JPH09161799A - 非水電解質二次電池用正極の製造法 - Google Patents
非水電解質二次電池用正極の製造法Info
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- JPH09161799A JPH09161799A JP7316976A JP31697695A JPH09161799A JP H09161799 A JPH09161799 A JP H09161799A JP 7316976 A JP7316976 A JP 7316976A JP 31697695 A JP31697695 A JP 31697695A JP H09161799 A JPH09161799 A JP H09161799A
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
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- Secondary Cells (AREA)
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 安価で、かつ高エネルギー密度でサイクル特
性に優れた非水電解質二次電池用正極を提供する。 【解決手段】 リチウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物、
塩素酸塩、過塩素酸塩、炭酸水素塩およびシュウ酸塩か
らなる群より選択される少なくとも1種の水溶性リチウ
ム化合物と、マンガンの塩化物、臭化物、ヨウ化物、過
塩素酸塩および硫酸塩からなる群より選択される少なく
とも1種の水溶性マンガン化合物を溶解させた水溶液を
調製する工程と、前記水溶液を加熱し、得られた固形分
を焼成することにより、スピネル構造を有するリチウム
とマンガンの複合酸化物を生成する工程を含む非水電解
質二次電池用正極の製造法。
性に優れた非水電解質二次電池用正極を提供する。 【解決手段】 リチウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物、
塩素酸塩、過塩素酸塩、炭酸水素塩およびシュウ酸塩か
らなる群より選択される少なくとも1種の水溶性リチウ
ム化合物と、マンガンの塩化物、臭化物、ヨウ化物、過
塩素酸塩および硫酸塩からなる群より選択される少なく
とも1種の水溶性マンガン化合物を溶解させた水溶液を
調製する工程と、前記水溶液を加熱し、得られた固形分
を焼成することにより、スピネル構造を有するリチウム
とマンガンの複合酸化物を生成する工程を含む非水電解
質二次電池用正極の製造法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非水電解質二次電池
の正極の改良に関するものである。
の正極の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リチウムまたはリチウム化合物を負極と
する非水電解質二次電池は、起電力が高く、従来のニカ
ド蓄電池や鉛蓄電池に較べ高エネルギー密度になると期
待されることから多くの研究がなされている。これま
で、非水電解質二次電池の正極活物質としては、層状も
しくはトンネル構造を有し、リチウムイオンが出入りで
きる結晶構造を有する、LiCoO2、LiNiO2、L
iMn2O4、LiFeO2、MnO2、V2O5、Cr
2O5、TiS2あるいはMoS2などの遷移金属の酸化物
やカルコゲン化合物が提案されている。これらの中でも
特に、LiCoO2、LiNiO2およびLiMn2O4は
4V級の非水電解質リチウム二次電池用正極活物質とし
て注目されている。LiCoO2は、整った層状構造を
有し、高電圧、高容量が得られるため、実用化が進めら
れている。しかし、コバルトは高価な元素であり、高コ
ストとなってしまうことや、世界情勢の変化による供給
不足、価格の高騰等、原料供給面での不安を有する。ま
た、LiCoO2と同じ結晶構造を有するLiNiO2
は、比較的低コストでなおかつLiCoO2を上回る高
容量が得られる材料であり、実用化に向け盛んに研究開
発が行われているが、結晶構造の安定性等の面で問題が
ある。
する非水電解質二次電池は、起電力が高く、従来のニカ
ド蓄電池や鉛蓄電池に較べ高エネルギー密度になると期
待されることから多くの研究がなされている。これま
で、非水電解質二次電池の正極活物質としては、層状も
しくはトンネル構造を有し、リチウムイオンが出入りで
きる結晶構造を有する、LiCoO2、LiNiO2、L
iMn2O4、LiFeO2、MnO2、V2O5、Cr
2O5、TiS2あるいはMoS2などの遷移金属の酸化物
やカルコゲン化合物が提案されている。これらの中でも
特に、LiCoO2、LiNiO2およびLiMn2O4は
4V級の非水電解質リチウム二次電池用正極活物質とし
て注目されている。LiCoO2は、整った層状構造を
有し、高電圧、高容量が得られるため、実用化が進めら
れている。しかし、コバルトは高価な元素であり、高コ
ストとなってしまうことや、世界情勢の変化による供給
不足、価格の高騰等、原料供給面での不安を有する。ま
た、LiCoO2と同じ結晶構造を有するLiNiO2
は、比較的低コストでなおかつLiCoO2を上回る高
容量が得られる材料であり、実用化に向け盛んに研究開
発が行われているが、結晶構造の安定性等の面で問題が
ある。
【0003】これに対し、LiMn2O4は、マンガンが
コバルトだけでなくニッケルと比較しても非常に低価格
であるという利点を有する。また、結晶構造はLiCo
O2やLiNiO2とは異なり、三次元網目状トンネル構
造を有するスピネル型の構造をとり、安定で扱いやす
く、合成も容易であるため、LiCoO2にかわる4V
級の非水電解質リチウム二次電池用正極活物質のひとつ
として研究が進められている。
コバルトだけでなくニッケルと比較しても非常に低価格
であるという利点を有する。また、結晶構造はLiCo
O2やLiNiO2とは異なり、三次元網目状トンネル構
造を有するスピネル型の構造をとり、安定で扱いやす
く、合成も容易であるため、LiCoO2にかわる4V
級の非水電解質リチウム二次電池用正極活物質のひとつ
として研究が進められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、LiMn2O4
はコストの面では優れているが、容量が小さく、また、
充放電サイクルにともなう充放電容量の低下が大きなも
のであった。本発明は、上記問題点を解決するもので、
安価で、かつ高エネルギー密度でサイクル特性の優れ
た、非水電解質リチウム二次電池用正極を提供すること
を目的とする。
はコストの面では優れているが、容量が小さく、また、
充放電サイクルにともなう充放電容量の低下が大きなも
のであった。本発明は、上記問題点を解決するもので、
安価で、かつ高エネルギー密度でサイクル特性の優れ
た、非水電解質リチウム二次電池用正極を提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の非水電解質二次
電池用正極の製造法は、リチウムの塩化物、臭化物、ヨ
ウ化物、塩素酸塩、過塩素酸塩、炭酸水素塩およびシュ
ウ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の水溶
性リチウム化合物と、マンガンの塩化物、臭化物、ヨウ
化物、過塩素酸塩および硫酸塩からなる群より選択され
る少なくとも1種の水溶性マンガン化合物を溶解させた
水溶液を調製する工程と、前記水溶液を加熱し、得られ
た固形分を焼成することにより、スピネル構造を有する
リチウムとマンガンの複合酸化物を生成する工程を含む
ものである。
電池用正極の製造法は、リチウムの塩化物、臭化物、ヨ
ウ化物、塩素酸塩、過塩素酸塩、炭酸水素塩およびシュ
ウ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の水溶
性リチウム化合物と、マンガンの塩化物、臭化物、ヨウ
化物、過塩素酸塩および硫酸塩からなる群より選択され
る少なくとも1種の水溶性マンガン化合物を溶解させた
