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JPH0876412A - 二成分系現像剤用トナー - Google Patents

二成分系現像剤用トナー

Info

Publication number
JPH0876412A
JPH0876412A JP6207411A JP20741194A JPH0876412A JP H0876412 A JPH0876412 A JP H0876412A JP 6207411 A JP6207411 A JP 6207411A JP 20741194 A JP20741194 A JP 20741194A JP H0876412 A JPH0876412 A JP H0876412A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
resin
weight
particles
magnetic powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6207411A
Other languages
English (en)
Inventor
Masatomi Funato
正富 船戸
Yoshitake Shimizu
義威 清水
Seijirou Ishimaru
聖次郎 石丸
Norio Kubo
憲生 久保
Kazuya Nagao
一也 永尾
Terumichi Asano
照道 浅野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Mita Industrial Co Ltd
Original Assignee
Mita Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mita Industrial Co Ltd filed Critical Mita Industrial Co Ltd
Priority to JP6207411A priority Critical patent/JPH0876412A/ja
Priority to US08/364,769 priority patent/US5580691A/en
Priority to DE69513477T priority patent/DE69513477T2/de
Priority to EP95305608A priority patent/EP0703504B1/en
Priority to KR1019950027433A priority patent/KR960008441A/ko
Priority to CN95115385A priority patent/CN1126846A/zh
Publication of JPH0876412A publication Critical patent/JPH0876412A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 定着用樹脂、および該樹脂中に分散された磁
性粉末を含有するトナー粒子を含む二成分系現像剤用ト
ナー。磁性粉末は、定着用樹脂100重量部に対して
0.1から5重量部の割合で該トナー粒子中に含有され
る。トナー粒子中の定着用樹脂は、アニオン性極性基を
有するスチレンアクリル系樹脂を含む組成物でなり、そ
して樹脂は以下の条件を満たす。(a)樹脂の分子量の
ピークは4,000〜30,000であり、(b)樹脂
の重量平均分子量は7万〜20万であり、(c)樹脂の
酸価は4〜20である。 【効果】 複写時におけるスペントの主な発生原因とな
る帯電制御剤を全く含有しないトナーが提供される。こ
のようなトナーは帯電性が充分であり、複写時にトナー
が飛散することがなく、転写効率が充分であり、必要と
される濃度の複写画像が長時間にわたり安定して得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は二成分系現像剤用トナー
に関し、より詳細には、帯電制御剤を含有しないにもか
かわらず、転写効率が良く、長時間にわたり所望の濃度
の複写画像が得られる長寿命のトナーであり、静電式複
写機、レーザービームプリンタなどの電子写真式画像形
成装置において好適に用いられる、二成分系現像剤用ト
ナーに関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真式画像形成装置において、感光
体上の静電潜像を現像するための現像剤のひとつとし
て、二成分系の現像剤が用いられている。この二成分系
現像剤は、カーボンブラックなどの着色剤および定着用
樹脂を含むトナーと、鉄粉、フェライト粒子などを含む
磁性キャリアとを含有する。
【0003】現像時においては、このトナーとキャリア
とを混合することによりトナーを所定の極性に帯電さ
せ、次いでこの混合物は磁気ブラシの形で感光体に搬送
される。感光体はこの磁気ブラシにより摺擦され、感光
体表面の静電潜像にトナーが付着する。付着するトナー
量を一定にし、安定した画像を提供するためトナーに所
定の帯電量を与えるべく、トナー粒子中には帯電制御剤
が含有されるのが一般的である。負帯電性のトナーに
は、クロムのような金属を含有する含金属錯体染料(例
えばアゾ系染料)、オキシカルボン酸金属錯体(例えば
サリチル酸金属錯体)などの負電荷制御剤が使用され
(特開平3−67268号公報)、そして正帯電性のト
ナーにはニグロシンのような油溶性染料、アミン系制御
剤などの正電荷制御剤が使用されている(特開昭56−
106249号公報)。
【0004】従来より使用されている帯電制御剤は、ク
ロム含有錯体のように重金属を含有する化合物が多い。
そしてこれらの使用に際しては、環境安全性の観点から
各種毒性テストや安全テストをクリアした化合物が選択
されている。しかし、化合物として、あるいはトナー中
に含有させた形態での安全性には問題がないにしても、
これら重金属を含有する帯電制御剤の使用をさけること
は一層望ましいと考えられる。さらに、帯電制御剤はト
ナーを構成する材料である定着用樹脂やカーボンブラッ
クなどの着色剤に比べて単価が高いため、数%程度の含
有率にもかかわらず、トナーの単価を押し上げている。
従って、このような重金属を含有する帯電制御剤を含有
しないトナーの開発が望まれている。
【0005】さらに、従来のトナーにおいては、長時間
の使用によりキャリアの粒子表面にトナー成分が付着す
るスペントを生じ、そのためにキャリアの粒子表面の帯
電状態がトナー粒子表面の帯電状態に類似してくる。そ
の結果、トナー飛散の発生や転写効率の低下が引き起こ
