JPH09115699A - 円形加速器およびビームの出射方法 - Google Patents
円形加速器およびビームの出射方法Info
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- JPH09115699A JPH09115699A JP27528795A JP27528795A JPH09115699A JP H09115699 A JPH09115699 A JP H09115699A JP 27528795 A JP27528795 A JP 27528795A JP 27528795 A JP27528795 A JP 27528795A JP H09115699 A JPH09115699 A JP H09115699A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】出射効率が良く、かつ、径の小さいビームを安
定に得られる円形加速器を小型化する。 【解決手段】本実施例の円形加速器は、ビームを外部か
ら円形加速器へ入射させる入射装置9,ビームが周回す
る真空ダクト10,ビーム軌道を曲げる偏向電磁石1,
ビームのチューンを調整する四極電磁石2,3,入射さ
れたビームにエネルギーを与える高周波加速空胴4,ク
ロマティシティの補正および3次共鳴の励起を行う六極
電磁石5,6,ビームのベータトロン振動振幅を増加さ
せる高周波電場印加用電極7,ベータトロン振動振幅を
増加した陽子をビームとして出射する出射用デフレクタ
ー8,六極電磁石5,6に電流を供給する六極電磁石用
電源12,13,六極電磁石用電源12,13が供給す
る電流を変えることによって、六極電磁石5,6が作る
磁場の強さを制御する制御装置11などから構成されて
いる。
定に得られる円形加速器を小型化する。 【解決手段】本実施例の円形加速器は、ビームを外部か
ら円形加速器へ入射させる入射装置9,ビームが周回す
る真空ダクト10,ビーム軌道を曲げる偏向電磁石1,
ビームのチューンを調整する四極電磁石2,3,入射さ
れたビームにエネルギーを与える高周波加速空胴4,ク
ロマティシティの補正および3次共鳴の励起を行う六極
電磁石5,6,ビームのベータトロン振動振幅を増加さ
せる高周波電場印加用電極7,ベータトロン振動振幅を
増加した陽子をビームとして出射する出射用デフレクタ
ー8,六極電磁石5,6に電流を供給する六極電磁石用
電源12,13,六極電磁石用電源12,13が供給す
る電流を変えることによって、六極電磁石5,6が作る
磁場の強さを制御する制御装置11などから構成されて
いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷電粒子を周回さ
せ、出射してビームを得る円形加速器に係り、特に荷電
粒子のベータトロン振動に共鳴を励起してビームを取り
出す円形加速器に関する。
せ、出射してビームを得る円形加速器に係り、特に荷電
粒子のベータトロン振動に共鳴を励起してビームを取り
出す円形加速器に関する。
【0002】
【従来の技術】ビーム中の荷電粒子は運動量によってそ
れぞれ異なるチューンを持つ。この荷電粒子のチューン
の運動量依存性はクロマティシティと呼ばれる。安定限
界の大きさはチューンの共鳴点からの偏差に依存するの
で、すなわち、荷電粒子は運動量によって異なる安定限
界を持つ。
れぞれ異なるチューンを持つ。この荷電粒子のチューン
の運動量依存性はクロマティシティと呼ばれる。安定限
界の大きさはチューンの共鳴点からの偏差に依存するの
で、すなわち、荷電粒子は運動量によって異なる安定限
界を持つ。
【0003】しかし、小さな安定限界を持つために出射
の共鳴励起の際に失われてしまう荷電粒子や、大きな安
定限界を持つために出射までに時間がかかり、加速器内
に残留する荷電粒子があって、出射効率が悪く、また、
出射ビームの質が時間的に変化していた。この問題を解
決するためには、クロマティシティを0に補正して、運
動量によらず荷電粒子が同じ安定限界を持つようにすれ
ば良い。
の共鳴励起の際に失われてしまう荷電粒子や、大きな安
定限界を持つために出射までに時間がかかり、加速器内
に残留する荷電粒子があって、出射効率が悪く、また、
出射ビームの質が時間的に変化していた。この問題を解
決するためには、クロマティシティを0に補正して、運
動量によらず荷電粒子が同じ安定限界を持つようにすれ
ば良い。
【0004】3次共鳴を利用してビームの取り出しをす
る従来の円形加速器内には、クロマティシティ補正用と
して一対の六極電磁石と、共鳴励起用として一対の六極
電磁石を設置している。
る従来の円形加速器内には、クロマティシティ補正用と
して一対の六極電磁石と、共鳴励起用として一対の六極
電磁石を設置している。
【0005】共鳴励起用の2台の六極電磁石は、回転対
称で、かつ、ベータトロン振動の位相差がnπ/3(n
は奇数)である位置に配置され、それぞれ逆向きで同じ
強さに励磁される。共鳴励起用の2台の六極電磁石は、
クロマティシティを変化させずに3次共鳴を励起する。
称で、かつ、ベータトロン振動の位相差がnπ/3(n
は奇数)である位置に配置され、それぞれ逆向きで同じ
強さに励磁される。共鳴励起用の2台の六極電磁石は、
クロマティシティを変化させずに3次共鳴を励起する。
【0006】クロマティシティ補正用の2台の六極電磁
石は、同様に回転対称で、かつ、ベータトロン振動の位
相差がnπ/3(nは奇数)である位置に配置される
が、どちらも同じ向きで同じ強さに励磁される。クロマ
ティシティ補正用の2台の六極電磁石は、共鳴成分を持
たず、クロマティシティを0に補正する。
石は、同様に回転対称で、かつ、ベータトロン振動の位
相差がnπ/3(nは奇数)である位置に配置される
が、どちらも同じ向きで同じ強さに励磁される。クロマ
ティシティ補正用の2台の六極電磁石は、共鳴成分を持
たず、クロマティシティを0に補正する。
【0007】これらの独立した役割を持つ二対の六極電
磁石によって、クロマティシティを0に補正し、運動量
によらず荷電粒子が同じ安定限界を持つようにして、3
次共鳴によるビーム取り出しが行われていた。
磁石によって、クロマティシティを0に補正し、運動量
によらず荷電粒子が同じ安定限界を持つようにして、3
