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JP2000170924A - 摺動材 - Google Patents

摺動材

Info

Publication number
JP2000170924A
JP2000170924A JP10341929A JP34192998A JP2000170924A JP 2000170924 A JP2000170924 A JP 2000170924A JP 10341929 A JP10341929 A JP 10341929A JP 34192998 A JP34192998 A JP 34192998A JP 2000170924 A JP2000170924 A JP 2000170924A
Authority
JP
Japan
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sliding surface
sliding
carbon particles
sliding material
carbon
Prior art date
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Pending
Application number
JP10341929A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuo Nakahara
信雄 中原
Yoshiro Takahashi
義郎 高橋
Masami Miyazawa
正巳 宮沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eagle Industry Co Ltd
Original Assignee
Eagle Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Eagle Industry Co Ltd filed Critical Eagle Industry Co Ltd
Priority to JP10341929A priority Critical patent/JP2000170924A/ja
Publication of JP2000170924A publication Critical patent/JP2000170924A/ja
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  • Ceramic Products (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低速、高圧等の苛酷な使用条件下で安定した
性能を発揮できるようにする。 【解決手段】 メカニカルシール1の回転環2又は固定
環3のうちの少なくとも何れか一方の摺動材を、WC
(タングステンカーバイト)にカーボン粒子を配合した
複合材で形成する。摺動材の摺動面のうちWCに対応す
る部分は平坦面に形成され、カーボン粒子に対応する部
分は平坦面よりも僅かに凹む凹部に形成され、これらの
平坦面と凹部とによって摺動面は凹凸に形成される。摺
動面に巻き込まれたシール流体は、凹凸によって摺動面
に保持され、摺動面に液膜が形成される。カーボン粒子
は、シール流体を吸着する性質も有しているので、潤滑
剤の供給源としても機能し、摺動面を長期的に良好な潤
滑状態に保つことができ、ブリスターの発生、異常摩耗
の発生を抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はメカニカルシール
の固定環、回転環等に使用される摺動材に関し、特に、
高圧、高荷重、高速等の高負荷条件下において安定した
性能を発揮することができる摺動材に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術および解決しようとする課題】反応装置の撹
拌機等の回転部に取付けられているメカニカルシール
は、撹拌機等が低速回転で反応容器内が高圧になること
から、低速、高圧の条件下で使用される。
【0003】このような低速、高圧の苛酷な条件下で
は、メカニカルシールの摺動材(回転環、固定環)の摺
動面にシール流体の巻き込みが少なくなり、摺動面に液
膜ができにくくなるため、ブリスターの発生が問題とな
る。
【0004】ブリスターは、粘性流体や潤滑性のない流
体中で使用する場合に発生する現象であって、カーボン
製の摺動材の摺動面が1〜2μm局部的に隆起したり、
摺動面に亀裂が発生する等の現象である。ブリスターが
発生すると、摺動面の平坦度が喪失するために多量漏れ
に繋がり、メカニカルシールの寿命となる。
【0005】ブリスターの発生原因は、粘性流体による
粘性抵抗説、トルクの変動による疲労破壊説等、多岐に
渡っている。
【0006】このようなブリスターの発生の問題に対処
