JPH0953140A - 熱間ダイス - Google Patents
熱間ダイスInfo
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- JPH0953140A JPH0953140A JP21168495A JP21168495A JPH0953140A JP H0953140 A JPH0953140 A JP H0953140A JP 21168495 A JP21168495 A JP 21168495A JP 21168495 A JP21168495 A JP 21168495A JP H0953140 A JPH0953140 A JP H0953140A
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Landscapes
- Extrusion Of Metal (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】加熱冷却の繰り返し熱サイクルを受けても表面
に亀裂が発生しにくく、工具寿命の長い熱間ダイスを提
供すること。 【解決手段】重量%で、Ni:30〜60%およびW:
40〜70%を含み、α−W相が分散している金属組織
を有する熱間ダイスであって、その表層に、入熱量を1
5000〜30000J/cm、予熱およびパス間温度
を200℃以下とし、かつ溶融速度を15cm/min
以下として溶融した後、急速凝固させる表面改質が施さ
れた熱間ダイス。
に亀裂が発生しにくく、工具寿命の長い熱間ダイスを提
供すること。 【解決手段】重量%で、Ni:30〜60%およびW:
40〜70%を含み、α−W相が分散している金属組織
を有する熱間ダイスであって、その表層に、入熱量を1
5000〜30000J/cm、予熱およびパス間温度
を200℃以下とし、かつ溶融速度を15cm/min
以下として溶融した後、急速凝固させる表面改質が施さ
れた熱間ダイス。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Ni−W合金製の
熱間プレス加工用ダイス(以下、単に「熱間ダイス」と
いう)に関し、より詳細には加熱冷却の繰り返し熱サイ
クルによる亀裂が生じにくい表面改質処理が施された熱
間ダイスに関する。
熱間プレス加工用ダイス(以下、単に「熱間ダイス」と
いう)に関し、より詳細には加熱冷却の繰り返し熱サイ
クルによる亀裂が生じにくい表面改質処理が施された熱
間ダイスに関する。
【0002】
【従来の技術】Wを20〜60重量%含むNi基合金は
高温強度が高く、熱間工具等の材料として好適である。
特に継目無鋼管の製造では、圧延方式(例えば、マンネ
スマン方式)による製管を行う場合の穿孔プラグやガイ
ドシュー、あるいは押出しプレス方式(ユジーンセジュ
ルネ方式)により製管する場合のダイス、マンドレルバ
ーの素材として用いられている。中でも、Wが35重量
%以上(以下、合金元素の「%」は「重量%」を意味す
る)含まれるものは、α−W相(Wが主体で他の元素が
ほとんど固溶していない相)が分散し、高温強度が一段
と高い。
高温強度が高く、熱間工具等の材料として好適である。
特に継目無鋼管の製造では、圧延方式(例えば、マンネ
スマン方式)による製管を行う場合の穿孔プラグやガイ
ドシュー、あるいは押出しプレス方式(ユジーンセジュ
ルネ方式)により製管する場合のダイス、マンドレルバ
ーの素材として用いられている。中でも、Wが35重量
%以上(以下、合金元素の「%」は「重量%」を意味す
る)含まれるものは、α−W相(Wが主体で他の元素が
ほとんど固溶していない相)が分散し、高温強度が一段
と高い。
【0003】本出願人は先にこのようなNi基合金製の
熱間工具を提案した(特開平3−61345号公報)。
この熱間工具は、C+N:0.1%以下、Si:3%以
下、Mn:0.01〜2.0%、W:20〜60%を含
み、残部が実質的にNiからなるNi基合金製熱間工
具、または、これらの合金成分に加えて、さらに、〔A
群〕1〜10%のMo、〔B群〕10%以下のFe、2
0%以下のCo、3%以下のTi、3%以下のAl、3
%以下のV、10%以下のCr、および〔C群〕0.0
5%以下の希土類元素他、のなかから選ばれた1種以上