次共鳴によるビーム取り出しが行われていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来の
円形加速器においては、クロマティシティ補正用と共鳴
励起用の少なくとも4台の六極電磁石を用いるので、広
い設置場所が必要であった。
円形加速器においては、クロマティシティ補正用と共鳴
励起用の少なくとも4台の六極電磁石を用いるので、広
い設置場所が必要であった。
【0009】また、それぞれの荷電粒子が同じ安定限界
を持っていても、出射する荷電粒子がたどる軌道の位相
空間上の軌跡は異なるために、出射されるビームの径が
大きかった。
を持っていても、出射する荷電粒子がたどる軌道の位相
空間上の軌跡は異なるために、出射されるビームの径が
大きかった。
【0010】本発明の目的は、出射効率が良く、かつ、
出射ビーム径が小さい円形加速器を提供することにあ
る。
出射ビーム径が小さい円形加速器を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1の円形加速器においては、ベータトロン振
動の位相差がnπ/3(nは奇数)で、かつ、出射用デ
フレクターとのベータトロン振動の位相差φが、設計軌
道に沿ったビーム進行方向の座標をsとし、出射用デフ
レクター位置でのベータトロン関数をβ,分散関数を
η,分散関数の微分をη′としたとき、
に、請求項1の円形加速器においては、ベータトロン振
動の位相差がnπ/3(nは奇数)で、かつ、出射用デ
フレクターとのベータトロン振動の位相差φが、設計軌
道に沿ったビーム進行方向の座標をsとし、出射用デフ
レクター位置でのベータトロン関数をβ,分散関数を
η,分散関数の微分をη′としたとき、
【0012】
【数2】
【0013】(ただし、θ=(4m±1)π/6、mは
(φ−π/2)<θ<(φ+π/2)を満たす整数)を
満たす位置に配置される2台の六極電磁石が、電流が供
給されることにより磁場を励起するものであり、制御装
置が、前記2台の六極電磁石が励起する前記磁場の強さ
を異なる値に制御するものである。
(φ−π/2)<θ<(φ+π/2)を満たす整数)を
満たす位置に配置される2台の六極電磁石が、電流が供
給されることにより磁場を励起するものであり、制御装
置が、前記2台の六極電磁石が励起する前記磁場の強さ
を異なる値に制御するものである。
【0014】請求項2の円形加速器においては、請求項
1の前記2台の六極電磁石が、回転対称である位置に配
置されるものである。
1の前記2台の六極電磁石が、回転対称である位置に配
置されるものである。
【0015】請求項3の円形加速器においては、請求項
2の前記2台の六極電磁石が、鏡映対称である位置に配
置されるものである。
2の前記2台の六極電磁石が、鏡映対称である位置に配
置されるものである。
【0016】請求項4のビームの出射方法においては、
ベータトロン振動をn次共鳴状態にして前記ビームを出
射する際に、出射用デフレクター位置の位相空間におけ
る前記ビーム中の第1の荷電粒子の安定限界の中心と、
前記第1の荷電粒子の運動量と異なる運動量を持つ第2
の荷電粒子の安定限界の中心とを結んだ直線の傾きが、
前記第2の荷電粒子がn周回ごとに前記位相空間に描く
軌跡の傾きと等しいものである。
ベータトロン振動をn次共鳴状態にして前記ビームを出
射する際に、出射用デフレクター位置の位相空間におけ
る前記ビーム中の第1の荷電粒子の安定限界の中心と、
前記第1の荷電粒子の運動量と異なる運動量を持つ第2
の荷電粒子の安定限界の中心とを結んだ直線の傾きが、
前記第2の荷電粒子がn周回ごとに前記位相空間に描く
軌跡の傾きと等しいものである。
【0017】本発明の請求項1の円形加速器によれば、
2台の六極電磁石がベータトロン振動の位相差がnπ/
3(nは奇数)である位置に配置されているので、安定
限界の向きは前記2台の六極電磁石の磁場の強さによら
ず一定であり、前記2台の六極電磁石が制御装置によっ
て磁場の強さをそれぞれ異なる値に制御されることによ
り、クロマティシティが0になるので、全ての荷電粒子
は、運動量によらず大きさが同じ安定限界を持つように
なり、出射効率が良く安定なビームが得られる。また、
2台の六極電磁石は、出射用デフレクターとのベータト
ロン振動の位相差φが、設計軌道に沿ったビーム進行方
向の座標をsとし、出射用デフレクター位置でのベータ
トロン関数をβx ,分散関数をηx ,分散関数の微分を
ηx′としたとき、
2台の六極電磁石がベータトロン振動の位相差がnπ/
3(nは奇数)である位置に配置されているので、安定
限界の向きは前記2台の六極電磁石の磁場の強さによら
ず一定であり、前記2台の六極電磁石が制御装置によっ
て磁場の強さをそれぞれ異なる値に制御されることによ
り、クロマティシティが0になるので、全ての荷電粒子
は、運動量によらず大きさが同じ安定限界を持つように
なり、出射効率が良く安定なビームが得られる。また、
2台の六極電磁石は、出射用デフレクターとのベータト
ロン振動の位相差φが、設計軌道に沿ったビーム進行方
向の座標をsとし、出射用デフレクター位置でのベータ
トロン関数をβx ,分散関数をηx ,分散関数の微分を
ηx′としたとき、
【0018】
【数3】
【0019】(ただし、θ=(4m±1)π/6、mは
(φ−π/2)<θ<(φ+π/2)を満たす整数)を
満たす位置に配置されるので、すべての荷電粒子の出射
軌道が重なり、小さい径の出射ビームが得られる。ま
た、制御装置が2台の六極電磁石が励起する磁場の強さ
をそれぞれ異なる値に制御するので、共鳴励起、及びク
ロマティシティの補正を2台の六極電磁石で行うことが
できる。従って、六極電磁石の数を減少できるので、円
形加速器を小型化できる。
(φ−π/2)<θ<(φ+π/2)を満たす整数)を
満たす位置に配置されるので、すべての荷電粒子の出射
軌道が重なり、小さい径の出射ビームが得られる。ま
た、制御装置が2台の六極電磁石が励起する磁場の強さ
をそれぞれ異なる値に制御するので、共鳴励起、及びク
ロマティシティの補正を2台の六極電磁石で行うことが
できる。従って、六極電磁石の数を減少できるので、円
形加速器を小型化できる。
【0020】本発明の請求項2の円形加速器によれば、
