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JP3913098B2 - 樹脂組成物およびそれを用いた成型品 - Google Patents

樹脂組成物およびそれを用いた成型品 Download PDF

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JP3913098B2
JP3913098B2 JP2002120893A JP2002120893A JP3913098B2 JP 3913098 B2 JP3913098 B2 JP 3913098B2 JP 2002120893 A JP2002120893 A JP 2002120893A JP 2002120893 A JP2002120893 A JP 2002120893A JP 3913098 B2 JP3913098 B2 JP 3913098B2
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義博 中井
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光輝処理を施された成型品を得るために、表面処理やアンダーコートの付与なく、直接、真空蒸着法やスパッタリング法などの金属化処理によりアルミニウムやクロム等の金属層を形成させることが可能ないわゆるダイレクト蒸着性に優れ、また、耐候性やPMMA樹脂やPC樹脂などの透明レンズ樹脂との熱板溶着性に優れ、かつ、実用的な耐衝撃性を有した自動車用ランプハウジングを構成する熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車部品や各種電気機器筐体用の熱可塑性樹脂成型品には、意匠性やその他の機能性を高めるために、銅やクロム、ニッケル等の金属層をメッキ表面処理したり、アルミニウムやクロム等の金属層を真空蒸着法やスパッタリング法などによって成型品表面に形成する金属化処理が施される場合がある。
【0003】
従来、この様な樹脂成型品に真空蒸着法やスパッタリング法等により表面金属処理するに際しては、成型品表面の凹凸を無くし平滑性を得るために、塗装やプラズマ重合処理によりアンダーコート処理層を形成し、その後、真空蒸着法等で金属層(厚み数十〜数百nm)を形成する必要があった。そして、通常、その後に金属層保護の目的でシリコーン系等のトップコート層を形成する。
【0004】
このように熱可塑性樹脂成型品の金属化処理は多数の工程と専用の装置、高コストの処理剤を必要とするものであったが、最近になってアンダーコート処理層を形成する前処理工程を省いた、いわゆる「ダイレクト(直接)蒸着法」が行われている。
【0005】
この「ダイレクト蒸着法」により得られた光輝性成形品の意匠性は、樹脂材料の種類や樹脂成型品の表面状態によって大きく変動する。ダイレクト蒸着法において、特に、表面曇りの無い美麗な光輝外観を得ることは重要な課題の一つであった。
【0006】
このような分野に対して、特開2001−2869号公報に、特定の粒子径分布を有するゴム状重合体(ポリオルガノシロキサン系重合体、アクリル酸エステル重合体等)にビニル系単量体(スチレン、アクリロニトリル)をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合と、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル単量体と必要に応じて用いられる他の共重合可能な不飽和単量体とを共重合してなる硬質共重合体とを含有するダイレクト蒸着性に優れた熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
【0007】
ところで、自動車用テールランプやストップランプ、ヘッドランプ等は、PMMA(ポリメチルメタクリレート)樹脂やPC(ポリカーボネート)樹脂等の透明樹脂からなるレンズと、それを支持するハウジングとから概略構成されている。
【0008】
近年、この様な自動車用ランプハウジングは、屋外で日光に曝されることが多いため、耐候性に優れた材料が望まれている。また、透明樹脂からなるレンズとハウジングとを接合するにあたり、両者の接合すべき接着部分に加熱した熱板を数秒間押し当ててともに加熱溶融し、速やかに熱板を取り去って両者を接合する、いわゆる熱板溶着法が一般的になりつつある。この場合、両材料それぞれの一部が高温の熱板に付着し、これを取り去る際に糸を引く現象が生じることがあり、これら材料を使用するにあたってこの糸曳き性が少ないことが重要となる。
【0009】
この様な分野の材料として、例えば、特開2000−302824号公報に、アクリル酸アルキルエステル単量体単位と1,3−ブタジエン単量体単位とを含有する単量体混合物を重合して得られるゴム状重合体(I)100重量部に対して、メタクリル酸メチルおよび/又はスチレンからなる単量体単位50〜100重量%と、これと共重合可能な単量体単位0〜50重量%とからなる単量体混合物(II)10〜1000重量部を重合して得られたゴム状グラフト重合体を有
するグラフト共重合体(A)を含む熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた成型体が開示されている。
【0010】
しかしながら、特開2001−2869号公報に開示されている熱可塑性樹脂組成物に、アルミニウムやクロム等の金属層をダイレクト蒸着した場合、十分な光輝性が得られるとは必ずしもいえず、近年の要求レベルには到達しないこともある。
【0011】
