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JPH09241475A - 耐薬品性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

耐薬品性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品

Info

Publication number
JPH09241475A
JPH09241475A JP4736996A JP4736996A JPH09241475A JP H09241475 A JPH09241475 A JP H09241475A JP 4736996 A JP4736996 A JP 4736996A JP 4736996 A JP4736996 A JP 4736996A JP H09241475 A JPH09241475 A JP H09241475A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
copolymer
parts
vinyl
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4736996A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Kushida
賢司 串田
Tousuke Hirata
東介 平田
Keiji Nakagawa
啓次 中川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP4736996A priority Critical patent/JPH09241475A/ja
Publication of JPH09241475A publication Critical patent/JPH09241475A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐薬品性に優れた熱可塑性樹脂組成物および
成形品の提供。 【解決手段】 重量平均粒子径が0.1〜2.0μmで
あるジエン系ゴム5〜80重量部の存在下に、芳香族ビ
ニル化合物45〜85重量%、シアン化ビニル化合物1
5〜55重量%、α,β−不飽和カルボン酸エステル化
合物0〜85重量%およびその他0〜40重量%からな
る単量体混合物95〜20重量部を重合したグラフト共
重合体(A)1〜80重量部、芳香族ビニル化合物45
〜85重量%、シアン化ビニル化合物15〜55重量
%、α,β−不飽和カルボン酸エステル化合物0〜85
重量%およびその他0〜40重量%の共重合体(B)0
〜90重量部、およびMFRが1〜200g/10分、
かつ酢酸ビニル含有率が20〜60重量%であるエチレ
ン/酢酸ビニル共重合体(C)1〜20重量部からな
り、(A)、(B)(C)の合計が100重量部のも
の。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性に代表さ
れる機械特性および成形加工性などの優れた特性を維持
しつつ、耐薬品性を改良した耐薬品性熱可塑性樹脂組成
物、およびこの組成物からなる耐薬品性、特に薬液と接
触した場合に成形品にストレスクラックが発生すること
のない耐ストレスクラック性に優れた成形品に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ジエン系ゴム成分にアクリロニトリル、
メタアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、ス
チレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物
成分を共重合したグラフト共重合体を含有してなる、い
わゆるABS樹脂は、耐衝撃性、機械的強度、及び成形
加工性に優れていることから、汎用樹脂とエンジニアリ
ングプラスチックとの中間的な特性を持つ準エンプラと
して、OA機器や家電製品向けの用途に幅広く利用され
ている。
【0003】しかしながら、ABS樹脂などに代表され
るゴム強化スチレン系樹脂からなる成形品は、他の結晶
性高分子やエンジニアリングプラスチックからなる成形
品に比較して、耐薬品性に劣ることが知られており、ア
ルコール類、炭化水素類、エステル類などの化学薬品・
合成洗剤や、フロン類、ガソリン、灯油、ブレーキオイ
ルおよびポリ塩化ビニル用可塑剤などの薬液類に接触し
た場合に、クレーズやクラックが発生するため、家電・
雑貨分野や自動車分野などの用途における使用が制限さ
れているのが実情である。
