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JPH10102167A - 銅系低融点ろう材 - Google Patents

銅系低融点ろう材

Info

Publication number
JPH10102167A
JPH10102167A JP27403396A JP27403396A JPH10102167A JP H10102167 A JPH10102167 A JP H10102167A JP 27403396 A JP27403396 A JP 27403396A JP 27403396 A JP27403396 A JP 27403396A JP H10102167 A JPH10102167 A JP H10102167A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brazing material
weight
copper
brazing
melting point
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27403396A
Other languages
English (en)
Inventor
Goro Watanabe
吾朗 渡辺
Hideo Tachikawa
英男 太刀川
Yoshihiro Kinoshita
義浩 木下
Shinichi Hamada
伸一 浜田
Kimiyuki Nishiguchi
公之 西口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Denso Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp, Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Denso Corp
Priority to JP27403396A priority Critical patent/JPH10102167A/ja
Publication of JPH10102167A publication Critical patent/JPH10102167A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Ceramic Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄系金属同志、特に表面に強固な酸化皮膜を
形成するステンレス鋼などをフラックスを使用せずに相
互にろう付する際に使用するための、接合強度並びにぬ
れ性,流動性の優れた銅系低融点ろう材を提供する。 【解決手段】 ホウ素(B)0.005〜1.5重量
%、リン(P)3.0〜7.0重量%、錫(Sn)4.
0〜20重量%、残部銅(Cu)及び不可避不純物より
なる銅系低融点ろう材(第一発明);ホウ素(B)0.
005〜1.5重量%、リン(P)3.0〜4.5重量
%、錫(Sn)4.0〜20重量%、ニッケル(Ni)
1.0〜4.8重量%、残部銅(Cu)及び不可避不純
物よりなる銅系低融点ろう材(第二発明)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は銅系低融点ろう材、
更に詳しくは、鉄系金属同志、特に表面に強固な酸化皮
膜を形成するステンレス鋼などをフラックスを使用せず
に相互にろう付する際に使用するための、接合強度並び
にぬれ性,流動性の優れた銅系低融点ろう材に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】現在、ステンレス鋼,軟鋼等を構成素材
とする熱交換器などにおいては、融点1080℃の純銅
をろう材として使用し、1100℃以上の高温度で炉中
ろう付により組付製造が行なわれている。しかしなが
ら、使用温度が高々百数十℃の熱交換器などにおいては
1000℃を超える耐熱性は必要無いこともあり、省エ
ネルギー化の面からも、1000℃以下の低温度でろう
付することができる新たな低温ろう材が要望されてい
る。
【0003】前記低温ろう材として使用し得る実用ろう
材としては650℃〜900℃でろう付できる銀系ろう
材があるが、高価であり、純銅ろう材の代わりに使用す
ることはできない。又、ハンダは融点は低いが、フラッ
クスを必要とするなどの制約(使用が繁雑,フラックス
による表面の汚染等)がある。このような問題を解決す
るために、近年、種々のろう材が提案されている。以下
に、それらの例を挙げる。
【0004】特開昭58−148094号公報には、
「1.P4〜8重量%と、Ni,Cr,Fe,Mnの少
なくとも一種を合計で0.5〜10重量%と、残部Cu
及び不可避不純物とより成るろう材;2.P4〜8重量
%と、Ag0.5〜18重量%と、Ni,Cr,Fe,
Mnの少なくとも一種を合計で0.5〜10重量%と、
残部Cu及び不可避不純物とより成るろう材」が記載さ
れている。
【0005】特公平1−26798号公報には、「P4
〜8重量%、Ni0.5〜10重量%、Ag0.5〜1
8重量%及び残部Cuより成るろう材」が記載されてい
る。
【0006】特開平3−173729号公報には、
「1.少なくとも、5原子%以下のニッケル、15原子
%以下の錫、10〜20原子%の燐、残りは銅及び不可
分の不純物を含むろう付け充填金属を用いることを特徴
とする急速冷却法により製造され、銅及び銅合金のろう
