JPH09292033A - メカニカルシール - Google Patents
メカニカルシールInfo
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- JPH09292033A JPH09292033A JP10775396A JP10775396A JPH09292033A JP H09292033 A JPH09292033 A JP H09292033A JP 10775396 A JP10775396 A JP 10775396A JP 10775396 A JP10775396 A JP 10775396A JP H09292033 A JPH09292033 A JP H09292033A
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Landscapes
- Mechanical Sealing (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 粘性流体中等で使用しても良好な潤滑性が得
られるようにする。 【解決手段】 天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、メソフ
ェース等の骨材と、コールタールピッチ、合成樹脂等の
結合材とを主成分とする原材料に球状カーボンを配合
し、これらを混合、混練り、成型の工程を経て所定の温
度で焼成することにより、マトリックス中に球状カーボ
ンを独立した状態で存在させる。球状カーボンによって
摺動面に複数の凸部が形成されるとともに、相手側部材
との摺動負荷によって一部の球状カーボンが摺動面から
脱落し、その部分に凹部が形成される。これらの凸部、
凹部によって摺動面の表面粗さが大きくなり、摺動面に
密封対象流体が浸入し易くなり、粘性流体中等で使用し
ても摺動面を流体潤滑条件とすることができ、摺動面の
温度上昇、トルク上昇を抑制することができる。
られるようにする。 【解決手段】 天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、メソフ
ェース等の骨材と、コールタールピッチ、合成樹脂等の
結合材とを主成分とする原材料に球状カーボンを配合
し、これらを混合、混練り、成型の工程を経て所定の温
度で焼成することにより、マトリックス中に球状カーボ
ンを独立した状態で存在させる。球状カーボンによって
摺動面に複数の凸部が形成されるとともに、相手側部材
との摺動負荷によって一部の球状カーボンが摺動面から
脱落し、その部分に凹部が形成される。これらの凸部、
凹部によって摺動面の表面粗さが大きくなり、摺動面に
密封対象流体が浸入し易くなり、粘性流体中等で使用し
ても摺動面を流体潤滑条件とすることができ、摺動面の
温度上昇、トルク上昇を抑制することができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はメカニカルシール
に関し、特に、粘性流体や潤滑性の少ない流体中等であ
っても良好な潤滑性が得られるカーボン摺動材を具えた
メカニカルシールに関するものである。
に関し、特に、粘性流体や潤滑性の少ない流体中等であ
っても良好な潤滑性が得られるカーボン摺動材を具えた
メカニカルシールに関するものである。
【0002】
【従来技術およびその問題点】一般に、カーボン材は、
黒鉛化質成分を含むために自己潤滑性が有り、耐摩耗
性、耐薬品性にも優れるため、メカニカルシールの摺動
材として広く使用されている。
黒鉛化質成分を含むために自己潤滑性が有り、耐摩耗
性、耐薬品性にも優れるため、メカニカルシールの摺動
材として広く使用されている。
【0003】しかし、このような特性を有するカーボン
材であっても、粘性流体や潤滑性の少ない流体中等で使
用した場合には、摺動面にカーボンブリスターが発生す
る虞がある。
材であっても、粘性流体や潤滑性の少ない流体中等で使
用した場合には、摺動面にカーボンブリスターが発生す
る虞がある。
【0004】カーボンブリスターは、摺動面に局部的に
1〜2μmの隆起や亀裂等が発生する現象であって、摺
動面の平坦度が失われるためにシール性に影響を与え、
摺動材としての寿命(メカニカルシールとしての寿命)
を低下させる原因となる。
1〜2μmの隆起や亀裂等が発生する現象であって、摺
動面の平坦度が失われるためにシール性に影響を与え、
摺動材としての寿命(メカニカルシールとしての寿命)
を低下させる原因となる。
【0005】カーボンブリスターの発生原因として、粘
性流体による粘性抵抗説、トルクの変動による疲労的破
壊現象説等が提唱されているが、何れの説を採るにして
も原因が多岐に渡っているため、明確な発生原因は未だ
特定されていない。
性流体による粘性抵抗説、トルクの変動による疲労的破
壊現象説等が提唱されているが、何れの説を採るにして
も原因が多岐に渡っているため、明確な発生原因は未だ
特定されていない。
【0006】カーボンブリスターの発生を抑制する対策
として、カーボン材の強度を高めたり、耐熱性に限界が
ある樹脂含浸を止めて緻密質の無含浸のものを使用した
り、シリコンカーバイドのような比較的摺動面が粗いセ
ラミックスを相手側摺動材に使用してシール液の液膜構
成を容易にして低トルク化を図ったり、摺動面に潤滑溝
を形成して摺動中に摺動面に流体を取り込み易くして低
トルク化を図ったりすること等の方法が採られている。
として、カーボン材の強度を高めたり、耐熱性に限界が
ある樹脂含浸を止めて緻密質の無含浸のものを使用した
