JPH093582A - 強度および靭性に優れたアルミニウム合金鋳物およびその製造方法 - Google Patents
強度および靭性に優れたアルミニウム合金鋳物およびその製造方法Info
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- JPH093582A JPH093582A JP17542095A JP17542095A JPH093582A JP H093582 A JPH093582 A JP H093582A JP 17542095 A JP17542095 A JP 17542095A JP 17542095 A JP17542095 A JP 17542095A JP H093582 A JPH093582 A JP H093582A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 Mg:3.0〜5.5 %、Zn:1.0〜2.0 %(Mg
/Zn:1.5 〜5.5 )、Mn:0.05 〜1.0 %、Cu:0.0
5 〜0.8 %、Fe:0.10 〜0.8 %を含有し、残部Alお
よび不可避的不純物からなり、合金マトリックス中に晶
出物が球状化して分散している。高圧鋳造を適用して製
造するのが好ましい。 【効果】 熱処理を施すことなく、鋳造状態のままでも
高強度、高靭性を有するアルミニウム合金鋳物が得られ
る。当該アルミニウム合金鋳物は、とくに自動車足廻り
部品用などとして有用である。
/Zn:1.5 〜5.5 )、Mn:0.05 〜1.0 %、Cu:0.0
5 〜0.8 %、Fe:0.10 〜0.8 %を含有し、残部Alお
よび不可避的不純物からなり、合金マトリックス中に晶
出物が球状化して分散している。高圧鋳造を適用して製
造するのが好ましい。 【効果】 熱処理を施すことなく、鋳造状態のままでも
高強度、高靭性を有するアルミニウム合金鋳物が得られ
る。当該アルミニウム合金鋳物は、とくに自動車足廻り
部品用などとして有用である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強度および靭性に優れ
たアルミニウム合金鋳物およびその製造方法、とくに熱
処理を加えることなく鋳造のままで高強度、高靭性を得
ることを可能とし、自動車用部品として好適に使用でき
るAl−Mg系のアルミニウム合金鋳物およびその製造
方法に関する。
たアルミニウム合金鋳物およびその製造方法、とくに熱
処理を加えることなく鋳造のままで高強度、高靭性を得
ることを可能とし、自動車用部品として好適に使用でき
るAl−Mg系のアルミニウム合金鋳物およびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用部品の軽量化を目的として、ア
ルミニウム合金が多く使用されるようになっている。自
動車用部品には、その使用個所に応じて種々の特性が必
要とされるが、とくに自動車足廻り用部品には、強度お
よび靭性が要求されるため、従来、展伸用アルミニウム
合金鍛造品の熱処理材(焼入れ・焼戻し材)やアルミニ
ウム合金鋳物の熱処理材が用いられている。
ルミニウム合金が多く使用されるようになっている。自
動車用部品には、その使用個所に応じて種々の特性が必
要とされるが、とくに自動車足廻り用部品には、強度お
よび靭性が要求されるため、従来、展伸用アルミニウム
合金鍛造品の熱処理材(焼入れ・焼戻し材)やアルミニ
ウム合金鋳物の熱処理材が用いられている。
【0003】アルミニウム合金鍛造品の製造は、とくに
複雑な形状の鍛造品においては割れや形状不良が生じ易
いため、鍛造加工後、焼鈍による軟化処理を行い、また
鍛造加工するという鍛造−軟化の工程を繰り返さなけれ
ばならず、工程が長くなり製造コストが増加する。熱処
理のため、焼入れを行うと、とくに薄肉部を有する製品
などの場合には熱歪みが生じ易く、成分組成によっては
局部溶解も生じて、製品間に寸法や品質のばらつきが発
生するという難点もある。
複雑な形状の鍛造品においては割れや形状不良が生じ易
いため、鍛造加工後、焼鈍による軟化処理を行い、また
鍛造加工するという鍛造−軟化の工程を繰り返さなけれ