付けに使用される合金」が記載されている。
【0007】特公平6−38996号公報には、「重量
比でFe2〜3.3%、Ni0.4〜1.0%、Cr1
〜1.5%、Al0.1〜0.3%、Si0.03〜
0.1%、残がCuと不可避的成分からなるステンレス
鋼の真空ブレージング用銅ろう材」が記載されている。
【0008】特開平6−297186号公報には、
「1.P0.05〜6.0重量%、残部Sn及び不可避
不純物より成るSn基低融点ろう材;2.P0.05〜
6.0重量%、Cu35重量%以下、又は/及びAg5
0重量%以下でCuとAgの合計が50重量%以下、残
部Sn及び不可避不純物より成るSn基低融点ろう材」
が記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】リン銅系ろう材は融点
やコストの面からは有利と思われるが、リン銅系ろう材
を鉄系母材、例えばステンレス鋼,鉄鋼を接合する際の
ろう付に使用すると、接合界面に脆いリン化合物が形成
され、接合強度が小さい(弱い力で接合界面が破断す
る)という欠点がある。前述の特開昭58−14809
4号公報、特公平1−26798号公報及び特開平6−
297186号公報(請求項2)に記載されたろう材は
何れもリン銅系ろう材であり、接合界面に脆いリン化合
物が形成されるという欠点が完全には解消されていな
い。又、特公平1−26798号公報に記載されたろう
材は必須成分として銀を含み、特開昭58−14809
4号公報の請求項2に記載されたろう材も必須成分とし
て銀を含むので、これらのろう材はコストの面で不利で
ある。
【0010】リン銅系ろう材の中には、近年、銅合金向
けに開発されたCu−P−Sn−Niろう材、例えば前
述の特開平3−173729号公報に記載されたろう材
があり、これは固相線温度が約600℃で、ろう付は6
00〜700℃の低温度でできることが知られている。
しかしながら、このろう材はステンレス鋼などとのぬれ
性が悪いので、フラックス無しでステンレス鋼などの鉄
系母材に使用することは困難である。以下、その理由を
詳述する。
【0011】ステンレス鋼表面には、ろう材によるぬれ
を阻害する強固な不動態酸化皮膜〔酸化クロム(Cr2
3 )を主体とする膜〕が存在する。又、わずかに酸素
が存在する(例えば数ppm 程度)雰囲気でステンレスを
加熱すると数百度℃で更に厚いCr2 3 を主体とする
酸化膜が形成される。これらの酸化膜が存在する状態に
おいて、フラックス無しでろう材によりステンレス鋼表
面をぬらすのは困難である。従って炉内の酸素濃度の管
理が重要となるが、キャリアガス〔例えば窒素(N2
ガス〕中に含まれる酸素(O2 )ガスや炉のリークによ
って生じる酸素ガスの他に炉壁や治具から発生する酸素
ガスもあり、この管理は容易ではない。ぬれ性が悪いろ
う材を使用してステンレス鋼を接合すると、充分な接合
強度が得られない。又、フラックスの使用は前述の如く
不都合がある。
【0012】特開平6−297186号公報の請求項1
に記載されたろう材はSn系ろう材であって必須成分と
して銅を含まず、又、特公平6−38996号公報に記
載されたろう材は銅系ろう材であって必須成分としてリ
ンを含まない。しかしながら、特開平6−297186
号公報及び特公平6−38996号公報に記載されたろ
う材を用いて例えばステンレス鋼を接合する場合には、
ぬれ性の改善やボイドの生成は抑制されるものの、充分
な接合強度は得られない。
【0013】本発明者らは、前記従来技術の問題点を解
決すべく鋭意研究した結果、本発明を成すに至った。し
かして、本発明の目的は、鉄系金属同志、特に表面に強
固な酸化皮膜を形成するステンレス鋼などをフラックス
を使用せずに相互にろう付する際に使用するための、接
合強度並びにぬれ性,流動性の優れた銅系低融点ろう材
を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち本第一発明の銅
系低融点ろう材は、ホウ素(B)0.005〜1.5重
量%、リン(P)3.0〜7.0重量%、錫(Sn)
4.0〜20重量%、残部銅(Cu)及び不可避不純物
よりなることを特徴とする。又、本第二発明の銅系低融
点ろう材は、ホウ素(B)0.005〜1.5重量%、
リン(P)3.0〜4.5重量%、錫(Sn)4.0〜
20重量%、ニッケル(Ni)1.0〜4.8重量%、
残部銅(Cu)及び不可避不純物よりなることを特徴と
する。
【0015】本発明の銅系低融点ろう材では、前記課題
を解決するために、リン銅系ろう材にBを添加した。B
以外の成分としては、安価なCuを主成分とし、できる
限り融点を下げる目的でCu−P−Sn−Ni系とし
た。Cu主体のCu−P−Sn3元素でも液相線温度が
640℃程度まで下がるが、加えてNi成分を1〜5重
量%程度添加し、組成比率を選ぶと更に50℃程度液相
線温度が低下する。なお、本発明のろう材においても、
組成比率によっては液相線温度が750℃程度まで上昇
する場合もあるが、リン銅系ろう材の特徴の一つとして
液相線温度よりも低い温度でもろう付できることが知ら
れている。本発明のろう材を使用すると、700℃程度
でろう付を行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本第一発明の銅系低融点ろう材に
おいては、ろう付の接合強度を増加させるためにホウ素
を添加した。ホウ素の添加量が0.005重量%未満で
は充分な効果が得られない。又、ホウ素の添加量が1.