り、シリコンカーバイドのような比較的摺動面が粗いセ
ラミックスを相手側摺動材に使用してシール液の液膜構
成を容易にして低トルク化を図ったり、摺動面に潤滑溝
を形成して摺動中に摺動面に流体を取り込み易くして低
トルク化を図ったりすること等の方法が採られている。
【0007】しかし、このような方法であっても万全で
はなく、カーボン材の強度には限界があるために使用で
きる範囲が狭い範囲内に制限されたり、相手側摺動材を
セラミックスで形成しても、使用が進むにつれて初期の
表面粗さを維持することが困難となったり、潤滑溝の加
工に多大な経費がかかるために全体としてコスト高とな
ったりする等の新たな問題が生じることになる。
はなく、カーボン材の強度には限界があるために使用で
きる範囲が狭い範囲内に制限されたり、相手側摺動材を
セラミックスで形成しても、使用が進むにつれて初期の
表面粗さを維持することが困難となったり、潤滑溝の加
工に多大な経費がかかるために全体としてコスト高とな
ったりする等の新たな問題が生じることになる。
【0008】この発明は前記のような従来のもののもつ
問題点を解決したものであって、粘性流体や潤滑性の少
ない流体中で使用した場合であっても、カーボンブリス
ターが発生する虞がほとんどなく、良好な潤滑状態が得
られるとともに、そのような良好な潤滑状態を長期的に
維持することができるカーボン摺動材を具えたメカニカ
ルシールを提供することを目的とするものである。
問題点を解決したものであって、粘性流体や潤滑性の少
ない流体中で使用した場合であっても、カーボンブリス
ターが発生する虞がほとんどなく、良好な潤滑状態が得
られるとともに、そのような良好な潤滑状態を長期的に
維持することができるカーボン摺動材を具えたメカニカ
ルシールを提供することを目的とするものである。
【0009】
【問題点を解決するための手段】上記の問題点を解決す
るためにこの発明は、回転体に装着される回転環と固定
体に装着される固定環とを具え、両環を相互に摺動接触
させることにより回転部分をシールするようになってい
るメカニカルシールにおいて、前記固定環又は回転環の
何れか一方を、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、メソフ
ェース等の骨材と、コールタールピッチ、合成樹脂等の
結合材とを主成分とする原料に硬質の球状カーボンを配
合して、これらを混合、混練り、成形の工程を経て所定
の温度で焼成することにより、マトリックス中に前記球
状カーボンを独立した状態で存在させたカーボン摺動材
で構成した手段を採用したものである。また、前記球状
カーボンの粒度は1〜50μmであり、配合比は全体の
2〜30wt%である手段を採用したものである。さら
に、前記球状カーボンは、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、フラン樹脂、ポリエステル樹脂、ナフタレン樹脂等
の合成樹脂を素材として球状に形成したものを所定の温
度で焼成してなる手段を採用したものである。
るためにこの発明は、回転体に装着される回転環と固定
体に装着される固定環とを具え、両環を相互に摺動接触
させることにより回転部分をシールするようになってい
るメカニカルシールにおいて、前記固定環又は回転環の
何れか一方を、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、メソフ
ェース等の骨材と、コールタールピッチ、合成樹脂等の
結合材とを主成分とする原料に硬質の球状カーボンを配
合して、これらを混合、混練り、成形の工程を経て所定
の温度で焼成することにより、マトリックス中に前記球
状カーボンを独立した状態で存在させたカーボン摺動材
で構成した手段を採用したものである。また、前記球状
カーボンの粒度は1〜50μmであり、配合比は全体の
2〜30wt%である手段を採用したものである。さら
に、前記球状カーボンは、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、フラン樹脂、ポリエステル樹脂、ナフタレン樹脂等
の合成樹脂を素材として球状に形成したものを所定の温
度で焼成してなる手段を採用したものである。
【0010】
【作用】この発明は前記のような手段を採用したことに
より、回転環と固定環とが相互に摺動接触することによ
り回転部がシールされることになる。この場合、固定環
又は回転環の何れか一方は、天然黒鉛、人造黒鉛、コー
クス、メソフェース等の骨材と、コールタールピッチ、
合成樹脂等の結合材とを主成分とする原料に硬質の球状
カーボンを配合して、これらを混合、混練り、成形の工
程を経て所定の温度で焼成することにより、マトリック
ス中に前記球状カーボンを独立した状態で存在させたカ
ーボン摺動材で構成されているので、回転環又は固定環
の摺動面に球状カーボンによる凸部が形成されるととも
に、相手側部材との摺動負荷によって一部の球状カーボ
ンが摺動面から脱落し、その部分に凹部が形成されるこ
とになる。したがって、摺動面に球状カーボンによって
複数の凹部、凸部が形成されることになるので、摺動面
の表面粗さが粗く形成されることになり、粘性流体や潤
滑性の少ない流体中等で使用しても、密封流体が摺動面
に浸入し易くなり、摺動面を流体潤滑条件とすることが
でき、摺動面の温度上昇、トルクの上昇を抑制すること
ができることとなる。
より、回転環と固定環とが相互に摺動接触することによ
り回転部がシールされることになる。この場合、固定環