されるという欠点も存在する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
課題を解決するものであり、その目的とするところは、
帯電制御剤を全く含有していないにもかかわらずトナー
が良好な帯電性能を有するため、トナーの飛散が少なく
かつ画像品質に優れた二成分系現像剤用トナーを提供す
ることにある。
【0007】本発明の他の目的は、長期間の使用におい
てもスペントを起こさず、その結果、良好な画像品質を
維持し、転写効率が安定し得る二成分系現像剤用トナー
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の二成分系現像剤
用トナーは、定着用樹脂および該樹脂中に分散された磁
性粉末を含有するトナー粒子を含み、該定着用樹脂は、
アニオン性極性基を有するスチレンアクリル系樹脂を含
む組成物でなり、該スチレンアクリル系樹脂は以下の条
件を満たし、(a)該樹脂の分子量のピークは4,00
0〜30,000に存在し、(b)該樹脂の重量平均分
子量は7万〜20万であり、(c)該樹脂の酸価は4〜
20であり、そして、該磁性粉末は、該定着用樹脂10
0重量部に対して0.1から5重量部の割合で該トナー
粒子中に含有され、そのことにより上記目的が達成され
る。
【0009】好適な実施態様においては、上記トナーを
メタノールで抽出したときの抽出液は280から350
nmの領域に実質的に吸収ピークを有さず、かつ400
から700nmの領域における吸光度は実質的にゼロで
ある。
【0010】好適な実施態様においては、上記磁性粉末
は、上記定着用樹脂100重量部に対して0.5から3
重量部の割合で含有される。
【0011】好適な実施態様においては、上記トナー粒
子の体積基準平均粒径は5から15μmであり、該トナ
ー粒子表面には体積基準平均粒径が0.05から1.0
μmのスペーサー粒子が付着している。
【0012】好適な実施態様においては、上記スペーサ
ー粒子は磁性粉末の粒子である。
【0013】
【作用】本発明の二成分系現像剤用トナーは、アゾ系染
料、オキシカルボン酸金属錯体などの帯電制御剤をいっ
さい含有しない。従って、後述のように帯電制御剤に起
因するスペントが発生しないため長期間にわたり高画像
品質の複写が行われ得る。このトナーは帯電制御剤をい
っさい含有しないため、該トナーからはあらゆる化学的
あるいは物理的手段によってもこのような帯電制御剤、
つまり染料系の化合物は全く検出されない。例えば本発
明のトナーからは、これらの化合物は化学反応により検
出されない。あるいは、本発明のトナーの有機溶媒抽出
液からは、これらの化合物に起因する吸収ピークが全く
検出されない。例えば本発明のトナーを有機溶媒、例え
ばメタノールで抽出すると、該抽出液は、280〜35
0nmの領域に実質的に吸収ピークを有さず、かつ40
0〜700nmの領域における吸光度が実質的にゼロで
ある。ここで実質的に吸収ピークを有さずとは、トナー
0.1gをメタノール50mlで抽出した抽出液につい
て、吸収ピークが全く検出されないか、検出されたとし
てもそのピーク位置における吸光度が0.05以下であ
ることをいう。同様に、吸光度が実質的にゼロであると
は、トナー0.1gをメタノール50mlで抽出した抽
出液の吸光度が0.05以下であることをいう。
【0014】本発明の二成分系現像剤用トナーにおいて
は、上記帯電制御剤が含有されないことに起因する帯電
量の不安定性を次の事柄により補っている。まずその第
1にはトナー粒子中の定着用樹脂にアニオン性極性基を
有するスチレンアクリル系樹脂を用いることであり、第
2には、トナー粒子中に磁性粉末を所定の割合で含有さ
せることである。定着用樹脂が、アニオン性極性基を有
するスチレンアクリル系樹脂を含む組成物でなり、かつ
樹脂の重量平均分子量、その分子量のピークおよび酸価
を特定することにより、耐スペント性、定着性およびト
ナー製造時の粉砕性のバランスをとることで、これらの
物性をともに向上することができる。
【0015】さらに必要に応じて、トナー粒子の表面に
所定の粒径のスペーサー粒子を付着させることにより、
感光体から転写紙上への転写効率が高められる。
【0016】上記について、以下に詳細に説明する。
【0017】本発明のトナーのメタノール抽出液の20
0〜700nmにおける吸光度曲線を図1に示す。この
曲線に示されるように、この抽出液は各帯電制御剤に起
因するピークを全く有していない。つまり280〜35
0nmの領域に実質的に吸収ピークを有さず、かつ40
0〜700nmの領域における吸光度が実質的にゼロで
ある。これに対してアゾ系クロム錯塩染料を帯電制御剤
として含有するトナーのメタノール抽出液の吸光度曲線
は400〜700nm、特に550〜570nmの範囲
の領域にピークを有し(図2)、そして、サリチル酸金
属錯体を帯電制御剤として含有するトナーのメタノール
抽出液の吸光度曲線は280〜350nmの範囲の領域
にピークを有する(図3)。
【0018】上記帯電制御剤を含有するトナーのメタノ
ール抽出液に、帯電制御剤に起因する吸収が認められる
ということは、トナー粒子表面に帯電制御剤がかなりの
高濃度で存在しているためである。
【0019】スペントの発生によりキャリアの帯電性が
不充分となった現像剤のキャリアをメタノール抽出し、
その400〜700nmにおける吸光度を調べると、そ
の領域において、帯電制御剤に起因するピークが認めら
れる。例えば、図2に、その吸光度曲線が示される、ア
ゾ系クロム錯塩染料を含有するトナーを長時間使用し、
スペントが発生したときの、そのキャリアのメタノール
抽出液の吸光度曲線を図4に示す。図4においては、図
2における帯電制御剤と同様の位置にピークが認められ
る。従来においては、スペントは、トナーの定着用樹脂
がキャリアの粒子表面に付着して樹脂膜を形成するため
に生じると考えられていたが、上記事実により、スペン
ト発生の主な原因のひとつは帯電制御剤のトナー粒子か
らのキャリアの粒子表面への移行にあるということがわ
かった。
【0020】発明者らは、さらに帯電制御剤とスペント
との関係を調べるために、次の実験を行った。まず帯電
制御剤としてアゾ系クロム錯塩染料を1.5重量%の割
合で含有するトナー粒子を有するトナーと、キャリアと
を混合し、現像剤とした。この現像剤のトナーとキャリ
アとの混合・攪拌操作を続けたときの経過時間とスペン
トによりキャリアの粒子表面に付着した付着物の重量と
の関係を図5に示す。付着物の重量は、付着物を有する
キャリアの総重量に対する百分率で、スペント率として
図5に示す。さらに、経過時間とトナーの帯電量との関
係を図6に示す。さらに上記帯電制御剤を含有しないト
ナー粒子を有するトナーとキャリアとを含む現像剤につ