5重量%を越えると、ろう材自体の強度が低下する。そ
れ故、ホウ素の添加量は0.005〜1.5重量%とし
た。本第一発明の銅系低融点ろう材におけるホウ素以外
の添加成分の添加理由を以下に述べる。リンの添加によ
りろう材の融点が低下するが、リンの添加量が3.0重
量%未満ではろう材の融点が充分に低下せず、ろう材の
流動性が悪い。又、リンの添加量が4.5重量%を越え
ると、ろう材の流動性は変わらないがろう材の加工性が
悪くなる。それ故、リンの添加量は3.0〜4.5重量
%とした。錫はリンと化合してSn4 3 を形成するこ
とによりろう付過程で自溶性を発揮し、ぬれ性を改善す
る(例えば、ステンレス鋼材表面の強固な酸化膜を破壊
する)。又、錫の添加によりろう材の融点が低下する
が、錫の添加量が4.0重量%未満では効果が充分では
ない。又、錫の添加量が20重量%を越えると、ろう材
自体の強度が低下する。それ故、錫の添加量は4.0〜
20重量%とした。
【0017】本第二発明の銅系低融点ろう材において、
ニッケルも錫の場合と同様の融点低下効果があるが、ニ
ッケルの添加量が1.0重量%未満では効果が充分では
ない。又、ニッケルの添加量が4.8重量%を越える
と、ろう材の融点が上昇する。それ故、ニッケルの添加
量は1.0〜4.8重量%とした。本第二発明の銅系低
融点ろう材におけるニッケル以外の添加成分の添加理由
は、本第一発明の銅系低融点ろう材における場合と同様
である。
【0018】
【実施例】以下の実施例及び比較例により、本発明を更
に詳細に説明する。 実施例:本発明(本第二発明)の銅系低融点ろう材(C
u−P−Sn−Ni−B)の製造 素材金属を重量比79.88Cu−10Sn−5P−5
Ni−0.12Bとなるように秤量・配合し、るつぼ内
で溶解した。素材金属としてはCu,Sn,Ni,B等
の単体金属、及びCu−P,Ni−Cu,Cu−B,N
i−B等の合金を使用することが可能であった。るつぼ
内の溶湯を1300℃程度まで昇温し、攪拌した後、9
00℃まで炉冷し、金型鋳造を行った。これにより、組
織的に均一な低融点ろう材(鋳造材)を得ることがで
き、この鋳造材から切り出したろう材を用いて実験を行
った。本発明のろう材は二次加工により種々の形状に成
形することができる。例えば鋳造したろう材に焼鈍,圧
延を繰り返すことにより、棒材,板材を得ることが可能
である。又、鋳造したろう材を再溶解後、急冷凝固する
ことにより、急冷箔帯を得ることも可能である。ホウ素
は酸素との反応性が高く、溶解時にB2 3 などの酸化
物を形成し易い。このため、ホウ素と反応し易いSiO
2 などを含有した黒鉛るつぼを使用したり、大気中で溶
解することは避けなければならない。従って、本実施例
では、るつぼとして純黒鉛(或いは純アルミナも可)を
使用し、又、真空雰囲気中で溶解を行った。この結果得
られたろう材の組成分析値は、ホウ素が0.10重量%
であり、他の成分については、配合量とほぼ一致してい
た。なお、低純度黒鉛るつぼを用いて大気中で溶解を行
った場合でも、歩留り率は約10%と悪いが、例えば
0.2重量%配合したホウ素がろう材中に0.02重量
%(分析値)残存し、本発明のろう材組成を得ることは
可能であった。以上は本第二発明の銅系低融点ろう材の
製造方法であるが、本第一発明の銅系低融点ろう材にお
いてはNiを含まないため、1100℃程度以下の温度
で全成分を溶解することができる。従って、本第一発明
のろう材は本第二発明のろう材に比べてより低温・省エ
ネルギープロセスにて製造することができる。
【0019】比較例1:従来の銅系低融点ろう材(Cu
−P−Sn−Ni)の製造 ホウ素を添加しないこと以外は実施例と同様にして製造
した。 比較例2:ホウ素を過剰添加した銅系低融点ろう材(C
u−P−Sn−Ni−B)の製造 ホウ素を2.0重量%添加したこと以外は実施例と同様
にして製造した。
【0020】<反応層組織の観察>図1は、オーステナ
イト系ステンレス鋼であるSUS304母材に対して、
実施例のろう材〔図1(a)〕及び比較例1のろう材
〔図1(b)〕を用いてろう付した場合の、ろう材とS
US304母材との界面に形成された反応層組織を示