の成分を含有するNi基合金製熱間工具で、高温靭性、
高温延性、および室温靭性に優れ、変形抵抗の高いステ
ンレス鋼のような合金鋼やNi基合金、Tiおよびその
合金、Zrおよびその合金等の高合金を加工しても、変
形、焼き付き、溶損等が少なく、工具寿命が長いという
利点を有している。
熱間工具を提案した(特開平3−61345号公報)。
この熱間工具は、C+N:0.1%以下、Si:3%以
下、Mn:0.01〜2.0%、W:20〜60%を含
み、残部が実質的にNiからなるNi基合金製熱間工
具、または、これらの合金成分に加えて、さらに、〔A
群〕1〜10%のMo、〔B群〕10%以下のFe、2
0%以下のCo、3%以下のTi、3%以下のAl、3
%以下のV、10%以下のCr、および〔C群〕0.0
5%以下の希土類元素他、のなかから選ばれた1種以上
の成分を含有するNi基合金製熱間工具で、高温靭性、
高温延性、および室温靭性に優れ、変形抵抗の高いステ
ンレス鋼のような合金鋼やNi基合金、Tiおよびその
合金、Zrおよびその合金等の高合金を加工しても、変
形、焼き付き、溶損等が少なく、工具寿命が長いという
利点を有している。
【0004】さらにその後、本出願人は、Wを単独また
はMoと複合で15.0〜55.0%(但し、複合の場
合Moは20.0%以下)を含有し、Nbおよび/また
はTiを含む、室温から高温までの広い領域において、
高い強度を有し、しかも靭性・延性をも兼ね備えたNi
基合金を開発した(特開平5−179378号公報)。
この合金は、マンドレルバー、プラグ、ダイス等の工具
の他、広い温度範囲で各種構造部材に適用することがで
きる。
はMoと複合で15.0〜55.0%(但し、複合の場
合Moは20.0%以下)を含有し、Nbおよび/また
はTiを含む、室温から高温までの広い領域において、
高い強度を有し、しかも靭性・延性をも兼ね備えたNi
基合金を開発した(特開平5−179378号公報)。
この合金は、マンドレルバー、プラグ、ダイス等の工具
の他、広い温度範囲で各種構造部材に適用することがで
きる。
【0005】しかしながら、これらのNi−W系合金を
素材として用いた熱間ダイスにおいて問題となっている
のは、加熱冷却の繰り返し熱サイクルによるダイス表面
での亀裂(熱亀裂)の発生である。割れはα−W相に発
生し、それらが進展、合体し、亀裂に到る。従って、W
の含有量を増加させて高温強度を高めた場合はα−W相
の分散量が多いため熱亀裂が生じやすく、特に粗大なα
−W相が分散している場合は、その傾向が一層顕著にな
る。
素材として用いた熱間ダイスにおいて問題となっている
のは、加熱冷却の繰り返し熱サイクルによるダイス表面
での亀裂(熱亀裂)の発生である。割れはα−W相に発
生し、それらが進展、合体し、亀裂に到る。従って、W
の含有量を増加させて高温強度を高めた場合はα−W相
の分散量が多いため熱亀裂が生じやすく、特に粗大なα
−W相が分散している場合は、その傾向が一層顕著にな
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、加熱冷却の繰り返し熱サイクルを受けても表
面に亀裂が発生しにくく、工具寿命の長い熱間ダイスを
提供することを目的としてなされたものである。
を解決し、加熱冷却の繰り返し熱サイクルを受けても表
面に亀裂が発生しにくく、工具寿命の長い熱間ダイスを
提供することを目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明者らは、ダイスの表層を溶融した後、急速に
冷却凝固することにより、表層の組織を微細化し、α−
W相の存在に起因して発生する割れを防止することの可
能性について検討した。
め、本発明者らは、ダイスの表層を溶融した後、急速に
冷却凝固することにより、表層の組織を微細化し、α−
W相の存在に起因して発生する割れを防止することの可
能性について検討した。
【0008】材料の表層を電気アーク、レーザー光線、
電子ビームなどを用いて溶融した後、急速凝固組織を形
成することにより表面改質を行う技術については、種々
検討されており、例えば、ステンレス鋼の表面にレーザ
ー光線を照射することにより粒界におけるCr炭化物の
析出が抑制され、粒界腐食の防止が可能であるという報
告がなされている(「溶接技術」Vol.38、No.
