となる。したがって、破
断用凹部6を設けた長いパイプから、所定長さのロック
ボルト2を作業現場で加工でき、地山状況に応じた長さ
のロックボルト2を容易に入手でき、輸送コストの低減
を図れる。
施例について説明する。この例では、ロックボルト2の
口元に雄ねじを形成し、この雄ねじに雌ねじを螺合させ
て六角ナット30を取りつけたものであり、座金8を六
角ナット30に変更したものである。別実施例では、ロ
ックボルト2の定着後、六角ナット30を更に締め付け
ることにより、プレート10に押付け力を付加できる。
また、通常ネジ加工は簡単な工具で可能であるため、作
業現場にて加工することが可能となる。したがって、破
断用凹部6を設けた長いパイプから、所定長さのロック
ボルト2を作業現場で加工でき、地山状況に応じた長さ
のロックボルト2を容易に入手でき、輸送コストの低減
を図れる。
【0017】本実施例は、ロックボルト2として、市販
されている安価な鋼管パイプを使っており、パイプ径を
数mm膨張させるだけであるため、弾性膨張体4の加圧
による弾性チューブ16の膨張率も数十%程度以下の使
用範囲となり、さらに最高圧力も約200kgf/cm2 程度
と岩盤破砕の使用圧力の半分程度と低いものであるた
め、弾性膨張体4の転用回数も飛躍的に向上するため、
1本あたりの使用料が非常に安価となる。したがって、
ロックボルト2の単価も現在多く使われている定着型タ
イプと同等程度と安価である。作業性についても挿入が
非常に簡単であり、加圧時間も数分以内と迅速であるた
め、従来工法とほぼ同程度の作業時間で実施できる。
されている安価な鋼管パイプを使っており、パイプ径を
数mm膨張させるだけであるため、弾性膨張体4の加圧
による弾性チューブ16の膨張率も数十%程度以下の使
用範囲となり、さらに最高圧力も約200kgf/cm2 程度
と岩盤破砕の使用圧力の半分程度と低いものであるた
め、弾性膨張体4の転用回数も飛躍的に向上するため、
1本あたりの使用料が非常に安価となる。したがって、
ロックボルト2の単価も現在多く使われている定着型タ
イプと同等程度と安価である。作業性についても挿入が
非常に簡単であり、加圧時間も数分以内と迅速であるた
め、従来工法とほぼ同程度の作業時間で実施できる。
【0018】地山の強度が弱く、孔壁1202への膨張
圧として約100kgf/cm2 程度を加えると破砕するよう
な地山の場合には、ロックボルト2の降伏点強度が通常
の引張り強さよりもかなり小さく、伸びも大きな材質を
使うことにより適用可能となる。例えば、図10(F)
はこのような材質の特性曲線を示したものであり、図1
0(B)において加圧によりロックボルト2内側の円周
応力が降伏点イの強度を超えた塑性応力状態ウになる。
これと同時に破断用凹部6の円周応力は、図10(C)
に示すように、応力集中により引張り強さに達して破断
する。このときロックボルト2の延性が高いため、ロッ
クボルト2の径はボアホール12一杯に膨張しており、
さらにロックボルト2の内側が塑性状態になっているた
め、破断後圧力が無くなっても、図10(D)に示すよ
うに、ロックボルト2の径はほとんど収縮することなく
膨張した形状を保っている。
圧として約100kgf/cm2 程度を加えると破砕するよう
な地山の場合には、ロックボルト2の降伏点強度が通常
の引張り強さよりもかなり小さく、伸びも大きな材質を
使うことにより適用可能となる。例えば、図10(F)
はこのような材質の特性曲線を示したものであり、図1
0(B)において加圧によりロックボルト2内側の円周
応力が降伏点イの強度を超えた塑性応力状態ウになる。
これと同時に破断用凹部6の円周応力は、図10(C)
に示すように、応力集中により引張り強さに達して破断
する。このときロックボルト2の延性が高いため、ロッ
クボルト2の径はボアホール12一杯に膨張しており、
さらにロックボルト2の内側が塑性状態になっているた
め、破断後圧力が無くなっても、図10(D)に示すよ
うに、ロックボルト2の径はほとんど収縮することなく
膨張した形状を保っている。
【0019】一方、脆弱な地山に穿孔されたボアホール