す。比較例1のろう材の場合はフラックス(KAl
4 )を使用してろう付を行った。組織観察とEPMA
分析を行った結果、図1(a)の実施例のろう材を用い
た場合には、SUS304母材1の表面に、リン化合物
が細かく分散した組織2(組成:P,Ni,Fe,Cr
など)が、ろう材側数十μmの領域に渡って存在してい
ることが判った。これに対し、同様にして、図1(b)
の比較例1のろう材を用いた場合には、SUS304母
材1とろう材3との界面に、リン化合物からなる反応層
4(組成:P,Ni,Fe,Crなど)が厚さ数μmに
渡って一様に形成されていることが判った。図1(a)
と図1(b)との前記相違は、好適比率でのホウ素の添
加による効果(リン化合物の分散効果)であることは明
らかである。
【0021】<ろう付接合強度の比較>図2は、実施例
のろう材及び比較例1のろう材を各々用いてSUS30
4板の二枚重ね接合部を形成し、引張せん断強度を調べ
た結果を示す。比較例1のろう材の場合はフラックス
(KAlF4 )を使用してろう付を行った。比較例1の
ろう材を用いた場合は、引張せん断強度は2.3kgf
/mm2 であるのに対して、実施例のろう材を用いた場
合は、引張せん断強度は9.9kgf/mm2 であり、
引張せん断強度が約4倍に増加したことが判る。実施例
のろう材を用いた場合に引張せん断強度が増加したの
は、ホウ素の添加により、SUS304板との接合界面
において、ろう材とSUS304板とが反応してできる
脆いリン化合物の分散現象が起こり、これにより、脆い
リン化合物層での脆性破壊が抑制され、強度が向上した
ことによるものと考えられる。
【0022】<ろう付接合強度に及ぼすホウ素添加量の
影響>図3に、比較例1のろう材、実施例のろう材、及
び比較例2のろう材におけるろう付接合強度(引張せん
断強度)とホウ素添加量との関係を示す。2本の破線グ
ラフの間の太線は、データ(引張せん断強度の値)のバ
ラツキを示す。試験条件は以下の通りである。 ろう材:Cu−5P−10Sn−5Ni−xB 〔ここで、xは0〜2.0(重量%)〕 母材:SUS304 加熱条件:4Torr窒素気流中,750℃で10分間 比較例1のろう材(図3のホウ素添加量0重量%のも
の)は、引張せん断強度が低く、又、引張せん断強度の
バラツキも大きい。これに対して、実施例のろう材はホ
ウ素の添加により強度が増加し、バラツキも比較的小さ
くなったことが判る。比較例2のろう材の如く、ホウ素
添加量が1.5重量%を超えるとろう材料自身の強度が
低下するため、ろう付部で充分な機械的特性(強度な
ど)が確保できなくなる。図3より、比較例1のろう材
(ホウ素添加なし)に比べて接合強度を向上させるため
の好適なホウ素添加量は、0.005〜1.5重量%の
範囲であることが判る。
【0023】<ぬれ性に及ぼすホウ素添加量の影響>図
4により、ぬれ拡がり性の評価方法を説明する。図4に
おいて、図4(a)〜図4(c)はぬれ拡がり率を算出
する手順を示し、又、図4(d)は接触角(θ)の求め
方を示す。ぬれ拡がり率を算出する場合には、先ず、図
4(a)の如く、基材5上に所定の大きさのろう材6を
置く。次いで、図4(b)の如く、ろう材6を球と見な
して、その直径dを算出する。次いで、図4(c)の如
く、所定温度に加熱し、ろう材6を溶融させて、ろう付
部の長径と短径との平均値Dを算出する。下記式(1)
により、ぬれ拡がり率を算出する。 ぬれ拡がり率=D/d (1) 接触角(θ)は、図4(d)の如く、溶融したろう材6
の端部が基材5と成す角度によって定義される。前記の
ぬれ拡がり率(D/d値)及び接触角(θ)により、ぬ
れ拡がり性を評価した。
【0024】図5に、比較例1のろう材、実施例のろう
材、及び比較例2のろう材におけるぬれ拡がり率とホウ
素添加量との関係を示す。試験条件は以下の通りであ
る。 ろう材:Cu−5P−10Sn−5Ni−xB 〔ここで、xは0〜2.0(重量%)〕 母材:SUS304 加熱条件:10ppm 酸素含有窒素気流中,750℃で1
0分間 試験温度750℃で、酸素濃度10ppm の窒素ガスを雰
囲気ガスとして使用すると、SUS304母材表面にC