又は回転環の何れか一方は、天然黒鉛、人造黒鉛、コー
クス、メソフェース等の骨材と、コールタールピッチ、
合成樹脂等の結合材とを主成分とする原料に硬質の球状
カーボンを配合して、これらを混合、混練り、成形の工
程を経て所定の温度で焼成することにより、マトリック
ス中に前記球状カーボンを独立した状態で存在させたカ
ーボン摺動材で構成されているので、回転環又は固定環
の摺動面に球状カーボンによる凸部が形成されるととも
に、相手側部材との摺動負荷によって一部の球状カーボ
ンが摺動面から脱落し、その部分に凹部が形成されるこ
とになる。したがって、摺動面に球状カーボンによって
複数の凹部、凸部が形成されることになるので、摺動面
の表面粗さが粗く形成されることになり、粘性流体や潤
滑性の少ない流体中等で使用しても、密封流体が摺動面
に浸入し易くなり、摺動面を流体潤滑条件とすることが
でき、摺動面の温度上昇、トルクの上昇を抑制すること
ができることとなる。
【0011】
【実施例】以下、この発明によるメカニカルシールの実
施の形態について説明する。図1には、この発明による
メカニカルシールの一実施の形態が示されていて、この
メカニカルシールは、回転体1に装着される回転環であ
るシールリング2と、固定体6に装着される固定環であ
るフローティングシート7と、回転体1に装着されると
ともにシールリング2をフローティングシート7の方向
に押圧するコンプレッションリング3と、回転体1に装
着されるとともにコンプレッションリング3の押圧力を
調整するスプリング4およびカラー5と、シールリング
2とコンプレッションリング3との間をシールするパッ
キン8と、フローティングシート7と固定体6との間を
シールするパッキン9とを具えている。
施の形態について説明する。図1には、この発明による
メカニカルシールの一実施の形態が示されていて、この
メカニカルシールは、回転体1に装着される回転環であ
るシールリング2と、固定体6に装着される固定環であ
るフローティングシート7と、回転体1に装着されると
ともにシールリング2をフローティングシート7の方向
に押圧するコンプレッションリング3と、回転体1に装
着されるとともにコンプレッションリング3の押圧力を
調整するスプリング4およびカラー5と、シールリング
2とコンプレッションリング3との間をシールするパッ
キン8と、フローティングシート7と固定体6との間を
シールするパッキン9とを具えている。
【0012】そして、回転体1が回転すると、回転体1
と一体にシールリング2、コンプレッションリング3、
スプリング4およびカラー5が回転し、このときシール
リング2の回転軸に垂直な摺動面とフローティングシー
ト7の回転軸に垂直な摺動面とが相互に摺動接触するこ
とによって、回転部分がシールされるものである。
と一体にシールリング2、コンプレッションリング3、
スプリング4およびカラー5が回転し、このときシール
リング2の回転軸に垂直な摺動面とフローティングシー
ト7の回転軸に垂直な摺動面とが相互に摺動接触するこ
とによって、回転部分がシールされるものである。
【0013】シールリング2またはフローティングシー
ト7の何れか一方は、粘性流体や潤滑性の少ない流体中
で使用した場合であっても良好な潤滑性が得られるよう
にするため、マトリックス中に硬質の球状カーボンを独
立した状態で存在させカーボン摺動材で構成されてい
る。
ト7の何れか一方は、粘性流体や潤滑性の少ない流体中
で使用した場合であっても良好な潤滑性が得られるよう
にするため、マトリックス中に硬質の球状カーボンを独
立した状態で存在させカーボン摺動材で構成されてい
る。
【0014】カーボン摺動材は、天然黒鉛、人造黒鉛、
コークス、メソフェース等の骨材と、コールタールピッ
チ、合成樹脂等の結合材を主成分とする原材料に硬質の
球状カーボンを配合し、これらを混合、混練り、成形の
工程を経て所定の温度(1000〜3000℃)で焼成
したものである。
コークス、メソフェース等の骨材と、コールタールピッ
チ、合成樹脂等の結合材を主成分とする原材料に硬質の
球状カーボンを配合し、これらを混合、混練り、成形の
工程を経て所定の温度(1000〜3000℃)で焼成
したものである。
【0015】球状カーボンは、マトリックス中に独立し
た状態で存在させるため、十分に不融化してあることが
条件である。したがって、300〜2000℃の温度で
焼成してあることが好ましい。
た状態で存在させるため、十分に不融化してあることが
条件である。したがって、300〜2000℃の温度で
焼成してあることが好ましい。
【0016】球状カーボンの配合比は、全原材料の2〜
30wt%の範囲にあれば良く、好ましくは5〜15w
t%の範囲にあれば良い。球状カーボンの大きさは、1
〜50μmの範囲であれば良く、好ましくは5〜30μ
mの範囲にあれば良い。これ以上粒度が大きかったり配
合量が多いと、強度的に問題が生じたり、表面粗さが大
きくなり過ぎて摺動材としての密封性に影響を与えるか
らである。また、これ以上粒度が小さかったり配合量が
少ないと、球状カーボンの添加の効果が薄れてくるから
である。
30wt%の範囲にあれば良く、好ましくは5〜15w
t%の範囲にあれば良い。球状カーボンの大きさは、1
〜50μmの範囲であれば良く、好ましくは5〜30μ
mの範囲にあれば良い。これ以上粒度が大きかったり配
合量が多いと、強度的に問題が生じたり、表面粗さが大
きくなり過ぎて摺動材としての密封性に影響を与えるか
らである。また、これ以上粒度が小さかったり配合量が