2台の六極電磁石は請求項1の配置で、かつ、回転対称
である位置に配置されているので、請求項1の円形加速
器と同様の作用を得るとともに、回転対称位置における
ビームのベータトロン振動のパラメータは同じで、クロ
マティシティは2台の六極電磁石が励起する磁場の強さ
の和に依存し、安定限界の大きさは2台の六極電磁石が
励起する磁場の強さの差に依存するので、クロマティシ
ティの補正および安定限界の大きさについては、2台の
六極電磁石が励起する磁場の強さのみを制御すればよ
く、制御が容易である。
2台の六極電磁石は請求項1の配置で、かつ、回転対称
である位置に配置されているので、請求項1の円形加速
器と同様の作用を得るとともに、回転対称位置における
ビームのベータトロン振動のパラメータは同じで、クロ
マティシティは2台の六極電磁石が励起する磁場の強さ
の和に依存し、安定限界の大きさは2台の六極電磁石が
励起する磁場の強さの差に依存するので、クロマティシ
ティの補正および安定限界の大きさについては、2台の
六極電磁石が励起する磁場の強さのみを制御すればよ
く、制御が容易である。
【0021】本発明の請求項3の円形加速器によれば、
2台の六極電磁石は請求項1の配置で、かつ、鏡映対称
である位置に配置されているので、請求項2の円形加速
器と同様の作用を得る。
2台の六極電磁石は請求項1の配置で、かつ、鏡映対称
である位置に配置されているので、請求項2の円形加速
器と同様の作用を得る。
【0022】請求項4のビームの出射方法によれば、ベ
ータトロン振動をn次共鳴状態にして前記ビームを出射
する際に、出射用デフレクター位置の位相空間における
前記ビーム中の第1の荷電粒子の安定限界の中心と、前
記第1の荷電粒子の運動量と異なる運動量を持つ第2の
荷電粒子の安定限界の中心とを結んだ直線の傾きが、前
記第2の荷電粒子がn周回ごとに前記位相空間に描く軌
跡の傾きと等しいので、前記第1の荷電粒子と前記第2
の荷電粒子が位相空間における出射用デフレクターの電
極を横切る距離は短く、出射する前記ビームの径が小さ
くなる。
ータトロン振動をn次共鳴状態にして前記ビームを出射
する際に、出射用デフレクター位置の位相空間における
前記ビーム中の第1の荷電粒子の安定限界の中心と、前
記第1の荷電粒子の運動量と異なる運動量を持つ第2の
荷電粒子の安定限界の中心とを結んだ直線の傾きが、前
記第2の荷電粒子がn周回ごとに前記位相空間に描く軌
跡の傾きと等しいので、前記第1の荷電粒子と前記第2
の荷電粒子が位相空間における出射用デフレクターの電
極を横切る距離は短く、出射する前記ビームの径が小さ
くなる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1に本実施例の円形加速器を示
す。
す。
【0024】本実施例の円形加速器は、ベータトロン振
動の共鳴点を5/3に選んだ3次共鳴を利用して陽子ビ
ームを出射する。
動の共鳴点を5/3に選んだ3次共鳴を利用して陽子ビ
ームを出射する。
【0025】本実施例の円形加速器は、ビームを外部か
ら円形加速器へ入射させる入射装置9,ビームが周回す
る真空ダクト10,ビーム軌道を曲げる偏向電磁石1,
ビームのチューンを調整する四極電磁石2,3,入射さ
れたビームにエネルギーを与える高周波加速空胴4,ク
ロマティシティの補正および3次共鳴の励起を行う六極
電磁石5,6,ビームのベータトロン振動振幅を増加さ
せる高周波電場印加用電極7,ベータトロン振動振幅を
増加した陽子をビームとして出射する出射用デフレクタ
ー8,六極電磁石5,6に電流を供給する六極電磁石用
電源12,13,六極電磁石用電源12,13が供給す
る電流を変えることによって、六極電磁石5,6が作る
磁場の強さを制御する制御装置11等から構成されてい
る。
ら円形加速器へ入射させる入射装置9,ビームが周回す
る真空ダクト10,ビーム軌道を曲げる偏向電磁石1,
ビームのチューンを調整する四極電磁石2,3,入射さ
れたビームにエネルギーを与える高周波加速空胴4,ク
ロマティシティの補正および3次共鳴の励起を行う六極
電磁石5,6,ビームのベータトロン振動振幅を増加さ
せる高周波電場印加用電極7,ベータトロン振動振幅を
増加した陽子をビームとして出射する出射用デフレクタ
ー8,六極電磁石5,6に電流を供給する六極電磁石用
電源12,13,六極電磁石用電源12,13が供給す
る電流を変えることによって、六極電磁石5,6が作る
磁場の強さを制御する制御装置11等から構成されてい
る。
【0026】本実施例では、主要電磁石である偏向電磁
石1および四極電磁石2,3は、ビームが周回する真空
ダクト10に沿って、それぞれ90度の回転対称位置に
配置されている。よって、本実施例の円形加速器は90
度の回転対称性を持ち、ベータトロン関数β,分散関数
η等の周回するビームの性質を示すパラメータは、90
度毎に同じ値である。
石1および四極電磁石2,3は、ビームが周回する真空
ダクト10に沿って、それぞれ90度の回転対称位置に
配置されている。よって、本実施例の円形加速器は90
度の回転対称性を持ち、ベータトロン関数β,分散関数
η等の周回するビームの性質を示すパラメータは、90
度毎に同じ値である。
【0027】2台の六極電磁石5,6は、以下のように
して配置されている。
して配置されている。
【0028】六極電磁石5は、出射用デフレクター8と
のベータトロン振動の位相差φ5(=φ)が式1を満たす
位置に配置されている。
のベータトロン振動の位相差φ5(=φ)が式1を満たす
位置に配置されている。
【0029】
【数4】
【0030】ここで、θ=(4m±1)π/6、mは
(φ−π/2)<θ<(φ+π/2)を満たす整数であ
る。ただし、βx は出射用デフレクター位置でのベータ
トロン関数、ηxは出射用デフレクター位置での分散関
数、ηx′は分散関数ηx のビーム進行方向sで微分
(ηx′=dηx/ds)したものであり、これらの値は、
各電磁石の配置および磁場によって決まる値で、予め計
算で求めることができる。
(φ−π/2)<θ<(φ+π/2)を満たす整数であ
る。ただし、βx は出射用デフレクター位置でのベータ
トロン関数、ηxは出射用デフレクター位置での分散関
数、ηx′は分散関数ηx のビーム進行方向sで微分