一方、特開2000−302824号公報の実施例に開示されている熱可塑性樹脂組成物では、サンシャインウエザーメーターでの加速暴露耐候性試験において暴露時間500時間の光沢保持率が示されているが、さらに長時間の暴露に対しては十分な耐候性が得られず、近年の要求レベルには到達していない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ダイレクト蒸着後に美麗な光輝外観が得られ、しかも、高いレベルの耐候性を有し、PMMA樹脂やPC樹脂などの透明レンズ樹脂との熱板溶着性にも優れた樹脂組成物、および、この樹脂組成物を用いた成形品を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定組成及び構造のゴム状重合体(G)と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須成分とする単量体又は単量体混合物をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(A)を用いることによって上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0014】
すなわち、本発明の上記目的は、以下の本発明により解決できる。
(1)シリコーン/アクリル酸ブチル複合ゴムからなるゴム状重合体(G)に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのみをグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルのいずれか一種以上を含む単量体又は単量体混合物を重合して得られるビニル系(共)重合体(B)とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
)前記()に記載の樹脂組成物を成形してなる車両用ランプハウジング。
)ダイレクト蒸着により表面が金属処理されている前記()に記載の車両用ランプハウジング。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明で使用されるグラフト共重合体(A)は、樹脂組成物中に含まれる全ゴム状重合体100質量%中にジエン単位が30質量%以下(0質量%を含む)であるゴム状重合体(G)に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須成分とする単量体又は単量体混合物をグラフト重合して得られるものである。グラフト重合体(A)は単独で用いても、二種以上を併用してもよく、用途によって任意に選択できる。
【0017】
用いることのできるゴム状重合体(G)は特に限定されるものではないが、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルアクリレート−ブタジエンゴムなどのジエン系ゴム、アクリル酸ブチルゴム、ブタジエン−アクリル酸ブチルゴム、アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸ブチルゴム、メタクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸ブチルゴム、アクリル酸ステアリル−アクリル酸ブチルゴム、ジメチルシロキサン−アクリル酸ブチルゴム、シリコーン系/アクリル酸ブチル複合ゴムなどのアクリル系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムなどのポリオレフィン系ゴム重合体、ポリジメチルシロキサンゴムなどのシリコーン系ゴム重合体等があげられ、これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる
これらゴム状重合体(G)は、得られる樹脂組成物の耐候性が優れることから、組成物中に含まれる全ゴム状重合体100質量%中にジエン単位が30質量%以下、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは1質量%未満である。
【0018】
また、ゴム状重合体(G)には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸−プロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル等の炭素数2〜8、好ましくは4〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルの少なくとも一種の単量体を含むことが好ましく、得られる樹脂組成物の耐候性とダイレクト蒸着後の光輝性、熱板溶着接合部の外観が優れているので、ゴム状重合体(G)中の炭素数2〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル系単位の割合が70〜90質量%であることが好ましい。
【0019】
さらに、ゴム状重合体(G)には、上記以外にも共重合可能なビニル系単量体を好ましくは30質量%以下導入することができる。このようなビニル系単量体としては特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル系単量体や、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸プロピレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコールジエステル等のグラフト交叉剤、架橋剤等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
【0020】
グラフト重合体(A)のグラフト成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須成分とする単量体又は単量体混合物と、これと共重合可能な他のビニル系単量体よりなるものである。
【0021】