少ないと、球状カーボンの添加の効果が薄れてくるから
である。
【0017】このようにして配合された球状カーボン
は、球状であることから表面積が小さく、結合材と充分
な結合力がないため、材料のマトリックス中に独立した
状態で存在することになる。
は、球状であることから表面積が小さく、結合材と充分
な結合力がないため、材料のマトリックス中に独立した
状態で存在することになる。
【0018】球状カーボンは、特にその組成を問うもの
ではないが、不融化した状態で強度があり、成形時に破
壊しないことが必要である。また、添加時に溶融や結合
材等と反応しないことも必要である。このような条件を
満足するのは、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン
樹脂、ポリエステル樹脂、ナフタレン樹脂等の合成樹脂
より作られた硬質のものが好ましい。このような合成樹
脂を原料とすることにより、黒鉛化しにくい難黒鉛化質
となり、コークスや黒鉛に比較して強度や硬度が高く、
耐摩耗性に富んだ性質を有することになる。
ではないが、不融化した状態で強度があり、成形時に破
壊しないことが必要である。また、添加時に溶融や結合
材等と反応しないことも必要である。このような条件を
満足するのは、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン
樹脂、ポリエステル樹脂、ナフタレン樹脂等の合成樹脂
より作られた硬質のものが好ましい。このような合成樹
脂を原料とすることにより、黒鉛化しにくい難黒鉛化質
となり、コークスや黒鉛に比較して強度や硬度が高く、
耐摩耗性に富んだ性質を有することになる。
【0019】球状化の方法は、スプレードライヤー等に
よるのが一般的であるが、これに限定されることなく、
球状化できる方法であれば何れの方法であってもよいも
のである。なお、球状化する過程で内部が中空になるこ
とは特に問題とならない。
よるのが一般的であるが、これに限定されることなく、
球状化できる方法であれば何れの方法であってもよいも
のである。なお、球状化する過程で内部が中空になるこ
とは特に問題とならない。
【0020】上記のような球状カーボンを配合したカー
ボン摺動材を固定環又は回転環に用いたこの実施の形態
によるメカニカルシールにあっては、耐摩耗性に富む球
状カーボンによって固定環又は回転環の摺動面上に複数
の凸部を形成することができるとともに、粘性流体や潤
滑性の少ない流体中等で使用した場合に、相手側部材と
の摺動負荷によって摺動面から一部の球状カーボンが脱
落し、その部分に凹部を形成することができることにな
る。したがって、摺動面上に球状カーボンによって複数
の凹部、凸部を形成することができるので、摺動面の表
面粗さを大きくすることができる。この結果、摺動面に
密封対象流体が浸入し易くなるので、摺動面を流体潤滑
条件とすることができ、粘性流体や潤滑性の少ない流体
中等であっても、摺動面の温度上昇、トルクの上昇を低
く抑えることができ、カーボンブリスターの発生を抑制
することができることになる。
ボン摺動材を固定環又は回転環に用いたこの実施の形態
によるメカニカルシールにあっては、耐摩耗性に富む球
状カーボンによって固定環又は回転環の摺動面上に複数
の凸部を形成することができるとともに、粘性流体や潤
滑性の少ない流体中等で使用した場合に、相手側部材と
の摺動負荷によって摺動面から一部の球状カーボンが脱
落し、その部分に凹部を形成することができることにな
る。したがって、摺動面上に球状カーボンによって複数
の凹部、凸部を形成することができるので、摺動面の表
面粗さを大きくすることができる。この結果、摺動面に
密封対象流体が浸入し易くなるので、摺動面を流体潤滑
条件とすることができ、粘性流体や潤滑性の少ない流体
中等であっても、摺動面の温度上昇、トルクの上昇を低
く抑えることができ、カーボンブリスターの発生を抑制
することができることになる。
【0021】以下、この発明の実施の形態によるメカニ
カルシールを実施例に基づいて具体的に説明する。
カルシールを実施例に基づいて具体的に説明する。
【0022】(実施例1)人造黒鉛(平均粒度10μ
m)30wt%、コークス粉(平均粒度5μm)15及
び20wt%、球状のフェノール樹脂を600℃で焼成
して作った球状カーボン(平均粒度約10μm)5及び
10wt%、コールタールピッチ40wt%及びフェノ
ール樹脂5wt%を原材料として均一に混合した後、加
圧ニーダーを用いて160℃−60分間の混練りを行
い、冷却後、自由ミルを用いて100メッシュ以下に微
粉砕を行い、成形粉を得た。成型圧力1.3ton/c
m2 、150℃−5分の条件で金型プレス成形を行い、
φ50×φ100×50mmの成形体を得た。これを1
000℃まで熱処理して炭素黒鉛化質カーボン素材を得
た。その特性を表1に示す。そして、このカーボン素材
から摺動面がφ58.6×φ66.1mm(大きさφ5
6×φ81×27)の試験片を作り、評価用の試験片と
した。このままでは気密性に問題があるため、フラン樹
脂含浸を行い、熱処理を施した。そして、この試験片を
メカニカルシール試験機を用い、以下の条件で評価試験
を実施した。 (試験条件) シール流体;タービン油#150、温度;40℃、シー
ル圧力;15Kg/cm2 、回転数;3000rpm、
時間;100時間、相手摺動材料;SiC(シリコンカ
ーバイト)
m)30wt%、コークス粉(平均粒度5μm)15及
び20wt%、球状のフェノール樹脂を600℃で焼成
して作った球状カーボン(平均粒度約10μm)5及び