8(1990年8月)71〜74頁)。また、球状黒鉛
鋳鉄のチル組織形成による耐摩耗性の改善にも応用され
ており、アモルファス化についての研究発表もなされて
いる。
電子ビームなどを用いて溶融した後、急速凝固組織を形
成することにより表面改質を行う技術については、種々
検討されており、例えば、ステンレス鋼の表面にレーザ
ー光線を照射することにより粒界におけるCr炭化物の
析出が抑制され、粒界腐食の防止が可能であるという報
告がなされている(「溶接技術」Vol.38、No.
8(1990年8月)71〜74頁)。また、球状黒鉛
鋳鉄のチル組織形成による耐摩耗性の改善にも応用され
ており、アモルファス化についての研究発表もなされて
いる。
【0009】本発明者らは、上記の課題を解決するため
にこの表面改質技術の応用を試みたのであるが、合金の
組成、溶融層の厚み、溶融方法、冷却速度の確保等につ
いて詳細な検討を重ねた結果、加熱冷却の繰り返しによ
り表面に発生する熱亀裂の防止が可能であることを確認
し、本発明をなすに至った。
にこの表面改質技術の応用を試みたのであるが、合金の
組成、溶融層の厚み、溶融方法、冷却速度の確保等につ
いて詳細な検討を重ねた結果、加熱冷却の繰り返しによ
り表面に発生する熱亀裂の防止が可能であることを確認
し、本発明をなすに至った。
【0010】本発明の要旨は、下記の熱間ダイスにあ
る。
る。
【0011】重量%で、Ni:30〜60%およびW:
40〜70%を含み、α−W相が分散している金属組織
を有する熱間ダイスであって、その表層に、入熱量を1
5000〜30000J/cm、予熱およびパス間温度
を200℃以下とし、かつ溶融速度を15cm/min
以下として溶融した後、急速凝固させる表面改質が施さ
れていることを特徴とする熱間ダイス。
40〜70%を含み、α−W相が分散している金属組織
を有する熱間ダイスであって、その表層に、入熱量を1
5000〜30000J/cm、予熱およびパス間温度
を200℃以下とし、かつ溶融速度を15cm/min
以下として溶融した後、急速凝固させる表面改質が施さ
れていることを特徴とする熱間ダイス。
【0012】
【発明の実施の形態】上記本発明によって前記の課題が
どのように解決されるか、以下に説明する。
どのように解決されるか、以下に説明する。
【0013】本発明の熱間ダイスは、Ni:30〜60
%およびW:40〜70%を含む合金が素材として用い
られたものである。これは以下の理由による。
%およびW:40〜70%を含む合金が素材として用い
られたものである。これは以下の理由による。
【0014】図2に示したNi−W二元系状態図にみら
れるように、Wが約40%以上で凝固時に他元素を固溶
せず、純Wに近い相であるα−W相が晶出する。その他
の相は、NiにWが最大約40%固溶したNi固溶体で
ある。また、融点はW含有量が40〜45%で1500
℃、45%を超えると次第に上昇し、70%で2200
℃となる。このように、ダイスの高温強度を一段と高め
る上で有効なα−W相を晶出させるためには、Wの含有
量を40%以上(Ni含有量は60%以下)とすること
が必要であり、また、Wが70%を超えて含まれると
(Niは30%未満)、融点が2200℃を超えて溶融
が困難となる。従って、Wの含有量は40〜70%(N
iは60〜30%)とする。
れるように、Wが約40%以上で凝固時に他元素を固溶
せず、純Wに近い相であるα−W相が晶出する。その他
の相は、NiにWが最大約40%固溶したNi固溶体で
ある。また、融点はW含有量が40〜45%で1500
℃、45%を超えると次第に上昇し、70%で2200
℃となる。このように、ダイスの高温強度を一段と高め
る上で有効なα−W相を晶出させるためには、Wの含有
量を40%以上(Ni含有量は60%以下)とすること
が必要であり、また、Wが70%を超えて含まれると