用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種以上を併用してもよい。中でも、得られる樹脂組成物の耐候性、ダイレクト蒸着後の光輝性が優れているので、メタクリル酸メチルを用いることが好ましい。また、共重合可能な他のビニル系単量体としては特に限定はないが前述した、芳香族ビニル系単量体シアン化ビニル系単量体等が挙げられる。
【0022】
得られる熱可塑性樹脂組成物の耐候性、ダイレクト蒸着後の光輝性が優れているので、全グラフト成分100質量%中に(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50〜100質量%とすることが好ましく、特に70〜100質量%が好ましい。
【0023】
グラフト重合体(A)の製造法は特に限定されないが、例えば、前述したゴム状重合体(G)に、単量体又は単量体混合物成分を乳化グラフト重合して製造することができる。
【0024】
乳化グラフト重合するゴム状重合体(G)とグラフトに用いる単量体又は単量体混合物の質量割合は、全グラフト重合体(A)中にゴム状重合体(G)が10〜90質量%、特に30〜80質量%であることが好ましい。このような質量割合で乳化グラフト重合すると、最終的に得られる樹脂組成物は、良好な耐候性と光輝性に優れたダイレクト蒸着外観とをバランス良く発現する。
【0025】
グラフト重合体(A)は、乳化剤を使用してラジカル重合を行うことにより製造することができる。通常、予め乳化重合によりゴム状重合体(G)を製造し、そのゴム状重合体ラテックスにグラフト成分の単量体又は単量体混合物を添加し、グラフト重合させてグラフト重合体(A)を得る。また、単量体成分中には、グラフト率やグラフト成分の分子量を制御するための各種連鎖移動剤、例えばメルカプタン系化合物、テルペン系化合物、α−メチルスチレン二量体等を添加してもよい。重合条件は特に限定されず、必要に応じて適宜選択することができる。
【0026】
ゴム状重合体(G)やグラフト重合体(A)を製造する際に用いるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤又は酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤等を用いることができる。中でも、レドックス系開始剤を用いることが好ましく、特に硫酸第一鉄・ピロリン酸ナトリウム・ブドウ糖・ヒドロパーオキサイドや、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ヒドロパーオキサイドを組み合わせたレドックス系開始剤を用いることが好ましい。
【0027】
ゴム状重合体(G)やグラフト重合体(A)を製造する際に用いる乳化剤としては特に制限されないが、乳化重合時のラテックスの安定性に優れ、重合率が高められるので、サルコシン酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸等の各種カルボン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムなどのアニオン系乳化剤を用いることが好ましい。これらは目的に応じて使い分けられる。また、ゴム状重合体(G)の調製に用いた乳化剤をそのまま利用し、乳化グラフト重合時に追添加しなくても良い。
【0028】
乳化グラフト重合で得られたグラフト共重合体(A)ラテックスは、例えば、凝固剤を溶解させた熱水中に投入することによってスラリー状態に凝析する湿式法や、加熱雰囲気の中にグラフト共重合体(A)ラテックスを噴霧することにより、半直接的にグラフト共重合体(A)を回収するスプレードライ法などの方法により、グラフト共重合体(A)として回収できる。
【0029】
湿式回収法に用いる凝固剤としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の無機酸や、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の金属塩などを用いることができる。用いる凝固剤は重合で用いた乳化剤と対にして選ばれる。すなわち、乳化剤として脂肪酸石鹸やロジン酸石鹸等のカルボン酸石鹸のみが使用されていた場合にはどの様な凝固剤を用いてもグラフト重合体(A)を回収できるが、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの様な酸性領域でも安定な乳化力を示す乳化剤が含まれている場合には上記無機酸では不十分であり、凝固剤として金属塩を用いる必要がある。
【0030】
湿式回収法により得られたスラリー状のグラフト共重合体(A)から乾燥状態のグラフト共重合体(A)とするには、まず残存する乳化剤残渣を水中に溶出させて洗浄し、次いで、このスラリーを遠心又はプレス脱水機等で脱水した後に気流乾燥機等で乾燥する方法、圧搾脱水機や押出機等で脱水と乾燥とを同時に実施する方法などのプロセスを経た後に、乾燥したグラフト共重合体(A)を粉体又は粒子状で得ることができる。また、この際、圧搾脱水機や押出機から排出されたものを直接、熱可塑性樹脂組成物を製造する押出機や成形機に送って成型品とすることも可能である。
【0031】
本発明の熱可塑性樹脂組成物に使用できるビニル系(共)重合体(B)は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルのいずれか一種以上を含む単量体(混合物も含む)を重合して得られる(共)重合体である。これら芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは前述した単量体を用いることができ、これらのうち、単量体成分としてスチレンとアクリロニトリルの混合物を使用すると熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が優れ、またメタクリル酸メチル単独又はその優位量からなる混合物を用いると耐候性に優れるため好ましい。