水溶液を調製する工程と、前記水溶液を加熱し、得られ
た固形分を焼成することにより、スピネル構造を有する
リチウムとマンガンの複合酸化物を生成する工程を含む
ものである。
【0006】また、リチウムの塩化物、臭化物、ヨウ化
物、塩素酸塩および過塩素酸塩からなる群より選択され
る少なくとも1種のアルコール可溶性のリチウム化合物
と、マンガンの塩化物、臭化物、ヨウ化物、過塩素酸塩
および硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種
のアルコール可溶性のマンガン化合物を溶解させたアル
コール溶液を調製する工程と、前記アルコール溶液にシ
ュウ酸を添加することにより固形分を生成する工程と、
前記固形分を焼成することにより、スピネル構造を有す
るリチウムとマンガンの複合酸化物を生成する工程を含
むものである。
物、塩素酸塩および過塩素酸塩からなる群より選択され
る少なくとも1種のアルコール可溶性のリチウム化合物
と、マンガンの塩化物、臭化物、ヨウ化物、過塩素酸塩
および硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種
のアルコール可溶性のマンガン化合物を溶解させたアル
コール溶液を調製する工程と、前記アルコール溶液にシ
ュウ酸を添加することにより固形分を生成する工程と、
前記固形分を焼成することにより、スピネル構造を有す
るリチウムとマンガンの複合酸化物を生成する工程を含
むものである。
【0007】このように、原料となるリチウム化合物と
マンガン化合物を水又はアルコール中に溶解させること
により、リチウムとマンガンを均一に混合することがで
き、これを熱処理することにより、部位によって組成や
構造にばらつきのないリチウムとマンガンの複合酸化物
を得ることができる。この製造法により得られたスピネ
ル構造を有する酸化物は、組成の偏りがないため、脱
離、挿入しにくいリチウムが少なく、これを非水電解質
二次電池の正極活物質に用いると、大きな充放電容量を
得ることができる。また、構造が均一であるため、充放
電に伴う結晶格子の膨張、収縮により生じる応力の集中
する部分がなく、充放電による結晶格子の崩壊が抑えら
れ、優れたサイクル性を実現することができる。本発明
は、式LiMn2O4で表される複合酸化物を生成するの
に適している。この場合、リチウム化合物とマンガン化
合物配合比を原子の数で概ね1:2にすることが好まし
い。
マンガン化合物を水又はアルコール中に溶解させること
により、リチウムとマンガンを均一に混合することがで
き、これを熱処理することにより、部位によって組成や
構造にばらつきのないリチウムとマンガンの複合酸化物
を得ることができる。この製造法により得られたスピネ
ル構造を有する酸化物は、組成の偏りがないため、脱
離、挿入しにくいリチウムが少なく、これを非水電解質
二次電池の正極活物質に用いると、大きな充放電容量を
得ることができる。また、構造が均一であるため、充放
電に伴う結晶格子の膨張、収縮により生じる応力の集中
する部分がなく、充放電による結晶格子の崩壊が抑えら
れ、優れたサイクル性を実現することができる。本発明
は、式LiMn2O4で表される複合酸化物を生成するの
に適している。この場合、リチウム化合物とマンガン化
合物配合比を原子の数で概ね1:2にすることが好まし
い。
【0008】さらに、リチウムの塩化物、臭化物、ヨウ
化物、塩素酸塩、過塩素酸塩、炭酸水素塩およびシュウ
酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の水溶性
リチウム化合物と、マンガンの塩化物、臭化物、ヨウ化
物、過塩素酸塩及び硫酸塩からなる群より選択される少
なくとも1種の水溶性マンガン化合物と、金属M1(但
し、M1はCo、NiおよびCrからなる群より選択さ
れる少なくとも1種である)の水溶性化合物を溶解させ
た水溶液を調製する工程と、前記水溶液を加熱し、得ら
れた固形分を焼成することにより、原子数比がMn:M
1=2−y:y(但し、0.01≦y≦0.3とす
る。)であるスピネル構造を有するリチウムとマンガン
を含む複合酸化物を生成する工程を含むものである。
化物、塩素酸塩、過塩素酸塩、炭酸水素塩およびシュウ
酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の水溶性
リチウム化合物と、マンガンの塩化物、臭化物、ヨウ化
物、過塩素酸塩及び硫酸塩からなる群より選択される少
なくとも1種の水溶性マンガン化合物と、金属M1(但
し、M1はCo、NiおよびCrからなる群より選択さ
れる少なくとも1種である)の水溶性化合物を溶解させ
た水溶液を調製する工程と、前記水溶液を加熱し、得ら
れた固形分を焼成することにより、原子数比がMn:M
1=2−y:y(但し、0.01≦y≦0.3とす
る。)であるスピネル構造を有するリチウムとマンガン
を含む複合酸化物を生成する工程を含むものである。
【0009】また、リチウムの塩化物、臭化物、ヨウ化
物、塩素酸塩および過塩素酸塩からなる群より選択され
る少なくとも1種のアルコール可溶性のリチウム化合物
と、マンガンの塩化物、臭化物、ヨウ化物、過塩素酸塩
および硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種
のアルコール可溶性のマンガン化合物と、金属M2(但
し、M2はCoおよびNiの少なくとも一方である)の
アルコール可溶性化合物を溶解させたアルコール溶液を
調製する工程と、前記アルコール溶液にシュウ酸を添加
することにより固形分を生成する工程と、前記固形分を
焼成することにより、原子数比がMn:M2=2−y:
y(但し、0.01≦y≦0.3とする。)であるスピ
ネル構造を有するリチウムとマンガンを含む複合酸化物
を生成する工程を含むものである。リチウムとマンガン
のほかに、サイクル性向上のための第三成分としてコバ
ルト、ニッケルまたはクロムを添加する場合にも、その
可溶性の化合物を同様に水またはアルコール中に溶解さ
せることにより均一に分散させることができ、固相で合
成した場合に比べ、より効果的に添加効果を得ることが
できる。さらに、前記焼成温度が300℃〜1000℃
であるものである。本発明は、式LiMn2-yMyO
4(但し、MはCo、NiおよびCrからなる群より選
択される少なくとも1種である。)で表される複合酸化
物を生成するのに適している。この場合、リチウム化合
物とマンガン化合物と金属Mの化合物の配合比を、原子
数の比で概ねLi:(Mn+M)=1:2とすることが
好ましい。
物、塩素酸塩および過塩素酸塩からなる群より選択され
る少なくとも1種のアルコール可溶性のリチウム化合物
と、マンガンの塩化物、臭化物、ヨウ化物、過塩素酸塩
および硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種
のアルコール可溶性のマンガン化合物と、金属M2(但
し、M2はCoおよびNiの少なくとも一方である)の
アルコール可溶性化合物を溶解させたアルコール溶液を
調製する工程と、前記アルコール溶液にシュウ酸を添加
することにより固形分を生成する工程と、前記固形分を
焼成することにより、原子数比がMn:M2=2−y:
y(但し、0.01≦y≦0.3とする。)であるスピ
ネル構造を有するリチウムとマンガンを含む複合酸化物
を生成する工程を含むものである。リチウムとマンガン
のほかに、サイクル性向上のための第三成分としてコバ
ルト、ニッケルまたはクロムを添加する場合にも、その
可溶性の化合物を同様に水またはアルコール中に溶解さ
せることにより均一に分散させることができ、固相で合
成した場合に比べ、より効果的に添加効果を得ることが
できる。さらに、前記焼成温度が300℃〜1000℃
であるものである。本発明は、式LiMn2-yMyO
4(但し、MはCo、NiおよびCrからなる群より選
択される少なくとも1種である。)で表される複合酸化
物を生成するのに適している。この場合、リチウム化合
物とマンガン化合物と金属Mの化合物の配合比を、原子
数の比で概ねLi:(Mn+M)=1:2とすることが