ばならず、工程が長くなり製造コストが増加する。熱処
理のため、焼入れを行うと、とくに薄肉部を有する製品
などの場合には熱歪みが生じ易く、成分組成によっては
局部溶解も生じて、製品間に寸法や品質のばらつきが発
生するという難点もある。
【0004】熱処理用アルミニウム合金鋳物として、例
えば、Mg2.5 〜4.5 %、Si0.1〜1.0 %、Mn1.0
%以下、Ti0.05〜0.3 %、B0.02%以下、Fe1.0 %
以下、Be0.001 〜0.1 %を含有し、Zn0.1 〜1.5
%、Cu0.1 〜0.5 %、Cd0.05〜0.5 %のうちの少な
くとも1種を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物
からなる合金鋳物が提案されている。(特開昭62-89849
号公報) このアルミニウム合金鋳物は、優れた強度と延
性をそなえているが、560 〜600 ℃での溶体化処理と10
0 〜300 ℃での焼戻し処理を必須とするものであるか
ら、上記の問題点を解決することはできない。
えば、Mg2.5 〜4.5 %、Si0.1〜1.0 %、Mn1.0
%以下、Ti0.05〜0.3 %、B0.02%以下、Fe1.0 %
以下、Be0.001 〜0.1 %を含有し、Zn0.1 〜1.5
%、Cu0.1 〜0.5 %、Cd0.05〜0.5 %のうちの少な
くとも1種を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物
からなる合金鋳物が提案されている。(特開昭62-89849
号公報) このアルミニウム合金鋳物は、優れた強度と延
性をそなえているが、560 〜600 ℃での溶体化処理と10
0 〜300 ℃での焼戻し処理を必須とするものであるか
ら、上記の問題点を解決することはできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、自動車用部
品などの用途に使用され、開発されているアルミニウム
合金鍛造品やアルミニウム合金鋳物の熱処理材における
上記従来の問題点を解消するために、とくにAl−Mg
系合金鋳物に着目し、含有成分の組合わせ、鋳造方式と
組織性状、強度特性との関連性について多角的な実験、
検討を行った結果としてなされたものであり、その目的
は、熱処理を施すことなく、鋳造のままの状態でも、優
れた強度および靭性を得ることを可能としたアルミニウ
ム合金鋳物およびその製造方法を提供することにある。
品などの用途に使用され、開発されているアルミニウム
合金鍛造品やアルミニウム合金鋳物の熱処理材における
上記従来の問題点を解消するために、とくにAl−Mg
系合金鋳物に着目し、含有成分の組合わせ、鋳造方式と
組織性状、強度特性との関連性について多角的な実験、
検討を行った結果としてなされたものであり、その目的
は、熱処理を施すことなく、鋳造のままの状態でも、優
れた強度および靭性を得ることを可能としたアルミニウ
ム合金鋳物およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による強度および靭性に優れたアルミニウム
合金鋳物は、Mg:3.0〜5.5 %、Zn:1.0〜2.0 %(M
g/Zn:1.5 〜5.5)、Mn:0.05 〜1.0 %、Cu:0.0
5 〜0.8 %、Fe:0.10 〜0.8 %を含有し、残部Alお
よび不可避的不純物からなり、合金マトリックス中の晶
出物が球状化して分散していることを構成上の特徴とす
る。
めの本発明による強度および靭性に優れたアルミニウム
合金鋳物は、Mg:3.0〜5.5 %、Zn:1.0〜2.0 %(M
g/Zn:1.5 〜5.5)、Mn:0.05 〜1.0 %、Cu:0.0
5 〜0.8 %、Fe:0.10 〜0.8 %を含有し、残部Alお
よび不可避的不純物からなり、合金マトリックス中の晶
出物が球状化して分散していることを構成上の特徴とす
る。
【0007】また、本発明による強度および靭性に優れ
たアルミニウム合金鋳物の製造方法は、Mg3.0 〜5.5
%、Zn:1.0〜2.0 %(Mg/Zn:1.5 〜5.5 )、M
n:0.05 〜1.0 %、Cu0.05〜0.8 %、Fe:0.10 〜0.