【0032】
また、ビニル系(共)重合体(B)は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の単量体を含む単量体混合物を重合して得られる共重合体であってもよく、例えば、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物およびN−置換マレイミドからなる単量体混合物を重合して得られる共重合体であることも好ましい。
【0033】
また、これら以外の単量体成分としては、マレイミド系単量体、無水マレイン酸等が挙げられる。マレイミド系単量体としては、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0034】
ビニル系(共)重合体(B)としては、具体的には、アクリロニトリル−スチレン共重合体(SAN)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、スチレン−メチルメタクリレート共重合体(MS)樹脂、アクリロニトリル−αメチルスチレン共重合体(αSAN)樹脂、スチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド三元共重合(SAM)樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン−メチルメタクリレート三元共重合体等の樹脂が好ましい。
【0035】
ビニル系(共)重合体(B)は単独で用いても、二種以上を併用してもよく、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形加工性を改良したり、耐熱性を付与したり等の本発明の目的以外の効果を付与することができ、その目的に応じて選択することができる。なお、ビニル系(共)重合体(B)は任意の分子量のものを使用できる。
【0036】
本発明の樹脂組成物に使用できるポリカーボネート(C)は、ジヒドロキシジアリールアルカンから得られるものであり、任意に枝分かれしていてもよい。ポリカーボネート(C)を含有させることにより、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性や耐衝撃性を向上させることができる。
【0037】
ジヒドロキシアリールアルカンは、ヒドロキシ基に関してオルトの位置にアルキル基、塩素原子又は臭素原子を有していてもよい。ジヒドロキシジアリールアルカンとしては、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジフェニルプロパン(ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が好ましい。
【0038】
ポリカーボネート(C)は任意の分子量のものを使用することができる。
【0039】
ポリカーボネート(C)は公知の方法により製造でき、一般に、ジヒドロキシ化合物又はポリヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることにより製造される。
【0040】
また、分岐したポリカーボネートは、例えば、ジヒドロキシ化合物の一部、例えば0.2〜2モル%をポリヒドロキシ化合物で置換することにより製造される。ポリヒドロキシ化合物としては、1,4−ビス(4’,4,2−ジヒドロキシトリフェニルメチル)−ベンゼン、フロロダルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン−2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−エタンならびに2,2−ビス[4,4’−(4,4’−ジヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン等が挙げられる。
【0041】
ポリカーボネート(C)は単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
【0042】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の使用できるポリエステル(C)は、ポリアルキレンテレフタレートを主体とするものであり、炭素数8〜22個の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜22個のアルキレングリコール又はシクロアルキレングリコールとからなるものを50質量%以上含むものであることが好ましい。ポリエステル(C)を含有させることにより、樹脂組成物の成形加工性や耐薬品性を向上させることができる。
【0043】
また、ポリエステル(C)は、所望により好ましくは80質量%以下の脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸やセバチン酸などを構成単位として含んでいてもよい。また、ポリエステル(C)は、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコールを構成単位として含んでいてもよい。
【0044】
用いるポリエステル(C)としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等が特に好ましい。
【0045】
ポリエステル(C)は任意の分子量のものを使用することができる。
【0046】
ポリエステル(C)は単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
【0047】
また、これらポリカーボネートとポリエステルを用いる場合は、各々を単独で使用してもよいし、必要に応じて任意の比率で併用してもよい。
【0048】