いても、同様の測定を行った。その結果もあわせて図5
および6に示す。図5および6において、黒丸のプロッ
トは帯電制御剤を含有するトナーの測定値、白丸のプロ
ットは帯電制御剤を有していないトナーの測定値を示
す。図5および6から帯電制御剤を含有するトナーは帯
電制御剤を含有しないトナーに比べて、スペントにより
キャリアの粒子表面に付着物が多く形成され、帯電量の
低下の度合も大きいことがわかる。
【0021】スペントによりキャリアの粒子表面に付着
したトナー成分の重量を経時的に測定し、これを横軸に
(スペント量として示す)、そしてそのトナー成分中に
おける帯電制御剤の量を縦軸にとったグラフを図7に示
す。点線は、スペントにより付着したトナー成分が、ト
ナー粒子を形成する成分と同一であると仮定した場合に
おける帯電制御剤の量を示す。図7から、現像剤使用の
初期において帯電制御剤が大量に析出し、キャリアの粒
子表面に付着することがわかる。図7において、スペン
ト量の増大に伴って、測定値が点線で示される計算値に
近づくのは、これがトナーの補給のない閉鎖系での実験
結果であるためであり、複写機内でのトナーの入れ換え
がある場合には、両者の差は、さらに広がると考えられ
る。
【0022】さらに発明者らは、トナー粒子を構成して
いる成分とスペントとの関係を調べるため、帯電制御
剤、定着用樹脂、着色剤であるカーボンブラック、およ
びワックスと、キャリアとを各々混合・攪拌したときの
時間経過により生じたキャリアの粒子表面の付着物の重
量を測定した。その結果を図8に示す。図8において、
白丸は帯電制御剤、黒丸はカーボンブラック、四角は定
着用樹脂、そして三角はワックスを用いて試験を行った
ときの結果を示す。図8から帯電制御剤が最もスペント
によるキャリアの粒子表面への付着を起こしやすいこと
がわかる。
【0023】以上の事実から従来の二成分系磁性現像剤
のスペントによる帯電不良は次のように説明される。ま
ず、図9の上部に示すように現像剤の使用初期において
は、キャリアの粒子1がプラスに、そしてトナー2がマ
イナスに帯電しており、トナーは、負極性トナー21と
して存在している。この現像剤を使用しているとトナー
粒子中の帯電制御剤を主成分とするトナー成分が、キャ
リアの粒子1の表面に付着する。このスペントにより形
成された付着物201はマイナスに帯電するためこの付
着物201に対してプラスの電荷を有するトナー、つま
り逆極性トナー22が形成される。この逆極性トナー2
2がキャリアの粒子1表面に形成されるためトナー飛散
が発生したり、転写効率が低下する。
【0024】このように帯電制御剤は、上記のように、
重金属を含有する場合もあるため含有されないことが好
ましく、さらに上記のようにスペントの主な原因とな
り、トナー飛散の発生、転写効率の低下などを引き起こ
すため、本発明のトナーにおいては、この帯電制御剤を
全く含有しない。
【0025】この帯電制御剤を含有しないことに伴う帯
電量の不安定性、主として帯電量の不足は、上記のよう
に、第1にはアニオン性極性基を有するスチレンアクリ
ル系樹脂をトナーに用いることにより補われる。アニオ
ン性極性基により定着用樹脂自体に負電荷が付与される
ためトナー粒子の帯電量の不足が補われる。この極性基
は樹脂自体の骨格に結合して存在するため、帯電制御剤
のようにキャリアの粒子表面に移行し、スペントの原因
となることはない。しかし逆に、トナー粒子の表面付近
の帯電性は、それ程大きくないので、現像時の磁気ブラ
シにおけるトナー粒子とキャリアの粒子とのクーロン力
による結合は不充分である。従って、高速複写が行われ
るとキャリアの粒子との結合性が弱いため、トナーの飛
散が充分に抑制されない。トナーの飛散により複写機内
が汚染され、複写物の画像にいわゆるカブリを生じると
いう欠点がある。
【0026】本発明においては、上記のように第2の要
件として、トナー粒子中に磁性粉末を所定の割合で、つ
まり定着用樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部
の割合で含有させることを採用しており、このことによ
りトナー粒子の帯電量の不足を補っている。トナー粒子
中に磁性粉末が含有されるため、トナー粒子とキャリア
の粒子との間に磁気的な吸引力が生じる。このようにト
ナー粒子とキャリアの粒子との間のクーロン力に加えて
磁気的な吸引力が生じるため、トナーの飛散が防止され
る。一般にトナー粒子1個あたりの帯電量が少ない程、
所定の静電潜像に付着するトナー粒子の数が増加するの
で、みかけの現像感度が増大する。
【0027】上記磁性粉末のトナー粒子中の含有量は、
前述のように定着用樹脂あたり0.1〜5重量部であ
る。磁性粉末の含有量が0.1重量部を下まわると上記
のようにトナーの帯電量が不充分であるため、キャリア
の粒子と充分に結合せず、そのためトナーが飛散しやす
い。つまり複写物の画像に、いわゆるカブリを生じると
いう欠点がある。磁性粉末の含有量が5重量部を上まわ
るとキャリアの粒子とトナー粒子との結合力が大きくな
りすぎ、そのため静電潜像に充分にトナーが付着せず、
その結果、画像濃度が低くなる。
【0028】これまでに画像の解像度の向上などを目的
としてトナー粒子中に磁性粉末を含有させる(内添す
る)試みがなされている。例えば特開昭56−1062
49号公報には、10重量%のフェライトを含有するト
ナー粒子が開示され、特開昭59−162563号公報
には、5〜35重量%の磁性微粉末を含有するトナー粒
子が開示されている。しかし、いずれの場合においても
磁性粉末の量が過剰であるため、得られる複写物の画像
濃度が低くなる。特開平3−67268号公報には磁性
粉末を0.05〜2重量%の割合で外添したトナーが開
示されている。しかし、磁性粉末は、トナー粒子中に内
添されていないのでトナー粒子表面に不均一に付着しや
すく、トナー粒子とキャリアの粒子との間の磁気的吸引
力が不足する。上記いずれの従来技術においてもトナー
中に帯電制御剤が含有されているためスペントが生じる
などの問題を生じ得る。
【0029】さらに、本発明においては、定着用樹脂が
アニオン性極性基を有するスチレンアクリル系樹脂を含
む組成物でなり、かつ該スチレンアクリル系樹脂の分子
量のピークが4,000〜30,000であることによ
り、耐久性および粉砕性を向上することができる。ま
た、樹脂の重量平均分子量が7万〜20万であることに
より、トナーの粉砕性を満足させることができる。さら
に、該樹脂の酸価が4〜20であることにより、トナー
の帯電性をさらに向上することができる。このように、
耐スペント性、定着性、およびトナー製造時の粉砕性の
バランスをとることで、これらの物性をともに向上する