(ηx′=dηx/ds)したものであり、これらの値は、
各電磁石の配置および磁場によって決まる値で、予め計
算で求めることができる。
【0031】もう一方の六極電磁石6は、六極電磁石5
と180度の回転対称位置に配置されている。六極電磁
石5との角度差が180度であるので、六極電磁石6と
出射用デフレクター8とのベータトロン振動の位相差φ
6(=φ5±π)についても式1を満たす。
と180度の回転対称位置に配置されている。六極電磁
石5との角度差が180度であるので、六極電磁石6と
出射用デフレクター8とのベータトロン振動の位相差φ
6(=φ5±π)についても式1を満たす。
【0032】式1について、図2(a)を用いて説明す
る。図2には位相空間における陽子の安定限界A,A′
と、安定限界を超えた陽子がたどる軌跡(以下、出射軌
跡と呼ぶ)Q,Q′が示されている。
る。図2には位相空間における陽子の安定限界A,A′
と、安定限界を超えた陽子がたどる軌跡(以下、出射軌
跡と呼ぶ)Q,Q′が示されている。
【0033】設計軌道を基準にして、横軸は水平方向x
を示し、縦軸は、水平面における、粒子の速度ベクトル
の射影の設計軌道に対する傾き(軌道勾配)x′を示
す。ビームの進行方向をsとすると、水平方向軌道勾配
はx′=dx/dsと表される。このx−x′空間が位
相空間と呼ばれる。この位相空間の三角形は、粒子の3
次共鳴の安定限界を示す。
を示し、縦軸は、水平面における、粒子の速度ベクトル
の射影の設計軌道に対する傾き(軌道勾配)x′を示
す。ビームの進行方向をsとすると、水平方向軌道勾配
はx′=dx/dsと表される。このx−x′空間が位
相空間と呼ばれる。この位相空間の三角形は、粒子の3
次共鳴の安定限界を示す。
【0034】式1の左辺は、図2(a)における、平均
の運動量を持つ陽子の安定限界Aの中心a(実空間では
周回するビームの中心軌道である)と、平均の運動量と
は異なる運動量を持つ陽子の安定限界A′の中心a′と
を結んだ線分a−a′の傾きを表している。式1の右辺
は、安定限界A′の出射軌跡Q′の勾配を表している。
従って、式1は、それぞれの陽子の安定限界の中心を結
んだ直線の勾配と出射軌跡の勾配とが同じであり、すべ
ての陽子について出射軌跡の勾配が等しいことを表して
いる。
の運動量を持つ陽子の安定限界Aの中心a(実空間では
周回するビームの中心軌道である)と、平均の運動量と
は異なる運動量を持つ陽子の安定限界A′の中心a′と
を結んだ線分a−a′の傾きを表している。式1の右辺
は、安定限界A′の出射軌跡Q′の勾配を表している。
従って、式1は、それぞれの陽子の安定限界の中心を結
んだ直線の勾配と出射軌跡の勾配とが同じであり、すべ
ての陽子について出射軌跡の勾配が等しいことを表して
いる。
【0035】また、本実施例では、ベータトロン振動の
共鳴点を5/3に選んでいるので、円形加速器1周の位
相差(チューンの2π倍)は10π/3であり、180
度離れた位置のベータトロン振動の位相差は5π/3で
ある。
共鳴点を5/3に選んでいるので、円形加速器1周の位
相差(チューンの2π倍)は10π/3であり、180
度離れた位置のベータトロン振動の位相差は5π/3で
ある。
【0036】従って、2台の六極電磁石5,6の位置の
位置のベータトロン振動の位相差は5π/3である。
位置のベータトロン振動の位相差は5π/3である。
【0037】六極電磁石5,6は、出射用デフレクター
8とのベータトロン振動の位相差φ5,φ6がそれぞれ式
1を満たし、かつ、ベータトロン振動の位相差が5π/
3である位置に配置されているので、すべての陽子の安
定限界の中心の勾配と、出射軌跡の勾配が同じで、六極
電磁石5,6の励磁量によらず一定に保たれる。
8とのベータトロン振動の位相差φ5,φ6がそれぞれ式
1を満たし、かつ、ベータトロン振動の位相差が5π/
3である位置に配置されているので、すべての陽子の安
定限界の中心の勾配と、出射軌跡の勾配が同じで、六極
電磁石5,6の励磁量によらず一定に保たれる。
【0038】制御装置11は、シーケンス制御部111
および磁場強度制御器112を備える。制御装置11
は、ビームの入射開始から出射終了までの、所定の円形
加速器の運転順序に沿って各機器の制御が行われるよう
に、プログラムされている。
および磁場強度制御器112を備える。制御装置11
は、ビームの入射開始から出射終了までの、所定の円形
加速器の運転順序に沿って各機器の制御が行われるよう
に、プログラムされている。
【0039】制御装置11は、プログラムされた円形加
速器の運転パターンに従って、シーケンス制御部111
に、ビーム取り出し開始の信号、または、ビーム取り出
し終了の信号を磁場強度制御器112へ出力させる。磁
場強度制御器112は、シーケンス制御部111からビ
ーム取り出し開始の信号を受け取ると、六極電磁石用電
源12,13に制御信号A1およびA2を出力する。制御
信号A1,A2は、所定の強さの磁場に六極電磁石5,6
をそれぞれ励磁する制御信号である。また、磁場強度制
御器112は、シーケンス制御部111からビーム取り
出し終了の信号を受け取ると、六極電磁石用電源12,
13に制御信号Bを出力する。制御信号Bは、六極電磁
石5,6の励磁を停止する制御信号である。
速器の運転パターンに従って、シーケンス制御部111
に、ビーム取り出し開始の信号、または、ビーム取り出
し終了の信号を磁場強度制御器112へ出力させる。磁
場強度制御器112は、シーケンス制御部111からビ
ーム取り出し開始の信号を受け取ると、六極電磁石用電
源12,13に制御信号A1およびA2を出力する。制御
信号A1,A2は、所定の強さの磁場に六極電磁石5,6
をそれぞれ励磁する制御信号である。また、磁場強度制
御器112は、シーケンス制御部111からビーム取り
出し終了の信号を受け取ると、六極電磁石用電源12,
13に制御信号Bを出力する。制御信号Bは、六極電磁
石5,6の励磁を停止する制御信号である。
【0040】六極電磁石用電源12,13は、制御信号
A1,A2により、六極電磁石5,6にそれぞれ電流を供
給し、制御信号Bが入力されるまで電流を供給し続け
る。制御信号Bにより、電流の供給を停止し、次の制御
信号A1,A2が入力されるまで、電流を供給しない。