8 %を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる
アルミニウム合金を、圧力50〜150 MPaで高圧鋳造す
ることを特徴とする。
たアルミニウム合金鋳物の製造方法は、Mg3.0 〜5.5
%、Zn:1.0〜2.0 %(Mg/Zn:1.5 〜5.5 )、M
n:0.05 〜1.0 %、Cu0.05〜0.8 %、Fe:0.10 〜0.
8 %を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる
アルミニウム合金を、圧力50〜150 MPaで高圧鋳造す
ることを特徴とする。
【0008】本発明における合金成分の意義およびそれ
らの限定理由について説明すると、Mg、Zn、Cu
は、鋳造時、アルミニウムマトリックス中に固溶あるい
は微細に析出し、合金の強度特性を向上させるものであ
り、これらの成分を共存させることは本発明においてき
わめて重要である。これらの元素は、鋳造時、比較的粗
大な化合物としても晶出物するが、これらの晶出物を連
続した状態で存在させず、球状化してマトリックス中に
分散させることにより合金の靭性、延性を改善するのが
本発明の特徴である。
らの限定理由について説明すると、Mg、Zn、Cu
は、鋳造時、アルミニウムマトリックス中に固溶あるい
は微細に析出し、合金の強度特性を向上させるものであ
り、これらの成分を共存させることは本発明においてき
わめて重要である。これらの元素は、鋳造時、比較的粗
大な化合物としても晶出物するが、これらの晶出物を連
続した状態で存在させず、球状化してマトリックス中に
分散させることにより合金の靭性、延性を改善するのが
本発明の特徴である。
【0009】Mg、Zn、Cuの好ましい含有範囲は、
Mgが3.0 〜5.5 %、Znが1.0 〜2.0 %、Cuが0.05
〜0.8 %であり、これらの元素の含有量がいずれも下限
未満では強度向上の効果が十分でなく、上限を越えて含
有すると、晶出物は球状化しても、晶出物の量が著しく
増加して靭性が損なわれる。Mg、Zn、Cuのさらに
好ましい含有範囲は、Znが4.0 〜5.0 %、Znが1.3
〜1.7 %、Cuが0.3〜0.7 %である。本発明において
は、また、合金成分のMgとZnの含有量の限界値から
計算されるMg含有量とZn含有量の比率(Mg/Z
n)が1.5 〜5.5であり、この範囲において、鋳造した
ままの状態でも晶出物が球状化し易く、靭性の低下が抑
制される。
Mgが3.0 〜5.5 %、Znが1.0 〜2.0 %、Cuが0.05
〜0.8 %であり、これらの元素の含有量がいずれも下限
未満では強度向上の効果が十分でなく、上限を越えて含
有すると、晶出物は球状化しても、晶出物の量が著しく
増加して靭性が損なわれる。Mg、Zn、Cuのさらに
好ましい含有範囲は、Znが4.0 〜5.0 %、Znが1.3
〜1.7 %、Cuが0.3〜0.7 %である。本発明において
は、また、合金成分のMgとZnの含有量の限界値から
計算されるMg含有量とZn含有量の比率(Mg/Z
n)が1.5 〜5.5であり、この範囲において、鋳造した
ままの状態でも晶出物が球状化し易く、靭性の低下が抑
制される。
【0010】Mnは、鋳造時、アルミニウムマトリック
ス中に固溶し、合金の強度を高める機能を有するととも
に、合金の靭性を阻害する針状のFe化合物を球状化し
て、靭性を改善するよう作用する。好ましい含有量は0.