するため、材料的には、カーボン製の摺動材の強度を高
めたり、耐熱性に限界がある樹脂含浸を止めて緻密質の
無含浸材を積極的に使用する等の対策が採られている。
【0007】また、比較的摺動面の粗さが大きいSiC
等のセラミックをカーボンの相手摺動材に使用すること
で摺動面に液膜を構成しやすくし、低トルク化を図る対
策が採られている。
【0008】さらに、設計的には、摺動材の摺動面に潤
滑溝等の凹部を加工し、摺動中に摺動面に流体を取り込
みやすくし、低トルク化を図る対策が採られている。
【0009】しかし、このような対策であっても万全で
はなく、カーボン製の摺動材の強度を高めるには限界が
あったり、相手側摺動材にSiC等のセラミックを使用
しても、使用が進むにつれて摺動面の粗さを維持するこ
とが困難になったり、潤滑溝等の凹部の加工には多大な
経費がかかる等の問題がある。
【0010】近年では、独立した気孔を分散させた形式
の硬質の摺動材も開発されているが、気孔によって形成
された凹部は深い孔となるため、この部分に摩耗粉やシ
ール液中の異物等が堆積し、カーボン製の相手側摺動材
の摺動面に摩耗や面荒れが発生する問題が生じ、シール
対象流体が制限される。
【0011】また、超硬合金と呼ばれるWC(タングス
テンカーバイト)が摺動材として使用されている。WC
は、W(タングステン)とC(カーボン)の反応で合成
されるWCを主成分としてNiやCoを結合材として焼
結させる方法、結合材を用いないで焼結させる方法等に
よって製作される。
【0012】WCは、耐摩耗性に優れている、SiCに
比べて約2〜5倍の曲げ強度を有している等の性質を有
していることから、複雑形状品、大径品等であっても容
易に製作することができ、高圧・高荷重・高速等の高負
荷条件で使用されるメカニカルシールの硬質摺動材とし
て積極的に使用されている。
【0013】しかし、WCは、SiC等に比べて表面粗
さが小さい傾向にあるため、メカニカルシールの摺動材
に使用した場合に、摺動面にシール流体の巻き込みが少
なくなり、摺動面に液膜ができにくくなるため、固体接
触部が増大し、高トルク・高発熱化となり、ブリスター
や異常摩耗が発生しやすい問題がある。
【0014】この発明は、前記のような従来のもののも
つ問題点を解決したものであって、高圧・高荷重・高速
等の高負荷条件下であっても、ブリスターや異常摩耗が
発生することがない摺動材を提供することを目的とする
ものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は前記のような
問題を解決するために、互いに摺動接触する回転環と固
定環とを有するメカニカルシールの前記回転環又は固定
環の少なくとも何れか一方を、WC(タングステンカー
バイト)にカーボン粒子を配合した複合材で形成した手
段を採用したものである。また、前記カーボン粒子は、
天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック又は樹脂炭から
なる手段を採用したものである。さらに、前記カーボン
粒子は樹脂炭からなるとともに、球状又はこれに近い形
状であり、かつ、中空である手段を採用したものであ
る。さらに、前記カーボン粒子は、粒子径が1〜50μ
mの範囲である手段を採用したものである。そして、前
記カーボン粒子の占有率は焼結体の3〜30Vol%で
あり、前記WC(タングステンカーバイト)の占有率は
焼結体の70〜97Vol%である手段を採用したもの
である。
【0016】
【作用】この発明は前記のような手段を採用したことに
より、回転環又は固定環の少なくとも何れか一方の摺動
面を、WCに対応する部分は平坦面に形成することがで
き、カーボン粒子に対応する部分は凹部に形成すること
ができることになる。したがって、回転環又は固定環の
少なくとも何れか一方の摺動面を凹凸に形成することが
できるので、摺動面に巻き込んだシール流体を摺動面に
保持し易くなり、摺動面を流体潤滑状態に形成し易くな
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明による摺動材の一
実施の形態について説明する。この発明による摺動材
は、WC(タングステンカーバイト)に、軟質のカーボ
ン粒子を故意に析出するようにカーボン粒子を余剰に配
合することによって、カーボン粒子が独立して形成され
る部分を均一に作り、WCとカーボン粒子の硬さ、耐摩
耗性の違いを利用してメカニカルシール等の摺動材とし
て使用する場合の摺動面に凹凸が形成されるようにした
ものであって、かつ、カーボン粒子の有するシール液と
の親和性を利用して潤滑特性を改善しようとしたもので
ある。
【0018】そして、このようにWCにカーボン粒子を
余剰に配合することによって、摺動材の摺動面のカーボ
ン粒子に対応する部分に0.1〜0.5μm程度の凹部
を形成することができ、この凹部によってシール液によ
る液膜構成が容易となり、低トルク化を図ることがで