【0004】また、ABS樹脂は、冷蔵庫の内箱やドア
部材などの断熱構造体の部品、パチンコの受け皿などの
雑貨用途、トイレ・台所などのサニタリー用途に多用さ
れている。そして、断熱構造体において断熱材として使
用されている硬質ウレタンフォームの発泡剤は、従来特
定のフロン−11が使用されてきたが、オゾン問題から
代替フロン−141bあるいはシクロペンタンなどに代
替されつつある。しかし、フロン−141bおよびシク
ロペンタンは、従来のフロン−11に比較してABS樹
脂を激しく侵し、応力負荷状態では成形品にクレーズや
クラックが発生するという問題があった。
【0005】さらに、ABS樹脂からなる成形品を雑貨
・サニタリー用途に適用する場合には、部材の洗浄に家
庭用あるいは業務用洗剤が使用されており、これらの洗
剤類によっても成形品にクレーズやクラックが発生し、
商品価値を著しく損なうという問題が生じていた。
【0006】そして、このような問題点を改良する手段
としては、樹脂成形品の表面にメッキや塗装を行うか、
あるいはフィルムなどを張り付けて薬液類との接触を防
ぐ方法、樹脂の分子量を増加する方法、結晶性樹脂をブ
レンドする方法、またABS樹脂においてはアクリロニ
トリルの共重合量を増加する方法やグラフト共重合体の
グラフト率を制御する方法などが知られている。
【0007】しかるに、上記した従来技術は、必ずしも
耐薬品性を十分に満足できるものではなく、メッキや塗
装、フィルム張り付けなどの方法は、確かに耐薬品性の
改良には効果があるものの、加工工程の煩雑化、コスト
アップおよび経時的劣化面で決して有利とは言えない。
一方、樹脂の分子量を増加する方法は、耐薬品性の効果
が小さいばかりでなく、成形時の流動性低下などを招
き、成形加工性が著しく損なわれるという欠点を有して
いる。
【0008】また、耐薬品性に優れるポリブチレンテレ
フタレート、ポリアミドおよびポリプロピレンなどの結
晶性樹脂をブレンドする方法(例えば特開平6−313
091号公報および特開平6−329852号公報な
ど)は、これらの結晶性樹脂とABS樹脂との相溶性が
不十分であり、機械的特性が満足できなかったり、成形
収縮率が大きくなるなどの問題があった。
【0009】さらに、ABS樹脂のグラフト共重合体の
グラフト率を規定する方法(例えば特開平4−2586
19号公報および特開平5−78428号公報)は、耐
薬品性の改良効果が低く、またアクリロニトリルの共重
合量を増加する方法(特開平4−126756号公報)
は、耐薬品性向上には有効であるが、アクリロニトリル
量の増加により、成形加工時の熱着色および流動性の低
下などの問題を生じるため、根本的な問題の解決には至
っていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたものである。
【0011】したがって、本発明の目的は、耐衝撃性に
代表される機械特性および成形加工性などの優れた特性
を維持しつつ、耐薬品性を改良した耐薬品性熱可塑性樹
脂組成物、およびこの組成物からなる耐薬品性、特に薬
液と接触した場合に成形品にストレスクラックが発生す
ることのない耐ストレスクラック性に優れた成形品を提
供することにある。
【0012】本発明者らは、上記の目的を達成するため
に、ゴム強化スチレン系樹脂にブレンドする重合体成分
について鋭意検討した結果、特定のゴム粒子径を有する
ゴムを用いたゴム強化スチレン系樹脂と、特定の組成お
よび流動性を持つエチレン/酢酸ビニル共重合体をブレ
ンドすることにより、機械特性および成形加工性などの
優れた特性を維持しつつ、耐薬品性が飛躍的に改善され
ることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
【発明が解決するための手段】すなわち本発明は、重量
平均粒子径が0.1〜2.0μmであるジエン系ゴム
(A−1)5〜80重量部の存在下に、芳香族ビニル化
合物(イ)45〜85重量%、シアン化ビニル化合物
(ロ)15〜55重量%、α,β−不飽和カルボン酸エ
ステル化合物(ハ)0〜85重量%およびその他の共重
合可能なビニル系単量体(ニ)0〜40重量%からなる
単量体混合物(A−2)95〜20重量部をグラフト重
合して得られるグラフト共重合体(A)1〜80重量
部、芳香族ビニル化合物(イ)45〜85重量%、シア
ン化ビニル化合物(ロ)15〜55重量%、α,β−不
飽和カルボン酸エステル化合物(ハ)0〜85重量%お
よびその他の共重合可能なビニル系単量体(ニ)0〜4
0重量%からなる単量体混合物を共重合した共重合体
(B)0〜90重量部、およびメルトフローレイトが1
〜200g/10分であり、かつ酢酸ビニル含有率が2