05〜1.0 %の範囲で、0.05%未満では強度向上およびF
e化合物球状化の効果が小さく、1.0 %を越えると、M
n系化合物の増加により靭性、延性が低下する。Mnの
さらに好ましい含有量は0.3 〜0.7 %の範囲である。
ス中に固溶し、合金の強度を高める機能を有するととも
に、合金の靭性を阻害する針状のFe化合物を球状化し
て、靭性を改善するよう作用する。好ましい含有量は0.
05〜1.0 %の範囲で、0.05%未満では強度向上およびF
e化合物球状化の効果が小さく、1.0 %を越えると、M
n系化合物の増加により靭性、延性が低下する。Mnの
さらに好ましい含有量は0.3 〜0.7 %の範囲である。
【0011】Feは、合金の鋳造時、金型へのアルミニ
ウム合金溶湯の焼き付きを防止する作用を有する。好ま
しい含有範囲は0.10〜0.8 %であり、0.10%未満ではそ
の効果が十分でなく、0.8 %を越えるとFe化合物が増
加して靭性が損なわれる。さらに好ましいFeの含有範
囲は0.2 〜0.7 %である。なお、本発明においては、上
記の必須成分元素の他、通常のアルミニウム合金鋳物と
同様、0.1 %以下のTi、0.02%以下のB、5ppm以下の
Be、1.0 %以下のNi、0.6 %以下のVなどの添加に
よりその特性を改善することができる。また不純物とし
てのSiは1.0%以下の範囲で含まれていても本発明の
合金の特性に影響することはない。
ウム合金溶湯の焼き付きを防止する作用を有する。好ま
しい含有範囲は0.10〜0.8 %であり、0.10%未満ではそ
の効果が十分でなく、0.8 %を越えるとFe化合物が増
加して靭性が損なわれる。さらに好ましいFeの含有範
囲は0.2 〜0.7 %である。なお、本発明においては、上
記の必須成分元素の他、通常のアルミニウム合金鋳物と
同様、0.1 %以下のTi、0.02%以下のB、5ppm以下の
Be、1.0 %以下のNi、0.6 %以下のVなどの添加に
よりその特性を改善することができる。また不純物とし
てのSiは1.0%以下の範囲で含まれていても本発明の
合金の特性に影響することはない。
【0012】本発明のアルミニウム合金鋳物は、通常の
金型鋳造を行い、その後、焼入れ、焼戻し処理を施すこ
とによっても所期の強度特性を得ることはできるが、マ
トリックス中に分散する晶出物の球状化を促進して、靭
性、延性向上の効果を高めるためには、溶湯鍛造などの
高圧鋳造方式を適用するのが好ましい。好ましい鋳造温
度は660 〜900 ℃、とくに好ましい温度は750 〜850 ℃
の範囲であり、圧力は50〜150 MPa、好ましくは70〜
120 MPaの範囲である。
金型鋳造を行い、その後、焼入れ、焼戻し処理を施すこ
とによっても所期の強度特性を得ることはできるが、マ
トリックス中に分散する晶出物の球状化を促進して、靭
性、延性向上の効果を高めるためには、溶湯鍛造などの
高圧鋳造方式を適用するのが好ましい。好ましい鋳造温
度は660 〜900 ℃、とくに好ましい温度は750 〜850 ℃
の範囲であり、圧力は50〜150 MPa、好ましくは70〜
120 MPaの範囲である。
【0013】
【作用】本発明においては、とくにMg、Zn、Cuの
共存、Mnの含有、MgとZnの含有量比率の特定によ
り、合金マトリックス中に晶出物が球状化して分散した
組織性状として、強度特性、とくに靭性を向上させ、鋳
造後に熱処理を施すことなく、鋳造したままの状態でも
優れた強度、靭性が達成される。晶出物の球状化の効果
は、高圧鋳造方式によってさらに効果的に促進され、高
強度、高靭性のアルミニウム合金鋳物が確実に得られ
る。
共存、Mnの含有、MgとZnの含有量比率の特定によ
り、合金マトリックス中に晶出物が球状化して分散した
組織性状として、強度特性、とくに靭性を向上させ、鋳
造後に熱処理を施すことなく、鋳造したままの状態でも
優れた強度、靭性が達成される。晶出物の球状化の効果
は、高圧鋳造方式によってさらに効果的に促進され、高
強度、高靭性のアルミニウム合金鋳物が確実に得られ
る。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。 実施例1 表1に示す組成のアルミニウム合金を、溶湯鍛造法(鋳
造温度:800℃、鋳造圧力:100MPa)により、厚さ25m
m、幅25mm、長さ250mm の鋳物に鋳造したのち、JIS
4号引張試験片およびJIS3号シャルピー試験片に成
形し、機械的性質および靭性を評価した。