(Niは30%未満)、融点が2200℃を超えて溶融
が困難となる。従って、Wの含有量は40〜70%(N
iは60〜30%)とする。
【0015】本発明の熱間ダイスにはNiおよびW以外
の合金成分が含まれていてもよい。
の合金成分が含まれていてもよい。
【0016】α−W相に固溶する元素(Wと全率固溶す
る元素)としてはCr、Mo、Nb、Ta、V、Ti等
があり、これらの元素はα−W相の生成についてはWと
等価と考えられるので、Wとそれらの元素の合計が40
〜70%であればよい。また、Ni固溶体に固溶する元
素(α−W相にあまり固溶しない元素)としてCo、F
e、Si、Al、Zr等があり、これらの元素はNiと
等価と考えと考えられるので、Niとそれらの元素の合
計が60〜30%であればよい。
る元素)としてはCr、Mo、Nb、Ta、V、Ti等
があり、これらの元素はα−W相の生成についてはWと
等価と考えられるので、Wとそれらの元素の合計が40
〜70%であればよい。また、Ni固溶体に固溶する元
素(α−W相にあまり固溶しない元素)としてCo、F
e、Si、Al、Zr等があり、これらの元素はNiと
等価と考えと考えられるので、Niとそれらの元素の合
計が60〜30%であればよい。
【0017】WはNiに固溶してこれを強化する。Wの
含有量を増加していくと、前記のように固溶限以上のW
はα−W相となって分散晶出し、更に高温強度が向上す
るが、分散量が増大すると繰り返し熱サイクルによる熱
亀裂が発生し易くなる。特に、分散形態が粗大であると
有害である。
含有量を増加していくと、前記のように固溶限以上のW
はα−W相となって分散晶出し、更に高温強度が向上す
るが、分散量が増大すると繰り返し熱サイクルによる熱
亀裂が発生し易くなる。特に、分散形態が粗大であると
有害である。
【0018】本発明の熱間ダイスは、上記の組成を有
し、α−W相が分散しているダイスに対して、表層を溶
融した後、急速凝固させてα−W相を微細に再晶出させ
る表面改質処理が施されたダイスである。
し、α−W相が分散しているダイスに対して、表層を溶
融した後、急速凝固させてα−W相を微細に再晶出させ
る表面改質処理が施されたダイスである。
【0019】上記組成のダイスの表面に、電気アーク、
レーザー光線、電子ビームなどの熱源を用いてエネルギ
ーを投与すると、表層のみが溶融する。その後、熱源を
移動すると溶融部は自己冷却により急速に凝固するが、
このとき再晶出するα−W相の凝固組織は微細なデンド
ライト(樹枝状晶)組織となる。熱亀裂に対しては、α
−W相のデンドライトセルの幅が細かい方が有利であ
り、そのためには溶融深さが浅く、凝固速度が速い方が
望ましい。溶融深さを浅くし表層のみを溶融させるには
パワー密度(単位時間および単位面積当たりのエネルギ
ー(W/cm2 ))の高いエネルギーを短時間投与する
のが有効で、TIGアーク、プラズマアーク、炭素アー
クなどの電気アーク、レーザー光線、電子ビーム等を熱
源として使用することができる。
レーザー光線、電子ビームなどの熱源を用いてエネルギ
ーを投与すると、表層のみが溶融する。その後、熱源を
移動すると溶融部は自己冷却により急速に凝固するが、
このとき再晶出するα−W相の凝固組織は微細なデンド
ライト(樹枝状晶)組織となる。熱亀裂に対しては、α
−W相のデンドライトセルの幅が細かい方が有利であ
り、そのためには溶融深さが浅く、凝固速度が速い方が
望ましい。溶融深さを浅くし表層のみを溶融させるには
パワー密度(単位時間および単位面積当たりのエネルギ
ー(W/cm2 ))の高いエネルギーを短時間投与する
のが有効で、TIGアーク、プラズマアーク、炭素アー
クなどの電気アーク、レーザー光線、電子ビーム等を熱
源として使用することができる。
【0020】凝固組織のデンドライトセルの微細化は融
点での冷却速度により決まるが、表面溶融層の融点での