12の孔壁1202は地山圧力により穿孔後数時間経過
すると収縮する。このときボアホール12内のロックボ
ルト2と接触し、環状形状により形成されるバネ機構に
より、図10(E)のようにロックボルト2外周の接触
面に反発力が生じ、この反発力と地山圧力による押し出
し力がバランスするまで、ロックボルト2が変形する。
これによりボアホール12の収縮が停止し、地山は安定
する。また、このバランスした力により、図8に示すよ
うに、ロックボルト2の引抜きに対しても抵抗力が作用
することになり、ロックボルト2は引抜けない。以上の
ように、地山に応じた性能を有する安価で作業性に優
れ、地山補強効果の高いロックボルト2を提供すること
ができる。
12の孔壁1202は地山圧力により穿孔後数時間経過
すると収縮する。このときボアホール12内のロックボ
ルト2と接触し、環状形状により形成されるバネ機構に
より、図10(E)のようにロックボルト2外周の接触
面に反発力が生じ、この反発力と地山圧力による押し出
し力がバランスするまで、ロックボルト2が変形する。
これによりボアホール12の収縮が停止し、地山は安定
する。また、このバランスした力により、図8に示すよ
うに、ロックボルト2の引抜きに対しても抵抗力が作用
することになり、ロックボルト2は引抜けない。以上の
ように、地山に応じた性能を有する安価で作業性に優
れ、地山補強効果の高いロックボルト2を提供すること
ができる。
【0020】なお、前記実施例では、弾性膨張体4がロ
ックボルト2よりも短く、そのため、弾性膨張体4をず
らしつつ複数回の膨張によりロックボルト2をそのほぼ
全長にわたり拡径させた場合について説明したが、例え
ば、特開平7ー317486号公報に開示されているよ
うに、複数の弾性膨張体4をジョイントを介して直列に
連結し、ロックボルト2の拡径を、連結された複数の弾
性膨張体4を同時に膨張することで行なうようにしても
よい。このようにすると、ロックボルト2の定着をより
短時間で行なう上で有利となる。なお、弾性膨張体4を
ジョイントで連結する作業は、ロックボルト2への挿入
時に行なえば簡単で、また、引き抜き時、連結された弾
性膨張体の分離もでき、回収も簡単になされる。
ックボルト2よりも短く、そのため、弾性膨張体4をず
らしつつ複数回の膨張によりロックボルト2をそのほぼ
全長にわたり拡径させた場合について説明したが、例え
ば、特開平7ー317486号公報に開示されているよ
うに、複数の弾性膨張体4をジョイントを介して直列に
連結し、ロックボルト2の拡径を、連結された複数の弾
性膨張体4を同時に膨張することで行なうようにしても
よい。このようにすると、ロックボルト2の定着をより
短時間で行なう上で有利となる。なお、弾性膨張体4を
ジョイントで連結する作業は、ロックボルト2への挿入
時に行なえば簡単で、また、引き抜き時、連結された弾
性膨張体の分離もでき、回収も簡単になされる。
【0021】また、ロックボルト2の外周面に凹凸を設
け、粗くしておくと、摩擦抵抗を増加させ、引き抜き力
を増大させて地山を安定化させる上で有利となる。この
ような凹凸は、例えば、凹溝によりロックボルトの外周
面に網目状の模様を形成したり、あるいは、網をロック
ボルトの外周面に取着することで構成することができ
る。
け、粗くしておくと、摩擦抵抗を増加させ、引き抜き力
を増大させて地山を安定化させる上で有利となる。この
ような凹凸は、例えば、凹溝によりロックボルトの外周
面に網目状の模様を形成したり、あるいは、網をロック
ボルトの外周面に取着することで構成することができ
る。
【0022】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明は、
地山に孔を穿孔し、この孔にロックボルトを埋め込むこ
とで地山を安定化させる方法であって、前記ロックボル
トを中空パイプ状に形成すると共に、ロックボルトの周
面に該ロックボルトの長手方向に延在する破断用凹部を
形成し、前記孔にロックボルトを挿入すると共に、この
ロックボルトの内部に弾性膨張体を挿入し、前記弾性膨
張体の内部を加圧して該弾性膨張体を膨張させることで
前記ロックボルトを拡径させ、前記破断用凹部から破断