0〜60重量%であるエチレン/酢酸ビニル共重合体
(C)1〜20重量部からなり、グラフト共重合体
(A)、共重合体(B)およびエチレン/酢酸ビニル共
重合体(C)の合計が100重量部であることを特徴と
する耐薬品性熱可塑性樹脂組成物、およびこの組成物か
らなる成形品を提供するものである。
【0014】そして、本発明の成形品は、23℃、24
時間薬液接触後のクラック発生臨界歪みが0.5%以上
であり、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エステル化合
物、エーテル化合物およびアルコール化合物などの薬品
に対する耐薬品性がきわめて優れることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明におけるジエン系ゴム(A−1)の具体例
としては、ポリブタジエンの他、スチレン−ブタジエン
共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ス
チレン−ブタジエンブロック共重合体、アクリル酸ブチ
ル−ブタジエン共重合体およびポリイソプレンゴムなど
が挙げられ、なかでもポリブタジエンおよびスチレン−
ブタジエン共重合体が耐衝撃性の点で好ましく使用され
る。
【0016】本発明における単量体混合物(A−2)お
よび共重合体(B)の単量体混合物中の芳香族ビニル化
合物(イ)としては、スチレン、α−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチ
レン、o−エチルスチレン、o−クロロスチレンおよび
o,p−ジクロロスチレンなどが挙げられ、これらは1
種または2種以上を組合わせて用いることができる。な
かでもスチレンおよびα−メチルスチレンが成形加工性
の面で好ましく使用される。
【0017】本発明における単量体混合物(A−2)お
よび共重合体(B)の単量体混合物中のシアン化ビニル
化合物(ロ)としては、アクリロニトリル、メタアクリ
ロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられる
が、なかでもアクリロニトリルが耐薬品性の面で特に好
ましく使用される。
【0018】本発明における単量体混合物(A−2)お
よび共重合体(B)の単量体混合物中のα,β−不飽和
カルボン酸エステル化合物(ハ)としては、(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチ
ル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル
酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸クロロメチルおよび(メタ)アクリ
ル酸2−クロロエチルなどが挙げられるが、なかでもメ
タクリル酸メチルが好ましく使用される。
【0019】本発明における単量体混合物(A−2)お
よび共重合体(B)の単量体混合物中のその他の共重合
可能なビニル系単量体(ニ)としては、N−メチルマレ
イミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニル
マレイミドなどのマレイミド化合物、マレイン酸などの
不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸などの不飽和ジカ
ルボン酸無水物、およびアクリルアミドなどの不飽和ア
ミド化合物に代表される共重合可能なビニル化合物など
を挙げることができ、これらは1種ないし2種以上を組
合わせて用いることができる。
【0020】本発明におけるグラフト共重合体(A)の
ジエン系ゴム(A−1)の重量平均粒子径は0.1〜
2.0μmであることが必要であり、0.2〜1.5μ
mが好ましい。重量平均粒子径が0.1〜2.0μmの
範囲外であると、十分な耐薬品性および機械的特性が発
現しないため好ましくない。
【0021】グラフト共重合体(A)中のジエン系ゴム
(A−1)の含有量は、5〜80重量部が必要で、10
〜60重量部が好ましい。ジエン系ゴム(A−1)の含
有量が5重量部未満では、得られる耐薬品性熱可塑性樹
脂組成物の耐衝撃性が十分でなく、80重量部を越える
と得られる耐薬品性熱可塑性樹脂組成物の成形性が低下
するため好ましくない。
【0022】本発明におけるグラフト共重合体(A)の
単量体混合物(A−2)および共重合体(B)中の芳香
族ビニル化合物(イ)、シアン化ビニル化合物(ロ)、
α,β−不飽和カルボン酸エステル化合物(ハ)および
その他の共重合可能なビニル系単量体(ニ)の各組成比
は、(イ)が45〜85重量%、好ましくは50〜80