冷却速度の測定は困難である。そこで、凝固後の高温
(1200℃)における冷却速度を指標とし、凝固組織
と熱亀裂の発生との関連を検討した結果、1200℃で
50℃/秒以上の冷却速度が確保されれば、デンドライ
トセル幅は10μm以下となり、熱亀裂が発生しにくく
なることが判明した。
点での冷却速度により決まるが、表面溶融層の融点での
冷却速度の測定は困難である。そこで、凝固後の高温
(1200℃)における冷却速度を指標とし、凝固組織
と熱亀裂の発生との関連を検討した結果、1200℃で
50℃/秒以上の冷却速度が確保されれば、デンドライ
トセル幅は10μm以下となり、熱亀裂が発生しにくく
なることが判明した。
【0021】熱間ダイスのような熱間工具の表面は高温
の被加工材と接し、加工完了後、放冷または水冷される
ので、急速な加熱、冷却を繰り返し受けることとなり、
熱亀裂が発生する。したがって、表面改質する層の厚
み、すなわち溶融深さは、前記の急速な加熱、冷却を受
けて温度変化する表層部分を含む必要がある。必要な厚
みが確保されていないと溶融層の下の非改質部(ダイス
の内部側)で亀裂が発生するからである。この必要な厚
みは熱間工具の種類により異なるが、一般的には2mm
程度である。
の被加工材と接し、加工完了後、放冷または水冷される
ので、急速な加熱、冷却を繰り返し受けることとなり、
熱亀裂が発生する。したがって、表面改質する層の厚
み、すなわち溶融深さは、前記の急速な加熱、冷却を受
けて温度変化する表層部分を含む必要がある。必要な厚
みが確保されていないと溶融層の下の非改質部(ダイス
の内部側)で亀裂が発生するからである。この必要な厚
みは熱間工具の種類により異なるが、一般的には2mm
程度である。
【0022】必要な溶融深さを確保するためには、入熱
量、すなわち用いる熱源による単位長さあたりの投与熱
量が15000J/cm以上であることが必要である。
量、すなわち用いる熱源による単位長さあたりの投与熱
量が15000J/cm以上であることが必要である。
【0023】一方、前記の冷却速度の点から入熱量には
上限がある。冷却速度は入熱量と予熱およびパス間温度
により決まり、1200℃で50℃/秒以上の冷却速度
を確保するためには、入熱量を30000J/cm以下
とし、予熱およびパス間温度を200℃以下とすること
が必要である。
上限がある。冷却速度は入熱量と予熱およびパス間温度
により決まり、1200℃で50℃/秒以上の冷却速度
を確保するためには、入熱量を30000J/cm以下
とし、予熱およびパス間温度を200℃以下とすること
が必要である。
【0024】更に、溶融速度(トーチ走行速度)を15
cm/min以下として溶融することが必要である。本
発明の熱間ダイスは、Ni−W固溶体と塊状のα−W相
からなる母材を均一な溶融状態にした後、急速に冷却し
て熱亀裂が発生しにくい微細なα−W相を晶出させたも
のであって、溶融時にNi−W固溶体のみが溶融して、
α−W相が固体のまま残存していてはその目的が達成さ
れない。従って、α−W相を十分に溶解するには、溶融
状態のNi−W固溶体中にα−W相を一定時間滞留させ
ることが必要になる。いま、溶融速度(トーチ走行速
度)をvcm/min、溶融池の長さをl(エル)mm
とすると、溶融池の任意のある点の溶融時間は6×l/
v秒となる。lは入熱量と予熱およびパス間温度により
決定されるので、前記の入熱量と予熱およびパス間温度
の範囲で、α−W相を十分に溶解するために必要なvを
求めると、15cm/min以下となる。
cm/min以下として溶融することが必要である。本
発明の熱間ダイスは、Ni−W固溶体と塊状のα−W相
からなる母材を均一な溶融状態にした後、急速に冷却し
て熱亀裂が発生しにくい微細なα−W相を晶出させたも
のであって、溶融時にNi−W固溶体のみが溶融して、