A1,A2により、六極電磁石5,6にそれぞれ電流を供
給し、制御信号Bが入力されるまで電流を供給し続け
る。制御信号Bにより、電流の供給を停止し、次の制御
信号A1,A2が入力されるまで、電流を供給しない。
【0041】次に、本実施例の運転方法を説明する。
【0042】円形加速器を周回するビームのベータトロ
ン振動の水平方向チューンが1.73,垂直方向チューンが
0.85 となるように、偏向電磁石1および四極電磁石
2,3を励磁する。その後、ビーム入射装置9から、エ
ネルギーが10MeVで、エミッタンスが100πmm・
mradの陽子ビームを円形加速器に入射する。入射された
陽子ビームは、偏向電磁石1および四極電磁石2,3に
よって円形に保たれ、加速器の円形の真空ダクト10内
を周回する。
ン振動の水平方向チューンが1.73,垂直方向チューンが
0.85 となるように、偏向電磁石1および四極電磁石
2,3を励磁する。その後、ビーム入射装置9から、エ
ネルギーが10MeVで、エミッタンスが100πmm・
mradの陽子ビームを円形加速器に入射する。入射された
陽子ビームは、偏向電磁石1および四極電磁石2,3に
よって円形に保たれ、加速器の円形の真空ダクト10内
を周回する。
【0043】周回する陽子ビームは、チューンを保った
まま、高周波加速空洞4を通過する毎に高周波電力を印
加されて、加速される。ビーム出射に適するビームエネ
ルギーを200MeVとし、これが目標エネルギーであ
る。目標エネルギーまで加速されたときの、陽子ビーム
のエミッタンスは21πmm・mradであり、これをエミッ
タンスεとする。
まま、高周波加速空洞4を通過する毎に高周波電力を印
加されて、加速される。ビーム出射に適するビームエネ
ルギーを200MeVとし、これが目標エネルギーであ
る。目標エネルギーまで加速されたときの、陽子ビーム
のエミッタンスは21πmm・mradであり、これをエミッ
タンスεとする。
【0044】目標エネルギーまで加速したら、四極電磁
石2,3の励磁量を調整して、陽子ビームのベータトロ
ン振動の水平方向チューンνxを1.67にする。
石2,3の励磁量を調整して、陽子ビームのベータトロ
ン振動の水平方向チューンνxを1.67にする。
【0045】ビームエネルギーが前述の所定値に達する
と、シーケンス制御部111はビーム取り出し開始の信
号を磁場強度制御器112へ出力する。磁場強度制御器
112は六極電磁石用電源12,13に制御信号A1,A2
を出力する。制御信号A1 は、六極電磁石用電源12を
制御し、六極電磁石用電源12から六極電磁石5に供給
する電流を所定値に制御する。制御信号A2 は、六極電
磁石用電源13を制御し、六極電磁石用電源13から六
極電磁石6に供給する電流を所定値に制御する。
と、シーケンス制御部111はビーム取り出し開始の信
号を磁場強度制御器112へ出力する。磁場強度制御器
112は六極電磁石用電源12,13に制御信号A1,A2
を出力する。制御信号A1 は、六極電磁石用電源12を
制御し、六極電磁石用電源12から六極電磁石5に供給
する電流を所定値に制御する。制御信号A2 は、六極電
磁石用電源13を制御し、六極電磁石用電源13から六
極電磁石6に供給する電流を所定値に制御する。
【0046】制御信号A1は、式2および式3を解くこ
とによって得られたK5に対応して定められた大きさを
有する信号である。制御信号A2 は、同様に式2および
式3を解くことによって得られたK6 に対応して定めら
れた大きさを有する信号である。このため、六極電磁石
5に供給される電流値はK5 に対応し、六極電磁石6に
供給される電流値はK6に対応している。
とによって得られたK5に対応して定められた大きさを
有する信号である。制御信号A2 は、同様に式2および
式3を解くことによって得られたK6 に対応して定めら
れた大きさを有する信号である。このため、六極電磁石
5に供給される電流値はK5 に対応し、六極電磁石6に
供給される電流値はK6に対応している。
【0047】K5,K6を求める式2および式3について
以下に詳細に説明する。六極電磁石5が励起した磁場に
ついて、水平方向xの2階微分を磁気剛性率で割った値
をK5 、六極電磁石6が励起した磁場について、水平方
向xの2階微分を磁気剛性率で割った値をK6 とする。
K5,K6によるクロマティシティの補正を示す式は、次
のようになる。
以下に詳細に説明する。六極電磁石5が励起した磁場に
ついて、水平方向xの2階微分を磁気剛性率で割った値
をK5 、六極電磁石6が励起した磁場について、水平方
向xの2階微分を磁気剛性率で割った値をK6 とする。
K5,K6によるクロマティシティの補正を示す式は、次
のようになる。
【0048】
【数5】
【0049】ただし、ξx は六極電磁石を励磁しない場
合の出射時のチューンの運動量依存性(ナチュラルクロ
マティシティ)、βsxは六極電磁石5,6の位置でのベ
ータトロン関数、ηsxは六極電磁石5,6の位置での分
散関数、νx は水平方向チューンであり、これらの値
は、各電磁石の配置および磁場によって決まる値で、予
め計算で求めることができる。Lは六極電磁石5,6の
磁極長である。
合の出射時のチューンの運動量依存性(ナチュラルクロ
マティシティ)、βsxは六極電磁石5,6の位置でのベ
ータトロン関数、ηsxは六極電磁石5,6の位置での分
散関数、νx は水平方向チューンであり、これらの値
は、各電磁石の配置および磁場によって決まる値で、予
め計算で求めることができる。Lは六極電磁石5,6の
磁極長である。
【0050】式2は、六極電磁石5,6が回転対称位置
にあるとき、それぞれの位置におけるベータトロン振動
のパラメータは等しいので、K5およびK6の和によって
ナチュラルクロマティシティが打ち消されることを示
す。
にあるとき、それぞれの位置におけるベータトロン振動
のパラメータは等しいので、K5およびK6の和によって
ナチュラルクロマティシティが打ち消されることを示
す。
【0051】また、K5,K6と安定限界の大きさの関係
を示す式は、次のようになる。
を示す式は、次のようになる。
【0052】
【数6】
【0053】ただし、εは加速終了時のビームのエミッ
タンスであり、δはチューンの共鳴点からのずれで1.