好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を、実施例により
詳細に説明する。 [実施例1]水溶性リチウム化合物と水溶性マンガン化
合物を出発原料として、スピネル構造を有するリチウム
とマンガンの複合酸化物を合成する方法について説明す
る。水溶性のリチウム化合物とマンガン化合物をリチウ
ムとマンガンの原子数の比が1:2になるように秤量
し、各々に水を加え、完全に溶解させた。出発原料には
水溶性リチウム化合物として塩化物(LiCl)、臭化
物(LiBr)、ヨウ化物(LiI)、塩素酸塩(Li
ClO3)、過塩素酸塩(LiClO4・3H2O)、炭
酸水素塩(LiHCO3)およびシュウ酸塩(Li2(C
2O4))をそれぞれ用い、水溶性マンガン化合物として
塩化物(MnCl2)、臭化物(MnBr2)、ヨウ化物
(MnI2)、過塩素酸塩(Mn(ClO4)2・8H
2O)、および硫酸塩(MnSO4)をそれぞれ用いた。
これらのリチウム化合物の水溶液とマンガン化合物の水
溶液を混合し、攪拌しながら加熱して水を蒸発させるこ
とにより、前駆体となる固形分を得た。この固形分を空
気雰囲気下、600℃で焼成することにより、リチウム
とマンガンの複合酸化物を合成した。この酸化物は、概
ね均一なスピネル構造を有し、その組成は概ねLiMn
2O4であった。正極活物質であるこの酸化物と、導電剤
であるアセチレンブラックと、結着剤として用いるポリ
4フッ化エチレン樹脂を、重量比で7:2:1の割合で
混合し、充分乾燥させて正極合剤を得た。この正極合剤
を2トン/cm2の圧力で直径17.5mmの円板状ペ
レットに加圧成型して正極とした。また、比較例とし
て、炭酸リチウム粉末と二酸化マンガン粉末をリチウム
とマンガンの原子数の比でLi:Mn=1:2として混
合し、800℃で48時間、空気中で焼成することによ
り合成した複合化合物を用いて同様に正極を作製した。
詳細に説明する。 [実施例1]水溶性リチウム化合物と水溶性マンガン化
合物を出発原料として、スピネル構造を有するリチウム
とマンガンの複合酸化物を合成する方法について説明す
る。水溶性のリチウム化合物とマンガン化合物をリチウ
ムとマンガンの原子数の比が1:2になるように秤量
し、各々に水を加え、完全に溶解させた。出発原料には
水溶性リチウム化合物として塩化物(LiCl)、臭化
物(LiBr)、ヨウ化物(LiI)、塩素酸塩(Li
ClO3)、過塩素酸塩(LiClO4・3H2O)、炭
酸水素塩(LiHCO3)およびシュウ酸塩(Li2(C
2O4))をそれぞれ用い、水溶性マンガン化合物として
塩化物(MnCl2)、臭化物(MnBr2)、ヨウ化物
(MnI2)、過塩素酸塩(Mn(ClO4)2・8H
2O)、および硫酸塩(MnSO4)をそれぞれ用いた。
これらのリチウム化合物の水溶液とマンガン化合物の水
溶液を混合し、攪拌しながら加熱して水を蒸発させるこ
とにより、前駆体となる固形分を得た。この固形分を空
気雰囲気下、600℃で焼成することにより、リチウム
とマンガンの複合酸化物を合成した。この酸化物は、概
ね均一なスピネル構造を有し、その組成は概ねLiMn
2O4であった。正極活物質であるこの酸化物と、導電剤
であるアセチレンブラックと、結着剤として用いるポリ
4フッ化エチレン樹脂を、重量比で7:2:1の割合で
混合し、充分乾燥させて正極合剤を得た。この正極合剤
を2トン/cm2の圧力で直径17.5mmの円板状ペ
レットに加圧成型して正極とした。また、比較例とし
て、炭酸リチウム粉末と二酸化マンガン粉末をリチウム
とマンガンの原子数の比でLi:Mn=1:2として混
合し、800℃で48時間、空気中で焼成することによ
り合成した複合化合物を用いて同様に正極を作製した。
【0011】正極の充放電特性の評価は、図1に示す試
験セルを用いて行った。以下に試験セルの製造法を示
す。得られた正極1をケース2の中に置き、次に、微孔
性のポリプロピレンフィルムからなるセパレータ3を正
極1上に置いた。1モル/リットルの六フッ化リン酸リ
チウム(LiPF6)を溶解したエチレンカーボネート
と、炭酸ジエチルを体積比で1:1で混合した溶液を、
非水電解質としてセパレータ3に注液した。この上に、
内側に直径17.5mmの円板状の金属Liからなる負
極4を張り付け、外周部にポリプロピレン製ガスケット
5を付けた封口板6を置いて封口し、試験セルとした。
これらの試験セルについて、0.5mAの定電流、電圧
範囲3.0V〜4.5Vの電圧規制で充放電を行い、正
極活物質重量当りの容量で評価した。各々の出発原料の
組合せから製造した正極の初期放電容量と50サイクル
後の容量維持率を表1に示す。
験セルを用いて行った。以下に試験セルの製造法を示
す。得られた正極1をケース2の中に置き、次に、微孔
性のポリプロピレンフィルムからなるセパレータ3を正
極1上に置いた。1モル/リットルの六フッ化リン酸リ
チウム(LiPF6)を溶解したエチレンカーボネート
と、炭酸ジエチルを体積比で1:1で混合した溶液を、
非水電解質としてセパレータ3に注液した。この上に、
内側に直径17.5mmの円板状の金属Liからなる負
極4を張り付け、外周部にポリプロピレン製ガスケット
5を付けた封口板6を置いて封口し、試験セルとした。
これらの試験セルについて、0.5mAの定電流、電圧
範囲3.0V〜4.5Vの電圧規制で充放電を行い、正
極活物質重量当りの容量で評価した。各々の出発原料の
組合せから製造した正極の初期放電容量と50サイクル
後の容量維持率を表1に示す。
【0012】
【表1】
【0013】実施例の試験セルでは、どの原料の組合せ
を用いても初期放電容量は135mAh/g程度と優れ
た値を示した。50サイクル後の容量維持率も90%以
上の値を示した。これに対して、比較例の固相から合成
した化合物からなる正極を用いた試験セル(以下、比較
例1のセルとする)では、初期容量は125mAh/g
となり、実施例の試験セルと較べて若干低い値を示し
た。また、50サイクル後の容量維持率は60%と大き
なサイクル劣化を示した。
を用いても初期放電容量は135mAh/g程度と優れ
た値を示した。50サイクル後の容量維持率も90%以
上の値を示した。これに対して、比較例の固相から合成
した化合物からなる正極を用いた試験セル(以下、比較
例1のセルとする)では、初期容量は125mAh/g
となり、実施例の試験セルと較べて若干低い値を示し
た。また、50サイクル後の容量維持率は60%と大き
なサイクル劣化を示した。
【0014】この違いについては以下のように考えてい
る。比較例のように、固相から合成する場合には、原料
を固体どうしで混合するため、焼成前の原料混合物中で
のリチウムとマンガンの分布に偏りを無くすことは困難
である。この偏りは焼成中の原子の拡散によりある程度
は解消されるが、完全に均一にはなり難く、合成された
化合物中に組成、構造の不均一が生じる。そのため、リ
チウムが挿入、脱離されにくく、正極に用いた場合には
初期容量が低下する。また、構造上不均一な部分がある
ため、充放電時の格子の膨張、収縮による結晶構造の破
壊が起こりやすく、サイクル劣化も大くなると思われ
る。
る。比較例のように、固相から合成する場合には、原料
を固体どうしで混合するため、焼成前の原料混合物中で
のリチウムとマンガンの分布に偏りを無くすことは困難
である。この偏りは焼成中の原子の拡散によりある程度
は解消されるが、完全に均一にはなり難く、合成された
化合物中に組成、構造の不均一が生じる。そのため、リ
チウムが挿入、脱離されにくく、正極に用いた場合には
初期容量が低下する。また、構造上不均一な部分がある
ため、充放電時の格子の膨張、収縮による結晶構造の破
壊が起こりやすく、サイクル劣化も大くなると思われ
る。
【0015】これに対して、本実施例のリチウムとマン
ガンの複合酸化物では、水溶液として原料を混合するた
め、前駆体中でリチウムとマンガンを均一に分布させる
ことができる。そのため、焼成して得られる酸化物は組
成に偏りがなく、構造も均一なスピネル構造を有する。
したがって、充放電に関与できないリチウムが少なく、
初期容量が理論容量である148mAh/gに近づく。