重量%、(ロ)が15〜55重量%、好ましくは20〜
50重量%、(ハ)が0〜85重量%、好ましくは0〜
80重量%、(ニ)が0〜40重量%、好ましく0〜3
5重量%である。
【0023】ここで、単量体混合物(A−2)と共重合
体(B)の単量体組成は、同一であってもよく、あるい
は機械的特性を損なわない範囲で異なっていてもよい。
【0024】また、単量体混合物(A−2)と共重合体
(B)の単量体混合物のなかでも、特にシアン化ビニル
化合物(ロ)が重要な単量体であり、単量体混合物(A
−2)の合計量100重量%に対して15重量%未満で
は、薬液と接触した場合、成形品にクレーズやクラック
が発生しやすくなるため好ましくない。一方、55重量
%を越えると耐薬品性改善効果が次第に小さくなるばか
りでなく、成形加工時の熱着色や流動性が著しく低下す
るなどの欠点を生じることになるため好ましくない。
【0025】なお、共重合体(A)の製造方法は、乳化
重合、懸濁重合および塊状懸濁重合などのいずれの重合
方法を用いてもよく、特に制限されない。また、共重合
体(B)の製造方法は、乳化重合、懸濁重合、塊状重
合、塊状懸濁重合および溶液重合などのいずれの重合方
法を用いても良く、特に制限されない。さらに、上記の
重合法において、単量体の仕込方法についても特に制限
はなく、初期一括仕込みで重合してもよく、あるいは共
重合体の組成分布の生成を抑えるために仕込み単量体の
一部または全部を連続的または分割して仕込みながら重
合してもよい。
【0026】本発明におけるエチレン/酢酸ビニル共重
合体(C)は、公知の重合方法よりエチレンと酢酸ビニ
ルとを共重合したものであり、エチレンが40〜80重
量%、好ましくは50〜75重量%、酢酸ビニルが20
〜60重量%、好ましくは25〜50重量%の共重合比
率からなるものである。ここで、エチレン/酢酸ビニル
共重合体(C)における酢酸ビニルの共重合比率が60
重量%を越えると、耐薬品性熱可塑性樹脂組成物の機械
的強度が著しく低下し、20重量%未満では、得られる
耐薬品性熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でなく、
層状剥離を起こす傾向となるため好ましくない。
【0027】また、エチレン/酢酸ビニル共重合体
(C)は、JIS K6730の方法に準じ、190
℃、2.16Kgの条件で測定したメルトフローレイト
が、1〜200g/10分、好ましくは3〜180g/
10分であることが重要であり、メルトフローレイトが
1g/10分未満では耐薬品性熱可塑性樹脂組成物およ
び成形品の耐衝撃性が低下し、200g/10分を越え
ると引張り降伏強度が低下する傾向となるため好ましく
ない。
【0028】本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物にお
ける各成分の配合割合は、グラフト共重合体(A)が1
〜80重量部、好ましくは5〜70重量部、共重合体
(B)が0〜90重量部、好ましくは5〜80重量部、
エチレン/酢酸ビニル共重合体(C)が1〜20重量
部、好ましくは2〜15重量部からなり、かつグラフト
共重合体(A)、共重合体(B)およびエチレン/酢酸
ビニル共重合体(C)の合計が100重量部となること
が必要である。
【0029】グラフト共重合体(A)の配合割合が80
重量部を越えると、剛性および流動性が低下し、1重量
部未満では、十分な耐衝撃性が発現しないため好ましく
ない。また、共重合体(B)の配合割合が90重量部を
越えると、十分な耐衝撃性が発現しないため好ましくな
い。さらに、エチレン/酢酸ビニル共重合体(C)の配
合割合が1重量部未満では、十分な耐薬品性が発現せ
ず、20重量部を越えると、剛性および流動性が低下す
るばかりか、層状剥離を生じる傾向となるため好ましく
ない。
【0030】次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造
方法に関して、グラフト共重合体(A)、共重合体
(B)およびエチレン/酢酸ビニル共重合体(C)の配
合・溶融押出しについては特に制限はなく、通常公知の
方法を採用することができる。すなわち、グラフト共重
合体(A)、共重合体(B)およびエチレン/酢酸ビニ
ル共重合体(C)の配合の際には、例えばリボンブレン
ダー、V型ブレンダーおよびヘンシェルミキサーなどを
用いることができる。そして、バンバリーミキサー、混
合ロール、加圧ニーダーおよび単軸または多軸押出機な
どの押出機などを使用して溶融混練押出することができ
る。
【0031】なお、本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成