67−5/3=0.00333とする。
タンスであり、δはチューンの共鳴点からのずれで1.
67−5/3=0.00333とする。
【0054】式3は、六極電磁石5,6が回転対称位置
にあるとき、それぞれの位置におけるベータトロン振動
のパラメータは等しいので、安定限界の大きさがK5 お
よびK6 の差によって決まり、エミッタンスεに等しい
ことを示す。
にあるとき、それぞれの位置におけるベータトロン振動
のパラメータは等しいので、安定限界の大きさがK5 お
よびK6 の差によって決まり、エミッタンスεに等しい
ことを示す。
【0055】式2および式3を連立してK5,K6の値を
求める。K5 に対応する電流によって六極電磁石5に励
起される磁場の強さと、K6 に対応する電流によって、
六極電磁石6に励起される磁場の強さは、異なる。
求める。K5 に対応する電流によって六極電磁石5に励
起される磁場の強さと、K6 に対応する電流によって、
六極電磁石6に励起される磁場の強さは、異なる。
【0056】制御信号A1,A2に基づいた制御により、
六極電磁石5,6に互いに異なる強さの磁場が励起され
る。このため、ベータトロン振動振幅の大きな陽子に3
次共鳴が励起され、かつ、クロマティシティが補正され
る。出射用デフレクター位置における安定限界は、クロ
マティシティの補正により、陽子の運動量によらずエミ
ッタンスεと同じ大きさになる。また、六極電磁石5,
6が、ベータトロン振動の位相差が5π/3である位置
に配置されているので、K5,K6によらず安定限界の向
きは一定に保たれる。
六極電磁石5,6に互いに異なる強さの磁場が励起され
る。このため、ベータトロン振動振幅の大きな陽子に3
次共鳴が励起され、かつ、クロマティシティが補正され
る。出射用デフレクター位置における安定限界は、クロ
マティシティの補正により、陽子の運動量によらずエミ
ッタンスεと同じ大きさになる。また、六極電磁石5,
6が、ベータトロン振動の位相差が5π/3である位置
に配置されているので、K5,K6によらず安定限界の向
きは一定に保たれる。
【0057】ところで、出射ビームの径は、陽子が位相
空間における出射用デフレクターの電極30i,30o
を横切る縦軸x′方向の距離dで表される。図3に示す
ように、それぞれの陽子が同じ安定限界を持っていて
も、出射軌跡が異なる場合、この距離dが大きくなり、
出射ビームの径は大きい。
空間における出射用デフレクターの電極30i,30o
を横切る縦軸x′方向の距離dで表される。図3に示す
ように、それぞれの陽子が同じ安定限界を持っていて
も、出射軌跡が異なる場合、この距離dが大きくなり、
出射ビームの径は大きい。
【0058】しかし、本実施例では、すべての陽子につ
いて、中心軌道を結んだ直線の勾配と出射軌跡の勾配と
が同じで、かつ、安定限界の大きさが同じあるから、図
2(b)に示されるように、すべての陽子について位相
空間における出射軌跡が重なり、出射軌跡の範囲dが小
さくなるので、出射ビームの径は小さい。
いて、中心軌道を結んだ直線の勾配と出射軌跡の勾配と
が同じで、かつ、安定限界の大きさが同じあるから、図
2(b)に示されるように、すべての陽子について位相
空間における出射軌跡が重なり、出射軌跡の範囲dが小
さくなるので、出射ビームの径は小さい。
【0059】次に、六極電磁石5,6の励磁とともに、
高周波電場印加用電極7によって陽子のベータトロン振
動の周期に同期する高周波電場を水平方向に印加する。
陽子は高周波電場からエネルギーを受け取り徐々に振幅
が増大する。
高周波電場印加用電極7によって陽子のベータトロン振
動の周期に同期する高周波電場を水平方向に印加する。
陽子は高周波電場からエネルギーを受け取り徐々に振幅
が増大する。
【0060】安定限界を越えた陽子は、共鳴を起こして
急激にベータトロン振動振幅を増加する。
急激にベータトロン振動振幅を増加する。
【0061】出射用デフレクター8の電極間に入った陽
子はビームとして円形加速器の外へ取り出される。この
とき、どの陽子も、異なる運動量を持っているが、同じ
大きさの安定限界を持つから、安定限界を形成した時点
で失われる陽子や、出射終了時までに安定限界に達しな
い陽子がほとんどないので、出射効率がよい。また、安
定限界はビームの出射開始から終了まで一定であるか
ら、全ての陽子について、同じ条件下で出射されるの
で、出射ビームの質が安定である。
子はビームとして円形加速器の外へ取り出される。この
とき、どの陽子も、異なる運動量を持っているが、同じ
大きさの安定限界を持つから、安定限界を形成した時点
で失われる陽子や、出射終了時までに安定限界に達しな
い陽子がほとんどないので、出射効率がよい。また、安
定限界はビームの出射開始から終了まで一定であるか
ら、全ての陽子について、同じ条件下で出射されるの
で、出射ビームの質が安定である。
【0062】さらに、すべての陽子について位相空間に
おける出射軌跡が重なるので、径の小さい出射ビームが
得られる。
おける出射軌跡が重なるので、径の小さい出射ビームが
得られる。
【0063】真空ダクト10内を周回する陽子ビームが
所定の時間出射されると、シーケンス制御部111はビ
ーム取り出し終了の信号を磁場強度制御器112に出力
する。磁場強度制御器112は六極電磁石用電源12,
13に制御信号Bを出力する。六極電磁石用電源12,
13は電流の供給を止め、陽子ビームの出射を終了す
る。
所定の時間出射されると、シーケンス制御部111はビ
ーム取り出し終了の信号を磁場強度制御器112に出力
する。磁場強度制御器112は六極電磁石用電源12,
13に制御信号Bを出力する。六極電磁石用電源12,
13は電流の供給を止め、陽子ビームの出射を終了す
る。
【0064】本実施例によれば、ベータトロン振動の位
相差が5π/3である位置に配置されている六極電磁石
5,6が、制御装置11の制御によって、異なる強さの
磁場を励起することにより、全ての荷電粒子が、前記磁
場によらず向きが一定で、運動量によらず大きさが同じ
安定限界を持つようになるので、出射効率が良くビーム
を安定に得られる。さらに、すべての陽子について位相
空間における出射軌跡が重なるので、径の小さい出射ビ
ームが得られる。
相差が5π/3である位置に配置されている六極電磁石