α−W相が固体のまま残存していてはその目的が達成さ
れない。従って、α−W相を十分に溶解するには、溶融
状態のNi−W固溶体中にα−W相を一定時間滞留させ
ることが必要になる。いま、溶融速度(トーチ走行速
度)をvcm/min、溶融池の長さをl(エル)mm
とすると、溶融池の任意のある点の溶融時間は6×l/
v秒となる。lは入熱量と予熱およびパス間温度により
決定されるので、前記の入熱量と予熱およびパス間温度
の範囲で、α−W相を十分に溶解するために必要なvを
求めると、15cm/min以下となる。
【0025】ダイスの表層に実際に溶融処理を施すに
は、電気アーク、レーザー光線、電子ビームなどパワー
密度の高いエネルギーをダイスの表面に照射しつつ照射
部位を移動させ、ダイスの表層を線状に溶融し、順次溶
融部(これを「パス」という)を重ねて所定の領域に溶
融部を形成していけばよい。
は、電気アーク、レーザー光線、電子ビームなどパワー
密度の高いエネルギーをダイスの表面に照射しつつ照射
部位を移動させ、ダイスの表層を線状に溶融し、順次溶
融部(これを「パス」という)を重ねて所定の領域に溶
融部を形成していけばよい。
【0026】上述したように、本発明の熱間ダイスは、
所定の化学組成を有する素材からなり、かつ上記のよう
な表面改質処理が施された結果、表層部がα−W相の微
細なデンドライト(樹枝状晶)組織となっているので、
加熱冷却の繰り返し熱サイクルを受けても表面に熱亀裂
が発生しにくい。なお、上記の表面改質処理は、熱間ダ
イスに限らず、α−W相に起因する熱亀裂が生じやすい
他の熱間工具にも勿論適用することができる。
所定の化学組成を有する素材からなり、かつ上記のよう
な表面改質処理が施された結果、表層部がα−W相の微
細なデンドライト(樹枝状晶)組織となっているので、
加熱冷却の繰り返し熱サイクルを受けても表面に熱亀裂
が発生しにくい。なお、上記の表面改質処理は、熱間ダ
イスに限らず、α−W相に起因する熱亀裂が生じやすい
他の熱間工具にも勿論適用することができる。
【0027】
【実施例】図1に示す形状のシームレス鋼管熱間押し出
し用ダイスを用いてSUS304シームレス鋼管(外
径:60.5mm、肉厚:3.9mm、長さ:20m)
を製管し、ダイスのビレットと接する内面に亀裂が発生
するまでの製管回数を調査した。押し出し温度(ビレッ
ト温度)は1200℃である。
し用ダイスを用いてSUS304シームレス鋼管(外
径:60.5mm、肉厚:3.9mm、長さ:20m)
を製管し、ダイスのビレットと接する内面に亀裂が発生
するまでの製管回数を調査した。押し出し温度(ビレッ
ト温度)は1200℃である。
【0028】ダイスは表1に示す組成を有するNi−4
5%W合金の鍛造品で、ビレットと接する内面全面を表
2に示す条件でTIGアークによって溶融処理し、その
後、溶融深さを確保しつつ内面を図1に示した形状に機
械加工したものである。それぞれのダイスの溶融深さを
表2に示した。
5%W合金の鍛造品で、ビレットと接する内面全面を表
2に示す条件でTIGアークによって溶融処理し、その
後、溶融深さを確保しつつ内面を図1に示した形状に機
械加工したものである。それぞれのダイスの溶融深さを
表2に示した。
【0029】調査結果を表2に併せて示す。この結果か
ら明かなように、本発明で定める条件で溶融処理を施し
たダイスでは製管回数が30回に達しても亀裂の発生は
認められなかった。
ら明かなように、本発明で定める条件で溶融処理を施し
たダイスでは製管回数が30回に達しても亀裂の発生は
認められなかった。
【0030】これに対して、入熱量またはパス間温度が
本発明で規定する条件を超えるダイス(No.1、13
および14)ではα−W相が微細に晶出せず、製管回数
が12回もしくはそれ以下で熱亀裂が発生した。入熱量
が過小で必要な溶融深さが得られなかった場合(No.