10wt%、コールタールピッチ40wt%及びフェノ
ール樹脂5wt%を原材料として均一に混合した後、加
圧ニーダーを用いて160℃−60分間の混練りを行
い、冷却後、自由ミルを用いて100メッシュ以下に微
粉砕を行い、成形粉を得た。成型圧力1.3ton/c
m2 、150℃−5分の条件で金型プレス成形を行い、
φ50×φ100×50mmの成形体を得た。これを1
000℃まで熱処理して炭素黒鉛化質カーボン素材を得
た。その特性を表1に示す。そして、このカーボン素材
から摺動面がφ58.6×φ66.1mm(大きさφ5
6×φ81×27)の試験片を作り、評価用の試験片と
した。このままでは気密性に問題があるため、フラン樹
脂含浸を行い、熱処理を施した。そして、この試験片を
メカニカルシール試験機を用い、以下の条件で評価試験
を実施した。 (試験条件) シール流体;タービン油#150、温度;40℃、シー
ル圧力;15Kg/cm2 、回転数;3000rpm、
時間;100時間、相手摺動材料;SiC(シリコンカ
ーバイト)
【0023】(比較例1)人造黒鉛(平均粒度10μ
m)30wt%、コークス粉(平均粒度5μm)25w
t%、コールタールピッチ40wt%及びフェノール樹
脂5wt%の配合比率の原材料について、実施例1と同
様の方法で、混合、混練り、粉砕、成形の工程を経て所
定の温度で焼成し、所定の大きさのカーボン素材を得
た。その特性を表1に示す。このカーボン素材から摺動
面がφ58.6×φ66.1mm(大きさφ56×φ8
1×27)の試験片を作り、評価用の試験品とした。こ
のままでは気密性に問題があるため、フラン樹脂含浸を
行い、熱処理を施した。そして、この試験片を実施例1
と同様の方法メカニカルシール試験機を用い、同様の試
験条件で評価試験を実施した。
m)30wt%、コークス粉(平均粒度5μm)25w
t%、コールタールピッチ40wt%及びフェノール樹
脂5wt%の配合比率の原材料について、実施例1と同
様の方法で、混合、混練り、粉砕、成形の工程を経て所
定の温度で焼成し、所定の大きさのカーボン素材を得
た。その特性を表1に示す。このカーボン素材から摺動
面がφ58.6×φ66.1mm(大きさφ56×φ8
1×27)の試験片を作り、評価用の試験品とした。こ
のままでは気密性に問題があるため、フラン樹脂含浸を
行い、熱処理を施した。そして、この試験片を実施例1
と同様の方法メカニカルシール試験機を用い、同様の試
験条件で評価試験を実施した。
【0024】(実施例2)メソフェース(川崎製鉄
(株)製)と球状のナフタレン樹脂を1000℃で焼成
して作った球状カーボン(平均粒度約10μm)5、1
5及び10wt%それぞれ配合した原材料を均一に混合
した後、CIP(静水圧プレス)を用いて1.5ton
/cm2 −5分の条件で約φ100×50mmの成形体
を得た。これを2000℃まで熱処理して、黒鉛化質カ
ーボン素材を得た。特性を表1に示す。このカーボン素
材から、摺動面がφ58.6×φ66.1mm(大きさ
φ56×φ81×27)の試験片を作り、評価用の試験
片とした。この試験片は、気孔率が低く、気孔径も小さ
いため、含浸は必要としなかった。そして、実施例1と
同様の方法でメカニカルシール試験機を用い、以下の試
験条件で評価試験を実施した。 (試験条件) シール流体;タービン油#150、温度;40℃、シー
ル圧力;15Kg/cm2 、回転数;3000rpm、
時間;100時間、相手摺動材料;超硬合金
(株)製)と球状のナフタレン樹脂を1000℃で焼成
して作った球状カーボン(平均粒度約10μm)5、1
5及び10wt%それぞれ配合した原材料を均一に混合
した後、CIP(静水圧プレス)を用いて1.5ton
/cm2 −5分の条件で約φ100×50mmの成形体
を得た。これを2000℃まで熱処理して、黒鉛化質カ
ーボン素材を得た。特性を表1に示す。このカーボン素
材から、摺動面がφ58.6×φ66.1mm(大きさ
φ56×φ81×27)の試験片を作り、評価用の試験
片とした。この試験片は、気孔率が低く、気孔径も小さ
いため、含浸は必要としなかった。そして、実施例1と
同様の方法でメカニカルシール試験機を用い、以下の試
験条件で評価試験を実施した。 (試験条件) シール流体;タービン油#150、温度;40℃、シー
ル圧力;15Kg/cm2 、回転数;3000rpm、
時間;100時間、相手摺動材料;超硬合金
【0025】(比較例2)メソフェース(川崎製鉄
(株)製)のみから、実施例2と同様の方法で黒鉛化質
カーボン素材を得た。特性を表1に示す。このカーボン
素材から、摺動面がφ58.6×φ66.1mm(大き
さφ56×φ81×27)の試験片を作り、評価用の試
験品とした。この試験片は、気孔率が低く、気孔径も小
さいため、含浸は必要としなかった。そして、実施例1
と同様の方法でメカニカルシール試験機を用い、実施例
2と同様の試験条件で評価試験を実施した。
(株)製)のみから、実施例2と同様の方法で黒鉛化質
カーボン素材を得た。特性を表1に示す。このカーボン
素材から、摺動面がφ58.6×φ66.1mm(大き
さφ56×φ81×27)の試験片を作り、評価用の試
験品とした。この試験片は、気孔率が低く、気孔径も小
さいため、含浸は必要としなかった。そして、実施例1
と同様の方法でメカニカルシール試験機を用い、実施例
2と同様の試験条件で評価試験を実施した。
【0026】(実施例3)人造黒鉛(平均粒度20μ
m)70、65及び60wt%と球状のフェノール樹脂
を1000℃で焼成して作った球状カーボン(平均粒度