5,6が、制御装置11の制御によって、異なる強さの
磁場を励起することにより、全ての荷電粒子が、前記磁
場によらず向きが一定で、運動量によらず大きさが同じ
安定限界を持つようになるので、出射効率が良くビーム
を安定に得られる。さらに、すべての陽子について位相
空間における出射軌跡が重なるので、径の小さい出射ビ
ームが得られる。
【0065】また、六極電磁石5,6が回転対称である
位置に配置されているので、クロマティシティの補正は
六極電磁石5,6が励起する磁場の強さの和に依存し、
安定限界の大きさは六極電磁石5,6が励起する磁場の
強さの差に依存する。従って、クロマティシティの補正
および安定限界の大きさについては、六極電磁石5,6
が励起する磁場の強さのみを制御すればよいので、制御
が容易である。
位置に配置されているので、クロマティシティの補正は
六極電磁石5,6が励起する磁場の強さの和に依存し、
安定限界の大きさは六極電磁石5,6が励起する磁場の
強さの差に依存する。従って、クロマティシティの補正
および安定限界の大きさについては、六極電磁石5,6
が励起する磁場の強さのみを制御すればよいので、制御
が容易である。
【0066】また、制御装置が六極電磁石5,6が励起
する磁場の強さをそれぞれ異なる値に制御するので、共
鳴励起、及びクロマティシティの補正を2台の六極電磁
石で行うことができる。従って、六極電磁石の数を減少
できるので、円形加速器を小型化できる。
する磁場の強さをそれぞれ異なる値に制御するので、共
鳴励起、及びクロマティシティの補正を2台の六極電磁
石で行うことができる。従って、六極電磁石の数を減少
できるので、円形加速器を小型化できる。
【0067】また、四極電磁石2,3の励磁量を調整し
て、陽子ビームのベータトロン振動の水平方向チューン
νxを1.67にすることと、六極電磁石5,6を励磁す
ることは、同時に行ってもよい。
て、陽子ビームのベータトロン振動の水平方向チューン
νxを1.67にすることと、六極電磁石5,6を励磁す
ることは、同時に行ってもよい。
【0068】また、主要電磁石である偏向電磁石と四極
電磁石との繰り返して配置されている円形加速器におい
て、繰り返しの単位が左右対称な配置構造であるとき、
その円形加速器は鏡映対称性を持つといい、鏡映対称で
ある位置においては、回転対称である位置と同様に、ベ
ータトロン振動のパラメータは同じである。このとき、
本実施例の「180度の回転対称」に替えて、「鏡映対
称」の位置に2台の六極電磁石を配置してもよい。
電磁石との繰り返して配置されている円形加速器におい
て、繰り返しの単位が左右対称な配置構造であるとき、
その円形加速器は鏡映対称性を持つといい、鏡映対称で
ある位置においては、回転対称である位置と同様に、ベ
ータトロン振動のパラメータは同じである。このとき、
本実施例の「180度の回転対称」に替えて、「鏡映対
称」の位置に2台の六極電磁石を配置してもよい。
【0069】
【発明の効果】本発明の請求項1の円形加速器によれ
ば、ベータトロン振動の位相差がnπ/3(nは奇数)
で、かつ、出射用デフレクターとのベータトロン振動の
位相差φが、設計軌道に沿ったビーム進行方向の座標を
sとし、出射用デフレクター位置でのベータトロン関数
をβ,分散関数をη,分散関数の微分をη′としたと
き、
ば、ベータトロン振動の位相差がnπ/3(nは奇数)
で、かつ、出射用デフレクターとのベータトロン振動の
位相差φが、設計軌道に沿ったビーム進行方向の座標を
sとし、出射用デフレクター位置でのベータトロン関数
をβ,分散関数をη,分散関数の微分をη′としたと
き、
【0070】
【数7】
【0071】(ただし、θ=(4m±1)π/6、mは
(φ−π/2)<θ<(φ+π/2)を満たす整数)を
満たす位置に配置されている2台の六極電磁石が、制御
装置によって異なる値に制御される強さの磁場を励起
し、全ての荷電粒子が、前記磁場によらず向きが一定
で、運動量によらず大きさが同じ安定限界を持つように
なり、出射するすべての荷電粒子の軌道が重なるので、
出射効率が良く径の小さいビームを安定に得られ、ま
た、共鳴励起、及びクロマティシティの補正を2台の六
極電磁石により行い、六極電磁石の数を減少できるの
で、円形加速器を小型化できる。
(φ−π/2)<θ<(φ+π/2)を満たす整数)を
満たす位置に配置されている2台の六極電磁石が、制御
装置によって異なる値に制御される強さの磁場を励起
し、全ての荷電粒子が、前記磁場によらず向きが一定
で、運動量によらず大きさが同じ安定限界を持つように
なり、出射するすべての荷電粒子の軌道が重なるので、
出射効率が良く径の小さいビームを安定に得られ、ま
た、共鳴励起、及びクロマティシティの補正を2台の六
極電磁石により行い、六極電磁石の数を減少できるの
で、円形加速器を小型化できる。
【0072】本発明の請求項2の円形加速器によれば、
2台の六極電磁石は請求項1の配置で、かつ、回転対称
である位置に配置されているので、請求項1の円形加速
器と同様の作用により、請求項1の円形加速器と同様の
効果を得るとともに、回転対称位置におけるビームのベ
ータトロン振動のパラメータは同じで、クロマティシテ
ィは2台の六極電磁石が励起する磁場の強さの和に依存
し、安定限界の大きさは2台の六極電磁石が励起する磁
場の強さの差に依存するので、クロマティシティの補正
および安定限界の大きさについては、六極電磁石5,6
が励起する磁場の強さのみを制御すればよく、制御が容
易である。
2台の六極電磁石は請求項1の配置で、かつ、回転対称
である位置に配置されているので、請求項1の円形加速
器と同様の作用により、請求項1の円形加速器と同様の
効果を得るとともに、回転対称位置におけるビームのベ
ータトロン振動のパラメータは同じで、クロマティシテ
ィは2台の六極電磁石が励起する磁場の強さの和に依存
し、安定限界の大きさは2台の六極電磁石が励起する磁
場の強さの差に依存するので、クロマティシティの補正
および安定限界の大きさについては、六極電磁石5,6
が励起する磁場の強さのみを制御すればよく、制御が容
易である。
【0073】本発明の請求項3の円形加速器によれば、
2台の六極電磁石は請求項1の配置で、かつ、鏡映対称
である位置に配置されているので、請求項2の円形加速