充放電サイクルを繰り返した場合でも、構造が均一であ
るため、充放電による結晶格子の膨張収縮の応力が集中
する部分がなく、充放電にともなう結晶格子の崩壊が抑
えられ、優れたサイクル性が実現できる。以上の結果か
ら、本実施例の製造法により、初期容量、サイクル性と
もに優れた非水電解質二次電池用正極を製造できること
を明かになった。
ガンの複合酸化物では、水溶液として原料を混合するた
め、前駆体中でリチウムとマンガンを均一に分布させる
ことができる。そのため、焼成して得られる酸化物は組
成に偏りがなく、構造も均一なスピネル構造を有する。
したがって、充放電に関与できないリチウムが少なく、
初期容量が理論容量である148mAh/gに近づく。
充放電サイクルを繰り返した場合でも、構造が均一であ
るため、充放電による結晶格子の膨張収縮の応力が集中
する部分がなく、充放電にともなう結晶格子の崩壊が抑
えられ、優れたサイクル性が実現できる。以上の結果か
ら、本実施例の製造法により、初期容量、サイクル性と
もに優れた非水電解質二次電池用正極を製造できること
を明かになった。
【0016】上記実施例では、出発原料の混合水溶液を
加熱して前駆体となる固形分を得る工程と前駆体を焼成
して複合酸化物を得る工程とを分離して行ったが、両工
程を1回の加熱で行い、混合水溶液から直接、リチウム
とマンガンの複合酸化物を合成させた場合でも同様に均
質のスピネル型構造の化合物が得られ、これを用いるこ
とにより優れた非水電解質二次電池が得られる。
加熱して前駆体となる固形分を得る工程と前駆体を焼成
して複合酸化物を得る工程とを分離して行ったが、両工
程を1回の加熱で行い、混合水溶液から直接、リチウム
とマンガンの複合酸化物を合成させた場合でも同様に均
質のスピネル型構造の化合物が得られ、これを用いるこ
とにより優れた非水電解質二次電池が得られる。
【0017】[実施例2]次に、リチウム化合物および
マンガン化合物のアルコール溶液から非水電解質二次電
池用正極を製造する例について示す。アルコール可溶性
のリチウム化合物と、同じくアルコール可溶性のマンガ
ン化合物を、リチウムとマンガンの原子数の比が1:2
になるように秤量し、各々にエタノールを加え、完全に
溶解させた。ここで、リチウム化合物として塩化物、臭
化物、ヨウ化物、塩素酸塩および過塩素酸塩のいずれか
を用い、マンガン化合物として塩化物、臭化物、ヨウ化
物、過塩素酸塩および硫酸鉛のいずれかを用いた。これ
らのリチウム化合物のエタノール溶液とマンガン化合物
のエタノール溶液を混合した。この混合溶液を攪拌しな
がら、シュウ酸のエタノール溶液を加え、沈前駆体とな
る沈殿物を生成させた。なお、このシュウ酸の添加は反
応が終了するまで行った。生成された沈殿物を乾燥さ
せ、空気雰囲気中750℃で焼成することにより、リチ
ウムとマンガンの複合酸化物を合成した。この酸化物
は、均一でスピネル構造を有し、その組成は概ねLiM
n2O4であった。正極活物質であるこの酸化物と、導電
剤であるアセチレンブラックと、結着剤であるポリ4フ
ッ化エチレン樹脂を、重量比で7:2:1の割合で混合
し、充分乾燥させて正極合剤を得た。この正極合剤を、
2トン/cm2の圧力で直径17.5mmの円板状ペレ
ットに加圧成型して正極とした。
マンガン化合物のアルコール溶液から非水電解質二次電
池用正極を製造する例について示す。アルコール可溶性
のリチウム化合物と、同じくアルコール可溶性のマンガ
ン化合物を、リチウムとマンガンの原子数の比が1:2
になるように秤量し、各々にエタノールを加え、完全に
溶解させた。ここで、リチウム化合物として塩化物、臭
化物、ヨウ化物、塩素酸塩および過塩素酸塩のいずれか
を用い、マンガン化合物として塩化物、臭化物、ヨウ化
物、過塩素酸塩および硫酸鉛のいずれかを用いた。これ
らのリチウム化合物のエタノール溶液とマンガン化合物
のエタノール溶液を混合した。この混合溶液を攪拌しな
がら、シュウ酸のエタノール溶液を加え、沈前駆体とな
る沈殿物を生成させた。なお、このシュウ酸の添加は反
応が終了するまで行った。生成された沈殿物を乾燥さ
せ、空気雰囲気中750℃で焼成することにより、リチ
ウムとマンガンの複合酸化物を合成した。この酸化物
は、均一でスピネル構造を有し、その組成は概ねLiM
n2O4であった。正極活物質であるこの酸化物と、導電
剤であるアセチレンブラックと、結着剤であるポリ4フ
ッ化エチレン樹脂を、重量比で7:2:1の割合で混合
し、充分乾燥させて正極合剤を得た。この正極合剤を、
2トン/cm2の圧力で直径17.5mmの円板状ペレ
ットに加圧成型して正極とした。
【0018】これらの正極を用いて実施例1と同様の試
験セルを作製し、実施例1と同様の充放電試験を行っ
た。表2に正極の初期放電容量と50サイクル後の放電
維持率を示す。
験セルを作製し、実施例1と同様の充放電試験を行っ
た。表2に正極の初期放電容量と50サイクル後の放電
維持率を示す。
【0019】
【表2】
【0020】本実施例のセルは、どの化合物の組合せを
用いた場合でも初期放電容量は135mAh/g程度、
50サイクル後の容量維持率も90%以上となり、比較
例である固相から合成した正極を用いた比較例1のセル
の、初期容量125mAh/g、50サイクル後の容量
維持率60%と比べて優れた特性を示した。このような
結果が得られる理由については次のように考えられる。
リチウム化合物とマンガン化合物の混合アルコール溶液
にシュウ酸を加えると前駆体となる固形分が生成される
が、この固形分もリチウムとマンガンは均一に混合され
た状態で生成される。そのため、これを前駆体として焼
成により得られる複合酸化物も組成、構造ともに均一と
なり、実施例1と同様の理由で優れた初期容量とサイク
ル性が得られる。この結果から、本実施例の製造法によ
り、初期容量、サイクル性ともに優れた非水電解質二次
電池用正極が得られることを明かになった。
用いた場合でも初期放電容量は135mAh/g程度、
50サイクル後の容量維持率も90%以上となり、比較
例である固相から合成した正極を用いた比較例1のセル
の、初期容量125mAh/g、50サイクル後の容量
維持率60%と比べて優れた特性を示した。このような
結果が得られる理由については次のように考えられる。
リチウム化合物とマンガン化合物の混合アルコール溶液
にシュウ酸を加えると前駆体となる固形分が生成される
が、この固形分もリチウムとマンガンは均一に混合され
た状態で生成される。そのため、これを前駆体として焼
成により得られる複合酸化物も組成、構造ともに均一と
なり、実施例1と同様の理由で優れた初期容量とサイク
ル性が得られる。この結果から、本実施例の製造法によ
り、初期容量、サイクル性ともに優れた非水電解質二次
電池用正極が得られることを明かになった。
【0021】[実施例3]LiMn2O4のサイクル性改
善の方法として、マンガンの一部をコバルト、ニッケル
またはクロムなどに置換する方法があるが、本実施例で
は、このような活物質を用いた正極を水溶性の原料から
製造する場合について述べる。水溶性のリチウム化合物
として塩化リチウムを、マンガン化合物として塩化マン
ガンを、水溶性のコバルト化合物として塩化コバルトを
それぞれ用いた。これらをリチウム、マンガンおよびコ
バルトの原子数の比が1:2−y:yになるように秤量
し、各々に水を加え、完全に溶解させた。これらの水溶
液を混合し、攪拌しながら加熱して水を蒸発させること
により、前駆体となる固形分を得た。この固形分を空気
雰囲気下、550℃で焼成し、リチウムとマンガンとコ
バルトの複合酸化物を合成した。ニッケルおよびクロム
をそれぞれ添加した試料についても同様の方法を用いて
合成した。水溶性のニッケル化合物およびクロム化合物
にはともに2価の塩化物を用いた。これらの酸化物は、
均一でスピネル構造を有し、その組成はおおむねLiM
n2-yMyO4(但し、MはCo、NおよびCrのうちの
いずれかである。)であった。
善の方法として、マンガンの一部をコバルト、ニッケル
またはクロムなどに置換する方法があるが、本実施例で
は、このような活物質を用いた正極を水溶性の原料から
製造する場合について述べる。水溶性のリチウム化合物