約10μm)5、10及び15wt%とフェノール樹脂
25wt%を均一に混合した後、加圧ニーダーを用いて
150℃−15分間の混練りを行い、冷却後、自由ミル
を用いて約1mm以下に粉砕を行い、成形粉を得た。成
型圧力0.6tom/cm2 、150℃−5分の条件で
金型プレス成型を行い、φ20×φ40×17mmの成
形体を得た。これを1000℃まで熱処理して、炭素黒
鉛化質カーボン素材を得た。特性を表2に示す。そし
て、このカーボン素材から摺動面形状23×φ29mm
(大きさ23×35×10mm)の試験片を加工し、評
価用試験片とした。Ring−on−Ring式摩擦摩
耗試験機を用い、以下の試験条件で、カーボンブリスタ
ーの発生傾向を初めとする材料の摺動特性の評価試験を
実施した。 (試験条件) 流体;タービン油#150、温度;40℃から自然昇
温、圧力;10Kg/cm2 、回転数;3000rp
m、時間;24時間、相手摺動材料;超硬合金
m)70、65及び60wt%と球状のフェノール樹脂
を1000℃で焼成して作った球状カーボン(平均粒度
約10μm)5、10及び15wt%とフェノール樹脂
25wt%を均一に混合した後、加圧ニーダーを用いて
150℃−15分間の混練りを行い、冷却後、自由ミル
を用いて約1mm以下に粉砕を行い、成形粉を得た。成
型圧力0.6tom/cm2 、150℃−5分の条件で
金型プレス成型を行い、φ20×φ40×17mmの成
形体を得た。これを1000℃まで熱処理して、炭素黒
鉛化質カーボン素材を得た。特性を表2に示す。そし
て、このカーボン素材から摺動面形状23×φ29mm
(大きさ23×35×10mm)の試験片を加工し、評
価用試験片とした。Ring−on−Ring式摩擦摩
耗試験機を用い、以下の試験条件で、カーボンブリスタ
ーの発生傾向を初めとする材料の摺動特性の評価試験を
実施した。 (試験条件) 流体;タービン油#150、温度;40℃から自然昇
温、圧力;10Kg/cm2 、回転数;3000rp
m、時間;24時間、相手摺動材料;超硬合金
【0027】(比較例3)人造黒鉛(平均粒度20μ
m)75wt%とフェノール樹脂25wt%を均一に混
合した後、実施例3と同様の方法で炭素質カーボン素材
を得た。特性を表2に示す。このカーボン素材から摺動
面形状23×φ29mm(大きさ23×35×10m
m)の試験片を加工し、評価用の試験片とした。実施例
3と同様の方法でRing−on−Ring式摩擦摩耗
試験機を用い、実施例3と同様の試験条件で、カーボン
ブリスターの発生傾向を初めとする材料の摺動特性の評
価試験を実施した。
m)75wt%とフェノール樹脂25wt%を均一に混
合した後、実施例3と同様の方法で炭素質カーボン素材
を得た。特性を表2に示す。このカーボン素材から摺動
面形状23×φ29mm(大きさ23×35×10m
m)の試験片を加工し、評価用の試験片とした。実施例
3と同様の方法でRing−on−Ring式摩擦摩耗
試験機を用い、実施例3と同様の試験条件で、カーボン
ブリスターの発生傾向を初めとする材料の摺動特性の評
価試験を実施した。
【0028】(試験結果の要約) <メカニカルシール試験>球状カーボンを配合したカー
ボン摺動材は、球状カーボンを配合していないカーボン
摺動材に比べて摺動面温度が低く、試験後の摺動面の表
面粗さが大きい(図2参照)。また、カーボンブリスタ
ーの発生もなく、漏れ量も少なく、球状カーボン配合の
顕著な効果が現われている。球状カーボンを配合しない
カーボン摺動材は、摺動面温度は最初は高いが、試験途
中から急激に温度が低下し、漏れ量も急激に増大する。
これは、摺動面にカーボンブリスターが発生し、密封性
が失われたからと考えられる。 <Ring−on−Ring式摩擦摩耗試験>球状カー
ボンを配合したカーボン摺動材は、球状カーボンを配合
していないカーボン摺動材に比べて、摩擦係数、摺動面
温度が低く、表面粗さが大きい。また、摩耗量も少な
く、クラックを伴うカーボンブリスターの発生もなく、
球状カーボン配合の顕著な効果が現われている。これに
対して、球状カーボンを配合していないカーボン摺動材
は、摩擦係数、摺動面温度が高く、表面粗さが小さく、
カーボンブリスターの発生もある。試験後の摺動面の拡
大図を図3に示す。配合した球状カーボンが強い光沢を
持ち、この部分が凸部を形成して強く摺動していたこと
が分かる。一方、図3上の黒い部分は球状カーボンが脱
落した部分であり、この部分が凹部を形成していること
が分かる。
ボン摺動材は、球状カーボンを配合していないカーボン
摺動材に比べて摺動面温度が低く、試験後の摺動面の表
面粗さが大きい(図2参照)。また、カーボンブリスタ
ーの発生もなく、漏れ量も少なく、球状カーボン配合の
顕著な効果が現われている。球状カーボンを配合しない
カーボン摺動材は、摺動面温度は最初は高いが、試験途
中から急激に温度が低下し、漏れ量も急激に増大する。
これは、摺動面にカーボンブリスターが発生し、密封性
が失われたからと考えられる。 <Ring−on−Ring式摩擦摩耗試験>球状カー
ボンを配合したカーボン摺動材は、球状カーボンを配合
していないカーボン摺動材に比べて、摩擦係数、摺動面
温度が低く、表面粗さが大きい。また、摩耗量も少な
く、クラックを伴うカーボンブリスターの発生もなく、
球状カーボン配合の顕著な効果が現われている。これに
対して、球状カーボンを配合していないカーボン摺動材
は、摩擦係数、摺動面温度が高く、表面粗さが小さく、
カーボンブリスターの発生もある。試験後の摺動面の拡