器と同様の作用により、請求項2の円形加速器と同様の
効果を得る。
2台の六極電磁石は請求項1の配置で、かつ、鏡映対称
である位置に配置されているので、請求項2の円形加速
器と同様の作用により、請求項2の円形加速器と同様の
効果を得る。
【0074】請求項4のビームの出射方法によれば、ベ
ータトロン振動をn次共鳴状態にして荷電粒子を出射す
る際に、出射用デフレクター位置の位相空間における前
記ビーム中の第1の荷電粒子の安定限界の中心と、前記
第1の荷電粒子の運動量と異なる運動量を持つ第2の荷
電粒子の安定限界の中心とを結んだ直線の傾きが、前記
第2の荷電粒子がn周回ごとに前記位相空間に描く軌跡
の傾きと等しいので、出射する前記ビームの径が小さく
なる。
ータトロン振動をn次共鳴状態にして荷電粒子を出射す
る際に、出射用デフレクター位置の位相空間における前
記ビーム中の第1の荷電粒子の安定限界の中心と、前記
第1の荷電粒子の運動量と異なる運動量を持つ第2の荷
電粒子の安定限界の中心とを結んだ直線の傾きが、前記
第2の荷電粒子がn周回ごとに前記位相空間に描く軌跡
の傾きと等しいので、出射する前記ビームの径が小さく
なる。
【図1】本発明の第1の実施例の円形加速器を示す図。
【図2】位相空間における安定限界と出射軌跡を示す
図。
図。
【図3】位相空間における安定限界と出射軌跡を示す
図。
図。
1…偏向電磁石、2…収束用四極電磁石、3…発散用四
極電磁石、4…高周波加速空胴、5,6…六極電磁石、
7…高周波電場印加用電極、8…出射用デフレクター、
9…入射装置、10…真空ダクト、11…制御装置、1
2,13…六極電磁石用電源、111…シーケンス制御
部、112…磁場強度制御器。
極電磁石、4…高周波加速空胴、5,6…六極電磁石、
7…高周波電場印加用電極、8…出射用デフレクター、
9…入射装置、10…真空ダクト、11…制御装置、1
2,13…六極電磁石用電源、111…シーケンス制御
部、112…磁場強度制御器。
Claims (4)
- 【請求項1】ベータトロン振動の位相差がnπ/3(n
は奇数)で、かつ、出射用デフレクターとのベータトロ
ン振動の位相差φが、設計軌道に沿ったビーム進行方向
の座標をsとし、出射用デフレクター位置でのベータト
ロン関数をβ,分散関数をη,分散関数の微分をη′と
したとき、 【数1】 (ただし、θ=(4m±1)π/6、mは(φ−π/
2)<θ<(φ+π/2)を満たす整数)を満たす位置
に配置され、電流が供給されることにより磁場を励起す
る2台の6極電磁石と、前記2台の6極電磁石が励起す
る前記磁場の強さを異なる値に制御する制御装置とを備
えることを特徴とする円形加速器。 - 【請求項2】前記2台の六極電磁石が配置される位置
は、回転対称である請求項1の円形加速器。 - 【請求項3】前記回転対称に替えて鏡映対称である請求
項2の円形加速器。 - 【請求項4】円形加速器を周回するビームのチューンを
整数±m/n(m/nは既約分数)に近付け、ベータト
ロン振動をn次共鳴状態にして、前記ビームを出射する
ビームの出射方法において、 出射用デフレクター位置の位相空間における、前記ビー
ム中の第1の荷電粒子の中心軌道と、前記第1の荷電粒
子の運動量と異なる運動量を持つ第2の荷電粒子の中心
軌道とを結んだ直線の傾きが、前記第2の荷電粒子がn
周回ごとに前記位相空間に描く軌跡の傾きと等しいこと
を特徴とするビームの出射方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27528795A JPH09115699A (ja) | 1995-10-24 | 1995-10-24 | 円形加速器およびビームの出射方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27528795A JPH09115699A (ja) | 1995-10-24 | 1995-10-24 | 円形加速器およびビームの出射方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09115699A true JPH09115699A (ja) | 1997-05-02 |
Family
ID=17553332
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27528795A Pending JPH09115699A (ja) | 1995-10-24 | 1995-10-24 | 円形加速器およびビームの出射方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09115699A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0994638A1 (en) * | 1998-10-16 | 2000-04-19 | Hitachi, Ltd. | Charged-particle beam ejection method and apparatus using the method |
KR100702478B1 (ko) * | 2006-02-14 | 2007-04-03 | 한국원자력연구소 | 스코트 변압기를 이용한 이온빔 원형 조사 장치 및 그 방법 |
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1995
- 1995-10-24 JP JP27528795A patent/JPH09115699A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0994638A1 (en) * | 1998-10-16 | 2000-04-19 | Hitachi, Ltd. | Charged-particle beam ejection method and apparatus using the method |
KR100702478B1 (ko) * | 2006-02-14 | 2007-04-03 | 한국원자력연구소 | 스코트 변압기를 이용한 이온빔 원형 조사 장치 및 그 방법 |
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