これら成分の含有量は、得られる樹脂組成物の耐候性、ダイレクト蒸着後の光輝性が優れているので、グラフト重合体(A)+ビニル系(共)重合体(B)+ポリカーボネートおよび/又はポリエステル(C)合計量を100質量%としたときに、グラフト共重合体(A)5〜100質量%、ビニル系(共)重合体(B)95〜0質量%を含むことが好ましく、さらに、グラフト共重合体(A)5〜80質量%、ビニル系(共)重合体(B)75〜0質量%、ポリカーボネートおよび/又はポリエステル(C)95〜20質量%含むことが好ましい。中でも、ビニル系(共)重合体(B)を使用する場合、ビニル系(共)重合体は20〜90質量%、特に30〜80質量%含むことが好ましい。また、ポリカーボネートおよび/又はポリエステル(C)を使用する場合、ポリカーボネートおよび/又はポリエステルは20〜90質量%、特に30〜80質量%含むことが好ましい。
【0049】
本発明のダイレクト蒸着用樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的とする諸性能を著しく妨げない範囲のおいてその他の熱可塑性樹脂を配合することができる。
【0050】
その他の熱可塑性樹脂としては特に制限されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−ブタジエン(SBR)、水素添加SBS、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)等のスチレン系エラストマー、各種オレフィン系エラストマー、各種ポリエステル系エラストマー、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE樹脂)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、PPS樹脂、PES樹脂、PEEK樹脂、ポリアリレート、液晶ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン)など、また、本発明以外のABS樹脂やASA樹脂、スチレン−アクリロニトリル−シリコーン(SAS)樹脂が挙げられる。これらその他の熱可塑性樹脂は、単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
【0051】
これらその他の熱可塑性樹脂の使用量は、熱可塑性樹脂組成物100質量部中80質量部以下であることが好ましい。
【0052】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)、必要に応じてビニル系(共)重合体(B)、ポリカーボネートおよび/又はポリエステル(C)、その他の熱可塑性樹脂をV型ブレンダーやヘンシェルミキサー等により混合分散させ、この混合物を押出機又はバンバリーミキサー、加圧ニーダー、ロール等の混練機等を用いて溶融混練することにより製造できる。
【0053】
得られた熱可塑性樹脂組成物はそのままで、又は、必要に応じて染料、顔料、安定剤、補強剤、充填材、難燃剤、発泡剤、滑剤、可塑剤等の添加剤を配合した後、成形品の製造原料として使用することができる。この熱可塑性樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法等の各種成形方法によって、目的の成形品とされる。
【0054】
上記の各種成形方法により一次加工を施された本発明の熱可塑性樹脂組成物の成型品は、前述の通り、アンダーコート処理層の形成等の特殊な前処理を行うことなく、真空蒸着やスパッタリング処理によってアルミニウムやクロム等の表面金属化処理することができる。この金属化処理された光輝表面はそのままでも良いが、埃等によるキズの発生から保護するために、塗装などによりシリコーン系等の被膜を形成させるトップコート処理することも可能である。
【0055】
このような本発明の熱可塑性樹脂組成物の工業的用途例としては、車両部品、特にヘッドランプやテールランプのハウジング、照明機器ハウジング等の家電部品、OA機器ハウジング、インテリア部材等が挙げられる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例中の%および部数は、明記しない限りは質量基準とする。
【0057】
[製造例1]グラフト重合体(A−1)の製造
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、
イオン交換水 200部
炭酸ナトリウム 0.05部
フォスファノールLO−529(ポリオキシルエチレン
アルキルフェニルエーテルフォスフェート;東邦化学製) 0.3部
ロンガリット 0.3部
硫酸第一鉄七水塩 0.000004部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.000012部
を投入し、攪拌下でこの反応器に窒素気流を通じることによって雰囲気の窒素置換を行い、内温を70℃まで昇温し、
スチレン 12部
アクリル酸n−ブチル 50部
メタクリル酸アリル 0.6部
t−ブチルヒドロパーオキサイド 0.19部
フォスファノールLO−529 0.8部
からなる混合液を3時間にわたって滴下し、滴下終了後、さらに2時間保持し、ゴム状重合体(G)を得た。
【0058】
2時間保持した後、
ロンガリット 0.75部
イオン交換水 5部
からなる水溶液を添加し、次いで、
メタクリル酸メチル 36部
アクリル酸メチル 2部
t−ブチルヒドロパーオキサイド 0.06部
n−オクチルメルカプタン 0.15部
フォスファノールLO−529 0.3部
からなる混合液を1.5時間にわたって滴下した。その後30分間保持し、グラフト重合体ラテックスを得た。
【0059】
次いで、1%酢酸カルシウム水溶液150部を50℃に加熱し、この中へグラフト重合体のラテックス100部を徐々に滴下して凝固した。そして、析出物を脱水、洗浄、乾燥し、グラフト重合体(A−1)を得た。