き、カーボン製の相手側摺動材の摺動面にブリスターが
発生したり、過大摩耗が発生する等のトラブルを防ぐこ
とが可能となる。また、この凹部は深さが浅く形成され
るため、凹部内に堆積しようとする摩耗粉や異物等を容
易に排出することができ、長期的に使用しても、摺動面
の粗さに変化は少なく、所望の効果を維持し続けること
が可能となる。
【0019】カーボン粒子の配合量は、結合材としてN
iやCoを用いる場合には、占有面積で3〜30Vol
%、好ましくは5〜15%Volの範囲内とする。これ
よりも配合量が少ないと、表面粗さの改善効果が薄くな
り、これよりも配合量が多いと、表面粗さが大きくなり
すぎて摩耗が増大したり強度の低下を招くことになる。
また、結合材を用いない場合には、占有面積で好ましく
は5〜10Vol%の範囲内とすることにより、表面粗
さを最良の粗さに改善することができるとともに、強度
の低下を防ぐこともできる。
【0020】カーボン粒子の粒度は、平均粒度1〜50
μmの範囲、好ましくは3〜30μmの範囲内とするこ
とによって、摺動面を所望の表面粗さに形成することが
できる。これより粒度が小さいと、所望の表面粗さに形
成することができず、これより粒度が大きいと、焼結体
の強度が低下する。
【0021】配合するカーボン粒子の種類は、人造黒
鉛、天然黒鉛等の黒鉛質と、造粒したカーボンブラック
等が好適であるが、焼成温度の低い黒鉛前駆体の炭素質
であっても純度を高く管理すれば問題はない。これらの
カーボン粒子は、シール液を吸着又は保持し易いよう
に、微細な気孔や空隙を有していることが一層好まし
い。
【0022】フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹
脂、ナフタリン樹脂、ポリエステル樹脂等の合成樹脂を
炭化して作られた樹脂炭は、重金属等のWCの焼結を阻
害する不純分の含有率が低く、黒鉛化しなくても使用で
き、また、製法によっては球状品や中空のバルーン状態
の粒子を作ることが可能であり、この中空部にシール液
を保持し易いことから、一層好ましい。
【0023】WCの焼結は、特に新技術を用いるもので
なく、NiやCoなどの結合材を用いる焼結方法、結合
材を用いない焼結方法、焼結助材としてTiC、TaC
などの添加物を用いる焼結方法等、従来技術の範囲内で
適用すればよい。また、必要に応じて、焼結体にHIP
(Hot Isostatic Pressing)処
理を行って焼結体の強度を高めることも、従来技術の範
囲で適用できる。
【0024】WCにカーボン粒子を配合した焼結体の液
体と親和性を接触角によって示すと、カーボン粒子を配
合しない場合では、105゜(蒸留水)、35゜(流動
パラフィン)となるが、平均粒径15μmの人造黒鉛粉
を表面積で10%配合した焼結体では、85゜(蒸留
水)、25゜(流動パラフィン)となり、濡れ性が改善
されていることが分かる。さらに、カーボン粒子の気孔
や空隙部が流体を保持することになるので、摺動面への
流体の供給源となる効果も期待できる。樹脂炭製の球状
中空のカーボン粒子は、摩耗等によって中空部が表面に
露出する結果、表面に開口した中空部でシール流体の保
持及び供給を可能とする。配合したカーボン粒子は、基
材のWCより軟質で耐摩耗性に劣るため、メカニカルシ
ール等の摺動材として使用した場合、使用中に摩耗する
ことにより平坦なWC面に対して0.1〜0.5μmの
凹部となり、この凹部とWC面とによって摺動面に凹凸
を形成することができる。
【0025】このようにして作られた、粗さの大きくな
ったWCをメカニカルシールの固定環又は回転環の摺動
材として使用した場合、摺動材の摺動面にシール液の液
溜まりができ易くなる。さらに、カーボン粒子の気孔や
空隙部にも同様な現象が発生することから、摺動面に巻
き込んだシール流体を維持し易くなり、摺動面を流体潤
滑状態に形成し易くなる。
【0026】この結果、反応装置の撹拌機の回転部に取
付けられるメカニカルシールの固定環又は回転環の摺動
材として使用した場合であっても、摺動面に巻き込んだ
シール流体を維持し易く、摺動面を流体潤滑状態に形成
し易くなるので、そのような低速、高圧の苛酷な条件下
においても、摺動面の摩擦係数を低く保つことができ、
ブリスターの発生を抑えることができ、固体接触部が増
大することによる異常発熱、かじり等の発生を未然に防
ぐことが可能となる。
【0027】以下、前述した摺動材の実施例について説
明する。 (実施例1)平均粒度5μmの人造黒鉛を表面積で6、
12Vol%になるように調合したWC(結合材とし6
Wt%のCoを用いる)との混合粉を成形の後、仮焼結
を行い、所定形状に加工後1500℃で焼結し、仕上げ
加工を行い、試験片とした。カーボン粒子を配合するこ
と以外、公知の技術を使用した。超硬合金(WC)の相
手摺動材として、硬度105、比重1.94の高硬度・
高密度を有する無含浸カーボンを用いた。
【0028】そして、図1〜図3に示す試験装置を用