2 3 を主体とする酸化膜が形成され、母材表面は青
色に変色した。比較例1のろう材ではD/d≒1.2
(θ>90°)となり、ぬれ不良であったのに対して、
実施例のろう材では、ホウ素添加量0.005重量%以
上でD/dが2.4を超え、接触角θも90°以下とな
り、ぬれ性が良好となることが判った。つまり、ステン
レス鋼などの炉中ろう付においては炉内の酸素濃度の管
理を厳密に行う必要があるが、ホウ素添加した実施例の
ろう材は、酸素濃度管理の余裕度(すなわちロバスト性
の向上)に対して効果がある。比較例2のろう材(ホウ
素添加量2.0重量%)の如く、ぬれ拡がり率の点では
ホウ素添加量が1.5%を超えても効果があるが、先に
図3で示したように、接合強度を確保するためのホウ素
添加量の範囲と照合すると、好ましいホウ素添加量は
0.005〜1.5%重量%の範囲である。
【0025】
【発明の効果】本発明の銅系低融点ろう材は、従来の銅
系低融点ろう材に比べてぬれ性及び流動性が改善され、
又、接合強度は約4倍に向上した。更に、本発明の銅系
低融点ろう材は、粉末,箔,線などの種々の形態に成形
して使用することができ、又、ステンレス鋼を含む各種
の鉄系母材のろう付に用いることが可能であり、適用範
囲が広い。
【0026】とりわけ、本第二発明の銅系低融点ろう材
は、ニッケルを含むことにより、一層融点が低下し、ろ
う材自身の強度も向上した。又、ろう材中にNi成分が
添加されると、P,Ni,Fe,Crなどからなるリン
化合物の分散組織の形成が顕著となり、接合部の靱性が
高まり、結果として接合強度が更に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】SUS304母材に対して、実施例のろう材
〔図1(a)〕及び比較例1のろう材〔図1(b)〕を
用いてろう付した場合の、ろう材とSUS304母材と
の界面に形成された反応層組織を示す図である。
【図2】実施例のろう材及び比較例1のろう材を各々用
いてSUS304板の二枚重ね接合部を形成し、引張せ
ん断強度を調べた結果を示す図である。
【図3】比較例1のろう材、実施例のろう材、及び比較
例2のろう材におけるろう付接合強度(引張せん断強
度)とホウ素添加量との関係を示す図である。
【図4】基材に対するろう材のぬれ拡がり性の評価方法
を説明するための図である。
【図5】比較例1のろう材、実施例のろう材、及び比較
例2のろう材におけるぬれ拡がり率とホウ素添加量との
関係を示す図である。
【符号の説明】
1:SUS304母材 2:リン化合物が細かく分散した組織 3,6:ろう材 4:リン化合物からなる反応層 5:基材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太刀川 英男 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 木下 義浩 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 浜田 伸一 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 西口 公之 徳島県阿南市見能林町青木265

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホウ素(B)0.005〜1.5重量
    %、リン(P)3.0〜7.0重量%、錫(Sn)4.
    0〜20重量%、残部銅(Cu)及び不可避不純物より
    なることを特徴とする銅系低融点ろう材。
  2. 【請求項2】 ホウ素(B)0.005〜1.5重量
    %、リン(P)3.0〜4.5重量%、錫(Sn)4.
    0〜20重量%、ニッケル(Ni)1.0〜4.8重量
    %、残部銅(Cu)及び不可避不純物よりなることを特
    徴とする銅系低融点ろう材。
JP27403396A 1996-09-25 1996-09-25 銅系低融点ろう材 Pending JPH10102167A (ja)

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