【0060】
[製造例2]グラフト重合体(A−2)の製造
オクタメチルシクロテトラシロキサン 98部
γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン 2部
を混合してシロキサン系混合物100部を得た。これに、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.67部
イオン交換水 300部
からなる水溶液を添加し、ホモミキサーで10000回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイザーに200kg/cm2の圧力で1回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
【0061】
一方、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、
ドデシルベンゼンスルホン酸 10部
イオン交換水 90部
を投入し、10%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。
【0062】
この水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合したオルガノシロキサンラテックスを4時間にわたって滴下し、滴下終了後1時間その温度を維持した後、40℃以下に冷却した。次いで、この反応物を苛性ソーダ水溶液でpH7に中和、重合を完結し、ポリオルガノシロキサンラテックスを得た。
【0063】
次いで、このポリオルガノシロキサンラテックス(固形分)8部と、
エマールNC−35(ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテルサルフェート;花王(株)製) 0.2部
イオン交換水 148.5部
を試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に添加混合した後、
アクリル酸n−ブチル 42部
メタクリル酸アリル 0.3部
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 0.1部
t−ブチルヒドロパーオキサイド 0.11部
からなる混合物を添加した。
【0064】
この反応器に窒素気流を通じることによって雰囲気の窒素置換を行い、内温を60℃まで昇温、その時点で、
硫酸第一鉄七水塩 0.000075部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.000225部
ロンガリット 0.2部
イオン交換水 10部
からなる水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。アクリレート成分の重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状態を維持し、アクリレート成分の重合を完結させポリオルガノシロキサンとアクリル酸−n−ブチルゴムとの複合ゴム状重合体(G)のラテックスを得た。
【0065】
さらに、反応器内部の液温が70℃に低下した後、
ロンガリット 0.25部
イオン交換水 10部
からなる水溶液を添加し、次いで一段目として、
メタクリル酸メチル 9.5部
アクリル酸メチル 0.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.05部
の混合液を2時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した後、
硫酸第一鉄七水塩 0.001部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.003部
ロンガリット 0.2部
エマールNC−35 0.2部
イオン交換水 10部
からなる水溶液を添加し、次いで二段目として、
メタクリル酸メチル 38部
アクリル酸メチル 2部
t−ブチルヒドロパーオキサイド 0.2部
からなる混合物を2時間にわたって滴下し、重合した。滴下終了後、温度60℃の状態を0.5時間保持した後
クメンヒドロパーオキサイド 0.05部
を添加し、さらに温度60℃の状態を0.5時間保持した後、冷却し、ポリオルガノシロキサンとアクリル酸ブチルゴムとからなる複合ゴム状重合体にメタクリル酸メチル、アクリル酸メチルをグラフト重合させたグラフト重合体ラテックスを得た。
【0066】
次いで、1%酢酸カルシウム水溶液150部を60℃に加熱し、この中へグラフト重合体のラテックス100部を徐々に滴下して凝固した。そして、析出物を脱水、洗浄、乾燥し、グラフト重合体(A−2)を得た。
【0067】
[製造例3]グラフト重合体(A−3)の製造
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、
ポリブタジエンラテックス 50部
を室温で仕込み、
水(ゴム状重合体ラテックスに含まれる水を含む) 140部
ブドウ糖 0.6部
無水ピロリン酸ナトリウム 0.01部
硫酸第一鉄七水塩 0.005部
水酸化ナトリウム 0.1部
を添加し、攪拌下で窒素置換した後50℃に昇温した。これに、
アクリロニトリル 15部
スチレン 35部
t−ドデシルメルカプタン 0.5部
クメンヒドロパーオキシド 0.3部
からなる混合物を180分かけて滴下し、その間内温が65℃を越えない様にコントロールした。滴下終了後、
クメンヒドロパーオキシド 0.12部
を添加し、さらに1時間保持し冷却した。
【0068】
次いで、得られたラテックスに
老化防止剤(川口化学工業(株)製、アンテージW−400) 1部
を添加し、このグラフト重合体ラテックスと同量の1.2%硫酸水溶液(水温:70℃)中に投入して凝固し、さらに90℃に昇温して5分間保持した後、脱水、洗浄、乾燥して乳白色粉末のグラフト重合体(A−3)を得た。