として塩化リチウムを、マンガン化合物として塩化マン
ガンを、水溶性のコバルト化合物として塩化コバルトを
それぞれ用いた。これらをリチウム、マンガンおよびコ
バルトの原子数の比が1:2−y:yになるように秤量
し、各々に水を加え、完全に溶解させた。これらの水溶
液を混合し、攪拌しながら加熱して水を蒸発させること
により、前駆体となる固形分を得た。この固形分を空気
雰囲気下、550℃で焼成し、リチウムとマンガンとコ
バルトの複合酸化物を合成した。ニッケルおよびクロム
をそれぞれ添加した試料についても同様の方法を用いて
合成した。水溶性のニッケル化合物およびクロム化合物
にはともに2価の塩化物を用いた。これらの酸化物は、
均一でスピネル構造を有し、その組成はおおむねLiM
n2-yMyO4(但し、MはCo、NおよびCrのうちの
いずれかである。)であった。
【0022】正極活物質であるこの化合物と、導電剤で
あるアセチレンブラックと、結着剤であるポリ4フッ化
エチレン樹脂を、重量比で7:2:1の割合で混合し、
充分乾燥させた。こうして得た正極合剤を、2トン/c
m2の圧力で直径17.5mmの円板状ペレットに加圧
成型して正極とした。これらの正極を用いて、実施例1
と同様の試験セルを作製した。マンガンの一部をコバル
ト、ニッケルおよびクロムで置換した正極を用いた試験
セルを、それぞれ実施例3−1、実施例3−2および実
施例3−3のセルとする。
あるアセチレンブラックと、結着剤であるポリ4フッ化
エチレン樹脂を、重量比で7:2:1の割合で混合し、
充分乾燥させた。こうして得た正極合剤を、2トン/c
m2の圧力で直径17.5mmの円板状ペレットに加圧
成型して正極とした。これらの正極を用いて、実施例1
と同様の試験セルを作製した。マンガンの一部をコバル
ト、ニッケルおよびクロムで置換した正極を用いた試験
セルを、それぞれ実施例3−1、実施例3−2および実
施例3−3のセルとする。
【0023】比較例として、実施例と同量の配合で、上
記比較例1と同様の固相反応により生成した活物質を用
いて正極の作製を行った。炭酸リチウム、二酸化マンガ
ン、水酸化コバルトの各粉末を原子数の比で、Li:M
n:Co=1:2−y:yとなるように固体のまま混合
し、800℃、48時間空気中で焼成することにより、
コバルト置換試料を得た。ニッケルおよびクロムによる
置換も、ともに水酸化物を用い同様の方法により行っ
た。これらを用いて上記実施例と同様の正極を成型し
た。これらの正極を用いて、実施例1と同様の試験セル
を作製した。マンガンをそれぞれコバルト、ニッケルお
よびクロムで置換した正極活物質を用いた試験セルを比
較例3−1、比較例3−2および比較例3−3のセルと
する。これらのセルを用いて、実施例1と同様の充放電
方法を行った。表3に、コバルトを添加した場合の添加
量と初期容量、および50サイクル後の容量維持率の関
係を示す。
記比較例1と同様の固相反応により生成した活物質を用
いて正極の作製を行った。炭酸リチウム、二酸化マンガ
ン、水酸化コバルトの各粉末を原子数の比で、Li:M
n:Co=1:2−y:yとなるように固体のまま混合
し、800℃、48時間空気中で焼成することにより、
コバルト置換試料を得た。ニッケルおよびクロムによる
置換も、ともに水酸化物を用い同様の方法により行っ
た。これらを用いて上記実施例と同様の正極を成型し
た。これらの正極を用いて、実施例1と同様の試験セル
を作製した。マンガンをそれぞれコバルト、ニッケルお
よびクロムで置換した正極活物質を用いた試験セルを比
較例3−1、比較例3−2および比較例3−3のセルと
する。これらのセルを用いて、実施例1と同様の充放電
方法を行った。表3に、コバルトを添加した場合の添加
量と初期容量、および50サイクル後の容量維持率の関
係を示す。
【0024】
【表3】
【0025】コバルトを添加することにより、実施例3
−1、比較例3−1のどちらのセルも容量維持率は向上
するが、初期容量は低下する。初期容量は、添加量の増
加とともに小さくなり、特に添加量yが0.3を超える
と急速に大きくなることから、コバルトの添加量は0.
3以下が適している。コバルトの添加量の増加による容
量維持率の変化には、実施例3−1および比較例3−1
のセルとで差があり、比較例3−1のセルではy=0.
1以上添加しないと容量維持率の増加は見られないが、
実施例3−1のセルではy=0.01といったごく少量
の添加によっても容量維持率が増加する。そのため、比
較例3−1のセルでは良好なサイクル性が得られるまで
添加量を増やすと、初期容量が大きく低下するが、実施
例3−1のセルでは初期容量の低下が僅かしか現われな
い少量のコバルト添加でサイクル性が改善できる。
−1、比較例3−1のどちらのセルも容量維持率は向上
するが、初期容量は低下する。初期容量は、添加量の増
加とともに小さくなり、特に添加量yが0.3を超える
と急速に大きくなることから、コバルトの添加量は0.
3以下が適している。コバルトの添加量の増加による容
量維持率の変化には、実施例3−1および比較例3−1
のセルとで差があり、比較例3−1のセルではy=0.
1以上添加しないと容量維持率の増加は見られないが、
実施例3−1のセルではy=0.01といったごく少量
の添加によっても容量維持率が増加する。そのため、比
較例3−1のセルでは良好なサイクル性が得られるまで
添加量を増やすと、初期容量が大きく低下するが、実施
例3−1のセルでは初期容量の低下が僅かしか現われな
い少量のコバルト添加でサイクル性が改善できる。
【0026】初期容量の低下とサイクル性向上の効果を
合わせると、実施例3−1のセルは、コバルトとマンガ
ンの比が0.01:1.99〜0.3:1.7の範囲に
おいて、初期容量、サイクル性ともに良好な結果が得ら
れ、特に0.15:1.85またはこれよりもコバルト
添加量が少ない場合、初期容量の低下も小さく、有効に
サイクル性を改善できる。これは、実施例2でも示した
ように、実施例3−1のセルでは試料中の元素の分布が
均一であるため、コバルト添加の効果が充分に発揮され
やすいためと考えられる。ニッケルおよびクロムをそれ
ぞれ添加した正極活物質を用いたセル(それぞれ実施例
3−2および実施例3−3のセルとする。)についての
結果を表4および表5に示す。
合わせると、実施例3−1のセルは、コバルトとマンガ
ンの比が0.01:1.99〜0.3:1.7の範囲に
おいて、初期容量、サイクル性ともに良好な結果が得ら
れ、特に0.15:1.85またはこれよりもコバルト
添加量が少ない場合、初期容量の低下も小さく、有効に
サイクル性を改善できる。これは、実施例2でも示した
ように、実施例3−1のセルでは試料中の元素の分布が
均一であるため、コバルト添加の効果が充分に発揮され
やすいためと考えられる。ニッケルおよびクロムをそれ
ぞれ添加した正極活物質を用いたセル(それぞれ実施例
3−2および実施例3−3のセルとする。)についての
結果を表4および表5に示す。
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】ニッケルおよびクロムをそれぞれ添加した
場合も、コバルト添加の場合と同様の傾向を示し、実施
例3−2および実施例3−3のセルはともに、ニッケル
またはクロムとマンガンの比が0.01:1.99〜
0.3:1.7の範囲において、初期容量およびサイク
ル性がともに良好であり、特にニッケルについては0.
1:1.9またはこれよりもニッケル添加量が少ない場
合、クロムについては0.15:1.85またはこれよ
りもクロム添加量が少ない場合、初期容量の低下も小さ
く有効にサイクル性を改善できる。以上の結果から、ス
ピネル構造を有するリチウムとマンガンの複合酸化物に
コバルト、ニッケル、またはクロムを添加する場合で
も、本実施例の製造法を用いることにより、初期容量、
サイクル性ともに優れた非水電解質二次電池用正極が得
られる。
場合も、コバルト添加の場合と同様の傾向を示し、実施
例3−2および実施例3−3のセルはともに、ニッケル
またはクロムとマンガンの比が0.01:1.99〜
0.3:1.7の範囲において、初期容量およびサイク
ル性がともに良好であり、特にニッケルについては0.