物には、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリ塩化ビ
ニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフ
ィン、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレートなどの
ポリエステル、ポリカーボネート、および各種エラスト
マー類などを配合することにより、成形用樹脂としての
性能をさらに改良することができる。
【0032】また、本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成
物には、必要に応じてヒンダードフェノール系、含硫黄
有機化合物系、含リン有機化合物系などの酸化防止剤、
フェノール系、アクリレート系などの熱安定剤、ベンゾ
トリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系な
どの紫外線吸収剤、有機ニッケル系、ヒンダードアミン
系などの光安定剤などの各種安定剤、高級脂肪酸の金属
塩類、高級脂肪酸アミド類などの滑剤、フタル酸エステ
ル類、リン酸エステル類などの可塑剤、ポリブロモジフ
ェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A、臭
素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリカーボネートオリ
ゴマーなどの含ハロゲン系化合物、リン系化合物、三酸
化アンチモンなどの難燃剤・難燃助剤、カーボンブラッ
ク、酸化チタン、顔料および染料などを添加することも
できる。さらに、本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物
には、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭
素繊維および金属繊維などの補強剤や充填剤を添加する
こともできる。
【0033】上記によって得られた耐薬品性熱可塑性樹
脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成
形、圧縮成形およびガスアシスト成形などの現在熱可塑
性樹脂の成形に用いられる公知の方法によって成形する
ことができ、特に制限されるものではない。
【0034】かくして成形される本発明の成形品は、そ
の耐薬品性を最大限に発揮させるために、23℃、24
時間薬液接触後のクラック発生臨界歪みが0.5%以
上、好ましくは0.6%以上、より好ましくは0.8%
以上であることが必要であり、0.5%未満では、耐薬
品性の改善効果が小さいため好ましくない。
【0035】本発明の成形品は、耐薬品性が要求される
用途に好ましく用いられる。そして、本発明の成形品
は、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エステル化合物、
エーテル化合物およびアルコール化合物などの種々の有
機化合物、より具体的には炭素数4〜20の炭化水素、
フロン類、ガソリン、灯油、ブレーキオイル、ポリ塩化
ビニル用可塑剤(例えばフタル酸ジアルキルエステル、
フタル酸アルキルエステル)および非イオン系界面活性
剤、アニオン系界面活性剤などを含有する洗剤などに対
して優れた耐薬品性を発揮する。
【0036】本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物から
得られる成形品は、耐衝撃性に代表される機械特性およ
び成形加工性などの優れた特性を維持しつつ、耐薬品性
が著しく改良されているため、電気、電子、自動車、機
械、雑貨、化学プラント、航空、宇宙用の部品、素材な
どの用途に広く使用可能であるが、なかでも耐薬品性が
要求される用途、例えば電気・電子製品のハウジングお
よび冷蔵庫の構造体部品、パチンコの受け皿などの雑貨
用途、トイレ・台所などのサニタリー用途および自動車
用内外装材などの用途に対し好適に使用できる。
【0037】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するため、以下
に実施例および比較例を挙げて説明するが、これら実施
例は本発明を制限するものではない。なお、ここで特に
ことわりのない限り「%」は重量%、「部」は重量部を
表す。
【0038】なお、耐薬品性熱可塑性樹脂組成物の樹脂
特性は、下記に示す分析方法に準じて測定した。また成
形品の機械的強度、耐熱性などの一般的な特性について
は、射出成形によりテストピースを成形し、下記の試験