大図を図3に示す。配合した球状カーボンが強い光沢を
持ち、この部分が凸部を形成して強く摺動していたこと
が分かる。一方、図3上の黒い部分は球状カーボンが脱
落した部分であり、この部分が凹部を形成していること
が分かる。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】この発明は前記のように構成したことに
より、以下のような効果を奏することになる。すなわ
ち、メカニカルシールの固定環又は回転環の何れか一方
を、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、メソフェース等の
骨材と、コールタールピッチ、合成樹脂等の結合材とを
主成分とする原料に硬質の球状カーボンを配合し、これ
らを混合、混練り、成形の工程を経て所定の温度で焼成
することにより、マトリックス中に前記球状カーボンを
独立した状態で存在させたカーボン摺動材で構成したこ
とにより、固定環又は回転環の摺動面上に球状カーボン
によって複数の凸部を形成することができるとともに、
粘性流体や潤滑性の少ない流体中等で使用した場合に、
相手側部材と摺動接触することによって摺動面から一部
の球状カーボンが脱落し、その部分に凹部を形成するこ
とができることになる。したがって、摺動面上に球状カ
ーボンによって複数の凹部、凸部が形成することができ
るので、摺動面の表面粗さを大きくすることができ、粘
性流体や潤滑性の少ない流体中等で使用しても、摺動面
にそれらの流体を浸入し易くすることができ、摺動面を
流体潤滑条件とすることができ、摺動面の温度上昇、ト
ルクの上昇を低く抑えることができ、カーボンブリスタ
ーの発生を抑えることができ、良好な潤滑性を長期的に
維持することができることになる等の優れた効果を有す
るものである。
より、以下のような効果を奏することになる。すなわ
ち、メカニカルシールの固定環又は回転環の何れか一方
を、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、メソフェース等の
骨材と、コールタールピッチ、合成樹脂等の結合材とを
主成分とする原料に硬質の球状カーボンを配合し、これ
らを混合、混練り、成形の工程を経て所定の温度で焼成
することにより、マトリックス中に前記球状カーボンを
独立した状態で存在させたカーボン摺動材で構成したこ
とにより、固定環又は回転環の摺動面上に球状カーボン
によって複数の凸部を形成することができるとともに、
粘性流体や潤滑性の少ない流体中等で使用した場合に、
相手側部材と摺動接触することによって摺動面から一部
の球状カーボンが脱落し、その部分に凹部を形成するこ
とができることになる。したがって、摺動面上に球状カ
ーボンによって複数の凹部、凸部が形成することができ
るので、摺動面の表面粗さを大きくすることができ、粘
性流体や潤滑性の少ない流体中等で使用しても、摺動面
にそれらの流体を浸入し易くすることができ、摺動面を
流体潤滑条件とすることができ、摺動面の温度上昇、ト
ルクの上昇を低く抑えることができ、カーボンブリスタ
ーの発生を抑えることができ、良好な潤滑性を長期的に
維持することができることになる等の優れた効果を有す
るものである。
【図1】この発明によるメカニカルシールの一実施の形
態を示した概略図である。
態を示した概略図である。
【図2】図1に示すメカニカルシールの固定環又は回転
環の摺動面の表面粗さ及び従来の固定環又は回転環の摺
動面の表面粗さを示した説明図である。
環の摺動面の表面粗さ及び従来の固定環又は回転環の摺
動面の表面粗さを示した説明図である。
【図3】図1に示すメカニカルシールの固定環又は回転
環の摺動面の拡大図である。
環の摺動面の拡大図である。
1……回転体 2……回転環(シールリング) 3……コンプレッションリング 4……スプリング 5……カラー 6……固定体 7……固定環(フローティングシート) 8、9……パッキン 11……凸部 12……凹部
Claims (3)
- 【請求項1】 回転体に装着される回転環と固定体に装
着される固定環とを具え、両環を相互に摺動接触させる
ことにより回転部分をシールするようになっているメカ
ニカルシールにおいて、 前記固定環又は回転環の何れか一方を、天然黒鉛、人造
黒鉛、コークス、メソフェース等の骨材と、コールター
ルピッチ、合成樹脂等の結合材とを主成分とする原料に
硬質の球状カーボンを配合し、これらを混合、混練り、
成形の工程を経て所定の温度で焼成することにより、マ
トリックス中に前記球状カーボンを独立した状態で存在
させたカーボン摺動材で構成したことを特徴とするメカ
ニカルシール。 - 【請求項2】 前記球状カーボンの粒度は1〜50μm
であり、配合比は全体の2〜30wt%である請求項1
記載のメカニカルシール。 - 【請求項3】 前記球状カーボンは、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、フラン樹脂、ポリエステル樹脂、ナフタ
レン樹脂等の合成樹脂を素材として球状に形成したもの
を所定の温度で焼成してなる請求項1および2記載のメ
カニカルシール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10775396A JPH09292033A (ja) | 1996-04-26 | 1996-04-26 | メカニカルシール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10775396A JPH09292033A (ja) | 1996-04-26 | 1996-04-26 | メカニカルシール |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09292033A true JPH09292033A (ja) | 1997-11-11 |