ことができる。
【0030】本発明においては、さらにトナー像の転写
効率を高めるため、好ましくはトナー粒子表面に、粒径
が0.05〜1.0μmのスペーサー粒子を付着させ
る。このスペーサー粒子は、トナー粒子の流動性改良剤
として作用し得るとともに感光体の静電潜像に付着した
ときに感光体とトナー粒子との間に間隙を形成する。そ
のため長時間の複写によりトナーの帯電量が高くなった
としてもトナーが感光体表面から容易に転写され得るた
め転写効率が高くなる。このスペーサー粒子がトナー粒
子に内添されるのと同様の磁性粉末の粒子である場合に
は、トナー粒子とキャリアの粒子との結合能力がより高
くなり、トナー飛散やカブリをより低減できる。
【0031】従来のトナーの流動性改良剤として粒径
0.015μm程度の微粒子が外添剤として用いられて
いるが、この様な粒子は感光体とトナー粒子との間に充
分な間隙を形成しないため上記の目的のスペーサー粒子
としては機能しない。
【0032】
【発明の好適態様】以下に、本発明の好適態様について
記載する。以下、本明細書において「低級アルキル基」
とは、炭素数1〜5のアルキル基をさしていう。
【0033】(定着用樹脂)本発明の二成分系現像剤用
トナー粒子に含まれる定着用樹脂に用いられるスチレン
アクリル系樹脂は、モノビニル芳香族系単量体とアクリ
ル系単量体とを含む単量体を共重合することにより得ら
れる。例えば、スチレンなどのモノビニル芳香族系単量
体とアニオン性極性基を有するアクリル系単量体とのラ
ンダム共重合体、ブロック共重合体あるいはグラフト共
重合体であり得る。モノビニル芳香族系単量体およびア
クリル系単量体のうち少なくともいずれか一方がアニオ
ン性極性基を有していればよい。
【0034】アニオン性極性基を有するアクリル系単量
体およびモノビニル芳香族系単量体のアニオン性極性基
としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基
などが挙げられ、カルボン酸基が特に好適である。
【0035】モノビニル芳香族系単量体は、後記の一般
式(II)で示されるものであり、例えば、スルホン酸基
を有するモノビニル芳香族系単量体としては、スチレン
スルホン酸などが挙げられる。カルボン酸基を有するア
クリル系単量体としては、エチレン性不飽和カルボン酸
が好ましく用いられ、それには、アクリル酸、メタクリ
ル酸などがある。これらのアニオン性極性基含有単量体
は、遊離の酸であっても、ナトリウム、カリウムなどの
アルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカ
リ土類金属、亜鉛などの塩であってもよい。
【0036】得られる樹脂がトナーに要求される定着性
と帯電性等の特性を有するようにするために、必要に応
じて他のエチレン性不飽和結合を有する単量体の1種ま
たは2種以上の組み合わせが使用される。
【0037】このような単量体としては、アクリルエス
テル系単量体、モノビニル芳香族系単量体、ビニルエス
テル系単量体、ビニルエーテル系単量体、ジオレフィン
系単量体、モノオレフィン系単量体などがある。
【0038】アクリルエステル系単量体は、次の一般式
(I)で示される:
【0039】
【化1】
【0040】ここで、R1は水素原子または低級アルキ
ル基、R2は炭素数11以下の炭化水素基または炭素数
11以下のヒドロキシアルキル基である。
【0041】このような単量体としては、アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、
アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−
ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−ヒドロキシアクリル
酸プロピル、δ−ヒドロキシアクリル酸ブチル、β−ヒ
ドロキシメタクリル酸エチルなどがある。
【0042】モノビニル芳香族系単量体は、次の一般式
(II)で示される:
【0043】
【化2】
【0044】ここで、R3は水素原子、低級アルキル基
またはハロゲン原子であり、R4は水素原子、低級アル
キル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、ニト
ロ基などであり、Φはフェニレン基である。
【0045】このような単量体としては、スチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレ
ン、o−、m−、またはp−クロロスチレン、p−エチ
ルスチレンなどがある。
【0046】ビニルエステル系単量体は、次の一般式
(III)で示される:
【0047】
【化3】
【0048】ここで、R5は水素原子または低級アルキ
ル基である。
【0049】このような単量体としては、ギ酸ビニル、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどがある。
【0050】ビニルエーテル系単量体は、次の一般式
(IV)で示される:
【0051】
【化4】
【0052】ここで、R6は炭素数11以下の1価の炭
化水素基である。
【0053】このような単量体としては、ビニルメチル
エーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル−n−ブチル
エーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキ
シルエーテルなどがある。
【0054】ジオレフィン系単量体は、次の一般式
(V)で示される:
【0055】
【化5】
【0056】ここで、R7、R8、およびR9は各々独立
して水素原子、低級アルキル基またはハロゲン原子であ
る。
【0057】このような単量体としては、ブタジエン、
イソプレン、クロロプレンなどがある。
【0058】モノオレフィン系単量体は、次の一般式
(VI)で示される:
【0059】
【化6】
【0060】ここで、R10、およびR11は各々独立して
水素原子または低級アルキル基である。
【0061】このような単量体としては、エチレン、プ
ロピレン、イソブチレン、ブテン−1、ペンテン−1、
4−メチルペンテン−1などがある。
【0062】上記単量体を重合して得られる(共)重合
体であるアニオン性極性基を有するスチレンアクリル系
樹脂の具体例としては、スチレン−アクリル酸共重合
体、スチレン−メタクリル酸共重合体などがある。
【0063】このような樹脂は、アニオン性極性基が遊
離酸の形で存在する場合には、その酸価が4〜20、好
ましくは5〜15となるような割合でアニオン性極性基