1:1.9またはこれよりもニッケル添加量が少ない場
合、クロムについては0.15:1.85またはこれよ
りもクロム添加量が少ない場合、初期容量の低下も小さ
く有効にサイクル性を改善できる。以上の結果から、ス
ピネル構造を有するリチウムとマンガンの複合酸化物に
コバルト、ニッケル、またはクロムを添加する場合で
も、本実施例の製造法を用いることにより、初期容量、
サイクル性ともに優れた非水電解質二次電池用正極が得
られる。
【0030】なお、水溶性のリチウム化合物としては、
塩化物、臭化物、ヨウ化物、塩素酸塩、過塩素酸塩、炭
酸水素塩およびシュウ酸塩を用いた場合でも、同様の効
果が得られる。また、これらのうち数種を用いた場合に
も、同様の効果が得られる。また、水溶性のマンガン化
合物としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物、過塩素酸塩
および硫酸塩を用いた場合でも、同様の効果が得られ
る。コバルト、ニッケルまたはクロムの化合物として
は、これらの塩化物以外にも硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、
過塩素酸塩など種々の水溶性化合物を用いた場合でも、
同様の効果が得られる。また、上記実施例では出発原料
の混合水溶液を加熱して前駆体となる固形分を得る工程
と、前駆体を焼成して複合酸化物を得る工程とを分離し
たが、両工程を1回の加熱で行い、混合水溶液から直接
複合酸化物を生成させた場合でも同様の効果が得られ
る。
塩化物、臭化物、ヨウ化物、塩素酸塩、過塩素酸塩、炭
酸水素塩およびシュウ酸塩を用いた場合でも、同様の効
果が得られる。また、これらのうち数種を用いた場合に
も、同様の効果が得られる。また、水溶性のマンガン化
合物としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物、過塩素酸塩
および硫酸塩を用いた場合でも、同様の効果が得られ
る。コバルト、ニッケルまたはクロムの化合物として
は、これらの塩化物以外にも硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、
過塩素酸塩など種々の水溶性化合物を用いた場合でも、
同様の効果が得られる。また、上記実施例では出発原料
の混合水溶液を加熱して前駆体となる固形分を得る工程
と、前駆体を焼成して複合酸化物を得る工程とを分離し
たが、両工程を1回の加熱で行い、混合水溶液から直接
複合酸化物を生成させた場合でも同様の効果が得られ
る。
【0031】[実施例4]次に、コバルト、ニッケルを
含む正極をアルコールに可溶な原料から製造する場合に
ついて説明する。アルコールに可溶なリチウム化合物と
して過塩素酸リチウムを用いた。また、アルコールに可
溶なマンガン化合物として過塩素酸マンガンを用いた。
これらと混合するコバルト化合物またはニッケル化合物
として、過塩素酸コバルトまたは過塩素酸ニッケルを用
いた。これらをリチウム、マンガン、およびコバルトま
たはニッケルの原子数の比が1:2−y:yになるよう
に秤量し、各々にエタノールを加え完全に溶解させた。
これらのエタノール溶液を混合し、攪拌しながら、シュ
ウ酸のエタノール溶液を沈澱の生成反応が終了するまで
加えた。生成した固形分を乾燥させ、空気雰囲気中80
0℃で焼成することにより、リチウムおよびマンガンに
コバルトまたはニッケルを添加した複合酸化物を合成し
た。これらの酸化物は、均一でスピネル構造を有し、そ
の組成はおおむねLiMn2-yMyO4(但し、MはCo
およびNiのうちのいずれかとする。)であった。
含む正極をアルコールに可溶な原料から製造する場合に
ついて説明する。アルコールに可溶なリチウム化合物と
して過塩素酸リチウムを用いた。また、アルコールに可
溶なマンガン化合物として過塩素酸マンガンを用いた。
これらと混合するコバルト化合物またはニッケル化合物
として、過塩素酸コバルトまたは過塩素酸ニッケルを用
いた。これらをリチウム、マンガン、およびコバルトま
たはニッケルの原子数の比が1:2−y:yになるよう
に秤量し、各々にエタノールを加え完全に溶解させた。
これらのエタノール溶液を混合し、攪拌しながら、シュ
ウ酸のエタノール溶液を沈澱の生成反応が終了するまで
加えた。生成した固形分を乾燥させ、空気雰囲気中80
0℃で焼成することにより、リチウムおよびマンガンに
コバルトまたはニッケルを添加した複合酸化物を合成し
た。これらの酸化物は、均一でスピネル構造を有し、そ
の組成はおおむねLiMn2-yMyO4(但し、MはCo
およびNiのうちのいずれかとする。)であった。
【0032】正極活物質であるこの複合酸化物と、導電
剤であるアセチレンブラックと、結着剤であるポリ4フ
ッ化エチレン樹脂を重量比で7:2:1の割合で混合
し、充分乾燥させた。こうして得た正極合剤を2トン/
cm2の圧力で直径17.5mmの円板状ペレットに加
圧成型して正極とした。これらの正極を用いて実施例1
と同様の試験電池を作製した。コバルトおよびニッケル
を添加した正極活物質を用いたセルを、それぞれ実施例
4−1および実施例4−2の試験セルとする。これら試
験セルについて、実施例1と同様の特性評価を行った。
表6に、正極のコバルト添加量に対する、セルの初期容
量、および50サイクル後の容量維持率の関係を示す。
剤であるアセチレンブラックと、結着剤であるポリ4フ
ッ化エチレン樹脂を重量比で7:2:1の割合で混合
し、充分乾燥させた。こうして得た正極合剤を2トン/
cm2の圧力で直径17.5mmの円板状ペレットに加
圧成型して正極とした。これらの正極を用いて実施例1
と同様の試験電池を作製した。コバルトおよびニッケル
を添加した正極活物質を用いたセルを、それぞれ実施例
4−1および実施例4−2の試験セルとする。これら試
験セルについて、実施例1と同様の特性評価を行った。
表6に、正極のコバルト添加量に対する、セルの初期容
量、および50サイクル後の容量維持率の関係を示す。
【0033】
【表6】
【0034】コバルト添加量の増加にともなって初期容
量は低下し、添加量yが0.3を超えると急速に小さく
なることから、添加量yは0.3以下が適している。こ
の低下の傾向は、実施例4−1および比較例3−1のセ
ルにおいてともに同様である。一方、添加量の増加によ
る容量維持率の変化には差があり、比較例3−1のセル
では、y=0.1以上コバルトを添加しないと容量維持
率の増加は見られないが、実施例4−1のセルではy=
0.01といったごく少量の添加で容量維持率が増加す
る。そのため、比較例3−1のセルでは、良好なサイク
ル性が得られるまでコバルト添加量を増やすと初期容量
の低下が大きくなってしまうが、実施例4−1のセルで
は、初期容量の低下が僅かしか現われない少量の添加で
サイクル性を改善できる。初期容量の低下とサイクル性
向上の効果を合わせると、コバルトとマンガンの原子数
の比が0.01:1.99〜0.3:1.7の範囲で、
初期容量、サイクル性ともに優れた正極が得られ、特に
0.15:1.85またはこれよりもコバルト添加量が
少ない場合、初期容量とサイクル性の双方とも優れた正
極が得られる。これは、実施例2でも示したように、実
施例4−1のセルでは試料中での元素の分布が均一であ
るため、添加元素も試料中に均一に分散しており、添加
の効果が充分に発揮されやすいためと考えている。ニッ
ケル添加を行った正極についての結果を表7に示す。
量は低下し、添加量yが0.3を超えると急速に小さく
なることから、添加量yは0.3以下が適している。こ
の低下の傾向は、実施例4−1および比較例3−1のセ
ルにおいてともに同様である。一方、添加量の増加によ
る容量維持率の変化には差があり、比較例3−1のセル
では、y=0.1以上コバルトを添加しないと容量維持
率の増加は見られないが、実施例4−1のセルではy=
0.01といったごく少量の添加で容量維持率が増加す
る。そのため、比較例3−1のセルでは、良好なサイク
ル性が得られるまでコバルト添加量を増やすと初期容量
の低下が大きくなってしまうが、実施例4−1のセルで
は、初期容量の低下が僅かしか現われない少量の添加で
サイクル性を改善できる。初期容量の低下とサイクル性
向上の効果を合わせると、コバルトとマンガンの原子数
の比が0.01:1.99〜0.3:1.7の範囲で、
初期容量、サイクル性ともに優れた正極が得られ、特に
0.15:1.85またはこれよりもコバルト添加量が
少ない場合、初期容量とサイクル性の双方とも優れた正
極が得られる。これは、実施例2でも示したように、実
施例4−1のセルでは試料中での元素の分布が均一であ
るため、添加元素も試料中に均一に分散しており、添加
の効果が充分に発揮されやすいためと考えている。ニッ
ケル添加を行った正極についての結果を表7に示す。
【0035】
【表7】
【0036】これらの結果もコバルト添加の場合と同様
の傾向を示し、実施例4−2のセルでも、ニッケルとマ
ンガンの原子数の比が0.01:1.99〜0.3:
1.7の範囲で初期容量、サイクル性ともに良好な結果
が得られ、特に0.1:1.9またはこれよりもニッケ
ル添加量が少ない場合、初期容量とサイクル性の双方と
も優れた正極が得られることがわかる。以上の結果か
ら、スピネル構造を有するリチウムとマンガンの複合酸