い、表1の試験条件の下、上記試験片の評価試験を行っ
た。ここで、図1は低速、高圧条件に設定することがで
きる撹拌機のモデルであって、この撹拌機5の回転シー
ル部に取付けられるメカニカルシール1(図2参照)の
回転環2に上記試験片を用いたものである。固定環3に
はカーボン製の摺動材を用いた。そして、撹拌機5の回
転軸6を低速で回転させながら、図3に示す油循環装置
7によってシール箱4内に潤滑油を加圧しながら循環さ
せて高圧条件を作り、メカニカルシール1からの潤滑油
の漏れ、摺動面近傍の温度の計測を行った。そして、試
験後に試験片の摺動面の粗さの測定をするとともに、相
手側摺動材の摺動面にブリスタが発生しているか否かの
検査を行った。さらに、上記試験片と同一条件で製作し
た試験片を用いて曲げ試験を行い、曲げ強度を測定し
た。これらの評価試験の結果を表2に示す。
【0029】(実施例2)平均粒度30μmの人造黒鉛
粉を表面積で6、12Vol%になるように調合したW
C(結合材として8Wt%のNiを用いる)との混合粉
を、成形の後、仮焼結を行い所定形状に加工した後、1
500℃で焼結し、仕上げ加工を行い、試験片とした。
そして、実施例1に準じて試験片の評価試験を行った。
その結果を表2に示す。
【0030】(実施例3)平均粒径10μmの鱗状天然
造黒鉛粉を表面積で6、12Vol%になるように調合
したWC(結合材として6Wt%のCoを用いる)との
混合粉を成形後、仮焼結を行い所定形状に加工した後、
1500℃で焼結し、仕上げ加工を行い、試験片とし
た。そして、実施例1に準じて試験片の評価試験を行っ
た。その結果を表2に示す。
【0031】(実施例4)平均粒度20μmの球状中空
樹脂を黒鉛化して作られた球状中空カーボンを表面積で
6、12Vol%になるように調合したWC(結合材と
して6Wt%のCoを用いる)との混合粉を成形後、仮
焼結を行い所定形状に加工した後、1500℃で焼結
し、仕上げ加工を行い、試験片とした。そして、実施例
1に準じて試験片の評価試験を行った。その結果を表2
に示す。
【0032】(実施例5)平均粒度3μmのカーボンブ
ラック造粒粉を表面積で6Vol%になるように調合し
たWCとの混合粉を成形後、仮焼結を行い所定形状に加
工した後、1500℃で焼結し、この後、更にHIP
(Hot Isostatic Pressing)処
理を1450℃(圧力1000Kgf/cm2 )で行
い、強度のUPを図った後、仕上げ加工を行い、試験片
とした。そして、実施例1に準じて試験片の評価試験を
行った。その結果を表2に示す。
【0033】(比較例1)WCを主成分として結合材と
し、6%のCoを用いた混合粉を成形の後、仮焼結を行
い所定形状に加工した後、1500℃で焼結し、仕上げ
加工を行い、試験片とした。そして、実施例1に準じて
試験片の評価試験を行った。その結果を表2に示す。
【0034】(比較例2)WCを主成分とした混合粉
を、結合材を用いないで成形の後、仮焼結を行い、所定
形状に加工した後1500℃で焼結し、この後、更にH
IP(Hot Isostatic Pressin
g)処理を1450℃(圧力1000Kgf/cm2
で行い、強度のUPを図った後、仕上げ加工を行い、試
験片とした。そして、実施例1に準じて試験片の評価試
験を行った。その結果を表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】上記のような各種の試験片の評価を行った
結果、カーボン粒子を余剰に配合したWCを摺動材とし
て用いた実施例1〜5では、試験中に微量な漏れが継続
して発生しているものの、摺動面近傍の温度は、比較例
1、2に比べて約50〜80℃も低くなった。この結果
から、同じ種類のカーボン粒子をWCに配合しても、配
合量が多い方が摺動面近傍の温度は低くなり、粒度が大
きい方が僅かに温度が低くなる傾向にあることが分かっ
た。カーボン粒子を余剰に配合した実施例1〜5に示す
ものでは、比較例1に見られたようなブリスターの発生
もない。
【0038】評価試験後の実施例2と比較例1の摺動面
の拡大写真及び粗さの測定結果を図6〜図9に示す。こ
の拡大写真及び測定結果から、カーボン粒子を余剰に配
合したもの(実施例2)と、そうでないもの(比較例
1)とでは、摺動面の凹凸の大きさが違うことが分か
る。
【0039】すなわち、摺動面のうちWC面に対応する
部分は平坦面に形成され、カーボン粒子に対応する部分
は凹部に形成されることになるので、カーボン粒子を余
剰に配合した実施例2の摺動材の方が比較例1の摺動材
よりも摺動面の表面粗さが粗くなる。そして、このよう
な表面粗さが粗くなった摺動面によって、摺動面に潤滑
液を保持し易くなり、潤滑性が向上し、発熱量が低くな
ったものと考えることができる。さらに、試験が終了し
た試験片を大気中に放置しておいたところ、カーボン粒
子に吸われた潤滑油が表面にしみ出したことから、カー
ボン粒子自身も吸油し、潤滑液の保持と供給の効果を持