を有していることが望ましい。アニオン性極性基の一部
または全部が中和されている場合には、それが遊離酸の
形で存在したときに上記酸価を有するような割合でアニ
オン性極性基を有することが好ましい。上記樹脂の酸
価、つまりアニオン性極性基の濃度、が上記範囲よりも
低いときには、トナーの帯電性が不充分であり、逆に上
記範囲よりも高いと、トナーが吸湿性を有するため、好
ましくない。
【0064】さらに、該スチレンアクリル系樹脂の分子
量のピークは4,000〜30,000、好ましくは
6,000〜20,000である。樹脂の分子量のピー
クが4,000未満では耐スペント性の向上が期待でき
ず耐久性が低下する。30,000を超えると粉砕性が
低下する。
【0065】また、該樹脂の重量平均分子量は7万〜2
0万、好ましくは8万〜15万である。7万未満である
と得られたトナーが過粉砕されるためトナー粒子が割れ
るという欠点があり、20万を超えるとトナーの粉砕性
が低下する。
【0066】好適な定着用樹脂には、スチレンと、アク
リル酸またはメタクリル酸と、式(I)のアクリル酸エ
ステル系単量体の少なくとも1種を必須成分として含有
し、必要に応じて、式(II)から式(VI)の単量体を任
意成分として含有する共重合体が用いられる。
【0067】上記各単量体は、上記樹脂を調製するため
に1種または2種以上が組み合わせて用いられ得る。
【0068】本発明に用いられる定着用樹脂には、上記
樹脂を含む樹脂組成物が用いられ、この組成物中には、
上記樹脂に加えて、アニオン性極性基をもたない重合体
が含有されていてもよい。その場合には、組成物全体と
してのアニオン性極性基の含有割合は上記範囲にある。
【0069】(定着用樹脂に用いるスチレンアクリル系
樹脂の製造方法)本発明で使用されるスチレンアクリル
系樹脂は、以下のようにして製造することができる。
【0070】単量体及び樹脂をともに溶解可能な溶媒
(例えば、トルエン、キシレンなど)に、低分子体用単
量体および重合開始剤を混合して攪拌する。この混合溶
液を反応釜に投入し攪拌羽根でよく攪拌しながら、60
〜250℃/3〜10時間で重合を行い、溶液の脱気、
乾燥後、低分子体のポリマーを得る。次に、単量体およ
び樹脂をともに溶解可能な溶媒に、高分子体用単量体、
上記で得た低分子体のポリマーおよび重合開始剤を混合
し攪拌する。この混合溶液を反応釜に投入し攪拌羽根で
よく攪拌しながら60〜200℃/5〜24時間で重合
を行い、その後溶液を脱気、乾燥後、ポリマーを得る。
【0071】(磁性粉末)トナー粒子に含有(内添)さ
れる磁性粉末としては、従来において一成分系の磁性ト
ナーに使用されている磁性粉末のいずれもが用いられ得
る。磁性粉末の素材としては、例えば、四三酸化鉄(F
34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄亜鉛
(ZnFe24)、酸化鉄イットリム(Y3Fe
512)、酸化鉄カドミウム(CdFe24)、酸化鉄
ガドリウム(Gd3Fe512)、酸化鉄銅(CuFe2
4)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル
(NiFe24)、酸化鉄ネオジウム(NdFe
3)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マ
グネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnF
24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄(F
e)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などが用い
られ得る。特に好適な磁性粉末は微粒子状四三酸化鉄
(マグネタイト)である。好適なマグネタイトは正8面
体状で、粒子径が0.05〜1.0μmである。このマ
グネタイト粒子は、シランカップリング剤、チタン系カ
ップリング剤などで表面処理されていてもよい。トナー
粒子に含有される磁性粉末の粒子径は、一般に1.0μ
m以下、好ましくは0.05〜1.0μmである。
【0072】上記磁性粉末のトナー粒子中の含有量は、
定着用樹脂100重量部あたり、0.1〜5重量部、好
ましくは0.5〜4重量部、さらに好ましくは0.5〜
3重量部である。磁性粉末の量が過少であると前述のよ
うに、現像時におけるトナーの飛散が生じたり、転写効
率が低下する。
【0073】(トナー粒子中の配合剤)トナー粒子は、
上記のように、定着用樹脂および磁性粉末を必須成分と
して含有し、さらに必要に応じて通常トナー中に配合さ
れ得る配合剤を含有させることができる。
【0074】配合剤としては、着色剤、離型剤などがあ
る。
【0075】着色剤としては、例えば次の顔料が使用さ
れ得る。
【0076】黒色顔料 カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラッ
ク、アニリンブラック。
【0077】体質顔料 バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイト
カーボン、タルク、アルミナホワイト。
【0078】上記顔料は、定着用樹脂100重量部に対
して、通常2〜20重量部、好ましくは5〜15重量部
の量でトナー粒子中に含有される。
【0079】離型剤としては各種ワックス類や低分子量
オレフィン系樹脂などが使用される。上記オレフィン系
樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピ
レン−エチレン共重合体などが使用され得るが、ポリプ
ロピレンが特に好適である。
【0080】(トナーの調製)本発明のトナーに用いら
れるトナー粒子は、トナー粒子製造のための一般的な方
法、例えば、粉砕分級法、溶融造粒法、スプレー造粒法
および重合法により製造され得、通常、粉砕分級法によ
り製造される。
【0081】例えば、上記トナー粒子を形成するための
成分を、ヘンシェルミキサーなどの混合機で前混合した
のち、二軸押出機などの混練装置を用いて混練し、これ
を冷却した後、粉砕し、分級してトナー粒子とする。ト
ナー粒子の粒径は、一般に体積基準平均粒径(コールタ
ーカウンターによるメジアン径)が5〜15μm、特に
7〜12μmの範囲内にあるのが好ましい。
【0082】トナー粒子の表面には、外添剤として必要
に応じて疎水性気相法シリカ粒子などの流動性改良剤を
付着させてトナーの流動性を改善することができる。上
記シリカ粒子などの流動性改良剤の粒子径は通常、一次
粒子径が約0.015μm程度であり、トナーの総重
量、つまりトナー粒子と外添剤との合計重量あたり0.