化物のマンガンの一部をコバルトまたはニッケルで置換
する場合、本実施例の製造法を用いることにより初期容
量、サイクル性ともに優れた非水電解質二次電池用正極
が得られる。アルコールに可溶なリチウム化合物として
は、リチウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物、塩素酸塩お
よび過塩素酸塩を用いても同様の効果が得られる。アル
コールに可溶なマンガン化合物としては、マンガンの塩
化物、臭化物、ヨウ化物、過塩素酸塩および硫酸塩を用
いても同様の効果が得られる。コバルトまたはニッケル
としては、これらのハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩な
ど、種々のアルコール可溶性化合物を用いた場合でも、
同様の効果が得られる。
の傾向を示し、実施例4−2のセルでも、ニッケルとマ
ンガンの原子数の比が0.01:1.99〜0.3:
1.7の範囲で初期容量、サイクル性ともに良好な結果
が得られ、特に0.1:1.9またはこれよりもニッケ
ル添加量が少ない場合、初期容量とサイクル性の双方と
も優れた正極が得られることがわかる。以上の結果か
ら、スピネル構造を有するリチウムとマンガンの複合酸
化物のマンガンの一部をコバルトまたはニッケルで置換
する場合、本実施例の製造法を用いることにより初期容
量、サイクル性ともに優れた非水電解質二次電池用正極
が得られる。アルコールに可溶なリチウム化合物として
は、リチウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物、塩素酸塩お
よび過塩素酸塩を用いても同様の効果が得られる。アル
コールに可溶なマンガン化合物としては、マンガンの塩
化物、臭化物、ヨウ化物、過塩素酸塩および硫酸塩を用
いても同様の効果が得られる。コバルトまたはニッケル
としては、これらのハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩な
ど、種々のアルコール可溶性化合物を用いた場合でも、
同様の効果が得られる。
【0037】[実施例5]次に、焼成時の温度について
の検討を行った。リチウム化合物として塩素酸リチウ
ム、マンガン化合物として硫酸マンガンを用い、実施例
1と同様の手順でリチウムとマンガンを含む前駆体とな
る固形分を得、この固形分を種々の温度で焼成した。得
られた各試料についてX線回折を用いて分析すると、3
00℃以上で焼成して得た複合酸化物は、スピネル構造
を有し、均一なLiMn2O4であることが確認された
が、それより低い温度で焼成したものは不純物ピークが
数多くみられた。これらの複合酸化物を用いて実施例1
と同様の試験セルを作製し、実施例1と同様の電極特性
の評価を行った。焼成温度と初期容量の関係を図2に示
す。300℃以上の温度で焼成した正極を用いたセルは
大きな初期容量が得られた。一方、焼成温度が1000
℃を超えると徐々に容量が低下する傾向が見られた。以
上の結果から、加熱温度としては300℃〜1000℃
の温度範囲が適していることがわかる。
の検討を行った。リチウム化合物として塩素酸リチウ
ム、マンガン化合物として硫酸マンガンを用い、実施例
1と同様の手順でリチウムとマンガンを含む前駆体とな
る固形分を得、この固形分を種々の温度で焼成した。得
られた各試料についてX線回折を用いて分析すると、3
00℃以上で焼成して得た複合酸化物は、スピネル構造
を有し、均一なLiMn2O4であることが確認された
が、それより低い温度で焼成したものは不純物ピークが
数多くみられた。これらの複合酸化物を用いて実施例1
と同様の試験セルを作製し、実施例1と同様の電極特性
の評価を行った。焼成温度と初期容量の関係を図2に示
す。300℃以上の温度で焼成した正極を用いたセルは
大きな初期容量が得られた。一方、焼成温度が1000
℃を超えると徐々に容量が低下する傾向が見られた。以
上の結果から、加熱温度としては300℃〜1000℃
の温度範囲が適していることがわかる。
【0038】なお、ここでは塩素酸リチウムと硫酸マン
ガンを原料として水溶液から生成した前駆体を焼成する
場合について示したが、塩素酸リチウムに代えて、リチ
ウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物、過塩素酸塩、炭酸水
素塩およびシュウ酸塩のうちのいずれかを用いても同様
の効果が得られる。また、硫酸マンガンに代えて、マン
ガンの塩化物、臭化物、ヨウ化物および過塩素酸塩を用
いても同様の効果が得られる。さらに、実施例2〜4に
示す様な、アルコール溶液から生成した場合や、マンガ
ンの一部をコバルト、ニッケル、クロムなどにより置換
した場合についても、同様の温度範囲で焼成することに
より良好な初期容量が得られる。
ガンを原料として水溶液から生成した前駆体を焼成する
場合について示したが、塩素酸リチウムに代えて、リチ
ウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物、過塩素酸塩、炭酸水
素塩およびシュウ酸塩のうちのいずれかを用いても同様
の効果が得られる。また、硫酸マンガンに代えて、マン
ガンの塩化物、臭化物、ヨウ化物および過塩素酸塩を用
いても同様の効果が得られる。さらに、実施例2〜4に
示す様な、アルコール溶液から生成した場合や、マンガ
ンの一部をコバルト、ニッケル、クロムなどにより置換
した場合についても、同様の温度範囲で焼成することに
より良好な初期容量が得られる。
【0039】上記実施例ではコイン電池を用いた場合に
ついて説明したが、本発明で示した優れたサイクル性な
どの技術思想は同一のものであることから、この構造に
限定されるものではなく、円筒型、角型、偏平型などの
形状の二次電池においても全く同様の効果が得られる。
また、上記実施例では、セルの負極活物質として金属リ
チウムを用いたが、アルミニウム、アルミニウム合金等
をはじめとするリチウムと合金化する金属材料、あるい
は炭素材料等のリチウムを可逆的に吸蔵放出することが
できる材料を用いても同様の効果が得られる。さらに、
非水電解液についても、本実施例では1モル/リットル
の六フッ化リン酸リチウムを溶解したエチレンカーボネ
ートと、炭酸ジエチルを体積比で1:1になるよう混合
したものを用いたが、他の電解質塩や溶媒を用いても同
様の効果が得られることは言うまでもない。なお、本実
施例では、あらかじめリチウム化合物およびマンガン化
合物をそれぞれ溶解させた水溶液もしくはアルコール溶
液を混合したものを用いたが、リチウム化合物とマンガ
ン化合物を同時に溶解させたものを用いることも可能で
ある。リチウムとマンガンを含む前駆体を焼成する際
に、焼成条件によってはリチウムが飛散し、焼成前後で
LiとMnの比が変動する。そのため、配合次にLiを
若干多めに加える必要が生じる場合もある。また、若
干、組成比が変動した場合でも、正極活物質として良好
な性能を示す。
ついて説明したが、本発明で示した優れたサイクル性な
どの技術思想は同一のものであることから、この構造に
限定されるものではなく、円筒型、角型、偏平型などの
形状の二次電池においても全く同様の効果が得られる。
また、上記実施例では、セルの負極活物質として金属リ
チウムを用いたが、アルミニウム、アルミニウム合金等
をはじめとするリチウムと合金化する金属材料、あるい
は炭素材料等のリチウムを可逆的に吸蔵放出することが
できる材料を用いても同様の効果が得られる。さらに、
非水電解液についても、本実施例では1モル/リットル
の六フッ化リン酸リチウムを溶解したエチレンカーボネ
ートと、炭酸ジエチルを体積比で1:1になるよう混合
したものを用いたが、他の電解質塩や溶媒を用いても同
様の効果が得られることは言うまでもない。なお、本実
施例では、あらかじめリチウム化合物およびマンガン化
合物をそれぞれ溶解させた水溶液もしくはアルコール溶
液を混合したものを用いたが、リチウム化合物とマンガ
ン化合物を同時に溶解させたものを用いることも可能で
ある。リチウムとマンガンを含む前駆体を焼成する際
に、焼成条件によってはリチウムが飛散し、焼成前後で
LiとMnの比が変動する。そのため、配合次にLiを
若干多めに加える必要が生じる場合もある。また、若
干、組成比が変動した場合でも、正極活物質として良好
な性能を示す。
【0040】
【発明の効果】本発明によると、組成や構造が均一なス
ピネル構造を有するリチウムとマンガンの複合酸化物を
提供することができる。また、これを非水電解質二次電
池の正極に用いることにより、高エネルギー密度でかつ
サイクル特性の優れた非水電解質二次電池を提供するこ
とができる。
ピネル構造を有するリチウムとマンガンの複合酸化物を
提供することができる。また、これを非水電解質二次電
池の正極に用いることにより、高エネルギー密度でかつ
サイクル特性の優れた非水電解質二次電池を提供するこ
とができる。
【図1】本発明の実施例で正極の評価に用いた試験セル
の縦断面略図である。
の縦断面略図である。
【図2】本発明の実施例5における、正極活物質の前駆
体の焼成温度と、得られた正極活物質を用いたセルの初
期放電容量の関係を示す特性図である。
体の焼成温度と、得られた正極活物質を用いたセルの初
期放電容量の関係を示す特性図である。