【0069】
[製造例4]グラフト重合体(A−4)の製造
製造例2において、一段目に用いるメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルをアクリロニトリル2.5部、スチレン7.5部に、二段目のメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルをアクリロニトリル10部、スチレン30部に変更した以外は同様に重合を行い、ポリオルガノシロキサンとアクリル酸ブチルゴムとからなる複合ゴム状重合体にアクリロニトリルとスチレンをグラフト重合させたグラフト重合体ラテックスを得た。
次いで、製造例3と同様に凝固、脱水、洗浄、乾燥し、グラフト重合体(A−4)を得た。
【0070】
[製造例5]グラフト重合体(A−5)の製造
製造例4において、ポリオルガノシロキサンを使用せず、用いるアクリル酸−n−ブチルの量を50部とした以外は同様にして重合を行い、アクリル酸エステル系グラフト共重合体(A−5)を得た。
【0071】
[製造例6]グラフト重合体(A−6)の製造
試薬注入容器、水冷ジャケット加熱機および攪拌装置を備えたステンレス製オートクレーブに、
脱イオン水 190部
アクリル酸−n−ブチル 50部
牛脂肪酸カリウム 1部
N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム 0.5部
ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド 0.2部
無水硫酸ナトリウム 0.2部
を仕込み、攪拌下で窒素置換した。さらに、
1,3−ブタジエン 50部
を仕込み、内温を40℃に昇温した。その後、
脱イオン水 10部
デキストローズ 0.2部
ロンガリット 0.05部
無水ピロリン酸ナトリウム 0.2部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.001部
硫酸第一鉄・七水塩 0.003部
からなる混合物を添加し、重合を開始せしめた。重合発熱と昇温によって内温を50℃にまで昇温させ、その温度で一定となる様にジャケットを制御し、最終的に9時間で重合を完結し、質量平均粒子径105nmのゴム状重合体を得た。
【0072】
次に、冷却管、ジャケット加熱器および攪拌装置を備えた反応器内に、窒素気流下で下記各成分を仕込み、攪拌を行いながら内温65℃に昇温した。
【0073】
オレイン酸カリウム 2.2部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(70%溶液) 3.6部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物 0.3部
硫酸第一鉄七水塩 0.003部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.009部
イオン交換水 200部
これに、n−ブチルアクリレートを81.5部と、メタクリル酸を18.5部と、クメンヒドロパーオキシドを0.5部からなる混合物を2時間かけて添加し、添加終了後も2時間そのままの温度で重合を継続し、質量平均粒子径150nmの肥大化用酸基含有共重合体ラテックスを得た。
【0074】
得られたゴム状重合体ラテックス70部(固形分)を冷却管、ジャケット加熱器および攪拌装置を備えた反応器内に仕込み、室温にて攪拌下、2%炭酸ナトリウム水溶液にてpHを9.2に調整した。さらに、酸基含有共重合体ラテックス(固形分)1.2部を仕込み、30分間攪拌を継続し肥大化処理し、質量平均粒子径190nmの肥大化ゴム状重合体ラテックスを得た。
【0075】
さらに、攪拌を継続したまま、
脱イオン水(ゴム状重合体ラテックス中の水も含む) 200部
ロンガリット 0.14部
N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム 0.35部
を加え、内温を75℃まで昇温し、以下の混合物90分間にわたり連続的に添加し重合した。
【0076】
メタクリル酸メチル 28.8部
アクリル酸エチル 1.2部
n−オクチルメルカプタン 0.05部
クメンハイドロパーオキサイド 0.12部
添加終了後、さらに60分間その温度で内温を保持し重合を完結した。
【0077】
得られたグラフト共重合体ラテックスに、スチレン化フェノール0.4部、ジラウリルチオプロピオネート0.3部、トリフェニルホスファイト0.4部を添加し、次いで、グラフトラテックスの2倍量となる50℃に昇温された0.25%希硫酸水溶液中に投入してグラフト共重合体を析出せしめ、さらに90℃で5分間熱処理した後に水洗、脱水を数度繰り返し、最終的に乾燥して白色粉末であるグラフト共重合体(A−6)を得た。
【0078】
[製造例7]硬質(共)重合体(B−1)の製造
メタクリル酸メチル99部およびアクリル酸メチル1部からなり、N,N−ジメチルホルムアミド溶液から25℃で測定した還元粘度が0.25dl/gであるアクリル樹脂(B−1)を公知の懸濁重合により製造した。
【0079】
[製造例8]硬質(共)重合体(B−2)の製造
アクリロニトリル29部およびスチレン71部よりなり、N,N−ジメチルホルムアミド溶液から25℃で測定した還元粘度が0.60dl/gであるアクリロニトリル−スチレン共重合体(B−2)を公知の懸濁重合により製造した。
【0080】
[製造例9]硬質(共)重合体(B−3)の製造
アクリロニトリル19部、スチレン53部およびN−フェニルマレイミド28部よりなり、N,N−ジメチルホルムアミド溶液から25℃で測定した還元粘度が0.65dl/gであるアクリロニトリル−スチレン−N−フェニルマレイミド三元共重合体(B−3)を公知の連続溶液重合により製造した。
【0081】
[製造例10]硬質(共)重合体(B−4)の製造