1〜2.0重量%の量で外添される。
【0083】さらに本発明においては、好適には、上記
流動性改良剤粒子よりも大きい粒径のスペーサー粒子が
外添される。このスペーサー粒子としては、0.05〜
1.0μm、好ましくは0.07〜0.5μmの有機ま
たは無機の不活性粒子のいずれもが用いられ得る。この
ような不活性粒子の素材としては、シリカ、アルミナ、
酸化チタン、炭酸マグネシウム、アクリル樹脂、スチレ
ン樹脂、磁性材料などが挙げられる。このスペーサー粒
子は、流動性改良剤として機能し得るとともに、前述の
ように転写効率を高める働きを有する。スペーサー粒子
としては、一般には、上記トナー粒子に含有されるのと
同様の磁性粉末、特に微粒子状四三酸化鉄(マグネタイ
ト)粒子を使用するのが好ましい。スペーサー粒子とし
て磁性粉末の粒子を用いると、前述のようにトナー飛散
に対して有効に作用する。スペーサー粒子は、トナーの
総重量あたり10重量%以下、好ましくは0.1〜10
重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%の量で含有
される。過剰であると複写画像の濃度が不充分となる。
スペーサー粒子として磁性粉末を使用する場合には、ト
ナー粒子内に含有される磁性粉末との合計量が、定着用
樹脂100重量部に対して10重量部以下であることが
望ましい。過剰であると画像濃度が低くなる場合があ
る。
【0084】流動性改良剤およびスペーサー粒子をトナ
ー粒子に外添するには、例えば流動性改良剤とスペーサ
ー粒子とを充分に混合し、この混合物をトナー粒子に添
加して充分に解砕するのがよい。これによりスペーサー
粒子は、トナー粒子表面に付着する。ここで、付着と
は、粒子表面に接して担持されること、あるいは粒子表
面から内部に一部打ち込まれたような状態で固定される
こと、のいずれの状態をもさしていう。このようにし
て、本発明のトナーが得られる。
【0085】(現像剤の調製)上記本発明のトナーは磁
性キャリアと混合し、二成分系現像剤とされる。
【0086】磁性キャリアとしては、好適にはフェライ
ト系の磁性キャリアが用いられる。好ましくはFeに加
えてCu、Mg、MnおよびNiでなる群より選ばれる
金属成分の少なくとも1種、好適には2種以上を含有す
るソフトフェライト、例えば、銅−亜鉛−マグネシウム
フェライトの焼結フェライトでなる粒子、特に球状粒子
が使用される。磁性キャリアの粒子の表面はコートされ
ていなくてもよいが、一般には、シリコーン樹脂、フッ
素系樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ウレタン系樹脂
などでコートされていることが好ましい。磁性キャリア
の粒子の粒径は30〜200μm、特に50〜150μ
mの範囲にあることが望ましい。キャリアの飽和磁化は
30〜70emu/g、特に45〜65emu/gの範
囲にあるのが望ましい。
【0087】磁性キャリアとトナーとの混合比は、一般
に98:2〜90:10の重量比、特に97:3〜9
4:6の重量比であることが好ましい。
【0088】本発明のトナーを含む二成分系現像剤を用
い、一般的な静電写真複写法により、複写がなされ得
る。例えば感光体上の光導電層を一様に荷電した後、画
像露光して静電潜像を形成させ、次いで二成分系磁性現
像剤の磁気ブラシを感光体と接触させることにより静電
潜像の現像が容易に行われ得る。現像により形成された
トナー像は転写紙上に転写されて転写像を形成し、この
転写像をヒートロールで溶融圧着することにより定着が
行われる。
【0089】
【実施例】本発明を実施例により説明する。
【0090】(実施例1) A.定着用樹脂の調製 メタクリル酸3重量部、ブチルアクリレート17重量
部、スチレン80重量部、および重合開始剤を可溶溶媒
に混合して攪拌した。得られた混合溶液を反応釜に投入
し攪拌羽根でよく攪拌しながら、150℃/5時間で重
合を行い、その後溶液を脱気し乾燥後、低分子量のポリ
マーを得た。
【0091】次に、メタクリル酸10重量部、ブチルア
クリレート20重量部、スチレン70重量部、重合開始
剤、可溶溶媒および上記で得たポリマー100重量部を
混合し攪拌した。得られた混合溶液を反応釜に投入し攪
拌羽根でよく攪拌しながら80℃/15時間で重合を行
い、その後溶液を脱気、乾燥後、ポリマーを得た。
【0092】得られたスチレンアクリル系樹脂の分子量
のピークは10,000、重量平均分子量は10万、酸
価は10であった。
【0093】B.トナーの調製 (トナー粒子の組成) 定着用樹脂:上記A項で得られたスチレンアクリル系樹脂 100重量部 着色剤:カーボンブラック 10重量部 磁性粉末:マグネタイト 2重量部 ワックス 3重量部 上記各成分を二軸押し出し機にて溶融混練し、次いでこ
の混練物をジェットミルで粉砕し、そして風力分級機で
分級して、平均粒径10.0μmのトナー粒子を得た。
【0094】このトナー粒子に、流動性改良剤として平
均粒径が0.015μmの疎水性シリカ微粒子をトナー
粒子100重量部に対して0.3重量部の割合で、そし
て、平均粒径が0.3μmのアルミナ微粒子をトナー粒
子100重量部に対して0.6重量部の割合で添加(外
添)し、そしてヘンシェルミキサーで2分間混合して、
トナーを得た。
【0095】(比較例1) A.定着用樹脂の調製 メタクリル酸1重量部、ブチルアクリレート19重量
部、スチレン80重量部、および重合開始剤を可溶溶媒
に混合して攪拌した。得られた混合溶液を反応釜に投入
し攪拌羽根でよく攪拌しながら、200℃/3時間で重
合を行い、その後溶液を脱気し乾燥後、低分子量のポリ
マーを得た。
【0096】次に、メタクリル酸1重量部、ブチルアク
リレート24重量部、スチレン75重量部、重合開始
剤、可溶溶媒および上記で得たポリマー100重量部を
混合し攪拌した。得られた混合溶液を反応釜に投入し攪
拌羽根でよく攪拌しながら120℃/8時間で重合を行
い、その後溶液を脱気、乾燥後、ポリマーを得た。
【0097】得られたスチレンアクリル系樹脂の分子量
のピークは3,000、重量平均分子量は6万、酸価は
2であった。
【0098】B.トナーの調製 上記A項で得られたスチレンアクリル系樹脂を用いたこ
と以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0099】(比較例2) A.定着用樹脂の調製 メタクリル酸15重量部、ブチルアクリレート10重量
部、スチレン75重量部、および重合開始剤を可溶溶媒
に混合して攪拌した。得られた混合溶液を反応釜に投入
し攪拌羽根でよく攪拌しながら、120℃/7時間で重
合を行い、その後溶液を脱気し乾燥後、低分子量のポリ
マーを得た。
【0100】次に、メタクリル酸15重量部、ブチルア
クリレート15重量部、スチレン70重量部、重合開始
剤、可溶溶媒および上記で得たポリマー100重量部を
混合し攪拌した。得られた混合溶液を反応釜に投入し攪
拌羽根でよく攪拌しながら60℃/20時間で重合を行
い、その後溶液を脱気、乾燥後、ポリマーを得た。
【0101】得られたスチレンアクリル系樹脂の分子量
のピークは35,000、重量平均分子量は25万、酸
価は25であった。
【0102】B.トナーの調製 上記A項で得られたスチレンアクリル系樹脂を用いたこ
と以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0103】[トナーの評価]各実施例および比較例で
得られたトナーに、それぞれ平均粒径100μmのフェ
ライトキャリアを加え、均一に混合してトナー濃度3.