法に準拠し測定した。 ゴム粒子径:アルギン酸ナトリウム法 還元粘度:メチルエチルケトン溶液(0.4g/dl)
30℃ メルトフローレイト:JIS K6730(190℃、
2.16Kg) 引張降伏強度:ASTM D638(23℃) IZOD衝撃強度:ASTM D256(23℃ 1/2イ
ンチノッチ付き) 耐薬品性試験:射出成形した短冊状試験片(126×1
2.6×1.5mm)を図1に示した1/4楕円治具に
沿わして固定後、試験片表面に薬液を塗布し、23℃で
24時間放置後、クラックの発生有無を確認し、下記式
(1)より臨界歪み(%)を算出した。
【0039】
【数1】 [参考例1] グラフト共重合体(A)A1の製法 窒素置換した反応器に純水120部、ブドウ糖0.5
部、ピロリン酸ナトリウム0.5部、硫酸第一鉄0.0
05部および表1に示した所定量のポリブタジエンラテ
ックスを仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を65℃
に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始とし
て表1に示した所定量のモノマおよびt−ドデシルメル
カプタン混合物を5時間掛けて連続添加した。同時に並
行して、表1に示すクメンハイドロパーオキサイドおよ
びオレイン酸カリウムからなる水溶液を7時間かけて連
続添加し、反応を完結させた。得られたラテックスに、
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル
フェノール)をラテックス固形分100重量部に対して
1重量部添加し、続いて、このラテックスを硫酸で凝固
後、水酸化ナトリウムにて中和し、洗浄濾過後、乾燥さ
せてパウダー状のグラフト共重合体A1を得た。
【0040】[参考例2〜6] グラフト共重合体
(A)A2〜A6の製法 参考例1と同様の方法で、表1に示す組成比で、グラフ
ト共重合体A2〜A6を得た。
【0041】[参考例7] 共重合体(B)B1〜B6
の製法 表2に示す組成比および重合方法で、表2に示す還元粘
度の共重合体B1〜B6を得た。
【0042】[参考例8] エチレン/酢酸ビニル共重
合体(C)C1〜C5 下記共重合体C1〜C5を準備した。 C1:三井・デュポンポリケミカル社製エチレン/酢酸
ビニル共重合体 “EVAFLEX”EV45LX 酢酸ビニル含有率:45% メルトフローレイト:2.5g/10分 C2:三井・デュポンポリケミカル社製エチレン/酢酸
ビニル共重合体 “EVAFLEX”EV45X 酢酸ビニル含有率:45% メルトフローレイト:90g/10分 C3:三井・デュポンポリケミカル社製エチレン/酢酸
ビニル共重合体 “EVAFLEX”EV460 酢酸ビニル含有率:19% メルトフローレイト:2.5g/10分 C4:三井・デュポンポリケミカル社製エチレン/酢酸
ビニル共重合体 “EVAFLEX”EV290 酢酸ビニル含有率:28% メルトフローレイト:0.1g/10分 C5:三井・デュポンポリケミカル社製エチレン/酢酸
ビニル共重合体 “EVAFLEX”V5411 酢酸ビニル含有率:28% メルトフローレイト:300g/10分
【0043】[実施例1〜4] 耐薬品性熱可塑性樹脂
組成物および成形品の製造 参考例記載のグラフト共重合体(A)、共重合体
(B)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(C)を、それ
ぞれ表3記載の割合で配合した後、40mmφ単軸押出機
(シリンダー設定温度は、230℃)で溶融混練し、ペ
レット状の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物を得た。得られ
たペレットを東芝機械(株)製射出成形機IS−50A
を使用してテストピースを成形し、この成形品について
諸特性を評価して、結果を表3に示した。
【0044】[比較例1〜10] 耐薬品性熱可塑性樹
脂組成物および成形品の製造 参考例記載のグラフト共重合体(A)、共重合体
(B)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(C)を、それ
ぞれ表3記載の割合で配合した後、40mmφ単軸押出機
(シリンダー設定温度は230℃)で溶融混練し、ペレ
ット状の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた
ペレットを東芝機械(株)製射出成形機IS−50Aを
使用してテストピースを成形し、この成形品について諸
特性を評価して、結果を表3に併せて示した。
【0045】
【表1】
【表2】