アクリロニトリル25部、αメチルスチレン75部よりなり、N,N−ジメチルホルムアミド溶液から25℃で測定した還元粘度が0.50dl/gであるアクリロニトリル−αメチルスチレン共重合体(B−4)を公知の連続溶液重合により製造した。
【0082】
[実施例1、参考例1〜9および比較例1〜7]
製造例で製造したグラフと重合体(A−1)〜(A−6)、共重合体(B−1)〜(B−4)、ポリカーボネート(C−1、三菱塩プラ(株)社製、商品名:ユーピロンS2000F)、ポリエステル(C−2、三菱レイヨン(株)社製、商品名:タフペットN1300)を表1、2に示す配合で(表中の数値は質量基準)、さらに、エチレンビスステアリルアミドをこれらの樹脂成分100部に対して0.4部添加した後、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、この混合物をバレル温度230℃又は260℃に加熱した脱気式押出機(日本製鋼所(株)社製TEX−30)に供給し、混練してペレットを得た。
【0083】
そして、得られたペレットを用い、以下のようにして熱可塑性樹脂組成物のアイゾット衝撃強度、耐候性、ダイレクト蒸着後の光輝性、熱板溶着性を測定、評価した。その結果を表1、2に示す。
【0084】
(1)落錘衝撃性
(株)東洋精機製作所製「デュポン衝撃試験機」を用い、サンプル100mm×1
00mm×3mm板、ポンチ(撃心)径1/2インチ、ウス(受け台)径3インチにて、おもり1000gを1mの高さから落下させたときの割れの状態を観察した。割れなかったものを○、割れたものを×とした。
【0085】
(2)耐候性
100mm×100mm×3mm白着色板をサンシャインウエザーメーター(スガ試験機(株)製)でブラックパネル温度63℃、サイクル条件60分(降雨:12分)にて1,000時間処理した。そして、その場合の色差計で測定した変色の度合い(ΔE)により評価した。
【0086】
(3)ダイレクト蒸着後の光輝性
東芝機械(株)製射出成形機「IS80FP」を用い、シリンダー設定温度230℃、金型温度70℃、インジェクションスピード99%の条件で、サンプルとして100mm×100mm×3mm板の成形を行った。次いで、真空蒸着法により、真空到達度1×10-5Torr、電流値400mA、膜形成速度1.5nm/sで膜厚約50nmのアルミニウム蒸着膜を形成した。そして、このアルミニウム蒸着膜上に、SiO2のトップコート層のプラズマ重合処理を行った。このようにしてダイレクト蒸着を行った成型品について、反射率計((株)村上色彩技術研究所「HR−100」)を用いて正反射率(%)および拡散反射率(%)を測定し、光輝性の評価を行った。
【0087】
(4)熱板溶着性
フッ素系樹脂で加工した熱板を表面温度300℃に加熱しておき、この熱板に試験用シート(30mm×100mm×3mm)を30秒接触させ、その後、試験用シートを垂直に引き上げ、その際の糸曳き長さを測定し、熱板溶着性を評価した。糸曳き長さが1mm未満のものを◎、1mm以上5mm未満のものを○、5mm以上のものを×とした。
【0088】
【表1】
Figure 0003913098
【0089】
【表2】
Figure 0003913098
【0090】
比較例1〜7の熱可塑性樹脂組成物は、耐候性、ダイレクト蒸着後の光輝性のいずれかの項目において劣るものであった。また、比較例1、3、4、6および7では、耐候性及び光輝性において問題が生じる。さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルをグラフト重合に含まない比較例2では光輝性が劣るものである。
【0091】
一方、本発明の樹脂組成物は、耐候性が良好であり、また、ダイレクト蒸着後の拡散反射率が低くて光輝性に優れるものであった。さらには、熱板溶着の際の糸曳き長さが短く、熱板溶着性にも優れていた。
【0092】
【発明の効果】
以上のように、本発明の樹脂組成物は耐候性が優れる。また、特定の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことにより、耐候性およびダイレクト蒸着後の光輝性を高めることができる。さらに、ポリカーボネートを含有させることにより、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性や耐衝撃性を向上させることができる。
【0093】
従って、ダイレクト蒸着後に美麗な光輝外観が得られ、しかも、高いレベルの耐候性を有し、PMMA樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明樹脂との熱板溶着性にも優れたランプハウジング用樹脂組成物、および、この樹脂組成物を用いた成型品を提供することができる。
【0094】
特に、耐候性とダイレクト蒸着後の光輝性のバランスは従来知られているゴム変性熱可塑性樹脂組成物と比べて非常に優れており、本発明のランプハウジング用樹脂組成物は各種工業用材料としての利用価値は極めて高い。

Claims (3)

  1. シリコーン/アクリル酸ブチル複合ゴムからなるゴム状重合体(G)に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのみをグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルのいずれか一種以上を含む単量体又は単量体混合物を重合して得られるビニル系(共)重合体(B)とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の樹脂組成物を成形してなる車両用ランプハウジング。
  3. ダイレクト蒸着により表面が金属処理されている請求項に記載の車両用ランプハウジング。
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