5%の二成分系現像剤を得た。次いで、次の項目につ
き、この現像剤の評価を行った。試験に使用したのは、
三田工業社製の電子複写機(商品名「DC−468
5」)の改造機(評価試料を容易にサンプリングするた
めの改造を施した複写機)である。
【0104】(a)転写効率 複写開始前のトナーホッパー内のトナー量と所定枚数複
写後のトナーホッパー内のトナー量とを測定し、その差
からトナー消費量を算出した。他方、所定枚数の複写の
間にクリーニング工程において回収されたトナー量を測
定し、これをトナー回収量とした。これらの値から、次
式(i)によりトナーの転写効率を算出した。ここで、
複写に用いた原稿は黒色部の面積率が8%の文字原稿で
ある。この評価は(b)項以下の各評価試験を行うため
に行われた。
【0105】
【数1】
【0106】(b)画像濃度(I.D.) 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて複写を行い、
転写効率が70%未満となるまで複写を続けた。5千枚
毎に複写画像における黒べた部の濃度を反射濃度計(型
番「TC−6D」東京電色社製)を用いて測定し、その
平均値を画像濃度(I.D.)とした。ここで、5千枚
毎にサンプリングを行うために使用する原稿は、黒べた
部を含む黒色部の面積率が15%の原稿である。評価結
果を表1に示す。
【0107】(c)カブリ濃度(F.D.) 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて複写を行い、
転写効率が70%未満となるまで複写を続けた。5千枚
毎に複写画像における非画像部の濃度を反射濃度計(型
番「TC−6D」東京電色社製)を用いて測定した。そ
の測定値と、複写前の紙(ベース紙)を反射濃度計で測
定して得られた反射濃度の値との差を算出し、その最高
値をカブリ濃度(F.D.)とした。ここで、5千枚に
サンプリングを行うために使用する原稿は、黒べた部を
含む黒色部の面積率が15%の原稿である。評価結果を
表1に示す。
【0108】(d)解像度 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて複写を行い、
5万枚複写した時点(それまでに転写効率が70%未満
となった場合にはその時点)で、規定のチャート原稿
(1mmあたり所定数の平行直線が引かれた複数のパタ
ーンを用いる原稿)を用いて複写し、複写画像を目視判
定した。評価結果を表1に示す。
【0109】(e)帯電量 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて複写を行い、
転写効率が70%未満となるまで複写を続けた。5千枚
毎に現像剤200mgの帯電量を「ブローオフ粉体帯電
量測定装置」(東芝ケミカル社製)を用いて測定し、ト
ナー1gあたりの帯電量の平均値を算出した。評価結果
を表1に示す。
【0110】(f)スペントによるキャリアの粒子表面
への付着物の量 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて複写を行い、
5万枚複写した時点(それまでに転写効率が70%未満
となった場合にはその時点)で、現像剤をサンプリング
した。その現像剤を400メッシュのふるい上にのせ、
下からブロアーにより吸引し、トナーとキャリアとを分
離した。ふるい上に残ったキャリア5gをビーカーに入
れ、更にこのビーカー中にトルエンを加え、スペントに
よりキャリアの粒子表面に付着したトナー成分を溶解さ
せた。その後ビーカーの下から磁石でキャリアを引きつ
けた状態でトルエン溶液を捨てた。これをトルエンが無
色になるまで数回繰り返した後、オーブンでキャリアに
付着しているトルエンを蒸発させて得られた残留物の重
量を測定した。最初にビーカーに入れたキャリアの重量
とトルエン蒸発後の重量の差がスペントによりキャリア
の粒子表面に付着したトナー成分の量(スペント量)で
ある。スペント量はキャリア1gあたりに付着したトナ
ー成分のmgで表す。評価結果を表1に示す。
【0111】(g)トナー飛散 黒色部の面積率が8%の文字原稿を用いて複写を行い、
転写効率が70%未満となるまで複写を続けた。この時
点での複写機内のトナー飛散状態を目視にて観察し、以
下の基準で評価した。 ○:トナー飛散なし ×:トナー飛散あり 評価結果を表1に示す。
【0112】(h)耐久性 1万枚複写後毎のトナー消費量と、回収されたトナー量
とから、トナーの転写効率を算出した。この転写効率が
初めて70%未満になった時点の枚数を耐久性とした。
評価結果を表1に示す。
【0113】(i)粉砕性 トナーをジェットミルに供給して一定圧力で粉砕し、そ
のときのトナーの供給速度(g/分)を、以下の基準で
評価した。 ○:100g/分以上 ×:100g/分未満 評価結果を表1に示す。
【0114】(j)定着性 黒べた原稿に対するトナー像が形成された転写紙を定着
ローラに通紙して定着し、得られた複写画像の画像濃度
(A)を測定した。軟鋼製の分銅(直径50mm、重量
400g)の底面に晒を両面テープで固定し、定着性測
定用デバイスを作成し、上記複写画像上を自重で5往復
させた。そして、再度画像濃度(B)を測定し、次式
(ii)により定着率を求めた。これらの画像濃度は、反
射濃度計(型番「TC−6D」東京電色社製)を用いて
測定した。
【0115】
【数2】
【0116】上記で得られた定着率を以下の基準で評価
した。 ◎:95%以上 ○:90%以上95%未満 △:80%以上90%未満 ×:80%未満 評価結果を表1に示す。
【0117】(k)高温オフセット性 図10に示すように、50mm×50mmの黒べた部3
1を3箇所有する210mm×297mmの原稿3を、
同図に示す方向Paに通紙し、連続500枚の複写を行
った。500枚目の複写画像の非画像部のオフセット現
象および汚れを目視で判断し、以下の基準で評価した。 ○:オフセット現象および汚れなし ×:オフセット現象あるいは汚れあり 評価結果を表1に示す。