【表3】 実施例1〜4により、本発明で規定した配合割合の耐薬
品性熱可塑性樹脂組成物および成形品が、引張降伏強
度、衝撃強度および耐薬品性がともに優れていることが
明らかである。
【0046】しかし、比較例1〜3は、グラフト共重合
体(A)、共重合体(B)およびエチレン/酢酸ビニル
共重合体(C)の配合割合が、本発明の規定範囲外であ
るため、比較例1、3は引張降伏強度が低く、比較例2
は耐薬品性が劣る。また、比較例4〜10は、グラフト
共重合体(A)、共重合体(B)およびエチレン/酢酸
ビニル共重合体(C)の少なくとも1種が、本発明の規
定を満たしていないため、比較例4、10は引張降伏強
度が低く、比較例5は耐薬品性が劣り、比較例6〜9は
衝撃強度が劣る。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の耐薬品性
熱可塑性樹脂組成物およびその組成物からなる成形品
は、特定のゴム粒子径のゴムを使用したゴム強化スチレ
ン系樹脂と、特定の組成および流動性を持つエチレン/
酢酸ビニル共重合体を特定の割合で組合わせたことによ
り、機械的特性、成形加工性などの優れた諸特性を維持
したまま、薬液と接触した場合に成形品にクレーズやク
ラックが発生することがなく、耐薬品性に極めて優れて
いる。
【0048】したがって、本発明の耐薬品性熱可塑性樹
脂組成物およびその組成物からなる成形品は、これらの
特徴を生かして、電気冷蔵庫用樹脂材料およびその部品
あるいは洗剤に接触する機器用樹脂材料およびその部品
などの用途に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例における耐薬品性試験で使用する
1/4楕円治具の説明図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均粒子径が0.1〜2.0μmで
    あるジエン系ゴム(A−1)5〜80重量部の存在下
    に、芳香族ビニル化合物(イ)45〜85重量%、シア
    ン化ビニル化合物(ロ)15〜55重量%、α,β−不
    飽和カルボン酸エステル化合物(ハ)0〜85重量%お
    よびその他の共重合可能なビニル系単量体(ニ)0〜4
    0重量%からなる単量体混合物(A−2)95〜20重
    量部をグラフト重合して得られるグラフト共重合体
    (A)1〜80重量部、 芳香族ビニル化合物(イ)45〜85重量%、シアン化
    ビニル化合物(ロ)15〜55重量%、α,β−不飽和
    カルボン酸エステル化合物(ハ)0〜85重量%および
    その他の共重合可能なビニル系単量体(ニ)0〜40重
    量%からなる単量体混合物を共重合した共重合体(B)
    0〜90重量部、およびメルトフローレイトが1〜20
    0g/10分であり、かつ酢酸ビニル含有率が20〜6
    0重量%であるエチレン/酢酸ビニル共重合体(C)1
    〜20重量部からなり、 グラフト共重合体(A)、共重合体(B)およびエチレ
    ン/酢酸ビニル共重合体(C)の合計が100重量部で
    あることを特徴とする耐薬品性熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の耐薬品性熱可塑性樹脂組
    成物を成形してなることを特徴とする成形品。
  3. 【請求項3】 23℃、24時間薬液接触後のクラック
    発生臨界歪みが0.5%以上であることを特徴とする請
    求項2記載の成形品。
  4. 【請求項4】 炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エステ
    ル化合物、エーテル化合物およびアルコール化合物から
    選ばれた少なくとも1種に対し優れた耐薬品性を有する
    請求項2または3記載の成形品。
  5. 【請求項5】 炭素数4〜20の炭化水素、フロン類、
    ガソリン、灯油、ブレーキオイル、ポリ塩化ビニル用可
    塑剤および洗剤から選ばれた少なくとも1種に対し優れ
    た耐薬品性を有する請求項2〜4のいずれか1項に記載
    の成形品。
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CN104271453A (zh) * 2012-05-14 2015-01-07 株式会社可乐丽 具有压紧部的吹塑成型容器
KR20210048925A (ko) * 2019-10-24 2021-05-04 주식회사 엘지화학 열가소성 수지 조성물
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