10)は、溶融処理層の下層部で熱亀裂が発生し、その
亀裂が表面にまで達した。また、溶融速度(トーチ走行
速度)が規定を超えたダイス(No.18)ではα−W
相が溶融処理後も固体のまま残存していて表面改質の目
的が達成されず、やはり熱亀裂が発生した。
本発明で規定する条件を超えるダイス(No.1、13
および14)ではα−W相が微細に晶出せず、製管回数
が12回もしくはそれ以下で熱亀裂が発生した。入熱量
が過小で必要な溶融深さが得られなかった場合(No.
10)は、溶融処理層の下層部で熱亀裂が発生し、その
亀裂が表面にまで達した。また、溶融速度(トーチ走行
速度)が規定を超えたダイス(No.18)ではα−W
相が溶融処理後も固体のまま残存していて表面改質の目
的が達成されず、やはり熱亀裂が発生した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】本発明の熱間ダイスは、表層部がα−W
相の微細なデンドライト(樹枝状晶)組織となっている
ので、加熱冷却の繰り返し熱サイクルを受けても表面に
熱亀裂が発生しにくく、従来のものに比べて工具寿命が
格段に長い。
相の微細なデンドライト(樹枝状晶)組織となっている
ので、加熱冷却の繰り返し熱サイクルを受けても表面に
熱亀裂が発生しにくく、従来のものに比べて工具寿命が
格段に長い。
【図1】実施例で用いたシームレス鋼管の熱間押し出し
用ダイスの形状を示す断面図である。
用ダイスの形状を示す断面図である。
【図2】Ni−W二元系状態図である。
Claims (1)
- 【請求項1】重量%で、Ni:30〜60%およびW:
40〜70%を含み、α−W相が分散している金属組織
を有する熱間ダイスであって、その表層に、入熱量を1
5000〜30000J/cm、予熱およびパス間温度
を200℃以下とし、かつ溶融速度を15cm/min
以下として溶融した後、急速凝固させる表面改質が施さ
れていることを特徴とする熱間ダイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21168495A JPH0953140A (ja) | 1995-08-21 | 1995-08-21 | 熱間ダイス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21168495A JPH0953140A (ja) | 1995-08-21 | 1995-08-21 | 熱間ダイス |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0953140A true JPH0953140A (ja) | 1997-02-25 |
Family
ID=16609880
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21168495A Pending JPH0953140A (ja) | 1995-08-21 | 1995-08-21 | 熱間ダイス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0953140A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016068134A (ja) * | 2014-09-30 | 2016-05-09 | 日立金属株式会社 | 鍛造用金型及びその製造方法 |
CN111304496A (zh) * | 2020-03-30 | 2020-06-19 | 重庆市北碚区阿尔发合金材料研究所 | 一种钕铁硼磁体热压模具用镍基变形高温合金 |
-
1995
- 1995-08-21 JP JP21168495A patent/JPH0953140A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016068134A (ja) * | 2014-09-30 | 2016-05-09 | 日立金属株式会社 | 鍛造用金型及びその製造方法 |
CN111304496A (zh) * | 2020-03-30 | 2020-06-19 | 重庆市北碚区阿尔发合金材料研究所 | 一种钕铁硼磁体热压模具用镍基变形高温合金 |
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