【0118】
【表1】
【0119】[評価結果の考察]実施例1のトナーは、
画像品質、耐久性、定着性などが良好であった。それに
対して、比較例1のトナーでは、耐久性、高温オフセッ
ト性が劣り、比較例2のトナーでは、粉砕性、定着性が
劣る結果を得た。
【0120】
【発明の効果】本発明によれば、このように、複写時に
おけるスペントの主な発生原因となる帯電制御剤を全く
含有しないトナーが提供される。このトナーのトナー粒
子中には、アニオン性極性基を有する定着用樹脂が含有
され、そして、トナー粒子中に所定の割合で磁性粉末が
含有される。さらに必要に応じてトナー粒子表面には所
定の粒径のスペーサー粒子が付着している。そのためト
ナーの帯電性が充分であり、複写時にトナーが飛散する
ことがなく、転写効率が充分であり、必要とされる濃度
の複写画像が長時間にわたり安定して得られる。
【0121】さらに、本発明によれば、上記定着用樹脂
はアニオン性極性基を有するスチレンアクリル系樹脂で
なり、そして該樹脂の分子量ピーク、重量平均分子量お
よび酸価が所定の範囲に規定されているので、さらに粉
砕性、定着性および高温オフセット性を満足させること
ができる。
【0122】このような二成分系現像剤用トナーは、静
電式複写機、レーザービームプリンタなどの電子式画像
形成装置において好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーのメタノール抽出液の、波長2
00〜700nmにおける吸光度を示すグラフである。
【図2】帯電制御剤としてアゾ系クロム錯塩染料を含有
するトナーのメタノール抽出液の波長200〜700n
mにおける吸光度を示すグラフである。
【図3】帯電制御剤としてサリチル酸金属錯体を含有す
るトナーのメタノール抽出液の波長200〜700nm
における吸光度を示すグラフである。
【図4】帯電制御剤としてアゾ系クロム錯塩染料を含有
するトナーを二成分系磁性現像剤に使用し、スペントよ
る帯電不良が発生したときのキャリアについて、メタノ
ール抽出を行い、この抽出液の波長200〜700nm
における吸光度を測定したときのグラフである。
【図5】帯電制御剤を含有するトナーと磁性キャリアと
を混合・攪拌し、あるいは帯電制御剤を含有しないトナ
ーと磁性キャリアとを混合・攪拌する操作を続けた場合
に、混合・攪拌時間とスペント量との関係を示すグラフ
である。
【図6】帯電制御剤を含有するトナーと磁性キャリアと
を混合・攪拌し、あるいは帯電制御剤を含有しないトナ
ーと磁性キャリアとを混合・攪拌する操作を続けた場合
に、混合・攪拌時間と帯電量との関係を示すグラフであ
る。
【図7】スペントによるトナー成分が付着したキャリア
の該付着物の量と、スペントを生じたトナー中の帯電制
御剤の量との関係を示すグラフである。
【図8】トナー中の各成分の各々と磁性キャリアとを混
合・攪拌する操作を続けた場合における混合・攪拌時間
とスペント量との関係を示すグラフである。
【図9】従来の二成分系磁性現像剤におけるスペントに
よる帯電不良の発生を説明する説明図である。
【図10】高温オフセット性の評価に用いた原稿の概略
図である。
【符号の説明】
1 キャリアの粒子 2 トナー 22 逆極性トナー 3 原稿 31 黒べた部 Pa 通紙方向
フロントページの続き (72)発明者 久保 憲生 大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田工 業株式会社内 (72)発明者 永尾 一也 大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田工 業株式会社内 (72)発明者 浅野 照道 大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田工 業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 定着用樹脂および該樹脂中に分散された
    磁性粉末を含有するトナー粒子を含む二成分系現像剤用
    トナーであって、 該定着用樹脂が、アニオン性極性基を有するスチレンア
    クリル系樹脂を含む組成物でなり、該スチレンアクリル
    系樹脂が以下の条件を満たし、 (a)該樹脂の分子量のピークが4,000〜30,0
    00に存在し、 (b)該樹脂の重量平均分子量が7万〜20万であり、 (c)該樹脂の酸価が4〜20であり、そして、 該磁性粉末が、該定着用樹脂100重量部に対して0.
    1から5重量部の割合で該トナー粒子中に含有される、
    二成分系現像剤用トナー。
  2. 【請求項2】 メタノールで抽出したときの抽出液が2
    80から350nmの領域に実質的に吸収ピークを有さ
    ず、かつ400から700nmの領域における吸光度が
    実質的にゼロである、請求項1に記載のトナー。
  3. 【請求項3】 前記磁性粉末が、前記定着用樹脂100
    重量部に対して0.5から3重量部の割合で含有され
    る、請求項1に記載のトナー。
  4. 【請求項4】 前記トナー粒子の体積基準平均粒径が5
    から15μmであり、該トナー粒子表面に体積基準平均
    粒径が0.05から1.0μmのスペーサー粒子が付着
    している、請求項1に記載のトナー。
JP6207411A 1994-08-31 1994-08-31 二成分系現像剤用トナー Pending JPH0876412A (ja)

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JP6207411A JPH0876412A (ja) 1994-08-31 1994-08-31 二成分系現像剤用トナー
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