明する。 実施例1 表1に示す組成のアルミニウム合金を、溶湯鍛造法(鋳
造温度:800℃、鋳造圧力:100MPa)により、厚さ25m
m、幅25mm、長さ250mm の鋳物に鋳造したのち、JIS
4号引張試験片およびJIS3号シャルピー試験片に成
形し、機械的性質および靭性を評価した。
【0015】結果を表1に示す。表1に示されるよう
に、本発明に従う試験材No.1〜7 はいずれも、6061鍛造
材( T6処理材)と同等の優れた強度、靭性を示し、A3
56鋳造材に比べ、とくに靭性において優れている。な
お、試験材No.1について、その組織を顕微鏡で観察した
ところ、図1に示すように、球状化した晶出物がマトリ
ックス中に均一の分散しているのが認められた。一方、
試験材No.1と同一組成の合金を金型鋳造( 無負荷鋳造)
して得られた鋳物のミクロ組織には、図2に示すよう
に、晶出物が連続した状態で存在しているのが観察され
た。
に、本発明に従う試験材No.1〜7 はいずれも、6061鍛造
材( T6処理材)と同等の優れた強度、靭性を示し、A3
56鋳造材に比べ、とくに靭性において優れている。な
お、試験材No.1について、その組織を顕微鏡で観察した
ところ、図1に示すように、球状化した晶出物がマトリ
ックス中に均一の分散しているのが認められた。一方、
試験材No.1と同一組成の合金を金型鋳造( 無負荷鋳造)
して得られた鋳物のミクロ組織には、図2に示すよう
に、晶出物が連続した状態で存在しているのが観察され
た。
【0016】
【表1】
【0017】比較例1 表2に示す組成のアルミニウム合金を、実施例1と同一
条件で溶湯鍛造し、実施例1と同じ寸法の鋳物に鋳造し
たのち、JIS4号引張試験片およびJIS3号シャル
ピー試験片を成形し、機械的性質および靭性を評価し
た。結果を表2に示す。なお、表2において、本発明の
条件を外れたものには下線を付した。
条件で溶湯鍛造し、実施例1と同じ寸法の鋳物に鋳造し
たのち、JIS4号引張試験片およびJIS3号シャル
ピー試験片を成形し、機械的性質および靭性を評価し
た。結果を表2に示す。なお、表2において、本発明の
条件を外れたものには下線を付した。
【0018】
【表2】
【0019】表2に示されるように、試験材No.11 は、
MgおよびZnの含有量が上限を越えているため延性お
よび靭性が劣る。試験材No.12 はMgおよびZnの含有
量が少ないため強度が低い。試験材No.13 はMn量が少
ないため、また試験材No.14、No.16 は、それぞれMn
およびCuの含有量が上限を越えているため、延性、靭
性が低下し、試験材No.15 はCu量が少ないため強度が
低い。試験材No.17 はZn含有量が低い(Mg/Zn:
7) ため、強度、靭性が劣る。
MgおよびZnの含有量が上限を越えているため延性お
よび靭性が劣る。試験材No.12 はMgおよびZnの含有
量が少ないため強度が低い。試験材No.13 はMn量が少
ないため、また試験材No.14、No.16 は、それぞれMn
およびCuの含有量が上限を越えているため、延性、靭
性が低下し、試験材No.15 はCu量が少ないため強度が
低い。試験材No.17 はZn含有量が低い(Mg/Zn:
7) ため、強度、靭性が劣る。
【0020】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、優れた
強度および靭性をそなえ、とくに自動車用足廻り部品な
どに好適に使用されるアルミニウム合金鋳物が得られ
る。当該アルミニウム合金鋳物は、熱処理を施すことな
く、鋳造状態のままでも優れた強度、靭性をそなえたも
のとなるから、鍛造加工、熱処理に伴う問題点が解消さ
れ、工程の短縮、製造コストの低減を図ることが可能と
なる。
強度および靭性をそなえ、とくに自動車用足廻り部品な
どに好適に使用されるアルミニウム合金鋳物が得られ
る。当該アルミニウム合金鋳物は、熱処理を施すことな
く、鋳造状態のままでも優れた強度、靭性をそなえたも
のとなるから、鍛造加工、熱処理に伴う問題点が解消さ
れ、工程の短縮、製造コストの低減を図ることが可能と
なる。
【図1】本発明によるアルミニウム合金鋳物のミクロ組
織である。
織である。
【図2】本発明の組成を有するアルミニウム合金を通常
の金型鋳造した場合のミクロ組織である。
の金型鋳造した場合のミクロ組織である。
Claims (2)
- 【請求項1】 Mg:3.0〜5.5 %(質量%、以下同