させて前記孔に定着するようにした。そのため、本発明
の地山の安定化方法によれば次のような効果が得られ
る。 1)ロックボルトの外径がボアホール径より小さいた
め、ボアホールへの挿入が容易である。 2)膨張して破断用凹部が破断した時には、ロックボル
トに塑性変形が生じているため、減圧してもロックボル
トの収縮は僅かである。このため、加圧前のロックボル
ト径よりも膨張した口径を保つ。特に、降伏点が小さく
伸びの大きな材質のパイプをロックボルトとして用いた
場合、ほぼボアホール径一杯に広げることが可能とな
り、地山の押し出しによりボアホールの収縮力とバラン
スして、ボアホールの収縮を阻止し、地山を安定化す
る。また、このバランス力によりボアホールを押し付け
る力の摩擦抵抗力により地山を拘束して、地山の安定を
保つことができる。 3)破断用凹部の破断後は、ロックボルトを所定の外周
径になるまで膨張させて塑性加工することにより、孔壁
の凹凸に追随した変形が保たれ、ロックボルト外周面と
孔壁の摩擦抵抗力により、地山を一体化して地山の安定
を保つことができる。 4)弾性膨張体による加圧であるため、地山に損傷を与
えないように膨張圧を制御できるとともに、加圧箇所を
特定できるため適用地山の範囲が広い。 5)ロックボルトの強度特性および地山の性状に応じ
て、ロックボルト口径および破断用凹部の形状を変える
ことにより破断時の膨張圧を約300kgf/cm2 以下に設
定できるため、通常の鋼管用鋼材のパイプを使用でき安
価である。 6)ロックボルト両端部に、パイプを封入するためのス
リーブなどの特殊加工を必要としないため、任意の長さ
の両端が開いたパイプを使ってロックボルトを現場で加
工できる。また、ロックボルトがパイプであるため、口
元部のネジ加工も簡単であり、さらに、現場加工が簡易
となる。前記の口元部のネジ加工により、ナットをロッ
クボルトに螺合させてプレートを強く押さえることが可
能となり、地山表面の岩塊の崩落防止のための金網を縫
ってロックボルトのプレートで地山に密着させることが
できる。
地山に孔を穿孔し、この孔にロックボルトを埋め込むこ
とで地山を安定化させる方法であって、前記ロックボル
トを中空パイプ状に形成すると共に、ロックボルトの周
面に該ロックボルトの長手方向に延在する破断用凹部を
形成し、前記孔にロックボルトを挿入すると共に、この
ロックボルトの内部に弾性膨張体を挿入し、前記弾性膨
張体の内部を加圧して該弾性膨張体を膨張させることで
前記ロックボルトを拡径させ、前記破断用凹部から破断
させて前記孔に定着するようにした。そのため、本発明
の地山の安定化方法によれば次のような効果が得られ
る。 1)ロックボルトの外径がボアホール径より小さいた
め、ボアホールへの挿入が容易である。 2)膨張して破断用凹部が破断した時には、ロックボル
トに塑性変形が生じているため、減圧してもロックボル
トの収縮は僅かである。このため、加圧前のロックボル
ト径よりも膨張した口径を保つ。特に、降伏点が小さく
伸びの大きな材質のパイプをロックボルトとして用いた
場合、ほぼボアホール径一杯に広げることが可能とな
り、地山の押し出しによりボアホールの収縮力とバラン
スして、ボアホールの収縮を阻止し、地山を安定化す
る。また、このバランス力によりボアホールを押し付け
る力の摩擦抵抗力により地山を拘束して、地山の安定を
保つことができる。 3)破断用凹部の破断後は、ロックボルトを所定の外周
径になるまで膨張させて塑性加工することにより、孔壁
の凹凸に追随した変形が保たれ、ロックボルト外周面と
孔壁の摩擦抵抗力により、地山を一体化して地山の安定
を保つことができる。 4)弾性膨張体による加圧であるため、地山に損傷を与
えないように膨張圧を制御できるとともに、加圧箇所を
特定できるため適用地山の範囲が広い。 5)ロックボルトの強度特性および地山の性状に応じ
て、ロックボルト口径および破断用凹部の形状を変える
ことにより破断時の膨張圧を約300kgf/cm2 以下に設
定できるため、通常の鋼管用鋼材のパイプを使用でき安
価である。 6)ロックボルト両端部に、パイプを封入するためのス