Family
ID=14467111
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10775396A Pending JPH09292033A (ja) | 1996-04-26 | 1996-04-26 | メカニカルシール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09292033A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20020036676A (ko) * | 2001-09-13 | 2002-05-16 | 극동씰테크 주식회사 | 콜타르 피치를 이용한 카본 씨일의 제조방법 |
JP2006312578A (ja) * | 2004-08-27 | 2006-11-16 | Jfe Chemical Corp | 黒鉛質材料とその製造方法、リチウムイオン二次電池用負極材料、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 |
WO2007058177A1 (ja) * | 2005-11-15 | 2007-05-24 | Nippon Tungsten Co., Ltd. | メカニカルシールリング |
KR100978716B1 (ko) * | 2003-01-24 | 2010-08-30 | 이구루코교 가부시기가이샤 | 씰용 슬라이딩부재 및 그 제조방법 |
WO2015041048A1 (ja) * | 2013-09-18 | 2015-03-26 | イーグル工業株式会社 | しゅう動部品 |
US9970478B2 (en) | 2013-09-18 | 2018-05-15 | Eagle Industry Co., Ltd. | Sliding parts |
CN117447204A (zh) * | 2023-12-22 | 2024-01-26 | 成都中超碳素科技有限公司 | 一种机械用碳材料的制备方法 |
-
1996
- 1996-04-26 JP JP10775396A patent/JPH09292033A/ja active Pending
Cited By (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20020036676A (ko) * | 2001-09-13 | 2002-05-16 | 극동씰테크 주식회사 | 콜타르 피치를 이용한 카본 씨일의 제조방법 |
KR100978716B1 (ko) * | 2003-01-24 | 2010-08-30 | 이구루코교 가부시기가이샤 | 씰용 슬라이딩부재 및 그 제조방법 |
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JP4751138B2 (ja) * | 2004-08-27 | 2011-08-17 | Jfeケミカル株式会社 | 黒鉛質材料とその製造方法、リチウムイオン二次電池用負極材料、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 |
WO2007058177A1 (ja) * | 2005-11-15 | 2007-05-24 | Nippon Tungsten Co., Ltd. | メカニカルシールリング |
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AU2014322381B2 (en) * | 2013-09-18 | 2017-01-12 | Eagle Industry Co., Ltd. | Sliding parts |
JPWO2015041048A1 (ja) * | 2013-09-18 | 2017-03-02 | イーグル工業株式会社 | しゅう動部品 |
JP2017166701A (ja) * | 2013-09-18 | 2017-09-21 | イーグル工業株式会社 | しゅう動部品 |
US9829043B2 (en) | 2013-09-18 | 2017-11-28 | Eagle Industry Co., Ltd. | Sliding parts |
US9915289B2 (en) | 2013-09-18 | 2018-03-13 | Eagle Industry Co., Ltd. | Sliding parts |
US9970478B2 (en) | 2013-09-18 | 2018-05-15 | Eagle Industry Co., Ltd. | Sliding parts |
CN117447204A (zh) * | 2023-12-22 | 2024-01-26 | 成都中超碳素科技有限公司 | 一种机械用碳材料的制备方法 |
CN117447204B (zh) * | 2023-12-22 | 2024-03-15 | 成都中超碳素科技有限公司 | 一种机械用碳材料的制备方法 |
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