じ)、Zn:1.0〜2.0 %(Mg/Zn:1.5 〜5.5)、M
n:0.05 〜1.0 %、Cu:0.05 〜0.8 %、Fe:0.10 〜
0.8 %を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からな
り、合金マトリックス中に晶出物が球状化して分散して
いることを特徴とする強度および靭性に優れたアルミニ
ウム合金鋳物。 - 【請求項2】 Mg:3.0〜5.5 %、Zn:1.0〜2.0 %
(Mg/Zn:1.5 〜5.5 )、Mn:0.05 〜1.0 %、C
u:0.05 〜0.8 %、Fe:0.10 〜0.8 %を含有し、残部
Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金
を、圧力50〜150MPaで高圧鋳造することを特徴とす
る強度および靭性に優れたアルミニウム合金鋳物の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17542095A JPH093582A (ja) | 1995-06-19 | 1995-06-19 | 強度および靭性に優れたアルミニウム合金鋳物およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17542095A JPH093582A (ja) | 1995-06-19 | 1995-06-19 | 強度および靭性に優れたアルミニウム合金鋳物およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH093582A true JPH093582A (ja) | 1997-01-07 |
Family
ID=15995792
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17542095A Pending JPH093582A (ja) | 1995-06-19 | 1995-06-19 | 強度および靭性に優れたアルミニウム合金鋳物およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH093582A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1138794A1 (en) * | 2000-03-31 | 2001-10-04 | Corus Aluminium Voerde GmbH | Aliminium die-casting alloy |
US6955785B2 (en) * | 2002-09-05 | 2005-10-18 | Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha | Aluminum alloy for rapidly cooled welding and welding method therefor |
-
1995
- 1995-06-19 JP JP17542095A patent/JPH093582A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1138794A1 (en) * | 2000-03-31 | 2001-10-04 | Corus Aluminium Voerde GmbH | Aliminium die-casting alloy |
US6773664B2 (en) | 2000-03-31 | 2004-08-10 | Corus Aluminium Voerde Gmbh | Aluminium die-casting alloy |
US6929706B2 (en) | 2000-03-31 | 2005-08-16 | Corus Aluminium Voerde Gmbh | Aluminum die-casting alloy |
US6955785B2 (en) * | 2002-09-05 | 2005-10-18 | Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha | Aluminum alloy for rapidly cooled welding and welding method therefor |
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