ち、潤滑性を補助していることが分かった。
【0040】曲げ強度については、カーボン粒子を余剰
に配合することによって低下するが、80Kg/mm2
以上のメカニカルシールの摺動材として使用するのに
は、充分な強度を有しているものと考えられる。
【0041】
【発明の効果】この発明は前記のように、メカニカルシ
ールの回転環又は固定環の少なくとも何れか一方を、W
C(タングステンカーバイト)にカーボン粒子を配合し
た複合材で形成したことにより、回転環又は固定環の少
なくとも何れか一方の摺動面を、WCに対応する部分は
平坦面に、カーボン粒子に対応する部分は凹部に形成す
ることができることになり、これらの平坦面と凹部とに
よって摺動面を凹凸に形成することができることにな
る。したがって、摺動面に巻き込んだシール流体を摺動
面に保持し易くなり、摺動面に液膜を形成し易くなり、
低トルク化を図ることができ、低速、高圧の苛酷な条件
下においても、ブリスターの発生や異常摩耗の発生など
を抑制することができ、長期的に安定した性能を発揮す
ることができることになる。また、カーボン粒子を、天
然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック又は樹脂炭とする
ことにより、又は、樹脂炭粒子を、球状又はこれに近い
形状で、かつ、中空とすることにより、カーボン粒子に
シール液を吸着又は保持させることができることにな
る。したがって、潤滑性をさらに向上させることができ
ることになる。さらに、カーボン粒子の粒子径を1〜5
0μmの範囲とすることにより、摺動面の表面粗さを良
好な潤滑性が得られる粗さに形成することができる。そ
して、カーボン粒子の占有率を焼結体の3〜30Vol
%とし、WC(タングステンカーバイト)の占有率を焼
結体の70〜97Vol%とすることにより、表面粗さ
の改善効果が得られるとともに、強度の低下を防ぐこと
もできることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による摺動材の評価試験装置の全体を
示した概略図である。
【図2】図1に示すものの回転シール部の拡大説明図で
ある。
【図3】図1に示すものの油循環装置の系統図である。
【図4】評価試験後の摺動材(実施例2に示すもの)の
摺動面の拡大図である。
【図5】図4に示す摺動材の摺動面の表面粗さの説明図
である。
【図6】評価試験後の摺動材(比較例1に示すもの)の
摺動面の拡大図である。
【図7】図6に示す摺動材の摺動面の表面粗さの説明図
である。
【符号の説明】 1……メカニカルシール 2……回転環 3……固定環 4……シール箱 5……撹拌機 6……回転軸 7……油循環装置
フロントページの続き (72)発明者 宮沢 正巳 埼玉県坂戸市大字片柳1500番地 イーグル 工業株式会社内 Fターム(参考) 3J041 AA01 BA04 BB01 BC02 DA01 4G001 BA24 BA60 BA61 BB24 BB60 BB61 BC13 BC43 BD12 BD14 BE11 BE21 BE22 4K018 AB07 AD03 KA02 KA04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに摺動接触する回転環と固定環とを
    有するメカニカルシールの前記回転環又は固定環の少な
    くとも何れか一方を、WC(タングステンカーバイト)
    にカーボン粒子を配合した複合材で形成したことを特徴
    とする摺動材。
  2. 【請求項2】 前記カーボン粒子は、天然黒鉛、人造黒
    鉛、カーボンブラック又は樹脂炭からなる請求項1記載
    の摺動材。
  3. 【請求項3】 前記カーボン粒子は樹脂炭からなるとと
    もに、球状又はこれに近い形状であり、かつ、中空であ
    る請求項1記載の摺動材。
  4. 【請求項4】 前記カーボン粒子は、粒子径が1〜50
    μmの範囲である請求項1〜3記載の摺動材。
  5. 【請求項5】 前記カーボン粒子の占有率は焼結体の3
    〜30Vol%であり、前記WC(タングステンカーバ
    イト)の占有率は焼結体の70〜97Vol%である請
    求項1〜4記載の摺動材。
JP10341929A 1998-12-01 1998-12-01 摺動材 Pending JP2000170924A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007058177A1 (ja) * 2005-11-15 2007-05-24 Nippon Tungsten Co., Ltd. メカニカルシールリング
JP2019218606A (ja) * 2018-06-20 2019-12-26 大阪富士工業株式会社 自己潤滑複合材
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