リーブなどの特殊加工を必要としないため、任意の長さ
の両端が開いたパイプを使ってロックボルトを現場で加
工できる。また、ロックボルトがパイプであるため、口
元部のネジ加工も簡単であり、さらに、現場加工が簡易
となる。前記の口元部のネジ加工により、ナットをロッ
クボルトに螺合させてプレートを強く押さえることが可
能となり、地山表面の岩塊の崩落防止のための金網を縫
ってロックボルトのプレートで地山に密着させることが
できる。
【図1】(A)はロックボルトの正面図、(B)はロッ
クボルトの断面側面図、(C)はロックボルトの側面図
である。
クボルトの断面側面図、(C)はロックボルトの側面図
である。
【図2】(A)〜(E)はロックボルトと弾性膨張体に
より地山を安定化させる方法の説明図である。
より地山を安定化させる方法の説明図である。
【図3】(A)は膨張破砕式割岩機の断面正面図、
(B)は膨張破砕式割岩機の断面側面図である。
(B)は膨張破砕式割岩機の断面側面図である。
【図4】ボアホールにロックボルトを挿入した状態の側
面図である。
面図である。
【図5】(A)〜(E)はロックボルトと弾性膨張体に
より地山を安定化させる方法の説明図である。
より地山を安定化させる方法の説明図である。
【図6】(A)はロックボルト、弾性膨張体部分の拡大
断面正面図、(B)はロックボルト、弾性膨張体部分の
拡大断面側面図である。
断面正面図、(B)はロックボルト、弾性膨張体部分の
拡大断面側面図である。
【図7】(A)はロックボルト、弾性膨張体部分の拡大
断面正面図、(B)はロックボルト、弾性膨張体部分の
拡大断面側面図である。
断面正面図、(B)はロックボルト、弾性膨張体部分の
拡大断面側面図である。
【図8】ロックボルトを孔に定着させた状態の断面側面
図である。
図である。
【図9】(A)は座金に変えて六角ナットをロックボル
トに螺合した状態の正面図、(B)は同側面図である。
トに螺合した状態の正面図、(B)は同側面図である。
【図10】(A)〜(E)は、降伏点強度が通常の引張
り強さよりも小さく、伸びも大きな材質を使ったロック
ボルトを用いて地山を安定化させる方法の説明図、
(F)は応力ーひずみ線図である。
り強さよりも小さく、伸びも大きな材質を使ったロック
ボルトを用いて地山を安定化させる方法の説明図、
(F)は応力ーひずみ線図である。
2 ロックボルト 4 弾性膨張体 6 破断用凹部 8 座金 10 プレート 12 ボアホール 16 弾性チューブ 18 保護膜 30 六角ナット
Claims (10)
- 【請求項1】 地山に孔を穿孔し、この孔にロックボル
トを埋め込むことで地山を安定化させる方法であって、 前記ロックボルトを中空パイプ状に形成すると共に、ロ
ックボルトの周面に該ロックボルトの長手方向に延在す
る破断用凹部を形成し、 前記孔にロックボルトを挿入すると共に、このロックボ
ルトの内部に弾性膨張体を挿入し、 前記弾性膨張体の内部を加圧して該弾性膨張体を膨張さ
せることで前記ロックボルトを拡径させ、前記破断用凹
部から破断させて前記孔に定着するようにした、 ことを特徴とする地山の安定化方法。 - 【請求項2】 前記ロックボルトは肉厚が薄い中空パイ
プ状に形成され、ロックボルトが破断用凹部から破断さ
れた後、弾性膨張体の加圧を停止して弾性膨張体内の圧
力を下げ、前記孔への定着は、前記破断時の圧力よりも
低い圧力で弾性膨張体を再度加圧し、ロックボルトの外
周面を、穿孔された孔の壁部に対応した凹凸形状に塑性
変形させることでなされる請求項1記載の地山の安定化
方法。 - 【請求項3】 前記弾性膨張体の長さは前記ロックボル
トよりも短く形成され、前記ロックボルトの拡径は、削
孔に挿入された先端側から前記弾性膨張体の長さに対応
した長さ毎に行なわれる請求項1記載の地山の安定化方
法。 - 【請求項4】 前記弾性膨張体の長さは前記ロックボル
トよりも短く形成され、前記弾性膨張体の複数がジョイ
ントを介して連結されて前記ロックボルトに対応した長
さに構成され、前記ロックボルトの拡径は、連結された
複数の弾性膨張体が同時に膨張することで行なわれる請
求項1記載の地山の安定化方法。 - 【請求項5】 前記穿孔された孔に挿入されたロックボ