1 正極 2 ケース 3 セパレータ 4 Li負極 5 ガスケット 6 封口板
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 修二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 豊口 ▲吉▼徳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内
Claims (5)
- 【請求項1】 リチウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物、
塩素酸塩、過塩素酸塩、炭酸水素塩およびシュウ酸塩か
らなる群より選択される少なくとも1種の水溶性リチウ
ム化合物と、マンガンの塩化物、臭化物、ヨウ化物、過
塩素酸塩および硫酸塩からなる群より選択される少なく
とも1種の水溶性マンガン化合物を溶解させた水溶液を
調製する工程と、前記水溶液を加熱し、得られた固形分
を焼成することにより、スピネル構造を有するリチウム
とマンガンの複合酸化物を生成する工程を含む非水電解
質二次電池用正極の製造法。 - 【請求項2】 リチウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物、
塩素酸塩および過塩素酸塩からなる群より選択される少
なくとも1種のアルコール可溶性のリチウム化合物と、
マンガンの塩化物、臭化物、ヨウ化物、過塩素酸塩およ
び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種のア
ルコール可溶性のマンガン化合物を溶解させたアルコー
ル溶液を調製する工程と、前記アルコール溶液にシュウ
酸を添加することにより固形分を生成する工程と、前記
固形分を焼成することにより、スピネル構造を有するリ
チウムとマンガンの複合酸化物を生成する工程を含む非
水電解質二次電池用正極の製造法。 - 【請求項3】 リチウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物、
塩素酸塩、過塩素酸塩、炭酸水素塩およびシュウ酸塩か
らなる群より選択される少なくとも1種の水溶性リチウ
ム化合物と、マンガンの塩化物、臭化物、ヨウ化物、過
塩素酸塩および硫酸塩からなる群より選択される少なく
とも1種の水溶性マンガン化合物と、金属M1(但し、
M1はCo、NiおよびCrからなる群より選択される
少なくとも1種である)の水溶性化合物を溶解させた水
溶液を調製する工程と、前記水溶液を加熱し、得られた
固形分を焼成することにより、原子数比がMn:M1=
2−y:y(但し、0.01≦y≦0.3とする。)で
あるスピネル構造を有するリチウムとマンガンの複合酸
化物を生成する工程を含む非水電解質二次電池用正極の
製造法。 - 【請求項4】 リチウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物、
塩素酸塩および過塩素酸塩からなる群より選択される少
なくとも1種のアルコール可溶性のリチウム化合物と、
マンガンの塩化物、臭化物、ヨウ化物、過塩素酸塩およ
び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種のア
ルコール可溶性のマンガン化合物と、金属M2(但し、
M2はCoおよびNiの少なくとも一方である)のアル
コール可溶性化合物を溶解させたアルコール溶液を調製
する工程と、前記アルコール溶液にシュウ酸を添加する
ことにより固形分を生成する工程と、前記固形分を焼成
することにより、原子数比がMn:M2=2−y:y
(但し、0.01≦y≦0.3とする。)であるスピネ
ル構造を有するリチウムとマンガンを含む複合酸化物を
生成する工程を含む非水電解質二次電池用正極の製造
法。 - 【請求項5】 前記焼成温度が300℃〜1000℃で
ある請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解質二次電
池用正極の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7316976A JPH09161799A (ja) | 1995-12-05 | 1995-12-05 | 非水電解質二次電池用正極の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7316976A JPH09161799A (ja) | 1995-12-05 | 1995-12-05 | 非水電解質二次電池用正極の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09161799A true JPH09161799A (ja) | 1997-06-20 |
Family
ID=18083038
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7316976A Pending JPH09161799A (ja) | 1995-12-05 | 1995-12-05 | 非水電解質二次電池用正極の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09161799A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000059830A1 (fr) * | 1999-03-30 | 2000-10-12 | Toho Titanium Co., Ltd. | Procede de preparation de manganate de lithium, manganate de lithium, electrode positive pour cellule secondaire au lithium contenant le manganate de lithium comme matiere active, et cellule secondaire au lithium |
JP2001266874A (ja) * | 2000-03-16 | 2001-09-28 | Toho Titanium Co Ltd | リチウムイオン二次電池 |
US20210028484A1 (en) * | 2018-10-31 | 2021-01-28 | Lg Chem, Ltd. | Lithium secondary battery |
-
1995
- 1995-12-05 JP JP7316976A patent/JPH09161799A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000059830A1 (fr) * | 1999-03-30 | 2000-10-12 | Toho Titanium Co., Ltd. | Procede de preparation de manganate de lithium, manganate de lithium, electrode positive pour cellule secondaire au lithium contenant le manganate de lithium comme matiere active, et cellule secondaire au lithium |
US6699297B1 (en) | 1999-03-30 | 2004-03-02 | Toho Titanium Co., Ltd. | Method for preparing lithium manganate and positive electrode for lithium secondary cell containing the same |
EP1116692A4 (en) * | 1999-03-30 | 2007-04-04 | Toho Titanium Co Ltd | METHOD FOR THE PRODUCTION OF LITHIUM MANGANATE, LITHIUM MANGANATE, POSITIVE ELECTRODE FOR SECONDARY LITHIUM CELLS CONTAINING THIS AS ACTIVE MATERIAL, AND SECONDARY LITHIUM CELL. |
JP4614251B2 (ja) * | 1999-03-30 | 2011-01-19 | 東邦チタニウム株式会社 | マンガン酸リチウムの製造方法 |
JP2001266874A (ja) * | 2000-03-16 | 2001-09-28 | Toho Titanium Co Ltd | リチウムイオン二次電池 |
US20210028484A1 (en) * | 2018-10-31 | 2021-01-28 | Lg Chem, Ltd. | Lithium secondary battery |
US12148875B2 (en) * | 2018-10-31 | 2024-11-19 | Lg Energy Solution, Ltd. | Lithium secondary battery |
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