ルトが地山の表面に露出する部分には、ロックボルトか
ら引き抜き不能にプレートが取着されている請求項1記
載の地山の安定化方法。 - 【請求項6】 前記地山とは反対側のプレートの外側に
位置するロックボルト部分には雄ねじが形成され、この
雄ねじに螺合してナットが設けられ、前記孔への定着時
に、前記ナットが締め付けられ、前記プレートに地山の
表面を押付け力が付加される請求項1記載の地山の安定
化方法。 - 【請求項7】 前記ロックボルトの外周面には凹凸が設
けられている請求項1記載の地山の安定化方法。 - 【請求項8】 前記凹凸は、ロックボルトの外周面に形
成された凹溝により構成されている請求項7記載の地山
の安定化方法。 - 【請求項9】 前記凹凸は、ロックボルトの外周面に取
着された網により構成されている請求項7記載の地山の
安定化方法。 - 【請求項10】 前記弾性膨張体の加圧は内部に加圧水
が供給されることでなされる請求項1記載の地山の安定
化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31699596A JPH10140998A (ja) | 1996-11-13 | 1996-11-13 | 地山の安定化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31699596A JPH10140998A (ja) | 1996-11-13 | 1996-11-13 | 地山の安定化方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10140998A true JPH10140998A (ja) | 1998-05-26 |
Family
ID=18083247
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31699596A Pending JPH10140998A (ja) | 1996-11-13 | 1996-11-13 | 地山の安定化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10140998A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6935811B2 (en) | 2002-11-13 | 2005-08-30 | Terrasimco Inc. | Frictional mining bolt |
JP2006526093A (ja) * | 2003-05-12 | 2006-11-16 | アトラス コプコ ロツク ドリルス アクチボラグ | ロックボルトの制御された拡張 |
CN111504252A (zh) * | 2020-04-23 | 2020-08-07 | 长江水利委员会长江科学院 | 一种长距离隧洞膨胀性围岩变形超前预测预报方法 |
-
1996
- 1996-11-13 JP JP31699596A patent/JPH10140998A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6935811B2 (en) | 2002-11-13 | 2005-08-30 | Terrasimco Inc. | Frictional mining bolt |
JP2006526093A (ja) * | 2003-05-12 | 2006-11-16 | アトラス コプコ ロツク ドリルス アクチボラグ | ロックボルトの制御された拡張 |
CN111504252A (zh) * | 2020-04-23 | 2020-08-07 | 长江水利委员会长江科学院 | 一种长距离隧洞膨胀性围岩变形超前预测预报方法 |
CN111504252B (zh) * | 2020-04-23 | 2021-07-02 | 长江水利委员会长江科学院 | 一种长距离隧洞膨胀性围岩变形超前预测预报方法 |
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